説明

水性インク受容層形成用組成物及びこの製造方法

【課題】
保存安定性及び画像耐水性に優れた水性インク受容層形成組成物を提供する。
【解決手段】
気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)、ポリビニルアルコール(b)、ヒドロキシカルボン酸(c)及び水(d)を含有してなる水分散体からなり、酸化アルミニウム粒子(a)の重量に基づいて、ポリビニルアルコール(b)の含有量が10〜20重量%であり、ヒドロキシカルボン酸(c)の含有量が0.76〜4.8重量%であることを特徴とする水性インク受容層形成用組成物を用いる。また、ポリビニルアルコール(b)、ヒドロキシカルボン酸(c)及び水(d)を含有してなる水溶液に、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)を加え、3軸遊星型ミキサーによって分散する分散工程を含むことを特徴とする水性インク受容層形成用組成物の製造方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性インク受容層形成用組成物及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
保存安定性を向上させる目的で、気相法で製造された酸化アルミニウム微粒子及びポリビニルアルコールからなる組成物に、ホウ酸エステル及び特定量の揮発性酸を添加した水性インク層形成用組成物が知られている(特許文献1)。
また、同じ目的で、圧力式分散機を用いて酸化アルミニウム粒子を分散させて得た水性インク受容層形成用組成物が知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2006−231595号公報
【特許文献2】特開2006−327206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ホウ酸エステル及び特定量の揮発性酸を添加した水性インク受容層形成用組成物では、十分な保存安定性は得られず、たとえば、20〜30℃で12時間以内に著しい増粘又はゲル化が生じという問題がある。
また、圧力式分散機を用いて得た水性インク受容層形成用組成物では、インク吸収性が悪いため、十分な画像耐水性が得られないという問題がある。
本発明の目的は、保存安定性及び画像耐水性に優れた水性インク受容層形成組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の水性インク受容層形成用組成物の特徴は、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)、ポリビニルアルコール(b)、ヒドロキシカルボン酸(c)及び水(d)を含有してなル水分散体からなり、
酸化アルミニウム粒子(a)の重量に基づいて、ポリビニルアルコール(b)の含有量が10〜20重量%であり、ヒドロキシカルボン酸(c)の含有量が0.76〜4.8重量%である点を要旨とする。
【0005】
また、本発明の水性インク受容層形成用組成物の製造方法の特徴は、ポリビニルアルコール(b)、ヒドロキシカルボン酸(c)及び水(d)を含有してなる水溶液に、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)を加え、3軸遊星型ミキサーによって分散する分散工程を含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の水性インキ受容層形成組成物は、保存安定性と画像耐水性に優れる。すなわち、本発明の組成物は、20〜30℃においても著しい増粘又はゲル化が生じることがなく、長期間安定に保存できる。また、インク吸収性に優れるため、画像耐水性に優れた水性インク受容層形成を容易に調製できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)は、公知の気相法によって得られる。
気相法としては、(1)真空容器内で金属アルミニウムを溶融、気化させ、酸化性雰囲気に導入して、酸化アルミニウム粒子を得る方法;(2)金属アルミニウム粉体を、酸素を含む火炎の中で蒸発・酸化させて、酸化アルミニウム粒子を得る方法;及び(3)塩化アルミニウムを気化し、バーナー火炎中に噴出、酸化して、酸化アルミニウム粒子を得る方法(特表2005−506269等)等が挙げられる。
【0008】
気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)の平均一次粒子径(nm)は、1〜50が好ましく、さらに好ましくは5〜20、特に好ましくは10〜15、最も好ましくは5〜20である。この範囲であると、インク吸収性がさらに良好となる。
なお、平均一次粒子径は、JIS Z8901−2006「試験用粉体及び試験用粒子」5.44粒子経分布(c)顕微鏡法に準拠し、振掛け法によって準備した試料を透過型電子顕微鏡で5万〜100万倍に拡大して観察した画像から200個以上の粒子を観察して算出される円相当径の個数平均値である。
【0009】
気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)のBET比表面積(m/g)は、50〜300が好ましく、さらに好ましく60〜200、特に好ましくは80〜100である。この範囲であると、インク吸収性がさらに良好となる。
なお、BET比表面積は、JIS R1626−1996「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET法による比表面積の測定方法」に準拠し、窒素吸着による定容法によって測定される。
【0010】
気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)としては、市場から容易に入手でき、たとえば、デグサ社製のAeroxide Alu−c及びAl65;並びにキャボット社製のSpctrAl51、81、100及びこれらの水分散物CAB−O−SPERSEシリーズが挙げられる。
【0011】
ポリビニルアルコール(b)としては完全ケン化型ポリビニルアルコール(b1)、部分ケン化型ポリビニルアルコール(b2)、カチオン変性ポリビニルアルコール(b3)、アニオン変性ポリビニルアルコール(b4)及びノニオン変性ポリビニルアルコール(b5)が含まれる。
【0012】
完全ケン化型ポリビニルアルコール(b1)は、ポリ酢酸ビニルを96モル%を超えて100モル%以下をケン化したポリビニルアルコールを意味する。一方、部分ケン化ポリビニルアルコール(b2)は、同70〜96モル%を部分ケン化したポリビニルアルコールを意味する。
完全ケン化型ポリビニルアルコール及び部分ケン化型ポリビニルアルコールは、公知のもの(たとえば、特開2006−28233号公報)等が使用できる。
【0013】
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、公知のもの(たとえば、特開平10−119423号公報)等が使用できる。なお、カチオン変性ポリビニルアルコールとは、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニオ基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を必要によりケン化して得られる構造のポリマーを意味する。
【0014】
アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、公知のもの(たとえば、特開平1−206088号公報、特開昭61−237681号、特開昭63−307979号公報及び特開平7−285265号公報)等が使用できる。なお、アニオン変性ポリビニルアルコールとは、カルボキシ基やスルホ基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を必要によりケン化して得られる構造のポリマーを意味する。
【0015】
ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、公知のもの(たとえば、特開平7−9758号公報及び特開平8−25795号公報)等が使用できる。なお、ノニオン変性ポリビニルアルコールとは、メルカプト基やケト基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体を必要によりケン化して得られる構造のポリマーを意味する。
【0016】
ポリビニルアルコール(b)としては、部分ケン化型ポリビニルアルコール及び完全ケン化ポリビニルアルコールが好ましく、さらに好ましくは部分ケン化型ポリビニルアルコールである。
部分ケン化型ポリビニルアルコールのケン化度(モル%)は、70〜96が好ましく、さらに好ましくは75〜95、特に好ましくは85〜90である。この範囲であると、画像耐水性がさらに良好となる。
なお、ケン化度は、JIS K6726−1994「ポリビニルアルコール試験法 3.5ケン化度」に準拠して測定される。
【0017】
ポリビニルアルコール(b)の平均重合度は、1000〜7000が好ましく、さらに好ましくは2000〜6500、特に好ましくは3000〜6000である。この範囲であると、画像耐水性がさらに良好となる。
なお、平均重合度は、JIS K6726−1994「ポリビニルアルコール試験法」3.7平均重合度に準拠して測定される。なお、カチオン変性ポリビニルアルコールの平均重合度は、特許第3434055号公報に記載された方法によって測定される。
【0018】
ポリビニルアルコール(b)の含有量(重量%)は、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)の重量に基づいて、10〜20であり、好ましくは12〜19、さらに好ましくは12.5〜18.5、特に好ましくは13〜18、最も好ましくは15〜17である。この範囲であると、画像耐水性がさらに良好となる。
【0019】
ヒドロキシカルボン酸(c)は、カルボキシル基(−COOH)と水酸基(−OH)を1分子中に少なくとも1つずつ含有する化合物であれば制限なく使用でき、脂肪族オキシ酸及び芳香族オキシ酸等が含まれる。
脂肪族オキシ酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ(アルキル)アクリル酸エステル{ヒドロキシエチルアクリル酸エステル及び4−ヒドロキシブチルアクリル酸エステル等}、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸等が挙げられる。
芳香族オキシ酸としては、サリチル酸、オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸及びトロバ酸等が挙げられる。
これらのうち、脂肪族オキシ酸が好ましく、さらに好ましくはグリコール酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸、特に好ましくはグリコール酸及び乳酸、最も好ましくは乳酸である。
【0020】
ヒドロキシカルボン酸(c)の含有量(重量%)は、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)の重量に基づいて、0.76〜4.8であり、好ましくは0.8〜3.5、さらに好ましくは0.85〜3、特に好ましくは0.9〜2.5、最も好ましくは1〜2である。この範囲であると、保存安定性がさらに良好となる。
【0021】
水(d)は、水道水、工業用水、蒸留水及びイオン交換水等が使用できる。これらのうち、保存安定性の観点から、蒸留水及びイオン交換水が好ましく、さらに好ましくはイオン交換水である。
水(d)の含有量(重量%)は、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)の重量に基づいて、40〜900が好ましく、さらに好ましくは55〜570、特に好ましくは65〜400、次に好ましくは70〜355、最も好ましくは80〜300である。この範囲であると、保存安定性及び画像耐水性がさらにに良好となる。
【0022】
気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)、ポリビニルアルコール(b)、ヒドロキシカルボン酸(c)及び水(d)は、それぞれ、1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0023】
本発明の水性インク受容層形成用組成物には、必要に応じて、他の添加剤{酸化アルミニウム(a)を除く無機微粒子又は有機微粒子(e)、ポリビニルアルコール(b)を除く水溶性高分子(f)、ヒドロキシカルボン酸(c)を除く有機酸又は無機酸(g)、酸化防止剤(h)、紫外線吸収剤(i)、架橋剤(j)、染料固着剤(k)及び低沸点溶剤(l)等}を添加できる。添加剤は、それぞれ、2種以上を混合しても使用できる。
【0024】
酸化アルミニウム(a)を除く無機微粒子又は有機微粒子(e)としては、公知のもの(たとえば特開2005−104067号公報に記載された無機微粒子や、特開2006−192634号公報に記載された有機微粒子)等が使用できる。これらのうち、無機微粒子としては気相法シリカ微粒子が好ましく、有機微粒子としては架橋ポリビニルピロリドン粒子が好ましい。
【0025】
ポリビニルアルコール(b)を除く水溶性高分子(f)としては、公知のもの(たとえば特開平8−67065号公報等に記載された水溶性高分子)等が使用できる。これらのうち、画像耐水性の観点から、ポリアクリルアミド及びポリビニルピロリドンが好ましい。
【0026】
ヒドロキシカルボン酸(c)を除く有機酸又は無機酸(g)としては、公知のもの(たとえば特開2001−49158号公報に記載された有機酸、無機酸等)、及びこれらの金属(ナトリウム、カリウム、カルシウム、セシウム、亜鉛、銅、鉄、アルミニウム、ジルコニウム、ランタン、イットリウム、マグネシウム、ストロンチウム及びセリウム等)塩、アンモニウム塩又はアミン(トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン及びポリアリルアミン等)塩等が使用できる。これらのうち、保存安定性の観点から、ギ酸、酢酸、塩酸及び硝酸が好ましく、さらに好ましくは酢酸及び硝酸である。
【0027】
酸化防止剤(h)としては、公知のもの{たとえば、特開2001−26178号公報}等が使用できる。これらのうち、印刷画像の発色性の観点から、ヒンダードアミン系酸化防止剤が好ましい。
【0028】
紫外線吸収剤(i)としては、公知のもの{たとえば、特開2000−42614号公報に記載された紫外線吸収剤、及び特開2004−42614号公報に記載された高分子型紫外線吸収剤等}等が使用できる。これらのうち、印刷画像の発色性の観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。
【0029】
架橋剤(j)としては、ポリビニルアルコール(b)を架橋できる化合物であれば制限なく使用でき、公知のもの(たとえば、特開2000−335087号公報)等が使用できる。これらのうち、架橋反応速度の観点から、ホウ素化合物及び金属含有化合物が好ましく、さらに好ましくは硼砂、ホウ酸、ホウ酸塩、酢酸ジルコニウム及び硝酸ジルコニウム、特に好ましくは硼砂、ホウ酸、硝酸ジルコニウムである。
【0030】
染料固着剤(k)としては、公知のもの(たとえば、特開平10−264511号公報)等が使用できる。これらのうち、印刷画像の発色性の観点から、アリルアミン又はその塩の重合体、ジアリルアルキルアミン又はその塩の重合体が好ましい。
【0031】
低沸点溶剤(l)としては、沸点5〜130℃(好ましくは50〜100℃)の有機溶剤等を使用でき{かっこ内の数字は沸点である。}、脂肪族アルコール{メタノール(65)、エタノール(78)、イソプロパノール(82)、n−プロパノール(97)、n−ブタノール(117)等}、脂肪族エーテル{エチルメチルエーテル(7)、1,2−ジメトキシエタン(85)等}、ケトン{アセトン(56)、メチルエチルケトン(80)、2−ヘキサノン(127)等}、酢酸エステル{酢酸エチル(77)、酢酸ビニル(73)、酢酸イソプロピル(90)、酢酸−n−プロピル(102)、酢酸−n−ブチル(126)等}、ギ酸エステル{ギ酸エチル(54)}、酪酸エステル{酪酸エチル(122)、酪酸ビニル(116)、酪酸メチル(103)}、環状エーテル{テトラヒドロフラン(66)、1,4−ジオキサン(101)等}、及びアセトニトリル(82)等が挙げられる。これらのうち、画像耐水性の観点から、脂肪族アルコールが好ましく、さらに好ましくはメタノール、エタノール及びイソプロパノール、特に好ましくはエタノール及びイソプロパノールである。
【0032】
酸化アルミニウム(a)を除く無機微粒子又は有機微粒子(e)を含有する場合、この含有量(重量%)は、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)の重量に基づいて、0.1〜10が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5、特に好ましくは1〜3である。
【0033】
ポリビニルアルコール(b)を除く水溶性高分子(f)を含有する場合、この含有量(重量%)は、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)の重量に基づいて、0.01〜2が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1、特に好ましくは0.1〜0.5である。
【0034】
ヒドロキシカルボン酸(c)を除く有機酸又は無機酸(g)を含有する場合、この含有量(重量%)は、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)の重量に基づいて、0.001〜3.8が好ましく、さらに好ましくは0.004〜2.4、特に好ましくは0.76〜3.2である。
【0035】
酸化防止剤(h)を含有する場合、この含有量(重量%)は、気相法によって得られた酸化アルミニウム(a)及びポリビニルアルコール(b)の合計重量に基づいて、0.01〜20が好ましく、さらに好ましくは0.05〜10、特に好ましくは0.1〜5である。
【0036】
紫外線吸収剤(i)を含有する場合、この含有量(重量%)は、気相法によって得られた酸化アルミニウム(a)、ポリビニルアルコール(b)及びヒドロキシカルボン酸(c)の合計重量に基づいて、0.01〜20が好ましく、さらに好ましくは0.05〜10、特に好ましくは0.1〜5である。
【0037】
架橋剤(j)を含有する場合、この含有量(重量%)は、気相法によって得られたポリビニルアルコール(b)の重量に基づいて、0.1〜60が好ましく、さらに好ましくは0.5〜30、特に好ましくは1〜20である。
【0038】
染料固着剤(k)を含有する場合、この含有量(重量%)は、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)、ポリビニルアルコール(b)及びヒドロキシカルボン酸(c)の合計重量に基づいて、0.01〜10が好ましく、さらに好ましくは0.05〜5、特に好ましくは0.1〜3である。
【0039】
低沸点溶剤(l)を含有する場合、この含有量(重量%)は、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)、ポリビニルアルコール(b)、ヒドロキシカルボン酸(c)及び水(d)の合計重量に基づいて、0.1〜50が好ましく、さらに好ましくは0.5〜30、特に好ましくは1〜10である。
これらを含有する場合、以上の範囲であると、保存安定性及び画像耐水性等がさらに良好となる。
【0040】
本発明の水性インク受容層形成用組成物は、以下の<1>〜<5>の製造方法等によって容易に得られる。
<方法1>ポリビニルアルコール(b)、ヒドロキシカルボン酸(c)及び水(d)を含有してなる水溶液に、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)を加え、分散する工程を含む製造方法。
<方法2>水(d)に気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)を加え、分散した後、ポリビニルアルコール(b)及びヒドロキシカルボン酸(c)を均一混合する工程を含む製造方法。
<方法3>ポリビニルアルコール(b)及び水(d)を含有してなる水溶液に、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)を加え、分散した後、ヒドロキシカルボン酸(c)を均一混合する工程を含む製造方法。
<方法4>ヒドロキシカルボン酸(c)及び水(d)を含有してなる水溶液に、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)を加え、分散した後、ポリビニルアルコール(b)を均一混合する工程を含む製造方法。
<方法5>気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)を含有してなる水分散体と、ポリビニルアルコール(b)及びヒドロキシカルボン酸(c)とを均一混合する工程を含む製造方法。
これらのうち、画像耐水性の観点から、<方法1>〜<方法4>が好ましく、さらに好ましくは<方法1>である。
【0041】
分散には、公知の分散機{たとえば、圧力式分散機(高圧ホモジナイザー等)、ボールミル、サンドミル、ロールミル、遊星型混分散機及び3軸遊星型ミキサー等}が使用できる。分散機のうち、保存安定性及び画像耐水性の観点から、遊星型分散機及び3軸遊星型ミキサーが好ましく、さらに好ましくは3軸遊星型ミキサーである。なお、3軸遊星型ミキサーは、遊星運動を行う2枚のブレード及び高速回転翼の3つの回転軸をもつ分散機である(たとえば、登録実用新案第3026043号)。
【0042】
分散温度は特に制限ないが、10〜50℃が好ましく、さらに好ましくは20〜45℃、特に好ましくは25〜35℃である。この範囲であると保存安定性がさらに良好となる。また、分散時間は特に制限ないが、1〜48が時間好ましく、さらに好ましくは2〜24時間、特に好ましくは5〜15時間である。この範囲であると画像耐水性がさらに良好となる。
【0043】
均一混合は、公知の方法で達成できる。なお、ポリビニルアルコール(b)を均一混合する場合、10〜25℃でポリビニルアルコール(b)を混合した後、撹拌しながら、80〜100℃にし冷却する方法が好ましい。
【0044】
他の添加剤を含有する場合、他の添加剤は任意の段階で添加混合することができる。なお、水溶性高分子(f)は、ポリビニルアルコール(b)、ヒドロキシカルボン酸(c)及び水(d)等と共に均一混合することが好ましい。また、無機微粒子又は有機微粒子(e)、有機酸又は無機酸(g)、酸化防止剤(h)、紫外線吸収剤(i)及び染料固着剤(k)は、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)と共に均一混合することが好ましい。また、低沸点溶剤(l)は、最後に均一混合することが好ましい。また、架橋剤(j){特にホウ素化合物}は、ポリビニルアルコール(b)と共に均一混合することが好ましい。
【0045】
本発明の水性インク受容層形成用組成物が適用できる支持体としては、紙{サイジングが施された紙、無サイズ紙、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、紙の片面あるいは両面が樹脂(ポリオレフィン等)で被覆された樹脂被覆紙等}、樹脂フィルム又はシート{ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート又はポリカーボネート等からなるフィルム又はシート、及びこれらの金属蒸着フィルム又はシート、無機物の充填又は微細な発泡により不透明化されたフィルムからなる合成紙等}、ガラス板、金属板、布及び皮革等が挙げられる。これらのうち、樹脂フィルムに好適である。
【0046】
本発明の水性インク受容層形成用組成物を支持体に塗布する前に、支持体の受容層を形成する面に、支持体と塗工層との密着性を向上させる目的で、予め密着処理、又は接着処理を施してもよい。特に、支持体として樹脂被覆紙、樹脂フィルム、又は合成紙を用いる場合、その表面にコロナ放電処理を施すこと、あるいはゼラチンやPVA等によるアンダーコート層を設けることが好ましい。
【0047】
本発明の水性インク受容層形成用組成物は、ダイコーター、ロールコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコーター又はスピンコーター等を用いて塗布できる。
【0048】
本発明の水性インク受容層形成用組成物を塗布した後、形成された塗布層を乾燥することによってインク受容層が形成される。乾燥は、30〜150℃、0.5〜15分間の条件が好ましく、さらに好ましくは40〜80℃、1〜10分間、特に好ましくは45〜75℃、3〜8分間、最も好ましくは50〜70℃、4〜7分間である。
【0049】
インク受容層の厚さは、塗膜上への印刷方法、印刷に用いられるインクやそのインクに使用される溶剤の種類、そのインク量等によって適宜選択することができるが、1〜100μmが好ましく、さらに好ましくは5〜70μm、特に好ましくは10〜50μm、最も好ましくは15〜45μmである。
【0050】
インク受容層への画像形成は、インクジェットプリンター、熱転写プリンター、レーザープリンター、オフセット印刷、フェルトペン等の筆記具で書き込む方法等種々の方法により行うことができる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、特に言及しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。
<実施例1>
撹拌機、温度計、還流冷却管を付したガラス製容器に15℃のイオン交換水216部を仕込み、ポリビニルアルコール(b1){J−POVAL JP−33、日本酢ビポバール社製、ケン化度87モル%、重合度3300}16部を空気雰囲気下で、イオン交換水に分散した後、大気圧(約1013hPa)下で45分かけて90℃まで昇温し、そのまま6時間撹拌することによりポリビニルアルコール水溶液を作成した。
引き続き、室温(約23℃)まで冷却したポリビニルアルコール水溶液を遊星型分散機(浅田鉄工社製、プラネタリミキサー)に移し、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a1){Aeroxide Alu−c、デグサ社製、一次粒子径13nm、BET比表面積95m/g}100部及びヒドロキシカルボン酸(c1){東京化成工業社製、L−乳酸}1.5部をポリビニルアルコール水溶液に加えた後、25〜30℃に保持し、分散機の攪拌機の出力を80パーセントに固定して1時間撹拌混合をおこない、本発明の水性インク受容層形成用組成物(1)を得た。
【0052】
<実施例2>
気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a1)を気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a2){SpectrAl81、キャボット社製、一次粒子経14nm、BET比表面積80m/g}に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(2)を得た。
【0053】
<実施例3>
気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a1)を気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a3){Aeroxide Al65、デグサ社製、一次粒子径17nm、BET比表面積65m/g}に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(3)を得た。
【0054】
<実施例4>
イオン交換水216部を217部に変更したこと、及びポリビニルアルコール(b1)をポリビニルアルコール(b2){クラレポバールPVA−124、クラレ社製、ケン化度98〜99モル%、重合度2400}に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(4)を得た。
【0055】
<実施例5>
イオン交換水216部を250部に変更したこと、及びポリビニルアルコール(b1)をポリビニルアルコール(b3){クラレポバールPVA−624、クラレ社製、ケン化度95モル%、重合度2400}に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(5)を得た。
【0056】
<実施例6>
イオン交換水216部を300部に変更したこと、及びポリビニルアルコール(b1)をポリビニルアルコール(b4){クラレポバールPVA−417、クラレ社製、ケン化度80モル%、重合度1700}に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(6)を得た。
【0057】
<実施例7>
イオン交換水216部を200部に変更したこと、及びヒドロキシカルボン酸(c1)をヒドロキシカルボン酸(c2){グリコール酸、東京化成工業社製、70%水溶液}に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(7)を得た。
【0058】
<実施例8>
ヒドロキシカルボン酸(c1)1.5部をヒドロキシカルボン酸(c3){東京化成工業社製、DL−リンゴ酸}0.8部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(8)を得た。
【0059】
<実施例9>
ヒドロキシカルボン酸(c1)1.5部をヒドロキシカルボン酸(c3)4.8部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(9)を得た。
【0060】
<実施例10>
イオン交換水216部を400部に変更したこと、及びヒドロキシカルボン酸(c1)1.5部をヒドロキシカルボン酸(c2)0.77部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(10)を得た。
【0061】
<実施例11>
イオン交換水216部を65部に変更したこと、及びヒドロキシカルボン酸(c1)1.5部をヒドロキシカルボン酸(c2)3.5部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(11)を得た。
【0062】
<実施例12>
ヒドロキシカルボン酸(c1)の1.5部を0.85部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(12)を得た。
【0063】
<実施例13>
イオン交換水216部を214部に変更したこと、及びヒドロキシカルボン酸(c1)の1.5部を3部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(13)を得た。
【0064】
<実施例14>
ポリビニルアルコール(b1)の16部を15部に変更したこと、及びヒドロキシカルボン酸(c1)の1.5部を0.9部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(14)を得た。
【0065】
<実施例15>
イオン交換水の216部を215部に変更したこと、ポリビニルアルコール(b1)の16部を17部に変更したこと、及びヒドロキシカルボン酸(c1)の1.5部を2.5部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(15)を得た。
【0066】
<実施例16>
イオン交換水の216部を875部に変更したこと、及びポリビニルアルコール(b1)の16部を15部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(16)を得た。
【0067】
<実施例17>
イオン交換水の216部を70部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(17)を得た。
【0068】
<実施例18>
イオン交換水の216部を565部に変更したこと、ポリビニルアルコール(b1)の16部を17部に変更したこと、及びヒドロキシカルボン酸(c1)の1.5部を1部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(18)を得た。
【0069】
<実施例19>
イオン交換水の216部を41部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(19)を得た。
【0070】
<実施例20>
イオン交換水の216部を354部に変更したこと、及びポリビニルアルコール(b1)の16部を18部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(20)を得た。
【0071】
<実施例21>
イオン交換水の216部を55部に変更したこと、ポリビニルアルコール(b1)の16部を12.6部に変更したこと、及びヒドロキシカルボン酸(c1)の1.5部を2部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(21)を得た。
【0072】
<実施例22>
イオン交換水の216部を80部に変更したこと、及びポリビニルアルコール(b1)の16部を10部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(22)を得た。
【0073】
<実施例23>
イオン交換水の216部を300部に変更したこと、及びポリビニルアルコール(b1)の16部を20部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(23)を得た。
【0074】
<実施例24>
イオン交換水の216部を157部に変更したこと、及びポリビニルアルコール(b1)の16部を12部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(24)を得た。
【0075】
<実施例25>
イオン交換水の216部を165部に変更したこと、及びポリビニルアルコール(b1)の16部を19部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(25)を得た。
【0076】
<実施例26>
イオン交換水の216部を171部に変更したこと、及びポリビニルアルコール(b1)の16部を13部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(26)を得た。
【0077】
<実施例27>
イオン交換水の216部を166部に変更したこと、及びポリビニルアルコール(b1)の16部を18部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(27)を得た。
【0078】
<実施例28>
ポリビニルアルコール(b1)をポリビニルアルコール(b2)に変更したこと、イオン交換水の216部を215部に変更したこと、並びに有機酸又は無機酸(g1){酢酸、東京化成工業社製}0.7部を気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a1)及びヒドロキシカルボン酸(c1)と共にポリビニルアルコール水溶液に加えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(28)を得た。
【0079】
<実施例29>
ポリビニルアルコール(b1)をポリビニルアルコール(b2)に変更したこと、イオン交換水の216部を215部に変更したこと、並びに有機酸又は無機酸(g2){硝酸、東京化成工業社製、濃度60%}0.8部を気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a1)及びヒドロキシカルボン酸(c1)と共にポリビニルアルコール水溶液に加えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(29)を得た。
【0080】
<実施例30>
ポリビニルアルコール(b1)をポリビニルアルコール(b2)に変更したこと、イオン交換水の216部を215部に変更したこと、並びに有機酸又は無機酸(g2)0.8部及び架橋剤(j1){ホウ酸トリエチル、東京化成工業社製}0.2部を気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a1)及びヒドロキシカルボン酸(c1)と共にポリビニルアルコール水溶液に加えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(30)を得た。
【0081】
<実施例31>
ポリビニルアルコール(b1)をポリビニルアルコール(b2)に変更したこと、イオン交換水の216部を215部に変更したこと、並びに有機酸又は無機酸(g2)0.8部及び架橋剤(j2){硝酸ジルコニウム、第一希元素化学工業社製、約55%水溶液}0.3部を気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a1)及びヒドロキシカルボン酸(c1)と共にポリビニルアルコール水溶液に加えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(31)を得た。
【0082】
<実施例32>
実施例1で得た水性インク受容層形成用組成物(1)を遊星型分散機(浅田鉄工社製、プラネタリミキサー)で3時間再分散させて、本発明の水性インク受容層形成用組成物(32)を得た。
【0083】
<実施例33>
3時間を5時間に変更したこと以外、実施例32と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(33)を得た。
【0084】
<実施例34>
3時間を10時間に変更したこと以外、実施例32と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(34)を得た。
【0085】
<実施例35>
実施例1で得た水性インク受容層形成用組成物(1)を3軸遊星型ミキサー(浅田鉄工株式会社製、プラネタリーデスパ、撹拌機出力80パーセント)で1時間再分散させて、本発明の水性インク受容層形成用組成物(35)を得た。
【0086】
<実施例36>
3時間を2時間に変更したこと以外、実施例35と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(36)を得た。
【0087】
<実施例37>
3時間を5時間に変更したこと以外、実施例35と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(37)を得た。
【0088】
<実施例38>
3時間を10時間に変更したこと以外、実施例35と同様にして、本発明の水性インク受容層形成用組成物(38)を得た。
【0089】
<比較例1>
イオン交換水295部を攪拌しながら、これに、酢酸5部及び酸化アルミニウム粒子(a1)100部を添加し、そのまま2時間攪拌して分散し、アルミナの水分散物を得た。
ついで、アルミナ水分散物400部に、ポリビニルアルコール(b3)の10%水溶液20部及びホウ酸トリエチル5.84部を添加・混合して、比較用の水性インク受容層形成用組成物(H1)を得た。なお、この塗工組成物は、約25℃で30分後にゲル化した。
【0090】
<比較例2>
酸化アルミニウム(a1)100部を含む30%水分散液を、圧力ホモジナイザー(ガウリン社製、加圧500kg/cm )にかけ、微分散液を得た。
この微分散液と、ポリビニルアルコール(b4)40部とを混合して、比較用の水性インク受容層形成用組成物(H2)を得た。
【0091】
<比較例3>
ポリビニルアルコール(b1)の16部を9部に変更したこと、及びイオン交換水の216部を223部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の水性インク受容層形成用組成物(H3)を得た。
【0092】
<比較例4>
ポリビニルアルコール(b1)の16部を21.7部に変更したこと、及びイオン交換水の216部を210部に変更したこと以外、実施例1と同様にして、比較用の水性インク受容層形成用組成物(H4)を得た。
【0093】
実施例及び比較例で得た水性インキ受容層形成用組成物について、以下の方法に従い、保存安定性及び画像耐水性を評価し、これらの結果を次表に示した。
【0094】
<保存安定性>
撹拌混合又は再分散した後、30分経過した測定サンプル{水性インキ受容層形成用組成物}0.5mlを、25.0±0.5℃に温度調節したE型粘度計(東機産業株式会社製RE80L、半径7mm、角度5.24×10−2radの円すい型コーン)にセットし、5分間静置後、測定を開始して3分後の粘度(α1)を読み取った{JIS Z8803−1991「液体の粘度」9.円すい及び円すい−平板形回転粘度計による粘度測定法に準拠。}
一方、測定サンプルを25±1℃で12時間、密閉保存し、この粘度(α2)を上記と同様にして測定した。
そして、(α1)と(α2)との比(α2/α1)を保存安定性の指標とした。この比が1に近いほど、粘度変化が少なく、保存安定性に優れている。
【0095】
<画像耐水性>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製A−4100、表面易接着処理済み)上に、撹拌混合又は再分散した直後の測定サンプルを乾燥後重量が20g/mとなるように、バーコーターを用いて塗工して塗工フィルムを得た。引き続き、塗工フィルムを50±3℃の熱風乾燥機中で7分間乾燥させて、インク受容層形成フィルムを得た。
ついで、インク受容層形成フィルム上に市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製PM800C)を用いて、ブラックインクのベタ画像を印字した後、印刷体を23±2℃、55%RHに調整された部屋に1時間静置して乾燥させて印刷フィルムを得た。引き続き、印刷フィルムを25±2℃に温調したイオン交換水に1分間浸漬し、イオン交換水に浸漬した前後のベタ画像の発色濃度を反射発色濃度計(グレタマクベス社製)を用いて測定した。これらの発色濃度から、次式に基づき、発色濃度保持率(%)を算出し、これを画像耐水性とした。発色濃度保持率が1に近いほど、イオン交換水への浸漬による退色が少なく、画像耐水性が優れている。
発色保持率(%)=(水浸漬後の発色濃度)×100/(水浸漬前の発色濃度)
【0096】
【表1】


【0097】
本発明の水性インク受容層形成用組成物(実施例1〜39)は、比較例1〜4の水性インク受容層形成用組成物に比較して、保存安定性及び画像耐水性に遙かに優れていた。中でも、3軸遊星型分散機を使用して製造した水性インク受容層形成用組成物(実施例35〜38)は、保存安定性及び画像耐水性に著しく優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の水性インク受容層形成用組成物は、水性インク受容層形成用として好適である。本発明の水性インク受容層形成用組成物は、種々の支持体に塗工でき、そして、この支持体に水性インキによる印刷適性を付与することができる。支持体としては、皮、布、樹脂成形体、紙、金属、段ボール及び陶磁器が含まれ、本発明の水性インク受容層形成用組成物が適用された支持体は、プリペイドカード、光記録メディア(CD−R、CD−RW、DVD等)、ICカード、磁気カード、電気機器用アクリル樹脂シート、建材用ポリカーボネート板、看板、表示パネル、表札、銘板、包装容器及び袋等として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)、ポリビニルアルコール(b)、ヒドロキシカルボン酸(c)及び水(d)を含有してなる水分散体からなり、
酸化アルミニウム粒子(a)の重量に基づいて、ポリビニルアルコール(b)の含有量が10〜20重量%であり、ヒドロキシカルボン酸(c)の含有量が0.76〜4.8重量%であることを特徴とする水性インク受容層形成用組成物。
【請求項2】
ヒドロキシカルボン酸(c)が、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、リンゴ酸、酒石酸及びクエン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリビニルアルコール(b)、ヒドロキシカルボン酸(c)及び水(d)を含有してなる水溶液に、気相法によって得られた酸化アルミニウム粒子(a)を加え、3軸遊星型ミキサーによって分散する分散工程を含むことを特徴とする水性インク受容層形成用組成物の製造方法。
【請求項4】
酸化アルミニウム粒子(a)の重量に基づいて、ポリビニルアルコール(b)の含有量が10〜20重量%であり、ヒドロキシカルボン酸(c)の含有量が0.76〜4.8重量%である請求項3に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−221540(P2008−221540A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61084(P2007−61084)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000106438)サンノプコ株式会社 (124)
【Fターム(参考)】