説明

水性ブロックポリイソシアネート組成物及びこれを含む水性塗料組成物

【課題】 本発明は、塗膜硬度が高く、かつ、優れた可とう性を達成できる水性ブロックポリイソシアネート組成物及びそれを含む水性塗料組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくとも下記1)〜4)成分から誘導されることを特徴とする水性ブロックポリイソシアネート組成物。
1)脂肪族又は脂環族ジイソシアネートモノマーの少なくとも1種から誘導される、下記条件a.〜b.を全て満足するポリイソシアネート。
a.ジイソシアネートモノマー濃度:3質量%以下
b.25℃における粘度が50から2000000mPa・s。
2)数平均分子量200から1000のカルボキシル基を有するジオール
3)ブロック剤
4)有機アミン化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性ブロックポリイソシアネート組成物及びこれを硬化剤とした、特に硬度が高く、優れた可とう性を有する塗膜を形成することができる水性塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境、安全、衛生などの観点から水性塗料が注目されており、建築外装から産業製品、例えば食缶用、コイルコーティング用等の工業塗料に使用されるようになってきた。更に、耐候性、耐薬品性、耐衝撃性等の高度な品質が要求される自動車用1液性塗料に関する提案も多い(特許文献1,2,3)。ここで用いられている硬化剤の多くはアルキルエーテル化メラミン樹脂単独である。アルキルエーテル化メラミン樹脂などのメラミン系樹脂を硬化剤として形成される塗膜は硬度、密着性などの優れた物性を有するものの、耐衝撃性などの可とう性が不足していた。
【0003】
また、イソシアネート基と水酸基で形成されるウレタン結合で架橋するウレタン系塗料から得られる塗膜は非常に優れた耐衝撃性、耐摩耗性、耐薬品性、耐汚染性を有している上に、イソシアネート成分として脂肪族又は脂環族ジイソシアネートを原料とする無黄変ポリイソシアネートを用いることにより更に耐候性が優れ、その需要は増加している。
従って、ウレタン結合で架橋する水性ウレタン系塗料の開発が盛んに行われている。ライン用塗料等の1液性が必要とされる場合は、通常硬化剤であるポリイソシアネートのイソシアネート基はブロック剤で封鎖され、ブロックポリイソシアネートとして使用される。
【0004】
ブロックポリイソシアネートの水性化技術としては、例えば、ブロックポリイソシアネートを水性化するための界面活性剤を使用する技術(特許文献4)、炭素数7〜26の高級脂肪酸を含むポリエチレンオキサイドを使用し、かつポリイソシアネートのイソシアネート基のブロック剤に重亜硫酸ソーダを使用する技術(特許文献5)、ポリイソシアネートに親水性基である特定のポリオキシエチレンを反応させ親水成分の溶出を防ぎ、高速撹拌基等を用いて水性化する技術(特許文献6)、耐熱性のあるイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートのブロック体を水性化する技術(特許文献7,8)、ポリイソシアネートの一部にポリオキシエチレン基を付加させ、更にポリエチレングリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体等の水溶性高分子化合物を混合する技術(特許文献9)、ヒドロキシカルボン酸により親水性を付与する技術(特許文献10)などが以上の文献に開示されている。
【0005】
しかし、近年、塗膜の可とう性の更なる向上が切望されている。特に自動車などでは冬などの気温が低い状態で小石、岩塩などが衝突した場合、塗膜がその衝撃エネルギーを吸収し、自動車を保護する機能の向上が求められている。
また、研ぎ性を確保するために塗膜の硬度の確保も重要であり、非イオン性基のみで親水性を付加した水性ブロックポリイソシアネート組成物から得られる塗膜硬度は低下する場合があった(特許文献11,12)。
【0006】
【特許文献1】特開昭56−157358号報
【特許文献2】特開昭63−175079号報
【特許文献3】特開昭63−193968号報
【特許文献4】特開昭52−59657号公報
【特許文献5】特開昭56−151753号公報
【特許文献6】特開昭61 31422号公報
【特許文献7】特開昭62−151419号公報
【特許文献8】特開平2−3465号公報
【特許文献9】特開昭62−151419号公報
【特許文献10】特開平2−3465号公報
【特許文献11】特開平10−231347号公報
【特許文献12】特開平11−100425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、塗膜硬度が高く、かつ、優れた可とう性を達成できる水性ブロックポリイソシアネート組成物及びそれを含む水性塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の水性ブロックポリイソシアネート組成物及びこれを用いた水性塗料組成物で上記課題の解決が達成できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は下記の通りである。
1.少なくとも下記1)〜4)成分から誘導されることを特徴とする水性ブロックポリイソシアネート組成物。
1)脂肪族又は脂環族ジイソシアネートモノマーの少なくとも1種から誘導される、下記条件a.〜b.を全て満足するポリイソシアネート。
a.ジイソシアネートモノマー濃度:3質量%以下
b.25℃における粘度が50から2000000mPa・s。
2)数平均分子量200から1000のカルボキシル基を有するジオール
3)ブロック剤
4)有機アミン化合物
2.脂肪族又は脂環族ジイソシアネートモノマーがヘキサメチレンジイソシアネートを含む、1.記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
3.ポリイソシアネートのイソシアネート基平均数が2.8以上である、1.又は2.記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
4.(カルボキシル基を有するジオール)/(ポリイソシアネートとカルボキシル基を有するジオール)の割合が10から75質量%である、1.〜3.のいずれかに記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
5.1.〜4.のいずれかに記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物を含む水性塗料組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、塗膜硬度が高く、かつ、優れた可とう性を達成できる水性ブロックポリイソシアネート組成物及びそれを含む水性塗料組成物であり、水性中塗り、特に自動車中塗りとして優れた性能を発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明に用いることのできる脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4〜30のものが好ましく、例えば、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDIと言う)、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどがある。
本発明に用いる脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8〜30のものが好ましく、イソホロンジイソシアネート(以下IPDIと言う)、1,3−ビス(イソシアナートメチル)
−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどがある。
なかでも、耐候性、工業的入手の容易さから、HDIが好ましく、2種以上併用することもできる。
【0011】
上記ジイソシアネートモノマーを誘導して、本発明の水性ブロックポリイソシアネート組成物の前駆体であるポリイソシアネートが得られる。
このポリイソシアネートは、例えば、ビウレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結合、ウレトジオン結合、ウレタン結合、アロファネート結合、オキサジアジントリオン結合等を含むことができる。2つ以上の結合を含むこともできる。
ビウレット結合を有するポリイソシアネートは、水、t−ブタノール、尿素などのいわゆるビウレット化剤とジイソシアネートモノマーをビウレット化剤/ジイソシアネートモノマーのイソシアネート基のモル比を約1/2〜約1/100で反応させた後、ジイソシアネートモノマーを除去精製し得られる。これらの技術に関しては、例えば、特開昭53−106797号公報、特開昭55−11452号公報、特開昭59−95259号公報などが開示されている。
【0012】
イソシアヌレート結合を有するポリイソシアネートは、例えば触媒などにより環状3量化反応を行い、転化率が約5〜約80質量%になった時に反応を停止し、ジイソシアネートモノマーを除去精製して得られる。この際に、1〜6価のアルコール化合物を併用することができる。これらの技術に関しては、例えば、特開昭55−38380号公報、特開昭57−78460号公報、特開昭57−47321号公報、特開昭61−111371号公報、特開昭64−33115号公報、特開平2−250872号公報、特開平6−312969号公報などがある。
【0013】
ウレタン結合を有するポリイソシアネートは、例えばトリメチロールプロパンなどの2〜6価のアルコール系化合物とジイソシアネートモノマーをアルコール系化合物の水酸基/ジイソシアネートモノマーのイソシアネート基のモル比を約1/2〜約1/100で反応させた後、ジイソシアネートモノマーを除去精製し得られる。
得られたポリイソシアネート中のジイソシアネートモノマー濃度は3質量%以下、好ましくは1質量%以下である。3質量%を超えると、硬化性を低下させる場合がある。これらポリイソシアネートを2種以上、混合して使用することもできる。
【0014】
また、本発明に用いるポリイソシアネートの25℃における粘度は50〜2000000mPa.sである。50mPa・s未満の場合は、結果的にポリイソシアネート1分子が有するイソシアネート基の統計的な平均数(以下、イソシアネート基平均数と言う)が低下する場合があり、2000000mPa・sを越えると、得られる水性ブロックポリイソシアネート組成物の粘度も増加し、これを使用した塗膜の外観が低下する場合がある。
ポリイソシアネートのイソシアネート基平均数は2.8以上である。好ましくは3.0以上、20以下、更に好ましくは3.5以上、10以下である。2.8を下回ると最終的に得られた水性ブロックポリイソシアネート組成物の硬化性が低下する場合があり、20を超えると、得られた水性ブロックポリイソシアネート組成物の一部硬化後の反応性が低下する場合がある。
【0015】
次に、本発明に用いるカルボキシル基を有するジオールについて詳述する。
本発明に用いるカルボキシル基を有するジオールの数平均分子量は200から1000である。200未満の場合はこれを用いて得られる水性ブロックポリイソシアネート組成物で硬化させた塗膜の可とう性が低下する場合があり、1000を超えると、その塗膜の硬度が低下する場合がある。好ましくは300から600である。カルボキシル基を有するジオールは、低分子量のカルボキシル基を有するジオール、例えは、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などに環状ラクトン化合物である例えば、ε−カプロラ
クトン、δ−バレロラクトンなどを付加したジオールが好ましい。
本発明に用いることのできるブロック剤について、以下に詳述する。ブロック剤は、ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応する、活性水素を有する低分子量の化合物である。ブロック剤と反応したイソシアネート基は常温ではポリオールの水酸基と反応せず、加熱により、反応する。
【0016】
本発明に用いることができる、ブロック剤としては、活性水素を分子内に1個有する化合物であり、例えば、アルコール系、アルキルフェノール系、フェノール系、活性メチレン、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミド系、ピラゾール系化合物等がある。より具体的なブロック化剤の例を下記に示す。
(1)メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノールなどのアルコール類
(2)アルキルフェノール系;炭素原子数4以上のアルキル基を置換基として有するモノおよびジアルキルフェノール類であって、例えばn−プロピルフェノール、i−プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、t−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類、ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、ジ−sec−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類
【0017】
(3)フェノール系;フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等
(4)活性メチレン系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等
(5)メルカプタン系;ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等
(6)酸アミド系;アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等
(7)酸イミド系;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等
(8)イミダゾール系;イミダゾール、2−メチルイミダゾール等
(9)尿素系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素等
(10)オキシム系;ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等
(11)アミン系;ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジーn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン等
(12)イミン系;エチレンイミン、ポリエチレンイミン等
(13)ピラゾール系;ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等がある。
好ましいブロック剤は、アルコール系、オキシム系、酸アミド系、活性メチレン系、ピラゾール系から選ばれる少なくとも1種である。
【0018】
次に、本発明に用いることのできる有機アミン化合物について詳述する。該有機アミン化合物は水性ブロックポリイソシアネート組成物のカルボキシル基を中和し、水性ブロックポリイソシアネート組成物に水分散性、水溶性を付与するものであり、分子内にイオン性窒素を含んでいる。
具体的な有機アミン化合物の例としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミ
ン、シクロヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミンなどの炭素数1から20の直鎖状、分岐状の1,2または3級アミン、モルホリン、N−アルキルモルホリン、ピリジンなどの環状アミン、モノイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの水酸基含有アミンなどを挙げることができる。
【0019】
上記で詳述した原料を用いて、本発明の水性ブロックポリイソシアネート組成物を誘導することができる。その1例を詳述する。まず、前記ポリイソシアネートとブロック剤を反応させる。この反応は溶剤の有無に関わらず行うことができる。溶剤を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いる必要がある。その溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチルなどのエステル系溶剤などが挙げられる。
最終的にこれら溶剤を除去する場合は、この溶剤の沸点は水の沸点より低いことが好ましい。
中間体であるイソシアネート基が部分的にブロック剤で封鎖されたブロックポリイソシアネートは粘度が高くなる場合が多く、この場合、溶剤を用いて、粘度を下げ、次の工程に進むことが好ましい。
【0020】
ブロック化反応に際して、錫、亜鉛、鉛等の有機金属塩及び3級アミン系化合物、ナトリウムなどのアルカリ金属のアルコラート等を触媒として用いてもよい。
反応は、一般に−20〜150℃で行うことが出来るが、好ましくは30〜100℃である。150℃を越える温度では副反応を起こす可能性があり、他方、−20℃未満になると反応速度が小さくなり不利である。
ポリイソシアネートのイソシアネート基の50〜90%をブロック剤と反応させることが好ましい。50%未満になると、この後のカルボキシル基を有するジオールとの反応でゲルになり易く、また、ブロックイソシアネート基濃度が低下し、塗料を配合する場合、多量に必要となる場合があり、好ましくない。90%を越えると、後述するカルボキシル基導入量が低下し、水性ブロックポリイソシアネート組成物の水分散性、水溶性が低下し、好ましくない。このようにして得られた部分的にブロックされたポリイソシアネート1分子のブロックされていないイソシアネート基平均数は1.5から3.0が好ましい。1.5未満であると、イソシアネート基と反応しないカルボキシル基を有するジオールが残存し、これで形成される塗膜の耐水性が低下する場合がある。3.0を越えるとカルボキシル基を有するジオールとの反応時、ゲル化する場合がある。
【0021】
このようにして得られた、ブロック剤と反応していないイソシアネート基を残したブロックポリイソシアネートとカルボキシル基を有するジオールを反応させる。
ポリイソシアネートとカルボキシル基を有するジオールを反応させる場合の、(カルボキシル基を有するジオール)/(ポリイソシアネートとカルボキシル基を有するジオール)の質量割合は10から75質量%であり、好ましくは10から50質量%、更に好ましくは20から75質量%である。10質量%未満であると、塗膜の可とう性が低下する場合があり、75質量%を超えると塗膜硬度が低下する場合がある。
この反応の反応温度、触媒などの反応条件は前記、ブロック化反応と同様に行うことができる。反応後、イソシアネート基が残存する場合は、ブロック剤などを添加して、イソシアネート基を消失させることが好ましい。イソシアネート基が残存する場合は、後述する添加剤などの制限を受ける。
【0022】
前記ブロックポリイソシアネートに付加されたカルボキシル基は有機アミン化合物によ
り中和される。これらの有機アミン化合物はカルボキシル基に対して0.5〜1.5当量の範囲で用いられる。0.5未満の場合は、水性ブロックポリイソシアネート組成物の水分散性、水溶性が低下する場合があり、1.5を越える場合は、水性ブロックポリイソシアネート組成物溶液のPHが高くなり、これを用いた塗料の安定性が低下する場合がある。
このようにして得られた水性ブロックポリイソシアネート組成物の酸価は10から50mgKOH/gとなる。
必要に応じて、ポリエチレングリコールなどの非イオン性親水基を導入することもできる。
【0023】
更に水分散性の向上などの目的に応じて、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性界面活性剤を添加することができる。具体的な前記界面活性剤としては、例えばポリエチレングリコール、多価アルコール脂肪酸エステル等のノニオン系、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系、アルキルアミン塩、アルキルベタイン等のカチオン系、カルボン酸アミン塩、スルホン酸アミン塩、硫酸エステル塩等の界面活性剤がある。
その後、水を添加する。水性ブロックポリイソシアネート組成物そのものは、粘度の高い場合が多く、水は水性ブロックポリイソシアネート組成物の媒体となり、粘度を低下させることができる。
水を添加した後、好ましくは、反応に使用した有機溶剤を除去する。有機溶剤の除去は通常、減圧下で行う。状況に応じて、有機溶剤を残存させたり、添加することもできる。
【0024】
上記のように製造された水性ブロックポリイソシアネート組成物は媒体として水、状況に応じて有機溶剤を含み、水性ブロックポリイソシアネート組成物の濃度は30から90質量%とすることが好ましく、更に好ましくは60から90質量%である。30質量%以下であると、これを用いた水性塗料組成物の固形分が低下し、塗装作業性が低下する場合があり、90質量%を越えると、その粘度が増加し、塗料製造などの作業性が低下する場合がある。
このようにして得られた水性ブロックポリイソシアネート組成物のPHは7.0から8.5が好ましく、更に好ましくは7.0から8.0である。
このようにして得られた水性ブロックポリイソシアネート組成物とポリオールを主成分として、水性塗料組成物を形成する。
【0025】
本発明に用いるポリオールは水を主とする媒体中に溶解または分散している。これらのポリオールとしては例えば、アクリルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、脂肪族炭化水素ポリオール類、エポキシポリオール類、フッ素ポリオール類、塩素化ポリオール類などが挙げられる。
ポリエステルポリール類、ポリエーテルポリオール類、アクリルポリオール類としては、前記のポリオール類が挙げられる。
脂肪族炭化水素ポリオール類としては、例えば末端水酸基化ポリブタジエンやその水素添加物が挙げられる。
【0026】
アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つアクリル酸エステル、またはグリセリンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステル、トリメチロールプロパンのアクリル酸モノエステルあるいはメタクリル酸モノエステルの群から選ばれた単独または混合物とアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシルなどのアクリル酸エステル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキ
シプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等の活性水素を持つメタクリル酸エステル、またはメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステルの群から選ばれた単独または混合物を用い、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和アミド、及びメタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマーの群から選ばれた単独または混合物の存在下、あるいは非存在下において重合させて得られるアクリルポリオールが挙げられる。
その重合方法としては、乳化重合、懸濁重合、分散重合、溶液重合に製造できる。乳化重合では段階的に重合することもできる。
【0027】
ポリエステルポリオールとしては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸の群から選ばれた単独または混合物と、
低分子量ポリオール、ジオール類としては例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2−エチル−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2、2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどがあり、トリオール類としては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパンなどがあり、テトラオール類としては、例えばジグリセリン、ジメチロールプロパン、ペンタエリトリトールなどの群から選ばれた多価アルコールの単独または混合物との縮合反応によって得られるポリエステルポリオール及び例えば低分子量ポリオールの水酸基にε−カプロラクトンを開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等が挙げられる。
【0028】
ポリエーテルポリオール類としては、多価ヒドロキシ化合物の単独または混合物に、例えばリチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒を使用して、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独または混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類、更にエチレンジアミン類等の多官能化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類及び、これらポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が含まれる。
【0029】
前記多価ヒドロキシ化合物としては
(1)例えばジクリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなど
(2)例えばエリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等糖アルコール系化合物
(3)例えばアラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類、
(4)例えばトレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオースなどの二糖類、
(5)例えばラフィノース、ゲンチアノース、メレチトースなどの三糖類
(6)たとえはスタキオースなどの四糖類
などがある。
【0030】
前記のポリオールは水に乳化、分散あるいは溶解することが好ましい。そのために、ポリオールに含まれるカルボキシル基、スルホン基などを中和する事ができる。
カルボキシル基、スルホン基などの中和するための中和剤としては、例えばアンモニア、水溶性アミノ化合物である例えばモノエタノールアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリンなどから選択される1種以上を用いることができる。好ましくは、第3吸アミンであるトリエチルアミン、ジメチルエタノールアミンなどが好ましい。
前記ポリオールの樹脂分当たりの水酸基は30〜300mgKOH/gが好ましく、酸価20〜100mgKOH/gが好ましい。
好ましいポリオールはアクリルポリオール、ポリエステルポリオールである。
水性ブロックポリイソシアネート組成物と上記ポリオールの配合比率は、水性ブロックポリイソシアネート組成物のブロックされたイソシアネート基とポリオールの水酸基の当量比が0.3から1.5の範囲で、必要に応じて選択される。
【0031】
必要に応じて、本発明の塗料組成物にメラミン系硬化剤、ウレタンディスパージョンなどの樹脂を併用することができる。
上記のメラミン系硬化剤としては、例えばアルキルエーテル化メラミン樹脂である。その製法としては、例えば尿素、メラミン、ベンゾグアナミン、グリコールウリルなどをアルカリ条件下アルコール中でホルムアルデヒドを付加し、メチロール化を行い、その後メチロール基の少なくとも1部はアルキルエーテル化される。アルキル基の種類としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどあり、2種以上を用いても良い。好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチルである。イミノ基を有しても良い。
メラミン系硬化剤を用いる場合、本発明の水性ブロックポリイソシアネート組成物とメラミン系硬化剤の混合質量比率は10/1〜1/10であり、好ましくは5/1〜1/5である。前記比率が1/10未満であると塗膜のかとう性が低下する場合がある。10/1を越えると、メラミン系硬化剤を添加する目的である、例えば塗膜硬度向上を達成することが難しい。
【0032】
本発明は硬化促進剤として酸性化合物、塩基性化合物を含む事ができる。特にメラミン系硬化剤を併用する場合は酸性化合物の添加が有効である。
前記酸性化合物の具体例としては、例えば、カルボン酸類として例えば、酢酸、乳酸、コハク酸、シュウ酸、マレイン酸、デカン次カルボン酸などがあり、スルホン酸類としては、例えばパラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸などがあり、リン酸エステル類としては、例えばジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジラウリルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステル、例えばジエチルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジラウリルホスファイト、モノエチルホスファイト、モノブチルホスファイト、モノオクチルホスファイト、モノラウリルホスファイトなどがある。
【0033】
これらの酸性化合物はアミン化合物と反応させ、貯蔵安定性を向上させることができる
。そのアミン化合物としては、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−ブチルアミン、ジn−ブチルアミンなどのアルキルアミン
、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどがある。
塩基性化合物の具体例としては、例えばトリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロオクタンなどのアミン化合物、ジブチル錫ジラウレート、ナフテン酸亜鉛金属カルボン酸塩などがある。
硬化促進剤の添加量は配合される塗料樹脂分に対して、0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%である。
また、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、アルミ等の金属粉顔料、酸化チタン、カーボンブラックなどの無機顔料、レオロジーコントロール剤、レベリング剤、溶剤等を添加してもよい。
この様に調整した水性塗料組成物は、ベル塗装、スプレー塗装、ロール塗装、シャワー塗装、浸漬塗装等の方法で自動車などの金属、プラスチック、建材等に塗装され、上中塗り、下塗り用として、新車外板用塗料、建築外装塗料、バンパー等のプラスチック部品用塗料、自動車補修用塗料、プレコートメタル等の有機被覆用塗料等として有用である。
【実施例】
【0034】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
尚、%はすべて質量%を意味する。評価は下記に従って行った。
(数平均分子量の測定)
数平均分子量は下記の装置を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフ測定によるポリスチレン基準の数平均分子量である。
装置:東ソー(株)HLC−802A
カラム:東ソー(株)G1000HXL×1本
G2000HXL 〃
G3000HXL 〃
キャリアー:テトラハイドロフラン
検出方法:示差屈折率計
【0035】
(イソシアネート基平均数の算出)
下記式によりイソシアネート基平均数を求めた。
(ポリイソシアネート数平均分子量×イソシアネート基濃度×0.01)/42
尚、イシアネート基濃度の単位は%である。
(粘度測定)
E型回転粘度計(トキメック社製VISCONIC ED型)を用いて25℃で測定した。
(ゲル分率)
硬化塗膜を、アセトンに20℃で24時間浸漬した時の未溶解部分質量の浸漬前硬化塗膜質量に対する値を計算し、60%未満は×、60%以上、80%未満は△、80%以上は○で表した。
【0036】
(耐衝撃試験)
デュポン式耐衝撃試験機を用いて20℃で評価した。150℃・30分で硬化された、厚さ50μmの塗膜が形成された鋼鈑を受け台に置き、撃心(半径6.35mm)を設置し、500gの荷重を高さ20cmから落下させ、塗膜の状態を観察した。塗膜にわれ、ひびなどの異常が認められた場合を×、認められない場合を○とした。
(塗膜硬度)
ガラス板に塗装された、150℃、30分で硬化された膜厚50μm塗膜のケーニッヒ
硬度をBYK Chemie社の振り子式硬度計により20℃で測定した。塗膜硬度が50未満を×、50以上を○として表した。
【0037】
[製造例1](ポリイソシアネート組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)600部を仕込み、撹拌下反応器内温度を70℃に保持した。イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が40%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去した。得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は2700mPa・s、イソシアネート含有量は21.7質量%、ジイソシアネートモノマー濃度0.1質量%、数平均分子量は660、イソシアネート基平均数は3.4であった。
【0038】
[製造例2](ポリイソシアネート組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)600部、3価アルコールであるポリカプロラクトン系ポリエステルポリオール「プラクセル303」(ダイセル化学の商品名 数平均分子量300)30部を仕込み、撹拌下反応器内温度を90℃1時間保持しウレタン化反応を行った。その後反応器内温度を60℃に保持し、イソシアヌレート化触媒テトラメチルアンモニウムカプリエートを加え、収率が48%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をろ過した後、薄膜蒸発缶を用いて未反応のHDIを除去した。得られたポリイソシアネートの25℃における粘度は9500mPa・s、イソシアネート含有量は19.2質量%、ジイソシアネートモノマー濃度0.1質量%、数平均分子量は1100、イソシアネート基平均数は5.1であった。
【0039】
[実施例1](水性ブロックポリイソシアネート組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例1で得られたポリイソシアネート100部、メチルエチルケトン50部、N-メチルピロリドン21部を仕込み混合する。反応温度が60℃を越えないようにメチルエチルケトオキシム25部を滴下し、滴下終了後30分保持する。その後、ジブチル錫ジラウレート0.0042部を添加後、カルボキシル基を1つ有するジオール(ダイセル化学工業の商品名プラクセル205BA、数平均分子量510)64部を添加する。この溶液を80℃、120分保持する。更に、N,N,−ジメチルエタノールアミンを22部、イオン交換水71部を添加する。その後、60℃、減圧下、メチルエチルケトンを留去することにより、固形分70%、N−メチルピロリドン7%、水23%、樹脂あたりのブロックされたイソシアネート基濃度6.7%の水性ブロックポリイソシアネート組成物を得た。
【0040】
[実施例2〜3](水性ブロックポリイソシアネート組成物の製造)
表1に示す以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[比較例1、2](水性ブロックポリイソシアネート組成物の製造)
表1に示す以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[比較例3](水性ブロックポリイソシアネート組成物の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4つ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、製造例2で得られたポリイソシアネート100部、メトキシポリエチレングリコール(分子量600、日本油脂の商標「ユニオックスM600」)19
部、N-メチルピロリドン39部を仕込み混合する。80℃、7Hr保持した。反応器内温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム38部滴下し、赤外スペクトルによるイソシアネート基の特性吸収が消失したことを確認した。固形分80%、樹脂あたりのブロックされたイソシアネート基濃度11.7%の水性ブロックポリイソシアネート組成物
が得られた。
【0041】
[実施例4]水性塗料組成物の調整と評価
水性ポリエステルポリオール(AKZO社の商品名、SETAL 6306 SS−60(樹脂水酸基濃度2.7質量%、樹脂酸価43mgKOH/g)100部のジエチルエタノールアミン中和物、実施例1の水性ブロックポリイソシアネート組成物100部を混合し、イオン交換水を添加し、固形分20%に調整した。調整後の塗液の安定性は良好であった。この塗液をアプリケーター塗装し、150℃、30分で焼き付けた。ゲル分率は○、塗膜硬度は○、耐衝撃性は○、であった。
[実施例5〜6]水性塗料組成物の調整と評価
表2に示す組成以外は実施例4と同様に行った。結果を表2に示す。
[比較例4〜6]水性塗料組成物の調整と評価
表2に示す以外は、実施例4と同様に行った。結果を表2に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の水性ブロックポリイソシアネート組成物およびこれを硬化剤とした水性塗料組成物は建築外装から産業製品、例えば食缶用、コイルコーティング用等の工業塗料用途に使用される。更に、耐候性、耐薬品性、耐衝撃性等の高度な品質が要求される自動車用1液性塗料分野で好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも下記1)〜4)成分から誘導されることを特徴とする水性ブロックポリイソシアネート組成物。
1)脂肪族又は脂環族ジイソシアネートモノマーの少なくとも1種から誘導される、下記条件a.〜b.を全て満足するポリイソシアネート。
a.ジイソシアネートモノマー濃度:3質量%以下
b.25℃における粘度が50から2000000mPa・s。
2)数平均分子量200から1000のカルボキシル基を有するジオール
3)ブロック剤
4)有機アミン化合物
【請求項2】
脂肪族又は脂環族ジイソシアネートモノマーがヘキサメチレンジイソシアネートを含む、請求項1記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
ポリイソシアネートのイソシアネート基平均数が2.8以上である、請求項1又は2記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
(カルボキシル基を有するジオール)/(ポリイソシアネートとカルボキシル基を有するジオール)の割合が10から75質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の水性ブロックポリイソシアネート組成物を含む水性塗料組成物。

【公開番号】特開2007−23209(P2007−23209A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209683(P2005−209683)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】