説明

水性媒体用の担体

本発明は、水性媒体で負荷可能な粒子の形の担体(この際、この粒子は、多孔質の疎水性ポリマー基質から形成されており、50μm〜5000μmの平均粒度を有し、かつ1μm〜200μmの平均孔径を有する少なくとも部分的な開放気孔構造を有し、かつこの際、粒子状担体は、水との接触により測定される、負荷された担体の全質量に対して10質量%〜95質量%の水での負荷能力を有する)、並びにこの担体をベースとする、水性媒体で負荷された貯蔵体に関する。更に本発明は、10〜95質量%の水での負荷能力を有する疎水性ポリマーをベースとする粒子の形のこのような担体の製造法(この際、粒子として存在するポリマー基質は、その外表面及びその孔の表面を包含する全表面の少なくとも一部分で親水性化される)に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性媒体用の担体並びにこのような水性媒体用の担体の製造法に関する。
【0002】
多くの用途のために、水又は一般的な水性媒体を吸収し、用途に応じて貯蔵することもできる粒子状担体が必要になっている。
【0003】
プラスチック加工において、屡々、固体又は液体添加剤を低い濃度でポリマー融液中に混入することが必要である。このような添加剤は、例えば酸化防止剤、可塑剤、香料、滑剤、帯電防止剤、表面活性物質等でありうる。このために屡々、マスターバッチ法が使用されており、ここでは、先ず導入すべき添加剤のコンセントレートを適当なポリマー中で製造し、次いで、このコンセントレートを例えば押出法によって、この添加剤の均質分配下に、ポリマー融液中に配合導入する。このようなマスターバッチの製造のために、屡々、その孔中にその都度の添加剤が導入される多孔質粒子ポリマー構造が使用される。
【0004】
DE2737745C2中には、熱誘導相分離を用いる方法によりポリマーの均質融液及びこのポリマーと相容性の有機液体から製造される微孔質ポリマー構造が記載されている。DE273745C2によれば、一方で、添加剤を機能性作用液体として含有する構造を製造することができ、この際、この機能性作用液体は、同時に、ポリマー構造の製造時に使用される相容性の有機液体であり、これはこの多孔質ポリマー構造の形成の後に少なくとも一部分がこの孔系中に残存する。他方、DE2737745C2によれば、そのポリマー系中に後から吸収メカニズムによって有機溶液中の添加剤を導入することができる、未充填の微孔質構造を製造することができる。DE3205289C2中に記載の方法でも、添加剤で負荷可能な類似の構造が製造可能である。
【0005】
WO98/55540中には、ポリオレフィンをベースとする多孔質ポリマー粒子が記載されている。このポリマー粒子は、吸収メカニズムによって、例えば液体添加剤で負荷されうる。しかしながら、WO98/55540が開示しているように、疎水性ポリマー粒子の負荷のためには、添加剤が疎水性添加剤であることが前提である。WO98/55540の疎水性多孔質ポリマー粒子は、水性媒体を吸収、即ち収容することができない。
【0006】
使用のために重要な部材を得るためには、添加剤又は作用液体用の担体として疎水性ポリマー、即ち例えばポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリ(4−メチル−1−ペンテン)又はフルオロポリマー、例えばポリ弗化ビニリデン又はポリ弗化ビニルが必要である。例えばこのようなポリマーはそれ自体として、高い化学的安定性及び/又は生理学的無害性、高い機械強度又は熱安定性のような特性によって優れている。しかしながら、相容性の理由からも、例えばポリオレフィン中へ配合導入するためのマスターバッチとしての使用の場合には、屡々、前記の疎水性ポリマーをベースとする添加剤コンセントレートを使用することが必要となっている。これらのポリマーからの多孔質ポリマー構造は、その疎水性に基づき、疎水性作用液体又は疎水性の添加剤を含有する液体で良好に負荷可能である。
【0007】
しかしながら、一連の作用液体又は添加剤は水性である。例えば、多くの添加剤は、差し当たり水性分散液又は乳液の形で存在し、例えばラテックス粒子、着色顔料、カオリン、ナノ粒子等の分散液である。しかしながら、このような作用液体又は添加剤分散液は、公知の疎水性多孔質ポリマー粒子によっては吸収されないか又は最大でも非常に僅かに吸収、即ち収容されうるにすぎない。
【0008】
熱可塑性プラスチックからのフォームの製造時、例えばポリオレフィンフォームの製造時には、発泡剤として屡々水が使用される。ここでも、プラスチック加工用の前記の添加剤の場合と同様に、低い濃度でのポリマー融液中への水の均質導入の問題があり、従って、適当な水含有マスターバッチの必要性が生じている。しかしながら、公知の、例えばポリオレフィンをベースとする多孔質ポリマー構造を用いても、貯水性のコンセントレートを製造することはできない。
【0009】
最近、例えば空気加湿又はエアコンディショニングのために、多量の水を含有し、かつ大きい表面積を有するさらさらした物質の必要性が生じている。
【0010】
いわゆるスーパー吸収体(Superabsorber)として、その固有の質量の数倍の液体を吸収することができ、かつ極めて高い圧力下でも耐えることができる、水性媒体用の担体であることができる一連の生成物が公知ではある。このような生成物は、例えばセルロース性ポリマー又は変性されたポリアクリレート、ポリアクリルニトリル又はポリビニルアルコール、即ち親水性ポリマーをベースとしている。しかしながら、このような生成物は、それらが屡々充分な機械的安定性を有せず、流動性ではない欠点を有する。更に、それらは例えば水性分散液の吸収のためには好適でもなく、疎水性の熱可塑性ポリマー、例えばポリオレフィン中へのこのような生成物の配合導入の際に相溶性の問題が生じる。
【0011】
従って、本発明の課題は、水又は一般的な水性媒体を吸収することができ、用途に応じて貯蔵することもでき、かつ水性添加剤分散液から出発する添加剤コンセントレートの製造を可能とする、水性媒体で負荷可能である、疎水性ポリマーをベースとする担体を提供することである。本発明の更なる課題は、このような担体の製造法を提供することである。もう一つの課題は、疎水性ポリマーをベースとする、水性媒体の貯蔵体を提供することである。
【0012】
この課題は、水性媒体で負荷可能である粒子の形の担体によって解決され、この際、この粒子は、多孔質疎水性ポリマー基質から形成されており、50μm〜5000μmの平均粒度を有し、かつ1μm〜200μmの平均孔径を有する少なくとも部分的な開放気孔構造を有し、かつこの際、この粒子状担体は、水との接触によって測定される、負荷された担体の全質量に対して10質量%〜95質量%の水での負荷能力(Beladbarkeit)を有する。
【0013】
従って、本発明による担体は、水性媒体で負荷可能な、疎水性ポリマー基質をベースとする多孔質ポリマー粒子である。本発明による担体は粒子の形で存在するので、これは、注入可能又は流動可能であり、このことは、更なる加工のために特別に有利である。本発明の有利な1実施態様で、この多孔質ポリマー基質は、その外表面及びその孔の表面を包含する全表面の少なくとも一部分で親水性化されている。この多孔質ポリマー基質がその外表面及びその孔の表面を包含している実質的に全表面で親水性化されている場合が特別に有利である。このことは、その気孔容積(Porenvolume)が高割合の到達可能な気孔を有する多孔質ポリマー基質を用いることより達成できる。
【0014】
この課題は、更に、水性媒体で負荷可能な、疎水性ポリマーをベースとする粒子の形の担体(この際、この担体は、水との接触によって測定される、負荷された担体の全質量に対して10〜95質量%の水での負荷能力を有する)を製造する方法により解決され、この方法は、次の工程から成る:
− 粒子の形の多孔質疎水性ポリマー基質の選択(この際、このポリマー基質は50〜5000μmの平均粒度及び1μm〜200μmの平均孔径を有する少なくとも部分的な開放気孔構造を有する)、
− 水性媒体で負荷可能な担体を得るための、粒子として存在するポリマー基質の、その外表面及びその孔の表面を包含する全表面の少なくとも一部分での親水性化。
【0015】
本発明のこの方法は、本発明による担体の製造のために特に好適である。更に、水性媒体で負荷可能である担体の本発明による製造法は、水性媒体で負荷された貯蔵体(Speicher)の製造法を構成することができる。従って、本発明のもう一つの課題は、水性媒体で負荷された、疎水性ポリマーをベースとする貯蔵体を製造する方法によって解決され、この方法は少なくとも次の工程から成る:粒子の形の多孔質疎水性ポリマー基質を選択する工程(この際、このポリマー基質は50〜5000μmの平均粒度及び1〜200μmの平均孔径を有する少なくとも部分的な開放気孔構造を有する)、粒子として存在するポリマー基質を、その外表面及びその孔の表面を包含するその全表面の少なくとも一部分で親水性化する工程及びこの親水性化された粒子として存在するポリマー基質を、親水性化されたポリマー基質と水性媒体とを接触させることによって、負荷された貯蔵体の全質量に対して10〜95質量%の負荷量(Beladung)まで水性媒体で負荷する工程。
【0016】
従って本発明によって、本発明による担体から出発するか又は前記の方法を用いて、水性媒体で負荷された粒子から成る貯蔵体が提供され、これは、負荷された貯蔵体の全質量に対して10〜95質量%の水性媒体で負荷されており、この際、粒子は、疎水性ポリマー基質から形成されており、50〜5000μmの平均粒度を有し、かつ少なくとも部分的な開放気孔構造及び1〜200μmの平均孔径を有している。
【0017】
使用される少なくとも部分的な開放気孔構造を有するこの多孔質粒子状疎水性ポリマー基質は、スポンジ状のセル形又は網目状又はサンゴ状のマイクロ構造を有していてもよい。この場合に本発明によれば、孔構造は少なくとも部分的な開放気孔性であるべきである、即ちポリマー基質中に存在する孔は、基質構造の少なくとも部分範囲内で相互に流体結合しており、ポリマー基質の粒子は、その外表面の少なくとも部分範囲内で開放気孔性であるべきである。これによって、水性媒体の充分な透過性並びに本発明により要求される水性媒体での負荷能力を得ることができる。この場合に、少なくとも部分的な開放気孔構造及び1〜200μmの平均孔径を有する粒子状ポリマー基質の使用は、1方で、水又は水性媒体を吸収することを可能とし、他方で、本発明による担体の孔系中での水又は水性媒体の固定を行なうので、この担体は、水性媒体用の本発明による貯蔵マトリックスとして最良に使用することができる。最も有利な1実施態様では、本発明により使用されるポリマー基質は、5〜100μmの範囲の平均孔径を有する。5〜50μmの範囲の平均孔径が特に有利である。このような有利な孔径を有するポリマー基質をベースとする本発明による担体は、良好な負荷能力並びに担体から水性媒体が出てくることなしに水性媒体を貯蔵する優れた能力を示す。
【0018】
粒子の形の本発明による多孔質担体は、水性媒体の良好な吸収能力によって優れている。この場合に水性媒体の吸収能力は、本発明による担体と水との接触時の吸水力によって評価され、しかも一方で、本発明の範囲内で称されている負荷能力(Beladbarkeit)、即ち本発明による粒子状多孔質担体によって吸収され得る水の量に関連し、かつ他方で、特徴的負荷時間、即ち気孔容積を水で充填するために必要となる時間によって評価される。
【0019】
本発明によれば、この粒子状担体は、負荷された担体の全質量に対して10〜95質量%の水での負荷能力を有する。使用ポリマー基質の気孔率(Volumenporositaet)が大きいほど、この負荷能力は大きいことが、一般的に当てはまる。本発明による貯蔵体の負荷量に関しても相応して当てはまる。このために、本発明により使用されるポリマー基質の気孔率は、15〜95容量%であるのが適切である。本発明の有利な1実施形では、ポリマー基質は30〜90容量%の範囲の気孔率(Porositaet)を有する。このようなポリマー基質をベースとする本発明による担体は、有利に25〜90質量%の水での負荷能力を示す。このようなポリマー基質をベースとする有利な貯蔵体は、25〜90質量%の範囲の負荷量を有する。50〜85容量%の気孔率を有するポリマー基質が特に好ましい。このような特に好ましいポリマー基質をベースとする本発明による担体は、有利に45〜85質量%の水での負荷能力を示す。特にこのような本発明による担体においては、一方で、水での高い負荷能力が具現化され、かつ他方で、水性媒体で充填された担体を、例えばこの粒子から水性媒体が出てくることなしに容器中又は袋中で問題なく貯蔵可能とする高い機械的安定性が具現化される。記載の特別好ましいポリマー基質をベースとする特別好ましい貯蔵体は、45〜85質量%の範囲の水性媒体での負荷量を有する。
【0020】
有利な1実施態様では、本発明による粒子状多孔質担体は、最大120分、特に好ましくは最大90分の特徴的負荷時間を示す。
【0021】
担体又は貯蔵体の迅速な負荷能力及び良好な注入性を考慮すると、50〜5000μmの粒度を有するポリマー基質が好ましい。400〜3000μmの粒度を有するポリマー基質が特に好ましい。この場合に、ポリマー基質の粒子及び従って本発明による担体又は貯蔵体の粒子は、それぞれ任意の形を有することができる。ポリマー基質の粒子は、球形、楕円形、円柱形又は粒状又は他の規則的な又は不規則な形状を有することができる。
【0022】
親水性化のために、このポリマー基質を例えば親水性ポリマーの溶液で含浸することができる。親水性ポリマーとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコールのようなポリマー及び類似物が使用される。ポリマー基質の表面を、重合可能な親水性モノマー、ラジカル開始剤及び架橋剤で被覆し、このモノマーを網状化させて表面上に親水性層を生じさせることも可能である。
【0023】
しかしながら、ポリマー基質の親水性化のために、界面活性剤が使用されるのが有利である、即ち好ましい本発明の1実施態様では、多孔質ポリマー基質が親水性化されており、ここでは、これが界面活性剤で被覆されている。相応して本発明の方法で、親水性化は、有利に、ポリマー基質に、その外表面及びその孔の表面を包含する全表面の少なくとも一部分上に、ポリマー基質に対して実質的に不活性の、ポリマー基質を実質的に溶かさない揮発性の溶剤又は溶剤混合物中の界面活性剤の溶液を含浸させることによって行われる。
【0024】
本発明の範囲における界面活性剤とは、その分子が少なくとも1個の親水性官能基及び1個の疎水性官能基を有する物質と理解され、この際、分子の親水性部分及び疎水性部分は相互に平衡しており、これによってこの分子が水相の界面のところで富化することができる。更に、この界面活性剤は、界面張力を低下させて、いわゆるミセルを形成する能力を有する。本発明の範囲内では有利に、この界面活性剤がその疎水性基に基づき、疎水性物質への優れた親和性を有し、従って本発明により使用される多孔質疎水性ポリマー基質の表面への界面活性剤の良好な沈着及びそれに伴ない本発明により使用されるポリマー基質の界面活性剤での良好な被覆が可能である。同時に、この界面活性剤分子の親水性部分が、水性媒体への必要な明白な親和性を保証する。
【0025】
揮発性の溶剤又は溶剤混合物とは、本発明の範囲では、その沸点が使用界面活性剤の沸点又は分解温度を下回っているような溶剤又は溶剤混合物であると理解される。この溶剤又は溶剤混合物は高々100℃の沸点を有するのが有利である。
【0026】
本発明によれば、界面活性剤溶液の製造のために使用される溶剤又は溶剤混合物は、ポリマー基質に対して実質的に不活性である、即ちポリマー基質と実質的に化学的に反応しないもの及びポリマー基質を実質的に溶解しないなものである。しかしながらここで、独特な場合には、溶剤又は溶剤混合物の影響下でのこのポリマー基質の僅かな膨張を許容することができる。
【0027】
水性系中で、使用される疎水性ポリマー基質の表面への良好な付着性で充分に安定な被覆が必要である用途のために使用される界面活性剤は、有機溶剤又は溶剤混合物を用いてポリマー基質中に導入されうる、水に溶けない界面活性剤である。
【0028】
勿論、本発明に相応して、ポリマー基質の親水性化のために水溶性界面活性剤を使用することも可能である。ここでは、多孔質担体が界面活性剤水溶液で直接含浸される。
【0029】
これによって、同時に、本発明により水性媒体で負荷された、疎水性ポリマーをベースとする貯蔵体を製造する簡単な方法が得られ、この際、この方法は、次の工程から成る:
− 粒子の形の多孔質疎水性ポリマー基質の選択(この際、このポリマー基質は、50〜5000μmの平均粒度を有し、かつ1〜200μmの平均孔径を有する少なくとも部分的な開放気孔構造を有する)、
− 疎水性ポリマー基質と水性媒体との接触(この際、この水性媒体は水溶性界面活性剤を含有する)による、負荷された貯蔵体の全質量に対して10〜95質量%の負荷量までの水性媒体での疎水性ポリマー基質の直接的負荷。
【0030】
従って水溶性界面活性剤を含有する水性媒体はポリマー基質中に残り、その間に接続されるべき経費のかかる乾燥工程は省略される。この負荷されたポリマー基質は、直接、本発明の貯蔵体である。
【0031】
本発明によれば、非イオン、アニオン又はカチオン界面活性剤を親水性化のために使用することができる。
【0032】
非イオン界面活性剤の使用の場合には、脂肪酸グリセリド、例えばモノグリセリド又はジグリセリド、ポリグリコールエーテル−界面活性剤、例えば脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコールエーテル、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪酸グリコールエステル、例えば脂肪酸エチレングリコールエステル又は脂肪酸ジエチレングリコールエステル、ソルビタンの脂肪酸モノ−、脂肪酸ジ−又は脂肪酸トリエステル又は脂肪酸アミド、例えば脂肪酸モノエタノールアミド又は脂肪酸ジエタノールアミドの群から選択されるものが有利である。この場合に、種々の界面活性剤の混合物も使用できる。脂肪酸グリセリドが最も好適であり、この際、グリセリンモノオレエート又はグリセリンモノステアレートを用いて特別良好な結果が得られる。
【0033】
本発明により水溶性の非イオン界面活性剤が使用される場合には、この水溶性の評価は、HLB−値を用いて可能である。
【0034】
HLB−値(親水性親油性比)は、分子内の親水性分の濃度と疎水性分の濃度との比を意味する。このHLB−値は、主として非イオン界面活性剤の水溶性又は油溶性及びエマルジヨンの安定性の尺度である。界面活性剤のHLB−値は、両親媒性の全ての分子部分から付加的に算出することができる。これは、疎水性連鎖及び親水性基の種類及び数を反映する。この場合に、このスケールは通常、1〜20である。HLB−値<7は、むしろ容易に油中に溶ける親油性分子を特徴付ける。通常、>7のHLB−値を有する界面活性剤は、水中での充分な溶解性を有し、従って本発明による水溶性の非イオン界面活性剤として使用することができる。しかしながら、水溶性の非イオン界面活性剤の使用のためには、10〜15のHLB−値を有するものが有利である。
【0035】
疎水性ポリマーへのこの非イオン界面活性剤の良好な沈着を保証するために、界面活性剤の疎水性部分が炭素原子数10〜30の連鎖から構成されているべきである。有利な1実施形では、この界面活性剤の疎水性部分は炭素原子10〜20の連鎖から成っている。疎水性部分が炭素原子10〜15の連鎖から成っている界面活性剤分子の使用が最良であることが判明した。水溶性の非イオン界面活性剤の使用の場合には、HLB値は10〜15であるべきである。
【0036】
水溶性界面活性剤の使用のために、非イオン界面活性剤の群からのもののみが使用できるのではなく、イオン界面活性剤も使用できる。市場で入手可能なイオン界面活性剤は、アニオン活性剤もカチオン界面活性剤も、圧倒的に水溶性である。
【0037】
1個以上の官能性アニオン活性基を有するアニオン界面活性剤は、水溶液中でアニオンの形成下に解離して、これらアニオンが最後に界面活性特性に寄与する。典型的なアニオン基の例は:−COONa、−SONa、−OSONaである。特に好適なアニオン界面活性剤は、石けん、アルキルスルフェート、アルカンスルホネート、アルキルアリールスルホネート(例えばドデシルベンゼンスルホネート)又はアルキルベンゼンスルホネート、α−オレフィンスルホネート、脂肪アルコールスルホネート、脂肪アルコールエーテルスルホネート又はジアルキルスルホスクシネートの群から選択されるものである。
【0038】
カチオン界面活性剤では、界面活性を可能とする高分子量の疎水性基が、水溶液中での解離時にカチオンとして存在する。有効に使用されるカチオン界面活性剤は、一般式:
(R)Xの4級アンモニウム化合物である。特にジメチルジステアリル−アンモニウムクロリド、トリメチルパルミチル−アンモニウムクロリド又はジメチルココベンジル−アンモニウムクロリドがこれに属する。
【0039】
本発明による粒子状担体又は本発明による貯蔵体マトリックス中の界面活性剤の濃度は0.1〜15質量%、特に好ましくは1〜10質量%である場合が有利である。濃度が3〜10質量%である場合に、非常に良好な結果が得られる。この場合に濃度は、使用される多孔質ポリマー基質の気孔率に依存して、1方で充分な親水性化を達し、かつ他方でブロッキング、即ち界面活性剤での被覆による孔の目詰まりを避けるように選択すべきである。この親水性化されたポリマー基質及び従って本発明による担体は、被覆されていないポリマー基質と同じ多孔質構成を有するのが有利である。従ってこの親水性化は、ポリマー基質の多孔質構造がこの親水性化によって実質的に変化されないように、即ちポリマー基質の孔の目詰まりが現れないように実施するのが有利である。好適な界面活性剤濃度を有する本発明による担体又は本発明による貯蔵体を製造するために、本発明の方法では、溶液中の界面活性剤の濃度が1〜10質量%であるのが有利である。
【0040】
界面活性剤溶液の製造のために、殊に水に不溶な界面活性剤を使用する場合の界面活性剤溶液での使用ポリマー基質の湿潤化のために、有機溶剤又は溶剤混合物を使用するのが適切である。界面活性剤溶液の製造のために水溶性界面活性剤を使用する場合には、溶剤として水を使用するのが適切である。
【0041】
使用界面活性剤の均質溶液の製造が溶剤又は溶剤混合物の沸点より下で、特に60℃〜70℃の範囲の温度で可能であり、かつポリマー基質が溶液によって良好に湿らされて、界面活性剤溶液でのポリマー基質の含浸が行われうる限りにおいて、一定割合の水を含有するものも、有機溶剤又は溶剤混合物と理解される。アルコール、ケトン又はエステル又はこれら物質の混合物の群から選択される有機溶剤又は溶剤混合物が特に有利である。先の記載に相応して、例えばアルコール/水混合物を使用することもできる。
【0042】
界面活性剤の溶液でポリマー基質を含浸するために、種々の処理法が提供される。有利な処理法は、ポリマー基質を、できるだけ達成可能な全表面を含浸するために充分長い時間に渡って界面活性剤溶液中に含浸させることである。この含浸工程を補助するために、超音波浴を使用することも又は真空を適用することもできる。
【0043】
本発明による担体の製造のために使用された溶剤又は溶剤混合物の除去のために、界面活性剤溶液での含浸に引き続き、このポリマー基質を乾燥させる。このことは、高い温度及び/又は真空下に行うことができる。この場合に乾燥温度を、界面活性剤がこの場合に蒸発せず、目詰まりしないように選択すべきである。例えばマイクロ波を用いる誘電乾燥も可能である。
【0044】
本発明によれば、ポリオレフィン、フルオロポリマー、スチレンポリマーの群からのポリマー又はポリマーの混合物又はこれらポリマーのコポリマーから構成されている疎水性ポリマー基質を使用するのが有利である。特に有利に使用可能なポリオレフィンは、ポリエチレン、即ちHDPE、LDPE、LLDPE又はUHMW−PE、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)又はポリイソブテン並びにコポリマーとしてのエチレン−プロピレン−コポリマー又はエチレン−酢酸ビニル−コポリマーである。特に好ましいフルオロポリマーは、ポリ弗化ビニリデン及びポリ弗化ビニル並びにコポリマー ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−ペルフルオロアルキルビニルエーテル)及びポリ(エチレン−コ−テトラフルオロエチレン)である。スチレンポリマーとしては、ポリスチレン並びにスチレン−アクリロニトリル−コポリマー、スチレン−ブタジエン−コポリマー及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマーが特に好適である。ポリオレフィンをベースとする、殊にポリプロピレン又はポリエチレンをベースとするポリマー基質が特に有利である。
【0045】
疎水性ポリマー基質を構成するポリマー又はポリマーの混合物は、この基質の特性を目的に合うように変性するために、添加剤、例えば酸化防止剤、成核剤、充填剤、UV−吸収剤及び類似物を含有することができる。このような添加剤の濃度は、通常は10質量%より低く、有利には2質量%より低い。
【0046】
本発明による水性媒体用の粒子状ポリマー担体は、水性媒体で負荷されたポリマー粒子の製造のために、即ち水性媒体の貯蔵体の製造のために最良に使用することができる。従って、例えば高割合の水を含有し、使用のため、例えば熱可塑性ポリマーの発泡のため又はエアコンディショニング及び/又は空気の湿気調節のための基質として使用することのできるポリマー構造が製造できる。例えば差し当たり分散液として存在する、添加剤を含有するマスターバッチの製造も、本発明による粒子状ポリマー担体を用いて、次の方法で簡単に可能である;ここでは、先ず粒子状ポリマー担体に充分な量の水性分散液を充填させ、次いで水分を乾燥により除去する。これによって、固体分が孔構造内に残留する。
【0047】
次の実施例につき本発明を詳述する。これらの例中で、次の方法を特徴付けのために使用した:
粒度の測定
平均粒度の測定を、代表的試料量での顕微鏡検査によって、測微接眼レンズを用いて又は適当な画像分析法を用いて行う。
【0048】
平均孔径の測定
平均孔径を、試料の破面像のディジタルSEM−撮影を行い、これを適当な画像分析−ソフトウエアを用いて評価することにより測定する。この場合に、SEM−撮影から、約50〜100個の孔の孔径がμmで測定される。個々の値から、平均値形成により当該平均孔径が算出される。
【0049】
気孔率(Volumenporositaet)の測定
気孔率の測定のために、自体公知の方法に依ることができる。従って、疎水性ポリマー基質の気孔率の測定のために、非−浸潤液体としての水の使用下における比重びん測定法が好適である。更に、この気孔率は、適当な貫入法(Intrusionsmethoden)を用いて、例えば水銀貫入又は他の適当な液体の貫入により行うことができる。
【0050】
負荷能力(Beladbarkeit)並びに特徴的負荷時間の測定
負荷能力及び特徴的負荷時間の測定は、被検物質の気孔率が公知であることを前提としている。
【0051】
500mlフラスコ中に、被検物質から約10〜30gを秤取する。試料物質に添加されるべき水の量、即ち添加すべき水量は、試料物質の気孔率(Porositaet)又は秤取された試料物質の気孔容積(Porenvolume)により決まる。この場合に試料物質の気孔容積は、秤取量、ポリマー密度ρポリマー並びに気孔率εから算出できる。第1段階で、試料物質により水が完全に吸収されることが予期されうる程度の量の水を配量添加する。これに、試料の測定された気孔容積の約60%に相当する水量を添加する。
【0052】
この添加の後に、このフラスコに適当な混合装置、例えば25℃に温度調節された水浴を有する回転蒸発装置を接続させる。これに引き続き、試料物質の外側が乾燥し、良好に流動性になるまで混合する。混合の開始から水が完全に吸収されるまでの負荷時間をストップウオッチを用いて測定する。
【0053】
その後、フラスコから混合装置を取り外し、気孔容積の5%に相当する更なる水量を添加する。引き続き、改めて混合し、再びこの水量が完全に孔によって吸収されるまでの時間をもストップウオッチで測定する。この過程を、試料物質が水で飽和されるまで繰り返し、この場合に、その都度、気孔容積の5%に相当する水量を配量添加する。この場合に、飽和とは、3時間の全負荷時間の後にも、なおフラスコの壁のところに水及び/又は試料物質の粒子の凝着が観察される状態と定義される。この場合に、ストップウオッチを用いて測定された、それぞれ試料により水量の完全な吸収がなお行われる個々の負荷時間の合計が、特徴的負荷時間として評価される。その後、この飽和された試料物質を再計量し、秤取量との差から、試料物質により吸収された水の全量が測定される。
【0054】
この担体の負荷能力は、飽和された試料物質の質量に対する試料物質によって吸収された水の全量の割合から百分率で得られる。
【0055】
例1:
78容量%の気孔率、20μmの平均孔径及び3mm×3mmの平均粒度を有する顆粒の形のポリプロピレンからの粒子状多孔質ポリマー基質を使用した。このポリマー基質に、イソプロパノール中の非イオン界面活性剤Synperonic PE/L 121、 ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマー(Fa.Uniqema)の5質量%溶液を負荷させた。この場合に、界面活性剤溶液の量及びそれに伴う界面活性剤の量を、処理されたポリマー基質の乾燥後に5質量%の界面活性剤の濃度を有する粒子状担体が得られるように配分した。この界面活性剤濃度の場合に、親水性化されたポリマー基質は、疎水性出発ポリマー基質と実質的に同じ多孔質構成を有した。
【0056】
この界面活性剤で被覆された粒子状多孔質担体は、負荷された担体の全質量に対して50質量%の水での負荷能力及び90分の特徴的負荷時間を示した。このように負荷された担体は、同時に、全質量に対して50質量%の負荷量を有する本発明による貯蔵体である。
【0057】
例2:
例1におけると同じ多孔質ポリマー基質を使用した。この場合には、ポリマー基質15gに、イソプロパノール中の非イオン界面活性剤Synperonic PE/L 121 の5質量%溶液45gを1時間かかって負荷させた。70℃に温度調節された水浴中で真空を用いる乾燥の後に、13質量%の界面活性剤含有率が得られた。
【0058】
この界面活性剤で被覆された乾燥粒子状多孔質担体は、負荷された担体の全質量に対して60質量%の水での負荷能力及び75分の特徴的負荷時間を示した。このように負荷された担体は、同時に、全質量に対して60質量%の負荷量を有する本発明による貯蔵体である。
【0059】
例3:
例1におけると同じ多孔質ポリマー基質を使用した。このポリマー基質をアニオン界面活性剤AEROSOL(R)MA(Fa.Cytec; ジ−(1,3−ジメチルブチル)−スルホコハク酸ナトリウム)で被覆し、この際、例1と同様に処理した。AEROSOL(R)MAで被覆された粒子状多孔質担体は、負荷された担体の全質量に対して60質量%の水での負荷能力及び5分の特徴的負荷時間を示した。このように負荷された担体は、同時に、全質量に対して60質量%の負荷量を有する本発明による貯蔵体である。
【0060】
例4:
粒子状多孔質ポリマー基質として、65容量%の気孔率、15μmの平均孔径及び3mm×3mmの平均粒度を有する微孔質HDPE−顆粒を使用した。このHDPE−ポリマー基質のその孔表面及びその外表面に、例1に記載の処理法によってグリセリンモノオレエート5質量%を被覆した。従って、グリセリンモノオレエートで被覆されて親水性化されたこのポリマー基質も、疎水性の出発−ポリマー基質と実質的に同じ多孔質構成を有した。
【0061】
得られた粒子状多孔質担体は、負荷された担体の全質量に対して60質量%の水での負荷能力及び100分の特徴的負荷時間を有した。このように負荷された担体は、同時に、全質量に対して60質量%の負荷量を有する本発明による貯蔵体である。
【0062】
例5:
例4におけると同じ多孔質ポリマー基質を使用した。このポリマー基質に、同様に、イソプロパノール中のグリセリンモノオレエートの5質量%溶液を負荷させた。この場合に、このポリマー基質18gに界面活性剤溶液42gを1時間かかって負荷させると、70℃に温度調節された水浴中での真空を用いる乾燥の後に、10.4質量%の界面活性剤含有率が得られた。
【0063】
この界面活性剤で負荷された粒子状多孔質担体は、負荷された担体の全質量に対して65質量%の水での負荷能力及び90分の特徴的負荷時間を示した。このように負荷された担体は、同時に、全質量に対して65質量%の負荷量を有する本発明による貯蔵体である。
【0064】
例6:
例3におけると同じHDPE−ポリマー基質を使用し、これに、その孔表面及びその外表面で、例1に記載の処理法によって非イオン界面活性剤Span(R)80(ソルビタンモノオレエート;Fa.Merck)を塗被した。
【0065】
負荷された担体の全質量に対して50質量%の水での負荷能力及び60分の特徴的負荷時間を有する多孔質担体が得られた。このように負荷された担体は、同時に、全質量に対して50質量%の負荷量を有する本発明による貯蔵体である。
【0066】
例7:
例4でも使用されているHDPE−顆粒を粒子状ポリマー基質として使用した。このポリマー基質に、イソプロパノール中の非イオン界面活性剤Span(R)80の5質量%溶液を負荷させた。この場合に、ポリマー基質18gに界面活性剤溶液42gを1時間かかって負荷させた。70℃に温度調節された水浴中での真空を用いる乾燥の後に、10.4質量%の界面活性剤含有率が得られた。
【0067】
この界面活性剤で負荷された乾燥粒子状多孔質担体は、負荷された担体の全質量に対して65質量%の水での負荷能力及び120分の特徴的負荷時間を示した。このように負荷された担体は、同時に、全質量に対して65容量%の負荷量を有する本発明による貯蔵体である。
【0068】
例8:
例4〜7におけると同じ多孔質粒子状ポリマー基質を使用した。このポリマー基質に、水溶性アニオン界面活性剤ARMA(ジ−(1,3−ジメ一ブチル)スルホコハク酸ナトリウム、CYTEC Industries Inc.,USA)を含浸させた。5質量%の界面活性剤含有率を有する界面活性剤水溶液を使用した。ポリマー基質20gに界面活性剤溶液30gを負荷させた。この生成物は、水性媒体60質量%(全質量に対して)で負荷された粒子状貯蔵体である。
【0069】
引き続き、この界面活性剤水溶液で負荷された粒子状ポリマー基質を、水での再負荷能力(Wiederbeladbarkeit)を検査するために乾燥させた。乾燥され、界面活性剤で負荷された粒子状多孔質担体は、負荷された担体の全質量に対して60質量%の水での負荷能力及び35分の特徴的負荷時間を示した。この負荷された担体は、全質量に対して60質量%の負荷量を有する本発明による貯蔵体でもある。
【0070】
比較例1:
例1で使用されたポリプロピレン−基質を、更なる処理をせずに、水でのその負荷能力を検査した。このために、差し当たり、試料の測定気孔容積の約10%に相当する水量のみを加えた。3時間後にも、この試料物質は、外側がなお乾燥していなかった、即ちこれは水を吸収しなかった。この処理されなかったポリプロピレン−基質は、水での負荷能力を示さなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性媒体で負荷可能な粒子の形の担体であって、この際、この粒子は多孔質の疎水性ポリマー基質から形成されており、50μm〜5000μmの平均粒度を有し、かつ1μm〜200μmの平均孔径を有する少なくとも部分的な開放気孔構造を有し、かつこの際、この粒子状担体は、水との接触によって測定される、負荷された担体の全質量に対して10質量%〜95質量%の水での負荷能力を有している、水性媒体で負荷可能な担体。
【請求項2】
多孔質ポリマー基質は、その外表面及びその孔の表面を包含する全表面の少なくとも一部分で親水性化されていることを特徴とする、請求項1に記載の担体。
【請求項3】
多孔質ポリマー基質は、その外表面及びその孔の表面を包含する実質的に全表面で親水性化されていることを特徴とする、請求項1又は2のいずれか1項に記載の担体。
【請求項4】
多孔質ポリマー基質は、界面活性剤での被覆によって親水性化されていることを特徴とする、請求項2又は3のいずれか1項に記載の担体。
【請求項5】
界面活性剤は、脂肪酸グリセリド、ポリグリコールエーテル、脂肪酸グリコールエステル、ソルビタンの脂肪酸モノ−、脂肪酸ジ−及び脂肪酸トリエステル又は脂肪酸アミドの群から選択される非イオン界面活性剤であることを特徴とする、請求項4に記載の担体。
【請求項6】
非イオン界面活性剤は、脂肪酸グリセリドであることを特徴とする、請求項5に記載の担体。
【請求項7】
非イオン界面活性剤は、7より大きいHLB値を有していることを特徴とする、請求項5に記載の担体。
【請求項8】
非イオン界面活性剤は、10〜15のHLB値を有していることを特徴とする、請求項5に記載の担体。
【請求項9】
界面活性剤は、石けん、アルキルスルフェート、アルカンスルホネート、アルキルアレーンスルホネートもしくはアルキルベンゼンスルホネート、α−オレフィンスルホネート、脂肪アルコールスルホネート、脂肪アルコールエーテルスルホネート又はジアルキルスルホスクシネートの群から選択されるアニオン界面活性剤であることを特徴とする、請求項4に記載の担体。
【請求項10】
界面活性剤は、4級アンモニウム化合物の群から選択されるカチオン界面活性剤であることを特徴とする、請求項4に記載の担体。
【請求項11】
担体中の界面活性剤の濃度は、担体の質量に対して0.1〜15質量%であることを特徴とする、請求項4から10までのいずれか1項に記載の担体。
【請求項12】
ポリマー基質を構成しているポリマーは、ポリオレフィン、フルオロポリマー又はスチレンポリマー又はこれらポリマーのコポリマーであることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項に記載の担体。
【請求項13】
担体は、多孔質ポリマー基質と実質的に同じ多孔質構成を有していることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の担体。
【請求項14】
気孔率は30〜90容量%の範囲にあり、かつ水での負荷能力は、負荷された担体の全質量に対して25質量%〜90質量%であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の担体。
【請求項15】
粒子は、5μm〜100μmの範囲の平均孔径を有していることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項に記載の担体。
【請求項16】
担体は、最大120分の水の特徴的負荷時間を有していることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の担体。
【請求項17】
担体は、最大90分の水の特徴的負荷時間を有することを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項に記載の担体。
【請求項18】
水性媒体で負荷可能な、疎水性ポリマーをベースとする粒子の形の担体であって、水との接触によって測定される、負荷された担体の全質量に対して10〜95質量%の水での負荷能力を有する担体を製造する方法において、この方法は、
− 粒子の形の多孔質疎水性ポリマー基質であって、50〜5000μmの平均粒度及び1μm〜200μmの平均孔径を有する少なくとも部分的な開放気孔構造を有する基質を選択する工程、
− 粒子として存在するポリマー基質を、その外表面及びその孔の表面を包含する全表面の少なくとも一部分で親水性化して、水性媒体で負荷可能な担体を得る工程
から成っていることを特徴とする、水性媒体で負荷可能な担体を製造する方法。
【請求項19】
水性媒体で負荷可能な担体は、疎水性ポリマー基質と実質的に同じ多孔質構成を有していることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
親水性化のためにポリマー基質に、その外表面及びその孔の表面を包含する全表面の少なくとも一部分に、ポリマー基質に対して実質的に不活性の、かつポリマー基質を実質的に溶かさない、揮発性の溶剤又は溶剤混合物中の界面活性剤の溶液を含浸させることを特徴とする、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
溶剤又は溶剤混合物は、高々100℃の沸点を有していることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
溶剤又は溶剤混合物として、有機溶剤又は溶剤混合物を使用することを特徴とする、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
溶剤又は溶剤混合物を、アルコール、ケトン又はエステルの群から選択することを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
親水性化のために、脂肪酸グリセリドの群から選択される非イオン界面活性剤を使用することを特徴とする、請求項20から23までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
溶剤として水を使用することを特徴とする、請求項20又は21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
界面活性剤として、7より大きいHLB値を有する水溶性の非イオン界面活性剤を使用することを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
溶液中の界面活性剤の濃度は1〜10質量%であることを特徴とする、請求項20から26までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
ポリマー基質は、ポリオレフィン、フルオロポリマー、スチレンポリマー又はこれらポリマーのコポリマーから構成されていることを特徴とする、請求項18から27までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
ポリマー基質は、5〜100μmの範囲の平均孔径を有していることを特徴とする、請求項18から28までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
ポリマー基質は、30〜90容量%の気孔率を有していることを特徴とする、請求項18から29までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
水性媒体で負荷された、疎水性ポリマーをベースとする貯蔵体を製造する方法において、この方法は、少なくとも
− 粒子の形の多孔質疎水性ポリマー基質であって、50〜5000μmの平均粒度及び1〜200μmの平均孔径を有する少なくとも部分的な開放気孔構造を有する基質を選択する工程、
− 粒子として存在するポリマー基質をその外表面及びその孔の表面を包含する全表面の少なくとも一部分で親水性化する工程及び
− 親水性化されたポリマー基質と水性媒体とを接触させることによって、粒子として存在する親水性化されたポリマー基質に、負荷された貯蔵体の全質量に対して10〜95質量%の負荷量まで水性媒体を負荷させる工程
から成っていることを特徴とする、水性媒体で負荷された、疎水性ポリマーをベースとする貯蔵体を製造する方法。
【請求項32】
水性媒体で負荷された、疎水性ポリマーをベースとする貯蔵体を製造する方法において、この方法は、少なくとも
− 粒子の形の多孔質疎水性ポリマー基質であって、50〜5000μmの平均粒度及び1〜200μmの平均孔径を有する少なくとも部分的な開放気孔構造を有する基質を選択する工程、
− 疎水性ポリマー基質と水溶性界面活性剤を含有している水性媒体とを接触させることによって、疎水性ポリマー基質に、負荷された貯蔵体の全質量に対して10〜95質量%の負荷量まで水性媒体を直接負荷させる工程
から成っていることを特徴とする、水性媒体で負荷された、疎水性ポリマーをベースとする貯蔵体を製造する方法。
【請求項33】
負荷された貯蔵体の全質量に対して10〜95質量%の負荷量で水性媒体で負荷された粒子から成る貯蔵体であって、この際、この粒子は、疎水性ポリマー基質から形成されており、50〜5000μmの平均粒度を有し、かつ少なくとも部分的な開放気孔構造及び1μm〜200μmの平均孔径を有している、水性媒体で負荷された粒子から成る貯蔵体。

【公表番号】特表2007−535581(P2007−535581A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518023(P2006−518023)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006761
【国際公開番号】WO2005/003215
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(300083158)メムブラーナ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (14)
【氏名又は名称原語表記】Membrana GmbH
【住所又は居所原語表記】Oehder Strasse 28, D−42201 Wuppertal, Germany
【Fターム(参考)】