説明

水性洗浄剤の製造方法

【課題】地球温暖化の一つの要因であるVOC及びCO対策など環境対策を考慮した取り扱いの易しく、安全性の高い無機系の水性洗浄剤を提供する。
【解決手段】本発明は、純水の原水にケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)7を50ミリモル%前後添加し、必要により攪拌しながら電解質溶液を作り、この電解質溶液中に窒素ガス8を送り続けると同時に超音波発振器4により気泡を圧壊させる工程を行ない、また、その後工程で液体製品中に含まれる無機質のケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)の粒子に高い圧力を加えて微砕化、均質化する機械であるホモジナイザー12を用いて超微細気泡(5ミクロン)を含む溶解液を製造する工程を特徴とする水性洗浄剤の製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術の分野】
【0001】
本発明は、自動車、家電、電子産業などの加工品の脱脂洗浄を使用目的した界面活性剤などの有機物を全く含有しないVOC及びCO対策など環境対策を考慮した無機系の水性洗浄剤の製造方法に関する。
【背景の技術】
【0002】
従来は、無機系洗浄剤として、メタケイ酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、硫酸ナトリウムを主成分とする洗浄剤の組成物が知られている。この洗浄剤の組成物の製造方法は、50〜80℃の温度にした水に、メタケイ酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどを順次適量加えて攪拌し、溶解して洗浄剤原液を製造することが効果的であると一般的に知られている。
【0003】
一方では、原水に塩類及びメタケイ酸ナトリウムを添加して電解質溶液とし、該電解質溶液中に空気による気泡(マイクロバブル)を発生させると同時に溶解度を維持する点から15〜20℃の温度を調整する装置を用いて超音波で気泡を圧壊させる工程を2時間以上かけて超微細気泡を含む溶液を製造する方法と洗浄剤がある。
【0004】
しかしながら、上記の無機系洗浄剤の組成物にあっては、それなにの洗浄効果が見られているが、製品化された溶液中の添加剤メタケイ酸ナトリウムの粒子(40〜50ミクロン)が大きすぎるために製品の長期的な安定した品質及び脱脂洗浄後に発生するシミの問題や優れた防錆力を得るために更に改良する必要性を要望されているのが現状である。
【特許文献1】特許4064977(9頁)
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するもので、環境負荷が少なく、製品の長期的な安定した品質及び脱脂洗浄後に発生するシミの問題や優れた防錆力を得るために水性洗浄剤を製造する方法を見出し、問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための発明は、純水を原水とし、この原水にケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)を添加して電解質溶液とし、該電解質溶液中に窒素ガスを送り続けると同時に超音波により気泡を圧壊させる工程を30分以上行い、その後工程で液体製品中に含まれる無機質のケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)の粒子に高い圧力を加えて微砕化、均質化する機械であるホモジナイザーを用いて超微細気泡(5ミクロン)を含む溶液を製造することにより、上記目的の製造する方法と製品の長期的な安定した品質及び脱脂洗浄後に発生するシミの問題解決や優れた防錆力を得る事を特徴とする水性洗浄剤である。
【0007】
請求項1は、純水にケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)を添加して電解質溶液とし、該電解質溶液中に窒素ガスを送り続けると同時に超音波により気泡を圧壊し微細気泡を含む溶液を製造する工程を少なくとも含むことを特徴とする水性洗浄剤の製造方法。
【0008】
請求項1の発明のごとく、請求項2は、ケイ酸二ナトリウム九水和物の添加量が、10〜90ミリモル%である請求項1記載の水性洗浄剤の製造方法。
【0009】
請求項3では、窒素ガスを送り続けると同時に超音波により気泡を圧壊させる工程を30分以上行い、その後工程で液体製品中に含まれる無機質のケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)の粒子に高い圧力を加えて微砕化、均質化する機械であるホモジナイザーを用いて超微細気泡(5ミクロン)を含む溶液を製造することにより、請求項1〜2の何れか一つに記載の水性洗浄剤の製造方法。
【0010】
次に、請求項4では、請求項1〜3の何れか一つに記載の水性洗浄剤の製造方法により得られることを特徴とする水性洗浄剤。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、純水にケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)を添加して電解質溶液とし、該電解質溶液中に窒素ガスを送り続けると同時に超音波により気泡を圧壊させる工程を30分以上行い、その後工程で液体製品中に含まれる無機質のケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)の粒子に高い圧力を加えて微砕化、均質化する機械であるホモジナイザーを用いて超微細気泡(5ミクロン)を含む溶液を製造することにより、ケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)を主剤とした無機系の水性洗浄剤の長期的な安定した品質及び脱脂洗浄後に発生するシミの問題解決や優れた防錆力を得た水性洗浄剤の製造する方法が提供される。
【発明の実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は図1に示すように、純水にケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)を添加して電解質溶液とし、該電解質溶液中に窒素ガスを送り続けると同時に超音波により気泡を圧壊させる工程を30分以上行い、その後工程で液体製品中に含まれる無機質のケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)の粒子に高い圧力を加えて微砕化、均質化する機械であるホモジナイザーを用いて超微細気泡(5ミクロン)を含む溶液を製造する工程を少なくとも含むことを特徴とするものである。
【0013】
本発明に用いる原水としては、例えば、逆浸透膜浄水装置NK−ML1(日建社製)などを用いることにより得られる純水である。
【0014】
本発明に用いるケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)は、原水を電解溶液とすると共に、洗浄力及び防錆力の成分として機能するものであり、メタケイ酸ナトリウムに属する中でも九水和物が電解溶液を製造するにあたり原水に一番溶解し易い性状を持っている。このケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)の添加量は、好ましくは、全量に対して10〜90ミリモル%であるが、一般的には、アルカリ度の安全性面を考慮すると50ミリモル%前後とすることが好ましい。
【0015】
本発明の製造する方法では、純水の原水にケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)を上述の如く好ましい範囲で添加し、必要により攪拌しながら電解質溶液を作り、この電解質溶液中に窒素ガスを送り続けると同時に超音波発振器により気泡を圧壊させる工程を30分以上行い、その後工程で液体製品中に含まれる無機質のケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)の粒子に高い圧力を加えて微砕化、均質化する機械であるホモジナイザーを用いて超微細気泡(5ミクロン)を含む溶解液を製造する。
【0016】
また、超音波発振器としては、例えば、超音波を照射する超音波振動子及び副射板型振動子を備えたUS−12B(USメック社製)で高耐圧S−Tトランジスタを使用することにより、高効率で軽量、小型となっており、又、振動子の共振周波調整・出力電力調整機能を有し使い易く、この照射される超音波の周波数は、30KHz前後であることが好ましい。
【0017】
本発明の製造する方法では、本発明の効果を更に発揮させる点から、気泡発生器として空気による気泡(マイクロバブル)発生方法を用いると電解質溶液中に多量の空気中の酸素(O)が吹き込まれるために電解質溶液が酸化劣化され易く製品の長期的な品質安定面において不安定な要因となり、その要因をクリアするために窒素ガスを送り続けると同時に超音波により気泡を圧壊させる工程を30分以上行い、その後工程で液体製品中に含まれる無機質のケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)の粒子に高い圧力を加えて微砕化、均質化する機械であるホモジナイザーを用いて超微細気泡(5ミクロン)を含む溶解液を製造することにより、ケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)を主剤とした無機系の水性洗浄剤の長期的な安定した品質及び脱脂洗浄後に発生するシミの問題解決や優れた防錆力を得た水性洗浄剤の製造できる。
【0018】
また、本発明の効果を高めるために上述の窒素ガスを送り続けると同時に超音波により気泡を圧壊させる工程を30分前後行うことが好ましく、また、その後工程で液体製品中に含まれる無機質のケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)の粒子に高い圧力を加えて微砕化、均質化する機械であるホモジナイザーを用いて超微細気泡(5ミクロン)を含む溶解液を製造工程は1時間前後することが好ましく、これらの工程の際の原水(電解質溶液)の温度は、一年を通して常温でよい。
【0019】
このようにして、造られたケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)含有の溶解液は、アルカリ度(pH)が12.8〜13.2であることを確認した。この基準値は、強アルカリ性の水性洗浄剤として示すものである。
【0020】
造られた溶解液は、濾過フィルターを通して製品貯槽へ移送され、製品貯槽から所定量の無機系の水性洗浄剤として小分けされて製品とされる。
【0021】
実施形態1
本発明の実施の一例について添付した図面に基づき説明する。図1に示すように、本発明の製造する方法は、原水(水道水)1の調整バルブ2を介して逆浸透膜浄水装置3に供給されて不溶解性の不純物及び残留塩素を除去して溶解槽15にバッチ形式で注入される。溶解槽15内の原水には、ケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)を50ミリモル%添加し必要に応じて攪拌し窒素ガス8を送り続けると同時に超音波発振器4で周波数30KHzを副射板振動子5に伝導して気泡を圧壊させる工程を30分前後行う。また、移送ポンプ10にて、その後工程で液体製品中に含まれる無機質のケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)の粒子に高い圧力を加えて微砕化、均質化する機械であるホモジナイザー12に送り超微細気泡(5ミクロン)を含む溶解液を製造工程は、1時間前後する。これらの工程の際の原水(電解質溶液)の温度は、一年を通して常温でよい。このようにして、造られて水性洗浄剤は、アルカリ度(pH)の測定を行い、所定の基準値のチェツクをして無機系の水性洗浄剤として小分けされて製品とされる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明方法によって製造された無機系の水性洗浄剤は、1〜30%に希釈して自動車、家電、電子産業などの加工品の脱脂洗浄を使用目的した界面活性剤などの有機物を全く含有していない。また、この水性洗浄剤は、優れた洗浄力を持ち、発泡性がなく、防錆力も強く、油水分離性も良く、使用後の廃液処理が簡易的あり、長期的な安定した品質及び脱脂洗浄後に発生するシミの問題解決などをクリアーした無機系の水性洗浄剤である。そして、地球温暖化の一つの要因であるVOC及びCO対策など環境対策を考慮した取り扱いの易しく、安全性の高い無機系の水性洗浄剤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の水性洗浄剤の製造工程の概略図。
【図2】ホモジナイザーによる溶解性能試験表
【符号の説明】
【0024】
1.原水
2.調整バルブ
3.逆浸透膜浄水装置
4.超音波発振器
5.副射板振動子
6.溶解槽
7.ケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO
8.窒素ガス
9.移送バルブ
10.移送ポンプ
11.ろ過フィルター
12.ホモジナイザー
13.ろ過フィルター
14.供給バルブ
15.製品(洗浄剤)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
純水にケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)を添加して電解質溶液とし、該電解質溶液中に窒素ガスを送り続けると同時に超音波により気泡を圧壊し微細気泡を含む溶液を製造する工程を少なくとも含むことを特徴とする水性洗浄剤の製造方法。
【請求項2】
ケイ酸二ナトリウム九水和物の添加量が、10〜90ミリモル%である請求項1記載の水性洗浄剤の製造方法。
【請求項3】
窒素ガスを送り続けると同時に超音波により気泡を圧壊させる工程を30分以上行い、その後工程で液体製品中に含まれる無機質のケイ酸二ナトリウム九水和物(HSiO)の粒子に高い圧力を加えて微砕化、均質化する機械であるホモジナイザーを用いて超微細気泡(5ミクロン)を含む溶液を製造する事により、請求項1〜2の何れか一つに記載の水性洗浄剤の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一つに記載の洗浄剤の製造方法により得られる事を特徴とする水性洗浄剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−1451(P2010−1451A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280466(P2008−280466)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(508178788)
【Fターム(参考)】