説明

水性難燃剤分散液

本発明の対象は、
a) 以下の一般式(I)


[式中、
1は、水素、C1-4−アルキル、−CH2Cl、−CH2Br、−CH2O−C1-4アルキルまたはフェニルを意味し、
2は、水素、C1-4−アルキル、−CH2Cl、−CH2Brまたは−CH2O−C1-4−アルキルであるか、あるいは
1とR2は、それらに結合する環炭素原子と一緒になってシクロヘキシリデン、シクロヘキセニリデンまたは3,4−ジブロモシクロヘキシリデンを意味し、
3及びR5は、互いに独立して水素またはC1-4−アルキルを意味し、
4は、水素またはメチルを意味し、そして
Xは、酸素または硫黄を意味する]
で表される難燃剤、及び
b) 分散剤、または複数種の分散剤からなる組み合わせ、
を含む水性分散液である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、ジオキサホスホリナンの水性難燃剤調合物、それの製造方法、並びに天然、セルロース性及び合成繊維材料の難燃性化のためのそれの使用である。
【背景技術】
【0002】
ビスコース繊維の満足な難燃性化を達成するためには、使用する難燃剤は、高い要求、特に純度、粒子の微細さ、貯蔵安定性、耐再結晶化、粘度、表面張力及び導電性に関して高い要求を満たさなければならない。特に、価値の高い微細乃至超微細繊度のビスコース繊維の紡糸工程において、最終生成物の粗悪な品質の原因となる繊維及びフィラメントの破断、繊度の変動、繊維の微細さの変動、強度の低下またはノズルの閉塞を招かないように、粒子の微細さ及び安定性について非常に高い要求が課せられる。
【0003】
従来公知の難燃剤調合物、例えばドイツ特許出願公開第41 28 638 A1号明細書に記載の難燃剤調合物は、ビスコース工業から課せられる要求を多くの場合にもはや満たさない。なぜならば、これらは、微細さ並びに温度及び貯蔵安定性、特に耐再結晶化性に関して欠点があるか、またはエコロジーに関して今日の要求をもはや満たさないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえ、微細さ、温度及び貯蔵安定性、耐再結晶化性、繊維の強度を大きく弱めることなく非常に良好な紡糸性、及びフィルター寿命、並びに分散剤に対する今日のエコロジーの面からの要求に関して上記の要求を満たす、難燃剤調合物を提供するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、特定のグループの難燃剤及び分散剤の組み合わせによって上記の課題を解決することができた。
【0006】
本発明の対象は、
a) 以下の一般式(I)
【0007】
【化1】

【0008】
[式中、
1は、水素、C1-4−アルキル、−CH2Cl、−CH2Br、−CH2O−C1-4−アルキルまたはフェニルを意味し、
2は、水素、C1-4−アルキル、−CH2Cl、−CH2Brまたは−CH2O−C1-4−アルキルを意味し、あるいは
1及びR2は、それらに結合する環炭素原子と一緒にシクロヘキシリデン、シクロヘキセニリデンまたは3,4−ジブロモシクロヘキシリデンを意味し、
3及びR5は、互いに独立して、水素またはC1-4−アルキルを意味し、
4は、水素またはメチルを意味し、そして
Xは、酸素または硫黄を意味する]
で表される難燃剤、
b) ヒマシ油アルコキシルエステル、リシノール酸アルコキシルエステル、または芳香族ジカルボン酸、C2〜C8−アルキレン−ジオール及びポリ(C1〜C4−アルキレン)グリコール及び/またはメチルポリ(C2〜C4−アルキレン)グリコールからなる非イオン性オリゴ−もしくはポリエステル、またはこれらの非イオン性オリゴ−もしくはポリエステルとジアルキルスルホスクシネートとの組み合わせからなる群から選択される分散剤、及び
c) 場合により、保持剤(Retentionsmittel)
を含む、水性分散液である。
【0009】
上記一般式(I)の難燃剤自体は、ドイツ特許出願公開第41 28 638 A1号明細書から公知である。
【0010】
好ましいものは、前記式(I)中、R1基がメチル、エチル、プロピル、クロロメチル、ブロモメチルまたはフェニルを意味する難燃剤である。好ましいものは、更に、上記式(I)中、R2基がメチル、エチル、プロピル、クロロメチルまたはブロモメチルを意味する難燃剤である。特に好ましいものは、以下の式(Ia)で表される難燃剤である。
【0011】
【化2】

【0012】
ヒマシ油アルコキシルエステル及びリシノール酸アルコキシルエステルの群から選択される分散剤は、欧州特許第0 582 928B1号明細書から公知である。
【0013】
前記ヒマシ油アルコキシルエステルが基づくヒマシ油は、好ましくはリシノール酸、オレイン酸、リノール酸及びステアリン酸のグリセリドから本質的になる商業的に入手可能なヒマシ油である。これは、遊離のヒドロキシル基及びオレフィン性二重結合を含む。リシノール酸は、一つのオレフィン性二重結合及び一つの遊離のアルコール性OH基を含む。
【0014】
ヒマシ油アルコキシルエステル及びリシノール酸アルコキシルエステルは、多くの場合、1〜100個、好ましくは5〜50個のアルコキシ基でエステル化及び/またはエーテル化されている。アルコキシは、好ましくはエトキシ、1,2−プロポキシ、2,3−プロポキシまたはこれらの組み合わせを意味する。ヒマシ油アルコキシルエステルだけではなく、リシノール酸アルコキシルエステルも、樹脂酸、C2〜C12−ジカルボン酸、C2〜C12−スルホジカルボン酸または脂肪酸の群から選択される更に別の酸基でエステル化されていることができる。樹脂酸は、例えばアビエチン酸並びに商業的に入手できるロジン種である。C2〜C12−ジカルボン酸及びC2〜C12−スルホジカルボン酸は、例えばマレイン酸及びスルホコハク酸である。
【0015】
上記非イオン性オリゴ−もしくはポリエステルの群からの分散剤は、ジカルボン酸成分とグリコール成分との重縮合によって得ることができ、これは次を含む:
(I) 一種または二種以上の芳香族ジカルボン酸、それのエステルまたは無水物;
(II) C2〜C8−アルキレン−ジオール;
(III) ポリ(C1〜C4−アルキレン)グリコール及び/またはメチルポリ(C2〜C4−アルキレン)グリコール;
(IV) 場合によっては、C1〜C24−アルコール、C6〜C18−アルキルフェノールまたはC8〜C24−アルキルアミンへのアルキレンオキシドの水溶性付加生成物; 及び
(V) 場合によっては、一種またはそれ以上のポリオール。
【0016】
前記非イオン性オリゴ−もしくはポリエステルの群からの好ましい分散剤は、次の成分の重縮合によって得ることができる:
(I) 10〜50重量%、特に15〜30重量%の割合の一種またはそれ以上の芳香族ジカルボン酸、それのエステルまたは無水物;
(II) 2〜50重量%、特に5〜45重量%の割合のC2〜C8−アルキレン−ジオール;
(III) 3〜80重量%、特に5〜75重量%の割合のポリ(C1〜C4−アルキレン)グリコール及び/またはメチルポリ(C2〜C4−アルキレン)グリコール;
(IV) 0〜10重量%の割合の、C1〜C24−アルコール、C6〜C18−アルキルフェノールまたはC8〜C24−アルキルアミンへのアルキレンオキシドの水溶性付加生成物、及び
(V) 0〜10重量%の割合の一種またはそれ以上のポリオール。
(前記重量割合は、該オリゴ−もしくはポリエステルの総重量に基づく)
好ましい非イオン性オリゴ−もしくはポリエステルは、次式(2)に相当するものである:
【0017】
【化3】

【0018】
[式中、
1及びR7は、線状もしくは分枝状C1〜C18−アルキル基を意味し、
2、R4、R6は、互いに独立して(C1〜C8)アルキレンを意味し、
3及びR5は、アリーレンまたはアルカリーレンを意味し、
a、b及びdは、それぞれ1〜200の数であり、この際、a、b及びdの合計は少なくとも5であり、
cは、1〜20の数である]
特に好ましいものは、
1及びR7が、メチル及び/またはエチルを意味し、
2、R4、R6が、エチレン、1,2−プロピレン、2,3−プロピレンまたはこれらの混合物を意味し、
3及びR5が、1,4−フェニレン及び1,3−フェニレンを意味し、
a、b及びdが、1〜100の数を意味し、この際a、b及びdの合計が少なくとも5であり、
cが、1〜10の数を意味する、
ことを特徴とする前記式(2)の分散剤である。
【0019】
ジアルキルスルホスクシネートは、例えば2−ジエチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、2−ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム及び2−ジドデシルスルホコハク酸カリウムである。
【0020】
本発明の分散液は、有利には、各々分散液の総重量を基準にして、(a)の難燃剤5〜50重量%、場合によりジアルキルスルホスクシネート0.01〜5重量%と組み合わせた、(b)の分散剤0.3〜20重量%、(c)の保持剤0〜15重量%、及び残部の水を含む。
【0021】
好ましい分散液は、各々分散液の総重量を基準にして次を含む:
a) 前記式(I)の難燃剤5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、
b1) ヒマシ油アルコキシルエステル及びリシノール酸アルコキシルエステルの群から選択される分散剤1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%、または
b2) 場合によりジアルキルスルホスクシネート0.05〜3重量%と組み合わせた、芳香族ジカルボン酸、C2〜C8−アルキレン−ジオール及びポリ(C1〜C4−アルキレン)グリコール及び/またはメチルポリ(C2〜C4−アルキレン)グリコールからなる非イオン性オリゴ−もしくはポリエステルの群から選択される分散剤1〜15重量%、好ましくは4〜13重量%、
c) 保持剤0〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、
d) 水5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、
e) 更に別の慣用の添加剤0〜10重量%、好ましくは0.5〜10重量%。
【0022】
保持剤は、耐乾燥性及び凍結安定性の向上のために保水剤として使用される。これは、高沸点溶剤、例えば多価アルコール、ポリオール、グリコールエーテル、酸アミドまたは糖誘導体、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール及び/またはそれのエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、低分子量プロピレングリコール及び/またはそれのエーテル、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ペンタエリトリトールまたはホルムアミドである。
【0023】
更に別の慣用の添加剤は、例えば消泡剤、防腐剤、カチオン性、アニオン性またはノニオン性表面活性物質(界面活性剤及び湿潤剤)、並びに粘度の調節のための剤、例えばポリビニルアルコール、セルロース誘導体、または接着性もしくは耐摩耗性を高めるための成膜剤もしくは結合剤としての水溶性の天然もしくは合成樹脂、並びにアミン類、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンもしくはジイソプロピルアミン、または主に難燃剤調合物のpH値の上昇に役立つ苛性ソーダ溶液である。
【0024】
本発明の更に別の対象は、本発明の分散液の製造方法であって、難燃剤を分散剤と一緒に、分散装置、好ましくは攪拌ボールミルを特に12m/s以上の攪拌周速度で運転して用いて、及び1mmまたはそれ未満の直径の非金属製粉砕媒体の作用下に、水の存在下に微細化することを特徴とする、前記方法である。前記の慣用の添加剤は、微細化の際に加えることができるか及び/またはその後に加えることができる。通常の攪拌ボールミルを使用することもできるが、この場合にはより広い粒度分布及びより長い加工時間を甘受しなければならない。
【0025】
本発明の更に別の対象は、セルロース性材料、例えばステーペル繊維、フィラメント、モノフィラメント、不織布、ソーセージケーシング、セロファン、セルロース性及び/または動物性、植物性及び/または合成繊維からなる組み合わせ、並びに植物性、動物性もしくは合成繊維の難燃性化のためのバルク処理または表面処理、特に再生セルロース及びセルロースアセテートの処理のための、本発明の分散液の使用である。
【0026】
再生セルロース、特にキサントゲネートは、溶解された形で、例えば紡糸の前に、本発明の分散液と混合する。その混合比は、一般的に、純粋な再生セルロース100部当たり10〜40部の本発明の分散液である。
【0027】
本発明の分散液は、顔料、顔料調合物及び/または染料と組み合わせも使用することができる。それの添加は、上述の通り、セルロース材料、例えばステーペル繊維、フィラメント、モノフィラメント、不織布、ソーセージケーシング、セロファン、スポンジクロス(セルロース性及び/または動物性、植物性及び/または合成繊維からなる混合物または組み合わせ)、並びに植物性、動物性もしくは合成繊維の難燃性化のためのバルク処理または表面処理を同時に行いながら、紡糸染色(Spinnfaerbung)のために行われる。
【0028】
更に、本発明の調合物は、単独でまたは着色剤、例えば顔料、顔料調合物及び/または染料との組み合わせで表面被覆または難燃性化のためのバルク処理に、並びに靴クリーム、蝋燭、ワックスクレヨン、塑造用粘土、化粧料、塗料及び分散塗料、エマルションペイント、印刷インキ、例えば繊維材料印刷用インキ、フレキソ印刷用インキまたは凹版印刷用インキに、壁紙及び壁紙用着色料に、木材保護系に、ラッカーに、種に、ガラス製ボトルに、屋根瓦のバルク着色に、漆喰に、木材着色用媒染剤に、原紙料に、色鉛筆の芯、フェルトペン、墨、インキ、ボールペン用ペースト、チョーク、洗剤及び洗浄剤、靴の手入れ剤、ラテックス製品、研磨剤に、並びにプラスチック及び高分子量材料に、更には電子写真用トナー及び現像剤の難燃剤として、例えば一成分もしくは二成分粉末トナー、磁気トナー、液体トナー、重合トナー並びに更に別の特殊トナーの難燃剤として、インクジェット用インキの難燃剤として適している。
【0029】
更に、本発明の調合物は、物品、例えば金属製、木製、プラスチック製、ガラス製、セラミック製、コンクリート製、繊維材料製、紙製またはゴム性の物品の表面被覆または難燃性化のためのバルク処理に適している。
【0030】
着色剤としては、有機及び無機顔料、並びにポリマー可溶性、−部分可溶性または−不溶性の染料などが挙げられる。有機顔料としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、レーキ化アゾ顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、アゾ金属錯体顔料及び多環式顔料、例えばフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインディゴ顔料、アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、イソビオラントロン顔料、ピラントロン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、及びジケトピロロピロール顔料またはカーボンブラックなどが挙げられる。
【0031】
適当な無機顔料は、例えば二酸化チタン類、硫化亜鉛類、酸化鉄類、酸化クロム類、ウルトラマリン、ニッケル−もしくはクロムアンチモンチタンオキシド類、酸化コバルト類、コバルトとアルミニウムとの混合酸化物、バナジウム酸ビスマス類、並びに体質顔料などである。
【0032】
有機染料としては、酸性染料、直接染料、硫黄染料及びこれらのロイコ型、金属錯体染料、建染染料、塩基性染料または反応性染料などが挙げられる。
【実施例】
【0033】
以下の例では、次の特徴を有する分散剤を使用する。
D1: 欧州特許第0 582 928B号明細書の製造例16a)に従うヒマシ油エトキシルエステルの群からの分散剤、水中50%濃度溶液
D2: 式(2)のオリゴ−及びポリエステル
D3: 2−ジエチルへキシルスルホコハク酸ナトリウム
【0034】
例1
45部の式(Ia)の難燃剤、
14部のD1、
0.8部の防腐剤、
及び40.2部の水をディスソルバを用いて均一化する。
次いで、直径約1mmのガラス製粉砕媒体を有する攪拌ボールミル(型:Getzmann Dispermat)を用いて、得られた懸濁液を粉砕する。得られた難燃剤分散液は、水を用いて低有効物質含有率に調節することできる。
【0035】
この難燃剤分散液は、低い粘度を有し、発泡が無く、沈降安定性があり、そして極僅かなセラム形成傾向しか示さない。これは粘度が安定しており、室温下の数ヶ月間にわたる貯蔵の際に非常に良好な再結晶化安定性を有する。
【0036】
例2
40部の式(Ia)の難燃剤、
12部のD1、
5.0部のアルファ−メチル−オメガ−ヒドロキシ−ポリエチレングリコールエーテル(保持剤)、
0.8部の防腐剤、
42.2部の水
を含む調合物を、例1に記載のように調製する。
【0037】
例3
45部の式(Ia)の難燃剤、
9.5部のD2(R1及びR7がメチルであり、R2及びR6がエチレンであり、R3及びR5が1,4−フェニレンであり、R4が1,2−プロピレンであり、a、b及びdの合計が平均で約35であり、cが平均して約2であるもの)、
0.5部のD3、
0.8部の防腐剤、
44.2部の水、
を含む調合物を例1に記載のように調製する。
【0038】
例4
45部の式(Ia)の難燃剤、
12部の、欧州特許第0 582 928B号明細書の製造例8a)に従うヒマシ油エトキシルエステルの群からの分散剤(水中50%濃度溶液)、
0.8部の防腐剤、及び
42.2部の水
を含む調合物を、例1に記載のように調製する。
【0039】
例5
45部の式(Ia)の難燃剤、
12部の、欧州特許第0 582 928 B号明細書の製造例1b)に従うヒマシ油エトキシルエステルの群からの分散剤(水中50%濃度溶液)、
0.8部の防腐剤、及び
42.2部の水、
を含む調合物を、例1に記載のように調製する。
【0040】
例6
45部の式(Ia)の難燃剤、
14部の、欧州特許第0 582 928 B号明細書の製造例5b)に従うヒマシ油エトキシルエステルの群からの分散剤(水中50%濃度溶液)、
0.8部の防腐剤、及び
40.2部の水、
を含む調合物を、例1に記載のように調製する。
【0041】
応用例
例1〜6のうちの一つに従い調製した分散液を、攪拌下に1:1の比率で脱イオン水と混合する。この混合物の8部を、100部のセルロース−キサントゲネート溶液(α−セルロース含有率8%)中に攪拌しながら導入し、そして1リットル当たり125gのH2SO4、240gのNa2SO4(水不含)及び12gのZnSO4(水不含)を含む析出浴中でノズルを介して紡糸する。こうして得られたフィラメントを、十分に洗浄、乾燥し、そして編布に加工する。この編布を、消炎性試験(フェニモーク及びマルチン法、モダーンプラスチック,Nov.1996またはLOI値測定,ASTM D2863)に付す。未処理のセルロース編布は、比較として約18のLOI値を示し、他方、本発明に従い処理された編布は、25〜30のLOI値を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 以下の一般式(I)
【化1】

[式中、
1は、水素、C1-4−アルキル、−CH2Cl、−CH2Br、−CH2O−C1-4−アルキルまたはフェニルを意味し、
2は、水素、C1-4−アルキル、−CH2Cl、−CH2Brまたは−CH2O−C1-4−アルキルを意味するか、あるいは
1とR2は、それらに結合する環炭素原子と一緒になって、シクロヘキシリデン、シクロヘキセニリデンまたは3,4−ジブロモシクロヘキシリデンを意味し、
3及びR5は、互いに独立して水素またはC1-4−アルキルを意味し、
4は、水素またはメチルを意味し、そして
Xは、酸素または硫黄を意味する]
で表される難燃剤、
b) ヒマシ油アルコキシルエステル、リシノール酸アルコキシルエステル、または芳香族ジカルボン酸、C2〜C8−アルキレン−ジオール及びポリ(C1〜C4−アルキレン)グリコール及び/またはメチルポリ(C2〜C4−アルキレン)グリコールからなる非イオン性オリゴ−もしくはポリエステル、またはこれらの非イオン性オリゴ−もしくはポリエステルとジアルキルスルホスクシネートとの組み合わせの群からの分散剤、及び
c) 場合によっては、保持剤、
を含む水性分散液。
【請求項2】
1基が、メチル、エチル、プロピル、クロロメチル、ブロモメチルまたはフェニルを意味することを特徴とする、請求項1の分散液。
【請求項3】
2基が、メチル、エチル、プロピル、クロロメチルまたはブロモメチルを意味することを特徴とする、請求項1または2の分散液。
【請求項4】
前記式(Ia)の難燃剤が、次の式
【化2】

に相当するものであることを特徴とする、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の分散液。
【請求項5】
分散剤が、エトキシ、1,2−プロポキシ及び2,3−プロポキシの群からの1〜100個のアルコキシ基を含むヒマシ油アルコキシルエステルまたはリシノール酸アルコキシルエステルであることを特徴とする、請求項1〜4の一つまたはそれ以上の分散液。
【請求項6】
ヒマシ油アルコキシルエステルまたはリシノール酸アルコキシルエステルが、樹脂酸、C2〜C12−ジカルボン酸、C2〜C12−スルホジカルボン酸または脂肪酸の群からの酸基でエステル化されていることを特徴とする、請求項5の分散液。
【請求項7】
非イオン性オリゴ−もしくはポリエステルの群からの分散剤が、次のものを包含するジカルボン酸成分及びグリコール成分、すなわち一種または二種以上の芳香族ジカルボン酸、それのエステルまたは酸無水物; C2〜C8−アルキレン−ジオール; ポリ(C1〜C4−アルキレン)グリコール及び/またはメチルポリ(C2〜C4−アルキレン)グリコール; 場合によっては、C1〜C24−アルコール、C6−C18−アルキルフェノールまたはC8〜C24−アルキルアミンにアルキレンオキシドを付加した水溶性付加生成物; 及び場合によっては、一種またはそれ以上のポリオールを包含する、ジカルボン酸成分及びグリコール成分の重縮合によって得ることができるものであることを特徴とする、請求項1〜5の一つまたはそれ以上の分散液。
【請求項8】
分散剤が、次の式(2)
【化3】

[式中、
1及びR7は、線状もしくは分枝状C1〜C18−アルキル基を意味し、
2、R4、R6は、互いに独立して(C1〜C8)アルキレンを意味し、
3及びR5は、アリーレンまたはアルカリーレンを意味し、
a、b及びdは、1〜200の数であり、この際、a、b及びdの合計は少なくとも5であり、
cは、1〜20の数である]
で表される一種またはそれ以上の化合物に相当することを特徴とする、請求項1〜7の一つまたはそれ以上の分散液。
【請求項9】
1及びR7が、メチル及び/またはエチルを意味し、
2、R4、R6が、エチレン、1,2−プロピレン、2,3−プロピレンまたはこれらの混合物を意味し、
3及びR5が、1,4−フェニレン及び1,3−フェニレンを意味し、
a、b及びdが、1〜100の数を意味し、この際、a、b及びdの合計は少なくとも5であり、
cが、1〜10の数を意味する、
ことを特徴とする、請求項8の分散液。
【請求項10】
各々分散液の総重量を基準にして、(a)に従う難燃剤5〜50重量%、場合によってはジアルキルスルホスクシネート0.01〜5重量%と組み合わせて、(b)に従う分散剤0.3〜20重量%、(c)に従う保持剤0〜15重量%、及び残部の水を含む、請求項1〜9の一つまたはそれ以上の分散液。
【請求項11】
各々分散液の総重量を基準にして、
a) 式(I)の難燃剤5〜50重量%、
b1) ヒマシ油アルコキシルエステル及びリシノール酸アルコキシルエステルの群からの分散剤1〜15重量%、または
b2) 場合によりジアルキルスルホスクシネート0.05〜3重量%と組み合わせた、芳香族ジカルボン酸、C2〜C8−アルキレン−ジオール及びポリ(C1〜C4−アルキレン)グリコール及び/またはメチルポリ(C2〜C4−アルキレン)グリコールからなる非イオン性オリゴ−もしくはポリエステルの群からの分散剤1〜15重量%、
c) 保持剤0〜15重量%、
d) 水5〜80重量%、
e) 更に別の慣用の添加剤0〜10重量%、
を含む、請求項1〜10の一つまたはそれ以上の分散液。
【請求項12】
難燃剤(a)を、分散剤(b)、場合によっては及び成分(c)、(e)及び(f)と一緒に、水の存在下に分散装置を用いて微分散することを特徴とする、請求項1〜11の一つまたはそれ以上の分散液の製造方法。
【請求項13】
セルロース性材料、例えばステーペル繊維、フィラメント、モノフィラメント、不織布、ソーセージケーシング、セロファン、またはセルロース性及び/または動物性、植物性及び/または合成繊維からなる組み合わせ、並びに植物性、動物性または合成繊維の難燃性化のためのバルク処理、または表面処理のための、請求項1〜11の一つまたはそれ以上の分散液の使用。
【請求項14】
再生セルロース及びセルロースアセテートの処理のための、請求項13の使用。

【公表番号】特表2009−534507(P2009−534507A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506931(P2009−506931)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/002679
【国際公開番号】WO2007/124819
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(398056207)クラリアント・ファイナンス・(ビーブイアイ)・リミテッド (182)
【Fターム(参考)】