説明

水性顔料調合物用の分散剤

本発明の対象は、
(A) 少なくとも一種の有機及び/または無機顔料、
(B) 構造単位Yに結合した次式Iで表される二つまたはそれ以上の構造単位を含む分散剤、
を含む水性顔料調合物である。


[式中、
aは、1〜100の整数であり、
bは、0〜100の整数であり、
cは、1〜100の整数であり、そして
単位a、b及びcは、ランダムにまたはブロック状に配列することができ、
2は、炭素原子数1〜30の線状もしくは分枝状脂肪族炭化水素残基であり、
Aは、水素であるか、または式−SO3M、−SO2M、−PO3M2、−CH2COOMもしくは(II)で表されるアニオン性基であり、


Mは、水素であるか、あるいはNa+、K+、NH4+、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムもしくはトリエタノールアンモニウム、またはアルキル基で置換された第二、第三もしくは第四アンモニウムイオンの群から選択されるカチオン、あるいはこれらの組み合わせであり、
この際、前記構造単位Yは、少なくとも二つの結合部位でアルコキシル化が可能な炭素含有構造単位であり、そして前記結合部位は、一つもしくはそれ以上の窒素原子、一つもしくはそれ以上の酸素原子、またはこれらの両方によって形成されている]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、水系の顔料調合物用の分散剤、及び全ての種の高分子量材料、例えば繊維材料、紙及びプラスチックの着色にそれを使用する方法、更には被覆用組成物、塗料及びインキを着色する方法、また更には、二次元の平坦な構造体、例えば紙、厚紙、プラスチック、繊維材料及び皮革の印刷に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から、様々な分散剤が知られている。
【0003】
独国特許出願公開第4 134 967号明細書は、A−B型のブロック共重合体を記載している。この際、そのブロックAは、ビニル基含有化合物の重合によって形成され、そしてブロックBは、先ず、ビニル基を有するモノマーを、十分な量の開始剤、及び所望の鎖長に対応する量の鎖調節剤(これは、メルカプト基の他に、少なくとも一つの活性水素基を有する更に別の官能基を有する)の存在下に、60〜150℃の温度でラジカル重合し、得られたポリマーを、活性水素基を有する前記官能基がOH基またはCOOH基である場合は、水またはアルコールの脱離を伴いながら、アルカリ水酸化物またはアルカリアルコレートと反応させ、そしてこのように変性されたポリマーに、ブロックBの所望の分子量が達成されるまで20〜180℃の温度でアルキレンオキシドを付加することによって、得ることができるポリオキシアルキレンブロックである。
【0004】
欧州特許出願公開第1 078 946号明細書は、式R1O(SO)a(EO)b(PO)c(BO)dR2 (I)のブロックコポリマー性ポリアルキレンオキシドを開示している。この式中、R1は、炭素原子数が8〜13の直鎖状もしくは分枝状または環状脂肪族基であり、R2は、水素、または炭素原子数1〜8のアシル基、アルキル基もしくはカルボン酸基であり、SOはスチレンオキシドであり、EOはエチレンオキシドであり、POはプロピレンオキシドであり、BOはブチレンオキシドであり、そしてaは1〜1.9であり、bは3〜50であり、cは0〜3であり、dは0〜3であり、この際、a、cまたはdは0とは異なり、そしてb≧a+b+cである。
【0005】
欧州特許出願公開第0 940 406号明細書は、リン酸エステルを開示している。これは、
a) ω−ヒドロキシ官能性オリゴ−もしくはポリ(アルキル)スチレンとアルキレンオキシドを反応させてポリ(アルキル)スチレン−ブロック(b)−ポリアルキレンオキシドコポリマーとし、次いでリン酸エステルを形成させるリン化合物を用いて対応するリン酸エステルに転化することによって得ることができ、この際、ポリ(アルキル)スチレン−ブロック(b)−ポリアルキレンオキシドコポリマーの末端ヒドロキシル基のうち最大で100%までがリン酸エステル基に転化され、そしてリン原子は、選択された化学量論比に依存して、モノ−及び/またはジ−エステル化されるか、
あるいは
b) ポリスチレンオキシド−ブロック(b)−ポリアルキレンオキシドコポリマーに基づいて、単官能性出発アルコールから開始して、個々のセグメントの所望の配列及び鎖長に従ってスチレン及びアルキレンオキシドを順次付加することによって得ることができ、その後、a)に記載した方法と同様にして対応するリン酸エステルに転化される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、次に記載の要求事項を満足する水性顔料調合物を製造することを可能にする新規の分散剤を提供するという課題に基づくものであった。該顔料調合物は、高い剪断安定性及び/または高い凝集安定性を有すべきである。該調合物中での顔料の濃度は、できる限り高くあるべきであり、好ましくは少なくとも20重量%であるべきである。該顔料調合物は、高い色強度(Farbstaerke)及び低い粘度を有するべきであり、そして発泡する傾向は僅かであるべきである。少なくとも2年の貯蔵安定性が狙いである。すなわち、分散された顔料は、この時間の間、集塊及び沈殿するべきではない。さらに、該顔料分散剤は、アルキルフェノール誘導体を含むべきではなく、そして含まれる揮発性成分が少量であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、スチレンオキシド、アルキレンオキシド並びに二価もしくは多価アルコール及びアミンを含むコポリマーの使用の下に、上記の要求を満たす水性顔料調合物を製造し得ることが見出された。こうして製造された水性顔料調合物は、剪断力に対して安定しており、貯蔵安定性があり、使用時に発泡しないかまたは僅かにしか発泡せず、そして低い粘度を有する。
【0008】
それゆえ、本発明の対象は、
(A) 少なくとも一種の有機及び/または無機顔料、
(B) 構造単位Yに結合した次式Iの2つまたはそれ以上の構造単位を含む少なくとも一種の分散剤、
を含む水性顔料調合物である。
【0009】
【化1】

[式中、
aは、1〜100の整数であり、
bは、0〜100の整数であり、
cは、1〜100の整数であり、
そして単位a、b及びcは、ランダムにまたはブロック状に配列されていることができ、
2は、炭素原子数1〜30の線状もしくは分枝状脂肪族炭化水素残基であり、
Aは、水素、または式−SO3M、−SO2M、−PO3M2、−CH2COOMもしくは(II)のアニオン性基であり、
【0010】
【化2】

Mは、水素原子、あるいはNa+、K+、NH4+、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムもしくはトリエタノールアンモニウム、またはアルキル基で置換された第二、第三もしくは第四アンモニウムイオンからなる群から選択されたカチオン、またはこれらの組み合わせである]
この際、前記構造単位Yは、少なくとも二つの結合部位においてアルコキシル化が可能な炭素含有構造単位であり、そして前記結合部位は、一つもしくは二つ以上の窒素原子、一つもしくは二つ以上の酸素原子、またはこれらの両方によって形成されている。
【0011】
本発明の更に別の対象は、少なくとも一種の有機及び/または無機顔料を水中に分散させるために、少なくとも一種の分散剤(B)を使用することである。
【0012】
本発明の更に別の対象は、有機及び/または無機顔料及び水を含む混合物に、少なくとも一種の分散剤(B)を加えることによって、少なくとも一種の有機及び/または無機顔料を水中に分散する方法である。
【0013】
構造単位Yは、好ましくは、二価もしくは多価のアルコール、モノもしくはポリアミンから、またはアミノアルコールから誘導され、この際、後者のアミノアルコールは、少なくとも一つのアミノ基及び少なくとも一つのOH基を含む。これらは、芳香族または脂肪族であることができる。またこれらは、モノマー、オリゴマーまたはポリマーであることができる。これらに含まれるOH基の数は、好ましくは少なくとも2、特に2〜30、就中3〜15である。“誘導される”とは、構造単位Yが、アルコール基及び/またはアミン基から水素原子が形式上除かれることよって生じることを意味する。構造単位Yは、少なくとも二つの結合部位でアルコキシル化が可能である。これは、構造単位Yの少なくとも二つの部位において、式Iのアルコキシ基が付加され得ることを意味する。これらの結合部位は、酸素原子または窒素原子である。窒素原子は二回のアルコキシル化が可能であるから、構造単位Yが一つの窒素原子を含めばそれで十分である。しかし、該構造単位が窒素原子を含まず、その代わりに酸素原子を含む場合は、式Iの少なくとも二つのアルコキシ基を付加し得るように、アルコキシル化が可能な少なくとも二つの酸素原子が常に必要である。更に別の好ましい態様の一つでは、構造単位Yは、1〜100、特に2〜80個の炭素原子を含む。
【0014】
aは、好ましくは2〜80の数、特に3〜30の数、就中4〜8の数を表す。
【0015】
bは、好ましくは1〜80の数、特に2〜30の数、就中3〜8の数を表す。
【0016】
cは、好ましくは2〜80の数、特に3〜50の数、就中5〜20の数を表す。
【0017】
好ましいものは、aが1〜40の数であり、bが0であり、そしてcが5〜50の数である分散剤(B)である。
【0018】
好ましい態様の一つでは、分散剤(B)は、次式IIIに相当する。
【0019】
【化3】

式中、Yは、以下の式IV〜XIVの構造単位から誘導される。
【0020】
【化4】

【0021】
【化5】

【0022】
【化6】

【0023】
【化7】

【0024】
【化8】

【0025】
【化9】

【0026】
【化10】

【0027】
【化11】

【0028】
【化12】

【0029】
【化13】

【0030】
【化14】

前記式中、
1は、炭素原子数1〜30の線状もしくは分枝状の脂肪族炭化水素残基であるか、または水素原子であり、
zは、1以上の整数であり、
nは、1〜30の整数であり、そして
Xは、式Iの基である。
【0031】
nは、好ましくは1〜4の整数である。
【0032】
zは、好ましくは1〜30の整数、特に2〜20の数、就中3を表す。
【0033】
構造単位Yが誘導される化合物の例は、次のジオール及びポリオール、すなわちモノエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、200〜12000g/モルの分子量を有するポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、200〜6000g/モルの分子量を有するポリプロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、ペンチレングリコール類、1,6−ヘキシレングリコール、シクロヘキサンジオール、エチレングリコールとプロピレングリコールもしくはブチレングリコールとからなり、エチレングリコール:プロピレングリコールもしくはブチレングリコールのモル比が1:100〜100:1である混合ポリグリコール、並びにエチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコールからなる混合ポリグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール及びブチレングリコールからなり、500〜12000g/モルの分子量を有するブロックポリマー、特にエチレングリコールとプロピレングリコールまたはブチレングリコールとからなるブロックポリマーであって、このブロックポリマー中のエチレンオキシドの重量割合が10〜90%であるようなブロックポリマー、トリオール類、例えばグリセリン、トリヒドロキシメチルプロパン、ポリオール類、例えばエリトリトール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、ジグリセリン、グリセリン単位数が3〜15のポリグリセリン、芳香族ジオール、例えばヒドロキシベンジルアルコール、ビスフェノールA、ピロカテロール、レゾルシノール、及びヒドロキノンであることができる。
【0034】
構造単位Yが誘導される化合物の更に別の例は、次のアミン類、ジアミン類、ポリアミン類及びヒドロキシアルキルアミン類、すなわち炭素原子数が8〜30の脂肪アミン、例えばオクチルアミン、デシルアミン、ヤシ脂肪アミン、オレイルアミン、獣脂肪アミン、ステアリルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、N−アルキルプロピレンジアミン、N−アルキルジプロピレントリアミン、N,N−ビス−3−アミノプロピルアルキルアミン、ビス−N,N−(獣脂坊アルキルアミノプロピル)エチレンジアミン、メトキシポリエトキシアミン、メトキシポリアルコキシアミン(ジェフアミン)、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び2−アミノ−2−メチルプロパノール(AMP)であることができる。
【0035】
本発明の組成物は、成分(A)及び(B)の他に、更に別の成分を含むことができる。例えば、好ましい態様においては、本発明の組成物は、
(C)場合によっては、一種または二種以上のノニオン性界面活性剤、これは、アルキルフェノールポリエチレングリコールエーテル、スチレンで置換されたフェノールポリエチレングリコールエーテル、アルキルポリエチレングリコールエーテル、脂肪酸ポリエチレングリコールエーテル、脂肪酸ポリグリコシド、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドとブロック状に反応させたC8〜C22アルコールのアルキルポリアルキルグリコールエーテル、エチレンオキシドと反応させかつ塩化メチル、塩化ブチルもしくは塩化ベンジルでエーテル化されたC8〜C22アルコールの末端基がキャップされたアルキルエトキシレート、エチレン/プロピレングリコールブロックポリマー、及びソルビタンエステルポリエチレングリコールエーテルからなる群から選択される;
(D) 場合によっては、一種または二種以上のアニオン性界面活性剤、これは、脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、オレフィンスルホン酸ナトリウム、ポリナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、−カリウム及びアンモニウム、アルキルポリエチレングリコールエーテル硫酸ナトリウム、−カリウム及びアンモニウム、アルキルフェノールポリエチレングリコールエーテル硫酸ナトリウム、−カリウム及び−アンモニウム、ナトリウム−、カリウム−及びアンモニウムモノ−及びジアルキルスルホスクシネート及びモノアルキルポリオキシエチルスルホスクシネート、並びにアルキルポリエチレングリコール−エーテルリン酸モノ−、ジ−及びトリエステル及びこれらの混合物、及びアルキルフェノールポリエチレングリコールエーテルリン酸モノ−、ジ−及びトリエステル及びこれらの混合物、並びにこれらのナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩、アルキルポリエチレングリコールエーテルカルボン酸及びこれのナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩、スチレンで置換されたフェノールエトキシレートの硫酸半エステル及びリン酸エステル、スチレンで置換されたフェノールポリエチレングリコールエーテルカルボン酸及びこれのナトリウム、カリウム及びアンモニウム塩、脂肪酸イセチオン酸ナトリウム、ナトリウム脂肪酸メチルタウリド、及びナトリウム脂肪酸サルコシドからなる群から選択される;
(E) 場合によっては、平均分子量が200〜2000g/モルの一種または二種以上のポリエチレングリコールエーテル;
(F) 場合によっては、炭素原子数が1〜6のアルキル基を有し及び平均分子量が200〜2000g/モルである一種または二種以上のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル;
(G) 場合によっては、一種もしくは二種以上の有機溶剤または一種もしくは二種以上のハイドロトロープ物質;
(H) 場合によっては、水性顔料調合物に慣用の更に別の添加剤;
(J) 場合によっては、一種または二種以上の防腐剤; 及び
(K) 水。
【0036】
成分(A)〜(K)は、互いに独立して、好ましくは以下の量で存在する:
(A) 3〜80重量%、好ましくは20〜70重量%、特に30〜50重量%の割合の、少なくとも一種の有機及び/または無機顔料。
(B) 0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の割合の、少なくとも一種の分散剤(B)。
(C) 0〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の割合の、ノニオン性界面活性剤。
(D) 0〜30重量%、好ましくは1〜15重量%の割合の、アニオン性界面活性剤。
(E) 0〜50重量%、好ましくは1〜20重量%の割合の、平均分子量が200〜2000g/モルのポリエチレングリコールエーテル。
(F) 0〜50重量%、好ましくは1〜20重量%の割合の、炭素原子数が1〜6のアルキル基を有しそして平均分子量が200〜2000g/モルのポリエチレングリコールモノアルキルエーテル。
(G) 0〜30重量%、好ましくは0〜20重量%の割合の、有機溶剤またはハイドロトロープ物質。
(H) 0〜10重量%、好ましくは0〜5重量%の割合の、水性顔料調合物に慣用の更に別の添加剤。
(J) 0〜2重量%、好ましくは0.02〜0.05重量%の割合の防腐剤。
(K) 5〜90重量%、好ましくは10〜70重量%の割合の水。
【0037】
上記の重量%は、それぞれ、顔料調合物の総重量に基づく値である。
【0038】
成分(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)及び(J)の一つまたはそれ以上が存在する場合には、それらの最小濃度は、顔料調合物の総重量を基準にして、互いに独立して有利には少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%である。該顔料調合物の成分(A)は、好ましくは微細な有機もしくは無機顔料、あるいは異なる有機及び/または無機顔料の混合物である。この際、顔料は、乾燥した粉末の形、顆粒物として、または含水プレスケーキとして使用することができる。
【0039】
有機顔料としては、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、レーキ化されたアゾ顔料、β−ナフトール顔料、ナフトールAS顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ジスアゾ縮合顔料、アゾ金属錯体顔料及び多環式顔料、例えばフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインディゴ顔料、アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、フラバントロン顔料、インダントロン顔料、イソビオラントロン顔料、ピラントロン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料及びジケトピロロピロール顔料、またはカーボンブラックなどが挙げられる。
【0040】
この際、特に好ましい有機顔料の例示的な選択としては、カーボンブラック顔料、例えばガスブラックまたはファーネスブラック; モノアゾ顔料及びジスアゾ顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー 1、ピグメントイエロー 3、ピグメントイエロー 12、ピグメントイエロー 13、ピグメントイエロー 14、ピグメントイエロー 16、ピグメントイエロー 17、ピグメントイエロー 73、ピグメントイエロー 74、ピグメントイエロー 81、ピグメントイエロー 83、ピグメントイエロー 87、ピグメントイエロー 97、ピグメントイエロー 111、ピグメントイエロー126、ピグメントイエロー 127、ピグメントイエロー 128、ピグメントイエロー 155、ピグメントイエロー 174、ピグメントイエロー176、ピグメントイエロー 191、ピグメントイエロー 213、ピグメントイエロー 214、ピグメントイエロー 219、ピグメントレッド38、ピグメントレッド 144、ピグメントレッド 214、ピグメントレッド 242、ピグメントレッド 262、ピグメントレッド266、ピグメントレッド 269、ピグメントレッド 274、ピグメントオレンジ 13、ピグメントオレンジ 34またはピグメントブラウン41; β−ナフトール顔料及びナフトールAS顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド 2、ピグメントレッド 3、ピグメントレッド 4、ピグメントレッド 5、ピグメントレッド 9、ピグメントレッド 12、ピグメントレッド 14、ピグメントレッド 53:1、ピグメントレッド 112、ピグメントレッド 146、ピグメントレッド 147、ピグメントレッド 170、ピグメントレッド 184、ピグメントレッド 187、ピグメントレッド 188、ピグメントレッド 210、ピグメントレッド 247、ピグメントレッド 253、ピグメントレッド 256、ピグメントオレンジ 5、ピグメントオレンジ 38またはピグメントブラウン 1; レーキ化されたアゾ顔料及び金属錯体顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド 48:2、ピグメントレッド 48:3、ピグメントレッド 48:4、ピグメントレッド 57:1、ピグメントレッド 257、ピグメントオレンジ 68またはピグメントオレンジ 70; ベンズイミダゾリン顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー 120、ピグメントイエロー 151、ピグメントイエロー 154、ピグメントイエロー 175、ピグメントイエロー 180、ピグメントイエロー 181、ピグメントイエロー 194、ピグメントレッド 175、ピグメントレッド 176、ピグメントレッド 185、ピグメントレッド 208、ピグメントバイオレット32、ピグメントオレンジ 36、ピグメントオレンジ 62、ピグメントオレンジ 72またはピグメントブラウン 25; イソインドリノン顔料及びイソインドリン顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー139またはピグメントイエロー173; フタロシアニン顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントブルー 15、ピグメントブルー 15:1、ピグメントブルー 15:2、ピグメントブルー 15:3、ピグメントブルー 15:4、ピグメントブルー 15:6、ピグメントブルー 16、ピグメントグリーン 7またはピグメントグリーン 36; アンタントロン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インダントロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料及びチオインディゴ顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントイエロー 196、ピグメントレッド 122、ピグメントレッド 149、ピグメントレッド 168、ピグメントレッド 177、ピグメントレッド 179、ピグメントレッド 181、ピグメントレッド 207、ピグメントレッド 209、ピグメントレッド 263、ピグメントブルー 60、ピグメントバイオレット 19、ピグメントバイオレット 23またはピグメントオレンジ43; トリアリールカルボニウム顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド169、ピグメントブルー56またはピグメントブルー61; ジケトピロロピロール顔料、特にカラーインデックス顔料のピグメントレッド 254、ピグメントレッド 255、ピグメントレッド 264、ピグメントレッド 270、ピグメントレッド 272、ピグメントオレンジ 71、ピグメントオレンジ 73、ピグメントオレンジ 81を挙げることができる。
【0041】
上記有機顔料は、好ましくはカーボンブラック及び/または二酸化チタンと組み合わされる。更に、レーキ化された染料、例えばスルホン酸基及び/またはカルボン酸基含有染料のCa、Mg、Alレーキも好適である。
【0042】
適当な無機顔料は、例えば二酸化チタン類、硫化亜鉛類、酸化亜鉛類、酸化鉄類、マグネタイト、マンガン鉄酸化物類、酸化クロム類、群青、ニッケル−またはクロムアンチモンチタン酸化物類、マンガンチタンルチル類、酸化コバルト類、コバルト及びアルミニウムの混合酸化物、ルチル混合相顔料、希土類元素の硫化物、ニッケル及び亜鉛を含むコバルトのスピネル、銅、亜鉛及びマンガンを含む鉄及びクロムに基づくスピネル、バナジウム酸ビスマス類、並びに顔料とエクステンダーもしくはフィラーとの混合物(Verschnittpigmente)である。特に、カラーインデックス顔料のピグメントイエロー 184、ピグメントイエロー 53、ピグメントイエロー 42、ピグメントイエローブラウン 24、ピグメントレッド 101、ピグメントブルー 28、ピグメントブルー 36、ピグメントグリーン 50、ピグメントグリーン 17、ピグメントブラック 11、ピグメントブラック 33 並びにピグメントホワイト 6が使用される。無機顔料の混合物もしばしば好ましく使用される。有機顔料と無機顔料との混合物も同様にしばしば使用される。
【0043】
顔料分散物の代わりに、固形物として例えば微細な鉱石、鉱物、難溶性もしくは不溶性の塩、ワックスもしくはプラスチック粒状物、染料、植物保護剤及び有害生物駆除剤、殺生剤、除草剤、殺虫剤、殺菌剤、UV吸収剤、蛍光増白剤または重合安定化剤を含む分散物も製造することができる。
【0044】
成分(B)は、本発明の顔料調合物の製造のためには通常は水溶液として使用される。成分(B)は、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはより長鎖のアルキレンオキシドを、酸素または窒素から選択される少なくとも二つの異種原子を含む化合物、例えば二価または多価のアルコールまたはアミンまたはアミノアルコールに付加及びアニオン重合することによって製造される。アルコキシル化は、上記の化合物の窒素または酸素原子の一つまたはそれ以上に、但し分子の少なくとも二つの部位に対して行われる。これらの部位は、アルコキシル化可能な酸素原子及び/または窒素原子、好ましくはアルコール基及び/またはアミノ基である。アルコキシル化された化合物はそうして構造単位Yを形成する。アニオン重合はランダムにまたはブロック状に行うことができる。この共重合に続いて、第一段階で生成したノニオン性分散剤(B)を、アニオン性基の付加によって変性することができる。適当なアニオン性基は、本発明のノニオン性分散剤とアミドスルホン酸とを反応させることによって得ることができる硫酸半エステル、または本発明のノニオン性分散剤をオルトリン酸、ポリリン酸もしくは五酸化リン(P25)と反応させることによって生成し得るリン酸エステルである。更に、スルホコハク酸半エステルを、本発明のノニオン性分散剤と無水マレイン酸及び亜硫酸ナトリウムもしくは亜硫酸水素ナトリウムと反応させ、次いで苛性ソーダ溶液で中和することによって製造することができる。エーテルカルボン酸は、アルカリ性条件下に本発明によるノニオン性分散剤とモノクロロ酢酸と反応させることによって製造することができる。
【0045】
成分(G)は、水溶性有機物質またはハイドロトロープ物質である。場合によっては溶剤としても働くか、またはオリゴマー性またはポリマー性であるこのような化合物は、例えばホルムアミド、尿素、テトラメチル尿素、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、α−メチル−ω−ヒドロキシ−ポリエチレングリコールエーテル、ジメチルポリエチレングリコールエーテル、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジメチルポリプロピレングリコールエーテル、エチレングリコール及びプロピレングリコールからなるコポリマー、ブチルグリコール、メチルセルロース、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、N−メチルピロリドン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、チオジグリコール、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、ブチルモノグルコール硫酸ナトリウム、セルロース誘導体、ゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルイミダゾール、及びビニルピロリドン、酢酸ビニル及びビニルイミダゾールからなるコポリマー及びターポリマー(この際、酢酸ビニル構成要素を含むこのポリマーは次いで鹸化に付してビニルアルコールにすることができる)である。
【0046】
慣用の添加剤(成分H)としては、更に別のカチオン性、アニオン性、両性または非イオノゲン性界面活性剤、及び顔料の濡れを助ける物質(湿潤剤)、並びに沈殿防止剤、光保護剤、酸化防止剤、脱ガス剤/消泡剤、抑泡剤、フィラー、粉砕助剤、粘度安定化剤、及びレオロジーに有利に働く添加剤などが挙げられる。粘度の調節のための剤としては、例えばポリビニルアルコール及びセルロース誘導体などが挙げられる。水溶性の天然または合成樹脂並びにポリマーも、粘着強度及び耐摩耗性の向上のための成膜剤または結合剤として同様に挙げられる。pH調節剤としては、有機または無機塩基及び酸が使用される。好ましい有機塩基は、アミン類、例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジイソプロピルアミン、アミノメチルプロパノールまたはジメチルアミノメチルプロパノールである。好ましい無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムまたはアンモニアである。
【0047】
顔料調合物の製造のために使用される水、すなわち成分(K)は、好ましくは蒸留水または脱塩水の形で使用される。飲料水(水道水)及び/または天然水も使用することができる。本発明の態様の一つでは、本発明による顔料調合物は、成分(A)及び(B)並びに全体を100重量%にする量の水を含む。
【0048】
該顔料調合物は、良好な貯蔵安定性を有し、そして非常に低い集塊傾向及び沈降傾向を示す。該顔料調合物は、高い色強度、一定の色相及び低い粘度を有する。
【0049】
また更に別の本発明の対象は、本発明による顔料調合物の製造方法であって、成分(A)を粉末、顆粒物または水性プレスケーキの形で、水(K)並びに成分(B)、場合によっては及び成分(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)及び(J)の存在下に、それ自体慣用の方法で分散させ、次いで場合によっては水(K)を混入し、そして得られた水性顔料分散液を水で所望の濃度に調節することを特徴とする前記方法である。好ましくは、成分(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(J)及び(K)を混合、均一化し、次いでこの予め用意した混合物に成分(A)を混ぜ入れる。この際、顔料がペースト化されそして予備分散される。使用した顔料の粒の硬さに依存して、次いで、場合によっては冷却しながら、粉砕または分散装置を用いて微分散もしくは微細化する。このためには、攪拌機、ディスソルバー(鋸歯攪拌機)、ローターステーターミル、ボールミル、攪拌ボールミル、例えばサンドミルまたはビーズミル、高速ミキサー、混練機、ロールミルまたは高性能ビーズミルを使用することができる。顔料の微分散または粉砕は、所望の粒度分布まで行われ、そして0〜100℃の範囲の温度で、有利には10〜70℃の温度、好ましくは20〜60℃の温度で行うことができる。微分散の後、顔料調合物を水、好ましくは脱イオン水または蒸留水で更に希釈することができる。
【0050】
本発明の分散剤を用いて製造される顔料調合物は、全ての種の高分子材料、例えば天然もしくは合成繊維材料、好ましくはセルロース繊維の顔料着色及び着色に、特に繊維材料の着色及び繊維材料の捺染に適している。
【0051】
本発明の分散剤はアルキルフェノール及びアルキルフェノールエトキシレートを含まず、0.5%溶液中で水の表面張力を45mN/m以下にまで下げない限りは、繊維材料廃水に関するドイツ廃水管理規則(deutschen Abwasserverwaltungsvorschrift)の付帯事項38に合致する。アルコキシル化度の制御によって、すなわち十分な量のスチレンオキシド、エチレンオキシドまたは他のアルキレンオキシドを付加することによって、0.5%濃度溶液の表面張力を、45mN/mの限界値以上のままになるように調節することができる。それゆえ、本発明の分散剤は、繊維材料の加工、例えば、ポリエステル繊維及び他の合成繊維の着色、及び繊維材料の捺染、例えば木綿または木綿/ポリエステルの混布の顔料捺染法における捺染に使用するのに特に適している。
【0052】
更に、該顔料調合物は、ペイント及び分散ペイント、分散塗料、印刷インキ、例えば繊維材料の印刷インキ、フレキソ印刷インキ、装飾インキまたは凹版印刷インキ、壁紙用の着色料、水で希釈可能な塗料、木材保護用の系、ビスコース紡糸用の着色料、ラッカー、ソーセージの皮、種、肥料、ガラスボトルの顔料着色及び製造に、並びにパルプの着色及びラミネートの着色、屋根の瓦に; 漆喰、木材の着色液、色鉛筆の芯、フェルトペン、ワックス、パラフィン、製図用ペン、ボールペン用のペーストインキ、チョーク、洗剤及び洗浄剤、靴の手入れ剤、ラテックス製品、研磨剤の着色に; 並びにプラスチックもしくは高分子材料の着色にも適している。高分子量有機材料は、例えばセルロースエーテル及びセルロースエステル、例えばエチルセルロース、ニトロセルロース、セルロースアセテートまたはセルロースブチレート、天然樹脂または合成樹脂、例えば重合樹脂
または縮合樹脂、例えばアミノ樹脂、特に尿素−及びメラミンホルムアルデヒド樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ポリオレフィン、例えばポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエステル、ゴム、カゼイン、ラテックス、シリコーン、シリコーン樹脂の個々のものまたは混合物である。
【0053】
更に、本発明の分散剤を用いて製造される顔料調合物は、全ての慣用のインクジェットプリンタ、特にバブルジェット法またはピエゾ法に基づくインクジェットプリンタに使用するための印刷インキの製造にも適している。これらの印刷インキを用いて、紙、並びに天然もしくは合成繊維材料、フィルム及びプラスチックを印刷することができる。加えて、該顔料調合物は、被覆されたもしくは被覆されていない基材の様々な種類のものの印刷に、例えば厚板紙、厚紙、木製品及び木原材料、金属材料、半導体材料、セラミック材料、ガラス、ガラス繊維、セラミック繊維、無機原材料、コンクリート、革製品、食品、化粧料、皮膚及び毛髪への印刷にも使用することができる。この際、上記の基材は、二次元的な平面であるかまたは空間に広がっている(すなわち三次元構造の形成)ことができ、そして完全にまたは部分的にのみ印刷または被覆することができる。
【0054】
本発明の分散剤の更に別の好適な用途は、電子写真用トナー及び現像剤、例えば一成分または二成分粉末トナー(一成分もしくは二成分現像剤とも称される)、磁気トナー、液体トナー、ラテックストナー、重合トナー並びに特殊トナー中の着色剤として使用される顔料調合物である。この際、典型的なトナーバインダーは、重合樹脂、重付加樹脂及び重縮合樹脂、例えばスチレン−、スチレンアクリレート−、スチレンブタジエン−、アクリレート−、ポリエステル−、フェノール−エポキシド樹脂、ポリスルホン、ポリウレタンのそれぞれ単独または組み合わせ、並びにポリエチレン及びポリプロピレンである、これらは、更に別の成分、例えば荷電制御剤、ワックスまたは流動助剤を含むことができるか、または後でこれらの添加物で変性することができる。
【0055】
本発明の分散剤の更に別の可能な用途は、物の表面被覆、例えば金属、木材、プラスチック、ガラス、セラミック、コンクリート、繊維材料、紙またはゴムからなる物の表面被覆に使用される粉末及び粉体塗料、特に摩擦電気的または動電気的(elektrokinetisch)に噴霧可能な粉体塗料に着色剤として使用される顔料調合物である。ここで粉体塗料樹脂としては、典型的にはエポキシド樹脂、カルボキシ−及びヒドロキシル基含有ポリエステル樹脂、ポリウレタン−及びアクリル樹脂が、慣用の硬化剤と共に使用される。複数種の樹脂の組み合わせも使用できる。例えば、エポキシ樹脂は、しばしばカルボキシル−及びヒドロキシル基含有ポリエステル樹脂と組み合わせて使用される。典型的な硬化剤成分は(樹脂システムに依存して)、例えば酸無水物、イミダゾール類並びにジシアンジアミド及びこれらの誘導体、キャップドイソシアネート、ビスアシルウレタン類、フェノール樹脂及びメラミン樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート、オキサゾリン類及びジカルボン酸である。
【0056】
更に、本発明によるポリマー性分散剤は、水性または非水性インキ、好ましくはインクジェットインキ、マイクロエマルションインキ、UV硬化性インキ、並びにホットメルト法に従い機能するインキ中の着色剤として使用される顔料調合物の製造にも適している。
【0057】
また更に、本発明による顔料調合物は、フラットパネルディスプレー用のカラーフィルター、加法及び減法混色、更にフォトレジストのための着色剤として、並びに電子インキ(エレクトロニックインキまたはe−インキ)または電子ペーパー(エレクトロニックペーパーまたはe−ペーパー)のための着色剤としても好適である。
【実施例】
【0058】
本発明の分散剤の例は以下の化合物である。
【0059】
出発分子として、ジオール類、ジアミン類またはトリアミン類を仕込み、そして所望の量のスチレンオキシド及びエチレンオキシドを、ブロック状にアルコキシル化されるように加えた。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

顔料調合物の製造
上記の顔料を、粉末、顆粒物またはプレスケーキとして、分散剤及び他の添加剤と一緒に脱イオン水中でペースト化し、次いでディスソルバー(例えば、VMA-Getzmann GmbH社のタイプCN-F2)または他の適当な装置を用いて均一化及び予備分散した。次の微分散は、ビーズミル(例えばWMA-Getzmann社製のAPS500)または他の適当な分散装置を用いて行った。この際、サイズdが1mmの珪石(Siliquarzit)ビーズまたはジルコニウム混合酸化物ビーズを用いて、冷却しながら所望の色強度及び色相となるまで粉砕を行った。次いで、得られた分散物を、脱イオン水で所望の顔料濃度に調節し、粉砕媒体を分離し、そして顔料調合物を単離した。
【0062】
以下の例に記載の顔料調合物を、上記の方法に従い製造した。この際、以下の成分を、以下に示す量で、各々の顔料調合物が100部得られるように使用した。以下の例では、部は重量部を意味する。
【0063】
例1
25部 C.I. ピグメントブラック7 ((R)Special Black 4, Degussa AG, 成分A)
4部 分散剤サンプル1(成分B)
2部 アルキルポリアルキレングリコールエーテル (成分C)
9.5部 ポリエチレングリコール、分子量200g/mol (成分E)
0.5部 消泡剤(成分H)
0.2部 防腐剤(成分J)
58.8部 完全に脱塩した水(成分K)
上記の成分(B)、(C)、(E)、(H)及び(J)を粉砕器に入れそして混合した。次いで、粉末状の成分(A)を加え、そしてディスソルバーで予備分散した。微分散は、サイズdが1mmのジルコニウム混合酸化物ビーズを用いてビーズミル中で冷却しながら行った。次いで、粉砕媒体を分離して、顔料調合物を単離した。この顔料調合物を一週間60℃の温度下に置き、そして目視評価した。この顔料調合物の粘度を、ブルックフィールドデジタル式ビスコシメーターモデルDV−IIを用いて、1分間当たり100回転でスピンドル4を使用して測定した。
【0064】
該顔料調合物は、1週間60℃の温度下に置いた後、液状かつ均一で及び発泡していなかった。該顔料調合物の粘度は15mPa・sであった。
【0065】
例2
20部 C.I.ピグメントバイオレット 19((R)Hostaperm Red E5B 02, Clariant GmbH, 成分A)
4部 分散剤サンプル2(成分B)
2部 アルキルポリアルキレングリコールエーテル(成分C)
9.5部 ポリエチレングリコール、分子量200 g/mol(成分E)
0.5部 消泡剤 (成分H)
0.2部 防腐剤 (成分J)
63.8部 完全に脱塩した水(成分K)
前記顔料調合物の製造及び試験の際は、例1に記載したように行った。この顔料調合物は、一週間60℃の温度に置いた後に、液状かつ均一で及び発泡がなかった。該顔料調合物の粘度は10mPa・sであった。
【0066】
例3
40部 C.I.ピグメントレッド146 ((R)Permanent Carmin FBB02, Clariant GmbH, 成分A)
4部 分散剤サンプル3(成分B)
2 部 アルキルポリアルキレングリコールエーテル(成分C)
9.5部 ポリエチレングリコール、分子量200 g/mol(成分E)
0.5部 消泡剤(成分H)
0.2部 防腐剤(成分J)
43.8部 完全に脱塩した水(成分K)
上記顔料調合物の製造及び試験の際は、例1に記載したように行った。該顔料調合物は、一週間60℃で置いた後に、液状かつ均一で及び発泡がなかった。該顔料調合物の粘度は53mPa・sであった。
【0067】
例4
40部 C.I.ピグメントイエロー83 ((R)Novoperm Yellow HR02, Clariant GmbH, 成分A)
8部 分散剤サンプル1(成分B)
2部 アルキルポリアルキレングリコールエーテル(成分C)
9.5部 ポリエチレングリコール、分子量200 g/mol(成分E)
0.5部 消泡剤(成分H)
0.2部 防腐剤(成分J)
39.8部 完全に脱塩した水(成分K)
前記顔料調合物の製造及び試験の際は、例1に記載したように行った。この顔料調合物は、一週間60℃で置いた後に、液状かつ均一で及び発泡がなかった。該顔料調合物の粘度は210mPa・sであった。
【0068】
例5
40部 C.I.ピグメントレッド146 ((R)Permanent Carmin FBB02, Clariant GmbH, 成分A)
4部 分散剤サンプル5(成分B)
2部 アルキルポリアルキレングルコールエーテル(成分C)
9.5部 ポリエチレングリコール、分子量200 g/mol(成分E)
0.5部 消泡剤(成分H)
0.2部 防腐剤(成分J)
43.8部 完全に脱塩した水(成分K)
上記顔料調合物の製造及び試験の際は、例1に記載したように行った。この顔料調合物は、一週間60℃で置いた後に、液状かつ均一で及び発泡がなかった。該顔料調合物の粘度は80mPa・sであった。
【0069】
例6
60部 C.I.ピグメントレッド102((R)Bayferrox Red 130, Lanxess AG, 成分A)
9部 分散剤サンプル6(成分B)
1部 アルキルポリアルキレングリコールエーテル(成分C)
0.5部 消泡剤(成分H)
0.2部 防腐剤(成分J)
29.3部 完全に脱塩した水(成分K)
上記顔料調合物の製造及び試験の際は、例1に記載したように行った。この顔料調合物は、一週間60℃で置いた後に、液状かつ均一で及び発泡がなかった。しかし、多少チキソトロープ性を示した。かき混ぜると、この顔料調合物を液化することができた。該顔料調合物の粘度は620mPa・sであった。
【0070】
例7
30部 C.I.ピグメントブルー15:3 ((R)Hostaperm Blue B2G, Clariant GmbH, 成分A)
15部 分散剤サンプル4(成分B)
1部 アルキルポリアルキレングリコールエーテル(成分C)
20部 プロピレングリコール(成分G)
0.2部 防腐剤(成分J)
33.8部 完全に脱塩した水(成分K)
顔料調合物の製造は例1と同様にして行った。この顔料調合物を、4週間50℃の温度に置き、そして目視評価した。粘度を、Haake社製のコーン・プレート型粘度計(ロトビスコ1)を用いて20℃で測定した(チタン製コーン:φ60mm,1°)。この際、0〜200s-1の範囲の剪断速度に対する粘度の依存性を試験した。粘度は、60s-1の剪断速度で測定した。
【0071】
この顔料調合物は、高い色強度を有し、そして発泡しなかった。四週間50℃で置いた後、この顔料調合物は液状でかつ均一であった。この顔料調合物の粘度は500mPa・sであった。
【0072】
例8
30部 C.I. ピグメントブルー15:3 ((R)Hostaperm Blue B2G, Clariant GmbH, 成分A)
15部 分散剤サンプル3(成分B)
1部 アルキルポリアルキレングリコールエーテル(成分C)
20部 プロピレングリコール (成分G)
50.2部 防腐剤(成分J)
29.8部 完全に脱塩した水(成分K)
上記顔料調合物の製造及び試験の際は、例7に記載ように行った。この顔料調合物は高い色強度を有し、発泡しなかった。四週間50℃で置いた後、この顔料調合物は液状で均一であった。この顔料調合物の粘度は420mPa・sであった。
【0073】
例9
30部 C.I.ピグメントブルー15:3 ((R)Hostaperm Blue B2G, Clariant GmbH, 成分A)
15部 分散剤サンプル5 (成分B)
20部 プロピレングリコール(成分G)
5部 両性界面活性剤(成分H)
0.2部 防腐剤(成分J)
29.8部 完全に脱塩した水(成分K)
上記顔料調合物の製造及び試験の際は、例7に記載ように行った。この顔料調合物は、高い色強度を有し、そして発泡しなかった。四週間50℃で置いた後、この顔料調合物は液状で均一であった。この顔料調合物の粘度は540mPa・sであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) 少なくとも一種の有機及び/または無機顔料、
(B) 構造単位Yに結合した次式Iの二つまたはそれ以上の構造単位を含む、少なくとも一種の分散剤、
【化1】

[式中、
aは、1〜100の整数であり、
bは、0〜100の整数であり、
cは、1〜100の整数であり、そして
単位a、b及びcは、ランダムにまたはブロック状に配列されていることができ、
2は、炭素原子数1〜30の線状もしくは分枝状脂肪族炭化水素残基であり、
Aは、水素、または式−SO3M、−SO2M、−PO3M2、−CH2COOMもしくは(II)で表されるアニオン性基であり、
【化2】

Mは、水素原子であるか、あるいはNa+、K+、NH4+、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムもしくはトリエタノールアンモニウム、またはアルキル基で置換された第二、第三もしくは第四アンモニウムイオンからなる群から選択されるカチオンであるか、あるいはこれらの組み合わせであり、
この際、前記構造単位Yは、炭素原子を含む構造単位であり、これは、少なくとも二つの結合部位においてアルコキシル化されることができ、そして前記の結合部位は、一つもしくはそれ以上の窒素原子、一つもしくはそれ以上の酸素原子、またはこれらの両方によって形成されている]
を含む、水性顔料調合物。
【請求項2】
前記構造単位Yが、二価または多価のアルコール類、少なくとも一つのアミノ基を有するアミン類、または少なくとも一つのアミノ基及び少なくとも一つのOH基を含むアミノアルコール類から選択される、請求項1の組成物。
【請求項3】
構造単位Yが、2〜30個のアミノ基、OH基またはこれらの両方を含む化合物から誘導される、請求項2の組成物。
【請求項4】
前記分散剤(B)が、次式IIIに相当し、そしてYが、次式IV〜XIVの構造単位から誘導される、請求項1〜3の一つまたはそれ以上の組成物。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

[式中、
1は、炭素原子数1〜30の線状または分枝状脂肪族炭化水素残基、または水素原子であり、
zは、1以上の整数であり、
nは、1〜30の整数であり、そして
Xは、前記式Iの基である]
【請求項5】
aが1〜10の数であり、bが0であり、そしてcが5〜30の数である、請求項1〜4の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項6】
nが2〜4の整数である、請求項4及び/または5の組成物。
【請求項7】
Mが、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、エタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウムまたはトリメチルアンモニウムを表す、請求項1〜6の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項8】
少なくとも一種の有機及び/または無機顔料を3〜80重量%の割合で含む、請求項1〜7の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項9】
少なくとも一種の分散剤(B)を0.1〜30重量%の割合で含む、請求項1〜8の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項10】
ノニオン性界面活性剤を30重量%までの割合で含む、請求項1〜9の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項11】
アニオン性界面活性剤を30重量%までの割合で含む、請求項1〜10の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項12】
200〜2000g/モルの平均分子量を有するポリエチレングリコールエーテルを50重量%までの割合で含む、請求項1〜11の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項13】
200〜2000g/モルの平均分子量及び炭素原子数1〜6のアルキル基を有するポリエチレングリコールモノアルキルエーテルを50重量%までの割合で含む、請求項1〜12の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項14】
有機溶剤またはハイドロトロープ物質を0〜30重量%の割合で含む、請求項1〜13の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項15】
水性顔料調合物に慣用の更に別の添加剤を10重量%までの割合で含む、請求項1〜14の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項16】
防腐剤を2重量%までの割合で含む、請求項1〜15の一つまたはそれ以上の組成物。
【請求項17】
少なくとも一種の有機及び/または無機顔料を水中に分散させるための、請求項1に記載の少なくとも一種の分散剤(B)の使用。
【請求項18】
有機及び/または無機顔料と水との混合物に、請求項1に記載の少なくとも一種の分散剤(B)を添加することによって、少なくとも一種の有機及び/または無機顔料を水中に分散させる方法。
【請求項19】
構造単位Yに結合した次式Iで表される二つまたはそれ以上の構造単位を含む、分散剤。
【化15】

[式中、
aは、1〜100の整数であり、
bは、0〜100の整数であり、
cは、1〜100の整数であり、
単位a、b及びcは、ランダムにまたはブロック状に配列していることができ、
2は、炭素原子数1〜30の線状または分枝状脂肪族炭化水素残基であり、
Aは、水素であるか、あるいは式−SO3M、−SO2M、−PO3M2、−CH2COOMまたは(II)
【化16】

で表されるアニオン性基であり、
Mは、水素原子であるか、あるいはNa+、K+、NH4+、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウムもしくはトリエタノールアンモニウム、またはアルキル基で置換された第二、第三もしくは第四アンモニウムイオンからなる群から選択されるカチオン、あるいはこれらの組み合わせであり、
この際、前記構造単位Yは、少なくとも二つの結合部位でアルコキシル化が可能な炭素含有構造単位であり、そして前記結合部位は、一つもしくはそれ以上の窒素原子、一つもしくはそれ以上の酸素原子、またはこれらの両方によって形成される]

【公表番号】特表2009−523868(P2009−523868A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550665(P2008−550665)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000141
【国際公開番号】WO2007/087961
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.バブルジェット
【出願人】(398025878)クラリアント・インターナシヨナル・リミテッド (74)
【Fターム(参考)】