説明

水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物

【課題】本発明は、季節や地域等による温度変化によっても粘度変化が生じにくく、また、当該温度変化に加えて、水分の接触という非常に厳しい条件下においても、粘度変化が生じ難い水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物を提供することを主な目的とする。
【解決手段】成分(A):特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、成分(B):25℃において、10〜90重量%の任意の濃度で水に透明に溶解し、それらの水溶液の粘度が800mPa・s未満であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、成分(C):香料、及び成分(D):水を含み、成分(A)と成分(B)が、重量比率で成分(A)/成分(B)=7/3〜3/7の範囲にある水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種の異なるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤を含む水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、通常何らかの容器に入れられ、必要に応じて該容器の排出孔から排出される、水洗トイレ用の洗浄剤として使用される。水洗トイレ用の洗浄剤は、水洗トイレの手洗い部上に設置して使用されるものや、水洗トイレの便器のリム部に取り付けて使用されるものや、水洗トイレのタンク内に取り付けるもの等が例示される。これらの水洗トイレ用の洗浄剤は、設置が容易である、洗浄剤の残存量を容易に確認できる、香料の配合によって芳香効果をも付与できる等の使用上の利点があり、今日では広く流通している。
【0003】
一方で、このような水洗トイレ用の洗浄剤は、液体芳香洗浄剤組成物の容器からの毎排出量を一定にすることにより、毎使用時に安定した洗浄効果が要求される。
【0004】
しかしながら、このような液体芳香洗浄剤組成物の粘度は温度変化により変化し、例えば、一年を通じた寒暖の差によっても、その粘度は変化し得る。また、このような液体芳香洗浄剤組成物は周囲に水が存在する環境で使用されることが多く、該液体芳香洗浄剤組成物が封入された容器内への水の浸入によっても、内部の液体芳香洗浄剤組成物の粘度が変化し得る。このように液体芳香洗浄剤組成物の粘度が変化すると、液体芳香洗浄剤組成物の容器からの毎排出量が変化し得、これにより所望量の液体芳香洗浄剤組成物を安定して排出孔から排出できなくなる。
【0005】
例えば、液体芳香洗浄剤組成物の粘度が高くなりすぎると、毎排出量が極端に減少したり、さらには排出孔から排出されなくなる。一方、液体芳香洗浄剤組成物の粘度が低くなりすぎると、毎排出量が極端に多くなり、液体芳香洗浄剤組成物の不必要な流出の原因となる。
【0006】
特に水洗トイレ用として用いられる洗浄剤は、温度変化を受け易い。また、水洗トイレ用の洗浄剤が水洗トイレの手洗い部上に設置して使用される場合には、水洗タンク手洗い部から給水される水が、液体芳香洗浄剤組成物を収容している容器内に混入するという特有の問題点がある。また、水洗トイレ用の洗浄剤が水洗トイレの便器のリム部に取り付けて使用される場合には、便器洗浄用の水が、液体芳香洗浄剤組成物を収容している容器内に混入するという特有の問題点がある。
【0007】
このような問題点に対し、これまでにも、温度変化による液体芳香洗浄剤組成物の粘度変化を抑制するための処方が検討されている(例えば特許文献1)。特許文献1では、20℃で流動性を有する非イオン界面活性剤と、20℃で流動性を有しない非イオン界面活性剤との組み合わせに対し、さらにポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーを特定量配合し、調整することによって、温度変化に対する粘度変化の小さい液体芳香洗浄剤組成物が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1では、夏場のような温度の高い場合に、水洗トイレに使用した場合において、該液体芳香洗浄剤組成物が封入された容器内への水の浸入によるさらなる粘度低下や、冬場のような温度の低い場合に、水洗トイレに使用した場合において、該液体芳香洗浄剤組成物が封入された容器内への水の浸入による粘度の変動等の厳しい条件においては、未だ改良の余地があり、さらなる粘度の安定性が要求されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−84456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、季節や地域等による温度変化によっても粘度変化が生じにくく、また、当該温度変化に加えて、水分の接触という非常に厳しい条件下においても、粘度変化が生じ難い水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者が上記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、液体芳香洗浄剤組成物を成分(A):特定のポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、成分(B):25℃において、特定の粘度範囲を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、成分(C):香料、及び成分(D):水を含むものとし、また上記成分(A)及び成分(B)を所定の混合比率に設定することにより、温度変化が生じ、かつ水分と接触した場合等の非常に過酷な状況においても、粘度変化が生じにくく、さらに排出孔からの排出量の不均一性を高度に抑制できる液体芳香洗浄剤組成物が得られることを見出し、水洗トイレ用の洗浄剤として適用できることを見出した。本発明は上記知見に基づきさらに検討を重ねた結果完成されたものであり、下記に掲げるものである。
【0012】
項1.成分(A):下記一般式[A]:
−O−(PO)−(EO)−H
(式中、Rは炭素数9〜11の分岐アルキル基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、aはPOの平均付加モル数で4≦a≦6、bはEOの平均付加モル数で12≦b≦16を示し、これらは単品であっても混合物であってもよい)
で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、
成分(B):25℃において、10〜90重量%の任意の濃度で水に透明に溶解し、それらの水溶液の粘度が800mPa・s未満であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、
成分(C):香料、及び
成分(D):水
を含み、
成分(A)と成分(B)が、重量比率で成分(A)/成分(B)=7/3〜3/7の範囲にある
水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【0013】
項2.成分(B)が、下記一般式[B]:
−O−[(AO)/(EO)]−(AO)−H
(式中、Rは炭素数12〜16のアルキル基、AOはオキシブチレン基又はオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、c及びeはAOの平均付加モル数でそれぞれ2≦c≦5、0≦e≦5であり、dはEOの平均付加モル数で10≦d≦20、[(AO)/(EO)]はランダム付加を示し、これらは単品であっても混合物であってもよい)
で表される項1に記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【0014】
項3.一般式[A]におけるRが炭素数10の分岐アルキル基である項1又は2に記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【0015】
項4.下記一般式[B]におけるAOが、オキシプロピレン基である項2に記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【0016】
項5.オンタンク用に用いられる、項1〜4のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【0017】
項6.リム部用に用いられる、項1〜4のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物によれば、季節や地域等による温度変化による粘度変化が生じ難いだけでなく、前記温度変化とともに、水分と接触するというより過酷な状況下においても、粘度の変化が生じにくい。そのため水洗トイレ用の洗浄剤として用いた場合の液体芳香洗浄剤組成物が排出孔から排出される際の排出量の不均一性を高度に抑制することができる。
【0019】
そのため、本発明によれば、使用時の高粘度化により容器から液体芳香洗浄剤組成物を吐出し難くなったり、目詰まりすることを防止でき、かつ粘度の低下による液体芳香洗浄剤組成物の過度な無駄遣いを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の液体芳香洗浄剤組成物が収容され得るオンタンク用の容器の例を示す。
【図2】本発明の液体芳香洗浄剤組成物が収容され得るオンタンク用の容器の分解図の例を示す。
【図3】本発明の液体芳香洗浄剤組成物が収容され得る便器のリム部用の容器の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(1)液体芳香洗浄剤組成物
本発明の液体芳香洗浄剤組成物は、一般式[A]で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤(成分(A))、25℃において10〜90重量%の任意の濃度で水に透明に溶解し、それらの水溶液の粘度が800mPa・s未満であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤(成分(B))、香料(成分(C))及び水(成分(D))を含み、成分(A)と成分(B)を特定の混合比で用いることによって得られる。
【0022】
以下、本発明の液体芳香洗浄剤組成物の各成分について説明する。
【0023】
成分(A):ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤(成分(A))は、以下の一般式[A]によって表される。
【0024】
一般式[A]:
−O−(PO)−(EO)−H
式中、Rは炭素数9〜11の分岐アルキル基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。また、aはPOの平均付加モル数で4≦a≦6、bはEOの平均付加モル数で12≦b≦16を示す。これらは単品であっても混合物であってもよい。
【0025】
成分(A)のより好ましい形態としては、上記一般式[A]におけるRが、炭素数10の分岐アルキル基のものが挙げられる。
【0026】
一般式[A]によって表される成分(A)は、炭素数9〜11の分岐アルコールに、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを特定の付加方式によって反応させることによって得られる。
【0027】
上記炭素数9〜11の分岐アルコールの好ましい例としては、プロペン、ブテン、又はこれらの混合物から誘導される高級オレフィンを経て、オキソ法によって製造される分岐型の飽和第1級アルコールが挙げられる。該製法によって得られるイソノナノール、イソデカノール、イソウンデカノール等が市販されており、成分(A)の製造に好適に使用できる。
【0028】
また、2−プロピルヘプタノール、2−プロピルヘキサノール、2−エチルヘプタノール、2−ブチルヘキサノール、2−ブチルヘプタノール等の炭素数9〜11の2−アルキルアルカノール型の化学構造を持つゲルベアルコール(Guerbet Alcohol)の単一組成又は混合物も、公的に使用できる分岐アルコールの一例である。このとき、ゲルベアルコールの側鎖は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0029】
成分(A)は、公知の方法により、例えば次のようにして製造することができる。まず、炭素数9〜11の分岐アルコールに、アルカリ又は酸触媒を加え、昇温した後、プロピレンオキサイドを付加反応させる。次いでエチレンオキサイドを付加反応させた後、系を中和することにより製造することができる。このようにして得られる前記一般式[A]のポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤において、式中の繰り返し単位aの(PO)と繰り返し単位bの(EO)はブロック付加である。すなわち、本発明の液体芳香洗浄剤組成物が25℃において好適な粘度を示し、かつ地域や季節による温度変化によっても粘度変化が生じ難くするためには、このような付加形態でなければならない。
【0030】
上記製造工程において、分岐アルコールに対するプロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドの付加反応の条件としては、商業生産上では一般に、温度100〜180℃、圧力1〜10kg/cmに設定することが好ましい。
【0031】
上記分岐アルコールに対するプロピレンオキサイドの付加反応において、繰り返し単位aで示されるプロピレンオキサイドの平均付加モル数は4〜6モルに設定される。プロピレンオキサイドが4モル未満では25℃において十分な粘度が得られず、また6モルを超えると水溶性を保つために多くのエチレンオキサイドの付加モル数を必要とし、低温で粘度が高くなる。繰り返し単位bで示されるエチレンオキサイドの平均付加モル数は12〜16モルに設定される。エチレンオキサイドが12モル未満では曇点の関係から高温での安定性が保てず、また16モルを超えると低温で高粘度化やゲル化が起こりやすくなる。
【0032】
一般式[A]中のRの具体例としては、イソノニル基、イソデシル基、イソウンデシル基、2−ブチルヘキシル基、2−プロピルヘプチル基等の分岐アルキル基が挙げられ、これらの分岐アルキル基は、単一であっても混合であってもよい。
【0033】
前記一般式[A]で表される成分(A)の例としては、R=9であるポリオキシアルキレン分岐ノニルエーテル、R=10であるポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル、R=11であるポリオキシアルキレン分岐ウンデシルエーテルが挙げられ、これらの単品又は混合物が挙げられる。
【0034】
なお、ポリオキシアルキレン分岐アルキルエーテル型非イオン界面活性剤として、第一工業製薬株式会社からノイゲンSD−150、ノイゲンXL−140、ノイゲンXL−160が販売されているが、これらの非イオン界面活性剤は、一般式[A]におけるPOの平均付加モル数(a)及び/又はEOの平均付加モル数(b)の数値範囲が、4≦a≦6及び/又は12≦b≦16から外れるものであるため、本発明で用いられる一般式[A]で表される成分(A)とは異なる成分である。
【0035】
成分(A)の含有割合は、液体芳香洗浄剤組成物中、5〜40重量%程度が好ましく、10〜30重量%程度がより好ましい。成分(A)の含有割合を5重量%以上に設定することによって、夏場での使用(例えば25℃での液体芳香洗浄剤組成物の使用)においても粘度の低下による、液体芳香洗浄剤組成物の不必要な流出を防止することができるという効果が得られる。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤(A)の含有割合を40重量%以下に設定することによって、冬場での使用(例えば5℃での液体芳香洗浄剤組成物の使用)においても高粘度化やゲル化による、液体芳香洗浄剤組成物の毎排出量の低下を防止することができるという等の効果が得られる。すなわち、成分(A)の含有割合を前記の範囲に設定することによって、季節や地域等による温度変化によっても粘度変化が生じにくく、かつ該温度変化に加え、水分との接触によっても粘度変化が生じにくい液体芳香洗浄剤組成物を得ることができる。
【0036】
成分(B):ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤
上記成分(A)のポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤とともに用いられる非イオン界面活性剤(成分(B))は、25℃において10〜90重量%の任意の濃度で水に透明に溶解し、それぞれの水溶液の粘度が800mPa・s未満であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤である。
【0037】
成分(B)は、水で希釈する際に容易に溶解し、低温安定性に優れており、しかも広範囲の水溶液濃度において均質な液性を有することから、界面活性剤濃度が高くてもゲル化が生じず、上記成分(A)と併用して使用した際にも高濃度の界面活性剤水溶液を調製することができ、液体芳香洗浄剤組成物の高濃縮化が可能となる。
【0038】
成分(B)が、25℃において10〜90重量%の任意の濃度で水に溶解したときの粘度が800mPa・sを超える場合は、最終液体芳香洗浄剤組成物だけでなく、途中の製造工程での中間液体の粘度が高くなるため、製造し難いという問題がある。なお、この解決のためには製造時に外部から温度をかけて液体の粘度を下げるという手段もとり得るが、コスト・温調設備がかかるため経済的ではない。液体の粘度が800mPa・s未満である場合には、このような対応をとる必要はなく、製造が容易であるという利点がある。
【0039】
成分(B)としては、下記一般式[B]で表される非イオン界面活性剤であることが好ましい。
【0040】
一般式[B]:
−O−[(AO)/(EO)]−(AO)−H
式中、Rは炭素数12〜16のアルキル基、AOはオキシブチレン(BO)基又はオキシプロピレン(PO)基、EOはオキシエチレン基を示す。また、c及びeはAOの平均付加モル数でそれぞれ2≦c≦5、0≦e≦5、dはEOの平均付加モル数で10≦d≦20を示す。さらに、[(AO)/(EO)]はランダム付加を示す。また、これらは単品であっても混合物であってもよい。
【0041】
成分(B)は、公知の方法により、例えば、次のようにして製造することができる。まず、炭素数12〜16のアルコールに、アルカリ又は酸触媒を加え、昇温した後、ブチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの混合物をランダム付加反応させる。次いで、所望により、ブチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加反応させた後、系を中和することにより製造することができる。
【0042】
上記一般式[B]で表される成分(B)の製造工程において、アルコールに対するブチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド、及びエチレンオキサイドのランダム付加反応の条件、及び所望のブチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加反応の条件としては、商業生産上では一般に、温度100〜180℃、圧力1〜10kg/cmに設定することが好ましい。
【0043】
上記一般式[B]で表される成分(B)のアルコールに対するブチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの付加反応において、繰り返し単位cで示されるブチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの平均付加モル数は2〜5モルに設定され、繰り返し単位dで示されるエチレンオキサイドの平均付加モル数は10〜20モルに設定され、繰り返し単位eで示されるブチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドの平均付加モル数は0〜5モルに設定される。
【0044】
前記炭素数12〜16のアルコールとしては、ラウリルアルコール(炭素数:12)、トリデカノール(炭素数:13)、ミリスチルアルコール(炭素数:14)、ペンタデカノール(炭素数:15)、セタノール(炭素数:16)等が挙げられ、これらのアルコールは、単品であっても混合物であってもよい。
【0045】
前記一般式[B]で表される成分(B)の例としては、R=12であるポリオキシアルキレンラウリルエーテル、R=14であるポリオキシアルキレンミリスチルエーテル、R=16であるポリオキシアルキレンセチルエーテル等が挙げられ、これらの単品又は混合物が挙げられる。
【0046】
成分(B)としては、例えば、第一工業製薬株式会社から販売されているノイゲンCL−200、ノイゲンCL−230等が例示される。
【0047】
成分(B)の含有割合は、液体芳香洗浄剤組成物中、5〜50重量%程度が好ましく、7〜30重量%程度がより好ましい。ポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤(B)の含有割合を5重量%以上に設定することによって、冬場での使用(例えば5℃での液体芳香洗浄剤組成物の使用)においても高粘度化やゲル化による、液体芳香洗浄剤組成物の毎排出量の低下を防止することができるという等の効果が得られる。また、成分(B)の含有割合を50重量%以下に設定することによって、夏場での使用(例えば25℃での液体芳香洗浄剤組成物の使用)においても粘度の低下による、液体芳香洗浄剤組成物の不必要な流出を防止することができるという効果が得られる。すなわち、成分(B)の含有割合を前記の範囲に設定することによって、季節や地域等による温度変化によっても粘度変化が生じにくく、また水分との接触によっても粘度変化が生じにくい液体芳香洗浄剤組成物を得ることができる。
【0048】
成分(A)と成分(B)との混合
本発明の液体芳香洗浄剤組成物は、成分(A)と成分(B)を特定の混合比率で用いることで得られる。
【0049】
成分(A)と成分(B)は、重量比率で成分(A)/成分(B)=7/3〜3/7の範囲を例示することができる。すなわち、成分(A)の含有比率は、成分(B)1重量部に対して、0.429〜2.33重量部程度が好ましい。かかる範囲であれば、特に制限されることはなく、界面活性剤の種類、併用する香料並びに目的とする洗浄効果に応じて適宜調整選択することができる。
【0050】
本発明の液体芳香洗浄剤組成物は、成分(A)と成分(B)の合計が、液体芳香洗浄剤組成物中に特定の範囲内含まれることにより得られる。
【0051】
成分(A)と成分(B)の配合重量の合計(成分(A)+成分(B))は、液体芳香洗浄剤組成物中、好ましくは10重量%≦成分(A)+成分(B)≦80重量%、より好ましくは20重量%≦成分(A)+成分(B)≦60重量%、さらに好ましくは30重量%≦成分(A)+成分(B)≦50重量%の範囲を例示することができる。かかる範囲であれば、特に制限されることはなく、界面活性剤の種類、併用する香料並びに目的とする洗浄効果に応じて適宜調整選択することができる。
【0052】
成分(C):香料
本発明の液体芳香洗浄剤組成物には、香料(成分(C))を含む。香料を液体芳香洗浄剤組成物に配合することにより、任意の香を付与することができ、トイレ空間に所望の芳香を付与することができる。香料は、天然香料及び合成香料でのいずれであってもよく、液体芳香洗浄剤組成物の用途に応じて、所望の香気を呈する香料成分を適宜選択すればよい。
【0053】
例えば、本発明に使用される香料としては、
レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、イランイラン油、パチュリ油、シトロネラ油、レモングラス油、ボアドローズ油、チョウジ油、ユーカリ油、セダー油、ラベンダー油、ビャクダン油、ベチバー油、ゼラニウム油、ラブダナム油、ペパーミント油、ローズ油、ジャスミン油、リッツアキュベバ油等の天然香料;炭化水素系香料(例えば、リモネン、α−ピネン、カンフェン、p−サイメン、フェンチェン等);エーテル系香料(例えば、1,8−シネオール、ローズオキサイド、セドロールメチルエーテル(セドランバー)、p−クレジルメチルエーテル、イソアミルフエェニルエチルエーテル、4−フェニル−2,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、アネトール等);エステル系香料(例えば、エチルアセテート、エチルプロピオネート、メチルブチレート、エチルイソブチレート、エチルブチレート、ブチルアセテート、エチル2−メチルブチレート、イソアミルアセテート、エチル2−メチルペンタノエート(マンザネート)、ヘキシルアセテート、アリルヘキサノエート、トリシクロデセニルプロピオネート(VERTOPRO;フロロシクレン)、アリルヘプタノエート、イソボルニルアセテート、リナリルアセテート、シトロネリルアセテート、2−ter−ブチルシクロヘキシルアセテート(ナルシドール)等);アルコール系香料(例えば、リナノール、3−オクタノール、2,6−ジメチル−ヘプタノール、10−ウンデセノール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ロジノール、ミルセノール、テトラヒドロリナロール、ターピネオール、セドロール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキサン−1−メタノール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、ネロリドール、9−デセノール、シス−3−ヘキセノール、トランス−2−ヘキセノール、オイゲノール等);アルデヒド系香料(例えば、シトロネラール、パラアルデハイド、ベンズアルデヒド、アルデヒドC−6、アルデヒドC−7、アルデヒドC−8、アルデヒドC−9、アルデヒドC−10、トリプラール、p−エチルジメチルヒドロシンナミックアルデヒド(フローラゾン)、2−トリデセナール、アルデヒドC11等)等の合成香料;又はこれらをブレンドした調合香料等が挙げられる。
【0054】
本発明の液体芳香洗浄剤組成物は水洗トイレ用として用いられるため、液体芳香洗浄剤組成物と洗浄用の水とが接触することにより、該液体芳香洗浄剤組成物が容器から流出される。そのため、本発明の液体芳香洗浄剤組成物に用いられる香料の配合量は、当該水による希釈によっても、十分な香り立ちをたたせるように設定する必要がある。液体芳香洗浄剤組成物における香料の配合比率は、液体芳香洗浄剤組成物の総量100重量部に対して、好ましくは0.1〜70重量部が好ましく、1〜50重量部がより好ましく、5〜30重量部がさらに好ましい。
【0055】
水(成分(D))
本発明の液体芳香洗浄剤組成物では、その基剤成分として水(成分(D))が使用される。すなわち、本発明の液体芳香洗浄剤組成物において、上記成分(A)〜成分(C)及び後述の必要に応じて添加される他の配合成分以外の残部は、水で構成される。
【0056】
両性界面活性剤
本発明の液体芳香洗浄剤組成物は、更に両性界面活性剤を含んでいてもよい。両性界面活性剤を含むことによって、洗浄効果が一層高まり、また使用時に本発明の液体芳香洗浄剤組成物が泡立つことによる、より良好な使用感を付与することができる。本発明に使用してもよい両性界面活性剤としては、特に制限されず、ベタイン型両性界面活性剤(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等);アミノ酸型両性界面活性剤(β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウムラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム等);アミンオキサイド型(デシルジメチルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキサイド、ミリスチルジメチルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチル油アルキルジメチルアミンオキサイド、オクチルジメチルアミンオキサイド等)が挙げられる。好ましくはベタイン型両性界面活性剤及び/又はアミンオキサイド型両性界面活性剤である。
【0057】
本発明の液体芳香洗浄剤組成物における両性界面活性剤の配合割合は、液体芳香洗浄剤組成物の総重量100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
【0058】
その他の界面活性剤
本発明の液体芳香洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわないことを限度として、上記の非イオン界面活性剤(成分(A)及び(B))、香料(成分(C))、任意成分である両性界面活性剤に加えて、さらに他の非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、又はカチオン界面活性剤を含むことができ、これらを洗浄成分として使用することも可能である。
【0059】
他の非イオン界面活性剤は上記成分(A)、及び成分(B)以外の非イオン界面活性剤であり、以下のものが挙げられる。
【0060】
グリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル等);ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸POEグリセリル、モノオレイン酸POEグリセリル等);ポリグリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸テトラグリセリル等);ソルビタン脂肪酸エステル類(モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン等);ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(モノヤシ脂肪酸POEソルビタン、トリステアリン酸POEソルビタン等);ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル類(モノラウリン酸ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノラウリン酸エステル等);アルキル多価アルコールエーテル類(グリセリンモノドデシルエーテル、ペンタエリスリトールモノドデシルエーテル等);ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(POEラウリルエーテル、POEトリデシルエーテル等);ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(POE・POPデシルエーテル、POE・POPラウリルエーテル等);ポリオキシエチレンアルキルアミン類(POEステアリルアミン、POEオレイルアミン等);脂肪酸アルカノールアミド類(ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等);アシルメチルグルカミド類(ラウリン酸メチルグルカミド、ヤシ脂肪酸メチルグルカミド等);その他、POEアセチレングリコール;POEラノリン;POEヒマシ油;POE硬化ヒマシ油;アルキルポリグルコシド等が挙げられる。
【0061】
アニオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。脂肪酸塩(セッケン用素地、ラウリン酸ナトリウム等);アルキルエーテルカルボン酸塩(POEラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、POP・POEミリスチルエーテルカルボン酸ナトリウム等);アルキル硫酸エステル塩(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン塩等);アルキルエーテル硫酸塩エステル(POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEトリデシルエーテル硫酸アンモニウム等);N−アシルアミン酸塩(ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイル−N−メチル−β−アラニンナトリウム等);アルキルスルホン酸塩(アルカンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(N−ミリストイル−N−メチルタウリンナトリウム、ヤシ脂肪酸メチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POEオレイルエーテルリン酸ナトリウム、POEジスチレン化フェニルエーテルリン酸モノエタノールアミン塩等);スルホコハク酸塩(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、POEラウリルエーテルスルホコハク酸2ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
【0062】
カチオン界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。第4級アンモニウム塩界面活性剤(塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等);アミドアミン塩型カチオン界面活性剤(ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミドグルタミン酸塩、ラノリン脂肪酸ジエチルアミノエチルアミドグルタミン酸塩)等が挙げられる。
【0063】
可溶化剤
本発明の液体芳香洗浄剤組成物は、上記成分(A)〜成分(D)、及びその他の界面活性剤に加えて、可溶化剤を含んでいてもよい。可溶化剤を含むことによって、各種配合成分に良好な溶解性や分散性を付与することが可能になる。本発明に使用される可溶化剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコール、エタノール、ジプロピレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール等が挙げられる。
【0064】
その他の成分
本発明の液体芳香洗浄剤組成物には、上記成分に加えて、更に必要に応じて、酵素、殺菌剤、キレート剤、着色剤、顔料、消臭剤、油性成分の乳化可溶化剤、増量剤、溶解性調整剤、漂白剤、撥水剤、親水剤、充填剤、pH調整剤、増粘剤、成形性向上剤、滑沢剤、緩衝剤、白濁化剤、消泡剤等の添加剤を適量含むことができる。
【0065】
本発明に使用される酵素としては、具体的には、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、マンナーゼ等が例示される。
【0066】
本発明に使用される殺菌剤としては、具体的には、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、ジデシルジメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、セチルピリジニウム塩、ベンゾイソチアゾリン等の複素環化合物、酸化銀、銀含有の水溶性ガラス、銀を担持させたゼオライト等の銀化合物、その他金属化合物等が例示される。
【0067】
本発明に使用されるキレート剤としては、具体的には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、及びそれらの塩等が例示される。
【0068】
本発明に使用される着色剤としては、具体的には、青色1号、青色2号、青色3号、青色205号、黄色3号、黄色4号、黄色202号の(1)、黄色203号、赤色105号、赤色106号、赤色2号及び赤色3号等が例示される。
【0069】
本発明に使用される顔料は、有機顔料又は無機顔料のいずれであってもよい。また、白色顔料又は有色顔料の別も問うものではなく、液体芳香洗浄剤組成物に付与する色調に応じて適宜選択すればよい。無機顔料の具体例としては、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム及びその水和物、酸化鉄、硫化カドミウム、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛、カーボンブラック等が例示される。有機顔料としては赤色201号、赤色202号、赤色203号、赤色204号、赤色205号、赤色206号、赤色207号、赤色208号、赤色220号、赤色221号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、赤色404号、赤色405号、黄色401号、青色404号等が例示される。
【0070】
前記の成分(A)〜(D)及びその他の成分を含む本発明の液体芳香洗浄剤組成物の25℃における粘度は、100〜150mPa・sとなる。前記の25℃における粘度により、水洗トイレ用として用いた場合の夏場や気温の高い地域等での使用においても粘度の低下による、液体芳香洗浄剤組成物の不必要な流出を防止することができる。また、本発明の液体芳香洗浄剤組成物に、水を加え、0〜30重量%の任意の濃度に調整し、溶解させた際の5℃における粘度は、700mPa・s以下であるため、水洗トイレ用として用いた場合の冬場や気温の低い地域等においての使用においても高粘度化、ゲル化による、液体芳香洗浄剤組成物の毎排出量の低下を防止することができ、かつ、水分と接触した場合であっても、粘度の変化が小さい。そのため、低温時においても粘度安定性に優れ、低温時(5℃)においても高温時(25℃)と同様、水洗トイレ用として好適に用いることができる。
【0071】
なお、前記の粘度は、東機産業(株)製B型粘度計(TV−10型)でSPINDLE No−M2のローターを用い、30rpmの回転数の条件で測定される。
【0072】
(2)使用形態
本発明の液体芳香洗浄剤組成物は、水洗トイレ用として用いられ、該液体芳香洗浄剤組成物を接触させることにより、その接触部分において、液体芳香洗浄剤組成物由来の汚れ付着防止効果を発揮させ、また洗浄効果を発揮させようとするものである。
【0073】
本発明の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物は、液体芳香洗浄剤組成物が排出される排出孔を有する容器に収容して使用される。また、当該水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物が収容された排出孔を有する容器は、水洗トイレの手洗い部上に設置して使用されるオンタンク用の液体芳香洗浄剤組成物として使用することができ、さらにまた、水洗トイレの便器のリム部に取り付けて使用されるリム部用液体芳香洗浄剤組成物として使用することができる。従来のオンタンク用洗浄剤やリム部用の洗浄剤では、温度変化による粘度変化や、洗浄用の水又は便器洗浄用の水の混入による粘度変化によって、液体芳香洗浄剤組成物の容器からの排出量が不均一になりやすいという欠点があったが、本発明の液体芳香洗浄剤組成物によれば、かかる従来技術の問題点が解消さている。
【0074】
ここで、水洗トイレのオンタンク用の洗浄剤とは、水洗トイレの手洗い部上に設置して使用されるものを指し、液体芳香洗浄剤組成物が収容された容器と水洗タンク手洗い部から給水される洗浄用の水とが接触することにより、該液体芳香洗浄剤組成物が容器から流出され、液体芳香洗浄剤組成物が溶け込んだ水が便器内に放出されるものである。また、水洗トイレのリム部用の洗浄剤とは、水洗トイレの便器のリム部に取り付けて使用されるものを指し、液体芳香洗浄剤組成物が収容された容器と便器に放出される便器洗浄用の水とが接触することにより、該液体芳香洗浄剤組成物が容器から流出され、液体芳香洗浄剤組成物が溶け込んだ水が便器内に広がり得るものである。従って、洗浄用の水とは、水洗タンク手洗い部から給水される水のことを指し、便器洗浄用の水とは、便器から放出される水のことを指す。
【0075】
本発明の液体芳香洗浄剤組成物によれば、温度変化等による排出量の不均一性が高度に解消されているので、水洗トイレのオンタンク用の洗浄剤やリム部用の洗浄剤として使用される場合であっても、共に流される水の温度は通常の範囲であれば限定されず、冷水や温水も使用でき得る。
【0076】
例えば、本発明の液体芳香洗浄剤組成物が、水洗トイレオンタンク用の洗浄剤として使用される場合、本発明の液体芳香洗浄剤組成物は所望の構造の容器に封入され、これが水洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗い部に配置される。そして、該手洗い部に供給される水とともに、前記容器から排出された液体芳香洗浄剤組成物が前記貯水タンク内、更には便器内に流されることにより、液体芳香洗浄剤組成物による貯水タンク表面及び便器表面への汚れ付着防止効果及び洗浄効果が発揮される。前記容器は、使用場所に応じた任意の容器を使用でき制限されないが、本発明の液体芳香洗浄剤組成物を水洗トイレオンタンク用の洗浄剤として使用する場合には、以下に記載するような排出孔を有する容器が例示される。
【0077】
排出孔を有する容器
本発明の液体芳香洗浄剤組成物は、任意の排出孔を有する容器に収容して使用される。例えば、本発明の液体芳香洗浄剤組成物を水洗トイレオンタンク用として使用する場合には、該液体芳香洗浄剤組成物は、例えば図1に示されるような容器に収容できる。図1は容器の正面図(a)及び側面図(b)である。図2は図1の容器の分解図である。図1及び図2に示すように、この容器は液体芳香洗浄剤組成物が収容され下端に口部が形成された薬液収容部1と、前記薬液収容部1を支持し水洗トイレの手洗い部上に配置される支持体2と、この支持体2内に取り付けられ前記薬液収容部1と接続される調整部材3と、前記支持体2の底部から液体芳香洗浄剤組成物を誘導する案内部材4とを備える。そして、前記調整部材3の底部には排出孔5が設けられている。
【0078】
前記容器は、水洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗い部に、案内部材4を下側にして配置される。そして、排出孔5から案内部材4に誘導された液体芳香洗浄剤組成物と、手洗い部に供給される洗浄用の水とが接触することにより、貯水タンク内に液体芳香洗浄剤組成物が効率良く供給されるように構成されている。この際、前記容器にはさらに排出孔5から排出された液体芳香洗浄剤組成物を貯留するための貯留部が設けられていてもよく、前記貯留部に貯留された液体芳香洗浄剤組成物と、手洗い部に供給される洗浄用の水とが接触することによって、貯水タンク内に液体芳香洗浄剤組成物が効率良く供給されるように構成されていてもよい。
【0079】
このような排出孔を有する容器の例としては、特開2004−300861号、特開2006−283539号公報、特開2006−283540号公報等に開示された容器が挙げられるが、これらに限定されない。また、前記支持体上に配置される薬液容器は、単独の薬液収納部からなっていてもよく、また2以上の薬液収納部からなっていてもよい。
【0080】
また、例えば本発明の液体芳香洗浄剤組成物をリム部用として使用する場合には、該液体芳香洗浄剤組成物は、例えば図3に示されるような容器に収容できる。
【0081】
この容器は、便器のリム部に吊り掛けて使用されるものであり、例えば図3に示されるような容器に収容できる。図3は容器の斜視図である。図3に示すように、液体芳香洗浄剤組成物が収容された薬液容器6と、これを下方から支持する装置本体7と、装置をリムに吊り掛けるための吊掛部材8とを有している。また、装置本体7の内部には、薬液容器6から流れ出た液体芳香洗浄剤組成物を装置本体7の底面へと供給する薬液排出機構9が配置されている。なお、液体芳香洗浄剤組成物は、薬液容器6から薬液排出機構9へと流れ出る。
【0082】
本発明の液体芳香洗浄剤組成物が収容されたリム部用の容器が便器のリム部に設置された後、便器内に水が流されると、流された水は、リムの内側から便器内壁面を伝い、可動部10によって基部11側へ案内される。なお、基部11の両側には側板12を設けていてもよい。可動部10によって基部11側へ案内された水は、基部11と可動部10との境界部分に貯まった液体芳香洗浄剤組成物をさらいつつ、流水孔13から外部へ流れ出したり、或いは、装置内で壁体などにぶつかりながら跳ね返り、開放部分から装置の外部へ流れ出す。こうして、液体芳香洗浄剤組成物は流水とともに、便器内壁面に供給され、便器の清浄が行われる。
【0083】
このような排出孔を有する容器の例としては、特表2003−517124号公報、特開2009−74350号等に記載されているような容器が挙げられるが、これらに限定されない。
【実施例】
【0084】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0085】
1.水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物の製造
水洗トイレ用の液体芳香洗浄剤組成物として、以下の表1及び表2に示す非イオン界面活性剤、及び非イオン界面活性剤の混合物をそれぞれ準備した。
【0086】
表1に、一般式[A]で示される非イオン界面活性剤(成分(A))、一般式[A]に準じて示される非イオン界面活性剤(成分(A’))、及び成分(A’)以外の比較成分(A”成分)を示す。
【0087】
【表1】

【0088】
また表2に、一般式[B]で示される非イオン界面活性剤(成分(B))を示す。なお、表2に示す、AOはオキシアルキレン基、POはオキシプロピレン基、BOはオキシブチレン基、EOはオキシエチレン基を表す。
【0089】
【表2】

【0090】
表1に示す成分(A)、成分(A’)、及び成分(A”)、表2に示す成分(B)、さらにイオン交換水(成分(D))、以下に示す香料(成分(C))、並びに任意成分を、表3(実施例1〜10)、表4(実施例11〜13)、表5(比較例1〜10)、表6(比較例11〜20)、表7(比較例21〜29)、表8(比較例30〜34)に示す配合成分を各割合で混合することにより、液体芳香洗浄剤組成物を調製した。
【0091】
・香料(成分(D))
香料A:ピーチ系調合香料(ジボダン製のPEACH J515457)
香料B:ミント系調合香料(稲畑香料(株)製のB.MINT KB3218)
香料C:フローラル系調合香料(ジボダン製のSKY DIVE 69616/4)
香料D:ミント系調合香料(稲畑香料(株)製のBW.MINT KB7120(R-13))
・両性界面活性剤
アモーゲン S−H(第一工業製薬(株)製のベタイン系両性界面活性剤)
アモーゲン AOL(第一工業製薬(株)製のアミンオキサイド系両性界面活性剤)
・その他
DKS NL−90(第一工業製薬(株)製の非イオン系界面活性剤)
ノイゲン TDX−80(第一工業製薬(株)製の非イオン系界面活性剤)
ハイテノール 330T(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(第一工業製薬(株)製))
プロピレングリコール(可溶化剤)
【0092】
2.水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物の性能評価
上記の成分を表3〜表8に記載の配合比率に従い配合し、得られた水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物(実施例1〜13、及び比較例1〜34)を用いて、下記の評価試験を行った。
【0093】
・外観
得られた各水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物の0℃、25℃、及び60℃における外観を以下の評価基準により評価した。
透明均一 :○
微濁、又は白濁 :×
【0094】
・粘度
東機産業(株)製のB型粘度計(TV−10型)により、SPINDLE No-M2のローターを用い、30rpmにおける各液体芳香洗浄剤組成物の25℃、及び5℃の粘度を測定した。
【0095】
なお、各液体芳香洗浄剤組成物については、25℃においては組成物100%(希釈無し)及びイオン交換水で表記の濃度へ調整したもの(組成物70重量%+イオン交換水30重量%の割合で希釈したもの(表中「組成物70%」と表記))を用いて測定した。また、5℃においては組成物100%(希釈無し)、組成物80%(組成物80重量%+イオン交換水20重量%の割合で希釈したもの)へ調整したもの、及び組成物70%(組成物70重量%+イオン交換水30重量%の割合で希釈したもの)へ調整したものを用いて測定した。
【0096】
・評価基準
25℃粘度(組成物100%)
100〜150mPa・s :○
151mPa・s以上 :×↑
100mPa・s未満 :×↓
25℃粘度(組成物70%)
100mPa・s以上 :○
100mPa・s未満 :×↓
5℃粘度(組成物100%、組成物80%、組成物70%):
700mPa以下 :○
701〜800mPa・s :△
801mPa・s以上 :×↑
【0097】
・[冬場の使用適性]
得られた各液体芳香洗浄剤組成物(実施例1〜13、及び比較例1〜34)を本願の図1に記載される薬液供給具(容器)にそれぞれ収容した。当該薬液供給具において、液体芳香洗浄剤組成物が収容された薬液容器の内容積は、約80mlであり、液体芳香洗浄剤組成物を排出する排出孔は半径0.3mmで中心角45度の扇形である。該薬液容器に70mlの液体芳香洗浄剤組成物を収容した。上記容器に収容した各液体芳香洗浄剤組成物を、TOTO株式会社製のS721Bタンクの手洗い部上に設置した。そして、家庭用水洗トイレの貯水タンクのレバーを操作し(フラッシュし)、使用適性を評価した。なお、フラッシュ1回あたりの水洗タンク手洗い部から給水される流入水の流速は50mL/秒であり、満水時間(水をフラッシュしてからタンクが満水になり流水が止まるまでの時間)を60秒に設定し、流水量は3Lである。ここで、流入水の温度5℃(室温:15℃)は冬場の使用条件を想定している。
【0098】
・評価基準
問題なく使用できる:○
途中でゲル化又は粘度が高くなりすぎて適量が吐出されず使用できない:×
上記の評価結果について、表3〜表8に示す。なお、表3〜表8中の「*」は25℃において10〜90重量%の任意の濃度で水に溶解し、それらの水溶液粘度が800mPa・s未満であることを満たすアルキレンオキサイド型非イオン界面活性剤を「○」とし、その条件を満たさないアルキレンオキサイド型非イオン界面活性剤を「×」として示す。
【0099】
また、表5〜表8においての「成分(A)+成分(B)」、及び「成分(A)/成分(B)」の欄の「成分(A)」は、成分(A)に代えて成分(A’)及び/又は成分(A”)を用いた比較例では、成分(A’)及び/又は成分(A”)の量を表すものとする。
【0100】
【表3】

【0101】
【表4】

【0102】
【表5】

【0103】
【表6】

【0104】
【表7】

【0105】
【表8】

【0106】
上記表5〜表8の結果から、成分(A)〜成分(D)において、成分(A)又は成分(B)を含まない場合(比較例1、及び4〜34)では、液体芳香洗浄剤組成物の外観、25℃における粘度、及び5℃における粘度のいずれかが劣るという結果になった。
【0107】
特に、成分(A)を含まない比較例4、22及び24では、25℃における粘度が水による希釈に関わらず、著しく低下した。これは、成分(B)自体が25℃における粘度が低く、成分(B)による粘度の低下が液体芳香洗浄剤組成物に影響したものであると考えられる。
【0108】
また、成分(A)に代えて成分(A’)及び/又は成分(A”)を用いた比較例5、6、8、16、18、20、27、30、32、33及び34においても、25℃における粘度の低下がみられ、特に25℃における組成物70%(組成物70重量%+イオン交換水30重量%)の粘度においては、いずれも粘度の低下がみられた。このことから、比較例5、6、8、16、18、20、27、32、33及び34で用いた成分(A’)及び/又は成分(A”)の種類乃至は配合比率では、5℃という低温時での粘度は良好であるものの、25℃での水混入時の粘度低下の抑制が不十分であり、例えば夏場のような温度の高い環境下での水洗トイレ用洗剤としては、毎排出量が極端に多くなり、液体芳香洗浄剤組成物の不必要な流出の原因となるため、好ましくない。
【0109】
また、成分(A)に代えて成分(A’)及び/又は成分(A”)を用いた比較例7、9、10、11〜15、17、19、25、26、28、29及び31では、ゲル化、又は5℃における粘度の上昇がみられ、特に5℃における組成物80%(組成物80重量%+イオン交換水20重量%)の粘度においては、いずれもゲル化、又は粘度の上昇がみられた。このことから、比較例7、9、10、11〜15、17、19、25、26、28、29及び31で用いた成分(A’)及び/又は成分(A”)の種類乃至は配合比率では、25℃という高い温度での粘度は良好であるものの、5℃での水混入時の粘度上昇の抑制が不十分であり、例えば冬場のような温度の高い環境下での水洗トイレ用洗浄剤としては、液体芳香洗浄剤組成物の毎排出量が極端に減少したり、さらには排出孔から排出されなくなるため、好ましくない。
【0110】
また、成分(B)を含まない比較例1及び17ではゲル化が生じ、比較例21及び23では、25℃という粘度が低下する傾向にある状態においても、粘度の上昇を抑制することができず、5℃という低い温度条件においても粘度が、著しく高くなった。これは、成分(A)や成分(A’)自体の粘度が高く、成分(A)による高粘度化が液体芳香洗浄剤組成物に影響したものであると考えられる。
【0111】
さらに、成分(A)〜成分(D)のいずれも含む液体芳香洗浄剤組成物であっても、成分(A)と成分(B)の重量比率(成分(A)/成分(B))が0.38と低い場合(比較例2)には、25℃における粘度が水による希釈に関わらず、著しく低下し、逆に、成分(A)/成分(B))が2.5と高い場合(比較例3)には、液体芳香洗浄剤組成物はゲル化した。
【0112】
一方、表3及び表4に示す、上記成分(A)〜成分(D)全てを含み、かつ上記成分(A)と成分(B)との重量比率が本発明の範囲である場合には、液体芳香洗浄剤組成物の総量100重量部のうち、一般的に粘度が不安定な傾向になる範囲である30重量部に相当するまで水に置き換えられた際であっても、25℃のような低粘度化が生じてしまうような条件においても粘度の低下を招くことなく、さらに、5℃のような高粘度化が生じてしまう条件においてもゲル化や高粘度が生じないことが示された。
【0113】
以上より、本発明の液体芳香洗浄剤組成物によれば、温度変化に対し、さらに水との接触という過酷な条件においても影響の受けにくい、安定的な薬液の排出を可能とすることができ、水洗トイレ用液体芳香洗浄剤として好適に使用できることが示された。
【符号の説明】
【0114】
1 薬液収容部
2 支持体
3 調整部材
4 案内部材
5 排出孔
6 薬液容器
7 装置本体
8 吊掛部材
9 薬液排出機構
10 可動部
11 基部
12 側板
13 流水孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A):下記一般式[A]:
−O−(PO)−(EO)−H
(式中、Rは炭素数9〜11の分岐アルキル基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、aはPOの平均付加モル数で4≦a≦6、bはEOの平均付加モル数で12≦b≦16を示し、これらは単品であっても混合物であってもよい)
で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、
成分(B):25℃において、10〜90重量%の任意の濃度で水に透明に溶解し、それらの水溶液の粘度が800mPa・s未満であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、
成分(C):香料、及び
成分(D):水
を含み、
成分(A)と成分(B)が、重量比率で成分(A)/成分(B)=7/3〜3/7の範囲にある
水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【請求項2】
成分(B)が、下記一般式[B]:
−O−[(AO)/(EO)]−(AO)−H
(式中、Rは炭素数12〜16のアルキル基、AOはオキシブチレン基又はオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、c及びeはAOの平均付加モル数でそれぞれ2≦c≦5、0≦e≦5であり、dはEOの平均付加モル数で10≦d≦20、[(AO)/(EO)]はランダム付加を示し、これらは単品であっても混合物であってもよい)
で表される請求項1に記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【請求項3】
一般式[A]におけるRが炭素数10の分岐アルキル基である請求項1又は2に記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【請求項4】
下記一般式[B]におけるAOが、オキシプロピレン基である請求項2に記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【請求項5】
オンタンク用に用いられる、請求項1〜4のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。
【請求項6】
リム部用に用いられる、請求項1〜4のいずれかに記載の水洗トイレ用液体芳香洗浄剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−214601(P2012−214601A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80444(P2011−80444)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】