説明

水生植物植栽装置

【課題】水生植物を植栽し得る筒状ポットを所要に位置決めされた状態で簡易且つ確実に連結できる水生植物植栽装置を提供する。
【解決手段】縦長の筒状をなし且つ内部に収容された土壌材7で水生植物11を植栽できる筒状ポット2と、隣り合う2個の筒状ポット2,2相互を連結する連結具3とを具える。連結具3は、基板14の両側で隣り合う筒状ポット2,2内に挿入される挾持片15,15が対向状態に突設されており、両挾持片15,15が、隣り合う筒状ポットの向き合う側壁部19,19相互を挾持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然の水路や人工の水路の水辺等に水生植物を植栽できると共に、水路の水質浄化にも寄与する水生植物植栽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水路底部に水生植物を植栽するには、水流による土壌材の流出を防止して植物を確実に根付かせることが必要である。そのために、特開平8−84532号公報が開示する水生植物の植栽構造が提案されている。該植栽構造は、上下端が開放した縦長筒状をなす筒状植栽ポットを用いるもので、該筒状植栽ポットに土壌材を充填して水生植物を植栽し、これを水路底部の所定位置に、その下側部分を埋設した立設状態で設置するものであった。該筒状植栽ポットは、縦長筒状の形状のため、これを水路底部に設置する際に石材等を介して転倒しないように支持する必要があり、従って、多数の植栽用ポットを設置する場合には作業が繁雑である等の問題があった。
【0003】
このような課題を解決せんとして、特開平10−98962号公報が開示する水生植物の植栽構造が提案されている。この植栽構造は、図29〜30に示すように、上下端が開放された合成樹脂製の縦長の植栽用ポットaを、水路底部の所定位置に埋設される上下に重ね合わせられた合成樹脂製の設置用マットb,cに、上下に長い籠状を呈するステンレス製の固定器具dを介して立設状態で固定するものであった。そして上の設置用マットcには、複数のポット固定孔eが上下に貫通して設けられており、該ポット固定孔eに前記植栽用ポットaの下側部分fが嵌入され、ポット下端面gが下の設置用マットcに載置されると共に、前記籠状の固定器具dの上方向に延長する複数本の棒材h,h間に前記植栽用ポットaが収容されるようになされていた。
【0004】
かかる植栽構造によるときは、植栽用ポットを水路底部の所定位置に固定でき、植栽用ポットa内に充填された土壌材jが水流によって流出するのを防止できる利点はあったが、植栽用ポットaを水路底部の所定位置に固定するために、ポット固定孔eが貫通された前記構成の設置用マットb,cを必要としたばかりか、特別な固定器具dを用いる必要があり、又、植栽用ポットの位置固定作業に手間を要して施工コストの上昇を招く問題があった。又、植栽用ポットの固定を設置用マットbの前記ポット固定孔eで行うため、植栽用ポットを自由な配置では設置できなかった。加えて、前記植栽用ポットa及び設置用マットb,cは合成樹脂製のものであり、又前記固定器具dはステンレス製のものであったことから、水生植物kが水路底部に根付いた後も前記植栽用ポットや設置用マット、固定器具が分解されずにそのまま残るので、水路の景観が損なわれるのを防ぐためにこれらを回収しなければならない面倒さがあった。
【特許文献1】特開平8−84532号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】特開平10−98962号公報(第2−3頁、図1、図3、図5、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、土壌材の流出を防止して水生植物を確実に植栽し得る筒状ポットを水路底部に所望に位置決めされた状態で簡易且つ確実に固定できる水生植物植栽装置の提供を課題とするものである。更に進んで、水生植物が根付いた後に筒状ポット等を回収する手間を要さない水生植物植栽装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る水生植物植栽装置は、上下端が開放した縦長の筒状をなし且つ内部に収容された土壌材で水生植物を植栽できる筒状ポットと、隣り合う2個の筒状ポットの下端側相互及び/又は上端側相互を連結する連結具とからなり、該連結具は、両筒状ポット内に挿入されて該筒状ポットの向き合う側壁部相互を挾持する一対の挾持片を有する如くなされていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る水生植物植栽装置のより具体的な態様は、上下端が開放した縦長の筒状をなし且つ内部の下側部分に収容された土壌材で水生植物を植栽できると共に、前記内部の上側部分の内面で水生植物を支持する筒状ポットと、隣り合う2個の筒状ポットの下端側相互及び/又は上端側相互を連結する連結具とからなり、該連結具は、両筒状ポット内に挿入せしめられて該筒状ポットの向き合う側壁部相互を挾持する挾持片を有する如くなされており、又前記筒状ポットは、凝灰岩を破砕して形成した骨材を生分解性のバインダーを介して多孔質状に硬化させたポーラスブロックであると共に、前記連結具は全体が生分解性樹脂を以って形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る水生植物植栽装置の他の態様は、上下端が開放した縦長の筒状をなし且つ内部に収容された土壌材で水生植物を植栽できる筒状ポットと、隣り合う2個の筒状ポットの下端側相互及び/又は上端側相互を連結する連結具と、隣り合う筒状ポット間に介在される間隔保持片とからなり、該連結具は、両筒状ポット内に挿入せしめられて該筒状ポットの向き合う側壁部相互を前記間隔保持片を介在させて挾持することを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係る水生植物植栽装置のより具体的な態様は、上下端が開放した縦長の筒状をなし且つ内部の下側部分に収容された土壌材で水生植物を植栽できると共に、前記内部の上側部分の内面で水生植物を支持する筒状ポットと、隣り合う2個の筒状ポットの下端側相互及び/又は上端側相互を連結する連結具と、隣り合う筒状ポット間に介在される間隔保持片とからなり、該連結具は、両筒状ポット内に挿入せしめられて該筒状ポットの向き合う側壁部相互を前記間隔保持片を介在させて挾持する如くなされており、又前記筒状ポットは、凝灰岩を破砕して形成した骨材を生分解性のバインダーを介して多孔質状に硬化させたポーラスブロックであると共に、前記連結具は全体が生分解性樹脂を以って形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
前記各水生植物植栽装置において、前記筒状ポットを縦長の円筒状に形成すると共に、その外面に、隣り合う筒状ポットの円形周面部が嵌まり合う円形凹面を設けることがある。
【0011】
前記各水生植物植栽装置において前記連結具は、基板の両側で、隣り合う筒状ポット内に挿入せしめられる挾持片が対向状態に突設されたものとし、該両挾持片が、隣り合う筒状ポットの向き合う側壁部相互を挾持するように構成するのがよい。この場合、前記両挾持片の先端側を逆向きに斜めに屈曲し、両屈曲部間で拡大案内部を形成するのがよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る水生植物植栽装置は、上下端が開放した縦長筒状をなし且つ内部に収容された土壌材で水生植物を植栽可能となされた筒状ポットと、隣り合う2個の筒状ポットの下端側相互及び/又は上端側相互を連結する連結具とから構成されているため、筒状ポットの下側から或いは上側から挾持片を挿入するという簡易な連結手段によって筒状ポットを簡易に連結できる。又これにより、筒状ポット相互の位置関係を正しく保って全体を安定状態で連結でき、筒状ポットが位置ずれするのを防止できると共に、筒状ポット列が柵状を呈して土留としても有効に機能できる。
然も該連結具は、筒状ポット内に挿入せしめられて筒状ポットの向き合う側壁部相互を挾持する挾持片を有するため、筒状ポットを直線状態や各種の湾曲状態に連設する場合であっても、ポット固定孔を有した設置用マットを用いる従来装置に比し、水生植物の繁茂状態のデザインを考慮して、形態自由度の高い連設を容易に行うことができる。
これにより、設定された筒状ポットの連設形態に略合致させて水生植物を生育させることが可能となり、水路の景観向上を期し得る。
【0013】
(2) 筒状ポットは、上下端が開放した縦長の筒状を呈し、内部に収容された土壌材で水生植物を植栽可能であるため、水生植物が根付くまでの間、該水生植物が水流で流されてしまうのを防止できると共に、低水位時においても、筒状ポットの下端解放部から土壌材に水を供給できて水生植物の生育を促し、水路底部の土に根を張らせることができる。
【0014】
(3) 特に筒状ポットを、凝灰岩を破砕して形成した骨材を生分解性のバインダーを介して多孔質の筒状に硬化させると共に、連結具を生分解性の樹脂で形成したときは、筒状ポットのバインダーや連結具が生分解するため、水性植物が根付いた後にこれらを除去する必要がないばかりか、水に溶けた生分解性の樹脂を水生植物の養分となし得る。又、筒状ポットを構成していた前記骨材を、保肥力、保水力に優れた養土となし得る利点がある。
又、筒状ポットが凝灰岩の骨材からなるため、その良好な保水性により、その表面や内部における藻や微生物の繁殖が促進され、微生物による水質浄化も図り得る。特に、水性植物として葦や茅を採用したときは、これらが水中の汚染源である窒素や燐を吸収して生育することから、定期的にこれを刈り取ることにより、水生植物の活性化を図って窒素や燐の吸収を良好に行うことができ、効率的に水質浄化を図り得る。
【0015】
(4) 筒状ポットの内部の下側部分を土壌材の収容部とし、該筒状ポットの内部の上側部分の内面を、水生植物を支持する植物支持部とした場合は、水生植物が根付くまでの間、水流で水生植物が倒れるのをより効果的に防止できる。
【0016】
(5) 隣り合う筒状ポット間に間隔保持片を介在させる場合は、筒状ポットの連設形態を変化させることができて好ましい。
【実施例1】
【0017】
図1〜2において本発明に係る水生植物植栽装置1は、水生植物を植栽する筒状ポット2と、隣り合う2個の筒状ポット2,2の下端側相互を連結する連結具3とから構成されている。
【0018】
該筒状ポット2は、図1〜2に示すように、上下端が開放した縦長の筒状を呈し、図3に示すように、凝灰岩を骨材5とするポーラスブロックとして形成されている。該筒状ポット2は、より具体的には、凝灰岩を破砕して形成した玉砂利状の骨材5を、例えばトウモロコシを原料とする生分解性の樹脂をバインダー6として多孔質円筒状に硬化させてなるものであり、例えば、内径約90mm、肉厚約30mm、高さ約300mmに設定されている。そして本実施例においては、図4に示すように該筒状ポット2の下側の1/4〜1/3長さの部分が土壌材(植栽用の天然又は人口の土壌材)7の収容部9とされると共に、その上側部分を、内面10で水生植物11を支持する(茎や葉等を支持する)植物支持部13とされている。なお前記バインダーは2〜3年程度で生分解される。
【0019】
又前記連結具3は、例えばトウモロコシを原料とする生分解性の樹脂で一体形成された硬質のものであり、図1に示すように、矩形板状を呈する基板14の長手方向両端で、隣り合う筒状ポット2,2内に挿入せしめられる挾持片15,15が対向状態に突設されたクリップ状を呈し、両挾持片15,15の先側は逆向きに斜めに屈曲され、該屈曲部16,16間で拡大案内部17が形成されている。該連結具3の各部の寸法を例示すれば、前記基板14は短辺が約40mmで長辺が約70mm、前記挾持片15の突出長さが約75mm、前記屈曲部16の上下長さが約20mmに設定され、全体の肉厚は約5mmに設定されている。かかる構成の連結具3は2〜3年程度で生分解される。
【0020】
図5〜6は、前記構成を有する筒状ポット2をその側壁部19,19の外面20,20で当接させて立設状態とし、平面視で直線状に並設した場合を示すものであり、隣り合う2個の筒状ポット2,2の下端側相互が前記連結具3で連結されている。この連結状態において、図2に示すように、両筒状ポット2,2の下端21,21が、水路底部22の土や砂利上に設置された前記基板14に載置され、且つ、図6に示すように両挾持片15,15の両側18,18が筒状ポット2の内面10に当接乃至略当接した状態で、両挾持片15,15間で両側壁部19,19が弾性的に挾持されている。該連結具3を構成する両挾持片15,15の先端側が逆向きに斜めに屈曲されて前記拡大案内部17が形成されているため、前記両側壁部19,19を両挾持片15,15間に挿入する作業が容易である。
【0021】
又図7〜9は、前記直線状の並設状態において、隣り合う2個の筒状ポット2,2の上端側相互が前記連結具3で連結された状態を示すものである。この連結状態において、該連結具3の前記基板14が該筒状ポット2,2の上端23,23に載置され、且つ、図8に示すように両挾持片15,15の両側18,18が筒状ポット2の内面10に当接乃至略当接した状態で、両挾持片15,15間で両側壁部19,19が挾持されている。このように隣り合う2個の筒状ポット2,2の上端側相互を連結する場合は、筒状ポットを連設した後に前記連結具3の両挾持片15,15を筒状ポット2内にその上端側から挿入するだけで済むため、施工能率の向上が図られる。
【0022】
又図10は、前記直線状の並設状態において、隣り合う2個の筒状ポット2,2の下端側相互及び上端側相互を前記連結具3で連結した状態を示すものである。なお、筒状ポットの下端側相互及び上端側相互を連結する場合、上端側相互の連結は、筒状ポットの例えば3個毎に行う等、幾つかの筒状ポットを間に置いて行うこともある。このように上下の連結を行えば、筒状ポットの連結がより安定し、土留としての機能性向上が図られる。
【0023】
又図11は、前記筒状ポット2をその側壁部19,19の外面20,20で当接状態にして、平面視で湾曲状に並設した状態を示すものであり、隣り合う2個の筒状ポット2,2の下端側相互及び上端側相互が前記連結具3で連結されている。この場合、上下の連結具3,3の何れか一方は省略されてもよい。
【0024】
又図12は、平面視で直線状の並設状態において、その内の一つの筒状ポット2aに対して分岐状態に、平面視で例えば直線状を呈する如く筒状ポット2を並設した場合を示すものであり、隣り合う2個の筒状ポット2,2の下端側相互及び上端側相互が前記連結具3,3で連結されている。この場合、上下の連結具3,3の何れか一方は省略されてもよい。このように分岐状態に並設する場合、前記筒状ポット2の並設状態は、図13や図14に示すような湾曲状態に設定されることもある。
【0025】
図4は、このように連結された筒状ポット2の前記収容部(筒状ポット2の下側の約1/3の20cm程度の長さの部分)9に充填された土壌材7に葦や茅等の水生植物11の苗が植栽された状態を示している。該土壌材7は、植栽用の天然又は人工の土壌材であり、該筒状ポット2の下側の約1/3の10cm程度の長さの部分が水路底部22の土24に埋設されている。
【0026】
図15は、本発明に係る水生植物植栽装置1を用いて水路26の両側に植栽部27,27を形成した状態を示すものである。該水路26は、例えば、ボックスカルバート29を連結して構築した暗渠30の上面に形成した人工の水路として形成されており、該水路26の両側部分(水辺)にその長さ方向に連続する如く前記植栽部27,27が形成されている。
【0027】
該植栽部27を形成するには、図4〜6に示すと同様に、前記構成を有する筒状ポット2をその側壁部19,19の外面20,20で当接させて立設状態に並設すると共に、隣り合う2個の筒状ポット2の下端側相互を、図4に示すと同様に前記連結具3で連結し、その後、各筒状ポット2の前記収容部9に土壌材7を充填して行う。その後、図15、図4に示すように、該土壌材7に、葦や茅としての水生植物11の苗を入れその根部を植える。このとき、水生植物の上端が筒状ポットの上端から飛び出た状態にする。
【0028】
このように連結具3で筒状ポット相互を連結する結果、相互間の位置が定まるため、筒状ポットの並設施工を正確に行うことができる。そして、該連結により形成された筒状ポット列28は全体として安定状態にあるので、各筒状ポット2の立設位置が水流でずれたりせず、水生植物が根付くまでの間、筒状ポットの配置形態(配置デザイン)を保つことができ、筒状ポットの配置デザイン通りに水生植物を成長させることができる。又、連設された筒状ポット2の全体が連結具3を介して一体化しているため、筒状ポット列28は土留柵としても有効に機能でき、両筒状ポット列29,29間に流水部が確保される。
【0029】
なお、筒状ポットの下端側相互を連結した連結具3は、水路底部に埋設されて目視不能であるため、水路の景観を損なわない。
【0030】
そして、並設された筒状ポット2の上側の10cm程度の長さ部分31は水面32から突出しており、図15に示すように、各筒状ポット2の土壌材7に葦や茅の苗が植えられるのであるが、筒状ポット2はポーラスブロックとして形成されているため、図4に矢印で示すように、該筒状ポット2の側壁部19を浸透した水が土壌材7に供給され、水生植物11に供給される。又、筒状ポット2の下端33が開放しているために、低水位時においても、図4に矢印で示すように、水が該下端33を通して前記土壌材に供給され、水生植物に供給されることになる。
【0031】
このように植栽された水生植物11は、土壌材7の流出が筒状ポット2で防止されており、又、その茎12や葉が前記植物支持部13の内面10で支持されるために、水生植物11が根付くまでの間、これが水流で流されないように前記筒状ポット2で安全に保護される。図16は、前記土壌材7に植えられた水生植物11が根付いて稍成長した状態を示し、水生植物の根が筒状ポット2の下端から水路底部の土中に張っている。
【0032】
前記筒状ポット2や連結具3は、葦や茅が水路底部の土に根付くまでの間において形態が保持されればよいため、本実施例においては、筒状ポット2を形成するバインダー6や前記連結具3を、前記のように生分解性の樹脂を用いて形成しているのであるが、該生分解性の樹脂は、葦や茅が成長し、株分かれが旺盛になる2〜3年後には、前記生分解性樹脂が生分解され、前記筒状ポット2や前記連結具3の形態が崩れる。
【0033】
生分解性の樹脂は前記のようにトウモロコシを原料として形成されているため、生分解された樹脂は、植物生育に利用される安全な養分となる。又、筒状ポット2を構成していた玉砂利状の前記骨材5は弱酸性系で、多孔質で保肥力、保水力に優れているため、良好な養土となる。
【0034】
又図17は、水路の両側で葦や茅が繁茂した状態を示している。該繁茂状態は、予め設計された前記筒状ポット2の配置状態に略合致したものとなる。同図においては、前記生分解性樹脂の生分解によって前記筒状ポット2及び前記連結具3の形態が崩れた状態が示されている。前記葦や茅は、水中の汚染源である窒素や燐を吸収して生育することから、定期的にこれを刈り取ることにより、水生植物の活性化を図って窒素や燐の吸収を良好に行うことができる。そして、筒状ポットは凝灰岩の玉砂利状の骨材5からなるため、その良好な保水性により、その表面や内部における藻や微生物の繁殖が促進され、微生物による有機物の分解が行われるため、これによる水質浄化も図り得る。
【0035】
図18は、本発明に係る水生植物植栽装置1を用いて水路26に植栽部27,27を形成した他の態様を示すものである。該水路26は、天然又は人工の水路として形成されており、該水路26の両側部分にその長さ方向に連続する如く前記植栽部27が形成されている。該植栽部27は、前記構成を有する筒状ポット2を、前記のようにその側壁部19,19の外面20,20で当接させて立設状態に並設すると共に、隣り合う2個の筒状ポット2の下端側相互を、図2に示すと同様に前記連結具3で連結し、その後、各筒状ポット2の前記収容部(筒状ポット2の下側の約1/3の20cm程度の長さの部分)9に土壌材7を充填して構成されている。
【0036】
夫々の筒状ポット2は、水路の傾斜側面部35の下側部分に突き刺さった状態にあり該筒状ポット2の下端側部分36が土に埋設状態にあって、前記連結によって形成された筒状ポット列28は土留柵としても機能している。なお図18においては、筒状ポット2は水没しており、又符号38は砕石層である。
【0037】
図19は、本発明に係る水生植物植栽装置1のその他の応用例を示すものであり、水路26の両側部分で、隣接する2個の筒状ポット2,2の下端側相互を連結具3で連結して構成した筒状ポット列28を、段違い状態で配設している。なお本実施例においては、隣り合う2個の筒状ポット2,2の下端側相互及び上端側相互を連結具3で連結している。又図19においては、一部の筒状ポット列28aは水没している。
【実施例2】
【0038】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0039】
(1) 図20〜21は本発明で用いる筒状ポット2の他の態様を示すものであり、円筒状に形成されると共に、その外面に円形凹面39が形成されている。かかる構成の筒状ポット2,2相互は、該円形凹面39に円形周面部40を嵌め入れて連設すると共に、隣り合う2個の筒状ポットの下端相互及び上端相互を前記と同様構成の連結具3で連結した状態を示すものである。なお、上下の連結具3,3のいずれか一方は省略されてもよい。
【0040】
(2) 図22〜24は、本発明に係る水生植物植栽装置1のその他の実施例を示すものであり、水生植物を植栽する筒状ポット2と、隣り合う2個の筒状ポット2,2の下端側相互を連結する、前記と同様構成のクリップ状の連結具3と、隣り合う筒状ポット2,2間に介在される間隔保持片41とから構成されている。そして該間隔保持片41は、円筒状を呈する筒状ポットの円形周面部40を嵌め入れるための円形凹面42,42が両側に設けられている。前記連結具3は図23〜24に示すように、隣り合う2個の筒状ポット2,2の上端側相互及び下端側相互を、前記間隔保持片41を介在させて、対向する両挾持片15,15間で挾持するもので、連結された筒状ポット2,2間には、該間隔保持片41によって、例えば3cm程度の間隔が形成される。このように間隔保持片41を介在させた場合も、筒状ポット列28が形成され、該筒状ポット列42が全体として土留機能を発揮する。なお、上下の連結具3,3のいずれか一方は省略されてもよい。
【0041】
(3) 図25〜26は、本発明で用いる筒状ポット2の他の態様を示すものであり、上下端が開放された8角形筒状、6角形筒状を呈している。筒状ポット2は、その他にも、連結具3により相互が連結可能な各種形態に構成できる。
【0042】
(4) 図27は、本発明で用いる連結具3の他の態様を示すものであり、基板14の両端側において棒状の挾持片43,43を突設した構成を有している。図28は、隣接する2個の筒状ポット2,2の下端側相互を該連結具3で連結した状態を示している。
【0043】
(5) 本発明で用いる前記筒状ポット2は、全体をコンクリート製としたり、生分解性を有さない樹脂製とすることもある。又前記連結具3は、生分解性を有さない樹脂を用いて形成したり、ステンレス製等の金属製とすることもある。
【0044】
(6) 本発明は、前記のように水路に対しての他、池や湖等の水辺に水生植物を植栽する場合にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る水生植物植栽装置を示す分解斜視図である。
【図2】筒状ポットの下端側相互を連結具で連結した状態を示す断面図である。
【図3】筒状ポットのポーラス構造を説明する断面図である。
【図4】筒状ポットに収容された土壌材に水生植物を植えた状態を示す断面図である。
【図5】筒状ポットを直線状に並設すると共に、隣り合う筒状ポットの下端側相互を連結具で連結した状態を示す斜視図である。
【図6】その平面図である。
【図7】筒状ポットを直線状に並設し、隣り合う筒状ポットの上端側相互を連結具で連結した状態を示す斜視図である。
【図8】その平面図である。
【図9】その断面図である。
【図10】筒状ポットを直線状に並設すると共に、隣り合う筒状ポットの下端側相互及び上端側相互を連結具で連結した状態を示す断面図である。
【図11】筒状ポットを湾曲状に並設し隣り合う筒状ポット相互を連結具で連結した状態を示す平面図である。
【図12】筒状ポットを分岐状態に並設し隣り合う筒状ポット相互を連結具で連結した状態を示す平面図である。
【図13】分岐並設状態の他の態様を示す平面図である。
【図14】分岐並設状態のその他の態様を示す平面図である。
【図15】本発明に係る水生植物植栽装置を用いて形成した水路両側の植栽部を、水生植物を植えた状態で示す斜視図である。
【図16】筒状ポットに収容した土壌材に植えた植物が成長した状態を示す断面図である。
【図17】水路両側で水生植物が繁茂した状態を示す斜視図である。
【図18】本発明に係る水生植物植栽装置を用いて形成された水路両側の植栽部を、水生植物を植えた状態で示す断面図である。
【図19】本発明に係る水生植物植栽装置を用いて水路両側に形成した植栽部のその他の態様を、水性植物を植えた状態で示す断面図である。
【図20】外面に円形凹面が形成された筒状ポット相互を連結具で連結した状態を示す斜視図である。
【図21】その平面図である。
【図22】隣り合う筒状ポット間に間隔保持片を介在させる本発明の水生植物植栽装置を示す分解斜視図である。
【図23】隣り合う2個の筒状ポット相互を、間隔保持片を介在させて連結具で連結した状態を示す斜視図である。
【図24】その平面図である。
【図25】八角形筒状を呈する筒状ポットを用いて構成された本発明に係る水生植物植栽装置をその使用状態で示す平面図である。
【図26】六角形筒状を呈する筒状ポットを用いて構成された本発明に係る水生植物植栽装置をその使用状態で示す平面図である。
【図27】連結具の他の態様を示す斜視図である。
【図28】その使用状態を示す断面図である。
【図29】従来の水生植物植栽構造を説明する断面図である。
【図30】その植栽構造を説明する分解斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
1 水生植物植栽装置
2 筒状ポット
3 連結具
5 骨材
6 バインダー
7 土壌材
9 収容部
10 内面
11 水生植物
13 植物支持部
14 基板
15 挾持片
16 屈曲部
17 拡大案内部
19 側壁部
26 水路
27 植栽部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下端が開放した縦長の筒状をなし且つ内部に収容された土壌材で水生植物を植栽できる筒状ポットと、隣り合う2個の筒状ポットの下端側相互及び/又は上端側相互を連結する連結具とを具え、該連結具は、両筒状ポット内に挿入されて該筒状ポットの向き合う側壁部相互を挾持する一対の挾持片を有する如くなされていることを特徴とする水生植物植栽装置。
【請求項2】
上下端が開放した縦長の筒状をなし且つ内部の下側部分に収容された土壌材で水生植物を植栽できると共に、前記内部の上側部分の内面で水生植物を支持する筒状ポットと、隣り合う2個の筒状ポットの下端側相互及び/又は上端側相互を連結する連結具とを具え、該連結具は、両筒状ポット内に挿入せしめられて該筒状ポットの向き合う側壁部相互を挾持する挾持片を有する如くなされており、又前記筒状ポットは、凝灰岩を破砕して形成した骨材を生分解性のバインダーを介して多孔質の筒状に硬化させたポーラスブロックであると共に、前記連結具は全体が生分解性樹脂を以って形成されていることを特徴とする水生植物植栽装置。
【請求項3】
上下端が開放した縦長の筒状をなし且つ内部に収容された土壌材で水生植物を植栽できる筒状ポットと、隣り合う2個の筒状ポットの下端側相互及び/又は上端側相互を連結する連結具と、隣り合う筒状ポット間に介在される間隔保持片とを具え、該連結具は、両筒状ポット内に挿入せしめられて該筒状ポットの向き合う側壁部相互を前記間隔保持片を介在させて挾持することを特徴とする水生植物植栽装置。
【請求項4】
上下端が開放した縦長の筒状をなし且つ内部の下側部分に収容された土壌材で水生植物を植栽できると共に、前記内部の上側部分の内面で水生植物を支持する筒状ポットと、隣り合う2個の筒状ポットの下端側相互及び/又は上端側相互を連結する連結具と、隣り合う筒状ポット間に介在される間隔保持片とを具え、該連結具は、両筒状ポット内に挿入せしめられて該筒状ポットの向き合う側壁部相互を前記間隔保持片を介在させて挾持する如くなされており、又前記筒状ポットは、凝灰岩を破砕して形成した骨材を生分解性のバインダーを介して多孔質の筒状に硬化させたポーラスブロックであると共に、前記連結具は全体が生分解性樹脂を以って形成されていることを特徴とする水生植物植栽装置。
【請求項5】
前記筒状ポットは縦長の円筒状に形成されると共に、その外面に、隣り合う筒状ポットの円形周面部が嵌まり合う円形凹面が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の水生植物植栽装置。
【請求項6】
前記連結具は、基板の両側で、隣り合う筒状ポット内に挿入せしめられる挾持片が対向状態に突設され、該両挾持片が、隣り合う筒状ポットの向き合う側壁部相互を挾持することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の水生植物植栽装置。
【請求項7】
前記両挾持片の先端側は逆向きに斜めに屈曲され、両屈曲部間で拡大案内部が形成されていることを特徴とする請求項6記載の水生植物植栽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2006−34167(P2006−34167A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218596(P2004−218596)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000137074)株式会社 ホクコン (40)
【Fターム(参考)】