説明

水硬化性固定材

【課題】基材によらず固定材として充分な強度が得られるような水硬化性樹脂組成物によって、優良な水硬化性固定材を得るようにする。
【解決手段】基材に水硬化性樹脂組成物を保持させて水硬化性固定材とする。水硬化性樹脂組成物は、ポリオールとポリイソシアネートからなるポリウレタンプレポリマーの水硬化性樹脂に、界面活性剤が配合され、触媒、安定剤その他の添加剤が配合される。この界面活性剤としては、HLB値が7以上の界面活性剤が使用され、特にアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤が有効に使用できる。基材としては、無機繊維、化学繊維、天然繊維を用いた編物、織物、不織布等を使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として外科、整形外科分野において患部を固定して治療するために用いる水硬化性固定材に関する。
【背景技術】
【0002】
水硬化性固定材は、水硬化性樹脂組成物をテープ状又はシート状の基材に塗布し、湿気不透過性の包装に密封して販売されている。この水硬化性固定材は、使用時に水に浸漬してから患部に適用すると、短時間のうちに硬化して患部を固定することができ、充分な強度が得られる。また、使用する際に特別な装置を必要としないし、汚染や悪臭も無い。更に患者にとっても短時間で固定が可能であり、通気性もよくX線撮影も可能なことなど多くの利点を持つため、以来種々の提案が為されて実用化され、従来からの焼石膏を用いたギプス包帯に代って広く用いられるようになっている。(特許文献1)
【0003】
水硬化性固定材の硬化後の強度は一般的に高いほうが望ましく、強度を得る方法として、樹脂の組成を変える、強度のある基材を使う、基材の密度を高くする、ことなどが考えられる。上記樹脂の組成を変えるには、固定材としての必要機能を維持しつつ、物性のバランスを取らなければならないので、想像以上に手間と費用がかかる。また、強度のある基材を使うことは、使用時の操作性及び製造時の作業性の上から種々の問題がある。更に、基材の密度を高くすると、硬化後の通気性、塗布樹脂量の増加などの問題がある。また、樹脂の基材に対する塗布量を増やすことは、硬化後の通気性、樹脂の移行や偏在化、使用時のロール展開性、重量の増加などに問題が出てくる。
【0004】
また、現在、水硬化性固定材の基材として一般的に使用されているものに、ガラス繊維を編成したガラス基材があり、これによって十分な強度が得られている。更に、一部、ガラス基材以外にも化学繊維を編成した柔軟な基材を使用したものが提供されている。
【0005】
この化学繊維基材はガラス基材を使用した固定材に比べ、柔軟性、伸縮性があり、凹凸への追従性がよいので患部へのフィット性があり、使用時の操作性がよく、採型性もよい。また、重量も軽く、X線透過性もよく、キャストエッジが鋭くならず基材に熱処理等を行わなくても断端がほつれにくいという利点がある。さらに、ギプスカッターによってカットして患部から取外すときに、カットかすの大きさが大きいため、粉塵が飛散しにくく、吸い込んだりすることがない。その上、製造時にはガラス基材のように、細かい繊維片の飛散がないし、廃棄時にも問題が少なく、環境に対する負荷が少ないなどのメリットがある。また、複雑な形状をした患部への使用に適し、ADL(activities of daily living)の向上を図ることが出来るなど種々の利点がある。しかしながら、その一方で、強度的にはガラス基材の固定材ほど強度を出し難いという問題点が見られる。
【特許文献1】特開昭58−146351号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ガラス基材は勿論のこと、ガラス繊維以外の柔軟な繊維、特に化学繊維を使用した基材を用いた場合でも、固定材として充分な強度が得られるような水硬化性樹脂組成物によって、優良な水硬化性固定材を得られるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基材に水硬化性樹脂組成物を保持させた固定材であり、水硬化性樹脂組成物は、ポリオールとポリイソシアネートからなるポリウレタンプレポリマーの水硬化性樹脂に界面活性剤が配合され、触媒、安定剤その他の添加剤が配合される。そして、この界面活性剤としては、HLB値が7以上の界面活性剤が使用され、特にアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤が有効に使用できる。このHLB値は次の(式1)によって求められる数値である。
(式1)
HLB値=7+11.7log(親水部の式量の総和/親油部の式量の総和)
また、基材としては、無機繊維、化学繊維、天然繊維を用いた編物、織物、不織布等を使用することができる。
水硬化性固定材の形態としては、ロール形状、スプリント形状その他がある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、水硬化性樹脂にHLB値が7以上の界面活性剤を配合することにより、この水硬化性樹脂を用いた固定材の強度を上げることができる。化学繊維製の基材を使用した固定材であっても、十分な強度を出すことができる。また、ガラス製の基材の場合にも固定材の強度を向上させるので、樹脂や基材の使用量を減少させることができ、経済的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
上記水硬化性樹脂組成物のポリウレタンプレポリマーは、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するものである。上記ポリオールとしては、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダムまたはブロック共重合体、ビスフェノール系ジオールなどを、単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。
このポリオールは、数平均分子量として約200〜4000程度のものが望ましい。分子量200より下では剛性が大きく、硬くて脆い性質となり、分子量4000より上では剛性が小さく固定材としての強度が不足することがある。
【0010】
上記ポリイソシアネートには、従来公知のポリイソシアネートを使用することができ、例えば4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート及びこれらのカルボジイミド変性ポリイソシアネートなどがあり、これらは単独または2種以上組合せて使用することができる。好ましくは、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、及びこれらのカルボジイミド変性ポリイソシアネートを用いるとよい。
【0011】
末端にイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを得るための、ポリオールとポリイソシアネートとの配合比率は、通常ポリオール1当量当りポリイソシアネート2〜5当量、好ましくは2.5〜5当量にする。両者の反応は、通常約30〜100℃、好ましくは約50〜80℃で加熱攪拌することで達成される。また、ポリウレタンプレポリマーの粘度は、通常室温(23℃)で約10〜50Pa・s、好ましくは約15〜40Pa・sにするとよい。
【0012】
上記ポリウレタンプレポリマーに対する触媒としては、貯蔵安定性に優れたものを選択使用するとよく、従来からよく知られているものとして、ジモルホリノジエチルエーテル、ビス(2,6−ジメチルモルホリノ)ジエチルエーテル、置換モルホリノジエチルエーテル類などがあり、これらを単独または2種以上混合して用いることができる。通常ポリウレタン樹脂組成物の約0.1〜5重量%、好ましくは約0.5〜3重量%用いる。この値より少ないと使用する際の可使時間が長くなり過ぎ、又この値より多いと可使時間が短くなり過ぎることとなる。
【0013】
上記した界面活性剤としては、HLBの値が7以上である界面活性剤を用いる。各種の界面活性剤を用いることができるが、その中でもアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤を用いると好ましいことが多い。
こうしたアニオン系界面活性剤としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどのジアルキルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩その他、これらの混合物がある。
【0014】
また、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン誘導体、ソルビタンモノラウレートなどのソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどのポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールモノステアレートなどのポリオキシエチレン脂肪酸エステルなど、及びこれらの混合物がある。好ましくはポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどを用いることができる。
更に、上記アニオン系界面活性剤とノニオン系界面活性剤を場合に応じて併用することができる。
【0015】
界面活性剤の配合量としては、ポリウレタン樹脂組成物の約0.01〜10重量%程度であり、好ましくは約0.02〜5重量%である。0.01重量%より少ない量では固定材の強度が増加せず、10重量%より多いと固定材の層間接着性が悪くなる恐れがある。アニオン系界面活性剤では約0.05〜5重量%が好ましく、更には約0.05〜3重量%が好ましい。ノニオン系界面活性剤では、0.01〜4重量%が好ましく、更には約0.02〜3重量%が好ましい。
【0016】
ポリウレタン樹脂組成物中には、適宜、安定剤を含有させるとよい。こうした安定剤としては公知のベンゾイルクロライド、メタンスルホン酸、p‐トルエンスルホン酸などを使用することができる。これらの安定剤も単独または2種以上混合して用いることができる。安定剤の使用量は触媒の使用量によって異なるが、通常ポリウレタン樹脂組成物の約0.005〜1重量%、好ましくは約0.01〜0.5重量%である。0.005重量%より少ない量では安定化効果がなく、1重量%より多いと触媒の活性が損なわれるおそれがある。
【0017】
本発明のポリウレタン樹脂組成物には、さらに必要に応じて、消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、顔料や染料などの着色剤、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック、クレイ等の充填剤などの各種添加剤を使用することができる。
【0018】
この水硬化性固定材の基材には、柔軟であって、低水分率で、引張強度が高く、ポリウレタン樹脂組成物に非反応性で、かつ濡れやすい素材から作られた編物、織物、不織布等を使用することができる。例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリル繊維、レーヨン繊維、綿繊維等を用いた編物、織物、不織布などがある。特にポリエステル繊維又はガラス繊維の集合体(糸)を用いてラッシェル編みしたものがよい。
上記水硬化性固定材の基材は、目付けが100〜500g/m2程度、好ましくは180〜350g/m2程度のものがよい。
【0019】
上記基材にポリウレタン樹脂組成物を保持させて水硬化性固定材を製造する方法は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、低湿度に調整された室内で、ポリウレタン樹脂組成物をロールによって基材に塗布する方法によって製造することができる。
ポリウレタン樹脂組成物の基布への塗布量は、通例、180〜320g/m2程度、好ましくは200〜280g/m2程度である。
こうして得られた水硬化性固定材は、湿気を遮断できる包装体内に密封して保存するとよい。
【0020】
この水硬化性固定材を使用する場合、密封されている包装体内より取出して水に浸漬すると、水硬化性樹脂と共に存在する上記界面活性剤により、水硬化性樹脂に対する水の浸透性が向上し、樹脂が水と容易に接触して、短時間のうちに樹脂表面から内部に向かって硬化反応が進行するようになる。
また、使用施術中に巻回などによって固定材が積層された状態で、外から圧迫力などの作用が加わっても、表層が硬化していることに伴って積層物が潰れ難く、所期の厚さを保持することができると考えられ、固定材の全体として構造的に充分な強度を出すことができる。
【0021】
更に、患部に形成される固定材に力が加わったときにも、未だ硬化していない水硬化性樹脂が内部から外部へ流出するようなことがなく、内部において硬化するので層間の構造強度に寄与する樹脂量が減少することが見られず、強度の低下が起こらない。また、樹脂が基材の持つ開口部に漏出して開口を狭窄させることもないから、固定材としての良好な通気性を確保することができる。
【実施例】
【0022】
(実施例1〜4)
ポリウレタン樹脂組成物の調製は、先ず、窒素ガスで置換した反応容器にポリオール成分、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)(HLB9.7)、潤滑剤、消泡剤を仕込む。80〜100℃にて水分を除き、安定剤の一部を加え、その後ポリイソシアネート成分、酸化防止剤を加えて70〜80℃で約3時間撹拌を行う。更に、触媒と、残りの安定剤を加え、一時間撹拌してポリウレタンプレポリマー組成物を得た。
使用した配合材料は、表1に示すとおりであり、配合割合は、表2に示すとおりである。
こうして作製したポリウレタン樹脂組成物は、窒素ガスで置換した密閉容器に封入した。
【0023】
水硬化性固定材は、上記ポリウレタン樹脂組成物を基材に塗布して作製した。この基材にはポリエステル繊維を用い、幅100mmにラッセル編みした、目付190g/m2のテープ状基材(PET編布)を使用した。この基材へのポリウレタン樹脂組成物の塗布は、ロールコーター方式でポリウレタン樹脂組成物を平均220g/m2塗布した。基材にポリウレタン樹脂組成物を塗布したものは、長さ3.6mのロール状に巻き取って水硬化性固定材とし、湿気不透過性袋に窒素ガス置換をして封入した。
【0024】
(実施例5)
基材に、ガラス繊維で、幅100mmにラッシェル編みし、さらにヒートクリーニングを行った、目付270g/m2のテープ状基材(ガラス編布)を用いて、表2に示すようにその他は実施例1と同様にして水硬化性固定材を得た。
【0025】
(実施例6〜10)
表3に示すように、実施例1のポリウレタン樹脂組成物中の界面活性剤をSDSに換えて、実施例6:カラボンDA72(HLB9.4)、実施例7:エマルゲンLS―114(HLB14.0)、実施例8:レオドール460V(HLB13.8)、実施例9:レオドールTW-S120(HLB14.9)をそれぞれ配合し、同様にして作製した。
実施例10は、実施例1のポリウレタン樹脂組成物中の界面活性剤のSDSの配合割合を増量したものである。
【0026】
(比較例)
表4に示す配合割合で比較例1〜5を作製した。
(比較例1)
実施例1のポリウレタン樹脂組成物中に界面活性剤を配合していないものを、同様にして作製した。その他は、実施例1と同様にして水硬化性固定材を得た。
【0027】
(比較例2)
実施例1のポリウレタン樹脂組成物中に、界面活性剤を配合していないものを、同様にして作製した。
基材にはガラス繊維で、幅100mmにラッシェル編みし、さらにヒートクリーニングを行った、目付270g/m2のテープ状基材(ガラス編布)を使用した。
その他は、実施例1と同様にして水硬化性固定材を得た。
【0028】
(比較例3)
実施例3のポリウレタン樹脂組成物中に界面活性剤を配合していないものを、同様にして作製した。その他は、実施例3と同様にして水硬化性固定材を得た。
【0029】
(比較例4)
実施例3のポリウレタン樹脂組成物中に界面活性剤を配合していないものを、同様にして作製した。基材は比較例2と同じものを使用し、その他は、実施例3と同様にして水硬化性固定材を得た。
【0030】
(比較例5)
実施例1のポリウレタン樹脂組成物中の界面活性剤をレオドールMS−60(HLB3.5)に換えて配合し、同様にして作製した。
【0031】
上記実施例及び比較例の性能(物性)を比較し評価するために以下の試験を行った。
(24時間後強度の測定)
幅100mm×長さ300mmの水硬化性固定材を7層に積層したものを、水に10秒間浸漬して取り出し、余分な水を切り、平らな台の上に広げた。これに、100mm×100mmの面積当たり2kgの錘を載せて5分間静置して硬化させ、20℃、20%RHの環境下で24時間乾燥した。硬化したサンプルを長さ100mmにカットして、100mm×100mmの試験片を作製し、この試験片について3点曲げ試験を行い、最大強度の応力を測定した。
上記の試験条件は、支点間距離50mm、試験速度100mm/minとし、ロードセルは5kNで行った。測定環境は23℃、65%RH、水温および品温は20℃で行った。
この測定は3回行い、その平均値を24時間後強度(N)とした。
【0032】
(積層物の厚さの測定)
上記24時間後強度の測定に用いた硬化サンプルの厚さを、マイクロメーターを用いて測定した。
【0033】
(通気性の測定)
上記24時間後強度の測定と同様にして、硬化したサンプルを得た。この硬化したサンプルを直径40mmの円形に切り取り、ガーレー式通気度試験機によって、350mlの空気量の通気度試験を行った。
測定は3回行い、その平均値を通気度(秒)とした。
【0034】
(硬化試験片重量の測定)
上記24時間後強度の測定に用いる硬化サンプル(100mm×100mm)の重量を測定した。
【0035】
〔測定結果・考察〕
(24時間後強度について)
実施例1、実施例2のものは共に、同様な構成で界面活性剤を含んでいないポリウレタン樹脂組成物を使用した比較例1のものに比べ強度が高くなっている。また、実施例1、実施例2のものは、ガラス基布を用いて界面活性剤を含んでいないポリウレタン樹脂組成物を使用した比較例2に近いか、これを超える強度が出ている。このように実施例1、実施例2のものでは、PET編布を使用したものでも充分な強度が得られていることが判る。
実施例3、実施例4のものも共に、同様な構成で界面活性剤を含んでいないポリウレタン樹脂組成物を使用した比較例3のものに比べ強度が高くなっている。また、実施例3、実施例4のものは、PET編布を使用したものであるが、ガラス基布を用いて界面活性剤を含んでいないポリウレタン樹脂組成物を使用した比較例4を超える強度が出ている。
実施例5では、同じガラス編布の比較例2に比べ強度が高くなっている。
このように実施例1〜5のものでは、何れも充分な強度が得られていることが判る。
実施例6のアニオン系界面活性剤、実施例7〜9のノニオン系界面活性剤を使用したものでは、比較例1のものに比べ強度が高くなっているし、実施例1と同等またはそれ以上の強度が得られている。
また、実施例10に示す実施例1のSDSの配合割合を増したものでは、実施例1よりも更に大きな強度が得られていることが判る。
(通気性について)
実施例1〜10に示すものは、何れも対応する比較例1〜5のものに比べて通気度(秒)の値が小さくなっており、通気性がよくなっていることを示している。
(硬化試験片重量について)
実施例1、実施例2のものは、比較例1とほぼ同じ重量でも24時間後強度が大きく、比較例2とはほぼ同じ24時間後強度でも軽くなっている。また、実施例3、実施例4も、比較例3,比較例4との間で上記と同様の結果が得られている。実施例5は、比較例2とほぼ同じ重量でも24時間後強度が相当大きくなっている。
また、実施例6〜10のものは、実施例1とほぼ同等の重さで、実施例1とほぼ同等またはそれ以上の強度が得られている。
このように、各実施例のものでは、強度の高い水硬化性固定材が得られていることが判る。
【0036】
【表1】

【0037】
【表2】

【0038】
【表3】

【0039】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水硬化性樹脂組成物を基材に保持させた水硬化性固定材であって、上記水硬化性樹脂組成物はポリオール及びポリイソシアネートを含むポリウレタンプレポリマーと、触媒と、HLB値が7以上の界面活性剤を含有することを特徴とする水硬化性固定材。
【請求項2】
上記界面活性剤が、0.01〜10重量%含有されていることを特徴とする請求項1に記載の水硬化性固定材。
【請求項3】
上記界面活性剤が、アニオン系界面活性剤及び/またはノニオン系界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の水硬化性固定材。
【請求項4】
上記アニオン系界面活性剤が、0.05〜5重量%含有されていることを特徴とする請求項3に記載の水硬化性固定材。
【請求項5】
上記界面活性剤が、アルキル硫酸エステル塩及び/またはジアルキルスルホコハク酸エステル塩であることを特徴とする請求項3または4に記載の水硬化性固定材。
【請求項6】
上記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム及び/またはジオクチルスルホコハク酸ナトリウムであることを特徴とする請求項5に記載の水硬化性固定材。
【請求項7】
上記ノニオン系界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルのいずれかまたはこれらの混合物であることを特徴とする請求項3に記載の水硬化性固定材。
【請求項8】
上記基材が化学繊維で形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の水硬化性固定材。
【請求項9】
上記基材がポリエステル繊維の編物で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の水硬化性固定材。

【公開番号】特開2007−244856(P2007−244856A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34328(P2007−34328)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000151380)アルケア株式会社 (88)
【Fターム(参考)】