説明

水素ガス含有炭酸カルシウム及びその製造方法

【課題】
1gあたりに、25℃において0.1〜50μLの水素ガスが保持されて成り、温度25℃、湿度50%、大気圧下の開放状態において、水素ガス保持量が製造後から半減するまでに要する期間が6ヶ月以上である水素ガス含有炭酸カルシウム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
[a]成分:貝殻、真珠、風化造礁珊瑚、炭酸カルシウムから成る群より選択される1種又は2種以上の粒子、を
[b]成分:メタノール、エタノール、プロパノール、単糖類水溶液、二糖類水溶液、有機酸水溶液から成る群より選択される1種又は2種以上、
に浸漬して、10〜60kHzの超音波を1〜60分間照射することにより、[b]成分を[a]成分に付着させ、これを風乾後、250〜500℃で10分間〜5時間焼成することにより、水素源物質を熱分解させて水素ガスを発生させ、水素ガスを保持する[a]成分の粒子を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素ガスを含有した炭酸カルシウム及びその製造方法に関する。より詳しくは、水素ガスの保持量が経時で減少し難い水素ガス含有炭酸カルシウム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素ガスを体内に取り入れ、生体に対して有害なフリーラジカルと水素ガスとを反応させて疾病の改善をはかろうとする試みがなされている。水素ガスはフリーラジカルであるヒドロキシラジカルと反応して、生体に対して無害な水を生成することは良く知られている。以下の式(1)で示すように、ヒドロキシラジカルは水素原子が持つプロトンと電子を供与されて水となり無毒化される。
【0003】
【化1】

【0004】
水素ガスを血中に導入する場合、水素ガスは脳まで到達し、脳内の虚血・再灌流時の活性酸素による様々な弊害を改善することが知られている。しかし、活性酸素と反応するまでの間に、水素ガスが消失ないし大部分が消費されてしまう場合がある。そのため、上記弊害を改善することが困難となる場合もある。また、水素ガスをそのまま血中に取り入れる方法は、ドラッグデリバリという観点からは必ずしも理想的な方法とはいえない。
【0005】
また、水素ガスを日常的に簡単に摂取するという観点から、水素ガスが溶解している水を飲用することが考えられる。しかし、水素ガスの水に対する溶解度は低い。25℃、1気圧の条件において、水素ガスは水に対して1.55(mg/L)しか溶解しない。さらに、水素ガスの水に対する溶解量は、ヘンリーの法則に従い、気相中の水素ガスの分圧に比例する。そのため、水素ガスの分圧が小さい場合、即ち気相中に水素ガスが殆ど存在しない場合(例えば、大気中)は、水中に水素ガスを溶解させても、水素ガスは短時間のうちに蒸発逸散される。そのため、水素ガスは水中に長く滞留させることができない。従って、実質的に必要な量の水素ガスを、水中に一定の期間溶存させることはできない。
【0006】
特許文献1には、珊瑚、牡蠣殻を原料として製造する粉末状の担体に、水素ガスを保持させる方法が記載されている。珊瑚や牡蠣殻は、これらの成長生育過程において、骨格をなす炭酸カルシウムの層間に、コンキオリンを含む蛋白質などの有機物が不可避的に蓄積されている。そのため、珊瑚や牡蠣殻を還元的雰囲気下で焼成すると、この有機物の熱分解生成物である水素ガスが生じる。この水素ガスは、炭酸カルシウムの細孔内に含有される。この炭酸カルシウムに保持される水素ガスは、拡散消失され易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許4245655号公報
【特許文献2】特許4472022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、製品の品質を一定に保ち、かつ水素ガス保持量が長期に亘って減少しない水素ガス含有炭酸カルシウム及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、炭酸カルシウム等の担体に、水素化合物を付着させて焼成することにより、水素ガス保持量が一定の水素ガス含有炭酸カルシウムが得られることを見出し、特許出願を行った(特願2009−040093、特許文献2)。これらの発明において、担体に水素化合物を付着させ、更に超音波を照射することにより、水素化合物を担体の微細な細孔の深部にまで含浸させることができることを見出した。そして、この担体を焼成して得られる水素ガス含有炭酸カルシウムは、開放した大気中で保存する場合、水素ガス保持量が経時で殆ど低下しないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
上記課題を解決する本発明は以下に記載するものである。
【0011】
〔1〕
下記の[a]成分、
[a]成分:貝殻、真珠、風化造礁珊瑚、炭酸カルシウムから成る群より選択される1種又は2種以上の粒子
と、
前記[a]成分の粒子内に保持される水素ガスと、から成る水素ガス含有炭酸カルシウムであって、
前記[a]成分1gあたりに、25℃において0.1〜50μLの水素ガスが保持されて成り、
温度25℃、湿度50%、大気圧下の開放状態において製造後6ヶ月間保存した後の水素ガス残存量が50%以上であることを特徴とする水素ガス含有炭酸カルシウム。
【0012】
以下の〔2〕〜〔6〕に記載の発明も本発明に含まれる。
【0013】
〔2〕
[a]成分の平均粒子径が1〜100μmである〔1〕に記載の水素ガス含有炭酸カルシウム。
【0014】
〔3〕
[a]成分が、珊瑚由来の晶析炭酸カルシウムである〔1〕に記載の水素ガス含有炭酸カルシウム。
【0015】
〔4〕
〔1〕に記載の水素ガス含有炭酸カルシウムを添加して成る食品及び栄養補助食品。
【0016】
〔5〕
下記の[a]成分
[a]成分:貝殻、真珠、風化造礁珊瑚、及び炭酸カルシウムから成る群より選択される1種又は2種以上の粒子、
を、
下記の[b]成分
[b]成分:メタノール、エタノール、プロパノール、単糖類水溶液、二糖類水溶液、有機酸水溶液から成る群より選択される1種又は2種以上、
に浸漬して、10〜60kHzの超音波を1〜60分間照射することにより、[b]成分を[a]成分に付着させる工程と、
[b]成分が付着する[a]成分の水分量を1質量%以下とした後、250〜500℃で10分間〜5時間焼成する工程とを有することを特徴とする〔1〕に記載の水素ガス含有炭酸カルシウムの製造方法。
【0017】
〔6〕
[a]成分が、珊瑚由来の晶析炭酸カルシウムである〔5〕に記載の水素ガス含有炭酸カルシウムの製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムは、保持されている水素ガスが拡散消失され難い。そのため、長期間に亘って水素ガスを保持させることができる。
【0019】
本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムは、その製造工程において[a]成分に[b]成分が含浸され、超音波処理が行われているため、珊瑚、牡蠣殻等の天然由来の炭酸カルシウムを原料として用いる場合であっても、水素ガス含有量を高くすることができる。そのため、本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムを摂取する場合、人体内で生成するフリーラジカルを有効に無害化する効果が高い。
【0020】
本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムは、その製造過程において加熱処理されているため、別途の殺菌処理を要しない。そのため、食品原料として衛生的である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.水素ガス含有炭酸カルシウム
本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムは、下記の[a]成分の粒子と、[a]成分の粒子内に保持されている水素ガスとから構成される。
【0022】
(1)[a]成分
本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムを構成する[a]成分の粒子としては、貝殻、真珠、風化造礁珊瑚を粉砕した粒子や、炭酸カルシウムの粒子が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
貝殻としては、牡蠣やホタテなどの貝殻が例示される。
【0024】
貝殻、真珠、風化造礁珊瑚は、骨格をなす炭酸カルシウムと、その層間に蓄積する蛋白質を主とするコンキオリン等の有機物とから構成されている。このコンキオリンは後述する通り、水素ガスの発生源となる。
【0025】
炭酸カルシウムとしては、沈降炭酸カルシウムや珊瑚由来の晶析炭酸カルシウムが例示される。
【0026】
沈降炭酸カルシウムはどのような製造方法によって得られるものであっても良く、例えば炭酸ガス反応法、可溶性塩反応法で得られる沈降炭酸カルシウムを用いることができる。また、日本薬局方第15版に収載される沈降炭酸カルシウムを用いることができる。
【0027】
珊瑚由来の晶析炭酸カルシウムとは、珊瑚由来の炭酸カルシウムが溶解する水に結晶核を投入して析出させる炭酸カルシウムをいう。珊瑚由来の炭酸カルシウムが溶解する水としては、珊瑚堆積物からなる石灰岩を豊富に含む地層から採取される地下水や湧水が挙げられる。
【0028】
例えば、琉球諸島の地層の一部は、珊瑚堆積物からなる石灰岩地盤で覆われているため、この地層から採取される地下水には炭酸カルシウムが豊富に含まれている。即ち、この地下水は硬度が高く、そのままでは水道水として利用できない。そのため、この地下水は晶析処理により炭酸カルシウムを析出させて、水道水として利用されている。この晶析処理の際に析出される炭酸カルシウムを本発明の[a]成分として利用することができる。
【0029】
[a]成分の粒子の平均粒子径は0.1〜100μmで、1〜80μmが好ましい。100μmよりも大きいと、[b]成分(後述)が粒子の中心部まで浸透し難くなり、水素ガスの保持量を高くすることができない。0.1μmよりも小さいと、内部に保持される[b]成分の量が少なくなり水素ガスの保持量を高くすることができない。
【0030】
[a]成分の比表面積は0.5m/g以上であることが好ましい。0.5m/gよりも小さいと、水素ガスの保持量が極端に少なくなる。
【0031】
(2)[a]成分の粒子内に保持される水素ガス
[a]成分の粒子内に保持される水素ガスは、コンキオリン等の有機物が熱分解して生成する水素ガスや、後述の[b]成分が熱分解して生成する水素ガスである。この水素ガスは、[a]成分の細孔や間隙内に保持される。
【0032】
貝殻、真珠、風化造礁珊瑚は、骨格をなす炭酸カルシウムと、その層間に蓄積する蛋白質を主としたコンキオリン等の有機物とから構成されている。貝殻、真珠、風化造礁珊瑚は、焼成されると前記有機物が熱分解により消失し、炭酸カルシウム骨格に多数の細孔や間隙が形成される。この細孔や間隙内には、酸素が供給されず、局所的に還元的雰囲気となる。そのため、熱処理する雰囲気は酸化的雰囲気であってもよい。この局所的な還元的雰囲気下で前記有機物が熱分解されて生成する水素ガスの一部は、この細孔や間隙内に保持される。
【0033】
一方、炭酸カルシウムは水素ガスの発生源である有機物を実質的に含有しない。そのため、[a]成分に[b]成分(後述)を付着させて水素ガス発生源とする。
【0034】
貝殻、真珠、風化造礁珊瑚は、産出場所や成長条件の違いにより、層間に含まれる有機物の量や組成が一定ではない。そのため、これらを焼成する場合、水素ガス保持量は必ずしも一定範囲に収らない。本発明においては、[a]成分として、貝殻、真珠、風化造礁珊瑚を用いる場合であっても、これらに[b]成分を付着させている。これにより、水素ガスの保持量を高めるとともに、水素ガスの保持量を一定化している。
【0035】
即ち、[a]成分として貝殻、真珠、風化造礁珊瑚を使用する場合には、その層間に蓄積する蛋白質を主としたコンキオリン等の有機物と、[b]成分とが水素ガスの発生源となる。一方、炭酸カルシウムを使用する場合には、実質的に[b]成分のみが水素ガスの発生源となる。
【0036】
本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムには、[a]成分1gあたり、25℃において0.1〜50μLの水素ガスが保持されている。
【0037】
この水素ガス含有炭酸カルシウムは、保持されている水素ガスが大気中において拡散消失され難い。本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムは、温度25℃、湿度50%、大気圧下の開放系において、製造後6ヶ月間保管した後における水素ガスの残存率が50%以上であり、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。同条件下、水素ガスの残存率が50%未満である物は本発明の範囲外である。
【0038】
2.水素ガス含有炭酸カルシウムの製造方法
本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムは、上述の[a]成分に後述の[b]成分を付着させ、これを乾燥及び焼成することにより製造される。
【0039】
(1)[b]成分
本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムの製造に用いる[b]成分は、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類や、D−グルコースやD−フラクトース等の単糖類、マルトースやセルビオース、サッカロース等の二糖類、クエン酸やリンゴ酸等の有機酸である。アルコール類は無水アルコールであっても含水アルコールであっても良い。これら水素化合物は不純物を実質的に含まない物を用いることが好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0040】
(2)[b]成分の[a]成分への付着
[a]成分に[b]成分を付着させる方法としては、[b]成分がアルコール類の場合はそのままあるいは水で希釈して[a]成分に付着させる。[b]成分が単糖類水溶液、二糖類水溶液又は有機酸水溶液の場合はそのまま[a]成分に付着させる。この水溶液中における単糖類、二糖類又は有機酸の濃度は、0.005〜0.5mol/Lが好ましく、0.01〜0.1mol/Lが特に好ましい。
【0041】
付着は、[b]成分中に、[a]成分を浸漬することにより行う。浸漬の際には、[a]成分全体に[b]成分が十分に浸る量の[b]成分を用いる。浸漬時間は5分間〜20時間が好ましい。浸漬温度は特に制限がない。
【0042】
浸漬の際には10〜60kHzの超音波を1〜60分間照射する。これにより、[a]成分に形成されている細孔に[b]成分を十分に含浸させることができる。その結果、得られる水素ガス含有炭酸カルシウムは、水素ガス保持量が高くなるとともに、保持される水素ガスが拡散消失し難い。
【0043】
上記[b]成分が含浸付着する[a]成分は、濾過やデカンテーション等の分離手段により余分な[b]成分が除去された後、乾燥させることにより、[a]成分に[b]成分が保持される。乾燥方法は、真空乾燥や噴霧乾燥、凍結乾燥、ドラムドライヤによる乾燥等、公知の方法で行うことができる。この際、[a]成分の残存水分は1質量%以下とすることが好ましい。
【0044】
(3)[b]成分が保持される[a]成分の焼成
上記[b]成分が保持されている[a]成分は焼成することにより、コンキオリン等の有機物や[b]成分(以下、これらを総称して「水素源物質」ともいう)が熱分解される。熱分解により発生する水素ガスは[a]成分に保持される。焼成温度は、250〜500℃で、350℃程度が好ましい。この範囲の温度に加熱することで、水素源物質は熱分解され、生成する水素ガスが[a]成分、特に[a]成分粒子の細孔部に物理的に保持される。焼成時間は焼成量や焼成に用いる装置によっても異なるが、およそ10分間〜5時間である。
【0045】
焼成は窒素ガス等の不活性雰囲気や、大気等の酸化雰囲気で行うことができる。[a]成分に形成される細孔は、マイクロポアからメゾポアの大きさと推定できる。本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムは、炭酸カルシウムの細孔内で熱分解が行われる。熱分解時、細孔内は細孔外部から酸素が供給されにくくなるため、局所的に還元的雰囲気となる。そのため、窒素ガス等の還元的雰囲気で処理しなくても良く、製造コストや簡便さに優れる。細孔内の水素源物質は、この還元的雰囲気で熱分解され、生成する水素ガスが細孔内に物理的に含有されると考えられる。
【0046】
3.本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムの利用
本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムは、1日あたり300〜600mg(カルシウム換算)を摂取することが好ましい。本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムは、顆粒剤やカプセル剤に加工してサプリメントとしても良いし、パンやクッキー等の食品に添加しても良い。本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムは、大気中で100℃程度に加熱しても水素ガスが放出されることはない。
【0047】
本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムは、大気中に放置している間は、水素ガスは長期間にわたり殆ど放出されない。しかし、水中に存在させた場合、水素ガスは液相中で細孔内と細孔外の濃度差により放出される。そのため、水素ガスは水素ガスの担体である[a]成分の粒子表面から順次水中に拡散される。[a]成分の粒子表面では水素ガス濃度は飽和点に達しているか過飽和状態になっているものと考えられる。局所的には水素ガス濃度は極めて高くなっていると推定される。従って、水素ガスは[a]成分1g当り0.1μL(25℃)以上含有されていれば、活性酸素を打ち消すに充分な量であるといえる。
【0048】
本発明の水素ガス含有炭酸カルシウムの水素ガス含有量は、一定量の該水素ガス含有炭酸カルシウムを密閉容器に入れて一定量の純水に溶かし、一定容積の気相を一定時間ごとに採取してガスクロマトグラフで分析することにより定量することができる。
【実施例】
【0049】
(実施例1)
平均粒径50μmの珊瑚由来の晶析炭酸カルシウム粉1000gをバットに入れ、95%(V/V)エタノール400mLをバットに注ぎ、35kHzの超音波を10分間照射してから10時間静置した。この晶析炭酸カルシウム粉を風乾後、空気中で350℃の電気炉を用いて3時間加熱し、水素ガス含有炭酸カルシウムを得た。
【0050】
この水素ガス含有炭酸カルシウム3.0gを33mlの容器に取り、純水15mlを加えて密閉し、36℃に加温後、容器を激しく振って容器下部に沈殿した炭酸カルシウム粉体を分散させた。その後、容器内の気相0.5mlをガスクロマトグラフに注入して水素ガスの定量分析を行った。本分析の分析条件は以下の通りである。この水素ガス含有炭酸カルシウムは、温度25℃、湿度50%、大気圧下の開放系において保存して、1ヶ月後、3ヶ月後及び6ヶ月後の水素ガス含有量を同様に測定した。分析結果は表1に示した。
【0051】
ガスクロマトグラフ分析条件
ガスクロマトグラフ:島津 GC14AT
データ処理装置:島津クロマトパック C−R7A
カラム:モレキュラーシーブ−5A
カラム温度:75℃
検出器:TCD
検出器温度:70℃、
電流値:80mA
キャリアガス:アルゴン、 アッテネーション:2
試料注入量:0.5ml、PA=8
(実施例2)
実施例1における平均粒径50μmの珊瑚由来の晶析炭酸カルシウム粉を、平均粒径50μmの風化造礁珊瑚粉に変更して実施例1と同様に操作し、水素ガス含有炭酸カルシウムを得た。この水素ガス含有炭酸カルシウムを試料とし、実施例1と同様の方法により水素ガス含有量を測定し、結果を表1に示した。
【0052】
(実施例3)
実施例1における平均粒径50μmの珊瑚由来の晶析炭酸カルシウム粉を、平均粒径80μmのカキ殻粉に変更して実施例1と同様に操作し、水素ガス含有炭酸カルシウムを得た。この水素ガス含有炭酸カルシウムを試料とし、実施例1と同様の方法により水素ガス含有量を測定し、結果を表1に示した。
【0053】
(実施例4)
実施例1における95%(V/V)エタノール400mLを、0.01mol/Lのグルコース水溶液に変更して実施例1と同様に操作し、水素ガス含有炭酸カルシウムを得た。この水素ガス含有炭酸カルシウムを試料とし、実施例1と同様の方法により水素ガス含有量を測定し、結果を表1に示した。
【0054】
(実施例5)
実施例2における95%(V/V)エタノール400mLを、0.01mol/Lのグルコース水溶液に変更して実施例1と同様に操作し、水素ガス含有炭酸カルシウムを得た。この水素ガス含有炭酸カルシウムを試料とし、実施例1と同様の方法により水素ガス含有量を測定し、結果を表1に示した。
【0055】
(実施例6)
実施例3における95%(V/V)エタノール400mLを、0.01mol/Lのグルコース水溶液に変更して実施例1と同様に操作し、水素ガス含有炭酸カルシウムを得た。この水素ガス含有炭酸カルシウムを試料とし、実施例1と同様の方法により水素ガス含有量を測定し、結果を表1に示した。
【0056】
(比較例1)
平均粒径50μmの風化造礁珊瑚粉1000gを空気中で350℃の電気炉を用いて3時間加熱し、水素ガス含有炭酸カルシウムを得た。この水素ガス含有炭酸カルシウムを試料とし、実施例1と同様の方法により水素ガス含有量を測定し、結果を表1に示した。
【0057】
(比較例2)
平均粒径80μmのカキ殻粉1000gを空気中で350℃の電気炉を用いて3時間加熱し、水素ガス含有炭酸カルシウムを得た。この水素ガス含有炭酸カルシウムを試料とし、実施例1と同様の方法により水素ガス含有量を測定し、結果を表1に示した。
【0058】
(比較例3−8)
35kHz超音波の10分間の照射を行わない他は、それぞれ実施例1−6と同様に操作し、水素ガス含有炭酸カルシウムを得た。この水素ガス含有炭酸カルシウムを試料とし、実施例1と同様の方法により水素ガス含有量を測定し、結果を表1に示した。
【0059】
【表1】

【0060】
実施例1〜6の水素ガス含有炭酸カルシウムの水素ガス含有量は、製造直後と6月経過後とで殆ど変化しなかった。一方、比較例1〜8の水素ガス含有炭酸カルシウムの水素ガス含有量は、経時的に低下した。
【0061】
(実施例7)
実施例1で得た水素ガス含有炭酸カルシウム50mgをハードカプセルに充填してサプリメントを得た。このサプリメントは違和感なく服用することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の[a]成分、
[a]成分:貝殻、真珠、風化造礁珊瑚、炭酸カルシウムから成る群より選択される1種又は2種以上の粒子
と、
前記[a]成分の粒子内に保持される水素ガスと、から成る水素ガス含有炭酸カルシウムであって、
前記[a]成分1gあたりに、25℃において0.1〜50μLの水素ガスが保持されて成り、
温度25℃、湿度50%、大気圧下の開放状態において製造後6ヶ月間保存した後の水素ガス残存量が50%以上であることを特徴とする水素ガス含有炭酸カルシウム。
【請求項2】
[a]成分の平均粒子径が1〜100μmである請求項1に記載の水素ガス含有炭酸カルシウム。
【請求項3】
[a]成分が、珊瑚由来の晶析炭酸カルシウムである請求項1に記載の水素ガス含有炭酸カルシウム。
【請求項4】
請求項1に記載の水素ガス含有炭酸カルシウムを添加して成る食品及び栄養補助食品。
【請求項5】
下記の[a]成分
[a]成分:貝殻、真珠、風化造礁珊瑚、及び炭酸カルシウムから成る群より選択される1種又は2種以上の粒子、
を、
下記の[b]成分
[b]成分:メタノール、エタノール、プロパノール、単糖類水溶液、二糖類水溶液、有機酸水溶液から成る群より選択される1種又は2種以上、
に浸漬して、10〜60kHzの超音波を1〜60分間照射することにより、[b]成分を[a]成分に付着させる工程と、
[b]成分が付着する[a]成分の水分量を1質量%以下とした後、250〜500℃で10分間〜5時間焼成する工程とを有することを特徴とする〔1〕に記載の水素ガス含有炭酸カルシウムの製造方法。
【請求項6】
[a]成分が、珊瑚由来の晶析炭酸カルシウムである請求項5に記載の水素ガス含有炭酸カルシウムの製造方法。

【公開番号】特開2012−121782(P2012−121782A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276275(P2010−276275)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【特許番号】特許第4729649号(P4729649)
【特許公報発行日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(310023645)株式会社バイオレドックス研究所 (2)
【Fターム(参考)】