説明

水素含有電解水整水器及び浴槽設備及び水素含有電解水の製造方法

【課題】大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる水素含有電解水整水器を提供する。
【解決手段】電解槽12のマイナス側の通路2を流通したアルカリイオン水が流通する第2イオン水流路14と、第2イオン水流路14を流通するアルカリイオン水の一部を電解槽12のマイナス側の通路2に循環させる循環系統と、第2イオン水流路の吐水口に溶存水素を吸蔵する剤を供給する吸蔵剤供給系とを備え、電解槽12のマイナス側の通路2を流通してイオン交換されたアルカリイオン水の一部をマイナス側の通路2に循環させ、イオン交換されたアルカリイオン水に対して水素を溶存させ、更に、アルカリイオン水に溶存水素を吸蔵する剤を供給して水素含有電解水を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道から供給される水道水を電離してアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成すると共に生成されたアルカリイオン水に水素を溶存させる水素含有電解水整水器及び水素含有電解水の製造方法に関する。
【0002】
また、本発明は、水道から供給される水道水を電離してアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成すると共に生成されたアルカリイオン水に水素を溶存させる水素含有電解水整水器を有する浴槽設備に関する。
【背景技術】
【0003】
水道水からアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成するアルカリイオン整水器としては、正負の電極間にイオン交換膜を介在させ、水の電気分解作用を利用して、アルカリイオン水と酸性イオン水とに分離生成するものがある。また、このようなアルカリイオン整水器としては、水道のカラン(蛇口)に固定されるタイプのものや、水道管の途中に配置されるタイプ、いわゆるビルトインタイプのものがある。
【0004】
このビルトインタイプのアルカリイオン整水器としては、例えば、利用者が水栓を開くことによって原水管から水道水が通水されて電解槽に供給され、この電解槽でアルカリ水と酸性水とが生成される。そして、電解槽で生成されたアルカリ水が吐水管を経て吐水されると共に、酸性水が酸性水吐出管を経て排水される。また、利用者が水栓を閉じることによって原水管からの通水が停止されることによってアルカリ水の吐水が停止する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、新陳代謝の低下等により体内の脂肪が充分に代謝されずに脂肪細胞の回りに固まりとなる脂肪塊の存在がクローズアップされ、健康志向の高まりから脂肪塊を抑制することが求められている。脂肪塊の抑制にはサプリメントの服用が一般的であるが、服用に関する副作用等の問題があるのも実情である。このため、アルカリイオン水による入浴により肌を活性化させて脂肪塊を抑制することが注目されてきている。入浴に用いるアルカリイオン水は、水道水からアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成するアルカリイオン整水器を用いることが一般的である。
【0006】
しかしながら、従来のアルカリイオン整水器で生成されるアルカリイオン水には、充分に活性水素が含まれているとは言えず、脂肪塊を抑制する程度に肌を活性化できるには至っていないのが現状である。外部から水素ガスをバブリングして水素を溶存することも考えられるが、装置が大掛かりになると共に危険が伴うため、実現には至っていないのが現状である。
【0007】
【特許文献1】特開平10−192858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる水素含有電解水整水器及び水素含有電解水の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる水素含有電解水整水器を備えた浴槽設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の水素含有電解水整水器は、一対の電極を挟んでイオン交換膜が備えられマイナス側の通路及びプラス側の通路が備えられた電解槽と、電解槽のマイナス側の通路及びプラス側の通路に水道水を流通させる流通路と、電解槽のプラス側の通路を流通した酸性イオン水が流通する第1イオン水流路と、電解槽のマイナス側の通路を流通したアルカリイオン水が流通する第2イオン水流路と、第2イオン水流路を流通するアルカリイオン水の一部を電解槽のマイナス側の通路に循環させる循環系統と、第2イオン水流路の吐水口に溶存水素を吸蔵する剤を供給する吸蔵剤供給系とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項1に係る本発明では、電解槽のマイナス側の通路を流通してイオン交換されたアルカリイオン水の一部を第2イオン水流路から電解槽のマイナス側の通路に循環させ、イオン交換されたアルカリイオン水に対して水素を溶存させて水素含有電解水を得る。そして、吸蔵剤供給系から溶存水素を吸蔵する剤を供給することで、水素の溶存状態を長時間にわたり保持する。これにより、大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる。
【0012】
上記目的を達成するための請求項2に係る本発明の水素含有電解水整水器は、一対の電極を挟んでイオン交換膜が備えられマイナス側の通路及びプラス側の通路が備えられた複数の電解槽と、流通路からの水道水が並列状態で流通する第1流通路及び第2流通路と、電解槽のプラス側の通路を流通した酸性イオン水が流通する第1イオン水流路と、電解槽のマイナス側の通路を流通したアルカリイオン水が流通する第2イオン水流路と、水道水の流通方向における少なくとも最上流側の電解槽のプラス側の通路と第1流通路を連通する第1流入路と、水道水の流通方向における少なくとも最上流側の電解槽のプラス側の通路と第1イオン流路を連通する第1流出路と、水道水の流通方向における少なくとも最下流側の電解槽のプラス側の通路と第2流通路を連通するプラス側流入路と、水道水の流通方向における少なくとも最下流側の電解槽のマイナス側の通路と第2流通路を連通するマイナス側流入路と、水道水の流通方向における少なくとも最下流側の電解槽のプラス側の通路と第1イオン水流路を連通するプラス側流出路と、水道水の流通方向における少なくとも最下流側の電解槽のマイナス側の通路と第2イオン水流路を連通するマイナス側流出路と、水道水の流通方向における少なくとも最上流側の電解槽のマイナス側の通路と第2イオン水流路を連通する循環流入通路と、水道水の流通方向における少なくとも最上流側の電解槽のマイナス側の通路と第2流通路を連通する循環流出通路と、第2イオン水流路を流通するマイナス側流出路から流出したアルカリイオン水の一部を循環流入通路から電解槽のマイナス側の通路及び循環流出通路を通して第2流通路に循環させる循環手段と、第2イオン水流路の吐水口に溶存水素を吸蔵する剤を供給する吸蔵剤供給系とを備え、第1流入路及びプラス側流入路を通して第1流通路からの水道水を電解槽のプラス側の通路に流入させると共に、流出路及びプラス側流出路を通して第1イオン水流路に酸性イオン水を流出させ、マイナス側流入路を通して第2流通路からの水道水を水道水の流通方向における少なくとも最下流側の電解槽のマイナス側の通路に流入させると共に、マイナス側流出路を通して第2イオン水流路にアルカリイオン水を流出させ、循環手段により、循環流入通路を通して第2イオン水流路を流通するアルカリイオン水の一部を少なくとも水道水の流通方向における最上流側の電解槽のマイナス側の通路に循環させ、マイナス側の通路内のアルカリイオン水に水素を溶存させ、吸蔵剤供給系から第2イオン水流路の吐水口に溶存水素を吸蔵する剤を供給して溶存水素を吸蔵させることで水素の溶存を維持することを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る本発明では、水道水の流通方向における少なくとも最下流側の電解槽のマイナス側の通路でイオン交換されたアルカリイオン水の一部を、水道水の流通方向における少なくとも最上流側の電解槽のマイナス側の通路に循環させてイオン交換されたアルカリイオン水に対して水素を溶存させて水素含有電解水を得る。そして、吸蔵剤供給系から溶存水素を吸蔵する剤を供給することで、水素の溶存状態を長時間にわたり保持する。これにより、大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる。
【0014】
そして、請求項3に係る本発明の水素含有電解水整水器は、請求項2に記載の水素含有電解水整水器において、循環手段は、循環流出通路の流速を速めて循環流入通路からのアルカリイオン水に吸引力を生じさせる手段であることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る本発明では、循環流出通路の流速を速めてアルカリイオン水に吸引力を生じさせることでアルカリイオン水の一部を循環させて水素を溶存させることができる。
【0016】
また、請求項4に係る本発明の水素含有電解水整水器は、請求項3に記載の水素含有電解水整水器において、循環流入通路及び循環流出通路を備えた電解槽を2つ以上備え、下流側の電解槽の循環流入通路径及び循環流出通路径が漸増していることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る本発明では、下流側の電解槽の循環流入通路径及び循環流出通路径が漸増しているので、複数の電解槽に対して水道水の流入が均等に行われる。
【0018】
また、請求項5に係る本発明の水素含有電解水整水器は、請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器において、プラス側流入路及びマイナス側流入路を備えた電解槽を2つ以上備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項5に係る本発明では、2つ以上の電解槽で循環される前のアルカリイオン水を生成することができる。
【0020】
また、請求項6に係る本発明の水素含有電解水整水器は、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器において、電解槽のイオン交換膜に対向する領域を可撓膜によって形成すると共に、電解槽を整水器本体内に配置し、電解槽内に供給する水道水を電解槽と整水器本体との間の空間にも供給して電解槽を水道水中に保持することを特徴とする。
【0021】
請求項6に係る本発明では、電解槽内で生じる水圧差が電解槽の一部を構成する可撓膜が変形することで実質的に吸収されるため、イオン交換膜が変形することによる破損が防止される。このため、電解槽に供給する水道水の水圧を上昇させることができ、水素含有電解水の吐出量を増加させることができる。
【0022】
また、請求項7に係る本発明の水素含有電解水整水器は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器において、吸蔵剤供給系から供給される溶存水素を吸蔵する剤は、セルロースにカルボキシメチル基を結合させたCMセルロースであることを特徴とする。
【0023】
また、請求項8に係る本発明の水素含有電解水整水器は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器において、吸蔵剤供給系から供給される溶存水素を吸蔵する剤は、フコイダンであることを特徴とする。
【0024】
また、請求項9に係る本発明の水素含有電解水整水器は、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器において、吸蔵剤供給系から供給される溶存水素を吸蔵する剤は、グァーガムであることを特徴とする。
【0025】
請求項7〜請求項9に係る本発明では、CMセルロースもしくはフコイダンもしくはグァーガムを用いて水素を吸蔵することで水素の溶存状態を長時間にわたり保持することができる。
【0026】
上記目的を達成するための本発明の請求項10に係る浴槽設備は、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器の流通路の入口が水道水の原水管に接続され、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器の第2イオン水流路の吐出口が浴槽の給湯管に接続されていることを特徴とする。
【0027】
請求項10に係る本発明では、大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる水素含有電解水整水器を備えた浴槽設備とすることができる。
【0028】
上記目的を達成するための本発明の請求項11に係る水素含有電解水の製造方法は、水道水をマイナス側の電解によりイオン交換してアルカリイオン水を生成し、生成されたアルカリイオン水を循環してマイナス側の電解によりイオン交換して水素を溶存させ、水素を溶存させたアルカリイオン水に溶存水素を吸蔵する剤を供給して溶存水素を吸蔵させることで水素の溶存を保持することを特徴とする。
【0029】
請求項11に係る本発明では、大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の水素含有電解水整水器及び水素含有電解水の製造方法は、大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる。
【0031】
また、本発明の浴槽設備は、大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる水素含有電解水整水器を備えた浴槽設備となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
図1には本発明の一実施形態例に係る水素含有電解水整水器の概念構成、図2にはアルカリイオン水の流通状況、図3には酸性イオン水の流通状況、図4には図1に対応する各部材の寸法例、図5〜図8には各系統の流体の流れ状況例、図9には水素含有電解水整水器を備えた浴槽設備の概略、図10には溶存水素を吸蔵する剤を供給した際の溶存水素量の経時変化を示してある。
【0033】
図1に示すように、水素含有電解水整水器10の外枠を構成する整水器本体内には、内部で水道水が電離されてアルカリイオン水と酸性イオン水とが生成される複数(図示例では6個)の電解槽12(12a、12b、12c、12d、12e、12f)が保持されている。
【0034】
各電解槽12の内部にはイオン交換膜16が固定され、イオン交換膜16によって電解槽12の内部が2つの通路1、2に区切られている。図示例では、通路1がプラス側の通路1となってイオン交換により酸性イオン水が生成され、通路2がマイナス側の通路2となってイオン交換によりアルカリイオン水が生成される。
【0035】
電解槽12のイオン交換膜16に対向する領域には一対の電極17a、17bが設けられ、電極17a、17bは整水器本体11に設けられた端子部と接続されている。電極17a、17bは、例えば、メッシュ状のプラスチックシート等からなりイオン交換膜と同等の大きさを有するスペーサの一方の面にそれぞれ取り付けられている。そして、スペーサが空間にイオン交換膜16を挟持するように配置されることで、イオン交換膜16に対向する領域に電極17a、17bが設けられる。
【0036】
電解槽12の下端部側の整水器本体11には流通路3からの水道水が並列状態で流通する第1流通路4及び第2流通路5が設けられ、電解槽12の上端部側の整水器本体11には第1イオン水流路15及び第2イオン水流路14が設けられている。第1流通路4及び第2流通路5には流通路3から水道水が送られ、図3中右側から左側の電解槽12a、12b、12c、12d、12e、12f方向に水道水が流通する。即ち、図3中右側の電解槽12aが水道水の流通方向における最上流側となり、図3中右側の電解槽12fが水道水の流通方向における最下流側とされている。第1流通路4は電解槽12のプラス側の通路1につながり、第2流通路5は電解槽12のマイナス側の通路2につながっている。
【0037】
電解槽12のイオン交換膜16に対向する領域の少なくとも一部、本実施形態例では、電解槽12の全体が所定の柔軟性を有する可撓膜によって形成されている。例えば、電解槽12が、厚さが0.3mm程度のプラスチックシートによって形成されている。
【0038】
また、複数の電解槽12が保持された整水器本体の内部、即ち、電解槽12と整水器本体との間の空間内には水道水が供給され、整水器本体内に貯まった水道水(貯留水)の中に電解槽12が保持されている。また、整水器本体の内部には、電解槽12に接触しない領域の一部、例えば、第1イオン水流路15の上部に空気が残留している空気部が存在する。内部に水道水が供給される整水器本体11は、水道水の水圧に耐えられる程度の剛性を有する材料、例えば、ステンレス鋼等で形成する必要がある。
【0039】
6個の電解槽12a、12b、12c、12d、12e、12fのうち、水道水の流通方向における上流側の電解槽12a、12b、12c、12dには、第1流通路4につながる第1流入路31a、31b、31c、31d及び第2流通路5につながる循環流出路32a、32b、32c、32dが設けられている。また、水道水の流通方向における下流側の電解槽12e、12fには、第1流通路4につながるプラス側流入路33e、33f及び第2流通路5につながるマイナス側流入路34e、34fが設けられている。
【0040】
そして、第1流入路31a、31b、31c、31d及びプラス側流入路33e、33fは、電解槽12a、12b、12c、12d、12e、12fのプラス側の通路1に接続され、循環流出路32a、32b、32c、32d及びマイナス側流入路34e、34fは、電解槽12a、12b、12c、12d、12e、12fのマイナス側の通路2に接続されている。
【0041】
一方、6個の電解槽12a、12b、12c、12d、12e、12fのうち、水道水の流通方向における上流側の電解槽12a、12b、12c、12dには、第1イオン水流路15につながる流出路35a、35b、35c、35d及び第2イオン水流路14につながる循環流入路36a、36b、36c、36dが設けられている。また、水道水の流通方向における下流側の電解槽12e、12fには、第1イオン水流路15につながるプラス側流出路37e、37f及び第2イオン水流路14につながるマイナス側流出路38e、38fが設けられている。
【0042】
そして、流出路35a、35b、35c、35d及びプラス側流出路37e、37fは、電解槽12a、12b、12c、12d、12e、12fのプラス側の通路1に接続され、循環流入路36a、36b、36c、36d及びマイナス側流出路38e、38fは、電解槽12a、12b、12c、12d、12e、12fのマイナス側の通路2に接続されている。
【0043】
循環流出路32a、32b、32c、32d及び循環流入路36a、36b、36c、36dの径は、水道水の流通方向における下流側が漸増(例えば、4mm、6mm、8mm、10mm)している。また、プラス側流入路33e、33f及びプラス側流出路37e、37fの径は、水道水の流通方向における下流側が漸減(例えば、6mm、4mm)している。
【0044】
一方、第2イオン水流路14の出口側(吐水口)には吸蔵剤供給系50が接続され、吸蔵剤供給系50からは第2イオン水流路14の吐水口から第2イオン水流路14の内部に溶存水素を吸蔵する剤が供給される。溶存水素を吸蔵する剤としては、セルロースにカルボキシメチル基を結合させたCMセルロースが適用される。また、アルカリイオン水を飲料水として用いる場合には、溶存水素を吸蔵する剤として、フコイダン、グァーガムが適用される。また、溶存水素を吸蔵する剤としてカルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム(CMCナトリウム)を適用することも可能である。
【0045】
上述した水素含有電解水整水器10は、図9に示すように、流通路3の入口が原水側の水道管51に接続され、第2イオン水流路14の吐出口が蛇口52側の給湯管53に接続される。給湯管53により電解槽12によって生成された水素を溶存させたアルカリイオン水(水素含有電解水)が浴槽54に供給される。浴槽54に供給される水素含有電解水の溶存水素は、吸蔵剤供給系50から供給されたCMセルロースによって溶存状態が長時間にわたって保持されている。第1イオン水流路の端部は、電解槽12によって生成された酸性イオン水が排出される排水管55と接続される。
【0046】
排水管55の途中には電磁バルブ41が設けられ、酸性イオン水の排水量は電磁バルブ41の開閉によって制御されている。また、第2イオン水流路14と水道管51との接続部分には流量スイッチ42が設けられ、流量スイッチ42からの信号に基づいて電磁バルブ41が開閉される。また、流量スイッチ42及び電磁バルブ41の制御や電解槽12の電極17a、17bに供給する電圧の制御等は、図示しない制御手段によって制御されている。
【0047】
以下、水素含有電解水整水器10の動作を説明する。
【0048】
水素含有電解水整水器10の電解槽12内には流通路3から水道水が常に所定の圧力で供給されている。
【0049】
そして、利用者が給湯管53の蛇口52の部分に設けられた水栓56を開くことで、電解槽12内で生成された水素を溶存させたアルカリイオン水が第2イオン水流路14を介して蛇口52から所定の流量で浴槽54に供給される。同時に、アルカリイオン水が流れ始めたことが流量スイッチ42で検出され、流量スイッチ42からの信号に基づいて電解槽12内の電極17a、17b間には所定の電圧が印加される。更に、排水管55に設けられた電磁バルブ41が開状態にされて酸性イオン水が排出される。
【0050】
電解槽12内に供給された水道水は、イオン交換膜16で区切られた通路1、2に流れ込む。そして、電極17a、17b間には所定の電圧が印加されているため、電解槽12内、即ち、イオン交換膜16と電極との間を通過する際に、水道水中(循環されたアルカリイオン水)は水素イオンHと水酸イオンOHとに電離し、水素イオンHがイオン交換膜16を介して一方の空間に集まることで、アルカリイオン水と酸性イオン水とが生成される。つまり、2つの空間のうちの−電極(陰極)17a側の通路2では、イオン交換膜16を通過して水素イオンHが集まり、水道水(2HO)及び循環されたアルカリイオン水は、電子(2e-)によりH+2OH-に整水され、水素が溶存されたアルカリイオン水が生成される。
【0051】
一方、+電極(陽極)17b側の通路1では、水道水(2HO)は、O+4H+4e-に整水され、酸性イオン水が生成される。このように水道水は、この電解槽12を通過する際に連続的に電離され、これにより生成されたアルカリイオン水(水素が溶存されたアルカリイオン水)が蛇口52から供給されると共に、酸性イオン水が排水管55から排出される。
【0052】
吸蔵剤供給系50からは第2イオン水流路14の内部に溶存水素を吸蔵する剤であるCMセルロースが供給される。第2イオン水流路14のアルカリイオン水の水素はCMセルロースに吸蔵され、溶存水素の蒸散が抑制されて溶存状態が長時間にわたって保持される。
【0053】
また、利用者が水栓56を閉めることでアルカリイオン水の供給が停止され、これに伴い流量スイッチ42の信号によって電磁バルブ41が閉じられ、酸性水の排水も停止される。
【0054】
水素含有電解水整水器10における水道水の流れを説明する。
【0055】
第1流入路31及びプラス側流入路33を通して第1流通路4からの水道水を電解槽12のプラス側の通路1に流入させ、流出路35及びプラス側流出路37を通して第1イオン水流路15に酸性イオン水を流出させる。同時に、マイナス側流入路34を通して第2流通路5からの水道水を下流側の電解槽12e、12fのマイナス側の通路2に流入させると共に、マイナス側流出路38e、38fを通して第2イオン水流路14にアルカリイオン水を流出させる。
【0056】
循環流入路36a、36b、36c、36dを通して第2イオン水流路14を流通するアルカリイオン水の一部を上流側の電解槽12a、12b、12c、12dのマイナス側の通路2に循環させ、マイナス側の通路2から循環流出路32a、32b、32c、32dを通して第2流通路5にアルカリイオン水を流出させる。マイナス側の通路2を循環するアルカリイオン水に対して水素が溶存される。
【0057】
アルカリイオン水の一部が上流側の電解槽12a、12b、12c、12dのマイナス側の通路2に循環する循環手段は、循環流出路32a、32b、32c、32d及び循環流入路36a、36b、36c、36dの径を漸増させて構成されている。そして、分岐管の圧力差により、循環流入路36a、36b、36c、36dに引き込まれる力を生じさせ、アルカリイオン水の一部を循環流入路36a、36b、36c、36dからマイナス側の通路2に流入させる。尚、圧力差による流量の具体的な例は、図4〜図8に基づいて後述する。
【0058】
上述した水素含有電解水整水器10におけるアルカリイオン水の電解槽12a、12b、12c、12d、12e、12fでの流速は、図2に示したように、電解槽12a、12b、12c、12dでは循環方向となり、電解槽12e、12fでは吐出方向となる。
【0059】
また、酸性イオン水の電解槽12a、12b、12c、12d、12e、12fでの流速は、図3に示したように、吐出方向に均一となる。
【0060】
このため、イオン交換されたアルカリイオン水に対して水素を溶存させて水素含有電解水を得ることができ、吸蔵剤供給系50からはCMセルロースを供給してアルカリイオン水の水素をCMセルロースに吸蔵させるので、大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる。
【0061】
図4〜図8に基づいて水素含有電解水整水器10の流路の具体的な寸法及び流通状況を説明する。
【0062】
図4に示すように、第1流通路4、第2流通路5、第1イオン水流路15、第2イオン水流路14、第1流入路31a、31b、流出路35a、35bの径は13mmとされ、第1流入路31c、31d及び循環流出路32c、32dの径が10mm、8mmとされ、プラス側流入路33e、33f及びプラス側流出路37e、37fの径が6mm、4mmとされている。また、循環流出路32a、32b、32c、32d及び循環流入路36a、36b、36c、36dの径が4mm、6mm、8mm、10mmとされ、マイナス側流入路34e、34f及びマイナス側流出路38e、38fの径が13mmとされている。
【0063】
水道水は15l/minで供給され、第1流通路4に5l/min、第2流通路5に10l/minで供給される。第1イオン水流路15には5l/minで酸性イオン水が流通し、第2イオン水流路14には10l/minでアルカリイオン水(水素が溶存されたアルカリイオン水)が流通する。
【0064】
図5、図6に示すように、第2流通路5と循環流出路32a、32b、32c、32d及びマイナス側流入路34fとの接続部での流量Q、流速Vの変化量が図表に示した通りに設定され、圧力P1、P2、P3に対して図で示した通りに所定の圧力差が生じる。また、図7、図8に示すように、第2イオン水流路14と循環流入路36a、36b、36c、36d及びマイナス側流出路38eとの接続部での流量Q、流速Vの変化量が図表に示した通りに設定される。これにより、圧力P1、P2、P3に対して図で示した通りに所定の圧力差が生じてアルカリイオン水を循環させて水素を溶存させることができる。
【0065】
電解電圧V及び電解電流Aを変えて溶存水素濃度を測定した結果を説明する。以下に示した結果は、(1)〜(8)まで溶存水素の濃度が1.5ppm〜6.0ppm程度の範囲で順に高く(約4倍に増加)なっている。
(1)電解電圧25V、電解電流3A、アルカリイオン水5.0l、酸性イオン水1.0lの場合、水温38℃の水素溶存電解水が得られた。
(2)電解電圧23V、電解電流3A、アルカリイオン水5.0l、酸性イオン水2.5lの場合、水温41℃の水素溶存電解水が得られた。
(3)電解電圧44V、電解電流6A、アルカリイオン水5.0l、酸性イオン水1.0lの場合、水温38℃の水素溶存電解水が得られた。
(4)電解電圧42V、電解電流6A、アルカリイオン水5.0l、酸性イオン水0.5lの場合、水温37℃の水素溶存電解水が得られた。
(5)電解電圧43V、電解電流6A、アルカリイオン水5.0l、酸性イオン水2.5lの場合、水温41℃の水素溶存電解水が得られた。
(6)電解電圧59V、電解電流9A、アルカリイオン水5.0l、酸性イオン水0.5lの場合、水温38℃の水素溶存電解水が得られた。
(7)電解電圧60V、電解電流9A、アルカリイオン水5.0l、酸性イオン水1.0lの場合、水温39℃の水素溶存電解水が得られた。
(8)電解電圧67V、電解電流10A、アルカリイオン水5.0l、酸性イオン水0.5lの場合、水温38℃の水素溶存電解水が得られた。
【0066】
このように、条件を適宜設定することにより、充分な水素濃度を有し、所望の溶存水素の状態のアルカリイオン水を得ることができ、活性水素を充分に含んだアルカリイオン水を生成することができる。十分に活性水素を含んだアルカリイオン水が生成されることで、脂肪塊を抑制する程度に肌を活性化できるアルカリイオン水として適用することができる。
【0067】
ここで、溶存水素を吸蔵する剤を添加した際の溶存水素量の経時変化を図10に基づいて説明する。図10は、溶存水素を吸蔵する剤を添加しない場合(黒)、CMセルロースを1666ppm添加した場合(白)、グァーガムを833ppm添加した場合(斜線)、フコイダンを5000ppm添加した場合(網線)、の溶存水素量の経時変化を示してある。
【0068】
初期の段階では、溶存水素を吸蔵する剤を添加しない場合及び添加した場合のいずれも、溶存水素量は約0.7ppm〜約0.8ppm程度である。5分経過後には、溶存水素を吸蔵する剤を添加しない場合の溶存水素量の低下が顕著となる。10分経過後には溶存水素を吸蔵する剤を添加しない場合の溶存水素量の低下が更に顕著となり、溶存水素を吸蔵する剤を添加した場合に比べて約半分になる。更に、15分経過後には溶存水素を吸蔵する剤を添加しない場合の溶存水素量は、溶存水素を吸蔵する剤を添加した場合に比べて約1/3から約半分になり、溶存水素量の低下が一層顕著となる。
【0069】
このため、CMセルロースをはじめとした溶存水素を吸蔵する剤を添加することで、溶存水素の蒸散が抑制されて溶存状態が長時間にわたって保持されることが判る。
【0070】
また、溶存水素を吸蔵する剤として、CMCナトリウムを用いた場合も溶存水素の蒸散が抑制されて溶存状態が長時間にわたって保持されることが確認された。即ち、1666ppmのCMCナトリウムをサンプルのアルカリイオン水30mlに投入し、1200rpmで攪拌した後の溶存水素量を測定した結果、溶存水素を吸蔵する剤を添加しない場合は、15分後に、溶存水素量が約0.7ppmから約0.1ppmに減少したのに対し、CMCナトリウムを添加した場合、15分後に、溶存水素量は約0.7ppmから約0.3ppmまでしか減少しないことが確認された。つまり、15分経過しても約3倍の水素が溶存されていることが確認された。
【0071】
尚、上述した実施形態例では、電解槽12を6個備え、流路径を変えて圧力差によりアルカリイオン水を循環させる装置を例に挙げて説明したが、電解槽のマイナス側の通路及びプラス側の通路に水道水を流通させる流通路と、電解槽のプラス側の通路を流通した酸性イオン水が流通する第1イオン水流路と、電解槽のマイナス側の通路を流通したアルカリイオン水が流通する第2イオン水流路と、第2イオン水流路を流通するアルカリイオン水の一部を電解槽のマイナス側の通路に循環させる循環系統とを備えた構成であれば、実施形態例の構成には限定されない。例えば、循環系統に動力によりアルカリイオン水を循環させる構成とすることも可能であり、2個以上5個未満の電解槽、あるいは、7個以上の電解槽を備えた装置とすることも可能である。
【0072】
上述した水素含有電解水整水器10及び水素含有電解水の製造方法は、大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる。また、生成された水素含有電解水(アルカリイオン水)は、大掛かりな設備を要さずに水素が充分且つ確実に溶存された水素含有電解水となる。
【0073】
また、大掛かりな設備を要さずに水素を充分且つ確実に溶存させた水素含有電解水を得ることができる水素含有電解水整水器10を備えた浴槽設備となる。このため、十分且つ長時間にわたり活性水素を含んだ状態のアルカリイオン水を浴槽54に溜めることができ、入浴時に脂肪塊を抑制する程度に肌を活性化させることができる。
【0074】
上述した実施形態例における溶存水素を吸蔵する剤としては、水素の大気への蒸散を抑制する水素吸蔵用物質(天然系水溶性高分子、合成系水溶性高分子、天然系油脂等)を広く用いることができる。これは、水素は中性物質であるため、水素吸蔵用物資のポリマーに物理的に吸蔵及び物理的放出を行なう性質を有するためである。
【0075】
水素吸蔵用物質としては、上述したCMセルロース、グァーガム、フコイダンをはじめとしたデキストラン硫酸から構成される天然系水溶性ポリマーの群の一つ乃至は複数を用いることができる。また、水溶性合成ポリマーであるポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)のいずれか、もしくは両方を用いることができる。また、アンチオキシダント剤であるヘスペリジン、アスコルビン酸、カテキンから構成される群の一つ乃至は複数を用いることができる。更に、ヘスペリジン(柚子油)を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、水道から供給される水道水を電離してアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成すると共に生成されたアルカリイオン水に水素を溶存させる水素含有電解水整水器及び水素含有電解水の製造方法の産業分野で利用することができる。
【0077】
また、本発明は、水道から供給される水道水を電離してアルカリイオン水及び酸性イオン水を生成すると共に生成されたアルカリイオン水に水素を溶存させる水素含有電解水整水器を有する浴槽設備の産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態例に係る水素含有電解水整水器の概念構成図である。
【図2】アルカリイオン水の流通状況説明図である。
【図3】酸性イオン水の流通状況説明図である。
【図4】図1に対応する各部材の寸法例を表す説明図である。
【図5】各系統の流体の流れ状況を説明する表図である。
【図6】各系統の流体の流れ状況を説明する表図である。
【図7】各系統の流体の流れ状況を説明する表図である。
【図8】各系統の流体の流れ状況を説明する表図である。
【図9】水素含有電解水整水器を備えた浴槽設備の概略図である。
【図10】溶存水素量の経時変化を表すグラフである。
【符号の説明】
【0079】
1 プラス側の通路
2 マイナス側の通路
3 第1流通路
4 第2流通路
10 水素含有電解水整水器
11 整水器本体
12 電解槽
14 第2イオン流水路
15 第1イオン流水路
16 イオン交換膜
31 第1流入路
32 循環流出路
33 プラス側流入路
34 マイナス側流入路
35 流出路
36 循環流入路
37 プラス側流出路
38 マイナス側流出路
41 電磁バルブ
42 流量スイッチ
50 吸蔵剤供給系
51 水道管
52 蛇口
53 給湯管
54 浴槽
55 排水管
56 水栓

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極を挟んでイオン交換膜が備えられマイナス側の通路及びプラス側の通路が備えられた電解槽と、
電解槽のマイナス側の通路及びプラス側の通路に水道水を流通させる流通路と、
電解槽のプラス側の通路を流通した酸性イオン水が流通する第1イオン水流路と、
電解槽のマイナス側の通路を流通したアルカリイオン水が流通する第2イオン水流路と、
第2イオン水流路を流通するアルカリイオン水の一部を電解槽のマイナス側の通路に循環させる循環系統と、
第2イオン水流路の吐水口に溶存水素を吸蔵する剤を供給する吸蔵剤供給系と
を備えたことを特徴とする水素含有電解水整水器。
【請求項2】
一対の電極を挟んでイオン交換膜が備えられマイナス側の通路及びプラス側の通路が備えられた複数の電解槽と、
流通路からの水道水が並列状態で流通する第1流通路及び第2流通路と、
電解槽のプラス側の通路を流通した酸性イオン水が流通する第1イオン水流路と、
電解槽のマイナス側の通路を流通したアルカリイオン水が流通する第2イオン水流路と、
水道水の流通方向における少なくとも最上流側の電解槽のプラス側の通路と第1流通路を連通する第1流入路と、
水道水の流通方向における少なくとも最上流側の電解槽のプラス側の通路と第1イオン流路を連通する第1流出路と、
水道水の流通方向における少なくとも最下流側の電解槽のプラス側の通路と第2流通路を連通するプラス側流入路と、
水道水の流通方向における少なくとも最下流側の電解槽のマイナス側の通路と第2流通路を連通するマイナス側流入路と、
水道水の流通方向における少なくとも最下流側の電解槽のプラス側の通路と第1イオン水流路を連通するプラス側流出路と、
水道水の流通方向における少なくとも最下流側の電解槽のマイナス側の通路と第2イオン水流路を連通するマイナス側流出路と、
水道水の流通方向における少なくとも最上流側の電解槽のマイナス側の通路と第2イオン水流路を連通する循環流入通路と、
水道水の流通方向における少なくとも最上流側の電解槽のマイナス側の通路と第2流通路を連通する循環流出通路と、
第2イオン水流路を流通するマイナス側流出路から流出したアルカリイオン水の一部を循環流入通路から電解槽のマイナス側の通路及び循環流出通路を通して第2流通路に循環させる循環手段と、
第2イオン水流路の吐水口に溶存水素を吸蔵する剤を供給する吸蔵剤供給系と
を備え、
第1流入路及びプラス側流入路を通して第1流通路からの水道水を電解槽のプラス側の通路に流入させると共に、流出路及びプラス側流出路を通して第1イオン水流路に酸性イオン水を流出させ、
マイナス側流入路を通して第2流通路からの水道水を水道水の流通方向における少なくとも最下流側の電解槽のマイナス側の通路に流入させると共に、マイナス側流出路を通して第2イオン水流路にアルカリイオン水を流出させ、
循環手段により、循環流入通路を通して第2イオン水流路を流通するアルカリイオン水の一部を少なくとも水道水の流通方向における最上流側の電解槽のマイナス側の通路に循環させ、マイナス側の通路内のアルカリイオン水に水素を溶存させ、
吸蔵剤供給系から第2イオン水流路の吐水口に溶存水素を吸蔵する剤を供給して溶存水素を吸蔵させることで水素の溶存を保持する
ことを特徴とする水素含有電解水整水器。
【請求項3】
請求項2に記載の水素含有電解水整水器において、
循環手段は、循環流出通路の流速を速めて循環流入通路からのアルカリイオン水に吸引力を生じさせる手段である
ことを特徴とする水素含有電解水整水器。
【請求項4】
請求項3に記載の水素含有電解水整水器において、
循環流入通路及び循環流出通路を備えた電解槽を2つ以上備え、
下流側の電解槽の循環流入通路径及び循環流出通路径が漸増している
ことを特徴とする水素含有電解水整水器。
【請求項5】
請求項2〜請求項4のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器において、
プラス側流入路及びマイナス側流入路を備えた電解槽を2つ以上備えた
ことを特徴とする水素含有電解水整水器。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器において、
電解槽のイオン交換膜に対向する領域を可撓膜によって形成すると共に、電解槽を整水器本体内に配置し、電解槽内に供給する水道水を電解槽と整水器本体との間の空間にも供給して電解槽を水道水中に保持する
ことを特徴とする水素含有電解水整水器。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器において、
吸蔵剤供給系から供給される溶存水素を吸蔵する剤は、セルロースにカルボキシメチル基を結合させたCMセルロースである
ことを特徴とする水素含有電解水整水器。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器において、
吸蔵剤供給系から供給される溶存水素を吸蔵する剤は、フコイダンである
ことを特徴とする水素含有電解水整水器。
【請求項9】
請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器において、
吸蔵剤供給系から供給される溶存水素を吸蔵する剤は、グァーガムである
ことを特徴とする水素含有電解水整水器。
【請求項10】
請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器の流通路の入口が水道水の原水管に接続され、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載の水素含有電解水整水器の第2イオン水流路の吐出口が浴槽の給湯管に接続されている
ことを特徴とする浴槽設備。
【請求項11】
水道水をマイナス側の電解によりイオン交換してアルカリイオン水を生成し、生成されたアルカリイオン水を循環してマイナス側の電解によりイオン交換して水素を溶存させ、水素を溶存させたアルカリイオン水に溶存水素を吸蔵する剤を供給して溶存水素を吸蔵させることで水素の溶存を保持する
ことを特徴とする水素含有電解水の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−285632(P2009−285632A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143816(P2008−143816)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(507234438)公立大学法人県立広島大学 (24)
【出願人】(000211293)中国電機製造株式会社 (69)
【Fターム(参考)】