説明

水素製造装置

【課題】 熱効率が高く、小型化が可能であり、安定的に水素製造が可能な水素製造装置を提供する。
【解決手段】 変成器13及びCO除去器20が下段部51を構成し、改質器12及び燃焼器16は下段部51の上方において上段部52を構成する。変成器13及びCO除去器20は、それぞれが鉛直方向に延伸する同一の軸心上に形成された筒状体を構成するとともに、一方が他方を取り囲む断面円環状の筒状体を構成し、いずれか一方または双方の内部には筒状体の下底部と上底部とを連絡する熱交換用通路33,34が形成されており、改質器12及び燃焼器16は、それぞれが下段部51と同一の軸心上に形成された筒状体を構成するとともに、改質器12が燃焼器16を取り囲む水平断面が円環状の筒状体を構成する。改質器12は、熱交換用通路33,34内を通流することで上昇してきた被改質ガスが改質器12の上底部の上方から供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池や金属処理の用に供される水素を、炭化水素系ガスを改質することで製造する水素製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池の燃料になる水素は、天然ガス等の炭化水素を改質原料として、水蒸気改質、CO(一酸化炭素)変成、CO燃焼除去等の各反応の単位操作を組み合わせて、改質原料及び水蒸気や空気等のガス化剤から生成される。
【0003】
図7に、従来の水素製造装置の一構成例を示す。従来の水素製造装置100は、脱硫器102、改質器103、空気予熱器104、燃焼器105、変成器106,108、選択酸化器111,112,113、原料予熱器121、蒸気発生器122,123,124,125,126,127、等を備えて構成される。
【0004】
水素製造装置100では、まず供給される原料ガスが原料予熱器121によって予熱された後、脱硫器102に送出されて脱硫処理が施される。原料予熱器121は、改質器103を通過した改質ガスが通流することで、加熱された改質ガスとの間で原料ガスを熱交換させ、脱硫器102に導くまでの間に予め加熱を行うためのものである。
【0005】
脱硫器102によって脱硫処理が施されたガスは、管路202を介して改質器103に導かれ、改質処理が行われる。改質器103の近傍には燃焼器105が配置されている。燃焼器105では、燃料ガスと酸素供給用の空気が供給されて当該燃料ガスの燃焼が行われ、この燃焼によって生じた熱を改質器103に供給することで改質器103における改質処理を促進している。
【0006】
なお、燃焼器105によって燃料ガスが燃焼されて生成された燃焼排ガスは、空気予熱器104を通過した後、装置外部へと排出される。空気予熱器104は、燃焼器105に供給するための空気を予め加熱すべく、燃焼排ガスとの間で熱交換を行わせるためのものである。
【0007】
改質器103によって改質処理が施された改質ガスは、蒸気発生器122によって発生された蒸気と混合された状態で、管路203を介してCO変成器106、108に順次供給されて、CO変成処理が施される。そして、CO変成器108より送出されたガス(以下、「変成ガス」という)が、さらに管路205を介して選択酸化器111、112、113へ順次導かれる。選択酸化器111等は、変成ガスに含有されるCOをCOに酸化する処理を行って含有CO濃度を低下させ、目的とする水素混合ガス(以下、「目的ガス」という)を生成して装置外に導く。なお、目的ガスの一部はリサイクルガスとして原料ガスと混合されて再び原料予熱器121へと導かれる。
【0008】
図7に示されるような従来の水素製造装置100では、多くの機器とこれらの間を連絡する多くの配管が必要となり、装置の占有容積が大きくなるという問題があった。特に、図7に示される構造のままで水素製造装置全体を小型化しようとすると、特に各機器間を連絡する配管内をガスが通流する間に放熱される結果、装置全体の熱効率が悪化するという問題があった。更に、図7では図示していないが、従来、変成器106,108や選択酸化器111〜113において機器内あるいは機器入口の温度を制御するためのバイパス配管を設けることが行われており、配管が更に多くなるという問題があった。
【0009】
このような問題を鑑み、本出願人は、機器と配管を結合することでコンパクト化を実現した水素製造装置を発明し、既に出願を行っている(特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】特開2006−256886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に開示された水素製造装置によれば、構成する機器を平板型にして積層する構造としたことにより、配管をできるだけ少なくすることができた。具体的には、水蒸気改質、CO変成(変成器)、CO燃焼除去(選択酸化)等の各プロセス反応装置と、燃焼加熱装置、蒸気発生装置等を、ユニットボードに分けて形成し、伝熱仕切壁(仕切板)を介して熱交換させるようにモジュール化して重ね合わせて組み立てることで、各装置の連絡通路(配管)を夫々のユニットボード内に組み込むことによって小型化できるというものである。
【0012】
前記特許文献1に開示された水素製造装置の場合、原料ガスとしてメタノールやDME(Di-methyl-ether:ジメチルエーテル)を利用する場合には、改質温度が比較的低いことから問題なく水素製造を行うことができる。しかしながら、原料ガスとして天然ガスやLPGなど改質温度が比較的高温であるガスを利用する場合には、改質器内を更に高温に維持する必要があり、この結果、高温化されたユニットボードが膨張してしまい、隙間ができたり、耐性が低下したりする恐れがあった。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑み、熱効率が高く、小型化が可能であり、安定的に水素製造が可能な水素製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る水素製造装置は、炭化水素を含む被改質ガスを水蒸気とともに反応させることで改質処理を施して、H、CO、及びCOを含む改質ガスを生成する改質器と、前記改質ガスに含有される少なくとも一部のCOを水蒸気と反応させてCOに変成することにより、前記改質ガスよりも含有CO濃度の低下した変成ガスを生成する変成器と、供給される所定の燃焼ガスを燃焼して前記改質器に対して熱供給を行うとともに燃焼後の燃焼排ガスを外部に排出する燃焼器と、を備えてなり、前記変成器が下段部を構成し、前記改質器及び前記燃焼器は前記下段部の上方において上段部を構成し、前記下段部を構成する前記変成器は、鉛直方向に延伸する軸心上に形成された筒状体を構成し、内部には変成触媒が充填されるとともに当該筒状体の下底部と上底部とを連絡する第1熱交換用通路が形成されており、前記上段部を構成する前記改質器及び前記燃焼器は、それぞれが前記下段部と同一の軸心上に形成された筒状体を構成するとともに、前記改質器が前記燃焼器を取り囲む水平断面が円環状の筒状体を構成し、前記改質器は、内部に改質触媒が充填されており、前記第1熱交換用通路内を通流することで前記下段部を構成する筒状体内を上昇してきた前記被改質ガスが当該改質器の上底部の上方から供給される構成であり、前記変成器は、上底部が前記改質器の下底部と連絡しており、前記改質ガスが前記改質器の下底部から供給される構成であることを特徴とする。
【0015】
上記特徴を有する水素製造装置によれば、上段部及び下段部の双方を、鉛直方向に延伸する軸心を同一とする筒状体として構成し、この上段部及び下段部を構成するそれぞれの機器についても、筒状体またはこの筒状体を取り囲むように形成された水平断面が円環状の筒状体として構成している。そして、これらの境界部分に設けられた空間内にガスを通流可能に構成している。従って、各機器を連絡するための配管が不要となり、装置サイズをコンパクト化することができる。また、ガス通流時に、通流空間に近接している各処理部との間で熱交換が可能となるため、熱効率が向上するとともに、専用の熱交換器を備える必要がなくなり、装置サイズを更にコンパクト化することができる。
【0016】
特に、最も高温になる燃焼器を上段部に備え、その近傍に処理に高温を必要とする改質器を配置したことにより、改質器内において高温状態を確保することができるため、確実に改質処理を行うことができる構成である。そして、被改質ガスは、第1熱交換用通路を介して改質器に導かれる構成であって、この第1熱交換用通路内を通流する間に熱交換が施されて十分な予熱が行われる。このため、被改質ガスは、改質器の上底部に導かれた状態で、すでにある程度昇温されているため、極めて高い割合で改質処理を進行させることができる。
【0017】
さらに、発熱する機器に近接して熱交換を行うための空間(ガス流路)を設けたことにより、機器内で生じた熱が、近接した空間内を通流するガスによって吸熱される結果、装置全体が極めて高い温度になるということがなく、装置あるいは装置内の各機器が局部的に膨張するという問題も解消する。
【0018】
また、本発明に係る水素製造装置は、上記特徴構成に加えて、前記変成ガスに含有される少なくとも一部のCOに対し、少なくとも酸化処理を施すことで前記変成ガスよりも更に含有CO濃度の低下した目的ガスを生成するCO除去器を前記下段部に備え、前記下段部は、前記変成器と前記CO除去器のそれぞれが鉛直方向に延伸する同一の軸心上に形成された筒状体を構成するとともに、一方が他方を取り囲む断面円環状の筒状体を構成し、前記CO除去器は、内部にCO除去触媒が充填されており、前記変成器の下底部から上昇してきた前記変成ガスが、前記変成器との境界に形成された水平断面が円環状の筒状体である第1空間内を通流することで当該CO除去器の上方から供給される構成としても良い。
【0019】
このように構成されるとき、変成ガスに含まれるCO成分の低下処理についても、本発明に係る水素製造装置内において一体として行うことができる。これにより、別途装置外部において、CO除去処理を行うためのCO除去装置を設ける必要が無くなり、CO濃度が低下された目的ガスを、小さい占有面積の下で得ることができる。
【0020】
さらに、このとき、前記CO除去器は、内部にはCO除去触媒が充填されるとともに当該筒状体の下底部と上底部とを連絡する第2熱交換用通路が形成されており、前記改質器は、前記第1熱交換用通路内並びに前記第2熱交換用通路を通流することで前記下段部を構成する筒状体内を上昇してきた前記被改質ガスが当該改質器の上底部の上方から供給される構成としても良い。
【0021】
このように構成することで、CO除去器内の熱を、第2熱交換用通路を通流して上昇してきた被改質ガスが吸収することで、被改質ガスが更に予熱される。これにより、被改質ガスは、改質器の上底部に導かれた状態で、すでにある程度昇温されているため、極めて高い割合で改質処理を進行させることができる。
【0022】
また、本発明に係る水素製造装置は、上記特徴に加えて、前記CO除去器は、第1CO除去触媒が内部に充填されており、少なくとも酸素を含む酸化補助気体が前記変成ガスと混合されて供給される構成である第1CO除去器と、第2CO除去触媒が内部に充填されており、上底部が前記第1CO除去器の下底部と連絡されている第2CO除去器を備え、前記第1CO除去器が、前記変成ガスに含有される一部のCOを酸化してCOに変成することにより、前記変成ガスより含有CO濃度の低下した選択酸化ガスを生成し、前記第2CO除去器が、前記選択酸化ガスに含有される少なくとも一部のCOをメタン化することにより、前記選択酸化ガスより含有CO濃度の低下した前記目的ガスを生成することを特徴とする。
【0023】
本発明に係る水素製造装置の上記特徴によれば、第1CO除去器及び第2CO除去器によって目的ガスの含有CO濃度を十分に低下させることができる。
【0024】
このとき、前記変成器の下底部から出力された前記変成ガスは、前記酸化補助気体と混合された状態で、前記第1空間内を通流して前記第1CO除去器の上底部に導かれる構成としても良い。
【0025】
このように構成することで、変成ガスが選択酸化空気と混合されることで、温度が一時的に低下するものの、第1空間内を通流する間に、変成器あるいはCO除去器との間で熱交換される結果、ガス温度を上昇させることができる。これによって、第1CO除去器において効率良く選択酸化処理を行うことができるとともに、変成器あるいはCO除去器における熱が吸熱される結果、各機器の膨張を緩和する効果を奏することができる。
【0026】
また、本発明に係る水素製造装置は、上記特徴に加えて、内部に脱硫触媒が充填され、炭化水素を含む原料ガスに対して脱硫処理を施して前記被改質ガスを生成する脱硫器を前記下段部に備え、前記脱硫器が、前記変成器及び前記CO除去器の双方と同一の軸心上に形成された筒状体を構成するとともに、前記変成器及び前記CO除去器の双方に取り囲まれるように内側に形成されており、前記変成器と前記CO除去器の内で、より内側に形成されている方の処理器と、前記脱硫器との境界に形成された水平断面が円環状の筒状体である第2空間内を上方に通流することで前記下段部の下底部から上昇してきた前記原料ガスが当該脱硫器の上方から供給される構成としても構わない。
【0027】
このように構成されるとき、脱硫処理を要する原料ガス(例えば都市ガス等)から目的ガスとしての水素を、一体化された装置内によって製造することができる。そして、原料ガスが第2空間内を通流して脱硫器に達するまでの間に、脱硫器並びに、変成器若しくはCO除去器との間で熱交換がされ、この結果ある程度の予熱処理が施される。これにより、脱硫器内での脱硫処理が効率的に行われるとともに、脱硫器内で生じた熱によって装置全体が膨張するという問題を解消することができる。
【0028】
このとき、前記脱硫器が、前記原料ガスと一部の前記目的ガスの混合ガスが供給され、当該供給される混合ガスに対して脱硫処理を施して前記被改質ガスを生成する構成としても構わない。
【0029】
また、前記脱硫器の下底部から出力された前記被改質ガスは、純水が混合された状態で前記熱交換用通路内へ送出される構成としても構わない。
【0030】
このように構成されることで、熱交換用通路内を通流する間に、変成器またはCO除去器から吸収した熱によって純水が蒸発し、被改質ガスと水蒸気の混合ガスとして改質器に導かれる。このため、予め水蒸気を生成するための蒸気発生器を別途備える必要が無く、装置サイズを縮小化させることができるとともに、変成器内あるいはCO除去器内の熱を十分吸収することができるため、これらの機器の膨張を防ぐ効果を奏する。
【0031】
また、本発明に係る水素製造装置は、上記特徴に加えて、前記上段部が、前記燃焼器及び前記改質器と同一の軸心上において、前記改質器の外側に形成された水平断面が円環状の筒状体である第3空間及び、前記第3空間に隣接して更に外側に形成された水平断面が円環状の筒状体である第4空間を有し、前記第3空間が、前記熱交換用通路内を通過してきた前記被改質ガスを前記改質器の上底部に導く構成であり、前記第4空間が、前記燃焼器で生成された前記燃焼排ガスを装置外部に導く構成であって、当該第4空間内を通流する前記燃焼排ガスと前記第3空間内を通流する前記被改質ガスとの間で熱交換可能に構成されていることを別の特徴とする。
【0032】
本発明に係る水素製造装置の上記特徴によれば、被改質ガスが第3空間内を上方に移動した後、改質器の上底部に導かれる。このとき、燃焼器によって生成された高温の燃焼排ガスが、第3空間に近接して配置された第4空間内を通流するため、被改質ガスが第3空間内を通流する間に、この燃焼排ガスとの間で熱交換が施され、昇温される。これによって、被改質ガスが十分昇温された状態で改質器に導かれることとなり、改質器内における改質処理の効率が向上するとともに、燃焼排ガスの温度をある程度低下させた状態で装置外部に排出することができるため、燃焼排ガスが装置内を通流することによる装置全体の膨張を緩和することができる。
【0033】
このとき、前記第3空間が、内部にメッシュ金網または粒状固体が充填されているものとしても良い。
【0034】
このように構成することで、被改質ガスが第3空間内を移動するに際して物理的な抵抗は増加するが、ガスの流れが断面に対して一様になりやすく、乱流が生じてガスと隔壁(伝熱壁)との伝熱がよくなる。また、空間内のメッシュ金網もしくは粒状固体からの放射熱によって伝熱性能が増加して改質処理の効率が向上する。
【0035】
なお、更に、第4空間内にもメッシュ金網または粒状固体を充填するものとしても良い。
【発明の効果】
【0036】
本発明の構成によれば、熱効率が高く、小型化が可能であり、安定的に水素製造が可能な水素製造装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下において、本発明に係る水素製造装置の実施形態(以下、適宜「本実施形態」という)について図面を参照して説明する。
【0038】
図1は、本実施形態に係る水素製造装置の概略構成図である。なお、図1に示す水素製造装置1は、鉛直方向に切断したときの断面図であって、装置全体は水平断面が円形状の筒状体で構成されている。
【0039】
本実施形態に係る水素製造装置1は、脱硫器11、改質器12、変成器13、第1CO除去器14、第2CO除去器15、及び燃焼器16を備えて構成される。そして、これらの各機器のうち、脱硫器11、変成器13、第1CO除去器14、及び第2CO除去器15が下段に配置されて下段部51を構成し、改質器12及び燃焼器16が上段に配置されて上段部52を構成する。なお、下段部51、及び上段部52ともに、円筒形状を構成し、鉛直方向に延伸する軸心を共通にする構成である。なお、各機器は、例えばステンレス材料によって構成される。一実施例としては、燃焼器16をSUS310で、その他の機器をSUS304で構成されている。
【0040】
脱硫器11は、内部にニッケル−モリブデン系、コバルト−モリブデン系等の水素化脱硫触媒が充填された円筒状の筒状体で構成されている。そして、その外側には、水平断面が円環状の筒状体で構成された空間32(第2空間に相当)を隔てて変成器13が形成されている。空間32及び変成器13は、鉛直方向に延伸する軸心を脱硫器11と共通とし、この脱硫器11を取り囲むように構成されている。
【0041】
まず、原料ガスが、後述するリサイクルガスと混合された状態で、下段部51の下底部に形成された通入口31より水素製造装置1に供給される。流入した原料ガスとリサイクルガスの混合ガス(以下、「原料ガス」と略記)は、空間32内を上方に移動する。このとき、原料ガスは、空間32に隣接した変成器13あるいは脱硫器11との間で熱交換が行われ、ガス温度が上昇する。
【0042】
ここで、原料ガスとしては、例えば天然ガス系都市ガス(13A)やLPGの他、メタノールやDME等あらゆる炭化水素系ガスを利用することができる。
【0043】
空間32内を上昇した原料ガスは、脱硫器11の上面に到達すると、そこから下方に向かって脱硫器11内に流入する。そして、原料ガスは、脱硫器11内を下方に移動しながら脱硫処理が施されて、脱硫処理後のガス(以下、「被改質ガス」という)が脱硫器11の下底部より通出口41へと導かれる。脱硫器11内では、例えば200〜350℃程度の温度条件下で、原料ガス内の硫黄化合物を水素化し、その水素化物を酸化亜鉛に吸着させて脱硫する。
【0044】
通出口41から取り出された被改質ガスは、純水と混合された状態で、通入口42、43へと導かれる。
【0045】
変成器13は、内部に変成触媒が充填されている一方で、下底部と上底部を連絡する熱交換用通路33が例えば螺旋状に形成されており、この熱交換用通路33内をガスが通流できるようになっている。そして、熱交換用通路33は、側面が変成触媒以外の所定の材質(例えばステンレス等)で覆われており、熱交換用通路33内を通流するガスが、変成器13内を通流する高温のガスとの間で、混合されることなく熱交換を行うことができるように構成されている。
【0046】
また、第1CO除去器14、第2CO除去器15(以下、適宜「CO除去器20」と総称する)は、それぞれ所定の触媒(以下、「第1CO除去触媒」、「第2CO除去触媒」という)が内部に充填されている。また、下底部と上底部を連絡する熱交換用通路34が例えば螺旋状に形成されており、この熱交換用通路34内をガスが通流できるようになっている。そして、熱交換用通路34は、側面が触媒以外の所定の材質(例えばステンレス等)で覆われており、熱交換用通路34内を通流するガスが、CO除去器20内を通流する高温のガスとの間で、混合されることなく熱交換を行うことができるように構成されている。
【0047】
通入口42は、変成器13の下底部に設けられており、通入口42に供給された被改質ガスを、変成器13内に形成された熱交換用通路33内に導く。同様に、通入口43は、CO除去器20の下底部に設けられており、通入口43に供給された被改質ガスを、CO除去器20内に形成された熱交換用通路34内に導く。
【0048】
通入口42を介して熱交換用通路33内に供給された被改質ガスは、熱交換用通路33内を上方へ移動し、変成器13の上底部に形成されている通出口45へ導かれる。そして、被改質ガスは、熱交換用通路33内を通流する間に、変成器13内を通流する高温のガス、あるいは変成器13内に充填されている高温化した変成触媒との間で熱交換され、ガス温度が上昇する。
【0049】
同様に、通入口43を介して熱交換用通路34内に供給された被改質ガスは、熱交換用通路34内を上方へ移動し、CO除去器20の上底部(すなわち第1CO器14の上底部)に形成されている通出口46へ導かれる。そして、被改質ガスは、熱交換用通路34内を通流する間に、CO除去器20内を通流する高温のガス、あるいはCO除去器20内に充填されている高温化したCO除去触媒との間で熱交換され、ガス温度が上昇する。
【0050】
熱交換用通路33及び34内を通過して昇温された被改質ガスは、それぞれ通出口45及び46より流出され、混合される。そして、この混合された被改質ガスは、空間35内を上方に移動し、改質器12へと導かれる。
【0051】
なお、通入口42及び43に導かれた被改質ガスは、当初純水と混合された状態であるため、気液混合状態であるが、熱交換用通路33及び34内を通流する間に、純水が蒸発して水蒸気となる結果、被改質ガスと水蒸気との混合ガスとして通出口45及び46より取り出されることとなる。すなわち、改質器12には、被改質ガスが水蒸気と混合された混合ガスとして導かれる。
【0052】
改質器12は、内部に改質触媒が充填され、軸心を鉛直方向に延伸する下段部51の軸心と共通とした水平断面が円環状の筒状体で構成されている。そして、その外側には、水平断面が円環状の筒状体で構成された断熱層17を隔てて、空間35(第3空間に相当)が形成されている。さらに、この空間35の外側には空間37(第4空間に相当)が形成されている。なお、改質器12の内側には、空間36を隔てて燃焼器16が形成されており、空間36と空間37とは、空間35の上方で連絡されている。
【0053】
通出口45及び46より流出された被改質ガスは、空間35内を上方に移動した後、改質器12の上底部に導かれる。このとき、後述するように、空間35の外側に隣接するように構成されている空間37内には、燃焼器16で燃焼された燃焼排ガスが通流するため、被改質ガスが空間35内を通流する間に、この燃焼排ガスとの間で熱交換が施され、昇温される。なお、空間35内を上昇する被改質ガスが、改質器12との間で熱交換が行われても良いが、被改質ガス内に水分(水滴)が含まれていると、改質器12の外壁を急激に冷却し、破損等の引き起こす可能性もあり、かかるトラブルの発生を抑制すべく、空間35と改質器12との間には断熱層17が設けられている。
【0054】
このとき、空間35及び37が、内部にメッシュ金網または粒状固体が充填された構成とすることができる。このようにすることで、通出口45及び46より流出された被改質ガス(と水蒸気の混合ガス)は、空間35内を移動するに際して物理的な抵抗が増すため、空間35を介して改質器12に導かれるまでに要する時間が増える。同様の理由により、燃焼器16内で生成された燃焼排ガスが、空間37を介して装置外部へ放出されるまでに要する時間が増える。この結果、通出口45及び46より流出された被改質ガスが、改質器12内へ流入されるまでに、燃焼排ガスとの間で熱交換を行うことのできる時間が増し、この結果、被改質ガスが十分昇温された状態で改質器12に導かれることとなり、改質器12内における改質処理の効率が向上する。
【0055】
空間35内を上方に移動した被改質ガスは、改質器12の上底部から改質器12内へ流入される。改質器12内には、ルテニウム、ニッケル、白金等の改質触媒が充填されており、この改質触媒の触媒作用により、例えば600〜800℃程度の温度条件下で、被改質ガスに含まれるCHガスと水蒸気とを下記(化1)に示す反応式によって改質反応させ、HガスとCOガスを含むガス(以下、「改質ガス」という)に変換する。改質反応は吸熱反応であるため、後述する燃焼器16内の燃焼熱を利用することで、反応に必要な温度条件を確保している。
【0056】
(化1)
CH+HO→CO+3H
【0057】
燃焼器16は、通入口61より供給される燃焼ガス、及び通入口62より供給されるバーナ空気(または少なくとも酸素を含むガスであればよい)を混合して燃焼する。燃焼ガスとしては、例えば、水素製造装置1が燃料電池に搭載されているとすれば、この燃料電池からのオフガスを利用する構成としてもよく、また、前記の原料ガスをそのまま利用する構成としても良い。燃料ガスやバーナ空気の流量を調整することで、燃焼器16内の燃焼温度を調整し、これによって改質器12内の温度条件を適切に保つことが可能となる。
【0058】
なお、燃焼器16の下底部には適宜断熱層18が設けられ、下段部51内を通流するガスや下段部51内に配置された機器との間で熱交換されることで燃焼器16内の温度が低下されるのを緩和している。
【0059】
燃焼器16で燃焼された後の燃焼排ガスは、空間36、37を介して通出口63より装置外部に排出される。このとき、前述したように、空間37は、空間35と隣接するように構成されており、空間35内を通流する被改質ガスとの間で熱交換が行われる構成である。また、この燃焼排ガスは、排熱ボイラに送られるものとして良い。このとき、初期段階の低温の燃焼排ガスが排熱ボイラに供給されることを防ぐべく、初期運転動作時にのみ、燃焼排ガスを加熱して排熱ボイラに供給するためのスタートアップバーナを更に備える構成としても良い。
【0060】
改質器12の下底部と変成器13の上底部は連絡されており、改質器12を通過して改質処理されたガス(改質ガス)が変成器13の上底部に導かれる構成である。変成器13内には、酸化鉄、銅亜鉛等の変成触媒が充填されており、この変成触媒の触媒作用により、例えば150〜450℃程度の温度条件下で、下記(化2)に示す反応式によって改質ガス内のCOをCOに変成処理する。なお、変成反応は発熱反応であり、変成器13内で生じた熱によって、空間32あるいは後述する空間38(第1空間に相当)を通流するガスとの間で熱交換可能に構成されている。さらには、前述したように、変成器13内に設けられた熱交換通路33内を通流する被改質ガスとの間でも熱交換可能に構成されている。なお、変成処理が施された後の変成ガスは、おおむねCO含有濃度が1%程度となる。
【0061】
(化2)
CO+HO→CO+H
【0062】
変成器13によって変成処理が施されたガス(以下、「変成ガス」という)は、通入口49から流入される選択酸化空気(または少なくとも酸素を含むガス)と混合されて、空間38内を上昇し、CO除去器20の上底部(すなわち第1CO除去器14の上底部)に導かれる。
【0063】
変成ガスは、選択酸化空気と混合されることで、温度が一時的に低下するが、空間38内を通流する間に、変成器14あるいはCO除去器20との間で熱交換されて、ガス温度が上昇する。
【0064】
CO除去器20は、脱硫器11,変成器13と共に下段部20を構成し、脱硫器11並びに変成器13よりも更に外側において、鉛直方向に延伸する軸心を共通とした、水平断面円環状の筒状体を構成している。そして、CO除去器20は、上段位置において第1CO除去器14を、その下段位置に第2CO除去器15を備えている。
【0065】
第1CO除去器14内には、白金、ルテニウム、ロジウム等の貴金属系または銅系の触媒(第1CO除去触媒)が充填されており、この第1CO除去触媒の触媒作用によって例えば80〜170℃の温度条件下で、変成ガス内に残存するCOガスを選択酸化空気を用いて、下記(化3)に示す反応式によって酸化する。
【0066】
(化3)
2CO+O→2CO
【0067】
第1CO除去器14によって酸化されたガス(以下、「選択酸化ガス」という)は、第1CO除去器14の下段に配置されている、第2CO除去器15の上底部へと導かれる。第2CO除去器15内には、メタン化を促進するための第2CO除去触媒(例えば白金、ルテニウム、ロジウム等の貴金属系触媒)が充填されており、このメタン化触媒の触媒作用によって、例えば例えば80〜170℃の温度条件下で、選択酸化ガス内に残存するCOガスを、当該選択酸化ガス内のHガスを用いて下記(化4)に示す反応式によって酸化する。なお、このとき、選択酸化ガス内に残存する一部のCOガスに対しても、メタン化処理が施される(化5参照)。
【0068】
(化4)
CO+3H→CH+H
【0069】
(化5)
CO+4H→CH+2H
【0070】
なお、上記(化4)及び(化5)に示すように、第2CO除去器15内では、水素製造装置1によって製造しようとする目的ガス(H)を用いてCO濃度の低下を行っている。従って、これらの反応が必要以上に進行すると、かえって目的ガスの流量が減少し、好ましくない。このため、空間38を通流する変成ガス、並びに熱交換用通路34内を通流する被改質ガスとの間で熱交換されることで、第2CO除去器15内の温度が適切な温度範囲内に収まるように調整される。第1CO除去器14及び第2CO除去器15を通過して生成された目的ガスは、含有CO濃度が10ppm程度以下を示す。
【0071】
こうして、第2CO除去器15によってCO濃度の低下された目的ガスは、通出口70より取り出され、例えば燃料電池用の燃料としてのHガスとして用いられる。一方で、目的ガスの一部は、前述したリサイクルガスとして再び原料ガスと混合されて、通入口31より装置1内に供給される。このようにして、炭化水素系の原料ガスからHガスを生成することができる。
【0072】
図2は、水素製造装置1を用いて原料ガスから製品ガスを製造したときの運転データを示す表であり、50%運転の場合と100%運転の場合の2例を表示している。また、推定ガス化効率ηは、η=製品ガス熱量/(燃料ガス熱量+原料ガス熱量+水素ガス熱量)を示す値であり、電熱等を考慮して算出されたものである。
【0073】
上述したような水素製造装置1の構成とすることで、図7に示すように各機器を連絡するための配管が不要となり、装置サイズをコンパクト化することができる。さらに、機器全体を円筒形状とするとともに、脱硫器や改質器等の処理部をそれぞれ同一軸心上に構成し、これらの境界部分に設けられた空間内にガスを通流させることで、ガス通流時に、通流空間に近接している各処理部との間で熱交換が可能となる。このため、熱効率が向上するとともに、専用の熱交換器を備える必要がなくなり、装置サイズを更にコンパクト化することができる。
【0074】
特に、最も高温になる燃焼器16を上段部52に備え、その近傍に処理に高温を必要とする改質器12を配置したことにより、改質器12内において高温状態を確保することができるため、確実に改質処理を行うことができる構成である。そして、被改質ガスは、熱交換用通路33、34、及び空間35を介して改質器12に導かれる構成であって、これらのガス通路33、34、35内を通流する間に熱交換が施されて十分な予熱が行われる。このため、被改質ガスは、改質器12の上底部に導かれた状態で、すでにある程度昇温されているため、極めて高い割合で改質処理を進行させることができる。特に、熱は上方に伝わりやすい性質を有していることから、高温になる燃焼器16を上段部52に配置している本実施形態は、熱効率の観点から極めて効果的であるといえる。
【0075】
また、水素製造装置1は、プロセス流量(原料ガス、リサイクルガス、純水、CO選択酸化空気)の比率を一定としたまま、燃料ガス及びバーナ空気の流量を調整することのみで、燃焼器16によって発熱する発熱量を調整し、これによって各機器内の温度や蒸気量の調整が可能である。このため、温度や発生蒸気量を調整するためのバイパス配管を備える必要がない。このような観点からも、従来構成と比較して装置サイズをコンパクト化することができるという効果を有する。
【0076】
さらに、全体を円筒形状とし、発熱する機器に近接して熱交換を行うための空間(ガス流路)を設けたことにより、特許文献1の装置と比較して、装置全体が極めて高い温度になるということがなく、装置あるいは装置内の各機器が局部的に膨張するという問題も解消する。
【0077】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0078】
〈1〉 図1に示した上述の実施形態では、変成器13、CO除去器20の双方の内部に、熱交換用通路(33、34)を設ける構成としたが、熱交換用通路がいずれか一方の内部にのみ備えられる構成としても良い。ただし、被改質ガスを予め加熱するという効果をより奏するという点でいえば、図1に示したように、双方に熱交換用通路を設ける方が好ましい。
【0079】
〈2〉 図1に示した上述の実施形態では、脱硫器11を取り囲むように脱硫器11の外側に変成器13を配置し、さらにこの変成器13を取り囲むように変成器13の外側にCO除去器20を配置したが、図3に示すように、変成器13とCO除去器20の内外が反転する構成でも構わない。
【0080】
〈3〉 図1に示した水素製造装置1では、下段部51に脱硫器11を備える構成としたが、予め装置外部で脱硫処理が行われたガスを用いることができる場合には、脱硫器11を内部に備えなくても良い。図4は、脱硫器11を備えない場合の水素製造装置の構成を示しており、図1に示す水素製造装置1から、脱硫器11、空間32、通入口31、及び通出口41を排除した構成に相当する。なお、別実施形態〈2〉で示したように、この場合においても、変成器13とCO除去器20の内外が反転する構成とすることもできる。
【0081】
〈4〉 図1に示した水素製造装置1では、CO除去器20として、選択酸化処理を行う第1CO除去器14と、メタン化処理を行う第2CO除去器15の双方を備える構成としたが、これらのうちの何れか一方のみを備える構成としても構わない。一方しか備えない場合、製造効率の観点から言えば、第2CO除去器15が目的ガスを一部利用される点を考慮すれば、選択酸化処理を行う第1CO除去器14の方を備える方が好ましい。また、目的ガスとして要求されるCO濃度に応じて第2CO除去器15を配置するか否かの選択をしても良い。
【0082】
さらに第1CO除去器14のみを備える構成とした装置1に対し、CO濃度を低下させる必要に応じて、図5に示すように装置1外にCO除去器75を別途備える構成としても良い。CO除去器75は、第1CO除去器14と第2CO除去器15を備え、これらの内部には水素製造装置1内の場合と同様、下底部と上底部を連絡する通路が例えば螺旋状に設けられ、当該通路内を冷却水が通流する構成である。冷却水は、第1CO除去器14及び15を経て加熱された後、例えば図5の水素製造装置1aの通入口42及び43に送出される構成として良い。
【0083】
このように構成されるとき、通出口70から取り出されたガス(選択酸化ガス)は、CO除去器75に導かれ、冷却器71によって冷却された後に、CO除去器75内部を上昇して第1CO除去器14の上底部に導かれる。そして、第1CO除去器14及び第2CO除去器15によってCO濃度が低下された後、製品ガス(目的ガス)を得る。そして、上記実施形態の場合と同様、この製品ガスの一部がリサイクルガスとして通入口31に供給される。このように、必要に応じて外部にCO除去器70を備える構成とすることで、実際に変成器13から出力される変成ガスのCO濃度や、要求される製品ガスのCO濃度に応じた柔軟な対応が可能となる。なお、冷却器71は、選択酸化処理の効率を向上させるべく、変成ガス中のHOの量を少なくする目的で設けられている。
【0084】
さらに、図5の構成(1a)に代えて、第1CO除去器14そのものを水素製造装置から外し、必要に応じて装置外部に備える構成とすることも可能である(図6,装置1b)。かかる場合においても、図5の場合と同様、必要に応じて外部にCO除去器70を備える構成とすることで、実際に変成器13から出力される変成ガスのCO濃度や、要求される製品ガスのCO濃度に応じた柔軟な対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の水素製造装置の概略構成図
【図2】本発明の水素製造装置を用いた運転データの一例
【図3】本発明の水素製造装置の別の実施形態の概略構成図
【図4】本発明の水素製造装置の更に別の実施形態の概略構成図
【図5】本発明の水素製造装置の更に別の実施形態の概略構成図
【図6】本発明の水素製造装置の更に別の実施形態の概略構成図
【図7】従来の水素製造装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0086】
1,1a,1b: 本発明の水素製造装置
11: 脱硫器
12: 改質器
13: 変成器
14: 第1CO除去器
15: 第2CO除去器
16: 燃焼器
20: CO除去器
31: 通入口
32: 空間(第2空間)
33: 熱交換用通路
34: 熱交換用通路
35: 空間(第3空間)
36: 空間
37: 空間(第4空間)
38: 空間(第1空間)
41: 通出口
42: 通入口
43: 通入口
45: 通出口
46: 通出口
49: 通入口
51: 下段部
52: 上段部
61: 通入口
62: 通入口
63: 空間
70: 通出口
71: 冷却器
75: CO除去器
100: 従来の水素製造装置
102: 脱硫器
103: 改質器
104: 空気予熱器
105: 燃焼器
106、108: 変成器
111、112、113: 選択酸化器
121: 原料予熱器
122、123、124、125、126、127: 蒸気発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素を含む被改質ガスを水蒸気とともに反応させることで改質処理を施して、H、CO、及びCOを含む改質ガスを生成する改質器と、
前記改質ガスに含有される少なくとも一部のCOを水蒸気と反応させてCOに変成することにより、前記改質ガスよりも含有CO濃度の低下した変成ガスを生成する変成器と、
供給される所定の燃焼ガスを燃焼して前記改質器に対して熱供給を行うとともに燃焼後の燃焼排ガスを外部に排出する燃焼器と、を備えてなり、
前記変成器が下段部を構成し、前記改質器及び前記燃焼器は前記下段部の上方において上段部を構成し、
前記下段部を構成する前記変成器は、鉛直方向に延伸する軸心上に形成された筒状体を構成し、内部には変成触媒が充填されるとともに当該筒状体の下底部と上底部とを連絡する第1熱交換用通路が形成されており、
前記上段部を構成する前記改質器及び前記燃焼器は、それぞれが前記下段部と同一の軸心上に形成された筒状体を構成するとともに、前記改質器が前記燃焼器を取り囲む水平断面が円環状の筒状体を構成し、
前記改質器は、内部に改質触媒が充填されており、前記第1熱交換用通路内を通流することで前記下段部を構成する筒状体内を上昇してきた前記被改質ガスが当該改質器の上底部の上方から供給される構成であり、
前記変成器は、上底部が前記改質器の下底部と連絡しており、前記改質ガスが前記改質器の下底部から供給される構成であることを特徴とする水素製造装置。
【請求項2】
前記変成ガスに含有される少なくとも一部のCOに対し、少なくとも酸化処理を施すことで前記変成ガスよりも更に含有CO濃度の低下した目的ガスを生成するCO除去器を前記下段部に備え、
前記下段部は、前記変成器と前記CO除去器のそれぞれが鉛直方向に延伸する同一の軸心上に形成された筒状体を構成するとともに、一方が他方を取り囲む断面円環状の筒状体を構成し、
前記CO除去器は、内部にCO除去触媒が充填されており、前記変成器の下底部から上昇してきた前記変成ガスが、前記変成器との境界に形成された水平断面が円環状の筒状体である第1空間内を通流することで当該CO除去器の上方から供給される構成であることを特徴とする請求項1に記載の水素製造装置。
【請求項3】
前記CO除去器は、内部にはCO除去触媒が充填されるとともに当該筒状体の下底部と上底部とを連絡する第2熱交換用通路が形成されており、
前記改質器は、前記第1熱交換用通路内並びに前記第2熱交換用通路を通流することで前記下段部を構成する筒状体内を上昇してきた前記被改質ガスが当該改質器の上底部の上方から供給される構成であることを特徴とする請求項2に記載の水素製造装置。
【請求項4】
前記CO除去器は、
第1CO除去触媒が内部に充填されており、少なくとも酸素を含む酸化補助気体が前記変成ガスと混合されて供給される構成である第1CO除去器と、
第2CO除去触媒が内部に充填されており、上底部が前記第1CO除去器の下底部と連絡されている第2CO除去器を備え、
前記第1CO除去器が、前記変成ガスに含有される一部のCOを酸化してCOに変成することにより、前記変成ガスより含有CO濃度の低下した選択酸化ガスを生成し、
前記第2CO除去器が、前記選択酸化ガスに含有される少なくとも一部のCOをメタン化することにより、前記選択酸化ガスより含有CO濃度の低下した前記目的ガスを生成することを特徴とする請求項2または3に記載の水素製造装置。
【請求項5】
前記変成器の下底部から出力された前記変成ガスは、前記酸化補助気体と混合された状態で、前記第1空間内を通流して前記第1CO除去器の上底部に導かれることを特徴とする請求項4に記載の水素製造装置。
【請求項6】
内部に脱硫触媒が充填され、炭化水素を含む原料ガスに対して脱硫処理を施して前記被改質ガスを生成する脱硫器を前記下段部に備え、
前記脱硫器が、
前記変成器及び前記CO除去器の双方と同一の軸心上に形成された筒状体を構成するとともに、前記変成器及び前記CO除去器の双方に取り囲まれるように内側に形成されており、
前記変成器と前記CO除去器の内で、より内側に形成されている方の処理器と、前記脱硫器との境界に形成された水平断面が円環状の筒状体である第2空間内を上方に通流することで前記下段部の下底部から上昇してきた前記原料ガスが当該脱硫器の上方から供給される構成であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の水素製造装置。
【請求項7】
前記脱硫器が、前記原料ガスと一部の前記目的ガスの混合ガスが供給され、当該供給される混合ガスに対して脱硫処理を施して前記被改質ガスを生成することを特徴とする請求項6に記載の水素製造装置。
【請求項8】
前記脱硫器の下底部から出力された前記被改質ガスは、純水が混合された状態で前記熱交換用通路内へ送出されることを特徴とする請求項6または7に記載の水素製造装置。
【請求項9】
前記上段部が、前記燃焼器及び前記改質器と同一の軸心上において、前記改質器の外側に形成された水平断面が円環状の筒状体である第3空間及び、前記第3空間に隣接して更に外側に形成された水平断面が円環状の筒状体である第4空間を有し、
前記第3空間が、前記熱交換用通路内を通過してきた前記被改質ガスを前記改質器の上底部に導く構成であり、
前記第4空間が、前記燃焼器で生成された前記燃焼排ガスを装置外部に導く構成であって、当該第4空間内を通流する前記燃焼排ガスと前記第3空間内を通流する前記被改質ガスとの間で熱交換可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の水素製造装置。
【請求項10】
前記第3空間が、内部にメッシュ金網または粒状固体が充填されていることを特徴とする請求項9に記載の水素製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−100494(P2010−100494A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−274735(P2008−274735)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(305009898)株式会社ルネッサンス・エナジー・リサーチ (9)
【Fターム(参考)】