説明

水蒸気切断方法及びそのためのトーチ

本発明は、トーチ(6)、蒸発器(25)、エネルギー供給、及び液体(8)用供給ライン(31)からなる水蒸気切断装置(1)での切断方法のために液体(8)を気体状態に変換する方法を記載し、適温(27)が液体(8)の気化のために生成される。この種の方法を創設するため、センサ(28)が蒸発器(25)の温度(27)を感知し、加熱素子(24)に必要なエネルギーを相応に供給して、トーチ(6)に供給される液体(8)の必要な圧力(34)を調節する調節ユニットに対して感知温度を伝えるように動作中に温度(27)が調節され、気化した液体(8)の略一定温度(27)が切断方法のためにもたらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1及び16の前端に定義されるような、水蒸気切断装置での切断方法のために液体を気体状態に変換する方法、及びそのためのトーチに関する。
【背景技術】
【0002】
水蒸気切断装置での溶接方法のために液体を気体状態に変換する方法は従来技術から公知であり、該方法では、液体は、電気アークによって生成される熱をトーチの蒸発器に戻すノズルの加熱によって蒸発させられ気化する。
【0003】
ここで、不都合なことに、液体は追加の加熱素子なしに気化するため、能動的な温度調節が実行されない。さらに、気化した液体の圧力は戻されたエネルギーに依存するので、圧力も調節されない。
【0004】
さらに、加熱素子がトーチ内に配置される水蒸気切断装置が特許文献1から公知である。さらに、トーチは蒸発器、エネルギー供給、及び液体用供給ラインを含み、適温が液体の気化に必要である。しかし、ここでは、トーチ内の温度調節に関する詳細が記載されていない。
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1050200号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、気化された液体の能動的な圧力及び温度調節が可能である方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、センサが蒸発器の温度を感知し、加熱素子に必要なエネルギーを相応して供給して、トーチに供給される液体の必要な圧力を調節する調節ユニットに対して蒸発器の温度を伝えるように動作中に温度が調節され、気化した液体の略一定温度が切断方法のために提供される上述の方法によって達成される。
【0008】
さらに、本発明の目的は、加熱素子によって生成された熱を感知し、加熱素子用の調節ユニットに接続されるセンサを含む上述のトーチによっても達成される。
【0009】
ここで、有益なことに、温度変動に対する迅速な反応挙動は、温度調節と圧力調節の組み合わせによって達成される。よって、用途に関係なく、切断方法中の様々な状態に迅速に反応することができる。同様に、磨耗部品の磨耗を調節及び/又は相殺することができるため、部品の使用年数を延ばすことができる。同様に、磨耗を表示することができる。
【0010】
センサがトーチに組み込まれることによって、調節が迅速に行われることも有益である。
【0011】
加熱素子に恒久的にエネルギーを提供する手段によって、有益なことに、加熱素子がトーチ内で一定温度を生成し、エネルギー供給の変動が伴う応答時間がないことが達成される。
【0012】
可変に調節される加熱素子によって、有益なことに、低電力加熱素子の使用が達成される。よって、より多くの電力が切断方法のために提供可能である。同様に、トーチの寸法が低電力加熱素子によって大幅に低減される。
【0013】
さらに有益なことに、液体の気体状態への変化の間に発生する温度変動が、安定した気化区域のおかげで回避できる。よって、一定した特性を有する気体が、切断方法のために供給される。
【0014】
温度が圧力を通じて調節され、温度変動の均衡を迅速に取ることのできる手段によって、有益なことに、切断方法のための略一定温度の提供が達成される。よって、切断特性が大幅に向上する。
【0015】
加熱時間は、一定温度での切断方法をより早く開始できるという有益な効果を有する。
【0016】
さらに、加熱時間はトーチの温度に依存するため、短い加熱時間の結果、水蒸気切断装置へのエネルギー供給を迅速に変更することができ、切断方法を迅速に開始できるという利点も有する。
【0017】
急な温度変動を検知する手段によって、有益なことに、切断方法が急に中断されない。よって、切断方法のより良好な結果が得られる。
【0018】
有益なことに、基本負荷が加熱時間の関数として設定されることによって、切断方法のための一定温度がより迅速に提供される。
【0019】
磨耗検知は、磨耗部品の使用年数を延長できるという有利な効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を、添付の概略図を用いてより詳細に説明する。
【0021】
最初に、例示となる実施形態の同一の部分には同一の参照符号を付すことを述べておく。
【0022】
図1では、水蒸気切断方法のための基本装置1aを有する水蒸気切断装置1が示される。基本装置1aは、電流源2、制御ユニット3、及び制御ユニット3に付与される遮断素子4を含む。遮断素子4は、水蒸気プラズマトーチ6がタンク5に提供される液体8を供給されるように、供給ライン7を介してタンク5及び水蒸気プラズマトーチ6に接続される。水蒸気プラズマトーチ6は、電流源2のライン9、10を介して電気エネルギーを供給される。
【0023】
冷却の目的で、水蒸気プラズマトーチ6は、冷却回路11を介して液体タンク13に接続され、おそらくは流量モニタ12がその間に配置される。トーチ6及び/又は水蒸気切断装置1を動作させると、冷却回路11は制御ユニット3によって始動され、冷却回路11によってトーチ6を冷却することができる。冷却回路11を形成するため、トーチ6は冷却ライン14、15を介して液体タンク13に接続される。
【0024】
さらに、水蒸気切断装置1は入力及び/又は表示装置16を含んでよく、それを介して、水蒸気切断装置1の様々なパラメータ及び/又は動作モードを設定し表示することができる。入力及び/又は表示装置16を介して設定されるパラメータは、水蒸気切断装置1の個々の構成要素を相応して始動させる制御ユニット3に送られる。
【0025】
さらに、水蒸気プラズマトーチ6は、少なくとも1つの動作素子17、特にボタン18を含んでよい。動作素子17、特にボタン18を用いて、ユーザは、水蒸気切断方法を開始及び/又は実行するべきかを、ボタン18を起動及び/又は停止することによってトーチ6から制御ユニット3に知らせることができる。さらに、たとえば、事前設定を入力及び/又は表示装置16で調節することができ、特に、切断される物質、使用される液体、及び、たとえば電流及び電圧の特性曲線を予め設定することができる。当然ながら、別の動作素子をトーチ6に設けることができ、それを介して、水蒸気切断装置1の1つ又は複数の動作パラメータをトーチ6上で調節することができる。この目的のために、これらの動作素子は、直接ラインを介して、あるいはバスシステムを介して水蒸気切断装置1、特に制御ユニット3に接続することができる。
【0026】
ボタン18が起動された後、制御ユニット3は、水蒸気切断方法に必要な個々の構成要素を始動させる。たとえば、ポンプ(図示せず)、遮断素子4、及び電流源2が最初に始動されることによって、トーチ6に液体8及び電気エネルギーの供給が導入される。その後、制御ユニット3は、トーチ6の冷却が可能になるように冷却回路11を始動させる。切断方法がトーチ6を脱出する気体19によりワーク20上で実行できるように、トーチ6に液体8とエネルギー、特に電流及び電圧を供給することによって、液体8はトーチ6内で、高温で気体19、特にプラズマに変換される。
【0027】
トーチ6を用いるワーク20の切断方法には電気アークもさらに必要であり、その詳細を図2に示す。電気アークは制御ユニット3により、あるいはボタン18を起動することにより着火され、トーチ6に組み込まれて好ましくは電流源2の負極に接続される陰極21と、ノズル22により形成され電流源2の正極に接続される陽極との間で燃焼する。トーチ6がワーク20に接近した場合、電流源2の正極がノズル22からワーク20に切り換えられることによって、電気アークはノズル22の出口開口部23を通る気体19によって外側へ押されて、陰極21とワーク20との間で燃焼する。この目的のために、電流が相応して制御ユニット4により増大されることにより、たとえば、ワーク20を分離することができる。
【0028】
ワーク20を良好に分離するために、気体19の適温が必要であり、気体19は液体8から生成されなければならない。これは、従来技術から公知なように、ノズル22によって戻される熱で実行される。
【0029】
本発明によると、トーチ6に組み込まれ、相応に電気エネルギーを供給され、調節ユニットに接続される加熱素子24を介して、液体が気化される。さらに、液体8がトーチ6に供給される圧力34は、調節ユニットを介して調節される。ここで、気体19の略一定温度が調節ユニットを介して確保される。同様に、加熱素子24には、調節ユニットを介して適切に変更及び/又は調整可能なエネルギーが恒久的に供給されるため、加熱素子24の迅速な反応挙動が実現される。
【0030】
基本的に、調節ユニットは、水蒸気切断装置1の制御ユニット3の一部であり、いわゆる「スタンバイ動作」と「切断動作」を備える。
【0031】
「スタンバイ動作」は、水蒸気切断装置1が作動されるときに始動される。切断装置を作動することによって、加熱素子24には、調節ユニットを介して最大エネルギー、すなわち100%又は最大加熱負荷が供給される。よって、いわゆる蒸発器25は、特定の閾値26、たとえば190℃が蒸発器25の温度27に対して達するまで予熱される。この閾値26は、蒸発器25の温度27を測定するセンサ28によって感知される。センサ28は、調節ユニットに感知された値を送る。閾値26に達した後、所定の加熱時間を開始する。所定の加熱でトーチ6内の熱膨張が生じることによって、切断方法に関与する構成要素、たとえば陰極21の一定温度がトーチ6内で達成される。トーチ6の熱膨張を感知する複数のセンサ28を組み込むことももちろん可能である。加熱時間は調節ユニットを介して定められ、水蒸気切断装置1が作動された後に存在する蒸発器25の温度27に依存する。たとえば、閾値26の到達後の加熱時間は切断方法後に位置が変化するときに短くなるので、水蒸気切断装置1のエネルギー供給はすぐに中断される。水蒸気切断装置1の作動後、長時間切断方法が開始されない場合、蒸発器25の温度27は閾値26に保持される。これは、加熱素子24が閾値26に達するために最大加熱負荷29を供給し、閾値26の到達後、調節ユニットを介して停止されることで実行される。よって、いわゆる2点調節器が、「スタンバイ動作」間の温度27を調節するために使用される。
【0032】
同様に、かかる2点調節器が「切断動作」に関して使用される。ただし、ここで、加熱素子24は通常動作中に決して停止されず、最大加熱負荷29が所定の基本負荷30まで低減される、あるいは基本負荷30が相応に調節される。
【0033】
温度27が閾値26未満である場合、加熱素子24は最大加熱負荷29を提供する。しかし、温度27が閾値26を超える場合、加熱素子24は特定の基本負荷30を提供する。よって、蒸発器25の略一定温度27は、温度27が気体19の温度に略対応するように適応する。よって、トーチ6に供給ライン31を介して液体8が供給され、液体8が蒸発器25により気体19に気化される切断方法を開始することができる。液体8が気体19に変換される、すなわち気化される領域は、いわゆる気化区域32と称される。切断方法のために気体19に略一定温度を提供するため、気化区域32は蒸発器25内で移動及び/又は移送させるべきではない。有益なことにこのことは基本負荷30により達成される。なぜなら、基本負荷30により加熱素子24は指令値26を超えても動作し、蒸発器25の一定温度27が確保されるからである。
【0034】
基本的に、基本負荷30はパルス幅変調され、好ましくは切断方法中に10〜90%に調節される。基本負荷30の初期値、すなわち、切断方法の開始のための値はトーチ6の加熱時間に依存する。すなわち、トーチ6が低い温度、すなわち、長い加熱時間を有する場合、水蒸気切断装置1が作動されたら、高い値が基本負荷30の初期値として調整される。トーチ6が高い温度、すなわち、短い加熱時間を有する場合、水蒸気切断装置1が作動されたら、低い値が基本負荷30の初期値として調整される。方法のさらなる過程では、基本負荷30が相応に調節される。すなわち、水蒸気切断装置を作動させたときだけ、基本負荷30の初期値が予め定められ、基本負荷30が切断方法中に調節及び/又は調整される。
【0035】
切断方法を開始するとき、基本負荷30がたとえば80%に調節されることによって、気体19の最適動作温度は190℃〜240℃間で調整され、切断方法はより迅速に開始させることができる。よって、切断方法のために十分な液体8が気体19に気化し、その気体はノズル22の出口開口部23を通って脱出する。さらに、電気アークは切断方法に必要で、陰極21とワーク20との間で燃焼する。これは、陰極21とノズル22との間で電気アークを着火することにより実行され、電気アークは出口開口部23を通って、気体19によりワーク20に押し付けられる。燃焼電気アークはしたがって高温であるので、特にノズル22と陰極21が加熱される。次に、これらは熱を蒸発器区域32に伝え、そこで気体19がさらに加熱される。よって、温度27、ひいては気体19の動作温度が加熱素子24の基本負荷30により上昇し、熱がノズル22と陰極21から戻される。気体19が動作温度を維持するように、加熱素子24の基本負荷30は調節ユニットを介して、たとえば10%低減される。この基本負荷30の低減が十分でない場合、すなわち、センサ28によって感知される蒸発器25及び/又は蒸発器区域32の温度27がまだ上昇を続けている場合、基本負荷30はさらにたとえば10%低減される。よって、基本負荷30は動的に調整される。この手順は、基本負荷30が10%の値まで低減されるまで十分な回数繰り返される。この基本負荷30の調節は基本的にゆっくりであるので、この温度調節は、圧力調節によって及び/又は圧力調節と組み合わせてサポートされる。
【0036】
圧力調節は、液体8の供給ライン31に組み込まれる水蒸気切断装置1、たとえばバルブ33(図示せず)において実行される。同様に、圧力調節は、たとえば液体8をトーチ6に供給するポンプを直接介して水蒸気切断装置1において実行することも可能である。このバルブ33は、圧力調節を通じて相応に調節される。基本的に、圧力は好ましくは5〜7バールの間の範囲で調節される。液体8の圧力34は、バルブ33を介して相応に設定される。たとえば、液体8の高圧力は、増大した量の液体8を蒸発器25の現行温度27で気化させなければならないという作用を有する。このように、ノズル22及び陰極21から戻される熱は、迅速に相殺することができる。当然ながら、圧力調節は、蒸発器25の温度を迅速に上昇させることにも使用してよい。これは、液体8の圧力34が低減されることで実行される。よって、少量の液体8が部屋25の現行温度で加熱されることにより、部屋25の現行温度が上昇する。圧力調節は迅速に行われるため、液体8の液体状態が気体19の気体状態に変化する間の温度変動の均衡を取るため、圧力調節は好ましくは最初に、すなわち温度調節を通じた基本負荷30の変更前に行われる。この温度調節と圧力調節との組み合わせによって、蒸発器25、ひいては気体19の、切断方法における好作用である略一定温度27が達成される。同様に、この調節の組み合わせは、ノズル22の磨耗をある程度まで均衡を取る、及び/又は改善することができる。
【0037】
たとえば、燃焼電気アークは、ノズル22の出口開口部23が拡大されることによって、より多くの気体19が出口開口部23を通って脱出し、蒸発器25の温度27が低減するという効果を有する。切断方法におけるその悪影響を除去するため、温度27の変化が検知された後、圧力34は相応に調節される、及び/又は調節を通じて低減される。よって、脱出する気体19の量は減少し、蒸発器25の温度27が再び上昇して略一定レベルで保持される。出口開口部23の直径がさらに増大し続けて、蒸発器25の温度27が低下する場合、温度変化の検知後、圧力34をさらに、たとえば、5バールの最小値まで低減しなければならない。切断方法に必要なこの5バールの最小圧力34を下回ってはならないため、蒸発器25の略一定温度27が達成されない可能性がある。これは、基本負荷30を温度調節を通じて、たとえば10%増大させることにより回避される。よって、蒸発器25の略一定温度27を確保することができる。さらに、ノズル22の磨耗は、次に、温度27の低下を招く。圧力34は既に下方閾値、すなわち必要な最小値に達しているので、基本負荷30を増大させることによってのみ温度低下の均衡を取ることができる。よって、蒸発器25の略一定温度27が再び調整される。
【0038】
この種の調節は、ノズル22の磨耗に関する結論ももたらす。よって、低基本負荷及び高圧力に基づき、ノズル22が良好又は非常に良好な状態にあることが調節ユニットを介して検知される。逆の意味で、高基本負荷及び低圧力に基づき、ノズル22が不良又は非常に不良な状態にあり、交換が必要なことが調節ユニットを介して検知される。したがって、ノズルの磨耗は、たとえば表示装置16に表示させることもできる。
【0039】
図3では、切断方法間の圧力及び温度調節が、概略的かつ例示的に示される。温度27に関して提示された図から分かるように、加熱負荷29及び圧力34、通常動作での切断方法が時点35まで示される。ここで、温度27は温度27の指令値26周辺で変動し、圧力34は温度27と温度差の関数として指令値26に調節される。すなわち、温度27は圧力34を通じて調節される。さらに、基本負荷30は好ましくは一定レベルに保持される。つまり、圧力34は、温度27が指令値26を超えるときに基本的に上昇し、温度27が指令値26を下回るときに低下する。時点35以降から分かるように、温度27は継続的に上昇し、圧力34は温度27を再度低減するために調節ユニットを介して増大させられる。圧力34が上方閾値36、たとえば6.5バールを超えると、時点37で見られるように、基本負荷30はさらに、たとえば10%低減される。指令値26まで再度温度27を低下させるため、圧力34は時点38まで見られるように最大レベルを維持する。時点37と38間の時間の関数として、すなわち、指令値26に達するまで温度27が閾値36を超えた時点から、基本負荷30は、最小10%に達するまで、相応に複数回にわたりさらに10%低減させることができる。基本負荷30の追加の10%低減は、時点37と38間で例示的に示される。温度27がこれらの手段により低減することができず、240℃の値を超える場合、水蒸気切断装置1は安全のために調節ユニットによって停止される。ただし、この手段は基本的に、温度27が時点38以降から指令値26に達する、あるいはその周辺を変動する効果を有する。ここで、圧力34は相応に調整され、基本負荷30は常に低減された値で維持される。温度27が下方閾値29、たとえば182℃を下回る場合、圧力34は最低値まで相応に低減され、指令値26にできるだけ早急に達するまで基本負荷30はさらに10%増大される。この手段は時点40以降に示される。閾値39を再び超過するとすぐに、時点41で見られるように、調節ユニットは通常動作と同様に動作する。すなわち、可能であれば、温度27が閾値26を下回ると圧力34が低減され、温度27が閾値26を超過すると圧力34が相応に増大され、基本負荷30は現行の値で一定に保持される。
【0040】
同様に、本発明によると、調節ユニットは急な温度低下の検知と適切な対策をさらに備える。
【0041】
このことについて図4の切断方法履歴に関する図を用いてより詳細に説明する。温度履歴から分かるように、温度27は急に低下する時点42まで、切断方法間に継続的に上昇する。これは時点42と43の間で示される。たとえば1秒当り40℃の温度低下が調節ユニットを介して検知され、適切な措置が講じられる、すなわち、既知なように、温度27が圧力34を通じて調節される。さらに、基本負荷30は、時点42で最大加熱負荷29まで増大される。よって、急な温度低下が鈍り、再び蒸発器25の一定温度27が調節される。その時点で、時点43以降見られるように温度低下が鈍るまで、最大加熱負荷29が印加される。よって、基本負荷30は再び元の値まで低減される。当然ながら、基本負荷30は、蒸発器25の略一定温度27が調整されるようにさらに長時間にわたって最大加熱負荷29まで上昇させることもできる。よって、有益なことに、温度27の閾値26が急すぎる勾配で達成されるのを回避することができる。これは、温度低下がもはや調節ユニットを介して低減できず、温度27がたとえば170℃未満に落ちると、水蒸気切断装置1が自動的に停止するという結果を招くかもしれない。同様に、温度27がたとえば240℃の最大温度に近いとき、前記調節ユニットは不要である。
【0042】
好ましくは、圧力及び温度調節は、マイクロコントローラ、特に水蒸気切断装置1の制御ユニット3のマイクロコントローラによって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】水蒸気切断装置の模式図である。
【図2】水蒸気プラズマトーチの断面の模式図である。
【図3】切断動作中の温度、加熱負荷、及び圧力の概略的な温度の挙動を示す。
【図4】急な温度変動の場合の温度及び加熱負荷の概略的な挙動を示す。
【符号の説明】
【0044】
1 水蒸気切断装置
1a 基本装置
2 電流源
3 制御ユニット
4 遮断素子
5 タンク
6 水蒸気プラズマトーチ
8 液体
24 加熱素子
25 蒸発器
26 閾値
27 温度
30 基本負荷
34 圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱素子(24)、蒸発器(25)、エネルギー供給、及び液体(8)用の供給ライン(31)を含むトーチ(6)を備える水蒸気切断装置(1)での切断方法のために液体(8)を気体状態に変換する方法であって、適切な温度(27)が液体(8)の気化のために生成され、センサ(28)が前記蒸発器(25)の前記温度(27)を感知し、前記加熱素子(24)に必要なエネルギーを相応に供給して、前記トーチ(6)に供給される前記液体(8)の必要な圧力(34)を調節する調節ユニットに対して前記蒸発器(25)の前記温度(27)を伝えるように動作中に前記温度(27)が調節され、切断のために略一定の温度(27)の気化した前記液体(8)が切断方法のためにもたらされることを特徴とする方法。
【請求項2】
動作中に、前記加熱素子(24)に必要なエネルギーが可変的に調節されることによって、前記加熱素子(24)にエネルギーすなわち変動可能な基本負荷(30)が恒久的に供給されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
好ましくは10から90%の基本負荷(30)が動作中に前記加熱素子(24)によって生成されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記圧力(34)が前記温度の関数である閾値(26)に調節されることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記液体(8)が気体状態に変化する安定した蒸発器区域(32)が、変動可能な前記基本負荷(30)及び/又は加熱負荷(29)によって達成されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
温度変化の均衡を迅速に取るために前記圧力(34)の調節が利用されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱素子(24)すなわち前記基本負荷(30)が長期温度変化のために利用されることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
急な前記温度(27)の変動が前記調節ユニットにより検知されて均衡が取られることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記基本負荷(30)を最大の前記加熱負荷(29)まで増大させることによって急な温度変動の均衡を取ることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記水蒸気切断装置(1)が始動され、前記温度(27)が前記閾値(26)に達した後に加熱時間が開始されることを特徴とする、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記加熱時間が前記トーチ(6)及び/又は前記蒸発器(25)の前記温度(27)の関数として設定されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
初期値が切断方法の前記基本負荷(30)に関して加熱時間の関数として設定されることを特徴とする、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記トーチ(6)の1つ又は複数の構成要素の磨耗が、温度値及び圧力値に基づき検知されることを特徴とする、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ノズル(22)の磨耗が検知されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
調節が前記水蒸気切断装置(1)の前記制御ユニット(3)によって実行されることを特徴とする、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
蒸発器(25)、エネルギー供給、及び液体(8)用の供給ライン(31)を備え、水蒸気切断装置(1)での切断方法のために液体(8)を気体状態に変換するトーチであって、適切な温度(27)が液体(8)の気化のために必要とされ、加熱素子(24)がトーチ(6)に組み込まれ、前記加熱素子(24)によって生成される熱を感知するセンサ(28)が設けられ、前記センサ(28)が前記加熱素子(24)について設けられる調節ユニットに接続されることを特徴とするトーチ。
【請求項17】
前記加熱素子(24)は低電力入力を有することを特徴とする、請求項16に記載のトーチ。
【請求項18】
前記低電力入力は前記トーチ(6)のコンパクトな構造を可能にすることを特徴とする、請求項17に記載のトーチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−507346(P2009−507346A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529409(P2008−529409)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/AT2006/000356
【国際公開番号】WO2007/028179
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(504380611)フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (65)
【氏名又は名称原語表記】FRONIUS INTERNATIONAL GMBH
【Fターム(参考)】