説明

水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体の製造方法、水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体、及び水酸基含有ブロック共重合体

【課題】親水性を有する、水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体の製造方法、水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体、及び水酸基含有ブロック共重合体を提供する。
【解決手段】本発明の水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体の製造方法はポリアミノ酸ブロックとポリジエンブロックとを有するブロック共重合体を含む成形体と、アミノアルコールと、を反応させることを特徴とする。本発明の水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体および本発明の水酸基含有ブロック共重合体は、水酸基を有する構成単位を含むポリアミノ酸ブロックと、ポリジエンブロックとを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体の製造方法、水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体、及び水酸基含有ブロック共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミノ酸ブロック(A)とポリジエンブロック(B)とから構成される、A−B−A型ブロック共重合体は、ポリアミノ酸ブロックが生体適合性に優れ、かつポリジエンブロックが破断・伸び等の物理的性質を向上させることから、医療材料等への応用が検討されている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開平5−317403号公報
【特許文献2】特開平7−80057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
A−B−A型ブロック共重合体は、例えば、創傷被覆材や、人工臓器、人工皮膚、人工血管、縫合糸など種々の医療材料への用途が期待されている。
これらの用途のうち、特に人工臓器などの直接人体に接触する用途に使用する場合などのように、生体適合性の観点から、適度の親水性が求められる場合がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、親水性を有する、水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体の製造方法、水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体、及び水酸基含有ブロック共重合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく検討したところ、ポリアミノ酸ブロックを含むA−B−A型ブロック共重合体の未成形品に親水性を付与すると、ブロックポリマーの溶剤への溶解性が低下し、成型加工性に問題が生じた。
この問題を解決すべく、さらなる検討を行ったところ、ポリアミノ酸ブロックとポリジエンブロックとを有するブロック共重合体を含む成形体を、アミノアルコールと反応させてポリアミノ酸ブロックに水酸基を導入することにより、親水性を有する成形体を得ることができるという知見を得た。
【0006】
すなわち本発明は、ポリアミノ酸ブロックとポリジエンブロックとを有するブロック共重合体を含む成形体と、アミノアルコールと、を反応させることを特徴とする水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体の製造方法である。
本発明によれば、ブロック共重合体を含む成形体とアミノアルコールとを反応させることによりポリアミノ酸ブロックに水酸基が導入され、親水性が付与されたブロック共重合体を含む成形体を得ることができる。
アミノアルコールとしてはアミノ低級アルコールを用いると親水性が高まるので好ましい。
【0007】
また、本発明は、ポリアミノ酸ブロックとポリジエンブロックとを有するブロック共重合体の、前記ポリアミノ酸ブロックは、水酸基を有する構成単位を含むことを特徴とする水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体、及び、水酸基含有ブロック共重合体である。
本発明によれば、ポリアミノ酸ブロックには水酸基を有する構成単位を含むから、ブロック共重合体に親水性が付与される。
【0008】
本発明は以下の構成であってもよい。
前記ポリジエンブロックがポリイソプレンを含んでいる構成とすると、水酸基含有ブロック共重合体を伸びや生体適合性に優れたものとすることができ、好ましい。
【0009】
前記ポリアミノ酸ブロックは、ポリN−ヒドロキシアルキル−L−グルタミン誘導体由来の構成単位を含んでいる構成とすると、親水性が高まるので好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、親水性を有する水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体の製造方法、水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体、及び水酸基含有ブロック共重合体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体は、水酸基を有する構成単位を含むポリアミノ酸ブロックと、ポリジエンブロックとを有する。本発明の水酸基含有ブロック共重合体はポリアミノ酸ブロックとポリジエンブロックとを有するブロック共重合体を含む成形体と、アミノアルコールとを反応させることにより得られる。
本発明の水酸基含有ブロック共重合体の原料となるブロック共重合体は、たとえば、アミノ基を末端に有するポリジエン(アミノ基含有ポリジエン)の存在下に、N−カルボキシ−α−アミノ酸無水物を重縮合させることにより作製することができる。
まず、ブロック共重合体の原料となるアミノ基含有ポリジエンの製造方法について説明する。
【0012】
[アミノ基含有ポリジエンの製造方法]
アミノ基含有共役ポリジエンは、下記一般式(1)で表される化合物[化合物(1)という]と、有機リチウム化合物(2)との反応生成物(a)と、共役ジエン化合物とを反応させて、前記共役ジエン化合物の重合体を得る工程(1)と、前記共役ジエン化合物の重合体と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させる工程(2)とを経て作製される。
【0013】
【化1】

【0014】
[一般式(1)中、Rは、水素原子、又は炭素数1〜16のアルキル基を示し、mおよびnはそれぞれ1〜5の整数を示す。mが2以上の整数である場合には、Rは相互に同一であっても異なっていてもよい。nが2以上の整数である場合には、Rは相互に同一であっても異なっていてもよい。]
【0015】
【化2】

【0016】
[一般式(5)中、R及びRは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又はオルガノシロキシ基を示し、Xは、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリロキシル基、又はハロゲン原子を示し、Rは、メチレン基、炭素数2〜20のアルキレン基、又は炭素数2〜20のアルキリデン基を示す。
及びRは、それぞれが独立した基であってもよく、相互に結合して環状構造を形成していてもよい。R及びRが相互に結合していない場合には、R及びRは、両方ともトリアルキルシリル基を示し、当該トリアルキルシリル基の珪素に結合する3つのアルキル基は相互に独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す。RとRが相互に結合して環状構造を形成する場合には、当該環状構造は、RおよびRが結合する窒素原子を含め、少なくとも2個の珪素原子、及び1〜10個の炭素原子で構成される。]
【0017】
<工程(1)>
工程(1)では、化合物(1)と化合物(2)との反応生成物(a)を、共役ジエン化合物と反応させることにより共役ジエン重合体(ポリジエン)が得られる。
【0018】
<化合物(1)>
工程(1)で用いる化合物(1)は、二以上の反応性官能基を有する化合物であり、前記一般式(1)で表される化学構造を有するものである。
前記一般式(1)中、Rは、水素、又は炭素数1〜16のアルキル基を示す。mおよびnはそれぞれ1〜5の整数を示し、mが2以上の整数である場合には、Rは相互に同一であっても異なっていてもよい。nが2以上の整数である場合には、Rは相互に同一であっても異なっていてもよい。
上記のRのうち、水素又は炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、水素又は炭素数1〜4のアルキル基であることが更に好ましい。
【0019】
化合物(1)の具体例としては、1,3−ジ(1−フェニルエテニル)ベンゼン、1,3−ビス[(4−メチルフェニル)エテニル]ベンゼン、1,3−ビス[(2,3−ジメチルフェニル)エテニル]ベンゼン、1,3−ビス[(4−エチルフェニル)エテニル]ベンゼン、1,3−ビス[(4−tert−ブチルフェニル)エテニル]ベンゼン、1,3−ビス[(4−ドデシルフェニル)エテニル]ベンゼン等を挙げることができる。なかでも、1,3−ジ(1−フェニルエテニル)ベンゼン、1,3−ビス[(4−メチルフェニル)エテニル]ベンゼンが好ましい。
【0020】
<有機リチウム化合物(2)>
工程(1)で用いる有機リチウム化合物(2)[以下、化合物(2)ともいう]は、前述の化合物(1)と反応してアニオン重合開始剤を生成し得る化合物であり、その化学構造が一般式:RLi(Rは、炭素数1〜16のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基を示す)で表される。
【0021】
前記一般式:RLi中のRは、炭素数1〜4のアルキル基、又はフェニル基であることが好ましい。化合物(2)の具体例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、i−プロピルリチウム、n−プロピルリチウム、メチルリチウム、エチルリチウム、フェニルリチウム等を挙げることができる。なかでも、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウムが好ましい。
【0022】
<反応生成物(a)>
化合物(1)と化合物(2)との反応により得られる反応生成物(a)は、共役ジエン化合物との反応の際に二官能性のアニオン重合開始剤として作用する。
化合物(1)と化合物(2)との反応は、公知の方法に準じて行うことができ、例えば、化合物(1)と化合物(2)とを非極性溶媒中で反応させることにより、反応生成物(a)を作製することができる。
【0023】
化合物(1)と化合物(2)との反応に用いることのできる非極性溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン等の飽和炭化水素;シクロヘキサン、シクロペンタン等の環状炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素を挙げることができる。なお、これらの非極性溶媒は単独でも二種以上を組み合わせても用いることができる。
【0024】
化合物(1)と化合物(2)との反応条件は特に限定されないが、通常、−10℃〜120℃、好ましくは0℃〜100℃の温度条件の下で、通常0.5時間〜50時間、好ましくは1時間〜10時間反応させればよい。
【0025】
上記反応に用いられる化合物(1)に対する化合物(2)のモル当量としては、1.5〜2.5、好ましくは1.8〜2.2である。化合物(1)と化合物(2)の比が上記範囲外であると二官能開始剤に対する一官能開始剤の過不足が顕著となることから、製造したポリジエンに含まれる両末端変性体の割合が低下し、これを用いて製造したブロック共重合体の強度を低下させる恐れがある。
【0026】
<共役ジエン化合物>
工程(1)において反応生成物(a)と反応させる共役ジエン化合物は、その分子構造中に共役ジエン結合を有するものであれば特に限定されない。共役ジエン化合物の具体例としては、イソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、ミルセン、クロロプレン等を挙げることができる。なかでも、イソプレン、及びブタジエンが好ましい。
【0027】
共役ジエン化合物と反応生成物(a)とを重合反応させる際に用いる溶媒は特に限定されないが、通常、ペンタン、ヘキサン等の飽和炭化水素;シクロヘキサン、シクロペンタン等の環状炭化水素;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素をはじめとする各種の非極性溶媒、及びこれらの複数を混合した混合溶媒を用いることができる。重合条件は特に限定されないが、通常、−10℃〜150℃、好ましくは0℃〜120℃の温度条件下、通常1分〜30時間、好ましくは5分〜5時間重合させればよい。
【0028】
上記反応に用いられる反応生成物(a)に対する共役ジエン化合物のモル当量は、目的とするポリジエンの分子量により適宜変更することができるが、設計する分子量により、通常7〜15,000、好ましくは35〜1,5000、さらに好ましくは95〜1,100である。
【0029】
上述した工程(1)、および後述する工程(2)から選ばれる1以上の工程は、下記一般式(3)で表される化合物(以下、化合物(3)ともいう)および下記一般式(4)で表される化合物(以下、化合物(4)ともいう)から選ばれる一種以上の化合物Dの存在下に行われると、アミノ基の含有率の高いアミノ基含有ポリジエンを得ることができるという点で好ましい。
【0030】
【化3】

【0031】
[一般式(3)中、R、R、R、R9´、R10およびR11は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を示し、pは1〜5の整数を示す。]
【0032】
【化4】

【0033】
[一般式(4)中、R12、R13、R14およびR15は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を示し、XおよびXは炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリロキシル基、硫黄原子を含む官能基、リン原子を含む官能基を示す。]
化合物(3)および化合物(4)について具体的に、説明する。
【0034】
<化合物(3):オキソラニル化合物>
前記一般式(3)で表されるオキソラニル化合物(化合物(3))の具体例としては、ビス(2−オキソラニル)メタン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、1,1−ビス(2−オキソラニル)エタン、2,2−ビス(2−オキソラニル)ブタン、2,2−ビス(5−メチル−2−オキソラニル)プロパン、2,2−ビス(3,4,5−トリメチル−2−オキソラニル)プロパン、トリマー性2,5−ビス(2−オキソラニル−2−プロピル)オキソラン等を挙げることができる。これらのうち、2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパンが好ましい。
【0035】
<化合物(4)>
化合物(4)の具体例としてはエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のポリアルキレングリコールのエーテル誘導体等、並びに3,6−ジチアオクタン等のアルキル、又はアリール置換されたジチオエーテル誘導体等、ジホスフィノエタン、ジホスフィノプロパン等のホスフィン化合物等、またはこれらのヘテロ原子が組み合わさったものを挙げることができる。これらのうち、プロピレングリコールエチルプロピルエーテルあるいはプロピレングリコールジエチルエーテルが好ましい。
【0036】
工程(1)において化合物Dを用いる場合には、例えば化合物Dとして一般式(3)の化合物を用いた場合、通常化合物(2)に対して0.01〜15モル当量、好ましくは0.02〜10モル当量である。化合物(3)が上記範囲内で用いられるとポリジエン末端の変性効率の点で好ましい。
【0037】
<工程(2)>
工程(2)では、上述の工程(1)で得られたポリジエンと、一般式(5)で表される化合物(以下、化合物(5)ともいう)とを反応させる。
ポリジエンと化合物(5)との反応により、通常、末端アミノ基に化合物(5)の構造の一部が保護基として結合した形の、3級アミノ基含有ポリジエンが生成する。その後、上記生成物である3級アミノ基含有ポリジエンの3級アミノ基を脱保護して1級アミノ基とし、両末端に1級アミノ基を有するアミノ基含有ポリジエンを得る。
【0038】
<化合物(5)>
化合物(5)は、ポリジエンを変性させることが可能であるとともに、3級アミノ基含有ポリジエンを調製可能なもの(いわゆる、変性剤)であり、前記一般式(5)で表される化合物である。
【0039】
化合物(5)の具体例としては、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルクロロシラン、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンチル)プロピルジメチルメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルフェノキシシラン、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンチル)プロピルジメチルクロロシラン、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンチル)プロピルジメチルエトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルジメチルメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノエチルジメチルエトキシシラン等を挙げることができる。なかでも、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルクロロシラン、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンチル)プロピルジメチルメトキシシランが好ましい。
【0040】
ポリジエンと化合物(5)との反応(ポリジエンの変性)は、ポリジエンを重合系から単離することなく、重合系に化合物(5)を添加することにより行うことができる。化合物(5)によるポリジエンの変性条件は特に限定されないが、通常、0℃〜150℃、好ましくは30℃〜100℃の温度条件下、通常1分〜30時間、好ましくは5分〜5時間変性させればよい。なお、変性反応の停止処理、過剰な有機リチウム化合物の失活等を目的として、反応時間経過後に、通常、メタノールを添加する。
【0041】
上述したように、工程(2)において、化合物Dを用いてもよい。例えば工程(2)において、化合物Dとして一般式(3)の化合物を用いる場合、通常、反応生成物(a)のモル数に対して0.02〜30倍当量が用いられ、好ましくは0.04〜20倍当量である。化合物(3)が上記範囲内で用いられるとポリジエン末端の変性効率の点で好ましい。
【0042】
工程(2)において化合物Dとして化合物(3)および化合物(4)から選ばれる一種を用いる場合には、金属アルコキシド、好ましくはアルカリ金属アルコキシド、更に好ましくは炭素数2〜16のリチウムアルコキシドの存在下に工程(1)を行うことが好ましい。このような金属アルコキシドを添加することで、エラストマー特性に優れる1,4付加構造の割合が高く、かつ、金属アルコキシドを加えない場合に比べて、単一の分子量分布を有するポリジエンを得ることができるからである。なお、金属アルコキシドを加えない場合には、リチウムの会合により単一の分子量分布を与えず、両側のポリジエン鎖末端にアミノ基を導入することが困難となり、ブロック共重合体の強度が低下する恐れがある。
【0043】
工程(2)においては、化合物(5)を用いてポリジエンを変性させることにより、その両末端に3級アミノ基を有するポリジエンが形成される。変性に用いられる化合物(5)の量は、化合物(2)に対して、通常0.8〜10モル当量、好ましくは0.9〜7モル当量、特に好ましくは1〜5モル当量の範囲である。上記範囲内では、ポリジエン末端の変性効率の向上と、未反応変性剤の精製除去が容易になり、化合物(5)とポリジエンとの反応により得られるアミノ基含有ポリジエンから製造されるブロック共重合体の強度を安定させる点で好ましい。
形成された3級アミノ基含有ポリジエンを脱保護させることにより、その両末端に1級アミノ基を有するアミノ基含有ポリジエンを得ることができる。
【0044】
脱保護反応は、化合物(5)の種類により、変性反応の停止処理とともに反応が起こる場合と、変性反応停止後に処理を行って脱保護反応させる必要がある場合とがある。変性反応停止後の処理としては、3級アミノ基を有する共役ジエン重合体を適当な酸又は塩基で処理すればよい。酸又は塩基による処理の条件は特に限定されず、通常、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜70℃の温度条件下、通常1分〜10時間、好ましくは5分〜5時間処理すればよい。また、脱保護の後、必要に応じて再結晶等の処理を行うことも好ましい。
【0045】
反応生成物(a)とポリジエンとの重合反応、及び、化合物(5)による共役ジエン重合体の変性を経由して得られるアミノ基含有ポリジエンの数平均分子量は1H−NMRを用いて、反応生成物(a)由来のシグナルとポリジエン由来のシグナルとの積分比から算出される。こうして算出されたアミノ基含有ポリジエンの数平均分子量は通常1,000〜1,000,000、好ましくは3,000〜100,000であり、さらに好ましくは7,000〜70,000である。ポリジエンの数平均分子量が1,000未満であると、得られるポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体の破断伸び等の物理的性質が劣るという場合がある。一方、ポリジエンの数平均分子量が1,000,000超であると、得られるポリアミノ酸−ポリジエン共重合体の生体適合性が劣るという場合がある。また、上述の方法で得られるアミノ基含有ポリジエンは、比較的狭い分子量分布を有する。具体的には、アミノ基含有共役ジエン重合体の製造方法によって得られるアミノ基含有共役ジエン重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、通常1.0〜2.5、好ましくは1.0〜2.0、更に好ましくは1.0〜1.6である。
【0046】
また、アミノ基含有ポリジエンの変性率は1H−NMRを用いて、反応生成物(a)由来のシグナルと変性剤由来のシグナルとの積分比か、あるいは酸による滴定法を用いて求められる。上述したアミノ基含有ポリジエンの製造方法によれば、極めて高い変性率(1級アミノ基の導入率)で1級アミノ基が導入されたアミノ基含有ポリジエンを得ることができる。具体的には、上記製造方法によって得られるアミノ基含有ポリジエンの変性率は、通常、60%〜100%、好ましくは70〜100%、更に好ましくは80〜100%である。
【0047】
上記方法により得られるアミノ基含有ポリジエンとしては、具体的には、一般式(9)で表されるアミノ基含有ポリジエンが好ましい。一般式(9)で表されるアミノ基含有ポリジエンは、反応性が高く入手容易なブチルリチウムを用いて、安価な一般式(5)で表される化合物を用いて製造可能であるうえに、アミノ基の導入率が高いので、ポリアミノ酸ブロック−ポリジエンブロック共重合体を製造する材料として好適だからである。
【0048】
【化5】

【0049】
[一般式(9)中、Rは、水素原子、又は炭素数1〜16のアルキル基を示し、mおよびnはそれぞれ1〜5の整数を示す。mが2以上の整数である場合には、Rは相互に同一であっても異なっていてもよい。nが2以上の整数である場合には、Rは相互に同一であっても異なっていてもよい。Buはブチル基を示す。
A、A´は共役ジエン化合物をモノマー単位とするポリジエン重合鎖を示し、Y、Y´は水素または下記一般式(10)で示される官能基を示し、YおよびY´の少なくとも一方は下記一般式(10)で示される官能基である。]
【0050】
【化6】

【0051】
[一般式(10)中、R及びRは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又はオルガノシロキシ基を示し、Rは、メチレン基、炭素数2〜20のアルキレン基、又は炭素数2〜20のアルキリデン基を示す。]
次に、アミノ基含有ポリジエンを用いたブロック共重合体の製造方法について説明する。
【0052】
[ブロック共重合体の製造方法]
ブロック共重合体の製造方法においては、上述した方法により得られたアミノ基含有ポリジエンと、下記一般式(6)で表される化合物、下記一般式(7)で表される化合物、および下記一般式(8)で表される化合物から選ばれる一種以上の化合物(以下、「化合物E」ともいう)とを反応させることにより、たとえば、一般式(11)で示すような、アミノ酸ブロック(A)及びポリジエンブロック(B)を有するブロック共重合体が得られる。すなわちアミノ基含有ポリジエンと、化合物Eとを混合し加熱すると、アミノ基含有ポリジエンが重合開始剤として作用して、二酸化炭素を脱離して、アミド結合(ペプチド結合)を生成しながら、ポリアミノ酸ブロック−ポリジエンブロック共重合体が作製される。
【0053】
【化7】

【0054】
[一般式(6)中、R16は、水素原子又は炭素数1以上の一価の有機基を示す。]
【0055】
【化8】

【0056】
[一般式(7)中、R17は、水素原子または電子吸引性基を示し、R18は水素原子又は炭素数1以上の一価の有機基を示し、rは1〜5の整数を示し、rが2以上の整数である場合には、複数のR17は相互に同一であっても異なっていてもよい。]
【0057】
【化9】

【0058】
[一般式(8)中、R19は、水素原子又は炭素数1以上の一価の有機基を示す。]
【0059】
【化10】

【0060】
[一般式(11)中、Rは、水素原子、又は炭素数1〜16のアルキル基を示し、mおよびnはそれぞれ1〜5の整数を示す。mが2以上の整数である場合には、Rは相互に同一であっても異なっていてもよい。nが2以上の整数である場合には、Rは相互に同一であっても異なっていてもよい。Buはブチル基を示す。
A、A´は共役ジエン化合物をモノマー単位とするポリジエン重合鎖を示し、Z、Z´は水素または前記一般式(10)で示される官能基に由来する基、または、下記一般式(12)で示されるポリアミノ酸重合鎖を示し、ZおよびZ´の少なくとも一方は下記一般式(12)で示されるポリアミノ重合鎖である。]
【0061】
【化11】

【0062】
[一般式(12)中、R及びRは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、又はオルガノシロキシ基を示し、Rは、メチレン基、炭素数2〜20のアルキレン基、又は炭素数2〜20のアルキリデン基を示し、R22は、水素原子又は炭素数1以上の一価の有機基を示し、xは1〜500の整数を示す。]
以下、ブロック共重合体の製造方法において用いる化合物について説明する。
【0063】
<一般式(6)で表される化合物:化合物(6)>
一般式(6)中の、R16としては、炭素数3〜20の炭化水素基、及び、エステル構造を有する一価の有機基が好ましく、特に、−R20−COO−R21(式中、R20はメチレン基、又は炭素数2〜10のアルキレン基を示し、R21は炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香環含有炭化水素基を示す)で表される基が好ましい。
【0064】
一般式(6)で表される化合物(6)の具体例としては、アミノアルコールとの反応性を考慮し、ベンジル基を有するγ−ベンジル−L−グルタミン酸N−カルボン酸無水物、β−ベンジル−L−アスパラギン酸N−カルボン酸無水物、O−ベンジル−L−チロシンN−カルボン酸無水物、γ−ベンジル−L−グルタミン酸N−カルボン酸無水物、β−ベンジル−L−アスパラギン酸N−カルボン酸無水物等が挙げられる。なかでも、γ−ベンジル−L−グルタミン酸N−カルボン酸無水物(BLG−NCA)、β−ベンジル−L−アスパラギン酸N−カルボン酸無水物、O−ベンジル−L−チロシンN−カルボン酸無水物が好ましく、BLG−NCAが特に好ましい。
【0065】
<一般式(7)で表される化合物:化合物(7)>
一般式(7)に示すR17の電子吸引性基としては、具体的には、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、シアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、パーフルオロアルキル基及びパークロロアルキル基などを挙げることができ、なかでもニトロ基が特に好ましい。R18としては炭素数3〜20の炭化水素基、及び、エステル構造を有する一価の有機基が好ましく、特に、−R20−COO−R21(式中、R20はメチレン基、又は炭素数2〜10のアルキレン基を示し、R21は炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香環含有炭化水素基を示す)で表される基が好ましい。
【0066】
一般式(7)で表される化合物(7)の具体例としては、アミノアルコールとの反応性を考慮し、ベンジル基を有するN−(フェノキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメート、N−(フェノキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテート、N−(フェノキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシン、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメート、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテート、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシン等が挙げられる。なかでも、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメート(Np−BLG)、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテート、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシンが好ましい。
【0067】
<一般式(8)で表される化合物:化合物(8)>
一般式(8)に示すR19の一価の有機基としては、炭素数3〜20の炭化水素基、及び、エステル構造を有する一価の有機基が好ましく、−R20−COO−R21(式中、R20はメチレン基、又は炭素数2〜10のアルキレン基を示し、R21は炭素数1〜10のアルキル基、又は炭素数6〜20の芳香環含有炭化水素基を示す)で表される基が特に好ましい。
【0068】
一般式(8)で表される化合物(8)の具体例としては、アミノアルコールとの反応性を考慮し、ベンジル基を有するN−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメート、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテート、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシン等が挙げられる。なかでも、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメート、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテート、N−(N´−サクシンイミジロキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシンが好ましい。
【0069】
アミノ基含有ポリジエンと化合物Eとの共重合反応は、適当な溶媒の存在下で行えばよい。溶媒の具体例としては、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、シクロペンタンモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒等を挙げることができる。
【0070】
アミノ基含有ポリジエンと化合物Eの共重合反応の反応条件は特に限定されず、通常、−20℃〜120℃、好ましくは0℃〜80℃の温度条件下、通常1時間〜100時間、好ましくは5時間〜20時間]反応させればよい。
【0071】
[ポリアミノ酸ブロックとポリジエンブロックとを有するブロック共重合体]
ポリアミノ酸ブロック(A)とポリジエンブロック(B)とを有するブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体」ともいう)としては、生体適合性に優れかつ物理的強度に優れているという観点からA−B−A型トリブロック共重合体が好ましい。
本発明においては、アミノ基含有ポリジエンとして上記一般式(9)で表されるアミノ基含有ポリジエンを用いて、これを化合物Eと重合させると、高収率でブロック共重合体が得られるので好ましい。
【0072】
ポリアミノ酸ブロック−ポリジエンブロック共重合体のポリアミノ酸(A)とポリジエン(B)との質量比は、通常、95:5〜10:90であり、70:30〜40:60の範囲内であることが好ましい。この範囲外では生体適合性が低下する。また(A)の比率が高すぎる場合にはブロック共重合体が樹脂状となり十分な伸びが得られず、(A)の比率が高すぎる場合には物理的強度が低下する。ポリアミノ酸−ポリジエンブロック共重合体のポリアミノ酸ブロック(A)とポリジエンブロック(B)との質量比は、N−カルボキシ−α−アミノ酸無水物と開始剤の仕込みモル比により、容易に調整することができる。
なお、ポリジエンブロックがポリイソプレンであると、後述する本発明の水酸基含有ブロック共重合体を、物理的強度に優れたものとすることができ、好ましい。
【0073】
[水酸基含有ブロック共重合体]
さて、本発明の水酸基含有ブロック共重合体を構成するポリアミノ酸ブロックには、水酸基を有する構成単位が含まれる。本発明の水酸基含有ブロック共重合体は、例えば、ブロック共重合体と、アミノアルコールとを反応させることにより得られ、この反応により、ポリアミノ酸ブロックを構成する構成単位の側鎖部分に水酸基が導入される。
【0074】
本発明においては、親水性が高まるという観点から、ポリアミノ酸ブロックが、下記一般式(13)に示すポリN−ヒドロキシアルキル−L−グルタミン誘導体由来の構成単位を含んでいるのが好ましい。
すなわち、アミノ基含有ポリジエンと、γ−ベンジル−L−グルタミン酸N−カルボン酸無水物(BLG−NCA)とを反応させて得られるブロック共重合体に、水酸基を導入したものが好ましい。そして、当該ブロック共重合体のポリアミノ酸ブロックの構成単位の側鎖部分のベンジルオキシ基がヒドロキシアルキルアミノ基に変換されているものが特に好ましい。
水酸基の導入割合は、ポリアミノ酸ブロックを構成する構成単位全体に対して60%以上であるのが好ましい。
【0075】
【化12】

【0076】
[一般式(13)中、Xは、水酸基を少なくとも1個有する炭素数1〜10の炭化水素基を示す。]
【0077】
アミノアルコールと反応させるブロック共重合体としては、後述の方法などにより成形したものを用いる。
例えば、フィルム状としたブロック共重合体を用いる場合、フィルムをアミノアルコールに浸漬して、通常、45℃〜55℃で、48〜72時間反応させると、本発明の水酸基含有ブロック共重合体が得られる。
【0078】
水酸基を導入するのに用いるアミノアルコールとしては、アミノメチルアルコール、2−アミノエチルアルコール、3−アミノ−1−プロピルアルコールなどのアミノ低級アルコールを用いると親水性を高めることができ好ましい。
【0079】
<ブロック共重合体の成形方法>
ブロック共重合体は、溶液流延法、押出成形法、カレンダー法などの従来公知の方法により成形することが可能であるが、これに限定されるものではない。特に加熱加工法にあっては、老化防止剤のような熱安定剤を付与することによって、加熱による物性低下を緩和することが可能である。
【0080】
<ブロック共重合体の成膜>
上述の成形法のうち、ブロック共重合体を用いた成膜の作製方法としては、例えば、溶液流延法などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
溶液流延法による成膜において、ブロック共重合体を調製するのに用いられる溶媒は、ブロック共重合体を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、ポリアミノ酸ブロックおよびポリジエンブロックに対して良溶媒であることが好ましい。このような溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ベンゼン、トリフルオロエタノール等が挙げられる。
【0081】
溶液流延法においては、一般に、ガラスや金属等の板上に、ブロック共重合体溶液を流延して、高圧環境下等で溶媒を留去する。流延の際の、溶液濃度は、通常0.1質量%〜5質量%である。溶液濃度が5質量%を超えると、均一な厚さで成膜することが困難だったり、操作性が悪くなったりする場合がある。一方、溶液濃度が0.1質量%未満であると、十分な厚さの膜を得るのが困難になる場合がある。また、溶媒の除去方法は特に限定されないが、通常、室温で溶媒を揮散させた後、減圧下で十分に乾燥させる。
【0082】
上記方法などにより得られる水酸基含有ブロック共重合体の成膜は、柔軟性に優れ、親水性を有することから、生体に接触する医療用の材料、例えば、絆創膏などの創傷被覆材、結腸栄養チューブ、高カロリー輸液カテーテルなどのカテーテル類、人工肺などの体外循環回路、人工補填物、人工臓器、人工血管、人工皮膚、および縫合糸などに使用することが可能である。
【実施例】
【0083】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0084】
<試験法および評価方法>
各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[有機リチウム化合物]
sec−ブチルリチウム(s−BuLi)のシクロヘキサン溶液(1.3mol/l)は、公知の技術であるGilmanの二重滴定法(Gilman.H他、J.Am.Chem.Soc.66.1515−1516(1944))を用いることにより、有効リチウム濃度1.1mol/lと算出されたものを用いた。
【0085】
[アミノ基を末端に有するポリイソプレン中の1,4結合含有率、1,2結合含有率、3,4結合含有率、数平均分子量(Mn)、及び1級アミノ基導入率(変性率)]
400MHz核磁気共鳴スペクトル分析装置(商品名「ECX−500」、日本電子社製)を使用し、アミノ基を末端に有するポリイソプレン(乾燥後のもの)100mgを重クロロホルム0.75mLに溶解して得た測定用試料を分析することにより、1,4結合含有率(%)、1,2結合含有率(%)、3,4結合含有率(%)、数平均分子量(Mn(g/mol))、及び1級アミノ基導入率(変性率(%))を測定した。
【0086】
[アミノ基を末端に有するポリイソプレンの分子量分布(Mw/Mn)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)(カラム:商品名「HLC−8120」、東ソー・ファインケム社製)を使用し、40℃の温度条件下、テトラヒドロフランを溶媒として使用し、流速1.0mL/分におけるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。測定したMwとMnの値から、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。
【0087】
[赤外スペクトル測定]
堀場製作所社製の「FT−720」を用いて測定した。
【0088】
[元素分析]
J−サイエンスラボ社製の「JM10」を用いて測定した。
【0089】
[膨潤度測定]
蒸留水99.04部にリン酸水素ニカリウム0.03部、炭酸水素ナトリウム0.25部、塩化ナトリウム0.67部、及び塩化カリウム0.01部加えて疑似細胞外液を調製した。調製した疑似細胞外液に測定用試料を37℃条件下で24時間浸漬させ、浸漬前後の重量比を膨潤度、(重量変化量/浸漬前重量)×100を含水率(%)として算出した。
【0090】
<合成例1:アミノ基を末端に有するポリイソプレンの合成>
脱水したシクロヘキサン/ヘプタン混合溶剤100mlに、1,3−ジ(1−フェニルエテニル)ベンゼン(DPEB)3.00gを溶解させた溶液を、内容積300mlのガラス製反応容器に入れた。乾燥窒素雰囲気下、前記反応容器にsec−ブチルリチウム(s−BuLi)のシクロヘキサン溶液(有効リチウム濃度:1.1mol/l)18.5mlを添加し、50℃で3時間撹拌することにより重合開始剤溶液a1を調製した。なお、重合開始剤溶液a1中のLi濃度は0.17mol/lである。
【0091】
内容積500mlの耐圧ガラス製反応容器に、脱水したシクロヘキサン/ヘプタン混合溶剤332mlと、添加剤として2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン(BTHFP、比重1.00g/ml、FW=184.27)0.11ml(0.601mmol)を入れ、乾燥窒素雰囲気下、合成例1で調製した重合開始剤溶液a1を数滴添加した。反応液が黄色になることを確認した後、重合開始剤溶液a1を13.8ml(Li量2.40mmol)と脱水したイソプレン36.0gとを更に添加し、50℃で30分振とうして重合反応を行った。
重合反応後の反応液に、変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン0.98gを添加した後、75℃以上で3時間振とうして変性反応を行った。次いで、メタノール2mlを添加して変性反応を終了させた。反応終了後の上澄み液を回収して濃縮した後、シクロヘキサン50mlとメタノール200mlを用いた再沈殿操作を3回繰り返した。次いで、シクロヘキサン100mlとメタノール100mlの混合溶媒中、酢酸11.3gを用いてpHを3−4とし、室温下で3時間撹拌した後、水酸化ナトリウム水溶液(4.0mol/l)47.1gを用いて中和し、メタノール500mlを用いて重合体を沈殿させた。シクロヘキサン50mlとメタノール200mlを用いた再沈殿操作を5回繰り返した後、減圧下で溶剤を留去した。真空下、60℃で十分に乾燥することで、その両末端に1級アミノ基を有するポリイソプレン(アミノ基含有ポリイソプレン)31.0gを得た。得られたアミノ基含有ポリイソプレンの数平均分子量(Mn)は32000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(分子量分布:Mw/Mn)は、1.20、イソプレン単位の数は432個、及び変性率は90%であった。また、ポリイソプレンブロックでのイソプレン同士の結合含有率は1,4結合含有率が36%、1,2結合含有率が6%、3,4結合含有率が58%であった。
【0092】
<合成例2:アミノ基を末端に有するポリイソプレンの合成>
脱水したシクロヘキサン/ヘプタン混合溶剤100mlに、1,3−ジ(1−フェニルエテニル)ベンゼン(DPEB)3.00gを溶解させた溶液を、内容積300mlのガラス製反応容器に入れた。乾燥窒素雰囲気下、前記反応容器にsec−ブチルリチウム(s−BuLi)のシクロヘキサン溶液(有効リチウム濃度:1.1mol/l)18.5mlを添加し、50℃で3時間撹拌することにより重合開始剤溶液a1を調製した。なお、重合開示剤溶液a1中のLi濃度は0.17mol/lである。
【0093】
内容積500mlの耐圧ガラス製反応容器に、脱水したシクロヘキサン/ヘプタン混合溶剤332mlと、添加剤として2,2−ジ(テトラヒドロフリル)プロパン(BTHFP、比重1.00g/ml、FW=184.27)0.11ml(0.601mmol)を入れ、乾燥窒素雰囲気下、合成例1で調製した重合開始剤溶液a1を数滴添加した。反応液が黄色になることを確認した後、重合開始剤溶液a1を6.9ml(Li量1.20mmol)と脱水したイソプレン36.0gとを更に添加し、50℃で30分振とうして重合反応を行った。
重合反応後の反応液に、変性剤として、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン0.98gを添加した後、75℃以上で3時間振とうして変性反応を行った。次いで、メタノール2mlを添加して変性反応を終了させた。反応終了後の上澄み液を回収して濃縮した後、シクロヘキサン50mlとメタノール200mlを用いた再沈殿操作を3回繰り返した。次いで、シクロヘキサン100mlとメタノール100mlの混合溶媒中、酢酸11.3gを用いてpHを3−4とし、室温下で3時間撹拌した後、水酸化ナトリウム水溶液(4.0mol/l)47.1gを用いて中和し、メタノール500mlを用いて重合体を沈殿させた。シクロヘキサン50mlとメタノール200mlを用いた再沈殿操作を5回繰り返した後、減圧下で溶剤を留去した。真空下、60℃で十分に乾燥することで、その両末端に1級アミノ基を有するポリイソプレン(アミノ基含有ポリイソプレン)31.2gを得た。得られたアミノ基含有ポリイソプレンの数平均分子量(Mn)は65000、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(分子量分布:Mw/Mn)は、1.20、イソプレン単位の数は950個、及び変性率は80%であった。また、ポリイソプレンブロックでのイソプレン同士の結合含有率は1,4結合含有率が35%、1,2結合含有率が7%、3,4結合含有率が58%であった。
【0094】
<実施例1>
110mLのガラス製反応容器にγ−ベンジル−L−グルタミン酸−N−カルボン酸無水物(以下、BLG−NCAともいう)3.20gを仕込み、ジクロロメタン51.9mLに溶解させた。その後、合成例1で作製した、アミノ基を末端に有するポリイソプレンを4.14g含有するジクロロメタン溶液35.1mLを加え、窒素下25℃で10時間重合させた。
【0095】
重合後の試料溶液を、メタノール1L中に加えて沈殿物を生じさせ、室温、3000rpm、10分の条件で遠心分離することにより粗生成物を得た。粗生成物を室温、減圧下で十分に乾燥させた後、再度ジクロロメタンに溶解し、ヘキサン1L中に加えて再沈殿を行った。室温、3500rpm、10分の条件で遠心分離することにより生成物を取り出し、室温、減圧下で十分に乾燥させることで、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレン共重合高分子化合物(以下、GIGともいう)5.5gを得た。
【0096】
得られたGIGを用いて元素分析、赤外スペクトル測定を行った。元素分析値によれば、このGIG中γ−ベンジル−L−グルタメート(ポリアミノ酸ブロック)とイソプレン(ポリジエンブロック)との質量比は39.3/60.7であった。
【0097】
また、赤外スペクトル分析により、このGIG中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。
【0098】
クロロホルム100部に、GIG5部を溶解して得た溶液をガラス板上に流延した後、室温でクロロホルムを揮散させ、減圧下で十分に乾燥させることで、厚さ約60μmのフィルムを得た。得られたフィルムを3−アミノ−1−プロパノールに浸漬させ、50℃で72時間反応させた。
【0099】
反応後のフィルムをメタノール、蒸留水、エタノールの順に150mL中に各1時間浸漬させ、室温、減圧下で十分に乾燥させることで、GIG中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックが親水化された親水性エラストマー(本発明の水酸基含有ブロック共重合体からなる親水性エラストマー)フィルムを得た。得られたフィルムの膨潤度及び含水率を測定したところ、膨潤度1.61、含水率61%であった。
【0100】
<実施例2>
仕込みに用いたBLG−NCAの量を1.60gとしたこと以外は実施例1と同様にして、GIG4.5gを得た。
【0101】
得られたポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレン共重合高分子化合物(GIG)を用いて元素分析、赤外スペクトル測定を行った。
元素分析値によれば、このGIG中のγ−ベンジル−L−グルタメート(ポリアミノ酸ブロック)とイソプレン(ポリジエンブロック)との質量比は23.2/76.8であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレン共重合高分子化合物中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。
【0102】
さらに、実施例1と同様の手順で、GIG中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックが親水化された親水性エラストマー(本発明の水酸基含有ブロック共重合体からなる親水性エラストマー)フィルムを得た。得られたフィルムの膨潤度及び含水率を測定したところ、膨潤度1.33、含水率33%であった。
【0103】
<実施例3>
仕込みに用いるBLG−NCA量を1.60g、ジクロロメタンの使用量を9.1mL、および、合成例1で作製したアミノ基を末端に有するポリイソプレンを含有するジクロロメタン溶液の代わりに、合成例2で作製したアミノ基を末端に有するポリイソプレンを3.98g含有するジクロロメタン溶液34.7mLを用いたこと以外は、実施例1と同様に実験操作を行い、GIG4.3gを得た。
【0104】
得られたポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレン共重合高分子化合物を用いて元素分析、赤外スペクトル測定を行った。
元素分析値によれば、このGIG中のγ−ベンジル−L−グルタメート(ポリアミノ酸ブロック)とイソプレン(ポリジエンブロック)との質量比は23.2/76.8であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレン共重合高分子化合物中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。
【0105】
さらに、実施例1と同様の手順で、GIG中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックが親水化された親水性エラストマー(本発明の水酸基含有ブロック共重合体からなる親水性エラストマー)フィルムを得た。得られたフィルムの膨潤度及び含水率を測定したところ、膨潤度1.34、含水率34%であった。
【0106】
<実施例4>
仕込みに用いるBLG−NCA量を0.80gとしたこと以外は実施例3と同様に実験操作を行い、GIG3.7gを得た。
【0107】
得られたポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレン共重合高分子化合物を用いて元素分析、赤外スペクトル測定を行った。
元素分析値によれば、このGIG中のγ−ベンジル−L−グルタメート(ポリアミノ酸ブロック)とイソプレン(ポリジエンブロック)との質量比は13.0/87.0であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレン共重合高分子化合物中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。
【0108】
さらに、実施例1と同様の手順で、GIG中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックが親水化された親水性エラストマー(本発明の水酸基含有ブロック共重合体からなる親水性エラストマー)フィルムを得た。得られたフィルムの膨潤度及び含水率を測定したところ、膨潤度1.28、含水率28%であった。
【0109】
<実施例5>
仕込みに用いるBLG−NCA量を0.40gとしたこと以外は実施例3と同様に実験操作を行い、GIG3.3gを得た。
【0110】
得られたポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレン共重合高分子化合物を用いて元素分析、赤外スペクトル測定を行った。
元素分析値によれば、このGIG中のγ−ベンジル−L−グルタメート(ポリアミノ酸ブロック)とイソプレン(ポリジエンブロック)との質量比は6.3/96.7であった。また、赤外スペクトル分析により、このポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレン共重合高分子化合物中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックがα−へリックス構造をとっていることが確認された。
【0111】
さらに、実施例1と同様の手順で、GIG中のポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)ブロックが親水化された親水性エラストマー(本発明の水酸基含有ブロック共重合体からなる親水性エラストマー)フィルムを得た。得られたフィルムの膨潤度及び含水率を測定したところ、膨潤度1.11、含水率11%であった。
【0112】
<比較例1>
3−アミノ−1−プロパノールへの浸漬を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、GIGのフィルムを得た。このフィルムの膨潤度及び含水率を測定したところ、膨潤度1.00、含水率0%であった。
【0113】
表1には膨潤試験の結果以外に、製造に使用した材料、反応温度、反応時間なども併せて記載した。
表1中のモノマーのモル濃度および、開始剤(a1)のモル濃度は以下の式により算出した。
モノマーのモル濃度=モノマー量(mol)/溶媒(ジクロロメタン)量(L)
開始剤(a1)のモル濃度=開始剤量(mmol)/溶媒(ジクロロメタン)量(L)
表1中「アミノ基を有するポリジエンの数平均分子量」とは「アミノ基を末端に有するポリイソプレンの数平均分子量」を示し、「ポリアミノ酸/ポリジエン(質量比)」とは「ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)−ポリイソプレン共重合高分子化合物中のL−グルタミン酸−γ−ベンジル(ポリアミノ酸ブロック)とイソプレン(ポリジエンブロック)との質量比」を示す。
【0114】
【表1】

【0115】
表1から明らかなように、本発明の方法により製造した水酸基含有ブロック共重合体(実施例1〜5)を用いたフィルムは親水性が高い。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記合成例においては、化合物(1)として1,3−ジ(1−フェニルエテニル)ベンゼンを用い、化合物(2)としてsec−ブチルリチウムを用いたが、化合物(1)として1,3−ビス[(4−メチルフェニル)エテニル]ベンゼンなどの他の化合物を用い、化合物(2)としてn−ブチルリチウムやtert−ブチルリチウムなどを用いてもよい。
【0116】
(2)上記実施例においては、重合反応の際の添加剤としてBTHFPを用いたが、これに代えて、あるいはこれとともに、プロピレングリコールエチルプロピルエーテルなどの化合物(4)を用いてもよい。
【0117】
(3)上記実施例においては、共役ジエンとしてイソプレンを用いたが、ブタジエンなどを用いてもよい。
【0118】
(4)上記実施例においては、変性剤としてN,N−ビス(トリメチルシリル)−3−アミノプロピルジメチルメトキシシランを用いたが、N,N−ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルジメチルクロロシラン、3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラシクロペンチル)プロピルジメチルメトキシシランなどの変性剤を用いてもよい。
【0119】
(5)上記実施例においては、ブロック共重合体を得るためのアミノ基含有ポリイソプレンと反応させる化合物として、BLG−NCAを示したが、アミノ基含有ポリイソプレンと反応させる化合物として、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−γ−ベンジル−L−グルタメート、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−β−ベンジル−L−アスパルテート、N−(4−ニトロフェノキシカルボニル)−O−ベンジル−L−チロシンなどを用いてもよい。
【0120】
(6)上記実施例においては、水酸基を含有するブロック共重合体を得るために、ブロック共重合体と3−アミノ−1−プロパノールとを反応させたが、例えば2−アミノ−1−エタノールなどの他のアミノ低級アルコールを用いてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミノ酸ブロックとポリジエンブロックとを有するブロック共重合体を含む成形体と、
アミノアルコールと、を反応させることを特徴とする水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体の製造方法。
【請求項2】
前記ポリジエンブロックがポリイソプレンを含むことを特徴とする請求項1に記載の水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体の製造方法。
【請求項3】
前記ポリアミノ酸ブロックがポリN−ヒドロキシアルキル−L−グルタミン誘導体由来の構成単位を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体の製造方法。
【請求項4】
前記アミノアルコールが、アミノ低級アルコールであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体の製造方法。
【請求項5】
ポリアミノ酸ブロックとポリジエンブロックとを有するブロック共重合体の、前記ポリアミノ酸ブロックが、水酸基を有する構成単位を含むことを特徴とする水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体。
【請求項6】
ポリアミノ酸ブロックとポリジエンブロックとを有するブロック共重合体を含む成形体と、アミノアルコールとを反応させて得られることを特徴とする請求項5に記載の水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体。
【請求項7】
前記ポリジエンブロックがポリイソプレンを含むことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体。
【請求項8】
前記ポリアミノ酸ブロックが、ポリN−ヒドロキシアルキル−L−グルタミン誘導体由来の構成単位を含むことを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の水酸基含有ブロック共重合体を含む成形体。
【請求項9】
ポリアミノ酸ブロックとポリジエンブロックとを有するブロック共重合体であって、
前記ポリアミノ酸ブロックは、水酸基を有する構成単位を含むことを特徴とする水酸基含有ブロック共重合体。

【公開番号】特開2010−47707(P2010−47707A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214324(P2008−214324)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】