説明

水面浮遊型農薬組成物用拡展剤及び水面浮遊型農薬組成物

【課題】
水面浮遊型農薬組成物に優れた拡展性を経済的に付与でき、しかも調製した水面浮遊型組成物を長期間保存したときでも優れた拡展性を保持できる水面浮遊型農薬組成物用拡展剤、及びかかる特性を有する水面浮遊型農薬組成物を提供する。
【解決手段】
水面浮遊型農薬組成物用拡展剤として、炭素数6〜14のアルカンジオール及び下記の化1で示されるアルカンジオール誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上を用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水面浮遊型農薬組成物用拡展剤及び水面浮遊型農薬組成物に関する。水田、イグサ田、湿地帯等の水が存在する場所に主に発生する病害虫や雑草等を水面施用で防除する投げ込み型農薬製剤として、各種形状に成形した水面浮遊型農薬組成物が使用される。かかる水面浮遊型農薬組成物には、その性質上、これを水面施用したときに、そこに成育中の植物葉茎等による影響を受けることなく、短時間で広範囲に拡展することが求められ、そのため拡展剤が使用される。本発明はかかる水面浮遊型農薬組成物用拡展剤及びこれを用いた水面浮遊型農薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水面浮遊型農薬組成物用拡展剤として、アセチレン誘導体(例えば特許文献1〜3参照)、スルホン酸系界面活性剤のような界面張力低下能の大きい界面活性剤(例えば特許文献4〜8参照)、多価アルコール脂肪酸エステル(例えば特許文献9参照)、アルキルアルコールのアルキレンオキサイド付加物及びその誘導体(例えば特許文献10参照)等が知られている。
【0003】
ところが、これら従来の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤には、例えばアセチレン誘導体の場合はこれを用いて調製した水面浮遊型農薬組成物に相応の拡展性を付与できるものの高価という問題があり、またスルホン酸系界面活性剤の場合はこれを用いて調製した水面浮遊型農薬組成物に付与できる拡展性が著しく不充分という問題があって、更に多価アルコール脂肪酸エステルやアルキルアルコールのアルキレンオキサイド付加物及びその誘導体の場合はこれらを用いて調製した水面浮遊型農薬組成物を長期間保存したときに付与した拡展性が不充分になるという問題がある。
【特許文献1】特開平6−336403号公報
【特許文献2】特開平9−118602号公報
【特許文献3】特開2000−95603号公報
【特許文献4】特開平7−82102号公報
【特許文献5】特開平7−233002号公報
【特許文献6】特開平10−81603号公報
【特許文献7】特開平10−182303号公報
【特許文献8】特開2001−278701号公報
【特許文献9】特開2003−238307号公報
【特許文献10】特開2000−351701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、それを用いて調製した水面浮遊型農薬組成物に優れた拡展性を経済的に付与でき、しかも調製した水面浮遊型組成物を長期間保存したときでも優れた拡展性を保持できる水面浮遊型農薬組成物用拡展剤、及びかかる特性を有する水面浮遊型農薬組成物を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決すべく研究した結果、拡展剤として特定のジオール化合物を用いることが正しく好適であることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、炭素数6〜14のアルカンジオール及び下記の化1で示されるアルカンジオール誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上から成ることを特徴とする水面浮遊型農薬組成物用拡展剤に係る。
【0007】
【化1】

【0008】
化1において、
R:炭素数6〜14のアルカンジオールから全ての水酸基を除いた残基
,A:合計1〜7個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基
【0009】
また本発明は、前記のような水面浮遊型農薬組成物用拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤及び増量剤を合計で90質量%以上含有し、且つ該水面浮遊型農薬組成物用拡展剤を0.1〜10質量%、該農薬薬効成分を0.1〜80質量%、該浮遊助剤を1〜80質量%及び該増量剤を1〜80質量%の割合で含有して成ることを特徴とする水面浮遊型農薬組成物に係る。
【0010】
先ず本発明に係る水面浮遊型農薬組成物用拡展剤(以下単に本発明の拡展剤という)について説明する。本発明の拡展剤は、炭素数6〜14のアルカンジオール及び化1で示されるアルカンジオール誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上から成るものである。
【0011】
本発明の拡展剤として用いる炭素数6〜14のアルカンジオールとしては、1)ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、トリデカンジオール、テトラデカンジオール等の炭素数6〜14の直鎖アルカンジオール、2)2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の炭素数6〜14の分岐アルカンジオールが挙げられるが、なかでも炭素数8〜12の分岐アルカンジオールが好ましく、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールがより好ましい。
【0012】
本発明の拡展剤としては化1で示されるアルカンジオール誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上を用いるのが好ましい。化1で示されるアルカンジオール誘導体において、化1中のRは炭素数6〜14のアルカンジオールから全ての水酸基を除いた残基であり、かかる炭素数6〜14のアルカンジオールについては前記したことと同じである。また化1中のA及びAは、合計1〜7個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である。かかる化1中のA及びAには、1)1個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位を有するアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基、2)合計2〜7個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が含まれる。またかかるポリオキシアルキレン基を構成する炭素数2〜4のオキシアルキレン単位としては、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、オキシテトラメチレン単位が挙げられる。なかでも化1中のA及びAとしては、合計2〜6個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基が好ましく、合計3〜5個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基がより好ましい。ポリオキシアルキレン基が二つ以上の異なるオキシアルキレン単位で構成されている場合、その結合様式は、ランダム結合、ブロック結合、又はこれらの双方のいずれでもよい。
【0013】
以上説明したような化1で示されるアルカンジオール誘導体は公知の方法で合成できる。例えば、アルカンジオールに、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の塩基性触媒存在下で、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを逐次付加反応させる方法で合成できる。
【0014】
次に本発明に係る水面浮遊型農薬組成物(以下単に本発明の組成物という)について説明する。本発明の組成物は、以上説明した本発明の拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤及び増量剤を含有して成るものであるが、これらを合計で90質量%以上、好ましくは100質量%含有し、且つ本発明の拡展剤を0.1〜10質量%、好ましくは1〜9質量%、農薬薬効成分を0.1〜80質量%、好ましくは1〜50質量%、浮遊助剤を1〜80質量%、好ましくは10〜50質量%及び増量剤を1〜80質量%、好ましくは5〜60質量%の割合で含有して成るものである。
【0015】
本発明の組成物に用いる農薬薬効成分としては、それ自体は公知の各種の除草剤、殺虫剤、殺菌剤等を適用できる。例えば、除草剤としては、1−(ジエチルカルバモイル)−3−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホニル)−1,2,4−トリアゾール(カフェンストロール)、1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(p−トリル)ウレア(ダイムロン)、2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−(2−ブトキシメチル)アセトアニリド(ブタクロール)、2−クロロ−2’,6’−ジエチル−N−(2−プロポキシエチル)アセトアニリド(プレチラクロール)、α−(2ーナフトキシ)プロピオンアニリド(ナプロアニリド)、2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−S−トリアジン(シメトリン)、S−ターシャリーブチル−3−(2,4−ジクロロ−5−イソプロポキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾリン−2−オン(オキサジアゾン)、S−(2−メチル−1−ピペリジル−カリボニルメチル−O,O−ジ−n−プロピルジチオホスフェート(ピペロホス)、3−イソプロピル−2,1,3−ベンゾ−チアジアノン−(4)−2,2−ジオキシド(ベンタゾン)、2−メチルチオ−4−エチルアミノ−6−(1,2−ジメチルプロピルアミノ)−s−トリアジン(ジメタメトリン)、3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)−1−[(2−メトキシカルバニルベンジル)スルフォニル]ウレア(ベンスルフロンメチル)等が挙げられる。
【0016】
また殺虫剤としては、1−ナフチル−N−メチルカーバメート(NAC)、メタトリル−N−メチルカーバメート(MTMC)、2−イソプロピルフェニル−N−メチルカーバメート(MIPC)、2−セカンダリーブチルフェニル−N−メチルカーバメート(BPMC)、3,4−キシリル−N−メチルカーバメート(MPMC)、2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イル(ジブチルアミノチオ)メチルカルバマート(カルボスルファン)、O−n−ブチル−O’−(2,2−)ジメチル−2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル)−N,N’−チオ−ジカルバマート(フラチオカルブ)、(RS)α−シアノ−3−フェノキシベンジル=(RS)−2,2−1−(4−エトキシフェニル)シクロプロパンカルボキシラート(シクロプロトリン)、2−タ−シャリ−ブチルイミノ−3−イソプロピル−5−フェニル−1,3,5−チアジアジナン−4−オン(ブプロフェジン)、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジルエーテル(エトフェンプロックス)、O,O−ジメチル−O−(メチル−4−ニトロフェニル)チオフォスフェート(MEP)、(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオフォスフェート(ダイアジノン)、S,S’−[2−(ジメチルアミノ)トリメチレン]ビス−ベンゼンチオスルフォネート(ベンスルタップ)等が挙げられる。
【0017】
更に殺菌剤としては、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ(3,4−b)ベンゾチアゾール(トリシクラゾール)、ジメチル4,4−(o−フェニレン)ビス3−チオアロファネート(トップジンM)、O,O−ジイソプロピル−S−ベンジルチオフォスフェート(IBP)、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド(プロペナゾール)、O−エチル−S,S−ジフェニルジチオフォスフェート(EDDP)、ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート(イソプロチオラン)、3−イソプロポキシ−2−メチルベンズアニリド(メプロニル)、(E,Z)−4,6−ジメチル−2−[1−(O−トリル)−1−エチリデン−ヒドラジノ]ピリミジン(フェリムゾン)、1−(4−クロロベンジル)−1−シクロペンチル−3−フェニル尿素(ペンシクロン)等が挙げられる。
【0018】
本発明の組成物に用いる浮遊助剤としては、いずれも比重が1未満で浮力を有するそれ自体は公知の各種の無機質浮遊助剤、有機質浮遊助剤を適用できる。例えば、無機質浮遊助剤としては、発泡シラス、発泡軽石、発泡パーライト、中空ガラス等が挙げられる。また有機質浮遊助剤としては、動植物由来のろう状物質、パラフィンワックス、コルク、木粉、発泡合成樹脂、ポリエチレン粉末やポリプロピレン粉末等の合成樹脂粉末等が挙げられる。なかでも浮遊助剤としては、発泡シラス、中空ガラス、発泡合成樹脂が好ましい。
【0019】
本発明の組成物に用いる増量剤としては、それ自体は公知の各種の無機質粉末、低分子水溶性化合物、合成樹脂粉末、有機質粉末を適用できる。例えば、無機質粉末としては、ベントナイト、タルク、クレー、珪藻土、無晶形二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。また低分子水溶性化合物としては、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カリウム、尿素等が挙げられる。更に合成樹脂粉末としては、塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。更にまた有機質粉末としては、グルコース、果糖、蔗糖、乳糖等の糖類、カルボキシメチルセルロース及びその塩類、澱粉及びその誘導体、微結晶セルロース、木粉、米糠、ふすま、モミガラ等が挙げられる。なかでも増量剤としては、無機質粉末、低分子水溶性化合物が好ましい。
【0020】
以上説明したような本発明の組成物は、公知の方法で調製できる。例えば、1)本発明の拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤、増量剤及び水を撹拌混合機で混練した後、造粒機を用いて造粒し、乾燥する方法、2)本発明の拡展剤、浮遊助剤、増量剤及び水を撹拌混合機で混練した後、造粒機を用いて造粒し、その造粒物に農薬薬効成分を含浸、吸着させ、乾燥する方法等が挙げられる。ここで撹拌混合機としては、ナウタミキサー、リボンブレンダー、ロータリーブレンダー、V型混合機等を適用でき、また造粒機としては、押し出し造粒機、混合造粒機、転動造粒機、流動層造粒機等を適用できる。
【0021】
本発明の組成物は、通常の農薬粒剤と同様、手播き散布、機械散布、振込散布のような方法で散布できるが、畦や畔等から散布する所謂額縁散布をすることもでき、また水溶紙に分包して畦や畔等から投げ込み施用することもできる。投げ込み施用に用いる水溶紙は、水中での溶解性又は分散性を有するフィルム又はシートであり、例えば、ポリビニルアルコール又はその誘導体、プルラン、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、セルロース、ポリエチレンオキサイド又はその誘導体から成形されたフィルム又はシート等が挙げられるが、なかでもポリビニルアルコール又はその誘導体から成形されたフィルム又はシートが好ましい。
【0022】
本発明の組成物には、以上説明したような本発明の拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤及び増量剤の他に、結合剤、造粒性向上剤、崩壊剤、分散剤、乳化剤、溶剤等を併用することもできる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明した本発明には、水面浮遊型農薬組成物に優れた拡展性を経済的に付与でき、しかも調製した水面浮遊型農薬組成物を長期間保存してもかかる優れた拡展性を保持できるという効果がある。
【0024】
以下、本発明の構成と効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明が該実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例等において、別に記載しない限り、部は質量部、%は質量%である。
【実施例】
【0025】
試験区分1(拡展剤の合成)
実施例1〜8及び比較例1〜3{拡展剤(A−1)〜(A−8)及び(a−1)〜(a−3)の合成}
2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール160.3g(1モル)をオートクレーブに仕込み、触媒として水酸化カリウム粉末1gを加えた後、オートクレーブ内を充分に窒素で置換した。撹拌下に反応温度を130〜150℃に維持しつつエチレンオキサイド264g(6モル)を圧入して付加重合反応を行ない、同温度で1時間熟成して付加重合反応を終了した。触媒をリン酸で中和した後、副生物を分子蒸留により分離して、化1中のRが2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールから全ての水酸基を除いた残基であり、またA及びAが合計3個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合の化1で示されるアルカンジオール誘導体から成る実施例1の拡展剤(A−1)を得た。同様にして実施例2〜8の拡展剤(A−2)〜(A−8)及び比較例1〜3の拡展剤(a−1)〜(a−3)を合成した。以上で合成した各拡展剤の内容を表1にまとめて示した。
【0026】
【表1】

【0027】
表1において、
*1:Rを形成することとなる原料として用いたアルカンジオールで表記
EO:オキシエチレン単位
PO:オキシプロピレン単位
【0028】
試験区分2(組成物の調製)
実施例9〜41及び比較例4〜12
試験区分1で合成した拡展剤(A−1)2部、農薬薬効成分としてカフェンストロール20部、浮遊助剤として中空性ガラス33部及び増量剤としてベントナイト9部とクレー36部を混合し、その混合物に水40部を加えて充分混練した。得られた混練物を目開き1.0mmのスクリーンを装着したバスケット型造粒機に供して成形し、切断した後、50℃の流動層乾燥機で乾燥した。得られた乾燥物を長さ約3mmに整粒して実施例9の組成物を調製した。同様にして、実施例10〜41及び比較例4〜12の組成物を調製した。以上で調製した各組成物の内容を表2及び表3にまとめて示した。
【0029】
【表2】









【0030】
【表3】

【0031】
表2及び3において、
割合:%
A−1〜A−8,a−1〜a−3:試験区分1で合成した表1に記載の拡展剤
A−9:2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール
A−10:2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール
A−11:2−メチル−1,8−オクタンジオール
A−12:1,10−デカンジオール
A−13:1,6−ヘキサンジオール
a−4:1,4−ブタンジオール
a−5:1,16−ヘキサデカンジオール
a−6:エチレングリコールモノノナナート
a−7:α−2−エチルヘキシル−ω−ヒドロキシ−ジオキシエチレン
a−8:サーフィノール104(エアープロダクツ社製)
a−9:1,2−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)エタンスルホン酸ナトリウム
【0032】
Z−1:カフェンストロール
Z−2:ダイムロン
Z−3:ブタクロール
M−1:NAC
M−2:ダイアジノン
K−1:プロペナゾール
K−2:トリシクラゾール
G−1:中空性ガラス(東海工業社製の商品名CEL−STAR Z−27)
G−2:発泡シラス(カルシード社製の商品名シラスバルーン)
I−1:ベントナイト(クニミネ工業社製の商品名クニゲルV1)/クレー(昭和鉱業社製の商品名昭和微粉クレー)=20/80(重量比)の混合物
I−2:ホワイトカーボン(トクヤマ社製の商品名トクシールNR)/ベントナイト(クニミネ工業社製の商品名クニゲルV1)/クレー(昭和鉱業社製の商品名昭和微粉クレー)=10/20/70(重量比)の混合物
I−3:ホワイトカーボン(トクヤマ社製の商品名トクシールNR)/ベントナイト(クニミネ工業社製の商品名クニゲルV1)/炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製の商品名重質炭酸カルシウム)=10/20/70(重量比)の混合物
I−4:ベントナイト(クニミネ工業社製の商品名クニゲルV1)/炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製の商品名重質炭酸カルシウム)=20/80(重量比)の混合物
H−1:アルキルナフタレンスルホン酸金属塩(竹本油脂社製の商品名ニューカルゲンBX−C)
H−2:ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物金属塩(竹本油脂社製の商品名ニューカルゲンPS−P)
【0033】
試験区分3(組成物の評価)
縦200cm、横10cm、深さ4cmのステンレス製直方容器を用い、この容器の縦方向に沿う内底面中央部に、10cm間隔で、直径2.5cm、長さ5.5cmの円筒形障害物を合計19本立設し、容器内に深さ2cmまで水を入れた。容器の縦方向一端中央部から試験区分2で調製した水面浮遊型農薬組成物0.2gを投入し、その拡展距離、拡展速度及び拡展状況を下記のように評価した(評価1)。同様に、54℃にて4週間保存した水面浮遊型農薬組成物についても、拡展距離、拡展速度及び拡展状況を下記のように評価した(評価2)。結果を表4及び表5にまとめて示した。
【0034】
・拡展距離の評価:投入後、2分間で拡展した縦方向の距離を測定した。測定は5回行ない、その平均値を下記の基準で評価した。
評価基準:
◎:170cm以上
○:150cm以上、170cm未満
△:130cm以上、150cm未満
×:130cm未満
【0035】
・拡展速度の評価:投入した組成物が縦方向で100cmまで拡展するまでの所要時間を測定した。測定は5回行ない、その平均値から下記の計算式により拡展速度を算出し、下記の基準で評価した。
拡展速度(cm/秒)=100(cm)/所要時間(秒)
評価基準:
◎:6cm/秒以上
○:5cm/秒以上、6cm/秒未満
△:3cm/秒以上、5cm/秒未満
×:3cm/秒未満
【0036】
・拡展状態の評価:投入した組成物が拡展する状態を観察し、下記の基準で評価した。
評価基準:
◎:水面に波紋が広がりながら非常に激しく拡展し、拡展性が優れている
○:水面に少し波紋が広がりながら拡展し、拡展性が良好
△:水面に波紋の発生はないが、粒の崩壊直前に少し波紋が広がり、拡展性がやや悪い
×:水面に波紋の発生は全くなく、ゆっくり拡展し、拡展性が悪い











【0037】
【表4】

【0038】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数6〜14のアルカンジオール及び下記の化1で示されるアルカンジオール誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上から成ることを特徴とする水面浮遊型農薬組成物用拡展剤。
【化1】

(化1において、
R:炭素数6〜14のアルカンジオールから全ての水酸基を除いた残基
,A:合計1〜7個の炭素数2〜4のオキシアルキレン単位で構成された(ポリ)オキシアルキレン基を有する(ポリ)アルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基)
【請求項2】
化1で示されるアルカンジオール誘導体から選ばれる一つ又は二つ以上から成る請求項1記載の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤。
【請求項3】
化1で示されるアルカンジオール誘導体が、化1中のRが炭素数8〜12の分岐アルカンジオールから全ての水酸基を除いた残基であり、またA及びAが合計2〜6個のオキシエチレン単位及び/又はオキシプロピレン単位で構成されたポリオキシアルキレン基を有するポリアルキレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合のものである請求項1又は2記載の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤。
【請求項4】
化1で示されるアルカンジオール誘導体が、化1中のRが2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール又は2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールから全ての水酸基を除いた残基であり、またA及びAが合計3〜5個のオキシエチレン単位で構成されたポリオキシエチレン基を有するポリエチレングリコールから全ての水酸基を除いた残基である場合のものであるである請求項1又は2記載の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つの項記載の水面浮遊型農薬組成物用拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤及び増量剤を合計で90質量%以上含有し、且つ該水面浮遊型農薬組成物用拡展剤を0.1〜10質量%、該農薬薬効成分を0.1〜80質量%、該浮遊助剤を1〜80質量%及び該増量剤を1〜80質量%の割合で含有して成ることを特徴とする水面浮遊型農薬組成物。
【請求項6】
水面浮遊型農薬組成物用拡展剤、農薬薬効成分、浮遊助剤及び増量剤を合計で100質量%含有する請求項5記載の水面浮遊型農薬組成物。

【公開番号】特開2007−39344(P2007−39344A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222448(P2005−222448)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000210654)竹本油脂株式会社 (138)
【Fターム(参考)】