説明

汚染水の浄化方法

【課題】浄化装置の構成を簡素化するとともに揮発性有機化合物による汚染水の処理能力を向上させ、除去効率の優れた汚染水の浄化方法を提供する。
【解決手段】曝気槽7と、前記曝気槽7を仕切壁8〜12により複数に分割した曝気室13〜18と、各々の曝気室に充填した充填材19〜24と、前記各々の曝気室へブロア(空気供給手段)25と、揮発性有機化合物を吸着する吸着材43、45を備え、各々の曝気室に汚染水を順次流動させて充填材により気液接触を促進させ、揮発性有機化合物を汚染水から前記各々の曝気室に供給した空気に移行させ後、吸着材に吸着させて除去することを特徴とする汚染水の浄化方法としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物を含有する地下水等の汚染水の浄化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地下水および工場廃水のトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の揮発性有機化合物による汚染が課題となっているが、この汚染水の浄化方法として、揮発性有機化合物を気相に移行させて活性炭で吸着除去する方法、汚染水中の揮発性有機化合物などの汚染物質を水相中において除去する方法、紫外線酸化処理方法、その他各種の処理、浄化方法があるが、これらの内代表的なものとして下記の浄化方法が知られている。
【0003】
揚水ポンプで汲み上げられた地下水は送水管を介して曝気装置に導入され、曝気された気体が吸引ブロワーによって、気液分離槽を通って活性炭槽に導入される。大気中の空気は空気乾燥器を介してオゾンガス発生装置に導入され、生成されたオゾンガスを含む気体が曝気装置に導入される。曝気装置では、地下水が噴霧される位置に、紫外線ランプとその周囲に保護管が設けられており、地下水は保護管の表面を流下する際に薄い液層となる。その際、地下水中にオゾンが吸収されるとともに、オゾンが紫外線によってラジカル化され、地下水中に含まれる揮発性汚染物質が酸化分解されるものである(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−129540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に記載されたものは、曝気装置、活性炭槽の他にオゾンガス発生装置、紫外線ランプと保護管、汚染地下水の噴霧装置の構成要素およびこれらの接続が必要となり、装置全体が複雑となるとともに多数の異なる構成要素の最適条件への維持管理にも工数を要する課題がある。また地下水が噴霧される位置に、紫外線ランプの保護管の表面に地下水を順次流下させ薄い液層として処理するため、汚染地下水の処理能力に限界がある。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので浄化装置の構成を簡素化するとともに揮発性有機化合物による汚染水の処理能力を向上させ、除去効率の優れた汚染水の浄化方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、曝気槽と、前記曝気槽を仕切壁により複数に分割した曝気室と、各々の曝気室に充填した充填材と、前記各々の曝気室への空気供給手段と、揮発性有機化合物を吸着する吸着材を備え、各々の曝気室に汚染水を順次流動させて充填材により気液接触を促進させ、揮発性有機化合物を汚染水から前記各々の曝気室に供給した空気に移行させ後、吸着材に吸着させて除去することを特徴とする汚染水の浄化方法としたものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のように本発明のる汚染水の浄化方法によれば、浄化装置の構成を簡素化するとともに揮発性有機化合物による汚染水の処理能力を向上させ、除去効率の優れた汚染水の浄化方法とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、曝気槽と、前記曝気槽を仕切壁により複数に分割した曝気室と、各々の曝気室に充填した充填材と、前記各々の曝気室への空気供給手段と、揮発性有機化合物を吸着する吸着材を備え、各々の曝気室に汚染水を順次流動させて充填材により気液接触を促進させ、揮発性有機化合物を汚染水から前記各々の曝気室に供給した空気に移行させ後、吸着材に吸着させて除去することを特徴とする汚染水の浄化方法としたものである。
【0009】
これによって、曝気槽、吸着材以外の構成要素および維持管理工数を削減できるとともに、曝気槽を仕切壁により複数に分割した充填材を有する曝気室を、汚染水を順次流動させて揮発性有機化合物を汚染水から空気に確実に移行させることができる。したがって、浄化装置の構成を簡素化するとともに揮発性有機化合物による汚染水の処理能力を向上させ、除去効率の優れた汚染水の浄化方法とすることができる。
【0010】
第2の記載の発明は、第1の発明において、吸着材を有する吸着ユニットを複数備え、揮発性有機化合物を前記複数の吸着ユニットの少なくともいずれかを選択して吸着させるようにしたことを特徴とする汚染水の浄化方法としたものである。
【0011】
これによって、吸着ユニットの交換または揮発性有機化合物の吸着材からの脱着作業にともなう浄化処理の稼動を停止させる必要がなく処理能力の向上を図ることができる。
【0012】
第3の記載の発明は、第1の発明において、各々の曝気室に対応させた吸着材を有する複数の吸着ユニットを備え、前記各々の曝気室からの揮発性有機化合物を曝気室に対応して設けた吸着ユニットの吸着材に吸着させるようにしたことを特徴とする汚染水の浄化方法としたものである。
【0013】
これによって、複数の曝気室ごとに空気に移行した揮発性有機化合物の異なる濃度に対応させて吸着材の最大吸着能力を最適に設定することができ、また吸着材を分割して吸着ユニットを小型化するとともに吸着材の交換を容易に行うことができる。
【0014】
第4の記載の発明は、第1〜第3の発明において、各々の曝気室の下方部から噴出させる空気量を調節可能にしたことを特徴とする汚染水の浄化方法としたものである。
【0015】
これによって、曝気室の各々に対して必要最小限でかつ最適条件に空気量を設定するこが可能となり、揮発性有機化合物を地下水から空気に確実に移行させることができる。また曝気による騒音を低下させることができるとともに、吸着ユニットの吸着材による揮発性有機化合物の吸着効率を向上させることができる。
【0016】
第5の記載の発明は、第1〜4のいずれかの発明において、各々の曝気室の下方部から微細気泡を噴出させることを特徴とする汚染水の浄化方法としたものである。
【0017】
これによって、気液接触をさらに促進させ、揮発性有機化合物を地下水から空気に確実に移行させることができる。
【0018】
第6の記載の発明は、第1〜5のいずれかの発明において、地中の帯水層から揚水した揮発性有機化合物を含有する地下水を、各々の曝気室を通過させた後、帯水層へ導入することを特徴とする汚染水の浄化方法としたものである。
【0019】
これによって、帯水層に存在する地下水中の揮発性有機化合物の微生物分解を促進させることができる。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施例について図1、図2を参照しながら説明する。図1は本発明の実施例1の汚染水の浄化方法を実施するための装置の基本構成図、図2は実施例2の汚染水の浄化方法を実施するための装置の基本構成図である。
【0021】
(実施例1)
図1において、地中1中の帯水層2に到達する揚水井戸3を設け、この揚水井戸3に揚水管4の一端を位置させている。揚水管4の経路に揚水する地下水の異物を除去するフイルター5、吸引させるポンプ6を設けて曝気槽7に揚水井戸3から揮発性有機化合物を含有する汚染水である地下水を供給する。
【0022】
曝気槽7は仕切壁8、9、10、11、12によって分割されており、複数の曝気室13、14、15、16、17、18を構成している。さらに前記複数の曝気室13、14、15、16、17、18の各々には充填材19、20、21、22、23、24が充填されている。なお前記充填材19、20、21、22、23、24は、気液接触を十分に促進させるものであれば良く特に限定はされないが、ラシヒリング、球状等の形状のものを曝気室13、14、15、16、17、18に不規則に充填したものである。
【0023】
また、複数の曝気室13、14、15、16、17、18の下方部から、ブロア(空気供給手段)25、供給管26、小孔を有する散気管27、28、29、30、31、32、流量調節弁33、34、35、36、37、38を介して曝気用の空気を供給するように構成してある。なお揚水した地下水は揚水管4の多端に位置する多数の小孔を有する散水管39から曝気室13に供給するものである。
【0024】
前記複数の曝気室13、14、15、16、17、18の各々の上部空間を覆うように集気板40を設け、気液接触により地下水から移行した揮発性有機化合物を含有する空気(気相)を排気管41、切替弁42を介して活性炭等の吸着材43を有する吸着ユニット44および活性炭等の吸着材45を有する吸着ユニット46に供給する。切替弁42により吸着ユニット44、吸着ユニット46のいずれか一方または両者に揮発性有機化合物を含有する空気を供給するものである。
【0025】
曝気室18を経た地下水を排水管47から排出するが、切替弁48により戻管49を介して注入井戸50に供給し、帯水層に戻す構成となっている。なお図中の矢印は地下水の流れを示す。
【0026】
次に、前記基本構成の装置における動作を説明する。揚水井戸3から揮発性有機化合物を含有する汚染水である地下水を曝気槽7に供給するが、まず地下水は曝気槽7の曝気室13に散水管39から供給され下方に向けて流動する。曝気室13の下部からは仕切壁8の下端と曝気槽7との間隙から曝気室14に入り、上方に向けて流動する。曝気室14から仕切壁9の上端を越えて曝気室15に入り、上方に向けて流動する。以降、順次各仕切壁10、12の下端と曝気槽7との間隙、仕切壁11の上端を越えて曝気室15、16、17、18へと地下水が流動する。このとき地下水は曝気室13、14、15、16、17、18に充填した充填材19、20、21、22、23、24の間隙を通過して流動する。
【0027】
また、曝気室13、14、15、16、17、18の下方部から、ブロア(空気供給手段)25、供給管26、散気管27、28、29、30、31、32、流量調節弁33、34、35、36、37、38を介して供給した曝気用の空気は、充填した充填材19、20、21、22、23、24の間隙を浮力により通過して上昇する。
【0028】
曝気室13、14、15、16、17、18内で、流動する地下水と上昇する曝気用の空気との気液接触により、揮発性有機化合物を地下水から空気に移行させる。このとき充填材19、20、21、22、23、24により、地下水は様々な方向に、かつ細流化して流動する。また充填材19、20、21、22、23、24により、上昇する曝気用の空気も地下水中を上昇する過程で、気泡の合体を生じることがなく細かい気泡となる。 さらに地下水および空気の偏流が防止される。これらの作用により地下水と曝気用の空気との気液接触を促進させ、揮発性有機化合物を地下水から空気に効率よく移行させることができる。
【0029】
さらに、複数の曝気室13、14、15、16、17、18の各々の上部空間を覆うように設けた集気板40により、気液接触により地下水から移行した揮発性有機化合物を含有する空気(気相)を排気管41、切替弁42を介して活性炭等の吸着材43、45を有する吸着ユニット44、吸着ユニット46に供給する。吸着ユニット44、吸着ユニット46の活性炭等からなる吸着材43、45に揮発性有機化合物を吸着させて除去するものである。
【0030】
切替弁42により一定の吸着能力を有する吸着ユニット44、46のいずれか一方または両者に揮発性有機化合物を含有する空気を供給する。例えば、吸着ユニット44のみに揮発性有機化合物を含有する空気を供給する場合は、他方の吸着ユニット46を待機させた状態とし、吸着ユニット44の吸着能力が一定以下になったとき、切替弁42を動作させ吸着ユニット46側に流路を切り替えて揮発性有機化合物を含有する空気を供給する。これによって、単一の吸着ユニットのみを備えた装置に比べ、吸着ユニットの交換または揮発性有機化合物の吸着材からの脱着作業にともなう浄化処理の稼動を停止させる必要がない。したがって浄化処理装置としての処理能力の向上を図ることができる。
【0031】
単一で大型の吸着ユニットのみを備えて、交換期間をより長くする手段も考えられるが、吸着能力が徐々に低下し限界近くでの使用時間が長く、揮発性有機化合物の濃度変動等によって十分な除去が困難な場合を生じる。
【0032】
また、切替弁42により吸着ユニット44、46の両者に揮発性有機化合物を含有する空気を供給することを可能とすることによって、地下水中の揮発性有機化合物の濃度が一時的に高くなった場合等に、除去するために十分な吸着能力を確保することができる。なお吸着ユニット44、46の2ユニットの例で説明したが、これに限定されるものではなくさらに多くの吸着ユニットを備えてもよい。
【0033】
また、曝気室13、14、15、16、17、18を流動し、気液接触により揮発性有機化合物を除去した地下水は、曝気室18の上部から排水管47により排出するが、切替弁48により戻管49を介して注入井戸50に供給し、帯水層2に戻すことを可能としてある。この場合には曝気室13、14、15、16、17、18で好気性化した地下水および繁殖した好気性微生物を帯水層2に供給することによって、帯水層2に存在する地下水中の揮発性有機化合物の微生物分解を促進させることができる。
【0034】
なお、汚染水を地下水としたが、工場等からの汚染排水の浄化処理にも適用できるものでさらに地下水、工場等からの汚染排水を、貯留タンクを介して曝気室13、14、15、16、17、18に供給してもよい。
【0035】
また、曝気室13、14、15、16、17、18の下方部から、ブロア(空気供給手段)25、供給管26、散気管27、28、29、30、31、32、曝気用の供給空気量を調節する流量調節弁33、34、35、36、37、38を介して曝気用の空気を供給する。前記流量調節弁33、34、35、36、37、38を設けたことによって、曝気室13、14、15、16、17、18の各々に対して、必要最小限でかつ最適条件に空気量を設定するこが可能となり、曝気による騒音を低下させることができる。さらに吸着ユニット44、吸着ユニット46の活性炭等からなる吸着材43、45による揮発性有機化合物の吸着効率を向上させることができる。
【0036】
また、地下水中の揮発性有機化合物の濃度または地下水の流動量が変動した場合にも、流量調節弁33、34、35、36、37、38により曝気用の供給空気量を調節し、揮発性有機化合物を地下水から空気に確実に移行させることができる。さらに曝気室13、14、15、16、17、18の各々で曝気用の供給空気量を最適条件に調節することによって、揮発性有機化合物を、後段の曝気室18を流動する地下水から空気に確実に移行させることができる。
【0037】
なお、流量調節弁33、34、35、36、37、38による供給空気量の調節とブロア(空気供給手段)25の回転数制御を併用させてもよく、この場合には、最適な供給空気量に対してさらにきめ細かい対応が可能となる。
【0038】
また、一定容積の曝気槽7において、曝気室13、14、15、16、17、18の数または容積を仕切壁8、9、10、11、12の枚数によって任意に設定することができる。さらに仕切壁8、9、10、11、12の枚数を一定として位置を個別に変えることによって、曝気室13、14、15、16、17、18の各々を異なる容積(地下水の流動方向の幅)に設定できる。これらによって揮発性有機化合物を地下水から空気に確実に移行させるように最適条件の設定を行うことができる。仕切壁8、9、10、11、12の枚数または位置を個別に変えることは、簡単な構造で実現することができる。
【0039】
これらによって、従来のように複数の曝気塔または大きさの異なる曝気塔を用意する必要がなく、装置の簡素化および設備費用を削減することができる。さらに揮発性有機化合物を地下水から空気に確実に移行させることができる。
【0040】
また、前記した構成においては、曝気室13、14、15、16、17、18の下方部に位置する小孔を有する散気管27、28、29、30、31、32から曝気用の空気を供給するようにしたが、空気を微細化し、その微細気泡(例えば10〜40μm程度)を曝気室13、14、15、16、17、18に供給することによって、微細気泡全体の表面積の増大、気泡の地下水中での滞留時間が長くなり、気液接触をさらに促進させ、揮発性有機化合物を地下水から空気に確実に移行させることができる。微細気泡発生手段としては、二流体ノズル、気体分散器、気液攪拌器等を用いるものである。
【0041】
(実施例2)
図2は実施例2の汚染水の浄化方法を実施するための装置の基本構成図である。図1と同一箇所は同一番号を付し、構成、動作の説明を省略する。図1と異なるところは、複数の曝気室に個別に対応させた複数の吸着ユニットを備え、各々の曝気室からの揮発性有機化合物を各々の曝気室に対応して設けた吸着ユニットの吸着材に吸着させるようにしたものである。
【0042】
曝気槽7の仕切壁8、9、10、11、12の上端を集気板40まで延長し、複数の曝気室13、14、15、16、17、18の上部空間を区画し、この区画した複数の曝気室13、14、15、16、17、18の上部の集気板40に排気管51、52、53、54、55、56を接続し、これらから吸着ユニット63、64、65、66、67、68に気液接触により地下水から移行した揮発性有機化合物を含有する空気(気相)を供給し、吸着材57、58、59、60、61、62に吸着させて除去するものである。
【0043】
空気に移行した揮発性有機化合物の濃度は、流動する地下水の上流側が最も高くなり、下流に流動するにつれて低下する。このため曝気室13、14、15、16、17、18の順に空気に移行した揮発性有機化合物の濃度が低下していくことになる。図1の構成においては、曝気室13、14、15、16、17、18からの揮発性有機化合物を含有する空気(気相)を集合させ、吸着材43または45に吸着させているが、本実施例においては、複数の曝気室13、14、15、16、17、18に個別に対応させた複数の吸着ユニット63、64、65、66、67、68を備えたことによって、曝気室13、14、15、16、17、18ごとに空気に移行した揮発性有機化合物の異なる濃度に対応させて吸着材57、58、59、60、61、62の最大吸着能力を最適に設定することができ、また吸着材を分割して吸着ユニット小型化するとともに吸着材の交換を容易に行うことができる。
【0044】
なお、複数の曝気室13、14、15、16、17、18に個別に対応させた複数の吸着ユニット63、64、65、66、67、68を備えるようにしたが、例えば隣り合う複数の曝気室に対応させた複数の吸着ユニットを備える構成としてもよい。
【0045】
以上のように、本発明の汚染水の浄化方法によれば、曝気槽7と、前記曝気槽7を仕切壁8、9、10、11、12により複数に分割した曝気室13、14、15、16、17、18と、各々の曝気室13、14、15、16、17、18に充填した充填材19、20、21、22、23、24と、前記各々の曝気室13、14、15、16、17、18へのブロア(空気供給手段)25と、揮発性有機化合物を吸着する吸着材43、45を備え、各々の曝気室13、14、15、16、17、18に汚染水を順次流動させて充填材19、20、21、22、23、24により気液接触を促進させ、揮発性有機化合物を汚染水から前記各々の曝気室13、14、15、16、17、18に供給した空気に移行させ後、吸着材43、45に吸着させて除去することを特徴とする汚染水の浄化方法としたものである。
【0046】
これによって、曝気槽、吸着材以外の構成要素および維持管理工数を削減できるとともに、曝気槽を仕切壁により複数に分割した充填材を有する曝気室を、汚染水を順次流動させて揮発性有機化合物を汚染水から空気に確実に移行させることができる。したがって、浄化装置の構成を簡素化するとともに揮発性有機化合物による汚染水の処理能力を向上させ、除去効率の優れた汚染水の浄化方法とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
揮発性有害物質を含有する汚染水の浄化の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1の汚染水の浄化方法を実施するための装置の基本構成図
【図2】実施例2の汚染水の浄化方法を実施するための装置の基本構成図
【符号の説明】
【0049】
1 地中
2 帯水層
3 揚水井戸
4 揚水管
5 フイルター
6 ポンプ
7 曝気槽
8、9、10、11、12 仕切壁
13、14、15、16、17、18 曝気室
19、20、21、22、23、24 充填材
25 ブロア(空気供給手段)
26 供給管
27、28、29、30、31、32 散気管
33、34、35、36、37、38 流量調節弁
39 散水管
40 集気板
41 排気管
42 切替弁
43 吸着材
44 吸着ユニット
45 吸着材
46 吸着ユニット
47 排水管
48 切替弁
49 戻管
50 注入井戸
51、52、53、54、55、56 排気管
57、58、59、60、61、62 吸着材
63、64、65、66、67、68 吸着ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曝気槽と、前記曝気槽を仕切壁により複数に分割した曝気室と、各々の曝気室に充填した充填材と、前記各々の曝気室への空気供給手段と、揮発性有機化合物を吸着する吸着材を備え、各々の曝気室に汚染水を順次流動させて充填材により気液接触を促進させ、揮発性有機化合物を汚染水から前記各々の曝気室に供給した空気に移行させ後、吸着材に吸着させて除去することを特徴とする汚染水の浄化方法。
【請求項2】
吸着材を有する吸着ユニットを複数備え、揮発性有機化合物を前記複数の吸着ユニットの少なくともいずれかを選択して吸着させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の汚染水の浄化方法。
【請求項3】
各々の曝気室に対応させた吸着材を有する複数の吸着ユニットを備え、前記各々の曝気室からの揮発性有機化合物を曝気室に対応して設けた吸着ユニットの吸着材に吸着させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の汚染水の浄化方法。
【請求項4】
各々の曝気室の下方部から噴出させる空気量を調節可能にしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の汚染水の浄化方法。
【請求項5】
各々の曝気室の下方部から微細気泡を噴出させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚染水の浄化方法。
【請求項6】
地中の帯水層から揚水した揮発性有機化合物を含有する地下水を、各々の曝気室を通過させた後、帯水層へ導入することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の汚染水の浄化方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−253056(P2007−253056A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80298(P2006−80298)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】