汚水処理方法
【課題】汚水中に含まれる有害成分を分解する方法を利用した、高性能で低コストな汚水処理技術を提供する。特に、水中の有機性および無機性のうちの少なくともいずれか一方の汚濁でBODやCODとして河川や海水の富栄養化や貧酸素水の発生原因となる有害成分を分解するのに有効であり、具体的には工場排水、下水処理、し尿処理、農業排水、洗浄排水、生活排水等の浄化槽や処理場に適用できる。
【解決手段】汚水1A中にオゾンを、平均粒径100μm未満のマイクロバブル2Dとして供給し、このオゾンのマイクロバブル2Dを含む汚水1Aに超音波を照射してマイクロバブル2Dを圧壊させる。マイクロバブル2Dの圧壊により、活性な水酸基ラジカルが発生し、有害成分を効率よく分解できる。
【解決手段】汚水1A中にオゾンを、平均粒径100μm未満のマイクロバブル2Dとして供給し、このオゾンのマイクロバブル2Dを含む汚水1Aに超音波を照射してマイクロバブル2Dを圧壊させる。マイクロバブル2Dの圧壊により、活性な水酸基ラジカルが発生し、有害成分を効率よく分解できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場排水や家庭排水など、有機性および無機性の汚濁でBOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)やCOD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)として河川や海水などの富栄養化や貧酸素水の発生原因となる有害成分を含有する汚水を浄化処理する汚水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や家庭からの排水中に含まれる有機物・栄養塩による富栄養化が原因となり、例えば東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等の閉鎖性海域などにおいて、赤潮や青潮(貧酸素水塊の湧昇流)が発生して問題となってから、水質汚濁防止法により水質総量規制制度が導入され、汚濁負荷の低減が計られて来ている。
しかしながら、現在第6次の水質総量規制が施行されつつあるものの、赤潮は東京湾や伊勢湾において年間50件程度、瀬戸内海で年間100件程度発生しており、青潮も東京湾で年間数件発生が続いている状況である。これらの問題に対し、今後も水質総量規制は対象の拡大・規制の強化がなされていくと予想される。
【0003】
従来の排水処理技術として、生物処理(活性汚泥)、凝集沈澱、砂ろ過等が使用されてきた。これらの技術では不十分な場合には、高度排水処理として、活性炭、イオン交換、オゾン酸化、紫外線酸化等が適用されてきたが、水質規制の強化に対し性能が不足もしくは設備費や運転費が高騰してしまうという状況であった。
近年、例えば特開2004−188239号公報に記載されているように、酸化性溶液を加えた水をベンチュリー管に通してマイクロバブルを発生させ、さらに超音波で圧壊して分解する方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−188239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特開2004−188239号公報に記載のような従来の方法では、ベンチュリー管により製造されたマイクロバブルはサイズが100μm以上と大きいため、超音波によるマイクロバブルの圧壊が起こりにくく、また超音波の照射方法や周波数等が最適化されておらず、有害成分の分解速度は十分とは言えなかった。
【0006】
本発明の目的は、近年の水質規制の強化に対応できる、水中に含まれる有害成分を分解する方法を利用した、高性能で低コストな排水処理技術を提供することにある。本発明は特に、水中の有機性および無機性のうちの少なくともいずれか一方の汚濁でBODやCODとして例えば河川や海水の富栄養化や貧酸素水の発生原因となる有害成分を分解するのに有効であり、具体的には工場排水、下水処理、し尿処理、農業排水、洗浄排水、生活排水等の浄化槽や処理場に適用できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に記載の汚水処理方法は、汚水中に、オゾンを平均粒径100μm未満のマイクロバブルとして供給し、このオゾンのマイクロバブルが供給された前記汚水に超音波を照射して、前記マイクロバブルを圧壊させることを特徴とする。
この発明では、平均粒径100μm未満のマイクロバブルとしてオゾンを供給し、オゾンの汚水中への溶解速度を高め、この汚水に超音波を照射することでマイクロバブルの圧壊が起こり易くなる。
このことにより、活性なラジカルの生成を促進でき、汚水中の有機性および無機性のうちの少なくともいずれか一方の汚濁でBODやCODとして例えば河川や海水の富栄養化や貧酸素水の発生原因となる有害成分を、効率よく生成したラジカルにより分解反応を向上させて効率よく分解し、効率的な汚水の浄化処理ができる。
ここで、オゾンは、マイクロバブルの平均粒径が100μm未満、好ましくは60μm以下で供給させる。すなわち、マイクロバブルの粒径が小さくなると、表面積が増加し、浮上速度が減少し、オゾンガスの溶解速度が増加して、オゾンの利用効率を向上できる。さらに、平均粒径が100μm未満、特に60μmを下回るとマイナス帯電が大きくなり、斥力によるマイクロバブル同士の合体防止、異物質吸着と言った現象が発生し、さらに超音波等の急速加圧で圧壊し易くなる。この超音波等による急速加圧で圧壊した際に、マイクロバブル内のオゾンガスが断熱圧縮により瞬間的に1000℃以上の高温になり、活性な水酸基ラジカル(・OH)が発生して、有害成分の熱分解や酸化分解を引き起こすと推定する。
なお、本発明におけるオゾン発生装置は、公知の各種装置・方法を利用できる。例えば、無声放電、電子線、放射線、紫外線、化学反応、電解法等があるが、工業的には、原料ガスに空気あるいは酸素を使用する無声放電法が有利である。また、汚水中にオゾンを供給する方法としては、ポンプ等で直接汚水中に供給する等、公知の各種方法を用いることができる。
【0008】
そして、本発明では、前記オゾンのマイクロバブルは、前記オゾンガスを流出するガス出口を有する回転羽根と、この回転羽根の周囲に前記回転羽根を覆う状態に配設された網状体とを備えたマイクロバブル発生器を用いて、前記汚水に供給される構成とすることが好ましい。
この発明では、ガス出口から流出するオゾンガスはオゾンバブルとして汚水中に供給され、オゾンバブルは回転する回転羽根にて一部が剪断されるとともに回転羽根の回転による水流でオゾンバブルが網状体に衝突して、特に平均粒径が50μm以下の微細なマイクロバブルを発生する。さらに、回転羽根の回転による攪拌にて汚水全体にマイクロバブルを供給し、汚水の滞留を防止できる。
このことにより、簡単な構成で、消費電力が低く、効率よく微細なマイクロバブルとしてオゾンを供給でき、効率よく汚水を浄化処理できる。
【0009】
また、本発明では、前記オゾンのマイクロバブルは、オゾンガスを前記汚水中に曝気するオゾンガス供給手段と、前記曝気されたオゾンガスの気泡および前記汚水の渦流状の混相流を形成させて前記気泡を微細化するスタティックミキサーとを備えたマイクロバブル発生器を用いて、前記汚水に供給される構成とすることが好ましい。
この発明では、オゾンガス供給手段にてオゾンガスが汚水中に曝気されて生成した気泡であるオゾンバブルは、スタティックミキサーの作動により、汚水と渦流状の混相流となり、混相流の渦流と、混相流がスタティックミキサー内の障害物と衝突して、特に平均粒径が50ミクロン以下に微細化され、ボイド率(気泡密度)を高くできる。さらに、スタティックミキサーによる攪拌にて汚水全体にマイクロバブルを供給し、汚水の滞留を防止できる。
このことにより、効率よく微細なマイクロバブルとしてオゾンを供給でき、効率よく汚水を浄化処理できる。
【0010】
さらに、本発明では、前記照射する超音波は、周波数が20kHz以上150kHz以下、好ましくは20kHz以上100kHz以下、より好ましくは20kHz以上40kHz以下である構成とすることが好ましい。
この発明では、超音波は周波数が低い方がキャビテーションが激しく、バブルの圧壊も起きやすくなり、20kHz以上100kHz以下、特に20kHz以上40kHz以下の周波数範囲ではより顕著な分解促進効果が見られる。なお、20kHz以下でも効果は出るが、可聴域に入ってしまいすさまじい騒音となるので、実用性は低い。
【0011】
そして、本発明では、前記超音波は、前記汚水に超音波を照射する方向が互いに交差して共振により振幅が増大する状態に配設された複数の発振子を用いて照射される構成とすることが好ましい。
この発明では、超音波を照射する発振子を複数使用し、これら発振子の超音波を照射する方向が互いに交差する状態に配設することで、一つの超音波と他の超音波との共振が起こり、汚水中を伝わる超音波の振幅が増大し、マイクロバブルが圧壊し易くなる。
このことにより、より効率よく汚水を浄化処理できる。
【0012】
また、本発明では、前記汚水に前記超音波を照射する発振子と、この発振子における照射側に位置して軸方向が照射方向に略沿う状態に前記汚水中に配設され前記発振子から照射される前記超音波の推進力により前記汚水を軸方向で流通させる略筒状のドラフトチューブと、を用い、前記超音波を前記汚水に照射する構成とすることが好ましい。
この発明では、汚水に超音波を照射する発振子の近傍、すなわち発振子における照射側に位置して軸方向が照射方向に略沿う状態に略筒状のドラフトチューブを配設し、超音波の反射による拡散防止が得られるとともに、超音波による推進力により汚水の循環が得られ、マイクロバブルが汚水全体に行き渡り、マイクロバブルの圧壊が生じやすくなる。
このことにより、より効率よく汚水を浄化処理できる。
ここで、ドラフトチューブの内径は、発振子の直径以上で発振子の直径の2倍以下の範囲が好ましい。また、ドラフトチューブの長さ寸法は、10cm以上が好ましい。さらに、ドラフトチューブは、発振子から1cm以上2cm以下の距離に配設されることが好ましい。
ドラフトチューブの内径は、超音波の散乱や減衰を防止するため、あまり大きくなることは好ましくない。例えば、周波数80kHzの超音波の波長は2cmであり、20kHzでは7.5cmである。そして、ドラフトチューブで反射した超音波が共振するポイントは半波長の整数倍の位置であることから、この位置をドラフトチューブ内に収める構成に設計することが好ましい。なお、ドラフトチューブと発振子との距離が1cmより短くなると、汚水の循環が損なわれるおそれがあるので、あまり近づけすぎないように配設することが好ましい。
【0013】
さらに、本発明では、前記汚水に前記超音波を照射する発振子と、前記発振子における照射側に位置して前記汚水中に配設され内面側に前記発振子から照射される前記超音波を反射して前記超音波を所定の焦点に収束する状態に反射させる曲面状の反射面を有した略筒状の反射収束鏡と、を用い、前記超音波を前記汚水に照射する構成とすることが好ましい。
この発明では、汚水に超音波を照射する発振子の近傍、すなわち発振子における照射側に位置した前記汚水中に、内面側に超音波を反射して所定の焦点に収束させる曲面状の反射面を有した略筒状の反射収束鏡を配設することで、超音波との共振が起こり、汚水中を伝わる超音波の振幅が増大し、マイクロバブルが圧壊し易くなる。
このことにより、より効率よく汚水の浄化処理が得られる。
なお、反射面は、例えば複数の発振子から照射された超音波を焦点に収束させる構成では、放物線形状とすることが好適である。この構成では、反射収束鏡の放物線の形状や配設位置は、複数の発振子から照射される超音波が散乱せず、また汚水の循環を損なわない構成に適宜設計すればよい。
【0014】
また、本発明では、前記反射収束鏡は、前記発振子から照射される前記超音波を反射して前記超音波が収束して振幅が増幅する焦点位置が前記発振子の表面に位置する状態に楕円球面状に湾曲する反射面を有した略筒状に形成された構成とすることが好ましい。
この発明では、反射収束鏡の反射面を、発振子から照射された超音波が発振子の表面に位置する焦点位置に収束して振幅が増幅する状態に楕円球面状に湾曲形成しているので、超音波は他方の焦点位置に収束されて増幅することとなり、マイクロバブルの圧壊が生じやすくなる。
このことにより、より効率よく汚水の浄化処理が得られる。
ここで、楕円球面状の反射面となる反射収束鏡は、楕円球の短径が発振子の直径の2〜3倍、長径は上述の共振ポイントに合わせて設定することが好ましい。共振ポイントを反射収束鏡の内側に収め、さらに焦点に一致させることが好ましい。なお、周波数80kHzの超音波(波長2cm)の場合、比較的に距離が短いため、容易に共振ポイントに設置させるべく、楕円球形状の設置高さを微調整する機構を設けることが好ましい。
【0015】
そして、本発明では、前記オゾンのマイクロバブルが供給された前記汚水を反復流路内に蛇行流通させ、流通方向に対して交差する方向に前記超音波を照射する構成とすることが好ましい。
この発明では、マイクロバブルが供給された汚水を反復流路内に蛇行流通させつつ、流通方向に対して交差する方法すなわち側方から超音波を照射させて、マイクロバブルを圧壊させる。
このことにより、マイクロバブルが超音波に照射される時間を容易に長期化でき、十分にマイクロバブルを圧壊でき、より効率よく十分な汚水の浄化処理が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る、水中の有害成分を分解する方法を実施するための装置(以下、汚水処理装置と呼ぶ)を示した模式図である。なお、この図1は、後述する実施例1で使用した装置の概略図でもある。図2は、マイクロバブル発生器の概略構成を示す斜視図である。
【0017】
(汚水処理装置の構成)
図1において、10は汚水処理装置であり、この汚水処理装置10は、汚水1Aに含まれる有機物、栄養塩、し尿、生活廃水等の有害成分を分解する機能を持つ。このような汚水処理装置10は、汚水1Aを貯留する処理槽1と、汚水1Aにオゾンを供給するオゾンガス供給ライン2と、オゾンガス供給ライン2に接続された回転羽根3と、回転羽根3を囲む網状体としての金網4と、回転羽根3を回転させるモーターMと、発振子である超音波発振子5と、を備えている。
回転羽根3と、回転羽根3を囲む金網4とで、図2に示すマイクロバブル2Dを発生させるマイクロバブル発生器20を構成する。なお、図1は、説明の都合上、マイクロバブル2Dを極めて大きな気泡状として記述する。
【0018】
処理槽1には、汚水1Aを流入する図示しない流入口と、処理した汚水1Aを槽外へ流出させる図示しない流出口とを有している。なお、処理槽1は、説明の都合上、上面を開放する箱形状に示すが、密閉構造として汚水1A中の揮発成分の拡散防止やバブリングしたオゾンを回収する構成を設けるとよい。
オゾンガス供給ライン2は、オゾンを発生するオゾン発生器2Aと、このオゾン発生器2Aで発生したオゾンを汚水1A中にバブリング(曝気)させるための配管などの供給ライン2Bと、を備えている。
回転羽根3は、図2に示すように、端部にガス出口3Aを開口形成した略筒状の回転軸3Bと、この回転軸3Bの外周面に略放射状に設けられた複数の羽根部3Cと、を有している。回転軸3Bは、モーターMの出力軸M1に連結されて回転されるとともに、オゾンガス供給ライン2の供給ライン2Bが回転自在に連結され、供給されるオゾンガスをガス出口3Aから噴出可能となっている。なお、図1は、説明の都合上、出力軸M1と供給ライン2Bとをそれぞれ独立して回転羽根3に供給する状態を示す。
金網4は、回転羽根3の回転軌跡に対応し回転羽根3を囲む状態に略円筒形状に形成されている。この金網4は、腐蝕しにくいステンレスなどの耐蝕性部材、あるいは耐蝕性に表面処理されたものなどが好ましい。なお、金網に限らず、例えば骨組み部材に漁網などのような樹脂製ネットを設けたものなどとしてもよい。そして、網目としては、回転羽根3の羽根部3Cの枚数、回転速度、発生させたいマイクロバブルの平均粒径に応じて適宜設定されるが、あまり細かすぎるとオゾンガスの供給圧を高く設定する必要があり、あまり粗すぎるとオゾンの気泡が十分に微細化されずにマイクロバブルの粒径分布が広くなってしまう不都合があるので、適宜設定する。また、例えば、回転羽根3の周囲に位置する部分のみに網状とし、軸方向となる上下面は塞いだ形状とするなどしてもよい。また、網状体としては、パンチングメタルなど、鋼板に複数の微細な孔を設けたものなどとしてもよい。
【0019】
(汚水処理の動作)
まず、モーターMを回転駆動させて回転羽根3を回転させ、処理槽1内に貯留する有害成分を含む汚水1Aを攪拌させる。さらに、オゾン発生器2Aを動作させオゾンガスを供給ライン2Bを介して回転羽根3に供給する。また、超音波発振子5を作動させ、20kHz以上150kHz以下、好ましくは40kHz以上100kHz以下の超音波を発生させて、汚水1Aを超音波振動させる。
このオゾンガスの供給により、回転羽根3の回転軸3Bのガス出口3Aからオゾンガスが曝気される。この曝気されたオゾンガスは、比較的に粗大な気泡として汚水1Aに供給されるが、回転する回転羽根3により生じる汚水1Aの水流や金網4への衝突により、金網4外へ平均粒径が100μm未満、好ましくは60μm以下のマイクロバブル2Dとして大量に供給される。
これら発生したマイクロバブル2Dは、回転羽根3の回転による水流により汚水1A全体に分散される。さらに、マイクロバブル2Dは、超音波発振子5から照射される超音波のエネルギーを受けて圧壊する。この圧壊の際、活性な水酸基(OH)ラジカルが発生し、汚水1Aの有害成分は熱分解や酸化分解されて無害化、もしくは有害性を著しく低減させる。
【0020】
(第一実施形態の作用効果)
上述したように、上記実施形態では、平均粒径100μm未満のマイクロバブル2Dとしてオゾンを供給し、オゾンの汚水1A中への溶解速度を高めるとともに、この汚水1Aに超音波を照射することでマイクロバブル2Dの圧壊を起こり易くしている。
このため、活性な水酸基ラジカルの生成を促進でき、汚水1A中の有機性および無機性のうちの少なくともいずれか一方の汚濁でBODやCODとして例えば河川や海水の富栄養化や貧酸素水の発生原因となる有害成分を、効率よく生成した水酸基ラジカルにより分解反応を向上させて効率よく分解でき、効率的に汚水1Aを浄化処理できる。
【0021】
また、ガス出口3Aから流出するオゾンガスは比較的に粗大な気泡であるオゾンバブルとして汚水1A中に供給され、オゾンバブルは回転する回転羽根3にて一部が剪断されるとともに回転羽根3の回転による水流でオゾンバブルが金網4に衝突して、特に平均粒径が50μm以下の微細なマイクロバブル2Dを発生させている。さらに、回転羽根3の回転による攪拌にて汚水1A全体にマイクロバブル2Dを供給し、汚水1Aの滞留を防止している。
このため、簡単な構成で、消費電力が低く、効率よく微細なマイクロバブル2Dとしてオゾンを供給でき、効率よく汚水1Aを浄化処理できる。
【0022】
さらに、照射する超音波の周波数を20kHz以上150kHz以下、好ましくは40kHz以上100kHz以下に設定している。
このため、オゾンのマイクロバブル2Dの固有周波数に近い超音波となり、マイクロバブル2Dの圧壊が起きやすくなり、効率よく発生する水酸基ラジカルにより、効率よく汚水1Aを浄化処理できる。
【0023】
なお、上記第一実施形態において、図1に示すように、回転軸3Bからオゾンガスを噴出する構成に限らず、供給ライン2Bの端部をガス出口3Aとして、金網内で開口し回転羽根3の回転に干渉しない位置に配設し、オゾンをバブリングしてもよい。
また、上記第一実施形態において、汚水1Aは、バッチ処理に限らず、徐々に未処理の汚水1Aを処理槽1へ供給させるとともに、オーバーフローする分を処理した処理水として系外へ流出させる連続処理としてもよい。
【0024】
〔第二実施形態〕
以下、本発明の第二実施形態を図面に基づいて説明する。
図3は、本発明の第二実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図3は、後述する実施例2ないし実施例4で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0025】
(汚水処理装置の構成)
図3において、30は汚水処理装置であり、この汚水処理装置30は、第一実施形態と同様の処理槽1、オゾンガス供給ライン2、回転羽根3、金網4およびモーターMと、超音波発振子5と、超音波処理槽6と、を備えている。
超音波処理槽6は、処理槽1と同様に、汚水1Aを貯留可能に構成されている。そして、超音波処理槽6は、処理槽1内に貯留する汚水1Aが流通循環可能に、循環経路7を介して処理槽1に接続されている。循環経路7は、循環ポンプ7Aを有し処理槽1内に貯留する汚水1Aを超音波処理槽6へ流入させる送出ライン7Bと、超音波処理槽6内に貯留する汚水1Aを処理槽1へ返送する返送ライン7Cと、を備えている。
また、超音波処理槽6には、超音波発振子5が設けられている。そして、超音波発振子5は、処理槽1から超音波処理槽6内に流入されマイクロバブル2Dが混在する汚水1Aに超音波を照射する。
【0026】
(汚水処理の動作)
第一実施形態と同一の処理は、省略する。
この第二実施形態の汚水処理装置30では、超音波発振子5を作動させるとともに、循環経路7の循環ポンプ7Aを作動させる。この循環ポンプ7Aの作動により、処理槽1でマイクロバブル2Dが供給された汚水1Aが送出ライン7Bを介して超音波処理槽6内に流入される。
そして、超音波発振子5から照射される超音波によりマイクロバブル2Dを圧壊させ、汚水1Aを浄化処理する。
【0027】
(第二実施形態の作用効果)
この第二実施形態の構成によれば、処理槽1と超音波処理槽6とを上下方向に位置する状態に配置させることも可能であることから、例えば敷地面積が狭い場合などでも適用できる。さらには、処理する量が少なく処理槽1の容量を比較的に小さく設計する必要があり、超音波発振子5と、オゾンガス供給ライン2やモーターMとの配置干渉が生じるような場合でも、別槽構成であることから、設計の自由度が得られる。
【0028】
〔第三実施形態〕
以下、本発明の第三実施形態を図面に基づいて説明する。
図4は、本発明の第三実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図4は、後述する実施例5で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態および第二実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0029】
この図4に示す第三実施形態の汚水処理装置40は、図3に示す第二実施形態の汚水処理装置30における超音波処理槽6に複数の超音波発振子5を設けたものである。
これら超音波発振子5は、それぞれが超音波を照射する方向が交差、例えば直交する状態に超音波処理槽6に配設されている。
この図4に示す汚水処理装置40では、複数の超音波発振子5から照射される超音波は、共振により汚水1A中を伝わる超音波の振幅が増大し、マイクロバブル2Dの圧壊効率が向上する。このことにより、汚水1Aへの超音波エネルギーの増大により、効率よくマイクロバブル2Dが圧壊され、より高度に汚水1Aを浄化処理できる。
なお、超音波処理槽6に複数の超音波発振子5を設けたが、例えば第一実施形態のように、超音波処理槽6を用いず処理槽1に複数の超音波発振子5を設けてもよい。
【0030】
〔第四実施形態〕
以下、本発明の第四実施形態を図面に基づいて説明する。
図5は、本発明の第四実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図5は、後述する実施例6で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態ないし第三実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0031】
この図5に示す第四実施形態の汚水処理装置50は、図1に示す第一実施形態の汚水処理装置30に、ドラフトチューブ8を設けたものである。
このドラフトチューブ8は、超音波発振子5の照射側に位置して軸方向が照射方向に略沿う状態に処理槽1内に配設されている。このドラフトチューブ8は、内径が超音波発振子5の直径以上で超音波発振子5の直径の2倍以下の範囲が好ましい。また、ドラフトチューブ8の長さ寸法は、10cm以上が好ましい。さらに、ドラフトチューブ8は、超音波発振子5から1cm以上2cm以下の距離に配設されることが好ましい。
ここで、ドラフトチューブの内径は、超音波の散乱や減衰を防止するため、あまり大きくなることは好ましくない。例えば、周波数80kHzの超音波の波長は2cmであり、20kHzでは7.5cmである。そして、ドラフトチューブ8で反射した超音波が共振するポイントは半波長の整数倍の位置であることから、この位置をドラフトチューブ8内に収める構成に設計することが好ましい。なお、ドラフトチューブ8と超音波発振子5との距離が1cmより短くなると、汚水1Aの循環が損なわれるおそれがあるので、あまり近づけすぎないように配設することが好ましい。
この図5に示す汚水処理装置50では、ドラフトチューブ8により、超音波発振子5から照射される超音波は、汚水1A全体に拡散せずにドラフトチューブ8内の汚水1Aに高い超音波エネルギー密度で照射することとなり、効率よくマイクロバブル2Dが圧壊される。さらには、超音波エネルギーが拡散しにくいため、その超音波の推進力により処理槽1内の汚水1Aの循環を強くすることができる。
このことにより、ドラフトチューブ8を設ける簡単な構成で、より効率よく高度に汚水1Aを浄化処理できる。
【0032】
〔第五実施形態〕
以下、本発明の第五実施形態を図面に基づいて説明する。
図6は、本発明の第五実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図6は、後述する実施例7で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態ないし第四実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0033】
この図6に示す第五実施形態の汚水処理装置60は、図3に示す第二実施形態の汚水処理装置30に、超音波を反射させて所定の焦点位置で収束させる反射収束鏡である楕円球反射収束鏡9を設けたものである。
この楕円球反射収束鏡9は、略円筒状である略楕円球面形状に形成され、超音波発振子5の照射側に位置して超音波処理槽6内に配設されている。この楕円球反射収束鏡9は、超音波を反射して所定の焦点である第一焦点9Aに収束させる曲面状である楕円球面状の反射面9Bを内面側に有している。そして、楕円球反射収束鏡9は、超音波が超音波発振子5の表面に第二焦点9Cが位置するように構成されている。
ここで、楕円球反射収束鏡9は、楕円球の短径が超音波発振子5の直径の2〜3倍、長径が第四実施形態で説明した共振ポイントに合わせて設定することが好ましい。共振ポイントを楕円球反射収束鏡9の内側に収め、さらに第一焦点9Aに一致させることが好ましい。なお、周波数80kHzの超音波(波長2cm)の場合、比較的に距離が短いため、容易に共振ポイントに設置させるべく、楕円球形状の設置高さを微調整する機構を設けることが好ましい。
この図6に示す汚水処理装置60では、楕円球反射収束鏡9により、超音波発振子5から照射される超音波は、第二焦点9Cが超音波発振子5の表面に位置するので、第一焦点9Aで収束されて振幅が増大し、楕円球反射収束鏡9の内側で超音波エネルギー密度が高くなり、効率よくマイクロバブル2Dが圧壊される。さらには、超音波エネルギーが拡散しにくいため、その超音波の推進力により超音波処理槽6内の汚水1Aの循環を強くすることができ、超音波処理槽6内に攪拌装置などを設けずとも汚水1Aの滞留を防止できる。
このことにより、楕円球反射収束鏡9を設ける簡単な構成で、より効率よく高度に汚水1Aを浄化処理できる。
【0034】
〔第六実施形態〕
以下、本発明の第六実施形態を図面に基づいて説明する。
図7は、本発明の第六実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図7は、後述する実施例8で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態ないし第五実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0035】
この図7に示す第六実施形態の汚水処理装置70は、図6に示す第五実施形態の汚水処理装置60の楕円球反射収束鏡9に代えて反射収束鏡である放射状反射収束鏡90を用いるとともに、超音波発振子5を複数設けた構成である。
放射状反射収束鏡90は、略円筒状である略裁頭円筒形に形成され、超音波処理槽6の同一面に複数配設した超音波発振子5の照射側に位置して超音波処理槽6内に配設されている。この放射状反射収束鏡90は、複数の超音波発振子5から照射される超音波を反射して所定の焦点90Aに収束させる曲面状である放射線形状に湾曲する反射面である湾曲反射面90Bを内面側に有している。なお、この放射状反射収束鏡90についても、第五実施形態と同様に、超音波の推進力による超音波処理槽6内の汚水1Aの循環を損なわないように、拡開する側の縁が超音波処理槽6から離間する状態に配設することが好ましい。
この図7に示す汚水処理装置70でも、図6に示す汚水処理装置60と同様に、焦点90Aで超音波が収束して振幅が増大し、放射状反射収束鏡90の内側で超音波エネルギー密度が高くなり、効率よくマイクロバブル2Dを圧壊できるとともに、超音波エネルギーの拡散防止による超音波の推進力により超音波処理槽6内の汚水1Aの循環を強くすることができる。したがって、放射状反射収束鏡90を設ける簡単な構成で、より効率よく高度に汚水1Aを浄化処理できる。
【0036】
〔第七実施形態〕
以下、本発明の第七実施形態を図面に基づいて説明する。
図8は、本発明の第七実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図8は、後述する実施例9で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態ないし第六実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0037】
この図8に示す第七実施形態の汚水処理装置80は、図3に示す第二実施形態の汚水処理装置30における超音波処理槽6に複数の仕切板6Eを設けて汚水1Aを超音波処理槽6内で蛇行流通させるとともに、流通する汚水1Aに超音波を照射する超音波発振子5を複数設けたものである。
超音波処理槽6は、複数の仕切板6Eが略平行に交互に櫛状となるように複数設けられ、階層状に構成されている。この階層は、2層以上すなわち送出ライン7Bから流入した汚水1Aが返送ライン7Cにて返送されるまでに1往復蛇行流通する状態に反復流路を構成している。なお、超音波処理槽6は、鉛直方向に階層する構成に限らず、水平方向で仕切られる構成としてもよい。さらに、仕切板6Eは、平面構成に限らず、例えば波形状や鋸歯状に折曲する構成とするなど、汚水1Aが蛇行流通するいずれの反復流路の構成とすることができる。そして、超音波処理槽6には、仕切板6E間に位置する状態に、複数の超音波発振子5が設けられている。これら超音波発振子5は、仕切板6E間を流通する流通方向に対して側方から超音波を照射する状態に配設される。
この図8に示す汚水処理装置80では、仕切板6Eにより、処理槽1と循環される汚水1Aが超音波処理槽6内を超音波が照射されつつ蛇行流通することとなり、蛇行流通による乱流混合と超音波振動とにより、マイクロバブル2Dを効率よく圧壊できる。したがって、より高度に汚水1Aを浄化処理できる。
【0038】
〔第八実施形態〕
以下、本発明の第八実施形態を図面に基づいて説明する。
図9は、本発明の第八実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図9は、後述する実施例10で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態ないし第七実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0039】
この図9に示す第八実施形態の汚水処理装置100は、図1に示す第一実施形態の汚水処理装置10におけるマイクロバブル発生器20として、スタティックミキサー110を備えたマイクロバブル発生器としての循環型マイクロバブル発生器120を用いたものである。
循環型マイクロバブル発生器120は、循環ポンプ7Aを有し両端が処理槽1に接続された配管である循環ライン121と、この循環ライン121中に設けられ流通する汚水1Aに乱流を生じさせるスタティックミキサー110と、を備えている。そして、循環ライン121には、汚水1Aの流通方向における循環ポンプ7Aより上流側に位置して、オゾンガス供給ライン2の供給ライン2Bが接続されている。なお、オゾンの供給位置として、スタティックミキサー110の上流側であれば、循環ポンプ7Aより下流側でもよい。
この図9に示す汚水処理装置100では、循環ポンプ7Aの駆動により、処理槽1内の汚水1Aが循環ライン121を流通して処理槽1へと循環され、循環途中で供給ライン2Bからオゾンガスが曝気される。この曝気により比較的に粗大な気泡のオゾンバブルを混合する汚水1Aは、循環ポンプ7Aを流過する際にある程度微細化され、さらに動作するスタティックミキサー110を流過する際に、スタティックミキサー110内の障害物(例えば内部の棒状もしくは板状の突起物)と衝突して、平均粒径100μm未満、特に60μm以下のマイクロバブル2Dに微細化され、処理槽1内に流入する。そして、処理槽1内に流入された汚水1A中のマイクロバブル2Dは、超音波発振子5から照射される超音波により圧壊される。このマイクロバブル2Dの圧壊により活性な水酸基ラジカルが発生し、汚水1Aが十分に浄化処理される。
【実施例】
【0040】
以下、各種装置構成を用いて汚水の浄化処理を実施した結果について説明する。
(実施例1)
処理装置として、図1に示す汚水処理装置10を用いた。
処理条件は、水8リットルを処理槽1に流入し、マイクロバブル発生器20の回転羽根3を3000rpmで回転させ、オゾンを0.112mmol/分で供給した。マイクロバブルは、平均粒径が約50μmであった。
ホーン式の超音波発振子5から、周波数25kHzで水に超音波を照射した。
この後、有害成分に擬したメチレンブルーを濃度0.1mmol/Lとなる条件で添加した。なお、このメチレンブルーを添加した時点を汚水処理開始時とした。
汚水処理開始後、10分おきにメチレンブルー水溶液を採取し、ガスクロマトグラフィーで残存するメチレンブルーの濃度を測定した。そして、汚水処理開始時のメチレンブルー量を100%として、残存率を算出した。
【0041】
(実施例2)
処理装置として、図3に示す汚水処理装置30を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とした以外は実施例1と同様に実施した。
【0042】
(実施例3)
処理装置として、図3に示す汚水処理装置30を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とし、超音波の周波数を40kHzとした以外は実施例1と同様に実施した。
【0043】
(実施例4)
処理装置として、図3に示す汚水処理装置30を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とし、超音波の周波数を100kHzとした以外は実施例1と同様に実施した。
【0044】
(実施例5)
処理装置として、図4に示す汚水処理装置40を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5をホーン式と洗浄槽式との組み合わせとした以外は実施例1と同様に実施した。
【0045】
(実施例6)
処理装置として、図5に示す汚水処理装置50を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5近傍にドラフトチューブ8を設置した以外は実施例1と同様に実施した。
【0046】
(実施例7)
処理装置として、図6に示す汚水処理装置60を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とし、超音波発振子5の上方に楕円球反射収束鏡9を設置した以外は実施例1と同様に実施した。
【0047】
(実施例8)
処理装置として、図7に示す汚水処理装置70を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とし、超音波発振子5の上方に放射状反射収束鏡90を設置した以外は実施例1と同様に実施した。
【0048】
(実施例9)
処理装置として、図8に示す汚水処理装置80を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とし、超音波の照射部分を階層状の反復流路とした以外は実施例1と同様に実施した。
【0049】
(実施例10)
処理装置として、図9に示す汚水処理装置100を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波の周波数を、80kHzとし、マイクロバブル2Dの発生として平均粒径が50μmとなるようにスタティックミキサー110を動作させた以外は実施例1と同様に実施した。
【0050】
(実施例11)
処理装置として、図1に示す汚水処理装置10を用いた。
処理条件は、水8リットルを処理槽1に流入し、マイクロバブル発生器20の回転羽根3を3000rpmで回転させ、オゾンを0.112mmol/分で供給した。マイクロバブルは、平均粒径が約50μmであった。
ホーン式の超音波発振子5から、周波数20kHzで水に超音波を照射した。
この後、有害成分に擬したメチレンブルーを濃度0.1mmol/Lとなる条件で添加した。なお、このメチレンブルーを添加した時点を汚水処理開始時とした。
汚水処理開始後、10分おきにメチレンブルー水溶液を採取し、ガスクロマトグラフィーで残存するメチレンブルーの濃度を測定した。そして、汚水処理開始時のメチレンブルー量を100%として、残存率を算出した。
【0051】
(比較例1)
処理装置として、図1に示す汚水処理装置10を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波照射を実施しない条件以外は、実施例1と同様に実施した。
【0052】
(比較例2)
処理装置として、図1に示す汚水処理装置10を用いた。
処理条件としては、マイクロバブル発生器20を動作させず、一般的に使用されている散気管からオゾンを曝気した以外は、実施例1と同様に実施した。なお、この比較例2におけるオゾンバブルの平均粒径は、約800μmであった。
【0053】
(結果)
実施例1〜11および比較例1,2の残存率の結果を、図10ないし図14に示す。
図10に示すように、実施例1と比較例1,2との比較より、実施例1では超音波の照射が分解を促進していることが分かる。
そして、実施例1と実施例2との結果から、ホーン式の周波数25kHzより、図3に示す超音波処理槽6を用いる方式で25kHzの方が、分解促進効果が高いことが分かる。
さらに、実施例3と実施例10との比較より、回転羽根3を用いる構成より、スタティックミキサー110を用いるマイクロバブル発生方法の方が、分解促進効果が高いことが分かる。
【0054】
また、図11に示すように、実施例2ないし実施例4の比較より、超音波の周波数が、25kHz>40kHz>100kHzの順で、分解促進効果が高いことが分かる。
さらに、図12に示すように、実施例1,5,6の比較より、超音波発振子5を2基(ホーン式+槽式)設ける構成>ドラフトチューブ8を用いる構成の順で、分解促進効果が高いことが分かる。
また、図13に示すように、実施例2,7〜9の比較により、楕円球反射収束鏡9>放射状反射収束鏡90>蛇行流路となる階層構造の順で、分解促進効果が高いことが分かる。
なお、周波数25kHzの超音波で処理した実施例1と周波数20kHzの超音波で処理した実施例11とでは、図10および図14に示すように、有害物質の残存率に差異はほとんど認められず、同等の高い分解促進効果があることが認められる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第一実施形態に係る汚水処理装置を示した模式図である。
【図2】上記第一実施形態におけるマイクロバブル発生器の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図4】本発明の第三実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図5】本発明の第四実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図6】本発明の第五実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図7】本発明の第六実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図8】本発明の第七実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図9】本発明の第八実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図10】本発明における汚水処理の結果として有害物質の残存率を示すグラフである。
【図11】本発明における汚水処理の結果として有害物質の残存率を示すグラフである。
【図12】本発明における汚水処理の結果として有害物質の残存率を示すグラフである。
【図13】本発明における汚水処理の結果として有害物質の残存率を示すグラフである。
【図14】本発明における汚水処理の結果として有害物質の残存率を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
10,30,40,50,60,70,80,100…汚水処理装置
1A…汚水
2……オゾンガス供給ライン
2D…マイクロバブル
3……回転羽根
3A…ガス出口
4……網状体としての金網
5……超音波発振子
8……ドラフトチューブ
9……反射収束鏡である楕円球反射収束鏡
9A…焦点である第一焦点
9B…反射面
9C…焦点である第二焦点
90……反射収束鏡である放射状反射収束鏡
90A…焦点
90B…反射面である湾曲反射面
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工場排水や家庭排水など、有機性および無機性の汚濁でBOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)やCOD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)として河川や海水などの富栄養化や貧酸素水の発生原因となる有害成分を含有する汚水を浄化処理する汚水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や家庭からの排水中に含まれる有機物・栄養塩による富栄養化が原因となり、例えば東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等の閉鎖性海域などにおいて、赤潮や青潮(貧酸素水塊の湧昇流)が発生して問題となってから、水質汚濁防止法により水質総量規制制度が導入され、汚濁負荷の低減が計られて来ている。
しかしながら、現在第6次の水質総量規制が施行されつつあるものの、赤潮は東京湾や伊勢湾において年間50件程度、瀬戸内海で年間100件程度発生しており、青潮も東京湾で年間数件発生が続いている状況である。これらの問題に対し、今後も水質総量規制は対象の拡大・規制の強化がなされていくと予想される。
【0003】
従来の排水処理技術として、生物処理(活性汚泥)、凝集沈澱、砂ろ過等が使用されてきた。これらの技術では不十分な場合には、高度排水処理として、活性炭、イオン交換、オゾン酸化、紫外線酸化等が適用されてきたが、水質規制の強化に対し性能が不足もしくは設備費や運転費が高騰してしまうという状況であった。
近年、例えば特開2004−188239号公報に記載されているように、酸化性溶液を加えた水をベンチュリー管に通してマイクロバブルを発生させ、さらに超音波で圧壊して分解する方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−188239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特開2004−188239号公報に記載のような従来の方法では、ベンチュリー管により製造されたマイクロバブルはサイズが100μm以上と大きいため、超音波によるマイクロバブルの圧壊が起こりにくく、また超音波の照射方法や周波数等が最適化されておらず、有害成分の分解速度は十分とは言えなかった。
【0006】
本発明の目的は、近年の水質規制の強化に対応できる、水中に含まれる有害成分を分解する方法を利用した、高性能で低コストな排水処理技術を提供することにある。本発明は特に、水中の有機性および無機性のうちの少なくともいずれか一方の汚濁でBODやCODとして例えば河川や海水の富栄養化や貧酸素水の発生原因となる有害成分を分解するのに有効であり、具体的には工場排水、下水処理、し尿処理、農業排水、洗浄排水、生活排水等の浄化槽や処理場に適用できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に記載の汚水処理方法は、汚水中に、オゾンを平均粒径100μm未満のマイクロバブルとして供給し、このオゾンのマイクロバブルが供給された前記汚水に超音波を照射して、前記マイクロバブルを圧壊させることを特徴とする。
この発明では、平均粒径100μm未満のマイクロバブルとしてオゾンを供給し、オゾンの汚水中への溶解速度を高め、この汚水に超音波を照射することでマイクロバブルの圧壊が起こり易くなる。
このことにより、活性なラジカルの生成を促進でき、汚水中の有機性および無機性のうちの少なくともいずれか一方の汚濁でBODやCODとして例えば河川や海水の富栄養化や貧酸素水の発生原因となる有害成分を、効率よく生成したラジカルにより分解反応を向上させて効率よく分解し、効率的な汚水の浄化処理ができる。
ここで、オゾンは、マイクロバブルの平均粒径が100μm未満、好ましくは60μm以下で供給させる。すなわち、マイクロバブルの粒径が小さくなると、表面積が増加し、浮上速度が減少し、オゾンガスの溶解速度が増加して、オゾンの利用効率を向上できる。さらに、平均粒径が100μm未満、特に60μmを下回るとマイナス帯電が大きくなり、斥力によるマイクロバブル同士の合体防止、異物質吸着と言った現象が発生し、さらに超音波等の急速加圧で圧壊し易くなる。この超音波等による急速加圧で圧壊した際に、マイクロバブル内のオゾンガスが断熱圧縮により瞬間的に1000℃以上の高温になり、活性な水酸基ラジカル(・OH)が発生して、有害成分の熱分解や酸化分解を引き起こすと推定する。
なお、本発明におけるオゾン発生装置は、公知の各種装置・方法を利用できる。例えば、無声放電、電子線、放射線、紫外線、化学反応、電解法等があるが、工業的には、原料ガスに空気あるいは酸素を使用する無声放電法が有利である。また、汚水中にオゾンを供給する方法としては、ポンプ等で直接汚水中に供給する等、公知の各種方法を用いることができる。
【0008】
そして、本発明では、前記オゾンのマイクロバブルは、前記オゾンガスを流出するガス出口を有する回転羽根と、この回転羽根の周囲に前記回転羽根を覆う状態に配設された網状体とを備えたマイクロバブル発生器を用いて、前記汚水に供給される構成とすることが好ましい。
この発明では、ガス出口から流出するオゾンガスはオゾンバブルとして汚水中に供給され、オゾンバブルは回転する回転羽根にて一部が剪断されるとともに回転羽根の回転による水流でオゾンバブルが網状体に衝突して、特に平均粒径が50μm以下の微細なマイクロバブルを発生する。さらに、回転羽根の回転による攪拌にて汚水全体にマイクロバブルを供給し、汚水の滞留を防止できる。
このことにより、簡単な構成で、消費電力が低く、効率よく微細なマイクロバブルとしてオゾンを供給でき、効率よく汚水を浄化処理できる。
【0009】
また、本発明では、前記オゾンのマイクロバブルは、オゾンガスを前記汚水中に曝気するオゾンガス供給手段と、前記曝気されたオゾンガスの気泡および前記汚水の渦流状の混相流を形成させて前記気泡を微細化するスタティックミキサーとを備えたマイクロバブル発生器を用いて、前記汚水に供給される構成とすることが好ましい。
この発明では、オゾンガス供給手段にてオゾンガスが汚水中に曝気されて生成した気泡であるオゾンバブルは、スタティックミキサーの作動により、汚水と渦流状の混相流となり、混相流の渦流と、混相流がスタティックミキサー内の障害物と衝突して、特に平均粒径が50ミクロン以下に微細化され、ボイド率(気泡密度)を高くできる。さらに、スタティックミキサーによる攪拌にて汚水全体にマイクロバブルを供給し、汚水の滞留を防止できる。
このことにより、効率よく微細なマイクロバブルとしてオゾンを供給でき、効率よく汚水を浄化処理できる。
【0010】
さらに、本発明では、前記照射する超音波は、周波数が20kHz以上150kHz以下、好ましくは20kHz以上100kHz以下、より好ましくは20kHz以上40kHz以下である構成とすることが好ましい。
この発明では、超音波は周波数が低い方がキャビテーションが激しく、バブルの圧壊も起きやすくなり、20kHz以上100kHz以下、特に20kHz以上40kHz以下の周波数範囲ではより顕著な分解促進効果が見られる。なお、20kHz以下でも効果は出るが、可聴域に入ってしまいすさまじい騒音となるので、実用性は低い。
【0011】
そして、本発明では、前記超音波は、前記汚水に超音波を照射する方向が互いに交差して共振により振幅が増大する状態に配設された複数の発振子を用いて照射される構成とすることが好ましい。
この発明では、超音波を照射する発振子を複数使用し、これら発振子の超音波を照射する方向が互いに交差する状態に配設することで、一つの超音波と他の超音波との共振が起こり、汚水中を伝わる超音波の振幅が増大し、マイクロバブルが圧壊し易くなる。
このことにより、より効率よく汚水を浄化処理できる。
【0012】
また、本発明では、前記汚水に前記超音波を照射する発振子と、この発振子における照射側に位置して軸方向が照射方向に略沿う状態に前記汚水中に配設され前記発振子から照射される前記超音波の推進力により前記汚水を軸方向で流通させる略筒状のドラフトチューブと、を用い、前記超音波を前記汚水に照射する構成とすることが好ましい。
この発明では、汚水に超音波を照射する発振子の近傍、すなわち発振子における照射側に位置して軸方向が照射方向に略沿う状態に略筒状のドラフトチューブを配設し、超音波の反射による拡散防止が得られるとともに、超音波による推進力により汚水の循環が得られ、マイクロバブルが汚水全体に行き渡り、マイクロバブルの圧壊が生じやすくなる。
このことにより、より効率よく汚水を浄化処理できる。
ここで、ドラフトチューブの内径は、発振子の直径以上で発振子の直径の2倍以下の範囲が好ましい。また、ドラフトチューブの長さ寸法は、10cm以上が好ましい。さらに、ドラフトチューブは、発振子から1cm以上2cm以下の距離に配設されることが好ましい。
ドラフトチューブの内径は、超音波の散乱や減衰を防止するため、あまり大きくなることは好ましくない。例えば、周波数80kHzの超音波の波長は2cmであり、20kHzでは7.5cmである。そして、ドラフトチューブで反射した超音波が共振するポイントは半波長の整数倍の位置であることから、この位置をドラフトチューブ内に収める構成に設計することが好ましい。なお、ドラフトチューブと発振子との距離が1cmより短くなると、汚水の循環が損なわれるおそれがあるので、あまり近づけすぎないように配設することが好ましい。
【0013】
さらに、本発明では、前記汚水に前記超音波を照射する発振子と、前記発振子における照射側に位置して前記汚水中に配設され内面側に前記発振子から照射される前記超音波を反射して前記超音波を所定の焦点に収束する状態に反射させる曲面状の反射面を有した略筒状の反射収束鏡と、を用い、前記超音波を前記汚水に照射する構成とすることが好ましい。
この発明では、汚水に超音波を照射する発振子の近傍、すなわち発振子における照射側に位置した前記汚水中に、内面側に超音波を反射して所定の焦点に収束させる曲面状の反射面を有した略筒状の反射収束鏡を配設することで、超音波との共振が起こり、汚水中を伝わる超音波の振幅が増大し、マイクロバブルが圧壊し易くなる。
このことにより、より効率よく汚水の浄化処理が得られる。
なお、反射面は、例えば複数の発振子から照射された超音波を焦点に収束させる構成では、放物線形状とすることが好適である。この構成では、反射収束鏡の放物線の形状や配設位置は、複数の発振子から照射される超音波が散乱せず、また汚水の循環を損なわない構成に適宜設計すればよい。
【0014】
また、本発明では、前記反射収束鏡は、前記発振子から照射される前記超音波を反射して前記超音波が収束して振幅が増幅する焦点位置が前記発振子の表面に位置する状態に楕円球面状に湾曲する反射面を有した略筒状に形成された構成とすることが好ましい。
この発明では、反射収束鏡の反射面を、発振子から照射された超音波が発振子の表面に位置する焦点位置に収束して振幅が増幅する状態に楕円球面状に湾曲形成しているので、超音波は他方の焦点位置に収束されて増幅することとなり、マイクロバブルの圧壊が生じやすくなる。
このことにより、より効率よく汚水の浄化処理が得られる。
ここで、楕円球面状の反射面となる反射収束鏡は、楕円球の短径が発振子の直径の2〜3倍、長径は上述の共振ポイントに合わせて設定することが好ましい。共振ポイントを反射収束鏡の内側に収め、さらに焦点に一致させることが好ましい。なお、周波数80kHzの超音波(波長2cm)の場合、比較的に距離が短いため、容易に共振ポイントに設置させるべく、楕円球形状の設置高さを微調整する機構を設けることが好ましい。
【0015】
そして、本発明では、前記オゾンのマイクロバブルが供給された前記汚水を反復流路内に蛇行流通させ、流通方向に対して交差する方向に前記超音波を照射する構成とすることが好ましい。
この発明では、マイクロバブルが供給された汚水を反復流路内に蛇行流通させつつ、流通方向に対して交差する方法すなわち側方から超音波を照射させて、マイクロバブルを圧壊させる。
このことにより、マイクロバブルが超音波に照射される時間を容易に長期化でき、十分にマイクロバブルを圧壊でき、より効率よく十分な汚水の浄化処理が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
〔第一実施形態〕
以下、本発明の第一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る、水中の有害成分を分解する方法を実施するための装置(以下、汚水処理装置と呼ぶ)を示した模式図である。なお、この図1は、後述する実施例1で使用した装置の概略図でもある。図2は、マイクロバブル発生器の概略構成を示す斜視図である。
【0017】
(汚水処理装置の構成)
図1において、10は汚水処理装置であり、この汚水処理装置10は、汚水1Aに含まれる有機物、栄養塩、し尿、生活廃水等の有害成分を分解する機能を持つ。このような汚水処理装置10は、汚水1Aを貯留する処理槽1と、汚水1Aにオゾンを供給するオゾンガス供給ライン2と、オゾンガス供給ライン2に接続された回転羽根3と、回転羽根3を囲む網状体としての金網4と、回転羽根3を回転させるモーターMと、発振子である超音波発振子5と、を備えている。
回転羽根3と、回転羽根3を囲む金網4とで、図2に示すマイクロバブル2Dを発生させるマイクロバブル発生器20を構成する。なお、図1は、説明の都合上、マイクロバブル2Dを極めて大きな気泡状として記述する。
【0018】
処理槽1には、汚水1Aを流入する図示しない流入口と、処理した汚水1Aを槽外へ流出させる図示しない流出口とを有している。なお、処理槽1は、説明の都合上、上面を開放する箱形状に示すが、密閉構造として汚水1A中の揮発成分の拡散防止やバブリングしたオゾンを回収する構成を設けるとよい。
オゾンガス供給ライン2は、オゾンを発生するオゾン発生器2Aと、このオゾン発生器2Aで発生したオゾンを汚水1A中にバブリング(曝気)させるための配管などの供給ライン2Bと、を備えている。
回転羽根3は、図2に示すように、端部にガス出口3Aを開口形成した略筒状の回転軸3Bと、この回転軸3Bの外周面に略放射状に設けられた複数の羽根部3Cと、を有している。回転軸3Bは、モーターMの出力軸M1に連結されて回転されるとともに、オゾンガス供給ライン2の供給ライン2Bが回転自在に連結され、供給されるオゾンガスをガス出口3Aから噴出可能となっている。なお、図1は、説明の都合上、出力軸M1と供給ライン2Bとをそれぞれ独立して回転羽根3に供給する状態を示す。
金網4は、回転羽根3の回転軌跡に対応し回転羽根3を囲む状態に略円筒形状に形成されている。この金網4は、腐蝕しにくいステンレスなどの耐蝕性部材、あるいは耐蝕性に表面処理されたものなどが好ましい。なお、金網に限らず、例えば骨組み部材に漁網などのような樹脂製ネットを設けたものなどとしてもよい。そして、網目としては、回転羽根3の羽根部3Cの枚数、回転速度、発生させたいマイクロバブルの平均粒径に応じて適宜設定されるが、あまり細かすぎるとオゾンガスの供給圧を高く設定する必要があり、あまり粗すぎるとオゾンの気泡が十分に微細化されずにマイクロバブルの粒径分布が広くなってしまう不都合があるので、適宜設定する。また、例えば、回転羽根3の周囲に位置する部分のみに網状とし、軸方向となる上下面は塞いだ形状とするなどしてもよい。また、網状体としては、パンチングメタルなど、鋼板に複数の微細な孔を設けたものなどとしてもよい。
【0019】
(汚水処理の動作)
まず、モーターMを回転駆動させて回転羽根3を回転させ、処理槽1内に貯留する有害成分を含む汚水1Aを攪拌させる。さらに、オゾン発生器2Aを動作させオゾンガスを供給ライン2Bを介して回転羽根3に供給する。また、超音波発振子5を作動させ、20kHz以上150kHz以下、好ましくは40kHz以上100kHz以下の超音波を発生させて、汚水1Aを超音波振動させる。
このオゾンガスの供給により、回転羽根3の回転軸3Bのガス出口3Aからオゾンガスが曝気される。この曝気されたオゾンガスは、比較的に粗大な気泡として汚水1Aに供給されるが、回転する回転羽根3により生じる汚水1Aの水流や金網4への衝突により、金網4外へ平均粒径が100μm未満、好ましくは60μm以下のマイクロバブル2Dとして大量に供給される。
これら発生したマイクロバブル2Dは、回転羽根3の回転による水流により汚水1A全体に分散される。さらに、マイクロバブル2Dは、超音波発振子5から照射される超音波のエネルギーを受けて圧壊する。この圧壊の際、活性な水酸基(OH)ラジカルが発生し、汚水1Aの有害成分は熱分解や酸化分解されて無害化、もしくは有害性を著しく低減させる。
【0020】
(第一実施形態の作用効果)
上述したように、上記実施形態では、平均粒径100μm未満のマイクロバブル2Dとしてオゾンを供給し、オゾンの汚水1A中への溶解速度を高めるとともに、この汚水1Aに超音波を照射することでマイクロバブル2Dの圧壊を起こり易くしている。
このため、活性な水酸基ラジカルの生成を促進でき、汚水1A中の有機性および無機性のうちの少なくともいずれか一方の汚濁でBODやCODとして例えば河川や海水の富栄養化や貧酸素水の発生原因となる有害成分を、効率よく生成した水酸基ラジカルにより分解反応を向上させて効率よく分解でき、効率的に汚水1Aを浄化処理できる。
【0021】
また、ガス出口3Aから流出するオゾンガスは比較的に粗大な気泡であるオゾンバブルとして汚水1A中に供給され、オゾンバブルは回転する回転羽根3にて一部が剪断されるとともに回転羽根3の回転による水流でオゾンバブルが金網4に衝突して、特に平均粒径が50μm以下の微細なマイクロバブル2Dを発生させている。さらに、回転羽根3の回転による攪拌にて汚水1A全体にマイクロバブル2Dを供給し、汚水1Aの滞留を防止している。
このため、簡単な構成で、消費電力が低く、効率よく微細なマイクロバブル2Dとしてオゾンを供給でき、効率よく汚水1Aを浄化処理できる。
【0022】
さらに、照射する超音波の周波数を20kHz以上150kHz以下、好ましくは40kHz以上100kHz以下に設定している。
このため、オゾンのマイクロバブル2Dの固有周波数に近い超音波となり、マイクロバブル2Dの圧壊が起きやすくなり、効率よく発生する水酸基ラジカルにより、効率よく汚水1Aを浄化処理できる。
【0023】
なお、上記第一実施形態において、図1に示すように、回転軸3Bからオゾンガスを噴出する構成に限らず、供給ライン2Bの端部をガス出口3Aとして、金網内で開口し回転羽根3の回転に干渉しない位置に配設し、オゾンをバブリングしてもよい。
また、上記第一実施形態において、汚水1Aは、バッチ処理に限らず、徐々に未処理の汚水1Aを処理槽1へ供給させるとともに、オーバーフローする分を処理した処理水として系外へ流出させる連続処理としてもよい。
【0024】
〔第二実施形態〕
以下、本発明の第二実施形態を図面に基づいて説明する。
図3は、本発明の第二実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図3は、後述する実施例2ないし実施例4で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0025】
(汚水処理装置の構成)
図3において、30は汚水処理装置であり、この汚水処理装置30は、第一実施形態と同様の処理槽1、オゾンガス供給ライン2、回転羽根3、金網4およびモーターMと、超音波発振子5と、超音波処理槽6と、を備えている。
超音波処理槽6は、処理槽1と同様に、汚水1Aを貯留可能に構成されている。そして、超音波処理槽6は、処理槽1内に貯留する汚水1Aが流通循環可能に、循環経路7を介して処理槽1に接続されている。循環経路7は、循環ポンプ7Aを有し処理槽1内に貯留する汚水1Aを超音波処理槽6へ流入させる送出ライン7Bと、超音波処理槽6内に貯留する汚水1Aを処理槽1へ返送する返送ライン7Cと、を備えている。
また、超音波処理槽6には、超音波発振子5が設けられている。そして、超音波発振子5は、処理槽1から超音波処理槽6内に流入されマイクロバブル2Dが混在する汚水1Aに超音波を照射する。
【0026】
(汚水処理の動作)
第一実施形態と同一の処理は、省略する。
この第二実施形態の汚水処理装置30では、超音波発振子5を作動させるとともに、循環経路7の循環ポンプ7Aを作動させる。この循環ポンプ7Aの作動により、処理槽1でマイクロバブル2Dが供給された汚水1Aが送出ライン7Bを介して超音波処理槽6内に流入される。
そして、超音波発振子5から照射される超音波によりマイクロバブル2Dを圧壊させ、汚水1Aを浄化処理する。
【0027】
(第二実施形態の作用効果)
この第二実施形態の構成によれば、処理槽1と超音波処理槽6とを上下方向に位置する状態に配置させることも可能であることから、例えば敷地面積が狭い場合などでも適用できる。さらには、処理する量が少なく処理槽1の容量を比較的に小さく設計する必要があり、超音波発振子5と、オゾンガス供給ライン2やモーターMとの配置干渉が生じるような場合でも、別槽構成であることから、設計の自由度が得られる。
【0028】
〔第三実施形態〕
以下、本発明の第三実施形態を図面に基づいて説明する。
図4は、本発明の第三実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図4は、後述する実施例5で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態および第二実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0029】
この図4に示す第三実施形態の汚水処理装置40は、図3に示す第二実施形態の汚水処理装置30における超音波処理槽6に複数の超音波発振子5を設けたものである。
これら超音波発振子5は、それぞれが超音波を照射する方向が交差、例えば直交する状態に超音波処理槽6に配設されている。
この図4に示す汚水処理装置40では、複数の超音波発振子5から照射される超音波は、共振により汚水1A中を伝わる超音波の振幅が増大し、マイクロバブル2Dの圧壊効率が向上する。このことにより、汚水1Aへの超音波エネルギーの増大により、効率よくマイクロバブル2Dが圧壊され、より高度に汚水1Aを浄化処理できる。
なお、超音波処理槽6に複数の超音波発振子5を設けたが、例えば第一実施形態のように、超音波処理槽6を用いず処理槽1に複数の超音波発振子5を設けてもよい。
【0030】
〔第四実施形態〕
以下、本発明の第四実施形態を図面に基づいて説明する。
図5は、本発明の第四実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図5は、後述する実施例6で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態ないし第三実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0031】
この図5に示す第四実施形態の汚水処理装置50は、図1に示す第一実施形態の汚水処理装置30に、ドラフトチューブ8を設けたものである。
このドラフトチューブ8は、超音波発振子5の照射側に位置して軸方向が照射方向に略沿う状態に処理槽1内に配設されている。このドラフトチューブ8は、内径が超音波発振子5の直径以上で超音波発振子5の直径の2倍以下の範囲が好ましい。また、ドラフトチューブ8の長さ寸法は、10cm以上が好ましい。さらに、ドラフトチューブ8は、超音波発振子5から1cm以上2cm以下の距離に配設されることが好ましい。
ここで、ドラフトチューブの内径は、超音波の散乱や減衰を防止するため、あまり大きくなることは好ましくない。例えば、周波数80kHzの超音波の波長は2cmであり、20kHzでは7.5cmである。そして、ドラフトチューブ8で反射した超音波が共振するポイントは半波長の整数倍の位置であることから、この位置をドラフトチューブ8内に収める構成に設計することが好ましい。なお、ドラフトチューブ8と超音波発振子5との距離が1cmより短くなると、汚水1Aの循環が損なわれるおそれがあるので、あまり近づけすぎないように配設することが好ましい。
この図5に示す汚水処理装置50では、ドラフトチューブ8により、超音波発振子5から照射される超音波は、汚水1A全体に拡散せずにドラフトチューブ8内の汚水1Aに高い超音波エネルギー密度で照射することとなり、効率よくマイクロバブル2Dが圧壊される。さらには、超音波エネルギーが拡散しにくいため、その超音波の推進力により処理槽1内の汚水1Aの循環を強くすることができる。
このことにより、ドラフトチューブ8を設ける簡単な構成で、より効率よく高度に汚水1Aを浄化処理できる。
【0032】
〔第五実施形態〕
以下、本発明の第五実施形態を図面に基づいて説明する。
図6は、本発明の第五実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図6は、後述する実施例7で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態ないし第四実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0033】
この図6に示す第五実施形態の汚水処理装置60は、図3に示す第二実施形態の汚水処理装置30に、超音波を反射させて所定の焦点位置で収束させる反射収束鏡である楕円球反射収束鏡9を設けたものである。
この楕円球反射収束鏡9は、略円筒状である略楕円球面形状に形成され、超音波発振子5の照射側に位置して超音波処理槽6内に配設されている。この楕円球反射収束鏡9は、超音波を反射して所定の焦点である第一焦点9Aに収束させる曲面状である楕円球面状の反射面9Bを内面側に有している。そして、楕円球反射収束鏡9は、超音波が超音波発振子5の表面に第二焦点9Cが位置するように構成されている。
ここで、楕円球反射収束鏡9は、楕円球の短径が超音波発振子5の直径の2〜3倍、長径が第四実施形態で説明した共振ポイントに合わせて設定することが好ましい。共振ポイントを楕円球反射収束鏡9の内側に収め、さらに第一焦点9Aに一致させることが好ましい。なお、周波数80kHzの超音波(波長2cm)の場合、比較的に距離が短いため、容易に共振ポイントに設置させるべく、楕円球形状の設置高さを微調整する機構を設けることが好ましい。
この図6に示す汚水処理装置60では、楕円球反射収束鏡9により、超音波発振子5から照射される超音波は、第二焦点9Cが超音波発振子5の表面に位置するので、第一焦点9Aで収束されて振幅が増大し、楕円球反射収束鏡9の内側で超音波エネルギー密度が高くなり、効率よくマイクロバブル2Dが圧壊される。さらには、超音波エネルギーが拡散しにくいため、その超音波の推進力により超音波処理槽6内の汚水1Aの循環を強くすることができ、超音波処理槽6内に攪拌装置などを設けずとも汚水1Aの滞留を防止できる。
このことにより、楕円球反射収束鏡9を設ける簡単な構成で、より効率よく高度に汚水1Aを浄化処理できる。
【0034】
〔第六実施形態〕
以下、本発明の第六実施形態を図面に基づいて説明する。
図7は、本発明の第六実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図7は、後述する実施例8で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態ないし第五実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0035】
この図7に示す第六実施形態の汚水処理装置70は、図6に示す第五実施形態の汚水処理装置60の楕円球反射収束鏡9に代えて反射収束鏡である放射状反射収束鏡90を用いるとともに、超音波発振子5を複数設けた構成である。
放射状反射収束鏡90は、略円筒状である略裁頭円筒形に形成され、超音波処理槽6の同一面に複数配設した超音波発振子5の照射側に位置して超音波処理槽6内に配設されている。この放射状反射収束鏡90は、複数の超音波発振子5から照射される超音波を反射して所定の焦点90Aに収束させる曲面状である放射線形状に湾曲する反射面である湾曲反射面90Bを内面側に有している。なお、この放射状反射収束鏡90についても、第五実施形態と同様に、超音波の推進力による超音波処理槽6内の汚水1Aの循環を損なわないように、拡開する側の縁が超音波処理槽6から離間する状態に配設することが好ましい。
この図7に示す汚水処理装置70でも、図6に示す汚水処理装置60と同様に、焦点90Aで超音波が収束して振幅が増大し、放射状反射収束鏡90の内側で超音波エネルギー密度が高くなり、効率よくマイクロバブル2Dを圧壊できるとともに、超音波エネルギーの拡散防止による超音波の推進力により超音波処理槽6内の汚水1Aの循環を強くすることができる。したがって、放射状反射収束鏡90を設ける簡単な構成で、より効率よく高度に汚水1Aを浄化処理できる。
【0036】
〔第七実施形態〕
以下、本発明の第七実施形態を図面に基づいて説明する。
図8は、本発明の第七実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図8は、後述する実施例9で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態ないし第六実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0037】
この図8に示す第七実施形態の汚水処理装置80は、図3に示す第二実施形態の汚水処理装置30における超音波処理槽6に複数の仕切板6Eを設けて汚水1Aを超音波処理槽6内で蛇行流通させるとともに、流通する汚水1Aに超音波を照射する超音波発振子5を複数設けたものである。
超音波処理槽6は、複数の仕切板6Eが略平行に交互に櫛状となるように複数設けられ、階層状に構成されている。この階層は、2層以上すなわち送出ライン7Bから流入した汚水1Aが返送ライン7Cにて返送されるまでに1往復蛇行流通する状態に反復流路を構成している。なお、超音波処理槽6は、鉛直方向に階層する構成に限らず、水平方向で仕切られる構成としてもよい。さらに、仕切板6Eは、平面構成に限らず、例えば波形状や鋸歯状に折曲する構成とするなど、汚水1Aが蛇行流通するいずれの反復流路の構成とすることができる。そして、超音波処理槽6には、仕切板6E間に位置する状態に、複数の超音波発振子5が設けられている。これら超音波発振子5は、仕切板6E間を流通する流通方向に対して側方から超音波を照射する状態に配設される。
この図8に示す汚水処理装置80では、仕切板6Eにより、処理槽1と循環される汚水1Aが超音波処理槽6内を超音波が照射されつつ蛇行流通することとなり、蛇行流通による乱流混合と超音波振動とにより、マイクロバブル2Dを効率よく圧壊できる。したがって、より高度に汚水1Aを浄化処理できる。
【0038】
〔第八実施形態〕
以下、本発明の第八実施形態を図面に基づいて説明する。
図9は、本発明の第八実施形態に係る、汚水処理装置を示す模式図である。なお、この図9は、後述する実施例10で使用した装置の概略図でもある。
そして、第一実施形態ないし第七実施形態と同一の構成については、説明を省略または簡略化する。
【0039】
この図9に示す第八実施形態の汚水処理装置100は、図1に示す第一実施形態の汚水処理装置10におけるマイクロバブル発生器20として、スタティックミキサー110を備えたマイクロバブル発生器としての循環型マイクロバブル発生器120を用いたものである。
循環型マイクロバブル発生器120は、循環ポンプ7Aを有し両端が処理槽1に接続された配管である循環ライン121と、この循環ライン121中に設けられ流通する汚水1Aに乱流を生じさせるスタティックミキサー110と、を備えている。そして、循環ライン121には、汚水1Aの流通方向における循環ポンプ7Aより上流側に位置して、オゾンガス供給ライン2の供給ライン2Bが接続されている。なお、オゾンの供給位置として、スタティックミキサー110の上流側であれば、循環ポンプ7Aより下流側でもよい。
この図9に示す汚水処理装置100では、循環ポンプ7Aの駆動により、処理槽1内の汚水1Aが循環ライン121を流通して処理槽1へと循環され、循環途中で供給ライン2Bからオゾンガスが曝気される。この曝気により比較的に粗大な気泡のオゾンバブルを混合する汚水1Aは、循環ポンプ7Aを流過する際にある程度微細化され、さらに動作するスタティックミキサー110を流過する際に、スタティックミキサー110内の障害物(例えば内部の棒状もしくは板状の突起物)と衝突して、平均粒径100μm未満、特に60μm以下のマイクロバブル2Dに微細化され、処理槽1内に流入する。そして、処理槽1内に流入された汚水1A中のマイクロバブル2Dは、超音波発振子5から照射される超音波により圧壊される。このマイクロバブル2Dの圧壊により活性な水酸基ラジカルが発生し、汚水1Aが十分に浄化処理される。
【実施例】
【0040】
以下、各種装置構成を用いて汚水の浄化処理を実施した結果について説明する。
(実施例1)
処理装置として、図1に示す汚水処理装置10を用いた。
処理条件は、水8リットルを処理槽1に流入し、マイクロバブル発生器20の回転羽根3を3000rpmで回転させ、オゾンを0.112mmol/分で供給した。マイクロバブルは、平均粒径が約50μmであった。
ホーン式の超音波発振子5から、周波数25kHzで水に超音波を照射した。
この後、有害成分に擬したメチレンブルーを濃度0.1mmol/Lとなる条件で添加した。なお、このメチレンブルーを添加した時点を汚水処理開始時とした。
汚水処理開始後、10分おきにメチレンブルー水溶液を採取し、ガスクロマトグラフィーで残存するメチレンブルーの濃度を測定した。そして、汚水処理開始時のメチレンブルー量を100%として、残存率を算出した。
【0041】
(実施例2)
処理装置として、図3に示す汚水処理装置30を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とした以外は実施例1と同様に実施した。
【0042】
(実施例3)
処理装置として、図3に示す汚水処理装置30を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とし、超音波の周波数を40kHzとした以外は実施例1と同様に実施した。
【0043】
(実施例4)
処理装置として、図3に示す汚水処理装置30を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とし、超音波の周波数を100kHzとした以外は実施例1と同様に実施した。
【0044】
(実施例5)
処理装置として、図4に示す汚水処理装置40を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5をホーン式と洗浄槽式との組み合わせとした以外は実施例1と同様に実施した。
【0045】
(実施例6)
処理装置として、図5に示す汚水処理装置50を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5近傍にドラフトチューブ8を設置した以外は実施例1と同様に実施した。
【0046】
(実施例7)
処理装置として、図6に示す汚水処理装置60を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とし、超音波発振子5の上方に楕円球反射収束鏡9を設置した以外は実施例1と同様に実施した。
【0047】
(実施例8)
処理装置として、図7に示す汚水処理装置70を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とし、超音波発振子5の上方に放射状反射収束鏡90を設置した以外は実施例1と同様に実施した。
【0048】
(実施例9)
処理装置として、図8に示す汚水処理装置80を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波発振子5を洗浄槽式とし、超音波の照射部分を階層状の反復流路とした以外は実施例1と同様に実施した。
【0049】
(実施例10)
処理装置として、図9に示す汚水処理装置100を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波の周波数を、80kHzとし、マイクロバブル2Dの発生として平均粒径が50μmとなるようにスタティックミキサー110を動作させた以外は実施例1と同様に実施した。
【0050】
(実施例11)
処理装置として、図1に示す汚水処理装置10を用いた。
処理条件は、水8リットルを処理槽1に流入し、マイクロバブル発生器20の回転羽根3を3000rpmで回転させ、オゾンを0.112mmol/分で供給した。マイクロバブルは、平均粒径が約50μmであった。
ホーン式の超音波発振子5から、周波数20kHzで水に超音波を照射した。
この後、有害成分に擬したメチレンブルーを濃度0.1mmol/Lとなる条件で添加した。なお、このメチレンブルーを添加した時点を汚水処理開始時とした。
汚水処理開始後、10分おきにメチレンブルー水溶液を採取し、ガスクロマトグラフィーで残存するメチレンブルーの濃度を測定した。そして、汚水処理開始時のメチレンブルー量を100%として、残存率を算出した。
【0051】
(比較例1)
処理装置として、図1に示す汚水処理装置10を用いた。
処理条件としては、実施例1における超音波照射を実施しない条件以外は、実施例1と同様に実施した。
【0052】
(比較例2)
処理装置として、図1に示す汚水処理装置10を用いた。
処理条件としては、マイクロバブル発生器20を動作させず、一般的に使用されている散気管からオゾンを曝気した以外は、実施例1と同様に実施した。なお、この比較例2におけるオゾンバブルの平均粒径は、約800μmであった。
【0053】
(結果)
実施例1〜11および比較例1,2の残存率の結果を、図10ないし図14に示す。
図10に示すように、実施例1と比較例1,2との比較より、実施例1では超音波の照射が分解を促進していることが分かる。
そして、実施例1と実施例2との結果から、ホーン式の周波数25kHzより、図3に示す超音波処理槽6を用いる方式で25kHzの方が、分解促進効果が高いことが分かる。
さらに、実施例3と実施例10との比較より、回転羽根3を用いる構成より、スタティックミキサー110を用いるマイクロバブル発生方法の方が、分解促進効果が高いことが分かる。
【0054】
また、図11に示すように、実施例2ないし実施例4の比較より、超音波の周波数が、25kHz>40kHz>100kHzの順で、分解促進効果が高いことが分かる。
さらに、図12に示すように、実施例1,5,6の比較より、超音波発振子5を2基(ホーン式+槽式)設ける構成>ドラフトチューブ8を用いる構成の順で、分解促進効果が高いことが分かる。
また、図13に示すように、実施例2,7〜9の比較により、楕円球反射収束鏡9>放射状反射収束鏡90>蛇行流路となる階層構造の順で、分解促進効果が高いことが分かる。
なお、周波数25kHzの超音波で処理した実施例1と周波数20kHzの超音波で処理した実施例11とでは、図10および図14に示すように、有害物質の残存率に差異はほとんど認められず、同等の高い分解促進効果があることが認められる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第一実施形態に係る汚水処理装置を示した模式図である。
【図2】上記第一実施形態におけるマイクロバブル発生器の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図4】本発明の第三実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図5】本発明の第四実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図6】本発明の第五実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図7】本発明の第六実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図8】本発明の第七実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図9】本発明の第八実施形態に係る汚水処理装置を示す模式図である。
【図10】本発明における汚水処理の結果として有害物質の残存率を示すグラフである。
【図11】本発明における汚水処理の結果として有害物質の残存率を示すグラフである。
【図12】本発明における汚水処理の結果として有害物質の残存率を示すグラフである。
【図13】本発明における汚水処理の結果として有害物質の残存率を示すグラフである。
【図14】本発明における汚水処理の結果として有害物質の残存率を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
10,30,40,50,60,70,80,100…汚水処理装置
1A…汚水
2……オゾンガス供給ライン
2D…マイクロバブル
3……回転羽根
3A…ガス出口
4……網状体としての金網
5……超音波発振子
8……ドラフトチューブ
9……反射収束鏡である楕円球反射収束鏡
9A…焦点である第一焦点
9B…反射面
9C…焦点である第二焦点
90……反射収束鏡である放射状反射収束鏡
90A…焦点
90B…反射面である湾曲反射面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水中に、オゾンを平均粒径100μm未満のマイクロバブルとして供給し、
このオゾンのマイクロバブルが供給された前記汚水に超音波を照射して、前記マイクロバブルを圧壊させる
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の汚水処理方法であって、
前記オゾンのマイクロバブルは、前記オゾンガスを流出するガス出口を有する回転羽根と、この回転羽根の周囲に前記回転羽根を覆う状態に配設された網状体とを備えたマイクロバブル発生器を用いて、前記汚水に供給される
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の汚水処理方法であって、
前記オゾンのマイクロバブルは、オゾンガスを前記汚水中に曝気するオゾンガス供給手段と、前記曝気されたオゾンガスの気泡および前記汚水の渦流状の混相流を形成させて前記気泡を微細化するスタティックミキサーとを備えたマイクロバブル発生器を用いて、前記汚水に供給される
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の汚水処理方法であって、
前記照射する超音波は、周波数が20kHz以上150kHz以下である
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の汚水処理方法であって、
前記照射する超音波は、周波数が20kHz以上40kHz以下である
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の汚水処理方法であって、
前記超音波は、前記汚水に超音波を照射する方向が互いに交差して共振により振幅が増大する状態に配設された複数の発振子を用いて照射される
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の汚水処理方法であって、
前記汚水に前記超音波を照射する発振子と、この発振子における照射側に位置して軸方向が照射方向に略沿う状態に前記汚水中に配設され前記発振子から照射される前記超音波の推進力により前記汚水を軸方向で流通させる略筒状のドラフトチューブと、を用い、前記超音波を前記汚水に照射する
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の汚水処理方法であって、
前記汚水に前記超音波を照射する発振子と、前記発振子における照射側に位置して前記汚水中に配設され内面側に前記発振子から照射される前記超音波を反射して前記超音波を所定の焦点に収束する状態に反射させる曲面状の反射面を有した略筒状の反射収束鏡と、を用い、前記超音波を前記汚水に照射する
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の汚水処理方法であって、
前記発振子は、複数配設され、
前記反射収束鏡は、反射面が前記複数の発振子から照射される超音波を所定の焦点に収束させる放物線形状に形成された
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項10】
請求項8に記載の汚水処理方法であって、
前記反射収束鏡は、前記発振子から照射される前記超音波を反射して前記超音波が収束して振幅が増幅する焦点位置が前記発振子の表面に位置する状態に楕円球面状に湾曲する反射面を有した略筒状に形成された
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の汚水処理方法であって、
前記オゾンのマイクロバブルが供給された前記汚水を反復流路内に蛇行流通させ、流通方向に対して交差する方向に前記超音波を照射する
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項1】
汚水中に、オゾンを平均粒径100μm未満のマイクロバブルとして供給し、
このオゾンのマイクロバブルが供給された前記汚水に超音波を照射して、前記マイクロバブルを圧壊させる
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の汚水処理方法であって、
前記オゾンのマイクロバブルは、前記オゾンガスを流出するガス出口を有する回転羽根と、この回転羽根の周囲に前記回転羽根を覆う状態に配設された網状体とを備えたマイクロバブル発生器を用いて、前記汚水に供給される
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の汚水処理方法であって、
前記オゾンのマイクロバブルは、オゾンガスを前記汚水中に曝気するオゾンガス供給手段と、前記曝気されたオゾンガスの気泡および前記汚水の渦流状の混相流を形成させて前記気泡を微細化するスタティックミキサーとを備えたマイクロバブル発生器を用いて、前記汚水に供給される
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の汚水処理方法であって、
前記照射する超音波は、周波数が20kHz以上150kHz以下である
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項5】
請求項4に記載の汚水処理方法であって、
前記照射する超音波は、周波数が20kHz以上40kHz以下である
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の汚水処理方法であって、
前記超音波は、前記汚水に超音波を照射する方向が互いに交差して共振により振幅が増大する状態に配設された複数の発振子を用いて照射される
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の汚水処理方法であって、
前記汚水に前記超音波を照射する発振子と、この発振子における照射側に位置して軸方向が照射方向に略沿う状態に前記汚水中に配設され前記発振子から照射される前記超音波の推進力により前記汚水を軸方向で流通させる略筒状のドラフトチューブと、を用い、前記超音波を前記汚水に照射する
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の汚水処理方法であって、
前記汚水に前記超音波を照射する発振子と、前記発振子における照射側に位置して前記汚水中に配設され内面側に前記発振子から照射される前記超音波を反射して前記超音波を所定の焦点に収束する状態に反射させる曲面状の反射面を有した略筒状の反射収束鏡と、を用い、前記超音波を前記汚水に照射する
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の汚水処理方法であって、
前記発振子は、複数配設され、
前記反射収束鏡は、反射面が前記複数の発振子から照射される超音波を所定の焦点に収束させる放物線形状に形成された
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項10】
請求項8に記載の汚水処理方法であって、
前記反射収束鏡は、前記発振子から照射される前記超音波を反射して前記超音波が収束して振幅が増幅する焦点位置が前記発振子の表面に位置する状態に楕円球面状に湾曲する反射面を有した略筒状に形成された
ことを特徴とする汚水処理方法。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の汚水処理方法であって、
前記オゾンのマイクロバブルが供給された前記汚水を反復流路内に蛇行流通させ、流通方向に対して交差する方向に前記超音波を照射する
ことを特徴とする汚水処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−131827(P2009−131827A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−118876(P2008−118876)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワークが2008年3月6日に発行した、『第8回 グリーン・サステイナブル ケミストリー シンポジウム予稿集』
【出願人】(000183624)出光エンジニアリング株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り グリーン・サステイナブル ケミストリー ネットワークが2008年3月6日に発行した、『第8回 グリーン・サステイナブル ケミストリー シンポジウム予稿集』
【出願人】(000183624)出光エンジニアリング株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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