説明

汚泥脱水方法

【課題】各種産業排水の生物処理過程等で発生する汚泥を電気浸透脱水装置により脱水処理するに当たり、薬剤コストを抑え、また、溶解槽や加温設備等の付加設備や付加エネルギーを必要とすることなく、効率的な電気浸透脱水処理を行う。
【解決手段】排水処理設備から排出される濃縮塩を汚泥に添加した後、電気浸透脱水装置で脱水処理する。電気浸透脱水に供される汚泥に、従来、産廃処分されていた排水処理設備から排出される濃縮塩を添加することにより、汚泥の電気伝導率を高め、電気浸透脱水装置による脱水効率を高め、得られる脱水汚泥の含水率を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種産業排水の生物処理過程等で発生する汚泥を電気浸透脱水装置で脱水する方法に係り、特に、電気浸透脱水前の汚泥の調質に、従来廃棄処分されていた濃縮塩を用いることにより、含水率の低い脱水汚泥を工業的に有利に得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種産業排水の生物処理過程で発生する汚泥は多くの水分を含んでいるため、脱水処理した後、廃棄物として処分されている。従来、汚泥の脱水には、ベルトプレスやフィルタープレス等の加圧式脱水機や遠心脱水機などの機械的脱水装置が用いられてきたが、これらの脱水装置では、一部の汚泥(繊維質や砂分といった脱水し易い成分が多く含まれている汚泥)を除き、含水率を十分に低くすることはできず、得られる脱水汚泥の含水率は80%程度が限度である。
【0003】
これに対して、電気浸透脱水装置による電気浸透脱水処理であれば、被処理汚泥に電極を挿入して通電し、電気浸透作用によりマイナス荷電した汚泥を陽極側に引き寄せ、一方、汚泥の間隙水を陰極側に移動させて分離させながら加圧力をかけて脱水するため、機械的脱水処理の場合に比べて、脱水効率が高く、汚泥の含水率を更に低減することが可能である。
即ち、汚泥粒子の表面は−10〜−20mVに帯電しており、その周囲の水は電気二重層を形成しプラスに帯電している。従って、陽極と陰極に挟まれた汚泥に直流電源を印加すると、プラスに帯電した水が陰極側に引き寄せられる。この状態で圧力を加えると、水は陰極側から濾液として排出され、汚泥の含水率が低下する。
なお、この際、陰極では還元反応が起きるため、脱水濾液はアルカリ性になる。
【0004】
このような電気浸透脱水処理において、脱水量は通電量に比例するため、汚泥の電気伝導率を上げると通電量が増加して脱水ケーキの含水率は下がりやすい。
従来、汚泥の電気伝導率を上げる手段として、(1)硫酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの電解質を添加する方法(特開平3−262818号公報、特公平7−73646号公報)、(2)汚泥を加温する方法(特許第3576269号公報)が採られている。
【0005】
ところで、各種の排水処理設備には、排水中の塩類を濃縮分離する濃縮設備が設けられているものがある。例えば、有機系排水の処理設備では、排水を活性汚泥処理等により生物処理し、得られた生物処理水を超純水として再利用するために逆浸透膜分離装置又はエバポレーター(蒸発濃縮機)等の濃縮設備で処理して、含有される生物代謝物やpH調整用水酸化ナトリウム、ポリ硫酸第二鉄等に由来する硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム等の塩類を濃縮分離し、濃縮塩は、産業廃棄物(産廃)として系外へ排出して処分し、分離水を処理水として取り出すことが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−262818号公報
【特許文献2】特公平7−73646号公報
【特許文献3】特許第3576269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、(1)硫酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの電解質を汚泥に添加する方法では、薬品コストが増大する上に、次のような問題がある。
・電解質を汚泥に均一に分散させるため、汚泥への添加に先立ち、電解質を水に溶解させる必要があり、電解質溶解槽が必要となる。
・電解質の添加により、電気浸透脱水により排出される脱水濾液には、電解質が含まれることとなる。この脱水濾液は排水処理設備へ送られるが、排水中の電解質を濃縮して産廃処分するような設備では、電解質添加により産廃量が増大する結果となる。
【0008】
一方、(2)汚泥を加温する方法では、汚泥に熱を加える必要があるため、加温設備が必要な上、加温のためのエネルギーも必要となる。
【0009】
本発明は上記従来の問題点を解決し、各種産業排水の生物処理過程等で発生する汚泥を電気浸透脱水装置により脱水処理するに当たり、薬剤コストを抑え、また、溶解槽や加温設備等の付加設備や付加エネルギーを必要とすることなく、効率的な電気浸透脱水処理を行う方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明(請求項1)の汚泥脱水方法は、汚泥を電気浸透脱水装置で脱水処理する方法において、排水処理設備から排出される濃縮塩を該汚泥に添加した後、該電気浸透脱水装置で脱水処理することを特徴とする。
【0011】
請求項2の汚泥脱水方法は、請求項1において、前記汚泥に対する前記濃縮塩の添加量が1重量%以上であることを特徴とする。
【0012】
請求項3の汚泥脱水方法は、請求項1又は2において、前記汚泥を電気浸透脱水装置で脱水処理するに先立ち機械的脱水処理し、得られた脱水ケーキに前記濃縮塩を添加して電気浸透脱水装置で脱水処理することを特徴とする。
【0013】
請求項4の汚泥脱水方法は、請求項3において、前記脱水ケーキの含水率が70〜90%であることを特徴とする。
【0014】
請求項5の汚泥脱水方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記濃縮塩が、排水の生物処理水を逆浸透膜分離処理又は蒸発濃縮により濃縮して得られる濃縮塩であることを特徴とする。
【0015】
請求項6の汚泥脱水方法は、請求項5において、前記電気浸透脱水装置による脱水処理で得られる脱水濾液を前記排水の生物処理槽に返送して処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の汚泥脱水方法によれば、電気浸透脱水に供される汚泥に、従来、産廃処分されていた排水処理設備から排出される濃縮塩を添加することにより、汚泥の電気伝導率を高め、通電効率を向上させて電気浸透脱水装置による脱水効率を高め、得られる脱水汚泥の含水率を低減することができる。
【0017】
この濃縮塩は、排水処理設備で発生し、従来は産廃処分されていたものであり、この濃縮塩を汚泥に添加することによる新たな薬剤コストの増加の問題はない。しかも、濃縮塩の有効利用で産業廃棄物量を減らすことも可能である。
また、この濃縮塩は、スラリー状であるため、汚泥に直接添加しても均一に分散させることができ、従来の電解質添加の場合のような溶解槽が不要である。もちろん、加温設備や加温エネルギーも不要である。
【0018】
汚泥に対する濃縮塩の添加量は、濃縮塩の電解質濃度にもよるが1重量%以上とすることが好ましい(請求項2)。
【0019】
また、汚泥は、電気浸透脱水処理に先立ち機械的脱水処理することが、脱水効率の面で好ましく(請求項3)、この場合、機械的脱水処理で含水率70〜90%の脱水ケーキを得、この脱水ケーキを電気浸透脱水処理することが好ましい(請求項4)。
【0020】
また、濃縮塩としては、排水の生物処理水を逆浸透膜分離処理又は蒸発濃縮により濃縮して得られる濃縮塩が好適である(請求項5)。
【0021】
この場合、電気浸透脱水装置による脱水処理で得られるアルカリ性の脱水濾液は、排水の生物処理槽に返送して処理することが好ましく、これにより、脱水濾液の処理と共に、生物処理槽にpH調整剤として添加する水酸化ナトリウム等のアルカリの添加量の低減を図ることができる(請求項6)。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の汚泥脱水方法の実施の形態の一例を示す系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の汚泥脱水方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0024】
本発明の汚泥脱水方法は、電気浸透脱水処理に供される汚泥に、予め排水処理設備から排出される濃縮塩を添加することを特徴とする。
【0025】
本発明で用いる濃縮塩としては排水処理設備から排出される濃縮塩であれば特に制限はないが、例えば、次の(1)〜(5)に挙げるようなものを用いることができる。
【0026】
(1) 有機系排水を回収・再利用するための生物処理設備の処理水中の塩類を濃縮するための逆浸透膜分離装置又はエバポレーターから排出される濃縮塩
(2) 海水を淡水化処理する上水処理設備の処理水中の塩類を濃縮するための逆浸透膜分離装置又はエバポレーターから排出される濃縮塩
(3) 市水を脱塩処理する超純水製造設備の濃縮水中の塩類を濃縮するための逆浸透膜分離装置から排出される濃縮塩
【0027】
このような濃縮塩の電解質濃度には特に制限はないが、これらの濃縮塩は通常電解質濃度0.1〜24.5重量%程度、電気伝導率0.1〜120mS/cm程度のスラリーとして排出される。
【0028】
本発明においては、このようなスラリー状の濃縮塩を、脱水処理に供する汚泥に添加する。汚泥への濃縮塩の添加量は過度に少ないと濃縮塩の添加による脱水効率の向上効果を十分に得ることができず、過度に多くてもそれに見合う効果は得られず、処理量が増大する。従って、濃縮塩の添加量は、濃縮塩の電解質濃度にもよるが、汚泥に対して1重量%以上、特に5〜15重量%程度とし、電解質換算の添加量として汚泥に対して0.05〜0.15重量%程度の濃縮塩を添加することが好ましい。
【0029】
なお、汚泥は、電気浸透脱水処理に先立ち、ベルトプレスやフィルタープレス等の加圧式脱水機や遠心脱水機などの機械的脱水装置で機械的脱水処理して含水率70〜90%程度の脱水ケーキを得、この脱水ケーキに、脱水前の汚泥に対する添加量が前述の割合となるように濃縮塩を添加して電気浸透脱水処理することが好ましく、このように機械的脱水処理と電気浸透脱水処理とを組み合わせることにより、より一層効率的な脱水処理を行える。
【0030】
この機械的脱水処理に際しては、従来公知の無機凝集剤や高分子凝集剤を添加しても良く、この場合、無機凝集剤としては、硫酸第二鉄(ポリ硫酸第二鉄を含む)、硫酸第一鉄、塩化第二鉄、塩化第一鉄、鉄−シリカ無機高分子凝集剤等の鉄系無機凝集剤の1種又は2種以上を用いることができる。汚泥への鉄系無機凝集剤の添加量は、多過ぎても少な過ぎても、含水率の十分に低い脱水汚泥を得ることができないため、脱水処理する汚泥のSSに対するFe換算の添加量として5〜20重量%、特に7〜15重量%とすることが好ましい。
【0031】
また、鉄系無機凝集剤と共に高分子凝集剤を添加しても良く、この場合、高分子凝集剤としては、特に限定されるものではないが、両性高分子凝集剤(両性ポリマー)を用いることが好ましい。両性高分子凝集剤としては、アミノ基若しくはアンモニウム塩基を有するモノマー、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリル酸若しくはその塩の共重合体が好ましく、アミノ基又はアンモニウム塩基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキル4級アンモニウム塩、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルアミン硫酸塩又は塩酸塩、(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルアミン塩酸塩などの(メタ)アクリロイルオキシアルキル3級アミン塩、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノプロピルトリメチルアンモニウムメチルサルフェートなどの(メタ)アクリロイルアミノアルキル4級アンモニウム塩などを挙げることができる(ここで、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。「(メタ)アクリロイル」についても同様である。)。これらのモノマーは、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、(メタ)アクリロイルオキシアルキル4級アンモニウム塩は脱水効果に優れるので好適に用いることができ、アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド及びメタアクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドを特に好適に用いることができる。
【0032】
また、(メタ)アクリル酸又はその塩としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリル酸カルシウムなどを挙げることができる。これらの中で、アクリル酸及びアクリル酸ナトリウムを特に好適に用いることができる。
【0033】
両性高分子凝集剤には、さらに他のコモノマーを共重合することができる。他のコモノマーとしては、例えば、ビニルピロリドン、マレイン酸、アクリル酸メチルなどを挙げることができる。これらのコモノマーの共重合量は、通常20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
【0034】
これらの両性高分子凝集剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
このような高分子凝集剤を併用し、鉄系無機凝集剤添加後の汚泥に高分子凝集剤を添加することにより、強固な汚泥フロックを形成することができ、より一層の含水率の低減を図ることができる。
【0036】
このような高分子凝集剤の添加量は、脱水処理する汚泥のSSに対して0.2〜1重量%程度とすることが好ましい。
【0037】
なお、機械的脱水処理に先立ち、汚泥にこれらの凝集剤を添加する場合は、好ましくは、汚泥に鉄系無機凝集剤を添加して、急速攪拌槽で滞留時間1〜5分で処理することが好ましく、また、高分子凝集剤添加においては、緩速攪拌槽で滞留時間1〜10分で処理することが好ましい。
【0038】
このようにして、必要に応じて凝集剤を添加して汚泥を機械的脱水処理した後は、濃縮塩を添加して電気浸透脱水装置で電気浸透脱水処理する。
一般的に市販されている電気浸透脱水装置は、機械的脱水部と電気浸透脱水部とを有する型式のものもあるため、通常の電気浸透脱水装置を用いて機械的脱水及び電気浸透脱水処理を行い、機械的脱水部と電気浸透脱水部との間で濃縮塩の添加を行うことができる。
【0039】
この機械的脱水及び電気浸透脱水の処理条件には特に制限はないが、例えば次のような条件を採用することができる。
【0040】
<機械的脱水処理条件>
加圧式脱水の場合の加圧力:50〜1000kPa
遠心脱水の場合の遠心力:1000〜2500G
脱水時間:1〜60分
<電気浸透脱水処理条件>
加圧力:0.1〜200kPa
通電量:DC20〜100V
脱水時間:5〜60分
【0041】
本発明によれば、このような脱水処理により、含水率70%以下、例えば含水率50〜70%程度の低含水率の脱水ケーキを得ることができる。
【0042】
なお、本発明の汚泥脱水方法で脱水処理する汚泥としては特に制限はなく、本発明は、各種産業排水の生物処理過程等で発生する汚泥や、その他自動車排水の加圧浮上汚泥などのあらゆる汚泥に適用可能である。
【0043】
ところで、本発明における脱水処理では、汚泥が濃縮塩を含むことにより、pH12(通常pH10〜13)程度のアルカリ性の脱水濾液が発生する。この脱水濾液は、排水の生物処理槽に投入して処理することが好ましく、これにより、脱水濾液の処理と共に生物処理槽にpH調整剤として添加される水酸化ナトリウム等のアルカリの添加量を低減することができ、好ましい。特に、このように生物処理槽に脱水濾液を投入して処理する場合、濃縮塩の発生源である排水処理設備の生物処理槽に返送することが有利である。
【0044】
図1は、このように電気浸透脱水装置の脱水濾液を濃縮塩の発生源である排水処理設備の生物処理槽に返送して処理する場合を示す系統図であり、原水は、生物処理槽1で生物処理され、生物処理水は濃縮設備2で処理され、塩類が濃縮除去された処理水は系外へ排出される。一方、濃縮塩は、一部が産廃処分され、残部は電気浸透脱水設備3に送給される汚泥又は脱水ケーキに添加される。濃縮塩が添加された汚泥又は脱水ケーキは電気浸透脱水設備3で電気浸透脱水処理され、得られた脱水ケーキは系外へ排出されて処分される。一方、脱水濾液は生物処理槽1に返送されて処理される。
【0045】
このように脱水濾液を生物処理槽1に返送することにより、より一層の効率化を図ることができる。
【実施例】
【0046】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0047】
<実施例1>
有機系排水の余剰汚泥(MLSS8,000mg/L)にポリマーを添加して機械的脱水処理して、含水率82%の脱水ケーキを得、この脱水ケーキに、下記の濃縮塩を、脱水前の汚泥に対して10重量%添加して電気浸透脱水処理した。
このとき、機械的脱水処理及び電気浸透脱水処理の処理条件は以下の通りとした。
【0048】
<濃縮塩>
有機系排水を活性汚泥法により生物処理し、生物処理水を膜により濃縮して電解質を濃縮分離する逆浸透膜分離設備から排出される濃縮塩スラリー。電解質濃度:1.3〜1.5重量%、電気伝導率:15〜17mS/cm
【0049】
<機械的脱水(遠心脱水)処理条件>
回転数:2000/min
遠心効果:1000G
脱水時間:5m/hr(SS8,000mg/Lの余剰汚泥を5m/hrで脱
水)
ポリマー添加量:1重量%対SS
<電気浸透脱水処理条件>
加圧力:0.16kgf/cm(15.7kPa)
通電量:DC60V
脱水時間:10分
【0050】
得られた脱水ケーキの含水率は65%であった。
【0051】
<比較例1>
実施例1において、濃縮塩の代りに、硫酸ナトリウムを10重量%の水溶液として、脱水ケーキ中のSSに対する硫酸ナトリウム添加量が1.4重量%となるように添加したこと以外は同様にして脱水処理を行ったところ、得られた脱水ケーキの含水率は67%であった。
【0052】
<比較例2>
実施例1において、濃縮塩を添加しなかったこと以外は同様にして脱水処理を行ったところ、得られた脱水ケーキの含水率は73%であった。
【0053】
以上の結果から、本発明によれば、従来産廃処分されていた排水処理設備から排出される濃縮塩を有効利用して、電気浸透脱水処理における脱水効率を大幅に改善することができることが分かる。
【符号の説明】
【0054】
1 生物処理槽
2 濃縮設備
3 電気浸透脱水設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥を電気浸透脱水装置で脱水処理する方法において、排水処理設備から排出される濃縮塩を該汚泥に添加した後、該電気浸透脱水装置で脱水処理することを特徴とする汚泥脱水方法。
【請求項2】
請求項1において、前記汚泥に対する前記濃縮塩の添加量が1重量%以上であることを特徴とする汚泥脱水方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記汚泥を電気浸透脱水装置で脱水処理するに先立ち機械的脱水処理し、得られた脱水ケーキに前記濃縮塩を添加して電気浸透脱水装置で脱水処理することを特徴とする汚泥脱水方法。
【請求項4】
請求項3において、前記脱水ケーキの含水率が70〜90%であることを特徴とする汚泥脱水方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記濃縮塩が、排水の生物処理水を逆浸透膜分離処理又は蒸発濃縮により濃縮して得られる濃縮塩であることを特徴とする汚泥脱水方法。
【請求項6】
請求項5において、前記電気浸透脱水装置による脱水処理で得られる脱水濾液を前記排水の生物処理槽に返送して処理することを特徴とする汚泥脱水方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−234188(P2010−234188A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82568(P2009−82568)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】