説明

決済システム

【課題】遊技場においても利用可能な、預かり金を消費したのちも遊技を継続できるよう、預かり金を補充できる新たな電子決済技術を提供する。
【解決手段】有価価値提供装置は、振込要求メッセージを受信すると、店舗内預かり金を補充することを要求する預かり金補充要求メッセージをユーザ端末装置に送信する。ユーザ端末装置は、預かり金補充要求メッセージを受信すると、管理サーバに振込要求メッセージを送信する。管理サーバは、振込要求メッセージを受信した場合、ユーザの銀行口座から所定金額の振り込みを依頼する振込依頼メッセージを金融機関システムに送信する。店内サーバは、振込完了メッセージを受信すると、有価価値の提供を指示する提供指示メッセージを有価価値提供装置に送信し、この提供指示メッセージを受信した有価価値提供装置は有価価値の提供を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報処理技術、通信技術の発展及び通信インフラの普及により、料金・代金の支払方法が多様化し、現金による支払に代わるさまざまな方法が提案され利用されるようになってきている。カジノ、パチンコホールなどの遊技場における支払においても、現金以外の支払方法が利用できれば、ユーザ(遊技者)の利便が向上するとともに、遊技機の稼働率が高まることによる遊技場の売り上げ向上も期待できる。
【0003】
現金以外の支払方法の一つとして、預かり金方式による支払が提案されている。預かり金方式は、あらかじめ購入代金としてなにがしかの金額を遊技場等有価価値の提供者、貸出者に預け入れておき、この預かり金から有価価値の購入代金等を支払う。そして、預かり金が使用により減少したり、追加入金による預かり金の増加したりする預かり金額の変動の管理は、預かり金を管理するデータベースを備えた装置(サーバ)によって行わせる方式などが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−41972号公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の預かり金方式による支払いにおいても、ユーザが継続して遊技を行うなどすることにより消費しつくしてしまうと、預かり金残高が不足してそれ以上遊技の継続ができなくなる。かかる場合には、ユーザは銀行等から現金を取得して再び預け入れをするという手数をかけなければならなかった。
【0006】
このため、遊技者が預かり金を遊技において消費し終わった後、もう少し遊技したい、或いは遊技場においてなんらかの買い物をしたいという要求を持っていても、現状ではそのような要求に応えることができる決済方法が用意されておらず、遊技場はこのような潜在的な需要をみすみす見逃さざるを得なかった。
【0007】
本発明の目的は、遊技場においても利用可能な、預かり金を消費したのちも遊技を継続できるよう、その場で預かり金を補充できる新たな電子決済技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、本発明は以下の特徴を有する。
【0009】
本発明の一実施態様は、決済システムとして提案される。
【0010】
この決済システムは、ユーザ及びユーザ端末装置の少なくとも一方を特定する情報であるユーザ識別情報を含み、有価価値の提供を要求する情報を含む第1信号(例えば、提供要求メッセージ、図14、ステップS101参照)を送信するユーザ端末装置と、ユーザ端末装置と通信可能であって、第1信号を受信した場合、有価価値の提供の許可を要求する情報を含む第2信号(例えば、提供許可要求メッセージ、図14、ステップS102参照)を送信する有価価値提供装置と、ユーザ識別情報と対応付けて当該ユーザからの預かり金の額を記憶し、有価価値提供装置から第2信号を受信したときに当該預かり金の額が有価価値の代金の額に足りていない場合には、当該預かり金の残高が不足していることを示す情報を含む第3信号(例えば、残高不足通知メッセージ、図14、ステップS104参照)を有価価値提供装置に送信し、当該預かり金を補充するための振り込みを要求する情報を含む第4信号(例えば、振込要求メッセージ、図14、ステップS107参照)を受信した場合、ユーザの口座から所定金額の振込を依頼する情報を含む第5信号(例えば、振込依頼メッセージ、図14、ステップS109参照)を送信するサーバ(例えば、店内サーバ及び管理サーバ)とを有し、有価価値提供装置は、第3信号を受信すると、当該預かり金を補充することを要求する情報を含む第8信号(例えば、預かり金補充要求メッセージ、図14、ステップS105参照)をユーザ端末装置に送信し、ユーザ端末装置は、第8信号を受信すると、サーバに第4信号を送信し、サーバは、所定金額の振り込みを示す情報を含む第6信号(例えば、振込完了メッセージ、図14、ステップS111参照)を受信すると、有価価値の提供を指示する情報を含む第9信号(例えば、提供指示メッセージ、図14、ステップS113参照)を有価価値提供装置に送信し、この第9信号を受信した有価価値提供装置は、有価価値の提供を実行することを特徴としている。
【0011】
本決済システムによれば、遊技場においても利用可能な、預かり金を消費したのちも遊技を継続できるよう、その場で預かり金を補充することが可能となり、ユーザの遊技を継続させることが可能となる。また、多数の店舗が接続された大規模なネットワークに対応することが可能となる。
【0012】
本発明の別の実施の態様は、下記特徴を有する決済システムとして提案される。
【0013】
この決済システムは、ユーザ及びユーザ端末装置の少なくとも一方を特定する情報であるユーザ識別情報を含み、有価価値の提供を要求する情報を含む第1信号(例えば、提供要求メッセージ、図14、ステップS101参照)を送信するユーザ端末装置と、ユーザ端末装置と通信可能であって、第1信号を受信した場合有価価値の提供の許可を要求する情報を含む第2信号(例えば、提供許可要求メッセージ、図14、ステップS102参照)を送信する有価価値提供装置と、ユーザ識別情報と対応付けて当該ユーザからの預かり金の額を記憶し、有価価値提供装置から第2信号を受信したときに当該ユーザからの預かり金の額が有価価値の代金に足りていない場合には、当該預かり金の残高が不足していることを示す情報を含む第3信号(例えば、残高不足通知メッセージ、図14、ステップS104参照)を有価価値提供装置に送信する第1サーバ(例えば、店内サーバ)と、当該預かり金を補充するための振り込みを要求する情報を含む第4信号(例えば、振込要求メッセージ、図14、ステップS107参照)を受信した場合、ユーザの口座から所定金額の振り込みを依頼する情報を含む第5信号(例えば、振込依頼メッセージ、図14、ステップS109参照)を送信し、所定金額の振り込みを示す情報を含む第6信号(例えば、振込完了メッセージ、図14、ステップS111参照)を受信した場合、預かり金を補充するための振り込みが行われたことを示す情報を含む第7信号(例えば、入金確認メッセージ、図14、ステップS112参照)を第1サーバに送信する第2サーバ(例えば、管理サーバ)とを有し、有価価値提供装置は、第3信号を受信すると、当該預かり金を補充することを要求する情報を含む第8信号をユーザ端末装置に送信し、ユーザ端末装置は、第8信号(例えば、預かり金補充要求メッセージ、図14、ステップS105参照)を受信すると、第2サーバに第4信号を送信し、第1サーバは、第7信号を受信すると、有価価値の提供を指示する情報を含む第9信号(例えば、提供指示メッセージ、図14、ステップS113参照)を有価価値提供装置に送信し、この第9信号を受信した有価価値提供装置は有価価値の提供を実行することを特徴としている。
【0014】
本決済システムによれば、遊技場においても利用可能な、預かり金を消費したのちも遊技を継続できるよう、その場で預かり金を補充することが可能となり、ユーザの遊技を継続させることが可能となる。
【0015】
上記決済システムは、ユーザ端末装置が第8信号を受信すると、ユーザからの預かり金の補充を行うための振り込みを実行する旨のユーザの確認の入力を促し、この入力の待ち受けを行い、確認の入力がされた場合、第4信号を第2サーバに送信することをさらなる特徴としてもよい。
【0016】
上記決済システムによれば、ユーザの口座からの振り込みの利用意思を明確にしたうえでの預かり金の補充を可能とし、ユーザの遊技を継続させることがさらに可能となる。
【0017】
また上記決済システムは、ユーザ端末装置が第8信号を受信したのち、当該ユーザ端末装置と有価価値提供装置と再度通信接続した場合に、第4信号を第2サーバに送信することをさらなる特徴として有していてもよい。
【0018】
上記決済システムによれば、ユーザを入力で煩わさせることなく、迅速に、ユーザの口座からの振り込みの利用意思を明確にしたうえで預かり金を補充することを可能とし、ユーザの遊技を継続させることがさらに可能となる。
【0019】
さらにまた上記決済システムは、第2サーバが第5信号を送信したのちユーザの口座の残高が不足していることを示す情報を含む第10信号(例えば、入金指示要求メッセージ、図17、ステップS411参照)を受信した場合、他の金融機関を利用して当該ユーザの口座に入金することを要求する情報を含む第11信号(例えば、入金指示要求メッセージ、図18、ステップS501参照)をユーザ端末装置に送信し、ユーザ端末装置は、第11信号を受信したのち第2サーバに他の金融機関を利用して当該ユーザの口座に入金することを指示する情報を含む第12信号(例えば、クレジット利用メッセージ、図18、ステップS503参照)を送信し、第2サーバは第12信号を受信すると、他の金融機関を利用して所定額をユーザの口座に振り込みを要求する情報を含む第13信号(例えば、クレジット要求メッセージ、図18、ステップS505参照)を送信し、他の金融機関を利用して所定額をユーザの口座に振り込みが行われたことを示す情報を含む第14信号(例えば、振込完了メッセージ、図19、ステップS604参照)を受信すると、当該預かり金への入金を確認する情報を含む第15信号(例えば、入金確認メッセージ、図19、ステップS605参照)を第1サーバに送信し、第1サーバは、第15信号を受信すると有価価値の提供を指示する情報を含む第16信号(例えば、提供指示メッセージ、図19、ステップS606参照)を有価価値提供装置に送信し、有価価値提供装置は第16信号を受信すると、有価価値の提供を実行することをさらなる特徴として有していてもよい。
【0020】
上記決済システムによれば、ユーザの口座が残高不足の状態であっても、遊技場においても利用可能な、預かり金を消費したのちも遊技を継続できるよう、預かり金を補充することを可能とし、ユーザの遊技を継続させることがさらに可能となる。
【0021】
またさらに上記決済システムは、下記特徴をさらに有していてもよい。
【0022】
すなわち、上記決済システムにおいて、ユーザ端末装置は、ユーザ及びユーザ端末装置の少なくとも一方にひもづけられた電子的に記憶された有価価値の代金の支払いを、電子マネーを用いて行う電子マネー処理手段(例えば、電子マネー処理部)をさらに有しており、第2サーバは、電子マネーの残高が有価価値提供の代金の支払いに不足している場合、ユーザからの口座からの振り込みによる電子マネーの残高の補充を求める情報を含む第17信号(例えば、振込依頼メッセージ、図25、ステップS1002参照)を送信し、ユーザの口座の残高が不足している場合には他の金融機関を利用して所定額をユーザの口座に振り込みを要求する情報を含む第18信号(例えば、クレジット利用メッセージ、図26、ステップS1103参照)を送信し、
ユーザの口座からの振り込みを示す情報を含む第19信号(例えば、振込完了メッセージ、図25、ステップS1004参照)或いは他の金融機関を利用した所定額のユーザの口座に振り込みを示す情報を含む第20信号(例えば、振込完了通知メッセージ、図26、ステップS1108参照)を受信した場合、ユーザ端末装置に電子マネーの残高の補充を指示する情報を含む第21信号(例えば、電子マネーチャージ指示メッセージ、図25、ステップS1005参照)を送信する構成としてもよい。
【0023】
上記決済システムによれば、預かり金とともに電子マネーによる決済を可能とするととともに、電子マネーの残高が不足している場合においても、ユーザの口座などから電子マネーの残高を補充して、預かり金を消費したのちも遊技を継続できるよう、電子マネーを補充することを可能とし、ユーザの遊技を継続させることがさらに可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、遊技場においても利用可能な、預かり金を消費したのちも遊技を継続できるよう、その場で預かり金を補充できる新たな電子決済技術を提供できる。また、多数の店舗が接続された大規模なネットワークに対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の実施の形態にかかる決済システムの一例を示すネットワーク図
【図2】有価価値提供装置及びユーザ端末装置の構成例を示す機能ブロック図
【図3】ユーザ情報記憶部が記憶する情報の一例を示す図
【図4】管理サーバの構成例を示す機能ブロック図
【図5】データベース部に記憶されるユーザテーブルの構成例を示した図
【図6】データベース部に記憶されるユーザ保有金額データの構成例を示した図
【図7】データベース部に記憶される遊技場事業者テーブルの構成例を示した図
【図8】データベース部に記憶される遊技場事業者保有金額データの構成例を示した図
【図9】データベース部に記憶される店内サーバテーブルの構成例を示した図
【図10】管理サーバを分散サーバ構成とした場合の一構成例を示す機能ブロック図
【図11】店内サーバの構成例を示す機能ブロック図
【図12】ユーザテーブルのデータ構成例を示す図
【図13】ユーザ預かり金テーブルのデータ構成例を示す図
【図14】第1の実施の形態にかかる決済システムの動作例を示したシーケンス図
【図15】第1の実施の形態の変形例の動作例を示したシーケンス図
【図16】クレジットカードを利用する場合の決済システムの動作例を示すシーケンス図
【図17】第2の実施の形態にかかる決済システムの動作例を示したシーケンス図
【図18】図17に続くシーケンスを示した図
【図19】図18に続くシーケンスを示した図
【図20】第3の実施の形態にかかる決済システムの構成例を示すブロック図
【図21】第3の実施の形態にかかるユーザ端末装置,有価価値提供装置の構成例を示す機能ブロック図
【図22】第3の実施の形態にかかる決済システムの動作例を示したシーケンス図
【図23】図22に続く動作を示すシーケンス図
【図24】図23に続く動作を示すシーケンス図、
【図25】図24に続く動作を示すシーケンス図
【図26】ユーザの銀行口座が不足している場合の動作例を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
[第1の実施の形態]
[1.第1の実施の形態にかかる決済システムの構成例]
図1は第1の実施の形態にかかる決済システムの一例を示すネットワーク図である。
【0027】
この図に示す例においては、決済システム1は、管理サーバ10と、ユーザ端末装置20と、有価価値提供装置30と、店内サーバ31を有している。また、決済システム1は、金融機関システム40、クレジットカードシステム45に通信可能に接続されている。
【0028】
管理サーバ10は、通信網50を介して、ユーザ端末装置20、店内サーバ31、及び金融機関システム40、クレジットカードシステム45に接続されている。
【0029】
管理サーバ10は通信網50に接続されており、店内サーバ31と通信網50を介して通信可能となっている。ユーザ端末装置20は、基地局(BS)60、移動体通信網70、及び移動体通信網70と通信網50とを接続するゲートウエイ80とを介して管理サーバ10、店内サーバ31,金融機関システム40と通信可能であるとともに、ユーザ端末装置20が備えている近距離通信手段(例えば、非接触式ICカード及びそのリーダ/ライタ)により有価価値提供装置30と通信可能である。
【0030】
金融機関システム40は、以下の口座の入出金を電子的に行うことができるシステムである。決済システム1が利用する金融機関システム40は、遊技機を遊技する者であって、本電子決済システムを用いて支払いを行う者(以下、ユーザと呼ぶ)の口座(以下、ユーザの銀行口座と呼ぶ)、決済システム1の運営、管理を直接又は間接に行い、決済システム1の運営の対価・代価・手数料などを受け取る者(以下、決済事業者と呼ぶ)の口座(以下、決済事業者口座と呼ぶ)、及び有価価値をユーザに提供する者であって、本決済システム1を用いてユーザからの支払いを受け取る者(以下、遊技場事業者と呼ぶ)の口座(以下、遊技場事業者口座と呼ぶ)を有する。これらのユーザの銀行口座、決済事業者口座、遊技場事業者口座は同一の金融機関システム40に設けられていてもよいし、互いに別の金融機関システム40に設けられていてもよい。図1では、これら口座が同一の金融機関システム40に設けられているものとして図示したが、このような態様に本実施の形態が限定される趣旨ではない。
【0031】
クレジットカードシステム45は、クレジットカード(本発明の「他の金融機関」)を利用した各種決済、支払いを電子的に行うシステムであって、例えば、交通系の電子マネーであるSuica(Suicaは東日本旅客鉄道株式会社の登録商標)システムに於いて、電子マネーがあらかじめ設定した金額以下になると、予め登録しておいた金額を、クレジットカード決済を利用して、自動的に電子マネーに入金する「Suica オートチャージ・サービス」が存在する。また、利用者が自ら操作する方法として、前記電子マネーであるSuicaの場合、携帯電話の専用のメニューから、指定した金額をクレジット決済にて、電子マネーに入金が可能である。ここに記載した実施例は、電子マネーに対するクレジットカード決済を利用した入金であるが、銀行口座に対するクレジットカード決済を利用した、自動的またはワンタッチによる入金方法は存在していなかった。なお、本明細書では説明の便宜上「クレジットカードシステム」としたが、電子マネーの補充を行うため金銭を融通できるシステムであれば、クレジットカードにかかるシステムに限られないことは言うまでもない。
【0032】
以下、上記の決済システム1の各構成要素について説明する。
【0033】
[1.1.有価価値提供装置]
有価価値提供装置30は、ユーザがユーザ端末装置20を用いて電子決済を行った対価として、なんらかの有価価値(金銭と交換して購入できる有体物、無体物をいうものとする)をユーザに提供する装置である。有価価値提供装置30は、例えば、遊技場の玉貸し機、メダル貸し出し装置、CAT端末装置、プレーヤートラッキングシステム(Player Tracking System)装置(もしくはPTS端末)などである。プレーヤトラッキングシステムは、カジノなどの遊技場においてゲーミングマシン(例えば、スロットマシン)間の有価価値の移動又は換金に、ICカードのような記憶媒体を利用できるようにするシステムである。一般的に、プレーヤトラッキングシステムでは、プレーヤートラッキングシステム装置にICカードをストックさせておき、ゲーム結果に応じてプレーヤに付与される有価価値をICカードに記憶させて、プレーヤがゲームを終了する場合などに、カードスロットからプレーヤに返却し、プレーヤは返却されたICカードを他のゲーミングマシンに移動して使用することができるものである。なお、本実施の形態における有価価値提供装置30は、玉貸し機やメダル貸出機のような有価価値を直接ユーザに提供する装置である必要はなく、例えば、デビット・カードの決済端末やクレジットカードのCAT端末のように、電子決済は可能である旨を遊技場(店舗)側に通知して、遊技場側に品物などをユーザに引き渡させるなどの間接的にユーザに有価価値を提供する装置も含む。
【0034】
図2は、有価価値提供装置30及びユーザ端末装置20の構成例を示す機能ブロック図である。以下、図2を参照しながら有価価値提供装置30の構成について説明する。
【0035】
有価価値提供装置30は、ネットワーク通信処理部301と、提供制御部302と、提供装置側近距離通信部303と、有価価値供給部304と、遊技履歴処理部305とを有している。
【0036】
ネットワーク通信処理部301は、店内サーバ31と通信を実行する機能を有し、例えば、プロトコルスタックを搭載した通信ボードなどである。なお、有価価値提供装置30は店内サーバ31に対して複数台接続されていてもよく、有価価値提供装置30と店内サーバ31とはLANなどの通信網やその他の通信手段によって接続されている。
【0037】
提供制御部302は、ネットワーク通信処理部301、提供装置側近距離通信部303、有価価値供給部304の動作を命令・制御する機能を有し、例えば有価価値提供装置30を実現するためのプログラムを搭載したマイクロコンピュータである。
【0038】
提供装置側近距離通信部303は、ユーザ端末装置20に搭載されている端末側近距離通信部201と通信を行う機能を有し、例えば、非接触式ICカードのリーダ/ライタである。なお、提供装置側近距離通信部303が用いる通信方式は、無線に限られる必要はなく、赤外線通信であっても構わない。また、必ずしも非接触式の通信方式でなくともよく、通信ケーブルやUSBソケットにより接続して通信する方式を採用しても本発明は成立する。
【0039】
有価価値供給部304は、提供制御部302の命令に応じて、有価価値をユーザに提供する機能を有する。有価価値供給部とは、例えば、玉貸し機の貸し玉出力部、メダル貸出機のメダルホッパー、認証端末(例えば、CAT端末)のディスプレイ、或いはプリンタなどである。有価価値は、金銭により購入可能なものであれば、どのようなものでもよく、貸し玉、貸しメダル、カジノ用チップ(メダル)、プリペイドカード、オンバリューカード(ハウスカード)、記憶媒体に書き込まれるポイント、又はこれらの同等品、或いは無形のサービスなどである。有価価値供給部304は、必ずしも直接に有価価値をユーザに提供するものに限られず、間接的に有価価値をユーザに提供するものであってもよい。例えば、有価価値供給部304は液晶ディスプレイ装置であって、遊技場の店員やスタッフなどに、商品の引き渡しを指示するメッセージをこの液晶ディスプレイ装置が表示することも、本発明による有価価値の提供の一形態である。
【0040】
遊技履歴処理部305は、遊技者による有価価値提供装置30の使用に基づいて、遊技者の遊技履歴に関するデータである遊技履歴データを生成して、ネットワーク通信処理部301を介して店内サーバ31又は管理サーバ10に送信する機能を有する。
【0041】
例えば、有価価値提供装置30がある特定の遊技機に付設されたサンドマシン(玉貸し機)であるとする。遊技者がこのサンドマシンが付設された遊技機で遊技を行うために、サンドマシンである有価価値提供装置30と、ユーザ端末装置20である自己の携帯電話機とにより本決済システム1による決済により玉貸しを受ける。遊技履歴処理部305は、どの遊技者がどの遊技機をいつ遊技したのか、どれだけの金額を遊技したのか、などのデータである遊技履歴データを提供制御部302の動作状況、及び遊技機の動作状況より生成し、これを、技履歴データを管理するサーバに送信する。遊技履歴データは、全ての有価価値提供装置30が使用されるごとに、サーバに送られ蓄積される。この遊技履歴データを解析したり、データマイニングの手法などにより分析等したりすることにより、遊技者の行動傾向、遊技機の人気傾向、時間帯別利用動向などが明らかになり、その結果店舗経営や遊技機開発などの資料となる有用な情報を取得できる。
【0042】
なお、この実施の形態では、遊技履歴データを管理するサーバとして、管理サーバ10を用いる構成として説明するが、遊技履歴データを管理するサーバは、管理サーバ10とは別のサーバ装置として本決済システム1に組み入れられるようにしても、もちろん構わない。
【0043】
[1.2.ユーザ端末装置]
次に、図2を参照しながらユーザ端末装置20について説明する。ユーザ端末装置20は、管理サーバ10と通信網50を介して通信可能であるとともに、近距離通信手段を用いて有価価値提供装置30とも通信可能な端末装置である。また、ユーザ端末装置20は、通信網50を介して店内サーバ31と通信可能であってもよい。
【0044】
ユーザ端末装置20は、例えば、非接触式ICカード(例えば、フェリカ;フェリカはソニー社の登録商標)機能を有する携帯電話機、近距離通信手段及び無線通信手段を搭載したPDA(Personal Data Assistant)、携帯ゲーム機、無線LANを搭載したIP電話機、或いは本決済システム1の専用端末装置などである。ユーザ端末装置20は、前述の提供装置側近距離通信部303と通信を行うための端末側近距離通信部201と、支払要求生成部202と、無線通信部203と、入力部204と、出力部205と、ユーザ情報記憶部206と、振込み要求生成部207とを有している。
【0045】
端末側近距離通信部201は、提供装置側近距離通信部303と通信を行う機能を有し、例えば非接触式ICカード用チップ及びアンテナである。
【0046】
支払要求生成部202は、有価価値提供装置30に有価価値を提供してもらえるように、ユーザが受け取る有価価値の対価(代金)の支払、決済を店内サーバ31に要求する支払要求メッセージを生成する機能を有し、例えば、iアプリ(「iアプリ」はNTTドコモ社の登録商標)を搭載したマイクロコンピュータである。
【0047】
無線通信部203は、ユーザ端末装置20が移動体通信網70に接続し、移動体通信網70を介した通信を実行する機能を有し、例えば変調回路、復調回路を有する無線通信回路である。移動体通信網は、一般的な携帯電話の通信網であっても、WIMAXや無線LANの通信網であってもよい。
【0048】
入力部204は、支払要求生成部202、振込み要求生成部207などにユーザの指示
を電気信号に変えて渡す機能を有し、例えば携帯電話機のキー、タッチペンとタッチパネル、ポインティングデバイスである。
【0049】
出力部205は、ユーザ端末装置20がユーザに情報を伝えるための情報出力機能を有し、例えば、携帯電話機の液晶パネル、音声出力装置(スピーカなど)、或いは小型プリンタなどである。
【0050】
ユーザ情報記憶部206は、ユーザの支払又は決済に要する情報を記憶する機能を有する。図3は、ユーザ情報記憶部206が記憶する情報の一例を示す。この例では、ユーザ情報記憶部206は、そのユーザ端末装置20の使用者として登録されたユーザを一意に特定する情報であるユーザID208と、管理サーバ10及び/又は店内サーバ31がユーザの本人認証を行うためのパスワード209と、ユーザが支払代金を引き出す、ユーザの銀行口座に相当するユーザ口座41を特定する情報である銀行番号210、支店番号211、及び口座番号212、及びその口座に設定された暗証番号213を記憶する。これら情報、とりわけ銀行番号210、支店番号211、口座番号212、暗証番号213は、ユーザがユーザ端末装置20に支払要求生成部202及び振込み要求生成部207として機能させるアプリケーションのインストール時、或いは本決済システム1のサービスを受けるためのユーザ登録時などにユーザにより入力されればよい。例えば、ユーザ端末装置20において起動したアプリケーションは、ユーザに入力部204からこれら情報を入力することを要求し、入力された情報208〜213はユーザ情報記憶部206に記憶される。これら情報208〜213は、ユーザ口座41から決済事業者口座42へのデポジットの振込み要求のための振込み要求メッセージを生成するときに使用され、振込み要求メッセージの一部として管理サーバ10に送信されることになる。この為に、ユーザはクレジットカードや銀行でビットカードを持ち歩く必要が無く、さらに決済時に必要な個人情報や口座情報、暗唱番号等を、自身が所有するユーザ端末装置20にのみに入力してある事から、情報漏洩の可能性が極めて低く、安心して利用が可能となる。
【0051】
なお、ユーザID208は、管理サーバ10が自動的に割り当てる識別番号でもよいし、ユーザ端末装置20が有する識別情報、例えば、FelicaID(「FeliCa」はソニー株式会社の登録商標)、個体識別番号(FOMAカード識別情報を含む(「FOMA」は株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモの登録商標))であってもよい。
【0052】
[1.3.管理サーバ]
図1に戻り、決済システム1の構成要素の説明を続ける。
【0053】
決済システム1は、その中核となる構成要素として管理サーバ10を有している。管理サーバ10は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。前記ROM、若しくはハードディスク装置などに情報処理装置を管理サーバ10として機能させるためのプログラム、又は電子決済方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより管理サーバ10が実現され、若しくは電子決済方法が実行される。また、上記プログラムは必ずしも情報処理装置内の記憶装置に記憶されていなくともよく、外部の装置(例えば、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダのサーバなど))から提供され、これを主メモリに乗せる構成であってもよい。さらに、この管理サーバ10は単体の装置で構成されていてもよいし、複数の装置をネットワークにより結合して構成されるものでもよい。管理サーバ10は、一箇所に全ての機能を集約したセンター構成であってもよいし、また、機能ごとに分割し、分散処理可能な分散サーバ構成であってもよい。
【0054】
以下、図4を参照しながら管理サーバ10について説明する。図4は、管理サーバ10の構成例を示す機能ブロック図である。図4に示す管理サーバ10は、ネットワーク通信処理部401と、支払要求処理部402と、データベース部403と、振込み要求処理部404と、精算処理部405と、遊技情報更新部406とを有している。なお、これら各部はプログラムを記憶した記憶装置、及びこのプログラムを実行するCPUなどによって実現される構成要素である。
【0055】
ネットワーク通信処理部401は、通信網50を介してユーザ端末装置20、店内サーバ31、及び金融機関システム40、クレジットカードシステム45と通信を実行する機能を有し、例えばプロトコルスタックを実行するための通信ボードである。
【0056】
データベース部403は、本決済システム1に登録した各ユーザの保有金額データ700、遊技場事業者の保有金額データ900を記憶すると共に、金融機関システム40との間で行う振込みに必要な情報であるユーザテーブル600、ユーザ保有金額データ700,遊技場事業者テーブル800、遊技場事業者保有金額データ900、店内サーバテーブル1000、遊技履歴情報1100とを記憶する。
【0057】
図5は、データベース部403に記憶されるユーザテーブル600の構成例である。ユーザテーブル600は、ユーザ(遊技者)に関する情報を格納したデータである。ユーザテーブル600は、ユーザごとに一つのレコード601を有するデータであって、各レコード601は、ユーザID602、パスワード603、メールアドレス604、及びユーザの口座であって引き落とし先口座を特定するための銀行番号605、支店番号606,口座種別607,口座番号608、口座名義609,並びに暗証番号610を格納している。ユーザID602は、ユーザを一意に特定する情報である。パスワード603は、第三者がそのユーザになりすまして本決済システム1を不正利用することを防止する情報である。メールアドレス604は、結果通知部407が支払処理の処理結果をユーザに通知する際にその電子メールの送り先である宛先アドレスとして使用する情報である。銀行番号605、支店番号606,口座種別607,口座番号608、口座名義609,並びに暗証番号610は、金融機関システム40に対して引き落とし先口座を指定し、口座を利用するための情報である。
【0058】
ユーザテーブル600に格納される情報は、ユーザが管理サーバ10にユーザ登録する際に、管理サーバ10に入力される。
【0059】
図6は、データベース部403に記憶されるユーザ保有金額データ700の構成例である。ユーザ保有金額データ700は、ユーザごとに一つのレコード701を有するデータであって、各レコード701は、ユーザIDを格納するユーザIDフィールド702と、店内サーバ31を一意に特定する情報である店内サーバIDを格納する店内サーバIDフィールド703と、そのユーザが店内サーバIDによって特定された店内サーバ31に預けた金額である保有金額を格納する保有金額フィールド704とを有している。保有金額フィールド704に格納される値は、ユーザが決済システム1の店内サーバ31に預け入れると預入額の分だけ増加し、有価価値提供装置30を利用した支払いが行われると支払額の分だけ減少するように書き換えされる。なお、同一のユーザであっても店内サーバ31ごとに保有金額を管理するため、同一ユーザについて複数のレコード701を持ち得る。
【0060】
図7は、データベース部403に記憶される遊技場事業者テーブル800の構成例である。遊技場事業者テーブル800は、遊技場事業者に関する情報を格納したデータである。遊技場事業者テーブル800は、決済システム1に加入している遊技場事業者ごとに一つのレコード801を有するデータである。各レコード801は、遊技場事業者IDを格納する遊技場事業者ID802、及びその遊技場事業者の口座であって、ユーザから有価価値提供装置30に支払われた金額を振込む振込先口座を特定するための銀行番号803、支店番号804,口座種別805,口座番号806、口座名義807を格納している。遊技場事業者ID802は、遊技場事業者を一意に特定する情報である。銀行番号805、支店番号806,口座種別807,口座番号808、口座名義809は、金融機関システム40に対して振込先口座を指定するための情報である。
【0061】
遊技場事業者テーブル800に格納される情報は、遊技場事業者が決済システム1に加入登録する際に、管理サーバ10に入力される。
【0062】
図8は、データベース部403に記憶される遊技場事業者保有金額データ900の構成例である。遊技場事業者保有金額データ900は、決済システム1に登録される遊技場事業者ごとに一つのレコード901を有するデータである。各レコード901は、遊技場事業者ID902と、決済システム1が遊技場事業者口座へ振込む分の金額である保有金額を格納する保有金額903とを有している。保有金額903に格納される値は、店内サーバ31を経由した有価価値提供装置30の利用によりユーザから支払われた分だけ増加し、金融機関システム40を利用した遊技場事業者口座への振込額分だけ減少するように書き換えされる。
【0063】
図9は、データベース部403に記憶される店内サーバテーブル1000の構成例である。店内サーバテーブル1000は、決済システム1に含まれる各店内サーバ31について一つのレコード1001を有するデータであって、各レコード1001は、店内サーバID1002,店内サーバIPアドレス1003、遊技場事業者ID1004を格納する。
【0064】
店内サーバID1002は、店内サーバ31を一意に特定するための情報であり、店内サーバIPアドレス1003は、管理サーバ10が、店内サーバ31との通信を行うための宛先情報であって、例えばある店内サーバ31へユーザからの預かり金を通知する預かり金通知メッセージを送信するために使用するための送信先アドレスとして利用する情報である。遊技場事業者ID1004は、その店内サーバID1002を付与された店内サーバ31について、ユーザの消費金額に相当する支払いを受け取る権利を有する遊技場事業者を特定する情報であって、遊技場事業者テーブル800の遊技場事業者ID802(図7参照)と同一のIDが用いられている。
【0065】
遊技履歴情報1100は、遊技者がいつどこでどの遊技機でいくら遊技をしたのかなどの、遊技に関する履歴を示す情報であって、各有価価値提供装置30の遊技履歴処理部305が生成し、店内サーバ31を経由して送信された遊技履歴データを蓄積記憶することによって生成される情報である。この遊技履歴情報1100を、周知のマーケティング解析やデータマイニング手法により分析することにより、さまざまな有用な情報を得ることができる。
【0066】
図4に戻り、管理サーバ10の構成例の説明を続ける。
【0067】
次に、振込み要求処理部404について説明する。振込み要求処理部404は、ユーザ端末装置20から受信した振込み要求メッセージを処理する機能を有する。振込み要求処理部404はネットワーク通信処理部401を介してユーザ端末装置20若しくは店内サーバ31から振込み要求メッセージ等を受け取る。振込み要求メッセージの内容は、ユーザの銀行口座から指定した金額を引き落として、決済システム1、より詳しくは指定した店内サーバ31で引き落とした金額分使用できるようにしてくれ、という内容である。この振込み要求メッセージ等を受け取った振込み要求処理部404は、データベース部403に記憶されているユーザテーブル600をチェックする。振込み要求処理部404は、ユーザテーブル600から振込み元口座となるユーザの口座を特定する情報である銀行番号605、支店番号606,口座種別607,口座番号608、口座名義609,並びに暗証番号610を取得し、これら情報と合わせて振込み先口座となる決済事業者口座43を特定する情報を振込み依頼メッセージとして金融機関システム40にネットワーク通信処理部401を介して送信する。金融機関システム40は、振込み依頼メッセージを受け取ると、指定された金額をユーザの銀行口座から決済事業者口座へ振込む。振込まれた金額は、ユーザが本決済システム1を利用して使用できる資金(手数料分は除く)となる。
【0068】
次に、精算処理部405について説明する。精算処理部405は、各店内サーバ31からユーザが消費した金額を示すメッセージを受信し、このメッセージに応じて遊技場事業者保有金額データ900、より詳しくは保有金額903の変更又は更新を行う。また、精算処理部405は、遊技場事業者保有金額データ900が示す金額を決済事業者口座から各遊技場事業者の遊技場事業者口座に振込むよう金融機関システム40に要求する。この振込まれる資金の額は決済システム1がユーザから預かっている遊技場事業者への支払金額、すなわち遊技場事業者保有金額データ900の保有金額903に相当する。本実施の形態においては、精算処理部405は自律的に振込み依頼処理を行う。例えば、精算処理部405は、所定のタイミング(例えば、毎日深夜0時、毎週末)で自動で起動する。起動した精算処理部405は、各店内サーバ31に、ユーザが消費した金額、すなわち遊技場事業者への支払額を問い合わせ、店内サーバ31がこれに応じて送信する支払い要求メッセージに応じて、遊技場事業者保有金額データ900の保有金額903を更新する。さらに、精算処理部405は、データベース部403に記憶されている全ての遊技場事業者保有金額データ900をチェックし、振込みが済んでいないものについて金融機関システム40に決済事業者口座から該当する遊技場事業者口座に振込みを行うように振込み依頼を送信する。
【0069】
遊技情報更新部406は、有価価値提供装置30の履歴情報処理部305から店内サーバ31を経由して受信した遊技履歴データを刻々蓄積記憶し、遊技履歴情報1100のアップデートを行う機能を有する。
【0070】
[1.3.1.管理サーバの分散サーバ構成]
図4に示した例では、管理サーバ10は一つのサーバ装置で実現されるように図示したが、もちろん管理サーバ10はこのようなサーバ装置による構成に限定されるものではない。
【0071】
図10は、管理サーバ10を分散サーバ構成とした場合の一構成例を示す機能ブロック図である。図4に示した構成要素と同一の構成要素には、同じ参照番号を付して詳細な説明は省略する。
【0072】
管理サーバ10を分散サーバ構成とすることにより、ユーザや遊技場事業者に関する情報が漏洩したり盗まれたりする可能性を低下させ、本決済システム1の安全性に対する信頼を向上させることが可能となる。
【0073】
分散サーバ構成とした場合の管理サーバ10は、アプリケーションサーバ501と、一又は複数のデータベースサーバ502A〜502Dにより構成される。アプリケーションサーバ501は、ネットワーク通信処理部401と、振込み要求処理部404と、精算処理部405と、遊技情報更新部406とを有している。
【0074】
図10に示す例では、4つのデータベースサーバ502A,502B,502C、502Dがアプリケーションサーバ501にローカルネットワーク503を介して通信可能に接続されている。4つのデータベースサーバ502A〜502Dは、図4に示すデータベース部403に対応する構成要素である。この構成例では、第1のデータベースサーバ502Aがユーザテーブル600、ユーザ保有金額データ700を記憶し、第2のデータベースサーバ502Bが遊技場事業者テーブル800、遊技場事業者保有金額データ900を記憶し、第3のデータベースサーバ502Cが店内サーバテーブル1000を記憶し、第4のデータベースサーバ502Dが遊技履歴情報1100を記憶する。アプリケーションサーバ501は、処理の必要に応じて必要な情報をこれらデータベースサーバ502A〜502Dに要求し、データベースサーバ502A〜502Dは要求に応じて記憶している内容から必要な情報を取り出して、アプリケーションサーバ501に渡す。
【0075】
なお、データベース部403をどのように分割して、いくつのデータベースサーバ502にし、それぞれのデータベースサーバの記憶内容(テーブル、データ)をどのように割り当てるかは任意に定めることが可能であって、図10に示す構成に限定されるものではない。この時、複数のデータベースサーバ502A〜502Dは、同一の場所に設置せずに、物理的に異なる場所に設置して管理する事で、より情報の漏洩に対して強固となる。
【0076】
[1.4.店内サーバ]
決済システム1の構成例の説明を続ける。次に、店内サーバ31について説明する。
【0077】
図1に示したように、決済システム1は店内サーバ31を有している。店内サーバ31は、演算処理装置(CPU)、主メモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、入出力装置(I/O)、必要な場合にはハードディスク装置等の外部記憶装置を具備している装置であって、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置である。前記ROM、若しくはハードディスク装置などに情報処理装置を店内サーバ31として機能させるためのプログラム、又は電子決済方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが記憶されており、このプログラムを主メモリ上に載せ、CPUがこれを実行することにより店内サーバ31が実現され、若しくは電子決済方法が実行される。また、上記プログラムは必ずしも情報処理装置内の記憶装置に記憶されていなくともよく、外部の装置(例えば、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダのサーバなど))から提供され、これを主メモリに乗せる構成であってもよい。さらに、この店内サーバ31は単体の装置で構成されていてもよいし、複数の装置をネットワークにより結合して構成される装置群であってもよい。
【0078】
店内サーバ31は、ユーザの預かり金を受け取った(口座間振込みを行った)旨のメッセージであるユーザ預かり金処理要求メッセージを管理サーバ10から受けると、そのメッセージに記述されている預かり金の額をユーザが消費可能な金額として記憶する。
【0079】
ユーザがその店内サーバ31によって管理される有価価値提供装置30から有価価値の消費を試みた場合、有価価値提供装置30は、有価価値の対価をそのユーザの預かり金から引き落とすことができるかどうかを店内サーバ31に問い合わせ、有価価値の対価をそのユーザの預かり金から引き落とすことができる場合、すなわち対価の支払いに十分な預かり金が残っている場合、店内サーバ31は有価価値の払出を行うように、その有価価値提供装置30にメッセージ(提供指示メッセージと呼ぶ)を送信する。
【0080】
以下、図11を参照しながら店内サーバ31について説明する。図11は、店内サーバ31の構成例を示す機能ブロック図である。
【0081】
図11に示す店内サーバ31は、ネットワーク通信処理部551と、預かり金処理部552と、支払要求処理部553と、提供指示部554と、結果通知部555と、精算処理部556と、遊技情報処理部557と、データベース部560とを有している。なお、これら各部はプログラムを記憶した記憶装置、及びこのプログラムを実行するCPUなどによって構成される構成要素である。
【0082】
ネットワーク通信処理部551は、管理サーバ10、ユーザ端末装置20などと通信を実行する機能を有し、例えば、プロトコルスタックを搭載した通信ボードなどである。
【0083】
預かり金処理部552は、管理サーバ10からユーザ預かり金処理要求メッセージを受信すると、このメッセージに応じてユーザ預かり金データ562を生成若しくは更新する機能を有する。
【0084】
支払要求処理部553は、ユーザ端末装置20から受信した提供要求メッセージを処理する機能を有する。支払要求処理部553はネットワーク通信処理部551を介してユーザ端末装置20から提供要求メッセージを受け取る。すると、支払要求処理部553は、後述するデータベース部560に記憶されている該当ユーザのユーザ預かり金データ562をチェックする。ユーザ預かり金データ562と提供要求メッセージとを比較して、支払要求以上の預かり金がある場合には、支払要求処理部553は、提供指示部554を起動させる。起動した提供指示部554は提供指示メッセージを生成し、この提供指示メッセージをネットワーク通信処理部551を介して、提供要求メッセージで指定されている有価価値提供装置30に宛てて送信する。
【0085】
また、支払要求処理部553は、前述の支払要求メッセージに応じた支払いが可能である場合には、データベース部556に記憶されている該当ユーザのユーザ預かり金データ562を、有価価値の代金に応じて更新(書き換え)する。
【0086】
提供指示部554は、有価価値提供装置30へ送信するための提供指示メッセージを生成させ、この提供指示メッセージを、ネットワーク通信処理部401を介して、提供要求メッセージで指定されている有価価値提供装置30へ宛てて送信する。
【0087】
結果通知部555は、提供要求メッセージが適切に処理されたか否かをユーザ端末装置20に通知する機能を有する。一例としては、結果通知部555はユーザ端末装置20を宛先とする電子メールを生成し、これを送信する。或いはまた、結果通知部555はユーザ端末装置20によって閲覧可能なウェブページに処理結果を示す情報を記載してユーザ端末装置20からの閲覧を待つようにしてもよい。結果通知部555からの通知内容は、例えば「支払要求は処理されました。ご利用ありがとうございました。」、或いは「預かり金残高が不足しています。支払いはできませんでした。」などのメッセージとなる。また、結果通知部555は、ユーザがユーザ端末装置20から預かり金残額の問い合わせメッセージを店内サーバに送信した場合(有価価値提供装置30を経由する場合も含む)、この問い合わせメッセージに応じて、該当ユーザのユーザ預かり金データ562を参照し、現時点で消費可能な預かり金の残額がいくらであるかを算出して、この結果をユーザ端末装置20や有価価値提供装置30に出力させる機能を有していてもよい。
【0088】
精算処理部556は、ユーザ預かり金データ562を参照して、預かり金のうちユーザが消費した金額を管理サーバ10に通知する機能を有する。なお、必ずしも個別のユーザの消費金額を管理サーバ10に通知する必要はなく、ユーザが消費した金額は、その店内サーバ31が記憶している全ユーザの消費した金額の合計額が算出できれば足りる。
【0089】
遊技情報処理部557は、遊技者がいつどこでどの遊技機でいくら遊技をしたのかという、遊技に関する履歴を示す情報である遊技履歴情報を、各有価価値提供装置30から受信し、データベース部560に記憶させると共に、データベース部560に記憶させた遊技機履歴情報を管理サーバ10に送信する機能を有する。なお、遊技情報処理部557がどのようなタイミングで管理サーバ10に送信するかは、任意に定めることができ、例えば営業終了時、1週間ごとなどである。
【0090】
次にデータベース部560について説明する。データベース部560は、ユーザテーブル561と、ユーザ預かり金データ562と、遊技履歴情報563とを記憶する。
【0091】
ユーザテーブル561は、ユーザ(遊技者)に関する情報を格納したデータである。図12に、ユーザテーブル561のデータ構成例を示す。この例に示すユーザテーブル561は、その店内サーバ31を利用するユーザごとに一つのレコード561Aを有するデータであって、各レコード561Aは、ユーザを一意に特定する情報であるユーザIDを格納するユーザIDフィールド561B、パスワードを格納するパスワードフィールド561C、メールアドレスを格納するメールアドレスフィールド561Dを有している。
【0092】
ユーザ預かり金テーブル562は、その店内サーバ31を利用するユーザごとに一つのレコードを有するデータである。図13にユーザ預かり金テーブル562のデータ構成例を示す。ユーザ預かり金テーブル562の有するレコード562Aは、ユーザIDを格納するユーザIDフィールド562B、その店内サーバ31についてユーザから決済事業者が預かっている金額である預かり金の額を格納する預かり金額フィールド562C、そのユーザがその店内サーバ31が管理する有価価値提供装置30を使用して消費した金額を格納する消費金額フィールド562Dを有している。なお、ユーザ預かり金は後述する「ユーザの店舗内預かり金」に相当する。
【0093】
遊技履歴情報563は、その店内サーバ31に接続されている有価価値提供装置30から送信された、遊技者の遊技履歴に関するデータである遊技履歴データ又はそのようなデータの集まりである。
【0094】
[1.5.管理サーバと店内サーバ]
管理サーバ10と店内サーバ31は、別々の装置でなくともよく、一つの情報処理装置で管理サーバ10と店内サーバ31双方の機能を果たす構成としても、本実施の形態は成立する。
【0095】
[1.6.通信網]
図1に戻り、本実施の形態にかかる決済システム1の構成要素の説明を再開する。
【0096】
通信網50は、有線・無線、専用回線・交換回線を問わず、これに接続されている装置がそれぞれ目的とする装置に対しセッションを確立したときにその装置間での情報の送受を可能とするように作用する。通信網50は、インターネットのように、ゲートウエイを介して複数のネットワークが組み合わされて実現しても構わない。また、その接続についてもいわゆるバックボーンといわれる基幹線に直接接続せずとも、PPP接続などによって一時的に接続してあっても、セッションを確立したときにその間で情報の送受ができるようになっていれば構わない。なお、上記「通信網」は専用回線を固定的に張りめぐらせたような、交換機、スイッチ、ルータなど経路切り替え手段を用いない通信網も含むものとする。
【0097】
[1.7.移動体通信網、ゲートウエイ、基地局]
図1に示す決済システム1の構成例は、ユーザ端末装置20として携帯電話を用いた場合を想定している。そのため、ユーザ端末装置20である携帯電話はまず基地局60に無線回線で接続し、この基地局60から移動体通信網70及びゲートウエイ80を介して、管理サーバ10が接続している通信網50に接続するものとして図示した。しかし、ユーザ端末装置20が直接通信網50に接続できるのであれば、ユーザ端末装置20は移動体通信網70、或いはゲートウエイ80を介さずとも管理サーバ10に接続してよい。例えば、ユーザ端末装置20が無線LAN接続機能を有する場合には、移動体通信網70、及びゲートウエイ80を介して通信を行う必要はなくなる。例えば、ユーザ端末装置20は通信網50に接続されたホットスポット(無線LAN端末)にアクセすることにより、通信網50に接続する構成であっても、本発明は成立する。
【0098】
[1.8.金融機関システム]
金融機関システム40は、管理サーバ10からの振込み要求に応じてユーザの銀行口座から決済事業者口座へ、及び決済事業者口座から遊技場事業者口座へ指定された金額を振込む機能を有するシステムである。なお、図1に示す例では、管理サーバ10と金融機関システム40は通信網50により接続されるものとして図示したが、専用回線(図略)を介して管理サーバ10と金融機関システム40とが接続される構成としても、本実施の形態は成立する。例えば、金融機関システム40がいわゆるインターネットバンクが用意するシステムである場合には、通信網50を介して管理サーバ10と金融機関システム40とが接続される構成となるであろう。
【0099】
[2.第1の実施の形態にかかる決済システムの動作例]
図14は、第1の実施の形態にかかる決済システム1の動作例を示したシーケンス図である。以下、図14を参照しながらこの決済システム1の動作例を述べる。
【0100】
まず、この決済システム1のユーザがある店舗(例えば、遊技場)に入場し、遊技のために有価価値である遊技媒体の提供を欲したものとする。なお、このユーザはすでに本システムにユーザ登録を完了しており、店内サーバ31には、自分の店舗内預かり金の登録、ユーザ端末装置20の識別情報の登録がなされている。また、管理サーバ10には振込み処理等に使用する自己の銀行口座、クレジットカード番号等の登録がなされているものとする。
【0101】
まず、ユーザはユーザ端末装置20を有価価値提供装置30に近接させ、両装置間の通信を可能とする。ユーザ端末装置20は有価価値提供装置30に提供要求メッセージを送信する。ここで、「提供要求メッセージ」とは、有価価値提供装置30が、有価価値の提供をユーザから要求されたことが認識できる情報であって、かかる認識が可能であればどのような情報であってもかまわない。例えば、ユーザ端末装置20に設定されたICカード用アプリケーション識別番号と、ユーザ端末装置20の識別情報との組み合わせからなるデータであってもよい。なお、本明細書において「メッセージ」は、何らかの情報を伝達することが可能な信号、信号列が含まれる意味で用いるものとする。
【0102】
提供要求メッセージを受信した有価価値提供装置30は、このメッセージを送信したユーザ端末装置20に、有価価値提供を実行してよいか否かを問い合わせるメッセージである提供許可要求メッセージを店内サーバ31に送信する(S102)。提供許可要求メッセージを受信した店内サーバ31は、ユーザ端末装置20に対応するユーザの店舗内預かり額(本発明の「ユーザの預かり金の額」に相当する)から、有価価値の提供の代金を引き去ることができるか否かを判定する残高確認処理を実行する(S103)。なお、上記代金の額はあらかじめいずれかの機器に設定登録されているものとする(例えば、一律1000円など)。
【0103】
なお、図14に図示していないが、代金の引き去りが可能な場合には、店内サーバ31は前記有価価値提供装置30に有価価値提供許可メッセージを送信し、有価価値提供許可メッセージを受信した前記有価価値提供装置30は、前記代金に応じた分量の有価価値をユーザに提供する。
【0104】
一方、ユーザの店舗内預かり額が有価価値の代金の額を下回っており、代金の引き去りが不可能な場合には、店内サーバ31は前記有価価値提供装置30に残高不足通知メッセージを送信する(S104)。「残高不足通知メッセージ」は、ユーザの店舗内預かり額が不足のため有価価値の提供ができないことを有価価値提供装置30が認識可能であればどのような情報でもよい。
【0105】
残高不足通知メッセージを受信した前記有価価値提供装置30は、前記ユーザ端末装置20に預かり金補充要求メッセージを送信する(S105)。ここで「補充」は追加入金を意味する。「預かり金補充要求メッセージ」は、前記ユーザ端末装置20が有価価値の提供を受けるにはユーザの店舗内預かり金の補充を行う必要があることを認識できればどのような情報であってもかまわない。例えば、補充要求を意味するエラー番号のようなものであってもかまわない。なお、本実施の形態では、ユーザの店舗内預かり金に追加すべき金額(例えば、1000円)と、追加すべき金額の振り込み先となる振込先口座を示す情報が預かり金補充要求メッセージに含まれているものとするが、これら情報はあらかじめユーザ端末装置20に記憶させておいてもよい。
【0106】
この預かり金補充要求メッセージを受信したユーザ端末装置20は、預かり金の補充を行うための振り込みを実行する旨のユーザの確認の入力を促し、この入力の待ち受けを行う補充実行確認処理を行う(S106)。確認の入力がされた場合、ユーザ端末装置20は、当該ユーザの銀行口座(本発明の「ユーザの口座」に相当する)から前記振込先口座へ前記代金の金額を振り込むように要求するメッセージである振込要求メッセージを管理サーバ10に送信する(S107)。なお、本実施の形態では、振込要求メッセージは、有価価値提供装置30、店内サーバ31を介することなく、移動体通信網等を介してユーザ端末装置20と管理サーバ10が通信を行うものとするが、本発明がかかる通信経路に限定される趣旨ではない。なお、ユーザの預かり金を補充する補充元となるユーザの口座は、銀行口座に限られず、振り込みが可能な口座であればどのような機関、事業者の口座であってもかまわない。
【0107】
振込要求メッセージを受信した管理サーバ10は、前記振込先口座を取り扱う金融機関のシステムである金融機関システム40に、当該ユーザの銀行口座から前記振込先口座へ前記金額を振り込むように要求するメッセージである振込依頼メッセージを生成する振り込み依頼処理を実行する(S108)。なお、ユーザの銀行口座は、あらかじめ用意された、ユーザ端末装置20の識別情報等と対応付けて記憶しているデータを使用して特定すればよい。管理サーバ10は、生成した振込依頼メッセージを前記金融機関システム40に送信する(S109)。
【0108】
振込依頼メッセージを受信した前記金融機関システム40は、当該ユーザの銀行口座から前記振込先口座へ前記代金の金額を振り込む処理である振込処理を行う(S110)。振り込みが正常に完了した場合には、前記金融機関システム40は管理サーバ10に振込完了メッセージを送信する(S111)。
【0109】
振込完了メッセージを受信した管理サーバ10は、前記店内サーバ31に前記ユーザの店舗内預かり金に追加する前記金額の入金が行われたことを通知するメッセージである入金確認メッセージを送信する(S112)。この入金確認メッセージを受信した店内サーバ31は、入金確認メッセージに対応する残高不足通知メッセージ(S104参照)を特定し、特定した残高不足通知メッセージの送信先である有価価値提供装置30に提供指示メッセージを送信する(S113)。この提供指示メッセージを受信した有価価値提供装置30は、前記金額に相当する有価価値の提供を行う処理である提供処理を実行する(S114)。この有価価値の提供によって、本システムにおけるステップS101で行われた提供要求メッセージの処理が完了し、ユーザは有価価値を入手することになる。
【0110】
[2.1.変形例1]
上記実施の形態の変形例を次に説明する。
【0111】
上記実施の形態では、ステップS107において、ユーザ端末装置20が移動体通信網等を経由して管理サーバ10に振込要求メッセージを送信する構成であったが、この振込要求メッセージを、有価価値提供装置30及び店内サーバ31を経由して管理サーバ10に送信するように変形しても本発明は成立する。この変形例の動作を図15を参照しながら説明する。図15は本変形例の動作例を示したシーケンス図である。
【0112】
さて、いま図14に示したステップS106の補充実行確認処理がユーザ端末装置20によって行われ、ユーザが確認の入力を行ったものとする。確認の入力を受け付けたユーザ端末装置20は有価価値提供装置30に、当該ユーザの銀行口座から前記振込先口座へ前記金額を振り込むように要求するメッセージである振込要求メッセージを送信する(S201)。なお、この変形例においては、振込要求メッセージに振込先口座及び金額が含まれていなくともよい。これらの情報は、店内サーバ31、又は管理サーバ10にあらかじめ記憶させておき、それを使用するようにしてもよい。
【0113】
また、ユーザがユーザ端末装置20と有価価値提供装置30とを再度通信させる行為を上記ユーザの確認の入力の代わりとして使用してもよい。例えば、非接触式ICカードを搭載したユーザ端末装置20を、非接触式ICカード用リーダを備えた有価価値提供装置30の非接触式ICカード用リーダ部分にかざす行為によって、ユーザの確認の入力の代わりとして使用する構成としても本実施の形態は成立する。
【0114】
有価価値提供装置30は、振込要求メッセージを店内サーバ31に送信し(S202)、店内サーバ31は振込要求メッセージを管理サーバ10に送信する(S203)。その後図15に示したステップS204からステップS210の処理が実行される。ステップS204からステップS210は図14に示したステップS108からステップS114にそれぞれ対応する同内容の処理であるので、これら処理内容の説明は省略する。
【0115】
[2.2.変形例2:銀行口座残高不足の場合]
図14のステップS110の処理では、ユーザの銀行口座残高が振り込み額に足りるものとして説明した。ユーザの銀行口座の残高が不足の場合には、振り込み不可能の通知を金融機関システム40から管理サーバ10に返して有価価値提供を行わない処理としてもよいが、ユーザのクレジットカードからユーザの銀行口座に入金して、有価価値提供を行える構成としても本実施の形態は成立する。図16にユーザのクレジットカードからユーザの銀行口座に入金して、有価価値提供を可能とする場合の、本決済システム1の動作例を示す。
【0116】
前提としてステップS109(図14参照)、又はステップS205(図15参照)が行われたものとする。ユーザの銀行口座の残高(例えば、500円)が振込要求額(例えば1000円)に満たない場合、金融機関システム40は残高不足時処理を実行する(S301)。残高不足時処理は、ユーザの銀行口座にあらかじめ設定されているクレジットカードを扱うクレジットカード会社のオンライン決済システム(以下、「クレジットカードシステム」)にあらかじめ設定された金額分をそのユーザの銀行口座に振り込みさせる処理である。
【0117】
残高不足時処理(S301)の後、金融機関システム40は、クレジットカードシステム45にクレジット利用メッセージを送信する(S302)。クレジットカードシステム45はクレジット利用メッセージに応じて、金融機関システム40に、設定された金額分をユーザの銀行口座に振り込みするよう要求する振込要求メッセージを送信する(S303)。この振込要求メッセージを受信した金融機関システム40は、設定された金額分(例えば、50,000円)のユーザの銀行口座への振込処理を行う(S305)。その後、金融機関システム40は、ユーザの店舗内預かり金として支払う金額(例えば、1,000円)について、ユーザの銀行口座から店舗内預かり金の受け入れ銀行口座(例えば、店内サーバ31が設置されている遊技場の運営会社の銀行口座、あるいは本システムの運営会社の銀行口座、など)へ振り込みを行う(S310)。なお、上記処理では、金融機関システム40がクレジットカードシステム45にクレジット利用メッセージを送信する(S302参照)構成として説明したが、本実施の形態がかかる構成に限定される趣旨ではなく、残高不足時処理(S301)ののち、金融機関システム40が残高不足を通知するメッセージを管理サーバ10に送信し、このメッセージを受信した管理サーバ10がクレジットカードシステム45にクレジット利用メッセージを送信する構成を採用しても、本実施の形態は成立する。また、このとき管理サーバ10はユーザ端末20に、ユーザにクレジット利用の意思の確認を促すメッセージを送信し、ユーザ端末からクレジット利用の意思の確認を示すメッセージを受け取るようにし、かかるメッセージを受信した場合にクレジットカードシステム45にクレジット利用メッセージを送信する構成としてもよい。
【0118】
一方、振り込みが正常に完了した場合には、前記金融機関システム40は管理サーバ10に振込完了メッセージを送信する(S306)。振込完了メッセージを受信した管理サーバ10は、前記店内サーバ31に前記ユーザの店舗内預かり金に前記金額(前記例では1,000円)の入金が行われたことを通知するメッセージである入金確認メッセージを送信する(S307)。入金確認メッセージを受信した店内サーバ31は、この入金確認メッセージに対応する残高不足通知メッセージ(S104参照)を特定し、特定した残高不足通知メッセージの送信先である有価価値提供装置30に、提供指示メッセージを送信する(S308)。この提供指示メッセージを受信した有価価値提供装置30は、前記金額に相当する有価価値の提供を実行する(S309)。
【0119】
このような構成とすることにより、ユーザの銀行口座の残高が不足状態になっていても、設定金額を逸脱しない範囲で、ユーザは即時に有価価値の提供を受けることが可能となる。
【0120】
[3.第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0121】
[3.1.決済システムの構成例]
第2の実施の形態にかかる決済システムは、第1の実施の形態にかかる決済システム1の構成と同様である。第1の実施の形態にかかる決済システム1との違いは、ユーザの銀行口座の残高が不足している場合に、クレジットカードから銀行口座に入金させる指示をユーザに行わせる処理をユーザ端末装置20が実行する点にある。
【0122】
[3.2.システムの動作例]
第2の実施の形態にかかる決済システムの動作例について説明する。図17、図18、図19は、第2の実施の形態にかかる決済システムの動作例を示したシーケンス図であって、図18は図17に続くシーケンスを示した図、図19は図18に続くシーケンスを示した図である。
【0123】
まず、図17に示したステップS401からステップS409の処理が実行される。ステップS401からステップS409は図14に示したステップS101からステップS109にそれぞれ対応する同内容の処理であるので、これらステップS401からステップS409の処理内容の説明は省略する。
【0124】
ステップS409において送信された振込要求メッセージを受信した金融機関システム40は、振込処理を実行しようとする(S410)。ここでは、ユーザの銀行口座の残高が不足しているものとして以降の動作を説明する。なお、銀行口座の残高が振り込みできる程度に足りている場合の動作は、第1の実施の形態におけるステップS110からステップS114と同様である。
【0125】
ステップS410において、要求された振り込み額(例えば、1,000円)にユーザの銀行口座残高が足りない(例えば、500円)ことを認識した金融機関システム40は、管理サーバ10に、ユーザの銀行口座の残高が不足していることを通知するメッセージである残高不足通知メッセージを送信する(S411)。
【0126】
残高不足通知メッセージを受信した管理サーバ10は、ユーザ端末装置20に入金指示要求メッセージを送信する(図18、S501)。入金指示要求メッセージは、ユーザに対して、クレジットカードからユーザの銀行口座に入金させることを指示する入力を求めるメッセージである。入金指示要求メッセージを受信したユーザ端末装置20は、クレジットカードからユーザの銀行口座に入金させることを指示する入力を求める入力画面を表示し、ユーザの入力を待ち受ける、指示入力待受処理を実行する(S502)。指示入力待受処理は、例えばユーザ端末装置20の液晶ディスプレイに「銀行口座の残高が不足です。クレジットカードから初期設定額(50,000円)を銀行口座に入金しますか? <OK>」のようなメッセージを表示させ、この画面表示後ユーザが所定の操作(例えば、決定ボタンの押下)を行った場合は、クレジットカードから銀行口座への入金指示入力がなされたものとして処理する。なお、上記例では初期設定金額が入金される処理としたが、ユーザが入金額を指定できるようにしてももちろんかまわない。
【0127】
ユーザの指示入力を受け付けたユーザ端末装置20は、管理サーバ10にクレジット利用指示メッセージを送信する(S503)。クレジット利用指示メッセージは、前述の入金指示要求メッセージに対してユーザの指示入力がなされたことが分かる情報、データであればどのようなものでもよい。
【0128】
クレジット利用指示メッセージを受信した管理サーバ10は、クレジット依頼処理を実行する(S504)。クレジット依頼処理は、管理サーバ10に登録されている、クレジットカードシステムに設定された金額分をその銀行口座に振り込みさせる処理である。
【0129】
クレジット依頼処理(S504)の後、管理サーバ10は、クレジットカードシステム45にクレジット要求メッセージを送信する(S505)。クレジット要求メッセージは、ユーザの銀行口座にクレジットカードの利用分として、所定の金額の振込を要求するメッセージである。
【0130】
この後、図19に示すステップS601からステップS609までの処理が行われ、ユーザに対して有価価値の提供が行われる。ステップS601からステップS609までの処理の内容は、第1の実施の形態で述べたステップS303からS310までの処理の内容と同一なので、ここではこれら処理の内容の説明は省略する。
【0131】
[4.第3の実施の形態]
次に、第3の実施の形態について説明する。
【0132】
第3の実施の形態にかかる決済システムの特徴は、ユーザは、いわゆる電子マネーを使用した有価価値の購入が可能となっている点にある。また、ユーザの銀行口座、電子マネーの残高が不足な場合に、残高を補充できる。
【0133】
[4.1.決済システムの構成例]
図20に、第3の実施の形態にかかる決済システムの構成例を示す。第3の実施の形態にかかる決済システム1Aは、基本的には図1に示した第1の実施の形態にかかる決済システム1と同様であるが、電子マネー決済システム49が通信網50に接続されており、またユーザ端末装置20A,有価価値提供装置30Aは電子マネーの利用が可能な構成が追加されている点で、ユーザ端末装置20,有価価値提供装置30と異なっている。
【0134】
電子マネー決済システム49は、ユーザの電子マネーの使用額を集計し、支払先の口座に振り込み処理をおこない、あるいは電子マネーのチャージの要求に応じて必要な処理をするシステムである。
【0135】
図21に、ユーザ端末装置20A,有価価値提供装置30Aの構成例を示す。
【0136】
ユーザ端末装置20Aは、前述のユーザ端末装置20と基本的に同様の構成要素を有する。同一の構成要素には同一の参照番号を付し、それらの説明は省略する。ユーザ端末装置20Aは、端末側近距離通信部201及び支払要求生成部202に接続された電子マネー処理部208をさらに有している点で、前述のユーザ端末装置20と異なっている。電子マネー処理部208は電子マネーの消費、追加チャージの管理等を行う機能を有する。
【0137】
有価価値提供装置30Aは、前述の有価価値提供装置30と基本的に同様の構成要素を有する。同一の構成要素には同一の参照番号を付し、それらの説明は省略する。有価価値提供装置30Aは、提供装置側近距離通信部303及び提供制御部302に接続された電子マネー受付部306をさらに有している点で、前述の有価価値提供装置30と異なっている。電子マネー受付部306は電子マネーを利用した支払要求の受付、認証、支払記憶蓄積、管理等を行う機能を有する。
【0138】
[4.2.決済システムの動作例]
図22から図26は、第3の実施の形態にかかる決済システムの動作例を示したシーケンス図である。以下、図22から図26を参照しながら本実施の形態にかかる決済システムの動作例を述べる。図22は、この決済システムの動作例を示すシーケンス図、図23は図22に続く動作を示すシーケンス図、図24は図23に続く動作を示すシーケンス図、図25は図24に続く動作を示すシーケンス図、図26は、ユーザの銀行口座が不足している場合の動作例を示すシーケンス図である。
【0139】
本説明の前提条件を述べる。この決済システムのユーザがある店舗(例えば、遊技場)に入場し、遊技のために有価価値である遊技媒体の提供を欲したものとする。なお、このユーザはすでに本システムにユーザ登録を完了しており、店内サーバ31には、このユーザの店舗内預かり金の登録、ユーザ端末装置20の識別情報の登録がなされている。また、管理サーバ10には振込み処理等に使用する自己の銀行口座、クレジットカード番号等の登録がなされているものとする。また、店内サーバ31にはこのユーザの店内預かり金として1,000円が登録されており、ユーザ端末装置20には電子マネーとして1,000円が蓄積されているものとして説明する。
【0140】
まず、ユーザはユーザ端末装置20を有価価値提供装置30に近接させ、両装置間の通信を可能とする。ユーザ端末装置20は有価価値提供装置30に提供要求メッセージを送信する(S701)。
【0141】
提供要求メッセージを受信した有価価値提供装置30は、提供要求メッセージを送信したユーザ端末装置20に有価価値提供を実行してよいか否かを問い合わせるメッセージである提供許可要求メッセージを店内サーバ31に送信する(S702)。店内サーバ31は、このユーザ端末装置20に対応するユーザの店舗内預かり額から、有価価値の提供の代金を引きサリが可能か否かを判定する残高確認処理を実行する(S703)。なお、代金の額はあらかじめいずれかの機器に設定されているものとする(この説明例では1000円とする)。
【0142】
この例では、代金の引き去りが可能なので、店内サーバ31は前記有価価値提供装置30に有価価値提供許可メッセージを送信する(S704)。なお、このとき、店内サーバ31は店舗内預かり金1000円から有価価値提供の代金分1000円を減算し、このユーザの店舗内預かり金の残高を0円として記録する。
【0143】
有価価値提供許可メッセージを受信した前記有価価値提供装置30は、前記代金に応じた分量の有価価値をユーザに提供する提供処理を行う(S705)。
【0144】
次に、本実施の形態において、ユーザの店舗内預かり額が代金の額を下回っており、代金の引き去りが不可能な場合について説明する。前記有価価値の提供を受けた(S705参照)ユーザは、有価価値を使い切ったがさらに遊技を続けたいと思い、ユーザは再びユーザ端末装置20を有価価値提供装置30に近接させ、両装置間の通信を可能としたとして、図23を参照しながら説明する。
【0145】
ユーザはユーザ端末装置20を有価価値提供装置30に近接させ、両装置間の通信を可能とする。ユーザ端末装置20は有価価値提供装置30に提供要求メッセージを送信する(S801)。
【0146】
提供要求メッセージを受信した有価価値提供装置30は、提供要求メッセージを送信したユーザ端末装置20に有価価値を提供する許可を要求するメッセージである提供許可要求メッセージを店内サーバ31に送信する(S802)。店内サーバ31は残高確認処理を実行(S803)する。このときこのユーザの店舗内預かり金の残高は0円となっている。
【0147】
残高確認処理(S803)において、有価価値提供の代金に足りる店舗内残高がないと判定した場合、店内サーバ31はユーザ端末装置20に電子マネーを利用して代金の支払いを行うよう求める処理である電子マネー支払処理を実行する(S804)。電子マネー支払処理を実行した結果として、店内サーバ31はユーザ端末装置20に、ユーザ端末装置20に電子マネーを利用して代金の支払いを行うよう求めるメッセージである電子マネー支払要求メッセージを送信する(S805)。
【0148】
電子マネー支払要求メッセージを受信したユーザ端末装置20は、このユーザ端末装置20内に記録されている電子マネーの残高が代金支払いに足りるか否かチェックし、足りる場合(本説明では足りるものとして以降の説明を行う)、店内サーバ31に代金を電子マネーで支払うことを通知するメッセーである電子マネー支払メッセージを送信する(S806)。また、このメッセージ送信にともない、ユーザ端末装置20は記録している電子マネーの残高から代金分を減算しておく。ここでは電子マネー残高1000円から代金1000円が減算されて電子マネー残高0円になったものとして説明を続ける。
【0149】
電子マネー支払メッセージを受信した店内サーバ31は、電子マネー支払メッセージの内容に基づいて、このユーザ端末装置20に対応するユーザの電子マネー1000円分が、有価価値の代金として支払われたことを記録する処理である使用記憶処理を実行する(S807)。
【0150】
また、店内サーバ31は前記有価価値提供装置30に有価価値提供指示メッセージを送信し(S808)、有価価値提供指示メッセージを受信した前記有価価値提供装置30は、前記代金に応じた分量の有価価値をユーザに提供する処理である提供処理を行う(S809)。
【0151】
後刻、店内サーバ31は、ステップS807で記録した記録内容に基づいて、有価価値の代金として支払われた電子マネーの情報を集計する決済処理を実行し(S810)、決済処理の結果生成された決済情報を電子マネー決済システム49に送信する(S811)。決済情報を受信した電子マネー決済システム49は、電子マネーの支払先となる銀行口座を特定し、応分の額の金額を当該銀行口座に振り込む等の決済処理を実行する(S812)。なお、このステップS810からS812までの処理はいつどのような感覚で実行するようにしても本発明は成立する。
【0152】
[4.3.電子マネー残高が不足した場合の動作例]
次に、ユーザ端末装置20に記憶されている電子マネーの残高が代金支払いに不足している場合の動作例を図24を参照しながら説明する。なお、以降の説明では、店内サーバ31に記憶されているユーザの店舗内預かり金、及びユーザ端末装置20内の電子マネーすでに使用し尽くされ双方とも0円になっている状態であるとして行う。
【0153】
前記有価価値の提供を受けた(図23、S809参照)ユーザは、またもや有価価値を使い切ったがさらに遊技を続けたいと思い、ユーザは再度ユーザ端末装置20を有価価値提供装置30に近接させたとして説明する。
【0154】
ユーザはユーザ端末装置20を有価価値提供装置30に近接させ、両装置間の通信を可能とする。ユーザ端末装置20は有価価値提供装置30に提供要求メッセージを送信する(S901)。
【0155】
提供要求メッセージを受信した有価価値提供装置30は、提供許可要求メッセージを店内サーバ31に送信する(S902)。店内サーバ31は残高確認処理を実行する(S903)。このときこのユーザの店舗内預かり金の残高は0円となっている。
【0156】
残高確認処理(S903)において、有価価値提供の代金に足りる店舗内預かり金がないと判定した場合、店内サーバ31はユーザ端末装置20に電子マネーを利用して代金の支払いを行うよう求める処理である電子マネー支払処理を実行する(S904)。電子マネー支払処理を実行した結果として、店内サーバ31はユーザ端末装置20に、ユーザ端末装置20に電子マネーを利用して代金の支払いを行うよう求めるメッセージである電子マネー支払要求メッセージを送信する(S905)。
【0157】
電子マネー支払要求メッセージを受信したユーザ端末装置20は、このユーザ端末装置20内に記録されている電子マネーの残高が代金支払いに足りるか否かチェックする。この説明ではすでに電子マネーの残高が0円になっているものとして以降の説明を行う。ユーザ端末装置20は、このユーザ端末装置20内に記録されている電子マネーの残高が代金支払いに足りないと判定し、ユーザ端末装置20内に記録されている電子マネーの残高が代金支払いに足りないことを通知するメッセージである残高不足通知メッセージを店内サーバに送信する(S906)。残高不足通知メッセージを受信した店内サーバ31は、ユーザ端末装置20に電子マネーに追加の金額を補充する処理を実行するよう求めるメッセージである電子マネー補充処理要求メッセージを送信する(S907)。電子マネー補充処理要求メッセージを受信したユーザ端末装置20は、通信網を介して管理サーバ10と接続し、管理サーバ10に電子マネーを補充するよう要求するメッセージである電子マネー補充要求メッセージを管理サーバ10に送信する(S908)。
【0158】
上記ステップS908以降の動作例について図25を参照しながら説明する。
【0159】
電子マネー補充要求メッセージを受信した管理サーバ10は、ユーザの銀行口座を扱う金融機関システム40に、当該ユーザの銀行口座の残高から電子マネー取扱口座(電子マネーに現金でチャージを行ったときに当該現金を振り込む口座)へ、電子マネーへ補充する金額分(以下、電子マネー補充金額という)を振り込むよう要求するメッセージである振込依頼メッセージを生成する(S1001)。管理サーバ10は、生成した振込依頼メッセージを前記金融機関システム40に送信する(S1002)。なお、上記ステップS1001,S1002は本決済システム1における一例であって、各電子マネー決済システム49が定めるシーケンス、手順に従う構成としても本実施の形態は成立する。
【0160】
振込依頼メッセージを受信した前記金融機関システム40は、当該ユーザの銀行口座から前記振込先口座へ前記電子マネー補充金額を振り込む処理である振込処理を実行する(S1003)。振り込みが正常に完了した場合には、前記金融機関システム40は管理サーバ10に振込完了メッセージを送信する(S1004)。なお、ユーザの銀行口座の残高が足りず、電子マネー補充金額に満たない場合の処理については別途後述する。
【0161】
振込完了メッセージを受信した管理サーバ10は、電子マネー補充金額分の電子マネーの補充を行うよう要求するメッセージである電子マネーチャージ指示メッセージをユーザ端末装置20に送信する(S1005)。
【0162】
電子マネーチャージ指示メッセージを受信したユーザ端末装置20は、電子マネー補充金額分を自己の電子マネーとして加算する処理でーあるチャージ処理を実行する(S1006)。
【0163】
チャージ処理を完了したユーザ端末装置20は、店内サーバ31に電子マネーを使用して有価価値の代金の支払いを行うことを伝えるメッセージである電子マネー支払メッセージを送信する(S1007)。
【0164】
この後、図25に示したステップS1008からステップS1013までの処理が実行されるのであるが、これらの処理の内容は図23を参照して説明したステップS807からステップS812と同内容であるため、これらの処理内容の詳述は省略する。
【0165】
[4.4.ユーザの銀行口座の残高が不足している場合の動作例]
次に、前述の振込依頼メッセージが管理サーバ10から金融機関システム40に送信された場合(図25、ステップS1002、S1003参照)に、ユーザの銀行口座の残高が電子マネー補充金額に満たない場合について説明する。
【0166】
前述のステップS1003における振込実行がユーザの銀行口座の残高が電子マネー補充金額に満たないため実行できない場合、金融機関システム40は残高不足時処理を実行する(S1101)。残高不足時処理は、ユーザの銀行口座の残高が電子マネー補充金額に満たないことを管理サーバ10に通知する残高不足通知メッセージを生成する処理である。このメッセージには、後述するクレジット要求メッセージの送信先となるクレジット会社システムのネットワークアドレス、ユーザのクレジット番号、暗証番号等が含まれていてよい。金融機関システム40は、生成した残高不足通知メッセージを管理サーバ10に送信する(S1102)。
【0167】
残高不足通知メッセージを受信した管理サーバ10は、クレジットカードシステム45にクレジット利用メッセージを送信する(S1103)。クレジットカードシステム45はクレジット利用メッセージに応じて、金融機関システム40にユーザの銀行口座に設定された金額分の振り込みを実行するよう要求する振込要求メッセージを送信する(S1105)。また、クレジットカードシステム45は管理サーバ10にクレジット要求メッセージで要求された振り込みを実行したことを通知するメッセージである振込実行通知メッセージを送信する(S1106)。
【0168】
前述の振込要求メッセージ(S1105参照)を受信した金融機関システム40は、ユーザの銀行口座に、設定された金額分の振込処理(例えば、50,000円)を行う(S1107)。その後、金融機関システム40は、上記振込処理を実行したことを通知するメッセージである振込完了通知メッセージを管理サーバ10に送信する(S1008)。
【0169】
上記振込完了通知メッセージを受信した管理サーバ10は、金融機関システム40に、当該ユーザの銀行口座の残高から電子マネー取扱口座(電子マネーに現金でチャージを行ったときに当該現金を振り込む口座)へ電子マネー補充金額を振り込むよう要求するメッセージである振込依頼メッセージを生成する処理(振込依頼処理)を実行する(S1109)。管理サーバ10は、生成した振込依頼メッセージを前記金融機関システム40に送信する(S1110)。
【0170】
この振込依頼メッセージを受信した前記金融機関システム40は、当該ユーザの銀行口座から前記ユーザの振込先口座へ前記電子マネー補充金額を振り込む処理である振込処理を実行する(S1111)。振り込みが正常に完了した場合には、前記金融機関システム40は管理サーバ10に振込完了通知メッセージを送信する(S1112)。
【0171】
この後は前述のステップS1005からステップS1013と同一の処理が実行されるのであるが、ステップS1005からステップS1013と同一の内容であるので、これら処理の説明及び図示は省略する。
[5.その他]
本決済システム1はさらに以下の特徴を有するように変形してもよい。
【0172】
[5.1.ポイントの取り扱い]
本決済システム1は、決済ごとにユーザに付与されるポイントを付与、管理する機能をさらに有していてもよい。「ポイント」とは、対価とは別に供与される何らかの利益である。例を上げると、本決済システム1では、ユーザの店舗内預かり金にユーザの銀行口座から補充が行われた場合に、当該ユーザに1ポイントが付与されるように機能する。ポイントを供与する主体は、本決済システム1の運営者、管理者などであってもよいし、管理サーバ10の運営者、管理者などであってもよいし、金融機関システム40の運営者、管理者などであってもよいし、電子マネー決済システム49の運営者、管理者などであってもよいし、、クレジットシステム45の運営者、管理者などであってもよい。
【0173】
通常決済(店舗内預かり金の残高が足りている場合の決済)時のポイント付与の処理は、店内サーバ31、管理サーバ10、電子マネー決済システム49、あるいはポイント付与、管理を行うサーバのいずれか、もしくはこれらいずれか二以上の装置の協働によっておこなわれるようにしてよい。
【0174】
また、振込時決済(店舗内預かり金の残高が足りている場合の決済、又は電子マネー残高不足時の決済)のポイント付与の処理は、店内サーバ31、管理サーバ10、金融機関システム40、クレジットカードシステム45、電子マネー決済システム49、これら以外のサーバのいずれか、もしくはこれらいずれか二以上の装置の協働によっておこなわれるようにしてよい。
【0175】
なお、本決済システム1は、店舗90(遊技店)固有のポイントシステムの他、各金融機関、クレジットカード運営会社、電子マネー運営会社等で扱うポイントシステム、などによって提供されるポイントを扱うようにしてもよい。
【0176】
[5.2.景品交換システム]
決済本システム1は、景品交換の為のシステムを容易に導入可能である。景品交換のためのシステムは、ユーザが保有する有価価値を店舗が提供する景品やサービスと交換するためのシステムである。なお、その際前述したポイントを景品やサービスと交換するための対価として使用できるようにしてもよい。
【0177】
[5.3.公営競技などについての決済]
本決済システム1は、各種公営競技(競馬、競輪、競艇、オートレースなど)や投票券購入や宝くじの購入のための決済システムとしても利用可能である。
[6.まとめ]
上述した実施の形態並びにその変形例は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲であれば、適宜組合わせ及び変更することができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0178】
1…決済システム; 10…管理サーバ;20…ユーザ端末装置; 30…有価価値提供装置; 31…店内サーバ; 40…金融機関システム; 45…クレジットカードシステム; 49…電子マネー決済システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ及びユーザ端末装置の少なくとも一方を特定する情報であるユーザ識別情報を含み、有価価値の提供を要求する情報を含む第1信号を送信するユーザ端末装置と、
前記ユーザ端末装置と通信可能であって、第1信号を受信した場合、有価価値の提供の許可を要求する情報を含む第2信号を送信する有価価値提供装置と、
前記ユーザ識別情報と対応付けて当該ユーザからの預かり金の額を記憶し、前記有価価値提供装置から前記第2信号を受信したときに当該預かり金の額が有価価値の代金の額に足りていない場合には、当該預かり金の残高が不足していることを示す情報を含む第3信号を前記有価価値提供装置に送信し、
当該預かり金を補充するための振り込みを要求する情報を含む第4信号を受信した場合、前記ユーザの口座から所定金額の振込を依頼する情報を含む第5信号を送信するサーバと
を有し、
前記有価価値提供装置は、前記第3信号を受信すると、当該預かり金を補充することを要求する情報を含む第8信号を前記ユーザ端末装置に送信し、
前記ユーザ端末装置は、前記第8信号を受信すると、前記サーバに前記第4信号を送信し、
前記サーバは、所定金額の振り込みを示す情報を含む第6信号を受信すると、有価価値の提供を指示する情報を含む第9信号を前記有価価値提供装置に送信し、
この第9信号を受信した前記有価価値提供装置は、有価価値の提供を実行する
ことを特徴とする決済システム。
【請求項2】
ユーザ及びユーザ端末装置の少なくとも一方を特定する情報であるユーザ識別情報を含み、有価価値の提供を要求する情報を含む第1信号を送信するユーザ端末装置と、
前記ユーザ端末装置と通信可能であって、前記第1信号を受信した場合有価価値の提供の許可を要求する情報を含む第2信号を送信する有価価値提供装置と、
前記ユーザ識別情報と対応付けて当該ユーザからの預かり金の額を記憶し、前記有価価値提供装置から前記第2信号を受信したときに当該ユーザからの預かり金の額が有価価値の代金に足りていない場合には、当該預かり金の残高が不足していることを示す情報を含む第3信号を前記有価価値提供装置に送信する第1サーバと、
当該預かり金を補充するための振り込みを要求する情報を含む第4信号を受信した場合、前記ユーザの口座から所定金額の振り込みを依頼する情報を含む第5信号を送信し、前記所定金額の振り込みを示す情報を含む第6信号を受信した場合、預かり金を補充するための振り込みが行われたことを示す情報を含む第7信号を前記第1サーバに送信する第2サーバと
を有し、
前記有価価値提供装置は、前記第3信号を受信すると、当該預かり金を補充することを要求する情報を含む第8信号を前記ユーザ端末装置に送信し、
前記ユーザ端末装置は、前記第8信号を受信すると、前記第2サーバに前記第4信号を送信し、
前記第1サーバは、前記第7信号を受信すると、有価価値の提供を指示する情報を含む第9信号を前記有価価値提供装置に送信し、この第9信号を受信した有価価値提供装置は有価価値の提供を実行する
ことを特徴とする決済システム。
【請求項3】
前記ユーザ端末装置は、前記第8信号を受信すると、ユーザからの預かり金の補充を行うための振り込みを実行する旨のユーザの確認の入力を促し、この入力の待ち受けを行い、確認の入力がされた場合、前記第4信号を前記第2サーバに送信する
ことを特徴とする請求項2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記ユーザ端末装置は、前記第8信号を受信したのち、当該ユーザ端末装置と前記有価価値提供装置と再度通信接続した場合に、前記第4信号を前記第2サーバに送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項5】
前記第2サーバは、前記第5信号を送信したのちユーザの口座の残高が不足していることを示す情報を含む第10信号を受信した場合、他の金融機関を利用して当該ユーザの口座に入金することを要求する情報を含む第11信号を前記ユーザ端末装置に送信し、
前記ユーザ端末装置は、前記第11信号を受信したのち前記第2サーバに前記他の金融機関を利用して当該ユーザの口座に入金することを指示する情報を含む第12信号を送信し、
前記第2サーバは前記第12信号を受信すると、前記他の金融機関を利用して所定額を前記ユーザの口座に振り込みを要求する情報を含む第13信号を送信し、前記他の金融機関を利用して所定額を前記ユーザの口座に振り込みが行われたことを示す情報を含む第14信号を受信すると、当該預かり金への入金を確認する情報を含む第15信号を前記第1サーバに送信し、
前記第1サーバは、前記第15信号を受信すると有価価値の提供を指示する情報を含む第16信号を前記有価価値提供装置に送信し、
前記有価価値提供装置は前記第16信号を受信すると、有価価値の提供を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項6】
前記ユーザ端末装置は、ユーザ及びユーザ端末装置の少なくとも一方にひもづけられた電子的に記憶された有価価値の代金の支払いを、電子マネーを用いて行う電子マネー処理手段をさらに有しており、
前記第2サーバは、電子マネーの残高が有価価値提供の代金の支払いに不足している場合、ユーザからの口座からの振り込みによる電子マネーの残高の補充を求める情報を含む第17信号を送信し、前記ユーザの口座の残高が不足している場合には他の金融機関を利用して所定額を前記ユーザの口座に振り込みを要求する情報を含む第18信号を送信し、
前記ユーザの口座からの振り込みを示す情報を含む第19信号或いは前記他の金融機関を利用した所定額の前記ユーザの口座に振り込みを示す情報を含む第20信号を受信した場合、前記ユーザ端末装置に電子マネーの残高の補充を指示する情報を含む第21信号を送信する
ことを特徴とする、請求項1に記載の決済システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−221730(P2011−221730A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89135(P2010−89135)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(598098526)株式会社ユニバーサルエンターテインメント (7,628)
【Fターム(参考)】