説明

決済端末装置

【課題】 カード決済した情報の内容の確認や、カード決済の取消処理を上位装置に問い合わせることなく行なうことができるようにして、内容確認手続の簡易化、データの機密保持、通信費の節減を図る。
【解決手段】 1つの決済処理が行なわれたときは、1決済処理分のトランザクションデータが不揮発性メモリ25のテーブルに記憶する(ステップS9)。この登録は伝票番号と関連付けて行われ、伝票番号を検索キーとして検索して表示器に表示することができる。また、その表示した1決済処理分のトランザクションデータについて取消処理を行うこともできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカードなどの決済を行なう決済端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、クレジットカードなどでカード決済した情報の内容を確認したい場合には、カード決済の際に印字発行した伝票で確認していた。
【0003】
また、カード決済を取り消す際には、決済端末装置で伝票の番号を入力して元売上データを上位のサーバコンピュータなどに問合わせ、その情報を決済端末装置に表示し、目視確認して取消処理を行なっていた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−259003公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カード決済した情報の内容の確認を印字済みの伝票で行なうのは煩雑である。
【0006】
また、カード決済の取消処理を上位装置に問い合わせて行なうのは、スキミングなどの被害にあう可能性もあり、できれば機密保持のために上位装置に問い合わせることなく、カード決済の取消処理を行うようにしたい。また、上位装置との通信を、電話回線を介して行なう場合には、取消処理を上位装置に問い合わせなくても行なえるようにすれば、通信費を節減することができる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、カード決済した情報の内容の確認や、カード決済の取消処理を上位装置に問い合わせることなく行なうことができるようにして、内容確認手続の簡易化、データの機密保持、通信費の節減を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、カード決済を行なう決済端末装置において、前記カード決済を行なったときは当該決済処理のトランザクションデータを本決済端末装置内に登録する登録手段と、所定の操作がなされたときは前記登録がなされているトランザクションデータを表示装置に表示する表示手段と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カード決済のトランザクションデータを決済端末装置の上位装置ではなく決済端末装置内に登録しておき、必要なときには表示装置に表示して閲覧することができるので、伝票を見る必要がなく、カード決済のトランザクションデータの確認を簡易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の一形態について説明する。
【0011】
本実施の形態の決済端末装置は、クレジットカード、デビットカードとして使用されるキャッシュカード等の現金の代わりとして機能するカードでの決済に際して使用されるものである。図1は本実施の形態の決済端末を概略的に示す外観斜視図である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態の決済端末装置1のハウジング2の上面3には、決済端末1の手前側(操作者側)から奥側に向って、各種のキーが集合するキーボード4、LCD(Liquid Crystal Display)を備え、取引内容や操作案内等を表示し、タッチパネルの機能も備えている表示器5が順に設けられている。また、キーボード4と表示器5との間のハウジング2の上面3には、ハウジング2に内蔵されるプリンタメカユニット11(図2参照)によって印字され、決済伝票を発行する発行口7が形成されている。
【0013】
ハウジング2の右端部には、磁気カードをスキャン操作するためのスリット状のカード読取溝8をハウジング2の上面3側に備えた磁気カードリーダ部9が設けられている。カード読取溝8は、キーボード4及び表示器5の右側に隣接して配置され、クレジットカードの磁気ストライプ側を挿入させて手前側(操作者側)に引き抜くことができる形状に形成されている。磁気カードリーダ部9には、カード読取溝8内をスキャン操作された磁気カードの磁気ストライプに記憶された情報の読み取りを行なうための磁気カードリーダ9a(図4参照)が内蔵されている。磁気カードの磁気ストライプに記憶されるカード情報としては、クレジットカードの場合には、そのカードの固有情報である会員番号等、キャッシュカードの場合にはそのカードの固有情報である口座番号等がある。
【0014】
次に、決済端末装置1の各部の電気的接続について図2を参照して説明する。図2に示すように、決済端末装置1はマイクロコンピュータ(以下、マイコンともいう)20を備えており、このマイコン20が各部を駆動制御する。マイコン20は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)21にバスライン22を介して、コンピュータプログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)23と各種データを書き換え自在に記憶するワークエリア等として機能するRAM(Random Access Memory)24と、不揮発性メモリ25と、が接続されて構成されている。次に、このマイコン20によって駆動制御される決済端末装置1の各部を説明する。
【0015】
キーボード4は、置数キーや実行キーなどのキーを有し、キーボード4用のコントローラ26を介してバスライン22に接続され、操作されたキーに応じた信号をコントローラ26の動作によってマイコン20に入力する。
【0016】
表示器5は、表示器5用のコントローラ27を介してバスライン22に接続され、マイコン20からの表示データがコントローラ27に入力されると、コントローラ27に駆動されて所定事項を表示する。
【0017】
磁気カードリーダ9aは、磁気カードリーダ9a用のコントローラ28を介してバスライン22に接続され、磁気カードの磁気ストライプに記憶された情報を読み取り、読み取った情報をコントローラ28の動作によってマイコン20に入力する。
【0018】
プリンタメカユニット11は、プリンタメカユニット11用のコントローラ29を介してバスライン22に接続され、マイコン20からの印字データがコントローラ29に入力されると、コントローラ29に駆動されて図示しないロール紙に所定事項を印字し、そのロール紙を所定位置で切断して発行する。
【0019】
また、マイコン20には、電波の送受信を行うためのアンテナを有し外部機器との情報通信を無線で行う無線通信モジュール30と、外部機器にケーブルを介して接続され外部機器との情報通信を有線で行うための通信インターフェース31とが、バスライン22を介して接続されている。なお、インターフェースは図中ではI/Fと記載している。これらの無線通信モジュール30や通信インターフェース31は、通信回線である公衆回線網、CAFIS(Credit And Finance Information Switching System)等の中継センターを介して、クレジット会社や銀行等が備える決済機関コンピュータに接続され、決済機関コンピュータとの間で情報通信を行う。また、決済端末装置1は、この決済端末装置1が設置されている店舗がテナントとして入っているショッピングセンターのサーバコンピュータとも接続されている。
【0020】
上述したマイコン20と表示器5用のコントローラ27とは、高速のバス処理を行うものであり、第1の制御ボード12に搭載されて、第1のユニットを構成している。また、キーボード4用のコントローラ26とプリンタメカユニット11用のコントローラ29とは、低速のバス処理を実行するものであり、第2の制御ボード13に搭載されて、第2のユニットを構成している。マイコン20、表示器5用のコントローラ27、キーボード4用のコントローラ26及びプリンタメカユニット11用のコントローラ29が行うバス処理では、シリアル伝送方式が採用されている。
【0021】
次に、CPU21がコンピュータプログラムに従って実行する決済処理を図3に示すフローチャートに基づいて説明する。この決済処理は取引の決済の際に行なわれる処理であり、決済操作である操作者によるキーボード4の操作によって取引金額情報の入力があり(ステップS1のY)、続けて、キーボード4の操作によって支払方法(クレジット支払い、デビット支払い)の入力があり(ステップS2のY)、さらに、決済操作である操作者によるカード読取溝8でのスキャン操作によって磁気カードリーダ9aが磁気カードの磁気ストライプから読み取ったカード情報(クレジットカード番号や口座番号)の入力があったなら(ステップS3のY)、入力されたカード情報を決済情報として獲得し照会情報を作成する(ステップS4)。この照会情報の作成は、入力された取引金額とカード情報とに基づいて作成される。なお、支払方法がデビット支払いの場合には、キーボード4、決済端末装置1に接続される図示しないピンパッドなどにより入力されたキャッシュカードの暗証番号も照会情報に含ませる。
【0022】
そして、決済操作である操作者によるキーボード4の実行キーの操作がされたなら(ステップS5のY)、作成した照会情報を各種金融機関が備える決済機関コンピュータへ送信し(ステップS6)、決済機関コンピュータからの照会結果情報の受信に待機する(ステップS7のN)。ここまでの決済操作により、オペレータが行う決済端末装置1に対する決済操作は完了する。
【0023】
決済機関コンピュータでは、送信された照会情報に対して信用チェックや金額承認等の信用照会処理を行った後に、その照会結果情報を決済端末装置1に送信する。このとき、デビット決済のときには、決済承認の場合には該当する口座の残高から決済金額を差し引く。
【0024】
決済端末装置1では、決済機関コンピュータからの照会結果情報を受信したならば(ステップS7のY)、この照会結果情報に従って、プリンタメカユニット11を駆動制御して決済情報をロール紙に印字させ、所定の位置でそのロール紙を切断して、切断した決済情報が印字されたロール紙を決済伝票として発行口7から発行させる決済伝票発行処理を実行する(ステップS8)。
【0025】
このようにして1つの決済処理が行なわれたときは、1決済処理分のトランザクションデータが不揮発性メモリ25に記憶して(登録手段)(ステップS9)、一連の処理を終了する。
【0026】
図4は、ステップS9でトランザクションデータが記憶されるテーブル41である。不揮発性メモリ25に記憶される各トランザクションデータはテーブル41に登録される。このテーブル41は、1決済処理分のトランザクションデータ42と、ステップS8で発行処理した決済伝票の伝票番号43と、取消済みフラグ44とが関連付けられて順次登録される。取消済みフラグ44はOFFにして登録する。このテーブル31は伝票番号43を検索キーとしてトランザクションデータ42を検索することができる。また、(1)は、Writeポインタであり、次のカード決済が行なわれたときは、Writeポインタ(1)の位置に1決済処理分のトランザクションデータを登録する。
【0027】
次に、このようにして登録された1決済処理を取り消す処理について説明する。
【0028】
図5は1決済処理を取り消す処理について説明するフローチャートである。1決済処理を取り消す際には、まず、表示器5に表示された図6の画面において、タッチパネルの直前取消ボタン51又は伝票指定ボタン52を操作することにより行なう(ステップS11,S12)。直前取消ボタン51を操作したときは(ステップS11のY)、Writeポインタ(1)の直前に登録されているトランザクションデータ42を検索し(ステップS14)、伝票指定ボタン52を操作したときは(ステップS12のY)、お客が提示した決済伝票の伝票番号を入力し(ステップS13のY)、その伝票番号に合致する伝票番号43のトランザクションデータ42を検索し(ステップS14)、表示器5に表示する(表示手段)(ステップS15)。
【0029】
図7は、ステップS5で表示されるトランザクションデータ42の画面表示例を示すものである。トランザクションデータ42の画面表示は複数頁に渡るため、タッチパネルの前頁ボタン61、次頁ボタン62で他の頁を表示することができる。また、前トランザクションデータボタン63で当該トランザクションデータ42よりテーブル41で前のトランザクションデータ42を表示することができ、また、次トランザクションデータボタン64で当該トランザクションデータ42よりテーブル41で後のトランザクションデータ42を表示することもできる。さらに、戻るボタン65で図6の画面に戻ることができる。
【0030】
図6の画面で取消ボタン66を操作することにより、現在表示されているトランザクションデータ42の1決済処理を取り消す処理を実行することができる。
【0031】
すなわち、図5に戻り、取消ボタン66を操作すると(ステップS16のY)、図示しないカード読取画面が表示され(ステップS17)、お客から受け取ったカードを引いて磁気カードリーダ9aでカードを読取る(ステップS18のY)。そして、この読み取ったカードデータ中の会員番号と当該トランザクションデータ42の会員番号とを照合し(ステップS19)、合致しているときは(ステップS19のY)、もう一度取消ボタン66を操作する(ステップS20のY)。このような操作があったときは、当該トランザクションデータ42と対応している取消済みフラグ44はOFFであることを確認して(ステップS21のY)、所定の取消処理を実行する(取消手段)(ステップS21)。この取消処理においては、当該トランザクションデータ42と対応している取消済みフラグ44をONにする処理を行なう。
【0032】
テーブル31の登録データは、1日の精算業務を行なう際に、ショッピングセンターのサーバコンピュータにアップロードする。よって、前日、前々日、それ以前の日に行なわれた1決済処理を取り消したいときは、前述の取消処理(ステップS21)ではなく、所定の返品処理により行なう。
【0033】
前述の処理によれば、カード決済のトランザクションデータを決済端末装置1の上位装置となるショッピングセンターのサーバコンピュータではなく、決済端末装置1内に登録しておき(ステップS9)、必要なときには表示器5に表示して閲覧することができるので(ステップS15)、伝票を見る必要がなく、カード決済のトランザクションデータの確認を簡易に行なうことができる。
【0034】
また、登録がなされているトランザクションデータ42でカード決済を取消す取消処理を実行することができるので(ステップS21)、この処理のためにショッピングセンターのサーバコンピュータにトランザクションデータを問い合わせる必要は無く、機密を保持してスキミング被害を防止できる。また、ショッピングセンターのサーバコンピュータに電話回線を用いて接続する決済端末装置1においては、通信費を節減することができる。
【0035】
ステップS21では、取消済みフラグ44をONにすることで、取消がなされた旨を表示する情報をトランザクションデータ42に付することができ、同じトランザクションデータ42に2度取消処理を行うことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態である決済端末装置の斜視図である。
【図2】決済端末装置の電気的な接続のブロック図である。
【図3】決済端末装置が実行する処理のフローチャートである。
【図4】決済端末装置でトランザクションデータを記憶するテーブルの説明図である。
【図5】決済端末装置が実行する処理のフローチャートである。
【図6】決済端末装置の画面表示の平面図である。
【図7】決済端末装置の画面表示の平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 決済端末装置;5 表示装置;S9 登録手段;S15 表示手段;S21 取消手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード決済を行なう決済端末装置において、
前記カード決済を行なったときは当該決済処理のトランザクションデータを本決済端末装置内に登録する登録手段と、
所定の操作がなされたときは前記登録がなされているトランザクションデータを表示装置に表示する表示手段と、
を備えていることを特徴とする決済端末装置。
【請求項2】
所定の操作がなされたときは前記登録がなされているトランザクションデータを用いてカード決済を取消す取消手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の決済端末装置。
【請求項3】
前記取消手段は、前記取消を行なう際には当該取消がなされた旨を表示する情報を前記登録がなされている当該取消の対象とするトランザクションデータに付すること、を特徴とする請求項2に記載の決済端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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