沸騰水型原子炉およびその運転方法
【課題】冷却材のボイド率制御を用いて良好な反応度制御を可能とすることで、燃焼初期にて余剰反応度を抑えつつプルトニウムを効率的に生成・蓄積し且つ燃焼後期にてプルトニウムを効率的に燃焼させること。
【解決手段】本発明では、燃料集合体5を支持すると共に制御棒ガイド路13を形成する燃料支持金具6を有し、燃料集合体5内部に案内されインチャンネル流となる冷却材の主流から分岐し、制御棒ガイド路を通って燃料集合体間に案内される冷却材のアウトチャンネル流が形成される沸騰水型原子炉において、制御棒10は、制御棒挿入方向Dに沿って間隔を置いて配置され且つ燃料支持金具6の制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出す複数の凸条部14を備えるようにした。
【解決手段】本発明では、燃料集合体5を支持すると共に制御棒ガイド路13を形成する燃料支持金具6を有し、燃料集合体5内部に案内されインチャンネル流となる冷却材の主流から分岐し、制御棒ガイド路を通って燃料集合体間に案内される冷却材のアウトチャンネル流が形成される沸騰水型原子炉において、制御棒10は、制御棒挿入方向Dに沿って間隔を置いて配置され且つ燃料支持金具6の制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出す複数の凸条部14を備えるようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核燃料の高燃焼度化を目指した沸騰水型原子炉およびその運転方法に係り、特に、炉心を循環する冷却材のボイド率制御によって高燃焼度化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、原子力発電の経済性向上や使用済核燃料低減の観点から、核燃料の高燃焼度化を目指した開発が進められている。
【0003】
沸騰水型原子炉(特許文献1参照)の高燃焼度化にあっては、燃焼初期に高ボイド率運転にて中性子スペクトルを硬化させてプルトニウムを生成・蓄積しておき、燃焼後期に低ボイド率運転にて中性子スペクトルを軟化させて蓄積したプルトニウムを効率的に燃焼させる反応度制御が有効とある。
【0004】
このような反応制御の方法として、燃料集合体内部のインチャンネルを対象として、燃焼初期に冷却材流量を減少させることによりボイド率を上昇させ、燃焼後期に冷却材流量を増加させることによりボイド率を降下させて行う流量スペクトルシフト運転が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
図11は流量スペクトルシフト運転の説明図である。図11において、沸騰水型原子炉の4体1組の燃料集合体の配置間スペース(アウトチャンネル)におけるボイド率を一定(40%)にした定常流量運転のシミュレーション結果を破線で示し、燃焼初期に高ボイド率(50%)で運転して途中で低ボイド率(30%)に切り替えた流量スペクトルシフト運転のシミュレーション結果を実線で示している。流量スペクトルシフト運転によると、余剰反応度を燃焼初期に抑制することができ且つ燃焼後期に一定以上に得ることができる。
【0006】
すなわち、冷却材のボイド率制御を通じて中性子の減速制御が可能となることから、燃焼初期に中性子スペクトルを硬化させ燃焼後期に中性子スベクトルを軟化させることが可能になる。ゆえに、この流量スペクトルシフト運転によれば、燃焼初期の余剰反応度を抑制しつつ、燃焼初期にプルトニウムを生成・蓄積すると共に燃焼後期にプルトニウムを効率的に燃焼することが可能なように思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−11081号公報
【特許文献2】特開平7−128489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2で説明される流量スペクトルシフト運転では、燃料集合体内部のインチャンネル流のボイド率を制御できるに留まり、定格流量の70%〜115%の流量変化幅を設定した場合でも平均ボイド率は最大47%、最小34%であった。また、この流量スペクトルシフト運転では、定格流量の70%に対応するインチャンネル出口のボイド率は80%以上になると予想され、ボイド率の上限値は炉心の熱的余裕との関係においても制限を受けることになる。つまり、従来の流量スペクトルシフト運転では、ボイド率すなわち、余剰反応度の可変幅が限定されるため、沸騰水型原子炉のさらなる高燃焼度化を図るためには余剰反応度可変幅の拡大のための新たな技術が求められている。
【0009】
なお、高燃焼度化については、核燃料物質をより多く炉心に装荷することが1つの有効策となるが、燃焼初期の余剰反応度が必然的に大きくなり、臨界安全性の点で好ましいものではない。なお、燃焼初期の余剰反応度を抑える方法として、ガドリニアなどの可燃性毒物を一部の燃料棒に混入するものが知られているが、可燃性毒物は核分裂により発生した中性子を吸収するため反応度経済を悪化させるものであり、また、高濃縮度可燃性毒物は新たな技術課題であり、燃料製造コストが増大するという問題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、幅広い範囲で冷却材のボイド率を制御でき、燃焼初期にて余剰反応度を抑えつつプルトニウムを効率的に生成・蓄積し且つ燃焼後期にてプルトニウムを効率的に燃焼できる沸騰水型原子炉およびその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するため、本発明に係る沸騰水型原子炉では、燃料集合体を支持すると共に制御棒ガイド路を形成する燃料支持金具を有し、炉心を循環する冷却材が燃料集合体内部に案内されインチャンネル流となる冷却材の主流と、制御棒ガイド路を通って燃料集合体間に案内される冷却材のアウトチャンネル流に分岐する沸騰水型原子炉において、制御棒挿入方向に沿って間隔を置いて配置され且つ燃料支持金具の制御棒ガイド路内壁に向かって張り出す複数の凸条部を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る沸騰水型原子炉の運転方法では、燃料集合体を支持すると共に制御棒ガイド路を形成する燃料支持金具を有し、炉心を循環する冷却材が燃料集合体内部に案内されインチャンネル流となる冷却材の主流と、制御棒ガイド路を通って燃料集合体間に案内される冷却材のアウトチャンネル流に分岐する沸騰水型原子炉において、前記制御棒の一部の領域を対象とし、燃料支持金具の制御棒ガイド路の流動抵抗をコントロールするように張り出す複数の凸条部を制御棒挿入方向に沿って間隔を置いて設けておき、前記制御棒ガイド路に対する制御棒の挿入量を調節することにより、制御棒ガイド路の流路抵抗を調節することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、幅広い範囲で冷却材のボイド率を制御でき、燃焼初期にて余剰反応度を抑えつつプルトニウムを効率的に生成・蓄積し且つ燃焼後期にてプルトニウムを効率的に燃焼できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る沸騰水型原子炉の第1実施形態を示す図。
【図2】図1の沸騰水型原子炉の要部説明図であり、(a)は図1のII−II線断面図、(b)は図2(a)のP部拡大図。
【図3】図1の沸騰水型原子炉の作用説明図。
【図4】図2の沸騰水型原子炉における凸条部の形状特性を示す図。
【図5】図2の沸騰水型原子炉における凸条部の段数特性を示す図。
【図6】図1の制御棒を用いたボイド率制御の説明図であり、(a)は高ボイド率時の制御棒駆動例を示す図、(b)は中間ボイド率時の制御棒駆動例を示す図、(c)は低ボイド率制御時の制御棒駆動例を示す図。
【図7】図1の制御棒の駆動によるボイド率制御の実例説明図。
【図8】図1の沸騰水型原子炉の作用説明図であり、(a)は燃焼度と無限増倍率の関係に関わる従来例との比較図、(b)は燃焼度と径方向出力ピーキング係数の関係に関わる従来例との比較図。
【図9】本発明に係る沸騰水型原子炉の第2実施形態を示す要部図。
【図10】本発明に係る沸騰水型原子炉の第3実施形態を示す要部図。
【図11】流量スペクトルシフト運転の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る沸騰水型原子炉およびその運転方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る沸騰水型原子炉の第1実施形態を示す図である。
【0017】
沸騰水型原子炉Uは、原子炉圧力容器1の内部に設けられる炉心部2において上部格子板3と炉心支持板4とで燃料集合体5を支持する。燃料集合体5はウラン235を主な燃料核種とした複数の燃料棒を束ねて構成され、その下端は炉心支持板4に取り付けられた燃料支持金具6に4体1組で嵌め込まれる。
【0018】
炉心支持板4下方の下部プレナム7には、制御棒駆動機構(図示省略)を収容する制御棒駆動機構ハウジング8が設けられ、その上部延長線に制御棒案内管9が設けられる。制御棒10は、制御棒駆動機構の制御を受けて昇降駆動され、横断面十字状に設定された4翼の制御棒有効部が4体1組の燃料集合体5の隙間を縫って炉心部2に挿入され或いは引き抜かれる。
【0019】
図2は沸騰水型原子炉Uの要部説明図であり、(a)は図1のII−II線断面図、(b)は図2(a)のP部拡大図である。
【0020】
図2(a)に示すように、沸騰水型原子炉Uの下部プレナム7では再循環系のジェットポンプ(図示省略)の作用により冷却材が循環しており、冷却材の主流11は燃料支持金具6の内側を通って燃料集合体5の内部に案内されるインチャンネル流となる。一方、インチャンネル流となる冷却材の主流11から分岐した支流12(以下、バイパス流12)は、制御棒ガイド路13を通って炉心部2に配置される燃料集合体5の配置間スペース(アウトチャンネル)へと案内され、アウトチャンネル流となる。なお、インチャンネル流およびアウトチャンネル流となった冷却材は、炉心部2で核分裂エネルギーを奪って沸騰して蒸気となり、タービン駆動力として利用される。
【0021】
沸騰水型原子炉Uの制御棒10は、図2(a)および(b)に示すように、例えば4つの凸条部14を備える。各凸条部14は、横断面十字状に構成される制御棒10の4翼それぞれにおいて、制御棒挿入方向Dに沿って間隔を置いて設けられ、燃料支持金具6に形成される制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出すように構成される。また、各凸条部14は、制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出す突設方向の寸法をHとし、隣り合う凸条部14との離間距離をLとしたとき、H/L=0.2〜0.3の条件を満たすように構成される。さらに、各凸条部14は、制御棒挿入方向Dに沿って間隔を置いて設けられ且つ制御棒10の外周に沿って連続的に設けられる(図1参照)。
【0022】
次に、沸騰水型原子炉の作用を説明する。
【0023】
沸騰水型原子炉Uの核設計においては、アウトチャンネルのボイド率をゼロと仮定し、インチャンネルのボイド率を一様と仮定した中性子計算モデルが用いられる。しかし、アウトチャンンルはインチャンネルよりも冷却材流路断面積が大きくなるように設計されているのが一般的である。したがって、アウトチャンネルを流れる冷却材のボイド率制御を通じて、炉心全体のボイド率制御を行うことは十分可能である。
【0024】
ここで、アウトチャンネルの冷却材は、エンタルピhoutch.が飽和エンタルピhsatを越えれば沸騰する。したがって、式(1)に従い、アウトチャンネルを流れる冷却材の発熱量Qoutch.を増加させ或いは流量Woutch.を減少させ、アウトチャンネルを流れる冷却材のエンタルピhoutch.が飽和エンタルピを超えるようにすれば、アウトチャンネルを流れる冷却材のボイド率を高めることができる。また、発熱量Qoutch.を減少させ或いは流量Woutch.を増加させれば、アウトチャンネルを流れる冷却材のボイド率を減少させることができる。
【数1】
【0025】
図3は沸騰水型原子炉Uの作用説明図である。
【0026】
沸騰水型原子炉Uの制御棒10には、燃料支持金具6の制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出す複数の凸条部14が設けられ、各凸条部14は制御棒挿入方向Dに沿って設けられる。下部プレナム7から炉心部2に向かう冷却材の流路のうち、制御棒ガイド路13に向かうバイパス流12は、制御棒10に設けられた複数の凸条部14を順次通過することとなる。
【0027】
バイパス流12の冷却材は、制御棒ガイド路13に形成される冷却材の流路(以下、バイパス流路)16を初め縮流18となり、後に拡流となって、バイパス流路16の拡大部17に流入する。拡大部17に流入した冷却材は、凸条部14に突き当たって反転し、渦流19形成する。拡大部17の渦流19は、バイパス流路16の流路抵抗を増大させるように働く。渦流19によってバイパス流路16の流路抵抗が増大すると、アウトチャンネル流となる冷却材のバイパス流12が減少する。逆に、バイパス流路16の流路抵抗が減少すると、アウトチャンネル流となる冷却材の支流12が増加する。渦流19に基づくバイパス流路16の流路抵抗は、凸条部14の寸法のうち、制御棒ガイド路内壁15に張り出す突設方向の寸法Hと隣り合う凸条部14との離間距離Lとの比(H/L)を適切に設定することで所望の大きさに設定できる。
【0028】
図4は制御棒10に設けられる凸条部14の形状特性を示す図であり、H/Lと吹き抜け流量との相関図である。「吹き抜け流量」は、最終段の凸条部14を通過して炉心部2に流入する冷却材のバイパス流に関する流量である。図4に示すH/Lと吹き抜け流量との相関は、「‘管路・ダクトの流体抵抗’,(社)日本機械学会 技術資料,p154(図9・59),昭和54年1月20日」で説明される実験結果を、沸騰水型原子炉Uに適用するために行なった特性実験の結果により裏付けられている。
【0029】
図4に示すように、H/Lの吹き抜け流量に対する感度は大きい。H/Lがゼロに近い状態、すなわち、凸条部14が設けられない状態から次第にH/Lを大きくしていくと、吹き抜け流量が急激に減少していく。吹き抜け流量は、H/Lが0.2〜0.3の当たりで最小となり、その後、やや増大した後に略一定となる特性がある。したがって、凸条部14の形状としては、流動抵抗の効率的な発生の観点から、H/L=0.2〜0.3となる条件が満たされるものであることが好ましい。
【0030】
図5は制御棒10に設けられる凸条部14の段数(個数)特性を示す図であり、凸条部14の段数と吹き抜け流量との相関図(実験結果)である。図5に示すように、バイパス流路16における吹き抜け流量は、凸条部14の段数を「n」とすると、√nに比例して減少する特性を示す。したがって、バイパス流路16の流路抵抗は、隣り合う凸条部14の段数を調節することによっても可能となる。一般に、流路の圧力損失係数Kと流量Wは、次式(2)の関係を満たす。例えば、凸条部14の段数を2段から4段に変更すると圧力損失係数が1/2となるとき、凸条部14の段数を2段から4段に変更することで、吹き出し流量を約0.7倍に変更できる(Wn=2/Wn=4=√0.5≒0.7)。
【数2】
【0031】
このように、制御棒10の一部の領域に凸条部14を設け、凸条部14の形状(H/L)やその段数を調節することにより、バイパス流路16の流路抵抗を調節でき、アウトチャンネルに至る冷却材の主流11とインチャンネルに至る冷却材のバイパス流12との比率を調節できる。つまり、制御棒10の凸条部14によって、アウトチャンネルにおけるボイド率を制御できるようになる。
【0032】
アウトチャンネルにおけるボイド率制御は、制御棒ガイド路13における制御棒10の挿入量の調節によって可能となる。図6は制御棒10を用いたボイド率制御の説明図であり、(a)は高ボイド率時の制御棒駆動例を示す図、(b)は中間ボイド率時の制御棒駆動例を示す図、(c)は低ボイド率制御時の制御棒駆動例を示す図である。
【0033】
図6(a)に示す制御棒駆動例は、バイパス流路16の領域に最大数の凸条部14が位置するように制御棒10を駆動させたものである。この場合、バイパス流路16において渦流19が形成される拡大部17(図4参照)が最大数となることから、吹き出し流量が最小となり、アウトチャンネルにおけるボイド率が最大となる。
【0034】
図6(c)に示す制御棒駆動例は、バイパス流路16の領域に最小数の凸条部14が位置するように制御棒10を駆動させたものである。この場合、バイパス流12において渦流19が形成される拡大部17が最小数となることから、吹き出し流量が最大となり、アウトチャンネルにおけるボイド率は最小となる。凸条部14は、制御棒10の制御棒挿入方向Dに沿って間隔を置いて複数設けられているため、アウトチャンネルのボイド率は幅広い範囲で制御可能となる。
【0035】
図7は制御棒10の駆動によるボイド率制御の実例説明図である。
【0036】
従来の沸騰水型原子炉では、原子炉運転サイクル途中のアウトチャンネル流量を直接に制御することはなされていなかった。これに対し、本実施形態の沸騰水型原子炉Uでは、制御棒10の駆動(図6参照)を通じて、図7に示すように、燃料の燃焼初期にアウトチャンネルの流量が定格の30%或いはそれ以下となるように運転し(図7の実線)、燃焼後期ないし末期にアウトチャンネル流量を定格値(100%)に戻して運転することができる(図7の破線)。
【0037】
アウトチャンネルの流量を定格値の30%にする流量制御は、図6(a)の制御棒駆動例に近い状態で制御棒10を駆動させ、また、アウトチャンネルの流量を30%から定格値にする流量上昇制御は、図6(c)の制御棒駆動例に近い状態で制御棒10を駆動させることで実現できる。
【0038】
本発明では、沸騰水型原子炉Uの制御棒10によって、その制御棒10に設けられた凸条部14によってアウトチャンネルを対象としたボイド率制御が可能となる。そのため、インチャンネルのみを対象とした従来のボイド率制御で問題となっていた燃料集合体5の熱的余裕に基づくボイド率の可変幅の制限が解消される。例えば、本実施形態の沸騰水型原子炉Uでは、インチャンネルにおけるボイド率を40%とし且つアウトチャンネルにおけるボイド率を20%とすることで、炉心部2全体としての平均ボイド率をインチャンネルにおけるボイド率に換算して50%相当以上にできることが確認された。その結果、運転サイクル途中で、無限増倍率の変更が可能となる。
【0039】
図8は沸騰水型原子炉Uの作用説明図であり、(a)は燃焼度と無限増倍率の関係に関わる従来例との比較図、(b)は燃焼度と径方向出力ピーキング係数の関係に関わる従来例との比較図である。図8(a)および(b)において、破線は従来の沸騰水型原子炉の運転方法に関わる実績データであり、実線は本実施形態の沸騰水型原子炉Uの運転方法に関わる実験データである。
【0040】
制御棒10の駆動(図6参照)により、燃焼初期にアウトチャンネルの流量を定格の30%とし、燃焼後期(例えば、約22GWd/t時点)にアウトチャンネルの流量を定格値に戻すことにより、図8(a)に示すよう、従来の沸騰水型原子炉の運転方法と比較して、燃焼初期には余剰反応度を抑えることができ、燃焼後期には一定以上の余剰反応度を確保することができる。つまり、従来の沸騰水型原子炉と比較して、中性子スペクトルを燃焼初期に硬化させることができ、燃焼後期に軟化させることができる。
【0041】
また、この制御棒10を用いると、燃料集合体断面内の径方向出力ピーキングに対して次のような影響が生じる。図8(b)に示すように、燃焼初期には従来の沸騰水型原子炉の運転方法と比較して外周の中性子束が抑えられるため、径方向出力ピーキング係数を小さい値に抑えることができる。このため、例えば、核燃料の初期装荷量を増やしても、アウトチャンネルのボイド率制御を通じて過剰な反応度を抑えておくことができる。
【0042】
次に、沸騰水型原子炉Uの効果を説明する。
【0043】
(1)沸騰水型原子炉Uの制御棒10は、制御棒挿入方向Dに沿って間隔を置いて配置され且つ燃料支持金具6の制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出す複数の凸条部14を備える。このため、バイパス流路16の流動抵抗調節を通じたアウトチャンネルにおけるボイド率制御をも行えるようになる。つまり、従来の沸騰水型原子炉と比較して幅広い範囲で炉心内のボイド率を制御できるため、燃焼初期には中性子スペクトルを大きく硬化させ、燃焼後期には中性子スベクトルを大きく軟化させることができる。よって、燃焼初期にて余剰反応度を抑えつつプルトニウムを効率的に生成・蓄積し且つ燃焼後期にてプルトニウムを効率的に燃焼できる。また、ボイド率制御を担う凸条部14は制御棒10に設けられるため、燃料支持金具6の設計仕様、特に制御棒ガイド路13の開口幅を変更することなく、上記効果を得ることができる。
【0044】
(2)制御棒10の凸条部14は、制御棒10の外周に沿って連続的に設けられる。このため、アウトチャンネルのボイド率を増大させることができ、(1)の効果が高められる。
【0045】
(3)制御棒10の凸条部14は、制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出す突設方向の寸法をHとし、隣り合う凸条部との距離をLとしたとき、H/L=0.2〜0.3の条件を満たすように構成される。このため、アウトチャンネルのボイド率を効率よく増大させることができ、(1)の効果が高められる。
【0046】
(第2実施形態)
図9は本発明に係る沸騰水型原子炉の第2実施形態を示す要部図である。本実施形態は、第1実施形態の沸騰水型原子炉Uにおける制御棒10の凸条部14を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態の構成を変更し或いは新たに追加した構成は符号に「A」を付して説明する。
【0047】
本実施形態の制御棒10Aの凸条部14Aは、図9に示すように、制御棒挿入方向Dに向かって倒れるように傾斜角θ(鈍角)が設定される。最近の研究成果(“最適歯角を有するラビリンスシール内流れに関する数値的研究”,第18回数値流体力学シンポジウムE1−5,(社)日本流体力学学会,2004)を沸騰水型原子炉における制御棒に反映させたものである。
【0048】
このように、凸条部14Aの傾斜角θを鈍角設定することにより、傾斜角θとして90℃以下の鋭角設定の場合と比較して渦流のエネルギー損失が大きくなることが、上記研究成果から期待できる。このため、渦流の滞留によりバイパス流路16の流路抵抗が大きくなり、第1実施形態の(1)の効果を高めることができる。
【0049】
(第3実施形態)
図10は本発明に係る沸騰水型原子炉の第3実施形態を示す要部図である。本実施形態は、第1実施形態の沸騰水型原子炉Uにおける制御棒10の凸条部14を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態の構成を変更し或いは新たに追加した構成は符号に「B」を付して説明する。
【0050】
本実施形態の制御棒10Bの凸条部14Bは、図10に示すように、少なくとも上面が制御棒挿入方向Dと逆の方向に向かって下る傾斜角φ(鈍角)が設定され、全体として縦断面視片刃状ないし三角形状に構成される。なお、制御棒挿入方向Dに向かってカウントして最終段の凸条部14Bについては第実施形態の凸条部14と同様である。
【0051】
このように、凸条部14Bの形状として、制御棒挿入方向Dと逆方向に向かって下る傾斜角φを設定し且つ縦断面視片刃状ないし三角形状とすることにより、渦流を効率よく発生させることができ、もってバイパス流路16の流路抵抗を大きくできる。したがって、第1実施形態の(1)の効果を高めることができる。
【0052】
以上、本発明に係る沸騰水型原子炉およびその運転方法を第1実施形態〜第3実施形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載の発明の要旨を逸脱しない限り設計の変更や追加等は許容される。
【0053】
例えば、ボイド率制御を担う制御棒の凸条部は、B4C或いはハフニウム等の中性子吸収材が充填される制御棒有効部のほか、制御棒上部のエンドプラグ等に設けることができる。また、凸条部の段数は、特に制限されず、ボイド率の制御能を考慮して適宜設定できる。なお、凸条部を有する制御棒は、インターナルポンプを備えた改良型沸騰水型原子炉など、沸騰水型の原子炉であれば適用できる。
【符号の説明】
【0054】
U……沸騰水型原子炉, D……制御棒挿入方向, 1……原子炉圧力容器, 2……炉心部, 3……上部格子板, 4……炉心支持板, 5……燃料集合体, 6……燃料支持金具, 7……下部プレナム, 8……制御棒駆動機構ハウジング, 9……制御棒案内管, 10……制御棒, 11……冷却材の主流, 12……冷却材の支流(バイパス流), 13……制御棒ガイド路, 14……凸条部, 15…制御棒ガイド路内壁, 16……バイパス流路, 17……制御棒挿通路の拡大部, 18……縮流, 19……渦流。
【技術分野】
【0001】
本発明は、核燃料の高燃焼度化を目指した沸騰水型原子炉およびその運転方法に係り、特に、炉心を循環する冷却材のボイド率制御によって高燃焼度化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、原子力発電の経済性向上や使用済核燃料低減の観点から、核燃料の高燃焼度化を目指した開発が進められている。
【0003】
沸騰水型原子炉(特許文献1参照)の高燃焼度化にあっては、燃焼初期に高ボイド率運転にて中性子スペクトルを硬化させてプルトニウムを生成・蓄積しておき、燃焼後期に低ボイド率運転にて中性子スペクトルを軟化させて蓄積したプルトニウムを効率的に燃焼させる反応度制御が有効とある。
【0004】
このような反応制御の方法として、燃料集合体内部のインチャンネルを対象として、燃焼初期に冷却材流量を減少させることによりボイド率を上昇させ、燃焼後期に冷却材流量を増加させることによりボイド率を降下させて行う流量スペクトルシフト運転が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
図11は流量スペクトルシフト運転の説明図である。図11において、沸騰水型原子炉の4体1組の燃料集合体の配置間スペース(アウトチャンネル)におけるボイド率を一定(40%)にした定常流量運転のシミュレーション結果を破線で示し、燃焼初期に高ボイド率(50%)で運転して途中で低ボイド率(30%)に切り替えた流量スペクトルシフト運転のシミュレーション結果を実線で示している。流量スペクトルシフト運転によると、余剰反応度を燃焼初期に抑制することができ且つ燃焼後期に一定以上に得ることができる。
【0006】
すなわち、冷却材のボイド率制御を通じて中性子の減速制御が可能となることから、燃焼初期に中性子スペクトルを硬化させ燃焼後期に中性子スベクトルを軟化させることが可能になる。ゆえに、この流量スペクトルシフト運転によれば、燃焼初期の余剰反応度を抑制しつつ、燃焼初期にプルトニウムを生成・蓄積すると共に燃焼後期にプルトニウムを効率的に燃焼することが可能なように思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−11081号公報
【特許文献2】特開平7−128489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2で説明される流量スペクトルシフト運転では、燃料集合体内部のインチャンネル流のボイド率を制御できるに留まり、定格流量の70%〜115%の流量変化幅を設定した場合でも平均ボイド率は最大47%、最小34%であった。また、この流量スペクトルシフト運転では、定格流量の70%に対応するインチャンネル出口のボイド率は80%以上になると予想され、ボイド率の上限値は炉心の熱的余裕との関係においても制限を受けることになる。つまり、従来の流量スペクトルシフト運転では、ボイド率すなわち、余剰反応度の可変幅が限定されるため、沸騰水型原子炉のさらなる高燃焼度化を図るためには余剰反応度可変幅の拡大のための新たな技術が求められている。
【0009】
なお、高燃焼度化については、核燃料物質をより多く炉心に装荷することが1つの有効策となるが、燃焼初期の余剰反応度が必然的に大きくなり、臨界安全性の点で好ましいものではない。なお、燃焼初期の余剰反応度を抑える方法として、ガドリニアなどの可燃性毒物を一部の燃料棒に混入するものが知られているが、可燃性毒物は核分裂により発生した中性子を吸収するため反応度経済を悪化させるものであり、また、高濃縮度可燃性毒物は新たな技術課題であり、燃料製造コストが増大するという問題がある。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、幅広い範囲で冷却材のボイド率を制御でき、燃焼初期にて余剰反応度を抑えつつプルトニウムを効率的に生成・蓄積し且つ燃焼後期にてプルトニウムを効率的に燃焼できる沸騰水型原子炉およびその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した目的を達成するため、本発明に係る沸騰水型原子炉では、燃料集合体を支持すると共に制御棒ガイド路を形成する燃料支持金具を有し、炉心を循環する冷却材が燃料集合体内部に案内されインチャンネル流となる冷却材の主流と、制御棒ガイド路を通って燃料集合体間に案内される冷却材のアウトチャンネル流に分岐する沸騰水型原子炉において、制御棒挿入方向に沿って間隔を置いて配置され且つ燃料支持金具の制御棒ガイド路内壁に向かって張り出す複数の凸条部を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る沸騰水型原子炉の運転方法では、燃料集合体を支持すると共に制御棒ガイド路を形成する燃料支持金具を有し、炉心を循環する冷却材が燃料集合体内部に案内されインチャンネル流となる冷却材の主流と、制御棒ガイド路を通って燃料集合体間に案内される冷却材のアウトチャンネル流に分岐する沸騰水型原子炉において、前記制御棒の一部の領域を対象とし、燃料支持金具の制御棒ガイド路の流動抵抗をコントロールするように張り出す複数の凸条部を制御棒挿入方向に沿って間隔を置いて設けておき、前記制御棒ガイド路に対する制御棒の挿入量を調節することにより、制御棒ガイド路の流路抵抗を調節することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、幅広い範囲で冷却材のボイド率を制御でき、燃焼初期にて余剰反応度を抑えつつプルトニウムを効率的に生成・蓄積し且つ燃焼後期にてプルトニウムを効率的に燃焼できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る沸騰水型原子炉の第1実施形態を示す図。
【図2】図1の沸騰水型原子炉の要部説明図であり、(a)は図1のII−II線断面図、(b)は図2(a)のP部拡大図。
【図3】図1の沸騰水型原子炉の作用説明図。
【図4】図2の沸騰水型原子炉における凸条部の形状特性を示す図。
【図5】図2の沸騰水型原子炉における凸条部の段数特性を示す図。
【図6】図1の制御棒を用いたボイド率制御の説明図であり、(a)は高ボイド率時の制御棒駆動例を示す図、(b)は中間ボイド率時の制御棒駆動例を示す図、(c)は低ボイド率制御時の制御棒駆動例を示す図。
【図7】図1の制御棒の駆動によるボイド率制御の実例説明図。
【図8】図1の沸騰水型原子炉の作用説明図であり、(a)は燃焼度と無限増倍率の関係に関わる従来例との比較図、(b)は燃焼度と径方向出力ピーキング係数の関係に関わる従来例との比較図。
【図9】本発明に係る沸騰水型原子炉の第2実施形態を示す要部図。
【図10】本発明に係る沸騰水型原子炉の第3実施形態を示す要部図。
【図11】流量スペクトルシフト運転の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る沸騰水型原子炉およびその運転方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る沸騰水型原子炉の第1実施形態を示す図である。
【0017】
沸騰水型原子炉Uは、原子炉圧力容器1の内部に設けられる炉心部2において上部格子板3と炉心支持板4とで燃料集合体5を支持する。燃料集合体5はウラン235を主な燃料核種とした複数の燃料棒を束ねて構成され、その下端は炉心支持板4に取り付けられた燃料支持金具6に4体1組で嵌め込まれる。
【0018】
炉心支持板4下方の下部プレナム7には、制御棒駆動機構(図示省略)を収容する制御棒駆動機構ハウジング8が設けられ、その上部延長線に制御棒案内管9が設けられる。制御棒10は、制御棒駆動機構の制御を受けて昇降駆動され、横断面十字状に設定された4翼の制御棒有効部が4体1組の燃料集合体5の隙間を縫って炉心部2に挿入され或いは引き抜かれる。
【0019】
図2は沸騰水型原子炉Uの要部説明図であり、(a)は図1のII−II線断面図、(b)は図2(a)のP部拡大図である。
【0020】
図2(a)に示すように、沸騰水型原子炉Uの下部プレナム7では再循環系のジェットポンプ(図示省略)の作用により冷却材が循環しており、冷却材の主流11は燃料支持金具6の内側を通って燃料集合体5の内部に案内されるインチャンネル流となる。一方、インチャンネル流となる冷却材の主流11から分岐した支流12(以下、バイパス流12)は、制御棒ガイド路13を通って炉心部2に配置される燃料集合体5の配置間スペース(アウトチャンネル)へと案内され、アウトチャンネル流となる。なお、インチャンネル流およびアウトチャンネル流となった冷却材は、炉心部2で核分裂エネルギーを奪って沸騰して蒸気となり、タービン駆動力として利用される。
【0021】
沸騰水型原子炉Uの制御棒10は、図2(a)および(b)に示すように、例えば4つの凸条部14を備える。各凸条部14は、横断面十字状に構成される制御棒10の4翼それぞれにおいて、制御棒挿入方向Dに沿って間隔を置いて設けられ、燃料支持金具6に形成される制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出すように構成される。また、各凸条部14は、制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出す突設方向の寸法をHとし、隣り合う凸条部14との離間距離をLとしたとき、H/L=0.2〜0.3の条件を満たすように構成される。さらに、各凸条部14は、制御棒挿入方向Dに沿って間隔を置いて設けられ且つ制御棒10の外周に沿って連続的に設けられる(図1参照)。
【0022】
次に、沸騰水型原子炉の作用を説明する。
【0023】
沸騰水型原子炉Uの核設計においては、アウトチャンネルのボイド率をゼロと仮定し、インチャンネルのボイド率を一様と仮定した中性子計算モデルが用いられる。しかし、アウトチャンンルはインチャンネルよりも冷却材流路断面積が大きくなるように設計されているのが一般的である。したがって、アウトチャンネルを流れる冷却材のボイド率制御を通じて、炉心全体のボイド率制御を行うことは十分可能である。
【0024】
ここで、アウトチャンネルの冷却材は、エンタルピhoutch.が飽和エンタルピhsatを越えれば沸騰する。したがって、式(1)に従い、アウトチャンネルを流れる冷却材の発熱量Qoutch.を増加させ或いは流量Woutch.を減少させ、アウトチャンネルを流れる冷却材のエンタルピhoutch.が飽和エンタルピを超えるようにすれば、アウトチャンネルを流れる冷却材のボイド率を高めることができる。また、発熱量Qoutch.を減少させ或いは流量Woutch.を増加させれば、アウトチャンネルを流れる冷却材のボイド率を減少させることができる。
【数1】
【0025】
図3は沸騰水型原子炉Uの作用説明図である。
【0026】
沸騰水型原子炉Uの制御棒10には、燃料支持金具6の制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出す複数の凸条部14が設けられ、各凸条部14は制御棒挿入方向Dに沿って設けられる。下部プレナム7から炉心部2に向かう冷却材の流路のうち、制御棒ガイド路13に向かうバイパス流12は、制御棒10に設けられた複数の凸条部14を順次通過することとなる。
【0027】
バイパス流12の冷却材は、制御棒ガイド路13に形成される冷却材の流路(以下、バイパス流路)16を初め縮流18となり、後に拡流となって、バイパス流路16の拡大部17に流入する。拡大部17に流入した冷却材は、凸条部14に突き当たって反転し、渦流19形成する。拡大部17の渦流19は、バイパス流路16の流路抵抗を増大させるように働く。渦流19によってバイパス流路16の流路抵抗が増大すると、アウトチャンネル流となる冷却材のバイパス流12が減少する。逆に、バイパス流路16の流路抵抗が減少すると、アウトチャンネル流となる冷却材の支流12が増加する。渦流19に基づくバイパス流路16の流路抵抗は、凸条部14の寸法のうち、制御棒ガイド路内壁15に張り出す突設方向の寸法Hと隣り合う凸条部14との離間距離Lとの比(H/L)を適切に設定することで所望の大きさに設定できる。
【0028】
図4は制御棒10に設けられる凸条部14の形状特性を示す図であり、H/Lと吹き抜け流量との相関図である。「吹き抜け流量」は、最終段の凸条部14を通過して炉心部2に流入する冷却材のバイパス流に関する流量である。図4に示すH/Lと吹き抜け流量との相関は、「‘管路・ダクトの流体抵抗’,(社)日本機械学会 技術資料,p154(図9・59),昭和54年1月20日」で説明される実験結果を、沸騰水型原子炉Uに適用するために行なった特性実験の結果により裏付けられている。
【0029】
図4に示すように、H/Lの吹き抜け流量に対する感度は大きい。H/Lがゼロに近い状態、すなわち、凸条部14が設けられない状態から次第にH/Lを大きくしていくと、吹き抜け流量が急激に減少していく。吹き抜け流量は、H/Lが0.2〜0.3の当たりで最小となり、その後、やや増大した後に略一定となる特性がある。したがって、凸条部14の形状としては、流動抵抗の効率的な発生の観点から、H/L=0.2〜0.3となる条件が満たされるものであることが好ましい。
【0030】
図5は制御棒10に設けられる凸条部14の段数(個数)特性を示す図であり、凸条部14の段数と吹き抜け流量との相関図(実験結果)である。図5に示すように、バイパス流路16における吹き抜け流量は、凸条部14の段数を「n」とすると、√nに比例して減少する特性を示す。したがって、バイパス流路16の流路抵抗は、隣り合う凸条部14の段数を調節することによっても可能となる。一般に、流路の圧力損失係数Kと流量Wは、次式(2)の関係を満たす。例えば、凸条部14の段数を2段から4段に変更すると圧力損失係数が1/2となるとき、凸条部14の段数を2段から4段に変更することで、吹き出し流量を約0.7倍に変更できる(Wn=2/Wn=4=√0.5≒0.7)。
【数2】
【0031】
このように、制御棒10の一部の領域に凸条部14を設け、凸条部14の形状(H/L)やその段数を調節することにより、バイパス流路16の流路抵抗を調節でき、アウトチャンネルに至る冷却材の主流11とインチャンネルに至る冷却材のバイパス流12との比率を調節できる。つまり、制御棒10の凸条部14によって、アウトチャンネルにおけるボイド率を制御できるようになる。
【0032】
アウトチャンネルにおけるボイド率制御は、制御棒ガイド路13における制御棒10の挿入量の調節によって可能となる。図6は制御棒10を用いたボイド率制御の説明図であり、(a)は高ボイド率時の制御棒駆動例を示す図、(b)は中間ボイド率時の制御棒駆動例を示す図、(c)は低ボイド率制御時の制御棒駆動例を示す図である。
【0033】
図6(a)に示す制御棒駆動例は、バイパス流路16の領域に最大数の凸条部14が位置するように制御棒10を駆動させたものである。この場合、バイパス流路16において渦流19が形成される拡大部17(図4参照)が最大数となることから、吹き出し流量が最小となり、アウトチャンネルにおけるボイド率が最大となる。
【0034】
図6(c)に示す制御棒駆動例は、バイパス流路16の領域に最小数の凸条部14が位置するように制御棒10を駆動させたものである。この場合、バイパス流12において渦流19が形成される拡大部17が最小数となることから、吹き出し流量が最大となり、アウトチャンネルにおけるボイド率は最小となる。凸条部14は、制御棒10の制御棒挿入方向Dに沿って間隔を置いて複数設けられているため、アウトチャンネルのボイド率は幅広い範囲で制御可能となる。
【0035】
図7は制御棒10の駆動によるボイド率制御の実例説明図である。
【0036】
従来の沸騰水型原子炉では、原子炉運転サイクル途中のアウトチャンネル流量を直接に制御することはなされていなかった。これに対し、本実施形態の沸騰水型原子炉Uでは、制御棒10の駆動(図6参照)を通じて、図7に示すように、燃料の燃焼初期にアウトチャンネルの流量が定格の30%或いはそれ以下となるように運転し(図7の実線)、燃焼後期ないし末期にアウトチャンネル流量を定格値(100%)に戻して運転することができる(図7の破線)。
【0037】
アウトチャンネルの流量を定格値の30%にする流量制御は、図6(a)の制御棒駆動例に近い状態で制御棒10を駆動させ、また、アウトチャンネルの流量を30%から定格値にする流量上昇制御は、図6(c)の制御棒駆動例に近い状態で制御棒10を駆動させることで実現できる。
【0038】
本発明では、沸騰水型原子炉Uの制御棒10によって、その制御棒10に設けられた凸条部14によってアウトチャンネルを対象としたボイド率制御が可能となる。そのため、インチャンネルのみを対象とした従来のボイド率制御で問題となっていた燃料集合体5の熱的余裕に基づくボイド率の可変幅の制限が解消される。例えば、本実施形態の沸騰水型原子炉Uでは、インチャンネルにおけるボイド率を40%とし且つアウトチャンネルにおけるボイド率を20%とすることで、炉心部2全体としての平均ボイド率をインチャンネルにおけるボイド率に換算して50%相当以上にできることが確認された。その結果、運転サイクル途中で、無限増倍率の変更が可能となる。
【0039】
図8は沸騰水型原子炉Uの作用説明図であり、(a)は燃焼度と無限増倍率の関係に関わる従来例との比較図、(b)は燃焼度と径方向出力ピーキング係数の関係に関わる従来例との比較図である。図8(a)および(b)において、破線は従来の沸騰水型原子炉の運転方法に関わる実績データであり、実線は本実施形態の沸騰水型原子炉Uの運転方法に関わる実験データである。
【0040】
制御棒10の駆動(図6参照)により、燃焼初期にアウトチャンネルの流量を定格の30%とし、燃焼後期(例えば、約22GWd/t時点)にアウトチャンネルの流量を定格値に戻すことにより、図8(a)に示すよう、従来の沸騰水型原子炉の運転方法と比較して、燃焼初期には余剰反応度を抑えることができ、燃焼後期には一定以上の余剰反応度を確保することができる。つまり、従来の沸騰水型原子炉と比較して、中性子スペクトルを燃焼初期に硬化させることができ、燃焼後期に軟化させることができる。
【0041】
また、この制御棒10を用いると、燃料集合体断面内の径方向出力ピーキングに対して次のような影響が生じる。図8(b)に示すように、燃焼初期には従来の沸騰水型原子炉の運転方法と比較して外周の中性子束が抑えられるため、径方向出力ピーキング係数を小さい値に抑えることができる。このため、例えば、核燃料の初期装荷量を増やしても、アウトチャンネルのボイド率制御を通じて過剰な反応度を抑えておくことができる。
【0042】
次に、沸騰水型原子炉Uの効果を説明する。
【0043】
(1)沸騰水型原子炉Uの制御棒10は、制御棒挿入方向Dに沿って間隔を置いて配置され且つ燃料支持金具6の制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出す複数の凸条部14を備える。このため、バイパス流路16の流動抵抗調節を通じたアウトチャンネルにおけるボイド率制御をも行えるようになる。つまり、従来の沸騰水型原子炉と比較して幅広い範囲で炉心内のボイド率を制御できるため、燃焼初期には中性子スペクトルを大きく硬化させ、燃焼後期には中性子スベクトルを大きく軟化させることができる。よって、燃焼初期にて余剰反応度を抑えつつプルトニウムを効率的に生成・蓄積し且つ燃焼後期にてプルトニウムを効率的に燃焼できる。また、ボイド率制御を担う凸条部14は制御棒10に設けられるため、燃料支持金具6の設計仕様、特に制御棒ガイド路13の開口幅を変更することなく、上記効果を得ることができる。
【0044】
(2)制御棒10の凸条部14は、制御棒10の外周に沿って連続的に設けられる。このため、アウトチャンネルのボイド率を増大させることができ、(1)の効果が高められる。
【0045】
(3)制御棒10の凸条部14は、制御棒ガイド路内壁15に向かって張り出す突設方向の寸法をHとし、隣り合う凸条部との距離をLとしたとき、H/L=0.2〜0.3の条件を満たすように構成される。このため、アウトチャンネルのボイド率を効率よく増大させることができ、(1)の効果が高められる。
【0046】
(第2実施形態)
図9は本発明に係る沸騰水型原子炉の第2実施形態を示す要部図である。本実施形態は、第1実施形態の沸騰水型原子炉Uにおける制御棒10の凸条部14を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態の構成を変更し或いは新たに追加した構成は符号に「A」を付して説明する。
【0047】
本実施形態の制御棒10Aの凸条部14Aは、図9に示すように、制御棒挿入方向Dに向かって倒れるように傾斜角θ(鈍角)が設定される。最近の研究成果(“最適歯角を有するラビリンスシール内流れに関する数値的研究”,第18回数値流体力学シンポジウムE1−5,(社)日本流体力学学会,2004)を沸騰水型原子炉における制御棒に反映させたものである。
【0048】
このように、凸条部14Aの傾斜角θを鈍角設定することにより、傾斜角θとして90℃以下の鋭角設定の場合と比較して渦流のエネルギー損失が大きくなることが、上記研究成果から期待できる。このため、渦流の滞留によりバイパス流路16の流路抵抗が大きくなり、第1実施形態の(1)の効果を高めることができる。
【0049】
(第3実施形態)
図10は本発明に係る沸騰水型原子炉の第3実施形態を示す要部図である。本実施形態は、第1実施形態の沸騰水型原子炉Uにおける制御棒10の凸条部14を変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成は同一符号を付して説明を省略し、第1実施形態の構成を変更し或いは新たに追加した構成は符号に「B」を付して説明する。
【0050】
本実施形態の制御棒10Bの凸条部14Bは、図10に示すように、少なくとも上面が制御棒挿入方向Dと逆の方向に向かって下る傾斜角φ(鈍角)が設定され、全体として縦断面視片刃状ないし三角形状に構成される。なお、制御棒挿入方向Dに向かってカウントして最終段の凸条部14Bについては第実施形態の凸条部14と同様である。
【0051】
このように、凸条部14Bの形状として、制御棒挿入方向Dと逆方向に向かって下る傾斜角φを設定し且つ縦断面視片刃状ないし三角形状とすることにより、渦流を効率よく発生させることができ、もってバイパス流路16の流路抵抗を大きくできる。したがって、第1実施形態の(1)の効果を高めることができる。
【0052】
以上、本発明に係る沸騰水型原子炉およびその運転方法を第1実施形態〜第3実施形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載の発明の要旨を逸脱しない限り設計の変更や追加等は許容される。
【0053】
例えば、ボイド率制御を担う制御棒の凸条部は、B4C或いはハフニウム等の中性子吸収材が充填される制御棒有効部のほか、制御棒上部のエンドプラグ等に設けることができる。また、凸条部の段数は、特に制限されず、ボイド率の制御能を考慮して適宜設定できる。なお、凸条部を有する制御棒は、インターナルポンプを備えた改良型沸騰水型原子炉など、沸騰水型の原子炉であれば適用できる。
【符号の説明】
【0054】
U……沸騰水型原子炉, D……制御棒挿入方向, 1……原子炉圧力容器, 2……炉心部, 3……上部格子板, 4……炉心支持板, 5……燃料集合体, 6……燃料支持金具, 7……下部プレナム, 8……制御棒駆動機構ハウジング, 9……制御棒案内管, 10……制御棒, 11……冷却材の主流, 12……冷却材の支流(バイパス流), 13……制御棒ガイド路, 14……凸条部, 15…制御棒ガイド路内壁, 16……バイパス流路, 17……制御棒挿通路の拡大部, 18……縮流, 19……渦流。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料集合体を支持すると共に制御棒ガイド路を形成する燃料支持金具を有し、炉心を循環する冷却材が燃料集合体内部に案内されインチャンネル流となる冷却材の主流と、制御棒ガイド路を通って燃料集合体間に案内される冷却材のアウトチャンネル流に分岐する沸騰水型原子炉において、
前記制御棒は、制御棒挿入方向に沿って間隔を置いて配置され且つ燃料支持金具の制御棒ガイド路内壁に向かって張り出す複数の凸条部を備えることを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項2】
前記制御棒の凸条部は、制御棒の外周に沿って連続的に設けられることを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項3】
前記制御棒の凸条部は、制御棒ガイド路内壁に向かって張り出す突設方向の寸法をHとし、隣り合う凸条部との距離をLとしたとき、H/L=0.2〜0.3の条件を満たすように構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項4】
前記制御棒の凸条部は、制御棒挿入方向に倒れるように傾斜が設定されることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項5】
前記制御棒の凸条部は、制御棒挿入方向と逆方向に向かって下る傾斜が設定された縦断面片刃状に構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項6】
前記制御棒の凸条部は、制御棒駆動を通じて、その全てが制御棒ガイド路から炉心部へと抜け出す状態、その全てが制御棒ガイド路に収まる状態、一部が制御棒ガイド路から炉心部へと抜け出し且つ他が制御棒ガイド路に収まる状態の各状態が形成されるように設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の沸騰水型原子炉の運転方法。
【請求項7】
燃料集合体を支持すると共に制御棒ガイド路を形成する燃料支持金具を有し、炉心を循環する冷却材が燃料集合体内部に案内されインチャンネル流となる冷却材の主流と、制御棒ガイド路を通って燃料集合体間に案内される冷却材のアウトチャンネル流に分岐する沸騰水型原子炉の運転方法において、
前記制御棒の一部の領域を対象とし、燃料支持金具の制御棒ガイド路の流動抵抗をコントロールするように張り出す複数の凸条部を制御棒挿入方向に沿って間隔を置いて設けておき、
前記制御棒ガイド路に対する制御棒の挿入量を調節することにより、制御棒ガイド路の流動抵抗を調節することを特徴とする沸騰水型原子炉の運転方法。
【請求項8】
沸騰水型原子炉の運転サイクル前半では、その後半と比較して、制御棒ガイド路の流路抵抗が大きくなるように制御棒の挿入量を調節することを特徴とする請求項7に記載の沸騰水型原子炉の運転方法。
【請求項9】
全ての凸条部が制御棒ガイド路に収まるように制御棒を駆動させる高ボイド率運転と、全ての凸条部が制御棒ガイド路から炉心部へと抜け出すように制御棒を駆動させる低ボイド率運転と、一部の凸条部が制御棒ガイド路から抜け出し且つ残りの凸条部が制御棒ガイド路に収まるように制御棒を駆動させる中ボイド率運転とを、燃料の燃焼度に応じて切り替えて行うことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の沸騰水型原子炉の運転方法。
【請求項1】
燃料集合体を支持すると共に制御棒ガイド路を形成する燃料支持金具を有し、炉心を循環する冷却材が燃料集合体内部に案内されインチャンネル流となる冷却材の主流と、制御棒ガイド路を通って燃料集合体間に案内される冷却材のアウトチャンネル流に分岐する沸騰水型原子炉において、
前記制御棒は、制御棒挿入方向に沿って間隔を置いて配置され且つ燃料支持金具の制御棒ガイド路内壁に向かって張り出す複数の凸条部を備えることを特徴とする沸騰水型原子炉。
【請求項2】
前記制御棒の凸条部は、制御棒の外周に沿って連続的に設けられることを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項3】
前記制御棒の凸条部は、制御棒ガイド路内壁に向かって張り出す突設方向の寸法をHとし、隣り合う凸条部との距離をLとしたとき、H/L=0.2〜0.3の条件を満たすように構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項4】
前記制御棒の凸条部は、制御棒挿入方向に倒れるように傾斜が設定されることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項5】
前記制御棒の凸条部は、制御棒挿入方向と逆方向に向かって下る傾斜が設定された縦断面片刃状に構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の沸騰水型原子炉。
【請求項6】
前記制御棒の凸条部は、制御棒駆動を通じて、その全てが制御棒ガイド路から炉心部へと抜け出す状態、その全てが制御棒ガイド路に収まる状態、一部が制御棒ガイド路から炉心部へと抜け出し且つ他が制御棒ガイド路に収まる状態の各状態が形成されるように設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の沸騰水型原子炉の運転方法。
【請求項7】
燃料集合体を支持すると共に制御棒ガイド路を形成する燃料支持金具を有し、炉心を循環する冷却材が燃料集合体内部に案内されインチャンネル流となる冷却材の主流と、制御棒ガイド路を通って燃料集合体間に案内される冷却材のアウトチャンネル流に分岐する沸騰水型原子炉の運転方法において、
前記制御棒の一部の領域を対象とし、燃料支持金具の制御棒ガイド路の流動抵抗をコントロールするように張り出す複数の凸条部を制御棒挿入方向に沿って間隔を置いて設けておき、
前記制御棒ガイド路に対する制御棒の挿入量を調節することにより、制御棒ガイド路の流動抵抗を調節することを特徴とする沸騰水型原子炉の運転方法。
【請求項8】
沸騰水型原子炉の運転サイクル前半では、その後半と比較して、制御棒ガイド路の流路抵抗が大きくなるように制御棒の挿入量を調節することを特徴とする請求項7に記載の沸騰水型原子炉の運転方法。
【請求項9】
全ての凸条部が制御棒ガイド路に収まるように制御棒を駆動させる高ボイド率運転と、全ての凸条部が制御棒ガイド路から炉心部へと抜け出すように制御棒を駆動させる低ボイド率運転と、一部の凸条部が制御棒ガイド路から抜け出し且つ残りの凸条部が制御棒ガイド路に収まるように制御棒を駆動させる中ボイド率運転とを、燃料の燃焼度に応じて切り替えて行うことを特徴とする請求項7または請求項8に記載の沸騰水型原子炉の運転方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−230540(P2010−230540A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79298(P2009−79298)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
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