説明

油圧操作装置

【課題】開放型作動油タンクの作動油にゼリー状の異物が発生することを抑制でき、作動油の交換時期を長くすることができる油圧操作装置を提供することである。
【解決手段】作動油タンク13は、油圧駆動部11に供給する作動油12を貯蔵するとともに、油圧駆動部11に供給する作動油12の油量変化に伴い外気を吸排出する通気口16を有して開放型に形成され、ポンプ14は、この作動油タンク13から油圧駆動部11に作動油を供給し、ブリーザ15は通気口16から作動油タンク13に吸排出する空気の水分を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気を吸排気する通気口を有した開放型作動油タンクから作動油を油圧駆動部に供給して油圧駆動部を駆動する油圧操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧駆動部に供給する作動油を貯蔵する作動油タンクには、開放型作動油タンクと密閉型作動油タンクとがある。開放型作動油タンクは大型の油圧機器に用いられ、外気を吸排気する通気口を有し、作動油により油圧駆動部を駆動した際に作動油タンクに貯蔵する作動油の油量が変動した場合であっても、通気口から外気を吸排気して作動油タンクの内圧を一定に保つものである。一方、密閉型作動油タンクは小型の油圧機器に用いられ、作動油タンクの内圧が変動した場合であっても、その内圧変動を作動油タンク本体で保持するものである。
【0003】
大型の油圧機器として、ガス遮断器を駆動する油圧駆動部がある。このガス遮断器の油圧駆動部に用いられている作動油タンクは開放型作動油タンクであり、開放型作動油タンクでは作動油が外気と接触し、空気や水分によって作動油が劣化することがあるので、定期的に作動油を交換することにより対応している。
【0004】
ここで、大型の作動油タンクとして、密閉形メインタンクとは別にサブタンクを設け、このサブタンクにより、密閉形メインタンクの作動油が外気と接触するのを防止して空気や水分によって作動油が劣化することを防止するとともに、メインタンクの内圧を一定に保つようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、油入変圧器において、変圧器本体を収容した変圧器タンク内に絶縁油を充填し、変圧器タンクの上部にコンサベータを取り付け、コンサベータの隔壁により絶縁油の膨脹油量を吸収するようにしたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−345511号公報
【特許文献2】特開2008−227268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、開放型作動油タンクにおいて、定期的に作動油を交換する時期以前に、作動油の劣化とは別の問題点が確認されるようになった。すなわち、作動油の交換時期以前に作動油が変質して、ゼリー状の異物が発生することが確認されるようになった。このような作動油の変質は単なる作動油の劣化とは異なり、サクションフィルタに目詰まりを発生させて油圧の昇圧が不能になるので、油圧駆動部を駆動できない事態となる。例えば、油圧機器がガス遮断器の油圧駆動部である場合には、ガス遮断器の開閉操作が行えないことになってしまい、電力系統の運用上にも支障を来すことになる。
【0008】
現状では、作動油中に発生したゼリー状異物を除去・消去することができないので、作動油の交換時期を見直し、早めに作動油を交換することで対処しているが、早めに作動油を交換することになるので、作動油の交換のための費用が高くなり、また、大量の廃油が発生することになる。
【0009】
本発明の目的は、開放型作動油タンクの作動油にゼリー状の異物が発生することを抑制でき、作動油の交換時期を長くすることができる油圧操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の油圧操作装置は、油圧駆動部に供給する作動油を貯蔵するとともに前記油圧駆動部に供給する作動油の油量変化に伴い外気を吸排出する通気口を有した開放型の作動油タンクと、前記作動油タンクから前記油圧駆動部に作動油を供給するポンプと、前記通気口から前記作動油タンクに吸排出する空気の水分を除去するブリーザとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、作動油にゼリー状の異物が発生するのは、作動油に水分が混入したときであることの知見に基づき、通気口から作動油タンクに吸排出する空気の水分を除去するブリーザを設けて、通気口から空気の水分が作動油に混入することを防止するので、作動油にゼリー状の異物の発生を抑制できる。これにより、作動油の交換時期を長くすることができ、作動油の交換作業の費用を低減でき、また、作動油の交換により発生する廃油を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る油圧操作装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態に係る油圧操作装置の構成図である。油圧操作装置は、油圧駆動部11に供給する作動油12を貯蔵する作動油タンク13と、作動油タンク13から油圧駆動部11に作動油12を供給するポンプ14と、作動油タンク13に吸排出する空気の水分を除去するためのブリーザ15とから構成される。
【0014】
油圧駆動部11は、大型の油圧機器、例えばガス遮断器の主接点の駆動機構を油圧で駆動するものである。作動油タンク12は油圧駆動部11に供給する作動油を貯蔵するものであり、開放型で構成されている。すなわち、作動油タンク12は外気を吸排気する通気口16を有し、作動油タンク12の内部は、作動油12だけでなく空気層17が形成されている。
【0015】
作動油タンク13に貯蔵する作動油12の油量が変動した場合に、通気口16から外気を吸排気して作動油タンク13の内圧を一定に保つ。例えば、作動油タンク13から油圧駆動部11に作動油12が供給されたときは、作動油タンク13の作動油12は減少するので、通気口16から外気を吸気する。これにより、空気層17が大きくなる。一方、油圧駆動部11から作動油12が戻ってきたときは、作動油タンク13の作動油12は増加するので、通気口16から外気を排気する。これにより、空気層17は小さくなる。このようにして、作動油タンク13の内圧を一定に保つようにしている。
【0016】
作動油タンク13に貯蔵する作動油12は、ポンプ14により油圧駆動部11に供給される。ポンプ14はモータ18により駆動される。例えば、油圧駆動部11がガス遮断器の主接点の駆動機構である場合には、ポンプ14によって油圧駆動部11側の油圧は高圧状態に維持されている。遮断器の投入指令は、油圧操作機構側の投入用電磁弁(図示せず)に伝えられ、当該電磁弁が開けられる。電磁弁が開くと高圧になっている油圧が流れ込み、遮断部の投入が行われる。
【0017】
次に、作動油タンク13の通気口16から吸排出する空気は、ブリーザ15を通して外気に吸排出される。ブリーザ15は、例えばシリカゲル19を実装した水分除去容器20を有し、水分除去容器20の空気出入口21から作動油タンク13に吸排出する空気が出入りする。空気出入口21にはシリカゲル19の落下防止用の金網22が設けられている。このように、作動油タンク13の通気口16から吸排出する空気は、矢印に示すように、ブリーザ15の水分除去容器20を通過して空気出入口21から外気に吸排出される。
【0018】
従って、水分除去容器20のシリカゲル19で空気の水分が除去され、作動油タンク13の空気層17の空気は乾燥空気となり、作動油タンク13の作動油12に水分が混入されることを防止できる。
【0019】
ここで、作動油12が変質してゼリー状の異物が発生するのは、作動油12に水分が混入したときに多いことが判明した。空気や水分によって作動油が劣化することは知られており、そのような作動油の劣化に対しては作動油の交換で対応しているが、それとは別に、作動油に水分が混入したときは、作動油の劣化による交換時期以前において、作動油12が変質してゼリー状の異物が発生することがあるとの知見を得た。
【0020】
そこで、本発明の実施の形態では、開放型の作動油タンク13の通気口16から作動油タンク13に吸排出する空気の水分を除去するブリーザ15を設けて、空気が作動油12に接触することは許容し、通気口16から空気の水分が作動油タンク13の作動油12に混入することを防止するようにした。これにより、作動油12にゼリー状の異物が発生することを抑制できる。また、作動油12の交換時期を通常の劣化に合わせた交換時期とすることができ、作動油の交換作業の費用を低減でき、また、作動油の交換により発生する廃油の増加を抑制できる。
【符号の説明】
【0021】
11…油圧駆動部、12…作動油、13…作動油タンク、14…ポンプ、15…ブリーザ、16…通気口、17…空気層、18…モータ、19…シリカゲル、20…水分除去容器、21…空気出入口、22…金網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧駆動部に供給する作動油を貯蔵するとともに前記油圧駆動部に供給する作動油の変化に伴い外気を吸排出する通気口を有した開放形の作動油タンクと、
前記作動油タンクから前記油圧駆動部に作動油を供給するポンプと、
前記通気口から前記作動油タンクに吸排出する空気の水分を除去するブリーザとを備えたことを特徴とする油圧操作装置。

【図1】
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