説明

油塗布方法とその装置

【課題】本発明は、油塗布装置に関し、従来のスプレイ式の油塗布装置においては、短時間で広範囲に塗布することができないことが課題であって、それを解決することである。
【解決手段】対象物4に油をノズルの噴射口から塗布する装置であって、ミスト装置2によって油を前記噴射口に粒子の大きさを1〜2μmの所要範囲に霧化して前記ノズル1に供給し、当該ノズル1に霧化されて供給された油を静電方式により前記対象物4に塗布する、とした油塗布装置Aとするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械類の摺動部や回転する軸受け更に工具などに微粒子の油滴を供給する油塗布方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、油の塗布方法として、空気を利用したスプレイ式が一般的に使用されている。この使用方法は、方向性を持たせ且つ対象物に油を確実に塗布するため、ノズルの径を小さくし空気の圧力を高くして使用している。その為、吹付け面積が小さいので広範囲に塗布したい場合、ノズルと対象物の距離を離して塗布を行うようにしている。このようなスプレイ式の油塗布装置として特許文献1のようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−66081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の油塗布装置では、広範囲に塗布するために距離を離すと吹き付ける圧力も下がり、対象物に油が付着せずに周囲に油が逃げてしまう。また、ムラなく薄く塗布することができない。その為、吹き付け面積が小さくなり、狭い範囲にしか塗布できず、微少量塗布することができないものである。本発明に係る油塗布装置は、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る油塗布方法の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、対象物に油をノズルの噴射口から塗布する装置であって、ミスト装置によって油を前記噴射口に粒子の大きさを1〜2μmの所要範囲に霧化して前記ノズルに供給し、当該ノズルに霧化されて供給された油を静電方式により前記対象物に塗布することである。
【0006】
本発明に係る油塗布装置の要旨は、ミスト装置と、該ミスト装置の吐出口と管を介して連結されたノズルと、該ノズルに高電圧を印加して霧化された油に帯電させる高電圧装置と、油塗布対象物を接地させるアース線とでなることである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油塗布方法とその装置によれば、油滴を1〜2μmの小さな粒径にして、さらに、これを静電によるクーロン力と空気の流れによって、対象物に油を確実に付着させることができる。更に、吹き付け圧力を小さくすることができるので、駆動ファン,モータ等の省エネとなってコスト低減となる、と言う優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る油塗布装置Aの概略構成図である。
【図2】同本発明の油塗布装置Aによる付着測定の結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る油塗布装置Aは、図1に示すように、ミスト装置2と静電式塗布装置(3,5)とを組み合わせたものである。
【実施例1】
【0010】
前記油塗布装置Aは、図1に示すように、ミスト装置2と、該ミスト装置2の吐出口と連結管2aを介して連結されたノズル1と、該ノズル1に高電圧を印加する高電圧装置3と、油塗布対象物4を接地させるアース線5とでなる。
【0011】
前記ミスト装置2は、例えば、油の粒径を1〜2μmにする。そのため、ノズル1は、ミニフォッガー若しくはクイックフォッガーとするとともに、液体と空気との二流体ノズルとする。また、ノズル1の径は、ミスト装置2で霧化された油のミストを液化させずに吐出するので、1μm〜2μm程度に大きくすることができる。
【0012】
なお、このミスト装置2の吐出口に、塗布の対象物4を近接させて設置できれば良いのであるが、ミスト装置の大きさから制限されるので、連結管(例えばナイロンチューブ)2aを介して、前記対象物4に油を塗布するものである。
【0013】
前記高電圧装置3は、公知の方式であり、前記ノズル1に搬送され霧化された油に印可して帯電させるものである。帯電され粒径が1〜2μmの油は、前記ミスト装置2の噴射された空気によって搬送されるとともに、対象物4が接地されているのでクーロン力で付着するものである。
【0014】
前記帯電され粒径が1〜2μmの油が、対象物4に付着する程度を電圧との関係で実験してみると、図2に示すように、電圧を上げていくと付着率が向上していることが判る
。かかる実験では、対象物4(200mm×400mm)として、それに付着した油量は0.24g、(15分測定)、1cmあたりの油量は、0.0003g/cm,対象物4とノズル1との距離は、30cmである。
【0015】
以上のような油塗布装置Aを形成して、対象物4に油を塗布すると、広い範囲に塗布することができる。また、吹き付け圧力も、確実に油を対象物4に付着させるため、従来は0.2〜0.4MPaで塗布していたが、0.01MPa以下の吹き付け圧力で行う。これは、吹き付けの圧力が高いと油の粒子同士がぶつかり合って大きくなるからである。
【0016】
このように、本発明に係る油塗布方法は、対象物4に油をノズル1の噴射口から塗布する装置であって、ミスト装置2によって油を前記ノズルの噴射口に粒子の大きさを1〜2μmの所要範囲にして供給し、当該ノズル1に霧化されて供給された油を静電方式により前記対象物に塗布するのである。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明に係る油塗布方法とその装置とは、油に限らず他の物質の塗布にも適用することが出来るものである。
【符号の説明】
【0018】
A 油塗布装置、
1 ノズル、
2 ミスト装置、 2a 連結管(ナイロンチューブ)、
3 高電圧装置、 3a ケーブル、
4 対象物、
5 アース線、
6 アース(大地)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に油をノズルの噴射口から塗布する装置であって、ミスト装置によって油を前記噴射口に粒子の大きさを1〜2μmの所要範囲に霧化して前記ノズルに供給し、当該ノズルに霧化されて供給された油を静電方式により前記対象物に塗布すること、
を特徴とする油塗布方法。
【請求項2】
ミスト装置と、該ミスト装置の吐出口と管を介して連結されたノズルと、該ノズルに高電圧を印加して霧化された油に帯電させる高電圧装置と、油塗布対象物を接地させるアース線とでなること、
を特徴とする油塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−192336(P2012−192336A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57874(P2011−57874)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000219989)TACO株式会社 (8)
【Fターム(参考)】