説明

油脂の処理方法

本発明は、従来処理の困難な飽和脂肪酸含量の多い油脂、特に廃油脂及び排出油脂の処理方法に関するものであり、加水分解直前の状態の油脂をオゾン処理と光照射処理を行うことを特徴とする油脂の処理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は油脂の処理方法に関し、特に飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸の含有率に関係なく廃油脂又は排出油脂を処理して再利用することができる油脂の処理方法に関する。
【背景技術】
現在、我が国における廃油脂の種類としては雑多である。例えば、牛油脂(ヘッド油)・牛骨油・内臓油脂・豚油脂(ラード油)豚骨油・内臓油脂・鶏油脂、その他動物油脂関係・植物油関係の精製時に発生する精製廃残渣油、動物油・植物油のレンタリングにおいて発生する動物フーツ油・植物フーツ油・そのフーツ油を処理するときに発生する強アルカリ性ダーク油、その他食品加工工場から排出される多種・多様の動植物の廃油脂、又は食品精製油を製造する段階で排出される副産物の廃棄される油脂で、例えば、大豆油、菜種油、コーン油などを製品化する時にでる一般に「油滓」と言われている排出油脂、或いは天ぷら廃油のような廃食油もかなりの数量排出されている。これらの廃(排)出される数量は年間合計1000万トン以上とも2000万トンともいわれているのが現状である。
更に、狂牛病の発生以来、牛由来の油脂については他の油脂と完全区別を行い焼却処分すると云う事になっているが、油脂のカロリーが高く、これを焼却処分するには焼却炉の耐久性が問題になり安全に焼却処分が出来ず処分、処理方法が開発されるまで完全区別し安全に保管する様義務づけされているが、現状は他の油脂に混入したりして思い通りに管理されていないので新しい処分、処理方法ガ開発される事が急務の課題になっている。
牛油脂類以外の動物油脂については一部、家畜の飼料、食品関係、化粧品関係に利用されているがその他のほとんどが焼却処分されている。また、食用の動物油脂・植物油脂の精製時に発生する廃残渣油脂については強アルカリ性廃油脂がほとんどであるため焼却炉の問題で焼却処分が出来ないのが現状である。
廃食油の一部については「メチルエステル化法」によってディーゼルエンジン燃料化へ利用されている。この方法は原料の廃食油にメタノールまたはエタノールと苛性ソーダを攪拌しながら混合しエマルジョンとした後、静置すると、不純物であるグリセリン等は、メタノール又はエタノールに吸着され静置状態の上部側に分離されるので下部側の油分を燃料として使用するのである。ただ、この方法は廃食油の廃食油の上質廃油しか精製出来ない。中質廃食油、下質廃食油、汚泥廃食油についてはまったく精製出来ない。その理由として「メチルエステル化法」は、いまから50年〜60年前に大豆、菜種等のバージン油を燃料化するため開発された技術であって、使用済みの酸化度が進んだ廃食油については対応できない。従って、中質廃食油、下質廃食油、汚泥廃食油みたいに酸化度が進行しているものは精製対象外としている。又、飽和脂肪酸の含有率の高い油脂については、全く論外である。また、一部「オゾン処理による廃食油・魚油のディーゼにルエンジン燃料化」が活用されている。この方法は、不飽和脂肪酸の含有率の高い油脂を対象にした技術である(例えば大豆油、菜種油、コーン油、椿油、魚油等がある)。
処理される原料(不飽和脂肪酸の含有率の高い油脂)を反応タンクへ流入し反応タンクの下部よりオゾンを投入し、オゾンの酸化力を利用して不飽和脂肪酸油脂の二重結合を切って燃料化する技術である。従って、不飽和脂肪酸の含有率の高い油脂の廃油の種類(上・中・下・汚泥油)は関係なく精製できるが動物油脂・パー厶油・パーム油残渣油・ヤシ油・ヤシ残渣油等のような融点が高く飽和脂肪酸の含有率の高い油脂については対応できない。又、強アルカリ性廃油についても対応できない。例えば、飽和脂肪酸の含有率の高い油脂を対応した場合、脂肪酸の二重結合を切るためオゾンを投入する。そのオゾンの投入量が多くなり投入時間が長くなると、その結果、飽和脂肪酸がオゾン反応により重合反応を起こす。この重合反応とは、油脂が固化する状態をいう。
油脂は大別して飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の二つに大別出来る。飽和脂肪酸の含有率が多くなるほど融点が高く固化率が高く時間的にも早く固化する。飽和脂肪酸が80%以上含有している油脂として牛油脂(ヘッド油)、牛骨油・豚油脂(ラード油)・豚骨油・鶏油・羊油脂・山羊油脂・馬油など動物系の油脂がある。植物系ではパーム油・パーム残渣油脂・ヤシ油・ヤシ残渣油脂等がある。
不飽和脂肪酸が80%以上含有している油脂として植物系では大豆・菜種・ひまわり・コーン等がある。動物系としては魚油がある。
比較的に不飽和脂肪酸の方が処理、処分しやすいので現在までの技術では不飽和脂肪酸の含有率の高い油脂について開発が進められてきた。
【発明の開示】
本発明は、油脂の処理方法であって、特に飽和脂肪酸の含有量の多い油脂を処理して燃料をはじめとして種々の油脂原料を提供することを目的とする。
本発明の要旨は加水分解直前の状態の油脂をオゾン処理と光照射処理を行うことを特徴とする油脂の処理方法である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の工程を示したフローシート、第2図及び第3図は本発明に係る処理装置の説明図であり、第4図は本発明で使用する光線照射装置の説明図、第5図は本発明に係る他の処理装置の説明図である。各図の符号は次の通りである。
1 原料タンク、 2 前処理タンク 3 前処理タンク
4 前ろ過フィルタープレス 5 プレコートタンク 6 油水分離装置
7 特殊光線装置 8 一次処理タンク 9 冷却チラー
10 一次ろ過フィルター 11 プレコートタンク 12二次処理タンク
プレス
13 二次ろ過フィルター 14 プレコートタンク 15 調整タンク
プレス 16 カートリッジタンク 17 蒸気発生装置、
18 オゾン発生装置 19 オゾン吐出口 20 原料気体パイプ
21 第1タンク(液化 22 第2タンク(液体 23 ろ過装置
タンク) 回収タンク)
24 気体液化燃料タンク 25 撹拌装置 26 撹拌装置
27 潤滑油回収装置
【発明を実施するための最良の形態】
本発明について詳細に述べる。
本発明において処理しうる廃油脂及び排出油脂としては、飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸の含有率に関係なく処理することができる。ここで廃油脂というのはレンダリング中にアルカリ処理されたり精製処理された油脂であるが、勿論何らの処理を受けてない油脂でもよい。具体的には牛油脂(ヘッド油)、牛骨油・豚油脂(ラード油)・豚骨油・鶏油・羊油脂・山羊油脂・馬油、魚油など動物系の油脂、或いは植物系ではパーム油・パーム残渣油脂・ヤシ油・ヤシ残渣油脂、大豆油、菜種油、ひまわり油、コーン油等の植物系油脂などを挙げることができる。
また、オゾン処理としては、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の二重結合、三重結合が、光波長によって切れやすくなるため、又はオゾン反応が速やかに進行するよう各処理反応タンクの下部からオゾンを投入するが、オゾン投入口に特殊加工が施されている。特殊加工とは、投入口パイプの内部に0.5ミクロンから1ミクロンに加工された金網が装置されている。そのことによって、オゾン粒子が超微粒子化され反応が充分行える等の条件にて行う。
これらの廃油脂又は排出油脂(これらを単に油脂と言う)を加水分解直前の状態にする。加水分解直前の状態にするには、油脂に水分(蒸気)を加え加熱処分するのであるが、その際、処理時間を短縮するために3〜10気圧程度加圧することが好ましい。加水分解直前の状態にすることによって安定な飽和脂肪酸は光照射及びオゾン処理によって反応しやすい状態としうる。
加水分解直前の状態にある油脂にオゾン処理および光照射処理を行う。オゾン処理および光照射処理の何れを先に行ってもよい。また、光照射処理としては、目的とする油の種類によって照射する光の波長を変えることが好ましく、例えば牛油脂等のディーゼルエンジン燃料化の場合は、155〜325nmの紫外線範囲が好ましく、また、使用する光線発生源のパワーによっては185nm〜256nmの波長を使用することができる。また、食品加工、化粧品加工に使用する場合0℃前後で固化しない油脂を作るときには356nm〜405nm〜800nmの紫外線、可視線、赤外線を組み合わせることによって0℃前後で固化しない油脂に解列反応をさせることができる。
【実施例】
[実施例1]
本発明の実施例として、牛油脂のディーゼルエンジン燃料化について図1に示したフローシートについて説明する。図2及び図3は本発明はその装置を説明するが、本発明はこの実施例によって制限されるものではない。
(a)約20リットルの原料タンク(1)に原料を供給する。 原料としては多種多様なものがあり、また、処理する目的によって原料タンクに於いて原料を加温する、目的によって原料の3%〜5%の水分を補充し原料調整を行う。
(b)原料調整した油脂は、第1前処理タンク(2)に送られる。第1前処理タンク(2)は原料タンクと同様に約20リットルの容量を有する。目的が牛油脂のディーゼルエンジン燃料化であるので加温する温度を120℃〜130℃まで上昇させ原料の3%〜8%の蒸気量を装置下部より投入するとともに同じ下部よりオゾン発生装置(18)より得られたオゾンを投入する。本前処理反応装置を1気圧〜2気圧に加圧を行い充分、攪拌を行う。目的として原料が加水分解反応直前まで反応させる。処理時間を短くするため本装置を3気圧〜10気圧に加圧することも可能である。又、本反応装置を150℃〜250℃に加温し原料の5%〜8%又は10%の蒸気を投入するとともにオゾンを投入する。その工程が終了後、反応装置をマイナス2気圧〜3気圧又はマイナス5気圧まで減圧を行い、前工程で使用した蒸気(水分)を除去する。これにより原料の加水分解反応直前まで反応させる。
(c)次に第1前処理タンクで加水分解反応直前の状態にある原料を第2前処理タンク(3)に投入する。第2前処理タンク(3)には投入された原料を超微粒子化させる攪拌装置を装着し1分間に300同転〜400回転で攪拌させる。超微粒子化装置とは攪拌装置の先端にステンレス製ワイヤブラシもしくはノコ目状に細工された攪拌プロペラを使用することによって原料の超微粒子化が計れる。
本装置に設置された加温装置によって減圧工程にて除去できなかった水分(蒸気)を加温し除去する。この時の温度は95℃〜100℃又は100℃〜120℃で行う。加水分解反応直前の原料油脂分の内部から不純物が抽出される。不純物を除去するために第1ろ過装置を通過させる。尚、本装置の工程中に装置の下部よりオゾンを投入する。オゾンを投入し酸化を促進しながら酸化過多にならないよう酸化を抑制するため、ノコくず又は木くずを原料の1%〜2%投入する。
(d)第1瀘過装置 第2前処理の工程が終了した原料を第1濾過装置を通過させる。目的として第2前処理工程中に抽出した不純物、例えばグリセリンや工程中に投入した吸着剤、木くず等を除去する。第1濾過装置は前ろ過フィルタープレス(4)より成り、前ろ過フィルタープレス(4)ではろ布をプレコートタンク(5)より供給される活性白土、珪藻土、ゼ才ライト、活性炭等の吸着剤によって塗布されている。これにより第2前処理装置で生じた不純物を吸着、除去する。吸着量としては、原料の1%〜3%、原料によっては2%〜6%投入し吸着させる。
(e)油水分離装置 油水分離装置の目的は、前工程の減圧水分除去において除去できず、水分が残っていた場合を考えて更に水分を除去することを目的とする。即ち、第2前処理装置の原料が第1ろ過装置でろ過され、油水分離装置(6)へ流入してくる。原料タンク装置、第1前処理装置で使用された水分(蒸気)が第2前処理装置で除去でさなかった水分が第1前処理装置、第2前処理装置でエマルジョン化(乳化状)されている水分を除去することを目的としている。
油水分離装置は筒状になっている。この筒の内部より原料を流入させ筒の外に原料を出す。この筒は持殊加工が施してあって内部から外に向かうほど通過する穴の口径が大きくなっている。内部の最初は1μから始まり外部の一番外は20μ〜30μに細工されており、エマルジョン化(乳化状)された原料(油・水分)の粒子(クラスター)を大きくすることによって筒状の外に排出されたとき、瞬時に油水分離するのである。
分離された油分は次工程へ進行する。分離された水分は活性炭ろ過後、再利用のため蒸気発生装置へ移行する。
(f)特殊光線照射処理装置 油水分離後の原料(油分)を特殊光線照射処理装置(7)へ流入する。本装置に使用する光線波長は牛油脂等のディーゼルエンジン燃料化の場合155nm〜325nmの紫外線範囲を使用する。使用する光線発生源のパワーによっては185nm〜256nmの波長を使用しても可である。飽和脂肪酸含有率の高い油脂関係を燃料以外に使用する場合、例えば食品加工、化粧品加工に使用する場合0℃前後で固化しない油脂を作る時には356nm〜405nm〜800nmの紫外線・可視線・赤外線の波長を組合せる事によって0℃前後で固化しない油脂に解列反応させる事が出来る。
照射する方法として光線管の外側にラセン状のガラス製又はシリコン製を細工し、そのラセン状を上から下へ原料を流し照射する。その1例を図4に示す。
その他の方法としてミスト状・霧状にして光線発生源に吹き付け照射するか又は、ドブづけ方式・ぬれかべ方式でも可であるが照射面積を広げることが大事である。以後図3に移る。
(g)一次処理装置 特殊光線照射処理装置(7)が終了した原料はこの時点で燃料化の場合着火性が表れている。又、燃料化以外の場合0℃前後で固化しなくなっている。一次処理装置(8)においては原料を燃料化の場合、燃料としての価値を向上させるため又、燃料以外の場合もその価値を高めるための処理である。移流されてきた原料に原料の1%〜2%の米ぬかを投入する。米ぬかによる油洗いを行うと同時に本装置下部に設けられたオゾン投入口よりオゾンを投入し油洗いとオゾン反応をさせる。(18)はオゾン発生装置である。
(h)第2濾過装置 第2濾過装置(10)はあらかじめプレコートタンク11より送入された活性白土、珪藻土、ゼ才ライト、活性炭のいずれかによって第2ろ過装置(10)内部を付着(ケーキ層)してある。そのケーキ層に一次処理装置工程中に投入された1%〜2%の米ぬかを除去し油性分の品質向上をさせる。
(i)二次処理装置 第2濾過装置(10)を通過した原料を二次処理装置(12)へ移流する。この装置の目的は融点の高い飽和脂肪酸の多い動物油脂関係、パー厶油脂関係、ヤシ油脂関係の油脂がマイナス温度で固化しないための装置である。装置の内部に装着された冷却装置によって使用目的によって原料を冷却する。冷却温度とその効果は次の通りである。
各精製工程を無事終了した原料は、二次処理装置、二次ろ過装置に移流される。二次処理装置で移流された原料を冷却装置によって5℃に冷却された原料を二次ろ過装置を通過ろ過すると、ろ過後の原料は冷凍庫内−7℃〜15℃まで固化しない。
原料を10℃に冷却→ −5℃〜−7℃まで固化しない
原料を5℃に冷却→ −7℃〜−15℃まで固化しない
原料を0℃〜1℃に冷却→−20℃〜30℃まで固化しない
第3ろ過装置 第3ろ過装置(13)の内部はプレコートタンク(14)より送入された活性白土、珪藻土、ゼオライト、活性炭のいずれかを付着させてケーキ層を形成する。二次処理装置(12)を通過した原料を第3ろ過装置(13)内部のケーキ層を通過してろ過し調整タンク(15)に導入され調整した後、カートリッジタンクを経て最終製品が出来る。
本発明により牛油脂(ヘッド油)よりディーゼルエンジン燃料化によって得られた製品の性状をメチルエステル化法及び市販の軽油の性状とを対比すると表1の通りである。

+30℃の固化点(凝固点)を有する豚油脂(ラード油)を上記の装置によって精製処理したところ凝固点−5℃の液状の油脂を得た。
[実施例2]
本実施例は図5に基づいて油脂より潤滑油及びガソリン代替燃料を得る方法について説明する。
実施例1の場合と同様に図2の工程の処理によって(f)特殊光線照射処理装置で光照射の終了後の原料を第1次処理装置(8)へ移流する。(図2における特殊光線装置7までは同じ装置である。)
1)光照射の終了した原料を一次処理装置(8)へ移流する。移流後、気体誘発剤を原料の5%〜10%投入し充分攪拌する。攪拌回転数は300回転/分位で行う。気体誘発剤としてはヘキサンなどを使用する。
移流された原料の20%〜30%位の率で炭化水素系の油脂に光照射の結果として生まれている。
第1次処理装置の内部は、下部に特殊加工されたオゾン吐出口(17)が設けられており、これより0.1ミクロン〜0.05ミクロンの気泡のオゾンが強力に吐出される。吐出されたオゾンは原料を瞬時に乳化状にする。乳化状になった原料から炭化水素系の気体が発生する。
発生した気体を以下に述べる別途気体回収装置へ移流し液体化する。液体化された液体はハイオクタンガソリンと同等のものが製造できる。原料の40%〜50%回収できる。残りの50%〜60%が潤滑油である。
気体回収装置
気体回収装置はタンクNo.1(21)、タンクNo.2(22)及び濾過装置(23)よりなる。タンクNo.1(21)は第1次処理装置よりパイプ(20)を経て排出された気体を液化し、タンクNo.2(22)は液化した液体の回収装置の役割をする。その作用は次の通りである。
(a)まずパイプ(20)を経た気体はタンクNo.1(21)の内部にラセン状に作成されたパイプを通る。
(b)タンクNo.1(21)に適量の水が入っている、その水を0℃に保持し気体を急冷することによって液体化するものである。
(c)気体がスムーズに液体化するようにタンクNo.2の液体回収装置(22)に真空ポンプを設置し回収効率を向上させるため真空ポンプの操作を行う。
回収された液体は、品質向上を上げるためろ過装置(23)によりろ過が行われる。ろ過方法としてフィルタープレス、吸引方式又は自然ろ過の何れかを行う。使用するろ過材として活性炭素、活性白土、ゼオライト等いずれも可である。ろ過された気体液化燃料は気体液化燃料タンク(24)に貯蔵される。
一次処理装置内に残った原料は装置内部の下部に設置されたオゾン吐出口(19)により吐出されるオゾンの粒子を2ミクロン〜5ミクロンに調整された吐出口(19)より吐出されるオゾンによって重合反応を起こす。より早く確実に重合反応を起こすため攪拌を行う。攪拌方法として、1万回転/分〜3万回転/分がよい。但し攪拌軸の先に特殊に加工された攪拌装置(25)を使用すると300〜360万回転/分でも可能である。
撹拌装置(25)としては特に限定されるものではないが、攪拌軸の先端に0.1mm〜0.3mmの大きさのワイヤーブラシを十文字に設置したり、または攪拌スクリューの羽根に鋸目を入れたものを使用した特殊撹拌装置を使用すると効果的である。
重合処理された原料を品質向上のためろ過装置作業を行う。濾過については先の気体回収の場合と同様にして行う。即ち、ろ過装置26はフィルタープレス、吸引方式又は自然ろ過の何れでもよく、使用するろ過材として活性炭素、活性白土、ゼオライト等いずれも可である。ろ過工程を経た重合処理原料は潤滑油回収装置(27)で回収される。
この処理された原料は硬度10w−30〜10w−40のガソリンエンジン用又はディーゼルエンジン用の潤滑油を製造することができる。
産業上の利用の可能性
本発明の処理方法は、従来精製困難な飽和脂肪酸の含有量が多い油脂を簡単な精製方法によって精製したうえで、種々の油脂の原料として提供することができる。すなわち、安定な飽和脂肪酸の含量の多い油脂、或いは廃油脂、殊に狂牛病由来に牛脂の処理方法として適し、油脂のディゼルエンジン燃料化或いは潤滑油及びガソリン代替燃料を製造する技術として有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解直前の状態の油脂をオゾン処理と光照射処理を行うことを特徴とする油脂の処理方法。
【請求項2】
常圧又は10気圧以下の加圧下に、油脂に蒸気を加え、0.05〜0.1ミクロンの気泡状オゾンを吐出して油脂を乳化状態にし、更に光照射処理を行うことを特徴とする油脂の処理方法。
【請求項3】
油脂が廃油脂又は排出油脂であることを特徴とする請求の範囲1又は2記載の油脂の処理方法。
【請求項4】
油脂が牛油脂(ヘッド油)、牛骨油・豚油脂(ラード油)・豚骨油・鶏油・羊油脂・山羊油脂・馬油等の動物系の油脂、パーム油・パーム残渣油脂・ヤシ油・ヤシ残渣油脂等の植物系の油脂で在ることを特徴とする請求の範囲1又は2記載の油脂の処理方法。

【国際公開番号】WO2005/063951
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【発行日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−516712(P2005−516712)
【国際出願番号】PCT/JP2004/019678
【国際出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(593217340)
【Fターム(参考)】