説明

油脂組成物で被覆された菓子又はパンの製造法。

【課題】
カカオマスを多量に配合しても、口溶け良好でカカオ感のある美味しいチョコレート風味がしっかりと感じられるチョコレートを被覆した、常温流通が可能な菓子又はパンを提供することである。
【解決手段】
油脂中にラウリン系油脂を原料とするエステル交換油脂及びSUS型トリグリセリド並びに糖類を含む油脂組成物を被覆することにより、カカオマスを多量に配合しても、テンパリング作業が不要で、常温流通可能な菓子又はパンを提供することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油脂組成物で被覆された菓子又はパンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油脂及び糖類を含む油脂組成物のひとつであるチョコレート類は、様々な食品と組み合わされ、いろいろな用途で利用され、市場に流通している。
このような用途のひとつとして、ケーキ、パン、ドーナツ、焼き菓子、洋菓子、シュー、エクレア、和菓子、冷菓、アイスクリーム等の表面に被覆する用途があげられる。
【0003】
これら被覆用途に用いられるチョコレートに要求される品質は、加温融解するだけで被覆できる作業性の良さ、被覆後の保存中にブルームが発生しないことなどが挙げられ、これらの品質を満足させる被覆用途のチョコレートに用いられる油脂として、従来、ラウリン系のヤシ油、パーム核油を主成分とした油脂や大豆油、菜種油、コーン油等の液状油を混合したものが使用され、その混合比率は流通条件や使用条件などに対応した物性に調整されており、多種多様な品種が生産されている。
【0004】
例えば、油脂中に70%以上のラウリン系油脂、20%〜4%のSU2及びU3(Sは飽和脂肪酸、Uは不飽和脂肪酸)を含み、そのSFI(固体脂指数)が75〜60%(10℃)、35〜15%(30℃)であるチョコレート組成物、及び、この組成物を利用(コーチング等)した複合食品が提案されている(特許文献1)。
【0005】
しかし、近年、消費者のチョコレートに対するニーズは、美味しさをさらに求める傾向が強くなってきており、被覆用途のチョコレートにおいても同様、作業性、固化速度といった物性面だけでなく、カカオ感、チョコレート感という風味を追求した品質が求められている。
【0006】
このカカオ感とは、チョコレート中のカカオマスの配合比率を上げることで、より強く感じられるチョコレート風味のことであり、カカオ感の付与、美味しいチョコレート風味には、カカオマスが欠かせないが、カカオマスの約55重量%はカカオ脂であり、カカオマスを多量に配合すると、同時にカカオ脂を多く含むことになり、テンパリングを行わない被覆工程ではファットブルームが発生する問題があり、カカオマスの配合比率に限度があった。
【0007】
これまでにも、チョコレート風味とテンパリング工程が不必要な作業性を両立させる検討は行われており、チョコレート油脂成分中、ジ飽和モノリノレート(S2L)を3〜30%、ラウリン系油脂を10〜40重量%、SUSトリグリセリド(ジ飽和モノリノレート(S2L)を除く)を20〜40重量%含有させる耐ブルーム性ノーテンパーチョコレートが提案されているが(特許文献2)、チョコレート油脂成分中のSUS型トリグリセリドの含有率に制限があり、やはりチョコレート風味の点では、不十分であった。
【0008】
とりわけ、被覆用チョコレートの用途として、被覆後常温で流通される、菓子又はパン用途においては、流通過程における温度変化によるファットブルームの発生を抑えることは困難であり、菓子又はパン用の被覆用チョコレートのカカオマスの添加量には限度があり、よりチョコレート風味を満足させた被覆用チョコレートが求められていた。
【特許文献1】特開平10−108624号公報
【特許文献2】特開2003−299442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、カカオマスを多量に配合しても、被覆作業において、テンパリング作業が不要で、かつ口溶け良好でカカオ感のある美味しいチョコレートを被覆した、常温流通可能な菓子又はパンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、油脂中にラウリン系油脂を原料とするエステル交換油脂及びSUS型トリグリセリド並びに糖類を含む油脂組成物であって、当該油脂組成物をテンパリング処理することなしに被覆することにより、カカオマスを多量に配合しても、常温流通可能な菓子又はパンを提供することが可能となり、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第1は、油脂中にラウリン系油脂を原料とするエステル交換油脂を40重量%以上及びSUS型トリグリセリドを20〜50重量%並びに糖類を含む油脂組成物であって、当該油脂組成物をテンパリング処理することなしに被覆することを特徴とする、菓子又はパンの製造法である。第2は、油脂組成物中に、アセチル化蔗糖脂肪酸エステルを0.1〜4重量%含む、第1に記載された菓子又はパンの製造法である。第3は、油脂組成物中に、さらに炭素数20〜24の脂肪酸を構成飽和脂肪酸とする二飽和一オレイン酸型グリセリドを0.3〜5重量%含む、第1または2に記載された菓子又はパンの製造法である。第4は、第1〜3いずれか1つの製造法により得られた菓子又はパンである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、カカオマスを多量に配合しても、被覆作業において、テンパリング作業が不要で、かつ口溶け良好でカカオ感のある美味しいチョコレートを被覆した、常温流通可能な菓子又はパンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の油脂組成物は、油脂中にラウリン系油脂を原料とするエステル交換油脂を含むことで、被覆後の表面の固化が早く、良好な口溶け、ブルーム抑制効果を有するが、このラウリン系油脂とは、ヤシ油やパーム核油などのラウリン酸に富む油脂のことであり、これら油脂あるいはこれら油脂の分別油脂、硬化油脂であってもよく、エステル交換油脂中に、ラウリン系油脂を30重量%以上含まれることが好ましい。また、ラウリン系油脂とともにエステル交換する油脂は炭素数16〜22の構成脂肪酸を含む非ラウリン系油脂がよく、エステル交換油脂は、ナトリウムメチラート等の金属触媒やランダム化エステル交換リパーゼによる非選択的エステル交換により調製される。
【0014】
本発明の油脂組成物は、油脂中に、ラウリン系油脂を原料とするエステル交換油脂を40重量%以上含み、好ましくは45重量%以上含むが、40重量%未満では、被覆後のファットブルームを抑えるのが困難となる。
【0015】
本発明の油脂組成物は、油脂中にSUS型トリグリセリドを含むが、このSUS型トリグリセリドは、2−不飽和―1,3ジ飽和グリセリドを表し、Sは炭素数16〜22の飽和脂肪酸残基、Uは炭素数16〜22の不飽和脂肪酸残基であり、チョコレートの油脂として代表的なカカオ脂はSUS型トリグリセリドを約80重量%含んでいる。また、従来、カカオ脂の代替脂肪として各種ハードバターが市場に出回っているが、テンパリング型ハードバターと呼ばれる、いわゆるカカオ脂類似脂肪はいずれもSUS型トリグリセリドを主要トリグリセリド成分とするものである。
【0016】
本発明の油脂組成物は、油脂中にSUS型トリグリセリドを10〜50重量%含み、好ましくは25〜45重量%含むが、SUS型トリグリセリドが上限を超えると、被覆後のファットブルームを抑えるのが困難となり、また下限未満では、チョコレート風味がカカオ感に乏しいものとなり、好ましくない。
【0017】
本発明の油脂組成物を構成する油脂は、他の油脂を併用してもよく、例えばナタネ油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、シア脂、サル脂等の植物性油脂、乳脂、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂、上記油脂類の単独または混合油の硬化、分別、エステル交換等を施した加工油脂等を用いることができる。
【0018】
本発明の油脂組成物の油脂分としては、30〜70重量%が好ましく、より好ましくは40〜60重量%である。油脂分が少ないと油脂組成物の粘性が高すぎて被覆作業が困難となる。また油脂分が多すぎるとチョコレート風味が薄くなり、油っぽくなるため、好ましくない。
【0019】
本発明は溶融した油脂組成物をテンパリング処理することなしに被覆作業を行うが、被覆させる条件は、融解状態から被覆後、冷蔵温度15℃以下で冷却させると、速やかに固化でき望ましい。
【0020】
本発明により製造された菓子又はパンは、固化後は常温で保存、流通することができる。ここでの常温とは15〜30℃であるが、保存温度としては、SUS型トリグリセリドのIV型結晶が転移しない温度域であり、II、III型結晶が転移しない温度域であることが好ましく、具体的には25℃以下の温度域であることが望ましい。
【0021】
本発明の油脂組成物は、油脂及び糖類を含み、糖類以外の原料としてはカカオマス、ココアケーキ、ココアパウダー等のカカオ原料、若しくは全脂粉乳、脱脂粉乳、生クリーム粉末、チーズ粉末、ヨーグルト粉末等の乳製品粉末又は果実粉末、果汁粉末、コーヒー粉末、紅茶粉末、カレー粉、調味材等の各種粉末が例示できる。
【0022】
本発明の糖類としては、単糖類、オリゴ糖類、糖アルコール類、デキストリン、水飴、澱粉、加工澱粉等が例示できる。単糖類としては、具体的に、グルコース、フルクトース、マンノース、キシロースを挙げることができる。またオリゴ糖類としては、通常2糖類から6糖類までのものが含まれるが、具体的にはショ糖、マルトース、乳糖、トレハロース、マルトトリオース等を挙げることができる。糖アルコール類としては具体的には、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、オリゴ糖アルコール等を挙げることができる。
【0023】
本発明においては、アセチル化蔗糖脂肪酸エステルを添加することで、さらにブルームの抑制効果を高めることができるが、このアセチル化蔗糖脂肪酸エステルは、蔗糖脂肪酸エステル中の残存水酸基をアセチル基にて置換したタイプの蔗糖脂肪酸エステルで、脂肪酸としては炭素数16以上の長鎖飽和脂肪酸、エステル化度は3以上のものが好ましい。また、アセチル化蔗糖脂肪酸エステルの油脂組成物中への添加量は0.1〜4重量%であり、下限未満の場合、効果の発現が弱く、上限を超えると価格的に高くなるとともに、効果の増大が少ない。
【0024】
さらに、本発明においては、さらに炭素数20〜24の脂肪酸を構成飽和脂肪酸とする二飽和一オレイン酸型グリセリドを添加することで、より一層ブルームの抑制効果を高めることができる。
また、炭素数20〜24の脂肪酸を構成飽和脂肪酸とする二飽和―オレイン酸型グリセリドの中でも、炭素数20〜24の飽和脂肪酸を構成脂肪酸とする1、3位飽和2位オレイン酸型グリセリドが、ブルーム抑制効果にはより好適である。また、油脂組成物中への添加量は0.3〜5重量%であり、下限未満では効果の発現が弱く、上限を超えると油脂組成物の口溶けを悪化させるという問題が起こる。
【0025】
本発明における油脂組成物を被覆される食品としては、常温流通が可能な菓子、パンであれば、特に限定されるものではないが、菓子としては、まんじゅう、蒸しようかん、カステラ、どら焼き、今川焼き、たい焼き、きんつば、ワッフル、栗まんじゅう、月餅、ボーロ、八つ橋、せんべい、かりんとう、ドーナツ、スポンジケーキ、ロールケーキ、エンゼルケーキ、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌ、シュークリーム、エクレア、ミルフィユ、アップルパイ、タルト、ビスケット、クッキー、クラッカー、蒸しパン、プレッツェル、ウエハース、スナック菓子、ピザパイ、クレープ、スフレー、ベニェなどや、バナナ、りんご、イチゴなどの果物に油脂組成物を被覆した菓子が挙げられ、パンとしては、食パン、コッペパン、フルーツブレッド、コーンブレッド、バターロール、ハンバーガーバンズ、フランスパン、ロールパン、菓子パン、スイートドウ、乾パン、マフィン、ベーグル、クロワッサン、デニッシュペーストリー、ナンなどが挙げられる。
【実施例】
【0026】
以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、部及び%は重量基準を意味する。
【0027】
(1、3−ジベヘノイル−2−オレイルグリセリド含有油脂の調製)
高エルシン酸菜種油の極度硬化油を加水分解して得た脂肪酸またはその低級アルコールエステルとエステル交換し、さらには精溜することにより得られる、炭素原子数20〜24個が豊富である飽和脂肪酸エステルと高オレイン酸ヒマワリ油とを用い、1−、3−位選択性を有する酵素剤にて既知の方法によりエステル交換反応を行い、さらに溶剤分別により高融点画分を分取した。この画分には63%の1、3−ジベヘノイル−2−オレイルグリセリド(BOB)が含まれており、融点は53.3℃であった。これをBOB脂とした。
【0028】
(ラウリン系エステル交換油脂Aの調製)
ヤシ油50部、パーム分別ステアリン40部、菜種極度硬化油10部を原料とし、触媒としてナトリウムメチラートを用い既知の方法によりランダムエステル交換して得られた油脂をラウリン系エステル交換油脂(A)とした。
【0029】
(ラウリン系エステル交換油脂Bの調製)
パーム核油95部とパーム油5部との混合油脂を極度硬化した油脂90部、菜種極度硬化油10部を原料とし、触媒としてナトリウムメチラートを用い既知の方法によりランダムエステル交換して得られた油脂をラウリン系エステル交換油脂(B)とした。
【0030】
(非ラウリン系エステル交換油脂Cの調製)
パーム分別ステアリン66部、パーム油31部、菜種極度硬化油3部を原料とし、触媒としてナトリウムメチラートを用い既知の方法によりランダムエステル交換して得られた油脂を非ラウリン系エステル交換油脂(C)とした。
【0031】
(実施例1)
カカオマス36部、砂糖39部にレシチン0.1部を加え、ニーダーで練り、ロールリファイナーで摩砕して18ミクロン程度の微粒子状態とし、次いでコンチェにてコンチングし、その間ラウリン系エステル交換油脂(A)25部を徐々に添加し、コンチングの終わり頃にレシチン0.3部を加えチョコレート生地である本発明の油脂組成物を調製した。このチョコレート生地を50℃の湯煎で完全融解した後、チョコレート品温を45℃に温調し、それを市販のデニッシュパンにコーチングし、5℃冷蔵庫内で急冷し、被覆後の表面の固化を観察した、さらに固化後、常温に戻し、パンに被覆されたチョコレートの風味、食感等を観察した。ブルーム発現の評価は、15℃恒温6時間→25℃12時間→15℃6時間を1サイクルとした温度条件下で保存し、経時でのブルームの発生を観察した。
その結果、被覆後の表面の固化が早く、口溶けが良好で、カカオ感の強いチョコレート風味を持ち、食した際の風味の発現が良好で、3日間のサイクルテストでブルームが発生しない状態を保っていた。これらの結果を表にまとめた。
【0032】
(実施例2)
実施例1において、ラウリン系エステル交換油脂(A)25部をラウリン系エステル交換油脂(B)25部に置き換えた以外はすべて実施例1と同様な処理、評価を行った。
その結果、被覆後の表面の固化さらにが早く、カカオ感の強いチョコレート風味を持ち、食した際の風味の発現が良好で、3日間のサイクルテストでブルームが発生しない状態を保っていた。これらの結果を表にまとめた。
【0033】
(実施例3)
実施例1においてカカオマス44部、砂糖36部、ラウリン系エステル交換油脂(A)20部に替えた以外はすべて実施例1と同様な処理、評価を行った。
その結果、被覆後の表面の固化速度はやや遅かったものの、カカオ感の強いチョコレート風味を持ち、食した際の風味の発現が良好で、3日間のサイクルテストでブルームが発生しない状態を保っていた。これらの結果を表にまとめた。
【0034】
(実施例4)
実施例1において、コンチング時に添加するラウリン系エステル交換油脂(A)25部にアセチル化蔗糖脂肪酸エステルである『DKエステルFA―10E(第一工業製薬株式会社製)』を0.5部完全溶解させる以外はすべて実施例1と同様の処理、評価を行った。その結果、口溶けが良好で、カカオ感の強いチョコレート風味を持ち、食した際の風味の発現が良好で、艶のある外観をもち、4日間のサイクルテストでブルームが発生しない状態を保っていた。これらの結果を表にまとめた。
【0035】
(実施例5)
実施例1において、コンチング時に添加する油脂をラウリン系エステル交換油脂(A)23部に置き換え、それにBOB脂2部とエステルFA―10E0.5部を完全溶解させる以外はすべて実施例1と同様の処理、評価を行った。その結果、口溶けが良好で、カカオ感の強いチョコレート風味を持ち、食した際の風味の発現が良好で、艶のある外観を持ち、5日間のサイクルテストでブルームが発生しない状態を保っていた。これらの結果を表にまとめた。
【0036】
(比較例1)
実施例1において、ラウリン系エステル交換油脂(A)25部をカカオ脂25部に置き換えた以外はすべて実施例1と同様な処理、評価を行った。
その結果、コーチング後、急冷時の乾きが非常に遅い上、1日のサイクルテスト後、ブルームが発生してしまった。これらの結果を表にまとめた。
【0037】
(比較例2)
実施例1において、ラウリン系エステル交換油脂(A)25部をラウリン系エステル交換油脂(A)15.5部と非ラウリン系エステル交換油脂(C)9.5部に置き換えた以外は全て実施例1と同様な処理、評価を行った。
その結果、2日間のサイクルテスト後、ブルームが発生してしまった。これらの結果を表にまとめた。
【0038】
(比較例3)
実施例1において、ラウリン系エステル交換油脂(A)25部を非ラウリン系エステル交換油脂(C)25部に置き換えた以外はすべて実施例1と同様な処理、評価を行った。
その結果、2日間のサイクルテスト後、ブルームが発生してしまった。これらの結果を表にまとめた。
【0039】
(比較例4)
実施例1において、ラウリン系エステル交換油脂(A)25部をラウリン系硬化油脂25部に置き換えた以外はすべて実施例1と同様な処理、評価を行った。
その結果、1日のサイクルテスト後、ブルームが発生してしまった。これらの結果を表にまとめた。
【0040】
<表>

【0041】
表に示すとおり、比較例1〜4においては、1〜2日でブルームが発生してしまったのに対し、本発明である、実施例1〜5においては、いずれも3日以上ブルームの発生を抑えることができ、チョコレート風味豊かな、常温流通可能なパンを得ることができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油脂中にラウリン系油脂を原料とするエステル交換油脂を40重量%以上及びSUS型トリグリセリドを20〜50重量%並びに糖類を含む油脂組成物であって、当該油脂組成物をテンパリング処理することなしに被覆することを特徴とする、菓子又はパンの製造法。
【請求項2】
油脂組成物中に、アセチル化蔗糖脂肪酸エステルを0.1〜4重量%含む、請求項1に記載された菓子又はパンの製造法。
【請求項3】
油脂組成物中に、さらに炭素数20〜24の脂肪酸を構成飽和脂肪酸とする二飽和一オレイン酸型グリセリドを0.3〜5重量%含む、請求項1または2に記載された菓子又はパンの製造法。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項の製造法により得られた菓子又はパン。

【公開番号】特開2008−245577(P2008−245577A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91129(P2007−91129)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000236768)不二製油株式会社 (386)
【Fターム(参考)】