治具
【課題】ケーブルを容易に取り外すことができる治具を提供することである。
【解決手段】上面S1は、同軸ケーブル20に対してz軸方向の正方向側から接触する。側面S2,S3はそれぞれ、同軸ケーブル20に対してy軸方向の負方向側及び正方向側から接触する。側面S4は、側面S3のx軸方向の負方向側の端部に接続され、x軸方向の正方向側に向かうにしたがって、側面S2との間の間隔が狭くなるように傾斜している。突起14aは、z軸方向の正方向側に同軸ケーブル20を押し上げて上面S1に接触させ、側面S4よりもx軸方向の負方向側に設けられている。側面S2は、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S4よりもx軸方向の負方向側の領域及び側面S3,S4のz軸方向の負方向側の領域において、同軸ケーブル20の太さ以上の幅を有する一本の帯状の領域を含むように露出している。
【解決手段】上面S1は、同軸ケーブル20に対してz軸方向の正方向側から接触する。側面S2,S3はそれぞれ、同軸ケーブル20に対してy軸方向の負方向側及び正方向側から接触する。側面S4は、側面S3のx軸方向の負方向側の端部に接続され、x軸方向の正方向側に向かうにしたがって、側面S2との間の間隔が狭くなるように傾斜している。突起14aは、z軸方向の正方向側に同軸ケーブル20を押し上げて上面S1に接触させ、側面S4よりもx軸方向の負方向側に設けられている。側面S2は、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S4よりもx軸方向の負方向側の領域及び側面S3,S4のz軸方向の負方向側の領域において、同軸ケーブル20の太さ以上の幅を有する一本の帯状の領域を含むように露出している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治具に関し、より特定的には、所定方向側に向かって挿入されるケーブルを保持する治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の治具としては、例えば、特許文献1に記載のガイド治具が知られている。以下に、特許文献1に記載のガイド治具について図面を参照しながら説明する。図11は、特許文献1に記載のガイド治具500、電線502a,502b及び圧着端子504の外観斜視図である。
【0003】
圧着端子504は、2本の電線を保持することによって、電気的に接続するための端子である。ガイド治具500は、圧着端子504に2本の電線を挿入する際に用いられる。より詳細には、図11に示すように、ガイド治具500には、案内溝506が設けられている。案内溝506の幅は、電線502a,502bの入り口から出口に向かうにしたがって(すなわち、圧着端子504に近づくにしたがって)狭くなる構造を有している。また、案内溝506の上側は、蓋体508により覆われている。以上のような構成を有するガイド治具500では、入り口が出口よりも広いため、電線502a,502bをガイド治具500及び圧着端子504に容易に挿入することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のガイド治具500は、以下に説明するように、電線502a,502bをガイド治具500から容易に取り外すことができないという問題を有する。ガイド治具500には、蓋体508が設けられている。そのため、圧着端子504をかしめて電線502a,502bを固定した後に、蓋体508を取り外さなければ、電線502a,502bをガイド治具500から取り外すことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−71237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、ケーブルを容易に取り外すことができる治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る治具は、所定方向側に向かって挿入されるケーブルを保持する治具であって、前記ケーブルに対して上側から接触する上面と、前記ケーブルに対して第1の側方側から接触する第1の側面と、前記第1の側面と対向している第2の側面であって、前記ケーブルに対して第1の側方側の反対側である第2の側方側から接触する第2の側面と、前記第1の側面と対向するように前記第2の側面の所定方向側の反対側の端部に接続されている第3の側面であって、所定方向側に向かうにしたがって、前記第1の側面との間の間隔が狭くなるように該第1の側面に対して傾斜している第3の側面と、上側に向かって突出していることにより、前記ケーブルを押し上げて前記上面に接触させる突起であって、前記第3の側面よりも所定方向側の反対側に設けられている突起と、を備えており、前記第1の側面は、第2の側方側から平面視したときに、前記第3の側面よりも所定方向側の反対側の領域及び前記第2の側面及び該第3の側面の下側の領域において、前記ケーブルの太さ以上の幅を有する一本の帯状の領域を含むように露出していること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケーブルを容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る治具の外観斜視図である。
【図2】同軸ケーブルを取り除いた状態における治具の外観斜視図である。
【図3】治具の本体の外観斜視図である。
【図4】治具の補助具の外観斜視図である。
【図5】治具を平面視した図である。
【図6】コネクタが取り付けられる際の治具、同軸ケーブル及びコネクタの外観斜視図である。
【図7】図1の状態における治具を平面視した図である。
【図8】コネクタが取り付けられる際の治具、同軸ケーブル及びコネクタの外観斜視図である。
【図9】図8の状態における治具を平面視した図である。
【図10】コネクタが取り付けられる際の治具、同軸ケーブル及びコネクタの外観斜視図である。
【図11】特許文献1に記載のガイド治具、電線及び圧着端子の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係る治具について説明する。
【0011】
(治具の構成)
まず、一実施形態に係る治具の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る治具10の外観斜視図である。図2は、同軸ケーブル20を取り除いた状態における治具10の外観斜視図である。図3は、治具10の本体12の外観斜視図である。図4は、治具10の補助具14の外観斜視図である。図5は、治具10を平面視した図である。
【0012】
治具10は、図1及び図2に示すように、所定方向側に向かって挿入される同軸ケーブル20を保持し、本体12及び補助具14により構成されている。以下では、同軸ケーブル20が挿入される所定方向をx軸方向と定義し、鉛直方向をz軸方向と定義し、x軸方向とz軸方向とに直交する方向をy軸方向と定義する。
【0013】
本体12は、金属又は樹脂などにより構成されている部材であり、図3に示すように、上面S1及び側面S2〜S4を備えている。上面S1は、x軸方向に延在しており、図1に示すように、同軸ケーブル20に対してz軸方向の正方向側から接触する。より詳細には、上面S1は、z軸方向の負方向側を向く平面であり、本体12のy軸方向の正方向側の辺に沿ってx軸方向に延在している。また、上面S1のx軸方向の負方向側の端部は、x軸方向の負方向側に行くにしたがって、z軸方向の正方向側に向かうようにxy平面(水平面)に対して傾斜している。
【0014】
側面S2は、x軸方向に延在しており、図1に示すように、同軸ケーブル20に対してy軸方向の負方向側から接触する。より詳細には、側面S2は、y軸方向の正方向側を向く平面であり、上面S1に直交した状態でx軸方向に延在している。
【0015】
側面S3は、側面S2と対向するようにx軸方向に延在しており、図1に示すように、同軸ケーブル20に対してy軸方向の正方向側から接触する。より詳細には、側面S2は、y軸方向の負方向側を向く平面であり、上面S1に直交した状態でx軸方向に延在している。ただし、側面S3は、側面S2のx軸方向全体にわたって対向しておらず、側面S2のx軸方向の正方向側の端部近傍のみと対向している。更に、側面S3のz軸方向の幅は、側面S2のz軸方向の幅よりも狭い。これにより、図5に示すように、側面S2は、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S3の下側の領域において露出している。なお、側面S2が露出していることについては後述する。
【0016】
以上のように、上面S1は、z軸方向の正方向側から同軸ケーブル20に接触することにより、同軸ケーブル20のz軸方向の位置決めを行っている。また、側面S2,S3はそれぞれ、y軸方向の負方向側及び正方向側から同軸ケーブル20に接触することにより、同軸ケーブル20のy軸方向の位置決めを行っている。すなわち、上面S1及び側面S2,S3は、空間Spを形成しており、同軸ケーブル20は、該空間Sp内を通過することにより、y軸方向及びz軸方向の位置決めがなされている。
【0017】
側面S4は、側面S2と対向するように側面S3のx軸方向の負方向側の端部に接続されており、図3に示すように、x軸方向の正方向側に向かうにしたがって、側面S2との間隔が狭くなるように側面S2に対して傾斜している。より詳細には、側面S4は、y軸方向の負方向側を向く面であり、上面S1に直交した状態でx軸方向に延在している。ただし、側面S4は、xz平面に平行ではなく、x軸方向の正方向側に行くにしたがってy軸方向の負方向側に向かうように、xz平面に対して傾斜している。更に、側面S4は、側面S2のx軸方向全体にわたって対向していない。更に、側面S4のz軸方向の幅は、側面S2のz軸方向の幅よりも狭い。これにより、図5に示すように、側面S2は、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S4の下側の領域において露出している。なお、側面S2が露出していることについては後述する。
【0018】
補助具14は、金属又は樹脂などにより構成されている部材であり、図4に示すように、x軸方向に長手方向を有する直方体状の部材である。補助具14は、上面S5及び突起14aを含んでおり、図1及び図2に示すように、上面S1のz軸方向の負方向側に配置される。
【0019】
上面S5は、直方体状の補助具14のz軸方向の正方向側の面であり、上面S1と対向している。
【0020】
突起14aは、上面S5からz軸方向の正方向側に突出している。そして、突起14aは、図2に示すように、x軸方向の正方向側に行くにしたって、上面S1に近づくようにxy平面(水平面)に対して傾斜している。また、突起14aのz軸方向の正方向側の端部は、図5に示すように、上面S1よりもz軸方向の負方向側に位置している。突起14aと上面S5との間隔は、同軸ケーブル20の太さと略等しい。これにより、図5に示すように、側面S2は、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S4のx軸方向の負方向側の領域(すなわち、上面S5及び突起14aのz軸方向の正方向側の領域)において露出している。
【0021】
ここで、側面S2についてより詳細に説明する。側面S2は、前記の通り、y軸方向の正方向側から平面視したときに、一部において露出している。本実施形態では、側面S2は、図5に示すように、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S4よりもx軸方向の負方向側の領域及び側面S3,S4のz軸方向の負方向側の領域において、同軸ケーブル20の幅W以上の幅を有する一本の帯状の領域Eを含むように露出している。これにより、図5に示す領域Eの沿った同軸ケーブル20を、治具10からy軸方向の正方向側に取り出すことが可能である。
【0022】
(治具の使用方法)
以下に、治具10の使用方法について図面を参照しながら説明する。治具10は、図1に示すコネクタ30を同軸ケーブル20に取り付ける際に用いられる。図6、図8及び図10は、コネクタ30が取り付けられる際の治具10、同軸ケーブル20及びコネクタ30の外観斜視図である。図7及び図9は、図1及び図8の状態における治具10を平面視した図である。
【0023】
図6に示すように、コネクタ30は、接続部32に接続されている。コネクタ30及び接続部32は、一枚の金属板により構成されている。そして、コネクタ30を空間Spのx軸方向の正方向側に位置させる。
【0024】
次に、図1に示すように、治具10に対して、x軸方向の正方向側に向かって同軸ケーブル20を挿入する。同軸ケーブル20は、図7に示すように、突起14a近傍を通過する際に、突起14aによりz軸方向の正方向側に押し上げられて、上面S1に接触させられる。これにより、同軸ケーブル20は、z軸方向において位置決めされる。更に、同軸ケーブル20は、図1に示すように、側面S4近傍を通過する際に、側面S4によりy軸方向の負方向側に押されて、側面S2に接触させられる。これにより、同軸ケーブル20は、y軸方向において位置決めされる。この後、同軸ケーブル20は、図1に示すように、その先端が治具10外に突出するまで、治具10に対して挿入される。
【0025】
次に、図8に示すように、工具50を用いて、同軸ケーブル20に対してコネクタ30を取り付ける。より詳細には、工具をz軸方向の正方向側から押し当てる事により、コネクタ30の舌片34をかしめる。この際、同軸ケーブル20は、工具50によりz軸方向の負方向側に押し下げられる。これにより、図8及び図9に示すように、同軸ケーブル20は、空間Spから引き出される。その結果、同軸ケーブル20は、y軸方向の正方向側から平面視したときに、領域E(図5参照)に沿うようになる。
【0026】
次に、図10に示すように、接続部32をy軸方向の正方向側にスライドさせる。これにより、同軸ケーブル20は、治具10から取り出される。そして、同軸ケーブル20を接続したコネクタ30の次のコネクタ30が治具10の空間Spのx軸方向の正方向側にセットされる。
【0027】
(効果)
以上のような治具10によれば、側面S2は、図5に示すように、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S4よりもx軸方向の負方向側の領域及び側面S3,S4のz軸方向の負方向側の領域において、同軸ケーブル20の幅W以上の幅を有する一本の帯状の領域Eを含むように露出している。そのため、図8及び図9に示すように、コネクタ30を取り付けることによってに領域Eに同軸ケーブル20を沿わせることで、同軸ケーブル20を治具10からy軸方向の正方向側に取り出すことが可能である。すなわち、蓋体を着脱するなどの工程を行うことなく、治具10から同軸ケーブル20を取り外すことが可能となる。
【0028】
また、治具10では、上面S1のx軸方向の負方向側の端部は、x軸方向の負方向側に行くにしたがって、z軸方向の正方向側に向かうようにxy平面に対して傾斜している。そのため、同軸ケーブル20を治具10に挿入する際に、同軸ケーブル20は、z軸方向の正方向側にわずかにずれたとしても、上面S1によって治具10内に導かれるようになる。よって、同軸ケーブル20を治具に容易に挿入することが可能となる。
【0029】
また、突起14aは、上面S5からz軸方向の正方向側に突出している。そして、突起14aは、図2に示すように、x軸方向に行くにしたって、上面S1に近づくようにxy平面に対して傾斜している。これにより、同軸ケーブル20の治具10への挿入時に、同軸ケーブル20が突起14aに引っかかることが抑制される。よって、同軸ケーブル20を治具に容易に挿入することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明は、治具に有用であり、特に、ケーブルを容易に取り外すことができる点において優れている。
【符号の説明】
【0031】
E 領域
S1,S5 上面
S2〜S4 側面
Sp 空間
10 治具
12 本体
14 補助具
14a 突起
20 同軸ケーブル
30 コネクタ
32 接続部
34 舌片
【技術分野】
【0001】
本発明は、治具に関し、より特定的には、所定方向側に向かって挿入されるケーブルを保持する治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の治具としては、例えば、特許文献1に記載のガイド治具が知られている。以下に、特許文献1に記載のガイド治具について図面を参照しながら説明する。図11は、特許文献1に記載のガイド治具500、電線502a,502b及び圧着端子504の外観斜視図である。
【0003】
圧着端子504は、2本の電線を保持することによって、電気的に接続するための端子である。ガイド治具500は、圧着端子504に2本の電線を挿入する際に用いられる。より詳細には、図11に示すように、ガイド治具500には、案内溝506が設けられている。案内溝506の幅は、電線502a,502bの入り口から出口に向かうにしたがって(すなわち、圧着端子504に近づくにしたがって)狭くなる構造を有している。また、案内溝506の上側は、蓋体508により覆われている。以上のような構成を有するガイド治具500では、入り口が出口よりも広いため、電線502a,502bをガイド治具500及び圧着端子504に容易に挿入することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のガイド治具500は、以下に説明するように、電線502a,502bをガイド治具500から容易に取り外すことができないという問題を有する。ガイド治具500には、蓋体508が設けられている。そのため、圧着端子504をかしめて電線502a,502bを固定した後に、蓋体508を取り外さなければ、電線502a,502bをガイド治具500から取り外すことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−71237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、ケーブルを容易に取り外すことができる治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る治具は、所定方向側に向かって挿入されるケーブルを保持する治具であって、前記ケーブルに対して上側から接触する上面と、前記ケーブルに対して第1の側方側から接触する第1の側面と、前記第1の側面と対向している第2の側面であって、前記ケーブルに対して第1の側方側の反対側である第2の側方側から接触する第2の側面と、前記第1の側面と対向するように前記第2の側面の所定方向側の反対側の端部に接続されている第3の側面であって、所定方向側に向かうにしたがって、前記第1の側面との間の間隔が狭くなるように該第1の側面に対して傾斜している第3の側面と、上側に向かって突出していることにより、前記ケーブルを押し上げて前記上面に接触させる突起であって、前記第3の側面よりも所定方向側の反対側に設けられている突起と、を備えており、前記第1の側面は、第2の側方側から平面視したときに、前記第3の側面よりも所定方向側の反対側の領域及び前記第2の側面及び該第3の側面の下側の領域において、前記ケーブルの太さ以上の幅を有する一本の帯状の領域を含むように露出していること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケーブルを容易に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る治具の外観斜視図である。
【図2】同軸ケーブルを取り除いた状態における治具の外観斜視図である。
【図3】治具の本体の外観斜視図である。
【図4】治具の補助具の外観斜視図である。
【図5】治具を平面視した図である。
【図6】コネクタが取り付けられる際の治具、同軸ケーブル及びコネクタの外観斜視図である。
【図7】図1の状態における治具を平面視した図である。
【図8】コネクタが取り付けられる際の治具、同軸ケーブル及びコネクタの外観斜視図である。
【図9】図8の状態における治具を平面視した図である。
【図10】コネクタが取り付けられる際の治具、同軸ケーブル及びコネクタの外観斜視図である。
【図11】特許文献1に記載のガイド治具、電線及び圧着端子の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の一実施形態に係る治具について説明する。
【0011】
(治具の構成)
まず、一実施形態に係る治具の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る治具10の外観斜視図である。図2は、同軸ケーブル20を取り除いた状態における治具10の外観斜視図である。図3は、治具10の本体12の外観斜視図である。図4は、治具10の補助具14の外観斜視図である。図5は、治具10を平面視した図である。
【0012】
治具10は、図1及び図2に示すように、所定方向側に向かって挿入される同軸ケーブル20を保持し、本体12及び補助具14により構成されている。以下では、同軸ケーブル20が挿入される所定方向をx軸方向と定義し、鉛直方向をz軸方向と定義し、x軸方向とz軸方向とに直交する方向をy軸方向と定義する。
【0013】
本体12は、金属又は樹脂などにより構成されている部材であり、図3に示すように、上面S1及び側面S2〜S4を備えている。上面S1は、x軸方向に延在しており、図1に示すように、同軸ケーブル20に対してz軸方向の正方向側から接触する。より詳細には、上面S1は、z軸方向の負方向側を向く平面であり、本体12のy軸方向の正方向側の辺に沿ってx軸方向に延在している。また、上面S1のx軸方向の負方向側の端部は、x軸方向の負方向側に行くにしたがって、z軸方向の正方向側に向かうようにxy平面(水平面)に対して傾斜している。
【0014】
側面S2は、x軸方向に延在しており、図1に示すように、同軸ケーブル20に対してy軸方向の負方向側から接触する。より詳細には、側面S2は、y軸方向の正方向側を向く平面であり、上面S1に直交した状態でx軸方向に延在している。
【0015】
側面S3は、側面S2と対向するようにx軸方向に延在しており、図1に示すように、同軸ケーブル20に対してy軸方向の正方向側から接触する。より詳細には、側面S2は、y軸方向の負方向側を向く平面であり、上面S1に直交した状態でx軸方向に延在している。ただし、側面S3は、側面S2のx軸方向全体にわたって対向しておらず、側面S2のx軸方向の正方向側の端部近傍のみと対向している。更に、側面S3のz軸方向の幅は、側面S2のz軸方向の幅よりも狭い。これにより、図5に示すように、側面S2は、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S3の下側の領域において露出している。なお、側面S2が露出していることについては後述する。
【0016】
以上のように、上面S1は、z軸方向の正方向側から同軸ケーブル20に接触することにより、同軸ケーブル20のz軸方向の位置決めを行っている。また、側面S2,S3はそれぞれ、y軸方向の負方向側及び正方向側から同軸ケーブル20に接触することにより、同軸ケーブル20のy軸方向の位置決めを行っている。すなわち、上面S1及び側面S2,S3は、空間Spを形成しており、同軸ケーブル20は、該空間Sp内を通過することにより、y軸方向及びz軸方向の位置決めがなされている。
【0017】
側面S4は、側面S2と対向するように側面S3のx軸方向の負方向側の端部に接続されており、図3に示すように、x軸方向の正方向側に向かうにしたがって、側面S2との間隔が狭くなるように側面S2に対して傾斜している。より詳細には、側面S4は、y軸方向の負方向側を向く面であり、上面S1に直交した状態でx軸方向に延在している。ただし、側面S4は、xz平面に平行ではなく、x軸方向の正方向側に行くにしたがってy軸方向の負方向側に向かうように、xz平面に対して傾斜している。更に、側面S4は、側面S2のx軸方向全体にわたって対向していない。更に、側面S4のz軸方向の幅は、側面S2のz軸方向の幅よりも狭い。これにより、図5に示すように、側面S2は、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S4の下側の領域において露出している。なお、側面S2が露出していることについては後述する。
【0018】
補助具14は、金属又は樹脂などにより構成されている部材であり、図4に示すように、x軸方向に長手方向を有する直方体状の部材である。補助具14は、上面S5及び突起14aを含んでおり、図1及び図2に示すように、上面S1のz軸方向の負方向側に配置される。
【0019】
上面S5は、直方体状の補助具14のz軸方向の正方向側の面であり、上面S1と対向している。
【0020】
突起14aは、上面S5からz軸方向の正方向側に突出している。そして、突起14aは、図2に示すように、x軸方向の正方向側に行くにしたって、上面S1に近づくようにxy平面(水平面)に対して傾斜している。また、突起14aのz軸方向の正方向側の端部は、図5に示すように、上面S1よりもz軸方向の負方向側に位置している。突起14aと上面S5との間隔は、同軸ケーブル20の太さと略等しい。これにより、図5に示すように、側面S2は、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S4のx軸方向の負方向側の領域(すなわち、上面S5及び突起14aのz軸方向の正方向側の領域)において露出している。
【0021】
ここで、側面S2についてより詳細に説明する。側面S2は、前記の通り、y軸方向の正方向側から平面視したときに、一部において露出している。本実施形態では、側面S2は、図5に示すように、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S4よりもx軸方向の負方向側の領域及び側面S3,S4のz軸方向の負方向側の領域において、同軸ケーブル20の幅W以上の幅を有する一本の帯状の領域Eを含むように露出している。これにより、図5に示す領域Eの沿った同軸ケーブル20を、治具10からy軸方向の正方向側に取り出すことが可能である。
【0022】
(治具の使用方法)
以下に、治具10の使用方法について図面を参照しながら説明する。治具10は、図1に示すコネクタ30を同軸ケーブル20に取り付ける際に用いられる。図6、図8及び図10は、コネクタ30が取り付けられる際の治具10、同軸ケーブル20及びコネクタ30の外観斜視図である。図7及び図9は、図1及び図8の状態における治具10を平面視した図である。
【0023】
図6に示すように、コネクタ30は、接続部32に接続されている。コネクタ30及び接続部32は、一枚の金属板により構成されている。そして、コネクタ30を空間Spのx軸方向の正方向側に位置させる。
【0024】
次に、図1に示すように、治具10に対して、x軸方向の正方向側に向かって同軸ケーブル20を挿入する。同軸ケーブル20は、図7に示すように、突起14a近傍を通過する際に、突起14aによりz軸方向の正方向側に押し上げられて、上面S1に接触させられる。これにより、同軸ケーブル20は、z軸方向において位置決めされる。更に、同軸ケーブル20は、図1に示すように、側面S4近傍を通過する際に、側面S4によりy軸方向の負方向側に押されて、側面S2に接触させられる。これにより、同軸ケーブル20は、y軸方向において位置決めされる。この後、同軸ケーブル20は、図1に示すように、その先端が治具10外に突出するまで、治具10に対して挿入される。
【0025】
次に、図8に示すように、工具50を用いて、同軸ケーブル20に対してコネクタ30を取り付ける。より詳細には、工具をz軸方向の正方向側から押し当てる事により、コネクタ30の舌片34をかしめる。この際、同軸ケーブル20は、工具50によりz軸方向の負方向側に押し下げられる。これにより、図8及び図9に示すように、同軸ケーブル20は、空間Spから引き出される。その結果、同軸ケーブル20は、y軸方向の正方向側から平面視したときに、領域E(図5参照)に沿うようになる。
【0026】
次に、図10に示すように、接続部32をy軸方向の正方向側にスライドさせる。これにより、同軸ケーブル20は、治具10から取り出される。そして、同軸ケーブル20を接続したコネクタ30の次のコネクタ30が治具10の空間Spのx軸方向の正方向側にセットされる。
【0027】
(効果)
以上のような治具10によれば、側面S2は、図5に示すように、y軸方向の正方向側から平面視したときに、側面S4よりもx軸方向の負方向側の領域及び側面S3,S4のz軸方向の負方向側の領域において、同軸ケーブル20の幅W以上の幅を有する一本の帯状の領域Eを含むように露出している。そのため、図8及び図9に示すように、コネクタ30を取り付けることによってに領域Eに同軸ケーブル20を沿わせることで、同軸ケーブル20を治具10からy軸方向の正方向側に取り出すことが可能である。すなわち、蓋体を着脱するなどの工程を行うことなく、治具10から同軸ケーブル20を取り外すことが可能となる。
【0028】
また、治具10では、上面S1のx軸方向の負方向側の端部は、x軸方向の負方向側に行くにしたがって、z軸方向の正方向側に向かうようにxy平面に対して傾斜している。そのため、同軸ケーブル20を治具10に挿入する際に、同軸ケーブル20は、z軸方向の正方向側にわずかにずれたとしても、上面S1によって治具10内に導かれるようになる。よって、同軸ケーブル20を治具に容易に挿入することが可能となる。
【0029】
また、突起14aは、上面S5からz軸方向の正方向側に突出している。そして、突起14aは、図2に示すように、x軸方向に行くにしたって、上面S1に近づくようにxy平面に対して傾斜している。これにより、同軸ケーブル20の治具10への挿入時に、同軸ケーブル20が突起14aに引っかかることが抑制される。よって、同軸ケーブル20を治具に容易に挿入することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明は、治具に有用であり、特に、ケーブルを容易に取り外すことができる点において優れている。
【符号の説明】
【0031】
E 領域
S1,S5 上面
S2〜S4 側面
Sp 空間
10 治具
12 本体
14 補助具
14a 突起
20 同軸ケーブル
30 コネクタ
32 接続部
34 舌片
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向側に向かって挿入されるケーブルを保持する治具であって、
前記ケーブルに対して上側から接触する上面と、
前記ケーブルに対して第1の側方側から接触する第1の側面と、
前記第1の側面と対向している第2の側面であって、前記ケーブルに対して第1の側方側の反対側である第2の側方側から接触する第2の側面と、
前記第1の側面と対向するように前記第2の側面の所定方向側の反対側の端部に接続されている第3の側面であって、所定方向側に向かうにしたがって、前記第1の側面との間の間隔が狭くなるように該第1の側面に対して傾斜している第3の側面と、
上側に向かって突出していることにより、前記ケーブルを押し上げて前記上面に接触させる突起であって、前記第3の側面よりも所定方向側の反対側に設けられている突起と、
を備えており、
前記第1の側面は、第2の側方側から平面視したときに、前記第3の側面よりも所定方向側の反対側の領域及び前記第2の側面及び該第3の側面の下側の領域において、前記ケーブルの太さ以上の幅を有する一本の帯状の領域を含むように露出していること、
を特徴とする治具。
【請求項2】
前記上面の所定方向側の反対側の端部は、所定方向側の反対側に行くにしたがって、上側に向かうように水平面に対して傾斜していること、
を特徴とする請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記突起は、所定方向側に行くにしたがって、前記上面に近づくように水平面に対して傾斜していること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の治具。
【請求項1】
所定方向側に向かって挿入されるケーブルを保持する治具であって、
前記ケーブルに対して上側から接触する上面と、
前記ケーブルに対して第1の側方側から接触する第1の側面と、
前記第1の側面と対向している第2の側面であって、前記ケーブルに対して第1の側方側の反対側である第2の側方側から接触する第2の側面と、
前記第1の側面と対向するように前記第2の側面の所定方向側の反対側の端部に接続されている第3の側面であって、所定方向側に向かうにしたがって、前記第1の側面との間の間隔が狭くなるように該第1の側面に対して傾斜している第3の側面と、
上側に向かって突出していることにより、前記ケーブルを押し上げて前記上面に接触させる突起であって、前記第3の側面よりも所定方向側の反対側に設けられている突起と、
を備えており、
前記第1の側面は、第2の側方側から平面視したときに、前記第3の側面よりも所定方向側の反対側の領域及び前記第2の側面及び該第3の側面の下側の領域において、前記ケーブルの太さ以上の幅を有する一本の帯状の領域を含むように露出していること、
を特徴とする治具。
【請求項2】
前記上面の所定方向側の反対側の端部は、所定方向側の反対側に行くにしたがって、上側に向かうように水平面に対して傾斜していること、
を特徴とする請求項1に記載の治具。
【請求項3】
前記突起は、所定方向側に行くにしたがって、前記上面に近づくように水平面に対して傾斜していること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−89324(P2012−89324A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234399(P2010−234399)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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