説明

治療プランのデリバリにおける品質保証基準を評価するための方法およびシステム

放射線療法治療プランのデリバリに関連する品質保証基準を評価するシステムおよび方法。この方法は、患者の画像データを取得するステップと、患者へデリバリされる計算された放射線量を含む、患者のための治療プランを、少なくとも部分的に画像データに基づいて生成するステップと、実質的に治療位置において患者のオンライン画像を取得するステップと、計算された放射線量の少なくとも一部分を患者へデリバリするステップと、治療プランのデリバリに関連する品質保証基準を監視するステップと、患者が受けた放射線量を計算するステップと、品質保証基準および患者が受けた放射線量に基づいて、治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、SYSTEM AND METHOD FOR FEEDBACK GUIDED QUALITY ASSURANCE AND ADAPTATIONS TO RADIATION THERAPY TREATMENT(放射線療法治療に対してのフィードバックによりガイドされる品質保証および適応のためのシステムおよび方法)と題する2005年7月22日出願の米国特許仮出願第60/701580号に対する優先権を主張し、その内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
過去数十年にわたり、コンピュータおよびネットワーキング、放射線療法治療プランソフトウェア、および医用画像モダリティ(CT、MRI、US、およびPET)における改良が、放射線療法行為に組み入れられてきた。これらの改良により、画像ガイド型(画像支援)放射線治療(「IGRT:image guided radiation therapy」)の開発に至った。IGRTは、健康な器官への放射線照射を低減しつつ、放射線量をより確実に腫瘍に当てるために、患者内部の解剖学的構造の断面画像を用いる放射線療法である。腫瘍へ送達される放射線量は、強度変調放射線治療(「IMRT:intensity modulated radiation therapy」)を用いて制御され、これは、患者の腫瘍の寸法、形状、および位置に一致するように、放射線ビームの寸法、形状、および強度を変更することを含む。IGRTおよびIMRTは、腫瘍の制御を改善し、同時に、腫瘍を囲む健康な組織を照射することによる激しい副作用が生ずる可能性を低減する。
【0003】
IMRTは、幾つかの国で医療の標準になりつつある。しかし、多くの状況で、IMRTは、時間、資源、および請求額の制約により、患者を治療するために使用されない。IMRTプランにより生成される高グラジエントが患者治療のための正しい位置にあることを保証するために、患者の日々の画像を使用することができる。更に、これらの画像は、必要な場合、そのプランをオンラインまたはオフラインで適合させるための必要な情報を提供することができる。
【0004】
患者の治療過程で生じ得る不確定性および変化には多くの発生源があることが、放射線療法の分野で一般に知られている。これらの発生源の幾つかは、毎日の患者のセットアップ位置におけるわずかな差などのような、ランダムなエラーを生じさせる。他の発生源は、療法中に患者の腫瘍が退行したり、患者が体重を減らした場合に生じ得る生理学的変化に起因する。第3の考慮され得るカテゴリは、動きと考えられる。幾つかの動きは、患者の咳込みや放屁などのように更にランダムであり予測不能であり、呼吸動作などのような他の動きは、より規則的になることも時々あるが、動きは、他のカテゴリの何れとも重複し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射線療法では、不確定さが、患者治療の品質に影響を与える可能性がある。例えば、ターゲット部位に治療線量を送達する場合、ターゲット回りの高線量「マージン(余裕部分)」部位も治療することが標準の行為である。これは、治療の過程または一つの分割(single fraction)において、その位置が変化した場合であっても、ターゲットが所望される線量を確実に受けられるようにする。ターゲット位置が不明確になればなるほど、一般に、使用するのに必要なマージンは大きくなる。
【0006】
適応放射線療法は、概して、将来の治療を改善するために放射線療法治療の過程でフィードバックを使用する概念を指す。フィードバックは、オフラインの適応療法プロセス、およびオンラインの適応療法プロセスで使用され得る。オフラインの適応療法プロセスは、治療のフラクション(分割)とフラクションの間などのような、患者が治療されていない間に行われる。これの1つのバージョンでは、各フラクション中、患者の新しいCT画像は、各フラクションの前または後で取得される。第1の幾つかの治療フラクションから画像が取得された後、画像は評価されて、複数日にわたるターゲット構造位置の有効なエンベロープ(envelope)を決定する。次いで、動きの標準的仮定を使用するのではなく、ターゲット構造の動きの範囲をより反映させるようにして、新しいプランを作成することができる。オフラインの適応療法のより複雑なバージョンは、各フラクションの後に、送達された線量を再計算してこれらの線量を蓄積するが、この蓄積中に内部の動きを考慮するように場合によっては変形(デフォーメーション)技法を用いる。蓄積された線量は、次いで、計画された線量と比較され、何らかの不一致が認められた場合、その後のフラクションは、その変化を調整するために変更され得る。
【0007】
オンライン適応療法プロセスは、一般に、患者が治療室にいる間に行われ、また、必ずしも必要ではないがトリートメント・デリバリ(treatment delivery、治療デリバリ)中に行われることもある。例えば、幾つかの放射線療法治療システムは、オンラインCTやX線システムなどの撮像システムを備える。これらのシステムは、トリートメント・デリバリ(治療デリバリ)のための患者のセットアップを検証したり調整するために、治療前に使用され得る。撮像システムはまた、実際のトリートメント・デリバリ中に治療を適合させるためにも使用することができる。例えば、撮像システムは、患者の解剖学的構造の変化を反映させるようにトリートメント・デリバリを変更するために、治療と同時に使用することも可能である。
【0008】
本発明の一態様は、適応療法技法の用途の新しい機会を開示することであり、また更なる諸態様は、適応療法のための新規な方法を提示することである。具体的には、適応療法は、一般に、患者の治療を変更するためのフィードバックに焦点を当ててきたが、本発明は、品質保証に関して使用される適応療法プロセスに焦点を当てている。これは、システム全体を検証する状況において特に当てはまる。
【0009】
例えば、検出器は、治療ビームがどのくらい患者を貫通したかを示す情報を収集するために使用することができ、それにより、治療出力の大きさ、ならびに送達に使用された放射線パターンを決定することができる。この送達検証プロセスの利点は、不適切なリーフ・パターンやマシン出力などのような、マシンによる送達におけるエラーを操作者が検出できるようになることである。
【0010】
しかし、マシンが適切に機能していることを検証すること自体は、治療プランの適正な送達を保証するものではなく、マシンをプログラムするために使用された外部入力が有効であり、かつ整合性のあることを検証することも必要になる。従って、本発明の一態様は、治療プロセス全体の改善された品質保証のために、適応型フィードバック・ループのより広い概念を含む。この態様では、本発明は、治療のために患者を配置し、画像ガイド型(画像支援型)の方法を用いて患者の位置を決定するステップと、画像ガイダンスに基づいて、治療に必要なように患者を再配置するステップと、治療を開始するステップとを含む。次いで、治療中または治療後に、患者の線量を再計算するステップと、治療前または治療中に収集された患者画像情報を組み込むステップとを含む。これらの諸ステップの完了後、送達が、どの程度プラン通り実施されたかを分析するだけではなく、プランされた送達が、新しく利用可能なデータに即して妥当であるかを検証するために、品質保証データが収集される。この点に関して、フィードバックの概念は、患者や送達の変化に基づいて治療に対する変更を指示するためには、もはや使用されず、元の送達それ自体を検証するために使用される。
【0011】
一例として、ある患者に対する治療プランを作成できるかもしれないが、プランに使用された画像は、正しくない密度の校正を適用することなどにより、壊れている可能性がある。この場合、治療プランは正しくない情報に基づいており、患者に対して正しい線量を送達しないかもしれない。更に、多くの品質保証技法は、このエラーは検出しない。なぜなら、それらの技法は、マシンに対する命令が正しい入力情報に基づいているかどうかを検査するのではなく、マシンが命令通り動作していることを検証するものであるからである。同様に、幾つかの適応療法技法をこの送達に適用することができるが、この例の校正問題が残存する場合、その適応治療は、同様な欠陥を生ずるはずである。
【0012】
品質保証の目的のために、フィードバックの使用を拡張するように使用され得る幾つかのプロセスがある。例えば、一実施形態では、このプロセスは、上述の送達検証技法を含むはずである。これらの方法が提供するマシン性能の妥当性検査は、システム全体の品質保証ツール・セットの価値のある構成要素である。更に、送達の妥当性検査プロセスは、一部が欠けた視野を有する画像に基づく送達などのような、他のシステム・エラーを分析するように拡張され得る。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一実施形態では、本発明は、システム・レベルの品質保証の方法を提供する。この方法は、患者の画像データを取得するステップと、患者へデリバリ(送達)される計算された放射線量を含む、患者のための治療プランを、少なくとも部分的に画像データに基づいて生成するステップと、実質的に治療位置において患者のオンライン画像を取得するステップと、計算された放射線量の少なくとも一部分を患者へ送達するステップと、治療プランのデリバリに関する品質保証基準を監視するステップと、患者が受けた放射線量を自動的に計算するステップと、品質保証基準および患者が受けた放射線量に基づいて、治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップとを備える。
【0014】
他の実施形態では、本発明は、放射線療法治療プランを患者へデリバリすることを確認するための統一されたシステムを提供する。そのシステムは、放射線療法治療デバイスおよびソフトウェア・プログラムを備える。放射線療法治療デバイスは、コンピュータ・プロセッサを含み、放射線を患者へ送達するように動作可能である。ソフトウェア・プログラムは、コンピュータ・プロセッサによりアクセス可能なコンピュータ可読媒体に格納されるものであり、患者の画像データを取得するようにし、患者へ送達される計算された放射線量を含む、患者のための治療プランを、少なくとも部分的に画像データに基づいて生成するようにし、実質的に治療位置において患者のオンライン画像を取得するようにし、計算された放射線量の少なくとも一部分を患者へ送達するようにし、治療プランの送達に関する品質保証基準を監視するようにし、患者が受けた放射線量を自動的に計算するようにし、品質保証基準および患者が受けた放射線量に基づいて、治療プランの送達(デリバリ)が意図した通りに行われたかどうかを判定するようにするよう、動作可能である。
【0015】
他の実施形態では、本発明は、システム・レベルの品質保証の方法を提供する。この方法は、患者の第1の画像を取得するステップと、患者へ送達される計算された放射線量を含む、患者のための治療プランを、少なくとも部分的に画像データに基づいて生成するステップと、実質的に治療位置において患者のオンライン画像を取得するステップと、第1の画像とオンライン画像との間の変形(デフォーメーション、deformation)マップを生成するステップと、計算された放射線量の少なくとも一部分を患者へ送達するステップと、治療プランの送達に関する品質保証基準を監視するステップと、変形マップに基づいて患者が受けた放射線量を判定するステップと、品質保証基準および患者が受けた放射線量に基づいて、治療プランの送達が意図した通りに行われたかどうかを判定するステップとを備える。
【0016】
本発明の他の諸態様は、詳細な説明および添付の図面を検討することにより明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の任意の諸実施形態が詳細に説明される前に、本発明は、その用途において、以下の説明で述べられたまたは以下の図面で例示されたコンポーネントの構成および配置の細部に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の諸実施形態も可能であり、様々な方法で実施され、または実行され得る。更に、本明細書で使用される表現法および用語は説明のためであり、限定するものと見なすべきではないことを理解されたい。「含む(including)」、「含む/備える(comprising)」、「有する(having)」、およびその変形物/異体を本明細書で使用する場合は、その後にリストされる項目およびその均等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。指定または限定されない限り、用語「設置される/取り付けられる(mounted)」、「接続される」、「支持される」、「結合される」、ならびにその変形物/異体は、広く使用され、かつ直接的、間接的に、設置/取付け、接続、支持、および結合することを包含する。更に、「接続される」および「結合される」は、物理的や機械的な接続や結合に限定されない。
【0018】
上側、下側、下方向、上方向、後方向、底部、前方、後方などのような方向の参照は、図面の説明において本明細書で行われ得るが、これらの参照は、便宜上、図面に対して行われる(普通に見たとき)。これらの方向は、本発明を、どのようなな形であれ、文字通り取られることや限定することを意図していない。更に、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は説明のために本明細書で使用されており、相対的な重要性または意義を指示や暗示することを意図していない。
【0019】
更に、本発明の諸実施形態は、議論のためにコンポーネントの大多数がハードウェア中に単独で実装されるかのように例示され説明されているハードウェアやソフトウェアと、電子コンポーネントやモジュールを含むことを理解されたい。しかし、当業者であれば、この詳細な説明を読むことに基づいて、少なくとも1つの実施形態において、本発明の電子ベースの諸態様がソフトウェアで実装され得ることを理解するはずである。従って、複数のハードウェアおよびソフトウェアベースのデバイス、ならびに複数の異なる構造的コンポーネントが、本発明を実装するために使用され得ることに留意されたい。更に、続く段落で述べるように、図面で示された特定の機械的な構成は、本発明の諸実施形態を例示する事を意図しており、他の代替の機械的な構成も可能である。
【0020】
図1は、患者14に放射線療法を提供できる放射線療法治療システム10を示す。放射線療法治療は、光子ベースの放射線療法、近接照射療法、電子ビーム療法、陽子、中性子、または粒子線療法、あるいは他のタイプの治療療法を含むことができる。放射線療法治療システム10は、ガントリ18を含む。ガントリ18は、放射線のビーム30を生成するように動作可能な放射線源24および線形加速器26を含むことのできる放射線モジュール22を支持することができる。図面で示されたガントリ18は、リング・ガントリ、即ち、完全に360度まで延びて完全なリングまたは円を生み出すガントリであるが、他のタイプの取付け構成を使用することもできる。例えば、Cタイプなどのようなリング型ではないガントリや、部分的リング・ガントリや、ロボット的なアームを使用することもできる。患者14に対して、様々な回転位置および/または軸位置で放射線モジュール22を配置することのできる他の任意のフレームワークをまた使用することができる。更に、放射線源24は、ガントリ18の形状に追従しない経路を移動することができる。例えば、放射線源24は、例示のガントリ18は概して円形形状であっても、非円形の経路を移動することができる。
【0021】
放射線モジュール22はまた、放射線ビーム30を変更や変調するように動作する変調デバイス34を含むことができる。変調デバイス34は、放射線ビーム30の変調を行い、放射線ビーム30を患者14の方へ送る。具体的には、放射線ビーム34は、患者の一部分の方向へ送られる。広く言えば、その部分は体全体を含むことができるが、概して、体全体よりは小さく、2次元面積および/または3次元体積により定義され得る。ターゲット38またはターゲット部位と呼ばれ得る、放射線を受けることが望ましい部分は、関心領域の一例である。他のタイプの関心領域は、危険を伴う領域(region at risk)である。ある部分が、危険を伴う領域を含む場合、放射線ビームは、危険を伴う領域からそらされることが好ましい。患者14は、放射線療法を受ける必要のある、1つより多くのターゲット部位を有する可能性がある。このような変調は、時には、強度変調放射線治療(「IMRT」)と呼ばれる。
【0022】
変調デバイス34は、図2に示すようにコリメーション・デバイス42含むことができる。コリメーション・デバイス42は、放射線ビーム30が通過できる開口部50の寸法を画定および調整する1組のジョー(jaw)46を含む。ジョー46は、上側ジョー54および下側ジョー58を含む。上側ジョー54および下側ジョー58は、開口部50の寸法を調整するように移動可能である。
【0023】
一実施形態では、また図2に示すように、変調デバイス34は、強度変調を提供するために、位置を移動するように動作可能な複数の組み合わされたリーフ66を含むマルチリーフ・コリメータ62を備えることができる。リーフ66は、最小の開放位置と最大の開放位置の間の何れかの位置に移動できることにも留意されたい。複数の組み合わされたリーフ66は、放射線ビーム30が患者14のターゲット38に達する前に、放射線ビーム30の強度、寸法、および形状を変調する。各リーフ66は、放射線が通過するのを許可または妨害するためにリーフ66を迅速に開閉できるように、モータや空気弁などのアクチュエータ70により独立して制御される。アクチュエータ70は、コンピュータ74および/または制御装置により制御され得る。
【0024】
放射線療法治療システム10はまた、放射線ビーム30を受けるように動作可能な検出器78、例えば、キロボルトやメガボルトの検出器を含むことができる。線形加速器26および検出器78はまた、患者14のCT画像を生成するためのコンピュータ断層撮影(CT)システムとして動作することもできる。線形加速器26は、患者14のターゲット38に向けて放射線ビーム30を放出する。ターゲット38は、放射線の幾らかを吸収する。検出器78は、ターゲット38により吸収された放射線の量を検出または測定する。線形加速器26が患者14の周囲を回転して患者14に向けて放射線を放出すると、検出器78は、様々な角度からの吸収データを収集する。収集された吸収データは、その吸収データを処理するために、また患者の体組織および器官の画像を生成するために、コンピュータ74へ送信される。画像はまた、骨、軟組織、および血管を示すこともできる。
【0025】
CT画像は、扇形の幾何形状、マルチスライス幾何形状、またはコーン・ビーム幾何形状を有する放射線ビーム30を用いて取得され得る。更に、CT画像は、メガボルトのエネルギーやキロボルトのエネルギーを送達する線形加速器26を用いて取得され得る。取得されたCT画像は、前に取得されたCT画像(放射線療法治療システム10から、またはCTスキャナ、MRIシステム、およびPETシステムなどの他の画像取得デバイスからのもの)とともに登録され得ることに更に留意されたい。例えば、患者14に対する前に取得されたCT画像は、輪郭付けプロセスを介して作成された識別されたターゲット38を含むことができる。患者14に対して新たに取得されたCT画像は、新しいCT画像中でターゲット38を識別することを支援するために、以前に取得されたCT画像とレジストレーション(登録)され得る。レジストレーション・プロセスは、固定された(rigid)またはデフォーメーション可能なレジストレーション・ツールを使用することができる。
【0026】
幾つかの実施形態では、放射線療法治療システム10は、X線源およびCT画像検出器を含むことができる。X線源およびCT画像検出器は、画像データを取得するための上記で述べられた線形加速器26および検出器78と同様な方法で動作する。画像データは、コンピュータ74に送信され、患者の体組織および器官の画像を生成するために処理される。
【0027】
放射線療法治療システム10はまた、患者14を支持する治療台82(図1に示された)などのような、患者サポート手段を含むことができる。治療台82は、x、y、またはz方向の少なくとも1軸84に沿って移動する。本発明の他の諸実施形態では、患者サポートは、患者の体の任意の部分を支持するように適合されたデバイスとすることができる。患者サポートは、患者の体全体を支持する必要のあるものに限定されない。システム10はまた、治療台82の位置を操作するように動作可能な駆動システム86を含むことができる。駆動システム86は、コンピュータ74により制御することができる。
【0028】
図2、図3に示すコンピュータ74は、様々なソフトウェア・プログラムおよび/または通信アプリケーションを動作させるためのオペレーティング・システムを含む。特に、コンピュータ74は、放射線療法治療システム10と通信するように動作するソフトウェア・プログラム(1または複数)90を含むことができる。コンピュータ74は、医療従事者によりアクセスされるように適合された任意の適切な入力/出力デバイスを含むことができる。コンピュータ74は、プロセッサ、入出力インターフェース、および記憶デバイスもしくはメモリなどの典型的なハードウェアを含むことができる。コンピュータ74はまた、キーボードおよびマウスなどのような入力デバイスを含むことができる。コンピュータ74は更に、モニタなどの標準の出力デバイスを含むことができる。更に、コンピュータ74は、プリンタおよびスキャナなどのような周辺装置を含むことができる。
【0029】
コンピュータ74は、他のコンピュータ74および放射線療法治療システム10とネットワーク化され得る。他のコンピュータ74は、追加のおよび/または異なるコンピュータ・プログラムおよびソフトウェアを含むことができ、本明細書で述べられたコンピュータ74と同一である必要はない。コンピュータ74および放射線療法治療システム10は、ネットワーク94と通信することができる。コンピュータ74および放射線療法治療システム10はまた、データベース(1または複数)98およびサーバ(1または複数)102と通信することができる。ソフトウェア・プログラム(1または複数)90はまた、サーバ(1または複数)102に常駐できることに留意されたい。
【0030】
ネットワーク94は、任意のネットワーキング技術もしくはトポロジ、または技術もしくはトポロジの組合せに従って構築することができ、また複数のサブネットワークを含むことができる。図3に示すコンピュータと諸システムとの間の接続は、ローカル・エリア・ネットワーク(「LAN」)、広域ネットワーク(「WAN」)、公衆電話交換網(「PSTN」)、無線ネットワーク、イントラネット、インターネット、または他の適切な任意のネットワークを介して行うことができる。病院または医療介護施設では、図3に示すコンピュータと諸システムの間の通信は、ヘルス・レベル・セブン(「HL7:Health Level Seven」)プロトコル、または任意のバージョンを有する他のプロトコルおよび/または他の必要なプロトコルを介して行うことができる。HL7は、健康管理環境において電子データを交換するために異なるベンダからの2つのコンピュータ・アプリケーション(送信側と受信側)の間のインターフェースの実装形態を指定する標準プロトコルである。HL7により、健康管理施設は、様々なアプリケーション・システムからの重要なデータ・セットを交換できるようになる。具体的には、HL7は、交換されるデータ、相互に交換するタイミング、およびアプリケーションに対するエラーの通信を定義することができる。そのフォーマットは、概して包括的な性質のものであり、行われるアプリケーションの必要性を満たすように構成することができる。
【0031】
図3に示すコンピュータと諸システムの間の通信はまた、任意のバージョンを有する医用デジタル・イメージングおよび通信規格(「DICOM:Digital Imaging and Communications in Medicine」)プロトコル、および/または他の必要なプロトコルを介して行うことができる。DICOMは、NEMAにより開発された国際的な通信規格であり、様々な医用機器の間で医用画像に関連したデータを転送するのに使用されるフォーマットを定義する。DICOM RTは、放射線療法データに特有の標準を示す。
【0032】
図3の両方向の矢印は、概して、ネットワーク94と、図3に示すコンピュータ74およびシステム10の何れかとの間の両方向通信および情報転送を表す。しかし、何らかの医療用でコンピュータ化された機器の場合、1方向の通信および情報転送のみが必要であり得る。
【0033】
ソフトウェア・プログラム90は、放射線療法治療プロセスの機能を実施するために互いに通信する複数のモジュールを含む。それらの様々なモジュールは、放射線療法治療プランの送達が意図した通りに行われたかどうかを判定するように、互いに通信する。
【0034】
ソフトウェア・プログラム90は、医療従事者によるシステム10へのデータ入力に基づいて、患者14に対する治療プランを生成するように動作可能な治療プランモジュール106を含む。データは、患者14の少なくとも一部分の1または複数の画像(例えば、計画している画像および/または治療前の画像)を含む。治療プラン・モジュール106は、治療を複数のフラクションに分離し、医療従事者により入力された処方に基づいて、各フラクションまたは治療に対する放射線量を決定する。治療プランモジュール106はまた、ターゲット38の周囲に描かれた様々な輪郭に基づいて、ターゲット38に対する放射線量を決定する。複数のターゲット38が同じ治療プラン中に存在し、含まれてもよい。
【0035】
ソフトウェア・プログラム90はまた、特定の治療フラクションに対して、ガントリ18の等角点に対して患者14を配置して、位置合わせするように動作する患者配置モジュール110を含む。患者が治療台82にある間に、患者配置モジュール110は、患者14の画像を取得し、患者14の現在の位置を、参照(基準)画像における患者の位置と比較する。参照画像は、計画画像や、任意の治療前の画像や、計画画像と治療前画像との組合せとすることができる。患者の位置を調整する必要のある場合、患者配置モジュール110は、治療台82を移動するように駆動システム86に命令を行うか、または、患者14を手動で新しい位置に移動することができる。一つの構成では、患者配置モジュール110は、ガントリ18の等角点に関する患者位置データを提供するように治療室に配置されたレーザから、データを受け取ることができる。そのレーザからのデータに基づいて、患者配置モジュール110は、駆動システム86に命令を行い、駆動システム86は、治療台82を移動し、ガントリ18に関して患者14を適正に位置合わせする。レーザ以外のデバイスおよびシステムも、位置合わせプロセスを支援するために、患者配置モジュール110にデータを提供するように使用され得ることに留意されたい。
【0036】
患者配置モジュール110はまた、治療中の患者の動きを検出および/またはモニタ(監視)するように動作可能である。患者配置モジュール110は、X線、室内CT、レーザ配置デバイス、カメラ・システム、肺活量計、超音波、張力測定、胸部バンドなどのような動き検出システム112と通信することができ、かつ/または、それを組み込むことができる。患者の動きは、不規則であり予測できない可能性があり、スムーズなまたは再生可能な経路に従う必要はない。
【0037】
ソフトウェア・プログラム90はまた、治療プランに従って患者14へ治療プランをデリバリするように、放射線療法治療システム10に命令するように動作するトリートメント・デリバリ・モジュール114を含む。トリートメント・デリバリ・モジュール114は、患者14へ放射線を送達するために命令を生成して、それをガントリ18、線形加速器26、変調デバイス34、および駆動システム86へ送信することができる。命令は、治療プランに指定された適正な量で適正なターゲットへ放射線ビーム30を送達するように、ガントリ18、変調デバイス34、および駆動システム86の必要な動作を調整する。
【0038】
トリートメント・デリバリ・モジュール114はまた、治療プランによって指定された処方に一致するように、送達すべき放射線ビーム30の適切なパターン、位置、および強度を計算する。放射線ビーム30のパターンは、変調デバイス34により生成されるものであり、更に具体的には、マルチリーフ・コリメータの複数のリーフの移動により生成される。トリートメント・デリバリ・モジュール114は、治療パラメータに基づいて、放射線ビーム30に対する適切なパターンを生成するために、標準、所定、またはテンプレートのリーフ・パターンを用いることができる。トリートメント・デリバリ・モジュール114はまた、アクセス可能な、典型的な症例に対するパターンのライブラリを含むことができ、それと現在の患者データと比較して、放射線ビーム30のパターンを決定する。
【0039】
ソフトウェア・プログラム90はまた、フィードバック・モジュール118も含むことができ、フィードバック・モジュール118は、患者の治療中に放射線療法治療システム10からデータを受け取るように動作可能である。フィードバック・モジュール118は、放射線療法治療デバイスからデータを受け取ることができ、患者トランスミッション(transmission)・データ、電離箱データ、MLCデータ、システム温度、コンポーネントの速度および/または位置、流量などに関する情報を含むことができる。フィードバック・モジュール118はまた、治療パラメータ、患者が受けた放射線量、治療中に取得された画像データ、および患者の動きに関するデータを受け取ることもできる。更に、フィードバック・モジュール118は、ユーザおよび/または他のソースからの入力データを受け取ることができる。フィードバック・モジュール118は、更なる処理のために必要になるまでデータを取得し格納する。
【0040】
ソフトウェア・プログラム90はまた、分析モジュール122を含み、分析モジュール122は、フィードバック・モジュール118からのデータを分析して、治療プランの送達が意図した通りに行われたかどうかを判定するように、および、新たに取得したデータに基づいて、計画した送達(デリバリ)が妥当であるかを検証するように動作可能である。分析モジュール122はまた、受け取ったデータおよび/または更に入力されたデータに基づいて、治療プランの送達中に問題が起きたかどうかを判定することもできる。例えば、分析モジュール122は、その問題が、放射線療法治療デバイス10のエラー、および/または患者の動きなどのような解剖学的なエラー、および/またはデータ入力エラーなどのような臨床上のエラーに関するかどうかを判定することができる。分析モジュール122は、治療台82、デバイスの出力、ガントリ18、マルチリーフ・コリメータ62、患者のセットアップ、および放射線療法治療デバイス10の構成要素間のタイミングエラーに関する、放射線療法治療デバイス10のエラーを検出することができる。例えば、分析モジュール122は、計画中に治療台の交換が行われたかどうか、固定デバイスが適切に使用され計画中に説明されたかどうか、治療中の位置および速度が正しいかどうかを、判定することができる。分析モジュール122は、放射線療法治療デバイス10の出力パラメータに変化または変動が起きたかどうかを判定することができる。ガントリ18に関しては、分析モジュール122は、ガントリ18の速度および位置決めにエラーがあるかどうかを判定することができる。分析モジュール122は、マルチリーフ・コリメータ62が適切に動作しているかどうかを判定するために、データを受け取ることができる。例えば、分析モジュール122は、リーフ66が正しい回数動いたかどうか、リーフ66が定位置に固定されているかどうか、リーフのタイミングが適切に校正されているかどうか、リーフ変調パターンが所与の治療プランに関して正しいかどうかを、判定することができる。分析モジュール122はまた、任意の所与の治療プランに関しての患者のセットアップ、向き、および位置を検証することもできる。分析モジュール122はまた、ガントリ18、治療台62、線形加速器26、リーフ66の間のタイミングが正しいことを検証することもできる。
【0041】
分析モジュール122はまた、複数のフラクションにわたって患者14が正しい放射線量を確実に受けるために、変形(デフォーメーション)可能なレジストレーション・データを使用することもできる。線量を分析するときに、エラーが悪化されているかどうかや、エラーが互いに弱めあっているかどうかを判定するために、複数の治療フラクションにわたって線量を蓄積することが有用である。レジストレーションは、複数の画像にわたる患者の解剖学的または生理学的な位置の間の相互関係を判定するための方法である。変形可能なレジストレーションは、画像、フェーズ、または時間の間の解剖学的構造の固定されない(non−rigid)変化を説明するための、患者の解剖学的または生理学的な位置の間の相互関係を判定する方法である。患者14へ送達された放射線量は、正しい線量が患者14へ送達されてきたことや、されていることを確実にするために、オンライン画像と放射線療法治療デバイス10からのフィードバックとに基づいて、再計算される。
【0042】
分析モジュール122はまた、品質保証の目的のために、画像の変形(デフォーメーション)ベースの輪郭付けに関連するデータを使用することもできる。変形可能なレジストレーションの技法を使用して、新しい画像に対して自動的または半自動的に輪郭を生成することができる。概して、輪郭セットが、計画画像や他のベースライン患者画像のために画定されてきたが、新しい画像では、輪郭セットは通常はすぐに利用可能ではない。手動で画像の輪郭付けをするようにオペレータに要求するよりも、変形可能な画像レジストレーションを実施し、次いで、その変形の結果を、新しい患者の解剖学的構造に反映させるように、元の輪郭セットを変更するための基礎として使用することが、より迅速かつより整合性があるものとなり得る。前に利用可能であった画像および輪郭の組に基づいて、新しく利用可能な画像に対する輪郭を生成するための、テンプレート・ベースの輪郭付けアルゴリズムの類似のものが開発されてきた。これらのテンプレート・ベースのアルゴリズムは、前の患者画像および輪郭に基づいて、または、場合によっては、標準またはアトラス(atlas)患者画像および輪郭に基づいて、新しい患者画像を輪郭付けすることができる。これは、自動的に日ごとに輪郭が得られている日々の画像における線量を蓄積する手段として、適応療法に対して実施され得る。更に、以前は、これらのアルゴリズムは、標準のまたはアトラスの画像に基づいて新しい輪郭を生成することにおいて使用されていたが、これらの技法を、画像支援型の放射線療法で生ずる特定の豊富な画像データおよび種々のタイプの画像に適用することが、本発明の新しい態様である。具体的には、これは、輪郭の組が画像の1つに対してのみ存在し得る、同じ患者の複数の画像のデフォーメーションおよびテンプレートベースの輪郭付けを含む。患者のこれらの複数の画像は、オンラインもしくは室内患者撮像システムの使用から生じ得るものであり、画像は異なる日に撮られた可能性があり、あるいは、これらの画像は、各画像が呼吸フェーズなどの動きのフェーズ(phase、相、時期)を表すCTスキャナなどのような「4D」撮像システムから導出され得る。オンラインまたは室内撮像システムは、基準(参照)画像と同じか、同様か、または異なるモダリティであり得ることにも留意されたい。例えば、参照画像はCT画像とすることができるが、オンライン画像は、CT、コーン・ビームCT、メガボルトCT、MRI、超音波、または異なる様式のものとすることもできる。これらの輪郭付け技法を、品質保証および適応療法の用途に移植することにより、画像の輪郭付けにおいてかなりの時間を節約することが可能になり、この方法は更に、同じ患者の複数の画像(異なる時間に撮られたものや、異なるフェーズを示す)にわたり、輪郭の一貫性を向上させることができる。手動による輪郭は再現できないという欠点があり得るが、自動的に生成される輪郭は、後の輪郭生成に初期の輪郭の原理を適用するという点において、潜在的に、より整合性があり得ることが、知られている。
【0043】
変形可能なレジストレーション技法を使用した輪郭付けプロセスの他の利点は、生成された輪郭が、変形プロセスの妥当性検査を提供することである。生成された輪郭が、手動で描こうとしたものに近い輪郭を反映している場合、変形プロセスが妥当なものであることをよく示しており、一方、自動の輪郭が、関連性の低いものである場合、それは、おそらくは変形(デフォーメーション)が不適切であるということをユーザに示すが、また、ユーザに、誤りや不整合性を検査するために手動の輪郭を確認する機会を提供する。この方法の他の態様は、変形ベースの輪郭を、適応プロセスに対する概略(下書き)の輪郭として使用でき、また、オンライン画像に対して所望の輪郭を反映するように手動で編集できることである。これを行う場合、変形プロセスを再度動作させることができ、変形マップを制限して、初期の輪郭を、手動で編集された自動的な輪郭にマッチさせるようにするが、これにより、残りの画像を通して直接整合性のある結果が得られるようになる。
【0044】
分析モジュール122はまた、品質保証の目的のために、様々な画像で線量計算を行うために変形マップを使用するように動作可能である。ある画像は線量計算に有用な計画(プラン)画像であり、他の画像はオンライン画像などのような質的な値を有するが線量計算に対する直接の有用性が低いものであるというような複数の画像を関連付けるために、変形マップが利用され得る。この関係は、次いで、より定量的な画像を、質的な形状のオンラインの又はより低い定量的な画像に「再マップする」ために使用することができる。その結果として得られた再マップ画像は、第1の画像の定量的な利点を有し、第2の画像中に含まれている更新された解剖学的情報も有しているので、線量計算または定量的な用途のためには、他の2つの何れの画像よりも更に適切なはずである。これは、第1の画像(例えば、計画画像)がCT画像であり、第2の画像が定量的な画像の値を欠く場合(例えば、MRI、PET、SPECT、超音波、または非定量的CTなどの画像)などのような、様々な場合に有用である。この方法の同様の適用例は、量的な制限に代えて、またはそれに加えて、幾何形状的な歪み、欠点、および/または不完全性を修正することである。例えば、解剖学的構造を十分に表すが幾何形状の歪みを含む現在のMRI画像を、歪みを受けないCT画像に再マップすることができる。あるいは、複数の画像を使用して、解剖学的変化を示しつつ、両方の歪みを同時に修正することができる。
【0045】
上述のように、計画画像の後に取得された患者画像において線量を再計算することができることが重要である。それらの線量については、デリバリされた複数のフラクション(分割)に関するそれらの線量を蓄積することも有用である。それらの線量は、物理的な空間の線量の位置に基づいて加算されるが、より良い方法は、変形方法をプロセスに組み込んで、線量を受け取った構造に基づいて(たとえそれらの構造が位置を変えたとしても)、線量を加算するようにすることである。しかし、新規のタイプの適応療法を実行するために、こうした技法をベースにすることが可能である。
【0046】
線量を再計算することに関しては、こうしたプロセスを改善または容易にするための本発明の他の幾つかの態様がある。例えば、場合によっては画像支援に基づいて、患者に適用する日々の任意のレジストレーションを記録の後に、これらの同じレジストレーションは、オプションとして、線量を再計算するときに患者画像に適用され得る。これは、自動的または半自動的に行われ得る。代替例としては、線量は、異なるレジストレーションを用いて再計算され得る。その利点は、記録されたレジストレーションを自動的に使用することによって、送達された線量を再計算するプロセスが簡素化および合理化されることである。更に、異なるレジストレーションに対して線量を再計算する能力を有することによって、他の患者の位置合わせ(アライメント)プロトコルの効果がより高いか又はより低いかを判定するために、試験することができる。また、記録されたレジストレーションを使用しないことによって、画像支援のないときに治療にどのように影響があったかを判定することができる。
【0047】
線量の再計算プロセスはまた、不完全な画像をパディングする(padding、当て物をする)ことによって強化され得る。それは、軸方向平面および/または上位/下位の方向に制限された、限られた寸法の画像により、線量計算の正確さが低下する恐れがあるからである。これを克服する方法は、限られた寸法の画像を、計画画像からなどのデータのような他の画像データでパディングすることである。このパディングする方法は、軸方向や上位/下位の制限されたデータに対して役に立つことができる。更に、上位/下位データをパディングするための他の方法は、改善された線量計算を行うためにデータ量が十分に大きくなるまで、必要に応じて不完全な画像のエンド・スライスを繰り返すことである。
【0048】
線量の再計算の更なる態様は、実際の4Dの動きを説明するために線量の計算を伴う。以前の教示は、時間ベースの一連の画像、または呼吸などのような動きのパターンの「フェーズ(相)」をそれぞれが表す3D画像ボリュームの集合体である「4D CT」画像を生成するための方法を説明する。それらの画像は、輪郭付けのために、更には、ある「フェーズ」のサイクルを予想する治療プランを生成するために使用されてきた。しかし、患者の呼吸は、しばしば、「4D CT」画像セットによって示される理想的な再現可能なパターンからずれる可能性がある。本発明は、それらのボリュームのうち1つについて、線量をより正確に再計算する方法を提供する。これは、治療中の患者の動きを監視するために、動き検出システム112を使用することを伴う。こうした動きは、不規則であるか、または予測できない可能性があり、また、スムーズなまたは再生可能な経路に従うとはかぎらない。また、こうした動きは、X線、室内CT、レーザ配置デバイス、カメラ・システム、肺活量計、超音波、張力測定などを含む多くのモニタ・システムの任意のもので検出され得る。こうした測定の場合、線量は、任意の所与の時間に患者が存在したフェーズを特定するために測定されたデータを使用することにより、そして、患者の瞬間的な位置に最もマッチする4D CT画像のフェーズにおける各時間にいての放射線量を再計算することにより、患者の実際のデリバリに関して再計算することができる。これもまた、患者の治療と同時に収集されたCT画像を使用して実行され得る。後者の場合には、フェーズの特定は必要ないかもしれない。一実施形態では、デフォーメーション技法は、異なるフェーズまたは画像の間の線量を蓄積するように、使用することができる。更に、治療前または治療中に更新された4D CT画像の生成は、この方法と共に使用することができ、4D PETや4D MRIなどのような、厳密にはCTではない他のタイプの4D画像も可能であるが、典型的には、これらの画像を定量的に使用するためには幾らかの変更を必要とする。
【0049】
この技法の適用例は、不良の計画作成や、計画(プラン)を不良に送達するこによる結果などによる、不良の治療を修正することである。分析モジュール122は、送達されたネットの線量を分析することができ、所望されるネットの線量や、意図した生物学的効果に適合するように選択された線量を送達するように、修正プランを生成することができる。元の治療は、光子ベースの放射線療法に限定する必要はなく、近接照射療法、電子ビーム療法、陽子、中性子、または粒子線療法、または他のタイプの治療を含む任意の形態の治療とすることができる。
【0050】
この発明の他の態様は、適応療法の概念が、受けた線量のみに基づくだけではなく、患者の治療、臨床結果、マシンの変化、および/または生物学的なマーカにおける予測トレンドに基づいて、適用され得ることである。例えば、腫瘍が収縮しつつある、または正常な組織構造が徐々に移動しつつある、というようなトレンド(傾向)が検出された場合、適応プラン・プロセスは、患者の現在の状態および今まで送達された線量を説明するだけではなく、予期される更なる解剖学的構造の変化を反映するプランを生成することもできる。同様に、治療の過程での累積する線量情報を分析する場合、臨床家はまた、臨床的な発見や利用可能な生物学的マーカや検査に基づいて、患者が経験する臨床的影響および副作用のレベルも考慮することができる。副作用が僅かである場合、更に積極的な療法治療を追求してもよく、一方、更なる合併症が検出される場合、影響を受けた部位を適切に回避するために、療法を変更することもできる。更に、プランは、出力、エネルギー、校正の変動などのようなマシンで検出された変化に対して補償するように、適合され得る。
【0051】
この態様のバリエーションは、放射線生検(radiobiopsy)を実施することである。治療の早期に、または放射線治療を完全に開始する前に、患者14は、局所化された部位に対して、高い放射線量を有する治療(トリートメント)・フラクションを、または局所化された部位に対して、場合によっては、1回の線量を受けることができる。この部位に対する効果が監視されて、それが腫瘍状であるか、また、何れのタイプかなどのような、その部位の性質を判定することができる。これらの結果に基づいて、治療の適切な過程を決定することができ、既に送達された線量がプラン・プロセスに組み込まれる。
【0052】
図5は、システム・レベルの品質保証を確認する方法の流れ図を示す。医療従事者は、患者の画像を取得し(200)、患者データや、画像や、他の情報に基づいて、患者14のための治療プランを生成する(204)。患者14の治療の準備ができていると、医療従事者は、治療のデリバリ前に、患者配置モジュール110の助けを受けて患者14を治療台82に配置する(208)。医療従事者は、配置プロセスを支援するために患者14のオンライン画像の取得を開始する(212)。更なる配置調整が必要に応じて行われ得る。患者14が適切に配置された後、ユーザは、トリートメント・デリバリ・モジュール114の助けを受けて、治療プランに従って治療を開始する(216)。治療プランのデリバリ中に、フィードバック・モジュール118は、放射線療法治療デバイス10および患者パラメータに関するデータを取得する(220)。治療中および/または治療後に、分析モジュール122は、患者14が受ける放射線量を計算し(224)、治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定する(228)。
【0053】
図6は、システム・レベルの品質保証を確認する方法の流れ図を示す。医療従事者は、患者の画像を取得し(250)、患者データや、画像や、他の情報に基づいて、患者14のための治療プランを生成する(254)。患者14の治療の準備ができていると、医療従事者は、治療のデリバリ前に、患者配置モジュール110の助けを受けて、患者14を治療台82に配置する(258)。医療従事者は、配置プロセスを支援するために患者14のオンライン画像の取得を開始する(262)。更なる配置調整が必要に応じて行われ得る。医療従事者は、治療プランの画像の1つとオンライン画像との間の変形マップの生成を開始する(266)。患者14が適切に配置された後、ユーザは、施療モジュール114の助けを受けて、治療プランに従って治療を開始する(270)。治療プランのデリバリ中に、フィードバック・モジュール118は、放射線療法治療デバイス10および患者パラメータに関するデータを取得する(274)。治療中および/または治療後に、分析モジュール122は、患者14が受ける放射線量を計算し(278)、治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定する(282)。
【0054】
本発明の様々な特徴および利点は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、放射線療法治療システムの斜視図である。
【図2】図2は、図1で示された放射線療法治療システムで使用され得るマルチリーフ・コリメータの斜視図である。
【図3】図3は、図1の放射線療法治療システムの概略図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態による、治療プランのデリバリを評価する方法の放射線療法治療システムのチャートで使用されるソフトウェア・プログラムの概略図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態によるシステム・レベルの品質保証を確認する方法の流れ図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態によるシステム・レベルの品質保証を確認する方法の流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム・レベルの品質保証の方法であって、
患者の画像データを取得するステップと、
少なくとも部分的に前記画像データに基づいて前記患者のための治療プランを生成するステップであって、治療プランは、前記患者へデリバリされる計算された放射線量を含むものである、ステップと、
実質的に治療位置において前記患者のオンライン画像を取得するステップと、
前記計算された放射線量の少なくとも一部を前記患者へデリバリするステップと、
前記治療プランのデリバリに関する品質保証基準を監視するステップと、
前記患者が受けた前記放射線量を計算するステップと、
前記品質保証基準および前記患者が受けた前記放射線量に基づいて、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップと
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記ステップの少なくとも1つが自動的に実行される、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記放射線量を計算するステップが、撮像中に受けた放射線量を含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、共通の値のデータベースを維持するステップを更に備え、前記判定するステップが、少なくとも部分的に前記共通の値に基づいている、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記の治療のデリバリを停止する通知を生成するステップを更に備える方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記品質保証基準を監視するステップが、前記治療プランをデリバリするために使用された前記システムからのフィードバック・データを使用して、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップを含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップが、前記治療プランのデリバリ中に起きる問題を特定するステップを含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記問題がマシン・エラーとして識別される、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、前記問題が解剖学的なエラーとして識別される、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、前記問題が臨床上のエラーとして識別される、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップが、前記デリバリされた線量に関するデータを蓄積するためにデフォーメーション可能なレジストレーションを使用することを含む、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップが、患者解剖学的構造の輪郭を作成するように、デフォーメーション可能なレジストレーションを使用することを含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、デフォーメーション可能なレジストレーションが、線量計算に適用可能な画像を与える、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップが、記録された患者セットアップ・データまたは動きのデータを使用するステップを更に含む、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップが、新たに取得した画像データと予め記録した画像データとの組合せに基づく、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記新たに取得した画像データおよび予め記録した画像データが、複合画像を作成するためにマージされる、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップが、デリバリされる他の形態治療を査定するステップと、前記査定に応じて前記治療プランを調節するステップとを更に含む、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかに基づいて、前記治療プランを改訂するステップを更に備え、前記改訂はまた、任意の前記品質保証基準の予測した傾向を説明するものである、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記治療プランを改訂するステップが、前記品質保証基準の少なくとも一部についての予測した傾向を生成するステップと、前記予測した傾向を評価するステップとを更に備える、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記予測した傾向が、臨床上の情報の予測した傾向を含む、方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法であって、デリバリされた臨床上の線量および患者の影響に関するデータを取得するステップと、前記臨床上の線量に関する生物学的モデルを患者の影響に適用するステップとを更に備える方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、前記患者が受けた前記放射線量を計算するステップが、前記患者が受けた蓄積された放射線量を含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記放射線量を計算するステップが自動的に行われる、方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法であって、前記蓄積された放射線量が、散乱した線量と画像の線量との組み合わせである、方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法であって、ユーザのエラーまたは治療のエラーの通知を生成するステップを更に備える方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、前記通知に基づいて前記システムの構成要素またはパラメータを再校正するステップを更に備える方法。
【請求項27】
請求項1に記載の方法であって、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップが、前記システムが修理を必要とするかどうかを識別するステップを含む、方法。
【請求項28】
請求項1に記載の方法であって、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップが、代替の治療を識別するステップを含む、方法。
【請求項29】
放射線療法治療プランの患者へのデリバリを確認するための統一されたシステムであって、
コンピュータ・プロセッサを含み、放射線を患者へデリバリするように動作可能である放射線療法治療デバイスと、
前記コンピュータ・プロセッサによってアクセス可能であるコンピュータ可読媒体内に格納されたソフトウェア・プログラムと
を備え、
前記ソフトウェアは、
患者の画像データを取得し、
前記患者のための、前記患者へデリバリされる計算された放射線量を含む治療プランを、少なくとも部分的に前記画像データに基づいて生成し、
実質的に治療位置において前記患者のオンライン画像を取得し、
前記計算された放射線量の少なくとも一部を前記患者へデリバリし、
前記治療プランのデリバリに関する品質保証基準を監視し、
前記患者が受けた前記放射線量を計算し、
前記品質保証基準および前記患者が受けた前記放射線量に基づいて、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定する
ように動作させることが可能である、
システム。
【請求項30】
請求項29に記載のシステムであって、前記ソフトウェア・プログラムは、前記ステップのうち少なくとも1つを自動的に実行するように動作する、システム。
【請求項31】
請求項29に記載のシステムであって、前記ソフトウェア・プログラムは更に、前記治療プランのデリバリ中に起きる問題を特定するように動作する、システム。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記問題がマシン・エラーとして識別される、方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、前記問題が解剖学的なエラーとして識別される、方法。
【請求項34】
請求項31に記載の方法であって、前記問題が臨床上のエラーとして識別される、方法。
【請求項35】
請求項29に記載のシステムであって、前記ソフトウェア・プログラムは、前記放射線療法治療デバイスからのフィードバック・データを取得して、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するように動作する、システム。
【請求項36】
請求項29に記載のシステムであって、前記ソフトウェア・プログラムが更に、前記治療プランのデリバリ中に起きる問題を特定するように動作し、前記問題が、放射線療法治療デバイスのエラー、解剖学的なエラー、および臨床上のエラーの1つに関連する、システム。
【請求項37】
請求項29に記載のシステムであって、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定することが、前記デリバリされた線量に関するデータを蓄積するためにデフォーメーション可能なレジストレーションを使用することを含む、システム。
【請求項38】
システム・レベルの品質保証の方法であって、
患者の第1の画像を取得するステップと、
前記患者のための、前記患者にデリバリされる計算された放射線量を含む治療プランを、少なくとも部分的に前記画像データに基づいて生成するステップと、
実質的に治療位置において前記患者のオンライン画像を取得するステップと、
前記第1の画像と前記オンライン画像との間のデフォーメーション・マップを生成するステップと、
前記計算された放射線量の少なくとも一部を前記患者へデリバリするステップと、
前記治療プランのデリバリに関する品質保証基準を監視するステップと、
前記デフォーメーション・マップに基づいて、前記患者が受けた前記放射線量を判定するステップと、
前記品質保証基準および前記患者が受けた前記放射線量に基づいて、前記治療プランのデリバリが意図した通りに行われたかどうかを判定するステップと
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−502255(P2009−502255A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523026(P2008−523026)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/028556
【国際公開番号】WO2007/014108
【国際公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(506024320)トモセラピー・インコーポレーテッド (27)
【Fターム(参考)】