説明

治療化合物

治療用置換シクロペンタン化合物、並びに該化合物に関連する組成物、医薬品および治療方法を本明細書において開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術背景)
眼圧降下剤は、術後およびレーザー線維柱帯切除術後の高眼圧症状発現、緑内障のような多くの各種高眼圧症状の治療において、さらに、術前補助薬として有用である。
緑内障は、眼圧上昇に特徴を有する眼の疾患である。その病因に基づき、緑内障は、原発性または続発性として分類されている。例えば、成人における原発性緑内障(先天性緑内障)は、開放隅角または急性もしくは慢性閉塞隅角のいずれかであり得る。続発性緑内障は、ブドウ膜炎、眼球腫瘍または膨化白内障のような先在眼疾患に由来する。
原発性緑内障の根底にある原因は、今のところ未知である。眼圧上昇は、房水流出の障害に基づく。慢性開放隅角緑内障においては、前眼房およびその解剖構造は正常のようであるが、房水の排出が阻害されている。急性または慢性閉塞隅角緑内障においては、前眼房が浅く、濾過胞角が狭窄し、虹彩が小柱網をシュレム管の入口で遮断し得る。瞳孔散大は、虹彩の根元を隅角の前方へ押し得、また、瞳孔ブロックを発生させ得、従って、急性発作が生ずる。狭前眼房角を有する目は、種々の重症度の急性閉塞隅角緑内障発作にかかりやすい。
続発性緑内障は、房水の後眼房から前眼房への、そして、その後のシュレム管への流れによる何らかの干渉に起因する。前眼部の炎症性疾患は、膨隆虹彩内に完全虹彩後癒着を生じることによって房水散逸を妨げ得、排出チャンネルを滲出液で閉塞し得る。他の一般的な病因は、眼球腫瘍、膨化白内障、網膜中心静脈閉塞症、眼の外傷、術式および眼内出血である。
全てのタイプをまとめて検討すると、緑内障は、40歳以上の全人口の約2%において発症し、急速な失明に進行する前の数年間は無症状であり得る。手術が適応でない場合においては、局所β-アドレナリン受容体拮抗薬が、伝統的に、緑内障治療における選択薬物である。
ある種のエイコサノイド類およびその誘導体は、緑内障の管理に使用するのに現在商業的に入手可能である。エイコサノイド類および誘導体としては、プロスタグランジン類およびその誘導体のような多くの生物学的に重要な化合物がある。プロスタグランジン類は、下記の構造式を有するプロスタン酸の誘導体として説明することができる。
【化1】

種々のタイプのプロスタグランジンが、プロスタン酸骨格の構造およびその脂環式環上に担持された置換基に応じて知られている。さらなる分類は、包括的タイプのプロスタグランジンの後の下付き数字[例えば、プロスタグランジンE1(PGE1)、プロスタグランジンE2(PGE2)]によって示される側鎖中の不飽和結合の数、およびαまたはβ[例えば、プロスタグランジンF(PGF)]によって示される脂環式環上の置換基の構造に基づく。
【0002】
(発明の開示)
本明細書においては、下記の構造を有する化合物、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグを開示する:
【化2】

(式中、Yは、有機酸官能基またはその14個までの炭素原子を含むアミドもしくはエステルであるか;或いは、Yは、ヒドロキシメチルまたはその14個までの炭素原子を含むエーテルであるか;或いは、Yは、テトラゾリル官能基であり;
Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-、または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子は、SまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインター(中間)アリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得;
Jは、C=O、CHOH、CHF、CHCl、CHBr、CF2、CCl2、CBr2またはCHCNであり;そして、
Bは、置換アリールまたはヘテロアリールである);
但し、上記化合物は、下記でないことを条件とする:
【化3】

(式中、Y1は、CO2Hまたはそのアミドである)。
もう1つの実施態様においては、上記化合物は下記ではない:
【化4】

(式中、Y1は、CO2Hまたはそのアミドである)。
【0003】
また、本明細書においては、カルボン酸またはそのバイオイソスター(bioisostere)、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグも開示する;該カルボン酸は、下記の構造を有する:
【化5】

(式中、Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子は、SまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得;
Jは、C=O、CHOH、CHF、CHCl、CHBr、CF2、CCl2、CBr2またはCHCNであり;そして、
Bは、置換アリールまたはヘテロアリールである)。
【0004】
また、本明細書においては、下記の構造を有する化合物またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグも開示する:
【化6】

(式中、Yは、有機酸官能基またはその14個までの炭素原子を含むアミドもしくはエステルであるか;或いは、Yは、ヒドロキシメチルまたはその14個までの炭素原子を含むエーテルであるか;或いは、Yは、テトラゾリル官能基であり;
Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子は、SまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得;
Jは、C=O、CHOH、CHF、CHCl、CHBr、CF2、CCl2、CBr2またはCHCNであり;そして、
Bは、C1-10オキソアルキル置換アリールまたはヘテロアリールである)。
【0005】
また、本明細書においては、カルボン酸またはそのバイオイソスター、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグも開示する;該カルボン酸は、下記の構造を有する:
【化7】

(式中、Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子は、SまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得;
Jは、C=O、CHOH、CHF、CHCl、CHBr、CF2、CCl2、CBr2またはCHCNであり;そして、
Bは、C1-10オキソアルキル置換アリールまたはヘテロアリールである)。
【0006】
“バイオイソスターは、化学的または物理的類似性を有し且つ広範囲の同様な生物学的特性を生じる置換基または基である”。Silverman, Richard B., The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 2nd Edition, Amsterdam: Elsevier Academic Press, 2004, p. 29。
限定するつもりはないが、有機酸官能基は、カルボン酸のバイオイソスターである。1つの有機酸官能基は、有機分子上の酸性官能基である。限定するつもりはないが、有機酸官能基は、炭素、イオウまたはリンの酸化物を含み得る。従って、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、ある種の化合物においては、Yは、カルボン酸、スルホン酸またはホスホン酸官能基である。
さらに、上記で示した有機酸の1つの14個までの炭素原子を含むアミドまたはエステルもまた意図する。エステルにおいては、ヒドロカルビル成分により、カルボン酸エステル、例えば、CO2Me、CO2Et等におけるような酸の水素原子を置換する。
アミドにおいては、アミン基により、上記酸のOHを置換する。アミドの例としては、CON(R2)2、CON(OR2)R2、CON(CH2CH2OH)2およびCONH(CH2CH2OH)があり、R2は、個々に、H、C1〜C6アルキル、フェニルまたはビフェニルである。また、CONHSO2R2のような成分は、スルホン酸R2-SO3Hのアミドであるとみなし得るという事実にもかかわらずカルボン酸のアミドである。また、次のアミド類もとりわけ意図する:CONSO2-ビフェニル、CONSO2-フェニル、CONSO2-ヘテロアリールおよびCONSO2-ナフチル。上記ビフェニル、フェニル、ヘテロアリールまたはナフチルは、置換しても置換しなくてもよい。
【0007】
Han等(Biorganic & Medicinal Chemistry Letters 15 (2005) 3487-3490)は、下記に示す基が、カルボン酸に対する適切なバイオイソスターであることを最近証明している。これらの基を有する化合物のHCV NS3プロテアーゼ抑制における活性は、その基をCO2Hによって置換している同様な化合物と匹敵するか或いはそれよりも優れていた。即ち、Yは、下記に示す任意の基であり得る。
Han等に従うカルボン酸バイオイソスター
【化8】

【0008】
また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、Yは、ヒドロキシメチルまたはその14個までの炭素原子を含むエーテルであり得る。エーテルは、ヒドロキシルの水素が炭素原子によって置換されている官能基であり、例えば、Yは、CH2OCH3、CH2OCH2CH3等である。また、これらの基も、カルボン酸のバイオイソスターである。
“14個までの炭素原子”とは、カルボン酸エステルまたはアミドのカルボニル炭素、およびエーテルの-CH2O-C中の両炭素原子を含むY成分全体が0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個の炭素原子を有することを意味する。
最後に、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、Yは、テトラゾリル官能基であり得る。
限定するつもりはないが、上記で示したYを有する化合物の例を、下記に示す。これらの例においては、Rは、本明細書において定義した限定を条件として、Hまたはヒドロカルビルである。下記の各構造は、個々に意図する特定の実施態様、並びに下記の構造によって示される化合物の製薬上許容し得る塩類およびプロドラッグを下記に示す。しかしながら、下記に示す構造の範囲に属し得ない他の例も可能である。
【化9】

【0009】
テトラゾリル官能基は、カルボン酸のもう1つのバイオイソスターである。非置換テトラゾリル官能基は、2つの互変異性形を有し、水性または生物学的媒質中で急速に相互転換し得、従って、互いに等価である。これらの互変異性体を、下記を示す。
【化10】

さらに、R2がC1〜C6アルキル、フェニルまたはビフェニルである場合、下記に示すもののような他の異性体形のテトラゾリル官能基も可能であり、C12までの非置換およびヒドロカルビル置換テトラゾリルは、用語“テトラゾリル”の範囲内であるとみなす。
【化11】

本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、1つの実施態様においては、Yは、CO2R2、CON(R2)2、CON(OR2)R2、CON(CH2CH2OH)2、CONH(CH2CH2OH)、CH2OH、P(O)(OH)2、CONHSO2R2、SO2N(R2)2、SO2NHR2、および下記である:
【化12】

(式中、R2は、個々に、H、C1〜C6アルキル、非置換フェニルまたは非置換ビフェニルである)。
【0010】
Silverman(p.30)によれば、下記に示す成分もカルボン酸のバイオイソスターである。
Silvermanに従うカルボン酸バイオイソスター
【化13】

【0011】
Orlek等(J. Med. Chem. 1991, 34, 2726-2735)は、カルボン酸に対する適切なバイオイソスターとしてのオキサジアゾール類を開示している。これらのエステル代替物は、改良された代謝安定性を有する強力なムスカリン作用薬であることが証明されている。また、オキサジアゾール類は、Anderson等(Eur. J. Med. Chem. 1996, 31, 417-425)によって、ベンゾジアゼピンレセプターにおいて改良された生体内有効性を有するカルボキサミド代替物としても説明されている。
Orlek等に従うカルボン酸バイオイソスター
【化14】

Kohara等(J. Med. Chem. 1996, 39, 5228-5235)は、テトラゾールに対する適切なバイオイソスターとしての酸性複素環を開示している。これらのカルボン酸代替物は、改良された代謝的安定性を有する強力なアンジオテンシンIIレセプター拮抗薬であることが証明されている。
Kohara等に従うテトラゾールバイオイソスター
【化15】

Drysdale等(J. Med. Chem. 1992, 35, 2573-2581)は、非ペプチドCCK-Bレセプター拮抗薬のカルボン酸擬態物を開示している。これらのバイオイソスターの多くの結合親和性は、親カルボン酸と同様である。
Drysdale等に従うカルボン酸バイオイソスター
【化16】

【0012】
本明細書において示す化学構造において開示するAの属性に関しては、Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子は、SまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arは、インターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得る。
限定するつもりはないが、Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり得る。
また、Aは、炭素のいずれかがSおよび/またはOによって置換されているこれら3つの成分の1つに関連する基であり得る。例えば、本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、Aは、Sにより1個または2個の炭素原子を置換している下記の1つ等のような成分であり得る。
【化17】

【0013】
また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、Aは、Oにより1個または2個の炭素原子を置換している下記の1つ等のような成分であり得る。
【化18】

また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、Aは、下記の1つ等のように、1個の炭素原子を置換しているOおよびもう1個の炭素原子を置換しているSを有し得る。
【化19】

【0014】
また、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、ある種の実施態様においては、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得る。換言すれば、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、1つの実施態様においては、Aは、1、2、3または4個のCH2成分とAr、例えば、-CH2-Ar-、-(CH2)2-Ar-、-CH2-Ar-CH2-、-CH2Ar-(CH2)2-、-(CH2)2-Ar-(CH2)2-等を含み;もう1つの実施態様においては、Aは、O;0、1、2または3個のCH2成分およびAr、例えば、-O-Ar-、Ar-CH2-O-、-O-Ar-(CH2)2-、-O-CH2-Ar-、-O-CH2-Ar-(CH2)2等を含み;或いは、もう1つの実施態様においては、Aは、S;0、1、2または3個のCH2成分およびAr、例えば、-S-Ar-、Ar-CH2-S-、-S-Ar-(CH2)2-、-S-CH2-Ar-、-S-CH2-Ar-(CH2)2、-(CH2)2-S-Ar等を含む。
もう1つの実施態様においては、mとoの和は、2、3または4であり、1個のCH2は、SまたはOによって置換し得る。
もう1つの実施態様においては、mとoの和は、3であり、1個のCH2は、SまたはOによって置換し得る。
もう1つの実施態様においては、mとoの和は、2であり、1個のCH2は、SまたはOによって置換し得る。
もう1つの実施態様においては、mとoの和は、4であり、1個のCH2は、SまたはOによって置換し得る。
【0015】
インターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンとは、分子の2つの他の部分と結合しているアリール環もしくは環系またはヘテロアリール環もしくは環系を称する、即ち、これら2つの部分は、環に2つの異なる環位置において結合している。インターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンは、置換してもまたは置換しなくてもよい。非置換インターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンは、これらのアリーレンが結合している分子の2つの部分以外の置換基を有さない。置換インターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンは、これらのアリーレンが結合している分子の2つの部分以外の置換基を有する。
1つの実施態様においては、Arは、置換されたまたは置換されていないインターフェニレン、インターチエニレン、インターフリレン、インターピリジニレン、インターオキサゾリレンおよびインターチアゾリレンである。もう1つの実施態様においては、Arは、インターフェニレン(Ph)である。もう1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)2-Ph-である。本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、置換基は、4個以下の重原子を有し得る;重原子は、任意の安定な組合せにおけるC、N、O、S、P、F、Cl、Brおよび/またはIである。また、特定の置換基において必要な任意の数の水素原子も含ませ得る。置換基は、当該化合物が本明細書において説明するように有用であるために十分に安定でなければならない。上記した原子以外に、置換基は、置換基が酸性でありその塩形が安定である場合、金属カチオンまたは上記していない原子を有する任意の他の安定なカチオンも有し得る。例えば、-OHは、-O-Na+塩を形成し得;或いは、CO2Hは、CO2-K+塩を形成し得る。上記塩の存在し得るカチオンは、上記“4個以下の重原子”には計数しない。即ち、置換基は、C4までのアルキル、アルケニル、アルキニル等のような、4個までの炭素原子を有するヒドロカルビル;C3までのヒドロカルビルオキシ;CO2H、SO3H、P(O)(OH)2等のような有機酸およびその塩類;CF3;F、ClまたはBrのようなハロヒドロキシルNH2およびC3までのアルキルアミン官能基;CN、NO2等のような他のNまたはS含有置換基等であり得る。
【0016】
1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターフェニレンである、mとoの和は1、2または3であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得る。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2-Ar-OCH2-である。もう1つの実施態様においては、Aは-CH2-Ar-OCH2-であり、Arはインターフェニレンである。もう1つの実施態様においては、Arは、1および3位置で結合しており、或いは、Aが下記に示す構造を有するときのようなm-インターフェニレンとして知られる。
【化20】

もう1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置換し得る;或いは、Aは、-(CH2)2-Ph-であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得る。
もう1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)2-Ph-である。
他の実施態様においては、Aは下記に示す構造の1つを有し、Yは、芳香環または芳香族複素環に結合している。
【化21】

【0017】
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2OCH2Arである。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2SCH2Arである。
もう1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)3Arである。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2O(CH2)4である。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2S(CH2)4である。
もう1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)6-である。
もう1つの実施態様においては、Aは、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-である。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2C≡C-(CH2)3-である。
もう1つの実施態様においては、Aは、-S(CH2)3S(CH2)2-である。
もう1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)4OCH2-である。
もう1つの実施態様においては、Aは、シス-CH2CH=CH-CH2OCH2-である。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2CH≡CH-CH2OCH2-である。
もう1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)2S(CH2)3-である。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2-Ph-OCH2-であり、Phはインターフェニレンである。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2-mPh-OCH2-であり、mPhはm-インターフェニレンである。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2-O-(CH2)4-である。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2-O-CH2-Ar-であり、Arは2,5-インターチエニレンである。
もう1つの実施態様においては、Aは、-CH2-O-CH2-Ar-であり、Arは、2,5-インターフリレンである。
もう1つの実施態様においては、Aは、(3-メチルフェノキシ)メチルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、(4-ブト-2-イニルオキシ)メチルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、2-(2-エチルチオ)チアゾール-4-イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、2-(3-プロピル)チアゾール-5-イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、3-メトキシメチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、3-(3-プロピルフェニルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、3-メチルフェネチルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、4-(2-エチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、4-フェネチルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、4-メトキシブチルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、5-(メトキシメチル)フラン-2-イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、5-(メトキシメチル)チオフェン-2-イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、5-(3-プロピル)フラン-2-イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、5-(3-プロピル)チオフェン-2-イルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、6-ヘキシルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、(Z)-6-ヘキサ4-エニルである。
もう1つの実施態様においては、Aは、-(CH2)3Ar-、-O(CH2)2Ar-、-CH2OCH2Ar-、-(CH2)2OAr、-O(CH2)2Ar-、-CH2OCH2Ar-または-(CH2)2OAr-であり、Arは、単環式インターヘテロアリーレンである。
【0018】
下記に示す構造の各々に従う化合物、およびその製薬上許容し得る塩、およびそのプロドラッグは、個々の実施態様として意図する。換言すれば、各構造体は、異なる実施態様を示す。
【化22】

【0019】
Jは、C=O、CHOH、CHF、CHCl、CHBr、CF2、CCl2、CBr2またはCHCNである。従って、下記に示す各構造体は、個々に意図する化合物の実施態様を示す。また、下記に示す構造に従う化合物の製薬上許容し得る塩およびプロドラッグも意図する。
【化23】

【0020】
アリールは、フェニル、ナフチル、ビフェニル等のような芳香族環または環系である。
ヘテロアリールは、環中に1個以上のN、OまたはS原子を有するアリールである、即ち、1個以上の環炭素は、N、Oおよび/またはSによって置換されている。限定するつもりはないが、ヘテロアリールの例としては、チエニル、ピリジニル、フリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、イミジゾールオリル(imidizololyl)、インドリル等がある。
アリールまたはヘテロアリール置換基は、任意の安定な組合せにおいて各々20個までの非水素原子と必然なだけの水素原子を有し得る;非水素原子は、任意の安定な組合せにおけるC、N、O、S、P、F、Cl、Brおよび/またはIである。しかしながら、組合せた全ての置換基における非水素原子の総数も、20個以下でなければならない。置換基は、当該化合物が本明細書において説明するように有用であるために十分に安定でなければならない。上記の原子以外に、置換基は、置換基が酸性でありその塩形が安定である場合、金属カチオンまたは上記していない原子を有する他の安定なカチオンも有し得る。例えば、-OHは、-O-Na+塩を形成し得;或いは、CO2Hは、CO2-K+塩を形成し得る。従って、本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、置換基は、ヒドロカルビル、即ち、線状、枝分れまたは環状のヒドロカルビルを含むアルキル、アルケニル、アルキニル等およびこれらの組合せのような炭素と水素のみからなる成分; OCH3、OCH2CH3、O-シクロヘキシル等のようなO-ヒドロカルビルを意味する、19個までの炭素原子のヒドロカルビルオキシ;CH2OCH3、(CH2)2OCH(CH3)2等のような他のエーテル置換基;S-ヒドロカルビルおよび他のチオエーテル置換基のようなチオエーテル置換基;CH2OH、C(CH3)2OH等のようなヒドロカルビル-OHを意味する、19個までの炭素原子のヒドロキシヒドロカルビル;NO2、CN等のような、また、NH2、NH(CH2CH3OH)、NHCH3等のようなアミノも包含する、19個までの炭素原子の窒素置換基;CO2H、エステル、アミド等のようなカルボニル置換基;クロロ、フルオロ、ブロモ等のようなハロゲン;CF3、CF2CF3等のようなフルオロカルビル;PO32-等のようなリン置換基;S-ヒドロカルビル、SH、SO3H、SO2-ヒドロカルビル、SO3-ヒドロカルビル等のようなイオウ置換基であり得る。
【0021】
置換アリールまたはヘテロアリールは、その環または環系が担持する限りの置換基を有し得、置換基は同一または異なるものであり得る。従って、例えば、アリール環またはヘテロアリール環は、クロロとメチル;メチル、OHおよびF;CN、NO2およびエチル等によって置換し得、本開示に照らして可能性のある任意の考えられる置換基または置換基の組合せを含み得る。
また、置換アリールまたは置換ヘテロアリールは、1個以上の環が芳香族であり、1個以上の環が芳香族ではない二環式または多環式環系も含む。例えば、インダノニル、インダニル、インダノリル、テトラロニル等は、置換アリールである。このタイプの多環式環系においては、非芳香環ではない芳香環または芳香族複素環は、分子の残余に結合していなければならない。換言すれば、本明細書において-B(-は結合である)を示すいずれの構造においても、その結合は、芳香族環への直接結合である。
1つの実施態様においては、Bは、置換アリールまたはヘテロアリールである。
もう1つの実施態様においては、Bは、置換フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、ハロゲン原子を有さない。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-2-イル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシブチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシヘプチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシヘキシル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシペンチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシプロピル)フェニルである。
【0022】
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(3-ヒドロキシ-2-メチルヘプタン-2-イル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(3-ヒドロキシ-2-メチルオクタン-2-イル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-イルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、3-(ヒドロキシ(1-プロピルシクロブチル)メチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシ-5,5-ジメチルヘキシル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(ヒドロキシ(1-プロピルシクロブチル)メチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-tert-ブチルフェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-ヘキシルフェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシ-2-フェニルエチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシ-3-フェニルプロピル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(1-ヒドロキシシクロブチル)フェニルである。 もう1つの実施態様においては、Bは、4-(2-シクロヘキシル-1-ヒドロキシエチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(3-シクロヘキシル-1-ヒドロキシプロピル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(シクロヘキシル(ヒドロキシ)メチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(シクロヘキシルメチル)フェニルである。
もう1つの実施態様においては、Bは、4-(ヒドロキシ(フェニル)メチル)フェニルである。
もう1つの実施態様は、下記の構造に従う化合物である:
【0023】
“C1-10”ヒドロカルビルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するヒドロカルビルである。
ヒドロカルビルは、炭素と水素のみからなる成分であり、限定するものではないが、アルキル、アルケニル、アルキニル等;さらにある場合にはアリール;およびそれらの組合せがある。
アルキルは、下記のような二重または三重結合を有さないヒドロカルビルである:
メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル等のような線状アルキル
イソプロピル、各枝分れブチル異性体(即ち、sec-ブチル、tert-ブチル等)、各枝分れペンチル異性体(即ち、イソペンチル等)、各枝分れヘキシル異性体およびより高級の枝分れアルキルフラグメントのような枝分れアルキル
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のようなシクロアルキル;および、
分子の残余に末端、内部または環炭素原子のような任意の利用可能な位置で結合し得る、線状または枝分れいずれかの環状および非環状成分の双方からなるアルキルフラグメント。
アルケニルは、線状アルケニル、枝分れアルケニル、環状アルケニルおよびこれらのアルキル同様の組合せのような、1個以上の二重結合を有するヒドロカルビルである。
アルキニルは、線状アルキニル、枝分れアルキニル、環状アルキニルおよびこれらのアルキル同様の組合せのような、1個以上の三重結合を有するヒドロカルビルである。
アリールは、フェニル、ナフチル、ビフェニル等のような非置換または置換芳香族環または環系である。アリールは、アリールがヘテロ原子を含む置換基を有するかどうかによって、ヒドロカルビルであり得るか或いはあり得ない。
アリールアルキルは、アリールによって置換されたアルキルである。換言すれば、アルキルは、分子の残余部分にアリールを連結している。例としては、-CH2-フェニル、-CH2-CH2-フェニル等である。アリールアルキルは、アリールアルキルがヘテロ原子を含む置換基を有するかどうかによって、ヒドロカルビルであり得るか或いはあり得ない。
非共役ジエンまたはポリエン類は、共役していない1個以上の二重結合を有する。これらのジエンまたはポリエン類は、線状、枝分れまたは環状、或いはこれらの組合せであり得る。
また、上記の組合せも可能である。
【0024】
オキソアルキルは、1個の炭素原子がC=Oであるアルキルである。C1-10オキソアルキルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個の炭素原子を有するオキソアルキルである。また、オキソアルキル成分は、アリールまたはヘテロアリール基を有する環を形成し得る。従って、例えば、Bは、置換または非置換テトラロニル、インダノニル等であり得る。
もう1つの実施態様においては、Bは、C1-10オキソアルキル置換フェニルである。
従って、下記の構造体の各々を意図する。これらの構造体、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグは、個々に、本明細書において意図する実施態様である化合物を示す。換言すれば、各構造体は、異なる実施態様を示す。
【化24】

【0025】
【化25】

【0026】
【化26】

上記実施態様においては、xは、5、6または7であり;y + zは、2x + 1である。
1つの実施態様においては、xは、5であり;y + zは、11である。
もう1つの実施態様においては、xは、6であり;y + zは、13である。
もう1つの実施態様においては、xは、7であり;y + zは、15である。
【0027】
有用な化合物の推定例を下記に示す。
【化27】

【0028】
【化28】

【0029】
【化29】

【0030】
他の有用な化合物としては、下記がある:
(Z)-7-[(1R,2S,3R,5R)-5-クロロ-2-(4-ヘキサノイル-フェニル)-3-ヒドロキシ-シクロペンチル]-ヘプト-5-エン酸メチルエステル(2);
(Z)-7-[(1R,2S,3R,5R)-5-クロロ-2-(4-ヘキサノイル-フェニル)-3-ヒドロキシ-シクロペンチル]-ヘプト-5-エン酸(3);および、
(Z)-7-[(1R,2S,3R,5R)-5-クロロ-2-(4-ヘキサノイル-フェニル)-3-ヒドロキシ-シクロペンチル]-ヘプト-5-エン酸イソプロピルエステル(5)。
【0031】
化合物例
以下は、有用な化合物の推定例である:
化合物例1:下記の構造を有する化合物、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ:
【化30】

(式中、Yは、有機酸官能基、またはその14個までの炭素原子を含むアミドまたはエステルであり;或いは、Yは、ヒドロキシメチルまたはその14個までの炭素原子を含むエーテルであり;或いは、Yは、テトラゾリル官能基であり;
Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-、または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得;
Jは、C=O、CHOH、CHF、CHCl、CHBr、CF2、CCl2、CBr2またはCHCNであり;そして、
Bは、C1-10オキソアルキル置換アリールまたは置換ヘテロアリールである)。
【0032】
化合物例2:Yが、CO2R2、CON(R2)2、CON(OR2)R2、CON(CH2CH2OH)2、CONH(CH2CH2OH)、CH2OH、P(O)(OH)2、CONHSO2R2、SO2N(R2)2、SO2NHR2、および下記から選ばれる化合物例1に従う化合物:
【化31】

(式中、R2は、個々に、H、C1〜C6アルキル、非置換フェニルまたは非置換ビフェニルである)。
化合物例3:Bが置換フェニルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例4:下記の構造を有する化合物例1〜3のいずれか1つの化合物例に従う化合物、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ:
【化32】

(式中、Rは、水素またはC1-10ヒドロカルビルである)。
化合物例5:Rがアルキルである、化合物例4に従う化合物。
化合物例6:Rがアリールアルキルである、化合物例4に従う化合物。
化合物例7:下記の構造を有する化合物例1〜6のいずれか1つの化合物例に従う化合物、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ:
【化33】

(式中、Rは、水素またはC1-10ヒドロカルビルである)。
【0033】
化合物例8:下記の構造を有する化合物、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ:
【化34】

(式中、Yは、有機酸官能基、またはその14個までの炭素原子を含むアミドまたはエステルであり;或いは、Yは、ヒドロキシメチルまたはその14個までの炭素原子を含むエーテルであり;或いは、Yは、テトラゾリル官能基であり;
Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-、または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得;
Jは、C=O、CHOH、CHF、CHCl、CHBr、CF2、CCl2、CBr2またはCHCNであり;そして、
Bは、置換アリールまたは置換ヘテロアリールである)
但し、上記化合物は、下記でないことを条件とする:
【化35】

(式中、Y1は、CO2Hまたはアミドまたはカルボン酸である)。
Aが(3-メチルフェノキシ)メチルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
【0034】
化合物例9:Aが(4-ブト-2-イニルオキシ)メチルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例10:Aが2-(2-エチルチオ)チアゾール-4-イルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例11:Aが2-(3-プロピル)チアゾール-5-イルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例12:Aが3-メトキシメチル)フェニルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例13:Aが3-(3-プロピルフェニルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例14:Aが3-メチルフェネチルである、化合物例1〜8のいずれか1つの化合物例に従う化合物。
化合物例15:Aが4-(2-エチル)フェニルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例16:Aが4-フェネチルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例17:Aが4-メトキシブチルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例18:Aが5-(メトキシメチル)フラン-2-イルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例19:Aが5-(メトキシメチル)チオフェン-2-イルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例20:Aが5-(3-プロピル)フラン-2-イルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例21:Aが5-(3-プロピル)チオフェン-2-イルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例22:Aが6-ヘキシルである、化合物例1〜8のいずれか1つに従う化合物。
化合物例23:Aが(Z)-6-ヘキサ4-エニルである、化合物例1〜8のいずれか1つの化合物例に従う化合物。
化合物例24:Bが3-(1-ヒドロキシヘキシル)チオフェン-2-イルである、化合物例8〜24のいずれか1つに従う化合物。
化合物例25:Bが3-(1-ヒドロキシヘキシル)チオフェン-3-イルである、化合物例8〜24のいずれか1つに従う化合物。
化合物例26:Bが3-(1-ヒドロキシヘキシル)フラン-2-イルである、化合物例8〜24のいずれか1つに従う化合物。
化合物例27:Bが3-(1-ヒドロキシヘキシル)フラン-3-イルである、化合物例8〜24のいずれか1つに従う化合物。
化合物例28:Bが3-(1-ヒドロキシヘキシル)ピリジン-2-イルである、化合物例8〜24のいずれか1つに従う化合物。
化合物例29:Bが3-(1-ヒドロキシヘキシル)ピリジン-3-イルである、化合物例8〜24のいずれか1つに従う化合物。
【0035】
以下は、上記推定化合物例を使用しての組成物、キット、方法、使用および医薬品の推定例である。
組成物例
化合物例1〜30のいずれか1つに従う化合物を含む組成物;該組成物は、眼科的に許容し得る液体である。
医薬品例
化合物例1〜30のいずれか1つの化合物例に従う化合物の、哺乳類の緑内障または高眼圧症の治療用医薬品の製造における使用。
化合物例1〜30のいずれか1つの化合物例に従う化合物を含む医薬品;該組成物は、眼科的に許容し得る液体である。
方法例
化合物例1〜23のいずれか1つの化合物例に従う化合物を哺乳類に緑内障または高眼圧症の治療のために投与することを含む方法。
キット例
化合物例1〜23のいずれか1つの化合物例に従う化合物を含む組成物、容器、並びに緑内障または高眼圧症の治療のために上記組成物を哺乳類に投与することについての使用説明書を含むキット。
【0036】
“製薬上許容し得る塩”とは、親化合物の活性を保持し、親化合物と比較して、投与する対象者に対してまた投与するのに関連して何らさらなる有害なまたは厄介な作用を与えない任意の塩である。また、製薬上許容し得る塩は、酸、他の塩、または酸もしくは塩に転換するプロドラッグの投与の結果として生体内で生じ得る任意の塩も称する。
酸性官能基の製薬上許容し得る塩類は、有機または無機塩基から誘導し得る。塩は、一価または多価イオンを含み得る。とりわけ興味あるのは、無機イオンのリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムである。有機塩は、アミン類、とりわけモノ-、ジ-およびトリアルキルアミンまたはエタノールアミンのようなアンモニウム塩によって製造し得る。また、塩は、カフェイン、トロメタミンおよび同様な分子によっても形成し得る。塩酸またはある種の他の製薬上許容し得る酸は、アミンまたはピリジン環のような塩基性基を含有する化合物と塩を形成し得る。
“プロドラッグ”は投与後に治療活性化合物に転換する化合物であり、この用語は、当該技術において一般に理解されているように本明細書においても広く解釈すべきである。本発明の範囲を限定するつもりはないが、転換は、エステル基またはある種の他の生物学的に不安定な基の加水分解によって生じ得る。一般的には(必然的ではなく)、プロドラッグは、転換する治療活性化合物よりも不活性であるかまたはあまり活性でない。本明細書において開示する化合物のエステルプロドラッグを、とりわけ意図する。エステルは、C1のカルボン酸(即ち、天然プロスタグランジンの末端カルボン酸)から誘導し得、或いはエステルは、フェニル環のような分子の他の部分のカルボン酸官能基から誘導し得る。限定するつもりはないが、エステルは、アルキルエステル、アリールエステルまたはヘテロアリールエステルであり得る。用語アルキルとは、当業者が一般的に理解している意味を有し、線状、枝分れまたは環状アルキル成分を称する。エステルのアルキル成分が1〜6個の炭素原子を有するC1-6アルキルエステルは、とりわけ有用であり、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、t-ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよび1〜6個の炭素原子を有するこれらの組合せ等がある。
【0037】
当業者であれば、医薬品の投与または製造に当っては、本明細書において開示する化合物を当該技術においてそれ自体周知である製薬上許容し得る賦形剤と混合し得ることは容易に理解し得るであろう。とりわけ、全身投与すべき薬物は、経口投与または非経口投与または吸入に適する粉末、ピル、錠剤等として、或いは、溶液、エマルジョン、懸濁液、エアゾール、シロップまたはエリキシル剤として調合し得る。
固形の投与剤形または医薬品用には、無毒性固形担体として、限定するものではないが、製薬級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン酸ナトリウム、ポリアルキレングリコール、タルカム、セルロース、グルコース、スクロースおよび炭酸マグネシウムがある。固形投与剤形は、コーティーングしてなくてもよく、或いは、既知の方法によってコーティーングして胃腸管内での崩壊および吸収を遅延させ、それによって、長期に亘る持続作用を付与し得る。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような時間遅延物質を使用し得る。また、固形投与剤形は、米国特許第4,256,108号、第4,166,452号および第4,265,874号に記載された方法によってコーティーングして、制御放出用の浸透性治療用錠剤を調製することもできる。薬物投与可能な液体投与剤形は、例えば、例えば水、生理食塩水、含水デキストロース、グリセリン、エタノール等のような担体中の1種以上の現在有用な化合物および任意成分としての製薬用アジュバントの溶液または懸濁液を含み、それによって、溶液または懸濁液を調製することができる。必要に応じて、投与すべき製薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等のような少量の無毒性補助物質もまた含有し得る。そのような助剤の典型的な例は、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等である。そのような投与剤形の実際の調製方法は、既知であり、当業者にとっては明白であろう;例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 16th Edition, 1980を参照されたい。投与すべき製剤組成物は、いずれにしても、一定量の1種以上の現在有用な化合物を所望する治療効果を与える有効量で含有する。
【0038】
非経口投与は、一般的には、皮下、筋肉内または静脈内のいずれかの注射に特徴を有する。注射物質は、通常の剤形で、液体の溶液または懸濁液、注入前に液体中溶液または懸濁液にするのに適する固形剤形、またはエマルジョンのいずれかとして調製し得る。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセリン、エタノール等である。さらに、必要に応じて、投与する注射用製薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等のような少量の無毒性補助物質も含有し得る。
投与する現在有用な化合物(1種以上)の量は、所望する治療効果(単数または複数の)、治療する特定の哺乳類、哺乳類症状の重篤度および性質、投与方式、使用する特定化合物(1種以上)の有効性および薬力学、並びに処方医師の判断による。現在有用な化合物(1種以上)の製薬上有効な投与量は、約0.5または約1〜約100mg/kg/日の範囲内であり得る。
眼科的に許容し得る液体を、眼に局所投与し得るように調合する。快適性を可能な限り最大限にするべきであるが、場合によって、製剤検討事項(例えば、薬物安定性)は、最適よりも低い快適性を必要とする。快適性を最大限にできない場合、液体は、液体が患者にとって局所眼科使用において寛容であるように調合すべきである。さらに、眼科的に許容し得る液体は、単回使用用に包装するか、或いは、多数回使用における汚染を防止するために防腐剤を含有しなければならない。
眼科用途においては、液剤または医薬品は、多くの場合、主ビヒクルとして生理食塩溶液を使用して調製し得る。眼科用液剤は、好ましくは、適切な緩衝系によって快適なpHに維持すべきである。また、製剤は、通常製薬上許容し得る防腐剤、安定剤および界面活性剤も含有し得る。
本発明の製薬組成物において使用し得る防腐剤は、限定するものではないが、塩化ベンズアルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀がある。有用な界面活性剤は、例えば、Tween 80である。同様に、各種の有用なビヒクルを、本発明の眼科用調製物において使用し得る。これらのビヒクルとしては、限定するものではないが、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水がある。
【0039】
張度調節剤は、必要に応じてまたは便宜上添加し得る。張度調節剤としては、限定するものではないが、塩類、とりわけ塩化ナトリウム、塩化カリウム;マンニトールまたはグリセリン;或いは任意の他の適切な眼科的に許容し得る張度調節剤がある。
pHを調整するための種々の緩衝液および手段は、得られる製剤が眼科的に許容し得る限り使用し得る。従って、緩衝液としては、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液およびホウ酸塩緩衝液がある。酸または塩基類は、これらの製剤のpHを必要に応じて調整するのに使用し得る。
同様な趣旨において、本発明において使用する眼科的に許容し得る酸化防止剤としては、限定するものではないが、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンがある。
眼科用製剤に含ませ得る他の賦形剤成分は、キレート剤である。有用なキレート剤は、エデト酸二ナトリウムであるが、他のキレート剤もエデト酸二ナトリウムの代りにまたは一緒に使用し得る。
上記の各成分は、通常、下記の量で使用する:

成分 量(質量/容量%)
活性成分 約0.001〜5
防腐剤 0〜0.10
ビヒクル 0〜40
張度調節剤 1〜10
緩衝液 0.01〜10
pH調節剤 適量 pH 4.5〜7.5
酸化防止剤 必要に応じて
界面活性剤 必要に応じて
精製水 100%にするための必要量

局所用途においては、本明細書において開示する化合物を含有するクリーム、軟膏、ゲル、液剤または懸濁液等を使用する。局所製剤は、一般に、製薬用担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、防腐剤系および皮膚軟化剤からなり得る。
本発明の活性化合物の実際の投与量は、特定の化合物および治療すべき症状による;適切な投与量の選択は、明らかに熟練技術者の知識範囲内である。
【0040】
当業者であれば、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号および2005年12月6日に出願された米国仮特許出願第60/742,779号に開示された合成方法を、本明細書において開示する化合物を得るために容易に採用し得るであろう;両出願は、参考として明確に本明細書に合体させる。
JがCN化合物である化合物は、2006年5月22日に出願された米国仮特許出願第60/747835号に開示された手順を使用することによって調製し得る。
JがCHFである化合物は、米国特許出願第11/009,298号および米国仮特許出願第60/742,779号に開示された手順を使用することによって調製し得る。
JがCHBrである化合物は、Tani, K. et. Al. (ONO)のBioorganic and Medicinal Chemistry 2002, 10, 1883に開示された手順を使用することによって調製し得る。
JがCCl2またはCBr2である化合物は、2006年5月3日に出願された引用米国仮特許出願第60746275号に開示された手順を使用することによって調製し得る;該出願は、参考として明確に本明細書に合体させる。
JがCF2である化合物は、Lal et. al. J.Org.Chem. 1999,64, 7048に従ってJがCHFである化合物を製造するのと同様な手順において、JがC=Oである相応する化合物から製造し得る。
【0041】
(実施例)
合成例
図式1
【化36】

【0042】
(Z)-7-[(1R,2S,3R,5R)-5-クロロ-3-ヒドロキシ2-[4-(1-ヒドロキシ-ヘキシル)-フェニル]-シクロペンチル}-ヘプト-5-エン酸メチルエステル(1):化合物1は、米国仮特許出願第60/742,779号に記載されているようにして合成した。
(Z)-7-[(1R,2S,3R,5R)-5-クロロ-2-(4-ヘキサノイル-フェニル)-3-ヒドロキシ-シクロペンチル]-ヘプト-5-エン酸メチルエステル(2):DDQ(13mg、0.056ミリモル)を、ジクロロメタン(1mL)/H2O(50μL)中の1(23mg、0.052ミリモル)の溶液に添加した。6時間後、さらなるDDQ(16mg)とジクロロメタン(1mL)/H2O(50μL)を添加した。得られる混合物を、1夜撹拌せしめ、その後、5mLの飽和NaHCO3溶液を添加した。混合物をジクロロメタン(3×30mL)で抽出し、その後、混ぜ合せたジクロロメタン溶液を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。残留物を、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、標示化合物を得た(13mg、57%)。
(Z)-7-[(1R,2S,3R,5R)-5-クロロ-2-(4-ヘキサノイル-フェニル)-3-ヒドロキシ-シクロペンチル]-ヘプト-5-エン酸(3):LiOH加水分解手順は、米国特許出願第11/009,298号に記載されている。
(Z)-7-[(1R,2S,3R,5R)-5-クロロ-2-(4-ヘキサノイル-フェニル)-3-ヒドロキシ-シクロペンチル]-ヘプト-5-エン酸イソプロピルエステル(4):DBU/iPrI手順は、米国特許出願第11/009,298号に記載されている。
【0043】
生物学試験例
結合性データ
Ki
競合結合試験を、300μlの総容量中にハンクス緩衝塩溶液、Hepes 20mM、pH7.3、ヒトEP2レセプターを安定発現するHEK293細胞由来の膜(約60μgタンパク質)または2×105細胞、[3H]PGE2 (10nM)および各濃度の試験化合物を含有する培地中で実施した。反応混合物を23℃で60分間インキュベートし、Whatman GF/Bフィルター上で真空下に濾過した。フィルターを、50mM Tris/HClを含有する5mlの氷冷緩衝液(pH7.3)で3回洗浄した。非特異結合性は、過剰のラベル化していないPGE2(10μM)の存在下に評価した。結合性データを、非線形回帰分析を使用して、単一群の結合部位に対する結合性モデルに適合させた。そのようにして得られたIC50値を、Ki = (IC50/(1+[L]/KD)の等式 (式中、[L]はPGE2濃度(10nM)を示し、KDはヒトEP2レセプター(40nM)における[3H]PGE2の解離定数を示す)を使用してKiに変換した。
放射性リガンド結合性
EP1、EP2、EP4およびFPレセプターを安定発現する細胞
ヒトまたはネコFPレセプター、或いはEP1、EP2またはEP4レセプターを安定発現するHEK-293細胞を、TME緩衝液で洗浄し、フラスコ底部からすくい取り、ブリンクマン(Brinkman)PT 10/35ポリトロンを使用して30秒間均質化した。TME緩衝液を添加して、遠心分離チューブ内で最終の40ml容量を得た(TMEの組成は、100mM TRIS塩基、20mM MgCl2、2M EDTAである;10N HClを添加して7.4のpHを得る)。
細胞ホモジネートを、Beckman Ti-60ローターを使用して19000rpmにて4℃で20分間遠心分離した。得られたペレットを、TME緩衝液中に再懸濁させて、Bioradアッセイにより測定したときに1mg/mlの最終タンパク質濃度を得た。[3H-]17-フェニルPGF(5nM)に対する放射性リガンド結合性競合アッセイを、100μl容量で60分間実施した。結合反応は、原形質膜画分を添加することによって開始させた。反応を、4mlの氷冷TRIS-HCl緩衝液を添加し、Brandel細胞ハーベスターを使用してガラス繊維GF/Bフィルターにより急速濾過することによって終了させた。フィルターを氷冷緩衝液で3回洗浄し、1時間オーブン乾燥させた。
[3H-]PGE2(特異性活性180Ciミリモル)を、各EPレセプターに対する放射性リガンドとして使用した。[3H]17-フェニルPGFを、FPレセプター結合性試験において使用した。EP1、EP2、EP4およびFPレセプターを使用する結合性試験を、少なくとも3回の別々の試験において正副二通りで実施した。200μlのアッセイ容量を使用した。インキュベーションは、25℃で60分間であり、4mlの氷冷50mM TRIS-HClを添加することによって終了させ、その後、WhatmanGF/Bフィルターによる急速濾過および細胞ハーベスター(Brandel)内での3回のさらなる4ml洗浄を行った。競合試験は、5nM [3H]-PGE2または5nM [3H]17-フェニルPGFの最終濃度を使用して実施し、非特異結合性は、試験するレセプターサブタイプに応じて10-5Mのラベル化していないPGE2または17-フェニルPGFによって測定した。
【0044】
FLIPRTM試験方法
(a) 細胞培養
組換えヒトプロスタグランジンレセプターの1つのタイプまたはサブタイプを安定発現するHEK-293(EBNA)細胞(発現させるプロスタグランジンレセプター:hDP/Gqs5;hEP1;hEP2/Gqs5;hEP3A/Gqi5;hEP4/Gqs5;hFP;hIP;hTP)を、100mm培養皿内で、10%ウシ胎仔血清、2mMのl-グルタミン、選択的マーカーとして250μg/mlのジェネティシン(G418)および200μg/mlのハイグロマイシンB、並びに100単位/mlのペニシリンG、100μg/mlのストレプトマイシンおよび0.25μg/mlのアンフォテリシンBを含有する高グルコースDMEM培地中で培養した。
(b)FLIPRTM上のカルシウムシグナル試験
細胞を、ウェル当り5×104個の細胞数密度でBiocoatR Poly-D-リシンコーティーング黒壁透明底96-ウェルプレート(Becton-Dickinson社)中に種付けし、37℃のインキュベーター内で1夜結合させた。その後、細胞を、Denley Cellwashプレート洗浄器(Labsystems社)を使用して、HBSS-HEPES緩衝液(重炭酸塩とフェノールレッドを含まないハンクス平衡塩溶液、20mM HEPES、pH7.4)で2回洗浄した。カルシウム感受性染料Fluo-4 AMを2μMの最終濃度で使用して暗中で45分間染料を負荷させた後、プレートを、HBSS-HEPES緩衝液によって4回洗浄して過剰の染料を除去し、各ウェル中に100μlを残存させた。プレートを数分間37℃に再平衡化させた。
細胞を488nmのアルゴンレーザーで励起し、発光を、510〜570nm帯域幅発光フィルター(FLIPRTM;Molecular Devices社、カリフォルニア州サニーベール)により測定した。薬物溶液を50μlの容量で各ウェルに添加して、所望の最終濃度を得た。蛍光強度のピーク上昇を各ウェルにおいて記録した。各プレートにおいて、各々4個のウェルが、陰性対照(HBSS-HEPES緩衝液)および陽性対照(標準作用薬:レセプターに応じてのBW245C(hDP);PGE2(hEP1;hEP2/Gqs5;hEP3A/Gqi5;hEP4/Gqs5);PGF(hFP);カルバサイクリン(hIP);U-46619(hTP))として機能した。その後、各薬物含有ウェルのピーク蛍光変化を、対照と対比して表した。
化合物を、高スループット(HTS)または濃度応答(CoRe)フォーマットで試験した。HTSフォーマットにおいては、プレート当り44種の化合物を、10-5M濃度で正副二通り試験した。濃度応答曲線を描くためには、プレート当り4種の化合物を、10-5〜10-11M範囲の濃度で正副二通り試験した。正副値を平均した。HTSまたはCoReフォーマットのいずれにおいても、各化合物を、種々の継代に由来する細胞を使用して少なくとも3つの別々のプレート上で試験して、n≧3を得た。
【0045】
cAMPアッセイ
384ウェル薬物プレートを、Biomekステーションを使用して、3複製において、16回連続希釈で6種の試験化合物、PGE2およびcAMPを含有するように準備した。ターゲットPGレセプターサブタイプ(EP2またはEP4)を発現するHEK-EBNA細胞を、刺激緩衝液(HBSS、0.1% BSA、0.5mM IBMXおよび5mM HEPES、pH 7.4)中に104個細胞/5μlの密度で懸濁させた。反応を、ウェル中で5μLの薬物希釈物を5μlのHEK-EBNA細胞と混合することによって開始させ、室温で30分間実施し、その後、Tween-20を含む調整緩衝液(25mM NaCl、0.03% Tween-20、5mM HEPES、pH7.4)中の5μlの抗-cAMP受容体ビーズを添加した。室温で暗中の30分後、混合物を、溶解/検出緩衝液(0.1% BSA、0.3% Tween-20および5mM HEPES、pH7.4)中の15μlのビオチン化cAMP/ストレプトアビジン供与体ビーズと一緒に室温で45分間インキュベートした。蛍光変化を、Fusion-alpha HTマイクロプレートリーダーを使用して読み取った。
下記の表1に示す結合性および活性試験の結果は、本明細書において開示する化合物が、選択性プロスタグランジンEP2作用薬であり、従って、緑内障、高眼圧症および他の疾患または症状の治療において有用であることを実証している。
【0046】
【表1】

【0047】
米国特許出願第11/009,298号に記載しているように実施した生体内試験により、下記の表2の結果を得た。
【表2】

【0048】
当業者であれば、ハッチ型ウェッジ/固形ウェッジ(hatched wedge/solid wegde)構造特性に関連する立体化学の意味は理解していることである。例えば、入門有機化学教本(Francis A. Carey, Organic Chemistry, New York: McGraw-Hill Book Company 1987, p. 63)は、“ウェッジは紙面から観察者に向かう結合を示す”、さらに“点線”として示されるハッチ型ウェッジは“観察者から後退する結合を示す”と説明している。
【0049】
上記の説明は、本発明を実施するのに使用し得る特定の方法および組成物を詳述しており、意図する最良の形態を示している。しかしながら、当業者にとっては、所望の薬理特性を有するさらなる化合物を同様な方法で調製し得ること、また、開示した化合物は種々の出発化合物から種々の化学反応を介しても得ることができることが明白である。同様に、種々の製薬組成物も、実質的に同じ結果でもって調製し使用することができる。従って、詳細ではあるが、上記は、明細書に示されており、本発明の範囲全体を限定するものと解釈すべきではなく、むしろ、本発明の範囲は、特許請求の範囲の法的解釈によってのみ決定すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造を有する化合物、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ:
【化1】

(式中、Yは、有機酸官能基またはその14個までの炭素原子を含むアミドもしくはエステルであるか;或いは、Yは、ヒドロキシメチルまたはその14個までの炭素原子を含むエーテルであるか;或いは、Yは、テトラゾリル官能基であり;
Aは、-(CH2)6-、シス-CH2CH=CH-(CH2)3-、または-CH2C≡C-(CH2)3-であり、これらにおいて、1個または2個の炭素原子はSまたはOによって置換し得;或いは、Aは、-(CH2)m-Ar-(CH2)o-であり、Arはインターアリーレンまたはヘテロインターアリーレンであり、mとoの和は1、2、3または4であり、1個のCH2はSまたはOによって置換し得;
Jは、C=O、CHOH、CHF、CHCl、CHBr、CF2、CCl2、CBr2またはCHCNであり;そして、
Bは、置換アリールまたはヘテロアリールである);
但し、前記化合物は、下記でないことを条件とする:
【化2】

(式中、Y1は、CO2Hまたはそのアミドである)。
【請求項2】
Yが、CO2R2、CON(R2)2、CON(OR2)R2、CON(CH2CH2OH)2、CONH(CH2CH2OH)、CH2OH、P(O)(OH)2、CONHSO2R2、SO2N(R2)2、SO2NHR2、下記:
【化3】

(式中、R2は、個々に、H、C1〜C6アルキル、非置換フェニルまたは非置換ビフェニルである)
から選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Bが、置換フェニルである、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
下記の構造を有する請求項1または2記載の化合物、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ:
【化4】

(式中、Rは、水素またはC1-10ヒドロカルビルである)。
【請求項5】
Rが、アルキルである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
下記の構造を有する請求項1〜6のいずれか1項記載の化合物、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ:
【化5】

(式中、Rは、水素またはC1-10ヒドロカルビルである)。
【請求項7】
Jが、C=Oである、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
Jが、CHOHである、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項9】
Jが、CHFである、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項10】
Jが、CHClである、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
Jが、CHBrである、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
Jが、CF2である、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項13】
Jが、CCl2である、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
Jが、CBr2である、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
Jが、CHCNである、請求項1〜7のいずれか1項記載の化合物。
【請求項16】
Aが、-(CH2)3Ar-、-O(CH2)2Ar-、-CH2OCH2Ar-、-(CH2)2OAr、-O(CH2)2Ar-、-CH2OCH2Ar-または-(CH2)2OArであり、Arが単環式インターヘテロアリーレンである、請求項1〜15のいずれか1項記載の化合物。
【請求項17】
Arが、インターチエニレンである、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
Arが、インターチアゾリレンである、請求項16記載の化合物。
【請求項19】
Arが、インターオキサゾリレンである、請求項16記載の化合物。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項記載の化合物の、哺乳類の緑内障または高眼圧症の治療用医薬品の製造における使用。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか1項記載の化合物を緑内障または高眼圧症の治療のために哺乳類に投与することを含む方法。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか1項記載の化合物含む組成物、容器、並びに前記組成物を緑内障または高眼圧症の治療のために哺乳類に投与するための使用説明書を含むキット。
【請求項23】
前記組成物が、眼科的に許容し得る液体である、請求項1〜19のいずれか1項記載の化合物を含む組成物。
【請求項24】
下記から選ばれる化合物:
(Z)-7-[(1R,2S,3R,5R)-5-クロロ-2-(4-ヘキサノイル-フェニル)-3-ヒドロキシ-シクロペンチル]-ヘプト-5-エン酸メチルエステル;
(Z)-7-[(1R,2S,3R,5R)-5-クロロ-2-(4-ヘキサノイル-フェニル)-3-ヒドロキシ-シクロペンチル]-ヘプト-5-エン酸;および、
(Z)-7-[(1R,2S,3R,5R)-5-クロロ-2-(4-ヘキサノイル-フェニル)-3-ヒドロキシ-シクロペンチル]-ヘプト-5-エン酸イソプロピルエステルから選ばれる、請求項1記載の化合物。

【公表番号】特表2009−535418(P2009−535418A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509987(P2009−509987)
【出願日】平成19年4月30日(2007.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/067736
【国際公開番号】WO2007/130890
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】