説明

治療後の全身炎症性マーカーの達成レベルの関連性

本発明は、とりわけ、将来の心血管事象のリスクを低減するために心血管薬治療を受けている個体が、当該心血管薬による治療の継続から利益が得られるか否かを、全身性炎症のマーカーを使用して判定することに関する。更に、本発明は、治療の有効性を評価し、将来の心血管事象のリスクを有する個体の治療過程を決定する開業医を補助することを目的とした、全身性炎症マーカーの使用について記載する。本発明は、将来の心血管事象のリスクを低減する治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを監視することによって、ヒト被験体が治療の継続から利益が得られるのか、或いは治療の変更から利益が得られるのかを明らかにすることに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全身性炎症のマーカーを使用した治療法の評価に部分的に関する。
【背景技術】
【0002】
診断や治療法はかなり進歩しているにもかかわらず、現在でも心血管事象は、罹患率や死亡率の主な一般的原因となっている。従って、心筋梗塞や卒中等の心血管事象の予防は、公衆衛生上の重要な領域を占めている。
【0003】
これまでに将来の心血管事象の各種リスク因子に関するスクリーニング試験が解説されてきており、リスクの高いヒト被験体における検出において臨床的に使用されている。このようなスクリーニング試験の対象では、コレステロールや低密度リポタンパク質コレステロール(LDLC)等が対象となっている他、最近ではC反応性タンパク質(CRP)も対象となっている。
【0004】
心血管事象のリスク因子を有するヒト被験体には、将来の心血管事象のリスクを低減する治療法が指示されている。例えば、コレステロール及び/又はLDLCレベルが異常に高いヒト被験体には、コレステロールレベルを低下させて将来の心血管事象のリスクを低減するために、スタチンと呼ばれるクラスの薬剤が処方されている。しかし、このような薬剤がヒト被験体に与える有益な効果は、それぞれのヒト被験体の間で大きく異なる。このように治療法に対する効果がヒト被験体の間で異なる原因については、未だ明らかにされていない。
【0005】
これまでに急性虚血又は心筋梗塞を有するヒト被験体の間で高いレベルのCRPが解説されてきており、不安定狭心症で入院する者の再発虚血の発作の予測に使用されている。このような高いCRPレベルは又、症候性狭心症を有するヒト被験体等の間の心筋梗塞のリスクにも関連するとされてきた。その後、この高いCRPレベルは、その他の点では健康なヒト被験体の将来の心血管事象を予測するものとして特定された。CRPの予測能力は又、コレステロール等の脂質の予測能力とは独立するものとして特定された。CRPや脂質が独立した予測因子であるにもかかわらず、脂質を低下させるヒト被験体のスタチン療法は、コレステロールのみならず、CRPのレベルも低下させることが発見されている。
【0006】
しかし、CRPを目標レベルまで低下させても、それが将来の心血管事象のリスク低下につながるかは不明である。すなわち、スタチン療法がコレステロールレベルのみを低下させればその完全な効果を達成するのかだけでなく、CRPレベルも低下させることによってのみ完全な効果が達成されるのかについては不明である。Kent等による最近の研究(非特許文献1)では、ヒト被験体における頸動脈内膜中膜肥厚(CMIT)の後退(血管アテローム性動脈硬化症の指標)の可能性は、LDLCレベルが70mg/dL未満、又は100mg/dLを超える場合に、CRPのレベルと無関係であることが示された。しかしKent等は、CMITにおける変化と、ベースラインCRP又はCRPの変化のいずれとの間にも関連性を見出さなかった。今日までに、CRPレベルを使用して治療法を誘導することを教示又は提案する研究は存在していない。
【非特許文献1】Kentら、Am J Cardiol 2003;92:1227―1230
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
目下の所、スタチン等の心血管薬を用いた特定の治療法が、一種類以上の将来の心血管事象を低減する上で有効であるのか、又は多かれ少なかれ有益となることが期待されるのかの判断に活用できる試験の数はごく限られている。従って、ヒト被験体の治療法を評価する改良された試験と手法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、将来の心血管事象のリスクを低減する治療を受けており、全身性炎症マーカーの低い治療レベルを達成したヒト被験体において心血管事象の再発率が比較的低かったという驚くべき所見に基づくものである。本発明は、将来の心血管事象のリスクを低減する治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを監視することによって、ヒト被験体が治療の継続から利益が得られるのか、或いは治療の変更から利益が得られるのかを明らかにすることに関する。又本発明は、将来の心血管事象のリスクを低減する治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを監視することによって、治療の有効性を評価し、及び/又は治療過程を決定する支援を行うことにも関する。
【0009】
本発明の一局面によれば、ヒト被験体の診断を行う方法が提供されている。前記方法には、将来の心血管事象のリスクを低減するために、スタチンを用いた治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを取得することが含まれる。前記方法には又、ヒト被験体のLDLCレベルを取得することも含まれる。前記マーカーのレベルは、(明らかに健康な集団の)対照のマーカーのレベルに対応する所定の値と比較される。前記マーカーのレベルが所定のレベルを超えるか否かの判定は、取得したLDLCのレベルが70mg/dL未満、又は100mg/dLを超える場合に、患者がスタチンを用いた治療の継続から利益が得られるのか、或いはスタチンを用いた治療の変更から利益が得られるのかを示す指標となる。いくつかの実施態様では、マーカーレベルの取得とLDLCレベルの取得を繰り返すことによって、ヒト被験体のマーカーレベルとLDLCレベルを一定時間にわたって監視している。又、いくつかの実施態様では、ヒト被験体が少なくとも一ヶ月間治療を受けていた可能性がある。更に、いくつかの実施態様では、ヒト被験体が少なくとも二ヶ月間治療を受けていた可能性もある。
【0010】
スタチンを用いた治療の変更とは、スタチンの用量の増大、スタチン間の切り替え、スタチンから非スタチン抗脂血症薬への切り替え、スタチン療法計画への別の非スタチン抗脂血症薬の追加、又はこれらの組み合わせを意味する。
【0011】
本発明の更に別の局面によれば、将来の心血管事象のリスクを低減する治療法の効果を評価する方法が提供されている。前記方法には、将来の心血管事象のリスクを低減するために、スタチンを用いた治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを取得することが含まれる。前記方法には又、ヒト被験体のLDLCレベルを取得することも含まれる。前記マーカーのレベルは、(明らかに健康な集団の)対照のマーカーのレベルに対応する所定の値と比較される。前記マーカーのレベルが所定のレベルを超えるか否かの判定は、取得したLDLCのレベルが70mg/dL未満、又は100mg/dLを超える場合に、治療が有効であるか否かを示す指標となる。いくつかの実施態様では、マーカーレベルの取得とLDLCレベルの取得を繰り返すことによって、ヒト被験体のマーカーレベルとLDLCレベルを一定時間にわたって監視している。又、いくつかの実施態様では、ヒト被験体が少なくとも一ヶ月間治療を受けていた可能性がある。更に、いくつかの実施態様では、ヒト被験体が少なくとも二ヶ月間治療を受けていた可能性もある。
【0012】
本発明の更に別の局面によれば、患者を診断する方法が提供されている。前記方法には、将来の心血管事象のリスクを低減する、スタチン以外の治療薬を用いた治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを取得することが含まれる。前記マーカーのレベルは、(明らかに健康な集団の)対照のマーカーのレベルに対応する所定の値と比較される。前記マーカーのレベルが所定のレベルを超えるか否かの判定は、患者が前記薬剤を用いた治療の継続から利益が得られるのか、或いは前記薬剤を用いた治療の変更から利益が得られるのかを示す指標となる。いくつかの実施態様では、マーカーレベルの取得を繰り返すことによって、ヒト被験体のマーカーレベルを一定時間にわたって監視している。本発明の本局面のいくつかの実施態様では、前記方法に個々の脂質レベルを測定することが更に含まれ、かかる脂質レベルは、患者が前記薬剤を用いた治療の継続から利益が得られるのか、或いは前記薬剤を用いた治療の変更から利益が得られるのかを示す指標となる。
【0013】
本発明の別の局面によれば、将来の心血管事象のリスクを低減する、スタチン以外の治療薬を用いた治療の有効性を評価する方法が提供されている。前記方法には、将来の心血管事象のリスクを低減する治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを取得することが含まれる。前記マーカーのレベルは、(明らかに健康な集団の)対照のマーカーのレベルに対応する所定の値と比較される。マーカーのレベルが所定のレベルを超えるか否かの判定は、治療が有効であるか否かを示す指標となる。いくつかの実施態様では、マーカーレベルの取得を繰り返すことによって、ヒト被験体のマーカーレベルを一定時間にわたって監視している。本発明の本局面のいくつかの実施態様では、前記方法に個々の脂質レベルを測定することが更に含まれ、かかる脂質レベルは、患者が前記薬剤を用いた治療の継続から利益が得られるのか、或いは前記薬剤を用いた治療の変更から利益が得られるのかを示す指標となる。
【0014】
本発明の更に別の局面によれば、ヒト被験体の治療過程を決定する方法が提供されている。前記方法には、将来の心血管事象のリスクを低減する治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを取得することが含まれる。前記マーカーのレベルは、(明らかに健康な集団の)対照のマーカーのレベルに対応する所定の値と比較される。そして取得したマーカーのレベルが所定のレベルを超えるか否かが判定され、その判定に基づき治療過程が決定される。いくつかの実施態様では、マーカーレベルの取得を繰り返すことによって、ヒト被験体のマーカーレベルを一定時間にわたって監視している。本発明の本局面のいくつかの実施態様では、前記方法に個々の脂質レベルを測定することが更に含まれ、この場合にヒト被験体内で測定された脂質レベルに基づき、治療過程の決定が行われる。
【0015】
本発明の更に別の局面によれば、全身性炎症マーカーのレベルが高いヒト被験体の治療方法が提供されている。前記方法には、心血管事象のリスクを低減する第一の治療法でヒト被験体を治療することが含まれる。ヒト被験体のマーカーのレベルが取得されると、前記マーカーのレベルが、(明らかに健康な集団の)対照のマーカーのレベルに対応する所定の値と比較される。前記マーカーの所定レベルに達しない場合は、心血管事象のリスクを低減する第二の治療法でヒト被験体が治療され、前記マーカーの所定レベルに達するまで、前記マーカーのレベルが測定され、前記マーカーの所定レベルと比較される。
【0016】
本発明で使用することができる全身性炎症マーカーの例には、C反応性タンパク質(CRP)、可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)、ICAM3、BL−CAM、LFA−2、VCAM−1、NCAM、PECAM、フィブリノーゲン、血清アミロイドA(SAA)、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(LpPlA2)、sCD40リガンド、ミエロペルオキシダーゼ、インターロイキン−6(IL−6)、及びインターロイキン−8(IL−8)が含まれる。
【0017】
いくつかの実施態様では、CRPが全身性炎症の好ましいマーカーとなっている。これらの実施態様の一部では、CRPの所定値が約2mg/L以下となっている。他の実施態様では、所定値が約1.75mg/L以下となっている。更に他の実施態様では、所定値が約1mg/L以下となっている。
【0018】
本明細書に記載される測定に使用することができる脂質の例には、コレステロール、LDLC、超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDLC)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDLC)、及びトリグリセリドが含まれる。重要な実施態様では、脂質がLDLCとなっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(発明の詳細な説明)
本発明は、全身性炎症マーカーを測定して、ヒト被験体の治療成績を改善する治療法を誘導することに関する。本発明の驚くべき局面において、治療中の全身性炎症マーカーのレベルが将来の心血管事象のリスクの予測値を有することが発見されている。全身性炎症マーカーの治療中レベルは、先行技術の予測因子の追加となるものである。このことは図2及び図3に図示されており、これらの図において本発明のデータは、LDLCレベル及びCRPレベルを考慮に入れた、ヒト被験体の有害な心血管事象の再発率を示す。図2には、LDLC又はCRPのいずれかの治療レベルに関連した心血管事象の再発率を示し、図3には、LDLCレベル及びCRPレベルの両方に関連した心血管事象の再発率を示す。前記のLDLCレベル及びCRPレベルの両方に関連した心血管事象の再発率が追加的なものであることは明々白々である。
【0020】
本発明から利益を得るヒト被験体とは、将来の心血管事象のリスクを低減する治療を受けているヒト被験体(即ち、「治療中の」ヒト被験体)である。治療中のヒト被験体とは、既に診断を受け、将来の心血管事象のリスクを低減する治療法による治療過程にあるヒト被験体である。前記治療法には、以下に言及する治療薬のいずれかが該当する。又、前記治療法には、食事及び/又は運動等の非薬物療法も該当する。重要な実施態様では、前記治療法がCRPレベルを低下させるものとなっている。又、特に重要な一つの実施態様では、前記治療法がスタチンを用いた治療法となっている。本発明から最も利益を得る可能性があるヒト被験体は、現在治療中で、CRPレベルが1mg/Lを超えるヒト被験体である。
【0021】
いくつかの実施態様では、既にヒト被験体が、例えば心筋梗塞等の一次(第一)心血管事象に罹患しているか、或いは血管形成術を受けている。一次心血管事象に罹患したヒト被験体は、二次(第二)心血管事象に罹患するリスクが高い。いくつかの実施態様では、ヒト被験体が一次心血管事象に罹患していないものの、心血管事象に罹患する一つ以上のリスク因子を有するため、前記ヒト被験体が心血管事象に罹患するリスクが高くなっている。一次心血管事象のリスク因子の例には、高脂血症、肥満、糖尿病、高血圧症、高血圧前症、全身性炎症マーカーの高いレベル、年齢、心血管事象の家族歴、及び喫煙が含まれる。心血管事象のリスクの程度は、ヒト被験体が有するリスク因子の数、及び重篤性又は重大性によって異なる。リスク因子の有無及び重篤性に基づいたヒト被験体の心血管事象のリスクの評価には、リスクチャート及び予測アルゴリズムを使用することができる。その一例として、Framingham Heart Studyリスク予測スコアがある。ヒト被験体は、前記被験体の10年間にわたって計算されたFramingham Heart Studyリスクスコアが5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%又は20%を超える場合に、心血管事象に罹患するリスクが高くなる。
【0022】
ヒト被験体の心血管事象のリスクを評価する別の方法には、CRP等の全身性炎症マーカーのレベルの測定をFramingham Heart Studyリスク予測スコア内に組み込んだ、包括的なリスクスコアがある。ヒト被験体の心血管事象のリスクを評価するその他の方法には、冠動脈カルシウム走査、心核磁気共鳴撮像、及び/又は核磁気共鳴血管造影が含まれる。
【0023】
更に他の実施態様では、被験体が一次心血管事象を有しており、且つ一つ以上のその他のリスク因子を有している。重要な一つの実施態様では、ヒト被験体が脂質レベルを低下させるためのスタチン療法を受けている。別の重要な一つの実施態様では、ヒト被験体が健康な脂質レベルを有している(即ち、前期ヒト被験体は高脂血症ではない)。
【0024】
本明細書で使用される「心血管事象」には、急性冠症候群、心筋梗塞、心筋虚血、慢性安定狭心症、不安定狭心症、血管形成術、発作、一過性脳虚血発作、一つ以上の間欠性跛行、又は一つ以上の血管閉塞が含まれる。
【0025】
高脂血症とは、高コレステロール血症及び/又は高トリグリセリド血症である。高コレステロール血症のヒト被験体及び高トリグリセリド血症のヒト被験体は、心血管事象の高い発生率と関係している。高コレステロール血症のヒト被験体とは、高コレステロール血症のヒト被験体に関して設けられた現行の基準を満たす者であり、高トリグリセリド血症のヒト被験体とは、高トリグリセリド血症の被験体に関して設けられた現行の基準を満たす者である。高コレステロール血症の被験体は、160mg/dLを超える、又は130mg/dLを超えるLDLレベルを有し、且つ男性、冠動脈心疾患の家族歴、喫煙、高血圧症、(35mg/dL未満の)低HDL、糖尿病、高インスリン血症、腹部肥満、高リポタンパク質、及び心血管事象の個人歴からなる群の内の少なくとも二つのリスク因子を有する。高トリグリセリド血症のヒト被験体は、250mg/dLを超えるトリグリセリド(TG)レベルを有する。
【0026】
高血圧症は、140mmHgを超える収縮期圧、及び/又は90mmHgを超える拡張期圧、若しくはその両方として定義される。高血圧前症は、収縮期圧115〜140mmHg、及び/又は拡張期圧80〜90mmHgとして定義される。
【0027】
肥満とは、脂肪組織量が過剰である状態を指す。肥満の直接の指標ではないが、最も広く使用されている肥満の測定法として肥満度指数(BMI)があり、これは体重/身長(kg/m)に相当する(Harrison’s Principles of Experimental Medicine, 15th Edition, McGraw−Hill, Inc., N.Y.(以下「Harrison’s」)等を参照)。相当量の罹患率データに基づき、BMI 30という値が男女両方における肥満の閾値として最も一般的に使用されており、BMI 25〜30という値は、医学的に有意であり、特に高血圧症及び耐糖能障害等の肥満症の影響を受けるリスク因子の存在下では、治療的介入に値すると考える必要がある。多くの場合、肥満症は体重の増大に相当すると考えられているが、必ずしもそうではない。痩せてはいるものの非常に筋肉の発達した者は、脂肪が増大していなくても任意の基準によって体重過多になり得る。肥満を定量化するその他の手法には、形態測定(皮下脂肪厚)、デンシトメトリー(水中体重法)、コンピュータ断層撮影法(CT)又は核磁気共鳴映像法(MRI)、及び/又は電気インピーダンスが含まれる。
【0028】
糖尿病は、空腹時血漿グルコースレベルが125mg/dL以上のヒト被験体にできる。
【0029】
全身性炎症マーカーの高いレベルとは、健康なヒト被験体集団(即ち、疾病の徴候及び症状を有さないヒト被験体)の平均を超えるレベルを指す。全身性炎症マーカーがCRPである場合は、1以上のCRPレベルが高いレベルとされる。
【0030】
将来の心血管事象のリスクを低減する治療法には、食事及び/又は運動、及び/又は抗高脂血症薬、抗炎症薬、抗血栓薬、血栓溶解薬、血小板凝集阻害剤、直接的トロンビン阻害剤、糖タンパク質Ilb/IIIa受容体阻害剤、細胞接着分子に結合して、白血球が当該分子に取り付く能力を阻害する薬剤(例:抗細胞接着分子抗体)、α−アドレナリン遮断薬、β−アドレナリン遮断薬、シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤、アンジオテンシン系阻害剤、抗不整脈薬、カルシウムチャネル遮断薬、利尿薬、変力薬、血管拡張剤、昇圧剤、チアゾリジン系薬剤、カナビノイド−1受容体遮断薬、及び/又はこれらの任意の組み合わせによる治療法が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
抗高脂血症薬とは、総コレステロールを低下させ、LDLCを低下させ、トリグリセリドを低下させ、及び/又はHDLCを増加させる薬剤である。抗高脂血症薬には、スタチン及び非スタチン抗高脂血症薬、及び/又はこれらの組み合わせが含まれる。スタチンは、ヒトの総コレステロール、LDLC及びトリグリセリドのレベルを低下させる効果があることが証明されている医薬品の一クラスである。スタチンは、コレステロールの合成の段階で作用する。スタチンは、HMG−CoAリダクターゼ遺伝子の阻害を通じ、細胞により合成されるコレステロールの量を低下させることによって、肝細胞によるLDLCの取り込みの増大に至る事象のサイクルを開始させる。LDLCの取り込みが増大するにつれて、血中の総コレステロール及びLDLCレベルが低下する。両因子の血中レベルが低下するのに伴い、アテローム性動脈硬化及び心疾患のリスクが低下することから、スタチンはアテローム性動脈硬化による罹患率及び死亡率の低下に広く使用されている。
【0032】
スタチンの例としては、シンバスタチン(Zocor)、ロバスタチン(Mevacor)、プラバスタチン(Pravachol)、フルバスタチン(Lescol)、アトロバスタチン(Lipitor)、セリバスタチン(Baycol)、ロスバスタチン(Crestor)、ピチバスタチン、並びに米国特許第4,444,784号、米国特許第4,231,938号、米国特許第4,346,227号、米国特許第4,739,073号、米国特許第5,273,995号、米国特許第5,622,985,米国特許第5,135,935号、米国特許第5,356,896号、米国特許第4,920,109号、米国特許第5,286,895号、米国特許第5,262,435号、米国特許第5,260,332号、米国特許第5,317,031号、米国特許第5,283,256号、米国特許第5,256,689号、米国特許第5,182,298号、米国特許第5,369,125号、米国特許第5,302,604号、米国特許第5,166,171号、米国特許第5,202,327号、米国特許第5,276,021号、米国特許第5,196,440号、米国特許第5,091,386号、米国特許第5,091,378号、米国特許第4,904,646号、米国特許第5,385,932号、米国特許第5,250,435号、米国特許第5,132,312号、米国特許第5,130,306号、米国特許第5,116,870号、米国特許第5,112,857号、米国特許第5,102,911号、米国特許第5,098,931号、米国特許第5,081,136号、米国特許第5,025,000号、米国特許第5,021,453号、米国特許第5,017,716号、米国特許第5,001,144号、米国特許第5,001,128号、米国特許第4,997,837号、米国特許第4,996,234号、米国特許第4,994,494号、米国特許第4,992,429号、米国特許第4,970,231号、米国特許第4,968,693号、米国特許第4,963,538号、米国特許第4,957,940号、米国特許第4,950,675号、米国特許第4,946,864号、米国特許第4,946,860号、米国特許第4,940,800号、米国特許第4,940,727号、米国特許第4,939,143号、米国特許第4,929,620号、米国特許第4,923,861号、米国特許第4,906,657号、米国特許第4,906,624号、及び米国特許第4,897,402号に記載されるその他多数の薬剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
ヒトでの使用が既に認可されているスタチンの例には、アトロバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン及びロスバスタチンが含まれる。HMG−CoAリダクターゼ阻害剤に関する詳細情報については、以下の参考文献を参照されたい:Drugs and Therapy Perspectives (May 12, 1997), 9: 1−6; Chong (1997) Pharmacotherapy 17: 1157−1177; Kellick (1997) Formulary 32: 352; Kathawala (1991) Medicinal Research Reviews, 11: 121−146; Jahng (1995) Drugs of the Future 20: 387−404;及びCurrent Opinion in Lipidology, (1997), 8, 362−368。注目される他のスタチン薬の一つには、Watanabe (1997) Bioorganic and Medicinal Chemistry 5: 437−444に記載される化合物3a(S−4522)がある。
【0034】
非スタチン抗高脂血症剤には、フィブリン酸誘導体(フィブラート)、胆汁酸捕捉剤又は樹脂、ニコチン酸剤、コレステロール吸収阻害剤、アシル−補酵素A:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤、LDL受容体拮抗薬、ファルネソイドX受容体(FXR)拮抗薬、ステロール調節結合タンパク質切断活性化タンパク質(SCAP)活性化因子、ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)阻害剤、スクアレン合成酵素阻害剤、及びペルオキシソーム増殖活性化受容体(PPAR)拮抗薬が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
フィブリン酸誘導体の例には、ゲムフィブロジル(Lopid)、フェノフィブラート(Tricor)、クロフィブラート(Atromid)及びベサフィブラートが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
胆汁酸捕捉剤又は樹脂の例には、コレセベラム(WelChol)、コレスチラミン(Questran又はPrevalite)及びコレスチポール(Colestid)、DMD−504、GT−102279、HBS−107、及びS−8921が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
ニコチン酸剤の例には、ナイアシン及びプロブコールが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
コレステロール吸収阻害剤の例には、エゼチミブ(Zetia)が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0039】
ACAT阻害剤の例には、アバシミブ(Avasimibe)、CI−976(Parke Davis)、CP−113818(Pfizer)、PD−138142−15(Parke Davis)、F1394、並びに米国特許第6,204,278号、米国特許第6,165,984号、米国特許第6,127,403号、米国特許第6,063,806号、米国特許第6,040,339号、米国特許第5,880,147号、米国特許第5,621,010号、米国特許第5,597,835号、米国特許第5,576,335号、米国特許第5,321,031号、米国特許第5,238,935号、米国特許第5,180,717号、米国特許第5,149,709号,及び米国特許第5,124,337号に記載されるその他多数の薬剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
CETP阻害剤の例には、トルセロラピブ、CP−529414、CETi−l、JTT−705、並びに米国特許第6,727,277号、米国特許第6,723,753号、米国特許第6,723,752号、米国特許第6,710,089号、米国特許第6,699,898号、米国特許第6,696,472号、米国特許第6,696,435号、米国特許第6,683,099号、米国特許第6,677,382号、米国特許第6,677,380号、米国特許第6,677,379号、米国特許第6,677,375号、米国特許第6,677,353号、米国特許第6,677,341号、米国特許第6,605,624号、米国特許第6,586,448号、米国特許第6,521,607号、米国特許第6,482,862号、米国特許第6,479,552号、米国特許第6,476,075号、米国特許第6,476,057号、米国特許第6,462,092号、米国特許第6,458,852号、米国特許第6,458,851号、米国特許第6,458,850号、米国特許第6,458,849号、米国特許第6,458,803号、米国特許第6,455,519号、米国特許第6,451,830号、米国特許第6,451,823号、米国特許第6,448,295号、米国特許第5,512,548号に記載されるその他多数の薬剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
FXR拮抗薬の一例には、ググルステロンがあげられる。SCAP活性化因子の一例には、GW532(GlaxoSmithKline)があげられる。
【0042】
MTP阻害剤の例には、インプリタピド及びR−103757が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
クアレン合成酵素阻害剤の例には、ザラゴジン酸が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0044】
PPAR作動薬の例には、GW−409544、GW−501516、及びLY−510929が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
抗炎症剤には、アルクロフェナク、ジプロピオン酸アルクロメタゾン、アルゲストン・アセトニド、αアミラーゼ、アンシナファル(Amcinafal)、アンシナフィド(Amcinafide)、アンフェナクナトリウム、塩酸アミプリロース、アナキンラ、アニロラク、アニトラザフェン、アパゾン、バルサラジド二ナトリウム、ベンダザック、ベノキサプロフェン、塩酸ベンジダミン、ブロメライン、ブロペラモール、ブデソニド、カープロフェン、シクロプロフェン、シンタゾン(Cintazone)、クリプロフェン、プロピオン酸クロベタゾール、酪酸クロベタソン、クロピラク、プロピオン酸クロチカゾン、酢酸コルメタソン(Cormethasone)、コルトドキソン、デフラザコルト、デソニド、デソキシメタゾン、ジプロピオン酸デキサメタゾン、ジクロフェナク・カリウム、ジクロフェナク・ナトリウム、二酢酸ジフロラゾン、ジフルミドンナトリウム、ジフルニサル、ジフルプレドナート、ジフタロン、ジメチルスルホキシド、ドロシノニド(Drocinonide)、エンドリソン(Endrysone)、エンリモマブ(Enlimomab)、エノリカムナトリウム、エピリゾール、エトドラク、エトフェナメート、フェルビナク、フェナモール、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェンクロラク、フェンドサール、フェンピパロン、フェンチアザク、フラザロン、フルアザコルト、フルフェナム酸、フルミゾール、酢酸フルニソリド、フルニキシン、フルニキシンメグルミン、フルオコルチンブチル、酢酸フルオロメトロン、フルクァゾン、フルルビプロフェン、フルレトフェン、プロピオン酸フルチカゾン、フラプロフェン、フロブフェン、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタソール、酢酸ハロプレドン、イブフェナク、イブプロフェン、イブプロフェンアルミニウム、イブプロフェンピコノール、イロニダプ、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、インドプロフェン、インドキソール、イントラゾール、酢酸イソフルプレドン(Isoflupredone)、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、塩酸ロフェミゾール、ロルノキシカム、エタボン酸ロテプレドノール、メクロフェナム酸ナトリウム、メクロフェナム酸、二酢酸メクロリソン(Meclorisone)、メフェナム酸、メサラミン、メセクラゾン、スレプタン酸メチルプレドニゾロン、モルニフルメート、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキソール、ニマゾン、オルサラジンナトリウム、オルゴテイン、オルパノキシン、オキサプロジン、オキシフェンブタゾン、塩酸パラニリン、ペントサンポリサルフェートナトリウム、フェンブタゾンナトリウムグリセラート、ピルフェニドン、ピロキシカム、ケイ皮酸ピロキシカム、ピロキシカムオラミン、ピルプロフェン、プレドナゼート(Prednazate)、プリフェロン、プロドール酸、プロクァゾン、プロキサゾール、クエン酸プロキサゾール、リメキソロン、ロマザリット、サルコレクス、サルナセジン、サルサラート、サリシレート、塩化サングイナリウム、セクラゾン、セルメタシン、スドキシカム、スリンダク、スプロフェン、タルメタシン、タルニフルマート、タロサラート、テブフェロン、テニダプ、テニダプナトリウム、テノキシカム、テシカム、テシミド、テトリダミン、チオピナク、ピバル酸チキソコルトール、トルメチン、トルメチンナトリウム、トリクロニド(Triclonide)、トリフルミダート、ジドメタシン、糖質コルチコイド、ゾメピラックナトリウムを含む。
【0046】
抗血栓剤及び/又は繊維素溶解剤には、組織プラスミノーゲン活性化因子(例:アクチバーゼ(Activase)、アルテプラーゼ)(不活性プラスミノーゲンからプラスミンへの転換を触媒。これは、プレカリクレイン、キニノーゲン、第XII因子及び第XIIIa因子、プラスミノーゲンプロアクチベータ、及び組織プラスミノーゲン活性化因子TPAの相互作用により発生する可能性がある)、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、アニソイル化プラスミノーゲン−ストレプトキナーゼアクチベータ複合体、プロ−ウロキナーゼ(Pro−UK)、rTPA(アルテプラーゼ又はアクチバーゼ;rは組み換えを意味する)、rPro−UK、アボキナーゼ、エミナーゼ、塩酸スレプターゼアナグレリド、ビバリルジン、ダルテパリンナトリウム、ダナパロイドナトリウム、塩酸ダゾキシベン、硫酸エフェガトラン、エノキサパリンナトリウム、イフェトロバン、イフェトロバンナトリウム、チンザパリンナトリウム、レタプラーゼ、トリフェナグレル、ワルファリン、デキストラン、アミノカプロン酸(Amicar)、及びトラネキサム酸(Amstat)が含まれる。
【0047】
抗血小板剤には、クロプリドグレル(Clopridogrel)、スルフィンピラゾン、アスピリン、ジピリダモール、クロフィブラート、カルバミン酸ピリジノール、PGE、グルカゴン、抗セロトニン薬、カフェイン、テオフィリンペントキシフィリン、チクロピジン、アングレリドが含まれる。
【0048】
直接トロンビン阻害剤には、ヒルジン、ヒルゲン、ヒルログ、アガトロバン(agatroban)、PPACK、トロンビンアプタマーが含まれる。
【0049】
糖タンパク質Ilb/IIIa受容体阻害剤には、抗体及び非抗体の両方があり、ReoPro(アブシキマブ(abcixamab))、ラミフィバン、チロフィバンが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
細胞接着分子に結合して、白血球が当該分子に取り付く能力を阻害する薬剤には、ポリペプチド薬が含まれる。当該ポリペプチドには、従来の方法体系に従って調製されるポリクローナル及びモノクローナル抗体が含まれる。当該抗体には、当該技術分野にて既に知られており、抗ICAM 1抗体及びその他の当該抗体が含まれる。有意という点では、当該技術分野にて既に知られる通り、抗体分子の極一部、即ちパラトロープのみが、抗体とそのエピトープの結合に関与している(一般的には、Clark, W.R. (1986) The Experimental Foundations of Modern Immunology, Wiley & Sons, Inc., New York; Roitt, I. (1991) Essential Immunology, 7th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxfordを参照)。例えば、pFc’及びFc領域は、補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合には関与しない。pFc’領域が酵素的に切断されている抗体、又はpFc’領域なしで生成されている抗体は、F(ab’)断片と指定され、無傷抗体の両方の抗原結合部位を保持する。同様に、Fc領域が酵素的に切断されている抗体、又はFc領域を除いて生成されている抗体は、Fab断片と指定され、無傷抗体分子の一方の抗原結合部位を保持する。更に進行して、Fab断片は、共有結合した抗体軽鎖と、Fdと指定される抗体重鎖の一部から構成されている。Fd断片は、抗体特異性の主な決定因子であり(単一のFd断片は、抗体特異性を変更せずに10個までの異なる軽鎖に結合し得る)、Fd断片は、単離においてエピトープ結合能を保持する。
【0051】
当該技術分野にて周知のように、抗体の抗原結合部分内に、抗原のエピトープと直接相互作用する相補性決定領域(CDRs)と、パラトープの三次構造を保持するフレームワーク領域(Frs)とが存在する(一般的には、Clar, 1986;Roitt, 1991を参照)。IgG免疫グロブリンの重鎖Fd断片及び軽鎖の両方内に、3個の相補性決定領域(CDR1〜CDR3)により各々分離されたフレームワーク領域が4個存在する(FRl〜FR4)。CDRs、とりわけCDR3領域、更に具体的には、軽鎖CDR3は、抗体特異性に多大な役割を果たしている。
【0052】
現在、当該技術分野では、哺乳動物抗体の非CDR領域を、元の抗体のエピトープ特異性を保持しながら、非特異的又は異種特異的な抗体の同様の領域で代替し得ることが確立されている。このことは、非ヒト化CDRがヒトFR及び/又はFc/pFc’領域に共有結合して機能的抗体を生成する「ヒト化」抗体の開発及び使用において、最も明白に示されている。従って、例えば、PCT国際公開番号WO 92/04381では、マウスFR領域の少なくとも一部分がヒト起源のFR領域で代替されている、ヒト化マウスRSV抗体の生産及び使用について教示されている。抗原結合能を伴う無傷抗体の断片を含むそれらの抗体は、「キメラ」抗体と称されることが多い。
【0053】
従って、当業者に明らかとなるように、本発明は、F(ab’)2、Fab、Fv及びFd断片;Fc及び/又はFr及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又は軽鎖CDR3領域が同種のヒト又は非ヒト配列で代替されたキメラ抗体;FR及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又は軽鎖CDR3領域が同種のヒト又は非ヒト配列で代替されたキメラF(ab’)2断片抗体;FR及び/又はCDR1及び/又はCDR2及び/又は軽鎖CDR3領域が同種のヒト又は非ヒト配列で代替されたキメラFab断片抗体;並びにFR及び/又はCDR1及び/又はCDR2領域が同種のヒト又は非ヒト配列で代替されたキメラFd断片抗体も包含する。本発明は又、いわゆる一本鎖抗体も包含する。
【0054】
従って、本発明は、細胞接着分子に特異的に結合する多くの寸法及び種類のポリペプチドを包含する。これらのポリペプチドは、抗体技術以外の源からも由来することがある。例えば、当該ポリペプチド結合剤は、溶液中で容易に調製し得るペプチドライブラリーの分解により、固定化された形で又はファージディスプレイライブラリーとして提供し得る。一つ以上のアミノ酸を含むペプチドの組み合わせライブラリーも合成し得る。ライブラリーは更に、ペプトイド及び非ペプチド合成部分からも合成し得る。
【0055】
α−アドレナリン遮断薬の例には、ドキサゾシン、プラゾシン、タムスロシン及びタラゾシン(tarazosin)が含まれる。
【0056】
β−アドレナリン受容体遮断薬は、狭心症、高血圧症及び心不整脈におけるカテコールアミンの心血管効果に拮抗する薬剤の一クラスである。β−アドレナリン受容体遮断薬には、アテノロール、アセブトロール、アルプレノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ブニトロロール、カルテオロール、セリプロロール、ヘドロキサロール(hedroxalol)、インデノロール、ラベタロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノール(methypranol)、メチンドール、メトプロロール、メトリゾラノロール(metrizoranolol)、オキシプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、プラクトロール、プラクトロール、ソタロールナドロール(sotalolnadolol)、チプレノロール、トマロロール(tomalolol)、チモロール、ブプラノロール、ペンブトロール、トリメプラノール、2−(3−(1,1−ジメチルエチル)−アミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3−ピリデンカルボニトリルHCl、1−ブチルアミノ−3−(2,5−ジクロロフェノキシ)−2−プロパノール、1−イソプロピルアミノ−3−(4−(2−シクロプロピルメトキシエチル)フェノキシ)−2−プロパノール、3−イソプロピルアミノ−1−(7−メチルインダン−4−イルオキシ)−2−ブタノール、2−(3−t−ブチルアミノ−2−ヒドロキシ−プロピルチオ)−4−(5−カルバモイル−2−チエニル)チアゾール、7−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチルアミンプロポキシ)フタリドが含まれるが、これらに限定されるものではない。上記に特定した化合物は、異性体混合物として、又はそれら各々の左旋体又は右旋体にて使用し得る。
【0057】
シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)は、最近確認された、新しい形態のシクロオキシゲナーゼである。シクロオキシゲナーゼは、殆どの組織内に存在する酵素複合体であり、アラキドン酸から様々なプロスタグランジン及びトロンボキサンを生成する。非ステロイド性抗炎症薬は、(プロスタグランジンG/H合成酵素及び/又はプロスタグランジン−エンドペルオキシド合成酵素としても知られる)シクロオキシゲナーゼの阻害を介して、その抗炎症、鎮痛及び解熱活性の大部分を発揮し、ホルモン誘導子宮収縮及び特定種類の癌増殖を阻害する。当初は、シクロオキシゲナーゼの一つの形態である「構成的酵素」即ちシクロオキシゲナーゼ−1(COX−I)のみが知られていた。これは当初、ウシ精液小胞中に確認された。
【0058】
シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)は、最初、鶏、マウス及びヒト源よりクローン化、配列決定、及び特徴付けされた(例えば、1996年8月6日にCromlish等に対して発行され、Merck Frosst Canada, Inc., Kirkland, CAに譲渡された米国特許第5,543,297号「Human cyclooxygenase−2 cDNA and assays for evaluating cyclooxygenase−2 activity」を参照)。この酵素はCOX−1とは区別される。COX−2は、マイトジェン、エンドトキシン、ホルモン、サイトカイン及び増殖因子を含むいくつかの薬剤により急速且つ容易に誘導され得る。プロスタグランジンは、生理学的及び病理学的役割の両方を有するため、構成的酵素であるCOX−1は、専らプロスタグランジンの内因性基礎放出に関与し、従って胃腸の完全性、及び腎血流の保守等の生理学的機能に重要であると考えられている。対照的に、誘導可能な形態であるCOX−2は、主に、炎症薬、ホルモン、増殖因子及びサイトカイン等の薬剤に応答して酵素の急速誘導が起こる、プロスタグランジンの病理学的作用に関与すると考えられている。従って、COX−2の選択的阻害剤は、従来の非ステロイド性抗炎症薬と同様の抗炎症性、抗発熱性及び鎮痛性を有するが、副作用が軽減され、加えてホルモン誘導子宮収縮を抑制し、又潜在的な抗癌作用を有すると考えられる。特に、当該COX−2阻害剤は、胃腸毒性の可能性が低く、腎副作用の可能性が低く、出血時間上の作用が低減され、おそらくアスピリン感受性喘息被験体における喘息発作誘発の可能性が低いと思われるため、本発明によれば有用である。
【0059】
当該技術分野では、いくつかの選択的COX−2阻害剤が知られている。それらには、米国特許第5,474,995号”Phenyl heterocycles as cox−2 inhibitors”;米国特許第5,521,213号”Diaryl bicyclic heterocycles as inhibitors of cyclooxygenase−2”;米国特許第5,536,752号”Phenyl heterocycles as COX−2 inhibitors”;米国特許第5,550,142号”Phenyl heterocycles as COX−2 inhibitors”;米国特許第5,552,422号”Aryl substituted 5,5 fused aromatic nitrogen compounds as anti−inflammatory agents”;米国特許第5,604,253号”N−benzylindol−3−yl propanoic acid derivatives as cyclooxygenase inhibitors”;米国特許第5,604,260号”5−methanesulfonamido−1−indanones as an inhibitor of cyclooxygenase−2”;米国特許第5,639,780号”N−benzyl indol−3−yl butanoic acid derivatives as cyclooxygenase inhibitors”;米国特許第5,677,318号”Diphenyl−l,2−3−thiadiazoles as anti−inflammatory agents”;米国特許第5,691,374号”Diaryl−5−oxygenated−2−(5H) −furanones as COX−2 inhibitors”;米国特許第5,698,584号”3,4−diaryl−2−hydroxy−2,5−dihydrofurans as prodrugs to COX−2 inhibitors”;米国特許第5,710,140号”Phenyl heterocycles as COX−2 inhibitors”;米国特許第5,733,909号”Diphenyl stilbenes as prodrugs to COX−2 inhibitors”;米国特許第5,789,413号”Alkylated styrenes as prodrugs to COX−2 inhibitors”;米国特許第5,817,700号”Bisaryl cyclobutenes derivatives as cyclooxygenase inhibitors”;米国特許第5,849,943号”Stilbene derivatives useful as cyclooxygenase−2 inhibitors”;米国特許第5,861,419号”Substituted pyridines as selective cyclooxygenase−2 inhibitors”;米国特許第5,922,742号”Pyridinyl−2−cyclopenten−1−ones as selective cyclooxygenase−2 inhibitors”;米国特許第5,925,631号”Alkylated styrenes as prodrugs to COX−2 inhibitors”に記載のCOX−2阻害剤が含まれるが、これらに限定されるものではなく、これら全ては本発明の譲受人Merck Frosst Canada, Inc. (Kirkland, CA)に譲渡される。更なるCOX−2阻害剤は、G. D. Searle & Co. (Skokie, IL)に譲渡された米国特許第5,643,933号、”Substituted sulfonylphenylheterocycles as cyclooxygenase−2 and 5−lipoxygenase inhibitors.”にも記載されている。
【0060】
上記に特定したいくつかのCOX−2は、選択的COX−2阻害剤のプロドラッグであり、in vivoで活性選択的COX−2阻害剤に転換することにより、それらの作用を発揮する。上記に特定したCOX−2阻害剤プロドラッグから形成される活性選択的COX−2阻害剤は、1995年1月5日公開のWO95/00501、1995年7月13日公開のWO95/18799、及び1995年12月12日発行の米国特許第5,474,995号に詳細に記載されている。米国特許第5,543,297号”Human cyclooxygenase−2 cDNA and assays for evaluating cyclooxygenase−2 activity”の教授を前提にすれば、当業者は、薬剤が選択的COX−2阻害剤又はCOX−2阻害剤の前駆体であるか、従って薬剤が本発明の一部に含まれるかを決定することができると考えられる。
【0061】
アンジオテンシン系阻害剤は、アンジオテンシンIIの機能、合成又は異化を妨害する薬剤である。これらの薬剤には、アンジオテンシン転換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII拮抗薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、並びにアンジオテンシンIIの異化を活性化する薬剤、並びにアンジオテンシンIIが最終的に由来するアンジオテンシンIの合成を阻止する薬剤が含まれるが、これらに限定されるものではない。レニン−アンジオテンシン系は、血行動態並びに水及び電解質平衡の調節に関与している。血液量、腎灌流圧又は血漿中のNa+の濃度を低下させる因子は系を活性化させる傾向があるのに対して、これらのパラメータを増大させる因子は機能を抑制する傾向がある。
【0062】
アンジオテンシンI及びアンジオテンシンIIは、レニン−アンジオテンシン酵素経路により合成される。合成のプロセスは、酵素レニンがアンジオテンシノーゲン、即ち血漿中の偽グロブリン上に作用してデカペプチドアンジオテンシンIを生成する際に、開始される。アンジオテンシンIは、アンジオテンシン転換酵素(ACE)によってアンジオテンシンII(アンジオテンシン−[1−8]オクタペプチド)に転換される。後者は、様々な哺乳動物種、例えばヒト内で数種の形態の高血圧症の原因物質として関係している昇圧物質である。
【0063】
アンジオテンシン(レニン−アンジオテンシン)系阻害剤は、アンジオテンシノーゲン又はアンジオテンシンIからのアンジオテンシンIIの生成を妨害するか、又はアンジオテンシンIIの活性を妨害するように作用する化合物である。当該阻害剤は、当業者に周知であり、レニン及びACEを含めた、アンジオテンシンIIの最終的な生成に関与する酵素を阻害するように作用する化合物が含まれる。これらには又、一担生成されるとアンジオテンシンIIの活性を妨害する化合物も含まれる。当該化合物のクラスの例には、抗体(例:レニンに対する抗体)、アミノ酸及びその類似体(より大きい分子に接合したものを含む)、ペプチド(アンジオテンシン及びアンジオテンシンIのペプチド類似体を含む)、プロ−レニン関連類似体等が含まれる。中でも最も強力且つ有用なレニン−アンジオテンシン系阻害剤は、レニン阻害剤、ACE阻害剤及びアンジオテンシンII拮抗薬である。本発明の好ましい実施態様におけるレニン−アンジオテンシン系阻害剤は、レニン阻害剤、ACE阻害剤及びアンジオテンシンII拮抗薬である。
【0064】
アンジオテンシンII拮抗薬は、アンジオテンシンII受容体に結合して、その活性を妨害することにより、アンジオテンシンIIの活性を妨害する化合物である。アンジオテンシンII拮抗薬は、周知であり、ペプチド化合物及び非ペプチド化合物が含まれる。殆どのアンジオテンシンII拮抗薬は、8位のフェニルアラニンが数種の他のアミノ酸と代替することにより作動薬活性が減弱されている、僅かに修飾された同族種である。in vivoでの分解を遅延させる他の代替により、安定性を向上させることができる。アンジオテンシンII受容体拮抗薬の例には、カンデサルタン(Alacand)、イルベサルタン(Avapro)、ロサルタン(Cozaar)、テルミサルタン(Micardis)及びバルサルタン(Diovan)が含まれるが、これらに限定されるものではない。アンジオテンシンII拮抗薬の他の例には、ペプチド化合物(例:サララシン、[(Sar)(Val)(Ala)]アンジオテンシン−(1−8)オクタペプチド及び関連する類似体);N−置換イミダゾール−2−オン(米国特許第5,087,634号);2−N−ブチル−4−クロロ−1−(2−クロロベンジル)イミダゾール−5−酢酸を含むイミダゾール酢酸誘導体(Long et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 247(1), 1−7 (1988)を参照);4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−6−カルボン酸及び類似誘導体(米国特許第4,816,463号);N2−テトラゾールβ−グルクロニド類似体(米国特許第5,085,992号);置換ピロール、ピラゾール及びトリアゾール(米国特許第5,081,127号);1,3−イミダゾール等のフェノール及び複素環式誘導体(米国特許第5,073,566号);イミダゾ−縮合7−員複素環(米国特許第5,064,825号);ペプチド(例:米国特許第4,772,684号);アンジオテンシンIIに対する抗体(例:米国特許第4,302,386号);ビフェニル−メチル置換イミダゾール等のアラルキルイミダゾール化合物(例:EP253,310号、1988年1月20日);ES8891(N−モルホリノアセチル−(−1−ナフチル)−L−アラニル−(4,チアゾリル)−L−アラニル(35,45)−4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−シクロ−ヘキサペンタノイル−N−ヘキシルアミン、Sankyo Company, Ltd., Tokyo, Japan);SKF108566(E−α−2−[2−ブチル−1−(カルボキシフェニル)メチル]1H−イミダゾール−5−イル[メチラン]−2−チオフェンプロパン酸、Smith Kline Beecham Pharmaceuticals, PA);ロサルタン(DUP753/MK954, DuPont Merck Pharmaceutical Company);レミキリン(Remikirin)(RO42−5892, F. Hoffman LaRoche AG);A2作動薬(Marion Merrill Dow)並びに特定の非ペプチド複素環(G.D. Searle and Company)が含まれる。
【0065】
アンジオテンシン転換酵素(ACE)は、アンジオテンシンIのアンジオテンシンIIへの転換を触媒する酵素である。ACE阻害剤には、アミノ酸及びその誘導体、ジペプチド及びトリペプチドを含むペプチド、並びにACEの活性を阻害して昇圧物質アンジオテンシンIIの形成を低下させる又は排除することによって、レニン−アンジオテンシン系に介入する、ACEに対する抗体が含まれる。ACE阻害剤は、高血圧症、鬱血性心不全、心筋梗塞及び腎臓病を治療するために、医学的に使用されている。ACE阻害剤として有用であることが知られる化合物のクラスには、カプトプリル(米国特許第4,105,776号)及びゾフェノプリル(米国特許第4,316,906号)等のアシルメルカプト及びメルカプトアルカノイルプロリン;エナラプリル(米国特許第4,374,829号)、リシノプリル(米国特許第4,374,829号)、キナプリル(米国特許第4,344,949号)、ラミプリル(米国特許第4,587,258号)及びペリンドプリル(米国特許第4,508,729号)等のカルボキシアルキルジペプチド;シラザプリル(米国特許第4,512,924号)及びベナザプリル(米国特許第4,410,520号)等のカルボキシアルキルジペプチド擬似体;ホシノプリル(米国特許第4,337,201号)及びトランドロプリル(trandolopril)等のホスフィニルアルカノイルプロリンが含まれる。
【0066】
レニン阻害剤は、レニンの活性を妨害する化合物である。レニン阻害剤には、アミノ酸及びその誘導体、ペプチド及びその誘導体、並びにレニンに対する抗体が含まれる。米国特許の対象であるレニン阻害剤の例には、以下のようなものがある:ペプチドの尿素誘導体(米国特許第5,116,835号);非ペプチド結合で接続されたアミノ酸(米国特許第5,114,937号);ジペプチド及びトリペプチド誘導体(米国特許第5,106,835号);アミノ酸及びその誘導体(米国特許第5,104,869号及び米国特許第5,095,119号);ジオールスルホンアミド及びスルフィニル(米国特許第5,098,924号);修飾ペプチド(米国特許第5,095,006号);ペプチジルβ−アミノアシルアミノジオールカルバメート(米国特許第5,089,471号);ピロールイミダゾロン(米国特許第5,075,451号);フッ素含有及び塩素塩素スタチン又はペプチド含有スタトン(米国特許第5,066,643号);ペプチジルアミノジオール(米国特許第5,063,208号及び米国特許第4,845,079号);N−モルホリノ誘導体(米国特許第5,055,466号);ペプスタチン誘導体(米国特許第4,980,283号);N−複素環アルコール(米国特許第4,885,292号);レニンに対するモノクローナル抗体(米国特許第4,780,401号);並びにその他の多様なペプチド及びその類似体(米国特許第5,071,837号、米国特許第5,064,965号、米国特許第5,063,207号、米国特許第5,036,054号、米国特許第5,036,053号、米国特許第5,034,512号、及び米国特許第4,894,437号)。
【0067】
カルシウムチャネル遮断薬は、数種の心血管疾患、例えば高血圧症、狭心症及び心不整脈を含む様々な疾病の調節において重要な治療値を有する、化学的に多様な化合物のクラスである(Fleckenstein, Cir. Res. v. 52, (suppl. 1), p.13−16 (1983); Fleckenstein, Experimental Facts and Therapeutic Prospects, John Wiley, New York (1983); McCaIl, D., Curr Pract Cardiol, v. 10, p. 1−11 (1985))。カルシウムチャネル遮断薬は、細胞のカルシウムチャネルを調節することにより、細胞内へのカルシウム進入を防止又は遅延させる薬剤の異種グループである(Remington, The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Edition, Mack Publishing Company, Eaton, PA, p.963 (1995))。本発明に基づき有用な、現在入手できるカルシウムチャネル遮断薬の殆どは、3つの主な薬剤の化学群の内の一つ、例えばニフェジピン等のジヒドロピリジン、ベラパミル等のフェニルアルキルアミン、及びジルチアゼム等のベンゾチアゼピンに属する。本発明に基づき有用なその他のカルシウムチャネル遮断薬には、アムリノン、アムロジピン、ベンシクラン、フェロジピン、フェンジリン、フルナリジン、イスラジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ペルヘキシレン(perhexilene)、ガロパミル、チアパミル及びチアパミル類似体(1993RO−11−2933等)、フェニトイン、バルビツール酸塩、並びにペプチドダイノルフィン、Ω−コノトキシン、及びΩ−アガトキシン、並びにこれらの同様物及び/又は薬学的に許容される塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
利尿薬には、炭酸脱水酵素阻害剤、ループ利尿薬、カリウム保持性利尿薬、チアジド及び関連する利尿薬が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
血管拡張薬には、冠拡張薬及び末梢血管拡張薬が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
昇圧剤には、血管収縮を起こす、及び/又は血圧を上昇させる薬剤である。昇圧剤には、ドーパミン、エフェドリン、エピネフリン、メトキサミンHCl(Vasoxyl)、フェニルエフリン、フェニレフリンHCl(Neo−Synephrine)、及びメタラミノールが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
チアゾリジンジオンには、ロシグリタゾン(Avandia)、ピオグリタゾン(Actos)、トログリタゾン(Rezulin)が含まれるが、これらに限定されるものではない。チアゾリジンジオン並びに例えばロシグリタゾン及びメトホルミン(Avandamet)等のその他の薬剤の併用治療は、本発明により包含される。
【0072】
カナビノイド−1受容体遮断薬の一例は、リモナバンである。
【0073】
本発明の方法を実施する際には、個々の全身性炎症マーカーのレベルを取得する必要がある。全身性炎症のマーカーは、当業者に周知である。全身性炎症のマーカーは、CRP、サイトカイン及び細胞接着分子からなる群より選択されることが好ましい。サイトカインは、当業者に周知であり、ヒトインターロイキン1−17が含まれる。細胞接着分子は、当業者に周知であり、インテグリン、可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)、ICAM−3、BL−CAM、LFA−2、VCAM−1、NCAM、PECAM、フィブリノーゲン、血清アミロイドA(SAA)、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(LpPlA2)、sCD40リガンド、ミエロペルオキシダーゼ、インターロイキン−6(IL−6)及びインターロイキン−8(IL−8)が含まれる。好ましい接着分子の一つは、sICAM−1である。
【0074】
本方法を実施するためには、治療中のヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルが取得される。次に、取得したレベルが所定の値と比較され、この場合に所定の値と比較した全身性炎症マーカーのレベルが、個人が治療の継続から利益が得られる可能性を示すことになる。この後、個人は、治療の変更から得る可能性がある利益に関して特性評価されることが可能となる。
【0075】
個人の全身性炎症マーカーのレベルは、当該技術分野で認められる任意の方法により取得し得る。一般的に前記レベルは、例えば血液、リンパ液、唾液、尿等の体液中のマーカーのレベルを測定することによって決定される。前記レベルは、ELISA、又はイムノアッセイ、又はマーカーの有無を決定するその他の従来の方法により決定され得る。従来の方法には、患者の体液の一種類以上のサンプルを測定するために民間試験所へ送ることが含まれる。
【0076】
本発明には、個人のマーカーのレベルを所定の値と比較することも含まれる。前記の所定の値は様々な形態をとることができ、メジアン又は平均等の単一のカットオフ値をとり得る。前記値は、例えば一つの定義グループのリスクが別の定義グループのリスクの2倍となる場合等に、比較グループに基づき設定され得る。又、前記値は、例えば試験集団が、リスクが低いグループ、リスクが中程度のグループ及びリスクが高いグループ等のグループに均等(又は不均等)に分割されるか;若しくはリスクが最も低い個人が最低の四分位となり、リスクが最も高い個人が最高の四分位となる四分位に分割されるか;若しくはリスクが最も低い個人が最低の三分位であり、リスクが最も低い個人が最高の三分位となる三分位に分割される場合に、範囲をとり得る。
【0077】
前記の所定の値は、選択されるヒト被験体の特定の集団に依存する。例えば、明らかに健康な集団は、以前に心血管事象に罹患しているヒト被験体の集団とは異なる全身性炎症マーカーの「正常範囲」を有することになる。従って、選択される所定の値は、ヒト被験体が属するカテゴリーを考慮することがある。適切な範囲及びカテゴリーは、当業者による日常的な実験のみによって選択が可能となる。
【0078】
好ましい体液は血液であり、好ましいマーカーはCRPである。全身性炎症マーカーがCRPである場合、好ましい所定の値の一つは、血液(即ちヒト被験体の血液サンプル)1L当たり約3mgである。別の好ましい所定の値の一つは、血液1L当たり約2mg/Lである。更に別の好ましい所定の値の一つは、血液1L当たり約1.75mgである。更に別の好ましい所定の値の一つは、血液1L当たり約1.50mgである。更に別の好ましい所定の値の一つは、血液1L当たり約1.25mgである。更に別の好ましい所定の値は、血液1L当たり約1mgである。一方、範囲が用いられる場合、好ましい多数の範囲の一つは、血液1L当たり約3mg未満であり、別の範囲の一つは、血液1L当たり約3mg以上である。更に別の好ましい多数の範囲の一つは、血液1L当たり約2mg未満であり、更に別の範囲の一つは、血液1L当たり約2mgである。更に別の好ましい多数の範囲の一つは、血液1L当たり約1mg未満であり、更に別の範囲の一つは、血液1L当たり約1mgである。CRPは、心血管事象のリスクの予測因子である。
【0079】
全身性炎症マーカーが細胞接着分子であるsICAM−1である場合、好ましい所定の値は、血液1mL当たり約250ngである。
【0080】
全身性炎症マーカーがsCD40リガンドである場合、好ましい所定の値は、血液1mL当たり約5.5ngである。別の好ましい所定の値の一つは、血液1mL当たり約3.2ngである。更に別の好ましい所定の値の一つは、血液1mL当たり約2.9ngである。
【0081】
全身性炎症マーカーの重要な所定の値は、健康なヒト被験体(即ち、疾病の徴候及び症状を全く有さないヒト被験体)集団の平均値である。勿論、前記の所定の値は、選択される特定のマーカー、及び更には個々が属する患者集団の特性にも依存する。リスクを特性評価するに当たっては、多数の所定の値を設定することができる。
【0082】
現在、CRPのアッセイ用の試薬を製造する商業的供給源が存在する。当該供給源には、Dade−Behring(Deerfield, Illinois), Abbott Pharmaceuticals (Abbott Park, Illinois), CalBiochem (San Diego, CA)及びBehringwerke (Marburg, Germany)が含まれるが、これらに限定されるものではない。炎症性サイトカイン及び細胞接着分子測定の商業的供給源には、R&D Systems (Minneapolis, MN), Genzyme(Cambridge, MA)及びImmunotech (Westbrook, ME)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0083】
細胞接着分子に結合して、当該分子に取り付く白血球の能力を阻害する薬剤には、ポリペプチド薬が含まれる。当該ポリペプチドには、従来の方法体系に従って調製されるポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体が含まれる。当該抗体は、当該技術分野にて周知であり、抗−ICAM1抗体及びその他のかかる抗体が含まれる。
【0084】
本発明には更に、全身性炎症マーカーのレベルを、コレステロールレベル又はLDLC等のコレステロール部分のレベルを含めた脂質レベルと共に測定して、将来の心血管事象を発症するヒト被験体のリスクを特性評価することが含まれる。ヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルが取得されると、前記マーカーのレベルが所定の値と比較され、第一の危険値を設定する。又、ヒト被験体の脂質レベルも取得されると、前期ヒト被験体の脂質レベルが第二の所定の値と比較され、第二の危険値を設定する。次に、心血管事象を発症するヒト被験体のリスクプロファイルを、第一の危険値及び第二の危険値の組み合わせに基づき特性評価され、この場合に第一の危険値及び第二の危険値の組み合わせが、第一及び第二の危険値とは異なる第三の危険値を設定する。いくつかの実施態様では、第三の危険値が第一及び第二危険値のいずれよりも大きい。試験に好ましいヒト被験体、マーカー及び所定の値は、上述した通りである。心血管事象は、上記の任意の心血管事象であり得る。
【0085】
本発明は、ヒト被験体が治療の継続又は治療の変更のいずれから利益が得られるのかを判定する方法を提供する。前記利益とは、一般的に、心血管事象の発生率の低下である。ヒト被験体が治療の継続又は治療の変更のいずれから利益が得られるのかを判定することは、臨床的に有用である。本発明の方法の臨床的有用性の一例には、治療に対する応答の可能性が低い又は高いヒト被験体を同定することが含まれる。本発明の方法は、ヒト被験体が治療の継続から利益が得られる、又は治療の変更から利益が得られることの予測又は決定にも有用である。臨床的有用性の別の例には、正味利益を得る高い可能性を有するヒト被験体の臨床試験を選択する際に、臨床治験責任医師を補助することが含まれる。この時、臨床治験責任医師は本発明を使用して、臨床試験の組み入れ基準を決定することが期待される。
【0086】
治療の継続から利益を得ることになるヒト被験体は、全身性炎症マーカーの治療レベルが所定の値に達しているヒト被験体である。いくつかの実施態様では、CRPが全身性炎症のマーカーとなっている。CRPの所定の値については先に説明されている。治療の変更から利益を得ることになるヒト被験体は、全身性炎症マーカーの治療レベルが所定の値に達しなかったヒト被験体である。
【0087】
本明細書で使用されるように、「治療の変更」とは、既存の治療薬の用量の増加又は低下、任意の治療法から別の治療法への切り替え、既存の治療法への別の治療法の追加、又はこれらの組み合わせを指す。任意の治療法から別の治療法への切り替えには、高いリスクプロファイルを有するが、期待される利益の可能性が高まる治療法への切り替えが含まれることがある。いくつかの実施態様では、CRPレベルを低下させる治療法が好ましい治療法となっている。既存の治療薬の用量を増大させることによる治療法の変更から利益を得ることになるヒト被験体とは、例えば、治療中であるが、治療薬の最大許容用量又は投与可能最大量を受容してなく、且つ全身性炎症マーカーのレベルが所定の値に達しないヒト被験体である。かかる場合では、全身性炎症マーカーのレベルが所定の値に達するまで既存の治療薬の用量が増大される。場合によっては、既存の治療薬の用量が既存の用量から、治療薬の最大許容用量でも投与可能最大量でもないより高い用量へ増大されることも、用量が治療薬の最大許容用量又は投与可能最大量に増大される場合もある。既存の治療薬の用量を低下させることによる治療法の変更から利益を得ることになるヒト被験体とは、例えば、炎症マーカーの治療レベルがより少ない治療薬の用量で所定の値に達する、又は達し得るヒト被験体である。
【0088】
任意の治療法から別の治療法への切り替えから利益を得ることになるヒト被験体とは、例えば、治療薬の最大許容用量又は投与可能最大量を投与され、且つ全身性炎症マーカーのレベルが所定の値に達しなかったヒト被験体である。別の例は、治療薬の最大許容用量又は投与可能最大量を投与されないが、別の治療からより利益を得られる可能性があると医療従事者により判断されたヒト被験体である。当該判断は、例えば、ヒト被験体において最初の治療に対する望ましくない副作用又は最初の治療に対する応答の不足が発生しているかに基づいている。
【0089】
既存の治療法への別の治療法の追加による治療法の変更から利益が得られるヒト被験体とは、例えば、治療を受けていたが、全身性炎症マーカーのレベルが所定の値に達しなかったヒト被験体である。かかる場合では、既存の治療法に別の治療法が追加される。既存の治療法に追加される前記治療法は、全身性炎症マーカーのレベルを低下させる作用機構が既存の治療法と異なっていてもよい。場合によっては、前述の治療法の変更を組み合わせて使用することも可能である。
【0090】
治療法がスタチンを用いている場合、治療法の変更とは、スタチンの用量の増大、任意のスタチンから別のスタチンへの切り替え、任意のスタチンから非スタチン抗脂血症薬への切り替え、ヒト被験体が受けているスタチンへの別の非スタチン抗脂血症薬の追加、又はこれらの組み合わせを指す。スタチン及び非スタチン抗脂血症薬については先に説明されている。
【0091】
本発明は又、治療の有効性を測定する方法も提供する。前記有効性とは、一般的に、全身性炎症マーカーのレベルを低下させる(例:CRPの低下)治療の有効性である。これは、肯定反応又は好反応と称されることもある。有効性は、治療の結果CRPレベルが低下したか否かを判定するために一種類以上のCRP血液検査によって判定され得る。いくつかの実施態様では、有効性の判定が、CRP及び脂質レベル(例:コレステロール又はLDLC)の両方を低下させる治療法の有効性に基づいて行われる。血中、特に血清サンプル中のCRP及び脂質レベルの測定試験及び測定方法、並びに当該試験結果を解釈する試験及び方法は、今日の診療で広く使用されている。
【0092】
脂質検査(例:コレステロール)は、多くの場合、心疾患のリスクを評価するために実施されている。当該技術分野で周知のように、コレステロールは、細胞膜の構築、胆汁酸の合成、及びステロイドホルモンの合成に使用される重要な通常の体成分である。コレステロールは不水溶性であるため、殆どの血清コレステロールはリポタンパク質(カイロミクロン、VLDLC、LDLC及びHDLC)によって運搬される。血液中の過剰のコレステロールは、心血管事象と相関している。LDLは、その高いレベルが冠動脈心疾患等の心血管事象と最も直接的に相関しているため、「悪玉」コレステロールと称されることもある。一方、HDLは、その高いレベルが冠動脈心疾患等の心血管事象の低いリスクと相関しているため、「善玉」コレステロールと称されることもある。コレステロールという用語は、「総」コレステロール、即ちVLDLC+LDLC+HDLCを意味する。
【0093】
CRP及びコレステロールレベルは患者の断食後に測定されるのが好ましい。通常の場合、コレステロール測定値は、1デシリットル当たりのミリグラム(mg/dL)で報告される。一般的には、総コレステロールが高くなるにつれて、ヒト被験体の心血管事象に罹患するリスクが増大する。200mg/dL未満の総コレステロールの値が、「所望の」レベルであり、一つ以上の心血管事象に罹患するリスクが低いグループにヒト被験体を位置付ける。例えば、240mg/dLを超えるレベルになると、200mg/dL未満のレベルのヒト被験体に比べて、冠動脈心疾患等の心血管事象にヒト被験体が罹患するリスクがほぼ2倍になる可能性がある。
【0094】
LDLCレベルは、心血管事象のリスクの予測因子である。一般的には、LDLCが高くなるにつれて、ヒト被験体が心血管事象に罹患するリスクが増大する。160mg/dLを超えるLDLCレベルになると、160mg/dL未満のレベルの者に比べて、ヒト被験体が一つ以上の心血管事象に罹患するリスクが高くなる。将来の心血管事象に罹患する一つ以上のリスク因子を有するヒト被験体において130mg/dLを超えるLDLCレベルになると、130mg/dL未満のレベルの者に比べて、前記ヒト被験体が一つ以上の心血管事象に罹患するリスクが高くなる可能性がある。以前に心血管事象に罹患し、且つ将来の心血管事象のリスクを低減する治療を受けているヒト被験体においては、100mg/dL未満のLDLCレベルが望ましく、心血管事象に罹患するリスクが低いグループにヒト被験体を位置付ける。70mg/dL未満のLDLCレベルは、当該ヒト被験体が将来の心血管事象に罹患するリスクを低減する上では更に望ましい。
【0095】
本発明は、将来の有害な心血管事象のリスクを低減する治療を受けているヒト被験体の治療過程を決定する方法も提供する。当該治療課程は、全身性炎症マーカーのレベルに基づいて決定される。将来の心血管事象のリスクを低減する治療法については先に説明されている。いくつかの実施態様では、ヒト被験体が既に心筋梗塞等の心血管事象に罹患したか、又は血管形成術を受けている。一次(第一)心血管事象に罹患したヒト被験体は、一次心血管事象を原因として、二次(第二)心血管事象に罹患するリスクが高い。いくつかの実施態様では、ヒト被験体が心血管事象に罹患する一つ以上のリスク因子を有しているため、前記ヒト被験体が心血管事象に罹患するリスクが高くなっている。心血管事象に罹患するリスク因子の例については先に説明されている。いくつかの実施態様では、心血管事象に罹患するリスクが高いヒト被験体が明らかに健康なヒト被験体であることがある。明らかに健康なヒト被験体については先に説明されている。
【0096】
これらの方法は、患者の治療だけでなく、新しい治療法の臨床開発にも重要な影響がある。この時、臨床治験責任医師は本方法を使用して、臨床試験におけるヒト被験体の組み入れ基準を決定することが期待される。医療従事者は、ヒト被験体に対して予想される正味利益に基づき、処置の治療計画を選択する。前記正味利益は、リスクと利益の比率から誘導される。本発明は、ヒト被験体が治療の継続から利益が得られるのか、又は治療の変更から利益が得られるのか否かの判断を可能にし、それによって開業医による治療法の選択を補助する。
【0097】
治療薬が投与される際、前記治療薬は将来の有害な心血管事象のリスクを低減する上で有効な量で投与される。前記の有効な量とは、医学的に所望される結果を提供する上で十分な治療薬の用量である。前記の有効な量は、治療中の特定の状態、治療中の被験体の年齢及び身体的状態、症状の重篤性、治療の継続時間、併行治療(存在する場合)の性質、特定の投与経路等の因子に伴い、医療従事者の知識及び技能の範囲内で変動する。例えば、有効な量は個人の異常に高い全身性炎症マーカーの程度に依存し得る。本発明の治療薬は心血管事象を予防するために使用され、即ち、心血管事象を発症するリスクを有するヒト被験体において予防的に使用されること了解しなければならない。従って、有効な量とは、心血管事象のリスクを低減できる、心血管事象の発症を遅延又はおそらく完全に予防できる量である。治療薬が、細胞接着分子に結合して、当該分子に取り付く白血球の能力を阻害するものである場合、前記薬剤は、予防的に又は急性の状況下で、例えば心筋梗塞後又は血管形成術後に使用されることがある。治療薬が急性状況下で使用される場合、前記薬剤は、一般的に当該有害事象から導かれる一つ以上の医学的に望ましくない結果を予防するために使用されることが認識されることになる。心筋梗塞の場合、治療薬は、心筋梗塞の結果発生する心血管組織に対する損傷を制限するために使用することができ、再狭窄の場合、治療薬は、閉塞の再発の抑制、予防又は遅延に有効な量で使用することができる。いずれの場合でも、その量は、白血球が、更なる損傷及び/又は損傷に関連した合併症を引き起こす、白血球の浸潤並びに損傷組織内への白血球の遊出を抑制する上で十分な量となる。
【0098】
一般的には、活性化合物又は薬剤の投与量が1日当たり約0.01mg/kg〜1,000mg/kgになると思われる。好ましくは経口で1日1回又は数回投与による、50〜500mg/kgの範囲の投与量が適切であろうと予想される。その他の投与形態、例えば静脈内投与では、投与量がより少なくなる。最初に適用された投与量でヒト被験体の応答が不十分な場合、患者の許容性の範囲内でより多くの投与量(又は異なるより局所的な送達経路による、効果的により多い投与量)が使用されることがある。化合物の適切な全身レベルを達成するには、1日に複数回の投与が想定される。
【0099】
投与の際、本発明の医薬製剤は、薬剤的に許容される量にて及び薬剤的に許容される組成物にて適用される。当該製剤は、塩、緩衝剤、保存剤、適合可能な担体、及び場合によりその他の治療薬を日常的に含有する可能性がある。医薬にて使用する際、塩は薬剤的に許容されるものでなければならないが、薬剤的に許容されない塩は、その薬剤的に許容される塩の調製に都合よく使用され、本発明の範囲から除外されない。かかる薬理学的及び薬剤的に許容される塩には、以下の酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸等)から調製される塩が含まれるが、これらに限定されるものではない。又、薬剤的に許容される塩は、ナトリウム、カリウム又はカルシウム塩等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩として調製することが可能である。
【0100】
治療薬は、場合により、薬剤的に許容される担体と組み合わせされることがある。本明細書で使用される「薬剤的に許容される担体」という用語は、ヒト被験体への投与に適した、一種類以上の適合可能な固体又は液体賦形剤、希釈剤又は封入物質を意味する。「担体」という用語は、投与を促進するために活性成分が組み合わされる、天然又は合成の有機又は無機成分を意味する。医薬組成物の成分は又、所望の薬剤効果を実質的に損なう相互作用を全く有さずに、互いに混合することも可能である。
【0101】
前記医薬組成物には、酢酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩及びリン酸塩を含む適切な緩衝剤が含有されることもある。
【0102】
前記医薬組成物には又、場合により、塩化ベンズアルコニム、クロロブタノール、パラベン及びチメロサール等の適切な保存剤が含有されることもある。
【0103】
非経口投与に適した組成物は、被験体の血液と等張であることが好ましい治療薬の無菌水性製剤を含有すると都合がよい。前記水性製剤は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いる公知の方法に従って処方されることがある。前記無菌注射用製剤は又、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液として、無毒で非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液となることもある。使用し得る許容可能なビヒクル及び溶媒には、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液がある。更に、無菌の不揮発性油が溶媒又は懸濁媒体として都合よく使用される。この目的のため、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含めた任意の無菌不揮発性油が使用されることがある。更にその上、オレイン酸等の脂肪酸が注射剤の製剤時に使用されることがある。経口、皮下、静脈内、筋内投与等に適切な担体製剤については、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PAで説明されている。
【0104】
投与経路は様々なものを使用することができるが、勿論、選択される特定のモードは、選択される特定の治療薬、治療中の病状の重篤性、及び治療効果に必要な投与量に依存することになる。一般的に言うと、本発明の方法は、医学的に許容される任意の投与モード、即ち、臨床的に許容できない有害作用を引き起こすことなく、活性化合物又は薬剤の有効なレベルを生成する任意のモードを用いて実施されることがある。当該投与モードには、経口、直腸内、局所、鼻腔内、皮内又は非経口経路が含まれる。「非経口」という用語には、皮下、静脈内、筋内又は注入が含まれる。静脈内又は筋内経路は、長期間の治療法及び予防には特に適切ではないが、緊急の状況下では好ましいことがある。予防的治療には、患者に対する利便性及び投与計画の点から、経口投与が好ましいであろう。
【0105】
医薬組成物は、単位剤形として都合よく存在することがあり、薬学分野で周知の任意の方法により調製されることがある。全ての方法には、治療薬を、一種類以上の補助成分から構成される担体と関連付ける手順が含まれる。一般的には、治療薬を液体担体、微粉化個体担体又はその両方と均一且つ密接に関連させた後、必要に応じて前記薬剤を成形することによって、組成物が調製される。
【0106】
経口投与に適切な組成物は、カプセル、錠剤、ロゼンジ等の個別の単位として存在することがあり、各々が所定の量の治療薬を含有することがある。その他の組成物には、シロップ、エリキシル、又はエマルジョン等等の水性液体又は非水性液体中の懸濁剤が含まれる。
【0107】
その他の送達系には、時間放出、遅延放出又は持続放出送達系が含まれ得る。当該系は治療薬の反復投与を防止することができ、被験体及び医療従事者に対する利便性が向上する。多くの種類の放出送達系が入手可能であり、又当業者に周知である。当該送達系には、ポリ(ラクチド−グリコリド)、コポリオキサラート(copolyoxalates)、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸及びポリ無水物等のポリマーベース系が含まれる。各薬剤を含有する前記ポリマーのマイクロカプセルについては、例えば、米国特許第5,075,109号で説明されている。送達系には又、非ポリマー系、即ちコレステロール、コレステロールエステル等のステロール、並びにモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリド等の脂肪酸又は中性脂肪を含めた脂質;ヒドロゲル放出系;シラスティック(sylastic)系;ペプチドベース系;ワックスコーティング;従来の結合剤及び賦形剤を使用した圧縮錠剤;一部融合されたインプラント等が含まれる。具体的な例には、(a)米国特許第4,452,775号、米国特許第4,667,014号、米国特許第4,748,034号及び米国特許第5,239,660号に記載されるような、治療薬がマトリックス内に含有される構造の浸食系、並びに(b)米国特許第3,832,253号及び米国特許第3,854,480号に記載されるような、活性成分がポリマーから制御下の速度で浸透する拡散系が含まれるが、これらに限定されるものではない。更に、ポンプをベースとした機械送達系を使用することができ、そのいくつかは移植に適合する。
【0108】
長時間持続放出インプラントの使用は、慢性状態の治療に特に適切であることがある。本明細書で使用される長時間放出とは、インプラントが、治療レベルの活性成分を少なくとも30日間、好ましくは60日間送達するように構成及び配置されていることを意味する。長時間持続放出インプラントは当業者に周知であり、上述の放出系のいくつかが含まれる。
【0109】
いくつかの実施態様では、本発明に基づき選択した所定の値に特異的な、及びかかる所定の値に対して適切な感度を有する新規のキット又はアッセイを、本発明が提供する。従って、好ましいキットは、例えば、異なるカットオフ、特定のカットオフで異なる感度、並びに説明書若しくはアッセイの結果に基づきリスクを特性評価するその他の印刷材料を含むという点で、現在市販されるキットとは異なると思われる。
【0110】
本発明は、以下の実施例を参考に説明するが、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0111】
本試験では、アトロバスタチン80mg又はプラバプラバスタチン40mgで24ヶ月間処置した3,745人の急性冠不全症候群患者間における、達成LDLCレベル、達成CRPレベル、及び再発心筋梗塞又は冠動脈死の間の関係について取り組んだ。
スタチン療法は、血漿コレステロールを低下させることによって心血管事象のリスクを低減し、周知の心血管疾患を有する患者のための実施ガイドラインは、LDLCの標的目標に達することの重要性を強調している(1)。しかし、本発明者等は、炎症バイオマーカーCRPのレベルが高い場合にスタチン療法がより大きな臨床的利益をもたらし(2、3)、スタチンがLDLCに殆ど依存しない方法でCRPレベルを低下させる(3〜6)ことを証明した。これらの所見並びに基本的な実験証拠により、スタチンは強力な脂質低下剤であることに加えて、予後及び治療に重要な抗炎症特性も有する可能性があることを仮定するに至った。その場合、スタチンによる処置後の達成CRPレベルは、達成LDLCレベルと同様の臨床的関連性を有する可能性がある。
【0112】
本発明者等は、強力又は中程度の脂質低下スタチン療法に無作為に割り付けられた急性冠不全症候群患者3,745人を対象として、この問題に先見的に対処した。具体的には、本発明者等は、低いCRPレベルを達成した急性冠不全症候群患者は、達成LDLCレベルの制御後であっても、高いCRPレベルを達成した患者に比べて、再発心筋梗塞又は冠動脈死に関してよりよい結果を得るであろうと先験的に仮定した。本発明者等は又、スタチン療法の選択による効果改善の証拠を探した。
【0113】
(方法)
Pravastatin or Atorvastatin Evaluation and Infection Therapy − Thrombolysis in Myocardial Infarction 22(PROVE IT − TIMI 22)試験から試験集団を抽出し、2000年11月から2004年2月の間に無作為化試験を実施した。当該試験では、2×2要因計画を使用して、中程度の(プラバスタチン40mg/日、経口)スタチン療法に対する強力な(アトロバスタチン80mg/日、経口)スタチン療法の効果と、急性冠不全症候群発症後の再発冠動脈事象の予防におけるプラセボに対するガチフロキサシンの効果を評価した(7)。合計では、試験前10日までに急性冠不全症候群により入院し、書面によるインフォームド・コンセントを得た4,162人の患者が、8ヶ国349施設で登録された。その内の約2/3が急性心筋梗塞に罹患し、残りがリスクの高い不安定狭心症を罹患していた。臨床試験の組み入れ基準及び除外基準の説明は、以前に提示している(8)。
【0114】
PROVE IT−TIMI22プロトコールの一環として、無作為化時に、並びに30日目、4ヶ月目及び試験の終了時(平均24ヶ月)に、血漿サンプルが求められた。この解析のため、本発明者等は、達成LDLC及び達成CRPレベルを、LDLC及びCRPの双方に関するスタチン療法の効果を観察する上で十分な期間であり、且つ各パラメータに対する虚血の残留効果がもはや明白でない期間である30日間の追跡調査時に取得した値として定義した。全コホートの内、30日目に3,745人の参加者(90.0パーセント)が生存し、かつ再発事象がなく、その時点でLDLC及びCRPの両方に関して評価を行った。実験室測定は全て中心施設内で行われ、高感度CRPの有効アッセイが使用された(Denka Seiken)。
【0115】
Spearman相関係数を用いて、達成LDLCと達成CRPの間の関係を評価した。次いで、本発明者等は、多段階プロセスを用いて、試験の30日目後に発生した再発心筋梗塞又は致命的冠動脈事象発現率に対する達成LDLC及び達成CRPレベルの影響について取り組んだ。最初に、本発明者等は、試験集団を、達成LDLC及び達成CRPの増大する四分位内に分割し、年齢調整分析において、並びに性別、喫煙状態(現役/非喫煙者)、糖尿病、肥満度指数(kg/m)及び高血圧症の病歴に関する更なる調整後の両方において、これらのレベルが再発心筋梗塞又は冠動脈死の増大するリスクと関連する証拠を探した。次に、本発明者等は、試験集団を達成LDLCのおよその中央値70mg/dLにて分割し、この値の上方と下方とで再発事象発現率に差があるか否かを検討した。同様に、本発明者等は、試験集団を達成CRPのおよその中央値2.0mg/Lにて分割し、この値の上方と下方とで再発事象発現率に差があるか否かを検討した。そして、達成CRPのLDLC層全体に対する相対的な影響について検討するため、本発明者等は、70mg/dL及び2.0mg/Lの各値の上方又は下方の達成LDLCレベル及び達成CRPレベルに基づき試験コホートを4つのグループに分割した後、当該プロセスを繰り返し行った。グループ全体の傾向に関する試験を行い、両方のレベルが低いグループにスコア0を、両方のレベルが高いグループにスコア2を、及び2つの中間グループにスコア1を割り付けた。次に、前期試験グループをアトロバスタチン又はプラバスタチン割り付けに従って層別化した後、同様の解析を実施した。危険率の概算は、Cox比例ハザードモデルを用いて取得した。主な解析は全て、PROVE IT−TIMI 22プロトコールにて予め明記された(8)。P値は全て両側であり、信頼区間は全て95パーセントレベルで計算し、解析は全てガチフロキサシン割り付けにおいて調整した。
【0116】
(結果)
試験組み入れ時の参加者3,745人の平均年齢は58歳であり、22パーセントが女性であった。49パーセントが高血圧症の病歴を有し、17パーセントが糖尿病で、36パーセントが現役喫煙者であった。
【0117】
30日目にスタチン療法によってLDLC及びCRPの両方が低下したものの、達成LDLC及び達成CRPの間の相関性は低く(r=0.16、P<0.001)、達成CRPの3パーセント未満の分散が達成LDLCによって説明された(図1)。前記の最小相関レベルは、その後再発冠動脈事象に罹患した患者の下位集団においても観察された(r=0.18、P=0.004)。
【0118】
スタチン療法後の達成LDLCレベルと、再発心筋梗塞又は冠動脈死のリスクの間には、直線的な関係がみられた。最低(対象)四分位から最高四分位の達成LDLCを有する者の、完全に調整された相対的リスクは、それぞれ1.0、1.1、1.2及び1.7となった。(最高四分位と最低四分位を比較したP値は0.006)(表1)。しかし、達成CRPと達成LDLCが殆ど完全に独立しているにもかかわらず、スタチン療法後の達成CRPレベルと、再発心筋梗塞又は冠動脈死のリスクの間にも直線的な関係がみられ、最低(対象)四分位から最高四分位の達成CRPを有する者の、完全に調整された相対的リスクは、それぞれ1.0、1.5、1.3及び1.7となった(最高四分位と最低四分位を比較したP値は0.01)。併用薬剤の追加調整を行っても、これらの概算に影響が及ぶことはなかった。
【0119】
【表1−1】

【0120】
【表1−2】

*全モデルは年齢(歳)において調整。更にリスク因子の調整モデルは、性別、喫煙状態(現役/非喫煙者)、糖尿病(有/無)、高血圧症の病歴(有/無)、肥満度指数(kg/m)及びガチフロキサシンに対する無作為割り付けにおいて調整。上記の共変量に加えて、達成LDLCの完全調整モデルも達成CRPにおいて調整すると共に、達成CRPの完全調整モデルも達成LDLCにおいて調整した。
【0121】
再発心筋梗塞又は冠動脈死の年齢調整率については、70mg/dL以上又は未満の達成LDLCレベル、2mg/L以上又は未満の達成CRPレベルに従い、達成LDLC及びCRPを組み合わせた層の形で表2に示す。
【0122】
【表2−1】

【0123】
【表2−2】

LDLCレベル70mg/dL未満を達成した患者は、前記目標を達成しなかった患者に比べて再発心筋梗塞又は冠動脈死の年齢調整率が低かった(2.7/百人・年対4.0/百人・年、P=0.008)(図2、左)。しかし、達成LDLCと達成CRPの相関性が最小であるにもかかわらず、CRPレベル2.0mg/L未満を達成した患者も、前記目標を達成しなかった患者に比べて年齢調整事象発現率がほとんど同じであることが認められた(2.8/百人・年対3.9/百人・年、P=0.006)(図2、右)。
【0124】
表2にも示すように、低いCRPレベルを達成した患者は、達成LDLCの高低レベルの両方において臨床転帰がより良好であった。例えば、70mg/dLを超えるLDLCを達成した患者における再発事象発現率は、達成CRPレベルが2.0mg/L以上又は未満の患者に関して、それぞれ4.6/百人・年及び3.2/百人・年であり、一方、70mg/dL未満のLDLCを達成した患者における再発事象発現率は、達成CRPレベルが2.0mg/L以上又は未満の患者に関して、それぞれ3.1/百人・年及び2.4/百人・年であった。これらの差異を、再発心筋梗塞又は冠動脈死の累積発生率の観点から、図3に図示した。LDLC中央値未満/CRP中央値未満、LDLC中央値以上/CRP中央値未満、LDLC中央値未満/CRP中央値以上、及びLDLC中央値以上/CRP中央値以上のグループの者における再発冠動脈事象の危険率は、それぞれ1.0(対象)、1.3、1.4及び1.9であった(グループ全体の傾向に関するP値は0.001未満)。以前にスタチンを使用した患者を除外した解析においても、ほとんど同じ結果がみられた。
【0125】
試験参加者はアトロバスタチン80mgとプラバスタチン40mgの間で無作為に割り付けられたため、本発明者等は、これらの2種の薬剤がCRP低下に及ぼす相対的な影響を検討する、並びに達成LDLC及び達成CRPレベルに従って全コホートに観察される主な効果がスタチン療法の選択により変更されるか否かを検討する更なる機会を得た。
【0126】
CRPに関しては、アトロバスタチン80mg処置群及びプラバスタチン40mg処置群における無作為化時の中央値レベルが同様であったが(12.2mg/L対11.9mg/L、P=0.6)、30日目(1.6mg/L対2.3mg/L)、4ヶ月目(1.3mg/L対2.1g/L)及び試験終了時(1.3mg/L対2.1mg/L)には、アトロバスタチン処置群の方がプラバスタチン処置群よりも有意に低かった(全P値<0.001)(図4)。このような差異がみられるにもかかわらず、アトロバスタチン処置患者とプラバスタチン処置患者の間では、達成CRPレベルにおいてかなりの一致が認められ、即ち、30日目にアトロバスタチン処置患者の57.5パーセントがCRPレベル2.0未満を達成した一方で、プラバスタチン処置患者においては同程度の44.9パーセントが達成した(P<0.001)。LDLCに関しては、アトロバスタチン処置群及びプラバスタチン処置群における無作為化時のレベルは同じであったが、30日目、4ヶ月目及び試験終了時には、アトロバスタチン処置群の方が有意に低かった。即ち、30日目には、プラバスタチンに割り付けられた患者の21.7%がLDLCの目標値である70mg/dL未満を達成したのに対して、アトロバスタチンに割り付けられた患者は72.3パーセントが前記目標値を達成した(P<0.001)。達成LDLCと達成CRPの間の相関性の大きさは、いずれの薬剤も小さかった(プラバスタチンの場合r=0.04、P=0.07;アトロバスタチンの場合r=0.15、P=0.001)。
【0127】
LDLC及びCRPを70mg/dL未満及び2.0mg/L未満のレベルに低下させる能力は、プラバスタチン40mgよりもアトロバスタチン80mgの方が高いにもかかわらず、LDLC及びCRPの両目標レベルが達成された後に、任意の特定薬剤が臨床転帰を向上させる証拠は殆どみられなかった。具体的には、PROVE IT−TIMI 22試験では、アトロバスタチンの方がプラバスタチンよりも総じて優れていたものの(7)、達成LDLC及び達成CRPの説明となると、無作為な薬剤の割り付けが臨床転帰に及ぼす残留効果は認められなかった(アトロバスタチン対プラバスタチンの完全調整危険率=1.00、95%CI 0.75対1.34、P=0.9)。同様に、アトロバスタチンで70mg/dL未満のLDLCレベルを達成した患者の再発事象発現率は、2.0mg/L以上及び未満のCRPレベルを達成した患者において、それぞれ3.1/百人・年及び2.3/百人・年であった一方、プラバスタチンに割り付けられた患者の対応する事象発現率は、それぞれ3.4/百人・年及び2.5/百人・年であった(薬剤間の差異に関するP値=0.7)。従って、LDLC及びCRPの両目標レベルを達成することは、アトロバスタチン又はプラバスタチンのいずれかへの特定の割り付けと比べると、事象を発症しない生存という点においてはるかに重要性が高かった。
【0128】
本発明者等は、事後に更なる解析を行い、LDLCの目標値である70mg/dL未満のみならず、より一層低いCRPの目標値である1.0mg/L未満を達成した患者の評価を行った。この極めて高い目標値を達成した患者は試験集団の16パーセントのみであったものの、この下位集団は、任意の解析において年齢調整再発事象発現率が極めて低かった(1.9/百人・年)(表2、下部)。この事後の下位集団の82パーセントは、アトロバスタチンに割り付けられていた。
【0129】
上記の通り、全ての解析は、この集団のCRPレベルに有意な効果を持たなかった薬剤である、ガチフロキサシン割り付けにおいて調整された。
【0130】
(考察)
これらのデータは、スタチン療法で処置された急性冠不全症候群患者の間において、2.0mg/L未満の目標CRPレベルの達成が、事象を発症しない生存の有意な向上と関連性があり、この効果は、達成LDLCの全レベルでみられることを示している。これらのデータは又、個々の患者のLDLC低下とCRP低下の間の関係は、用いる脂質低下療法の強度にかかわらず極めて変動が大きいことも示しており、この所見は、急性虚血を伴わない個人を対象とした以前の試験とも一致している(3〜6)。本発明者等のデータでは、達成CRPにおける3パーセント未満の変動が、達成LDLCの変動により説明されている。従って、これらのデータでは、スタチン療法により心血管リスクを積極的に低減する戦略において、コレステロールレベルと共に炎症レベルを監視することが必要になり得ることが示唆されている。
【0131】
これらのデータは、いくつかの理由から臨床的関連性を有している。第一に、PROVE IT−TIMI 22試験では、急性冠不全症候群の発症後に70mg/dL未満のLDLCレベルを達成することの重要性が示されているが、目下の解析では、後の事象を発症しない生存が2.0mg/L未満のCRPレベルの達成とも関連していることが示されている。この概念は、CRPの変化の大きさとLDLCの変化の大きさがいずれも、スタチン療法後のプラーク進展の独立した予測因子であることが見出された、血管内超音波による所見によって裏付けられている(9)。従って、達成CRPレベルの臨床的関連性に関する本発明者等の所見は、最近提唱された極めてリスクの高い患者において70mg/dL未満のLDLレベルを達成することの重要性を確認する一方で(10)、スタチン療法の適切な使用に対処する将来のガイドラインにおいても重要となる可能性がある。
【0132】
第二に、これらのデータは、一般的に炎症をそしておそらくは特にCRPを低下させることが、アテローム血栓のプロセスを変更する上で役割を果たし得るという証拠となることから、病態生理学的な重要性を持っている。今日までに一貫して行われた一連の流行病研究では、CRPレベルが、LDLCの全レベルにおいて、並びにFramingham Riskの全範囲にわたって(11〜16)、第一の冠動脈事象のリスクを独立して予測し、又CRPレベルが急性冠不全症候群における予後の有用性を有することが示されている(17〜20)。しかし、スタチン療法はLDLCと殆ど関係なくCRPレベルを低下させることが証明されているものの(2〜6、21、22)、CRPレベルの大幅な低下と血管事象発現率の低下とを結び付ける証拠はこれまでのところ存在していない。目下の解析では、スタチン療法がより強力なほど、より有意に低いLDLC及びCRPレベルが達成されることが見出されており、更に、LDLCレベルを70mg/L未満に低下させた、及び低減させなかった患者の内で2.0mg/L未満のCRPレベルを達成した患者が追加の利益を得るという証拠もみられた。この点において、これらのデータは、プラーク不安定化の決定因子としての炎症の重要性を示す実験室研究(23)だけでなく、スタチンが脂質の低下及び抗炎症効果をもたらすことを示す実験データ(24)とも一致している。本発明者等のデータは又、血管リスク低減の有望な新規の方法としてCRPを低下させることができる薬剤を見つけ出す現在の取組みの裏付けにもなっている。
【0133】
第三に、脂質及びCRPの両方を低下させることの重要性を示す本発明者等のデータは、より積極的なスタチン療法が血管リスクの低減を増大させるという機序に見通しをもたらしている。目下のデータでは、アトロバスタチン80mgに割り付けられた患者の方がプラバスタチン40mgに割り付けられた患者よりもLDLC及びCRPの双方で低いレベルを達成する可能性が有意に高くなっており、このデータは他の試験とも一致している(25)。にもかかわらず、本発明者等は、目標レベルを達成した薬剤の転帰の差異を示す証拠を殆ど見出しておらず、このことは、転帰を判断するに当たって、薬剤の種類よりも達成LDLC及び達成CRPレベルの方が重要であることを示唆している。達成LDLC及び達成CRPを調整した後には処置群と転帰の関連性がみられなかったという所見は、これらの目標値を達成する必要がある場合により積極的な治療を行うことでリスクが低減されるという仮説の強力な裏付けとなっている。この課題を完全に評価するには、同じスタチンの2種類の用量を試験する臨床試験が必要となる。
【0134】
PROVE IT−TIMI 22試験の参加者は、最近心筋梗塞に罹患しているか、又は不安定狭心症の高いリスクを有していたため、長期間のスタチン療法に対する明らかな適応を有していた。そのため、本発明者等の所見の解釈は二次予防の範囲を超えて一般化するべきではないと、本発明者等は考える。一次予防においては、CRPレベルは高いものの、脂質レベルが低い明らかに健康な個人であればスタチン療法から利益が得られることが、AFCAPS/TexCAPS試験の事後解析により示唆されている(3)。しかし、CRPレベルは高いものの、高脂血症を有さない個人には一次予防でスタチン療法を使用する必要があるか否かについては、大いに議論の余地があり、現在継続中の多国間試験の主題となっている(26、27)。
要約すると、これらの二次予防データは、スタチン療法後にLDLC及びCRPのいずれも高い目標レベルを達成した患者において、心血管事象を発症しない生存の可能性が向上したことを示している。又、これらのデータは、急性冠動脈虚血発症後の炎症を低下させる治療法が患者の転帰の改善をもたらすという仮説を裏付ける強力な証拠となっている。
【0135】
【数1】

【0136】
【数2】

【0137】
【数3】

【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】スタチン療法の30日後における達成低密度リポタンパク質コレステロール(LDLC)(mg/dL)と達成CRPレベル(mg/L)の関係を示すグラフ。全体を通して、達成CRPにおける3パーセント未満の変動は、達成LDLCにおける変動により説明された(r=0.016、P=0.001)。
【図2】試験中央値70mg/dL(左)の上方又は下方の達成LDLCレベル、及び試験中央値2mg/L(右)の上方又は下方の達成CRPレベルに従った、再発心筋梗塞又は冠動脈死の累積発生率のグラフ。
【図3】達成LDLCレベル及び達成CRPレベルに従った、再発心筋梗塞又は冠動脈死の累積発生率のグラフ。
【図4】アトロバスタチン80mg又はプラバスタチン40mgの割り付けに従った、無作為化時、30日目、4ヶ月目及び試験終了時のCRPレベル中央値のグラフ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト被験体を診断する方法であって、該方法は、以下:
(i)将来の心血管事象のリスクを低減するために、スタチンを用いた治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを取得する工程であって、ここで該マーカーは、C反応性タンパク質(CRP)、可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)、ICAM3、BL−CAM、LFA−2、VCAM−1、NCAM、PECAM、フィブリノーゲン、血清アミロイドA(SAA)、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(LpPlA2)、sCD40リガンド、ミエロペルオキシダーゼ、インターロイキン−6(IL−6)及びインターロイキン−8(IL−8)からなる群より選択される、工程、
(ii)該ヒト被験体における低密度リポタンパク質コレステロール(LDLC)のレベルを取得する工程、
(iii)(i)で取得した該マーカーのレベルを、明らかに健康な対照集団における該マーカーのレベルに対応する所定の値と比較する工程、ならびに
(iv)(i)で取得した該マーカーのレベルが所定のレベルを超えるか否かを判定し、該判定は、(ii)で取得したLDLCレベルが70mg/dL未満、又は100mg/dLを超える場合に、該被験体がスタチンを用いた治療の継続から利益が得られるのか、或いはスタチンを用いた治療の変更から利益が得られるのかを示す指標となる、工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記ヒト被験体の前記マーカー及びLDLCのレベルを経時的に監視するために、工程(i)および工程(ii)が繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ヒト被験体が少なくとも1ヶ月間前記治療を受けている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ヒト被験体が少なくとも2ヶ月間前記治療を受けている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ヒト被験体が少なくとも1ヶ月間前記治療を受けている、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ヒト被験体が少なくとも2ヶ月間前記治療を受けている、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記全身性炎症マーカーがCRPである、請求項1〜6に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の値が約2mg/L又はそれ未満である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の値が約1.75mg/L又はそれ未満である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の値が約1mg/L又はそれ未満である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
将来の心血管事象のリスクを低減する治療の有効性を評価する方法であって、該方法は、以下:
(i)将来の心血管事象のリスクを低減するために、スタチンを用いた治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを取得する工程であって、ここで該マーカーは、C反応性タンパク質(CRP)、可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)、ICAM3、BL−CAM、LFA−2、VCAM−1、NCAM、PECAM、フィブリノーゲン、血清アミロイドA(SAA)、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(LpPlA2)、sCD40リガンド、ミエロペルオキシダーゼ、インターロイキン−6(IL−6)及びインターロイキン−8(IL−8)からなる群より選択される、工程、
(ii)該ヒト被験体のLDLCレベルを取得する工程、
(iii)(i)で取得した該マーカーのレベルを、明らかに健康な対照集団のマーカーのレベルに対応する所定の値と比較する工程、ならびに
(iv)(i)で取得した該マーカーのレベルが所定のレベルを超えるか否かを判定し、該判定は、(ii)で取得したLDLCレベルが70mg/dL未満、又は100mg/dLを超える場合に、治療が有効であるか否かを示す指標となる、工程、
を包含する、方法。
【請求項12】
前記ヒト被験体の前記全身性炎症マーカー及びLDLCのレベルを経時的に監視するために、工程(i)及び工程(ii)が繰り返される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ヒト被験体が少なくとも1ヶ月間前記治療を受けている、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ヒト被験体が少なくとも2ヶ月間前記治療を受けている、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ヒト被験体が少なくとも1ヶ月間前記治療を受けている、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ヒト被験体が少なくとも2ヶ月間前記治療を受けている、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記全身性炎症マーカーがCRPである、請求項11〜16に記載の方法。
【請求項18】
前記所定の値が約2mg/L又はそれ未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記所定の値が約1.75mg/L又はそれ未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記所定の値が約1mg/L又はそれ未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
ヒト被験体を診断する方法であって、該方法は、以下:
(i)将来の心血管事象のリスクを低減するために、スタチン以外の治療薬を用いた治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを取得する工程であって、ここで該マーカーは、C反応性タンパク質(CRP)、可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)、ICAM3、BL−CAM、LFA−2、VCAM−1、NCAM、PECAM、フィブリノーゲン、血清アミロイドA(SAA)、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(LpPlA2)、sCD40リガンド、ミエロペルオキシダーゼ、インターロイキン−6(IL−6)及びインターロイキン−8(IL−8)からなる群より選択される、工程、
(ii)(i)で取得した該マーカーのレベルを、明らかに健康な対照集団のマーカーのレベルに対応する所定の値と比較する工程、
(iii)(i)で取得した該マーカーのレベルが所定のレベルを超えるか否かを判定し、該判定は、患者が該薬剤を用いた治療の継続から利益が得られるのか、或いは該薬剤を用いた治療の変更から利益が得られるのかを示す指標となる、工程、
を包含する、方法。
【請求項22】
前記ヒト被験体の前記マーカーのレベルを経時的に監視するために、工程(i)が繰り返される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ヒト被験体が少なくとも1ヶ月間前記治療を受けている、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ヒト被験体が少なくとも2ヶ月間前記治療を受けている、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記患者が少なくとも1ヶ月間前記治療を受けている、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記患者が少なくとも2ヶ月間前記治療を受けている、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記全身性炎症マーカーがCRPである、請求項21〜26に記載の方法。
【請求項28】
前記所定の値が約2mg/L又はそれ未満である、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記所定の値が約1.75mg/L又はそれ未満である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記所定の値が約1mg/L又はそれ未満である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
個体における脂質のレベルを測定する工程をさらに包含し、該脂質レベルは、前記患者が前記薬剤を用いた治療の継続から利益が得られるのか、或いは該薬剤を用いた治療の変更から利益が得られるかを示す更なる指標となる、請求項21〜26に記載の方法。
【請求項32】
将来の心血管事象のリスクを低減するための、スタチン以外の治療薬を用いた治療の有効性を評価する方法であって、
(i)将来の有害な心血管事象のリスクを低減するために該治療を受けているヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを取得する工程であって、ここで該マーカーは、C反応性タンパク質(CRP)、可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)、ICAM3、BL−CAM、LFA−2、VCAM−1、NCAM、PECAM、フィブリノーゲン、血清アミロイドA(SAA)、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(LpPlA2)、sCD40リガンド、ミエロペルオキシダーゼ、インターロイキン−6(IL−6)及びインターロイキン−8(IL−8)からなる群より選択される、工程、
(ii)(i)で取得した該マーカーのレベルを、明らかに健康な対照集団のマーカーのレベルに対応する所定の値と比較する工程、
(iii)(i)で取得した該マーカーのレベルが所定のレベルを超えるか否かを判定し、該判定は、該治療が有効であるか否かを示す指標となる、工程、
を包含する、方法。
【請求項33】
前記ヒト被験体の前記マーカーのレベルを経時的に監視するために、工程(i)が繰り返される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ヒト被験体が少なくとも1ヶ月間前記治療を受けている、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記ヒト被験体が少なくとも2月間前記治療を受けている、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記ヒト被験体が少なくとも1ヶ月間前記治療を受けている、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記ヒト被験体が少なくとも2月間前記治療を受けている、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記全身性炎症マーカーがCRPである、請求項32〜37に記載の方法。
【請求項39】
前記所定の値が約2mg/L又はそれ未満である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記所定の値が約1.75mg/L又はそれ未満である、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記所定の値が約1mg/L又はそれ未満である、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
ヒト被験体の脂質レベルを測定する工程をさらに包含し、該脂質レベルは、前記治療が有効であるか否かを示す更なる指標となる、請求項32〜37に記載の方法。
【請求項43】
ヒト被験体の治療過程を決定する方法であって、
(i)将来の有害な心血管事象のリスクを低減するために治療を受けているヒト被験体において全身性炎症マーカーのレベルを取得する工程であって、ここで該全身性炎症マーカーは、C反応性タンパク質(CRP)、可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)、ICAM3、BL−CAM、LFA−2、VCAM−1、NCAM、PECAM、フィブリノーゲン、血清アミロイドA(SAA)、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(LpPlA2)、sCD40リガンド、ミエロペルオキシダーゼ、インターロイキン−6(IL−6)及びインターロイキン−8(IL−8)からなる群より選択される、工程、
(ii)(i)で取得した該マーカーのレベルを、明らかに健康な対照集団のマーカーのレベルに対応する所定の値と比較する工程、
(iii)(i)で取得した該マーカーのレベルが所定のレベルを超えるか否かを判定する工程、ならびに
(iv)該判定に基づき治療過程を決定する工程、
を包含する、方法。
【請求項44】
前記ヒト被験体の前記マーカーのレベルを経時的に監視するために、工程(i)が繰り返される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記ヒト被験体が少なくとも1ヶ月間前記治療を受けている、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記ヒト被験体が少なくとも2ヶ月間前記治療を受けている、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記ヒト被験体が少なくとも1ヶ月間前記治療を受けている、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記ヒト被験体が少なくとも2ヶ月間前記治療を受けている、請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記全身性炎症マーカーがCRPである、請求項43〜48に記載の方法。
【請求項50】
前記所定の値が約2mg/L又はそれ未満である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記所定の値が約1.75mg/L又はそれ未満である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記所定の値が約1mg/L又はそれ未満である、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
ヒト被験体の脂質レベルをさらに測定する工程を包含し、前記決定がヒト被験体で測定された脂質レベルにも基づいて行われる、請求項43〜48に記載の方法。
【請求項54】
全身性炎症マーカーのレベルが高いヒト被験体の治療方法であって、
(i)心血管事象のリスクを低減するための第一の治療法で該ヒト被験体を治療する工程、
(ii)該ヒト被験体の全身性炎症マーカーのレベルを取得する工程、
(iii)(ii)で取得した該マーカーのレベルを、明らかに健康な対照集団のマーカーのレベルに対応する所定の値と比較する工程、そして、該所定のマーカーのレベルに達しない場合に、
(iv)心血管事象のリスクを低減するための第二の治療法で該ヒト被験体を治療する工程であって、該マーカーの該所定のレベルに達するまで、(ii)及び(iii)を繰り返す、工程、
を包含する、方法。
【請求項55】
前記全身性炎症マーカーが、C反応性タンパク質(CRP)、可溶性細胞間接着分子(sICAM−1)、ICAM3、BL−CAM、LFA−2、VCAM−1、NCAM、PECAM、フィブリノーゲン、血清アミロイドA(SAA)、リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2(LpPlA2)、sCD40リガンド、ミエロペルオキシダーゼ、インターロイキン−6(IL−6)及びインターロイキン−8(IL−8)からなる群より選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記全身性炎症マーカーがCRPである、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記所定の値が約2mg/L又はそれ未満である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記所定の値が約1.75mg/L又はそれ未満である、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記所定の値が約1mg/L又はそれ未満である、請求項56に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−516243(P2008−516243A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535877(P2007−535877)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/036347
【国際公開番号】WO2006/042192
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(504412945)ザ ブライハム アンド ウイメンズ ホスピタル, インコーポレイテッド (54)
【Fターム(参考)】