説明

治療用化合物

本発明は、式Iの化合物:


[式中、A、B、R、F、G、n、n’および点線は、本明細書で定義されている任意の値を有する]およびその塩を提供する。該化合物は、抗増殖剤としての活性を有する。さらに、本発明は、癌を治療するための治療法であって、そのような療法を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト男性または女性)に、有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む治療法を提供する。本発明はまた、癌の予防的または治療的処置において使用するための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の優先権
本願は、2007年8月2日に出願された米国仮特許出願第60/953,660号の優先権を主張し、この米国仮特許出願は本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アントラキノン、アクリジン、カチオン性ポルフィリン、ペリレン、チジウム(thidium)誘導体、フルオレノン、五環系アクリジニウム塩、フルオロキノフェノキサジンおよびその他特定の種々雑多な多環式化合物を含む多様な一連の化合物は、G−四重鎖DNAを安定化することが報告されている。これらの化合物のほとんどは、G−四重鎖対二重鎖DNAに対する選択性を殆どまたは全く有さない。
【0003】
テロメスタチンは、Streptomyces anulatus 3533−SV4から単離される天然産物である(非特許文献1)。テロメスタチンは、その発見時、テロメラーゼの最も強力な阻害剤と見なされた。インビトロにおいて、テロメスタチンはG−四重鎖対二重鎖DNAを70:1の比率で安定化する(非特許文献2)。この天然産物で処理した細胞は細胞老化表現型を呈するため、テロメスタチンはインビボにおいてもテロメラーゼ機能を阻害することが示唆されている。テロメア機能不全と同様に、テロメスタチンはATMシグナル伝達経路を活性化する。テロメスタチンをG−四重鎖と相互作用させる正確な機序は決定的に解明されてはいないが、テロメスタチンは、K62白血病細胞の平板効率を確かに抑制し、しかし、天然の骨髄CD34陽性細胞からの前期赤芽球形前駆細胞(BFU−E)および後期赤芽球形前駆細胞(CFU−GM)に与える影響ははるかに少ない(非特許文献3)。
【0004】
【化1】

テロメスタチンの抗癌可能性は、そのテロメラーゼ阻害活性(IC50 5nM)およびアポトーシスを増強するその能力にある。テロメスタチンは、ヒト神経芽腫細胞株SK−N−AS、LAN5、WAC2およびLAN1において、IC50値がそれぞれ0.8、2.5、3.2および4.0μMの細胞毒性(非特許文献4)を有すると判断され、そしてヒト膵癌MiaPaCaにおいて、IC50値が0.5μMの細胞毒性(非特許文献5)を有すると判断されている。
【0005】
Streptomyces nobilisから単離された別の大環状ポリオキサゾールであるYM−216391は、ヒト乳癌細胞株HBC−4、BSY−1、HBC−5、MCF−7およびMDA−MB−231に対して15〜33nMの範囲のGI50値で活性を有する(非特許文献6、および非特許文献7)。
【0006】
【化2】

YM−216391の作用機序は、未だ解明されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Shinyaら、J. Am. Chem. Soc.、2001年、123巻、1262〜1263頁
【非特許文献2】Kimら、Cancer Res.、2003年、63巻、3247〜3256頁
【非特許文献3】Tauchiら、Oncogene、2003年、22巻、5338〜5347頁
【非特許文献4】Binzら、Eur. J. Cancer、2005年、41巻、2873〜2881頁
【非特許文献5】Liuら、Nucleosides, Nucleotides, and Nucleic Acids、2005年、24巻、1801〜1815頁
【非特許文献6】Sohda, K−y.ら、J. Antibiotics、2005年、58巻、27〜31頁
【非特許文献7】Sohda, K−y.ら、Hiramoto, M.、Suzumura, K−i.、Takebayashi, Y.、Suzuki, K−i.、Tanaka, A.、J. Antibiotics、2005年、58巻、32〜36頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在、癌等の疾患を治療するために有用な新規治療剤および治療法が必要である。そのような作用物質は、G−四重鎖DNAに対して改善された結合親和性を有し得、かつ/または有利な薬物様特性を有し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、抗癌特性を有する化合物を提供する。したがって、式(I)の化合物:
【0010】
【化3】

[式中、
AおよびBのうちの一方は−CH(R)CH(R)C(R)(R)−であり、
AおよびBのうちの他方は、
【0011】
【化4】

−CH(R)NHC(=O)−または−CH(Rb’)CH(Rc’)C(Rd’)(Re’)−であり、
FおよびGのうちの一方はXであり、他方はC(R)であり、
各Xは、独立に、NH、SまたはOであり、
FおよびGを含有する環中の点線は、該環中に2個の二重結合が存在することを示し、その位置は、FおよびGについて選択される値によって決まり、
nおよびn’は、それぞれ独立に、1、2、3、4および5を表し、但し、nとn’の和は6であり、
は、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルコキシまたは(C〜C)アルカノイルオキシを表し、ここで、各(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルコキシおよび(C〜C)アルカノイルオキシは、OH、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、NRまたは−C(=O)NRで場合によって置換されており、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、ハロ、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、NRおよびNR(C〜C)アルキル−から独立に選択される1または2個の置換基で場合によって置換されており、
およびRは、それぞれ水素を表すか、あるいはRおよびRは、一緒になって結合または−O−を表し、
およびRは、一緒になって(=O)を表すか、あるいはRは水素を表し、Rは、水素、ヒドロキシ、(C〜C)アルカノイルオキシ、NR、CHC(=O)ORまたはCHC(=O)NRを表し、ここで、各(C〜C)アルカノイルオキシは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
b’およびRc’は、それぞれ水素を表すか、あるいはRb’およびRc’は、一緒になって結合または−O−を表し、
d’およびRe’は、一緒になって(=O)を表すか、あるいはRd’は水素を表し、Re’は、水素、ヒドロキシ、(C〜C)アルカノイルオキシ、NR、CHC(=O)ORまたはCHC(=O)NRを表し、ここで、各(C〜C)アルカノイルオキシは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれは、独立に、水素、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルカノイルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
、RおよびRのそれぞれは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、各(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルコキシは、OH、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルチオ、アリール、NRまたは−C(=O)NRで場合によって置換されており、ここで、各アリールまたはヘテロアリールは、ハロゲン原子および(C〜C)アルキルから独立に選択される1または2個の置換基で場合によって置換されており、ここで、(C〜C)アルキルはNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
は水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれは、独立に、水素、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルカノイルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成する]
またはその塩
である、本発明の化合物が提供される。
【0012】
本発明は、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を薬学的に許容される希釈剤または担体と組み合わせて含む医薬組成物も提供する。
【0013】
さらに、本発明は、癌を治療するための治療法であって、そのような療法を必要とする哺乳動物(例えば、ヒト男性または女性)に、有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む治療法を提供する。
【0014】
本発明は、医学的療法において使用するための(例えば、癌を治療する際に使用するための)式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、ならびにヒト等の哺乳動物における癌の治療に有用な薬剤の製造のための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用も提供する。
【0015】
本発明は、癌の予防的または治療的処置において使用するための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩も提供する。
【0016】
本発明は、式(I)の化合物またはその塩を調製するために有用な、本明細書で開示されている方法および中間体も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
別段の記載がない限り、下記の定義が使用される。ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードである。アルキル、アルコキシ等は直鎖および分岐鎖両方の基を指すが、プロピル等の個々の基への言及は、直鎖基、具体的に言及されているイソプロピル等の分岐鎖異性体のみを包含する。アリールは、フェニル基、または少なくとも1個の環が芳香族である約9〜10個の環原子を有するオルト縮合二環式炭素環基を指す。ヘテロアリールは、酸素、硫黄および窒素から選択される1〜4個の環ヘテロ原子を含み、残りは炭素である5または6環員を含有する、芳香族複素環を指し、この環は、ベンゼン環または別の5もしくは6員のヘテロ芳香環と場合によってオルト縮合している。
【0018】
キラル中心を有する本発明の化合物は、光学活性形態およびラセミ形態で存在し得、単離され得ることが当業者には理解されよう。いくつかの化合物は、多型を示し得る。本発明は、本明細書に記載されている有用な特性を有する本発明の化合物の、任意のラセミ形態、光学活性形態、多型形態もしくは立体異性形態またはそれらの混合物を網羅することを理解すべきであり、光学活性形態をどのように調製するかは当技術分野において既知である(例えば、再結晶化技術によるラセミ形態の分割によって、光学活性出発材料からの合成によって、キラル合成によって、またはキラル固定相を使用するクロマトグラフ分離によって)。
【0019】
別段の指示がない限り、二価の基AおよびBは、式(I)の化合物および本明細書で開示されている他の環系中に、それらの2つの考えられる配向(順方向または逆方向)のいずれかを有し得る。例えば、Aが−CH(R)NHC(=O)−を表す場合、この基は配向−CH(R)NHC(=O)−または−(O=C)NHCH(R)−を有し得る。
【0020】
およびRが一緒になって結合を表す場合、得られるCH(R)とCH(R)との間の結合は、二重結合である。
【0021】
b’およびRc’が一緒になって結合を表す場合、得られるCH(Rb’)とCH(Rc’)との間の結合は、二重結合である。
【0022】
基、置換基および範囲のための以下に列挙される特定の値は、説明についての値に過ぎず、他の規定値または基および置換基のための規定範囲内の他の値を除外するものではない。
【0023】
具体的には、(C〜C)アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、3−ペンチルまたはヘキシルであってよく、(C〜C)アルケニルは、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニルまたは5−ヘキセニルであってよく、(C〜C)アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、ペントキシ、3−ペントキシまたはヘキシルオキシであってよく、(C〜C)アルカノイルは、アセチル、プロパノイルまたはブタノイルであってよく、アリールは、フェニル、インデニルまたはナフチルであってよい。ヘテロアリールはピリジルであってよい。
【0024】
一実施形態において、式(I)の化合物は、
【0025】
【化5】

[式中、
AおよびBのうちの一方は−CH(R)CH(R)C(R)(R)−であり、
AおよびBのうちの他方は、
【0026】
【化6】

−CH(R)NHC(=O)−または−CH(Rb’)CH(Rc’)C(Rd’)(Re’)−であり、
FおよびGのうちの一方はXであり、他方はC(R)であり、
各Xは、独立に、NH、SまたはOであり、
FおよびGを含有する環中の点線は、該環中に2個の二重結合が存在することを示し、その位置は、FおよびGについて選択される値によって決まり、
nおよびn’は、それぞれ独立に、1、2、3、4および5を表し、但し、nとn’の和は6であり、
は、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシまたは(C〜C)アルカノイルオキシを表し、ここで、各(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシおよび(C〜C)アルカノイルオキシは、OH、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、NRまたは−C(=O)NRで場合によって置換されており、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、ハロ、(C〜C)アルキル、NRおよびNR(C〜C)アルキル−から独立に選択される1または2個の置換基で場合によって置換されており、
およびRは、それぞれ水素を表すか、あるいはRおよびRは、一緒になって結合または−O−を表し、
およびRは、一緒になって(=O)を表すか、あるいはRは水素を表し、Rは、水素、ヒドロキシ、(C〜C)アルカノイルオキシ、NR、CHC(=O)ORまたはCHC(=O)NRを表し、ここで、各(C〜C)アルカノイルオキシは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
b’およびRc’は、それぞれ水素を表すか、あるいはRb’およびRc’は、一緒になって結合または−O−を表し、
d’およびRe’は、一緒になって(=O)を表すか、あるいはRd’は水素を表し、Re’は、水素、ヒドロキシ、(C〜C)アルカノイルオキシ、NR、CHC(=O)ORまたはCHC(=O)NRを表し、ここで、各(C〜C)アルカノイルオキシは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
、RおよびRのそれぞれは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、各(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルコキシは、OH、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルチオ、アリール、NRまたは−C(=O)NRで場合によって置換されており、ここで、各アリールまたはヘテロアリールは、ハロゲン原子および(C〜C)アルキルから独立に選択される1または2個の置換基で場合によって置換されており、ここで、(C〜C)アルキルはNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
は水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれは、独立に、水素、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルカノイルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成する]
またはその塩
を含む。
【0027】
一実施形態において、式(I)の化合物は、構造(I’):
【0028】
【化7】

を有する。
【0029】
別の実施形態において、それらは、構造(I’’):
【0030】
【化8】

を有する。
【0031】
式(I)の化合物中の各Xについての特定の値の例は、Oである。
【0032】
Aについての値の例は、それが
【0033】
【化9】

を表す場合、
【0034】
【化10】

である。
【0035】
についての値の例は、水素である。
【0036】
Aについての値の例は、それが−CH(R)NHC(=O)−を表す場合、−CHNHC(=O)−、−CH(CH)NHC(=O)−、−CH(CH(CH)NHC(=O)−、−CH(CH(CH)(CHCH))NHC(=O)−、−CH(CHCH(CH)NHC(=O)−および−CH(CHPh)NHC(=O)−である。
【0037】
についての特定の値の例は、水素、メチル、イソプロピル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−ヨードベンジル、4−アミノベンジルおよび4−(2−N,N−ジメチルアミノエチルアミノ)ベンジル、より特別には、メチル、イソプロピル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピルおよびベンジルである。
【0038】
についての特定の値の例は、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルケニルであり、ここで、各(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルケニルは、NRで場合によって置換されている。
【0039】
についての特定の値の例は、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピルまたは4−アミノブチルである。
【0040】
Aについての特定の値の例は、それが−CH(Rb’)CH(Rc’)C(Rd’)(Re’)−を表す場合、−CH=CH−CH−、−CH=CH−CH(OH)−、−CH=CH−CH(CHCON(CH))−および−CH=CH−CH(CHCOCH)−である。
【0041】
b’およびRc’についての特定の値の例は、ともに結合である。
【0042】
d’についての特定の値の例は、水素である。
【0043】
e’についての特定の値の例は、水素、ヒドロキシ、CHC(=O)OCH、CHC(=O)N(CHおよびCHC(=O)NHCHCHN(CHである。Bについての値の例は、−CH=CH−CH−、−CH=CH−CH(OH)−、−CH=CH−CH(CHCON(CH))−および−CH=CH−CH(CHCOCH)−である。
【0044】
およびRについての特定の値の例は、ともに結合である。
【0045】
についての特定の値の例は、水素である。
【0046】
についての特定の値の例は、水素、ヒドロキシ、CHC(=O)OCH、CHC(=O)N(CHおよびCHC(=O)NHCHCHN(CHである。
【0047】
についての特定の値は、水素である。
【0048】
についての特定の値は、水素である。
【0049】
式(I)の化合物の例は、式:
【0050】
【化11】

【0051】
【化12】

【0052】
【化13】

【0053】
【化14】

【0054】
【化15】

[式中、
、R、R、R、R、R、R、Rb’、Rc’、Rd’およびRe’は、以上に記載されている意味のいずれかを有する]
の化合物である。
【0055】
についての特定の値は水素であり、Rについての値は水素である。
【0056】
式(I)の化合物のさらなる例は、式:
【0057】
【化16】

【0058】
【化17】

[式中、
、R、R、R、R、R、R、Rb’、Rc’、Rd’およびRe’は、以上に記載されている意味のいずれかを有する]
の化合物である。
【0059】
についての特定の値はアルキルであり、Rについての値は水素であり、Rについての値は水素である。
【0060】
についての特定の値はまた、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルケニルであり、ここで、各(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルケニルは、NRで場合によって置換されている。
【0061】
についての特定の値はまた、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピルまたは4−アミノブチルである。
【0062】
式(I)の化合物は、直鎖の必要となるポリアゾール、オレフィンおよびペプチド/オレフィンを含む中間体またはその保護誘導体を形成し、次いでこれをオレフィンメタセシスによってまたはヘックカップリング反応を使用して環化し、1個または複数のオレフィン基を場合によって誘導体化し、任意の保護基を除去し、塩を場合によって形成することによって調製できる。
【0063】
式(I)の化合物への代表的な合成経路の例を、以下のスキーム1〜6に提供する。R、RおよびRは、説明されている化合物中では水素であるが、これらのまたは同様の合成経路を使用して、他の化合物[式中、R、RおよびRは他の値を有する]を調製することもできる。
【0064】
スキーム1
縮合およびメタセシスを介する大環状アゾールの調製
【0065】
【化18】

スキーム2
ヘックカップリングおよびメタセシスを介する大環状アゾールの調製
【0066】
【化19】

スキーム3
「通常」のヘックカップリング
【0067】
【化20】

スキーム4
「通常」のメタセシス
【0068】
【化21】

スキーム5
「逆」のヘックカップリング
【0069】
【化22】

スキーム6
「逆」のメタセシス
【0070】
【化23】

式(I)の化合物への代表的な合成経路のさらなる例を、以下のスキーム7に提供する。
【0071】
スキーム7
【0072】
【化24】

【0073】
【化25】

化合物が十分に塩基性または酸性である場合、式Iの化合物の塩は、式Iの化合物を単離しまたは精製するための中間体として有用となり得る。さらに、薬学的に許容される酸塩または塩基塩としての式Iの化合物の投与が適切な場合がある。薬学的に許容される塩の例は、生理的に許容されるアニオンを形成する酸を用いて形成された有機酸付加塩、例えば、トシレート、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩およびα−グリセロリン酸塩である。塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩および炭酸塩を含む適切な無機塩類も形成され得る。
【0074】
薬学的に許容される塩は、当技術分野において既知の標準的手順を使用して、例えば、アミン等の十分に塩基性の化合物を適切な酸と反応させて生理的に許容されるアニオンを生じさせることにより、得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えばカルシウム)塩を作製することもできる。
【0075】
式Iの化合物は、医薬組成物として処方し、ヒト患者等の哺乳動物宿主に、選定された投与経路に適合される種々の形態で、例えば、経口的または非経口的に、静脈内経路、筋肉内経路、局所的経路または皮下経路によって、投与することができる。
【0076】
よって、本化合物は、不活性希釈剤等の薬学的に許容されるビヒクルまたは吸収可能な食用担体と組み合わせて、例えば経口的に全身投与できる。本化合物は、硬殻または軟殻ゼラチンカプセルに封入してもよく、錠剤に圧縮してもよく、または患者食の食品ととも直接組み合わせてもよい。経口治療的投与の場合、活性化合物を1種または複数の賦形剤と組み合わせ、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、ウエハース等の形態で使用することができる。そのような組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有していなくてはならない。組成物および製剤の割合は、当然ながら変動し得、便宜的に、所与の単位剤形の重量の約2〜約60%であってよい。そのような治療的に有用な組成物における活性化合物の量は、有効用量レベルが得られるようなものである。
【0077】
錠剤、トローチ、丸薬、カプセル等は、下記:トラガカントガム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチン等の結合剤;第二リン酸カルシウム等の賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;およびスクロース、フルクトース、ラクトースまたはアスパルテーム等の甘味剤も含有し得、あるいはペパーミント、冬緑油もしくはサクランボ香味料等の香味剤もまた添加され得る。単位剤形がカプセルである場合、これは、上記種類の材料に加えて、植物油またはポリエチレングリコール等の液体担体を含有し得る。様々な他の材料がコーティングとして存在し得るか、そうでなければ上記固体単位剤形の物理的形態を改変し得る。例えば、錠剤、丸薬またはカプセルを、ゼラチン、ワックス、セラックまたは砂糖等でコーティングしてよい。シロップまたはエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてスクロースまたはフルクトース、保存料としてメチルおよびプロピルパラベン、染料、ならびにサクランボまたはオレンジ香味等の香味料を含有し得る。当然ながら、任意の単位剤形を調製する際に使用される任意の材料は、用いられる量で薬学的に許容され、かつ実質的に非毒性でなくてはならない。加えて、活性化合物は、持続放出製剤およびデバイスに組み込まれてよい。
【0078】
活性化合物は、注入または注射によって静脈内または腹腔内に投与してもよい。活性化合物またはその塩の溶液は、非毒性界面活性剤と場合によって混合された水中で調製され得る。分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチンおよびそれらの混合物中ならびに油中で調製され得る。通常の保存および使用条件下では、これらの製剤は微生物の成長を防止するための保存料を含有する。
【0079】
注射または注入に適した医薬剤形は、活性成分を含む無菌水溶液もしくは分散剤または無菌粉末を含み得、これらは、リポソーム中に場合によってカプセル化された、無菌の注射用もしくは注入用溶液または分散剤の即時調製のために適合される。いずれの場合も、最終的な剤形は、製造および保存条件下において、無菌、流動性かつ安定でなくてはならない。液体担体またはビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、植物油、非毒性グリセリルエステルおよびそれらの適切な混合物を含む、溶媒または液体分散媒質であってよい。適正な流動性は、例えば、リポソームの形成により、分散剤の場合には必要な粒径の維持により、または界面活性剤の使用により、維持できる。微生物の活動の防止は、様々な抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖類、緩衝液または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、組成物中で吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0080】
無菌の注射用溶液は、必要量の活性化合物を適切な溶媒に、必要に応じて上記に列挙した様々な他の成分とともに組み込み、続いて濾過滅菌することによって調製できる。無菌の注射用溶液の調製用の無菌粉末の場合、調製の好ましい方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、これにより、活性成分の粉末および予め無菌濾過した溶液中に存在する任意のさらなる所望の成分が得られる。
【0081】
局所投与の場合、本化合物は、例えばそれらが液体の場合、純粋な形態で適用され得る。しかしながら、概して、固体であっても液体であってもよい皮膚科学的に許容される担体と組み合わせて、組成物または処方物としてそれらを皮膚に投与することが望ましい。
【0082】
有用な固体担体は、タルク、粘土、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナ等の微粉化した固体を含む。有用な液体担体は、水、アルコールもしくはグリコールまたは水−アルコール/グリコール混和物を含み、この中に本化合物を有効レベルで、場合によって非毒性界面活性剤の助力により溶解しまたは分散させることができる。香料等のアジュバントおよびさらなる抗菌剤を添加して、所与の使用のための特性を最適化することができる。得られた液体組成物は、吸収性パッドから適用されても、絆創膏および他の包帯剤に含浸させるために使用されても、またはポンプ式もしくはエアゾール噴霧器を使用して患部に噴霧されてもよい。
【0083】
合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪アルコール、変性セルロースまたは変性無機材料等の増粘剤を液体担体とともに用いて、使用者の皮膚への直接適用用の塗布可能なペースト、ゲル、軟膏、石鹸等を形成することもできる。
【0084】
式(I)の化合物を皮膚へ送達するために使用され得る有用な皮膚科学的組成物の例は、当技術分野において既知であり、例えば、Jacquetら(米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smithら(米国特許第4,559,157号)およびWortzman(米国特許第4,820,508号)を参照されたい。
【0085】
式(I)の化合物の有用な用量は、それらのインビトロ活性およびインビボ活性を動物モデルにおいて比較することによって決定できる。マウスおよび他の動物における有効用量のヒトへの外挿方法は当技術分野において既知であり、例えば、米国特許第4,938,949号を参照されたい。
【0086】
概して、ローション等の液体組成物中における式(I)の化合物の濃度は、約0.1〜25重量%、好ましくは約0.5〜10重量%である。ゲルまたは粉末等の半固体または固体組成物における濃度は、約0.1〜5重量%、好ましくは約0.5〜2.5重量%である。
【0087】
治療において使用するために必要な化合物またはその活性塩もしくは誘導体の量は、選択された特定の塩だけでなく、投与経路、治療されている状態の性質ならびに患者の年齢および状態によっても変動し、最終的には担当医または臨床医の裁量による。
【0088】
しかしながら、概して、適切な用量は、1日当たり約0.5〜約100mg/kg(例えば、約10〜約75mg/体重kg)の範囲内(例えば、1日当たりレシピエントの体重1キログラムにつき3〜約50mg)、好ましくは、6〜90mg/kg/日の範囲内、最も好ましくは、15〜60mg/kg/日の範囲内である。
【0089】
化合物は、例えば、単位剤形当たり5〜1000mg、便宜的に10〜750mg、最も便宜的に50〜500mgの活性成分を含有する単位剤形で便宜的に投与される。
【0090】
理想的には、活性成分は、約0.5〜約75μM、好ましくは約1〜50μM、最も好ましくは約2〜約30μMの活性化合物のピーク血漿濃度を達成するように投与すべきである。これは、例えば、場合によって生理食塩水中の活性成分の0.05〜5%溶液の静脈注射によって、または約1〜100mgの活性成分を含有するボーラスとして経口投与することによって達成できる。望ましい血中レベルは、約0.01〜5.0mg/kg/時間を提供するための持続注入によって、または約0.4〜15mg/kgの活性成分(複数可)を含有する間欠注入によって維持できる。
【0091】
望ましい用量は、便宜的に、単回用量で、または適切な間隔で投与される分割した用量として、例えば1日当たり2、3、4回以上の分割用量として提示され得る。サブ用量自体を、例えば、注入器からの複数の吸入または複数滴の眼への適用によって等、いくつかの不連続な疎らに間隔を空けた投与にさらに分割してよい。
【0092】
本発明の化合物は、他の治療剤、例えば、癌の治療に有用な他の作用物質と組み合わせて投与してもよい。したがって、一実施形態において、本発明は、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、少なくとも1種の他の治療剤および薬学的に許容される希釈剤または担体を含む組成物も提供する。本発明は、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、少なくとも1種の他の治療剤、包装材料、ならびに癌を治療するために式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩および他の治療剤(1種または複数)を動物に投与するための説明書を含むキットも提供する。
【0093】
本発明の化合物の、G−四重鎖DNAを安定化する能力は、当技術分野において既知の薬理学モデルを使用して、または以下に記載する試験Aを使用して決定できる。
【0094】
試験A G−四重鎖DNAの安定化
分析を実施して、核酸の二重鎖、三重鎖および四重鎖形態を結合し、熱的に安定化する作用物質の能力を決定することができる。この目的のために、核酸のUV吸光度をHXDVの不在下および存在下における温度の関数としてモニターする。二重鎖および三重鎖核酸の融解は、概して、260nmでの濃色シフト(hyperchromic shift)に関連し、一方、四重鎖核酸の融解は、295nmでの淡色シフト(hypochromic shift)に関連する。よって、二重鎖および三重鎖の温度依存性の吸光度を260nmでモニターし、対応する四重鎖吸光度を295nmでモニターする。ST DNA、p(rA)・p(rU)、p(rA)・p(dT)、p(dA)・2p(dT)、p(rA)・2p(rU)、d(TAGおよびr(UGU)を、DNA二重鎖、RNA二重鎖、ハイブリッドDNA・RNA二重鎖、DNA三重鎖、RNA三重鎖、DNA四重鎖およびRNA四重鎖の代表的モデルとしてそれぞれ使用する。すべてのUV融解研究は、カリウムイオンの存在下、pH7.5で行う。
【0095】
G−四重鎖DNAを安定化する化合物の能力は、以下に記載する試験Bを使用して決定することもできる。
【0096】
試験B 温度依存性の分光光度法
温度依存性の吸収実験は、熱電気制御のセルホルダーが装備されたAVIVモデル14DS分光光度計(Aviv Biomedical、Lakewood、NJ)で行う。すべての吸光度研究に1.0cmの経路長を有する石英セルを使用する。温度依存性の吸収プロファイルを、260(二重鎖および三重鎖の場合)または295(四重鎖の場合)nmのいずれかにおいて、5秒の平均化時間で取得する。温度を0.5℃増分で上昇させ、試料を各温度設定で1.5分間平衡化させる。四重鎖融解研究において、d(TAG、9AP、15APおよび21APの濃度はストランド中5μM(ヌクレオチド中120μM)であり、一方、r(UGU)の濃度はストランド中20μM(ヌクレオチド中120μM)である。二重鎖および三重鎖融解研究において、核酸濃度は、塩基対中15μM(ヌクレオチド中30μM)または塩基トリプル中15μM(ヌクレオチド中45μM)であり、HXDV濃度は、存在する場合、15μMである。すべてのUV融解実験用の緩衝液は、10mMのEPPS(pH7.5)を含有する。加えて、十分なKClを各溶液に添加して、総K濃度を、d(TAGおよびp(rA)・p(dT)に対して150mM、r(UGU)に対して2mM、ST DNAに対して50mM、p(dA)・2p(dT)に対して250mM、またはp(rA)・2p(rU)に対して20mMのいずれかにする。UV融解実験においてそれらを使用する前に、すべての核酸溶液を90℃で5分間予熱し、4時間かけて室温にゆっくり冷却する。
【0097】
本発明の化合物の抗増殖活性は、当技術分野において既知の薬理学モデルを使用して、または以下に記載する試験Cを使用して決定できる。
【0098】
試験C MTTアッセイを使用するG−四重鎖安定剤の評価
細胞株は、それらの相対的なテロメラーゼ活性に関するデータ、多様な器官部位、利用可能な比較データ、および無胸腺ヌードマウスにおいて固形腫瘍を形成するそれらの能力を含む1つまたは複数の要因に基づいて選択する。MTTアッセイの利点は、細胞毒性/細胞増殖抑制活性を容易に決定できることである。細胞を37℃で4日間培養し、続いてMTT(3−[4,5−ジメチルチオゾール(dimethylthiozol)−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(Sigma)(0.1mg/ml)を添加する。細胞をMTTで3時間処理し、次いで100μlの100%DMSOに溶解する。マイクロプレートリーダー(BIO−RAD製のモデル3550UV)を使用して、OD570における吸光度を計測する。MTT値を、Cellfectin単独で処理した細胞のOD570に対して正規化する。各化合物のストック溶液を調製する。MTTアッセイは、分光分析および96ウェルプレートを使用して実施する。MTTアッセイ化合物を使用して、式1の代表的な化合物である化合物258を、種々の細胞株に対して評価した。化合物258は、マウス白血病P388(IC50=45nM)、ヒトリンパ芽球腫RPMI8402(IC50=25nM)およびヒト上咽頭癌KB3−1(IC50=25nM)に対して強力な細胞毒性活性を示す。
【0099】
下記の非限定的な例は、式(I)の化合物の調製および式(I)の化合物の合成に有用な合成中間体を説明するものである。
【実施例】
【0100】
(実施例1)
本発明の代表的化合物の調製
本明細書に記載されているものと同様の手順を使用して、下記の本発明の代表的化合物を調製できる。
【0101】
【化26】

(実施例2)
本発明の代表的化合物の調製
本明細書に記載されているものと同様の手順を使用して、下記の本発明の代表的化合物を調製できる。
【0102】
【化27】

(実施例3)
テルオキサゾール(teroxazole)中間体の調製
本発明の化合物を調製するために使用され得るテルオキサゾール中間体は、次のように調製できる。
【0103】
a.化合物206(N−Bocバリンアミド)の合成
【0104】
【化28】

乾燥アセトニトリル(100mL)を、N−Boc−L−バリン(2.17g、10mmol)およびセリンメチルエステル塩酸塩(1.86g、12mmol)の混合物に添加し、5分間撹拌した。BOP(4.42g、10mmol)およびトリエチルアミン(3.1mL、22mmol)を添加し、混合物を室温で12時間撹拌した。次いで、混合物を減圧下で蒸発させ、EtOAcおよびブラインで希釈した。相を分離し、次いで水相をEtOAcで抽出した。次いで、合わせた有機相を、1NのHCl、飽和NaHCOおよびブラインで連続的に洗浄し、その後NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、アミドを無色油3.18g(100%)として得た。H NMR(CDCl)δ7.45(dd,1H,J=1.4),5.58(d,1H,J=8.8),4.45(m,1H),4.37(m,1H),3.79(m,2H),3.54(s,3H),1.88(m,1H),1.23(s,9H),0.74(d,6H,J=6.6);13C−NMRδ172.3,171.0,162.9,156.0,79.4,62.3,54.6,52.3,31.3,28.2,17.7,17.4。
【0105】
b.化合物207(N−Bocバリンオキサゾリン)の合成
【0106】
【化29】

CHCl(16mL)中の206(2.54g、8mmol)の溶液を、窒素下で−78℃に冷却し、DAST(1.7mL、13.2mmol)で処理した。1.5時間撹拌後、無水KCO(1.32g)を添加し、次いで混合物を室温に加温した。混合物を飽和NaHCOに注ぎ入れ、CHClで数回抽出した。合わせた抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、オキサゾリン207を赤黄色の油2.36g(98%、粗製物)として得た。H NMR(CDCl)δ5.12(d,1H,J=8.4),4.70(m,1H),4.41(m,3H),3.74(s,3H),2.02(m,1H),1.24(s,9H),0.74(d,6H,J=6.6);13C−NMRδ171.3,169.5,155.5,79.6,69.8,67.8,54.1,52.6,31.8,28.3,17.7,17.3。
【0107】
c.化合物208(N−Bocバリンオキサゾール)の合成
【0108】
【化30】

乾燥CHCl(24mL)中の粗製オキサゾリン(2.36g、7.9mmol)の溶液を窒素下0℃で撹拌しながら、乾燥DBU(1.8mL、12.5mmol)を2分間かけて添加し、続いてBrCCl(1.2mL、12.5mmol)を5分間かけて添加した。反応物を0℃で5時間撹拌し、次いで飽和NHClに注ぎ入れた。混合物をCHClで抽出し、合わせた抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。2:3のEtOAc/ヘキサンで溶離するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより生成物を精製して、オキサゾールを白色固体2.36g(75%)として得た。融点 125−129℃;H NMR(CDCl)δ8.1(s,1H),5.31(d,1H,J=9.2),4.63(dd,1H,J=9,6),3.73(s,3H),2.04(m,1H),1.25(s,9H),0.74(d,6H,J=6.6);13CNMRδ165.0,161.5,155.3,143.9,133.0,79.7,54.2,52.0,32.8,28.2,18.6,17.9。
【0109】
d.化合物209(N−Bocバリンオキサゾールカルボン酸)の合成
【0110】
【化31】

3:1のTHF/HO(32mL)中のエステル(0.8g、2.68mmol)の溶液を0℃で撹拌しながら、LiOH(134mg、3.19mmol)を一度に添加した。反応混合物を10時間撹拌し、次いで減圧下で蒸発させて、THFを除去した。1NのHClで水溶液をpH3にし、次いでEtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、カルボン酸を白色固体0.67g(88%)として得た。融点 157−160℃; H NMR(CDCl)δ8.2(s,1H),6.34(d,1H,J=8.4),4.78(t,1H,J=8.3),2.16(m,1H),1.33(s,9H),0.87(dd,6H,J=14,7);13CNMRδ166.4,163.9,155.9,144.3,133.8,79.9,54.6,32.8,28.3,18.8,18.3。
【0111】
e.化合物210(N−BocバリンO−ベンジルビスオキサゾールアミド)の合成
【0112】
【化32】

乾燥アセトニトリル(100mL)を、アミン204(3.24g、11.7mmol)および酸209(3.33g、11.7mmol)の混合物に添加し、5分間撹拌した。BOP(5.17g、11.7mmol)およびトリエチルアミン(3.6mL、25.7mmol)を添加し、混合物を室温で12時間撹拌した。次いで、混合物を減圧下で蒸発させ、EtOAcおよびブラインで希釈した。相を分離し、次いで水相をEtOAcで抽出した。次いで、合わせた有機相を、1NのHCl、飽和NaHCOおよびブラインで連続的に洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、アミドを無色油4.76g(90%)として得た。H NMR(CDCl)δ8.34(s,1H),8.22(s,1H),7.91(d,1H,J=8.4),7.42(m,5H),5.73(m,1H),5.53(m,1H),4.87(m,1H),4.68(s,2H),4.18(m,2H),4.01(s,3H),2.28(m,1H),1.58(s,9H),1.08(d,3H,J=6.6),1.04(d,3H,J=7.0);13C−NMRδ163.2,161.9,161.8,160.5,159.5,154.5,143.4,140.6,136.4,134.4,132.5,127.5,126.9,126.7,79.1,72.2,68.9,53.4,51.2,46.4,31.7,27.4,17.9,17.2。
【0113】
f.化合物211(N−Bocバリンセリンアミド)の合成
【0114】
【化33】

95%EtOH(75mL)中のベンジルエーテル9(5.72g、10.6mmol)の溶液を、20%Pd(OH)/C(572mg)で処理し、パール装置内35psiのH下、室温で30時間振とうした。触媒をセライトのパッドに通して濾過し、溶媒を蒸発させて、アルコールを無色油4.54g(95%)として得た。H NMR(CDCl)δ8.69(d,1H,J=8.2),8.36(s,1H),8.29(s,1H),6.19(d,1H,J=6.2),5.66(m,1H),4.77(m,1H),4.33(m,2H),3.97(s,3H),2.25(m,1H),1.55(s,9H),1.04(d,3H,J=6.6),0.89(d,3H,J=6.6);13C−NMRδ163.2,162.9,161.9,160.7,160.5,160.4,154.7,143.5,140.9,140.5,134.2,132.1,127.4,79.2,61.7,53.4,51.4,49.1,48.3,31.7,30.8,27.4,18.2,17.9,17.3,17.1。
【0115】
g.化合物212(N−Bocバリンジヒドロテルオキサゾール)の合成
【0116】
【化34】

CHCl(20mL)中の211(4.54g、10mmol)の溶液を、窒素下で−78℃に冷却し、DAST(2.17mL、16.6mmol)で処理した。1.5時間撹拌後、無水KCOを添加し、次いで混合物を室温に加温した。混合物を飽和NaHCOに注ぎ入れ、CHClで数回抽出した。合わせた抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製オキサゾリン212を赤黄色の泡状物3.44g(79%、粗製物)として得た。H NMR (CDCl)δ8.30(s,1H),8.18(s,1H),5.59(m,2H),4.84(m,3H),3.91(s,3H),2.19(m,1H),1.42(s,9H),0.91(d,6H,J=6.8);13C−NMRδ164.4,162.1,162.0,160.3,159.2,154.3,143.9,140.7,132.3,128.7,78.7,69.7,53.2,51.2,31.9,27.2,17.7,16.9。
【0117】
h.化合物213(N−Bocバリンテルオキサゾールエステル)の合成
【0118】
【化35】

乾燥CHCl(24mL)中の粗製オキサゾリン(3.44g、7.9mmol)の溶液を窒素下0℃で撹拌しながら、乾燥DBU(1.8mL、12.5mmol)を2分間かけて添加し、続いてBrCCl(1.2mL、12.5mmol)を5分間かけて添加した。反応物を0℃で5時間撹拌し、次いで飽和NHClに注ぎ入れた。混合物をCHClで抽出し、合わせた抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。2:3のEtOAc/ヘキサンで溶離するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーにより生成物を精製して、オキサゾールを白色固体1.64g(48%)として得た。融点 214−224℃; H NMR(CDCl)δ8.58(s,1H),8.48(s,1H),8.46(s,1H),5.53(d,1H,J=9.0),4.95(m,1H),4.08(s,3H),2.35(m,1H),1.56(s,9H),1.07(d,6H,J=6.6);13CNMRδ164.8,160.4,154.5,143.1,138.5,133.4,129.9,128.7,79.1,53.4,51.4,31.9,27.4,17.8,17.1。
【0119】
i.化合物214(N−Bocバリンテルオキサゾールカルボン酸)の合成
【0120】
【化36】

3:1のTHF/HO(32mL)中のエステル(0.82g、1.9mmol)の溶液を0℃で撹拌しながら、LiOH(126mg、3mmol)を一度に添加した。反応混合物を10時間撹拌し、次いで減圧下で蒸発させて、THFを除去した。1NのHClで水溶液をpH3にし、次いでEtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、カルボン酸を白色固体0.77g(98%)として得た。融点 225℃ (分解); H NMR(CDCl)δ8.44(s,1H),8.39(s,1H),8.32(s,1H),5.39(d,1H,J=8.4),4.85(m,1H),2.25(m,1H),1.44(s,9H),0.95(d,6H,J=6.0);13CNMRδ164.8,160.4,154.5,143.1,138.5,133.4,129.9,128.7,80.1,51.4,31.9,27.4,17.8,17.1。
【0121】
j.化合物215(アミノバリンテルオキサゾールエステル)の合成
【0122】
【化37】

CHCl(10mL)中のN−Boc誘導体(0.82g、1.9mmol)の溶液を、乾燥管により湿気から保護しつつ0℃に冷却した。TFA(10mL)を添加し、溶液を1.5時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留TFAをベンゼンとの共沸混合物として除去した。残留物をCHClに溶かし、飽和NaHCOで洗浄し、次いでNaSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、アミンを黄白色固体0.62g(98%)として得た。H NMR(CDCl)δ8.52(s,1H),8.42(s,2H),3.98(s,3H),3.90(m,1H),2.34(m,1H),0.97(d,6H,J=6.6);13C−NMRδ163.5,160.2,155.1,154.4,154.1,142.9,138.6,138.4,133.4,129.8,128.8,55.8,51.9,33.4,18.9,17.8。
【0123】
中間体204は、次のように調製できる。
【0124】
k.化合物201の合成
【0125】
【化38】

Boc−O−ベンジル−L−セリン(4.13g、14mmol)、セリンメチルエステル(2.18g、14mmol)およびBOP(6.19g、14mmol)をCHCN(40mL)に溶解した。次いでトリエチルアミン(4.2mL、30.8mmol、2.2当量)を添加した。反応物を室温で終夜撹拌した。溶媒を除去し、残留物をCHClに溶解し、ブライン、2NのHCl、0.5NのNaHCO、水およびブラインで連続的に洗浄した。有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濃縮して、重量5.54gの透明油100%を得た。HNMR(CDCl)δ7.31(s,6H),5.49(d,1H,J=6),4.64(m,1H),4.55(s,2H),4.31(m,1H),3.88(dd,1HJ=5,10),3.75(s,3H),3.63(dd,1HJ=6,10),2.96(brs,1H),1.44(s,9H).13CNMR(CDCl)δ170.5,170.3,155.5,137.2,128.3,127.8,127.8,127.7,80.5,73.3,69.8,69.4,62.6,62.4,60.3,54.8,52.5,28.1.IR(薄膜NaCl)3419,3065,3032,2979,2954,2871,2251,1670,1498,1455,1439,1392,1368,1248,1167,1105,1027cm−1.HRMS(FAB)m/z,C1928Li(M+Li)の計算値 403.2057; 実測値, 403.2052。
【0126】
l.化合物202(セリンオキサゾリン)の合成
【0127】
【化39】

化合物201(5.54g、14mmol)をCHCl(20mL)に溶解し、アルゴン下に置いた。−78℃に冷却後、DAST(2.8mL、21.4mmol、1.5当量)を添加し、反応物を低温で2.5時間撹拌した。次いでKCO2.9g、21.4mmol、1.5当量)を添加し、反応物を室温に加温した。これを飽和NaHCOに注ぎ入れた。層を分離し、水性物をCHClで抽出した。有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濃縮して、重量5.28gの橙色の油99%を得た。H NMR(CDCl)δ7.50(m,5H),5.66(m,1H),4.99(dd,1H,J=8,10),4.71(m,5H),3.96(m,5H),1.64(s,9H).13CNMR(CDCl)δ170.2,167.4,154.3,136.9,134.2,127.5,126.8,126.6,79.0,72.2,69.2,69.0,67.2,67.1,52.5,51.7,48.5,24.7.IR(ニートNaCl)3384,3063,3030,2977,2870,1709,1666,1506,1454,1367,1322,1166,1109,1051cm−1
【0128】
m.化合物203(Boc−O−ベンジルセリンオキサゾール)の合成
【0129】
【化40】

CHCl(20mL)中のオキサゾリン202(5.28g、14mmol)をアルゴン下に置き、0℃に冷却した。DBU(3.2mL、2mmol、1.6当量)を滴下添加すると、溶液は黄色に変化した。次いでBrCCl(2.2mL、22.4mmol)を滴下添加すると、溶液は褐色になった。これを室温に終夜加温し、次いで飽和塩化アンモニウムに注ぎ入れた。水層をCHClで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮して褐色油とした。15〜50%のEtOAc/ヘキサンを用いるSiOでこれをフラッシュクロマトグラフィーにかけた。生成物が透明油3.10g、59%として得られた。[α]25−33.35(c=2g/EtOH中100mL)。H NMR (CDCl)δ8.36(s,1H)7.41(m,5H),5.76(d,1H,J=8),5.30(m,1H),4.66(s,2H),4.07(m,3H),3.97(m,2H),1.61(s,9H).13CNMR(CDCl)δ163.4,161.3,154.9,144.0,137.2,133.3,128.2,127.7,127.4,80.1,73.1,70.3,52.0,49.2,28.1.IR(薄膜NaCl)3351,3163,3064,3031,2978,2953,2870,2251,1717,1585,1499,1454,1439,1392,13677,1324,1251,1202,1168,1112,1047,1001cm−1
【0130】
n.化合物204の合成
【0131】
【化41】

Boc保護セリンオキサゾール(3.64g、9.68mmol)を乾燥CHCl(10mL)に溶解し、0℃に冷却した。この溶液をTFA(10mL)で処理し、6.5時間撹拌した。溶媒を吸引器圧力下で真空除去した。得られた暗褐色の残留物をベンゼン(×2)と共沸させ(azeotrope)、次いでCHClに溶解し、飽和重炭酸ナトリウムに注ぎ入れた。CHCl(4×15mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して暗褐色油(2.65g、99%単離収率)とした。H NMR(CDCl)δ8.19(s,1H),7.31(m,5H),4.54(s,2H),4.30(m,1H),3.92(s,3H),3.80(dd,2H,J=4.4,9.5Hz),1.64(brs,2H);13CNMR(CDCl)δ170.2,167.6,143.2,136.8,132.4,127.6,126.9,126.8,72.5,71.6,51.3,49.5;IR(ニート)3378,3308,3160,3030,2952,2865,1740cm−1
【0132】
(実施例4)
化合物258の合成
【0133】
【化42】

メチル3−ヒドロキシ−2−(オキサゾール−4−カルボキサミド)プロパノエート(244)。オキサゾール−4−カルボン酸(3.88g、34.4mmol)、セリンメチルエステル(5.35g、34.4mmol)、EDC(13.2g、68.8mmol)およびHOBT(9.31g、68.8mmol)を乾燥DMF(100mL)に溶解し、アルゴン下に置き、次いで2,6−ルチジン(2.8mL、172mmol)を添加した。反応物を室温で終夜撹拌し、その後、クーゲルロール蒸留(50℃、5mmHg)により溶媒を除去した。残留物を酢酸エチルと水とに分配した。層を分離し、有機層を、飽和重炭酸ナトリウム、5%のHClおよびブラインで順次洗浄した。抽出物をNaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、白色固体6g、81%を得た。融点 87−89℃; H NMR(CDCl)δ4.52(d,1H,J=1.1),7.86(m,2H),4.84(dt,1H,J=3.7,8.1),4.55(brs,1H),4.06(ddd,2H,J=4,8.8,11.4)3.8(s,3H);13CNMR(CDCl)δ669.6,159.8,149.9,141.1,134.5,125.7,125.4,116.4,110.2,62.1,53.6,51.9;IR(ヌジョール)3419,3379,3189,3160,3140,1753,1650,1638,1594,1508,1376,1282,1226,1182,1131,1109,1065,1034,969,897,887,859,822,766,741,604cm−1;HRMS(ESI)m/z,C10Na(M+Na)の計算値237.0487;実測値237.0487。
【0134】
【化43】

メチル2−(オキサゾール−4−イル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−カルボキシレート(245)。アミド244(6g、28mmol)を無水CHClに溶解し、アルゴン下に置いた。−78℃に冷却後、DAST(6.4mL、49mmol)を添加し、反応物を低温で4時間撹拌した。次いで固体KCO(6.77g、49mmol)を添加し、反応物を室温に加温した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ入れ、CHClで抽出した。有機抽出物をNaSOで乾燥させ、真空濃縮して、重量3.72gの橙色の油65%とした。H NMR(CDCl)δ8.19(s,1H),8.03(s,1H),4.95(dd,1H,J=8,11),4.65(m,2H),3.75(s,3H);13CNMR(CDCl)δ170.3,159.4,151.4,140.7,128.5,69.4,66.9,51.8;IR(薄膜NaCl)3655,3408,3227,3150,2997,2957,2910,2849,2244,2197,1740,1678,1583,1561,1518,1439,1392,1314,1218,1135,1104,1065,981,962,935,915,844,731,650,607,558cm−1
【0135】
【化44】

メチル2,4’−ビオキサゾール−4−カルボキシレート(246)。無水CHCl中のオキサゾリン245(3.72g、19mmol)の溶液をアルゴン下で0℃に冷却し、DBU(5.7mL、38mmol)で、次いでBrCCl(5.2mL、53.2mmol)で、いずれも10分間かけて滴下処理した。これを撹拌し、室温に終夜加温した。反応混合物を飽和塩化アンモニウムに注ぎ入れ、CHClで抽出した。NaSOで乾燥させた後、有機溶液を蒸発させて褐色固体とし、これを100%のCHCl〜2%のMeOH/CHClで溶離するSiOでのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。生成物が白色固体2.77g(75%)として得られた。融点 177℃; H NMR (CDCl)δ8.44(d,1H,J=0.73),8.34(s,1H),8.05(s,1H),3.96(s,3H);13CNMR(CDCl)δ160.5,154.7,151.1,143.0,138.9,133.4,128.7,51.5;IR(ヌジョール)3152,3124,2729,1714,1633,1572,1536,1512,1377,1327,1305,1273,1203,1149,1123,1093,1062,999,953,917,905,849,809,775,735,668cm−1;HRMS(ESI)m/z,CNa(M+Na)の計算値 217.0225;実測値 217.0226。
【0136】
【化45】

2,4’−ビオキサゾール−4−カルボン酸(247)。THFおよび水の3:1混合物(200mL)中のビス(オキサゾール)エステル246(2.77g、14.2mmol)の溶液を0℃に冷却し、LiOH(721mg、17.2mmol)で処理した。反応物を撹拌し、室温に終夜加温した。THFを減圧下で除去し、水溶液をアンバーリストA−15樹脂でpHが4になるまで処理した。樹脂を濾過し、MeOHで洗浄した。濾液を蒸発させて、白色固体2.49g(97%)を得た。融点 240−243℃;HNMR(DMSO−d)δ8.98(s,1H),8.85(s,1H),8.66(s,1H);13CNMR(DMSO−d)δ161.6,154.7,153.3,144.9,140.6,134.2,128.5;IR(ヌジョール)3134,3096,1684,1642,1561,1542,1509,1377,1313,1257,1226,1172,1123,1108,1093,1061,982,954,919,851,754,732,666,616cm−1;HRMS(ESI)m/z,CNa(M+Na)の計算値 203.0069;実測値 203.0070。
【0137】
【化46】

tert−ブチル2−(2,4’−ビオキサゾール−4−カルボキサミド)−3−ヒドロキシプロパノエート(248)。無水DMF(100mL)中の、前の反応からの酸247(2.49g、13.8mmol)、EDC(5.3g、27.7mmol)およびHOBT(3.74g、27.7mmol)の溶液を、DMF(50mL)中のセリンtert−ブチルエステル(2.23g、13.8mmol)および2,6−ルチジン(16mL、138mmol)の溶液にアルゴン下0℃で添加した。これを撹拌し、室温に終夜加温した。クーゲルロール蒸留(50℃、5mmHg)により溶媒を除去し、得られた残留物をEtOAcとHOとに分配した。層を分離し、有機層を、飽和重炭酸ナトリウム、5%のHClおよびブラインで洗浄した。次いで有機層をNaSOで乾燥させ、蒸発させて白色固体3.32g(74%)とした。融点 85−87℃;HNMR(CDCl)δ8.30(d,1H,J=0.73),8.27(s,1H),8.09(d,1H,J=1.1),7.85(d,1H,J=8),4.73(dt,1H,J=3.7,7.7),4.03(d,2H,J=3.7),1.48(s,9H);13CNMR(CDCl)δ168.2,159.6,153.7,151.2,140.6,138.6,136.0,128.7,81.9,62.5,54.4,27.1;IR(薄膜NaCl)3397,3143,2979,2942,2252,1734,1663,1597,1514,1463,1397,1369,1236,1158,1121,1067,959,909,847,733cm−1;HRMS(ESI)m/z,C1417Na(M+Na)の計算値 346.1015;実測値 346.1014。
【0138】
【化47】

tert−ブチル2−(2,4’−ビスオキサゾール−4−イル)−4,5−ジヒドロオキサゾール−4−カルボキシレート(249)。CHCl(40mL)中のアミド248(3.32g、10.3mmol)の溶液をアルゴン下で−78℃に冷却し、DAST(2mL、15.4mmol)で処理した。反応物をその同じ温度で4時間撹拌し、次いで固体KCO(2.13g、15.4mmol)を添加した。反応物を室温に加温し、次いで飽和NaHCO溶液に注ぎ入れた。層を分離し、水層をCHClで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、蒸発させて橙色の固体3.14g(100%)とした。融点 95−98℃;H NMR(CDCl)δ8.43(d,1H,J=0.73),8.26(s,1H),8.04(d,1H,J=1.1),4.71(m,3H),1.51(s,9H);13CNMR(CDCl)δ168.9,158.5,154.7,151.0,140.6,140.4,138.9,138.7,130.4,128.8,81.5,69.2,68.5,27.1;IR(薄膜NaCl)3370,3129,3063,2979,2932,1733,1675,1579,1539,1598,1457,1369,1315,1223,1157,1123,1108,1063,988,957,908,890,845,753,715,667cm−1;HRMS(ESI)m/z,C1415Na(M+Na)の計算値 328.0909; 実測値 328.0920。
【0139】
【化48】

tert−ブチルテルオキサゾール−4−カルボキシレート(250)。オキサゾリン249(3.14g、10.3mmol)を乾燥CHCl(30mL)に溶解し、アルゴン下に置いた。0℃に冷却後、溶液をDBU(3.1mL、20.6mmol)で、次いでBrCCl(2.4mL、24.7mmol)で10分間かけて滴下処理した。反応物を室温に終夜加温し、次いで飽和NHCl水溶液に注ぎ入れた。有機層を分離し、水溶液をCHClで抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、褐色固体を得た。100%のCHCl〜2%のMeOH/CHClで溶離するSiOでのフラッシュクロマトグラフィーによる精製によって、1を白色固体1.52g(49%)として得た。融点 283℃(分解); H NMR(CDCl)δ8.44(s,2H),8.23(s,1H),8.07(d,1H,J=0.74),1.61(s,9H);13CNMR(CDCl)δ159.1,155.0,151.1,142.3,138.8,138.5,135.0,130.2,128.8,81.6,27.3;IR(薄膜,NaCl)3178,3144,2973,2360,2334,1721,1647,1509,1394,1363,1337,1315,1295,1278,1246,1151,1126,1116,1099,1065,987,967,956,905,832,725cm−1;HRMS(ESI)m/z,C1413Na(M+Na)の計算値 326.0753; 実測値 326.0750.
【0140】
【化49】

tert−ブチル2”−アリルテルオキサゾール−4−カルボキシレート(251)。N雰囲気下−42℃の無水THF(7mL)中の250(80mg、0.26mmol)の溶液に、カニューレを介してLiHMDS(528μL、ヘキサン中1M)の溶液をゆっくり添加した。これを−42℃で30分間撹拌した後、得られた黄色溶液にCuI(100mg、0.53mmol)を添加した。5分後、臭化アリル(46μL、0.53mmol)を添加し、溶液を−42℃で30分間撹拌した。溶液を室温にゆっくり加温し、終夜撹拌した。水(10mL)を添加し、溶液をCHCl(2×20mL)で抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮した。ヘキサン中20%の酢酸エチルで溶離するSiOでのフラッシュクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して、アリル化された生成物を白色固体32mg(37%)として得た。融点 277−279℃; IR(CHCl)1711cm−1H NMR (CDCl)δ8.37(s,1H)8.28(s,1H),8.18(s,1H),6.00(m,1H),5.26(m,2H),3.62(d,2H,J=6.6Hz),1.58(s,9H);13CNMR(CDCl)δ163.2,159.1,155.3,154.3,142.2,138.5,138.2,134.9,130.1,129.5,128.9,118.2,81.5,31.6,27.3;HRMS,C1717Na(M+Na)の計算値: 366.1066; 実測値: 366.1065。
【0141】
【化50】

2”−アリルテルオキサゾール−4−カルボン酸(252)。CHCl(2mL)中のtert−ブチルエステル251(55mg、0.16mmol)の氷冷溶液に、アニソール(400μL)、続いてTFA(2mL)を添加し、溶液を0℃で9時間撹拌した。反応混合物を真空濃縮し、固体残留物をジエチルエーテル(8×5mL)で粉砕し、固体を高真空下で乾燥させて、252を白色固体41mg(89%)として得た。融点 283−285℃(分解);IR (CHCl) 3135,1686cm−1H NMR(CDCl+CDOD)δ8.38(s,1H)8.27(s,1H),8.26(s,1H),5.91(m,1H),5.19(m,2H),3.55(dt,2H,J=1.4,6.6Hz);HRMS,C13H(M+H)の計算値: 288.0620; 実測値: 288.0622。
【0142】
【化51】

2”−[1−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル]−4−ヒドロキシメチルテルオキサゾール(253)。THF/EtOH(1:1、20mL)中のバリンテルオキサゾール213(100mg、0.23mmol)の溶液に、LiCl(59mg、1.39mmol)、続いてNaBH(53mg、1.39mmol)を添加した。溶液を室温で4時間撹拌し、次いで水(10mL)を添加した。THFおよびEtOHを減圧下で除去し、残留物を水(20mL)でさらに希釈し、次いで酢酸(pH約6)で酸性化した。水層をクロロホルム(4×20mL)で抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濾液を真空蒸発させた。CHCl中2%のMeOHで溶離するクロマトトロンにより固体残留物を精製して、表題のアルコールを白色固体68mg(73%)として得た。融点173−175℃;IR(CHCl)3430,3326,1705cm−1H NMR(CDCl)δ8.31(s,1H)8.30(s,1H),7.66(s,1H),5.36(d,1H,J=9.2Hz),4.81(dd,1H,J=6.2,9.0Hz),4.66(s,2H),2.18(m,1H),1.40(s,9H),0.94(d,3H,J=4.0Hz),0.90(d,3H,J=3.6Hz);13CNMR(CDCl)δ164.7,155.1,154.4,154.2,141.0,138.4,137.3,134.3,130.6,128.8,79.2,55.9,53.4,31.9,27.3,17.8,17.1;HRMS,C1924Na(M+Na)の計算値:427.1594;実測値:427.1584。
【0143】
【化52】

2”−[1−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル]−4−ホルミルテルオキサゾール(254)。窒素下−78℃のCHCl(2mL)中の塩化オキサリル(36μL、0.408mmol)の溶液に、DMSO(40μL、0.571mmol)を添加し、溶液を約10分間撹拌した。CHCl(5mL)中の前の反応からのアルコール253(33mg、0.081mmol)の溶液を、カニューレを介して滴下添加し、−78℃で10分間撹拌した。トリエチルアミン(113mL、0.816mmol)を添加し、溶液を撹拌しながら20分間かけて室温に加温した。反応混合物をCHCl(20mL)で希釈し、飽和NHCl溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧下で蒸発させた。2%のMeOH/CHClで溶離するクロマトトロンにより残留物を精製して、アルデヒド254を白色固体29mg(88%)として得た。融点196−198℃;IR(CHCl)3373,1690cm−1H NMR(CDCl)δ10.0(s,1H),8.38(s,1H)8.33(s,1H),8.32(s,1H),5.29(d,1H,J=9.2Hz),4.83(dd,1H,J=6.2,8.8Hz),2.23(m,1H),1.42(s,9H),0.94(d,3H,J=4.0Hz),0.92(d,3H,J=3.0Hz);13CNMR(CDCl)δ183.1,164.8,155.5,155.0,154.4,142.7,140.7,138.5,138.4,129.8,128.7,79.2,53.4,32.0,27.4,17.8,17.1;HRMS,C1922Na(M+Na)の計算値:425.1437;実測値:425.1432。
【0144】
【化53】

2”−[1−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メチルプロピル]−4−ビニルテルオキサゾール(255)。無水THF(5mL)中のCHPPhBr(88mg、0.248mmol)の懸濁液を、窒素下で0℃に冷却し、カニューレを介してn−BuLi(155μL、0.248mmol、ヘキサン中1.6M)を滴下添加した。0℃で0.5時間撹拌後、黄色溶液を0℃のTHF(5mL)中の254(25mg、0.062mmol)の溶液にカニューレを介して移し、終夜撹拌しながら室温に加温した。反応混合物を水(15mL)で希釈し、CHClで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。CHCl中0.5%のMeOHで溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより粗生成物を精製して、ビニル誘導体を淡黄色固体18.3mg(74%)として得た。融点 169−171℃;IR(CHCl)3364,1706cm−1H NMR(CDCl)δ8.32(s,1H)8.29(s,1H),7.62(s,1H),6.58(dd,1H,J=11,17.4Hz),6.06(d,1H,J=17.4Hz),5.36(d,1H,J=11Hz),5.31(d,1H,J=10.2Hz),4.85(見かけ上t,1H,J=8.2Hz),2.21(m,1H),1.44(s,9H),0.96(d,3H,J=2.6Hz),0.93(d,3H,J=2.6Hz);13CNMR(CDCl)δ164.7,155.1,154.5,153.9,139.6,138.4,137.5,134.1,130.8,129.0,123.8,116.0,79.2,53.5,32.1,27.4,17.8,17.1;HRMS,C2024Na(M+Na)の計算値:423.1644;実測値:423.1631。
【0145】
【化54】

2”−(1−アミノ−2−メチルプロピル)−4−ビニルテルオキサゾール(256)。前の反応からの生成物(60mg、0.15mmol)を0℃のCHCl(10mL)に溶解し、TFA(2.5mL)で処理し、0℃で6時間撹拌した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、残留物を飽和NaHCO水溶液で希釈し、CHClで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して、256を白色固体33mg(73%)として得た。融点 125−127℃;IR(CHCl)3381cm−1H NMR(CDCl)δ8.34(s,1H)8.30(s,1H),7.63(s,1H),6.59(dd,1H,J=11,17.4Hz),6.06(d,1H,J=17.4Hz),5.37(d,1H,J=11Hz),3.92(d,1H,J=6.6Hz),2.17(m,1H),1.00(d,3H,J=5.6Hz),0.96(d,3H,J=7.0Hz);13CNMR(CDCl)δ167.4,155.2,153.9,139.6,138.3,137.4,134.1,130.7,128.7,123.8,116.0,55.0,32.5,18.1,17.1;HRMS,C1516H(M+H)の計算値:301.1301;実測値:301.1269。
【0146】
【化55】

N−[2”−(2−メチルプロパ−1−イル)−4−ビニルテルオキサゾール]−2”−アリルテルオキサゾール−4−カルボキサミド(257)。N下0℃のDMF(1mL)中の256(10mg、0.033mmol)の溶液に、DMF(2mL)中の、252(9.5mg、0.033mmol)、EDC・HCl(13mg、0.066)およびHOBt(9mg、0.066mmol)の溶液を添加し、混合物を室温で5時間撹拌した。水(20mL)を添加し、混合物をEtOAc(3×25mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させた。CHCl中2%のMeOHで溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより残留物を精製して、257を白色固体13mg(69%)として得た。融点235−237℃(分解);IR(CHCl)3363,1653cm−1H NMR(CDCl)δ8.34(s,2H)8.33(s,1H),8.30(s,1H),8.26(s,1H),7.62(s,1H),7.59(d,1H,J=10.4Hz),6.57(dd,1H,J=11,17.4Hz),6.01(m,2H),5.32(m,4H),3.64(d,2H,J=6.2Hz),2.41(m,1H),1.07(d,3H,J=7.0Hz),1.00(d,3H,J=6.6Hz);13CNMR(CDCl)δ163.5,163.3,159.0,155.6,155.0,153.9,153.7,140.7,139.6,138.6,138.5,138.2,137.5,135.9,134.1,130.7,130.0,129.5,129.1,128.8,123.8,118.3,116.0,51.6,31.9,31.6,18.0,17.5;HRMS,C2823H(M+H)の計算値:570.1737;実測値:570.1732。
【0147】
【化56】

大環状ヘキサオキサゾール(258)。CHCl(12mL)中の257(13mg、0.022mmol)および第二世代グラブス触媒(5.8mg、0.007mmol)の1.83mM溶液を、24時間加熱還流した。反応混合物を真空濃縮し、CHCl中5%のMeOHで溶離するクロマトトロンにより精製して、258をオフホワイトの固体3mg(32%)として得た。融点195−197℃(分解);[α]=+2°(c3.7,CHCl);IR(CHCl)3149,1669,1658cm−1H NMR(CDCl,400MHz)δ8.29(d,1H,J=8.4Hz),8.258(s,1H)8.254(s,1H),8.23(s,1H),8.20(s,1H),8.18(s,1H),7.60(m,1H),7.56(s,1H),6.49(d,1H,J=15.6Hz),5.32(m,1H),3.84(ddd,1H,J=2.4,2.8,19.4Hz),3.73(ddd,1H,J=8.4,8.8,20.2Hz),2.39(m,1H),1.02(d,3H,J=6.8Hz),0.94(d,3H,J=6.8Hz);13CNMR(CDCl)δ163.4,163.1,159.1,155.7,154.9,153.9,153.8,140.1,139.0,137.6,137.40,137.38,136.29,136.27,132.7,130.8,130.2,129.0,128.9,127.7,118.0,52.2,33.0,28.8,17.7,17.1;HRMS,C2619H(M+H)の計算値: 542.1424; 実測値: 542.1429。
【0148】
(実施例5)
化合物259の合成
【0149】
【化57】

化合物258(5.5mg、0.01mmol)およびウィルキンソン触媒(4.6mg、0.005mmol)を、撹拌子およびゴム隔膜が装着された丸底フラスコに投入し、高真空下で0.5時間置いた。反応フラスコに水素バルーンを装着し、エタノール(6mL)を添加し、室温で終夜撹拌した。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、8%メタノール/クロロホルムで溶離するクロマトトロンで精製して、淡黄色固体を49%収率で得た。[α]=(−)2.4°(c0.125,CHCl);IR(ニート)3381,1655cm−1HNMR(CDCl,400MHz)δ8.61(d,1H,J=8.4Hz),8.20(s,1H)8.14(s,2H),8.10(s,1H),8.07(s,1H),7.42(s,1H),5.28(m,1H),2.94(m,1H),2.85(m.1H),2.64(m,3H),2.42(m,1H),2.35(m,1H),1.04(d,3H,J=6.8Hz),0.97(d,3H,J=6.8Hz);HRMS,C2621H(M+H)の計算値: 544.1575; 実測値: 544.1571。
【0150】
(実施例6)
リシンテルオキサゾール中間体309の合成
本発明の化合物を調製するために使用され得るリシンテルオキサゾール中間体は、次のように調製できる。
【0151】
a.化合物301(NBoc−Cbzリシン)の合成
【0152】
【化58】

N−α−Cbz−(S)−リシン(5g、17.85mmol)を、THF(50mL)および水(50mL)の混合物に溶解した。これに、重炭酸ナトリウム(3g、35.5mmol、2当量)およびTHF(50mL)中のBocO(9g、41mmol、2.3当量)の溶液を添加した。室温で終夜撹拌後、THFを減圧下で除去し、得られた水溶液を2NのHClで中和した。これを酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して透明油とした。クーゲルロール(Kugelrohr)蒸留による過剰なBocOの除去により、重量6.8gの濃厚な透明油100%がもたらされた。H NMR(CDCl)δ11.6(s,1H),7.32(s,5H),6.36(s,1H),5.75(d,1H,J=8),5.09(s,2H),4.37(m,1H),3.06(m,2H),1.78(m,2H),1.53(s,4H),1.42(s,9H).13CNMR(CDCl)δ174.8,155.4,135.4,127.6,127.3,127.2,78.6,66.1,52.9,39.2,31.0,28.6,27.5,26.6,21.4。
【0153】
b.化合物302の合成
【0154】
【化59】

(DL)−セリンメチルエステル塩酸塩(2.78g、17.85mmol、1当量)、BOP(7.9g、17.85mmol、1当量)および301(6.8g、17.85mmol)を乾燥CHCN(100mL)に溶解した。これにトリエチルアミン(6.2mL、44.6mmol、2.5当量)を添加し、反応物を室温で終夜撹拌した。次いで、溶媒を真空除去し、残留物を酢酸エチルに溶かした。これを、ブライン、2NのHCl、0.5NのNaHCO、水およびブラインで連続的に洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、重量8.6gの透明油100%とした。H NMR(CDCl)δ7.50(m,1H),7.31(s,5H),6.12(m,1H),5.06(m,3H),4.63(m,1H),4.30(m,1H),3.94(m,2H),3.71(s,3H),3.07(m,2H),1.63(m,2H),1.43(m,11H).13CNMR(CDCl)δ171.6,170.3,170.0,155.7,135.3,127.6,127.2,127.1,78.3,66.1,61.6,53.8,51.7,51.7,39.0,31.4,31.2,28.5,27.5,21.5.IR(薄膜,NaCl)3336,3068,3014,2981,2937,2866,1693,1525,1455,1392,1366,1250,1170,1061,912,849,755,698,666cm−1
【0155】
c.化合物303(リシンオキサゾリン)の合成
【0156】
【化60】

化合物302(8.6g、17.85mmol)を乾燥CHCl(40mL)に溶解し、アルゴン下に置いた。−78℃に冷却後、DAST(3.5mL、26.8mmol、1.5当量)を添加した。低温で4時間撹拌後、固体KCO(3.7g、26.8mmol、1.5当量)を添加し、反応物を室温に加温した。反応混合物を飽和NaHCOに注ぎ入れ、層を分離した。水層をCHClでさらに抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下での溶媒の除去により、オキサゾリンを重量8.3gの橙色の油99%として得た。H NMR (CDCl)δ7.34(s,5H),5.67(t,1H,J=9),5.10(s,2H),4.73(m,2H)4.46(m,3H),3.77(s,3H),3.00(m,2H),1.75(m,2H),1.42(s,13H).13CNMR(CDCl)δ170.4,170.3,169.2,168.8,155.2,154.9,135.4,127.6,127.2,78.1,69.4,69.2,66.9,66.8,66.0,51.8,48.2,39.3,31.9,31.8,28.6,27.5,21.3,21.1.IR(薄膜,NaCl)3349,3069,3034,2981,2953,2866,2249,1705,1666,1519,1455,1439,1392,1366,1337,1249,1174,1060,988,912,848,777,733,698,647cm−1
【0157】
d.化合物304(リシンオキサゾール)の合成
【0158】
【化61】

化合物303(8.3g、17.85mmol)を乾燥CHCl(40mL)に溶解し、アルゴン下に置いた。これを0℃に冷却し、DBU(5.3mL、35.7mmol、2当量)およびBrCCl(4.2mL、42.8mmol、2.4当量)で連続的に滴下処理した。反応混合物の色が橙色から暗褐色に変化したら、室温に終夜加温した。次いで、これを飽和塩化アンモニウムの溶液に注ぎ入れ、CHClで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して褐色油とした。1〜5%のメタノール/クロロホルムを用いるSiOでこれをフラッシュクロマトグラフィーにかけ、生成物を重量7.0gの琥珀色の油85%として得た。H NMR(CDCl)δ8.18(s,1H),7.31(m,6H),5.71(d,1H,J=8),5.10(s,2H),5.00(m,1H),4.61(M,1H),3.90(s,3H),3.08(m,2H),1.90(m,2H),1.41(m,12H).13CNMR(CDCl)δ164.1,160.5,155.2,154.9,143.1,135.3,132.4,127.6,127.3,127.2,78.3,76.4,66.3,51.3,48.5,39.1,32.7,28.6,27.5,21.5.IR(薄膜,NaCl)3337,3167,3069,3034,2975,2952,2866,2250,1705,1585,1523,1455,1439,1392,1366,1325,1249,1170,1111,1044,1002,912,863,805,733,698,647cm−1
【0159】
e.化合物305(リシンオキサゾール酸)の合成
【0160】
【化62】

化合物304(7.0g、15.23mmol)を、THFおよび水(40mL)の3:1混合物に溶解し、0℃に冷却した。これにLiOH(767mg、18.3mmol、1.2当量)を添加し、反応物を室温に終夜加温した。真空下で溶媒を除去後、pHが弱酸性になるまで1NのHCl(22mL)を添加した。これを酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、有機相を濃縮して、重量5.9gの淡黄色の粘着性固体87%とした。融点 65−67℃.HNMR(CDCl)δ12.39(s,1H),8.17(s,1H),7.25(m,6H),6.52(m,1H),5.08(m,3H),4.69(m,1H),3.09(m,2H),1.92(m,2H),1.42(s,12H).13CNMR(CDCl)δ165.1,162.7,155.3,143.7,135.3,132.5,128.2,127.6,127.3,127.2,124.4,78.5,66.2,48.5,39.1,32.7,28.5,27.5,21.6.IR(薄膜,NaCl)3321,2934,2551,2250,1701,1527,1455,1367,1251,1164,1111,1045,982,911,860,732,697,947cm−1.HRMS(FAB)m/z,C2229Li(M+Li)の計算値 455.2194; 実測値, 455.2179。
【0161】
f.化合物306(TIPSビスオキサゾール)の合成
【0162】
【化63】

TIPSオキサゾール315(合成は以下で概説する)(3.58g、10.47mmol)を乾燥CHCl(20mL)に溶解し、アルゴン下に置いた。これに、新たに蒸留した2,6−ルチジン(6.1mL、52.4mmol、5当量)を添加し、フラスコを0℃に冷却した。次いで、CHCl(40mL)中の、305(4.68g、10.47mmol、1当量)、EDC(4.02g、20.94mmol、1.2当量)およびHOBT(2.83g、20.94mmol、1.2当量)の溶液を添加した。反応物を室温に終夜加温し、次いで溶媒を減圧下で除去した。残留物を酢酸エチルに溶かし、飽和NaHCO、5%のHCl、水およびブラインで連続的に洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、重量7.04gの橙色の油87%とした。H NMR (CDCl) δ8.20(s,1H),8.10(s,1H),7.39(d,1H,J=8),7.35(s,6H),5.66(d,1H,J=8),5.46(dt,1H,J=5,8),5.11(s,2H),4.97(dt,1HJ=7,7),4.67(dd,1HJ=4,10),4.20(m,3H),3.79(s,3H),3.90(m,2H),1.90(m,2H),1.42(m,11H),1.02(m,21H).13CNMR(CDCl)δ163.0,162.5,160.6,159.2,155.2,154.9,143.2,140.6,135.3,134.7,132.6,127.6,127.3,127.3,97.4,78.5,66.3,63.9,51.2,48.4,39.2,32.5,28.7,27.5,21.5,17.2,16.9,12.1,11.5,10.9.IR(薄膜,NaCl)3295,3034,2944,2866,2250,1712,1599,1520,1461,1391,1366,1324,1249,1204,1171,1115,1045,998,912,883,843,803,733,684,647cm−1.HRMS(FAB)m/z,C385710SiLi(M+Li)の計算値 778.4029; 実測値 778.4053。
【0163】
g.化合物307(リシンビスオキサゾール)の合成
【0164】
【化64】

化合物306(7.2g、9.3mmol)をTHF(50mL)およびピリジン(10mL)に溶解した。これをHF−ピリジン錯体(3mL)で滴下処理し、この間にガスが発生した。反応物を室温で18時間撹拌し、次いで飽和NaHCOにゆっくり注ぎ入れた。これをクロロホルムで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮し、トルエンと共沸させた後、生成物が重量5.76gの橙色の油100%として得られた。H NMR(CDCl)δ9.09(d,1H,J=7),8.26(s,1H),8.21(s,1H),7.30(m,6H),6.63(d,1H,J=9),5.46(m,1H),5.08(s,2H),4.68(m,2H),4.26(m,2H),3.86(s,3H),3.07(m,2H),1.43(s,12H).13CNMR(CDCl)δ162.9,162.8,160.8,155.2,143.4,143.2,135.4,134.4,132.1,128.2,127.7,127.3,127.2,124.4,78.3,66.2,63.8,61.9,51.5,51.3,49.4,47.5,39.3,32.2,31.2,28.5,27.5,21.7.IR(薄膜,NaCl)3307,3034,2945,2867,2250,1712,1599,1519,1456,1392,1367,1324,1249,1170,1113,1001,911,863,805,732,697,647cm−1
【0165】
h.化合物308の合成
【0166】
【化65】

化合物307(2.76g、9.3mmol)を乾燥CHCl(40mL)に溶解し、アルゴン下に置いた、−78℃に冷却後、DAST(1.8mL、13.95mmol、1.5当量)を添加し、反応物を低温で4時間撹拌した。これに続いて固体KCO(1.9g、13.95mmol、1.5当量)を添加し、混合物を室温に加温した。溶液を飽和NaHCOに注ぎ入れ、CHClで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、重量5.58gの橙色の油100%を得た。H NMR (CDCl)δ8.25(s,1H),8.20(s,1H),8.11(d,1H,J=3),7.91(d,1H,J=10),7.33(s,5H),5.71(d,1H,J=9),5.53(m,1H),5.10(s,2H),4.87(m,2H),4.62(m,1H),3.91(s,3H),3.07(m,2H),1.85(m,2H),1.41(s,14H).13CNMR(CDCl)δ164.5,163.0,162.5,162.1,160.4,159.3,155.2,144.0,143.2,140.9,135.3,134.7,132.4,129.1,127.6,127.3,127.2,78.3,69.8,66.2,63.8,62.8,51.3,48.4,39.2,35.5,32.9,28.7,27.5,21.5,12.8.IR(薄膜,NaCl)3323,3155,3034,2944,2867,2248,1713,1584,1522,1456,1391,1366,1322,1249,1171,1111,1044,995,914,885,804,775,733,698,646cm−1
【0167】
i.化合物309(リシンテルオキサゾール)の合成
【0168】
【化66】

化合物308(5.58g、9.3mmol)を乾燥CHCl(40mL)に溶解し、アルゴン下に置いた。フラスコを0℃に冷却し、DBU(2.8mL、18.6mmol、2当量)およびBrCCl(2.2mL、22.3mmol、2.4当量)をいずれも滴下添加した。これを室温に終夜加温し、次いで飽和塩化アンモニウム溶液に注ぎ入れた。層を分離し、水性物をCHClで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して褐色油とした。1〜2%のメタノール/クロロホルムを用いるSiOでのフラッシュクロマトグラフィーにより、濃黄色油を得た。カラムから得られた生成物を、ベンゼンから再結晶させて、重量2.52gの白砂様の結晶46%を得た。融点 135−137℃;旋光度[α]22=−37°(c=1g/100mL、CHCl中).HNMR(CDCl)δ8.44(s,1H),8.34(s,1H),8.31(s,1H),7.35(m,5H),5.68(d,1H,J=8),5.12(s,2H),5.04(m,1H),4.61(m,1H),3.95(s,3H),3.10(m,2H),1.98(m,2H),1.41(s,14H).13CNMR(CDCl)δ164.7,160.4,155.2,155.1,155.0,154.5,143.4,143.0,139.8,138.7,138.5,135.2,133.6,130.0,128.9,127.6,127.4,127.3,127.3,78.3,66.3,57.6,51.4.48.6,39.1,32.7,28.7,27.5,21.5.IR(ヌジョール)3325,3156,3117,1721,1689,1644,1578,1518,1377,1327,1247,1116,999,976,816,805,775,725cm−1
HRMS (FAB)m/z, C2933Li (M+Li)の計算値 602.2433; 実測値 602.2436。
【0169】
上記ステップfで使用した中間体化合物315は、次のように調製した。
【0170】
p.化合物310の合成
【0171】
【化67】

Boc−O−ベンジル−L−セリン(4.13g、14mmol)、セリンメチルエステル(2.18g、14mmol)およびBOP(6.19g、14mmol)を、CHCN(40mL)に溶解した。次いでトリエチルアミン(4.2mL、30.8mmol、2.2当量)を添加した。反応物を室温で終夜撹拌した。溶媒を除去し、残留物をCHClに溶解し、ブライン、2NのHCl、0.5NのNaHCO、水およびブラインで連続的に洗浄した。有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濃縮して、重量5.54gの透明油100%とした。H NMR(CDCl)δ7.31(s,6H),5.49(d,1H,J=6),4.64(m,1H),4.55(s,2H),4.31(m,1H),3.88(dd,1HJ=5,10),3.75(s,3H),3.63(dd,1HJ=6,10),2.96(brs,1H),1.44(s,9H).13CNMR(CDCl)δ170.5,170.3,155.5,137.2,128.3,127.8,127.8,127.7,80.5,73.3,69.8,69.4,62.6,62.4,60.3,54.8,52.5,28.1.IR(薄膜NaCl)3419,3065,3032,2979,2954,2871,2251,1670,1498,1455,1439,1392,1368,1248,1167,1105,1027cm−1.HRMS(FAB)m/z,C1928Li(M+Li)の計算値403.2057;実測値,403.2052。
【0172】
q.化合物311(セリンオキサゾリン)の合成
【0173】
【化68】

化合物310(5.54g、14mmol)をCHCl(20mL)に溶解し、アルゴン下に置いた。−78℃に冷却後、DAST(2.8mL、21.4mmol、1.5当量)を添加し、反応物を低温で2.5時間撹拌した。次いでKCO(2.9g、21.4mmol、1.5当量)を添加し、反応物を室温に加温した。これを飽和NaHCOに注ぎ入れた。層を分離し、水性物をCHClで抽出した。有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濃縮して、重量5.28gの橙色の油99%とした。H NMR (CDCl)δ7.50(m,5H),5.66(m,1H),4.99(dd,1H,J=8,10),4.71(m,5H),3.96(m,5H),1.64(s,9H).13CNMR(CDCl)δ170.2,167.4,154.3,136.9,134.2,127.5,126.8,126.6,79.0,72.2,69.2,69.0,67.2,67.1,52.5,51.7,48.5,24.7.IR(ニートNaCl)3384,3063,3030,2977,2870,1709,1666,1506,1454,1367,1322,1166,1109,1051cm−1
【0174】
r.化合物312(Boc−O−ベンジルセリンオキサゾール)の合成
【0175】
【化69】

CHCl(20mL)中のオキサゾリン311(5.28g、14mmol)をアルゴン下に置き、0℃に冷却した。DBU(3.2mL、2mmol、1.6当量)を滴下添加すると、溶液は黄色に変化した。次いでBrCCl(2.2mL、22.4mmol)を滴下添加すると、溶液は褐色になった。これを室温に終夜加温し、次いで飽和塩化アンモニウムに注ぎ入れた。水層をCHClで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮して褐色油とした。15〜50%のEtOAc/ヘキサンを用いるSiOでこれをフラッシュクロマトグラフィーにかけた。生成物が透明油3.10g、59%として得られた。[α]25−33.35(c=2g/100mL、EtOH中).HNMR(CDCl)δ8.36(s,1H)7.41(m,5H),5.76(d,1H,J=8),5.30(m,1H),4.66(s,2H),4.07(m,3H),3.97(m,2H),1.61(s,9H).13CNMR(CDCl)δ163.4,161.3,154.9,144.0,137.2,133.3,128.2,127.7,127.4,80.1,73.1,70.3,52.0,49.2,28.1.IR(薄膜NaCl)3351,3163,3064,3031,2978,2953,2870,2251,1717,1585,1499,1454,1439,1392,13677,1324,1251,1202,1168,1112,1047,1001cm−1
【0176】
s.化合物313(Bocセリンオキサゾールアルコール)の合成
【0177】
【化70】

化合物312(3.10g、8.24mmol)をメタノール(50mL)に溶解し、20%の水酸化パラジウム炭素(500mg)を反応槽に添加した。これをパール水素化装置内40psiで72時間水素化した。反応混合物をメタノールで洗浄しながらセライトに通して濾過した。濾液を濃縮して、重量1.71gの透明油75%とした(若干の物質が水素化装置内で消失した)。H NMR(CDCl)δ8.21(s,1H),5.67(s,1H),5.02(s,1H),3.96(m,5H),1.45(s,9H).13CNMR(CDCl)δ143.5,79.7,62.8,51.4,49.8,27.4IR(薄膜,NaCl)3364,2979,2251,1716,1585,1519,1456,1440,1393,1368,1324,1252,1168,1112,1061,1001,915,861,804,774,733cm−1
【0178】
t.化合物314(Boc−O−TIPSセリンオキサゾール)の合成
【0179】
【化71】

化合物313(1.71g、6mmol)を乾燥DMF(15mL)に溶解し、イミダゾール(1.02g、15mmol、2.5当量)をフラスコに添加した。これをアルゴン下に置き、TIPS−Cl(1.52mL、7.2mmol、1.2当量)で処理した。反応物を室温で終夜撹拌し、次いで水に注ぎ入れた。これを酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮により黄色油を得、5〜15%の酢酸エチル/ヘキサンを用いるSiOでこれをフラッシュクロマトグラフィーにかけた。これを濃縮して、重量1.9gの透明油72%とした。H NMR(CDCl)δ8.20(s,1H),5.58(d,1H,J=8),5.03(m,1H),4.09(dq,2H,J=3,19),3.92(s,3H),1.17(m,3H),1.07(s,9H),1.02(m,18H).13C NMR(CDCl)δ169.3,169.1,163.0,160.7,143.1,132.5,79.3,64.1,51.3,50.4,27.4,17.0,11.5.IR(薄膜NaCl)3447,3353,3159,3112,2944,2892,2867,2756,2723,2251,1720,1585,1500,1463,1391,1367,1324,1250,1171,1113,1068,998,920,882,804,766,733,684,660cm−1
【0180】
u.化合物315(TIPSセリンオキサゾールアミン)の合成
【0181】
【化72】

化合物314(1.9g、4.3mmol)をCHCl(5mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いでTFA(5mL)を添加し、反応物を乾燥管下で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、ベンゼンと2回共沸させた。残留物をCHClに溶解し、飽和NaHCOに注ぎ入れた。層を分離し、水層をCHClで抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、重量1.43gの淡黄色油97%とした。H NMR(CDCl)δ8.21(s,1H),4.21(t,1H,J=5),4.04(d,1H,J=5),3.92(s,3H),3.74(d,1H,J=3),2.23(s,2H),1.02(m,21H).13C NMR(CDCl)δ165.7,160.8,143.1,132.3,65.5,55.6,51.5,16.9,10.9.IR(薄膜,NaCl)3376,3315,3168,2944,2893,2866,2762,2726,2625,2247,1744,1673,1583,1514,1463,1439,1384,1367,1345,1323,1203,1110,1069,998,918,883,841,803,769,733,683,660,647cm−1
【0182】
(実施例7)
エチルアミンテルオキサゾール中間体409の合成
本発明の化合物を調製するために使用され得るエチルアミンテルオキサゾール中間体は、次のように調製できる。
a.化合物401の合成
【0183】
【化73】

THF/水の混合物(100mL、1:1)中のZ−L−2,4−ジアミノ酪酸(5.0g、19.8mmol)の懸濁液に、重炭酸ナトリウム(3.3g、39.6mmol、2.0当量)を添加し、15分間撹拌した。次いで、THF(50mL)中のBocO(9.9g、45.5mmol、2.3当量)の溶液を添加し、室温で終夜撹拌した。反応混合物を濃縮し、pHを2NのHClでpH約2に調整した。これを酢酸エチルで抽出し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して透明油とした。油性残留物をクーゲルロール上に置き、過剰のBocOを85℃で2時間除去して、重量6.5gの濃厚な透明油(93%)を得た。H NMR(CDOD)δ7.31(m,5H),5.09(s,2H),4.20(dd,1H,J=9.2,4.4),3.12(m,2H),2.02(m,1H),1.78(m,1H),1.42(s,9H);13C NMR(CDOD)δ174.3,157.3,157.1,136.8,128.1,127.6,127.4,78.8,66.3,51.7,36.7,31.6,27.4。
【0184】
b.化合物402の合成
【0185】
【化74】

Z−dab(Boc)−OH(401、6.3g、17.9mmol)、(DL)−セリンメチルエステル塩酸塩(2.8g、17.9mmol)およびBOP(8.7g、19.7mmol、1.1当量)の混合物をDMF(50mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(6.8mL、39.4mmol、2.2当量)とともに室温で8時間撹拌した。反応混合物をクーゲルロールで濃縮し、酢酸エチル(250mL)で希釈し、20%のクエン酸水溶液(80mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して、重量8.0gの泡状物様の粘着性化合物(99%)を得た。H NMR(CDOD)δ7.34(m,5H),6.54(m,1H),5.10(s,2H),4.51(m,1H),4.23(m,1H),3.88(m,2H),3.72(s,3H),3.17(m,2H),1.98(m,1H),1.79(m,1H),1.43(s,9H);13C NMR(CDOD)δ173.1,170.7,157.1,136.7,128.1,127.6,127.4,78.8,66.4,61.3,54.8,52.8,51.8,36.6,32.3,27.4。
【0186】
c.化合物403の合成
【0187】
【化75】

化合物402(8.0g、17.6mmol)を無水CHCl(30mL)に溶解し、窒素下に置いた。−78℃に冷却後、DAST(3.47mL、26.5mmol、1.5当量)を30分間かけて添加し、同じ温度で4時間撹拌した。次いで固体KCO(3.65g、26.5mmol、1.5当量)を添加し、1時間撹拌し、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ入れた。水層をCHCl(2*100mL)で抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、重量7.60gの油性化合物(99%)を得た。H NMR (CDCl)δ7.21(m,5H),6.16(m,1H),5.29(m,1H),4.98(s,2H),4.60(m,1H),4.35(m,3H),3.62(s,3H),3.16(m,2H),1.91(m,1H),1.74(m,1H),1.32(s,9H);13C NMR(CDCl)δ170.3,169.0,155.2,154.9,135.3,127.5,127.1,127.0,77.9,69.3,66.7,65.9,51.6,46.3,35.5,32.3,27.4。
【0188】
d.化合物404の合成
【0189】
【化76】

窒素雰囲気下、無水CHCl(50mL)中の403(7.82g、17.9mmol)の溶液を−5℃に冷却し、シリンジポンプを使用してDBU(5.38mL、35.9mmol、2.0当量)、続いてBrCCl(4.25mL、43.1mmol、2.4当量)を1時間かけて添加した。反応混合物の色が橙色から暗褐色に変化したら、室温に終夜加温した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で希釈し、CHClを減圧下で除去した。水層を酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して褐色残留物とした。45%酢酸エチル/ヘキサンで溶離するフラッシュクロマトグラフィーにより残留物を精製して、重量5.44gの琥珀色の油(70%)を得た。融点 113−115℃; H NMR(CDCl)δ8.07(s,1H),7.19(s,5H),6.36(d,1H,J=7.8),5.18(m,1H),4.97(m,3H),3.74(s,3H),3.20(m,1H),3.03(m,1H),1.99(m,2H),1.29(s,9H);13C NMR(CDCl)δ163.8,160.4,155.3,155.1,143.3,135.2,132.1,127.5,127.1,127.0,78.2,66.1,51.1,46.3,35.7,32.9,27.4。
【0190】
e.化合物405の合成
【0191】
【化77】

化合物404(5.4g、12.5mmol)をTHF/水の3:1混合物(40mL)に溶解し、0℃に冷却した。これにLiOH(628mg、14.9mmol、1.2当量)を添加し、室温で3時間撹拌した。反応混合物を濃縮してTHFを除去し、エーテルで希釈した。エーテル層をデカントし、水層を2NのHCl(約pH2)で酸性化し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、重量4.96gの白色固体(95%)を得た。融点 52−53℃; HNMR(CDCl)δ9.01(s,1H),8.13(s,1H),7.26(s,5H),6.48(d,1H,J=8.4),5.05(m,4H),3.13(m,2H),2.12(m,2H),1.38(s,9H);13CNMR(CDCl)δ164.3,162.4,155.4,143.9,135.1,132.3,127.5,127.2,127.1,78.8,66.3,46.4,35.7,33.2,27.4。
【0192】
f.406の合成
【0193】
【化78】

化合物204(5.5g、19.9mmol)をEtOH/THF(3:1、300mL)に溶解し、TFA(6.14mL、79.7mmol、4.0当量)、続いてPd(OH)(2.0g)を添加し、水素雰囲気下室温で24時間撹拌した。反応混合物をセライトに通して濾過し、濾液を真空下で濃縮した。残留物を高真空下でさらに乾燥させて、重量3.6gの粘着性褐色固体(97%)を得た。H NMR(CDOD)δ8.65(s,1H),4.73(t,1H,J=4.8),4.07(d,2H,J=4.6),3.89(s,3H);13C NMR(CDOD)δ161.6,159.3,146.1,133.0,60.0,51.6,50.5。
【0194】
g.化合物407の合成
【0195】
【化79】

窒素雰囲気下0℃のDMF(25mL)中の406(2.2g、11.8mmol)および2,6−ルチジン(6.85mL、59.0mmol、5.0当量)の溶液に、DMF(45mL)中の、405(4.95g、11.8mmol)、HOBT(3.21g、23.6mmol、2.0当量)、EDC(4.53g、23.6mmol、2.0当量)の溶液を添加し、室温で16時間撹拌した。反応混合物をクーゲルロールで濃縮し、20%のクエン酸(100mL)で希釈し、酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機層を、飽和重炭酸ナトリウム溶液(3*100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、重量6.83gの褐色固体(98%)を得た。H NMR(CDOD)δ8.53(s,1H),8.34(s,1H),7.32(s,5H),6.60(m,1H),5.36(t,1H,J=5.3),5.10(s,2H),4.90(m,1H),4.05(d,2H,J=5.6),3.86(s,3H),3.16(m,2H),2.12(m,2H),1.41(s,9H);13C NMR(CDOD)δ164.3,163.2,161.6,161.2,156.9,145.1,142.3,136.6,135.4,132.8,128.2,127.8,127.6,78.8,66.6,61.9,60.2,51.4,49.6,36.7,32.8,27.6。
【0196】
g.化合物408の合成
【0197】
【化80】

化合物407(6.83g、11.6mmol)を無水CHCl(60mL)に溶解し、窒素下に置いた。−78℃に冷却後、DAST(2.28ml、17.4mmol、1.5当量)を30分間かけて添加し、同じ温度で4時間撹拌した。次いで固体KCO(2.40g、17.4mol、1.5当量)を添加し、1時間撹拌し、反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液に注ぎ入れた。水層をCHClで抽出し、合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、重量6.1gの油性化合物(92%)を得た。H NMR(CDCl)δ8.15(s,1H),8.02(s,1H),7.26(s,5H),5.69(m,1H),5.47(m,1H),4.99(m,4H),4.72(m,2H),3.84(s,3H),3.24(m,1H),3.04(m,1H),2.12(m,1H),1.88(m,1H),1.34(s,9H)。
【0198】
h.化合物409の合成
【0199】
【化81】

窒素雰囲気下、無水CHCl(50mL)中の408(6.1g、10.7mmol)の溶液を−5℃に冷却し、シリンジポンプを使用してDBU(3.2mL、21.4mmol、2.0当量)、続いてBrCCl(2.5mL、25.7mmol、2.4当量)を0.5時間かけて添加した。反応混合物の色が橙色から暗褐色に変化したら、析出を開始した。これに無水CHCl(100mL)を添加し、室温に終夜加温した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液で希釈し、CHClを減圧下で除去した。水層をクロロホルムで抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して褐色残留物とした。
【0200】
(実施例8)
下記は、ヒトにおける治療的または予防的使用のための、式Iの化合物(「化合物X」)を含有する代表的な医薬剤形を説明するものである。
【0201】
【表1】

上記の製剤は、薬学分野において既知である従来の手順によって得ることができる。
【0202】
すべての刊行物、特許および特許文献は、参照により個々に組み込まれるかの如く、参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、様々な特定のおよび好ましい実施形態および技術を参照して記載されている。しかしながら、本発明の趣旨および範囲内のまま、多くの変形および修正が為され得ることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化82】

[式中、
AおよびBのうちの一方は−CH(R)CH(R)C(R)(R)−であり、
AおよびBのうちの他方は、
【化83】

−CH(R)NHC(=O)−または−CH(Rb’)CH(Rc’)C(Rd’)(Re’)−であり、
FおよびGのうちの一方はXであり、他方はC(R)であり、
各Xは、独立に、NH、SまたはOであり、
FおよびGを含有する環中の点線は、該環中に2個の二重結合が存在することを示し、その位置は、FおよびGについて選択される値によって決まり、
nおよびn’は、それぞれ独立に、1、2、3、4および5を表し、但し、nとn’の和は6であり、
は、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルコキシまたは(C〜C)アルカノイルオキシを表し、ここで、各(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルコキシおよび(C〜C)アルカノイルオキシは、OH、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、NRまたは−C(=O)NRで場合によって置換されており、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、ハロ、ヒドロキシ、(C〜C)アルキル、NRおよびNR(C〜C)アルキル−から独立に選択される1または2個の置換基で場合によって置換されており、
およびRは、それぞれ水素を表すか、あるいはRおよびRは、一緒になって結合または−O−を表し、
およびRは、一緒になって(=O)を表すか、あるいはRは水素を表し、Rは、水素、ヒドロキシ、(C〜C)アルカノイルオキシ、NR、CHC(=O)ORまたはCHC(=O)NRを表し、ここで、各(C〜C)アルカノイルオキシは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
b’およびRc’は、それぞれ水素を表すか、あるいはRb’およびRc’は、一緒になって結合または−O−を表し、
d’およびRe’は、一緒になって(=O)を表すか、あるいはRd’は水素を表し、Re’は、水素、ヒドロキシ、(C〜C)アルカノイルオキシ、NR、CHC(=O)ORまたはCHC(=O)NRを表し、ここで、各(C〜C)アルカノイルオキシは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれは、独立に、水素、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルカノイルであり、該(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、該(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、該(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
、RおよびRのそれぞれは、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、各(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルコキシは、OH、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルチオ、アリール、NRまたは−C(=O)NRで場合によって置換されており、ここで、各アリールまたはヘテロアリールは、ハロゲン原子および(C〜C)アルキルから独立に選択される1または2個の置換基で場合によって置換されており、ここで、(C〜C)アルキルはNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、該(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれは、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、該(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
は水素または(C〜C)アルキルであり、該(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれは、独立に、水素、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルカノイルであるか、あるいはRおよびRは、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成する]
またはその塩。
【請求項2】
AおよびBのうちの一方が−CH(R)CH(R)C(R)(R)−であり、
AおよびBのうちの他方が、
【化84】

−CH(R)NHC(=O)−または−CH(Rb’)CH(Rc’)C(Rd’)(Re’)−であり、
FおよびGの一方がXであり、他方がC(R)であり、
各Xが、独立に、NH、SまたはOであり、
FおよびGを含有する環中の点線が、該環中に2個の二重結合が存在することを示し、その位置は、FおよびGについて選択される値によって決まり、
nおよびn’が、それぞれ独立に、1、2、3、4および5を表し、但し、nとn’の和は6であり、
が、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシまたは(C〜C)アルカノイルオキシを表し、ここで、各(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシおよび(C〜C)アルカノイルオキシは、OH、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルチオ、アリール、ヘテロアリール、NRまたは−C(=O)NRで場合によって置換されており、ここで、各アリールおよびヘテロアリールは、ハロ、(C〜C)アルキル、NRおよびNR(C〜C)アルキル−から独立に選択される1または2個の置換基で場合によって置換されており、
およびRが、それぞれ水素を表すか、あるいはRおよびRが、一緒になって結合または−O−を表し、
およびRが、一緒になって(=O)を表すか、あるいはRが水素を表し、Rが、水素、ヒドロキシ、(C〜C)アルカノイルオキシ、NR、CHC(=O)ORまたはCHC(=O)NRを表し、ここで、各(C〜C)アルカノイルオキシは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
b’およびRc’が、それぞれ水素を表すか、あるいはRb’およびRc’が、一緒になって結合または−O−を表し、
d’およびRe’が、一緒になって(=O)を表すか、あるいはRd’が水素を表し、Re’が、水素、ヒドロキシ、(C〜C)アルカノイルオキシ、NR、CHC(=O)ORまたはCHC(=O)NRを表し、ここで、各(C〜C)アルカノイルオキシは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれが、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、該(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRが、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれが、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、該(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRが、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれが、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、該(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRが、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
、RおよびRのそれぞれが、独立に、水素、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールであり、ここで、各(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルコキシは、OH、(C〜C)アルコキシ、(C〜C)アルキルチオ、アリール、NRまたは−C(=O)NRで場合によって置換されており、ここで、各アリールまたはヘテロアリールは、ハロゲン原子および(C〜C)アルキルから独立に選択される1または2個の置換基で場合によって置換されており、ここで、(C〜C)アルキルはNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれが、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRが、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
およびRのそれぞれが、独立に、水素または(C〜C)アルキルであり、その(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されているか、あるいはRおよびRが、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成し、
が水素または(C〜C)アルキルであり、該(C〜C)アルキルは、1個または複数のNRで場合によって置換されており、
およびRのそれぞれが、独立に、水素、(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルカノイルであるか、あるいはRおよびRが、それらが結合した窒素と一緒になって、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、チオモルホリノまたはアゼピノ環を形成する、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nおよびn’がそれぞれ3を表す、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式:
【化85】

【化86】

【化87】

【化88】

から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
式(Ia’):
【化89】

から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
式(Ig’):
【化90】

から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
式(Ih’):
【化91】

から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
各XがOである、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
各Rが水素である、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
各Rが水素である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が、水素、メチル、イソプロピル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ベンジル、4−ヒドロキシベンジル、4−ヨードベンジル、4−アミノベンジルおよび4−(2−N,N−ジメチルアミノエチルアミノ)ベンジルから選択され、
およびRが、一緒に結合であり、
が水素であり、
が、水素、ヒドロキシ、CHC(=O)OCH、CHC(=O)N(CHまたはCHC(=O)NHCHCHN(CHである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
b’およびRc’が、一緒に結合であり、
d’が水素であり、
e’が、水素、ヒドロキシ、CHC(=O)OCHもしくはCHC(=O)N(CH、またはCHC(=O)NHCHCHN(CHである、
請求項1から5および請求項11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
がアルキルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
がイソプロピルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
が(C〜C)アルキルまたは(C〜C)アルケニルであり、ここで、各(C〜C)アルキルおよび(C〜C)アルケニルは、NRで場合によって置換されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
が、アミノメチル、2−アミノエチル、3−アミノプロピルまたは4−アミノブチルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
およびRが水素である、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
【化92】

またはその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
【化93】

またはその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
【化94】

またはその塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項22】
癌を治療するための治療法であって、そのような療法を必要とする哺乳動物に、有効量の請求項1から20のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む治療法。
【請求項23】
G−四重鎖DNAを安定化するための方法であって、該G−四重鎖DNAを請求項1から20のいずれか一項に記載の式Iの化合物またはその塩と接触させるステップを含む方法。
【請求項24】
医学的療法において使用するための、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項25】
哺乳動物における癌の治療に有用な薬剤の製造のための、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項26】
癌の予防的または治療的処置において使用するための、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項27】
前記癌が、鼻咽頭癌、乳癌、膵癌、白血病、急性白血病、卵巣癌、結腸癌、頭頸部癌である、請求項25に記載の使用。
【請求項28】
前記癌が、鼻咽頭癌、乳癌、膵癌、白血病、急性白血病、卵巣癌、結腸癌、頭頸部癌である、請求項26に記載の化合物。

【公表番号】特表2010−535203(P2010−535203A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519260(P2010−519260)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/072023
【国際公開番号】WO2009/018549
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(502155611)ラトガーズ, ザ ステイト ユニバーシティ オブ ニュー ジャージー (8)
【Fターム(参考)】