説明

治療用組成物を塗布するための塗布器システム

組成物および方法は、2つの自由流動性物質を組み合わせてヒドロゲル塊を生成する有用な調合物を形成するために、微孔性粒子のゲル形成特性を用いる。自由流動性物質は、好ましくは、付加的な薬剤を含有し得る乾燥微孔性粒子(好ましくはエアロゾルとして)と、さらなる凝縮および/または反応によってヒドロゲルを形成することができる1種以上の高分子量ポリマーの水溶液である流体物質の第2組成物とを提供する。ヒドロゲルは、好ましくは、2つの組成物を適切な比率で流体として表面上に一緒に噴霧することにより、同表面上に形成され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、創傷または外傷の治療、または外科処置のような意図した治療に由来する創傷または外傷の保護に関する。創傷または外傷の領域に塗布される組成物について記載するとともに、前記組成物を塗布するための方法について記載する。治療には、外科処置からの回復増進の一部として、内部臓器および組織への塗布を含む。
【背景技術】
【0002】
癒着は、内部臓器、骨格または組織に付着する瘢痕様組織の線維帯であり、該線維帯はそれらの線維帯を互いにまたは隣接する構造に固定する。これらの癒着は、腹腔の器官の内側を覆う腹膜組織を損傷または刺激する外科的処置後に形成され得る。多くの場合において、線維帯は、罹患した器官と結合するか、前記器官に絡みつくか、または別の方法で前記器官に干渉し得る。癒着は、多くの場合、組織または器官が医学的処置の間に外傷を受けた後の、自然であるが、長期にわたる治癒過程の間に形成される。そのような外傷を受けた組織は、この回復過程の間にそれらの組織が通常は付着しないであろう表面に癒着し得る。これらの付着は、組織と器官との間に、患者に影響を与える張力を生じさせ得る。
【0003】
癒着の形成を最小限にするために、多くの製品および処置が提案されてきた。腹腔鏡手術または顕微手術のような特殊な外科技術は、癒着の形成を制限するために、内部臓器への外傷を最小限にしようとするものである。
【0004】
抗炎症剤、プロスタグランジンおよび特殊な抗体製剤を用いる薬物治療が用いられているが、限定された効果しか上げていない。これらの投薬計画は、治癒過程を、おそらく繊維瘢痕組織の形成ではなく、健康な腹膜組織の成長に向けるために、損傷および治癒に続く複雑な炎症過程を阻止しようと試みるものである。
【0005】
特許文献1(ミロ(Milo)ら)は、血管における穿刺部位を密閉するために、カテーテルに閉鎖材料を搬送するシステムおよび方法を開示している。閉鎖材料は、混合すると反応を行って固体の閉鎖材料組成物を形成する、第1成分と第2成分との混合物からなる。前記システムおよび方法は、穿刺部位においてインサイチューバリアを生成するために、前記成分の搬送および効果的な混合が容易であることを保証する。材料組成物は機械的バリア(図17参照)を物理的に形成し、該機械的バリアはヒドロゲルとしても特徴付けられる。
【0006】
特許文献2(ソーニー(Sawnhey) ら)は、医療用接着組成物用ヒドロゲルを生成するための新規なポリマー組成物について記載している。カルボナート基またはジオキサノン基から形成された少なくとも1つの加水分解性結合と、少なくとも1つの水溶性ポリマーブロックと、少なくとも1つの重合性基とを含む水溶性マクロマー、並びにその調製方法および使用方法が記載されている。前記マクロマーは、好ましくは、フリーラジカル開始剤を用いて、長波長紫外線励起または可視光線励起の影響下において重合される。伸長オリゴマー(extension oligomers) 内の結合において生分解が生じて、無毒で、身体から容易に除去されるフラグメントを生じる。前記マクロマーは、細胞を包封するため、予防薬、治療薬、または診断用薬剤を制御された方法で送達するため、組織内の漏れを塞ぐため、外科処置後の癒着形成を防止するため、組織表面を一時的に保護または分離するため、および組織同士を付着または封着するために用いられる。
【0007】
特許文献3(ハベル(Hubbell) ら)は、ヒドロゲルを形成するために重合され得る生体適合性の生分解性マクロマーを開示している。前記マクロマーは、生分解性ブロックと、マクロマーを水溶性にするために十分な親水性特性を備えた水溶性ブロックと、1つ以上の重合性基とを含むブロックコポリマーである。重合性基は少なくとも1つの分解性基によって互いから分離されており、特許文献3は特に、生分解性ポリマーブロックとして、ポリラクチド、ポリグリコリドおよびポリカプロラクトンのようなポリヒドロキシ酸を用いることを開示している。前記マクロマーについて開示された用途のうちの1つは、組織内の漏れを塞ぐか、または封止することである。
【0008】
他のヒドロゲルは、例えば、特許文献4(ダン(Dunn)ら)、特許文献5および特許文献6(コーン(Cohn)ら);特許文献7および特許文献8(デ ルーカ(De Luca) ら);特許文献9(スッグス(Suggs) ら);および特許文献10(ノウィンスキー(Nowinski)ら)に記載されている。そのようなポリマーを用いる方法は、特許文献11(ハベル(Hubbell) ら)および特許文献12(フォーカル(Focal) )に記載されている。
【0009】
多くの参考文献が、縫合糸、縫合糸コーティングおよび薬剤送達装置のような固体の医療器具を形成するために、カーボネート結合を含むホモポリマーおよびコポリマーを用いることを開示している(例えば、特許文献13(ホステットラー(Hostettler)ら);特許文献14(ローゼンサフト(Rosensaft) ら);特許文献15(ケーシー(Casey) ら);特許文献16(ケーシーら);特許文献17(ケーシーら);特許文献18(ケーシー);特許文献19(ボイル(Boyle) ら);特許文献20(タン(Tang)ら);特許文献21(チェスターフィールド(Chesterfield)ら);特許文献22(ロビー(Roby)ら);および特許文献23(ロビーら)を参照のこと)。
【0010】
癒着を防止することを目的として、器官を保護および分離するために、外科処置の後に、バリア製品が投与される。この数年にわたって、癒着予防手段として、絹、金属箔、動物性の膜、油脂およびプラスチックフィルムのような様々なバリア材が用いられてきた。すべての場合において、傷ついた表面の治癒が始まるまで器官同士を分離しておくことによって、癒着の形成が防止されるか、または最小限にされることが期待されていた。これらの製品のほとんどは断念されて、より適用し易い薄膜またはゲルから成る、より新規なバリア製剤が選ばれている。より成功した製品のうちのいくつかは、次のとおりである。
・ジェンザイム コーポレイション(Genzyme Corporation) から販売されるセプラフィルム(Seprafilm(商標名)) は、ヒアルロン酸ナトリウムとカルボキシメチセルロース(carboxymethycellulose) とから形成される複合膜である。該膜はゆっくり溶解して、約30日で身体から最終的に除去される。
・メディサン ファーマシューティカルズ(Medisan Pharmaceuticals) から販売されるヒスコン(Hyskon (商標名)) は、組織を潤滑化し、かつ1週間で吸収される、デキストランの70%水溶液である。
・アライアンス ファーマシューティカル(Alliance Pharmaceutical) によって製造されるフロ−ゲル(Flo-Gel(商標名)) は、ポロキサマー(Poloxamer) 407、すなわちポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロックコポリマーの滅菌ゲルである。フロ−ゲルは身体からゆっくり除去される。
【0011】
エシコン コーポレイション(Ethicon Corporation) からのインターシード(Interceed(商標名)) は、特級の酸化再生セルロースである。インターシードは約28日で吸収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6,949,114号明細書
【特許文献2】米国特第許6,083,524号明細書
【特許文献3】米国特許第5,410,016号明細書
【特許文献4】米国特許第4,938,763号明細書
【特許文献5】米国特許第5,100,992号明細書
【特許文献6】米国特許第4,826,945号明細書
【特許文献7】米国特許第4,741,872号明細書
【特許文献8】米国特許第5,160,745号明細書
【特許文献9】米国特許第5,527,864号明細書
【特許文献10】米国特許第4,511,478号明細書
【特許文献11】米国特許第5,573,934号明細書
【特許文献12】国際公開第96/29370号
【特許文献13】米国特許第3,301,824号明細書
【特許文献14】米国特許第4,243,775号明細書
【特許文献15】米国特許第4,429,080号明細書
【特許文献16】米国特許第4,716,203号明細書
【特許文献17】米国特許第4,857,602号明細書
【特許文献18】米国特許第4,882,168号明細書
【特許文献19】欧州特許第0390860号明細書
【特許文献20】米国特許第5,066,772号明細書
【特許文献21】米国特許第5,366,756号明細書
【特許文献22】米国特許第5,403,347号明細書
【特許文献23】米国特許第5,522,841号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
これらの製品はすべて、治癒が完了するまで3〜5日間にわたって、器官同士を分離させておくために、軟質で柔軟なバリアを生成しようとするものである。バリアは、治癒完了後には体内に残らないことが望ましい。多くの製品がある程度の成功を収めて用いられてきたが、どれも完全には成功していない。半固体ゲルおよびプラスチックフィルムまたは繊維は、露出面のすべてを被覆しない場合があったり、組織間の小さな隙間または狭小空間が保護膜を受容しない場合があったり、または、その物質を塗布する際の困難さがバリアの有効性を限定的なものにしたりする場合がある。晶質液または薄いゲルのような粘性が低い流体バリアは、表面を良好に被覆するかもしれないが、治癒過程が完了する前に再吸収されてしまう場合がある。明らかに、癒着バリアを生成し塗布するための新規の解決手段および改良された方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
2つの自由流動性物質を組み合わせてヒドロゲル塊を生成する有用な製剤を生成するために、微孔性粒子のゲル形成特性を用いる組成物および方法が開示される。流体物質は、付加的な薬剤を含み得る第1乾燥微孔性粒子(好ましくはエアロゾルとして)と、好ましくはさらなる凝縮および/または反応によってヒドロゲルを形成することができる1種以上の高分子量ポリマーの、水溶液、懸濁液、分散液および乳濁液のいずれかである流体物質の第2組成物とを含む。前記ゲルまたはヒドロゲルは、好ましくは、表面上に、2つの組成物を流体として適切な比率で表面上に一緒に噴霧することにより、または表面上に一方の流体の次に他方の流体を(いずれかの順番で)塗布することにより、形成され得る。適切な組成物の微孔性粒子のエアロゾルがインサイチューで前記溶液、分散液または乳濁液と組み合わせられると、ゲルが非常に迅速に形成されるため、ゲルを垂直面上または患者の腔内のような到達するのが困難な不規則な空間内で容易に形成することができる。インサイチューでのヒドロゲルの形成は、既存製品を用いる場合に生じる問題のうちのいくつかを回避することができ、予め形成されたゲルまたはフィルムでは到達することが困難または不可能であり得る領域にゲルが塗布されることを可能にする。
【0015】
選択される多孔性微粒子は、デキストラン(ファーマシア インコーポレイテッド(Pharmacia, Inc)のセファデックス(Sephadex)(商標名))、またはデンプン(メダフォー インコーポレイテッド(Medafor, Inc)のマイクロポーラス ポリサッカライド ヘモスフェア(Microporous Polysaccharide Hemospheres)(商標名)(MPH))から形成されたもののような粒子を含む。適切な組成物の多孔性粒子は、高分子量物質の水溶液に晒されると、急速に水を吸収し、その大きな分子を粒子の表面上に凝縮させる(concentrate) 。この凝縮は、粒子表面において濃い粘性ゲルまたはヒドロゲルの形成を生じさせ得る。例えば、出血している傷口にMPH粒子を塗布すると、血液タンパク質および細胞の凝縮によって濃いゲルの形成を生じて、出血を効果的に制御する。このような止血剤としての微孔性粒子の使用は、米国特許第6,060,461号明細書に記載されている。この現象は血液の成分に限定されない。本発明の乾燥微孔性粒子に晒されると、多くの高分子溶液がゲルを形成することが判明した。そのような溶液から迅速にゲルを形成することができる粒子としては、メダオフォー社のMPHデンプン粒子、セファデックス(商標名)G−50デキストラン粒子およびバイオラッド(BioRad) P60ポリアクリルアミド粒子が挙げられる。局所適用については、上記のいずれを用いてもよいが、体内への適用については、分解性デンプン粒子が好ましい。粒子は塩化カルシウム、トロンビン、可視化用染料、タンパク質架橋剤、抗生物質または抗炎症剤のような医薬物質、または創傷治療ペプチドのような物質を含有するように改変されてもよい。有用な高分子溶液としては、0.5%アルギン酸ナトリウム、クエン酸血漿、静脈内投与用の無菌品として入手可能な25%ヒト血清アルブミン、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒトフィブリノゲン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびポリビニルピロリドンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
他の異なる種類の微孔性粒子としては、シリカゲル系アニオン交換体(アブソーベックスAdsorbex(商標名)−SAX、カタログ番号第19845番、メルク(Merck) 社、独国ダルムシュタット(Darmstadt) )、カチオン交換体(アブソーベックスAd sorbex(商標名)−SCX、カタログ番号第19846番)、逆相RP8(カタログ番号第9362番)などを挙げることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ヒドロゲルは、ポリマー骨格の官能基への小さな橋架け分子の付着、すなわち架橋として知られる過程を通じて、ポリマー鎖間、およびポリマー鎖内に橋かけ構造(bridge)を生成することにより形成される。従来のヒドロゲルの構造の完全性は、架橋に用いられる共有結合の化学的性質に基づくものであり、これは、一般的には適時に反応を促進する触媒を必要とする。触媒は周囲の組織にとって有害である可能性があるため、触媒の存在は、特に外科的応用において、ヒドロゲルの医学的使用を妨げる。したがって、米国特許第6,949,590号(ラトナー(Ratner)ら)に開示されているような化学的架橋触媒を使用することなく、迅速に重合され得るヒドロゲルが望ましい。
【0018】
典型的には、ヒドロゲルは、水素結合形成または共有結合の結果として水結合特性を発現している親水性ポリマーによって形成されたゲルまたはヒドロゲルを含み得る。前記親水性ポリマーは、少なくとも該ポリマー自身の重量まで吸水することができる。好ましくは、前記親水性ポリマーは、ポリマーと水との合計に基づいて、少なくとも50%、少なくとも60%、または75〜99.5重量%、特に90〜99重量%の水を含有することができる。親水性ポリマーの構造は、結合が少なくとも約80℃、好ましくは90℃以内の温度まで損なわれないままであるようなものでなければならない。任意で、アルコール、アセトン、グリコール、グリセロールまたはポリグリコールのような親水性有機溶媒も存在してもよいが、そのような親水性有機溶媒は、水に基づいて、好ましくは20重量%未満、特に5重量%未満である。
【0019】
親水性ポリマーは、限定しない例として、アクリル酸または(メタ)アクリル酸のポリマーもしくはコポリマー、またはそれらの塩、アルキルまたはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドンおよび/またはビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、またはデンプン、セルロース、グァーガム、キサンタンおよび他の多糖類およびゴムのような、任意で架橋され、任意で修飾された多糖類、およびヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−、またはカルボキシメチル−セルロースもしくは−デンプンのような前記多糖類の誘導体であり得る。(ポリ)アクリレートによって修飾された多糖類も同様に好適である。好ましくは、親水性ポリマーは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単位および/または(メタ)アクリルアミド単位を含有しており、ここで(メタ)アクリルアミド基はN−アルキル化またはN−ヒドロキシアルキル化されていてもよい。親水性ポリマーが構成され得るモノマーの例は、特に、ヒドロキシエチルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレート、ジヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエトキシエチルメタクリレート、またそれらのエトキシ化された類似体、ジ(ヒドロキシエチル)アミノエチルメタクリレート、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、メタクリル酸、メチルメタクリレートおよび対応するアクリレートおよびアクリルアミド、N−ビニルピロリドンなどである。上記モノマーは、例えば、0.1〜2重量%のエチレンジメタクリレート、オキシジエチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N−メチレンビスメタクリルアミドなどによって架橋されていてもよい。また、式>C(CONH)−C(COOH)<を有するカルバモイル単位およびカルボキシル単位を含有する架橋ポリマーも好適である。それらの単位は、アンモニアで処理されたC18鎖で架橋されたビニルメチルエーテル/無水マレイン酸コポリマーのような無水マレイン酸基を有するポリマーによって得ることができる。
【0020】
ゲル化物質は、好ましくは、トロンビン、アルブミン−フィブリノゲン、ヒアルロナン、セルロースポリマー、アクリルポリマー、加水分解性(hydrolozable)ポリマーおよび架橋性ポリマーのうちから選択される少なくとも1つの物質である。親水性成分は、さらに、少なくとも50重量%、少なくとも75重量%、または少なくとも80重量%の血清、血清分画、アルブミンの溶液、ゼラチン、フィブリノゲンおよび血清タンパク質を含むものとして説明されてもよい。加えて、疎水性タンパク質の水溶性誘導体を用いることができる。例としては、コラーゲン、エラスチン、キトサンおよびヒアルロン酸の溶液が挙げられる。さらに、一次構造内に、またはペンダント構造として、1つ以上の置換、欠失または付加を有するハイブリッドタンパク質が用いられてもよい。第1組成物および第2組成物はともに、好ましくは噴霧によって塗布される。
【0021】
よってゲルまたはヒドロゲルは、好ましくは半固結状態にあるため、液体水は高温においてさえ漏出し得ない。同時に、ゲルまたはヒドロゲルは、水と実質的に同一の高い熱容量を有する。
【0022】
前記微粒子は、約0.25〜1000マイクロメートルの平均(重量平均または数平均)サイズを有する任意の多孔性粒子であり得る。前記粒子は、一般に、約1〜1000マイクロメートル、または1〜500マイクロメートルの大きさを有することができるが、大きさは、当業者であれば、特定の用途または患者のタイプに適するように、また、随意で選択された大きさの粒子を支持する担体の能力に応じて、変更することができる。本発明の実施に有用な特定の物質の例は、多糖類、セルロース化合物、ポリマー(天然および合成)、無機酸化物、セラミック、ゼオライト、ガラス、金属および複合材のクラス内からの多孔質物質を含む。好ましい物質は、当然ながら非毒性のものであり、滅菌供給品として提供される。多糖類は、その入手しやすさおよび低コストのために好ましい。多孔性微粒子多糖類は、デンプン、セルロースおよび/またはペクチンとして提供されてもよく、さらにキチン(例えばエビ、カニおよびロブスターからの動物由来)も使用され得る。また、タンパク質(糖タンパク質、特にグリコレクチン(glycolectins)を形成する)または脂質(糖脂質)のいずれかとの糖類の結合として説明されるグリコサッカロイド(glycosaccharides)または複合糖質も有用である。これらの複合糖質は、細胞膜においてオリゴマー糖タンパクとして現れる。いかなる場合も、有用物質はすべて、血液液体および低分子量血液成分が粒子の表面上に吸着され、かつ/または、粒子の表面内に吸収されることを可能にするように、十分に多孔性でなければならない。粒子全体にわたる多孔性は、多くの場合、単に粒子の表面をエッチングする、または粒子の表面を粗化するよりも、より容易に達成される。微粒子は、好ましくは、本技術に従って塗布される組成物中、少なくとも5重量%、少なくとも8重量%、少なくとも10重量%、または、少なくとも15重量%の全固形分(すなわち、水または溶媒を含まない)を構成する。
【0023】
セラミック材は、シリカ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化鉄、酸化セシウム、酸化アルミニウム、および他の金属化学元素、アルカリ土類化学元素、遷移化学元素または半金属化学元素の酸化物、並びにそれらの混合物のような無機酸化物の、焼結、ゾルーゲル縮合またはコロイド分散物の脱水から提供され得る。当業者であれば、無機酸化物粒子の初期の分散サイズまたはゾルサイズ、脱水の速度、脱水が生じる温度、組成物内の剪断速度、および脱水の継続時間の選択によって、粒子の空隙率およびその大きさを容易に制御することができる。
【0024】
セルロース粒子に関して、天然セルロースまたは合成セルロース(酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロースなどを含む)は、米国特許第5,817,381号明細書に記載されている技術およびセルロース系物質の多孔性粒子、繊維およびマイクロファイバーを提供することができる前記文献に記載された他のセルロース組成物処理方法に従って、破裂または膨張させられ得る。多孔質物質が、セルロースか他の組成物かにかかわらず、特定用途には大きすぎ得る大きさを有する場合には、前記粒子は適切な大きさに摩砕または粉砕されてもよい。これは、直接の乳鉢および乳棒による粉砕、ボールミル粉砕、破砕(力が孔のすべてを圧縮しない限り)、流動床による解凝集(fluidized bed deaggregation) 、および粉砕(size reduction)、並びに他の利用可能な物理過程によって行うことができる。原料物質の大きさを、提供される粒径より大きくすべき場合には、より小さな粒子を、制御された剪断条件下において、バインダまたは接着剤によって、平均粒径が所望の範囲内となるまで、相互に凝集または結合させてもよい。
【0025】
多孔性は、1)特異的に可溶性である物質との共分散(codispersion)およびそれに続くより可溶性である物質の溶解、2)形成後に固体粒子から蒸発させられるか、または別の方法で除去される液体成分を有する乳濁液または分散液からの粒子の形成、3)焼結または融解された粒子間に孔を残すように粒子を焼結すること、4)ゆっくりと溶解し得るバインダで粒子を結合させ、制御量のバインダを部分的に除去すること、5)一成分がもう一方の固体成分よりも(熱劣化、可溶化、分解、化学反応(例えば、化学酸化、空気酸化、化学分解など)によって)容易に除去される二成分、二相系によって粒子を提供すること、および異なる種類または特定の種類の組成物および物質から孔を発生させる他の既知の工程のような既知の製造技術によって、多くの物質に加えられ得る。特定の凝固促進方式において表面多孔性のみが必要とされる場合には、所望の表面多孔性を提供するには、表面エッチングまたは削摩でも十分であり得る。
【0026】
特に望ましい市販の物質は、ファーマシア研究所(Pharmacia Labs)からセファデックス(商標名)ビーズとして入手可能なデキストランビーズのような多糖類ビーズを含む。これらは、通常、閉鎖創から損傷した組織および瘢痕組織を除去しやすくするために、創面切除術の支援として外科処置に用いられる。血液を有する開放創へのこの種の多孔性ビーズ(および架橋デンプンから形成されたもののような他の種類の多孔性ビーズ)の適用は、止血を促進し、凝血塊の形成を高速化するとともに、失血および創傷領域の連続的な清浄を低減することが分かった。
【0027】
本発明の多孔性粒子および多孔性ビーズ用の好ましい多糖類成分は、多くの場合、架橋デキストラン(ポリ[β−1,6−アンヒドログルコース])またはデンプン(ポリ{α−1,4−アンヒドログルコース])のような架橋された多糖類から製造され得る。デキストランは、高分子量の水溶性多糖類である。デキストランはヒトによって代謝されず、非毒性であり、ほとんどのヒトを含むほとんどの動物の組織によって良好に許容される。血液代用剤としての可溶化デキストランの広範囲な用途がさらに存在する。同様に、デンプンをエピクロロヒドリンと架橋させることによって調製されるビーズは、止血剤として有用であり、組織によって良好に許容される。デンプン粒子は、組織α−アミラーゼによって酵素分解され、創傷部位から迅速に除去される。特に有用な多糖類の説明において特に言及したセファデックス(商標名)ビーズは、エピクロリヒドリン(epichlorihydrin) で架橋されたデキストランを含む。これらのビーズは、ある範囲の細孔径を有する様々なビーズ径(例えば10〜100マイクロメートル)で入手可能である。体積の約5〜75%の細孔径が商業的に入手可能であり、さらに5〜85体積%まで拡張することができるか、または上述したビーズの種類中からそれらの特性を有するように製造することができると考えられる。細孔の大きさは、分子篩として作用するように制御することもでき、細孔径は、粒子またはビーズの最大径の0.5%または1%〜15%である。セファデックス(商標名)ビーズは、篩として使用する間に、分子の分子量分画を行うための制御された細孔径を有し、例えば、分画分子径が約5,000ダルトン〜200,000ダルトンの間の様々な間隔にて提供されるものとして宣伝されている。例えば、特に75,000ダルトンを超える分子量サイズについてのカットオフ値が存在する。これは、具体的には約10〜40ミクロン(マイクロメートル)の粒径を示唆する。これらのビーズは急速に水を吸収して、それらの本来の径および体積の数倍(例えば、それらの体積の5〜20倍)に膨潤するであろう。同様の技術を用いて、セファデックス(商標名)粒子に類似した性質を備えた架橋デンプンビーズを生成することができる。アルギン酸ナトリウムまたはキトサンのような他の可溶性多糖類を用いて、制御された多孔性および大きさを備えた架橋ビーズを調製することができる。
【0028】
粒子の多孔性は最終用途および組成物の詳細設計に従って変更することができる。限定しない推定において、粒子の有効体積は、少なくとも2体積%〜75体積%の空隙を備えるべきであると考えられる。より正確には、粒子に関する構造強度と十分な吸収性とのバランスを保証するために、より好ましい範囲は、空所として約5〜60体積%、または8〜40体積%になるであろう。
【0029】
本発明の二成分組成物は、別々に含有され、その後に、別々に噴霧または他の物理的な塗布(層流塗布、ワイプ、滴下およびワイプ、スワブなど)によって適用され得るが、速さおよび比較的均一な塗布のためには噴霧が好ましい。噴霧は液体担持または気体担持のものであり得る。塗布率(総塗布時間に対する速度および体積の双方)が制御され得る。これに代えて、2つの物質は、含有される前に相互に混合されてもよいし、または塗布直前に混合されてもよい。これらおよび他の特徴は、以下の限定しない例を読むとさらに理解されるであろう。
[例]
[例1]
10グラムのデンプン粒子(MPH、メダフォー インコーポレイテッド)を、0.9%の塩化カルシウムおよび0.01%のエバンスブルー染料を含有する10mlの溶液と混ぜ合わせた。生じたスラリーを混合して、乾燥させ、100ミクロン(マイクロメートル)の網目を通過するように乳鉢および乳棒ですり潰した。生じた水色の粉末を、乾燥粉または液体の微細なミストを生成することができる、二酸化炭素を動力とする噴霧塗布器(ジェニュイン イノベーションズ、米国アリゾナ州ツーソン(Tueson))に充填した。0.5%アルギン酸ナトリウム溶液を第2噴霧塗布器に充填した。MPH粉末を新鮮ウシ肝臓片の表面上に噴霧して、乾いた可視層を形成した。次に、0.5%アルギン酸ナトリウム溶液を、表面が湿って見えるまで噴霧した。次に、その湿った表面に、MPH粒子を再び噴霧し、続いてアルギン酸ナトリウムのさらなる層を噴霧した。MPH粒子からのカルシウムの拡散は、組織の表面上にアルギン酸カルシウムとデンプン粒子との粘着性の半透明被覆物の形成をもたらした。
[例2]
MPH粒子を噴霧器に充填して、新鮮ウシ肝臓の表面に塗布した。前記粒子は湿った表面に付着して、白く乾いた層として蓄積した。ヒト血清アルブミン(25%、無菌溶液、ZLBバイオプラズマ(商標名)AG)を別の噴霧ユニットに充填し、MPH層上に、表面が、光沢があり、かつ湿っているように見えるまで噴霧した。その手順を繰り返して、MPHの最後の被覆を、表面が乾いて見えるまで施した。結果として生じた膜を評価し、該膜は肝臓組織に付着した濃いゲルであることが判明した。
[例3]
5グラムのMPH粒子を、20,000単位の凍結乾燥されたウシのトロンビン(シグマ ケミカル社、米国セントルイスに所在)と混合して、乳鉢で軽くすり潰し、100ミクロン(マイクロメートル)の篩を通してふるい分けした。該MPH粒子を噴霧器に充填して、新鮮ウシ肝臓の表面に塗布した。次に、1ml当たり6mgのウシのフィブリノゲンが添加されたヒト血清アルブミン(25%、無菌溶液、ZLBバイオプラズマAG)をMPH被膜上に噴霧した。MPH粒子から急速に拡散するトロンビンは、フィブリノゲンを迅速に重合させてフィブリン膜を形成し、そのフィブリン膜はMPH粒子を封入した。生じた被膜は、組織表面に強力に付着した。
[例4]
40kgのブタに麻酔をかけて、外科処置の準備を行った。正中開腹を予め行って、内臓を露出させた。10mlの血液を採取し、遠心分離すると、約5mlのクエン酸血漿を生じた。前記血漿を噴霧塗布器に充填した。次に、例1のMPH粉末を、乾燥した表面が得られるまで、ブタの露出した腸の上に噴霧した。次に、前記血漿をMPH被膜上に噴霧して、表面を軽く湿らせた。粘着性ゲルが形成された。上記工程をMPH/血漿のさらなる層を生成するために繰り返した。血清およびMPH粒子の固いゲルが形成された。約5分以内に、MPH粒子から拡散するカルシウムが血漿の凝固を開始し、腸の上に固く不透明な層を形成した。
[例5]
例4のブタの腸の一部を露出させて、例2のMPH−トロンビン/アルブミン−フィブリノゲン調製物を塗布した。溶液の塗布後、腸表面の上にはフィブリン/MPHの粘着性ゲル被膜が形成された。
[例6]
以下の3つの調合物を新鮮ウシ肝臓片に塗布した。
A. 0.015gのMPH+0.12gの架橋ヒアルロナン(セプラゲル サイナス(SepraGel Sinus)、ジェンザイム)
B. 0.15gの架橋ヒアルロナン(セプラゲル サイナス(SepraGel Sinus)、ジェンザイム)
C. 0.31gの水+0.53gの架橋ヒアルロナン(セプラゲル サイナス(SepraGel Sinus)、ジェンザイム)
調合物Aを、肝臓の角度のついた(すなわち、ほとんど垂直な)面の上において、調合物Bと比較した。調合物Aは調合物Bより肝臓に対してより良好な粘着力を有した。次に、MPHを肝臓の水平面上に、該表面が水の吸収を停止するまで(すなわち最上層が白いままとなるまで)噴霧した。次に、調合物Cを同一の水平面上に噴霧し、その後もう一度MPHの噴霧塗布を行った。このように形成された層は塗布面を完全に被覆し、かつ同面に付着した。
【0030】
調合物Aおよび調合物Bを有する肝臓を生理食塩水中に浸漬した。浸漬5分後には、痕跡は見つけられなかった。しかしながら、Cの上に配置された生理食塩水の液滴はMPH/ヒアルロナン層を溶解しなかったが、粘膜層のそれに類似した質感を前記MPH/ヒアルロナン層に与えた。
[例7]
クエン酸添加ヒツジ血液を遠心分離することによって、乏血小板血漿を得た。上澄液をMPHと手動で混合し、物理的な硬さ(physical consistency)を観察した。
【0031】
【表1】

したがって、多血小板血漿とMPH粒子とを適切な比率で混合することによって、トロンビンを添加することなく、ゲルが形成され得ることが分かった。そのようなゲルは、創面に多血小板血漿を塗布する場合に望ましい。
[例8]
クエン酸添加ヒツジ血液を手動でMPHと混合し、物理的な硬さを観察した。
【0032】
【表2】

これらの例に見られるように、前記物質は、到達するのが困難な内臓の領域に塗布したり、組織の大きな露出面を迅速に被覆するように塗布したりできる微細な噴霧として適用され得る。その調合剤は、迅速にゲル化して表面に付着する流動可能な混合物として調製され得る。粒子マトリックスまたは液状ポリマー溶液に組み入れられた付加的な物質は、新たに形成されるゲルの付加的な変化に影響を与え得る。例えば、例2の血清アルブミン/MPHゲルは、例3に示したように、MPH粒子から拡散するトロンビンと相互に作用するアルブミン溶液中において、フィブリノゲンから形成されたフィブリンマトリックス内に捕捉することによって、安定化され得る。また、例1において、MPH粒子の作用によってゲル化されたアルギン酸ナトリウム膜は、続いて前記粒子から放出されたカルシウムイオンと反応して、初期のゲルよりも組織中における滞留時間が長い不溶性ゲルを形成することができる。2つの溶液に組み入れられた物質の反応によって変性ゲル膜を形成するこの能力は、様々な性質を有する膜を生成するために用いることができ、本発明の有用な特徴である。物質の適切な選択によって、多種多様の可能な二次反応を行うことができる。前記粒子は、アミノ基、カルボニル基またはカルボキシル基のような様々な反応基によって誘導体化することができる。ポリマー物質中の相補的な反応基(complimentary reactive groups) が反応して、イオン結合型錯体、シッフ塩基または類似した安定化結合を形成することができる。
【0033】
乾燥粒子は、一旦形成されたポリマーゲルを固定するために使用され得る架橋試薬用の担体としても用いることができる。粒子とポリマー溶液との組み合わせによって形成されるゲルは、粒子とポリマー溶液との間の界面において高濃度の反応境界を形成する。これは反応速度を増大させることから、通常であれば反応するために長い時間がかかるであろう化学的性質を用いて、瞬間的なゲルを形成する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の組織の表面を処理する方法であって、a)溶液、懸濁液、分散液および乳濁液のいずれかを含むゲル形成組成物と、b)多孔性微粒子との双方が前記表面に塗布されるように、少なくとも1種の液状組成物を前記組織の表面に塗布することを含む、方法。
【請求項2】
患者の組織の表面上に層を形成する方法であって、a)溶液、懸濁液、分散液および乳濁液のいずれかを含むゲル形成組成物と、b)多孔性微粒子との双方が前記表面に塗布されるように、少なくとも1種の液状組成物を前記組織の表面に塗布することを含む、方法。
【請求項3】
前記ゲル形成組成物は、ヒドロゲル形成組成物であり、ヒドロゲルは第1液状組成物として塗布され、かつ前記多孔性微粒子は第2組成物として塗布される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記多孔性微粒子は乾燥組成物として塗布される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1組成物および第2組成物のうち少なくとも一方は噴霧によって塗布される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ゲル形成組成物は、a)トロンビン、b)アルブミン−フィブリノゲン、c)ヒアルロナン、d)セルロースポリマー、e)アクリルポリマー、およびf)親水性の架橋性ポリマーのうちから選択される少なくとも1種の成分を含み、かつ第1組成物および第2組成物の双方が噴霧によって塗布される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1組成物および第2組成物のうち少なくとも一方が噴霧によって塗布される、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記第1組成物および第2組成物の双方が噴霧によって塗布される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記第1組成物は、前記第2組成物の塗布と同時またはその前に塗布される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記第2組成物は、前記第1組成物の塗布の前に塗布される、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
組成物を組織表面に塗布するための塗布器システムであって、
溶液、分散液、懸濁液または乳濁液としてのゲルまたはヒドロゲル組成物の第1供給源と、
多孔性微粒子の第2供給源と、
前記第1組成物を搬送するための第1搬送システムと、
前記第2組成物を搬送するための第2搬送システムと、
第1組成物を表面に塗布するための第1塗布器システムと、
第2組成物を表面に塗布するための第2塗布器システムと
を備える、システム。
【請求項12】
各供給源から、ゲルまたはヒドロゲル組成物はともに液体として供給され、かつ多孔性微粒子は乾燥組成物として供給される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1塗布器システムは噴霧システムを備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2塗布器システムは噴霧システムを備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
組織の表面に付着したバリア層を有する患者の組織であって、前記バリア層は水溶液、水性懸濁液、水性分散液または水性乳濁液と微孔性粒子とのゲル化生成物を含む、患者の組織。
【請求項16】
組織の表面に塗布された層を有する患者の組織であって、前記層は、治癒を促進する、水溶液/水性懸濁液/水性分散液と微孔性粒子とのゲル化生成物を含む、患者の組織。
【請求項17】
前記微孔性粒子は、篩として使用する間に、5,000ダルトン〜200,000ダルトンの間隔において分子の分子量分画を行うための細孔径を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項18】
前記微孔性粒子は、微孔性粒子の全体積の2%〜75%の有効細孔体積を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記微孔性粒子は、ゲル形成組成物と接触させる前に、ゲル形成組成物用の架橋剤と組み合わされる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項20】
ゲル形成組成物と、架橋剤を有する微孔性粒子との接触は、処理されるべき組織の表面上において行われる、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2010−506612(P2010−506612A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532412(P2009−532412)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2007/021732
【国際公開番号】WO2008/048468
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(509105134)メダフォー インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】MEDAFOR,INCORPORATED
【Fターム(参考)】