治療薬としての修飾ペプチド
【課題】Fcドメインと生物学的活性なペプチドの融合及び生物学的に活性なペプチドを使用して薬剤を製造するための方法の提供。
【解決手段】対象とするタンパク質(TNF−α)の活性を変化させる少なくとも1個のペプチドを選択し、選択したペプチドの少なくとも1個のアミノ酸に共有結合されたFcドメインを含む薬理学的物質の製造。ビヒクルへのFcドメインの結合は、インビボで速やかに分解されるであろうペプチドの半減期を高める。ペプチドは、好ましくはファージディスプレイ、大腸菌ディスプレイ、RNA−ペプチドスクリーニング、又は化学物質−ペプチドスクリーニングによって選択される。
【解決手段】対象とするタンパク質(TNF−α)の活性を変化させる少なくとも1個のペプチドを選択し、選択したペプチドの少なくとも1個のアミノ酸に共有結合されたFcドメインを含む薬理学的物質の製造。ビヒクルへのFcドメインの結合は、インビボで速やかに分解されるであろうペプチドの半減期を高める。ペプチドは、好ましくはファージディスプレイ、大腸菌ディスプレイ、RNA−ペプチドスクリーニング、又は化学物質−ペプチドスクリーニングによって選択される。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
組換えタンパク質は最近出現してきた治療薬のクラスのひとつである。かかる組換え治療は、タンパク質の生成と化学修飾における進歩をもたらした。そのような修飾は、主としてタンパク質分解酵素への接触を遮断することにより、治療タンパク質を保護することができる。タンパク質の修飾はまた、治療タンパク質の安定性、循環時間及び生物活性を高めることもできる。タンパク質修飾と融合タンパク質を述べた総説論文が、参照してここに組み込まれる、Francis(1992)、成長因子への注目(Focus on Growth Factors)、3:4−10(Mediscript,London)である。
【0002】
1つの有用な修飾は、抗体の「Fc」ドメインとの組合せである。抗体は2つの機能的に独立した部分、すなわち抗原に結合する、「Fab」として知られる可変領域と、食細胞による補体活性化と攻撃の際にそのようなエフェクター機能と結合する、「Fc」として知られる定常領域を含む。Fcは長い血清半減期を持つのに対し、Fabは短命である。Caponら(1989),Nature 337:525−31。治療タンパク質と共に構築すると、Fcドメインはより長い半減期を提供する、若しくはFc受容体結合、プロテインA結合、補体固定、さらにはおそらく胎盤移動のような機能も組み込むことができる。同上。表1は当技術において既知のFc融合の使用をまとめたものである。
【0003】
【表1】
【0004】
治療薬の開発のための全く異なるアプローチがペプチドライブラリーのスクリーニングである。タンパク質リガンドとその受容体の相互作用はしばしば比較的大きな界面で起こる。しかし、ヒト成長ホルモンとその受容体に関して明らかにされたように、界面のいくつかの鍵となる残基だけが結合エネルギーの大半に寄与する、Clacksonら(1995),Science 267:383−6。タンパク質リガンドのバルクは単に正しいトポロジーで結合エピトープを発現するか、若しくは結合には関係しない機能として働く。それ故、「ペプチド」の長さ(2−40個のアミノ酸)の分子だけが一定の大きなタンパク質リガンドの受容体タンパク質に結合することができる。そのようなペプチドは、大タンパク質リガンドの生物活性を擬似する(「ペプチド作用物質」)、若しくは競合的結合を通して、大タンパク質リガンドの生物活性を阻害する(「ペプチド拮抗物質」)ことができる。
【0005】
ファージディスプレイペプチドライブラリーは、そのようなペプチド作用物質と拮抗物質を同定する強力な方法として出現した。例えば、Scottら(1990),Science 249:386;Devlinら(1990),Science 249:404;1993年6月29日発行の米国特許第5,223,409号;1998年3月31日発行の米国特許第5,733,731号;1996年3月12日発行の米国特許第5,498,530号;1995年7月11日発行の米国特許第5,432,018号;1994年8月16日発行の米国特許第5,33,665号;1999年7月13日発行の米国特許第5,922,545号;1996年12月19日公開のWO 96/40987号;及び1998年4月16日公開のWO 98/15833号(その各々が参照してここに組み込まれる)参照。そのようなライブラリーにおいては、任意のペプチド配列が線状ファージのコートタンパク質との融合によって発現される。典型的には、発現されたペプチドを受容体の抗体固定された細胞外ドメインに対して親和溶出する。残ったファージを連続的な親和精製と再増殖によって濃縮してもよい。最良の結合ペプチドを配列決定して、1つ又はそれ以上の構造的に関連するペプチドのファミリー内でキー残基を同定することができる。例えば、2つの異なるファミリーが同定された、Cwirlaら(1997),Science 276:1696−9参照。ペプチド配列はまた、どの残基がアラニンスキャニングによって若しくはDNAレベルでの突然変異誘発によって安全に置換できるかを示唆しうる。突然変異誘発ライブラリーを創造し、スクリーニングして、最良のバインダーの配列をさらに至適化することができる。Lowman(1997),Ann.Rev.Biophys.Biomol.Struct.26:401−24。
【0006】
タンパク質−タンパク質相互作用の構造分析も、大タンパク質リガンドの結合活性を擬似するペプチドを示唆するために使用しうる。そのような分析では、結晶構造が、ペプチドが設計される大タンパク質リガンドの決定的残基の同一性と相対的方向性を示唆すると考えられる。例えば、Takasakiら(1997),Nature Biotech.15:1266−70参照。これらの分析法は、結合親和性を高めるためのペプチドのさらなる修飾を示唆しうる、受容体タンパク質とファージディスプレイによって選択したペプチド間の相互作用を検討するためにも使用できる。
【0007】
その他にもペプチド研究においてファージディスプレイに匹敵する方法がある。ペプチドライブラリーをlacリプレッサーのカルボキシル末端に融合し、大腸菌において発現することができる。もうひとつの大腸菌に基づく方法は、ペプチドグリカン結合リポタンパク質(PAL)との融合により細胞の外膜に発現させる。本文中以下では、これら及び関連する方法を集合的に「大腸菌ディスプレイ」と称する。もうひとつの方法では、ランダムRNAの翻訳をリボソーム放出の前に停止させ、関連RNAがまだ結合しているポリペプチドのライブラリーを作製する。本文中以下では、この方法及び関連する方法を集合的に「リボソームディスプレイ」と称する。他の方法は、RNAへのペプチドの化学結合を用いるものである:例えば、RobertsとSzostak(1997),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:12297−303参照。本文中以下では、この方法及び関連する方法を集合的に「RNA−ペプチドスクリーニング」と称する。ペプチドがポリエチレンロッド又は溶媒透過性樹脂のような安定な非生物学的物質上に固定されている、化学的に誘導されたペプチドライブラリーが開発されている。もうひとつの化学的に誘導されるペプチドライブラリーは、写真平板印刷を用いてガラススライド上に固定されたペプチドを走査する。本文中以下では、これら及び関連する方法を集合的に「化学物質−ペプチドスクリーニング」と称する。化学物質−ペプチドスクリーニングは、Dアミノ酸及び他の非天然類似体、ならびに非ペプチド要素を使用できるという点で有利であると考えられる。生物学的方法と化学的方法の両方が、WellsとLowman(1992),Curr.Opin.Biotechnol.3:355−62の中で考察されている。
【0008】
概念的には、ファージディスプレイや上述したその他の方法を用いてどのようなタンパク質のペプチド擬似も発見しうる。これらの方法は、エピトープマッピングのため、タンパク質−タンパク質相互作用における決定的アミノ酸の同定のため、そして新しい治療薬発見のための先導役(lead)として使用されてきた。例えばCorteseら(1996),Curr.Opin.Biotech.7:616−21。現在、エピトープマッピングのような免疫学的試験においてはペプチドライブラリーが最も多く用いられている。Kreeger(1996),The Scientist 10(13):19−20。
【0009】
ここで特に興味深いのは、薬理学的に活性なペプチドの発見におけるペプチドライブラリー及びその他の手法の使用である。当技術において同定されたそのようなペプチドのいくつかを表2に要約する。ペプチドは列挙した公表文献中に記載されており、その各々が参照してここに組み込まれる。ペプチドの薬理学的活性を記述し、且つ多くの場合括弧内にその略語を示している。これらのペプチドの一部は修飾されている(例えば、C末端架橋二量体を形成するため)。典型的には、薬理学的に活性なタンパク質の受容体(例えばEPO受容体)への結合に関してペプチドライブラリーをスクリーニングした。少なくとも1つの場合には、モノクローナル抗体への結合に関してペプチドライブラリーをスクリーニングした。
【0010】
【表2】
【0011】
ペプチドライブラリーのスクリーニングによって同定されたペプチドは治療薬そのものではなく、治療薬の開発における「先導役(lead)」とみなされてきた。他のタンパク質やペプチドと同様に、それらは腎濾過、細網内皮系における細胞クリアランス機序、又はタンパク質分解のいずれかによってインビボで速やかに除去されるであろう。Francis(1992)、成長因子への注目(Focus on Growth Factors) 3:4−11。結果として、当技術は現在、同定されたペプチドを、薬剤標的を確認するため、又は化学的ライブラリースクリーニングではそれほど容易に又はそれほど速やかに同定されなかったであろう有機化合物の設計のための足場として使用している。Lowman(1997),Ann.Rev.Biophys.Biomol.Struct.26:401−24;Kayら(1998),Drug Disc.Today 3:370−8。当技術は、そのようなペプチドが治療薬をより速やかに生み出すことができる方法から恩恵を受けるであろう。
【0012】
発明の要旨
本発明は、ビヒクル(vehicle)との融合により、1つ又はそれ以上の生物学的に活性なペプチドのインビボ半減期を延長させる方法に関する。本発明では、薬理学的に活性な化合物を:
a)対象とするタンパク質の活性を変化させる少なくとも1個のペプチドを選択し、そして
b)選択したペプチドの少なくとも1つのアミノ酸配列に共有結合された少なくとも1つのビヒクルを含む薬理学的物質を調製する
ことを含む方法によって調製する。好ましいビヒクルはFcドメインである。ステップ(a)でスクリーニングしたペプチドを、好ましくはファージディスプレイライブラリーにおいて発現させる。ビヒクルとペプチドは、下記でさらに述べるように、ペプチド又はビヒクルのN又はC末端を通して結合しうる。上記化合物の誘導体(下記に述べる)も本発明に包含される。
【0013】
本発明の化合物は、標準的合成法、組換えDNA手法、又はペプチド及び融合タンパク質を調製する他のなんらかの方法によって調製しうる。非ペプチド部分を含む本発明の化合物は、適用しうる場合は標準的なペプチド化学反応に加えて、標準的有機化学反応によって合成しうる。
【0014】
期待される主たる用途は治療又は予防薬としてである。ビヒクル結合ペプチドは、ペプチドによって擬似される天然リガンドと同等、あるいはさらにそれ以上の活性を持つと考えられる。さらに、一部の天然リガンドベースの治療薬は患者自身の内因性リガンドに対する抗体を誘導しうる;ビヒクル結合ペプチドは、天然リガンドとほとんど又は典型的には全く配列同一性を持たないため、この問題を回避する。
【0015】
主に治療薬として想定されるが、本発明の化合物はまた、そのような薬剤のスクリーニングにおいても有用であると考えられる。例えば、抗Fc被覆プレートを用いるアッセイにおいてFcペプチド(例えば、Fc−SH2ドメインペプチド)が使用できるであろう。ビヒクル、特にFcは、不溶性ペプチドを可溶性にすることができ、それ故多くのアッセイにおいて有用である。
【0016】
本発明の化合物は、適当な製薬上のキャリア物質と共に製剤し、その必要のあるヒト(あるいは他の哺乳類)などの患者に有効量を投与することにより、治療又は予防目的に使用しうる。他の関連する態様も本発明に包含される。
【0017】
図面と発明の詳細な説明を検討することにより、本発明の数多くの追加的態様と利点が明らかになるであろう。
【0018】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の例示的方法の概要図を示す。この好ましい方法では、ビヒクルはFcドメインであり、それがFcドメインとペプチドの両方をコードするDNA構築物からの発現によってペプチドに共有結合する。図1に示すように、Fcドメインはこの方法において自発的に二量体を形成する。
【0019】
図2は、IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである:
A、D:一重ジスルフィド結合二量体。IgG1抗体は、典型的には定常領域と可変領域の間のちょうつがい部位に2個のジスルフィド結合を持つ。図2Aと2DにおけるFcドメインは、2個のジスルフィド結合部位間の切断によって、若しくは非反応性残基(例えばアラニル)によるシステイニル残基の置換によって形成されうる。図2AではFcドメインはペプチドのアミノ末端で結合しており、2Dではカルボキシル末端で結合している。
【0020】
B、E:二重ジスルフィド結合二量体。このFcドメインは、Fcドメイン鎖中の両方のシステイニル残基を保持するように親抗体を切断することによって、若しくはそのようなFcドメインをコードする配列を含む構築物からの発現によって形成されうる。図2BではFcドメインはペプチドのアミノ末端で結合しており、2Eではカルボキシル末端で結合している。
【0021】
C、F:非共有結合二量体。このFcドメインは、切断又は置換によるシステイニル残基の除去によって形成されうる。当該システイニル残基と宿主細胞中に存在する他のタンパク質のシステイニル残基の反応によって不純物が形成されるのを避けるため、システイニル残基を除去することが所望される場合がある。Fcドメインの非共有結合は二量体を結びつけるのに十分である。異なる種類の抗体(例えばIgG2、IgM)から誘導したFcドメインを使用することにより、他の二量体を形成することができる。
【0022】
図3は、薬理学的に活性なペプチドのタンデムリピートを特徴とする、本発明の好ましい化合物の構造を示す。図3Aは一本鎖の分子を示し、またかかる分子に関するDNA構築物も表わしうる。図3Bは、リンカー−ペプチド部分が二量体の1本の鎖にだけ存在する二量体を示す。図3Cは、両方の鎖上にペプチド部分を持つ二量体を示す。図3Cの二量体は、図3Aに示す一本鎖をコードするDNA構築物の発現の際に一部の宿主細胞において自発的に形成される。他の宿主細胞では、細胞を二量体の形成を促進する条件下に置くか、若しくは二量体をインビトロで形成することができる。
【0023】
図4は、本発明において使用しうるヒトIgG1 Fcの例示的核酸及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号1及び2)を示す。
【0024】
図5は、PEG化ペプチド19(配列番号3)の製造のための合成概要図を示す。
【0025】
図6は、PEG化ペプチド20(配列番号4)の製造のための合成概要図を示す。
【0026】
図7は、下記の実施例2において「Fc−TMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号5及び6)を示す。
【0027】
図8は、下記の実施例2において「Fc−TMP−TMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号7及び8)を示す。
【0028】
図9は、下記の実施例2において「TMP−TMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号9及び10)を示す。
【0029】
図10は、下記の実施例2において「TMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号11及び12)を示す。
【0030】
図11は、次のように定義される条件下で、種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成される血小板数を示す。
【0031】
PEG−MGDF:大腸菌において発現される(従ってグリコシル化されていない)、還元的アミノ化によって天然ヒトTPOのアミノ酸1−163のN末端アミノ基に連結した平均分子量20kDのPEG、
TMP:アミノ酸配列、IEGPTLRQWLAARA(配列番号13)を持つTPO擬似ペプチド、
TMP−TMP:アミノ酸配列、IEGPTLRQWLAARA−GGGGGGGG−IEGPTLRQWLAARA(配列番号14)を持つTPO擬似ペプチド、
PEG−TMP−TMP:PEG基が図6に示すような平均分子量5kDのPEGである、配列番号14のペプチド、
Fc−TMP−TMP:同一の第二モノマーで二量体化された(すなわち、図2に示すように、Cys残基7と10が第二モノマー中の対応するCys残基に結合して二量体を形成する)配列番号8(図8)の化合物、そして
TMP−TMP−Fcは、FcドメインがTMP−TMPペプチドのN末端ではなくC末端で結合していることを除いて、TMP−TMP−Fcと同じように二量体化された配列番号10(図9)の化合物である。
【0032】
図12は、移植した浸透圧ポンプを通して送達される種々の化合物で7日間にわたって処置した正常BDF1マウスにおいて、インビボで生成された血小板の数を示す。化合物は図7について定義されたとおりである。
【0033】
図13は、下記の実施例3において「Fc−EMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号15及び16)を示す。
【0034】
図14は、下記の実施例3において「EMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号17及び18)を示す。
【0035】
図15は、下記の実施例3において「EMP−EMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号19及び20)を示す。
【0036】
図16は、下記の実施例3において「Fc−EMP−EMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号21及び22)を示す。
【0037】
図17Aと17Bは、発現プラスミドpAMG21(ATCCアクセス番号98113)を形成するためにユニークAatII(pCFM1656中4364位)とSacII(pCFM1656中4585位)制限部位の間に挿入されるDNA配列(配列番号23)を示す。
【0038】
図18Aは、種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成されるヘモグロビン、赤血球及びヘマトクリットを示す。図18Bは、EMPに関しては100μg/kg、rhEPOに関しては30U/マウスで送達される微小浸透圧ポンプにより7日間にわたって100μg/kg/日で処置したマウスについての同じ結果を示す。(両方の実験において、好中球、リンパ球及び血小板は影響を受けなかった。)これらの図において、用語は次のように定義される。
【0039】
Fc−EMP:同一の第二モノマーで二量体化された(すなわち、図2に示すように、Cys残基7と10が第二モノマー中の対応するCys残基に結合して二量体を形成する)配列番号16(図13)の化合物、
EMP−Fcは、FcドメインがEMPペプチドのN末端ではなくC末端で結合していることを除いて、Fc−EMPと同じように二量体化された配列番号18(図14)の化合物。
【0040】
「EMP−EMP−Fc」は、ペプチドのカルボキシル末端により同じFcドメインに結合された同じペプチド(配列番号20)のタンデムリピートを指す。「Fc−EMP−EMP」は、同じペプチドのタンデムリピートであるが、同じFcドメインがタンデムリピートのアミノ末端で結合しているものを指す。すべての分子は大腸菌において発現され、従ってグリコシル化されていない。
【0041】
図19Aと19Bは、下記の実施例4で述べるFc−TNF−α阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1055及び1056)を示す。
【0042】
図20Aと20Bは、下記の実施例4で述べるTNF−α阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1057及び1058)を示す。
【0043】
図21Aと21Bは、下記の実施例5で述べるFc−IL−1拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1059及び1060)を示す。
【0044】
図22Aと22Bは、下記の実施例5で述べるIL−1拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1061及び1062)を示す。
【0045】
図23A及び23Bは、下記の実施例6で述べるFc−VEGF拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1063及び1064)を示す。
【0046】
図24Aと24Bは、下記の実施例6で述べるVEGF拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1065及び1066)を示す。
【0047】
図25Aと25Bは、下記の実施例7で述べるFc−MMP阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1067及び1068)を示す。
【0048】
図26Aと26Bは、下記の実施例7で述べるMMP阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1069及び1070)を示す。
【0049】
発明の詳細な説明
用語の定義
この明細書を通じて使用される用語は、特定の場合に限って異なる記載がないかぎり、下記のように定義される。
【0050】
「含む(comprising)」という用語は、化合物が所与の配列のN又はC末端のいずれか又は両方に付加的なアミノ酸を含みうることを意味する。言うまでもなく、これらの付加的なアミノ酸は化合物の活性に有意に干渉してはならない。
【0051】
「ビヒクル」(vehicle)という用語は、治療タンパク質の分解を妨げる及び/又は半減期を延長させる、毒性を低下させる、免疫原性を低下させる、若しくは生物活性を高める分子を指す。例示的なビヒクルは、Fcドメイン(好ましい)ならびに線状ポリマー(例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリリシン、デキストラン等);分枝ポリマー(例えば、1981年9月15日発行のDenkenwalterらへの米国特許第4,289,872号;1993年7月20日発行のTamへの同第5,229,490号;1993年10月28日公開のFrechetらによるWO 93/21259号参照);脂質;コレステロール群(ステロイドなど);炭水化物又はオリゴ糖;あるいはサルベージ受容体に結合する天然又は合成タンパク質、ポリペプチド又はペプチドを含む。ビヒクルは下記でさらに詳述する。
【0052】
「天然Fc」という用語は、モノマー又はマルチマーの形態の、全抗体の消化から生じる非抗原結合断片の配列を含む分子又は配列を指す。天然Fcの最初の免疫グロブリンソースは好ましくはヒト由来であり、IgG1及びIgG2が好ましいが、どのような免疫グロブリンであってもよい。天然Fcは、共有(すなわちジスルフィド結合)及び非共有結合によって二量体又はマルチマーに連結されうるモノマーポリペプチドから作製される。天然Fc分子のモノマーサブユニット間の分子間ジスルフィド結合の数は、クラス(例えばIgG、IgA、IgE)又はサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgA1、IgGA2)によって1から4の範囲である。天然Fcの1つの例は、IgGのパパイン消化から生じるジスルフィド結合二量体である(Ellisonら(1982),Nucleic Acids Res.10:4071−9参照)。ここで使用する「天然Fc」という用語は、モノマー、二量体及びマルチマー形態の総称名である。
【0053】
「Fc変異体」という用語は、天然Fcから改変されているが、まだサルベージ受容体、FcRnについての結合部位を含んでいる分子又は配列を指す。国際特許願WO 97/34631号(1997年9月25日公開)及びWO 96/32478号は例示的なFc変異体ならびにサルベージ受容体との相互作用を述べており、参照してここに組み込まれる。従って、「Fc変異体」という用語は、非ヒト天然Fcからヒト化された(humanized)分子又は配列を含む。さらに、天然Fcは、本発明の融合分子には必要とされない構造的特徴又は生物活性を提供するので、除去しうる部位を含んでいる。それ故、「Fc変異体」という用語は、(1)ジスルフィド結合の形成、(2)選択した宿主細胞との不適合性、(3)選択宿主細胞において発現される際のN末端の異質性、(4)グリコシル化、(5)補体との相互作用、(6)サルベージ受容体以外のFc受容体への結合、あるいは(7)抗体依存性細胞毒性(ADCC)に影響する又は関与する1つ又はそれ以上の天然Fc部位又は残基を欠く分子又は配列を含む。Fc変異体は下記でさらに詳述する。
【0054】
「Fcドメイン」という用語は、上記で定義したような天然Fc及びFc変異体分子及び配列を包含する。Fc変異体及び天然Fcの場合と同様に、「Fcドメイン」という用語は、全抗体から消化されるか若しくは他の手段によって産生される、モノマー又はマルチマー形態の分子を含む。
【0055】
Fcドメイン又はFcドメインを含む分子に適用されるとき「マルチマー(多量体)」という用語は、共有結合、非共有結合、又は共有結合と非共有結合の相互作用によって連結された2本又はそれ以上のポリペプチド鎖を持つ分子を指す。IgG分子は典型的には二量体を形成する;IgMはペンタマー(五量体);IgDは二量体;IgAはモノマー、二量体、トリマー(三量体)又はテトラマー(四量体)を形成する。マルチマーは、Fcの天然Igソースの配列と生じる活性を利用することにより、若しくはそのような天然Fcを誘導体化する(下記に定義する)ことにより、形成されうる。
【0056】
Fcドメイン又はFcドメインを含む分子に適用されるとき「二量体」という用語は、共有結合又は非共有結合によって連結された2本のポリペプチド鎖を持つ分子を指す。それ故、本発明の範囲内に含まれる例示的二量体は図2に示すとおりである。
【0057】
「誘導体化する」及び「誘導体」又は「誘導体化された」という用語は、それぞれ(1)化合物が環状部分を持つ;例えば、化合物内でのシステイニル残基間の架橋;(2)化合物が架橋結合している又は架橋部位を持つ;例えば、化合物がシステイニル残基を持ち、従って培養又はインビボにおいて架橋二量体を形成する;(3)1つ又はそれ以上のペプチジル結合が非ペプチジル結合によって置換されている;(4)N末端が−NRR1、NRC(O)R1、−NRC(O)OR1、−NRS(O)2R1、−NHC(O)NHR、スクシニミド基、あるいは置換された又は置換されていないベンジルオキシカルボニル−NH−、[式中、RとR1及び環置換基は下記で定義するとおりである]によって置換されている;(5)C末端が−C(O)R2又は−NR3R4[式中、R2、R3及びR4は下記で定義するとおりである]によって置換されている;そして(6)個々のアミノ酸部分が、選択された側鎖又は末端残基と反応することができる物質での処理を通して修飾されている化合物であるような方法及び生じる化合物を含む。誘導体は下記でさらに詳述する。
【0058】
「ペプチド」という用語は、2から40個のアミノ酸の分子を指し、3から20個のアミノ酸の分子が好ましく、6から15個のアミノ酸の分子が最も好ましい。例示的ペプチドは、ペプチドライブラリー(例えばファージディスプレイライブラリー)において実施される、上記に引用した方法のいずれかによってランダムに生成するか、若しくはタンパク質の消化によって誘導されうる。
【0059】
ペプチド配列を指すために使用するときの「ランダム化された」という用語は、完全にランダムな配列(例えばファージディスプレイライブラリーによって選択される)及び天然に生じる分子の1個又はそれ以上の残基が、天然に生じる分子ではその位置に出現しないアミノ酸残基によって置換されている配列を指す。ペプチド配列を同定するための例示的方法は、ファージディスプレイ、大腸菌(E.coli)ディスプレイ、リボソームディスプレイ、RNA−ペプチドスクリーニング、化学的スクリーニング等を含む。
【0060】
「薬理学的に活性な」という用語は、そのように説明される物質が、医学的パラメータ(例えば血圧、血球数、コレステロールレベル)又は疾患状態(例えば癌、自己免疫疾患)に影響を及ぼす活性を持つことが明らかにされていることを意味する。従って、薬理学的に活性なペプチドは、下記に定義するような作用性又は擬似及び拮抗性ペプチドを含む。
【0061】
「−擬似ペプチド」及び「−作用物質ペプチド」という用語は、対象とするタンパク質と相互作用するタンパク質(例えばEPO、TPO、G−CSF)と同等の生物活性を持つペプチドを指す。これらの語はさらに、対象とするタンパク質の天然リガンドの作用を増強することによるような、対象タンパク質の活性を間接的に擬似するペプチドを含む;例えば、表2及び7に列挙したG−CSF擬似ペプチド参照。従って、「EPO擬似ペプチド」という用語は、Wrightonら(1996),Science 273:458−63,Narandaら(1999),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:7569−74、若しくはEPO擬似を取り上げていると同定された表2の他の参考文献に記述されているように同定する又は誘導することができるいかなるペプチドも含む。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0062】
「TPO擬似ペプチド」という用語は、Cwirlaら(1997),Science 276:1696−9、米国特許第5,869,451号、同第5,932,946号、及びTPO擬似を取り上げていると同定された表2の他の参考文献、ならびに本願と同日に出願され、参照してここに組み込まれる米国特許願、「血小板形成性化合物(Thrompoietic Compounds)に記述されているように同定する又は誘導することができるペプチドを含む。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0063】
「G−CSF擬似ペプチド」という用語は、Paukovitsら(1984),Hoppe−Seylers Z.Physiol.Chem.365:303−11又はG−CSF擬似を取り上げていると同定された表2の参考文献のいずれかにおいて同定されうる又は説明されうるペプチドを指す。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0064】
「CTLA4擬似ペプチド」という用語は、Fukumotoら(1998),Nature Biotech.16:267−70において記述されているように同定する又は誘導することができるペプチドを指す。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0065】
「−拮抗物質ペプチド」又は「阻害因子ペプチド」という用語は、対象とする関連タンパク質の生物活性を遮断する又はなんらかの方法で生物活性に干渉する、若しくは対象とする関連タンパク質の既知の拮抗物質又は阻害因子と同等の生物活性を持つペプチドを指す。従って、「TNF拮抗物質ペプチド」という用語は、Takasakiら(1997),Nature Biotech.15:1266−70又はTNF拮抗物質を取り上げている同定された表2の参考文献のいずれかにおいて記述されているように同定する又は誘導することができるペプチドを含む。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0066】
「IL−1拮抗物質」及び「IL−1ra擬似ペプチド」という用語は、IL−1によるIL−1受容体の活性化を阻害する又は下方調節するペプチドを含む。IL−1受容体の活性化は、IL−1、IL−1受容体及びIL−1受容体補助タンパク質の間で複合体が形成されることから生じる。IL−1拮抗物質又はIL−1ra擬似ペプチドは、IL−1、IL−1受容体又はIL−1受容体補助タンパク質に結合して、複合体の2つ又は3つの成分間での複合体形成を妨げる。例示的なIL−1拮抗物質又はIL−1ra擬似ペプチドは、米国特許第5,608,035号、同第5,786,331号、同第5,880,096号、又はIL−1ra擬似又はIL−1拮抗物質ペプチドを取り上げている同定された表2の参考文献のいずれかにおいて記述されているように同定する又は誘導することができる。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0067】
「VEGF拮抗物質ペプチド」という用語は、Fairbrother(1998),Biochem.37:17754−64、及びVEGF拮抗物質ペプチドを取り上げていると同定された表2の参考文献のいずれかにおいて記述されているように同定する又は誘導することができるペプチドを含む。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0068】
「MMP阻害因子ペプチド」という用語は、Koivunen(1999),Nature Biotech.17:768−74、及びMMP阻害因子ペプチドを取り上げていると同定された表2の参考文献のいずれかにおいて記述されているように同定する又は誘導することができるペプチドを含む。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0069】
さらに、本発明の化合物の生理的に許容される塩もここに包含される。「生理的に許容される塩」とは、製薬上許容されることが知られている又は今後発見される、いかなる塩も意味する。一部の特定例は:酢酸塩;トリフルオロ酢酸塩;塩酸塩及び臭化水素酸塩のようなヒドロハロゲン化物;硫酸塩;クエン酸塩;酒石酸塩;グリコール酸塩;及びシュウ酸塩である。
【0070】
化合物の構造
全般。本発明に従って製造される物質の組成物においては、ペプチドのN末端又はC末端を通してペプチドをビヒクルに連結することができる。従って、本発明のビヒクル−ペプチド分子は次の式I:
(X1)a−F1(X2)b
[式中、F1はビヒクル(好ましくはFcドメイン)であり、
X1及びX2は、各々独立に−(L1)c−P1、−(L1)c−P1−(L2)d−P2、−(L1)c−P1−(L2)d−P2−(L3)e−P3、及び−(L1)c−P1−(L2)d−P2−(L3)e−P3−(L4)f−P4から選択され、
P1、P2、P3及びP4は各々独立に薬理学的に活性なペプチドの配列であり、
L1、L2、L3及びL4は各々独立にリンカーであり、そして
a、b、c、d、e及びfは、aとbの少なくとも一方が1であることを条件として、各々独立に0又は1である]
によって表わすことができる。
【0071】
従って、化合物Iは式II:
X1−F1
及びそのマルチマー[式中、F1はFcドメインであり、X1のC末端で結合している]、式III:
F1−X2
及びそのマルチマー[式中、F1はFcドメインであり、X2のN末端で結合している]、式IV:
F1−(L1)c−P1
及びそのマルチマー[式中、F1はFcドメインであり、−(L1)c−P1のN末端で結合している]、式V
F1−(L1)c−P1−(L2)d−P2
及びそのマルチマー[式中、F1はFcドメインであり、−L1−P1−L2−P2のN末端で結合している]
の好ましい化合物を含む。
【0072】
ペプチド。本発明と組み合わせてどのような数のペプチドも使用しうる。特に興味深いのは、EPO、TPO、成長ホルモン、G−CSF、GM−CSF、IL−1ra、レプチン、CTLA4、TRAIL、TGF−α、及びTGF−βの活性を擬似するペプチドである。ペプチド拮抗物質、特にTNF、レプチン、インターロイキンのいずれか(IL−1、2、3、…)、及び補体活性化に関与するタンパク質(例えばC3b)の活性に拮抗するものも興味深い。腫瘍誘導(tumor−homing)ペプチド、膜輸送ペプチド等を含めた標的ペプチドも興味深い。これらのクラスのペプチドすべてが本明細書で引用する参考文献及び他の参考文献において記述されている方法によって発見されうる。
【0073】
ファージディスプレイは、特に、本発明において使用するためのペプチドを生成するのに有用である。ランダムペプチドのライブラリーからのアフィニティー選択を使用して、遺伝子産物の部位に関するペプチドリガンドを同定できることが記述されている。Dedmanら(1993),J.Biol.Chem.268:23025−30。ファージディスプレイは、細胞表面受容体のような対象タンパク質又は線状エピトープを持つなんらかのタンパク質に結合するペプチドを同定するために特に適している。Wilsonら(1998),Can.J.Microbiol.44:313−29;Kayら(1998),Drug Disc.Today 3:370−8。そのようなタンパク質は、参照してここに組み込まれる、Heizら(1997),J.Receptor & Signal Transduction Res.17(5):671−776の中で広汎に検討されている。そのような対象タンパク質は本発明における使用のために好ましい。
【0074】
特に好ましいペプチド群は、サイトカイン受容体に結合するものである。サイトカインは最近それらの受容体コードに従って分類された。参照してここに組み込まれる、Inglot(1997),Archivum Immunologiae et Therapiae Experimentalis 45:353−7参照。これらの受容体の中で、最も好ましいのはCKRs(表3のIファミリー)である。受容体分類を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
本発明に関する例示的ペプチドを下記の表4から20に示す。これらのペプチドは当技術において開示されている方法によって調製しうる。1文字のアミノ酸略語を使用している。これらの配列中(及び特定の場合に異なる記載がないかぎり、本明細書全体を通じて)のXは、20個の天然に生じるアミノ酸残基のいずれかが存在することを意味する。これらのペプチドにいずれも、リンカーにより又はリンカーなしで、タンデムに(すなわち連続的に)連結することができ、いくつかのタンデム結合例を表に示している。リンカーは「Λ」として列挙しており、ここで述べるリンカーのいずれでもよい。タンデムリピートとリンカーは、明瞭化のためダッシュで分けて示している。システイニル残基を含むいずれのペプチドも、もうひとつのCys含有ペプチドと架橋することができ、ペプチドの一方又は両方がビヒクルに連結されていてもよい。いくつかの架橋例を表に示している。1個以上のCys残基を持つペプチドは、ペプチド内ジスルフィド結合を形成することもできる;例えば、表5のEPO擬似ペプチド参照。ペプチド内ジスルフィド結合したペプチドのいくつかの例が表に記載されている。これらのペプチドのいずれもがここで述べたように誘導体化することができ、いくつかの誘導体化した例を表に示している。関連する非誘導体化ペプチドも本発明において使用できるので、表中の誘導体化ペプチドは限定ではなく例示である。カルボキシル末端をアミノ基でキャップすることができる誘導体に関しては、キャップアミノ基を−NH2として示している。アミノ酸残基がアミノ酸残基以外の成分で置換されている誘導体については、置換基をσで表わしており、σは、参照してここに組み込まれる、Bhatnagarら(1996),J.Med.Chem.39:3814−9及びCuthbertsonら(1997),J.Med.Chem.40:2876−82に述べられている成分のいずれかを意味する。J置換基とZ置換基(Z5、Z6、…Z40)は、参照してここに組み込まれる米国特許第5,608,035号、同第5,786,331号及び同第5,880,096号で定義されているとおりである。EPO擬似配列(表5)に関しては、置換基X2からX11まで及び整数「n」は、参照してここに組み込まれるWO 96/40772号に定義されているとおりである。置換基「Ψ」、「Θ」、及び「+」は、参照してここに組み込まれる、Sparksら(1996),Proc.Natl.Acad.Sci.93:1540−4に定義されているとおりである。X4、X5、X6及びX7は、インテグリン結合ペプチドに関して、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8が、参照してここに組み込まれる1995年6月1日公開の国際特許願WO 95/14714号及び1997年3月6日公開のWO 97/08203号に定義されているとおりであり、VIP擬似ペプチドに関して、X1、X1’、X1”、X2、X3、X4、X5、X6及びZならびに整数mとnが、参照してここに組み込まれる1997年10月30日公開のWO 97/40070号に定義されているとおりであることを除いて、やはり参照してここに組み込まれる米国特許第5,773,569号に定義されているとおりである。下記のXaa及びYaaは、参照してここに組み込まれる1998年3月12日公開のWO 98/09985号に定義されているとおりである。AA1、AA2、AB1、AB2、及びACは、参照してここに組み込まれる1998年12月3日公開の国際特許願WO 98/53842号に定義されているとおりである。表17中のX1、X2、X3及びX4は、1999年4月28日公開の欧州特許願EP 0 911 393号に定義されているとおりである。太字で表示されている残基はD−アミノ酸である。特に異なる記載がないかぎり、すべてのペプチドはペプチド結合を通して連結されている。略語は本明細書の末尾に列挙している。「配列番号」の欄において、「NR」は、所与の配列に関して配列リストの記載を必要としないことを意味する。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
【表7】
【0081】
【表8】
【0082】
【表9】
【0083】
【表10】
【0084】
【表11】
【0085】
【表12】
【0086】
【表13】
【0087】
【表14】
【0088】
【表15】
【0089】
【表16】
【0090】
【表17】
【0091】
【表18】
【0092】
【表19】
【0093】
【表20】
【0094】
本発明はまた、次の治療において活性を持つペプチドに関して特に有用である:
・ペプチドがVEGF擬似又はVEGF受容体拮抗物質、HER2作用物質又は拮抗物質、CD20拮抗物質等である場合には、癌、
・対象とするタンパク質がCKR3拮抗物質、IL−5受容体拮抗物質等である場合には、喘息、
・対象とするタンパク質がGPIIb拮抗物質、GPIIIa拮抗物質等である場合には、血栓症、
・対象とするタンパク質がIL−2受容体拮抗物質、CD40作用物質又は拮抗物質、CD40L作用物質又は拮抗物質、サイモポイエチン擬似等である場合には、自己免疫疾患及び免疫調節に関わる他の状態。
【0095】
ビヒクル。本発明は、アミノ酸残基の1つのN末端、C末端又は側鎖を通してペプチドに結合された少なくとも1つのビヒクル(F1、F2)の存在を必要とする。多数のビヒクルも使用しうる;例えば、各々の末端のFc、又は一方の末端のFcと他方の末端又は側鎖のPEG基。
【0096】
Fcドメインは好ましいビヒクルである。FcドメインはペプチドのN又はC末端に、又はN末端とC末端の両方に融合することができる。TPO擬似ペプチドに関しては、分子のペプチド部分のN末端に融合されたFcドメインを持つ分子は他のそのような融合よりも生物活性であり、従ってN末端への融合が好ましい。
【0097】
上述したように、Fc変異体は本発明の範囲内での適切なビヒクルである。天然Fcを、サルベージ受容体への結合が保持されることを条件として、本発明に従ったFc変異体を形成するために広汎に改変することができる;例えば、WO 97/34631号及びWO 96/32478号参照。そのようなFc変異体では、本発明の融合分子が必要としない構造的特徴又は機能的活性を提供する天然Fcの1つ又はそれ以上の部位を除去しうる。例えば、残基を置換する又は欠失させる、残基を当該部位に挿入する、若しくは当該部位を含む部分を切断することによってそれらの部位を除去することができる。挿入される又は置換される残基は、ペプチド擬似又はD−アミノ酸のような改変されたアミノ酸であってもよい。Fc変異体は多くの理由から望ましいと考えられ、その内のいくつかを下記に述べる。例示的なFc変異体は、次のような分子及び配列を含む:
1.ジスルフィド結合の形成に関わる部位が除去されている。そのような除去は、本発明の分子を生成するために使用する宿主細胞中に存在する他のシステイン含有タンパク質との反応を回避することができる。このために、N末端のシステイン含有セグメントを切断するか、若しくはシステイン残基を欠失させる又は他のアミノ酸(例えばアラニル、セリル)で置換することができる。特に、配列番号2のN末端の20アミノ酸セグメントを切断する、若しくは配列番号2の7及び10位のシステイン残基を欠失させる又は置換することができる。システイン残基を除去したときでも、一本鎖Fcドメインはまだ、非共有結合で結ばれた二量体Fcドメインを形成することができる。
2.選択した宿主細胞とより適合性にするために天然Fcが修飾されている。例えば、プロリンイミノペプチダーゼのような大腸菌の消化酵素によって認識されうる、典型的天然FcのN末端近くのPA配列を除去することができる。また、特に分子が大腸菌のような細菌細胞において組換え発現されるときには、N末端のメチオニン残基を付加することもできる。配列番号2のFcドメイン(図4)はそのようなFc変異体の1つである。
3.選択した宿主細胞において発現されたときのN末端の異質性を防ぐために、天然FcのN末端の一部が除去されている。このために、N末端の最初の20個のアミノ酸残基のいずれか、特に1、2、3、4及び5位のアミノ酸残基を欠失させることができる。
4.1つ又はそれ以上のグリコシル化部位が除去されている。典型的には、グリコシル化されている残基(例えばアスパラギン)は細胞溶解反応をもたらすと考えられる。そのような残基を欠失させる又はグリコシル化されていない残基(例えばアラニン)で置換することができる。
5.C1q結合部位のような補体との相互作用に関わる部位が除去されている。例えば、ヒトIgG1のEKK配列を欠失させる又は置換することができる。補体の集積は本発明の分子にとって有利ではないと考えられ、それ故かかるFc変異体によって回避することができる。
6.サルベージ受容体以外のFc受容体への結合に影響を及ぼす部位が除去されている。天然Fcは、本発明の融合分子にとって必要ではない特定の白血球と相互作用するための部位を持つと考えられ、それ故かかる部位を除去することができる。
7.ADCC部位が除去されている。ADCC部位は当技術分野において既知である;IgG1のADCC部位に関しては、例えばMolec.Immunol.29(5):633−9(1992)参照。これらの部位も本発明の融合分子には必要なく、従って除去されうる。
8.天然Fcがヒト以外の抗体から誘導されるときには、天然Fcをヒト化することができる。典型的には、天然Fcをヒト化するために、ヒト以外の天然Fc中の選択した残基をヒト天然Fcにおいて通常認められる残基で置換する。抗体のヒト化のための手法は当技術において周知である。
【0098】
好ましいFc変異体は次のものを含む。配列番号2(図4)において、15位のロイシンがグルタメートで置換されうる;99位のグルタメートがアラニンで、101位と103位のリシンがアラニンで置換されうる。さらに、1個又はそれ以上のチロシン残基をフェニルアラニン残基に置き換えることができる。
【0099】
代替的なビヒクルは、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、抗体フラグメント、又はサルベージ受容体に結合することができる小分子(例えばペプチド擬似化合物)であろう。例えば、Prestaらへの1998年4月14日発行の米国特許第5,739,277号に述べられているようなポリペプチドがビヒクルとして使用できるであろう。ペプチドはまた、FcRnサルベージ受容体への結合に関するファージディスプレイによって選択することもできる。そのようなサルベージ受容体結合化合物も「ビヒクル」の意味するものの中に含まれ、本発明の範囲内である。そのようなビヒクルは、半減期を高め(例えば、プロテアーゼによって認識される配列を避けることにより)、且つ免疫原性を低下させる(例えば、抗体のヒト化において発見されるような、非免疫原性配列を促進することにより)ように選択すべきである。
【0100】
上述したように、ポリマービヒクルもF1及びF2に関して使用しうる。現在、ビヒクルとして有用な化学成分を結合するために様々な手段が使用でき、例えば、その全体が参照してここに組み込まれる、「N末端で化学修飾されたタンパク質組成物及び方法(N−Terminally Chemically Modified Protein Compositions and Methods)」と題されたPatent Cooperation Treaty(「PCT」)の国際特許公開WO 96/11953号参照。このPCT特許公開は、特にタンパク質のN末端への水溶性ポリマーの選択的結合を開示している。
【0101】
好ましいポリマービヒクルはポリエチレングリコール(PEG)である。PEG基は好都合な分子量を持つことができ、線状又は分枝のいずれでもよい。PEGの平均分子量は、好ましくは約2キロダルトン(「kD」)から約100kDa、より好ましくは約5kDaから約50kDa、最も好ましくは約5kDaから約10kDaの範囲である。PEG基は一般に、PEG成分上の反応基(例えばアルデヒド、アミノ、チオール又はエステル基)を通して本発明の化合物上の反応基(例えばアルデヒド、アミノ又はエステル基)にアシル化又は還元的アルキル化することにより、本発明の化合物に結合される。
【0102】
合成ペプチドのPEG化のための有用な戦略は、溶液中で共役結合を形成することを通して、各々が他方に対して相互に反応性である特殊な官能性を担う、ペプチドとPEG成分を結合することから成る。ペプチドは従来の固相合成を用いて容易に調製できる(例えば、図5及び6と本文中の付随する説明参照)。ペプチドは、特定部位において適切な官能基で「前活性化」されている。PEG成分と反応させる前に、前駆物質を精製し、十分に特性付ける。ペプチドとPEGのライゲーションは通常水相で起こり、逆相分析HPLCによって容易にモニターすることができる。PEG化ペプチドは分取HPLCによって容易に精製でき、分析HPLC、アミノ酸分析及びレーザー脱着質量分析によって特徴付けることができる。
【0103】
多糖類ポリマーはタンパク質修飾に使用できるもうひとつのタイプの水溶性ポリマーである。デキストランは、主としてα1−6結合によって連結されたグルコースの個々のサブユニットから成る多糖類ポリマーである。デキストラン自体は多くの分子量範囲で入手可能であり、約1kDから約70kDの分子量のものが容易に入手できる。デキストランは、それ自体でビヒクルとして若しくはもうひとつ別のビヒクル(例えばFc)との組合せで、本発明における使用に適した水溶性ポリマーである。例えば、WO 96/11953号及びWO 96/05309号参照。治療用又は診断用免疫グロブリンに複合したデキストランの使用が報告されている;例えば、参照してここに組み込まれる欧州特許公開0 315 456号参照。デキストランを本発明に従ってビヒクルとして使用するときには、約1kDから約20kDのデキストランが好ましい。
【0104】
リンカー。どのような「リンカー」基も任意である。存在するときには、主としてスペーサーとして働くため、その化学構造は絶対条件ではない。リンカーは、好ましくはペプチド結合によって互いに連結されたアミノ酸で作製される。従って、好ましい実施態様では、リンカーはペプチド結合によって連結された1から20個のアミノ酸から作られ、かかるアミノ酸は20個の天然に生じるアミノ酸から選択される。当業者には明らかに理解されるように、これらのアミノ酸の一部はグリコシル化されている場合もある。より好ましい実施態様では、1から20個のアミノ酸はグリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、及びリシンから選択される。さらに一層好ましくは、リンカーは、その大半がグリシンとアラニンのように立体障害とならないアミノ酸で作製される。それ故、好ましいリンカーはポリグリシン(特に(Gly)4、(Gly)5)、ポリ(Gly−Ala)、及びポリアラニンである。リンカーの他の特定例は次のものである:
(Gly)3Lys(Gly)4(配列番号333)、
(Gly)3AsnGlySer(Gly)2(配列番号334)、
(Gly)3Cys(Gly)4(配列番号335)、及び
GlyProAsnGlyGly(配列番号336)。
上記の表記法を説明すると、例えば、(Gly)3Lys(Gly)4はGly−Gly−Gly−Lys−Gly−Gly−Gly−Glyを意味する。GlyとAlaの組合せも好ましい。ここに示すリンカーは例示である;本発明の範囲内のリンカーははるかに長い場合もあり、また他の残基を含みうる。
【0105】
非ペプチドリンカーも可能である。例えば、−NH−(CH2)5−C(O)−、[式中、s=2−20]のようなアルキルリンカーが使用できるであろう。これらのアルキルリンカーはさらに、低級アルキル(例えばC1−C6)、低級アシル、ハロゲン(例えばCl、Br)、CN、NH2、フェニル等のような立体障害とならない基によって置換されていてもよい。例示的な非ペプチドリンカーはPEGリンカー、
【0106】
【化1】
[式中、nは、リンカーが100から5000kD、好ましくは100から500kDの分子量を持つ数である]
である。ペプチドリンカーは、上述したのと同じようにして誘導体を形成するように改変することができる。
【0107】
誘導体。本発明者はまた、化合物のペプチド及び/又はビヒクル部分を誘導体化することを考慮している。そのような誘導体は、化合物の溶解度、吸収、生物学的半減期等を改善すると考えられる。当該物質は、その代わりに、化合物の好ましくない副作用等を排除する又は軽減する場合もある。例示的な誘導体は次のような化合物を含む:
1.化合物又はその一部が環状である。例えばペプチド部分が、ジスルフィド結合の形成によって環化しうる2個又はそれ以上のCys残基を含む(例えばリンカー中に)ように修飾することができる。環化誘導体の調製に関する参考文献の引用については表2参照。
【0108】
2.化合物が架橋している又は分子間で架橋できるようになっている。例えば、ペプチド部分を1個のCys残基を含むように改変し、それによって同様の分子と分子間ジスルフィド結合を形成することができる。化合物はまた、下記に示す分子のように、そのC末端を通して架橋されていてもよい。
【0109】
【化2】
【0110】
3.
【0111】
4.1つ又はそれ以上のペプチジル[−C(O)NR−]結合が非ペプチジル結合によって置換されている。例示的非ペプチジル結合は、−CH2−カルバメート[−CH2−OC(O)NR−]、ホスホネート、−CH2−スルホンアミド[−CH2−S(O)2NR−]、尿素[−NHC(O)NH−]、−CH2−第二アミン、及びアルキル化ペプチド[−C(O)NR6−、式中、R6は低級アルキルである]である。
【0112】
5.N末端が誘導体化されている。典型的には、N末端をアシル化するか又は置換アミンに改変することができる。例示的なN末端誘導体基は、−NRR1(−NH2−以外)、−NRC(O)R1、−NRC(O)OR1、−NRS(O)2R1、−NHC(O)NHR1、スクシニミド、又はベンジルオキシカルボニル−NH−(CBZ−NH−)、[式中、RとR1は各々独立に水素又は低級アルキルであり、フェニル環はC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、クロロ、及びブロモから成る群から選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい]を含む。
【0113】
6.遊離C末端が誘導体化されている。典型的には、C末端がエステル化又はアミド化されている。例えば、当技術において記述されている方法を用いて、C末端に配列番号504から508のいずれかを持つ本発明の化合物に(NH−CH2−CH2−NH2)2を付加することができる。同様に、当技術において記述されている方法を用いて、C末端に配列番号924から955、963から972、1005から1013、又は1018から1023のいずれかを持つ本発明の化合物に−NH2を付加することができる。例示的なC末端誘導体基は、例えば、−C(O)R2[式中、R2は低級アルコキシである]、又は−NR3R4[式中、R3とR4は各々独立に水素又はC1−C8アルキル(好ましくはC1−C4アルキル)である]を含む。
【0114】
7.ジスルフィド結合がもうひとつ別の、好ましくはより安定な、架橋成分(例えばアルキレン)で置換されている。例えば。Bhatnagarら(1996),J.Med.Chem.39:3814−9;Albertsら(1993),Thirteenth Am.Pep.Symp.357−9参照。
【0115】
8.1個又はそれ以上の個々のアミノ酸残基が修飾されている。下記に詳述するように、様々な誘導体化物質が選択された側鎖又は末端残基と特異的に反応することが知られている。
【0116】
リシニル残基とアミノ末端残基は、リシニル残基の電荷を逆転させる無水コハク酸又は他の無水カルボン酸と反応しうる。α−アミノ含有残基を誘導体化するための他の適当な試薬は、メチルピコリンイミデートのようなイミドエステル、ピリドキサルホスフェート、ピリドキサル、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチリソ尿素、2,4ペンタンジオン、及びトランスアミナーゼが触媒するグリオキシレートとの反応を含む。
【0117】
アルギニル残基は、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、及びニンヒドリンを含めた、従来の試薬のいずれか1つ又はいくつかの組合せとの反応によって修飾しうる。アルギニル残基の誘導体化は、グアニジン官能基のpKaが高いため、反応がアルカリ条件下で行われることを必要とする。さらに、これらの試薬はリシンのグループならびにアルギニンイプシロンアミノ基と反応しうる。
【0118】
チロシル残基の特異的修飾は広汎に検討されており、特に芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメタンとの反応によってチロシル残基にスペクトル標識を導入することに関心が寄せられている。最も一般的には、N−アセチルイミダゾール及びテトラニトロメタンを使用して、それぞれO−アセチルチロシル種と3−ニトロ誘導体を形成する。
【0119】
カルボキシル側鎖基(アスパルチル又はグルタミル)は、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−(4−エチル)カルボジイミド又は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルフェニル)カルボジイミドのようなカルボジイミド(R’−N=C=N−R’)との反応によって選択的に修飾しうる。さらに、アスパルチル及びグルタミル残基をアンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル及びグルタミニル残基に転換することができる。
【0120】
グルタミニル及びアスパラギニル残基は対応するグルタミル及びアスパルチル残基に脱アミノ化することができる。代替的には、これらの残基は弱い酸性条件下で脱アミノ化される。これらの残基のいずれの形態も本発明の範囲内に含まれる。
【0121】
システイニル残基は、ジスルフィド結合を取り除くため、あるいは逆に架橋を安定させるために、アミノ酸残基又は他の成分によって置換することができる。例えば、Bhatnagarら(1996),J.Med.Chem.39:3814−9参照。
【0122】
二官能物質による誘導体化は、ペプチド又はそれらの官能基誘導体を水不溶性支持体基質又は他の高分子ビヒクルに架橋結合するために有用である。一般に使用される架橋剤は、例えば1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシニミドエステル、例えば4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3−ジチオビス(スクシニミジルプロピオネート)のようなジスクシニミジルエステルを含めたホモ二官能性イミドエステル、及びビス−N−マレイミド−1,8−オクタンのような二官能性マレイミドを含む。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデータのような誘導体化剤は、光の存在下で架橋を形成することができる光活性化中間体を生成する。その代わりに、臭化シアン活性化炭水化物のような反応性水不溶性基質及び米国特許第3,969,287号、同第3,691,016号、同第4,195,128号、同第4,247,642号、同第4,229,537号及び同第4,330,440号に述べられている反応性基質がタンパク質の固定に使用される。
【0123】
炭水化物(オリゴ糖)基は、タンパク質におけるグリコシル化部位であることが知られている部位に好都合に結合しうる。一般に、配列Asn−X−Ser/Thr[Xはプロリン以外のどのようなアミノ酸でもよい]の一部であるときには、O結合オリゴ糖をセリン(Ser)又はトレオニン(Thr)残基に連結し、N結合オリゴ糖をアスパラギン(Asn)残基に連結する。Xは、好ましくはプロリン以外の19の天然に生じるアミノ酸の1つである。N結合及びO結合オリゴ糖の構造及び各々の種類で認められる糖残基は異なる。両方で一般的に認められる糖の1つの種類はN−アセチルノイラミン酸(シアル酸と称される)である。シアル酸は通常、N結合及びO結合オリゴ糖の両方の末端残基であり、その負の電荷により、グリコシル化化合物に酸性特性を与えうる。そのような部位は本発明の化合物のリンカーに組み込むことができ、好ましくはポリペプチド化合物の組換え産生(例えばCHO、BHK、COSのような哺乳類細胞において)の際に細胞によってグリコシル化される。しかしながら、そのような部位は、当技術において既知の合成又は半合成手順によってさらにグリコシル化されうる。
【0124】
他の可能な修飾は、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、Cys中の硫黄原子の酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化を含む。Creighton,タンパク質:構造と分子特性(Proteins:Structure and Molecule Properties)(W.H.Freeman & Co.,San Francisco),p.79−86(1983)。
【0125】
本発明の化合物は、DNAレベルでも変化しうる。化合物のいずれかの部分のDNA配列を、選択した宿主細胞とより適合性のあるコドンに変えることができる。好ましい宿主細胞である大腸菌に関しては、至適化されたコドンが当技術において既知である。制限部位を取り除くように、又は選択宿主細胞におけるDNAのプロセシングを助けるサイレント制限部位を含むように、コドンを置換することができる。上記の配列変更のいずれかを含むようにビヒクル、リンカー及びペプチドDNA配列を修飾することができる。
【0126】
作製方法
本発明の化合物は、主として組換えDNA手法を用いて形質転換宿主細胞において作製されうる。そのために、当該ペプチドをコードする組換えDNA分子を調製する。そのようなDNA分子を調製する方法は当技術において周知である。例えば、適当な制限酵素を使用して当該ペプチドをコードする配列をDNAから切り出すことができる。その代わりには、ホスホルアミデート(phosphoramidate)法のような化学合成手法を用いてDNA分子を合成することができる。また、これらの手法の組合せも使用できる。
【0127】
本発明はまた、適当な宿主において当該ペプチドを発現することができるベクターを含む。ベクターは、適当な発現制御配列に操作的に連結されたペプチドをコードするDNA分子を含む。DNA分子をベクターに挿入する前又は挿入後のいずれかに、この操作的結合を生じさせる方法は周知である。発現制御配列は、プロモーター、アクチベーター、エンハンサー、オペレーター、リボソーム結合部位、開始シグナル、停止シグナル、キャップシグナル、ポリアデニル化シグナル、及び転写又は翻訳の制御にかかわる他のシグナルを含む。
【0128】
生じたDNA分子を持つベクターを使用して適当な宿主を形質転換する。この形質転換は、当技術において周知の方法を用いて実施しうる。
【0129】
本発明の実施にあたって、数多くの入手可能な周知の宿主細胞が使用できる。個々の宿主細胞の選択は当技術において認識されている多くの因子に依存する。これらは、例えば、選択される発現ベクターとの適合性、DNA分子によってコードされるペプチドの毒性、形質転換の速度、ペプチドの回収の容易さ、発現特性、生体安全性及びコストを含む。必ずしもすべての宿主が特定のDNA配列の発現のために等しく有効ではないとの理解を持って、これらの因子のバランスを決定しなければならない。これらの一般的ガイドラインの中で、有用な微生物宿主は、細菌(大腸菌(E.coli)sp.など)、酵母(サッカロミセス(Saccharomyces)sp.など)及び他の真菌、昆虫、植物、培養中の哺乳類(ヒトを含む)細胞、又は当技術において既知の他の宿主を含む。
【0130】
次に、形質転換した宿主を培養し、精製する。宿主細胞は、所望する化合物が発現されるように従来の発酵条件下で培養されうる。そのような発酵条件は当技術において周知である。最後に、当技術において周知の方法によってペプチドを培養から精製する。
【0131】
当該化合物はまた、合成方法によって作製することもできる。例えば、固相合成手法が使用できる。適当な手法は当技術において周知であり、Merrifield(1973),Chem.Polypeptides,p.335−61(KatsoyannisとPanayotis編集);Merrifield(1963),J.Am.Chem.Soc.85:2149;Davisら(1985),Biochem.Intl.10:394−414;StewartとYoung(1969),固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis);米国特許第3,941,763号;Finnら(1976),タンパク質(The Proteins)(第3版)2:105−253;及びEricksonら(1976),タンパク質(The Proteins)(第3版)2:257−527に述べられているものを含む。固相合成は小ペプチドを作製する最もコスト効果的方法であるので、個々のペプチドを作製する好ましい手法である。
【0132】
誘導体化されたペプチドを含む若しくは非ペプチド基を含む化合物は、周知の有機化学手法によって合成することができる。
【0133】
化合物の使用
概説。本発明の化合物は、対象とするタンパク質の作用物質、擬似又は拮抗物質としてかかる対象タンパク質に結合するそれらの能力から生じる薬理学的活性を持つ。特定化合物の有用性を表2に示す。これらの化合物の活性は、当技術において既知のアッセイによって測定することができる。TPO擬似及びEPO擬似化合物に関しては、本文中の実施例の章でさらに説明する。
【0134】
治療用途に加えて、本発明の化合物は、対象とするそれらの関連タンパク質の機能障害を特徴とする疾患を診断する上で有用である。1つの実施態様では、(a)サンプルを本発明の化合物に接触させ、そして(b)当該化合物による対象タンパク質の活性化を検出するステップを含む、活性化されうる対象タンパク質(例えば受容体)を生物学的サンプルにおいて検出する方法。生物学的サンプルは、組織標本、無傷細胞、又はそれらの抽出物を含む。本発明の化合物は、生物学的サンプルにおいて対象とするそれらの関連タンパク質の存在を検出するための診断キットの一部として使用しうる。そのようなキットは、検出を可能にする結合標識を持つ本発明の化合物を用いる。当該化合物は、対象とする正常又は異常タンパク質を同定するために有用である。EPO擬似化合物に関しては、例えば、生物学的サンプル中に対象とする異常タンパク質が存在することは、EPO受容体が機能不全であると考えられるダイアモンド−ブラックファン貧血(Diamond Blackfan anemia)のような疾患を表わすと考えられる。
【0135】
EPO擬似化合物の治療用途。本発明のEPO擬似化合物は、赤血球レベルが低いことを特徴とする疾患を治療するために有用である。哺乳類においてEPO受容体の内因性活性を調節する方法、好ましくはEPO受容体の活性を上昇させる方法は本発明に包含される。一般に、貧血のような、エリトロポイエチンによって治療しうるいかなる状態も、本発明のEPO擬似化合物によって治療されうる。これらの化合物を、治療する状態の性質と重症度に適した、当業者が探知しうる量と送達経路によって投与する。好ましくは、投与は皮下、筋肉内、又は静脈内のいずれかの注入による。
【0136】
TPO擬似化合物の治療用途。TPO擬似化合物については、「巨核球の増殖と分化を刺激するための組成物及び方法(Compositions and Methods for Stimulating Megakaryocyte Growth and Differentiation)」と題されたWO 95/26746号に記述されているもののような標準的アッセイが利用できる。下記の実施例においてもインビボアッセイを示す。
【0137】
治療される状態は、一般に既存の巨核球/血小板欠損又は予想される巨核球/血小板欠損(例えば、手術又は血小板供与が予定されているため)に関わるものである。そのような状態は通常、インビボでの活性Mp1リガンドの欠損(一過性又は永続的)の結果である。血小板欠損の一般名は血小板減少症(thrombocytopenia)であり、従って本発明の方法及び組成物は一般に、その必要のある患者において血小板減少症を治療するために使用しうる。
【0138】
血小板減少症(血小板欠損)は、化学療法及び様々な薬剤による他の治療、放射線療法、手術、偶発的血液損失、ならびに他の特異疾患状態を含めて、様々な理由から存在しうる。血小板減少症に関わる、本発明に従って治療しうる例示的な特異疾患状態は:再生不良性貧血、特発性血小板減少症、血小板減少症をもたらす転移性腫瘍、全身性エリテマトーデス、巨脾腫、ファンコーニ症候群(Fanconi‘s syndrome)、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、メイ−ヘグリン異常(May-Hegglin anomaly)、ヴィスコット−オールドリッチ症候群(Wiskott−Aldrich syndrome)、ならびに発作性夜間血色素尿症である。また、AIDSに関する一部の治療は血小板減少症を生じさせる(例えばAZT)。一部の創傷治癒障害も血小板数の増加から恩恵を受けるであろう。
【0139】
例えば後日の手術による、予想される血小板欠損に関しては、本発明の化合物を血小板が必要とされる数日前から数時間前に投与することができる。急性状況、例えば偶発的な大量失血に関しては、本発明の化合物を血液又は精製血小板と共に投与することができる。
【0140】
本発明のTPO擬似化合物はまた、当該細胞がMp1受容体を発現することが認められれば、巨核球以外の一部の細胞型を刺激する上で有用であると考えられる。Mp1リガンドによる刺激に対しての応答である、Mp1受容体を発現するそのような細胞に関連する状態も、本発明の範囲内である。
【0141】
本発明のTPO擬似化合物は、血小板又は血小板前駆細胞の産生が所望される、若しくはcMp1受容体の刺激が所望されるいかなる状況においても使用できる。従って、例えば、本発明の化合物は、血小板、巨核球等が必要とされる哺乳類での状態を治療するために使用しうる。そのような状態は次の例示的ソースに詳述されており、ここに組み込まれる:WO95/26746号;WO95/21919号;WO95/18858号;WO95/21920号。
【0142】
本発明のTPO擬似化合物はまた、血小板及び/又は巨核球及び関連細胞の生存率又は貯蔵寿命を維持する上でも有用であると考えられる。それ故、そのような細胞を含む組成物中に1つ又はそれ以上のそのような化合物の有効量を含むことは有用であろう。
【0143】
本発明の治療方法、組成物及び化合物はまた、血小板欠損だけでなく他の症状によっても特徴付けられる疾患状態の治療において、単独で若しくは他のサイトカイン、可溶性Mp1受容体、造血因子、インターロイキン、成長因子又は抗体と組み合わせて用いることができる。本発明の化合物は、IL−3又はGM−CSFのような一般的な造血刺激物質との組合わせで一部の形態の血小板減少症を治療するのに有用であることが明らかにされると予想される。他の巨核球刺激因子、すなわちmeg−CSF、幹細胞因子(SCF)、白血病阻害因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、又は巨核球刺激活性を持つ他の分子も、Mp1リガンドと共に用いることができる。そのような同時投与のためのさらなる例示的サイトカイン又は造血因子は、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−11、コロニー刺激因子−1(CSF−1)、SCF、GM−CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、EPO、インターフェロン−α(IFN−α)、コンセンサスインターフェロン、IFN−β、又はIFN−γを含む。さらに、ひとたび巨核球が成熟形態に達すれば、巨核球を血小板へと切断する作用を持つと思われる可溶性哺乳類Mp1受容体の有効量を同時に又は連続的に投与することは有用であると考えられる。それ故、本発明の化合物の投与(成熟巨核球の数を高めるため)に続いて可溶性Mp1受容体を投与することは(リガンドを不活性化し、成熟巨核球に血小板を産生させるため)、血小板産生を刺激する特に有効な手段であると予想される。上記に引用した用量は、治療組成物中のそのような追加成分を補うように調節する。治療した患者の経過は従来の方法によってモニターすることができる。
【0144】
本発明の化合物を血小板及び/又は巨核球及び関連細胞の組成物に加える場合、含有される量は、一般に当技術において既知の手法及びアッセイによって実験的に探知されるであろう。そのような量の例示的範囲は、106細胞につき本発明の化合物0.1μg−1mgである。
【0145】
製薬組成物
概説。本発明はまた、本発明の化合物の製薬組成物を使用する方法を提供する。そのような製薬組成物は、注入による投与、経口、肺、経鼻、経皮又は他の形態の投与用でありうる。一般に、本発明は、製薬上許容される希釈剤、防腐剤、溶解補助剤、乳化剤、アジュバント及び/又はキャリアと共に本発明の化合物の有効量を含む製薬組成物を包含する。そのような組成物は、様々な緩衝剤含量(例えばTris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pH及びイオン強度の希釈剤、界面活性剤及び溶解補助剤(例えばTween 80、Polysorbate 80)のような添加物、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えばThimersol、ベンジルアルコール)及び充填剤(例えばラクトース、マンニトール)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のようなポリマー化合物の微粒子製剤又はリポソームへの物質の組込みを含む。ヒアルロン酸も使用でき、これは循環中に存在する時間の延長を促進する作用を持つと考えられる。そのような組成物は、本発明のタンパク質及び誘導体の物理的状態、安定性、インビボでの放出速度、及びインビボでのクリアランス速度に影響を及ぼしうる。例えば、参照してここに組込まれる、レミントンの製薬化学(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(1990,Mack Publishing Co.,Easton,PA18042)p.1435−1712参照。当該組成物は液体形態、若しくは凍結乾燥形態のような乾燥粉末で調製することができる。経皮製剤と同様に、移植可能な持続放出性製剤も考慮される。
【0146】
経口投与形態。参照してここに組込まれるレミントンの製薬化学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)(1990),第18版,Mack Publishing Co.,Easton,PA18042)の89章に概説されている経口固形投与形態が、ここでの使用のために考慮される。固形投与形態は、錠剤、カプセル、丸剤、トローチ又はロゼンジ、カシェ剤又はペレット剤を含む。同様に、リポソーム又はプロテイノイド被包も本発明の組成物を製剤するために使用しうる(例えば、米国特許第4,925,673号に報告されているプロテイノイドミクロスフェアとして)。リポソーム被包も使用でき、様々なポリマーでリポソームを誘導体化することができる(例えば、米国特許第5,013,556号)。治療のための可能な固形投与形態の説明は、参照してここに組込まれる、Marshall,K.,近代的製薬学(Modern Pharmaceutics)(1979),G.S.BankerとC.T.Rhods編集に述べられている。一般に、製剤は、本発明の化合物、及び胃環境に対する保護と腸における生物活性物質の放出を可能にする不活性成分を含む。
【0147】
また明細には、上記の本発明の化合物の経口投与形態も考慮される。必要に応じて、経口送達が有効であるように当該化合物を化学修飾することができる。一般に、考慮される化学修飾は、(a)タンパク質分解の阻害、及び(b)胃又は腸からの血流への取込みを可能にする少なくとも1つの成分を、化合物の分子そのものに結合することである。また化合物の全体的安定性の上昇及び体内での循環時間の上昇も望ましい。本発明における共有結合ビヒクルとして有用な成分がこの目的にも使用できる。そのような成分の例は、PEG、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリプロリンを含む。例えば、AbuchowskiとDavis,可溶性ポリマー−酵素付加物、薬剤としての酵素(Soluble Polymer−Enzyme Adducts,Enzymes as Drugs)(1981),HocenbergとRoberts編集,Wiley−Interscience,New York,NY,p.367−83;Newmarkら(1982),J.Appl.Biochem.4:185−9参照。使用できる他のポリマーは、ポリ−1,3−ジオキソラン及びポリ−1,3,6−チオキソカンである。上述したような製薬用途にはPEG成分が好ましい。
【0148】
経口送達投与形態に関しては、本発明の治療化合物の吸収を高めるためのキャリアとして、N−(8[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)のような修飾脂肪族アミノ酸の塩を使用することも可能である。SNACを使用したヘパリン製剤の臨床効果は、Emisphere Technologiesによって実施された第II相試験において明らかにされた。米国特許第5,792,451号、「経口薬剤送達組成物及び方法(Oral drug delivery composition and methods)」参照。
【0149】
本発明の化合物を、粒径約1mmの顆粒又はペレットの形態の微細多粒子として製剤中の含めることができる。カプセル投与用物質の製剤は、粉末、軽度圧縮プラグ、またさらには錠剤であってもよい。圧縮によって治療薬を調製することができる。
【0150】
着色剤及び着香剤もすべて含めることができる。例えば、タンパク質(又は誘導体)を製剤し(リポソーム又はミクロスフェア被包などによって)、さらに着色剤及び着香剤を含む冷却飲料のような食品の中に含めることができる。
【0151】
不活性物質で本発明の化合物の容量を希釈する又は増加させることもできる。これらの希釈剤は、炭水化物、特にマンニトール、α−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、変性デキストラン及びデンプンを含みうる。一部の無機塩も、カルシウム三リン酸、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムを含めて、充填剤として使用しうる。市販の希釈剤の一部として、Fast−Flo、Emdex、STA−Rx 1500、Emcompress及びAvicellがある。
【0152】
崩壊剤も、固形投与形態の治療製剤中に含めることができる。崩壊剤として使用される物質は、デンプンをベースとする市販の崩壊剤、Explotabを含めて、デンプンを含むがそれに限定されない。デンプングリコール酸ナトリウム、Amberlite、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸性カルボキシメチルセルロース、天然海面及びベントナイトはすべて使用しうる。もうひとつの形態の崩壊剤は不溶性陽イオン交換樹脂である。粉末ゴムは崩壊剤及び結合剤として使用でき、それらは寒天、カラヤゴム又はトラガカントのような粉末ゴムを含みうる。アルギン酸及びそのナトリウム塩も崩壊剤として有用である。
【0153】
結合剤は、硬錠剤を形成するために治療薬と結合して用いることができ、アカシア、トラガカント、デンプン及びゼラチンのような天然産物からの材料を含む。その他にはメチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)が含まれる。ポリビニルピロリドン(PVP)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)はいずれも、治療薬を顆粒化するためのアルコール溶液中で使用できる。
【0154】
減摩剤(潤滑剤)は、製剤工程中の粘着を防ぐために治療薬の製剤に含めることができる。潤滑剤は治療薬と鋳型壁の間の層として使用でき、それらは、マグネシウム塩及びカルシウム塩を含めたステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油及びろうを含みうるが、これらに限定されない。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、様々な分子量のポリエチレングリコール、Carbowax 4000及び6000のような可溶性潤滑剤も使用できる。
【0155】
製剤中の薬剤の流動特性を高めることができ、圧縮の際の再配列を助けるすべり剤(glidant)を添加してもよい。すべり剤は、デンプン、滑石、発熱性シリカ及び水和ケイアルミネートを含みうる。
【0156】
水性環境への本発明の化合物の溶解を助けるために、界面活性剤を湿潤剤として添加してもよい。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びスルホン酸ジオクチルナトリウムのような陰イオン界面活性剤を含みうる。陽イオン界面活性剤も使用でき、塩化ベンズアルコニウム又は塩化ベンゼトニウムを含みうる。界面活性剤として製剤中に含めることができる潜在的な非イオン性界面活性剤のリストは、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50及び60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65及び80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、単独で若しくは種々の比率での混合物として、タンパク質又は誘導体の製剤中に存在しうる。
【0157】
添加物も化合物の吸収を高めるために製剤中に含めることができる。潜在的にこの特性を持つ添加物は、例えばオレイン酸、リノール酸及びリノレン酸のような脂肪酸である。
【0158】
制御放出製剤は望ましいと考えられる。本発明の化合物を、拡散又は浸出機序による放出を可能にする不活性マトリックス、例えばゴムに組み込むことができる。緩やかに変性するマトリックス、例えばアルギン酸塩、多糖類を製剤中に組み込むこともできる。本発明の化合物の制御放出のもうひとつの形態は、Oros治療系(Alza Corp.)に基づく方法によるものであり、すなわち、浸透圧作用によって1個の小さな開口部を通して水が侵入し、薬剤を押し出す半透過性膜の中に薬剤が納められている。一部の腸溶剤皮も緩徐放出作用を持つ。
【0159】
他の剤皮は製剤のために使用しうる。それらは、コーティングパンに適用することができる様々な糖類を含む。治療薬はまた薄膜被覆錠剤として提供することもでき、この場合にしようする材料は2つの群に分けられる。最初は非腸溶物質であり、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシ−エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、カルボキシ−メチルセルロースナトリウム、プロビドン及びポリエチレングリコールを含む。第二の群は、一般にはフタル酸のエステルである腸溶物質から成る。
【0160】
至適薄膜被覆を提供するために材料の混合物も使用しうる。薄膜被覆は、パンコーター又は流動床において、若しくは圧縮コーティングによって実施できる。
【0161】
肺送達形態。本発明のタンパク質(又はその誘導体)の肺送達も考慮される。タンパク質(又はその誘導体)は吸入の際に哺乳類の肺に送達され、肺上皮内層を通って血流に入る。(これについての他の報告は、Adjeiら,Pharma.Res.(1990)7:565−9;Adjeiら(1990),Internatl.J.Pharmaceutics 63:135−44(酢酸ロイプロリド);Braquetら(1989),J.Cardiovasc.Pharmacol.13(補遺5):s.143−146(エンドセリン−1);Hubbardら(1989),Annals Int.Med.3:206−12(α1−抗トリプシン);Smithら(1989),J.Clin.Invest.84:1145−6(α1−プロテイナーゼ);Osweinら(1990年3月)、「タンパク質のエーロゾル化(Aerosolization of Proteins)」,Proc.Symp.Resp.Drug Delivery II,Keystone,Colorado(組換えヒト成長ホルモン);Debsら(1988),J.Immunol.140:3482−8(インターフェロン−γ及び腫瘍壊死因子α)、及びPlatzら、米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子)を含む。)
そのすべてが当業者には熟知のものである、ネブライザ、定量吸入器、及び粉末吸入器を含むがこれらに限定されない、治療薬剤の肺送達用に設計された広い範囲の機械的装置が、本発明を実施する際の使用に関して考慮される。本発明の実施に適した市販の装置のいくつかの特定例は、Mallinckrodt,Inc.,St.Louis,Missouriが製造しているUltravioletネブライザ、Marquest Medical Products,Englewood,Coloradoが製造しているAcorn IIネブライザ、Glaxo Inc.,Research Triangle Park,North Carolinaが製造しているVentolin定量吸入器、及びFisons Corp.,Bedford,Massachusettsが製造しているSpinhaler粉末吸入器である。
【0162】
そのような装置はすべて、本発明の化合物を投薬するのに適した製剤を使用する必要がある。典型的には、各々の製剤は用いる装置の種類に特異的であり、治療において有用な希釈剤、アジュバント及び/又はキャリアに加えて、適切な推進物質の使用を含む。
【0163】
本発明の化合物は、遠位肺への最も有効な送達のために、平均粒径10μm(又はミクロン)未満、最も好ましくは0.5から5μmの微粒子形態として最も好都合に製剤されるはずである。
【0164】
製薬上許容されるキャリアは、トレハロース、マンニトール、キシリトール、スクロース、ラクトース、及びソルビトールのような炭水化物を含む。製剤において使用するための他の成分は、DPPC、DOPE、DSPC及びDOPCを含みうる。天然又は合成界面活性剤も使用できる。PEGも使用しうる(タンパク質又は類似体を誘導体化する上での使用とは別に)。シクロテキストランのようなデキストランも使用できる。胆汁酸塩及び他の関連増強剤も使用できる。セルロース及びセルロース誘導体も使用できる。アミノ酸も、緩衝剤製剤における使用のように、使用することができる。
【0165】
またリポソーム、マイクロカプセル又はミクロスフェア、包接複合体、あるいは他の種類のキャリアの使用も考慮される。
【0166】
ジェット噴霧器又は超音波噴霧器による使用に適した製剤は、典型的には、溶液mLにつき生物活性タンパク質約0.1から25mgの濃度で水に溶解した本発明の化合物を含む。製剤はまた、緩衝剤及び単糖も含みうる(例えば、タンパク質の安定化及び浸透圧の調節のため)。ネブライザ製剤はまた、エーロゾルを形成する際の溶液の噴霧化によって生じるタンパク質の表面誘導凝集を低減する又は予防するために、界面活性剤を含みうる。
【0167】
定量吸入装置に関して使用するための製剤は、一般に界面活性剤の助けを得て推進剤に懸濁した本発明の化合物を含む微細分割粉末を含有する。推進剤は、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、又はトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含めた炭化水素、若しくはそれらの組合せのような、このために使用される従来のいかなる物質でもよい。適当な界面活性剤は、トリオレイン酸ソルビタン及びダイズレシチンを含む。オレイン酸も界面活性剤として有用であると考えられる。
【0168】
粉末吸入装置から投薬するための製剤は、本発明の化合物を含む微細分割乾燥粉末を含有し、同時に、装置からの粉末の散布を促進する量、例えば製剤の50から90重量%の量の、ラクトース、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、又はキシリトールのような充填剤も含みうる。
【0169】
経鼻送達形態。本発明の化合物の経鼻送達も考慮される。経鼻送達は、薬剤が肺に沈着することを必要とせずに、治療薬剤を鼻に投与したあとタンパク質が直接血流へと通過することを可能にする。経鼻送達のための製剤は、デキストラン又はシクロデキストランを含有するものを含む。他の粘膜を通しての輸送による送達も考慮される。
【0170】
投与量。上述した状態を治療するための方法に関わる用量レジメンは、薬剤の作用を変化させる様々な因子、例えば患者の年齢、状態、体重、性別及び食生活、感染の重症度、投与の時間、ならびに他の臨床的因子を考慮して、主治医によって決定されるであろう。一般に、1日量は体重キログラム当り本発明の化合物0.1−1000マイクログラム、好ましくはキログラム当り0.1−150マイクログラムの範囲とすべきである。
【0171】
特定の好ましい態様
発明者は多くの異なる種類の活性を有する分子の好ましいペプチド配列を決定した。発明者はさらに、好ましいリンカーおよびビヒクルと結合するこれらの好ましいペプチドの好ましい構造を決定した。これらの好ましいペプチドの好ましい構造を以下の表21に列挙する。
【0172】
【表21】
【0173】
実施例
前記の化合物を以下に記載するように調製できる。これらの実施例は本発明の好ましい態様を含んでなり、本発明を説明するが、これを限定するものではない。
【0174】
実施例1
TPO−擬似物質
以下の実施例では本明細書に後記する表Aに示す数字で同定されたペプチドを使用する。
【0175】
ペプチド19の調製
ペプチド17b(12mg)およびMeO−PEG−SH5000(30mg、2当量)を水性緩衝液(pH8)1mlに溶解した。混合物を室温で約30分インキュベートし、分析用HPLCにより反応を確認し、>80%の反応が完了したことが示された。調製用HPLCによりPEG化物質を単離した。
【0176】
ペプチド20の調製
ペプチド18(14mg)およびMeO−PEGマレイミド(25mg)を水性緩衝液(pH8)約1.5mlに溶解した。混合物を室温で約30分間インキュベートし、そのときサンプルのアリコートをHPLCカラムに供して分析用HPLCでモニター観察し、約70%の形質転換が完了していた。調製用HPLCによりPEG化物質を精製した。
【0177】
生物活性検定
TPOインビトロ生物検定はヒトmpl受容体でトランスフェクトしたマウス32D細胞のIL−3依存性クローンを利用する細胞分裂誘起検定である。この検定に関してはWO95/26746により詳細に記載されている。細胞を10%胎児クローンIIおよび1ng/ml mIL−3を含有するMEM培地中に保持する。サンプルを添加する前にmIL−3不含成長培地で2回すすいで細胞を調製する。拡張12点TPO検量線を作成し、33ないし39pg/mlの範囲になる。各サンプルに関して4希釈(検量線の直線部分内に入ると推測される、100ないし125pg/ml)を調製し、三重に実施する。10000セル/ウェルを含有する96ウェル・マイクロタイタープレートの適当なウェルに100μlの容量のサンプルの各希釈物または標準物質を加える。37℃および10% CO2で44時間後、MTS(細胞によりホルマザンに生物還元されるテトラゾリウム化合物)を各ウェルに加える。約6時間後、プレート・リーダーで490nmにおける光学密度を読み取る。用量依存性曲線(logTPO濃度対O.D.バックグランド)を作成し、検量線の直線部分に入る点の直線回帰分析を行う。得られた直線の方程式および希釈因子の補正を用いて未知の試験サンプルの濃度を決定する。
【0178】
ポリグリシン・リンカーを有するTMP縦列反復
連続して連結するTMP反復の設計は、c−Mpl(TPO受容体)と効果的に相互作用するためにTMPの二量体形態が要求され、受容体との関係においてそれらが互いにどのように巻きついているかに依存して、全体的な二量体立体配座を乱さないように2個のTMP分子がCからN末端への立体配置で一緒につなぎとめられているという仮定に基づいている。明らかに、縦列連結した反復の設計の成功は、2個の連続し、整列したTMP単量体のCおよびN末端に結合するリンカーの長さおよび組成の適切な選別に依存するものである。c−Mplに結合するTMPの構造に関する情報を利用できないので、0ないし10および14個のグリシン残基(表A)からなるリンカーを有する一連の反復ペプチドを合成した。融通性のあるポリグリシンペプチド鎖により2個のつなぎとめられたTMP反復の自由な折りたたみが可能になり、要求される立体配座にでき、一方その他のアミノ酸配列は、その剛性により受容体との関係において反復ペプチドの正常なパッキングが崩壊する望ましくない二次構造をとるという理論に基づいて、平易性および融通性の故にグリシンを選択した。
【0179】
そのペプチドはすでにFmocまたはt−Bocのいずれかの化学を用いる慣用的な固相ペプチド合成法(Merrifield、J.Amer.Chem.Soc.,85:2149(1963))により入手できる。擬似対称的に2個のペプチド鎖を作る最初の分岐点として直交する保護リジン残基を使用することが要求される、C末端に連結した平行二量体の合成(Cwirlaら、Science,276:1696−99(1997))とは異なり、これらの縦列反復をCからN末端に向かって連続したペプチド鎖の集合体を直線的に、段階的に合成する。TMPの二量体形成はC末端二量体で認められるような結合親和性よりも増殖活性に、より劇的に効果があるので(Cwirlaら、(1997))、c−Mpl全長でトランスフェクトしたマウス32D細胞のIL−3依存的クローンを用いてTPO依存的細胞増殖検定で生物学的活性に関して合成ペプチドを直接的に試験した(Palaciosら、Cell,41:727(1985))。試験結果が示すように、全てのポリグリシン連結縦列反復は単量体と比して強度において>100倍の増強が示され、細胞増殖検定においてはC末端二量体よりも強力でさえあった。我々の検定においてはC末端の絶対活性は元来のTPOタンパク質の活性より低く、これはC末端二量体が天然リガンドのように活性であることが見出されたという依然に報告された知見(Cwirlaら、(1997))と異なる。これは二つの検定において使用した条件の相違によるであろう。それにもかかわらず、同一検定における縦列(第2の単量体のN末端に連結した第1の単量体のC末端)およびC末端(第2の単量体のC末端に連結した第1の単量体のC末端、平行とも称する)二量体間の活性の相違により、縦列反復ストラテジーが平行ペプチド二量体形成よりも優れていることが明らかに示された。リンカーとして広範な長さが許容されることは興味深く留意されるところである。選択されたTMP単量体を用いる縦列ペプチド間の最適なリンカーは明らかに8個のグリシンから成る。
【0180】
その他の縦列ペプチド
この最初の一連のTMP縦列反復に続いて、異なるリンカーと共にかまたは単量体そのもの中に修飾を含んでいくつかのその他の分子を設計した。これらの分子の第1のものはペプチド13であり、βターン型2次構造を形成する傾向が高いことで知られている配列であるGPNGから成るリンカーを有する。単量体よりも約100倍以上強力であるが、このペプチドは等価のGGGG連結アナログよりも>10倍以下の活性であることが見出されている。このように、比較的堅固なβターンをリンカー領域で導入することにより、この短いリンカー形態において最適な作用物質立体配座にわずかな歪を生じるようである。
【0181】
TMP配列におけるTrp9はランダムペプチドライブラリーから単離された活性なペプチドのなかで高度に保存された残基である。またEPO擬似ペプチドのコンセンサス配列にも高度に保存されたTrpがあり、このTrp残基が2個のEMP間の疎水性コアの形成に関与し、EPO受容体との疎水性相互作用に寄与することが見出された。Livnahら、Science,273:464−71(1996)。類推によって、TMPにおけるTrp9残基はペプチドリガンドの二量体形成に類似の機能を有し、2個のインドール環により非共有結合性疎水力の影響を変調し、評価する試みとして、Trpにおける変異から数種のアナログを作った。そしてペプチド14では2個のTMP単量体の各々においてTrp残基をCysと置換し、酸化により2個のシステインの間で分子内ジスルフィド結合を形成し、これはペプチド二量体形成における2個のTrp残基間の疎水性相互作用を擬似することが想定される。ペプチド15はペプチド14の還元体である。ペプチド16では2個のTrp残基がAlaにより置換された。検定データに示されるように、3個のアナログは全て不活性であった。これらのデータによりさらにTrpが二量体形成に関してのみではなく、TPO擬似ペプチドの活性に関して必須であることを示された。
【0182】
次の2個のペプチド(ペプチド17aおよび18)の各々はその8アミノ酸リンカーにLysまたはCys残基を含む。これらの2個の化合物は、PEG部分でLysまたはCysの側鎖が修飾されている2個のPEG化ペプチド(ペプチド19および20)の前駆体である。PEG部分が比較的長いリンカーの中央に導入され、そのために大きなPEG構成要素(5kD)がペプチド分子内の臨界結合部位から十分離れている。PEGは生物適合性を有する重合体であることが知られており、共有結合性の改変剤としてペプチドおよびタンパク質基盤の治療の薬物動態プロファイルを改善するのに使用されることが増えてきている。
【0183】
合成または組換えペプチドを都合よくPEG化するために、モジュラー、ソルーション基盤の方法が考案された。この方法は現在ではよく確立された相互反応性官能基対間の特異的反応を利用する化学選択的ライゲーション・ストラテジーに基づいている。そして、PEG化ペプチド19では、リジン側鎖をあらかじめブロモアセチル基で活性化し、ペプチド17bをチオール誘導したPEGとの反応に順応させた。そうするために、直交する保護基Ddeをリジンεアミンの保護に用いた。一度全ペプチド鎖を集合させると、N末端アミンをt−Bocで再度保護した。次いでDdeを除去してブロモアセチル化した。このストラテジーにより慣用的な逆相HPLCを用いて容易に精製し、高品質の粗ペプチドを得た。pH8の水性緩衝液中でペプチドとチオール修飾したPEGとライゲートし、反応は30分間以内に完了した。精製し、PEG化した物質のMALDI−MS分析により隣接するピーク間で44Daの増加を伴う特徴的なベル型のスペクトラムが示された。PEG−ペプチド20では、システイン残基がリンカー領域に在り、その側鎖チオール基をマレイミド含有PEGの結合部位として提供する。このペプチドのPEG化に類似の条件を用いた。検定データが示すように、これらの2個のPEG化ペプチドはこれらのPEG化していない相当物と比較してインビトロ生物活性はより高い。
【0184】
ペプチド21はその8−アミノ酸リンカーにおいてグリコシル化され得るモチーフNGSを有する。例示した縦列反復がペプチド結合により連結される天然アミノ酸から成るので、適当な真核細胞系におけるかかる分子の発現によりAsnの側鎖カルボキシアミドに糖質基が加えられたグリコペプチドが作られるはずである。グリコシル化は水溶性およびインビボ安定性を増強することにより規定のタンパク質の生物学的活性に多くの肯定的な影響を与えることができる一般的な翻訳後修飾方法である。検定データが示すように、このグリコシル化モチーフのリンカーへの組み込みにより高い生物学的活性が維持された。潜在的グリコペプチドの合成前駆体は−(G)8−連結アナログのものに比べて有効な活性を有した。一度グリコシル化されると、PEGおよび糖質基が呈する類似の物理化学的特性のために、このペプチドはPEG化ペプチドと同一の活性オーダーを有すると考えられる。
【0185】
最後のペプチドは縦列反復の二量体である。これはペプチド18を酸化することにより調製され、リンカーに位置する2個のシステイン残基の間で分子内ジスルフィド結合を形成する。このペプチドはTMPが四量体として活性である可能性に注意を向けるために設計された。検定データによりこのペプチドがモル調整に基づいて平均的な縦列反復ほど活性ではないことが示され、これはTMPの活性体はまさしく二量体であり、そうでなければ縦列反復の二量体形成は生物学的活性により影響を与えるであろうということを間接的に支持している。
【0186】
動物におけるインビトロデータを確認するために1個のPEG化TMP縦列反復(表Aの化合物20)を浸透圧ポンプを介して正常マウスに皮下投与した。処理期間中血小板の時間および用量依存的増加が認められた。8日には血小板レベルが基底値の4倍を越えた。PEG化TMP反復10μg/kg/日の用量で、同一経路により投与したrHuMGDF(PEG化していない)100μg/kg/日に類似の応答が得られた。
【0187】
【表22】
【0188】
論考
MGDFがhGHに類似の方法で作用する、すなわち活性化のためにタンパク質リガンドの1個の分子が受容体の2個の分子に結合することは周知である。Wellsら、Ann.Rev.Biochem.65:609−34(1996)。現在、この相互作用はもっと小さいペプチドであるTMPの作用により擬似される。しかしながら、本研究は、C−C平行またはC−N連続のいずれかの様式のTMPの共有結合性二量体形成が103以上の因子で元来の単量体のインビトロ生物学的能力を増強するので、この擬似が2個のTMP分子の協奏作用を要求することを示唆している。単量体の生物学的能力が相対的に低いのは恐らく非共有結合性二量体の形成の効率が悪いためである。あらかじめ形成された共有結合性反復は非共有結合性二量体形成のためにエントロピーバリヤを排除する能力を有し、これは小型の14−残基ペプチドの2個の分子間の弱い非共有結合性相互作用により排他的にもたらされる。
【0189】
報告された二量体形成が興味深いように、この縦列反復の研究が生物学的活性の増強に類似の影響を及ぼすのは興味深い。これらの二つのストラテジーにより二つの非常に異なった分子立体配置が得られた。C−C二量体は擬似対称性分子であり、一方縦列反復ではその直線構造にかかる対称性はない。1次構造における差異にかかわらず、これらの二つの型の分子は類似の生物学的に活性な立体配座に効果的に折り畳まれ、c−Mplの二量体形成および活性化を引き起こすことができるようである。これらの実験観察により、2個のTMP分子がc−Mplに対する結合においてどのように互いに相互作用を示すことができるかということに多くの洞察が得られた。C末端二量体に関するデータに示唆されるように、第1に2個の結合TMP分子の2個のC末端が相対的に互いに非常に接近していなければならない。第2に、受容体複合体において2個のTMP分子のNおよびC末端の各々もまた互いに非常に近接して並んでいなければならず、これらを1個のペプチド結合と一緒に直接つなぎとめて、縦列反復ストラテジーにより得られるほぼ最大の活性増強効果を認めることができるようにする。接合点での1個またはそれ以上(14個まで)のグリシン残基を挿入しても活性をさらに有意に増大(または減少)させることはなかった。これは柔軟なポリグリシンペプチド鎖が立体配座全体においていかなる有意な変化をも引き起こさずに接合部から容易にループ形成できるという事実のためであろう。この柔軟性によりTMPペプチド鎖の配向性が自由になり、受容体との相互作用において要求される立体配座に折り畳まれ、それが修飾部位として確認されるようである。これを支持する間接的な証拠はペプチド13に関する研究から得られ、そこではリンカーとしてより堅固なβターン形成配列がリンカーの周囲でバックボーンの並びに明らかに偏りを生じさせ、結果的に光学的立体配座のわずかな歪を生じ、その結果4−Glyリンカーを有する類似の化合物と比較して活性が穏やかに(10倍)低下した。第3に、TMPにおけるTrp9はEMPにおけるTrp13と類似の役割を果たし、これは二量体形成に関するペプチド:ペプチド相互作用に関係するのみならず、ペプチド:受容体相互作用における疎水力の寄与に関しても重要である。WからCへの変異アナログであるペプチド14で得られた結果により、共有結合性ジスルフィド連結はTrpペアにより提供される疎水性相互作用に近似するのに十分ではなく、結合が短いので2個のTMP単量体が接近しすぎ、そのために光学二量体構造の立体配座全体を乱すことが示唆される。
【0190】
TMPペプチドの可能な2次構造を分析することにより、TMPとc−Mplとの相互作用に関してより理解を深めることができる。報告されたEPO擬似ペプチドの構造を参考にすることにより容易に理解できるようになる。Livnahら、Science 273:464−75(1996)。受容体結合EMPは配列の中央で高度なコンセンサスGly−Pro−Leu−Thrにより形成されるβターンを伴うβヘアピン構造を有する。GPLTの代りに、TMPが高度に選択されたGPTL配列を有し、これは類似のターンを形成する可能性がある。しかしながら、このターン様のモチーフはTMPのN末端部分の近くに位置する。チャウ・ファスマン法を用いる2次構造の予測により、ペプチドのC末端の半分はらせん状の立体配座をとる傾向があることが示唆される。9位置で高度に保存されたTrpと一緒にこのC末端ヘリックスは二量体構造の安定性に寄与できる。ほとんどの縦列反復がC末端平行二量体よりも強力であることは興味深く留意されるところである。縦列反復はC−C平行二量体形成よりもよりよく適合する立体配座を分子に提供するようである。縦列反復の見かけの非対称的様相のために、それは非対称性分子として2個の異なる部位を用いて2個の同等の受容体分子に結合する天然リガンドに近くなる。
【0191】
PEG部分の導入によりタンパク質溶解性の分解に対して保護することにより、および腎臓濾過によるそのクリアランスを減速させることにより、修飾ペプチドのインビボ活性が増強されることが確認された。細胞基盤の増殖検定においてPEG化により縦列反復しているTMPペプチドのインビトロ生物活性がより増強されるということは予想されなかった。
【0192】
実施例2
Fc−TMP融合
ヒトIgG1のFc領域とのN末端かまたはC末端のいずれかの融合体として単量体または二量体のいずれかの形態でTMP(および実施例3に記載のEMP)を発現した。全ての場合においてケースで発現ベクターpAMG21にてluxPRプロモーター・プロモーターを用いて発現を構築した。
【0193】
Fc−TMP
TPO擬似ペプチドの単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を標準的なPCR技術を用いて構築した。PCR反応の鋳型はpFc−A3ベクターおよび合成TMP遺伝子であった。合成遺伝子を以下に示す3個の重複オリゴヌクレオチドから構築し(各々配列番号364、365および366):
【0194】
【表23】
これらのオリゴヌクレオチドをアニーリングしてアミノ酸配列をコードする二本鎖を形成し(各々配列番号367および368)、以下に示す:
【0195】
【表24】
センスおよびアンチセンスプライマーとして1842−98および1842−97を用いてPCR反応でこの二本鎖を増幅した。
【0196】
以下に示すプライマー(配列番号369および370)を用いてpFc−A3とのPCR反応で分子のFc部分を作った:
【0197】
【表25】
オリゴヌクレオチド1830−51および1842−98は24個のヌクレオチドの重複を含有し、アウトサイド・プライマー1216−52および1842−97を用いて第3の反応において前記のPCR生成物を組合わせることにより、2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合されるようになる。
【0198】
本明細書でEMP−Fcに関して記載されるように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3728株と称した。
【0199】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号5および6)を図7に示す。
【0200】
Fc−TMP−TMP
標準的なPCR技術を用いてTPO擬似ペプチドの二量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型はpFc−A3ベクターおよび合成TMP−TMP遺伝子であった。4個の重複オリゴヌクレオチドから合成遺伝子を構築し(各々配列番号371ないし374)以下に示す:
【0201】
【表26】
4個のオリゴヌクレオチドをアニーリングし、アミノ酸配列をコードする二本鎖を形成し(各々配列番号375および376)、以下に示す:
【0202】
【表27】
センスおよびアンチセンスプライマーとして1830−52および1830−55を用い、PCR反応で二本鎖を増幅した。
【0203】
Fc−TMPに関して前記したように、プライマー1216−52および1830−51を用いてpFc−A3とのPCR反応で分子のFc部分を作った。アウトサイド・プライマー1216−52および1830−55を用いて第3のPCR反応から融合体遺伝子全長を得た。
【0204】
実施例1に記載するように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3727株と称した。
【0205】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号7および8)を図8に示す
TMP−TMP−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したTPO擬似ペプチドの縦列反復をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型は#3688株のEMP−Fcプラスミド(実施例3を参照のこと)およびTMP二量体をコードする合成遺伝子であった。7個の重複オリゴヌクレオチドから縦列反復の合成遺伝子を構築し(各々配列番号377ないし383)以下に示す:
【0206】
【表28】
これらのオリゴヌクレオチドをアニーリングして二本鎖を形成しこれは以下に示すアミノ酸配列をコードすることが示された(各々配列番号384および385):
【0207】
【表29】
センスおよびアンチセンスプライマーとして1885−52および1885−58を用い、PCR反応で二本鎖を増幅した。
【0208】
プライマー1885−54および1200−54を用いてEMP−Fc融合株#3688からのDNA(実施例3を参照のこと)とのPCR反応で分子のFc部分を作った。アウトサイド・プライマー1885−52および1200−54を用いて第3のPCR反応から融合体遺伝子全長を得た。
【0209】
本明細書でFc−EMPに関して記載するように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3798株と称した。
【0210】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号9および10)を図9に示す
TMP−Fc
ヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したTPO擬似ペプチドの単量体をコードするDNA配列を偶然にもTMP−TMP−Fcのライゲーションで得たが、これは恐らくプライマー1885−54が1885−53および1885−58にアニリーリングする能力によるものであろう。TMP−Fc構築物に関して正確なヌクレオチド配列を有する1個のクローンを選別し、アムゲン#3788株と称した。
【0211】
融合タンパク質のヌクレオトドおよびアミノ酸配列(配列番号11および12)を図10に示す。
【0212】
大腸菌における発現
大腸菌GM221におけるpAMG21−Fc融合構築物の各々の培養物を50mg/mlカナマイシン含有ルリア・ブロス培地中37℃で成長させた。合成オートインデューサーN−(3−オクソヘキサノイル)−DL−ホモセリン・ラクトンを培養培地に添加し、最終濃度20ng/mlにして、luxPRプロモーターからの遺伝子生成物の発現を誘導した。培養物を37℃でさらに3時間インキュベートした。3時間後、封入体の存在に関して細菌培養物を顕微鏡で試験し、次いで遠心により収集した。誘導した培養物中光屈折性の封入体が観察され、これはFc融合体が大腸菌の不溶性分画においてほとんど生成されていることを示している。10%β−メルカプトエタノールを含有するラエムリ・サンプル緩衝液に細胞ペレットを再懸濁することにより直接的に溶解し、SDS−PAGEにより分析した。各々の場合、SDS−PAGEゲルに適当な分子量のクーマシー染色の強いバンドが観察された。
【0213】
pAMG21
発現プラスミドpAMG21はアムゲン発現ベクターpCFM1656(ATCC#69576)から誘導でき、これもまた米国特許第4710473号に記載のアムゲン発現ベクター系から誘導した。pCFM1656プラスミドは:
(a)T4ポリメラーゼ酵素で末端を埋め、次いで平滑末端ライゲーションを行うことにより、2個の内在するNdeI制限部位を崩壊させること;
(b)合成PLプロモーターを含有する独自のAatIIおよびClaI制限部位間のDNA配列を、PLプロモーターを含有するpCFM636(特許番号第4710473号)から得られた類似のフラグメント(以下の配列番号386を参照のこと)と置き換えること;および
(c)独自のClaIおよびKpnI制限部位間の小型のDNA配列を配列番号388の配列を有するオリゴヌクレオチドと置換すること;
により記載したpCFM836プラスミド(特許番号第4710473号)から誘導できる。
【0214】
【表30】
【0215】
次いでPCR重複オリゴ変異誘発およびDNA配列置換により一連の部位特異的塩基変化を作ることによりpCFM1656から発現プラスミドpAMG21を誘導できる。BgIII部位(プラスミド塩基対#180)すぐの5‘でプラスミド複製プロモーターPcopBに向かって出発し、プラスミド複製遺伝子に向かって進んだときの、塩基対変化を以下の表Bに示す。
【0216】
【表31】
【0217】
独自のAatII(pCFM1656の#4364位置)およびSacII(pCFM1656の#4585位置)制限部位間のDNA配列を図17Aおよび17Bで示すDNA配列(配列番号23)で置換する。この置換DNA配列の付着端をライゲートしている間に外側のAatIIおよびSacII部位を崩壊する。置換されたDNAには独自のAatIIおよびSacII部位が存在する。
【0218】
GM221(アムゲン#2596)
アムゲン#2596宿主株はアムゲン#393株から誘導した大腸菌K12株である。これを修飾し、初期ebg領域に温度感受性ラムダレプレッサーcI857s7、後期ebg領域にlacIQレプレッサーの両方を含むようにした(68分)。これらの2個のレプレッサー遺伝子の存在によりこの宿主が種々の発現系と共に使用できるようになるが、しかしながらこれらの両方のレプレッサーはluxPRからの発現には適切ではない。形質転換されなかった宿主は抗生物質抵抗性がない。
【0219】
cI857s7遺伝子のリボソーム結合部位を修飾して強化RBSを含むようにした。介在ebg配列を欠失したジーンバンク受入番号M64441Gb Baを付与されたヌクレオチド1170および1411位置間のebgオペロンにこれを挿入した。挿入配列を以下に示し、小文字は以下の挿入配列をフランキングするebg配列を表している(配列番号388)。
【0220】
【表32】
【0221】
MMebg−cI857s7強化RBS#4と称する組換えファージを用いてF‘tet/393の染色体に構築物を分配した。組換えおよび切開の後、前記の染色体挿入物のみが細胞に残る。これを再度F’tet/GM101と名付けた。次いで介在ebg配列を欠失したジーンバンク受入番号M64441Gb Baを付与されたヌクレオチド位置2493および2937間のebgオペロンにlacIQ構築物を分配することによりF’tet/GM101を修飾した。挿入配列を以下に示し、小文字は以下の挿入配列をフランキングするebg配列を表している(配列番号389)。
【0222】
【表33】
【0223】
AGebg−LacIQ#5と称する組換えファージを用いてF’tet/GM101の染色体に構築物を分配した。組換えおよび切開の後、前記の染色体挿入物のみが細胞に残る。これを再度F’tet/GM221と名付けた。LB中25μg/mlの濃度のアクリジン・オレンジを用いてF’tetエピソームを株からキュアリングした。キュアリングされた株はテトラサイクリン感受性であると同定され、GM221として保存した。
【0224】
発現
誘導前に大腸菌GM221のpAMG21−Fc−TMP−TMPの培養物を50μg/mlカナマイシン含有ルリア・ブロス培地中37℃でインキュベートした。最終濃度20ng/mlになるように培養培地に合成オートインデューサーN−(3−オクソヘキサノイル)−DL−ホモセリン・ラクトンを添加することによりluxPRプロモーターからFc−TMP−TMP遺伝子生成物発現を誘導し、培養物を37℃でさらに3時間インキュベートした。3時間後、封入体の存在に関して細菌培養物を顕微鏡で試験し、次いで遠心により収集した。誘導した培養物中光屈折性の封入体が観察され、これはFc−TMP−TMPが大腸菌の不溶性分画においてほとんどが生成されていることを示している。10%β−メルカプトエタノールを含有するラエムリ・サンプル緩衝液に再懸濁することにより細胞ペレットを直接的に溶解し、SDS−PAGEにより分析した。SDS−PAGEゲルにおよそ30kDaのクーマシー染色の強いバンドが観察された。予測される遺伝子生成物は269個のアミノ酸の長さであり、予測される分子量は約29.5kDaである。また10lのスケールで標準バッチ条件下発酵をも行い、ベンチスケールで得られた発現レベルに類似したFc−TMP−TMPの発現レベルが得られた。
【0225】
Fc−TMP−TMPの精製
高圧ホモジナイゼーション(14000PSIで2パス)により水中(1/10)で細胞を破壊し、遠心(J−6Bで4200RPMで1時間)により封入体を回収した。6M グアニジン、50mM トリス、8mM DTT(pH8.7)中1時間1/10の比率で封入体を可溶化する。可溶化した混合物を2M 尿素、50mM トリス、160mM アルギニン、3mM システイン(pH8.5)で20倍希釈する。混合物を一晩冷却して攪拌し、次いで限外濾過により約10倍に濃縮する。次いで10mM トリス、1.5M 尿素(pH9)で3倍希釈する。次いでこの混合物のpHを酢酸でpH5に調整する。沈殿物を遠心により除去し、20mM NaAc、100mM NaCl(pH5)で平衡にしたSP−セファロース・ファスト・フロー・カラムに上澄を装填する(10mg/ml タンパク質装填、室温)。100mM NaClないし500mM NaClの範囲の同一緩衝液の20カラム容量グラジエントを用いてタンパク質を溶出する。カラムからのプールを3倍希釈し、20mM NaAc、150mM NaCl(pH5)で平衡にしたSP−セファロースHPカラムに装填する(10mg/ml タンパク質装填、室温)。150mM NaClないし400mM NaClの範囲の同一緩衝液の20カラム容量グラジエントを用いてタンパク質を溶出する。ピークをプールし、濾過する。
【0226】
Fc−TMP活性の特徴付け
以下は本発明の種々化合物を用いたマウスにおけるインビボデータの要旨である。
【0227】
マウス:およそ10ないし12週齢の正常雌BDF1。
【0228】
出血スケジュール:群あたり10匹のマウスを0日に処置、4日後に2群で開始、全部で群あたりマウス20匹。各時間に5匹のマウスを出血させ、最低週3回出血させた。イソフルランでマウスを麻酔し、眼窩洞の穿刺により血液全量で140ないし160μlを得た。ネズミ血液に関するソフトウェアを用いてテクニコンH1E血液アナライザーで血液をカウントした。測定したパラメーターは白血球、赤血球、ヘマトクリット、ヘモグロビン、血小板、好中球である。
【0229】
処置:マウスにボーラス処置用に皮下注射するかまたは連続投与用に7日用マイクロ浸透圧ポンプを埋めこんだ。0.2mlの容量を皮下注射した。麻酔したマウスの皮膚と肩甲骨の間で皮下切開し、浸透圧ポンプを挿入した。化合物を0.1% BSAを含むPBSで希釈した。全実験には対照群が含まれ、この希釈物のみで処置されたものには「キャリヤ」とラベル表示した。ポンプ中の試験物質の濃度を調整し、ポンプからの測定流速から処置レベルが得られ、これをグラフに表示した。
【0230】
化合物:化合物の滴定用量を7日用マイクロ浸透圧ポンプでマウスに送達した。7日用マイクロ浸透圧ポンプで1回用量100μg/kgの種々化合物でマウスを処置した。次いで同一化合物のいくつかを1回ボーラス注射してマウスに投与した。
【0231】
活性試験結果:活性実験の結果を図11および12に示す。7日用マイクロ浸透圧ポンプを用いる用量依存性検定では配列番号18の化合物100μg/kg/日で最大効果が得られ;10μg/kg/日の用量で最大活性の約50%、および1μg/kg/日はこの検定系で活性が認められる最低用量であった。化合物は10μg/kg/日の用量で同一実験におけるPEG化していないrHu−MGDF100μg/kg/日とほぼ同等の活性を示した。
【0232】
実施例3
Fc−EMP融合
Fc−EMP
標準PCR技術を用いてEPO擬似ペプチドの単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型はFc配列(pFc−A3、1997年7月3日公開の国際出願WO97/23614に記載)を含有するベクターおよびEPO単量体をコードする合成遺伝子であった。単量体の合成遺伝子は以下に示す4個の重複オリゴヌクレオチド(各々配列番号390ないし393)から構築した:
【0233】
【表34】
4個のオリゴヌクレオチドをアニーリングして以下に示すアミノ酸配列をコードする二本鎖を形成した(各々配列番号394および395):
【0234】
【表35】
センスおよびアンチセンスプライマーとして
【0235】
【表36】
および
【0236】
【表37】
(各々配列番号396および397)を用いてこの二本鎖をPCR反応で増幅した。
【0237】
プライマー:
【0238】
【表38】
(配列番号398および399)を用いてpFc−A3とのPCR反応で分子のFc領域を作った。オリゴヌクレオチド1798−17および1798−18は61個のヌクレオチドの重複を含有し、アウトサイド・プライマー1216−52および1798−19を用いて第3の反応で前記のPCR生成物を組合わせることにより、2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合できるようになる。
【0239】
最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21(以下に記載)にライゲートし、またXbaIおよびBamHIで消化した。ライゲートしたDNAを大腸菌(E.coli)2596株のコンピテント宿主細胞(本明細書においてGM221と称する)に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3718株と称した。
【0240】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号15および16)を図13に示す。
【0241】
EMP−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したEPO擬似ペプチドの単量体をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型はpFc−A3aベクターおよびEPO単量体をコードする合成遺伝子であった。4個の重複オリゴヌクレオチド1798−4および1798−5(前記)並びに1798−6および1798−7(各々配列番号400および401)から以下に示す単量体の合成遺伝子を構築した:
【0242】
【表39】
4個のオリゴヌクレオチドをアニーリングし、アミノ酸配列をコードする二本鎖を形成し(各々配列番号402および403)、以下に示す:
【0243】
【表40】
センスおよびアンチセンスプライマーとして:
【0244】
【表41】
および
【0245】
【表42】
(各々配列番号404および405)を用い、PCR反応で二本鎖を増幅した。
【0246】
プライマー
【0247】
【表43】
(各々配列番号406および407)を用いてpFc−A3とのPCR反応で分子のFc部分を作った。オリゴヌクレオチド1798−22および1798−23は43個のヌクレオチドの重複を含有し、アウトサイド・プライマー1787−21および1200−54を用いて第3のPCR反応で前記のPCR生成物を組合わせることにより2個の遺伝子を正確な読み枠に一緒に融合できる。
【0248】
前記するように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3688株と称した。
【0249】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号17および18)を図14に示す
EMP−EMP−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したEPO擬似ペプチドの二量体をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型は前記の#3688株のEMP−FcプラスミドおよびEPO二量体をコードする合成遺伝子であった。8個の重複オリゴヌクレオチドから以下に示す二量体の合成遺伝子を構築した(各々配列番号408ないし415):
【0250】
【表44】
8個のオリゴヌクレオチドをアニーリングし、アミノ酸配列(各々配列番号416および417)をコードする以下に示す二本鎖を形成した:
【0251】
【表45】
センスおよびアンチセンスプライマーとして1869−23および1871−79(前記で示す)を用い、PCR反応で二本鎖を増幅した。
【0252】
プライマー1798−23および1200−54(前記で示す)を用いて#3688株DNAとのPCR反応で分子のFc部分を作った。
【0253】
オリゴヌクレオチド1872−79および1798−2331個のヌクレオチド重複を含有し、アウトサイド・プライマー1869−23および1200−54を用いて第3のPCR反応で前記のPCR生成物を組合わせることにより2個の遺伝子を正確な読み枠に一緒に融合させる。
【0254】
Fc−EMPに関して記載するように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3813株と称した。
【0255】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(各々配列番号19および20)を図15に示す。145位置にサイレント変異(AからG、太字で示す)があり、最終構築物がそれを誘導したオリゴヌクレオチド1871−72とは異なるヌクレオチド配列を有するようになる。
【0256】
Fc−EMP−EMP
標準的なPCR技術を用いてEPO擬似ペプチドの二量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型は前記の3688および3813株からのプラスミドであった。
【0257】
プライマー1216−52および1798−17(前記で示す)を用いて#3688株DNAとのPCR反応で分子のFc部分を作った。分子のEMP二量体部分はプライマー1798−18(これも前記で示す)および以下に示す配列番号418:
【0258】
【表46】
を用いた#3813株DNAとの第2のPCR反応の生成物であった。
【0259】
オリゴヌクレオチド1798−17および1798−18は61個のヌクレオチド重複を含有し、アウトサイド・プライマー1216−52および1798−20を用いて第3の反応で前記のPCR生成物を組合わせることにより2個の遺伝子を正確な読み枠に一緒に融合させる。
【0260】
Fc−EMPに関して記載するように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3822株と称した。
【0261】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(各々配列番号 および )を図16に示す。
【0262】
Fc−EMP活性の特徴付け
インビボでの特徴づけは以下のとおり実施した。
【0263】
マウス:およそ10ないし12週齢の正常雌BDF1。
【0264】
出血スケジュール:群あたり10匹のマウスを0日に処置、4日後に2群で開始、全部で群あたりマウス20匹。各時間に5匹のマウスを出血させ、最低週3回出血させた。イソフルランでマウスを麻酔し、眼窩洞の穿刺により血液全量で140ないし160μlを得た。ネズミ血液に関するソフトウェアを用いてテクニコンH1E血液アナライザーで血液をカウントした。測定したパラメーターは白血球、赤血球、ヘマトクリット、ヘモグロビン、血小板、好中球、リンパ球である。
【0265】
処置:マウスにボーラス処置用に皮下注射するかまたは連続投与用に7日用マイクロ浸透圧ポンプを埋めこんだ。0.2mlの容量を皮下注射した。麻酔したマウスの皮膚と肩甲骨の間で皮下切開し、浸透圧ポンプを挿入した。化合物を0.1% BSAを含むPBSで希釈した。全実験には対照群が含まれ、この希釈物のみで処置されたものには「キャリヤ」とラベル表示した。ポンプ中の試験物質の濃度を調整し、ポンプからの測定流速から処置レベルが得られ、これをグラフに表示した。
【0266】
実験:種々のFc結合EPO擬似ペプチド(EMP)を100μg/kgの用量で1回ボーラス注射してマウスに投与した。Fc−EMPは7日用マイクロ浸透圧ポンプでマウスに分配した。7日の終わりにポンプを取り替えなかった。マウスを51日まで出血させ、そのときヘモグロビンおよびヘマトクリットが基底値に戻った。
【0267】
実施例4
TNF−α阻害因子
Fc−TNF−α阻害因子
標準的なPCR技術を用いてTNF−α阻害因子の単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。センスプライマー1216−52およびアンチセンスプライマー2295−89(各々配列番号1112および1113)を用いてFc−EMP融合#3718株(実施例3を参照のこと)のDNAとのPCR反応で分子のFcおよび5グリシンリンカー部分を作った。以下に示すPCRプライマー2295−89によりTNF−α阻害ペプチドをコードするヌクレオチドが提供される:
【0268】
【表47】
オリゴヌクレオチド2295−89は22個のヌクレオチドにより鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRで得られた2個の遺伝子を正確な読み枠で一緒に融合した。
【0269】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4544株と称した。
【0270】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1055および1056)を図19Aおよび19Bに示す。
【0271】
TNF−α阻害因子−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したTNF−α阻害ペプチドをコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型は5個のグリシンリンカーを介してFcに融合した関連性のないペプチドを含有するプラスミドであった。アンチセンスプライマーとして提供されるプライマー1200−54とセンスPCRプライマー2295−88(各々配列番号1117および407)によりTNF−α阻害ペプチドをコードするヌクレオチドが提供された。プライマー配列を以下に示す:
【0272】
【表48】
オリゴヌクレオチド2295−88は24個のヌクレオチドにより鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRで得られた2個の遺伝子を正確な読み枠で一緒に融合した。
【0273】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4543株と称した。
【0274】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1057および1058)を図20Aおよび20Bに示す。
【0275】
大腸菌における発現
大腸菌GM221のpAMG21−Fc融合構築物の各々の培養物を50mg/mlカナマイシン含有ルリア・ブロス培地中37℃でインキュベートした。最終濃度20ng/mlで培養培地に合成オートインデューサーN−(3−オクソヘキサノイル)−DL−ホモセリン・ラクトンを添加することによりluxPRプロモーターから遺伝子生成物の発現を誘導した。培養物を37℃でさらに3時間インキュベートした。3時間後、封入体の存在に関して細菌培養物を顕微鏡で試験し、次いで遠心により収集した。誘導した培養物中光屈折性の封入体が観察され、これはFc融合体が大腸菌の不溶性分画においてほとんどが生成されていることを示している。10%β−メルカプトエタノールを含有するラエムリ・サンプル緩衝液に再懸濁することにより細胞ペレットを直接的に溶解し、SDS−PAGEにより分析した。各々の場合でSDS−PAGEゲルに適当な分子量のクーマシー染色の強いバンドが観察された。
【0276】
Fcペプチド融合タンパク質の精製
高圧ホモジナイゼーション(14000PSIで2パス)により水中(1/10)で細胞を破壊し、遠心(J−6Bで4200RPMで1時間)により封入体を回収した。6M グアニジン、50mM トリス、8mM DTT(pH8.7)中1時間1/10の比率で封入体を可溶化する。可溶化した混合物を2M 尿素、50mM トリス、160mM アルギニン、3mM システイン(pH8.5)で20倍希釈する。混合物を一晩冷却して攪拌し、次いで限外濾過により約10倍に濃縮する。次いで10mM トリス、1.5M 尿素(pH9)で3倍希釈する。次いでこの混合物のpHを酢酸でpH5に調整する。沈殿物を遠心により除去し、20mM NaAc、100mM NaCl(pH5)で平衡にしたSP−セファロース・ファスト・フロー・カラムに上澄を装填する(10mg/ml タンパク質装填、室温)。100mM NaClないし500mM NaClの範囲の同一緩衝液の20カラム容量グラジエントを用いてカラムからタンパク質を溶出する。カラムからのプールを3倍希釈し、20mM NaAc、150mM NaCl(pH5)で平衡にしたSP−セファロースHPカラムに装填する(10mg/ml タンパク質装填、室温)。150mM NaClないし400mM NaClの範囲の同一緩衝液の20カラム容量グラジエントを用いてタンパク質を溶出する。ピークをプールし、濾過する。
【0277】
Fc−TNFα阻害因子およびTNF−α阻害因子−Fcの活性の特徴付け
本明細書の教示を熟知する当業者に可能な方法によりBIAコアによりこれらのペプチド融合タンパク質のTNF−αへの結合を特徴付けできる。
【0278】
実施例5
IL−1拮抗物質
Fc−IL−1拮抗物質
標準的なPCR技術を用いてIL−1拮抗物質ペプチドの単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。センスプライマー1216−52およびアンチセンスプライマー2269−70(各々配列番号1112および1118)を用いてFc−EMP融合#3718株(実施例3を参照のこと)のDNAとのPCR反応で分子のFcおよび5グリシンリンカー部分を作った。以下に示すPCRプライマー2269−70によりIL−1拮抗物質ペプチドをコードするヌクレオチドが提供される:
【0279】
【表49】
オリゴヌクレオチド2269−70は22個のヌクレオチドにより鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRで得られた2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合される。
【0280】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換し。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4506株と称した。
【0281】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1059および1060)を図21Aおよび21Bに示す。
【0282】
IL−1拮抗物質−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したIL−1拮抗物質ペプチドをコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型は5個のグリシンリンカーを介してFcに融合した関連性のないペプチドを含有するプラスミドであった。アンチセンスプライマーとして提供されるプライマー1200−54とセンスPCRプライマー2269−69により(各々配列番号1119および407)IL−1拮抗物質ペプチドをコードするヌクレオチドが提供された。プライマー配列を以下に示す:
【0283】
【表50】
オリゴヌクレオチド2269−69は24個のヌクレオチドで鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRで得られた2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合される。
【0284】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4505株と称した。
【0285】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1061および1062)を図22Aおよび22Bに示す。発現および精製は前記の実施例のとおりに実施する。
【0286】
Fc−IL−1拮抗物質ペプチドおよびIL−1拮抗物質ペプチド−Fcの活性の特徴付け
IGEN系を用いてIL−1β、Il−1RAおよびFc−結合IL−1ペプチド配列間のIL−1受容体結合競合検定を実施した。反応物は0.4nMビオチン−IL−1R+15nM IL−1−TAG+3μM コペティター+20μg/mlストレプトビジン結合ビーズを含有し、ここでコンペティターはIL−1RA、Fc−IL−1拮抗物質、IL−1拮抗物質−Fcである。コンペティター濃度3μMないし1.5pMの範囲で競合を検定した。結果を以下の表Cに示す:
【0287】
【表51】
【0288】
実施例6
VEGF−拮抗物質
Fc−VEGF拮抗物質
標準的なPCR技術を用いてVEGF擬似ペプチドの単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードする配列を構築した。PCR反応の鋳型はpFc−A3プラスミドおよび合成VEGF擬似ペプチド遺伝子であった。以下の2個のオリゴヌクレオチドプライマー(各々配列番号1120および1121)をアニーリングして合成遺伝子の集合体を形成した:
【0289】
【表52】
2個のオリゴヌクレオチドをアニーリングして以下に示すアミノ酸配列をコードする二本鎖を形成した(配列番号1122):
【0290】
【表53】
センスおよびアンチセンスプライマーとして2293−05および2293−06(各々配列番号1125および1126)を用いてこの二本鎖をPCR反応で増幅した。
【0291】
センスおよびアンチセンスプライマーとしてプライマー2293−03および2293−04(各々配列番号1123および1124)を用いてpFc−A3プラスミドとのPCR反応で分子のFc部分を作った。アウトサイド・プライマー2293−03および2293−06を用いて第3のPCR反応で融合遺伝子全長を得た。これらのプライマーを以下に示す:
【0292】
【表54】
【0293】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4523株と称した。
【0294】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1063および1064)を図23Aおよび23Bに示す。
【0295】
VEGF拮抗物質−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したVEGF擬似ペプチドをコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型はpFc−A3プラスミドおよび前記の合成VEGF擬似ペプチド遺伝子であった。センスおよびアンチセンスプライマーとして2293−07および2293−08(各々配列番号1127および1128)を用いてPCR反応で合成二本鎖を増幅した。
【0296】
センスおよびアンチセンスプライマーとしてプライマー2293−09および2293−10(各々配列番号1129および1130)を用いてpFcA3プラスミドとのPCR反応で分子のFc部分を作った。アウトサイド・プライマー2293−07および2293−10を用いて第3のPCR反応で融合遺伝子全長を得た。これらのプライマーを以下に示す:
【0297】
【表55】
【0298】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4524株と称した。
【0299】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1065および1066)を図24Aおよび24Bに示す。発現および精製は前記の実施例のとおり実施した。
【0300】
実施例7
MMP阻害因子
Fc−MMP阻害因子
標準的なPCR技術を用いてMMP阻害ペプチドの単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。センスプライマー1216−52およびアンチセンスプライマー2308−67(各々配列番号1112および1131)を用いてFc−TNF−α阻害因子融合株#4544(実施例4を参照のこと)からのDNAとのPCR反応で分子のFcおよび5グシリンリンカー部分を作った。MMP阻害因子ペプチドをコードするヌクレオチドはPCRプライマー2308−67により提供され、以下に示す:
【0301】
【表56】
オリゴヌクレオチド2308−67は22個のヌクレオチドにより鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRにより2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合される。
【0302】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21)にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4597株と称した。
【0303】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1067および1068)を図25Aおよび25Bに示す。発現および精製は前記の実施例のとおり実施した。
【0304】
MMP阻害因子−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したMMP阻害ペプチドをコードするDNA配列を構築した。Fc−TNF−α阻害因子融合株#4543(実施例4を参照のこと)からのDNAとのPCR反応で分子のFcおよび5グシリンリンカー部分を作った。MMP阻害ペプチドをコードするヌクレオチドはアンチセンスプライマーとして供されるプライマー1200−54とセンスPCRプライマー2308−66により提供された。プライマー配列は以下に示す:
【0305】
【表57】
オリゴヌクレオチド2269−69は24個のヌクレオチドで鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRにより2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合される。
【0306】
本明細書でEMP−Fcに関して記載されるように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4598株と称した。
【0307】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1069および1070)を図26Aおよび26Bに示す。
【0308】
本発明はここに十分に記載されるが、本明細書において前記した本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者がそこに多くの変更および修飾を行うことができるのは明らかであろう。
【0309】
略語
本明細書において使用した略語を特記しない限り以下のように定義する。
Ac:アセチル(アセチル化残基に関して使用)
AcBpa:アセチル化p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン
ADCC:抗体依存性細胞毒性
Aib:アミノイソブチル酸
βA:ベータ・アラニン
Bpa:p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン
BrAc:ブロモアセチル(BrCH2C(O))
BSA:ウシ血清アルブミン
Bzl:ベンジル
Cap:カプロン酸
CTL:細胞毒性Tリンパ球
CTLA4:細胞毒性Tリンパ球抗原4
DARC:ダッフィ式血液型抗原受容体
DCC:ジシルコヘキシルカルボジイミド
Dde:1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオクソ−シクロヘキシルジエン)エチル
EMP:エリトロポエチン擬似ペプチド
ESI−MS:電子スプレイイオン化質量分析法
EPO:エリトロポエチン
Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル
G−CSF:顆粒球コロニー刺激因子
GH:成長ホルモン
HCT:ヘマトクリット
HGB:ヘモグロビン
hGH:ヒト成長ホルモン
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
IL:インターロイキン
IL−R:インターロイキン受容体
IL−1R:インターロイキン−1受容体
IL−1ra:インターロイキン−1受容体拮抗物質
Lau:ラウリン酸
LPS:リポ多糖類
LYMPH:リンパ球
MALDI−MS:行列補助レーザー脱離イオン化質量分析法
Me:メチル
MeO:メトキシ
MHC:主要組織適合複合体
MMP:マトリックス・メタロプロテイナーゼ
MMPI:マトリックス・メタロプロテイナーゼ・阻害因子
1−Nap:1−ナフチルアラニン
NEUT:好中球
NGF:神経成長因子
Nle:ノルロイシン
NMP:N−メチル−2−ピロリジノン
PAGE:ポリアクリルアミドゲル電気泳動
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
Pbf:2,2,4,6,7−ペンダメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルフォニル
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応
Pec:ピペコリン酸
PEG:ポリ(エチレングリコール)
pGlu:ピログルタミン酸
Pic:ピコリン酸
PLT:血小板
pY:ホスフォチロシン
RBC:赤血球
RBS:リボソーム結合部位
RT:室温(25℃)
Sar:サルコシン
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
STK:セリン−スレオニン・キナーゼ
t−Boc:ターシャリー・ブトキシカルボニル
tBu:ターシャリー・ブチル
TGF:組織成長因子
THF:胸腺液性因子
TK:チロシン・キナーゼ
TMP:トロンボポエチン擬似ペプチド
TNF:組織壊死因子
TPO:トロンボポエチン
TRAIL:TNF関連アポトシス誘起リガンド
Trt:トリチル
UK:ウロキナーゼ
UKR:ウロキナーゼ受容体
VEGF:血管内皮細胞成長因子
VIP:血管作用性小腸ペプチド
WBC:白血球
【図面の簡単な説明】
【0310】
【図1】図1は、本発明の例示的方法の概要図を示す。この好ましい方法では、ビヒクルはFcドメインであり、それがFcドメインとペプチドの両方をコードするDNA構築物からの発現によってペプチドに共有結合する。図1に示すように、Fcドメインはこの方法において自発的に二量体を形成する。
【図2A】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである: 一重ジスルフィド結合二量体。IgG1抗体は、典型的には定常領域と可変領域の間のちょうつがい部位に2個のジスルフィド結合を持つ。図2Aと2DにおけるFcドメインは、2個のジスルフィド結合部位間の切断によって、若しくは非反応性残基(例えばアラニル)によるシステイニル残基の置換によって形成されうる。Fcドメインはペプチドのアミノ末端で結合している。
【図2B】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである: 二重ジスルフィド結合二量体。このFcドメインは、Fcドメイン鎖中の両方のシステイニル残基を保持するように親抗体を切断することによって、若しくはそのようなFcドメインをコードする配列を含む構築物からの発現によって形成されうる。Fcドメインはペプチドのアミノ末端で結合している。
【図2C】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである: 非共有結合二量体。このFcドメインは、切断又は置換によるシステイニル残基の除去によって形成されうる。当該システイニル残基と宿主細胞中に存在する他のタンパク質のシステイニル残基の反応によって不純物が形成されるのを避けるため、システイニル残基を除去することが所望される場合がある。Fcドメインの非共有結合は二量体を結びつけるのに十分である。異なる種類の抗体(例えばIgG2、IgM)から誘導したFcドメインを使用することにより、他の二量体を形成することができる。
【図2D】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである: 一重ジスルフィド結合二量体。IgG1抗体は、典型的には定常領域と可変領域の間のちょうつがい部位に2個のジスルフィド結合を持つ。図2Aと2DにおけるFcドメインは、2個のジスルフィド結合部位間の切断によって、若しくは非反応性残基(例えばアラニル)によるシステイニル残基の置換によって形成されうる。Fcドメインはカルボキシル末端で結合している。
【図2E】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである:二重ジスルフィド結合二量体。このFcドメインは、Fcドメイン鎖中の両方のシステイニル残基を保持するように親抗体を切断することによって、若しくはそのようなFcドメインをコードする配列を含む構築物からの発現によって形成されうる。Fcドメインはカルボキシル末端で結合している。
【図2F】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである: 非共有結合二量体。このFcドメインは、切断又は置換によるシステイニル残基の除去によって形成されうる。当該システイニル残基と宿主細胞中に存在する他のタンパク質のシステイニル残基の反応によって不純物が形成されるのを避けるため、システイニル残基を除去することが所望される場合がある。Fcドメインの非共有結合は二量体を結びつけるのに十分である。異なる種類の抗体(例えばIgG2、IgM)から誘導したFcドメインを使用することにより、他の二量体を形成することができる。
【図3A】薬理学的に活性なペプチドのタンデムリピートを特徴とする、本発明の好ましい化合物の構造を示す。本図面は、一本鎖の分子を示し、またかかる分子に関するDNA構築物も表わしうる。
【図3B】薬理学的に活性なペプチドのタンデムリピートを特徴とする、本発明の好ましい化合物の構造を示す。本図面は、リンカー−ペプチド部分が二量体の1本の鎖にだけ存在する二量体を示す。
【図3C】薬理学的に活性なペプチドのタンデムリピートを特徴とする、本発明の好ましい化合物の構造を示す。本図面は、両方の鎖上にペプチド部分を持つ二量体を示す。本図面の二量体は、図3Aに示す一本鎖をコードするDNA構築物の発現の際に一部の宿主細胞において自発的に形成される。他の宿主細胞では、細胞を二量体の形成を促進する条件下に置くか、若しくは二量体をインビトロで形成することができる。
【図4】図4は、本発明において使用しうるヒトIgG1 Fcの例示的核酸及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号1及び2)を示す。
【図5】図5は、PEG化ペプチド19(配列番号3)の製造のための合成概要図を示す。
【図6】図6は、PEG化ペプチド20(配列番号4)の製造のための合成概要図を示す。
【図7】図7は、下記の実施例2において「Fc−TMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号5及び6)を示す。
【図8】図8は、下記の実施例2において「Fc−TMP−TMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号7及び8)を示す。
【図9】図9は、下記の実施例2において「TMP−TMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号9及び10)を示す。
【図10】図10は、下記の実施例2において「TMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号11及び12)を示す。
【図11】図11は、次のように定義される条件下で、種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成される血小板数を示す。 PEG−MGDF:大腸菌において発現される(従ってグリコシル化されていない)、還元的アミノ化によって天然ヒトTPOのアミノ酸1−163のN末端アミノ基に連結した平均分子量20kDのPEG、 TMP:アミノ酸配列、IEGPTLRQWLAARA(配列番号13)を持つTPO擬似ペプチド、 TMP−TMP:アミノ酸配列、IEGPTLRQWLAARA−GGGGGGGG−IEGPTLRQWLAARA(配列番号14)を持つTPO擬似ペプチド、 PEG−TMP−TMP:PEG基が図6に示すような平均分子量5kDのPEGである、配列番号14のペプチド、 Fc−TMP−TMP:同一の第二モノマーで二量体化された(すなわち、図2に示すように、Cys残基7と10が第二モノマー中の対応するCys残基に結合して二量体を形成する)配列番号8(図8)の化合物、そして TMP−TMP−Fcは、FcドメインがTMP−TMPペプチドのN末端ではなくC末端で結合していることを除いて、TMP−TMP−Fcと同じように二量体化された配列番号10(図9)の化合物である。
【図12】図12は、移植した浸透圧ポンプを通して送達される種々の化合物で7日間にわたって処置した正常BDF1マウスにおいて、インビボで生成された血小板の数を示す。化合物は図7について定義されたとおりである。
【図13】図13は、下記の実施例3において「Fc−EMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号15及び16)を示す。
【図14】図14は、下記の実施例3において「EMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号17及び18)を示す。
【図15】図15は、下記の実施例3において「EMP−EMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号19及び20)を示す。
【図16】図16は、下記の実施例3において「Fc−EMP−EMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号21及び22)を示す。
【図17A】発現プラスミドpAMG21(ATCCアクセス番号98113)を形成するためにユニークAatII(pCFM1656中4364位)とSacII(pCFM1656中4585位)制限部位の間に挿入されるDNA配列(配列番号23)を示す。
【図17B】発現プラスミドpAMG21(ATCCアクセス番号98113)を形成するためにユニークAatII(pCFM1656中4364位)とSacII(pCFM1656中4585位)制限部位の間に挿入されるDNA配列(配列番号23)を示す。
【図18A−1】種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成されるヘモグロビンを示す。
【図18A−2】種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成される赤血球を示す。
【図18A−3】種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成されるヘマトクリットを示す。
【図18B−1】図18Bは、EMPに関しては100μg/kg、rhEPOに関しては30U/マウスで送達される微小浸透圧ポンプにより7日間にわたって100μg/kg/日で処置したマウスについてのヘモグロビンを示す。
【図18B−2】図18Bは、EMPに関しては100μg/kg、rhEPOに関しては30U/マウスで送達される微小浸透圧ポンプにより7日間にわたって100μg/kg/日で処置したマウスについての赤血球を示す。
【図18B−3】図18Bは、EMPに関しては100μg/kg、rhEPOに関しては30U/マウスで送達される微小浸透圧ポンプにより7日間にわたって100μg/kg/日で処置したマウスについてのヘマトクリットを示す。
【図19A】下記の実施例4で述べるFc−TNF−α阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1055及び1056)を示す。
【図19B】下記の実施例4で述べるFc−TNF−α阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1055及び1056)を示す。
【図20A】下記の実施例4で述べるTNF−α阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1057及び1058)を示す。
【図20B】下記の実施例4で述べるTNF−α阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1057及び1058)を示す。
【図21A】下記の実施例5で述べるFc−IL−1拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1059及び1060)を示す。
【図21B】下記の実施例5で述べるFc−IL−1拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1059及び1060)を示す。
【図22A】下記の実施例5で述べるIL−1拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1061及び1062)を示す。
【図22B】下記の実施例5で述べるIL−1拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1061及び1062)を示す。
【図23A】下記の実施例6で述べるFc−VEGF拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1063及び1064)を示す。
【図23B】下記の実施例6で述べるFc−VEGF拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1063及び1064)を示す。
【図23C】下記の実施例6で述べるFc−VEGF拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1063及び1064)を示す。
【図24A】下記の実施例6で述べるVEGF拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1065及び1066)を示す。
【図24B】下記の実施例6で述べるVEGF拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1065及び1066)を示す。
【図25A】下記の実施例7で述べるFc−MMP阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1067及び1068)を示す。
【図25B】下記の実施例7で述べるFc−MMP阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1067及び1068)を示す。
【図26A】下記の実施例7で述べるMMP阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1069及び1070)を示す。
【図26B】下記の実施例7で述べるMMP阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1069及び1070)を示す。
【背景技術】
【0001】
発明の背景
組換えタンパク質は最近出現してきた治療薬のクラスのひとつである。かかる組換え治療は、タンパク質の生成と化学修飾における進歩をもたらした。そのような修飾は、主としてタンパク質分解酵素への接触を遮断することにより、治療タンパク質を保護することができる。タンパク質の修飾はまた、治療タンパク質の安定性、循環時間及び生物活性を高めることもできる。タンパク質修飾と融合タンパク質を述べた総説論文が、参照してここに組み込まれる、Francis(1992)、成長因子への注目(Focus on Growth Factors)、3:4−10(Mediscript,London)である。
【0002】
1つの有用な修飾は、抗体の「Fc」ドメインとの組合せである。抗体は2つの機能的に独立した部分、すなわち抗原に結合する、「Fab」として知られる可変領域と、食細胞による補体活性化と攻撃の際にそのようなエフェクター機能と結合する、「Fc」として知られる定常領域を含む。Fcは長い血清半減期を持つのに対し、Fabは短命である。Caponら(1989),Nature 337:525−31。治療タンパク質と共に構築すると、Fcドメインはより長い半減期を提供する、若しくはFc受容体結合、プロテインA結合、補体固定、さらにはおそらく胎盤移動のような機能も組み込むことができる。同上。表1は当技術において既知のFc融合の使用をまとめたものである。
【0003】
【表1】
【0004】
治療薬の開発のための全く異なるアプローチがペプチドライブラリーのスクリーニングである。タンパク質リガンドとその受容体の相互作用はしばしば比較的大きな界面で起こる。しかし、ヒト成長ホルモンとその受容体に関して明らかにされたように、界面のいくつかの鍵となる残基だけが結合エネルギーの大半に寄与する、Clacksonら(1995),Science 267:383−6。タンパク質リガンドのバルクは単に正しいトポロジーで結合エピトープを発現するか、若しくは結合には関係しない機能として働く。それ故、「ペプチド」の長さ(2−40個のアミノ酸)の分子だけが一定の大きなタンパク質リガンドの受容体タンパク質に結合することができる。そのようなペプチドは、大タンパク質リガンドの生物活性を擬似する(「ペプチド作用物質」)、若しくは競合的結合を通して、大タンパク質リガンドの生物活性を阻害する(「ペプチド拮抗物質」)ことができる。
【0005】
ファージディスプレイペプチドライブラリーは、そのようなペプチド作用物質と拮抗物質を同定する強力な方法として出現した。例えば、Scottら(1990),Science 249:386;Devlinら(1990),Science 249:404;1993年6月29日発行の米国特許第5,223,409号;1998年3月31日発行の米国特許第5,733,731号;1996年3月12日発行の米国特許第5,498,530号;1995年7月11日発行の米国特許第5,432,018号;1994年8月16日発行の米国特許第5,33,665号;1999年7月13日発行の米国特許第5,922,545号;1996年12月19日公開のWO 96/40987号;及び1998年4月16日公開のWO 98/15833号(その各々が参照してここに組み込まれる)参照。そのようなライブラリーにおいては、任意のペプチド配列が線状ファージのコートタンパク質との融合によって発現される。典型的には、発現されたペプチドを受容体の抗体固定された細胞外ドメインに対して親和溶出する。残ったファージを連続的な親和精製と再増殖によって濃縮してもよい。最良の結合ペプチドを配列決定して、1つ又はそれ以上の構造的に関連するペプチドのファミリー内でキー残基を同定することができる。例えば、2つの異なるファミリーが同定された、Cwirlaら(1997),Science 276:1696−9参照。ペプチド配列はまた、どの残基がアラニンスキャニングによって若しくはDNAレベルでの突然変異誘発によって安全に置換できるかを示唆しうる。突然変異誘発ライブラリーを創造し、スクリーニングして、最良のバインダーの配列をさらに至適化することができる。Lowman(1997),Ann.Rev.Biophys.Biomol.Struct.26:401−24。
【0006】
タンパク質−タンパク質相互作用の構造分析も、大タンパク質リガンドの結合活性を擬似するペプチドを示唆するために使用しうる。そのような分析では、結晶構造が、ペプチドが設計される大タンパク質リガンドの決定的残基の同一性と相対的方向性を示唆すると考えられる。例えば、Takasakiら(1997),Nature Biotech.15:1266−70参照。これらの分析法は、結合親和性を高めるためのペプチドのさらなる修飾を示唆しうる、受容体タンパク質とファージディスプレイによって選択したペプチド間の相互作用を検討するためにも使用できる。
【0007】
その他にもペプチド研究においてファージディスプレイに匹敵する方法がある。ペプチドライブラリーをlacリプレッサーのカルボキシル末端に融合し、大腸菌において発現することができる。もうひとつの大腸菌に基づく方法は、ペプチドグリカン結合リポタンパク質(PAL)との融合により細胞の外膜に発現させる。本文中以下では、これら及び関連する方法を集合的に「大腸菌ディスプレイ」と称する。もうひとつの方法では、ランダムRNAの翻訳をリボソーム放出の前に停止させ、関連RNAがまだ結合しているポリペプチドのライブラリーを作製する。本文中以下では、この方法及び関連する方法を集合的に「リボソームディスプレイ」と称する。他の方法は、RNAへのペプチドの化学結合を用いるものである:例えば、RobertsとSzostak(1997),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:12297−303参照。本文中以下では、この方法及び関連する方法を集合的に「RNA−ペプチドスクリーニング」と称する。ペプチドがポリエチレンロッド又は溶媒透過性樹脂のような安定な非生物学的物質上に固定されている、化学的に誘導されたペプチドライブラリーが開発されている。もうひとつの化学的に誘導されるペプチドライブラリーは、写真平板印刷を用いてガラススライド上に固定されたペプチドを走査する。本文中以下では、これら及び関連する方法を集合的に「化学物質−ペプチドスクリーニング」と称する。化学物質−ペプチドスクリーニングは、Dアミノ酸及び他の非天然類似体、ならびに非ペプチド要素を使用できるという点で有利であると考えられる。生物学的方法と化学的方法の両方が、WellsとLowman(1992),Curr.Opin.Biotechnol.3:355−62の中で考察されている。
【0008】
概念的には、ファージディスプレイや上述したその他の方法を用いてどのようなタンパク質のペプチド擬似も発見しうる。これらの方法は、エピトープマッピングのため、タンパク質−タンパク質相互作用における決定的アミノ酸の同定のため、そして新しい治療薬発見のための先導役(lead)として使用されてきた。例えばCorteseら(1996),Curr.Opin.Biotech.7:616−21。現在、エピトープマッピングのような免疫学的試験においてはペプチドライブラリーが最も多く用いられている。Kreeger(1996),The Scientist 10(13):19−20。
【0009】
ここで特に興味深いのは、薬理学的に活性なペプチドの発見におけるペプチドライブラリー及びその他の手法の使用である。当技術において同定されたそのようなペプチドのいくつかを表2に要約する。ペプチドは列挙した公表文献中に記載されており、その各々が参照してここに組み込まれる。ペプチドの薬理学的活性を記述し、且つ多くの場合括弧内にその略語を示している。これらのペプチドの一部は修飾されている(例えば、C末端架橋二量体を形成するため)。典型的には、薬理学的に活性なタンパク質の受容体(例えばEPO受容体)への結合に関してペプチドライブラリーをスクリーニングした。少なくとも1つの場合には、モノクローナル抗体への結合に関してペプチドライブラリーをスクリーニングした。
【0010】
【表2】
【0011】
ペプチドライブラリーのスクリーニングによって同定されたペプチドは治療薬そのものではなく、治療薬の開発における「先導役(lead)」とみなされてきた。他のタンパク質やペプチドと同様に、それらは腎濾過、細網内皮系における細胞クリアランス機序、又はタンパク質分解のいずれかによってインビボで速やかに除去されるであろう。Francis(1992)、成長因子への注目(Focus on Growth Factors) 3:4−11。結果として、当技術は現在、同定されたペプチドを、薬剤標的を確認するため、又は化学的ライブラリースクリーニングではそれほど容易に又はそれほど速やかに同定されなかったであろう有機化合物の設計のための足場として使用している。Lowman(1997),Ann.Rev.Biophys.Biomol.Struct.26:401−24;Kayら(1998),Drug Disc.Today 3:370−8。当技術は、そのようなペプチドが治療薬をより速やかに生み出すことができる方法から恩恵を受けるであろう。
【0012】
発明の要旨
本発明は、ビヒクル(vehicle)との融合により、1つ又はそれ以上の生物学的に活性なペプチドのインビボ半減期を延長させる方法に関する。本発明では、薬理学的に活性な化合物を:
a)対象とするタンパク質の活性を変化させる少なくとも1個のペプチドを選択し、そして
b)選択したペプチドの少なくとも1つのアミノ酸配列に共有結合された少なくとも1つのビヒクルを含む薬理学的物質を調製する
ことを含む方法によって調製する。好ましいビヒクルはFcドメインである。ステップ(a)でスクリーニングしたペプチドを、好ましくはファージディスプレイライブラリーにおいて発現させる。ビヒクルとペプチドは、下記でさらに述べるように、ペプチド又はビヒクルのN又はC末端を通して結合しうる。上記化合物の誘導体(下記に述べる)も本発明に包含される。
【0013】
本発明の化合物は、標準的合成法、組換えDNA手法、又はペプチド及び融合タンパク質を調製する他のなんらかの方法によって調製しうる。非ペプチド部分を含む本発明の化合物は、適用しうる場合は標準的なペプチド化学反応に加えて、標準的有機化学反応によって合成しうる。
【0014】
期待される主たる用途は治療又は予防薬としてである。ビヒクル結合ペプチドは、ペプチドによって擬似される天然リガンドと同等、あるいはさらにそれ以上の活性を持つと考えられる。さらに、一部の天然リガンドベースの治療薬は患者自身の内因性リガンドに対する抗体を誘導しうる;ビヒクル結合ペプチドは、天然リガンドとほとんど又は典型的には全く配列同一性を持たないため、この問題を回避する。
【0015】
主に治療薬として想定されるが、本発明の化合物はまた、そのような薬剤のスクリーニングにおいても有用であると考えられる。例えば、抗Fc被覆プレートを用いるアッセイにおいてFcペプチド(例えば、Fc−SH2ドメインペプチド)が使用できるであろう。ビヒクル、特にFcは、不溶性ペプチドを可溶性にすることができ、それ故多くのアッセイにおいて有用である。
【0016】
本発明の化合物は、適当な製薬上のキャリア物質と共に製剤し、その必要のあるヒト(あるいは他の哺乳類)などの患者に有効量を投与することにより、治療又は予防目的に使用しうる。他の関連する態様も本発明に包含される。
【0017】
図面と発明の詳細な説明を検討することにより、本発明の数多くの追加的態様と利点が明らかになるであろう。
【0018】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の例示的方法の概要図を示す。この好ましい方法では、ビヒクルはFcドメインであり、それがFcドメインとペプチドの両方をコードするDNA構築物からの発現によってペプチドに共有結合する。図1に示すように、Fcドメインはこの方法において自発的に二量体を形成する。
【0019】
図2は、IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである:
A、D:一重ジスルフィド結合二量体。IgG1抗体は、典型的には定常領域と可変領域の間のちょうつがい部位に2個のジスルフィド結合を持つ。図2Aと2DにおけるFcドメインは、2個のジスルフィド結合部位間の切断によって、若しくは非反応性残基(例えばアラニル)によるシステイニル残基の置換によって形成されうる。図2AではFcドメインはペプチドのアミノ末端で結合しており、2Dではカルボキシル末端で結合している。
【0020】
B、E:二重ジスルフィド結合二量体。このFcドメインは、Fcドメイン鎖中の両方のシステイニル残基を保持するように親抗体を切断することによって、若しくはそのようなFcドメインをコードする配列を含む構築物からの発現によって形成されうる。図2BではFcドメインはペプチドのアミノ末端で結合しており、2Eではカルボキシル末端で結合している。
【0021】
C、F:非共有結合二量体。このFcドメインは、切断又は置換によるシステイニル残基の除去によって形成されうる。当該システイニル残基と宿主細胞中に存在する他のタンパク質のシステイニル残基の反応によって不純物が形成されるのを避けるため、システイニル残基を除去することが所望される場合がある。Fcドメインの非共有結合は二量体を結びつけるのに十分である。異なる種類の抗体(例えばIgG2、IgM)から誘導したFcドメインを使用することにより、他の二量体を形成することができる。
【0022】
図3は、薬理学的に活性なペプチドのタンデムリピートを特徴とする、本発明の好ましい化合物の構造を示す。図3Aは一本鎖の分子を示し、またかかる分子に関するDNA構築物も表わしうる。図3Bは、リンカー−ペプチド部分が二量体の1本の鎖にだけ存在する二量体を示す。図3Cは、両方の鎖上にペプチド部分を持つ二量体を示す。図3Cの二量体は、図3Aに示す一本鎖をコードするDNA構築物の発現の際に一部の宿主細胞において自発的に形成される。他の宿主細胞では、細胞を二量体の形成を促進する条件下に置くか、若しくは二量体をインビトロで形成することができる。
【0023】
図4は、本発明において使用しうるヒトIgG1 Fcの例示的核酸及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号1及び2)を示す。
【0024】
図5は、PEG化ペプチド19(配列番号3)の製造のための合成概要図を示す。
【0025】
図6は、PEG化ペプチド20(配列番号4)の製造のための合成概要図を示す。
【0026】
図7は、下記の実施例2において「Fc−TMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号5及び6)を示す。
【0027】
図8は、下記の実施例2において「Fc−TMP−TMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号7及び8)を示す。
【0028】
図9は、下記の実施例2において「TMP−TMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号9及び10)を示す。
【0029】
図10は、下記の実施例2において「TMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号11及び12)を示す。
【0030】
図11は、次のように定義される条件下で、種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成される血小板数を示す。
【0031】
PEG−MGDF:大腸菌において発現される(従ってグリコシル化されていない)、還元的アミノ化によって天然ヒトTPOのアミノ酸1−163のN末端アミノ基に連結した平均分子量20kDのPEG、
TMP:アミノ酸配列、IEGPTLRQWLAARA(配列番号13)を持つTPO擬似ペプチド、
TMP−TMP:アミノ酸配列、IEGPTLRQWLAARA−GGGGGGGG−IEGPTLRQWLAARA(配列番号14)を持つTPO擬似ペプチド、
PEG−TMP−TMP:PEG基が図6に示すような平均分子量5kDのPEGである、配列番号14のペプチド、
Fc−TMP−TMP:同一の第二モノマーで二量体化された(すなわち、図2に示すように、Cys残基7と10が第二モノマー中の対応するCys残基に結合して二量体を形成する)配列番号8(図8)の化合物、そして
TMP−TMP−Fcは、FcドメインがTMP−TMPペプチドのN末端ではなくC末端で結合していることを除いて、TMP−TMP−Fcと同じように二量体化された配列番号10(図9)の化合物である。
【0032】
図12は、移植した浸透圧ポンプを通して送達される種々の化合物で7日間にわたって処置した正常BDF1マウスにおいて、インビボで生成された血小板の数を示す。化合物は図7について定義されたとおりである。
【0033】
図13は、下記の実施例3において「Fc−EMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号15及び16)を示す。
【0034】
図14は、下記の実施例3において「EMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号17及び18)を示す。
【0035】
図15は、下記の実施例3において「EMP−EMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号19及び20)を示す。
【0036】
図16は、下記の実施例3において「Fc−EMP−EMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号21及び22)を示す。
【0037】
図17Aと17Bは、発現プラスミドpAMG21(ATCCアクセス番号98113)を形成するためにユニークAatII(pCFM1656中4364位)とSacII(pCFM1656中4585位)制限部位の間に挿入されるDNA配列(配列番号23)を示す。
【0038】
図18Aは、種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成されるヘモグロビン、赤血球及びヘマトクリットを示す。図18Bは、EMPに関しては100μg/kg、rhEPOに関しては30U/マウスで送達される微小浸透圧ポンプにより7日間にわたって100μg/kg/日で処置したマウスについての同じ結果を示す。(両方の実験において、好中球、リンパ球及び血小板は影響を受けなかった。)これらの図において、用語は次のように定義される。
【0039】
Fc−EMP:同一の第二モノマーで二量体化された(すなわち、図2に示すように、Cys残基7と10が第二モノマー中の対応するCys残基に結合して二量体を形成する)配列番号16(図13)の化合物、
EMP−Fcは、FcドメインがEMPペプチドのN末端ではなくC末端で結合していることを除いて、Fc−EMPと同じように二量体化された配列番号18(図14)の化合物。
【0040】
「EMP−EMP−Fc」は、ペプチドのカルボキシル末端により同じFcドメインに結合された同じペプチド(配列番号20)のタンデムリピートを指す。「Fc−EMP−EMP」は、同じペプチドのタンデムリピートであるが、同じFcドメインがタンデムリピートのアミノ末端で結合しているものを指す。すべての分子は大腸菌において発現され、従ってグリコシル化されていない。
【0041】
図19Aと19Bは、下記の実施例4で述べるFc−TNF−α阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1055及び1056)を示す。
【0042】
図20Aと20Bは、下記の実施例4で述べるTNF−α阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1057及び1058)を示す。
【0043】
図21Aと21Bは、下記の実施例5で述べるFc−IL−1拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1059及び1060)を示す。
【0044】
図22Aと22Bは、下記の実施例5で述べるIL−1拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1061及び1062)を示す。
【0045】
図23A及び23Bは、下記の実施例6で述べるFc−VEGF拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1063及び1064)を示す。
【0046】
図24Aと24Bは、下記の実施例6で述べるVEGF拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1065及び1066)を示す。
【0047】
図25Aと25Bは、下記の実施例7で述べるFc−MMP阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1067及び1068)を示す。
【0048】
図26Aと26Bは、下記の実施例7で述べるMMP阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1069及び1070)を示す。
【0049】
発明の詳細な説明
用語の定義
この明細書を通じて使用される用語は、特定の場合に限って異なる記載がないかぎり、下記のように定義される。
【0050】
「含む(comprising)」という用語は、化合物が所与の配列のN又はC末端のいずれか又は両方に付加的なアミノ酸を含みうることを意味する。言うまでもなく、これらの付加的なアミノ酸は化合物の活性に有意に干渉してはならない。
【0051】
「ビヒクル」(vehicle)という用語は、治療タンパク質の分解を妨げる及び/又は半減期を延長させる、毒性を低下させる、免疫原性を低下させる、若しくは生物活性を高める分子を指す。例示的なビヒクルは、Fcドメイン(好ましい)ならびに線状ポリマー(例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリリシン、デキストラン等);分枝ポリマー(例えば、1981年9月15日発行のDenkenwalterらへの米国特許第4,289,872号;1993年7月20日発行のTamへの同第5,229,490号;1993年10月28日公開のFrechetらによるWO 93/21259号参照);脂質;コレステロール群(ステロイドなど);炭水化物又はオリゴ糖;あるいはサルベージ受容体に結合する天然又は合成タンパク質、ポリペプチド又はペプチドを含む。ビヒクルは下記でさらに詳述する。
【0052】
「天然Fc」という用語は、モノマー又はマルチマーの形態の、全抗体の消化から生じる非抗原結合断片の配列を含む分子又は配列を指す。天然Fcの最初の免疫グロブリンソースは好ましくはヒト由来であり、IgG1及びIgG2が好ましいが、どのような免疫グロブリンであってもよい。天然Fcは、共有(すなわちジスルフィド結合)及び非共有結合によって二量体又はマルチマーに連結されうるモノマーポリペプチドから作製される。天然Fc分子のモノマーサブユニット間の分子間ジスルフィド結合の数は、クラス(例えばIgG、IgA、IgE)又はサブクラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgA1、IgGA2)によって1から4の範囲である。天然Fcの1つの例は、IgGのパパイン消化から生じるジスルフィド結合二量体である(Ellisonら(1982),Nucleic Acids Res.10:4071−9参照)。ここで使用する「天然Fc」という用語は、モノマー、二量体及びマルチマー形態の総称名である。
【0053】
「Fc変異体」という用語は、天然Fcから改変されているが、まだサルベージ受容体、FcRnについての結合部位を含んでいる分子又は配列を指す。国際特許願WO 97/34631号(1997年9月25日公開)及びWO 96/32478号は例示的なFc変異体ならびにサルベージ受容体との相互作用を述べており、参照してここに組み込まれる。従って、「Fc変異体」という用語は、非ヒト天然Fcからヒト化された(humanized)分子又は配列を含む。さらに、天然Fcは、本発明の融合分子には必要とされない構造的特徴又は生物活性を提供するので、除去しうる部位を含んでいる。それ故、「Fc変異体」という用語は、(1)ジスルフィド結合の形成、(2)選択した宿主細胞との不適合性、(3)選択宿主細胞において発現される際のN末端の異質性、(4)グリコシル化、(5)補体との相互作用、(6)サルベージ受容体以外のFc受容体への結合、あるいは(7)抗体依存性細胞毒性(ADCC)に影響する又は関与する1つ又はそれ以上の天然Fc部位又は残基を欠く分子又は配列を含む。Fc変異体は下記でさらに詳述する。
【0054】
「Fcドメイン」という用語は、上記で定義したような天然Fc及びFc変異体分子及び配列を包含する。Fc変異体及び天然Fcの場合と同様に、「Fcドメイン」という用語は、全抗体から消化されるか若しくは他の手段によって産生される、モノマー又はマルチマー形態の分子を含む。
【0055】
Fcドメイン又はFcドメインを含む分子に適用されるとき「マルチマー(多量体)」という用語は、共有結合、非共有結合、又は共有結合と非共有結合の相互作用によって連結された2本又はそれ以上のポリペプチド鎖を持つ分子を指す。IgG分子は典型的には二量体を形成する;IgMはペンタマー(五量体);IgDは二量体;IgAはモノマー、二量体、トリマー(三量体)又はテトラマー(四量体)を形成する。マルチマーは、Fcの天然Igソースの配列と生じる活性を利用することにより、若しくはそのような天然Fcを誘導体化する(下記に定義する)ことにより、形成されうる。
【0056】
Fcドメイン又はFcドメインを含む分子に適用されるとき「二量体」という用語は、共有結合又は非共有結合によって連結された2本のポリペプチド鎖を持つ分子を指す。それ故、本発明の範囲内に含まれる例示的二量体は図2に示すとおりである。
【0057】
「誘導体化する」及び「誘導体」又は「誘導体化された」という用語は、それぞれ(1)化合物が環状部分を持つ;例えば、化合物内でのシステイニル残基間の架橋;(2)化合物が架橋結合している又は架橋部位を持つ;例えば、化合物がシステイニル残基を持ち、従って培養又はインビボにおいて架橋二量体を形成する;(3)1つ又はそれ以上のペプチジル結合が非ペプチジル結合によって置換されている;(4)N末端が−NRR1、NRC(O)R1、−NRC(O)OR1、−NRS(O)2R1、−NHC(O)NHR、スクシニミド基、あるいは置換された又は置換されていないベンジルオキシカルボニル−NH−、[式中、RとR1及び環置換基は下記で定義するとおりである]によって置換されている;(5)C末端が−C(O)R2又は−NR3R4[式中、R2、R3及びR4は下記で定義するとおりである]によって置換されている;そして(6)個々のアミノ酸部分が、選択された側鎖又は末端残基と反応することができる物質での処理を通して修飾されている化合物であるような方法及び生じる化合物を含む。誘導体は下記でさらに詳述する。
【0058】
「ペプチド」という用語は、2から40個のアミノ酸の分子を指し、3から20個のアミノ酸の分子が好ましく、6から15個のアミノ酸の分子が最も好ましい。例示的ペプチドは、ペプチドライブラリー(例えばファージディスプレイライブラリー)において実施される、上記に引用した方法のいずれかによってランダムに生成するか、若しくはタンパク質の消化によって誘導されうる。
【0059】
ペプチド配列を指すために使用するときの「ランダム化された」という用語は、完全にランダムな配列(例えばファージディスプレイライブラリーによって選択される)及び天然に生じる分子の1個又はそれ以上の残基が、天然に生じる分子ではその位置に出現しないアミノ酸残基によって置換されている配列を指す。ペプチド配列を同定するための例示的方法は、ファージディスプレイ、大腸菌(E.coli)ディスプレイ、リボソームディスプレイ、RNA−ペプチドスクリーニング、化学的スクリーニング等を含む。
【0060】
「薬理学的に活性な」という用語は、そのように説明される物質が、医学的パラメータ(例えば血圧、血球数、コレステロールレベル)又は疾患状態(例えば癌、自己免疫疾患)に影響を及ぼす活性を持つことが明らかにされていることを意味する。従って、薬理学的に活性なペプチドは、下記に定義するような作用性又は擬似及び拮抗性ペプチドを含む。
【0061】
「−擬似ペプチド」及び「−作用物質ペプチド」という用語は、対象とするタンパク質と相互作用するタンパク質(例えばEPO、TPO、G−CSF)と同等の生物活性を持つペプチドを指す。これらの語はさらに、対象とするタンパク質の天然リガンドの作用を増強することによるような、対象タンパク質の活性を間接的に擬似するペプチドを含む;例えば、表2及び7に列挙したG−CSF擬似ペプチド参照。従って、「EPO擬似ペプチド」という用語は、Wrightonら(1996),Science 273:458−63,Narandaら(1999),Proc.Natl.Acad.Sci.USA 96:7569−74、若しくはEPO擬似を取り上げていると同定された表2の他の参考文献に記述されているように同定する又は誘導することができるいかなるペプチドも含む。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0062】
「TPO擬似ペプチド」という用語は、Cwirlaら(1997),Science 276:1696−9、米国特許第5,869,451号、同第5,932,946号、及びTPO擬似を取り上げていると同定された表2の他の参考文献、ならびに本願と同日に出願され、参照してここに組み込まれる米国特許願、「血小板形成性化合物(Thrompoietic Compounds)に記述されているように同定する又は誘導することができるペプチドを含む。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0063】
「G−CSF擬似ペプチド」という用語は、Paukovitsら(1984),Hoppe−Seylers Z.Physiol.Chem.365:303−11又はG−CSF擬似を取り上げていると同定された表2の参考文献のいずれかにおいて同定されうる又は説明されうるペプチドを指す。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0064】
「CTLA4擬似ペプチド」という用語は、Fukumotoら(1998),Nature Biotech.16:267−70において記述されているように同定する又は誘導することができるペプチドを指す。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0065】
「−拮抗物質ペプチド」又は「阻害因子ペプチド」という用語は、対象とする関連タンパク質の生物活性を遮断する又はなんらかの方法で生物活性に干渉する、若しくは対象とする関連タンパク質の既知の拮抗物質又は阻害因子と同等の生物活性を持つペプチドを指す。従って、「TNF拮抗物質ペプチド」という用語は、Takasakiら(1997),Nature Biotech.15:1266−70又はTNF拮抗物質を取り上げている同定された表2の参考文献のいずれかにおいて記述されているように同定する又は誘導することができるペプチドを含む。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0066】
「IL−1拮抗物質」及び「IL−1ra擬似ペプチド」という用語は、IL−1によるIL−1受容体の活性化を阻害する又は下方調節するペプチドを含む。IL−1受容体の活性化は、IL−1、IL−1受容体及びIL−1受容体補助タンパク質の間で複合体が形成されることから生じる。IL−1拮抗物質又はIL−1ra擬似ペプチドは、IL−1、IL−1受容体又はIL−1受容体補助タンパク質に結合して、複合体の2つ又は3つの成分間での複合体形成を妨げる。例示的なIL−1拮抗物質又はIL−1ra擬似ペプチドは、米国特許第5,608,035号、同第5,786,331号、同第5,880,096号、又はIL−1ra擬似又はIL−1拮抗物質ペプチドを取り上げている同定された表2の参考文献のいずれかにおいて記述されているように同定する又は誘導することができる。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0067】
「VEGF拮抗物質ペプチド」という用語は、Fairbrother(1998),Biochem.37:17754−64、及びVEGF拮抗物質ペプチドを取り上げていると同定された表2の参考文献のいずれかにおいて記述されているように同定する又は誘導することができるペプチドを含む。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0068】
「MMP阻害因子ペプチド」という用語は、Koivunen(1999),Nature Biotech.17:768−74、及びMMP阻害因子ペプチドを取り上げていると同定された表2の参考文献のいずれかにおいて記述されているように同定する又は誘導することができるペプチドを含む。当業者には、これらの参考文献の各々により、種々のペプチドライブラリーに関して開示されている手順に従ってその中で実際に開示されている以外の異なるペプチドを選択しうることは明白である。
【0069】
さらに、本発明の化合物の生理的に許容される塩もここに包含される。「生理的に許容される塩」とは、製薬上許容されることが知られている又は今後発見される、いかなる塩も意味する。一部の特定例は:酢酸塩;トリフルオロ酢酸塩;塩酸塩及び臭化水素酸塩のようなヒドロハロゲン化物;硫酸塩;クエン酸塩;酒石酸塩;グリコール酸塩;及びシュウ酸塩である。
【0070】
化合物の構造
全般。本発明に従って製造される物質の組成物においては、ペプチドのN末端又はC末端を通してペプチドをビヒクルに連結することができる。従って、本発明のビヒクル−ペプチド分子は次の式I:
(X1)a−F1(X2)b
[式中、F1はビヒクル(好ましくはFcドメイン)であり、
X1及びX2は、各々独立に−(L1)c−P1、−(L1)c−P1−(L2)d−P2、−(L1)c−P1−(L2)d−P2−(L3)e−P3、及び−(L1)c−P1−(L2)d−P2−(L3)e−P3−(L4)f−P4から選択され、
P1、P2、P3及びP4は各々独立に薬理学的に活性なペプチドの配列であり、
L1、L2、L3及びL4は各々独立にリンカーであり、そして
a、b、c、d、e及びfは、aとbの少なくとも一方が1であることを条件として、各々独立に0又は1である]
によって表わすことができる。
【0071】
従って、化合物Iは式II:
X1−F1
及びそのマルチマー[式中、F1はFcドメインであり、X1のC末端で結合している]、式III:
F1−X2
及びそのマルチマー[式中、F1はFcドメインであり、X2のN末端で結合している]、式IV:
F1−(L1)c−P1
及びそのマルチマー[式中、F1はFcドメインであり、−(L1)c−P1のN末端で結合している]、式V
F1−(L1)c−P1−(L2)d−P2
及びそのマルチマー[式中、F1はFcドメインであり、−L1−P1−L2−P2のN末端で結合している]
の好ましい化合物を含む。
【0072】
ペプチド。本発明と組み合わせてどのような数のペプチドも使用しうる。特に興味深いのは、EPO、TPO、成長ホルモン、G−CSF、GM−CSF、IL−1ra、レプチン、CTLA4、TRAIL、TGF−α、及びTGF−βの活性を擬似するペプチドである。ペプチド拮抗物質、特にTNF、レプチン、インターロイキンのいずれか(IL−1、2、3、…)、及び補体活性化に関与するタンパク質(例えばC3b)の活性に拮抗するものも興味深い。腫瘍誘導(tumor−homing)ペプチド、膜輸送ペプチド等を含めた標的ペプチドも興味深い。これらのクラスのペプチドすべてが本明細書で引用する参考文献及び他の参考文献において記述されている方法によって発見されうる。
【0073】
ファージディスプレイは、特に、本発明において使用するためのペプチドを生成するのに有用である。ランダムペプチドのライブラリーからのアフィニティー選択を使用して、遺伝子産物の部位に関するペプチドリガンドを同定できることが記述されている。Dedmanら(1993),J.Biol.Chem.268:23025−30。ファージディスプレイは、細胞表面受容体のような対象タンパク質又は線状エピトープを持つなんらかのタンパク質に結合するペプチドを同定するために特に適している。Wilsonら(1998),Can.J.Microbiol.44:313−29;Kayら(1998),Drug Disc.Today 3:370−8。そのようなタンパク質は、参照してここに組み込まれる、Heizら(1997),J.Receptor & Signal Transduction Res.17(5):671−776の中で広汎に検討されている。そのような対象タンパク質は本発明における使用のために好ましい。
【0074】
特に好ましいペプチド群は、サイトカイン受容体に結合するものである。サイトカインは最近それらの受容体コードに従って分類された。参照してここに組み込まれる、Inglot(1997),Archivum Immunologiae et Therapiae Experimentalis 45:353−7参照。これらの受容体の中で、最も好ましいのはCKRs(表3のIファミリー)である。受容体分類を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
本発明に関する例示的ペプチドを下記の表4から20に示す。これらのペプチドは当技術において開示されている方法によって調製しうる。1文字のアミノ酸略語を使用している。これらの配列中(及び特定の場合に異なる記載がないかぎり、本明細書全体を通じて)のXは、20個の天然に生じるアミノ酸残基のいずれかが存在することを意味する。これらのペプチドにいずれも、リンカーにより又はリンカーなしで、タンデムに(すなわち連続的に)連結することができ、いくつかのタンデム結合例を表に示している。リンカーは「Λ」として列挙しており、ここで述べるリンカーのいずれでもよい。タンデムリピートとリンカーは、明瞭化のためダッシュで分けて示している。システイニル残基を含むいずれのペプチドも、もうひとつのCys含有ペプチドと架橋することができ、ペプチドの一方又は両方がビヒクルに連結されていてもよい。いくつかの架橋例を表に示している。1個以上のCys残基を持つペプチドは、ペプチド内ジスルフィド結合を形成することもできる;例えば、表5のEPO擬似ペプチド参照。ペプチド内ジスルフィド結合したペプチドのいくつかの例が表に記載されている。これらのペプチドのいずれもがここで述べたように誘導体化することができ、いくつかの誘導体化した例を表に示している。関連する非誘導体化ペプチドも本発明において使用できるので、表中の誘導体化ペプチドは限定ではなく例示である。カルボキシル末端をアミノ基でキャップすることができる誘導体に関しては、キャップアミノ基を−NH2として示している。アミノ酸残基がアミノ酸残基以外の成分で置換されている誘導体については、置換基をσで表わしており、σは、参照してここに組み込まれる、Bhatnagarら(1996),J.Med.Chem.39:3814−9及びCuthbertsonら(1997),J.Med.Chem.40:2876−82に述べられている成分のいずれかを意味する。J置換基とZ置換基(Z5、Z6、…Z40)は、参照してここに組み込まれる米国特許第5,608,035号、同第5,786,331号及び同第5,880,096号で定義されているとおりである。EPO擬似配列(表5)に関しては、置換基X2からX11まで及び整数「n」は、参照してここに組み込まれるWO 96/40772号に定義されているとおりである。置換基「Ψ」、「Θ」、及び「+」は、参照してここに組み込まれる、Sparksら(1996),Proc.Natl.Acad.Sci.93:1540−4に定義されているとおりである。X4、X5、X6及びX7は、インテグリン結合ペプチドに関して、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7及びX8が、参照してここに組み込まれる1995年6月1日公開の国際特許願WO 95/14714号及び1997年3月6日公開のWO 97/08203号に定義されているとおりであり、VIP擬似ペプチドに関して、X1、X1’、X1”、X2、X3、X4、X5、X6及びZならびに整数mとnが、参照してここに組み込まれる1997年10月30日公開のWO 97/40070号に定義されているとおりであることを除いて、やはり参照してここに組み込まれる米国特許第5,773,569号に定義されているとおりである。下記のXaa及びYaaは、参照してここに組み込まれる1998年3月12日公開のWO 98/09985号に定義されているとおりである。AA1、AA2、AB1、AB2、及びACは、参照してここに組み込まれる1998年12月3日公開の国際特許願WO 98/53842号に定義されているとおりである。表17中のX1、X2、X3及びX4は、1999年4月28日公開の欧州特許願EP 0 911 393号に定義されているとおりである。太字で表示されている残基はD−アミノ酸である。特に異なる記載がないかぎり、すべてのペプチドはペプチド結合を通して連結されている。略語は本明細書の末尾に列挙している。「配列番号」の欄において、「NR」は、所与の配列に関して配列リストの記載を必要としないことを意味する。
【0077】
【表4】
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】
【0080】
【表7】
【0081】
【表8】
【0082】
【表9】
【0083】
【表10】
【0084】
【表11】
【0085】
【表12】
【0086】
【表13】
【0087】
【表14】
【0088】
【表15】
【0089】
【表16】
【0090】
【表17】
【0091】
【表18】
【0092】
【表19】
【0093】
【表20】
【0094】
本発明はまた、次の治療において活性を持つペプチドに関して特に有用である:
・ペプチドがVEGF擬似又はVEGF受容体拮抗物質、HER2作用物質又は拮抗物質、CD20拮抗物質等である場合には、癌、
・対象とするタンパク質がCKR3拮抗物質、IL−5受容体拮抗物質等である場合には、喘息、
・対象とするタンパク質がGPIIb拮抗物質、GPIIIa拮抗物質等である場合には、血栓症、
・対象とするタンパク質がIL−2受容体拮抗物質、CD40作用物質又は拮抗物質、CD40L作用物質又は拮抗物質、サイモポイエチン擬似等である場合には、自己免疫疾患及び免疫調節に関わる他の状態。
【0095】
ビヒクル。本発明は、アミノ酸残基の1つのN末端、C末端又は側鎖を通してペプチドに結合された少なくとも1つのビヒクル(F1、F2)の存在を必要とする。多数のビヒクルも使用しうる;例えば、各々の末端のFc、又は一方の末端のFcと他方の末端又は側鎖のPEG基。
【0096】
Fcドメインは好ましいビヒクルである。FcドメインはペプチドのN又はC末端に、又はN末端とC末端の両方に融合することができる。TPO擬似ペプチドに関しては、分子のペプチド部分のN末端に融合されたFcドメインを持つ分子は他のそのような融合よりも生物活性であり、従ってN末端への融合が好ましい。
【0097】
上述したように、Fc変異体は本発明の範囲内での適切なビヒクルである。天然Fcを、サルベージ受容体への結合が保持されることを条件として、本発明に従ったFc変異体を形成するために広汎に改変することができる;例えば、WO 97/34631号及びWO 96/32478号参照。そのようなFc変異体では、本発明の融合分子が必要としない構造的特徴又は機能的活性を提供する天然Fcの1つ又はそれ以上の部位を除去しうる。例えば、残基を置換する又は欠失させる、残基を当該部位に挿入する、若しくは当該部位を含む部分を切断することによってそれらの部位を除去することができる。挿入される又は置換される残基は、ペプチド擬似又はD−アミノ酸のような改変されたアミノ酸であってもよい。Fc変異体は多くの理由から望ましいと考えられ、その内のいくつかを下記に述べる。例示的なFc変異体は、次のような分子及び配列を含む:
1.ジスルフィド結合の形成に関わる部位が除去されている。そのような除去は、本発明の分子を生成するために使用する宿主細胞中に存在する他のシステイン含有タンパク質との反応を回避することができる。このために、N末端のシステイン含有セグメントを切断するか、若しくはシステイン残基を欠失させる又は他のアミノ酸(例えばアラニル、セリル)で置換することができる。特に、配列番号2のN末端の20アミノ酸セグメントを切断する、若しくは配列番号2の7及び10位のシステイン残基を欠失させる又は置換することができる。システイン残基を除去したときでも、一本鎖Fcドメインはまだ、非共有結合で結ばれた二量体Fcドメインを形成することができる。
2.選択した宿主細胞とより適合性にするために天然Fcが修飾されている。例えば、プロリンイミノペプチダーゼのような大腸菌の消化酵素によって認識されうる、典型的天然FcのN末端近くのPA配列を除去することができる。また、特に分子が大腸菌のような細菌細胞において組換え発現されるときには、N末端のメチオニン残基を付加することもできる。配列番号2のFcドメイン(図4)はそのようなFc変異体の1つである。
3.選択した宿主細胞において発現されたときのN末端の異質性を防ぐために、天然FcのN末端の一部が除去されている。このために、N末端の最初の20個のアミノ酸残基のいずれか、特に1、2、3、4及び5位のアミノ酸残基を欠失させることができる。
4.1つ又はそれ以上のグリコシル化部位が除去されている。典型的には、グリコシル化されている残基(例えばアスパラギン)は細胞溶解反応をもたらすと考えられる。そのような残基を欠失させる又はグリコシル化されていない残基(例えばアラニン)で置換することができる。
5.C1q結合部位のような補体との相互作用に関わる部位が除去されている。例えば、ヒトIgG1のEKK配列を欠失させる又は置換することができる。補体の集積は本発明の分子にとって有利ではないと考えられ、それ故かかるFc変異体によって回避することができる。
6.サルベージ受容体以外のFc受容体への結合に影響を及ぼす部位が除去されている。天然Fcは、本発明の融合分子にとって必要ではない特定の白血球と相互作用するための部位を持つと考えられ、それ故かかる部位を除去することができる。
7.ADCC部位が除去されている。ADCC部位は当技術分野において既知である;IgG1のADCC部位に関しては、例えばMolec.Immunol.29(5):633−9(1992)参照。これらの部位も本発明の融合分子には必要なく、従って除去されうる。
8.天然Fcがヒト以外の抗体から誘導されるときには、天然Fcをヒト化することができる。典型的には、天然Fcをヒト化するために、ヒト以外の天然Fc中の選択した残基をヒト天然Fcにおいて通常認められる残基で置換する。抗体のヒト化のための手法は当技術において周知である。
【0098】
好ましいFc変異体は次のものを含む。配列番号2(図4)において、15位のロイシンがグルタメートで置換されうる;99位のグルタメートがアラニンで、101位と103位のリシンがアラニンで置換されうる。さらに、1個又はそれ以上のチロシン残基をフェニルアラニン残基に置き換えることができる。
【0099】
代替的なビヒクルは、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、抗体、抗体フラグメント、又はサルベージ受容体に結合することができる小分子(例えばペプチド擬似化合物)であろう。例えば、Prestaらへの1998年4月14日発行の米国特許第5,739,277号に述べられているようなポリペプチドがビヒクルとして使用できるであろう。ペプチドはまた、FcRnサルベージ受容体への結合に関するファージディスプレイによって選択することもできる。そのようなサルベージ受容体結合化合物も「ビヒクル」の意味するものの中に含まれ、本発明の範囲内である。そのようなビヒクルは、半減期を高め(例えば、プロテアーゼによって認識される配列を避けることにより)、且つ免疫原性を低下させる(例えば、抗体のヒト化において発見されるような、非免疫原性配列を促進することにより)ように選択すべきである。
【0100】
上述したように、ポリマービヒクルもF1及びF2に関して使用しうる。現在、ビヒクルとして有用な化学成分を結合するために様々な手段が使用でき、例えば、その全体が参照してここに組み込まれる、「N末端で化学修飾されたタンパク質組成物及び方法(N−Terminally Chemically Modified Protein Compositions and Methods)」と題されたPatent Cooperation Treaty(「PCT」)の国際特許公開WO 96/11953号参照。このPCT特許公開は、特にタンパク質のN末端への水溶性ポリマーの選択的結合を開示している。
【0101】
好ましいポリマービヒクルはポリエチレングリコール(PEG)である。PEG基は好都合な分子量を持つことができ、線状又は分枝のいずれでもよい。PEGの平均分子量は、好ましくは約2キロダルトン(「kD」)から約100kDa、より好ましくは約5kDaから約50kDa、最も好ましくは約5kDaから約10kDaの範囲である。PEG基は一般に、PEG成分上の反応基(例えばアルデヒド、アミノ、チオール又はエステル基)を通して本発明の化合物上の反応基(例えばアルデヒド、アミノ又はエステル基)にアシル化又は還元的アルキル化することにより、本発明の化合物に結合される。
【0102】
合成ペプチドのPEG化のための有用な戦略は、溶液中で共役結合を形成することを通して、各々が他方に対して相互に反応性である特殊な官能性を担う、ペプチドとPEG成分を結合することから成る。ペプチドは従来の固相合成を用いて容易に調製できる(例えば、図5及び6と本文中の付随する説明参照)。ペプチドは、特定部位において適切な官能基で「前活性化」されている。PEG成分と反応させる前に、前駆物質を精製し、十分に特性付ける。ペプチドとPEGのライゲーションは通常水相で起こり、逆相分析HPLCによって容易にモニターすることができる。PEG化ペプチドは分取HPLCによって容易に精製でき、分析HPLC、アミノ酸分析及びレーザー脱着質量分析によって特徴付けることができる。
【0103】
多糖類ポリマーはタンパク質修飾に使用できるもうひとつのタイプの水溶性ポリマーである。デキストランは、主としてα1−6結合によって連結されたグルコースの個々のサブユニットから成る多糖類ポリマーである。デキストラン自体は多くの分子量範囲で入手可能であり、約1kDから約70kDの分子量のものが容易に入手できる。デキストランは、それ自体でビヒクルとして若しくはもうひとつ別のビヒクル(例えばFc)との組合せで、本発明における使用に適した水溶性ポリマーである。例えば、WO 96/11953号及びWO 96/05309号参照。治療用又は診断用免疫グロブリンに複合したデキストランの使用が報告されている;例えば、参照してここに組み込まれる欧州特許公開0 315 456号参照。デキストランを本発明に従ってビヒクルとして使用するときには、約1kDから約20kDのデキストランが好ましい。
【0104】
リンカー。どのような「リンカー」基も任意である。存在するときには、主としてスペーサーとして働くため、その化学構造は絶対条件ではない。リンカーは、好ましくはペプチド結合によって互いに連結されたアミノ酸で作製される。従って、好ましい実施態様では、リンカーはペプチド結合によって連結された1から20個のアミノ酸から作られ、かかるアミノ酸は20個の天然に生じるアミノ酸から選択される。当業者には明らかに理解されるように、これらのアミノ酸の一部はグリコシル化されている場合もある。より好ましい実施態様では、1から20個のアミノ酸はグリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、及びリシンから選択される。さらに一層好ましくは、リンカーは、その大半がグリシンとアラニンのように立体障害とならないアミノ酸で作製される。それ故、好ましいリンカーはポリグリシン(特に(Gly)4、(Gly)5)、ポリ(Gly−Ala)、及びポリアラニンである。リンカーの他の特定例は次のものである:
(Gly)3Lys(Gly)4(配列番号333)、
(Gly)3AsnGlySer(Gly)2(配列番号334)、
(Gly)3Cys(Gly)4(配列番号335)、及び
GlyProAsnGlyGly(配列番号336)。
上記の表記法を説明すると、例えば、(Gly)3Lys(Gly)4はGly−Gly−Gly−Lys−Gly−Gly−Gly−Glyを意味する。GlyとAlaの組合せも好ましい。ここに示すリンカーは例示である;本発明の範囲内のリンカーははるかに長い場合もあり、また他の残基を含みうる。
【0105】
非ペプチドリンカーも可能である。例えば、−NH−(CH2)5−C(O)−、[式中、s=2−20]のようなアルキルリンカーが使用できるであろう。これらのアルキルリンカーはさらに、低級アルキル(例えばC1−C6)、低級アシル、ハロゲン(例えばCl、Br)、CN、NH2、フェニル等のような立体障害とならない基によって置換されていてもよい。例示的な非ペプチドリンカーはPEGリンカー、
【0106】
【化1】
[式中、nは、リンカーが100から5000kD、好ましくは100から500kDの分子量を持つ数である]
である。ペプチドリンカーは、上述したのと同じようにして誘導体を形成するように改変することができる。
【0107】
誘導体。本発明者はまた、化合物のペプチド及び/又はビヒクル部分を誘導体化することを考慮している。そのような誘導体は、化合物の溶解度、吸収、生物学的半減期等を改善すると考えられる。当該物質は、その代わりに、化合物の好ましくない副作用等を排除する又は軽減する場合もある。例示的な誘導体は次のような化合物を含む:
1.化合物又はその一部が環状である。例えばペプチド部分が、ジスルフィド結合の形成によって環化しうる2個又はそれ以上のCys残基を含む(例えばリンカー中に)ように修飾することができる。環化誘導体の調製に関する参考文献の引用については表2参照。
【0108】
2.化合物が架橋している又は分子間で架橋できるようになっている。例えば、ペプチド部分を1個のCys残基を含むように改変し、それによって同様の分子と分子間ジスルフィド結合を形成することができる。化合物はまた、下記に示す分子のように、そのC末端を通して架橋されていてもよい。
【0109】
【化2】
【0110】
3.
【0111】
4.1つ又はそれ以上のペプチジル[−C(O)NR−]結合が非ペプチジル結合によって置換されている。例示的非ペプチジル結合は、−CH2−カルバメート[−CH2−OC(O)NR−]、ホスホネート、−CH2−スルホンアミド[−CH2−S(O)2NR−]、尿素[−NHC(O)NH−]、−CH2−第二アミン、及びアルキル化ペプチド[−C(O)NR6−、式中、R6は低級アルキルである]である。
【0112】
5.N末端が誘導体化されている。典型的には、N末端をアシル化するか又は置換アミンに改変することができる。例示的なN末端誘導体基は、−NRR1(−NH2−以外)、−NRC(O)R1、−NRC(O)OR1、−NRS(O)2R1、−NHC(O)NHR1、スクシニミド、又はベンジルオキシカルボニル−NH−(CBZ−NH−)、[式中、RとR1は各々独立に水素又は低級アルキルであり、フェニル環はC1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、クロロ、及びブロモから成る群から選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい]を含む。
【0113】
6.遊離C末端が誘導体化されている。典型的には、C末端がエステル化又はアミド化されている。例えば、当技術において記述されている方法を用いて、C末端に配列番号504から508のいずれかを持つ本発明の化合物に(NH−CH2−CH2−NH2)2を付加することができる。同様に、当技術において記述されている方法を用いて、C末端に配列番号924から955、963から972、1005から1013、又は1018から1023のいずれかを持つ本発明の化合物に−NH2を付加することができる。例示的なC末端誘導体基は、例えば、−C(O)R2[式中、R2は低級アルコキシである]、又は−NR3R4[式中、R3とR4は各々独立に水素又はC1−C8アルキル(好ましくはC1−C4アルキル)である]を含む。
【0114】
7.ジスルフィド結合がもうひとつ別の、好ましくはより安定な、架橋成分(例えばアルキレン)で置換されている。例えば。Bhatnagarら(1996),J.Med.Chem.39:3814−9;Albertsら(1993),Thirteenth Am.Pep.Symp.357−9参照。
【0115】
8.1個又はそれ以上の個々のアミノ酸残基が修飾されている。下記に詳述するように、様々な誘導体化物質が選択された側鎖又は末端残基と特異的に反応することが知られている。
【0116】
リシニル残基とアミノ末端残基は、リシニル残基の電荷を逆転させる無水コハク酸又は他の無水カルボン酸と反応しうる。α−アミノ含有残基を誘導体化するための他の適当な試薬は、メチルピコリンイミデートのようなイミドエステル、ピリドキサルホスフェート、ピリドキサル、クロロボロヒドリド、トリニトロベンゼンスルホン酸、O−メチリソ尿素、2,4ペンタンジオン、及びトランスアミナーゼが触媒するグリオキシレートとの反応を含む。
【0117】
アルギニル残基は、フェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、1,2−シクロヘキサンジオン、及びニンヒドリンを含めた、従来の試薬のいずれか1つ又はいくつかの組合せとの反応によって修飾しうる。アルギニル残基の誘導体化は、グアニジン官能基のpKaが高いため、反応がアルカリ条件下で行われることを必要とする。さらに、これらの試薬はリシンのグループならびにアルギニンイプシロンアミノ基と反応しうる。
【0118】
チロシル残基の特異的修飾は広汎に検討されており、特に芳香族ジアゾニウム化合物又はテトラニトロメタンとの反応によってチロシル残基にスペクトル標識を導入することに関心が寄せられている。最も一般的には、N−アセチルイミダゾール及びテトラニトロメタンを使用して、それぞれO−アセチルチロシル種と3−ニトロ誘導体を形成する。
【0119】
カルボキシル側鎖基(アスパルチル又はグルタミル)は、1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリニル−(4−エチル)カルボジイミド又は1−エチル−3−(4−アゾニア−4,4−ジメチルフェニル)カルボジイミドのようなカルボジイミド(R’−N=C=N−R’)との反応によって選択的に修飾しうる。さらに、アスパルチル及びグルタミル残基をアンモニウムイオンとの反応によってアスパラギニル及びグルタミニル残基に転換することができる。
【0120】
グルタミニル及びアスパラギニル残基は対応するグルタミル及びアスパルチル残基に脱アミノ化することができる。代替的には、これらの残基は弱い酸性条件下で脱アミノ化される。これらの残基のいずれの形態も本発明の範囲内に含まれる。
【0121】
システイニル残基は、ジスルフィド結合を取り除くため、あるいは逆に架橋を安定させるために、アミノ酸残基又は他の成分によって置換することができる。例えば、Bhatnagarら(1996),J.Med.Chem.39:3814−9参照。
【0122】
二官能物質による誘導体化は、ペプチド又はそれらの官能基誘導体を水不溶性支持体基質又は他の高分子ビヒクルに架橋結合するために有用である。一般に使用される架橋剤は、例えば1,1−ビス(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシスクシニミドエステル、例えば4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3−ジチオビス(スクシニミジルプロピオネート)のようなジスクシニミジルエステルを含めたホモ二官能性イミドエステル、及びビス−N−マレイミド−1,8−オクタンのような二官能性マレイミドを含む。メチル−3−[(p−アジドフェニル)ジチオ]プロピオイミデータのような誘導体化剤は、光の存在下で架橋を形成することができる光活性化中間体を生成する。その代わりに、臭化シアン活性化炭水化物のような反応性水不溶性基質及び米国特許第3,969,287号、同第3,691,016号、同第4,195,128号、同第4,247,642号、同第4,229,537号及び同第4,330,440号に述べられている反応性基質がタンパク質の固定に使用される。
【0123】
炭水化物(オリゴ糖)基は、タンパク質におけるグリコシル化部位であることが知られている部位に好都合に結合しうる。一般に、配列Asn−X−Ser/Thr[Xはプロリン以外のどのようなアミノ酸でもよい]の一部であるときには、O結合オリゴ糖をセリン(Ser)又はトレオニン(Thr)残基に連結し、N結合オリゴ糖をアスパラギン(Asn)残基に連結する。Xは、好ましくはプロリン以外の19の天然に生じるアミノ酸の1つである。N結合及びO結合オリゴ糖の構造及び各々の種類で認められる糖残基は異なる。両方で一般的に認められる糖の1つの種類はN−アセチルノイラミン酸(シアル酸と称される)である。シアル酸は通常、N結合及びO結合オリゴ糖の両方の末端残基であり、その負の電荷により、グリコシル化化合物に酸性特性を与えうる。そのような部位は本発明の化合物のリンカーに組み込むことができ、好ましくはポリペプチド化合物の組換え産生(例えばCHO、BHK、COSのような哺乳類細胞において)の際に細胞によってグリコシル化される。しかしながら、そのような部位は、当技術において既知の合成又は半合成手順によってさらにグリコシル化されうる。
【0124】
他の可能な修飾は、プロリン及びリシンのヒドロキシル化、セリル又はトレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、Cys中の硫黄原子の酸化、リシン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のα−アミノ基のメチル化を含む。Creighton,タンパク質:構造と分子特性(Proteins:Structure and Molecule Properties)(W.H.Freeman & Co.,San Francisco),p.79−86(1983)。
【0125】
本発明の化合物は、DNAレベルでも変化しうる。化合物のいずれかの部分のDNA配列を、選択した宿主細胞とより適合性のあるコドンに変えることができる。好ましい宿主細胞である大腸菌に関しては、至適化されたコドンが当技術において既知である。制限部位を取り除くように、又は選択宿主細胞におけるDNAのプロセシングを助けるサイレント制限部位を含むように、コドンを置換することができる。上記の配列変更のいずれかを含むようにビヒクル、リンカー及びペプチドDNA配列を修飾することができる。
【0126】
作製方法
本発明の化合物は、主として組換えDNA手法を用いて形質転換宿主細胞において作製されうる。そのために、当該ペプチドをコードする組換えDNA分子を調製する。そのようなDNA分子を調製する方法は当技術において周知である。例えば、適当な制限酵素を使用して当該ペプチドをコードする配列をDNAから切り出すことができる。その代わりには、ホスホルアミデート(phosphoramidate)法のような化学合成手法を用いてDNA分子を合成することができる。また、これらの手法の組合せも使用できる。
【0127】
本発明はまた、適当な宿主において当該ペプチドを発現することができるベクターを含む。ベクターは、適当な発現制御配列に操作的に連結されたペプチドをコードするDNA分子を含む。DNA分子をベクターに挿入する前又は挿入後のいずれかに、この操作的結合を生じさせる方法は周知である。発現制御配列は、プロモーター、アクチベーター、エンハンサー、オペレーター、リボソーム結合部位、開始シグナル、停止シグナル、キャップシグナル、ポリアデニル化シグナル、及び転写又は翻訳の制御にかかわる他のシグナルを含む。
【0128】
生じたDNA分子を持つベクターを使用して適当な宿主を形質転換する。この形質転換は、当技術において周知の方法を用いて実施しうる。
【0129】
本発明の実施にあたって、数多くの入手可能な周知の宿主細胞が使用できる。個々の宿主細胞の選択は当技術において認識されている多くの因子に依存する。これらは、例えば、選択される発現ベクターとの適合性、DNA分子によってコードされるペプチドの毒性、形質転換の速度、ペプチドの回収の容易さ、発現特性、生体安全性及びコストを含む。必ずしもすべての宿主が特定のDNA配列の発現のために等しく有効ではないとの理解を持って、これらの因子のバランスを決定しなければならない。これらの一般的ガイドラインの中で、有用な微生物宿主は、細菌(大腸菌(E.coli)sp.など)、酵母(サッカロミセス(Saccharomyces)sp.など)及び他の真菌、昆虫、植物、培養中の哺乳類(ヒトを含む)細胞、又は当技術において既知の他の宿主を含む。
【0130】
次に、形質転換した宿主を培養し、精製する。宿主細胞は、所望する化合物が発現されるように従来の発酵条件下で培養されうる。そのような発酵条件は当技術において周知である。最後に、当技術において周知の方法によってペプチドを培養から精製する。
【0131】
当該化合物はまた、合成方法によって作製することもできる。例えば、固相合成手法が使用できる。適当な手法は当技術において周知であり、Merrifield(1973),Chem.Polypeptides,p.335−61(KatsoyannisとPanayotis編集);Merrifield(1963),J.Am.Chem.Soc.85:2149;Davisら(1985),Biochem.Intl.10:394−414;StewartとYoung(1969),固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis);米国特許第3,941,763号;Finnら(1976),タンパク質(The Proteins)(第3版)2:105−253;及びEricksonら(1976),タンパク質(The Proteins)(第3版)2:257−527に述べられているものを含む。固相合成は小ペプチドを作製する最もコスト効果的方法であるので、個々のペプチドを作製する好ましい手法である。
【0132】
誘導体化されたペプチドを含む若しくは非ペプチド基を含む化合物は、周知の有機化学手法によって合成することができる。
【0133】
化合物の使用
概説。本発明の化合物は、対象とするタンパク質の作用物質、擬似又は拮抗物質としてかかる対象タンパク質に結合するそれらの能力から生じる薬理学的活性を持つ。特定化合物の有用性を表2に示す。これらの化合物の活性は、当技術において既知のアッセイによって測定することができる。TPO擬似及びEPO擬似化合物に関しては、本文中の実施例の章でさらに説明する。
【0134】
治療用途に加えて、本発明の化合物は、対象とするそれらの関連タンパク質の機能障害を特徴とする疾患を診断する上で有用である。1つの実施態様では、(a)サンプルを本発明の化合物に接触させ、そして(b)当該化合物による対象タンパク質の活性化を検出するステップを含む、活性化されうる対象タンパク質(例えば受容体)を生物学的サンプルにおいて検出する方法。生物学的サンプルは、組織標本、無傷細胞、又はそれらの抽出物を含む。本発明の化合物は、生物学的サンプルにおいて対象とするそれらの関連タンパク質の存在を検出するための診断キットの一部として使用しうる。そのようなキットは、検出を可能にする結合標識を持つ本発明の化合物を用いる。当該化合物は、対象とする正常又は異常タンパク質を同定するために有用である。EPO擬似化合物に関しては、例えば、生物学的サンプル中に対象とする異常タンパク質が存在することは、EPO受容体が機能不全であると考えられるダイアモンド−ブラックファン貧血(Diamond Blackfan anemia)のような疾患を表わすと考えられる。
【0135】
EPO擬似化合物の治療用途。本発明のEPO擬似化合物は、赤血球レベルが低いことを特徴とする疾患を治療するために有用である。哺乳類においてEPO受容体の内因性活性を調節する方法、好ましくはEPO受容体の活性を上昇させる方法は本発明に包含される。一般に、貧血のような、エリトロポイエチンによって治療しうるいかなる状態も、本発明のEPO擬似化合物によって治療されうる。これらの化合物を、治療する状態の性質と重症度に適した、当業者が探知しうる量と送達経路によって投与する。好ましくは、投与は皮下、筋肉内、又は静脈内のいずれかの注入による。
【0136】
TPO擬似化合物の治療用途。TPO擬似化合物については、「巨核球の増殖と分化を刺激するための組成物及び方法(Compositions and Methods for Stimulating Megakaryocyte Growth and Differentiation)」と題されたWO 95/26746号に記述されているもののような標準的アッセイが利用できる。下記の実施例においてもインビボアッセイを示す。
【0137】
治療される状態は、一般に既存の巨核球/血小板欠損又は予想される巨核球/血小板欠損(例えば、手術又は血小板供与が予定されているため)に関わるものである。そのような状態は通常、インビボでの活性Mp1リガンドの欠損(一過性又は永続的)の結果である。血小板欠損の一般名は血小板減少症(thrombocytopenia)であり、従って本発明の方法及び組成物は一般に、その必要のある患者において血小板減少症を治療するために使用しうる。
【0138】
血小板減少症(血小板欠損)は、化学療法及び様々な薬剤による他の治療、放射線療法、手術、偶発的血液損失、ならびに他の特異疾患状態を含めて、様々な理由から存在しうる。血小板減少症に関わる、本発明に従って治療しうる例示的な特異疾患状態は:再生不良性貧血、特発性血小板減少症、血小板減少症をもたらす転移性腫瘍、全身性エリテマトーデス、巨脾腫、ファンコーニ症候群(Fanconi‘s syndrome)、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、メイ−ヘグリン異常(May-Hegglin anomaly)、ヴィスコット−オールドリッチ症候群(Wiskott−Aldrich syndrome)、ならびに発作性夜間血色素尿症である。また、AIDSに関する一部の治療は血小板減少症を生じさせる(例えばAZT)。一部の創傷治癒障害も血小板数の増加から恩恵を受けるであろう。
【0139】
例えば後日の手術による、予想される血小板欠損に関しては、本発明の化合物を血小板が必要とされる数日前から数時間前に投与することができる。急性状況、例えば偶発的な大量失血に関しては、本発明の化合物を血液又は精製血小板と共に投与することができる。
【0140】
本発明のTPO擬似化合物はまた、当該細胞がMp1受容体を発現することが認められれば、巨核球以外の一部の細胞型を刺激する上で有用であると考えられる。Mp1リガンドによる刺激に対しての応答である、Mp1受容体を発現するそのような細胞に関連する状態も、本発明の範囲内である。
【0141】
本発明のTPO擬似化合物は、血小板又は血小板前駆細胞の産生が所望される、若しくはcMp1受容体の刺激が所望されるいかなる状況においても使用できる。従って、例えば、本発明の化合物は、血小板、巨核球等が必要とされる哺乳類での状態を治療するために使用しうる。そのような状態は次の例示的ソースに詳述されており、ここに組み込まれる:WO95/26746号;WO95/21919号;WO95/18858号;WO95/21920号。
【0142】
本発明のTPO擬似化合物はまた、血小板及び/又は巨核球及び関連細胞の生存率又は貯蔵寿命を維持する上でも有用であると考えられる。それ故、そのような細胞を含む組成物中に1つ又はそれ以上のそのような化合物の有効量を含むことは有用であろう。
【0143】
本発明の治療方法、組成物及び化合物はまた、血小板欠損だけでなく他の症状によっても特徴付けられる疾患状態の治療において、単独で若しくは他のサイトカイン、可溶性Mp1受容体、造血因子、インターロイキン、成長因子又は抗体と組み合わせて用いることができる。本発明の化合物は、IL−3又はGM−CSFのような一般的な造血刺激物質との組合わせで一部の形態の血小板減少症を治療するのに有用であることが明らかにされると予想される。他の巨核球刺激因子、すなわちmeg−CSF、幹細胞因子(SCF)、白血病阻害因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、又は巨核球刺激活性を持つ他の分子も、Mp1リガンドと共に用いることができる。そのような同時投与のためのさらなる例示的サイトカイン又は造血因子は、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−11、コロニー刺激因子−1(CSF−1)、SCF、GM−CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、EPO、インターフェロン−α(IFN−α)、コンセンサスインターフェロン、IFN−β、又はIFN−γを含む。さらに、ひとたび巨核球が成熟形態に達すれば、巨核球を血小板へと切断する作用を持つと思われる可溶性哺乳類Mp1受容体の有効量を同時に又は連続的に投与することは有用であると考えられる。それ故、本発明の化合物の投与(成熟巨核球の数を高めるため)に続いて可溶性Mp1受容体を投与することは(リガンドを不活性化し、成熟巨核球に血小板を産生させるため)、血小板産生を刺激する特に有効な手段であると予想される。上記に引用した用量は、治療組成物中のそのような追加成分を補うように調節する。治療した患者の経過は従来の方法によってモニターすることができる。
【0144】
本発明の化合物を血小板及び/又は巨核球及び関連細胞の組成物に加える場合、含有される量は、一般に当技術において既知の手法及びアッセイによって実験的に探知されるであろう。そのような量の例示的範囲は、106細胞につき本発明の化合物0.1μg−1mgである。
【0145】
製薬組成物
概説。本発明はまた、本発明の化合物の製薬組成物を使用する方法を提供する。そのような製薬組成物は、注入による投与、経口、肺、経鼻、経皮又は他の形態の投与用でありうる。一般に、本発明は、製薬上許容される希釈剤、防腐剤、溶解補助剤、乳化剤、アジュバント及び/又はキャリアと共に本発明の化合物の有効量を含む製薬組成物を包含する。そのような組成物は、様々な緩衝剤含量(例えばTris−HCl、酢酸塩、リン酸塩)、pH及びイオン強度の希釈剤、界面活性剤及び溶解補助剤(例えばTween 80、Polysorbate 80)のような添加物、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)、防腐剤(例えばThimersol、ベンジルアルコール)及び充填剤(例えばラクトース、マンニトール)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等のようなポリマー化合物の微粒子製剤又はリポソームへの物質の組込みを含む。ヒアルロン酸も使用でき、これは循環中に存在する時間の延長を促進する作用を持つと考えられる。そのような組成物は、本発明のタンパク質及び誘導体の物理的状態、安定性、インビボでの放出速度、及びインビボでのクリアランス速度に影響を及ぼしうる。例えば、参照してここに組込まれる、レミントンの製薬化学(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版(1990,Mack Publishing Co.,Easton,PA18042)p.1435−1712参照。当該組成物は液体形態、若しくは凍結乾燥形態のような乾燥粉末で調製することができる。経皮製剤と同様に、移植可能な持続放出性製剤も考慮される。
【0146】
経口投与形態。参照してここに組込まれるレミントンの製薬化学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)(1990),第18版,Mack Publishing Co.,Easton,PA18042)の89章に概説されている経口固形投与形態が、ここでの使用のために考慮される。固形投与形態は、錠剤、カプセル、丸剤、トローチ又はロゼンジ、カシェ剤又はペレット剤を含む。同様に、リポソーム又はプロテイノイド被包も本発明の組成物を製剤するために使用しうる(例えば、米国特許第4,925,673号に報告されているプロテイノイドミクロスフェアとして)。リポソーム被包も使用でき、様々なポリマーでリポソームを誘導体化することができる(例えば、米国特許第5,013,556号)。治療のための可能な固形投与形態の説明は、参照してここに組込まれる、Marshall,K.,近代的製薬学(Modern Pharmaceutics)(1979),G.S.BankerとC.T.Rhods編集に述べられている。一般に、製剤は、本発明の化合物、及び胃環境に対する保護と腸における生物活性物質の放出を可能にする不活性成分を含む。
【0147】
また明細には、上記の本発明の化合物の経口投与形態も考慮される。必要に応じて、経口送達が有効であるように当該化合物を化学修飾することができる。一般に、考慮される化学修飾は、(a)タンパク質分解の阻害、及び(b)胃又は腸からの血流への取込みを可能にする少なくとも1つの成分を、化合物の分子そのものに結合することである。また化合物の全体的安定性の上昇及び体内での循環時間の上昇も望ましい。本発明における共有結合ビヒクルとして有用な成分がこの目的にも使用できる。そのような成分の例は、PEG、エチレングリコールとプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリプロリンを含む。例えば、AbuchowskiとDavis,可溶性ポリマー−酵素付加物、薬剤としての酵素(Soluble Polymer−Enzyme Adducts,Enzymes as Drugs)(1981),HocenbergとRoberts編集,Wiley−Interscience,New York,NY,p.367−83;Newmarkら(1982),J.Appl.Biochem.4:185−9参照。使用できる他のポリマーは、ポリ−1,3−ジオキソラン及びポリ−1,3,6−チオキソカンである。上述したような製薬用途にはPEG成分が好ましい。
【0148】
経口送達投与形態に関しては、本発明の治療化合物の吸収を高めるためのキャリアとして、N−(8[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸ナトリウム(SNAC)のような修飾脂肪族アミノ酸の塩を使用することも可能である。SNACを使用したヘパリン製剤の臨床効果は、Emisphere Technologiesによって実施された第II相試験において明らかにされた。米国特許第5,792,451号、「経口薬剤送達組成物及び方法(Oral drug delivery composition and methods)」参照。
【0149】
本発明の化合物を、粒径約1mmの顆粒又はペレットの形態の微細多粒子として製剤中の含めることができる。カプセル投与用物質の製剤は、粉末、軽度圧縮プラグ、またさらには錠剤であってもよい。圧縮によって治療薬を調製することができる。
【0150】
着色剤及び着香剤もすべて含めることができる。例えば、タンパク質(又は誘導体)を製剤し(リポソーム又はミクロスフェア被包などによって)、さらに着色剤及び着香剤を含む冷却飲料のような食品の中に含めることができる。
【0151】
不活性物質で本発明の化合物の容量を希釈する又は増加させることもできる。これらの希釈剤は、炭水化物、特にマンニトール、α−ラクトース、無水ラクトース、セルロース、スクロース、変性デキストラン及びデンプンを含みうる。一部の無機塩も、カルシウム三リン酸、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムを含めて、充填剤として使用しうる。市販の希釈剤の一部として、Fast−Flo、Emdex、STA−Rx 1500、Emcompress及びAvicellがある。
【0152】
崩壊剤も、固形投与形態の治療製剤中に含めることができる。崩壊剤として使用される物質は、デンプンをベースとする市販の崩壊剤、Explotabを含めて、デンプンを含むがそれに限定されない。デンプングリコール酸ナトリウム、Amberlite、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、オレンジピール、酸性カルボキシメチルセルロース、天然海面及びベントナイトはすべて使用しうる。もうひとつの形態の崩壊剤は不溶性陽イオン交換樹脂である。粉末ゴムは崩壊剤及び結合剤として使用でき、それらは寒天、カラヤゴム又はトラガカントのような粉末ゴムを含みうる。アルギン酸及びそのナトリウム塩も崩壊剤として有用である。
【0153】
結合剤は、硬錠剤を形成するために治療薬と結合して用いることができ、アカシア、トラガカント、デンプン及びゼラチンのような天然産物からの材料を含む。その他にはメチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)及びカルボキシメチルセルロース(CMC)が含まれる。ポリビニルピロリドン(PVP)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)はいずれも、治療薬を顆粒化するためのアルコール溶液中で使用できる。
【0154】
減摩剤(潤滑剤)は、製剤工程中の粘着を防ぐために治療薬の製剤に含めることができる。潤滑剤は治療薬と鋳型壁の間の層として使用でき、それらは、マグネシウム塩及びカルシウム塩を含めたステアリン酸、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、流動パラフィン、植物油及びろうを含みうるが、これらに限定されない。ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、様々な分子量のポリエチレングリコール、Carbowax 4000及び6000のような可溶性潤滑剤も使用できる。
【0155】
製剤中の薬剤の流動特性を高めることができ、圧縮の際の再配列を助けるすべり剤(glidant)を添加してもよい。すべり剤は、デンプン、滑石、発熱性シリカ及び水和ケイアルミネートを含みうる。
【0156】
水性環境への本発明の化合物の溶解を助けるために、界面活性剤を湿潤剤として添加してもよい。界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム及びスルホン酸ジオクチルナトリウムのような陰イオン界面活性剤を含みうる。陽イオン界面活性剤も使用でき、塩化ベンズアルコニウム又は塩化ベンゼトニウムを含みうる。界面活性剤として製剤中に含めることができる潜在的な非イオン性界面活性剤のリストは、ラウロマクロゴール400、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、50及び60、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート40、60、65及び80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースである。これらの界面活性剤は、単独で若しくは種々の比率での混合物として、タンパク質又は誘導体の製剤中に存在しうる。
【0157】
添加物も化合物の吸収を高めるために製剤中に含めることができる。潜在的にこの特性を持つ添加物は、例えばオレイン酸、リノール酸及びリノレン酸のような脂肪酸である。
【0158】
制御放出製剤は望ましいと考えられる。本発明の化合物を、拡散又は浸出機序による放出を可能にする不活性マトリックス、例えばゴムに組み込むことができる。緩やかに変性するマトリックス、例えばアルギン酸塩、多糖類を製剤中に組み込むこともできる。本発明の化合物の制御放出のもうひとつの形態は、Oros治療系(Alza Corp.)に基づく方法によるものであり、すなわち、浸透圧作用によって1個の小さな開口部を通して水が侵入し、薬剤を押し出す半透過性膜の中に薬剤が納められている。一部の腸溶剤皮も緩徐放出作用を持つ。
【0159】
他の剤皮は製剤のために使用しうる。それらは、コーティングパンに適用することができる様々な糖類を含む。治療薬はまた薄膜被覆錠剤として提供することもでき、この場合にしようする材料は2つの群に分けられる。最初は非腸溶物質であり、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシ−エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、カルボキシ−メチルセルロースナトリウム、プロビドン及びポリエチレングリコールを含む。第二の群は、一般にはフタル酸のエステルである腸溶物質から成る。
【0160】
至適薄膜被覆を提供するために材料の混合物も使用しうる。薄膜被覆は、パンコーター又は流動床において、若しくは圧縮コーティングによって実施できる。
【0161】
肺送達形態。本発明のタンパク質(又はその誘導体)の肺送達も考慮される。タンパク質(又はその誘導体)は吸入の際に哺乳類の肺に送達され、肺上皮内層を通って血流に入る。(これについての他の報告は、Adjeiら,Pharma.Res.(1990)7:565−9;Adjeiら(1990),Internatl.J.Pharmaceutics 63:135−44(酢酸ロイプロリド);Braquetら(1989),J.Cardiovasc.Pharmacol.13(補遺5):s.143−146(エンドセリン−1);Hubbardら(1989),Annals Int.Med.3:206−12(α1−抗トリプシン);Smithら(1989),J.Clin.Invest.84:1145−6(α1−プロテイナーゼ);Osweinら(1990年3月)、「タンパク質のエーロゾル化(Aerosolization of Proteins)」,Proc.Symp.Resp.Drug Delivery II,Keystone,Colorado(組換えヒト成長ホルモン);Debsら(1988),J.Immunol.140:3482−8(インターフェロン−γ及び腫瘍壊死因子α)、及びPlatzら、米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子)を含む。)
そのすべてが当業者には熟知のものである、ネブライザ、定量吸入器、及び粉末吸入器を含むがこれらに限定されない、治療薬剤の肺送達用に設計された広い範囲の機械的装置が、本発明を実施する際の使用に関して考慮される。本発明の実施に適した市販の装置のいくつかの特定例は、Mallinckrodt,Inc.,St.Louis,Missouriが製造しているUltravioletネブライザ、Marquest Medical Products,Englewood,Coloradoが製造しているAcorn IIネブライザ、Glaxo Inc.,Research Triangle Park,North Carolinaが製造しているVentolin定量吸入器、及びFisons Corp.,Bedford,Massachusettsが製造しているSpinhaler粉末吸入器である。
【0162】
そのような装置はすべて、本発明の化合物を投薬するのに適した製剤を使用する必要がある。典型的には、各々の製剤は用いる装置の種類に特異的であり、治療において有用な希釈剤、アジュバント及び/又はキャリアに加えて、適切な推進物質の使用を含む。
【0163】
本発明の化合物は、遠位肺への最も有効な送達のために、平均粒径10μm(又はミクロン)未満、最も好ましくは0.5から5μmの微粒子形態として最も好都合に製剤されるはずである。
【0164】
製薬上許容されるキャリアは、トレハロース、マンニトール、キシリトール、スクロース、ラクトース、及びソルビトールのような炭水化物を含む。製剤において使用するための他の成分は、DPPC、DOPE、DSPC及びDOPCを含みうる。天然又は合成界面活性剤も使用できる。PEGも使用しうる(タンパク質又は類似体を誘導体化する上での使用とは別に)。シクロテキストランのようなデキストランも使用できる。胆汁酸塩及び他の関連増強剤も使用できる。セルロース及びセルロース誘導体も使用できる。アミノ酸も、緩衝剤製剤における使用のように、使用することができる。
【0165】
またリポソーム、マイクロカプセル又はミクロスフェア、包接複合体、あるいは他の種類のキャリアの使用も考慮される。
【0166】
ジェット噴霧器又は超音波噴霧器による使用に適した製剤は、典型的には、溶液mLにつき生物活性タンパク質約0.1から25mgの濃度で水に溶解した本発明の化合物を含む。製剤はまた、緩衝剤及び単糖も含みうる(例えば、タンパク質の安定化及び浸透圧の調節のため)。ネブライザ製剤はまた、エーロゾルを形成する際の溶液の噴霧化によって生じるタンパク質の表面誘導凝集を低減する又は予防するために、界面活性剤を含みうる。
【0167】
定量吸入装置に関して使用するための製剤は、一般に界面活性剤の助けを得て推進剤に懸濁した本発明の化合物を含む微細分割粉末を含有する。推進剤は、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、又はトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、及び1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含めた炭化水素、若しくはそれらの組合せのような、このために使用される従来のいかなる物質でもよい。適当な界面活性剤は、トリオレイン酸ソルビタン及びダイズレシチンを含む。オレイン酸も界面活性剤として有用であると考えられる。
【0168】
粉末吸入装置から投薬するための製剤は、本発明の化合物を含む微細分割乾燥粉末を含有し、同時に、装置からの粉末の散布を促進する量、例えば製剤の50から90重量%の量の、ラクトース、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、又はキシリトールのような充填剤も含みうる。
【0169】
経鼻送達形態。本発明の化合物の経鼻送達も考慮される。経鼻送達は、薬剤が肺に沈着することを必要とせずに、治療薬剤を鼻に投与したあとタンパク質が直接血流へと通過することを可能にする。経鼻送達のための製剤は、デキストラン又はシクロデキストランを含有するものを含む。他の粘膜を通しての輸送による送達も考慮される。
【0170】
投与量。上述した状態を治療するための方法に関わる用量レジメンは、薬剤の作用を変化させる様々な因子、例えば患者の年齢、状態、体重、性別及び食生活、感染の重症度、投与の時間、ならびに他の臨床的因子を考慮して、主治医によって決定されるであろう。一般に、1日量は体重キログラム当り本発明の化合物0.1−1000マイクログラム、好ましくはキログラム当り0.1−150マイクログラムの範囲とすべきである。
【0171】
特定の好ましい態様
発明者は多くの異なる種類の活性を有する分子の好ましいペプチド配列を決定した。発明者はさらに、好ましいリンカーおよびビヒクルと結合するこれらの好ましいペプチドの好ましい構造を決定した。これらの好ましいペプチドの好ましい構造を以下の表21に列挙する。
【0172】
【表21】
【0173】
実施例
前記の化合物を以下に記載するように調製できる。これらの実施例は本発明の好ましい態様を含んでなり、本発明を説明するが、これを限定するものではない。
【0174】
実施例1
TPO−擬似物質
以下の実施例では本明細書に後記する表Aに示す数字で同定されたペプチドを使用する。
【0175】
ペプチド19の調製
ペプチド17b(12mg)およびMeO−PEG−SH5000(30mg、2当量)を水性緩衝液(pH8)1mlに溶解した。混合物を室温で約30分インキュベートし、分析用HPLCにより反応を確認し、>80%の反応が完了したことが示された。調製用HPLCによりPEG化物質を単離した。
【0176】
ペプチド20の調製
ペプチド18(14mg)およびMeO−PEGマレイミド(25mg)を水性緩衝液(pH8)約1.5mlに溶解した。混合物を室温で約30分間インキュベートし、そのときサンプルのアリコートをHPLCカラムに供して分析用HPLCでモニター観察し、約70%の形質転換が完了していた。調製用HPLCによりPEG化物質を精製した。
【0177】
生物活性検定
TPOインビトロ生物検定はヒトmpl受容体でトランスフェクトしたマウス32D細胞のIL−3依存性クローンを利用する細胞分裂誘起検定である。この検定に関してはWO95/26746により詳細に記載されている。細胞を10%胎児クローンIIおよび1ng/ml mIL−3を含有するMEM培地中に保持する。サンプルを添加する前にmIL−3不含成長培地で2回すすいで細胞を調製する。拡張12点TPO検量線を作成し、33ないし39pg/mlの範囲になる。各サンプルに関して4希釈(検量線の直線部分内に入ると推測される、100ないし125pg/ml)を調製し、三重に実施する。10000セル/ウェルを含有する96ウェル・マイクロタイタープレートの適当なウェルに100μlの容量のサンプルの各希釈物または標準物質を加える。37℃および10% CO2で44時間後、MTS(細胞によりホルマザンに生物還元されるテトラゾリウム化合物)を各ウェルに加える。約6時間後、プレート・リーダーで490nmにおける光学密度を読み取る。用量依存性曲線(logTPO濃度対O.D.バックグランド)を作成し、検量線の直線部分に入る点の直線回帰分析を行う。得られた直線の方程式および希釈因子の補正を用いて未知の試験サンプルの濃度を決定する。
【0178】
ポリグリシン・リンカーを有するTMP縦列反復
連続して連結するTMP反復の設計は、c−Mpl(TPO受容体)と効果的に相互作用するためにTMPの二量体形態が要求され、受容体との関係においてそれらが互いにどのように巻きついているかに依存して、全体的な二量体立体配座を乱さないように2個のTMP分子がCからN末端への立体配置で一緒につなぎとめられているという仮定に基づいている。明らかに、縦列連結した反復の設計の成功は、2個の連続し、整列したTMP単量体のCおよびN末端に結合するリンカーの長さおよび組成の適切な選別に依存するものである。c−Mplに結合するTMPの構造に関する情報を利用できないので、0ないし10および14個のグリシン残基(表A)からなるリンカーを有する一連の反復ペプチドを合成した。融通性のあるポリグリシンペプチド鎖により2個のつなぎとめられたTMP反復の自由な折りたたみが可能になり、要求される立体配座にでき、一方その他のアミノ酸配列は、その剛性により受容体との関係において反復ペプチドの正常なパッキングが崩壊する望ましくない二次構造をとるという理論に基づいて、平易性および融通性の故にグリシンを選択した。
【0179】
そのペプチドはすでにFmocまたはt−Bocのいずれかの化学を用いる慣用的な固相ペプチド合成法(Merrifield、J.Amer.Chem.Soc.,85:2149(1963))により入手できる。擬似対称的に2個のペプチド鎖を作る最初の分岐点として直交する保護リジン残基を使用することが要求される、C末端に連結した平行二量体の合成(Cwirlaら、Science,276:1696−99(1997))とは異なり、これらの縦列反復をCからN末端に向かって連続したペプチド鎖の集合体を直線的に、段階的に合成する。TMPの二量体形成はC末端二量体で認められるような結合親和性よりも増殖活性に、より劇的に効果があるので(Cwirlaら、(1997))、c−Mpl全長でトランスフェクトしたマウス32D細胞のIL−3依存的クローンを用いてTPO依存的細胞増殖検定で生物学的活性に関して合成ペプチドを直接的に試験した(Palaciosら、Cell,41:727(1985))。試験結果が示すように、全てのポリグリシン連結縦列反復は単量体と比して強度において>100倍の増強が示され、細胞増殖検定においてはC末端二量体よりも強力でさえあった。我々の検定においてはC末端の絶対活性は元来のTPOタンパク質の活性より低く、これはC末端二量体が天然リガンドのように活性であることが見出されたという依然に報告された知見(Cwirlaら、(1997))と異なる。これは二つの検定において使用した条件の相違によるであろう。それにもかかわらず、同一検定における縦列(第2の単量体のN末端に連結した第1の単量体のC末端)およびC末端(第2の単量体のC末端に連結した第1の単量体のC末端、平行とも称する)二量体間の活性の相違により、縦列反復ストラテジーが平行ペプチド二量体形成よりも優れていることが明らかに示された。リンカーとして広範な長さが許容されることは興味深く留意されるところである。選択されたTMP単量体を用いる縦列ペプチド間の最適なリンカーは明らかに8個のグリシンから成る。
【0180】
その他の縦列ペプチド
この最初の一連のTMP縦列反復に続いて、異なるリンカーと共にかまたは単量体そのもの中に修飾を含んでいくつかのその他の分子を設計した。これらの分子の第1のものはペプチド13であり、βターン型2次構造を形成する傾向が高いことで知られている配列であるGPNGから成るリンカーを有する。単量体よりも約100倍以上強力であるが、このペプチドは等価のGGGG連結アナログよりも>10倍以下の活性であることが見出されている。このように、比較的堅固なβターンをリンカー領域で導入することにより、この短いリンカー形態において最適な作用物質立体配座にわずかな歪を生じるようである。
【0181】
TMP配列におけるTrp9はランダムペプチドライブラリーから単離された活性なペプチドのなかで高度に保存された残基である。またEPO擬似ペプチドのコンセンサス配列にも高度に保存されたTrpがあり、このTrp残基が2個のEMP間の疎水性コアの形成に関与し、EPO受容体との疎水性相互作用に寄与することが見出された。Livnahら、Science,273:464−71(1996)。類推によって、TMPにおけるTrp9残基はペプチドリガンドの二量体形成に類似の機能を有し、2個のインドール環により非共有結合性疎水力の影響を変調し、評価する試みとして、Trpにおける変異から数種のアナログを作った。そしてペプチド14では2個のTMP単量体の各々においてTrp残基をCysと置換し、酸化により2個のシステインの間で分子内ジスルフィド結合を形成し、これはペプチド二量体形成における2個のTrp残基間の疎水性相互作用を擬似することが想定される。ペプチド15はペプチド14の還元体である。ペプチド16では2個のTrp残基がAlaにより置換された。検定データに示されるように、3個のアナログは全て不活性であった。これらのデータによりさらにTrpが二量体形成に関してのみではなく、TPO擬似ペプチドの活性に関して必須であることを示された。
【0182】
次の2個のペプチド(ペプチド17aおよび18)の各々はその8アミノ酸リンカーにLysまたはCys残基を含む。これらの2個の化合物は、PEG部分でLysまたはCysの側鎖が修飾されている2個のPEG化ペプチド(ペプチド19および20)の前駆体である。PEG部分が比較的長いリンカーの中央に導入され、そのために大きなPEG構成要素(5kD)がペプチド分子内の臨界結合部位から十分離れている。PEGは生物適合性を有する重合体であることが知られており、共有結合性の改変剤としてペプチドおよびタンパク質基盤の治療の薬物動態プロファイルを改善するのに使用されることが増えてきている。
【0183】
合成または組換えペプチドを都合よくPEG化するために、モジュラー、ソルーション基盤の方法が考案された。この方法は現在ではよく確立された相互反応性官能基対間の特異的反応を利用する化学選択的ライゲーション・ストラテジーに基づいている。そして、PEG化ペプチド19では、リジン側鎖をあらかじめブロモアセチル基で活性化し、ペプチド17bをチオール誘導したPEGとの反応に順応させた。そうするために、直交する保護基Ddeをリジンεアミンの保護に用いた。一度全ペプチド鎖を集合させると、N末端アミンをt−Bocで再度保護した。次いでDdeを除去してブロモアセチル化した。このストラテジーにより慣用的な逆相HPLCを用いて容易に精製し、高品質の粗ペプチドを得た。pH8の水性緩衝液中でペプチドとチオール修飾したPEGとライゲートし、反応は30分間以内に完了した。精製し、PEG化した物質のMALDI−MS分析により隣接するピーク間で44Daの増加を伴う特徴的なベル型のスペクトラムが示された。PEG−ペプチド20では、システイン残基がリンカー領域に在り、その側鎖チオール基をマレイミド含有PEGの結合部位として提供する。このペプチドのPEG化に類似の条件を用いた。検定データが示すように、これらの2個のPEG化ペプチドはこれらのPEG化していない相当物と比較してインビトロ生物活性はより高い。
【0184】
ペプチド21はその8−アミノ酸リンカーにおいてグリコシル化され得るモチーフNGSを有する。例示した縦列反復がペプチド結合により連結される天然アミノ酸から成るので、適当な真核細胞系におけるかかる分子の発現によりAsnの側鎖カルボキシアミドに糖質基が加えられたグリコペプチドが作られるはずである。グリコシル化は水溶性およびインビボ安定性を増強することにより規定のタンパク質の生物学的活性に多くの肯定的な影響を与えることができる一般的な翻訳後修飾方法である。検定データが示すように、このグリコシル化モチーフのリンカーへの組み込みにより高い生物学的活性が維持された。潜在的グリコペプチドの合成前駆体は−(G)8−連結アナログのものに比べて有効な活性を有した。一度グリコシル化されると、PEGおよび糖質基が呈する類似の物理化学的特性のために、このペプチドはPEG化ペプチドと同一の活性オーダーを有すると考えられる。
【0185】
最後のペプチドは縦列反復の二量体である。これはペプチド18を酸化することにより調製され、リンカーに位置する2個のシステイン残基の間で分子内ジスルフィド結合を形成する。このペプチドはTMPが四量体として活性である可能性に注意を向けるために設計された。検定データによりこのペプチドがモル調整に基づいて平均的な縦列反復ほど活性ではないことが示され、これはTMPの活性体はまさしく二量体であり、そうでなければ縦列反復の二量体形成は生物学的活性により影響を与えるであろうということを間接的に支持している。
【0186】
動物におけるインビトロデータを確認するために1個のPEG化TMP縦列反復(表Aの化合物20)を浸透圧ポンプを介して正常マウスに皮下投与した。処理期間中血小板の時間および用量依存的増加が認められた。8日には血小板レベルが基底値の4倍を越えた。PEG化TMP反復10μg/kg/日の用量で、同一経路により投与したrHuMGDF(PEG化していない)100μg/kg/日に類似の応答が得られた。
【0187】
【表22】
【0188】
論考
MGDFがhGHに類似の方法で作用する、すなわち活性化のためにタンパク質リガンドの1個の分子が受容体の2個の分子に結合することは周知である。Wellsら、Ann.Rev.Biochem.65:609−34(1996)。現在、この相互作用はもっと小さいペプチドであるTMPの作用により擬似される。しかしながら、本研究は、C−C平行またはC−N連続のいずれかの様式のTMPの共有結合性二量体形成が103以上の因子で元来の単量体のインビトロ生物学的能力を増強するので、この擬似が2個のTMP分子の協奏作用を要求することを示唆している。単量体の生物学的能力が相対的に低いのは恐らく非共有結合性二量体の形成の効率が悪いためである。あらかじめ形成された共有結合性反復は非共有結合性二量体形成のためにエントロピーバリヤを排除する能力を有し、これは小型の14−残基ペプチドの2個の分子間の弱い非共有結合性相互作用により排他的にもたらされる。
【0189】
報告された二量体形成が興味深いように、この縦列反復の研究が生物学的活性の増強に類似の影響を及ぼすのは興味深い。これらの二つのストラテジーにより二つの非常に異なった分子立体配置が得られた。C−C二量体は擬似対称性分子であり、一方縦列反復ではその直線構造にかかる対称性はない。1次構造における差異にかかわらず、これらの二つの型の分子は類似の生物学的に活性な立体配座に効果的に折り畳まれ、c−Mplの二量体形成および活性化を引き起こすことができるようである。これらの実験観察により、2個のTMP分子がc−Mplに対する結合においてどのように互いに相互作用を示すことができるかということに多くの洞察が得られた。C末端二量体に関するデータに示唆されるように、第1に2個の結合TMP分子の2個のC末端が相対的に互いに非常に接近していなければならない。第2に、受容体複合体において2個のTMP分子のNおよびC末端の各々もまた互いに非常に近接して並んでいなければならず、これらを1個のペプチド結合と一緒に直接つなぎとめて、縦列反復ストラテジーにより得られるほぼ最大の活性増強効果を認めることができるようにする。接合点での1個またはそれ以上(14個まで)のグリシン残基を挿入しても活性をさらに有意に増大(または減少)させることはなかった。これは柔軟なポリグリシンペプチド鎖が立体配座全体においていかなる有意な変化をも引き起こさずに接合部から容易にループ形成できるという事実のためであろう。この柔軟性によりTMPペプチド鎖の配向性が自由になり、受容体との相互作用において要求される立体配座に折り畳まれ、それが修飾部位として確認されるようである。これを支持する間接的な証拠はペプチド13に関する研究から得られ、そこではリンカーとしてより堅固なβターン形成配列がリンカーの周囲でバックボーンの並びに明らかに偏りを生じさせ、結果的に光学的立体配座のわずかな歪を生じ、その結果4−Glyリンカーを有する類似の化合物と比較して活性が穏やかに(10倍)低下した。第3に、TMPにおけるTrp9はEMPにおけるTrp13と類似の役割を果たし、これは二量体形成に関するペプチド:ペプチド相互作用に関係するのみならず、ペプチド:受容体相互作用における疎水力の寄与に関しても重要である。WからCへの変異アナログであるペプチド14で得られた結果により、共有結合性ジスルフィド連結はTrpペアにより提供される疎水性相互作用に近似するのに十分ではなく、結合が短いので2個のTMP単量体が接近しすぎ、そのために光学二量体構造の立体配座全体を乱すことが示唆される。
【0190】
TMPペプチドの可能な2次構造を分析することにより、TMPとc−Mplとの相互作用に関してより理解を深めることができる。報告されたEPO擬似ペプチドの構造を参考にすることにより容易に理解できるようになる。Livnahら、Science 273:464−75(1996)。受容体結合EMPは配列の中央で高度なコンセンサスGly−Pro−Leu−Thrにより形成されるβターンを伴うβヘアピン構造を有する。GPLTの代りに、TMPが高度に選択されたGPTL配列を有し、これは類似のターンを形成する可能性がある。しかしながら、このターン様のモチーフはTMPのN末端部分の近くに位置する。チャウ・ファスマン法を用いる2次構造の予測により、ペプチドのC末端の半分はらせん状の立体配座をとる傾向があることが示唆される。9位置で高度に保存されたTrpと一緒にこのC末端ヘリックスは二量体構造の安定性に寄与できる。ほとんどの縦列反復がC末端平行二量体よりも強力であることは興味深く留意されるところである。縦列反復はC−C平行二量体形成よりもよりよく適合する立体配座を分子に提供するようである。縦列反復の見かけの非対称的様相のために、それは非対称性分子として2個の異なる部位を用いて2個の同等の受容体分子に結合する天然リガンドに近くなる。
【0191】
PEG部分の導入によりタンパク質溶解性の分解に対して保護することにより、および腎臓濾過によるそのクリアランスを減速させることにより、修飾ペプチドのインビボ活性が増強されることが確認された。細胞基盤の増殖検定においてPEG化により縦列反復しているTMPペプチドのインビトロ生物活性がより増強されるということは予想されなかった。
【0192】
実施例2
Fc−TMP融合
ヒトIgG1のFc領域とのN末端かまたはC末端のいずれかの融合体として単量体または二量体のいずれかの形態でTMP(および実施例3に記載のEMP)を発現した。全ての場合においてケースで発現ベクターpAMG21にてluxPRプロモーター・プロモーターを用いて発現を構築した。
【0193】
Fc−TMP
TPO擬似ペプチドの単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を標準的なPCR技術を用いて構築した。PCR反応の鋳型はpFc−A3ベクターおよび合成TMP遺伝子であった。合成遺伝子を以下に示す3個の重複オリゴヌクレオチドから構築し(各々配列番号364、365および366):
【0194】
【表23】
これらのオリゴヌクレオチドをアニーリングしてアミノ酸配列をコードする二本鎖を形成し(各々配列番号367および368)、以下に示す:
【0195】
【表24】
センスおよびアンチセンスプライマーとして1842−98および1842−97を用いてPCR反応でこの二本鎖を増幅した。
【0196】
以下に示すプライマー(配列番号369および370)を用いてpFc−A3とのPCR反応で分子のFc部分を作った:
【0197】
【表25】
オリゴヌクレオチド1830−51および1842−98は24個のヌクレオチドの重複を含有し、アウトサイド・プライマー1216−52および1842−97を用いて第3の反応において前記のPCR生成物を組合わせることにより、2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合されるようになる。
【0198】
本明細書でEMP−Fcに関して記載されるように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3728株と称した。
【0199】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号5および6)を図7に示す。
【0200】
Fc−TMP−TMP
標準的なPCR技術を用いてTPO擬似ペプチドの二量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型はpFc−A3ベクターおよび合成TMP−TMP遺伝子であった。4個の重複オリゴヌクレオチドから合成遺伝子を構築し(各々配列番号371ないし374)以下に示す:
【0201】
【表26】
4個のオリゴヌクレオチドをアニーリングし、アミノ酸配列をコードする二本鎖を形成し(各々配列番号375および376)、以下に示す:
【0202】
【表27】
センスおよびアンチセンスプライマーとして1830−52および1830−55を用い、PCR反応で二本鎖を増幅した。
【0203】
Fc−TMPに関して前記したように、プライマー1216−52および1830−51を用いてpFc−A3とのPCR反応で分子のFc部分を作った。アウトサイド・プライマー1216−52および1830−55を用いて第3のPCR反応から融合体遺伝子全長を得た。
【0204】
実施例1に記載するように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3727株と称した。
【0205】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号7および8)を図8に示す
TMP−TMP−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したTPO擬似ペプチドの縦列反復をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型は#3688株のEMP−Fcプラスミド(実施例3を参照のこと)およびTMP二量体をコードする合成遺伝子であった。7個の重複オリゴヌクレオチドから縦列反復の合成遺伝子を構築し(各々配列番号377ないし383)以下に示す:
【0206】
【表28】
これらのオリゴヌクレオチドをアニーリングして二本鎖を形成しこれは以下に示すアミノ酸配列をコードすることが示された(各々配列番号384および385):
【0207】
【表29】
センスおよびアンチセンスプライマーとして1885−52および1885−58を用い、PCR反応で二本鎖を増幅した。
【0208】
プライマー1885−54および1200−54を用いてEMP−Fc融合株#3688からのDNA(実施例3を参照のこと)とのPCR反応で分子のFc部分を作った。アウトサイド・プライマー1885−52および1200−54を用いて第3のPCR反応から融合体遺伝子全長を得た。
【0209】
本明細書でFc−EMPに関して記載するように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3798株と称した。
【0210】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号9および10)を図9に示す
TMP−Fc
ヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したTPO擬似ペプチドの単量体をコードするDNA配列を偶然にもTMP−TMP−Fcのライゲーションで得たが、これは恐らくプライマー1885−54が1885−53および1885−58にアニリーリングする能力によるものであろう。TMP−Fc構築物に関して正確なヌクレオチド配列を有する1個のクローンを選別し、アムゲン#3788株と称した。
【0211】
融合タンパク質のヌクレオトドおよびアミノ酸配列(配列番号11および12)を図10に示す。
【0212】
大腸菌における発現
大腸菌GM221におけるpAMG21−Fc融合構築物の各々の培養物を50mg/mlカナマイシン含有ルリア・ブロス培地中37℃で成長させた。合成オートインデューサーN−(3−オクソヘキサノイル)−DL−ホモセリン・ラクトンを培養培地に添加し、最終濃度20ng/mlにして、luxPRプロモーターからの遺伝子生成物の発現を誘導した。培養物を37℃でさらに3時間インキュベートした。3時間後、封入体の存在に関して細菌培養物を顕微鏡で試験し、次いで遠心により収集した。誘導した培養物中光屈折性の封入体が観察され、これはFc融合体が大腸菌の不溶性分画においてほとんど生成されていることを示している。10%β−メルカプトエタノールを含有するラエムリ・サンプル緩衝液に細胞ペレットを再懸濁することにより直接的に溶解し、SDS−PAGEにより分析した。各々の場合、SDS−PAGEゲルに適当な分子量のクーマシー染色の強いバンドが観察された。
【0213】
pAMG21
発現プラスミドpAMG21はアムゲン発現ベクターpCFM1656(ATCC#69576)から誘導でき、これもまた米国特許第4710473号に記載のアムゲン発現ベクター系から誘導した。pCFM1656プラスミドは:
(a)T4ポリメラーゼ酵素で末端を埋め、次いで平滑末端ライゲーションを行うことにより、2個の内在するNdeI制限部位を崩壊させること;
(b)合成PLプロモーターを含有する独自のAatIIおよびClaI制限部位間のDNA配列を、PLプロモーターを含有するpCFM636(特許番号第4710473号)から得られた類似のフラグメント(以下の配列番号386を参照のこと)と置き換えること;および
(c)独自のClaIおよびKpnI制限部位間の小型のDNA配列を配列番号388の配列を有するオリゴヌクレオチドと置換すること;
により記載したpCFM836プラスミド(特許番号第4710473号)から誘導できる。
【0214】
【表30】
【0215】
次いでPCR重複オリゴ変異誘発およびDNA配列置換により一連の部位特異的塩基変化を作ることによりpCFM1656から発現プラスミドpAMG21を誘導できる。BgIII部位(プラスミド塩基対#180)すぐの5‘でプラスミド複製プロモーターPcopBに向かって出発し、プラスミド複製遺伝子に向かって進んだときの、塩基対変化を以下の表Bに示す。
【0216】
【表31】
【0217】
独自のAatII(pCFM1656の#4364位置)およびSacII(pCFM1656の#4585位置)制限部位間のDNA配列を図17Aおよび17Bで示すDNA配列(配列番号23)で置換する。この置換DNA配列の付着端をライゲートしている間に外側のAatIIおよびSacII部位を崩壊する。置換されたDNAには独自のAatIIおよびSacII部位が存在する。
【0218】
GM221(アムゲン#2596)
アムゲン#2596宿主株はアムゲン#393株から誘導した大腸菌K12株である。これを修飾し、初期ebg領域に温度感受性ラムダレプレッサーcI857s7、後期ebg領域にlacIQレプレッサーの両方を含むようにした(68分)。これらの2個のレプレッサー遺伝子の存在によりこの宿主が種々の発現系と共に使用できるようになるが、しかしながらこれらの両方のレプレッサーはluxPRからの発現には適切ではない。形質転換されなかった宿主は抗生物質抵抗性がない。
【0219】
cI857s7遺伝子のリボソーム結合部位を修飾して強化RBSを含むようにした。介在ebg配列を欠失したジーンバンク受入番号M64441Gb Baを付与されたヌクレオチド1170および1411位置間のebgオペロンにこれを挿入した。挿入配列を以下に示し、小文字は以下の挿入配列をフランキングするebg配列を表している(配列番号388)。
【0220】
【表32】
【0221】
MMebg−cI857s7強化RBS#4と称する組換えファージを用いてF‘tet/393の染色体に構築物を分配した。組換えおよび切開の後、前記の染色体挿入物のみが細胞に残る。これを再度F’tet/GM101と名付けた。次いで介在ebg配列を欠失したジーンバンク受入番号M64441Gb Baを付与されたヌクレオチド位置2493および2937間のebgオペロンにlacIQ構築物を分配することによりF’tet/GM101を修飾した。挿入配列を以下に示し、小文字は以下の挿入配列をフランキングするebg配列を表している(配列番号389)。
【0222】
【表33】
【0223】
AGebg−LacIQ#5と称する組換えファージを用いてF’tet/GM101の染色体に構築物を分配した。組換えおよび切開の後、前記の染色体挿入物のみが細胞に残る。これを再度F’tet/GM221と名付けた。LB中25μg/mlの濃度のアクリジン・オレンジを用いてF’tetエピソームを株からキュアリングした。キュアリングされた株はテトラサイクリン感受性であると同定され、GM221として保存した。
【0224】
発現
誘導前に大腸菌GM221のpAMG21−Fc−TMP−TMPの培養物を50μg/mlカナマイシン含有ルリア・ブロス培地中37℃でインキュベートした。最終濃度20ng/mlになるように培養培地に合成オートインデューサーN−(3−オクソヘキサノイル)−DL−ホモセリン・ラクトンを添加することによりluxPRプロモーターからFc−TMP−TMP遺伝子生成物発現を誘導し、培養物を37℃でさらに3時間インキュベートした。3時間後、封入体の存在に関して細菌培養物を顕微鏡で試験し、次いで遠心により収集した。誘導した培養物中光屈折性の封入体が観察され、これはFc−TMP−TMPが大腸菌の不溶性分画においてほとんどが生成されていることを示している。10%β−メルカプトエタノールを含有するラエムリ・サンプル緩衝液に再懸濁することにより細胞ペレットを直接的に溶解し、SDS−PAGEにより分析した。SDS−PAGEゲルにおよそ30kDaのクーマシー染色の強いバンドが観察された。予測される遺伝子生成物は269個のアミノ酸の長さであり、予測される分子量は約29.5kDaである。また10lのスケールで標準バッチ条件下発酵をも行い、ベンチスケールで得られた発現レベルに類似したFc−TMP−TMPの発現レベルが得られた。
【0225】
Fc−TMP−TMPの精製
高圧ホモジナイゼーション(14000PSIで2パス)により水中(1/10)で細胞を破壊し、遠心(J−6Bで4200RPMで1時間)により封入体を回収した。6M グアニジン、50mM トリス、8mM DTT(pH8.7)中1時間1/10の比率で封入体を可溶化する。可溶化した混合物を2M 尿素、50mM トリス、160mM アルギニン、3mM システイン(pH8.5)で20倍希釈する。混合物を一晩冷却して攪拌し、次いで限外濾過により約10倍に濃縮する。次いで10mM トリス、1.5M 尿素(pH9)で3倍希釈する。次いでこの混合物のpHを酢酸でpH5に調整する。沈殿物を遠心により除去し、20mM NaAc、100mM NaCl(pH5)で平衡にしたSP−セファロース・ファスト・フロー・カラムに上澄を装填する(10mg/ml タンパク質装填、室温)。100mM NaClないし500mM NaClの範囲の同一緩衝液の20カラム容量グラジエントを用いてタンパク質を溶出する。カラムからのプールを3倍希釈し、20mM NaAc、150mM NaCl(pH5)で平衡にしたSP−セファロースHPカラムに装填する(10mg/ml タンパク質装填、室温)。150mM NaClないし400mM NaClの範囲の同一緩衝液の20カラム容量グラジエントを用いてタンパク質を溶出する。ピークをプールし、濾過する。
【0226】
Fc−TMP活性の特徴付け
以下は本発明の種々化合物を用いたマウスにおけるインビボデータの要旨である。
【0227】
マウス:およそ10ないし12週齢の正常雌BDF1。
【0228】
出血スケジュール:群あたり10匹のマウスを0日に処置、4日後に2群で開始、全部で群あたりマウス20匹。各時間に5匹のマウスを出血させ、最低週3回出血させた。イソフルランでマウスを麻酔し、眼窩洞の穿刺により血液全量で140ないし160μlを得た。ネズミ血液に関するソフトウェアを用いてテクニコンH1E血液アナライザーで血液をカウントした。測定したパラメーターは白血球、赤血球、ヘマトクリット、ヘモグロビン、血小板、好中球である。
【0229】
処置:マウスにボーラス処置用に皮下注射するかまたは連続投与用に7日用マイクロ浸透圧ポンプを埋めこんだ。0.2mlの容量を皮下注射した。麻酔したマウスの皮膚と肩甲骨の間で皮下切開し、浸透圧ポンプを挿入した。化合物を0.1% BSAを含むPBSで希釈した。全実験には対照群が含まれ、この希釈物のみで処置されたものには「キャリヤ」とラベル表示した。ポンプ中の試験物質の濃度を調整し、ポンプからの測定流速から処置レベルが得られ、これをグラフに表示した。
【0230】
化合物:化合物の滴定用量を7日用マイクロ浸透圧ポンプでマウスに送達した。7日用マイクロ浸透圧ポンプで1回用量100μg/kgの種々化合物でマウスを処置した。次いで同一化合物のいくつかを1回ボーラス注射してマウスに投与した。
【0231】
活性試験結果:活性実験の結果を図11および12に示す。7日用マイクロ浸透圧ポンプを用いる用量依存性検定では配列番号18の化合物100μg/kg/日で最大効果が得られ;10μg/kg/日の用量で最大活性の約50%、および1μg/kg/日はこの検定系で活性が認められる最低用量であった。化合物は10μg/kg/日の用量で同一実験におけるPEG化していないrHu−MGDF100μg/kg/日とほぼ同等の活性を示した。
【0232】
実施例3
Fc−EMP融合
Fc−EMP
標準PCR技術を用いてEPO擬似ペプチドの単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型はFc配列(pFc−A3、1997年7月3日公開の国際出願WO97/23614に記載)を含有するベクターおよびEPO単量体をコードする合成遺伝子であった。単量体の合成遺伝子は以下に示す4個の重複オリゴヌクレオチド(各々配列番号390ないし393)から構築した:
【0233】
【表34】
4個のオリゴヌクレオチドをアニーリングして以下に示すアミノ酸配列をコードする二本鎖を形成した(各々配列番号394および395):
【0234】
【表35】
センスおよびアンチセンスプライマーとして
【0235】
【表36】
および
【0236】
【表37】
(各々配列番号396および397)を用いてこの二本鎖をPCR反応で増幅した。
【0237】
プライマー:
【0238】
【表38】
(配列番号398および399)を用いてpFc−A3とのPCR反応で分子のFc領域を作った。オリゴヌクレオチド1798−17および1798−18は61個のヌクレオチドの重複を含有し、アウトサイド・プライマー1216−52および1798−19を用いて第3の反応で前記のPCR生成物を組合わせることにより、2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合できるようになる。
【0239】
最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21(以下に記載)にライゲートし、またXbaIおよびBamHIで消化した。ライゲートしたDNAを大腸菌(E.coli)2596株のコンピテント宿主細胞(本明細書においてGM221と称する)に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3718株と称した。
【0240】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号15および16)を図13に示す。
【0241】
EMP−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したEPO擬似ペプチドの単量体をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型はpFc−A3aベクターおよびEPO単量体をコードする合成遺伝子であった。4個の重複オリゴヌクレオチド1798−4および1798−5(前記)並びに1798−6および1798−7(各々配列番号400および401)から以下に示す単量体の合成遺伝子を構築した:
【0242】
【表39】
4個のオリゴヌクレオチドをアニーリングし、アミノ酸配列をコードする二本鎖を形成し(各々配列番号402および403)、以下に示す:
【0243】
【表40】
センスおよびアンチセンスプライマーとして:
【0244】
【表41】
および
【0245】
【表42】
(各々配列番号404および405)を用い、PCR反応で二本鎖を増幅した。
【0246】
プライマー
【0247】
【表43】
(各々配列番号406および407)を用いてpFc−A3とのPCR反応で分子のFc部分を作った。オリゴヌクレオチド1798−22および1798−23は43個のヌクレオチドの重複を含有し、アウトサイド・プライマー1787−21および1200−54を用いて第3のPCR反応で前記のPCR生成物を組合わせることにより2個の遺伝子を正確な読み枠に一緒に融合できる。
【0248】
前記するように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3688株と称した。
【0249】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号17および18)を図14に示す
EMP−EMP−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したEPO擬似ペプチドの二量体をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型は前記の#3688株のEMP−FcプラスミドおよびEPO二量体をコードする合成遺伝子であった。8個の重複オリゴヌクレオチドから以下に示す二量体の合成遺伝子を構築した(各々配列番号408ないし415):
【0250】
【表44】
8個のオリゴヌクレオチドをアニーリングし、アミノ酸配列(各々配列番号416および417)をコードする以下に示す二本鎖を形成した:
【0251】
【表45】
センスおよびアンチセンスプライマーとして1869−23および1871−79(前記で示す)を用い、PCR反応で二本鎖を増幅した。
【0252】
プライマー1798−23および1200−54(前記で示す)を用いて#3688株DNAとのPCR反応で分子のFc部分を作った。
【0253】
オリゴヌクレオチド1872−79および1798−2331個のヌクレオチド重複を含有し、アウトサイド・プライマー1869−23および1200−54を用いて第3のPCR反応で前記のPCR生成物を組合わせることにより2個の遺伝子を正確な読み枠に一緒に融合させる。
【0254】
Fc−EMPに関して記載するように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3813株と称した。
【0255】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(各々配列番号19および20)を図15に示す。145位置にサイレント変異(AからG、太字で示す)があり、最終構築物がそれを誘導したオリゴヌクレオチド1871−72とは異なるヌクレオチド配列を有するようになる。
【0256】
Fc−EMP−EMP
標準的なPCR技術を用いてEPO擬似ペプチドの二量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型は前記の3688および3813株からのプラスミドであった。
【0257】
プライマー1216−52および1798−17(前記で示す)を用いて#3688株DNAとのPCR反応で分子のFc部分を作った。分子のEMP二量体部分はプライマー1798−18(これも前記で示す)および以下に示す配列番号418:
【0258】
【表46】
を用いた#3813株DNAとの第2のPCR反応の生成物であった。
【0259】
オリゴヌクレオチド1798−17および1798−18は61個のヌクレオチド重複を含有し、アウトサイド・プライマー1216−52および1798−20を用いて第3の反応で前記のPCR生成物を組合わせることにより2個の遺伝子を正確な読み枠に一緒に融合させる。
【0260】
Fc−EMPに関して記載するように、最終的なPCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼXbaIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#3822株と称した。
【0261】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(各々配列番号 および )を図16に示す。
【0262】
Fc−EMP活性の特徴付け
インビボでの特徴づけは以下のとおり実施した。
【0263】
マウス:およそ10ないし12週齢の正常雌BDF1。
【0264】
出血スケジュール:群あたり10匹のマウスを0日に処置、4日後に2群で開始、全部で群あたりマウス20匹。各時間に5匹のマウスを出血させ、最低週3回出血させた。イソフルランでマウスを麻酔し、眼窩洞の穿刺により血液全量で140ないし160μlを得た。ネズミ血液に関するソフトウェアを用いてテクニコンH1E血液アナライザーで血液をカウントした。測定したパラメーターは白血球、赤血球、ヘマトクリット、ヘモグロビン、血小板、好中球、リンパ球である。
【0265】
処置:マウスにボーラス処置用に皮下注射するかまたは連続投与用に7日用マイクロ浸透圧ポンプを埋めこんだ。0.2mlの容量を皮下注射した。麻酔したマウスの皮膚と肩甲骨の間で皮下切開し、浸透圧ポンプを挿入した。化合物を0.1% BSAを含むPBSで希釈した。全実験には対照群が含まれ、この希釈物のみで処置されたものには「キャリヤ」とラベル表示した。ポンプ中の試験物質の濃度を調整し、ポンプからの測定流速から処置レベルが得られ、これをグラフに表示した。
【0266】
実験:種々のFc結合EPO擬似ペプチド(EMP)を100μg/kgの用量で1回ボーラス注射してマウスに投与した。Fc−EMPは7日用マイクロ浸透圧ポンプでマウスに分配した。7日の終わりにポンプを取り替えなかった。マウスを51日まで出血させ、そのときヘモグロビンおよびヘマトクリットが基底値に戻った。
【0267】
実施例4
TNF−α阻害因子
Fc−TNF−α阻害因子
標準的なPCR技術を用いてTNF−α阻害因子の単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。センスプライマー1216−52およびアンチセンスプライマー2295−89(各々配列番号1112および1113)を用いてFc−EMP融合#3718株(実施例3を参照のこと)のDNAとのPCR反応で分子のFcおよび5グリシンリンカー部分を作った。以下に示すPCRプライマー2295−89によりTNF−α阻害ペプチドをコードするヌクレオチドが提供される:
【0268】
【表47】
オリゴヌクレオチド2295−89は22個のヌクレオチドにより鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRで得られた2個の遺伝子を正確な読み枠で一緒に融合した。
【0269】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4544株と称した。
【0270】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1055および1056)を図19Aおよび19Bに示す。
【0271】
TNF−α阻害因子−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したTNF−α阻害ペプチドをコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型は5個のグリシンリンカーを介してFcに融合した関連性のないペプチドを含有するプラスミドであった。アンチセンスプライマーとして提供されるプライマー1200−54とセンスPCRプライマー2295−88(各々配列番号1117および407)によりTNF−α阻害ペプチドをコードするヌクレオチドが提供された。プライマー配列を以下に示す:
【0272】
【表48】
オリゴヌクレオチド2295−88は24個のヌクレオチドにより鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRで得られた2個の遺伝子を正確な読み枠で一緒に融合した。
【0273】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4543株と称した。
【0274】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1057および1058)を図20Aおよび20Bに示す。
【0275】
大腸菌における発現
大腸菌GM221のpAMG21−Fc融合構築物の各々の培養物を50mg/mlカナマイシン含有ルリア・ブロス培地中37℃でインキュベートした。最終濃度20ng/mlで培養培地に合成オートインデューサーN−(3−オクソヘキサノイル)−DL−ホモセリン・ラクトンを添加することによりluxPRプロモーターから遺伝子生成物の発現を誘導した。培養物を37℃でさらに3時間インキュベートした。3時間後、封入体の存在に関して細菌培養物を顕微鏡で試験し、次いで遠心により収集した。誘導した培養物中光屈折性の封入体が観察され、これはFc融合体が大腸菌の不溶性分画においてほとんどが生成されていることを示している。10%β−メルカプトエタノールを含有するラエムリ・サンプル緩衝液に再懸濁することにより細胞ペレットを直接的に溶解し、SDS−PAGEにより分析した。各々の場合でSDS−PAGEゲルに適当な分子量のクーマシー染色の強いバンドが観察された。
【0276】
Fcペプチド融合タンパク質の精製
高圧ホモジナイゼーション(14000PSIで2パス)により水中(1/10)で細胞を破壊し、遠心(J−6Bで4200RPMで1時間)により封入体を回収した。6M グアニジン、50mM トリス、8mM DTT(pH8.7)中1時間1/10の比率で封入体を可溶化する。可溶化した混合物を2M 尿素、50mM トリス、160mM アルギニン、3mM システイン(pH8.5)で20倍希釈する。混合物を一晩冷却して攪拌し、次いで限外濾過により約10倍に濃縮する。次いで10mM トリス、1.5M 尿素(pH9)で3倍希釈する。次いでこの混合物のpHを酢酸でpH5に調整する。沈殿物を遠心により除去し、20mM NaAc、100mM NaCl(pH5)で平衡にしたSP−セファロース・ファスト・フロー・カラムに上澄を装填する(10mg/ml タンパク質装填、室温)。100mM NaClないし500mM NaClの範囲の同一緩衝液の20カラム容量グラジエントを用いてカラムからタンパク質を溶出する。カラムからのプールを3倍希釈し、20mM NaAc、150mM NaCl(pH5)で平衡にしたSP−セファロースHPカラムに装填する(10mg/ml タンパク質装填、室温)。150mM NaClないし400mM NaClの範囲の同一緩衝液の20カラム容量グラジエントを用いてタンパク質を溶出する。ピークをプールし、濾過する。
【0277】
Fc−TNFα阻害因子およびTNF−α阻害因子−Fcの活性の特徴付け
本明細書の教示を熟知する当業者に可能な方法によりBIAコアによりこれらのペプチド融合タンパク質のTNF−αへの結合を特徴付けできる。
【0278】
実施例5
IL−1拮抗物質
Fc−IL−1拮抗物質
標準的なPCR技術を用いてIL−1拮抗物質ペプチドの単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。センスプライマー1216−52およびアンチセンスプライマー2269−70(各々配列番号1112および1118)を用いてFc−EMP融合#3718株(実施例3を参照のこと)のDNAとのPCR反応で分子のFcおよび5グリシンリンカー部分を作った。以下に示すPCRプライマー2269−70によりIL−1拮抗物質ペプチドをコードするヌクレオチドが提供される:
【0279】
【表49】
オリゴヌクレオチド2269−70は22個のヌクレオチドにより鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRで得られた2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合される。
【0280】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換し。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4506株と称した。
【0281】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1059および1060)を図21Aおよび21Bに示す。
【0282】
IL−1拮抗物質−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したIL−1拮抗物質ペプチドをコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型は5個のグリシンリンカーを介してFcに融合した関連性のないペプチドを含有するプラスミドであった。アンチセンスプライマーとして提供されるプライマー1200−54とセンスPCRプライマー2269−69により(各々配列番号1119および407)IL−1拮抗物質ペプチドをコードするヌクレオチドが提供された。プライマー配列を以下に示す:
【0283】
【表50】
オリゴヌクレオチド2269−69は24個のヌクレオチドで鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRで得られた2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合される。
【0284】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4505株と称した。
【0285】
融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1061および1062)を図22Aおよび22Bに示す。発現および精製は前記の実施例のとおりに実施する。
【0286】
Fc−IL−1拮抗物質ペプチドおよびIL−1拮抗物質ペプチド−Fcの活性の特徴付け
IGEN系を用いてIL−1β、Il−1RAおよびFc−結合IL−1ペプチド配列間のIL−1受容体結合競合検定を実施した。反応物は0.4nMビオチン−IL−1R+15nM IL−1−TAG+3μM コペティター+20μg/mlストレプトビジン結合ビーズを含有し、ここでコンペティターはIL−1RA、Fc−IL−1拮抗物質、IL−1拮抗物質−Fcである。コンペティター濃度3μMないし1.5pMの範囲で競合を検定した。結果を以下の表Cに示す:
【0287】
【表51】
【0288】
実施例6
VEGF−拮抗物質
Fc−VEGF拮抗物質
標準的なPCR技術を用いてVEGF擬似ペプチドの単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードする配列を構築した。PCR反応の鋳型はpFc−A3プラスミドおよび合成VEGF擬似ペプチド遺伝子であった。以下の2個のオリゴヌクレオチドプライマー(各々配列番号1120および1121)をアニーリングして合成遺伝子の集合体を形成した:
【0289】
【表52】
2個のオリゴヌクレオチドをアニーリングして以下に示すアミノ酸配列をコードする二本鎖を形成した(配列番号1122):
【0290】
【表53】
センスおよびアンチセンスプライマーとして2293−05および2293−06(各々配列番号1125および1126)を用いてこの二本鎖をPCR反応で増幅した。
【0291】
センスおよびアンチセンスプライマーとしてプライマー2293−03および2293−04(各々配列番号1123および1124)を用いてpFc−A3プラスミドとのPCR反応で分子のFc部分を作った。アウトサイド・プライマー2293−03および2293−06を用いて第3のPCR反応で融合遺伝子全長を得た。これらのプライマーを以下に示す:
【0292】
【表54】
【0293】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株細胞に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4523株と称した。
【0294】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1063および1064)を図23Aおよび23Bに示す。
【0295】
VEGF拮抗物質−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したVEGF擬似ペプチドをコードするDNA配列を構築した。PCR反応の鋳型はpFc−A3プラスミドおよび前記の合成VEGF擬似ペプチド遺伝子であった。センスおよびアンチセンスプライマーとして2293−07および2293−08(各々配列番号1127および1128)を用いてPCR反応で合成二本鎖を増幅した。
【0296】
センスおよびアンチセンスプライマーとしてプライマー2293−09および2293−10(各々配列番号1129および1130)を用いてpFcA3プラスミドとのPCR反応で分子のFc部分を作った。アウトサイド・プライマー2293−07および2293−10を用いて第3のPCR反応で融合遺伝子全長を得た。これらのプライマーを以下に示す:
【0297】
【表55】
【0298】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4524株と称した。
【0299】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1065および1066)を図24Aおよび24Bに示す。発現および精製は前記の実施例のとおり実施した。
【0300】
実施例7
MMP阻害因子
Fc−MMP阻害因子
標準的なPCR技術を用いてMMP阻害ペプチドの単量体にイン・フレーム融合したヒトIgG1のFc領域をコードするDNA配列を構築した。センスプライマー1216−52およびアンチセンスプライマー2308−67(各々配列番号1112および1131)を用いてFc−TNF−α阻害因子融合株#4544(実施例4を参照のこと)からのDNAとのPCR反応で分子のFcおよび5グシリンリンカー部分を作った。MMP阻害因子ペプチドをコードするヌクレオチドはPCRプライマー2308−67により提供され、以下に示す:
【0301】
【表56】
オリゴヌクレオチド2308−67は22個のヌクレオチドにより鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRにより2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合される。
【0302】
本明細書でEMP−Fcに関して記載するように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21)にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4597株と称した。
【0303】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1067および1068)を図25Aおよび25Bに示す。発現および精製は前記の実施例のとおり実施した。
【0304】
MMP阻害因子−Fc
標準的なPCR技術を用いてヒトIgG1のFc領域にイン・フレーム融合したMMP阻害ペプチドをコードするDNA配列を構築した。Fc−TNF−α阻害因子融合株#4543(実施例4を参照のこと)からのDNAとのPCR反応で分子のFcおよび5グシリンリンカー部分を作った。MMP阻害ペプチドをコードするヌクレオチドはアンチセンスプライマーとして供されるプライマー1200−54とセンスPCRプライマー2308−66により提供された。プライマー配列は以下に示す:
【0305】
【表57】
オリゴヌクレオチド2269−69は24個のヌクレオチドで鋳型のグリシンリンカーおよびFc部分を重複し、PCRにより2個の遺伝子が正確な読み枠で一緒に融合される。
【0306】
本明細書でEMP−Fcに関して記載されるように、PCR遺伝子生成物(融合遺伝子全長)を制限エンドヌクレアーゼNdeIおよびBamHIで消化し、次いでベクターpAMG21にライゲートし、コンピテント・大腸菌(E.coli)2596株に形質転換した。組換えタンパク質生成物を製造し、正確なヌクレオチド配列を有する遺伝子融合体を保有する能力に関してクローンをスクリーニングした。かかるクローン1個を選別し、アムゲン#4598株と称した。
【0307】
得られた融合タンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列(配列番号1069および1070)を図26Aおよび26Bに示す。
【0308】
本発明はここに十分に記載されるが、本明細書において前記した本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者がそこに多くの変更および修飾を行うことができるのは明らかであろう。
【0309】
略語
本明細書において使用した略語を特記しない限り以下のように定義する。
Ac:アセチル(アセチル化残基に関して使用)
AcBpa:アセチル化p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン
ADCC:抗体依存性細胞毒性
Aib:アミノイソブチル酸
βA:ベータ・アラニン
Bpa:p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン
BrAc:ブロモアセチル(BrCH2C(O))
BSA:ウシ血清アルブミン
Bzl:ベンジル
Cap:カプロン酸
CTL:細胞毒性Tリンパ球
CTLA4:細胞毒性Tリンパ球抗原4
DARC:ダッフィ式血液型抗原受容体
DCC:ジシルコヘキシルカルボジイミド
Dde:1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオクソ−シクロヘキシルジエン)エチル
EMP:エリトロポエチン擬似ペプチド
ESI−MS:電子スプレイイオン化質量分析法
EPO:エリトロポエチン
Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル
G−CSF:顆粒球コロニー刺激因子
GH:成長ホルモン
HCT:ヘマトクリット
HGB:ヘモグロビン
hGH:ヒト成長ホルモン
HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
IL:インターロイキン
IL−R:インターロイキン受容体
IL−1R:インターロイキン−1受容体
IL−1ra:インターロイキン−1受容体拮抗物質
Lau:ラウリン酸
LPS:リポ多糖類
LYMPH:リンパ球
MALDI−MS:行列補助レーザー脱離イオン化質量分析法
Me:メチル
MeO:メトキシ
MHC:主要組織適合複合体
MMP:マトリックス・メタロプロテイナーゼ
MMPI:マトリックス・メタロプロテイナーゼ・阻害因子
1−Nap:1−ナフチルアラニン
NEUT:好中球
NGF:神経成長因子
Nle:ノルロイシン
NMP:N−メチル−2−ピロリジノン
PAGE:ポリアクリルアミドゲル電気泳動
PBS:リン酸緩衝生理食塩水
Pbf:2,2,4,6,7−ペンダメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルフォニル
PCR:ポリメラーゼ連鎖反応
Pec:ピペコリン酸
PEG:ポリ(エチレングリコール)
pGlu:ピログルタミン酸
Pic:ピコリン酸
PLT:血小板
pY:ホスフォチロシン
RBC:赤血球
RBS:リボソーム結合部位
RT:室温(25℃)
Sar:サルコシン
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
STK:セリン−スレオニン・キナーゼ
t−Boc:ターシャリー・ブトキシカルボニル
tBu:ターシャリー・ブチル
TGF:組織成長因子
THF:胸腺液性因子
TK:チロシン・キナーゼ
TMP:トロンボポエチン擬似ペプチド
TNF:組織壊死因子
TPO:トロンボポエチン
TRAIL:TNF関連アポトシス誘起リガンド
Trt:トリチル
UK:ウロキナーゼ
UKR:ウロキナーゼ受容体
VEGF:血管内皮細胞成長因子
VIP:血管作用性小腸ペプチド
WBC:白血球
【図面の簡単な説明】
【0310】
【図1】図1は、本発明の例示的方法の概要図を示す。この好ましい方法では、ビヒクルはFcドメインであり、それがFcドメインとペプチドの両方をコードするDNA構築物からの発現によってペプチドに共有結合する。図1に示すように、Fcドメインはこの方法において自発的に二量体を形成する。
【図2A】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである: 一重ジスルフィド結合二量体。IgG1抗体は、典型的には定常領域と可変領域の間のちょうつがい部位に2個のジスルフィド結合を持つ。図2Aと2DにおけるFcドメインは、2個のジスルフィド結合部位間の切断によって、若しくは非反応性残基(例えばアラニル)によるシステイニル残基の置換によって形成されうる。Fcドメインはペプチドのアミノ末端で結合している。
【図2B】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである: 二重ジスルフィド結合二量体。このFcドメインは、Fcドメイン鎖中の両方のシステイニル残基を保持するように親抗体を切断することによって、若しくはそのようなFcドメインをコードする配列を含む構築物からの発現によって形成されうる。Fcドメインはペプチドのアミノ末端で結合している。
【図2C】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである: 非共有結合二量体。このFcドメインは、切断又は置換によるシステイニル残基の除去によって形成されうる。当該システイニル残基と宿主細胞中に存在する他のタンパク質のシステイニル残基の反応によって不純物が形成されるのを避けるため、システイニル残基を除去することが所望される場合がある。Fcドメインの非共有結合は二量体を結びつけるのに十分である。異なる種類の抗体(例えばIgG2、IgM)から誘導したFcドメインを使用することにより、他の二量体を形成することができる。
【図2D】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである: 一重ジスルフィド結合二量体。IgG1抗体は、典型的には定常領域と可変領域の間のちょうつがい部位に2個のジスルフィド結合を持つ。図2Aと2DにおけるFcドメインは、2個のジスルフィド結合部位間の切断によって、若しくは非反応性残基(例えばアラニル)によるシステイニル残基の置換によって形成されうる。Fcドメインはカルボキシル末端で結合している。
【図2E】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである:二重ジスルフィド結合二量体。このFcドメインは、Fcドメイン鎖中の両方のシステイニル残基を保持するように親抗体を切断することによって、若しくはそのようなFcドメインをコードする配列を含む構築物からの発現によって形成されうる。Fcドメインはカルボキシル末端で結合している。
【図2F】IgG1抗体から誘導しうる例示的Fc二量体を示す。図中の「Fc」は、ここでの「Fcドメイン」の意味するものの範囲内の何らかのFc変異体を表わす。「X1」及び「X2」は、下記で定義されるようなペプチド又はリンカー−ペプチドの組合せを表わす。特定の二量体は次のとおりである: 非共有結合二量体。このFcドメインは、切断又は置換によるシステイニル残基の除去によって形成されうる。当該システイニル残基と宿主細胞中に存在する他のタンパク質のシステイニル残基の反応によって不純物が形成されるのを避けるため、システイニル残基を除去することが所望される場合がある。Fcドメインの非共有結合は二量体を結びつけるのに十分である。異なる種類の抗体(例えばIgG2、IgM)から誘導したFcドメインを使用することにより、他の二量体を形成することができる。
【図3A】薬理学的に活性なペプチドのタンデムリピートを特徴とする、本発明の好ましい化合物の構造を示す。本図面は、一本鎖の分子を示し、またかかる分子に関するDNA構築物も表わしうる。
【図3B】薬理学的に活性なペプチドのタンデムリピートを特徴とする、本発明の好ましい化合物の構造を示す。本図面は、リンカー−ペプチド部分が二量体の1本の鎖にだけ存在する二量体を示す。
【図3C】薬理学的に活性なペプチドのタンデムリピートを特徴とする、本発明の好ましい化合物の構造を示す。本図面は、両方の鎖上にペプチド部分を持つ二量体を示す。本図面の二量体は、図3Aに示す一本鎖をコードするDNA構築物の発現の際に一部の宿主細胞において自発的に形成される。他の宿主細胞では、細胞を二量体の形成を促進する条件下に置くか、若しくは二量体をインビトロで形成することができる。
【図4】図4は、本発明において使用しうるヒトIgG1 Fcの例示的核酸及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号1及び2)を示す。
【図5】図5は、PEG化ペプチド19(配列番号3)の製造のための合成概要図を示す。
【図6】図6は、PEG化ペプチド20(配列番号4)の製造のための合成概要図を示す。
【図7】図7は、下記の実施例2において「Fc−TMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号5及び6)を示す。
【図8】図8は、下記の実施例2において「Fc−TMP−TMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号7及び8)を示す。
【図9】図9は、下記の実施例2において「TMP−TMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号9及び10)を示す。
【図10】図10は、下記の実施例2において「TMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号11及び12)を示す。
【図11】図11は、次のように定義される条件下で、種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成される血小板数を示す。 PEG−MGDF:大腸菌において発現される(従ってグリコシル化されていない)、還元的アミノ化によって天然ヒトTPOのアミノ酸1−163のN末端アミノ基に連結した平均分子量20kDのPEG、 TMP:アミノ酸配列、IEGPTLRQWLAARA(配列番号13)を持つTPO擬似ペプチド、 TMP−TMP:アミノ酸配列、IEGPTLRQWLAARA−GGGGGGGG−IEGPTLRQWLAARA(配列番号14)を持つTPO擬似ペプチド、 PEG−TMP−TMP:PEG基が図6に示すような平均分子量5kDのPEGである、配列番号14のペプチド、 Fc−TMP−TMP:同一の第二モノマーで二量体化された(すなわち、図2に示すように、Cys残基7と10が第二モノマー中の対応するCys残基に結合して二量体を形成する)配列番号8(図8)の化合物、そして TMP−TMP−Fcは、FcドメインがTMP−TMPペプチドのN末端ではなくC末端で結合していることを除いて、TMP−TMP−Fcと同じように二量体化された配列番号10(図9)の化合物である。
【図12】図12は、移植した浸透圧ポンプを通して送達される種々の化合物で7日間にわたって処置した正常BDF1マウスにおいて、インビボで生成された血小板の数を示す。化合物は図7について定義されたとおりである。
【図13】図13は、下記の実施例3において「Fc−EMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号15及び16)を示す。
【図14】図14は、下記の実施例3において「EMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号17及び18)を示す。
【図15】図15は、下記の実施例3において「EMP−EMP−Fc」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号19及び20)を示す。
【図16】図16は、下記の実施例3において「Fc−EMP−EMP」として同定される分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(それぞれ配列番号21及び22)を示す。
【図17A】発現プラスミドpAMG21(ATCCアクセス番号98113)を形成するためにユニークAatII(pCFM1656中4364位)とSacII(pCFM1656中4585位)制限部位の間に挿入されるDNA配列(配列番号23)を示す。
【図17B】発現プラスミドpAMG21(ATCCアクセス番号98113)を形成するためにユニークAatII(pCFM1656中4364位)とSacII(pCFM1656中4585位)制限部位の間に挿入されるDNA配列(配列番号23)を示す。
【図18A−1】種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成されるヘモグロビンを示す。
【図18A−2】種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成される赤血球を示す。
【図18A−3】種々の化合物の100μg/kgの単回ボーラス注射によって処置した正常雌性BDF1マウスにおいてインビボで生成されるヘマトクリットを示す。
【図18B−1】図18Bは、EMPに関しては100μg/kg、rhEPOに関しては30U/マウスで送達される微小浸透圧ポンプにより7日間にわたって100μg/kg/日で処置したマウスについてのヘモグロビンを示す。
【図18B−2】図18Bは、EMPに関しては100μg/kg、rhEPOに関しては30U/マウスで送達される微小浸透圧ポンプにより7日間にわたって100μg/kg/日で処置したマウスについての赤血球を示す。
【図18B−3】図18Bは、EMPに関しては100μg/kg、rhEPOに関しては30U/マウスで送達される微小浸透圧ポンプにより7日間にわたって100μg/kg/日で処置したマウスについてのヘマトクリットを示す。
【図19A】下記の実施例4で述べるFc−TNF−α阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1055及び1056)を示す。
【図19B】下記の実施例4で述べるFc−TNF−α阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1055及び1056)を示す。
【図20A】下記の実施例4で述べるTNF−α阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1057及び1058)を示す。
【図20B】下記の実施例4で述べるTNF−α阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1057及び1058)を示す。
【図21A】下記の実施例5で述べるFc−IL−1拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1059及び1060)を示す。
【図21B】下記の実施例5で述べるFc−IL−1拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1059及び1060)を示す。
【図22A】下記の実施例5で述べるIL−1拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1061及び1062)を示す。
【図22B】下記の実施例5で述べるIL−1拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1061及び1062)を示す。
【図23A】下記の実施例6で述べるFc−VEGF拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1063及び1064)を示す。
【図23B】下記の実施例6で述べるFc−VEGF拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1063及び1064)を示す。
【図23C】下記の実施例6で述べるFc−VEGF拮抗物質融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1063及び1064)を示す。
【図24A】下記の実施例6で述べるVEGF拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1065及び1066)を示す。
【図24B】下記の実施例6で述べるVEGF拮抗物質−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1065及び1066)を示す。
【図25A】下記の実施例7で述べるFc−MMP阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1067及び1068)を示す。
【図25B】下記の実施例7で述べるFc−MMP阻害因子融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1067及び1068)を示す。
【図26A】下記の実施例7で述べるMMP阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1069及び1070)を示す。
【図26B】下記の実施例7で述べるMMP阻害因子−Fc融合分子のヌクレオチド及びアミノ酸配列(配列番号1069及び1070)を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
(X1)a−F1−(X2)b
[式中、F1はFcドメインであり、
X1及びX2は、各々独立に−(L1)c−P1、−(L1)c−P1−(L2)d−P2、−(L1)c−P1−(L2)d−P2−(L3)e−P3、及び−(L1)c−P1−(L2)d−P2−(L3)e−P3−(L4)f−P4から選択され、
P1、P2、P3及びP4は各々独立にランダム化されたTNF−α結合ペプチドの配列であり、
L1、L2、L3及びL4は各々独立にリンカーであり、そして
a、b、c、d、e及びfは、aとbの少なくとも一方が1であることを条件として、各々独立に0又は1であり、ペプチドは2〜40アミノ酸の分子を指し、X1もX2も天然タンパク質ではない]
の物質及びその多量体の組成物。
【請求項2】
式:
X1−F1
又は
F1−X2
の請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項3】
式:
F1−(L1)c−P1
の請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項4】
式:
F1−(L1)c−P1−(L2)d−P2
の請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項5】
F1がIgG Fcドメインである、請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項6】
F1がIgG1 Fcドメインである、請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項7】
F1が配列番号2の配列を含む、請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項8】
TNF−α結合ペプチド配列が配列番号106から123まで及び1085から選択される、請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項9】
TNF−α結合ペプチド配列が表8から選択される、請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項10】
配列番号1045および1046から選択される配列を含む、請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項1】
式:
(X1)a−F1−(X2)b
[式中、F1はFcドメインであり、
X1及びX2は、各々独立に−(L1)c−P1、−(L1)c−P1−(L2)d−P2、−(L1)c−P1−(L2)d−P2−(L3)e−P3、及び−(L1)c−P1−(L2)d−P2−(L3)e−P3−(L4)f−P4から選択され、
P1、P2、P3及びP4は各々独立にランダム化されたTNF−α結合ペプチドの配列であり、
L1、L2、L3及びL4は各々独立にリンカーであり、そして
a、b、c、d、e及びfは、aとbの少なくとも一方が1であることを条件として、各々独立に0又は1であり、ペプチドは2〜40アミノ酸の分子を指し、X1もX2も天然タンパク質ではない]
の物質及びその多量体の組成物。
【請求項2】
式:
X1−F1
又は
F1−X2
の請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項3】
式:
F1−(L1)c−P1
の請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項4】
式:
F1−(L1)c−P1−(L2)d−P2
の請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項5】
F1がIgG Fcドメインである、請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項6】
F1がIgG1 Fcドメインである、請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項7】
F1が配列番号2の配列を含む、請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項8】
TNF−α結合ペプチド配列が配列番号106から123まで及び1085から選択される、請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項9】
TNF−α結合ペプチド配列が表8から選択される、請求項1に記載の物質の組成物。
【請求項10】
配列番号1045および1046から選択される配列を含む、請求項1に記載の物質の組成物。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A−1】
【図18A−2】
【図18A−3】
【図18B−1】
【図18B−2】
【図18B−3】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18A−1】
【図18A−2】
【図18A−3】
【図18B−1】
【図18B−2】
【図18B−3】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【公開番号】特開2007−84558(P2007−84558A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288397(P2006−288397)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【分割の表示】特願2000−578351(P2000−578351)の分割
【原出願日】平成11年10月25日(1999.10.25)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【分割の表示】特願2000−578351(P2000−578351)の分割
【原出願日】平成11年10月25日(1999.10.25)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】
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