説明

治療薬送達装置、システム及び方法

医薬、特に血栓溶解剤、特にプラスミン、を送達するための装置、システム及び方法が提供される。この装置、システム及び方法は、治療ゾーンに対して遠位側及び/又は近位側で血管又はグラフトの閉塞を可能にする。血栓をトラップする装置、システム及び方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療薬、特に血栓溶解薬、の送達のための装置、システム及び方法であって、治療ゾーンの遠位側及び/又は近位側の血管又はグラフトの閉塞を可能にする装置、システム及び方法に関する。
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照によって全体が本明細書に組み込まれる2010年3月4日出願の米国特許出願第61/310558号明細書の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
急性末梢動脈閉塞(aPAO)の臨床治療において、血栓溶解薬を用いる現在の標準的な医療は組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)の血栓内投与である。t-PAが血栓内送達によって投与された患者の約20%では、凝固した血の溶解に先立って下肢の虚血が一時的に悪化した後改善される。この一時的な悪化は血塊がこわれて末端部の循環に血栓が降り注ぐことに対応する。それに続く6−12時間、t-PAが全身的に活性化されてこれらの血塊がゆっくりと溶かされ、その後虚血の悪化という症状は全般的に軽減される。患者の症状はゆっくりと改善され、自身の動脈又は移植されたグラフトの閉塞を表すaPAO症状が軽減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プラスミンなどの血栓溶解薬の安全性に関わる利点のひとつは、血液中に循環する阻害物質によってそれが急速に中性化されることである。しかし、治療ゾーンの流れの力学によってはプラスミンが血栓のフィブリン基質と接触する前に血流に流れ出してしまう可能性があり、また血液が阻害物質を含んだままプラスミン投与のさいに治療ゾーンに入り込んでプラスミンを不活性化して血栓溶解を妨害する可能性を示唆する証拠もある。
【0004】
血栓溶解薬の送達のための装置、システム及び方法であって、閉塞の遠位側及び/又は近位側で血管又は移植されたグラフトを効果的に閉塞することができる装置、システム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある様態で、本発明は、同軸注入カテーテル・システムであって、
a)閉塞カテーテルと、
b)注入カテーテルと、を備え、
閉塞カテーテルの少なくとも一部は注入カテーテル内に同軸的に位置し、閉塞カテーテルが閉塞に対して遠位側の血管又はグラフトの閉塞を可能にし、血栓溶解薬剤を含む組成物を閉塞カテーテルの外壁と注入カテーテルの内壁の間の円環状流体通路に注入して薬剤を治療ゾーンに供給できることを特徴とする同軸注入カテーテル・システムを提供する。
【0006】
別の様態で、本発明は、血管又はグラフトにおける閉塞箇所に血栓溶解薬剤を送達する注入カテーテルであって、
(a)注入ゾーンと、
(b)注入ゾーンに対して近位側の領域のまわりでシャフトの外側表面のまわりに配置された閉塞チャンバと、を備える注入カテーテルを提供する。
【0007】
いくつかの様態で、本発明は、血管又はグラフトにおける閉塞箇所に血栓溶解薬剤を送達する注入カテーテルであって、
(a)注入ゾーンと、
(b)注入ゾーンに対して遠位側の領域のまわりでシャフトの外側表面のまわりに配置された閉塞チャンバと、を備える注入カテーテルを提供する。
【0008】
他の様態で、本発明は、同軸注入カテーテル・システムであって、
(a)血管又はグラフトにおける閉塞箇所に血栓溶解薬剤を注入する注入ゾーンを有する注入カテーテルと、
(b)細長いボディを有する閉塞カテーテルと、を備え、膨張可能な閉塞要素が細長いボディの末端に結合されており、要素は膨張して開いた状態にあるとき治療ゾーンに対して遠位側の血管又はグラフトを閉塞することができ、要素は膨張して閉じた状態にあるとき治療ゾーンを通る血流を許すことができる同軸注入カテーテル・システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のある実施形態に係わるカテーテル・システムとその成分を示す概略側面図であり、閉塞カテーテルは閉塞箇所(例えば、血塊)の遠位側の血管又はグラフトを閉塞する。
【図2】図1のカテーテル・システムの別の概略側面図である。
【図3】図1のカテーテル・システムの別の概略側面図である。
【図4】本発明の別の実施形態に係わるカテーテル・システムとその成分を示す概略側面図であり、血管又はグラフトが閉塞箇所(例えば、血塊)の近位側でも遠位側でも閉塞される。
【図5】本発明のある実施形態に係わるカテーテル・システムとその成分を示す概略側面図であり、血管又はグラフトが閉塞箇所(例えば、血塊)の近位側で閉塞される。
【図6】本発明の別の実施形態に係わるカテーテル・システムとその成分を示す概略側面図であり、血管又はグラフトが閉塞箇所(例えば、血塊)の遠位側で閉塞される。
【図7】本発明のある実施形態に係わるカテーテル・システムとその成分を示す概略側面図であり、細長いワイヤボディの末端に結合された膨張可能な閉塞要素が閉塞箇所(例えば、血塊)の遠位側で血管又はグラフトの閉塞を可能にする。
【図8】図7の膨張可能な閉塞要素を開いた(血流)形態と閉じた(非血流)形態で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の装置、システム、及び方法は、治療薬を含む組成物、好ましくは溶液の送達を可能にする。好ましい実施形態で、治療薬は血栓溶解剤である。血栓溶解剤は、プラスミンとその誘導体を含むが、それだけに限定されない。例えば、プラスミンとその欠損バリアント(例えば、プラスミン、ミニプラスミン、マイクロプラスミン、等)を治療ゾーンに送達して、血管(例えば、末梢動脈)又はグラフトにおける閉塞(例えば、血塊)に接触させることができる。いくつかの実施形態では、本発明の装置、システム、及び方法は、急性末梢動脈閉塞(aPAO)の兆候に対処する。
【0011】
ある様態で、本発明は図1に示されるような同軸注入カテーテル・システム1に基づく。
【0012】
ある実施形態では、システムは、a)閉塞カテーテル2と、b)注入カテーテル3と、を備え、閉塞カテーテルの少なくとも一部は注入カテーテル内に同軸的に位置している。流体は、閉塞カテーテル2の外壁と注入カテーテル3の内壁の間の円環状の流体通路に注入できる。例えば、血栓溶解薬剤を含む注射器を用いて、この薬剤を含む溶液を注入することができ、溶液は円環状の流体通路を進んで、注入カテーテル3の側方出口スリットを通って血管(例えば、動脈)、グラフト、及び/又は閉塞(例えば、血栓)に注入される。
【0013】
好ましくは、システム成分は注入ゾーンが最大になり、患者の外部の装置の長さが最小になるように寸法設計される。ある実施形態では、注入ゾーンの長さが患者の治療ゾーン(例えば、動脈内の血塊マス)に対応し、治療ゾーンにわたって一様な薬剤送達が確保されるようにする。好ましくは、患者の外部にあるシステム部分はできるだけ短く抑え、治療の間の患者の動きによる問題を防ぐ又は最小にする。
【0014】
閉塞カテーテル
ある実施形態では、図1の閉塞カテーテル2は管状の閉塞カテーテル・シャフト4と膨張可能な閉塞チャンバ5を含む。いくつかの実施形態では、カテーテル2はナイロン又は他の同様な材料で作られる。好ましくは、閉塞カテーテル2は、外径が3Frenchであり、中心の膨張管腔6が近位端7から遠位端8まで連続しており、近位端7から膨張可能な閉塞チャンバ5までの直通経路となっている。図1にしめされるように注入カテーテル3と組み立てたとき、遠位端8は注入カテーテルの遠位端9を超えて延び、膨張可能な閉塞チャンバ5も注入カテーテルの遠位端9の遠位側になって、血管又はグラフトを注入ゾーンよりも遠位側で閉塞することができる。いくつかの実施形態では、膨張可能な閉塞チャンバ5は注入カテーテルの遠位端9よりも少なくとも約0.1cm遠位側にあり、例示的には少なくとも約0.1、0.5、1及び2cm遠位側にある。
【0015】
ある実施形態では、膨張可能な閉塞チャンバ5はウレタン高分子又は熱可塑性ゴム・エラストマーで作られる。別の実施形態では、このチャンバ5はLatexバルーンである。膨張可能な閉塞チャンバ5は、つぶされた形態と膨らまされた形態の間で膨張可能である。膨らますと、閉塞チャンバ5は、システム1が配置されている体管腔、例えば血管、の内側の形状に合致する。つぶされた形態(図示せず)では、膨張可能な閉塞チャンバ5はシャフト8の遠位端と同じ(又は以下の)一般的直径を有する。
【0016】
別の実施形態では、閉塞チャンバ5は、システムが用いられる特定の血管又はグラフトを実質的に又は完全に閉塞するのに適当なサイズにすることができる。いくつかの実施形態では、閉塞カテーテル2は少なくとも約0.5cm、例示的には約0.5cm〜約2cm、の長さを有する。別の実施形態では、膨張可能な閉塞チャンバ5は、つぶしたときの直径が高々約0.0991cm(0.039インチ)であり、膨張したときの直径が約1.5cmに達する。
【0017】
膨張可能な閉塞チャンバ5は、膨張可能な閉塞チャンバ5に注入される物質(例えば、空気、ガス、流体)の量によっていろいろな直径に膨らますことができる。いくつかの実施形態では、シングルサイズの閉塞カテーテル2が用いられる。所望のバルーン直径に膨らますことを助け、過剰な膨張を避けるために、いろいろなバルーン直径と各直径に到達するために一般に必要な膨張流体の量をリストしたチャートを用意することができる。他の実施形態では、ひとつ以上の閉塞カテーテル2sが順次注入カテーテルと共に用いられ、ひとつ以上の閉塞カテーテル2sのサイズ及び/又は形態は互いに異なる。
【0018】
膨張可能な閉塞チャンバ5は、膨張可能な閉塞チャンバ5の内部と連通している膨張管腔6を通して膨らますことができる。膨張物質(例えば、空気、ガス、又は流体)を膨張管腔6を通して膨張可能な閉塞チャンバ5に導入すると、閉塞チャンバ5の少なくとも中間部分11は径方向外側に動く。
【0019】
ある実施形態では、閉塞カテーテル2は、膨張可能なバルーン(すなわち、膨張可能な閉塞チャンバ)を備えるバルーン・カテーテルである。
【0020】
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、ハブ・アセンブリが膨張源を、直接又は間接に、膨張管腔6との結合を可能にする。図2で図示された実施形態では、閉塞カテーテル2はさらに閉塞カテーテル・ハブ12を含む。いくつかの実施形態では、ハブ12は回転する雄ルアーねじカラー(図示せず)を含む。ハブは、例えば、プラスチックで作ることができる。システム1が組み立てられると、回転する雄ルアーねじカラーがハブ・コネクタ・アセンブリ13と係合し、それが注入カテーテルのハブ14と係合して、膨張源15と膨張管腔6の間の連通を可能にし、注入カテーテル3と閉塞カテーテル2の間の封止結合を可能にする。いくつかの実施形態では、カラー16を回転させることができるので、動脈又はグラフト内で注入カテーテル3を動かしてずれを生ずることなく注入カテーテル3から閉塞カテーテル2を外すことが可能になる。
【0021】
注入カテーテル
図1を参照すると、外側の注入カテーテル3はナイロン(又は他の適当な材料)の管状ボディを有する。ある実施形態では、カテーテル3は、内径が3Frenchで外径が4、5、6又は7 Frenchであり、カテーテル3の近位端18から遠位端9まで連続する中心管腔を有する。
【0022】
ある実施形態では、カテーテル3の管状シャフト部分は複数のスリットSn(ここでnは0より大きな整数)を有する注入ゾーン10を含む。これは、例えば、全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許番号第5,205,034号明細書及び5,267,979号明細書に記載されているような圧力応答バルブとして働く。例えば、いくつかの実施形態では、注入ゾーンはnが1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,20,30,40又はそれ以上のSnを有する。圧力応答スリットSnは、注射器によって管腔に導入される流体が生成する圧力レベルに応答して流体がカテーテル管腔17から出てゆくことを許す。他の実施形態では、外側の注入カテーテル3は圧力応答スリットではなく複数の側孔を有する。いくつかの実施形態では、注入カテーテルはUNIFUSE(登録商標)カテーテル(Angiodynamics, Queensbury, NY)(例えば、4F UNI*FUSE(登録商標)注入カテーテル)又は同様の装置である。
【0023】
図1に示されるように、注入カテーテル3の注入ゾーン10は、オプションとしての遠位側注入ゾーン・マーカーMdistalとオプションとしての近位側注入ゾーン・マーカーMproximalの間のシャフト部分と定義される。真直な貫通口20を通して管腔17によって画定される円環状スペースに注入される血栓溶解剤は2つのオプションとしてのマーカーMdistalとMproximalの間のシャフト部分にあるスリットSnから出てゆく。ある実施形態では、マーカーMproximalは最も近位側の圧力応答スリットSnから約1cm近位側に位置し、マーカーMdistalは最も遠位側の圧力応答スリットSnから約1cmほど遠位側に位置している。オプションとして、注入カテーテル3はまた、オペレータが注入ゾーン10をグラフト内に正確に定位させることを助けるためのひとつ以上の付加的なマーカーを有する。例えば、ある実施形態では、オプションとしての定位マーカーをカテーテル3のシャフト上で注入ゾーン・マーカーMproximalの近くに位置させることができる。オプションとしての定位マーカーは、カテーテル3の注入ゾーン10セグメントの場所と深さについての別の目印となって、例えば溶解剤がグラフトの外側の非標的部位に注入されないようにする。いくつかの実施形態では、マーカー(例えば、Mdistal、Mproximal)はそれぞれオプションである。
【0024】
図2に示されるように、カテーテル2は注入カテーテル3の内部に嵌合され、ハブ・アセンブリ13の側方ポート22に係合することによりカテーテル・ハブ14に封止的に結合される。この好ましい実施形態では、注入カテーテル3は内径が3Frenchで、外径が4,5,6又は7 Frenchである。例えば、いくつかの実施形態では、組み立てたときに流体の流れのための円環状通路が3Frenchの閉塞カテーテル(例えば、バルーン・カテーテル)と4,5,6又は7 Frenchの注入カテーテルの間に作り出される。円環状スペースの寸法は、治療ゾーン(例えば、血塊)への所望の流体の流れを許すに十分である。
【0025】
他の実施形態では、カテーテル2はまた、カテーテル管腔17に完全に挿入されたときに注入カテーテルの端部9における開口を閉塞する機能を有する。カテーテル2成分とカテーテル3成分は、カテーテル2が端部9の開口にしっかりと嵌合して閉塞するような寸法にすることができる。ある実施形態では、バルーン・カテーテル2の外径と外側の注入カテーテル3の端部9における開口はどちらもほぼ0.1016cm(0.040インチ)であり、端部9で開口を閉塞できるようになっている。別の実施形態では、注入カテーテル管腔17は直径がほぼ0.1219cm(0.048インチ)であり、それが端部9における注入カテーテル末端での直径0.1016cmまで減少する。したがって、いくつかの実施形態で、閉塞ボールやワイヤなどの別の閉塞要素は不要になる。
【0026】
流体はハブを通って閉塞カテーテル2の外壁と注入カテーテル3の内壁の間の円環状流体通路に注入される。例えば、血栓溶解剤を入れた注射器(図示せず)を真直な貫通口20に結合できる。真直な貫通口20を通して注入されると、流体は管腔17によって画定される円環状の流体通路を進んで注入カテーテル3の側方ポートのスリットSnを通って血管、グラフト、及び/又はその中の血塊に出てゆく。注入カテーテル3の内径は、普通、閉塞カテーテル2の外径よりも大きいので、注入カテーテル内には注入孔から出る流体が通るための十分なスペースがある。
【0027】
好ましくは、システムは注入ゾーン10が最大になり、患者の体外の装置長さが最小になるように寸法設計される。ある実施形態では、注入ゾーン10の長さは患者の治療ゾーン全体(例えば、血塊マス)の長さに対応し、治療ゾーン全体にわたって一様な薬剤(例えば、血栓溶解剤)の送達を確保するようになっている。
【0028】
シース
さらに別の実施形態では、同軸注入カテーテル・システム1は、a)閉塞カテーテル2と、b)注入カテーテル3と、c)シース24とを備える。
【0029】
図3を参照して説明すると、シース24は、中心の管腔を画定する管状シャフト25を備える。シースは、ナイロン又は他の同様な材料で作ることができる。シースはさらに、好ましくはハブ28にしっかりと固定された開いた近位端27と、自由に開放され、ふさがれていない遠位端29を含む。好ましくは、注入カテーテルを収容するために、シース24は、内径が少なくとも4,5,6又は7 Frenchであり、近位端27から開いた遠位端29まで連続した中心管腔26を含み、ハブ28から血管内側への直接の経路となる。ある実施形態では、組み立てられた状態で、注入カテーテルのオプションとしてのマーカーMdistalとMproximalがシースの遠位端29を超えて延びている。いくつかの実施形態では、シース24は、長さが少なくとも約10cm、典型的には約10cmから約90cm、である。
【0030】
他の様態では、本発明は図4に示される同軸注入カテーテル・システム40に基づく。ある実施形態では、システム40は、a)閉塞カテーテル2、b)注入カテーテル3、及びc)閉塞チャンバ42を含むシース41とを備え、閉塞チャンバ42は、好ましくは管状のシースシャフト25の外側表面のまわりにシャフト25の遠位側領域のまわりに配置される。システム40のシース41成分は治療ゾーンの近く(例えば、動脈内の血塊の近く)の血管又はグラフトの閉塞を可能にする。
【0031】
ある実施形態では、図4の管状シースシャフト25は中心管腔26を画定する。シースはさらに、好ましくはハブ28にしっかり固定された、開いた近位端27と、開かれて妨げられない、自由な遠位端29を含む。好ましくは、シース41は、内径が少なくとも4, 5, 6又は7 Frenchであり、中心管腔26がハブ近位端30から遠位末端29まで連続し、ハブ28から血管内側への直接経路を与える。ある実施形態では、組み立てられた状態で、注入カテーテル3のオプションとしてのマーカーMdistalとMproximalがシース41の末端29を超えて延びている。いくつかの実施形態では、シース41は、長さが少なくとも約10cm、典型的には約10cmから約90cm、である。
【0032】
ある実施形態では、膨張可能な閉塞チャンバ42はウレタン・ポリマー又は熱可塑性ゴム・エラストマーから形成される。他の実施形態では、チャンバ42は膨張可能なバルーンである。別の実施形態では、チャンバ42はLatexバルーンである。膨張可能な閉塞チャンバ42はつぶされた形態と膨らまされた形態の間で膨張可能である。膨らまされると閉塞チャンバは、シースシャフト25の外壁とシステム40が配置される血管又はグラフトの内壁の間のスペースの形に合致することによって血管又はグラフトを閉塞する。閉塞チャンバ42は、システムが用いられるであろう特定の血管を実質的に又は完全に閉塞するようなサイズに適宜設計できる。
【0033】
ある実施形態では、膨張可能な閉塞チャンバ42は、膨張可能な閉塞チャンバ42に導入される物質(例えば、空気、ガス、流体)の量に応じていろいろなサイズに膨らますことができる。所望のサイズへの膨張を容易にし、過剰な膨張を避けるために、いろいろなチャンバ・サイズとそれぞれのサイズを達成するために一般に必要な膨張物質の量をリストしたチャートを用意することができる。他の実施形態では、膨張可能な閉塞チャンバ42は予め定められた最大サイズまで膨張する。
【0034】
膨張可能な閉塞チャンバ42は、膨張可能な閉塞チャンバ42の内部と連通している膨張管腔44を通して膨らまされる。膨張管腔44を通して膨張物質(例えば、空気、ガス、流体)が膨張可能な閉塞チャンバ42に導入されると、少なくともチャンバ42の中間部分45は径方向外側へ動く。
【0035】
いくつかの実施形態では、膨張管腔44はシースシャフト25の内壁に沿って長手方向に配置され、シースシャフト25の外側表面のまわりで遠位領域43のまわりに配置された閉塞チャンバ42と連通している。
【0036】
ある実施形態では、シース41の近位端27はシースハブ28に封止的に固定される。図示された実施形態では、シース41にはまた側方ポート構造46が設けられ、膨張源47と膨張管腔44の間で固定された封止的な流体連通となっている。側方ポート構造46を用いて適当な物質(例えば、空気、流体)を注入して閉塞チャンバ42を膨らませて注入ゾーン10の近くの血管を閉塞することができる。
【0037】
このように、他の実施形態では、システム40は治療ゾーンの近位側及び/又は遠位側の位置で血管又はグラフトの閉塞を可能にする。流体を閉塞カテーテル2の外壁と注入カテーテル3の内壁の間の円環状の流体通路に注入することができる。例えば、血栓溶解剤を入れた注射器を用いて溶解剤を含む溶液を注入することができ、溶液は円環状の流体通路を進んで、注入カテーテル3の側方出口スリットを通って血管(例えば、動脈)、グラフト、及び/又は閉塞(例えば、血栓)に出てゆく。閉塞カテーテル2の膨張可能な閉塞チャンバ5を、血栓溶解剤の注入の前、後、又はそれに合わせて、好ましくは血栓溶解剤の注入の前に、膨らませて治療ゾーンの遠位側の血管又はグラフトの閉塞を行うことができる。そして、シース41の膨張可能な閉塞チャンバ42を血栓溶解剤の注入の前、後、又はそれに合わせて、好ましくは血栓溶解剤の注入の前に、膨らませて治療ゾーンの近位側の血管又はグラフトの閉塞を行うことができる。
【0038】
他の様態で、本発明は治療ゾーンの近位側の血管、グラフト、及び/又は血塊を閉塞するための閉塞チャンバを有するシースを提供する。シースは、少なくともそこに摺動可能に挿入された注入カテーテルと合わせて用いられるとき、治療ゾーンに対して近位側の(例えば、動脈中の血塊に対して近位側の)血管又はグラフトの閉塞を可能にすることができる。
【0039】
別の様態で、本発明は図5に示される注入カテーテル50に基づいている。注入カテーテル50カテーテル・シャフト52の外側表面のまわりで注入ゾーン53の近位側の領域のまわりに配置された閉塞チャンバ51を備える。
【0040】
いくつかの実施形態では、注入カテーテル50はナイロン(又は、他の適当な材料)の管状ボディを有する。ある実施形態では、カテーテル50は、直径が4,5,6又は7 Frenchで、中心管腔54がカテーテル50の近位端55から遠位端56まで連続している。
【0041】
ある実施形態では、カテーテル50の管状シャフト部分は注入ゾーン53を含み、それには複数のスリットSnがあって圧力応答バルブとして働く。例えば、いくつかの実施形態では、注入ゾーンはSnを有し、nは1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,20,30,40又はそれ以上である。圧力応答スリットSnは、管腔への流体の導入によって生じた圧力レベルに応答して流体がカテーテル管腔54から出てゆくことを許す。あるいはまた、注入カテーテル50は、圧力応答スリットでなく複数の側孔を含むこともできる。
【0042】
装置は注入ゾーンが最大になり患者の体外の装置の長さが最小になるように寸法設計される。具体的には、注入ゾーン53の長さは、好ましくは患者の治療ゾーンの全長(例えば、血塊の長さ)に対応し、治療ゾーン全体にわたって一様な薬剤の送達を保証するようになっている。患者の体外にある装置の部分はできるだけ短く抑えて、溶解時の患者の動きによって生ずる問題を回避する。他の実施形態では、注入カテーテル50はオペレータが注入ゾーン53を正確に定位することを助けるひとつ以上のマーカーを有する。例えば、ある実施形態では、ひとつ以上のマーカーはカテーテル・シャフト52上で注入ゾーン53から約1cm近位側、遠位側、又は両方に位置する。
【0043】
いくつかの実施形態では、閉塞管腔58が注入カテーテル・シャフト52の内壁に沿って長手方向に配置され、カテーテル・シャフト52の外側表面で注入ゾーン53の近位側に配置された閉塞チャンバ51と連通している。図示実施形態では、閉塞管腔58は閉塞チャンバ51と連通している膨張管腔に対応し、閉塞チャンバ51は膨張可能なバルーンである。
【0044】
いくつかの実施形態では、閉塞ワイヤ又はボールなどの別の閉塞要素が端部56における開口を閉塞するために用いられる。
【0045】
ある実施形態では、カテーテル・アセンブリの遠位側開口の閉塞はバルブ(例えば、カテーテルの近位側の端と結合した止血バルブ、これは使用中にカテーテル・アセンブリの近位端から流体が流れ出すことを実質的に防ぐ)を通して閉塞ワイヤ59を挿入し、それをさらにカテーテルの長さ方向に遠位端56まで、又はそれを超えて挿入することによって遂行される。
【0046】
閉塞ワイヤは、使用中に注入カテーテル50の遠位端を実質的に封止して孔を通したスプレー散布を助けるように構成される。いくつかの実施形態では、閉塞ワイヤはワイヤボディ部分と遠位側の封止ボール部分を含む。封止ボール部分は、カテーテルの遠位端で実質的に液体を通さないシールを形成して、そのシールより近位側にある液体をカテーテルの注入スリット又は孔から押し出すことができる。カテーテルの内径は、普通、閉塞ワイヤのワイヤボディ部分の直径より大きいので、注入カテーテル内には液体が通過して注入孔から出るのに十分なスペースがある。
【0047】
他の実施形態では、カテーテル50の内径はカテーテルの遠位端における狭いネックにまで縮められる。閉塞ワイヤの封止ボール部分は、遠位端に挿入されたときにカテーテルの内側の狭いネック壁部分に落ち着き、そこでカテーテルの遠位側開口を実質的に閉塞することができる。その結果、カテーテルから押し出される実質的にすべての液体がその開口ではなく注入孔を通って出てゆくようになる。
【0048】
別の実施形態では、カテーテル50の内径はカテーテル全体にわたって一定であるが、閉塞ボールの直径は実質的にカテーテルの内径にマッチするように形成される。したがって、閉塞ボールを遠位側の末端までスライドさせることができ、それによりカテーテルの通路を実質的に閉塞し、流体を閉塞ボールの近位側の側方灌流孔又はスリットから流出させる。
【0049】
さらに別の実施形態では、閉塞ワイヤの細長いワイヤボディの近位端と結合したハブが設けられる。閉塞ワイヤのハブはカテーテル50と結合するように構成できる。したがって、閉塞ワイヤのハブは、閉塞する先端がカテーテル50に対して所望の位置に定位されるとカテーテルに対して長手方向に移動することを防ぐ。
【0050】
別の様態で、本発明は図6に示される注入カテーテル60に基づく。この注入カテーテル60はカテーテル・シャフト62の外側表面のまわりで注入ゾーン63に対して遠位側の領域のまわりに配置される閉塞チャンバ61を備える。
【0051】
いくつかの実施形態では、注入カテーテル60はナイロン(又は他の適当な材料)の管状ボディを有する。ある実施形態では、カテーテル60は、外径が4,5,6又は7 Frenchで、中心管腔64がカテーテル60の近位端65から遠位端66まで連続している。ある実施形態では、カテーテル60の管状シャフト部分は圧力応答バルブとして働く複数のスリットSnを有する注入ゾーン63を含む。例えば、いくつかの実施形態では、注入ゾーンはスリットSnを有し、nは1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,20,30,40又はそれ以上である。圧力応答スリットSnは、管腔への流体の導入によって生み出される圧力レベルに応答して流体がカテーテル管腔から出てゆくことを許す。
【0052】
装置は、注入ゾーンを最大にし、患者の体外の装置の長さを最小にするように寸法設計される。具体的にいうと、注入ゾーン63の長さは好ましくは患者の治療ゾーン全体の長さ(例えば、血塊の長さ)に対応し、治療ゾーン全体にわたって一様な薬剤の送達を保証する。患者体外の装置部分は溶解時に患者が動くことによって生ずる問題を回避するようにできるだけ短く抑えられる。他の実施形態では、注入カテーテル60はまた、オペレータが注入ゾーンを正確に定位させるのを助けるためのひとつ以上のマーカーを有する。例えば、ある実施形態では、ひとつ以上のマーカーはカテーテル・シャフト62上で注入ゾーンに対して約1cm近位側、遠位側、又はその両方に配置される。
【0053】
いくつかの実施形態では、閉塞管腔68が注入カテーテル・シャフト62の内壁に沿って長手方向に配置され、カテーテル・シャフト62の外側表面上で注入ゾーンの近位側に配置された閉塞チャンバ61と連通している。図示実施形態では、閉塞管腔68は閉塞チャンバ61と連通している膨張管腔に対応し、閉塞チャンバ61は膨張可能なバルーンである。
【0054】
いくつかの実施形態では、閉塞ワイヤ又はボールなど別の閉塞要素が端部66の開口を閉塞するために用いられる。
【0055】
ある実施形態では、カテーテル・アセンブリの遠位側開口の閉塞はバルブ(例えば、カテーテルの近位側の端と結合した止血バルブ、これは使用中にカテーテル・アセンブリの近位端から流体が流れ出すことを実質的に防ぐ)を通して閉塞ワイヤ70を挿入し、それをさらにカテーテルの長さ方向に遠位端66まで、又はそれを超えて挿入することによって遂行される。
【0056】
閉塞ワイヤは、使用中に注入カテーテル60の遠位端66を実質的に封止して孔を通してのスプレー散布を助けるように構成される。いくつかの実施形態では、閉塞ワイヤはワイヤボディ部分と遠位側の封止ボール部分を含む。封止ボール部分は、カテーテルの遠位端で実質的に液体を通さないシールを形成して、それによりシールより近位側にある液体をカテーテルの注入スリット又は孔から押し出すことができる。カテーテルの内径は、普通、閉塞ワイヤのワイヤボディ部分の直径より大きいので、注入カテーテル内には液体が通過して注入孔から出るのに十分なスペースがある。
【0057】
他の実施形態では、カテーテル60の内径はカテーテルの遠位端における狭いネックにまで縮められる。閉塞ワイヤの封止ボール部分は、遠位端に挿入されたときにカテーテルの内側の狭いネック壁部分に落ち着き、そこでカテーテルの遠位側開口を実質的に閉塞することができる。その結果、カテーテルから押し出される実質的にすべての液体がその開口ではなく注入孔を通って出てゆくようになる。
【0058】
別の実施形態では、カテーテル60の内径はカテーテル全体にわたって一定であるが、閉塞ボールの直径は実質的にカテーテルの内径にマッチするように形成される。したがって、閉塞ボールを遠位側の末端までスライドさせることができ、それによりカテーテルの通路を実質的に閉塞し、流体を閉塞ボールの近位側の側方灌流孔又はスリットから流出させる。
【0059】
さらに別の実施形態では、閉塞ワイヤの細長いワイヤボディの近位端と結合したハブが設けられる。閉塞ワイヤのハブはカテーテル60と結合するように構成できる。したがって、閉塞ワイヤのハブは、閉塞する先端がカテーテル60に対して所望の位置に定位されるとカテーテルに対して長手方向に移動することを防ぐ。
【0060】
ある様態で、本発明は図7に示される同軸注入カテーテル・システム70に基づく。
【0061】
ある実施形態では、システムは、a)注入カテーテル71と、b)細長いボディ73を有する閉塞カテーテル72とを含み、膨張可能な閉塞要素74が細長いボディ73の遠位端75に結合している。
【0062】
いくつかの実施形態では、注入カテーテル71はナイロン(又は他の適当な材料)の管状ボディを有する。ある実施形態では、カテーテル71は、外径が4,5,6又は7 Frenchで、中心管腔64がカテーテル71の近位端76から遠位端79まで連続している。いくつかの実施形態では、注入カテーテルはUNIFUSE(登録商標)カテーテル(Angiodynamics, Queensbury, NY)(例えば、4F UNI*FUSE(登録商標)注入カテーテル)又は同様の装置である。
【0063】
ある実施形態では、注入カテーテル71の管状シャフト部分は注入ゾーン77を含み、それには複数のスリットSnがあって圧力応答バルブとして働く。例えば、いくつかの実施形態では、注入ゾーンはSnを有し、nは1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,20,30,40又はそれ以上である。圧力応答スリットSnは、管腔への流体の導入によって生じた圧力レベルに応答して流体がカテーテル管腔から出てゆくことを許す。あるいはまた、注入カテーテル71は、圧力応答スリットでなく複数の側孔を含むこともできる。
【0064】
装置は注入ゾーンが最大になり患者の体外の装置の長さが最小になるように寸法設計される。具体的には、注入ゾーン77の長さは、好ましくは、治療ゾーン全体にわたって一様な薬剤の送達を保証するように患者の治療ゾーンの全長(例えば、血塊の長さ)に対応する。患者の体外にある装置の部分はできるだけ短く抑えて、溶解時の患者の動きによって生ずる問題を回避する。他の実施形態では、注入カテーテル71はオペレータが注入ゾーン77を正確に定位することを助けるひとつ以上のマーカーを有する。例えば、ある実施形態では、ひとつ以上のマーカーはカテーテル・シャフト78上で注入ゾーン77から約1cm近位側、遠位側、又は両方に位置する。
【0065】
閉塞カテーテル
いくつかの実施形態では、注入カテーテル71の内径は閉塞カテーテル72のボディ部分の直径より大きく、したがって、注入カテーテル内には注入孔並びに注入カテーテルの端部79からの液体が通過するためのスペースが十分にある。
【0066】
ある実施形態では、膨張可能な閉塞要素74は、膨張した状態で開いた形態で用いられると血液を濾過するフィルタとして機能し、要素74が膨張した状態で閉じた形態で用いられると、端の孔79に対して遠位側の位置で血管又はグラフトの管腔を閉塞するように機能する。すなわち、いくつかの実施形態では、膨張可能な閉塞要素74が閉じた形態にあるときシステム70は血管又はグラフトを完全にブロックして治療中の血塊への血栓溶解剤の飽和度を高めることがかのうであり、膨張可能な閉塞要素74が開いた形態にあるとき、治療後に血流が生じ、血流を回復させる(例えば、脚で回復させる)と共に、血栓がもしあればそれをトラップすることができる。
【0067】
図8を参照すると、ある実施形態では、膨張可能な閉塞要素74は、互い違いになったシャッター又は重なるスリットを有する2つのオーバラップする構成要素を含む排出可能な傘要素として形成される。回転の度合によって、一方の要素が他方の要素上で回転し、それにより血流(開いた形態)又は血管又はグラフト管腔の閉塞が可能である。
【0068】
いくつかの実施形態では、膨張可能な閉塞要素は、その要素をつぶれた状態から膨張/拡げた状態に転換する内在的な張力を有するように構成できる、又は折り畳みシステムを用いて膨張/拡げることができる。例えば、折り畳みシステムはほぼ典型的な傘に見られるような複数の拡げるアームを備えることができる。
【0069】
他の実施形態では、膨張可能な閉塞要素は、血栓をトラップするためのメッシュ又はネット物質を含む排出可能な傘要素である。適当なメッシュとしては当業者に公知のものがある。例えば、Saati and Tetkoメッシュなどのポリウレタン・メッシュを用いることができる。これらはシートで入手でき、容易にカットして所望の形に形成できる。好ましくは、膨張可能な閉塞要素を開いた形態で用いたときに、メッシュは血流を乱すことなく血栓物質をトラップできる。
【0070】
いくつかの実施形態では、メッシュは少なくとも約5マイクロメータ、典型的には少なくとも約5,10,15,20,25,30,35,40,50,60,70,80,90及び100マイクロメータ、の物質をトラップできる。
【0071】
ある実施形態では、閉塞カテーテル72はバルブ(例えば、カテーテルの近位側の端と結合した止血バルブ、これは使用中にカテーテル・アセンブリの近位端から流体が流れ出すことを実質的に防ぐ)を通して挿入し、その後閉塞カテーテル72はさらに注入カテーテル71の長さ方向に端の孔79まで挿入される。
【0072】
他の様態で、本発明のシステム及び/又はひとつ以上の装置/成分を含むキットが提供される。いくつかの実施形態では、キットはさらに医薬、例えばプラスミンなどの血栓溶解剤、等を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸注入カテーテル・システムであって、
a)閉塞カテーテルと、
b)注入カテーテルと、を備え、
閉塞カテーテルの少なくとも一部分が注入カテーテル内に同軸的に位置し、閉塞カテーテルはある閉塞に対して遠位側の血管又はグラフトの閉塞を可能にし、血栓溶解薬剤を含む組成物を閉塞カテーテルの外壁と注入カテーテルの内壁の間の円環状流体通路に注入して薬剤を治療ゾーンに供給することを特徴とする同軸注入カテーテル・システム。
【請求項2】
シャフトの遠位領域のまわりに閉塞チャンバを有するシースを備え、シースは閉塞に対して近位側で血管又はグラフトの閉塞を可能にすることを特徴とする請求項1に記載の同軸注入カテーテル・システム。
【請求項3】
閉塞チャンバは膨張可能なバルーンであることを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
血栓溶解薬剤はプラスミンであることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
閉塞は急性末梢動脈閉塞(aPAO)であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムと共に用いられるシースであって、
シースはシャフトの遠位領域のまわりに配置された閉塞チャンバを有し、シースはある閉塞に対して近位側の血管又はグラフトの閉塞を可能にすることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
閉塞チャンバは膨張可能なバルーンであることを特徴とする請求項6に記載のシース。
【請求項8】
血管又はグラフトのある閉塞に血栓溶解薬剤を送達するための注入カテーテルであって、
カテーテルは、(a)注入ゾーンと、(b)注入ゾーンに対して近位側の領域のまわりで、シャフトの外側表面のまわりに配置された閉塞チャンバと、を備える注入カテーテル。
【請求項9】
閉塞チャンバは膨張可能なバルーンであることを特徴とする請求項8に記載のカテーテル。
【請求項10】
請求項8に記載のカテーテルを含む注入システムであって、
システムがさらに、注入カテーテルの遠位端を実質的に又は完全に封止するように構成された閉塞ワイヤを備える注入システム。
【請求項11】
血管又はグラフトにおける閉塞に血栓溶解薬剤を送達する注入カテーテルであって、
カテーテルは、(a)注入ゾーンと、(b)注入ゾーンに対して遠位側の領域のまわりでシャフトの外側表面のまわりに配置された閉塞チャンバと、を備えることを特徴とする注入カテーテル。
【請求項12】
閉塞チャンバは膨張可能なバルーンであることを特徴とする請求項11に記載のカテーテル。
【請求項13】
同軸注入カテーテル・システムであって、
(a)血管又はグラフトにおける閉塞に血栓溶解薬剤を注入する注入ゾーンを有する注入カテーテルと、
(b)細長いボディを有する閉塞カテーテルと、を含み、
膨張可能な閉塞要素が細長いボディの遠位端に結合され、要素は膨張して開いた状態にあるとき、治療ゾーンに対して遠位側の血管又はグラフトを閉塞することができ、要素は膨張して閉じた状態にあるとき、治療ゾーンを通って血液が流れることを許す、
ことを特徴とする同軸注入カテーテル・システム。
【請求項14】
膨張可能な閉塞要素は血栓をトラップできることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
血栓は少なくとも50マイクロメータであることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
閉塞は急性末梢動脈閉塞(aPAO)であることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
膨張可能な閉塞要素は排出可能な傘要素であることを特徴とする請求項13に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−521063(P2013−521063A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556231(P2012−556231)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際出願番号】PCT/US2011/026938
【国際公開番号】WO2011/109570
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(506074484)グリフオルス・セラピユーテイクス・インコーポレーテツド (10)
【氏名又は名称原語表記】Grifols Therapeutics,Inc.
【Fターム(参考)】