泡からの液体及び気体の分離
泡がフィルタ(150、270、530)と非多孔質面(266、512)とによって画定される流路(170、260、300、540)内に導かれ、泡が流路(170、260、300、540)内を流れる際に液体がフィルタ(150、270、530)を介して泡から引き出される。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
泡(例えば、気泡が液体中又は液面上に生じている液体及び気体が混ざり合ったもの)は多くの場合、流体が圧送される際に生じる。いくつかの用途では、泡は所定の体積を占めている場合があり、他の場合によっては純粋に液体だけを含有するために必要とされる。いくつかの撮像装置の場合では、マーキング液から生じる泡がこれらの装置の内部に入り込む可能性があり、その結果、使用可能なマーキング液が損なわれ、内部プリンタが損傷し、ユーザのプロパティにダメージを与える等といったことが生じる。
【0002】
泡を減らす一般的な一方法は、泡が溜まり、その後消散するための余分なスペース及び/又は時間を設けることを含む。しかしながら、連続圧送、並びに/或いは限られたスペース及び/又は時間により、この方法が常に望ましいわけではない。他の解決策は、流体に化学薬品を添加することで泡の構造基盤を壊すことを含む。これらの添加剤は流体の組成を変える可能性があり、流体を使いものにならなくする場合が多い。別の方法は、機械的な力を加えることで泡を壊すことであるが、これによりさらに泡が生じる可能性がある。
【発明の開示】
【0003】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明では、説明の一部をなす添付図面の参照を行い、実施され得る特定の実施形態を例示として示す。これらの実施形態は、開示される主題を当業者が実施するのに十分詳細に説明され、他の実施形態を用いることができ、プロセスの電気的又は機械的な変更を特許請求項に記載の主題の範囲から逸脱せずに行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定する意味にとられるべきではなく、特許請求項に記載の主題の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
図1は、一実施形態による、流体処理システムの一部としての泡−液体/気体分離装置100を示す。泡−液体/気体分離装置100が流体処理システムのリザーバ110への入出のために流体接続される。ポンプ120が泡−液体/気体分離装置100の出口とリザーバ110の入口との間に接続される。
【0005】
一実施形態では、液体と、気体と、泡とが混ざり合ったものが、ポンプ130を用いてリザーバ110に圧送される。泡はリザーバ110の上部に上昇する。この泡は、リザーバ110に圧送されるさらなる液体、さらなる気体、及びさらなる泡によって移動させられ、リザーバ110から泡−液体/気体分離装置100に流れる。泡は次に、泡−液体/気体分離装置100のハウジング135内に位置すると共に、プレートで形成されるような非多孔質結合面140とフィルタ(例えば多孔質結合面等)150との間に形成される閉鎖流路170(例えば導管等)内を流れる。なお、フィルタ150はハウジング135を上部及び下部に分割する。
【0006】
泡が、例えばこの例では非多孔質結合面140及びフィルタ150に対してほぼ平行な流路内を流れる際、泡の液体部分がフィルタ150を湿潤させ、そのフィルタを効果的にシールする。いくつかの実施形態では、気体がプリウェットフィルタ150の内部を通過しないようにする必要があるであろう。湿潤によるフィルタのシールにより、ポンプ120がハウジング135の下部において、したがって、流路の外部のフィルタ150の下(又は外)面上において、例えば真空の吸引圧力が生じる。なお、流路の入口における圧力は吸引圧力よりも大きい。流路の出口はハウジング135の上部に開口しているため、上部は流路の入口におけるのとほぼ同じ圧力を有し、流路におけるいかなる流体力学的損失も少ない。これにより、フィルタ150を跨ぐ流路とハウジング135の下部との間に圧力差が確立する。
【0007】
フィルタ150の下面における吸引圧力がフィルタ150のスクリーン又はオリフィス気泡圧を超えない限り、実質的に液体だけが、例えば流路に対してほぼ垂直な、したがってこの例では泡の流れに対してほぼ垂直なフィルタ150を介してフィルタ150を跨ぐ圧力差により引き出される。泡は、フィルタの上を流れる際、内部の液体及び気体が分離すると低減する。この例では、気泡からの気体は次に、泡−液体/気体分離装置100の通気口160により大気に放出される。他の例示的な実施では、気体は含有されるか、又は大気に入り込まないように何らかの方法で処理され得る。泡を流路に閉じ込めることにより、泡がフィルタの上を流れる際に吸引によって液体除去を高めるように作用する。このことは、別の実施形態による流路260について図2に示されている。
【0008】
図2は、流路260に入る前は、泡が、液体264中に分散していると共におおよそ直径dを有するほぼ球状の気泡262を含有していることを示す。なお、一実施形態では、図2に示すように、例えば非多孔質結合面266である流路260の結合面とフィルタ270との間の隔たりの距離Dは、泡が流路260に入る前の、泡内のほぼ球状の気泡の直径d以下である。泡は、流路260に入る際、液体成分すなわち液体スラグ280と気体成分すなわちほぼ扁球状の気泡285に分離する。このことは、隔たり距離Dが流路260に入る前の気泡の直径dよりも小さいことに起因する。なお、ほぼ球状の気泡は強制的に扁球状になる。一実施形態では、隔たりDは約0.5mm〜約2.0mmである。
【0009】
分離した液体スラグ280及びほぼ扁球状の気泡285は、吸引を、泡層の固有の表面張力に対応させるのではなく液体スラグ280で作用させる。気泡285は、流路260の出口付近のフィルタ領域の端部に達すると、閉じ込められる前に有していた球状に再びなろうとする。しかしながら、再び完全な層状になるのに十分な液体が残っていない可能性があり、気泡が破裂する。
【0010】
一実施形態では、流路は矩形又は正方形の横断面を有してもよく、その場合、結合壁の1つは多孔質である(又はフィルタ材料から成る)。別の実施形態では、流路は図3に示すように、入り組んだ迷路状であるか又は蛇行状であり得る。これは、図3の蛇行状溝路300の一方の側をプレートで覆い、その反対の側をフィルタで覆うことで達成される。蛇行状は、流路の長さを増やすように作用し、したがって、流路内の流れの滞留時間が増すと共に液体除去に利用可能な時間が増す。他の実施形態では、蛇行状は、画像形成装置用のマーキング液処理を含む用途等、スペースが限られている用途に有利であろう。
【0011】
一実施形態では、気泡圧力についての以下の式を用いて吸引圧力を設定する:
Pbubble=(2・cos・)/r (1)
(式中、・は泡の液体成分の表面張力であり、・はフィルタに対する液体の接触角度であり、rはフィルタの孔の有効径又は湿潤される径である。
【0012】
図4は、別の実施形態での、例えば、プリンタ、コピー機、ファクシミリ装置、オールインワン装置等のようなインクジェット画像形成装置の一部として、流体処理システム400を示す。一実施形態では、流体処理システム400は、別の実施形態では、例えばインク等のマーキング液体などの液体を収容しているリザーバ420に流体接続されている、例えばプリントヘッドである流体噴射装置410を有する。リザーバ420は、一実施形態では図1の泡−液体/気体分離装置100について上述したようなものである泡−液体/気体分離装置430に流体接続される。共通の参照符号は、泡−液体気体分離装置430及び泡−液体/気体分離装置100のほぼ同様の要素を示す。別の実施形態では、例えば双方向蠕動ポンプである双方向ポンプ440が流体噴射装置410とリザーバ420との間に接続される。
【0013】
動作の際、液体及び気体は流体噴射装置410とリザーバ420との間で圧送されて、液体を流体噴射装置410に供給するか又は流体噴射装置410から気体を取り除く。この圧送作用により液体中に泡が生じ、この泡はリザーバ420内の液面上に又はその上方に溜まる。
【0014】
ポンプ440が流体噴射装置410からリザーバ420に気体を圧送すると、圧力により、泡がリザーバ420から入口逆止弁450を介して泡−液体/気体分離装置430に流出し、非多孔質結合面140とフィルタ150との間の流路150に流れ込む。このことが起こっている際、泡−液体/気体分離装置430からの出口逆止弁460は閉じたままである。ポンプ440が反転して液体をリザーバ420から流体噴射装置410に圧送すると、入口逆止弁450は閉じ、上部を加圧したままにすると共に出口逆止弁460を開いたままにする。これにより、フィルタ150の下側に吸引が生じ、この吸引により、液体が泡からフィルタ150を介して泡−液体/気体分離装置430の下部に引き込まれる。次に、液体は泡−液体/気体分離装置430を出て、出口逆止弁460を介してリザーバ420に流れ込む。ポンプ440が流体噴射装置410からリザーバ420に再び気体を圧送すると、出口逆止弁460は閉じ、下部は上部よりも低い圧力に加圧されたままとなり、入口逆止弁450が開く。なお、入口逆止弁450及び出口逆止弁460は、フィルタ150を跨ぐ圧力差を維持するように作用する。
【0015】
図3は、別の実施形態による、蛇行状流路300の逆止弁の実施を示す。この実施は、円板型入口逆止弁310及び円板型出口逆止弁320を用いることを含み、これらは、入口/出口ポート330に接続され、これは図4のリザーバ420等のリザーバに接続される。動作の際、点で示すように、泡は円板型入口逆止弁310の入口312を通って流れ、蛇行状流路300に導かれる。円板型出口逆止弁320の入口322は、蛇行状流路300の底面のフィルタ(図3には示さず)の下に位置するチャンバ(図3には示さず)に接続される。吸引段階の際、点で示すように液体は入口322を通過し、矢印で示すように入口/出口ポート330に流れ、「x」で示すように入口/出口330を通って流れる。
【0016】
図5Aは、別の実施形態による、泡−液体/気体分離装置500の横断面図である。泡−液体/気体分離装置500は、外側湾曲面512の周りに螺旋となっている螺旋リブ520を有する筒状コア510を含む。図5Bは、別の実施形態による筒状コア510の等角投影図である。フィルタ(例えば多孔質膜等)530が螺旋リブ520の周りに配置されて、フィルタ530の内表面532が螺旋リブ520の湾曲縁522と接触する。これにより、筒状コア510の外側湾曲面512とフィルタ530の内表面532との間に螺旋流路540が形成される。なお、一実施形態では、フィルタ530はコア510と同軸である。図5Cは、別の実施形態による、螺旋リブ520の周りに配置されているフィルタ530を示す等角投影図である。一実施形態では、ハウジング550は、フィルタ530の周りに配置される。別の実施形態では、ハウジング550は、フィルタ530及びコア510と同軸のチューブである矩形のハウジング等であってもよい。図5Dは、別の実施形態による、泡−液体/気体分離装置500の等角投影図である。
【0017】
動作の際、泡は螺旋流路540内を流れ、吸引圧力がハウジング550の出口552にかけられる。吸引により、液体が泡からフィルタ530を介してハウジング550に引き込まれ、出口552から出る。気体は螺旋流路540から出る。
【0018】
図6は、一実施形態による、流体処理システム400等の流体処理システムの一部としてリザーバ620内に配置される泡−液体/気体分離装置500を示す。なお、一実施形態では、入口逆止弁650は螺旋流路540に接続され、出口逆止弁660はハウジング550の出口552に接続されることに留意されたい。泡は入口逆止弁650を通って螺旋流路540に入り、出口逆止弁660が閉じている間に、螺旋流路540内を流れる。外側逆止弁660に加えられる吸引により、液体が泡からフィルタ530を介して引き出され、その一方、入口逆止弁650は閉じたままである。なお、上述のように、逆止弁の作用によりフィルタを跨ぐ圧力差が維持されることを留意されたい。一実施形態では、コア510は、中空とすることができ、螺旋流路540の出口に接続されて螺旋流路540の端部で気体を大気に放出する。
【0019】
図7Aは、別の実施形態による、カバーが取り除かれている状態のプリントカートリッジ700の一部の本体710の等角投影図である。泡−液体/気体分離装置500は、プリントカートリッジ700内に配置されている。図7Bは、本体710が取り除かれている状態のプリントカートリッジ700のカバー720の等角投影図である。なお、入口逆止弁740はカバー720とは反対側の、泡−液体/気体分離装置500の端部に位置する。入口逆止弁740は、図6の入口逆止弁650と類似しており、螺旋流路540に接続される。レーザ溶接部等の溶接部750により、泡−液体/気体分離装置500をカバー720に固定する。図7Cは、ハウジング550及びフィルタ530が泡−液体/気体分離装置500から取り除かれており、そのため、コア510が露呈している、カバー720を示す。コア510は、例えば、カバー720を貫通している通気孔740に、例えば締り嵌めするように、受け取られる。動作の際、図5Aに示すように螺旋流路540を出る気体は、通気孔740を通ってプリントカートリッジ700の外部の大気に放出される。
[結論]
特定の実施形態を本明細書に図示し説明してきたが、特許請求項に記載の主題の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることを意図することは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本開示の一実施形態による、泡−液体/気体分離装置の一実施形態を示す図である。
【図2】本開示の一実施形態による、泡−液体/気体分離の一実施形態を示す図である。
【図3】本開示の一実施形態による、泡流路の一実施形態を示す図である。
【図4】本開示の一実施形態による、流体処理システムの一実施形態を示す図である。
【図5A】本開示の一実施形態による、泡−液体/気体分離装置の別の実施形態の横断面図である。
【図5B】本開示の別の実施形態による、泡−液体/気体分離装置の筒状コアの一実施形態の等角投影図である。
【図5C】本開示の別の実施形態による、泡−液体/気体分離装置のコアの周りに配されたフィルタを示す等角投影図である。
【図5D】本開示の別の実施形態による、泡−液体/気体分離装置の別の実施形態の等角投影図である。
【図6】本開示の一実施形態による、リザーバ内に配置された泡−液体/気体分離装置の別の実施形態を示す図である。
【図7A】カバーが取り除かれた状態のプリントカートリッジ本体の等角投影図であり、本開示の別の実施形態による、プリントカートリッジ本体に配置されている泡−液体/気体分離装置の一実施形態を示す。
【図7B】プリントカートリッジ本体が取り除かれている、図7Aのプリントカートリッジのカバーの等角投影図であり、当該カバーに接続されている泡−液体/気体分離装置を示す。
【図7C】図7Bのカバーを示し、当該カバーに接続されている泡−液体/気体分離装置のコアを示す図である。
【背景技術】
【0001】
泡(例えば、気泡が液体中又は液面上に生じている液体及び気体が混ざり合ったもの)は多くの場合、流体が圧送される際に生じる。いくつかの用途では、泡は所定の体積を占めている場合があり、他の場合によっては純粋に液体だけを含有するために必要とされる。いくつかの撮像装置の場合では、マーキング液から生じる泡がこれらの装置の内部に入り込む可能性があり、その結果、使用可能なマーキング液が損なわれ、内部プリンタが損傷し、ユーザのプロパティにダメージを与える等といったことが生じる。
【0002】
泡を減らす一般的な一方法は、泡が溜まり、その後消散するための余分なスペース及び/又は時間を設けることを含む。しかしながら、連続圧送、並びに/或いは限られたスペース及び/又は時間により、この方法が常に望ましいわけではない。他の解決策は、流体に化学薬品を添加することで泡の構造基盤を壊すことを含む。これらの添加剤は流体の組成を変える可能性があり、流体を使いものにならなくする場合が多い。別の方法は、機械的な力を加えることで泡を壊すことであるが、これによりさらに泡が生じる可能性がある。
【発明の開示】
【0003】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明では、説明の一部をなす添付図面の参照を行い、実施され得る特定の実施形態を例示として示す。これらの実施形態は、開示される主題を当業者が実施するのに十分詳細に説明され、他の実施形態を用いることができ、プロセスの電気的又は機械的な変更を特許請求項に記載の主題の範囲から逸脱せずに行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定する意味にとられるべきではなく、特許請求項に記載の主題の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
図1は、一実施形態による、流体処理システムの一部としての泡−液体/気体分離装置100を示す。泡−液体/気体分離装置100が流体処理システムのリザーバ110への入出のために流体接続される。ポンプ120が泡−液体/気体分離装置100の出口とリザーバ110の入口との間に接続される。
【0005】
一実施形態では、液体と、気体と、泡とが混ざり合ったものが、ポンプ130を用いてリザーバ110に圧送される。泡はリザーバ110の上部に上昇する。この泡は、リザーバ110に圧送されるさらなる液体、さらなる気体、及びさらなる泡によって移動させられ、リザーバ110から泡−液体/気体分離装置100に流れる。泡は次に、泡−液体/気体分離装置100のハウジング135内に位置すると共に、プレートで形成されるような非多孔質結合面140とフィルタ(例えば多孔質結合面等)150との間に形成される閉鎖流路170(例えば導管等)内を流れる。なお、フィルタ150はハウジング135を上部及び下部に分割する。
【0006】
泡が、例えばこの例では非多孔質結合面140及びフィルタ150に対してほぼ平行な流路内を流れる際、泡の液体部分がフィルタ150を湿潤させ、そのフィルタを効果的にシールする。いくつかの実施形態では、気体がプリウェットフィルタ150の内部を通過しないようにする必要があるであろう。湿潤によるフィルタのシールにより、ポンプ120がハウジング135の下部において、したがって、流路の外部のフィルタ150の下(又は外)面上において、例えば真空の吸引圧力が生じる。なお、流路の入口における圧力は吸引圧力よりも大きい。流路の出口はハウジング135の上部に開口しているため、上部は流路の入口におけるのとほぼ同じ圧力を有し、流路におけるいかなる流体力学的損失も少ない。これにより、フィルタ150を跨ぐ流路とハウジング135の下部との間に圧力差が確立する。
【0007】
フィルタ150の下面における吸引圧力がフィルタ150のスクリーン又はオリフィス気泡圧を超えない限り、実質的に液体だけが、例えば流路に対してほぼ垂直な、したがってこの例では泡の流れに対してほぼ垂直なフィルタ150を介してフィルタ150を跨ぐ圧力差により引き出される。泡は、フィルタの上を流れる際、内部の液体及び気体が分離すると低減する。この例では、気泡からの気体は次に、泡−液体/気体分離装置100の通気口160により大気に放出される。他の例示的な実施では、気体は含有されるか、又は大気に入り込まないように何らかの方法で処理され得る。泡を流路に閉じ込めることにより、泡がフィルタの上を流れる際に吸引によって液体除去を高めるように作用する。このことは、別の実施形態による流路260について図2に示されている。
【0008】
図2は、流路260に入る前は、泡が、液体264中に分散していると共におおよそ直径dを有するほぼ球状の気泡262を含有していることを示す。なお、一実施形態では、図2に示すように、例えば非多孔質結合面266である流路260の結合面とフィルタ270との間の隔たりの距離Dは、泡が流路260に入る前の、泡内のほぼ球状の気泡の直径d以下である。泡は、流路260に入る際、液体成分すなわち液体スラグ280と気体成分すなわちほぼ扁球状の気泡285に分離する。このことは、隔たり距離Dが流路260に入る前の気泡の直径dよりも小さいことに起因する。なお、ほぼ球状の気泡は強制的に扁球状になる。一実施形態では、隔たりDは約0.5mm〜約2.0mmである。
【0009】
分離した液体スラグ280及びほぼ扁球状の気泡285は、吸引を、泡層の固有の表面張力に対応させるのではなく液体スラグ280で作用させる。気泡285は、流路260の出口付近のフィルタ領域の端部に達すると、閉じ込められる前に有していた球状に再びなろうとする。しかしながら、再び完全な層状になるのに十分な液体が残っていない可能性があり、気泡が破裂する。
【0010】
一実施形態では、流路は矩形又は正方形の横断面を有してもよく、その場合、結合壁の1つは多孔質である(又はフィルタ材料から成る)。別の実施形態では、流路は図3に示すように、入り組んだ迷路状であるか又は蛇行状であり得る。これは、図3の蛇行状溝路300の一方の側をプレートで覆い、その反対の側をフィルタで覆うことで達成される。蛇行状は、流路の長さを増やすように作用し、したがって、流路内の流れの滞留時間が増すと共に液体除去に利用可能な時間が増す。他の実施形態では、蛇行状は、画像形成装置用のマーキング液処理を含む用途等、スペースが限られている用途に有利であろう。
【0011】
一実施形態では、気泡圧力についての以下の式を用いて吸引圧力を設定する:
Pbubble=(2・cos・)/r (1)
(式中、・は泡の液体成分の表面張力であり、・はフィルタに対する液体の接触角度であり、rはフィルタの孔の有効径又は湿潤される径である。
【0012】
図4は、別の実施形態での、例えば、プリンタ、コピー機、ファクシミリ装置、オールインワン装置等のようなインクジェット画像形成装置の一部として、流体処理システム400を示す。一実施形態では、流体処理システム400は、別の実施形態では、例えばインク等のマーキング液体などの液体を収容しているリザーバ420に流体接続されている、例えばプリントヘッドである流体噴射装置410を有する。リザーバ420は、一実施形態では図1の泡−液体/気体分離装置100について上述したようなものである泡−液体/気体分離装置430に流体接続される。共通の参照符号は、泡−液体気体分離装置430及び泡−液体/気体分離装置100のほぼ同様の要素を示す。別の実施形態では、例えば双方向蠕動ポンプである双方向ポンプ440が流体噴射装置410とリザーバ420との間に接続される。
【0013】
動作の際、液体及び気体は流体噴射装置410とリザーバ420との間で圧送されて、液体を流体噴射装置410に供給するか又は流体噴射装置410から気体を取り除く。この圧送作用により液体中に泡が生じ、この泡はリザーバ420内の液面上に又はその上方に溜まる。
【0014】
ポンプ440が流体噴射装置410からリザーバ420に気体を圧送すると、圧力により、泡がリザーバ420から入口逆止弁450を介して泡−液体/気体分離装置430に流出し、非多孔質結合面140とフィルタ150との間の流路150に流れ込む。このことが起こっている際、泡−液体/気体分離装置430からの出口逆止弁460は閉じたままである。ポンプ440が反転して液体をリザーバ420から流体噴射装置410に圧送すると、入口逆止弁450は閉じ、上部を加圧したままにすると共に出口逆止弁460を開いたままにする。これにより、フィルタ150の下側に吸引が生じ、この吸引により、液体が泡からフィルタ150を介して泡−液体/気体分離装置430の下部に引き込まれる。次に、液体は泡−液体/気体分離装置430を出て、出口逆止弁460を介してリザーバ420に流れ込む。ポンプ440が流体噴射装置410からリザーバ420に再び気体を圧送すると、出口逆止弁460は閉じ、下部は上部よりも低い圧力に加圧されたままとなり、入口逆止弁450が開く。なお、入口逆止弁450及び出口逆止弁460は、フィルタ150を跨ぐ圧力差を維持するように作用する。
【0015】
図3は、別の実施形態による、蛇行状流路300の逆止弁の実施を示す。この実施は、円板型入口逆止弁310及び円板型出口逆止弁320を用いることを含み、これらは、入口/出口ポート330に接続され、これは図4のリザーバ420等のリザーバに接続される。動作の際、点で示すように、泡は円板型入口逆止弁310の入口312を通って流れ、蛇行状流路300に導かれる。円板型出口逆止弁320の入口322は、蛇行状流路300の底面のフィルタ(図3には示さず)の下に位置するチャンバ(図3には示さず)に接続される。吸引段階の際、点で示すように液体は入口322を通過し、矢印で示すように入口/出口ポート330に流れ、「x」で示すように入口/出口330を通って流れる。
【0016】
図5Aは、別の実施形態による、泡−液体/気体分離装置500の横断面図である。泡−液体/気体分離装置500は、外側湾曲面512の周りに螺旋となっている螺旋リブ520を有する筒状コア510を含む。図5Bは、別の実施形態による筒状コア510の等角投影図である。フィルタ(例えば多孔質膜等)530が螺旋リブ520の周りに配置されて、フィルタ530の内表面532が螺旋リブ520の湾曲縁522と接触する。これにより、筒状コア510の外側湾曲面512とフィルタ530の内表面532との間に螺旋流路540が形成される。なお、一実施形態では、フィルタ530はコア510と同軸である。図5Cは、別の実施形態による、螺旋リブ520の周りに配置されているフィルタ530を示す等角投影図である。一実施形態では、ハウジング550は、フィルタ530の周りに配置される。別の実施形態では、ハウジング550は、フィルタ530及びコア510と同軸のチューブである矩形のハウジング等であってもよい。図5Dは、別の実施形態による、泡−液体/気体分離装置500の等角投影図である。
【0017】
動作の際、泡は螺旋流路540内を流れ、吸引圧力がハウジング550の出口552にかけられる。吸引により、液体が泡からフィルタ530を介してハウジング550に引き込まれ、出口552から出る。気体は螺旋流路540から出る。
【0018】
図6は、一実施形態による、流体処理システム400等の流体処理システムの一部としてリザーバ620内に配置される泡−液体/気体分離装置500を示す。なお、一実施形態では、入口逆止弁650は螺旋流路540に接続され、出口逆止弁660はハウジング550の出口552に接続されることに留意されたい。泡は入口逆止弁650を通って螺旋流路540に入り、出口逆止弁660が閉じている間に、螺旋流路540内を流れる。外側逆止弁660に加えられる吸引により、液体が泡からフィルタ530を介して引き出され、その一方、入口逆止弁650は閉じたままである。なお、上述のように、逆止弁の作用によりフィルタを跨ぐ圧力差が維持されることを留意されたい。一実施形態では、コア510は、中空とすることができ、螺旋流路540の出口に接続されて螺旋流路540の端部で気体を大気に放出する。
【0019】
図7Aは、別の実施形態による、カバーが取り除かれている状態のプリントカートリッジ700の一部の本体710の等角投影図である。泡−液体/気体分離装置500は、プリントカートリッジ700内に配置されている。図7Bは、本体710が取り除かれている状態のプリントカートリッジ700のカバー720の等角投影図である。なお、入口逆止弁740はカバー720とは反対側の、泡−液体/気体分離装置500の端部に位置する。入口逆止弁740は、図6の入口逆止弁650と類似しており、螺旋流路540に接続される。レーザ溶接部等の溶接部750により、泡−液体/気体分離装置500をカバー720に固定する。図7Cは、ハウジング550及びフィルタ530が泡−液体/気体分離装置500から取り除かれており、そのため、コア510が露呈している、カバー720を示す。コア510は、例えば、カバー720を貫通している通気孔740に、例えば締り嵌めするように、受け取られる。動作の際、図5Aに示すように螺旋流路540を出る気体は、通気孔740を通ってプリントカートリッジ700の外部の大気に放出される。
[結論]
特定の実施形態を本明細書に図示し説明してきたが、特許請求項に記載の主題の範囲は添付の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることを意図することは明白である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本開示の一実施形態による、泡−液体/気体分離装置の一実施形態を示す図である。
【図2】本開示の一実施形態による、泡−液体/気体分離の一実施形態を示す図である。
【図3】本開示の一実施形態による、泡流路の一実施形態を示す図である。
【図4】本開示の一実施形態による、流体処理システムの一実施形態を示す図である。
【図5A】本開示の一実施形態による、泡−液体/気体分離装置の別の実施形態の横断面図である。
【図5B】本開示の別の実施形態による、泡−液体/気体分離装置の筒状コアの一実施形態の等角投影図である。
【図5C】本開示の別の実施形態による、泡−液体/気体分離装置のコアの周りに配されたフィルタを示す等角投影図である。
【図5D】本開示の別の実施形態による、泡−液体/気体分離装置の別の実施形態の等角投影図である。
【図6】本開示の一実施形態による、リザーバ内に配置された泡−液体/気体分離装置の別の実施形態を示す図である。
【図7A】カバーが取り除かれた状態のプリントカートリッジ本体の等角投影図であり、本開示の別の実施形態による、プリントカートリッジ本体に配置されている泡−液体/気体分離装置の一実施形態を示す。
【図7B】プリントカートリッジ本体が取り除かれている、図7Aのプリントカートリッジのカバーの等角投影図であり、当該カバーに接続されている泡−液体/気体分離装置を示す。
【図7C】図7Bのカバーを示し、当該カバーに接続されている泡−液体/気体分離装置のコアを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の結合面(266、512)と第2の結合面(270、532)との間に画定される流路(170、260、300、540)であって、前記第1の結合面(266、512)は非多孔質面であり、前記第2の結合面(270、532)の少なくとも一部はフィルタ(150、270、530)である、流路(170、260、300、540)を備え、
前記第1の結合面(266、512)と前記第2の結合面(270、532)との間の隔たり距離により、動作の際に前記流路(170、260、300、540)内の気体領域(285)間に散在する液体領域(280)の流れが生じ、前記液体領域(280)及び前記気体領域(285)はそれぞれ、前記第1の結合面(266、512)と前記第2の結合面(270、532)との間の前記隔たり距離にわたることを特徴とする泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項2】
動作の間、第1の圧力が前記流路(170、260、300、540)の入口に存在し、第2の圧力が前記フィルタ(150、270、530)の外表面に存在し、そのため、前記フィルタ(150、270、530)を跨ぐ圧力差を確立するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項3】
前記流路(170、260、300、540)は蛇行状又は螺旋状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項4】
前記第1の結合面(266、512)と前記第2の結合面(270、532)との間の前記隔たり距離は、前記泡が前記流路(170、260、300、540)に入る前の前記泡中の気泡の大きさ以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項5】
前記液体領域(280)からの液体は、前記フィルタ(150、270、530)を介して引き出されることによって、前記気体領域(285)間に散在する液体領域(280)の前記流れから実質的に除去されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項6】
前記流路(170、260、300、540)の入口に接続される第1の逆止弁(450、310、650)と、
前記流路(170、260、300、540)の外部の前記フィルタの外表面に流体接続される第2の逆止弁(460、320、660)とをさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項7】
前記第1の逆止弁(450、310、650)及び前記第2の逆止弁(460、320、660)は、前記泡−液体/気体分離装置(100、430、500)の動作の間、前記フィルタ(150、270、530)を跨ぐ圧力差を少なくとも一時的に維持するように構成可能であることを特徴とする請求項6に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項8】
前記泡−液体/気体分離装置(100、430、500)はリザーバ(620)又はプリントカートリッジ(700)内に配置されることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項9】
泡から液体を引き出す方法であって、
フィルタ(530)と非多孔質筒状面(512)とによって画定される螺旋状流路(540)内に前記泡を導くことと、
前記泡が前記螺旋状流路(540)内を流れる際に、前記フィルタ(530)を介して前記泡から液体を引き出すこととを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記螺旋状流路(540)、フィルタ(530)、及び非多孔質筒状面(512)は、リザーバ(620)又はプリントカートリッジ(700)内に配置されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項1】
第1の結合面(266、512)と第2の結合面(270、532)との間に画定される流路(170、260、300、540)であって、前記第1の結合面(266、512)は非多孔質面であり、前記第2の結合面(270、532)の少なくとも一部はフィルタ(150、270、530)である、流路(170、260、300、540)を備え、
前記第1の結合面(266、512)と前記第2の結合面(270、532)との間の隔たり距離により、動作の際に前記流路(170、260、300、540)内の気体領域(285)間に散在する液体領域(280)の流れが生じ、前記液体領域(280)及び前記気体領域(285)はそれぞれ、前記第1の結合面(266、512)と前記第2の結合面(270、532)との間の前記隔たり距離にわたることを特徴とする泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項2】
動作の間、第1の圧力が前記流路(170、260、300、540)の入口に存在し、第2の圧力が前記フィルタ(150、270、530)の外表面に存在し、そのため、前記フィルタ(150、270、530)を跨ぐ圧力差を確立するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項3】
前記流路(170、260、300、540)は蛇行状又は螺旋状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項4】
前記第1の結合面(266、512)と前記第2の結合面(270、532)との間の前記隔たり距離は、前記泡が前記流路(170、260、300、540)に入る前の前記泡中の気泡の大きさ以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項5】
前記液体領域(280)からの液体は、前記フィルタ(150、270、530)を介して引き出されることによって、前記気体領域(285)間に散在する液体領域(280)の前記流れから実質的に除去されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項6】
前記流路(170、260、300、540)の入口に接続される第1の逆止弁(450、310、650)と、
前記流路(170、260、300、540)の外部の前記フィルタの外表面に流体接続される第2の逆止弁(460、320、660)とをさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項7】
前記第1の逆止弁(450、310、650)及び前記第2の逆止弁(460、320、660)は、前記泡−液体/気体分離装置(100、430、500)の動作の間、前記フィルタ(150、270、530)を跨ぐ圧力差を少なくとも一時的に維持するように構成可能であることを特徴とする請求項6に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項8】
前記泡−液体/気体分離装置(100、430、500)はリザーバ(620)又はプリントカートリッジ(700)内に配置されることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の泡−液体/気体分離装置(100、430、500)。
【請求項9】
泡から液体を引き出す方法であって、
フィルタ(530)と非多孔質筒状面(512)とによって画定される螺旋状流路(540)内に前記泡を導くことと、
前記泡が前記螺旋状流路(540)内を流れる際に、前記フィルタ(530)を介して前記泡から液体を引き出すこととを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記螺旋状流路(540)、フィルタ(530)、及び非多孔質筒状面(512)は、リザーバ(620)又はプリントカートリッジ(700)内に配置されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【公表番号】特表2009−500172(P2009−500172A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521450(P2008−521450)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/026426
【国際公開番号】WO2007/008629
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/026426
【国際公開番号】WO2007/008629
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】
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