説明

波長の異なる光で物体を照射するための配置

本発明は、顕微鏡、自動顕微鏡、蛍光顕微鏡装置に使用される、異なる波長の光で物体を照射するためのアセンブリに関する。このアセンブリは、物体を照射するためのLED光源からなり、顕微鏡や装置の放射ビームの経路に位置する。回転軸(5)の周りを回転する受け台(6,13)は、少なくとも1つのLED(3;3.1)を固定する部品(7)で取り付けられる。受け台(6、13)はハウジング(1)内にあり、装置のハウジング(18)中に配置されている。測定や観察に必要なそれぞれの焦点波長を有するLED(3;3.1)がハウジング(1)の光照射開口(2)の前に位置するように、受け台(6、13)を調節する駆動ユニット(9)が設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば滴定皿やバイオチップ読取器の読出し装置中の、顕微鏡、自動顕微鏡および蛍光顕微鏡において、波長の異なる光で物体を照射するための配置に関する。
【背景技術】
【0002】
広視野の蛍光顕微鏡においては、観察や測定に適した波長を検査すべき物体や試料に電磁照射するために、分光フィルタと組み合わせた白色光源としてハロゲンランプやアークランプが一般に使用されている。しかしながら、このような白色光源は寿命が短いので、しばしば交換しなければならない。これらの光源はまた、大量の熱を発生するので、観察や測定への悪影響もある。更に、これらの光源中の分光的に使用されない部分は、何らかの方法で抑えなければならない。これらの光源の更なる問題点は、残光のために急速オンオフができないことである。
【0003】
広視野の蛍光顕微鏡に十分な、100mW以上の光出力を有する光源は公知であり利用可能である。その光源は主にカラーLEDで、約20〜50nmの分光半値幅を有する。しかしながら、青色と緑色の領域に最大の分光を有する白色光LEDもある。カラーLEDの出力は、約20〜60nm帯域の励起光に分光フィルタリングされた後のハロゲンランプやアークランプの光出力と同等である。
【0004】
顕微鏡の照明用には、例えば照射用の白色光を得るために、異なる波長の3つ以上のLED(RGB光源)を使用するのが最高の技術である。
DE10017823A1では、光ダイオードを配列した光源を有する顕微鏡用照明装置を開示している。このダイオード配列は白色光ダーオードや赤外光ダイオードも含み、検査対象の入射照明、送信光照明、あるいはその組合せ照明も実現できる。対象物の「傾斜」照明も可能である。
【0005】
この照明装置の問題点は、顕微鏡の照射光路に、スイッチオンをするための装置や異なるLEDを置くことができないことである。
【特許文献1】DE10017823A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特に蛍光顕微鏡の光路に交互に、同じ/異なる波長の光を照射するLED光源を高速で正確に配置可能にさせることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の手段の前文で示される配列よって達成される。本発明の更なる考案や詳細は従属請求項に示されている。受け台の具体例は、搭載台が置かれている、軸に沿って回転可能な回転テーブルである。
本発明の第1の実施例では、搭載台が受け台上に固定されて、少なくとも1つのLED
の主照射方向は回転軸に平行であるのが好ましい。
【0008】
本発明の他の実施例では、搭載台が受け台上に固定されて、少なくとも1つのLEDの主照射方向が回転軸から放射状であるのが望ましい。
LEDによる放射光を揃える又は一列に並べる、及び/又は均質にするために、コリメータやこの分野で周知の放射均質化装置が、ハウジングの光照射窓から光が流れる下流方向に取り付けられる。
【0009】
単一色のLEDではカバーできない、光スペクトルのギャップをカバーするために、LEDのうちの少なくとも1つが白色光の発光LEDであるのが望ましい。
使用されるLEDは大電流で動作し、高光効率が得られるので、LEDを冷却するためのペルチェ冷却装置が、受け台とLEDとの間に配置される。
【0010】
ある用途に対しては、ハロゲンランプやダイオードレーザ等の他の光源が受け台の少なくとも1つの搭載台上に配置される。
配列のハウジングは、装置のハウジングに取り外せるように固定されているのが好ましい。ハウジングが装置ハウジング上で、例えばV字型継手の形状の迅速変化リングを用いて調整できるように配置されているのが好ましい。
【0011】
少なくとも1つのLEDは搭載台中で、ソケット中に適当なプラグを用いて、交換可能であると更に好ましい。更に、少なくとも1つのLEDは、関連するペルチェ冷却素子と確実に組み合わさっていて、搭載台中で一緒に交換できるのが望ましい。交換の際、LEDとペルチェ冷却素子とは単一ユニットとして交換される。LEDとペルチェ冷却素子とは又、相互に外れるようになっていて、ペルチェ冷却素子を交換せずにLEDのみを交換してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図中で同じ設計や機能目的を有する要素や部品には、実施例の説明で同じ参照番号を付した。
図1に簡略化して示した、顕微鏡中で異なる波長の光で物体を照射する配列ハウジング1を含む。光源として使用されるLED3からの光が通る光照射用開口2を備え、例えば、蛍光顕微鏡や、滴定皿の読み出し装置やバイオチップ読取装置の照射光路中に導入される。シャフト4上に配置された受け台6はハウジング1中に配置されて、シャフトは、回転テーブルとして図1に示されている回転台5の軸の周りを回転可能であり、LED3とペルチェ冷却素子8とに取り付けられている搭載台7を備える。LED3とペルチェ冷却素子8とが組み合わさって単一ユニットになり、必要ならば簡単に一緒に交換可能なことが望ましい。ペルチェ冷却素子8はLED3と組み合わさっているので、LED3は高電流で操作可能であり、従って高光出力を達成できる。図1では、受け台6上に4つのLED3;3.1が配置されている。理論的には、LED3;3.1は4以上でも以下でもよい。LED3;3.1とペルチェ冷却素子8とは、留め金や磁気搭載によって受け台6に搭載されて、容易に迅速に交換可能なのが望ましい。
【0013】
シャフト4、駆動装置9、を駆動するために、例えば、制御可能モータが取り付けられる。それと共に、検査すべき物体の照射に必要な、又は適合する、望ましい効果的な波長を有するLED3が、光放射開口2の上流に置かれ、それによって、LED3が放射する照射光が、装置の光路中に入る。LED3の主要な照射方向は回転軸5に平行である。
【0014】
駆動装置9を適切に制御するために、制御ユニット10が取り付けられて、適切なソフトウエアを用いて制御される。別法として、LED3;3.1は、マニュアルで、または駆動装置9をマニュアルで制御することによって位置決めされる。図1の実施例において、光を束ねるためのコリメータ11や必要ならば光フィルタは、光放射開口2の川下方向に配置される。更に、LED3;3.1の放射面は、光収集効果が得られるように設定される。従って、LEDの放射面は、図1のLED3.1に示されるように、レンズ形状をしている。
【0015】
光放射開口2が配置されているハウジング1の側にフランジ12が取り付けられて、装置ハウジング18への迅速取り付けを容易にするのが望ましい。
図2は4つのLED3;3.1が取り付けられている回転テーブルを示す受け台6の平面図である。
【0016】
図3と図4は、駆動装置9によって駆動されるシャフト4の上にプリズム状受け台13が配置された、別の実施例である。4つの周縁面14のそれぞれに搭載台7、ペルチェ冷却部品8、およびLED3が、図1と図2の配置と同様に配置される。この実施例のLED3の主要な放射方向は回転軸5の放射状方向である。プリズム状受け台13に適合した設計であれば、4つのLEDの代わりにそれ以上または以下のLEDでもよい。
【0017】
この配列のように、搭載台7、ペルチェ冷却部品8、および対応するLED3が、プリズム状受け台13の各周縁面14上順次配列される。光放射開口2と関係するコリメータ11は、ハウジングの中に配置される。この場合、駆動装置9は制御ユニット10に制御される。
【0018】
図5は、光放射開口2を通るLEDによって放射される光束をある形状にし、均一化する部品と接続した、図1および図2の配置の例示である。放射光均一化器は、この実施例において複数の部品からなる、コリメータ15の光の方向の川下に置かれる。環状や多角形状の、光導波路の役割をするガラスロッドやプラスチックロッド、ミラーの内面を有する空洞ロッド、または、液で充填された光導波路が放射光均一化器16として使用される。
【0019】
個々のLED3は適切に選択されて、その照射光は、しばしば使用される、FITS,Cy3、Cy5,APC等の蛍光の吸収スペクトルと整合するスペクトルを有する。
観察や測定の際にLED3のスペクトル中のギャップをカバーするために、LED3の少なくとも1つは白色光17(図2)、好ましくは白色光を放射するLED、で置き換えられる。更に、LEDに位置は、例えば反射器付きのハロゲンランプのようなハロゲン光源17が搭載台7の上に固定されてもよい。
【0020】
図6は、顕微鏡や読み出し装置の装置ハウジングに配列されたハウジングの簡単な付属品を示す。ハウジング1の上に取り付けられた受光フランジ12と、装置ハウジング18の上に取り付けられてフランジ12と組み合わされる受け器と、からなる、例えば鳩の尻尾の形状の迅速交換リングが設置される。この接合によって全体の迅速交換が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】回転テーブルである受け台の配置図。
【図2】LEDが配置された回転テーブルの平面図。
【図3】回転軸に対して放射方向に配置された搭載台を有する受け台の配置図。
【図4】回転受け台平面図。
【図5】コリメータと光均一化器とが備えられた配置図。
【図6】アセンブリが装置ハウジングに固定される方法を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡、自動顕微鏡、および蛍光顕微鏡の装置に使用される、異なる波長の光で物体を照射する、顕微鏡や装置の照射光路に配置された、物体照射用のLED光源を含む配置であって、
少なくとも1つのLED(3;3.1)がそれぞれ搭載台(7)上に設置された、回転軸(5)の周囲を回転する受け台(6;13)であって、それによって、受け台(6;13)が装置のハウジング(18)中に配置されるか、又は装置のハウジング(18)に固定されたハウジング(1)中に配置される受け台(6;13)と、
測定や観察に要求される有効な波長を有するLED(3;3.1)がハウジング(1)の光照射開口(2)の上流に位置すべく、受け台(6;13)を調節するための駆動装置(9)と、
を備える配置。
【請求項2】
搭載台(13)が受け台(6)に取り付けられ、それによって、少なくとも1つのLED(3;3.1)の照射方向が回転軸(5)に平行になるべく配置されている請求項1に記載の配置。
【請求項3】
搭載台(7)が受け台(6)に取り付けられ、それによって、少なくとも1つのLED(3;3.1)の照射方向が回転軸(5)に放射状になるべく配置されている請求項1に記載の配置。
【請求項4】
コリメータ(11,15)及び/又は照射均一化器(16)が、ハウジング(1)の光照射開口(2)の下流方向にある装置ハウジング(18)中に配置されている請求項1乃至3のいずれかに記載の配置。
【請求項5】
LED(3;3.1)の少なくとも1つが、白色光を照射する白色光LEDである請求項1乃至3のいずれかに記載の配置。
【請求項6】
LED(3;3.1)を冷却するためのペルチェ冷却部品(8)が、受け台(6、13)とその上にあるLED(3;3.1)の間に配置されている請求項1乃至5のいずれかに記載の配置。
【請求項7】
ハロゲン光源(17)または他の光源が受け台(6、13)の少なくとも1つの搭載台(7)に配置されている請求項1乃至5のいずれかに記載の配置。
【請求項8】
ハウジングが、鳩の尻尾形状の迅速交換リングを用いて装置のハウジング(18)に取り付けられる請求項1に記載の配置。
【請求項9】
少なくとも1つのLED(3;3.1)がペルチェ冷却部品(8)なしに搭載台(7)に交換可能に取り付けられる請求項1乃至8のいずれかに記載の配置。
【請求項10】
少なくとも1つのLED(3;3.1)がペルチェ冷却部品(8)と安全に接続されて、搭載台(7)に交換可能に取り付けられる請求項1乃至8のいずれかに記載の配置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−521574(P2006−521574A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504595(P2006−504595)
【出願日】平成16年3月9日(2004.3.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002388
【国際公開番号】WO2004/086117
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(597141922)カール ツァイス イェナ ゲーエムベーハー (12)
【Fターム(参考)】