説明

波長変換型太陽電池封止材、これを用いた太陽電池モジュール及びこれらの製造方法

【課題】太陽電池モジュールにおける光利用効率を向上させ、発電効率を安定的に向上させることが可能な波長変換型太陽電池封止材を提供する。
【解決手段】波長変換型太陽電池封止材を、蛍光物質および前記蛍光物質を被覆する前記蛍光物質よりも低い屈折率の被覆層を含む被覆蛍光体と、封止樹脂と、を含有する樹脂組成物層を備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用の波長変換型太陽電池封止材及びこれを用いた太陽電池モジュール、並びにこれらの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、発電に寄与しない波長域の光を発電に寄与する波長域の光に波長変換することにより発電効率を高くしうる太陽電池モジュール、それに用いる波長変換型太陽電池封止材、及びこれらの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のシリコン結晶太陽電池モジュールは以下のような構成である。表面の保護ガラス(カバーガラスともいう)は耐衝撃性を重んじて強化ガラスが用いられており、封止材(通常、エチレンビニルアセテートコポリマーを主成分とする樹脂、充填材ともいう)との密着性をよくするために、片面はエンボス加工による凹凸模様が施されている。
【0003】
また、その凹凸模様は内側に形成されており、太陽電池モジュールの表面は平滑である。また保護ガラスの下側には太陽電池セル及びタブ線を保護封止するための封止材及びバックフィルムが設けられている(例えば、非特許文献1参照)。
蛍光物質(発光材料ともいう)を用い、太陽光スペクトルのうち、発電に寄与しない紫外域又は赤外域の光を波長変換することにより、発電に寄与しうる波長域の光を発光する層を太陽電池受光面側に設ける手法は、多数提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、蛍光物質である希土類錯体を、封止材中に含有させる方法の提案がされている(例えば、特許文献2参照)。
また従来から、太陽電池用透明封止材として熱硬化性を付与したエチレン−酢酸ビニル共重合体が広く用いられている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−328053号公報
【特許文献2】特開2006−303033号公報
【特許文献3】特開2003−51605号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】濱川圭弘編「太陽光発電」―最新の技術とシステム―、2000年、株式会社シーエムシー
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された発電に寄与しない光を発電に寄与しうる波長域の光に波長変換する提案では、波長変換層に蛍光物質が含有されているが、この蛍光物質は一般的に形状が大きく、入射した太陽光が波長変換フィルムを通過する際に、太陽電池セルに十分届かず、発電に寄与しない割合が増加する。その結果、波長変換層で紫外域の光を可視域の光に変換しても、入射した太陽光に対する発電される電力の割合(発電効率)があまり高くならないという課題がある。
【0008】
また、特許文献3に記載の方法では、蛍光物質として希土類錯体を用いる場合、封止材として広く用いられているエチレンビニルアセテート(EVA)と共に加水分解しやすく、耐久性が十分とはいえないばかりでなく、波長変換された光を太陽電池セルへ効率的に導入することは困難である。
【0009】
本発明は上記のような問題を改善しようとするもので、太陽電池モジュールにおける光利用効率を向上させ、発電効率を安定的に向上させることが可能な波長変換型太陽電池封止材を提供することを課題とするとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、蛍光物質と、該蛍光物質よりも低い屈折率を有する特定の物質で前記蛍光物質の周囲を覆った被覆層と、を有する被覆蛍光体を波長変換型太陽電池封止材に用いることにより、入射した太陽光のうち太陽光発電に寄与しない光を発電に寄与する波長へ変換するのと同時に、耐湿性及び耐熱性に優れ、分散性が良く且つ入射した太陽光を蛍光物質が散乱させることなく、太陽電池セルへ効率よく導入できることを見出し、本発明を完成するに至った。さらに、希土類金属の有機錯体の湿度に対する耐性を、この被覆により向上させることができる。
【0011】
すなわち、本発明は以下の通りである。
<1> 蛍光物質、および、前記蛍光物質を被覆する前記蛍光物質よりも低い屈折率の被覆層を含む被覆蛍光体と、封止樹脂と、を含有する光透過性の樹脂組成物層を備える波長変換型太陽電池封止材。
<2> 前記樹脂組成物層における被覆蛍光体の含有率が、0.0001〜10質量パーセントである、前記<1>に記載の波長変換型太陽電池封止材。
<3> 前記被覆層は、ゾルゲル法で形成されたシリカ系化合物を含有する、前記<1>または<2>に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【0012】
<4> 前記封止樹脂は、非加水分解性樹脂である、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材。
<5> 前記被覆蛍光体は、前記被覆層の外側面上に、耐湿性材料を含む保護層をさらに有する、前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【0013】
<6> 前記樹脂組成物層以外の光透過性層をさらに備える、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材。
<7> 前記樹脂組成物層および前記樹脂組成物層以外の光透過性層からなるm個の層を備え、且つ、前記m個の層のそれぞれの屈折率を、光入射側から順にn、n、・・・、n(m−1)、nとした場合に、n≦n≦・・・≦n(m−1)≦nである、前記<6>に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【0014】
<8> 前記蛍光物質は、ユーロピウム錯体である、前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材。
<9> 前記耐湿性材料は、ビニル樹脂である、<4>〜<8>のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【0015】
<10> 太陽電池セルと、前記太陽電池セルの受光面上に配置された前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材と、を備える太陽電池モジュール。
<11> 蛍光物質を、シリコンアルコキシドを用いたゾルゲル反応によりシリカ系材料で被覆して前記蛍光物質の表面にシリカ系材料層を形成し、前記シリカ系材料層をさらにビニル樹脂で被覆して被覆蛍光体を得る蛍光物質被覆工程と、前記被覆蛍光体を封止樹脂に混合又は分散させて得られる樹脂組成物を、シート状に形成するシート形成工程と、を有する波長変換型太陽電池封止材の製造方法。
<12> 蛍光物質を、シリコンアルコキシドを用いたゾルゲル反応によりシリカ系材料で被覆して被覆蛍光体を得る蛍光物質被覆工程と、前記被覆蛍光体を非加水分解性樹脂に混合又は分散させて得られる樹脂組成物を、シート状に形成するシート形成工程と、を有する波長変換型太陽電池封止材の製造方法。
【0016】
<13> 複数の光透過性層と太陽電池セルとを有する太陽電池モジュールの製造方法であって、前記<1>〜<9>のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材を、太陽電池セルの受光面側に配置して、前記光透過性層の1つを形成する工程を有する太陽電池モジュールの製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、太陽電池モジュールにおける光利用効率を向上させ、発電効率を安定的に向上させることが可能な波長変換型太陽電池封止材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施例にかかる被覆蛍光体の含有量と発電効率との関係の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<波長変換型太陽電池封止材及びその製造方法>
本発明の波長変換型太陽電池封止材は、蛍光物質、および、前記蛍光物質を被覆する前記蛍光物質よりも低い屈折率の被覆層を含む被覆蛍光体と、封止樹脂と、を含有する光透過性の樹脂組成物層を備える。かかる構成であることにより、太陽電池モジュールにおける光利用効率を向上させ、発電効率を安定的に向上させることが可能となる。
本発明の波長変換型太陽電池封止材は、例えば、複数の光透過性層と太陽電池セルとを有する太陽電池モジュールの光透過性層の一つとして用いられるものであり、蛍光物質が、前記蛍光物質よりも低い屈折率を有する物質(以下、「低屈折率被覆材料」ともいう)を含んで構成され、前記蛍光物質の周囲を覆う被覆層を有する被覆蛍光体として含まれていることを特徴とする。さらに前記被覆蛍光体は封止樹脂中に分散されていることが好ましい。本発明においては、被覆蛍光体の屈折率を、蛍光物質よりも小さくすることで、太陽光の散乱損失を小さくすることができる。
【0020】
シリコン結晶太陽電池では、例えば、太陽光のうち400nmよりも短波長、1200nmよりも長波長の光が有効に利用されず、太陽光エネルギーのうち約56%がこのスペクトルミスマッチにより発電に寄与しない。本発明は、耐湿性、耐熱性に優れ、分散性が良く、濃度消光を抑制した特定の形状の蛍光物質を用い、波長変換し、効率よく且つ安定的に太陽光を利用することにより、スペクトルミスマッチを克服しようというものである。
【0021】
即ち、本発明の波長変換型太陽電池封止材は、耐湿性及び耐熱性に優れ、分散性が良く且つ濃度消光が起こらない蛍光物質を含有する。また、本発明の波長変換型太陽電池封止材は、入射した太陽光のうち太陽光発電に寄与しない光を発電に寄与する波長へ変換するのと同時に、その光を散乱なしに、太陽電池セルへ効率よく導入することができる。
【0022】
一般に、蛍光物質の屈折率は材料固有の値であり、高い発光効率と低い屈折率を両立させることは困難である。そこで、蛍光物質の周囲を該蛍光物質よりも低い屈折率を有する特定の物質(低屈折率被覆材料)の層で被覆することで、太陽光の散乱損失を低減させることができる。
【0023】
(低屈折率被覆材料)
本発明における被覆蛍光体は、蛍光物質と、蛍光物質を被覆するとともに蛍光物質よりも低い屈折率の被覆層とを含む。すなわち、前記被覆蛍光体は、低屈折率被覆材料を含む被覆層で被覆された蛍光物質を含む。
低屈折率被覆材料の屈折率は、蛍光物質よりも低い屈折率であるが、さらに後述する封止樹脂の屈折率との比が「1」に近いものがより好ましい。封止樹脂の屈折率は、一般的には1.4〜1.7であり、一方、蛍光物質の屈折率は一般的には1.5よりも高い。従って、低屈折率被覆材料としては、屈折率1.4〜1.5の材料を用いればよい。このような低屈折率被覆材料については後述する。
【0024】
蛍光物質を特定の低屈折率被覆材料で被覆することにより、蛍光物質の耐湿性及び耐熱性が向上し、分散性が良く且つ濃度消光を抑制するだけでなく、被覆蛍光体の屈折率を小さくすることができ、それにより太陽光の散乱損失を小さくすることができる。
【0025】
また、低屈折率被覆材料の屈折率を、分散媒である封止樹脂の屈折率と近くすることにより、散乱を小さくできる。また、被覆蛍光体の粒子径を小さくすることで散乱による太陽光の損失をより小さくできる。
【0026】
光の散乱は、封止材中の被覆蛍光体、つまり被覆層と封止樹脂との屈折率の比、及び被覆蛍光体の粒子径の大きさとそれぞれ相関する。具体的には、光の散乱は、被覆層の屈折率と封止樹脂との屈折率との比が「1」に近ければ、被覆蛍光体の粒子径の影響をさほど受けず、光の散乱も小さいものとなる。しかし、被覆層の屈折率と封止樹脂との屈折率との比が大きくなると、光の散乱は、被覆蛍光体の粒子径の大きさに影響を受けることとなるため、なるべく小さい粒子径であることが好ましい。
【0027】
また、蛍光物質を被覆する低屈折率被覆材料の被覆量としては、特に制限はないが、蛍光物質に対して、質量基準で、1〜10000倍であることが好ましく、100〜10000倍であることがより好ましい。
【0028】
前記低屈折率材料としては、蛍光物質よりも屈折率の低い材料であれば特に制限はなく、蛍光物質に応じて適宜選択することができる。具体的には例えば、ゾルゲル法で形成されるシリカ系材料(以下、「ゾルゲルガラス」または単に「ガラス」ともいう)や、ビニル樹脂等を挙げることができる。本発明においては、ゾルゲル法で形成されるシリカ系材料であることが好ましい。
また前記被覆蛍光体の性状は、封止樹脂中に分散させる際に、固体粒子であっても、蛍光物質の微粒子コロイドが分散した液状であってもかまわない。
【0029】
蛍光物質をゾルゲルガラスで封止したものは、例えば、シリコンアルコキシドを用いたゾルゲル法で、蛍光物質表面にシリカ系材料を成膜することで得ることができるが、詳細については後述する。
実効的な屈折率を下げるための被覆として、上記のシリカ系材料を用いことが好ましいが、特に蛍光物質が金属錯体の場合、これだけでは、耐湿性が十分ではない場合がある。一般の太陽電池モジュールにおいて、封止樹脂として標準的に使用されているエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)は、高温高湿下で加水分解を起こし、遊離の酸を発生し得る。この酸が、金属錯体の劣化を促してしまう場合がある。そのため、前記被覆蛍光体を耐湿性の良好な透明材料でさらに被覆するか、加水分解しない媒質樹脂すなわち封止機能を兼ねた非加水分解性樹脂に分散させることが望ましい。
【0030】
(蛍光物質)
本発明に用いられる蛍光物質としては、通常の太陽電池で利用可能な波長域外の光を、太陽電池で利用可能な波長域に変換可能な化合物であれは、特は制限ない。例えば、希土類金属の有機錯体を好ましく挙げることができる。中でも波長変換効率の観点から、ユーロピウム錯体およびサマリウム錯体の少なくとも1種であることが好ましい。
また有機錯体を構成する配位子としては特に制限はなく、用いる金属に応じて適宜選択することができる。中でもユーロピウムおよびサマリウムの少なくとも1種と錯体を形成可能な配位子であることが好ましい。
【0031】
本発明では、配位子を限定するものではないが、中性配位子である、カルボン酸、含窒素有機化合物、含窒素芳香族複素環式化合物、β−ジケトン類、およびホスフィンオキサイドから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また希土類錯体の配位子として、一般式 RCOCHRCOR(式中、Rはアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アラルキル基又はそれらの置換体を、Rは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アラルキル基又はアリール基を、Rはアリール基、アルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アラルキル基又はそれらの置換体をそれぞれ示す)で表わされるβ−ジケトン類を含有してもよい。
【0032】
β−ジケトン類としては、具体的にはアセチルアセトン、パーフルオロアセチルアセトン、ベンゾイル−2−フラノイルメタン、1,3−ジ(3−ピリジル)−1,3−プロパンジオン、ベンゾイルトリフルオロアセトン、ベンゾイルアセトン、5−クロロスルフォニル−2−テノイルトリフルオロアセトン、ビス(4−ブロモベンゾイル)メタン、ジベンゾイルメタン、d,d−ジカンフォリルメタン、1,3−ジシアノ−1,3−プロパンジオン、p−ビス(4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−1,3−ヘキサンジノイル)ベンゼン、4,4‘−ジメトキシジベンゾイルメタン、2,6−ジメチル−3,5−ヘプタンジオン、ジナフトイルメタン、ジピバロイルメタン、ビス(パーフルオロ−2−プロポキシプロピオニル)メタン、1,3−ジ(2−チエニル)−1,3−プロパンジオン、3−(トリフルオロアセチル)−d−カンファー、6,6,6−トリフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−ヘキサンジオン、1,1,1,2,2,6,6,7,7,7−デカフルオロ−3,5−ヘプタンジオン、6,6,7,7,8,8,8−ヘプタフルオロ−2,2−ジメチル−3,5−オクタンジオン、2−フリルトリフルオロアセトン、ヘキサフルオロアセチルアセトン、3−(ヘプタフルオロブチリル)−d−カンファー、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロ−1−(2−チエニル)−1,3−ヘキサンジオン、4−メトキシジベンゾイルメタン、4−メトキシベンゾイル−2−フラノイルメタン、6−メチル−2,4−ヘプタンジオン、2−ナフトイルトリフルオロアセトン、2−(2−ピリジル)ベンズイミダゾール、5,6−ジヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、1−フェニル−3−メチル−4−ベンゾイル−5−ピラゾール、1−フェニル−3−メチル−4−(4−ブチルベンゾイル)−5−ピラゾール、1−フェニル−3−メチル−4−イソブチリル−5−ピラゾール、1−フェニル−3−メチル−4−トリフルオロアセチル−5−ピラゾール、3−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)−2,4−ペンタンジオン、3−フェニル−2,4−ペンタンジオン、3−[3’,5’−ビス(フェニルメトキシ)フェニル]−1−(9−フェナンチル)−1−プロパン−1,3−ジオン、5,5−ジメチル−1,1,1−トリフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、1−フェニル−3−(2−チエニル)−1,3−プロパンジオン、3−(t−ブチルヒドロキシメチレン)−d−カンファー、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1,2,2,3,3,7,7,8,8,9,9,9−テトラデカフルオロ−4,6−ノナンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、4,4,4−トリフルオロ−1−(2−ナフチル)−1,3−ブタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−オクタンジオン、2,2,6−トリメチル−3,5−ヘプタンジオン、2,2,7−トリメチル−3,5−オクタンジオン、4,4,4−トリフルオロ−1−(チエニル)−1,3−ブタンジオン(TTA)、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、べンゾイルアセトン、ジべンゾイルアセトン、ジイソブチロイルメタン、ジビパロイルメタン、3−メチルペンタン−2,4−ジオン、2,2−ジメチルペンタン−3,5−ジオン、2−メチル−1,3−ブタンジオン、1,3−ブタンジオン、3−フェニル−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフロロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフロロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2−アセチルシクロペンタノン、2−アセチルシクロヘキサノン、1−ヘプタフロロプロピル−3−t−ブチル−1,3−プロパンジオン、1,3−ジフェニル−2−メチル−1,3−プロパンジオン、又は1−エトキシ−1,3−ブタンジオン等が挙げられる。
【0033】
希土類錯体の中性配位子の含窒素有機化合物、含窒素芳香族複素環式化合物、ホスフィンオキサイドとしては、たとえば、1,10−フェナントロリン、2−2’−ビピリジル、2−2’−6,2”−ターピリジル、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2−(2−ピリジル)ベンズイミダゾール、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリ−n−ブチルホスフィンオキサイド、トリ−n−オクチルホスフィンオキサイド、トリ−n−ブチルホスフェート等が挙げられる。
【0034】
上記のような配位子を有する希土類錯体として、中でも波長変換効率の観点から、例えば、Eu(TTA)phen等を好ましく利用できる。
Eu(TTA)Phenの製造法は、例えば、Masaya Mitsuishi, Shinji Kikuchi, Tokuji Miyashita, Yutaka Amano, J.Mater.Chem.2003, 13, 285−2879に開示されている方法を参照できる。
【0035】
本発明においては、蛍光物質として、特にユーロピウム錯体を用いることで、高い発電効率を有する太陽電池モジュールを構成することができる。ユーロピウム錯体は、紫外線域の光を高い波長変換効率で赤色の波長域の光に変換し、この変換された光が太陽電池セルにおける発電に寄与する。
【0036】
(シリカ系材料)
蛍光物質をゾルゲル法によりシリカ系材料で被覆する方法は、公知の方法で行えばよく特に制限はないが、蛍光物質を、溶媒中、シリコンアルコキシドと処理して加熱処理することにより行うことができる。
【0037】
ゾルゲル法に用いられるシリコンアルコキシドとしては、例えば、テトラアルコキシシラン、トリアルコキシシラン、ジオルガノジアルコキシシラン等が挙げられる。
【0038】
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラフェノキシシラン等が挙げられる。
【0039】
また、アルコキシ基がアルキル基に置換された下記式(1)のような化合物であってもよい。
SiX4−n・・・(1)
上記式中、Rは、H原子又は、炭素数1〜20の有機基を示し、Xは加水分解性基を示し、nは0〜2の整数を示し、nが2のとき、各Rは同一でも異なっていてもよく、nが0〜2のとき、各Xは同一でも異なっていてもよい。
炭素数1〜20の有機基としては、炭素数1〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が挙げられる。また、アルキル基の水素がフッ素、Si原子を含む基等で置換されていてもよい。
また、加水分解性基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基が挙げられる。
【0040】
トリアルコキシシランとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−iso−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−iso−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、n−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−プロポキシシラン、iso−プロピルトリ−n−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−iso−ブトキシシラン、iso−プロピルトリ−tert−ブトキシシラン、iso−プロピルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、n−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、sec−ブチルトリメトキシシラン、sec−ブチルトリエトキシシラン、sec−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、sec−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、sec−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、sec−ブチルトリフェノキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−iso−プロポキシシラン、t−ブチルトリ−n−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−iso−ブトキシシラン、t−ブチルトリ−tert−ブトキシシラン、t−ブチルトリフェノキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−iso−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−iso−ブトキシシラン、フェニルトリ−tert−ブトキシシラン、フェニルトリフェノキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、ペンタフルオロエチルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0041】
ジオルガノジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−iso−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジ−tert−ブトキシシラン、ジメチルジフェノキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジ−n−プロポキシシラン、ジエチルジ−iso−プロポキシシラン、ジエチルジ−n−ブトキシシラン、ジエチルジ−sec−ブトキシシラン、ジエチルジ−tert−ブトキシシラン、ジエチルジフェノキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−プロピルジフェノキシシラン、ジ−iso−プロピルジメトキシシラン、ジ−iso−プロピルジエトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−n−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−iso−プロピルジフェノキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−n−ブチルジフェノキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチルジフェノキシシラン、ジ−tert−ブチルジメトキシシラン、ジ−tert−ブチルジエトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−iso−プロポキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−n−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−sec−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジ−tert−ブトキシシラン、ジ−tert−ブチルジフェノキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジ−iso−プロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジ−tert−ブトキシシラン、ジフェニルジフェノキシシラン、ビス(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン等が挙げられる。
【0042】
また、上記一般式(1)において、Rが炭素数1〜20の有機基である化合物で、上記以外の化合物としては、例えば、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)メタン、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)エタン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)プロパン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリエトキシシリル)ベンゼン、ビス(トリ−n−プロポキシシリル)ベンゼン、ビス(トリ−iso−プロポキシシリル)ベンゼン等のビスシリルアルカン、ビスシリルベンゼン等が挙げられる。
【0043】
また、上記一般式(1)において、RがSi原子を含む基である化合物としては、例えば、ヘキサメトキシジシラン、ヘキサエトキシジシラン、ヘキサ−n−プロポキシジシラン、ヘキサ−iso−プロポキシジシラン等のヘキサアルコキシジシラン類、1,2−ジメチルテトラメトキシジシラン、1,2−ジメチルテトラエトキシジシラン、1,2−ジメチルテトラプロポキシジシラン等のジアルキルテトラアルコキシジシラン類等が挙げられる。
【0044】
ゾルゲル法に用いられる溶媒としては、ゾルゲル法に用いられるシリコンアルコキシド成分を溶解可能であればよく、例えば、水と有機溶剤の混合溶液が用いられる。
ゾルゲル法に用いられるシリコンアルコキシド成分を溶解可能である有機溶剤としては、非プロトン性溶剤であっても、プロトン性溶剤であってもよい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0045】
非プロトン性溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−iso−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のケトン系溶剤;
【0046】
ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、メチル−n−ジ−n−プロピルエーテル、ジ−iso−プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル、テトラプロピレングリコールメチルモノ−n−ヘキシルエーテル、テトラプロピレングリコールジ−n−ブチルエーテル等のエーテル系溶剤;
【0047】
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル等のエステル系溶剤;
【0048】
エチレングリコールメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のエーテルアセテート系溶剤;
【0049】
ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;
【0050】
アセトニトリル、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−プロピルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−ヘキシルピロリジノン、N−シクロヘキシルピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0051】
プロトン性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のアルコール系溶媒;
【0052】
エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のエステル系溶剤等が挙げられ、保管安定性の観点から、アルコール系溶剤が好ましい。これらの中でも塗布ムラやはじきを抑える観点から、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールプロピルエーテル等が好ましい。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0053】
また、ゾルゲル反応では適宜触媒を使用してもよい。用いられる触媒としては、得られるシリカ系材料からなる被覆層の機械強度を向上でき、更に、組成物の安定性を高めることができるという観点からオニウム塩が好ましく、4級アンモニウム塩であることがより好ましい。
【0054】
オニウム塩化合物の一つとして、例えば、窒素含有化合物と、アニオン性基含有化合物及びハロゲン原子から選ばれる少なくとも一種と、から形成される塩が挙げられる。上記窒素含有化合物の窒素上に結合する原子は、H原子、F原子、B原子、N原子、Al原子、P原子、Si原子、Ge原子、Ti原子、及びC原子からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、上記アニオン性基としては、例えば、水酸基、硝酸基、硫酸基、カルボニル基、カルボキシル基、カーボネート基、フェノキシ基等が挙げられる。
【0055】
これらオニウム塩化合物としては、例えば、アンモニウムハイドロオキシド、アンモニウムフルオライド、アンモニウムクロライド、アンモニウムブロマイド、ヨウ化アンモニウム、燐酸アンモニウム塩、硝酸アンモニウム塩、ホウ酸アンモニウム塩、硫酸アンモニウム塩、蟻酸アンモニウム塩、マレイン酸アンモニウム塩、フマル酸アンモニウム塩、フタル酸アンモニウム塩、マロン酸アンモニウム塩、コハク酸アンモニウム塩、酒石酸アンモニウム塩、リンゴ酸アンモニウム塩、乳酸アンモニウム塩、クエン酸アンモニウム塩、酢酸アンモニウム塩、プロピオン酸アンモニウム塩、ブタン酸アンモニウム塩、ペンタン酸アンモニウム塩、ヘキサン酸アンモニウム塩、ヘプタン酸アンモニウム塩、オクタン酸アンモニウム塩、ノナン酸アンモニウム塩、デカン酸アンモニウム塩、シュウ酸アンモニウム塩、アジピン酸アンモニウム塩、セバシン酸アンモニウム塩、酪酸アンモニウム塩、オレイン酸アンモニウム塩、ステアリン酸アンモニウム塩、リノール酸アンモニウム塩、リノレイン酸アンモニウム塩、サリチル酸アンモニウム塩、ベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、安息香酸アンモニウム塩、p−アミノ安息香酸アンモニウム塩、p−トルエンスルホン酸アンモニウム塩、メタンスルホン酸アンモニウム塩、トリフルオロメタンスルフォン酸アンモニウム塩、トリフルオロエタンスルフォン酸アンモニウム塩等のアンモニウム塩化合物が挙げられる。
【0056】
また、上記アンモニウム塩化合物のアンモニウム部位がメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等に置換されたアンモニウム塩化合物等も挙げられる。
【0057】
これらのオニウム塩化合物では、シリカ系材料からなる被覆層の硬化促進の観点から、テトラメチルアンモニウム硝酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、テトラメチルアンモニウムプロピオン酸塩、テトラメチルアンモニウムマレイン酸塩、テトラメチルアンモニウム硫酸塩等のアンモニウム塩が好ましい。これらは1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0058】
(耐湿性材料)
本発明において、低屈折率材料で被覆された蛍光物質(好ましくは、ゾルゲル法によりシリカ系材料で被覆された蛍光物質)は、低屈折率材料を含む被覆層の外側面上に、耐水性材料を含む保護層をさらに有することが好ましい。すなわち、前記被覆蛍光体においては、低屈折率材料を含む被覆層が蛍光物質を被覆するとともに、その外側面上が、耐水性材料でさらに被覆されていることが好ましい。これにより波長変換型太陽電池封止材の耐湿安定性をより向上させることができる。
耐湿性材料としては、疎水的で水不溶性のものであれば特に制限はなく、例えば、後述するビニル樹脂(アクリル樹脂、メタクリル樹脂を含む)等を挙げることができる。
【0059】
本発明において、耐湿性材料の屈折率には特に制限はないが、蛍光物質を被覆する低屈折率材料よりも、その屈折率が低いかまたは同等であることが好ましく、後述する封止樹脂の屈折率より高いかまたは同等であることがより好ましい。これにより被覆蛍光体における光散乱をより効果的に抑制し、発電効率をより向上することができる。
【0060】
低屈折率材料で被覆された蛍光物質を、耐水性材料でさらに被覆する方法としては、例えば、耐水性材料で構成された粒子に、低屈折率材料で被覆された蛍光物質を内包させる方法、低屈折率材料で被覆された蛍光物質の表面に耐水性材料層を付着させる方法等を挙げることができる。
本発明においては、耐水性材料で構成された粒子に、低屈折率材料で被覆された蛍光物質を内包させる方法であることが好ましく、樹脂粒子に、シリカ系材料で被覆された蛍光物質を内包させる方法であることがより好ましく、ビニル樹脂粒子に、ゾルゲル法によりシリカ系材料で被覆された蛍光物質を内包させる方法であることがさらに好ましい。
【0061】
低屈折率材料で被覆された蛍光物質を、耐水性材料でさらに被覆する場合、その被覆量には特に制限はないが、低屈折率材料で被覆された蛍光物質蛍光物質に対して、1〜10000倍であることが好ましく、10〜400倍であることがより好ましい。
【0062】
本発明において前記蛍光物質は、ゾルゲルガラス被覆され、さらに樹脂粒子に内包されていることが好ましい。前記樹脂粒子を構成するモノマー化合物としては特に制限はないが、光の散乱抑制の観点から、ビニル化合物であることが好ましい。
また前記蛍光物質を樹脂粒子に内包する方法としては、通常用いられる方法を特に制限はなく用いることができる。例えば、前記蛍光物質と樹脂粒子を構成するモノマー化合物の混合物を調製し、これを重合することで調製することができる。具体的には、例えば、ゾルゲルガラス被覆された蛍光物質およびビニル化合物を含む混合物を調製し、ラジカル重合開始剤を用いてビニル化合物を重合することで、ゾルゲルガラス被覆された蛍光物質が内包された樹脂粒子として波長変換用蛍光材料を構成することができる。
【0063】
(ビニル化合物)
本発明においてビニル化合物とは、エチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であれば特に制限はなく、重合反応した際にビニル樹脂、特にアクリル樹脂又はメタクリル樹脂になり得るアクリルモノマー、メタクリルモノマー、アクリルオリゴマー、メタクリルオリゴマー等を特に制限なく用いることができる。本発明において好ましくは、アクリルモノマー、およびメタクリルモノマー等が挙げられる。
【0064】
アクリルモノマー、およびメタクリルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、これらのアルキルエステルが挙げられ、またこれらと共重合し得るその他のビニル化合物を併用しても良く、1種単独でも、2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
【0065】
アクリル酸アルキルエステル、およびメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸無置換アルキルエステルおよびメタクリル酸無置換アルキルエステル;ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート;多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物(例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジ(メタ)アクリレート等);グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物(例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート等);多価カルボン酸(例えば、無水フタル酸)と水酸基及びエチレン性不飽和基を有する物質(例えば、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)とのエステル化物;アクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル);ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、トリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルとの反応物、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとシクロヘキサンジメタノールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルとの反応物等);これらのアルキル基に水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等が置換したアクリル酸置換アルキルエステル又はメタクリル酸置換アルキルエステル;等が挙げられる。
【0066】
また、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルと共重合し得るその他のビニル化合物としては、アクリルアミド、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらのビニルモノマーは、1種単独でも、2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
本発明におけるビニル化合物としては、形成される樹脂粒子の屈折率が所望の値になるように適宜選択することが好ましく、アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0068】
(ラジカル重合開始剤)
本発明においてはビニル化合物を重合させるためにラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、特に制限なく通常用いられるラジカル重合開始剤を用いることができる。例えば、過酸化物等が好ましく挙げられる。具体的には、熱により遊離ラジカルを発生させる有機過酸化物やアゾ系ラジカル開始剤が好ましい。
有機化酸化物としては例えば、イソブチルパーオキサイド、α,α’ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス−s−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ビス−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ビス(エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルネオデカノエート、ビスメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ビス(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、サクニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオノイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサノン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等を使用することができる。
【0069】
アゾ系ラジカル開始剤としては、たとえば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN、商品名V−60、和光純薬社製)、2,2’−アゾビス(2−メチルイソブチロニトリル)(商品名V−59、和光純薬社製)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名V−65、和光純薬社製)、ジメチル−2,2’−アゾビス(イソブチレート)(商品名V−601、和光純薬社製)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名V−70、和光純薬社製)などが挙げられる。
【0070】
ラジカル重合開始剤の使用量は、前記ビニル化合物の種類や形成される樹脂粒子の屈折率等に応じて適宜選択することができ、通常用いられる使用量で使用される。具体的には例えば、ビニル化合物に対して0.01〜2質量%で使用することができ、0.1〜1質量%で使用することが好ましい。
【0071】
なお、蛍光物質の周囲に被覆層が形成されたことの確認は、間接的だが、例えば、85℃、85%RHの条件で高温高湿耐性を測定し、被覆層形成前の蛍光物質の高温高湿耐性の向上の有無によって判断することができる。
【0072】
本発明における被覆蛍光体は、シリコンアルコキシドの成分および調製方法、さらに樹脂被覆の成分および調製方法等によって、固体粒子状、液状、フィルム状等、その態様を所望の形態に制御しうる。
被覆蛍光体を、例えば、固体粒子状に構成する場合、その粒子径としては、1〜1000μmとすることができる。
【0073】
本発明の波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物中の上記被覆蛍光体の好ましい配合量は、不揮発分総量に対し、蛍光物質(好ましくはユーロピウム錯体)の質量濃度で0.0001〜10質量%が好ましい。0.0001質量%以上とすることで発行効率が向上する。また、10質量%以下とすることで濃度消光による発光効率の低下が抑制される。また入射光の散乱をより効果的に抑制できる。
【0074】
(封止樹脂)
本発明における樹脂組成物層は封止樹脂の少なくとも1種を含む。樹脂組成物の封止樹脂として、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等が好ましく用いられる。
従来から、太陽電池用透明封止材として用いられている樹脂は、熱硬化性を付与したエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が広く用いられている。本発明の第1の態様、すなわちゾルゲルガラス封止した希土類金属錯体などの蛍光物質を、耐湿性材料(好ましくは、透明樹脂)でさらなる封止をする態様では、分散媒を兼ねた封止樹脂を限定するものではなく、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂ともに使用することができる。
【0075】
一方、本発明の第2の態様、すなわちゾルゲルガラス封止した希土類金属錯体などの蛍光物質を、耐湿性材料でさらなる封止をしない態様では、封止樹脂は非加水分解性樹脂であることが好ましい。尚、非加水分解性樹脂とは加水分解して、遊離の酸、塩基を発生しないものを意味する。
本発明における非加水分解性樹脂としては、例えば、エチレン−(メタ)アクリルエステル樹脂を挙げることができる。
【0076】
波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の分散媒樹脂(封止樹脂)に光硬化性樹脂を用いる場合、光硬化性樹脂の樹脂構成や光硬化方法は特に制限はない。例えば、光ラジカル開始剤による光硬化方法では、波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物は、上記被覆蛍光体の他、(A)光硬化性樹脂、(B)架橋性モノマー及び(C)光により遊離ラジカルを生成する光開始剤等を含む分散媒樹脂からなる。
【0077】
ここで(A)光硬化性樹脂としては、アクリル酸又はメタクリル酸及びこれらのアルキルエステルと、これらと共重合し得るその他のビニルモノマーを構成モノマーとして共重合してなる共重合体が用いられる。これらの共重合体は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いることもできる。アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸無置換アルキルエステル又はメタクリル酸無置換アルキルエステルや、これらのアルキル基に水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等が置換したアクリル酸置換アルキルエステル及びメタクリル酸置換アルキルエステル等が挙げられる。
【0078】
また、アクリル酸又はメタクリル酸やアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルと共重合しうるその他のビニルモノマーとしては、アクリルアミド、アクリロニトリル、ジアセトンアクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらのビニルモノマーは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、(A)成分の分散媒樹脂の重量平均分子量は、塗膜性及び塗膜強度の点から10,000〜300,000であることが好ましい。
【0079】
(B)架橋性モノマーとしては、例えば、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物(例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジ(メタ)アクリレート等);グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を付加して得られる化合物(例えば、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート等);多価カルボン酸(例えば、無水フタル酸)と水酸基及びエチレン性不飽和基を有する物質(例えば、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)とのエステル化物;アクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル);ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、トリレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルとの反応物、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとシクロヘキサンジメタノールと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステルとの反応物等);等を挙げることができる。
【0080】
特に好ましい(B)架橋性モノマーとしては、架橋密度や反応性を制御しやすいという意味において、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレートが挙げられる。なお、上記化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0081】
後述するように、特に波長変換型太陽電池封止材あるいは、その下層(太陽電池セルに接する側)の屈折率を高くする場合には、(A)光硬化性樹脂及び/又は(B)架橋性モノマーに、臭素、イオウ原子を含んでいることが有利である。臭素含有モノマーの例としては、第一工業製薬社製、ニューフロンティアBR−31、ニューフロンティアBR−30、ニューフロンティアBR−42M等が挙げられる。イオウ含有モノマー組成物としては、三菱瓦斯化学社製、IU−L2000、IU−L3000、IU−MS1010が挙げられる。ただし、本発明で使用される臭素、イオウ原子含有モノマー(それを含む重合物)は、ここに挙げたものに限定されるものではない。
【0082】
(C)光開始剤としては、紫外線又は可視光線により遊離ラジカルを生成する光開始剤が好ましく、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、ベンジルジメチルケタール(チバ・ジャパン社製、IRGACURE(イルガキュア)651)、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のキサントン類、あるいはヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン社製、IRGACURE(イルガキュア)184)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ビトロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(チバ・ジャパン社製、ダロキュア1116)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(チバ・ジャパン社製、ダロキュア1173)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0083】
また、(C)光開始剤として使用しうる光開始剤としては、例えば、2,4,5−トリアリルイミダゾール二量体と2−メルカプトベンゾオキサゾール、ロイコクリスタルバイオレット、トリス(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン等との組み合わせも挙げられる。また、それ自体では光開始性はないが、前記物質と組み合わせて用いることにより全体として光開始性能のより良好な増感剤系となるような添加剤、例えば、ベンゾフェノンに対するトリエタノールアミン等の三級アミンを用いることができる。
【0084】
また、封止樹脂を熱硬化性とするためには、上記(C)光開始剤を熱開始剤に変更すればよい。
(C)熱開始剤としては、熱により遊離ラジカルを発生させる有機過酸化物が好ましく、たとえば、イソブチルパーオキサイド、α,α’ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、ビス−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス−s−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ビス(エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t−ヘキシルネオデカノエート、ビスメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ビス(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、サクニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイル)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m−トルオノイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサノン、2,2−ビス(4,4−ジブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、α,α’ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシ、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等を使用することができる。
【0085】
上記はアクリル系の光硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂についての例示であるが、通常用いられるエポキシ系の光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂も、本発明の波長変換型太陽電池封止材の分散媒樹脂として用いることができる。ただし、エポキシの硬化はイオン性であるため、上記被覆蛍光体あるいは蛍光物質である希土類金属錯体は影響を受ける場合があり、劣化等を引き起こしうるため、アクリル系の方がより好ましい。
【0086】
波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の分散媒樹脂に、加熱又は加圧により流動する熱可塑性樹脂を用いる場合、例えば、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル、ポリイソプレン、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、ポリ−2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、ポリ−1,3−ブタジエン等の(ジ)エン類、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテル、ポリビニルブチルエーテル等のポリエーテル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネート等のポリエステル類、ポリウレタン、エチルセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリ−2−エチルヘキシルアクリレート、ポリ−t−ブチルアクリレート、ポリ−3−エトキシプロピルアクリレート、ポリオキシカルボニルテトラメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイソプロピルメタクリレート、ポリドデシルメタクリレート、ポリテトラデシルメタクリレート、ポリ−n−プロピルメタクリレート、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピルメタクリレート、ポリ−1,1−ジエチルプロピルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸エステルが分散媒樹脂として使用可能である。
【0087】
これらの熱可塑性樹脂は、必要に応じて2種以上共重合してもよいし、2種類以上をブレンドして使用することも可能である。
【0088】
さら上記樹脂との共重合樹脂として、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエステルアクリレート等を使うこともできる。特に接着性の点から、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れている。
【0089】
エポキシアクリレートとしては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。
【0090】
エポキシアクリレート等のように分子内に水酸基を有するポリマは接着性向上に有効である。これらの共重合樹脂は、必要に応じて、2種以上併用することができる。これら樹脂の軟化温度は、取扱い性から200℃以下が好ましく、150℃以下がさらに好ましい。太陽電池ユニットの使用環境温度が通常は80℃以下であることと加工性を考慮すると、上記樹脂の軟化温度は特に好ましくは80〜120℃である。
【0091】
熱可塑性樹脂を分散媒樹脂として用いた場合の、その他の樹脂組成物の構成は、上記被覆蛍光体を含有させれば特に制限はないが、通常用いられる成分、例えば、可塑剤、難燃剤、安定剤等を含有させることが可能である。
本発明の波長変換型太陽電池封止材の分散媒樹脂としては、上記のように、光硬化性、熱硬化性、熱可塑性と、特に樹脂を制限するものではないが、特に好ましい樹脂として、従来の太陽電池用封止材として広く利用されているエチレン−酢酸ビニル共重合体に熱ラジカル開始剤を配合した組成が挙げられる。
【0092】
前記封止樹脂の屈折率については特に制限はないが、蛍光物質を被覆する材料の屈折率と同程度であることが好ましい。これにより散乱をより効果的に抑制することができる。具体的には、例えば、蛍光物質を被覆する材料としてシリカ系材料を用いる場合、シリカ系材料の屈折率が通常1.4〜1.5であることから、本発明に用いられる封止樹脂(被覆樹脂または、分散媒樹脂として用いる)の屈折率もこれと同程度の屈折率が好ましい。
【0093】
本発明の波長変換型太陽電池封止材は、被覆蛍光体と封止樹脂を含む波長変換性の樹脂組成物層のみから構成されていてもよいが、これに加えて前記組成物層以外の光透過層をさらに有することが好ましい。
前記組成物層以外の光透過層としては、例えば、前記波長変換性の樹脂組成物層から被覆蛍光体を除いた光透過性層を挙げることができる。
本発明の波長変換型太陽電池封止材が複数の光透過性層から構成される場合、少なくともその入射側の層よりも同程度かあるいは高屈折であることが好ましい。
詳細には、m個の光透過性層を、光入射側から順に層1、層2、・・・、層(m−1)、層mとし、またそれぞれのこれらの屈折率をn、n、・・・、n(m−1)、nとした場合に、n≦n≦・・・≦n(m−1)≦nが成り立つことが好ましい。
【0094】
本発明の波長変換型太陽電池封止材の屈折率としては特に制限はないが、好ましくは1.5〜2.1であり、より好ましくは1.5〜1.9である。また本発明の波長変換型太陽電池封止材が複数の光透過層からなる場合、波長変換型太陽電池封止材の全体の屈折率が前記範囲内であることが好ましい。
【0095】
本発明の波長変換型太陽電池封止材は、太陽電池セルの受光面上に配置されることが好ましい。そうすることで、太陽電池セル受光表面のテクスチャー構造、セル電極、タブ線等を含めた凹凸形状に隙間なく追従できる。
【0096】
<波長変換型太陽電池封止材の製造方法>
本発明の波長変換型太陽電池封止材は、例えば、(1)蛍光物質を、シリコンアルコキシドを用いたゾルゲル反応によりシリカ系材料で被覆して前記蛍光物質の表面にシリカ系材料層を形成し、前記シリカ系材料層を耐湿性材料(好ましくは、ビニル樹脂)でさらに被覆して被覆蛍光体を得る蛍光物質被覆工程と、(2)前記被覆蛍光体を分散媒樹脂(透明封止樹脂)に混合又は分散させて得られる樹脂組成物を、シート状に形成するシート形成工程と、を含む製造方法により製造できる。
【0097】
また本発明の波長変換型太陽電池封止材は、例えば、(1)蛍光物質を、シリコンアルコキシドを用いたゾルゲル反応によりシリカ系材料で被覆して被覆蛍光体を得る蛍光物質被覆工程と、(2)前記被覆蛍光体を非加水分解性樹脂(透明封止樹脂)に混合又は分散させて得られる樹脂組成物を、シート状に形成するシート形成工程と、を含む製造方法により製造できる。
【0098】
前記蛍光物質被覆工程の詳細については、既述のとおりである。また、シート形成工程は、樹脂組成物をシート状に形成する方法として通常用いられる方法を特に制限なく用いることができる。
本発明の波長変換型太陽電池封止材は、シート状に形成するのが、使用の容易さの点から好ましい。
【0099】
<太陽電池モジュール>
本発明は上記波長変換型太陽電池封止材を備える太陽モジュールもその範囲とする。本発明の太陽電池モジュールは、太陽電池セルと、前記太陽電池セルの受光面上に配置された前記波長変換型太陽電池封止材を備える。これにより発電効率が向上する。
本発明の波長変換型太陽電池封止材は、例えば、複数の光透過性層と太陽電池セルとを有する太陽電池モジュールの、光透過性層の一つとして用いられる。
【0100】
本発明において、太陽電池モジュールは、例えば、反射防止膜、保護ガラス、波長変換型太陽電池封止材、太陽電池セル、バックフィルム、セル電極、タブ線等の必要部材から構成される。これらの部材の中で、光透過性を有する光透過性層としては、反射防止膜、保護ガラス、本発明の波長変換型太陽電池封止材、太陽電池のSiNx:H層及びSi層等が挙げられる。
【0101】
本発明において、上記で挙げられる光透過性層の積層順は、通常、太陽電池モジュールの受光面から順に、必要により形成される反射防止膜、保護ガラス、本発明の波長変換型太陽電池封止材、太陽電池セルのSiNx:H層、Si層となる。
【0102】
即ち、本発明の波長変換型太陽電池封止材において、あらゆる角度から入り込む外部光が反射損失少なく、効率よく太陽電池セル内に導入するために、波長変換型太陽電池封止材の屈折率が、該波長変換型太陽電池封止材より光入射側に配置される光透過性層、すなわち、反射防止膜、保護ガラス等の屈折率より高く、且つ該波長変換型太陽電池封止材の反光入射側に配置される光透過性層、すなわち、太陽電池セルのSiNx:H層(「セル反射防止膜」ともいう)及びSi層等の屈折率よりも低くすることが好ましい。
【0103】
具体的には、波長変換型太陽電池封止材より光入射側に配置される光透過性層、すなわち、反射防止膜の屈折率は、1.25〜1.45、保護ガラスの屈折率は、通常1.45〜1.55程度のものが用いられる。該波長変換型太陽電池封止材の反光入射側に配置される光透過性層、すなわち、太陽電池セルのSiNx:H層(セル反射防止膜)の屈折率は、通常1.9〜2.1程度及びSi層等の屈折率は、通常3.3〜3.4程度のものが用いられる。以上のことより、本発明の波長変換型太陽電池封止材の屈折率を好ましくは1.5〜2.1とし、より好ましくは1.5〜1.9とする。
【0104】
なお、光透過性層のその他の層の好ましい屈折率は、以下に示す通りである。例えば、光透過性層の光入射側から3層をa層、b層、c層としたとき、それぞれの層の屈折率n、n、nが、下記式を満たすか、近似していることが好ましい。
=√(n・n) (式)
【0105】
本発明の波長変換型太陽電池封止材に用いる蛍光物質にユーロピウム錯体を用いることで、高い発電効率を有する太陽電池モジュールを実現出来る。ユーロピウム錯体は紫外域の光を高い波長変換効率で赤色の波長域の光に変換し、この変換された光が太陽電池セルで発電に寄与する。
【0106】
<太陽電池モジュールの製造方法>
本発明の波長変換型太陽電池封止材となる、シート状の樹脂組成物を用いて、太陽電池セル上に波長変換型太陽電池封止材を形成し、太陽電池モジュールを製造する。
具体的には、通常のシリコン結晶太陽電池モジュールの製造方法と同様であり、通常の封止材シートに代えて、本発明の波長変換型太陽電池封止材(特に好ましくはシート状)を用いる。
【0107】
一般的にシリコン結晶系太陽電池モジュールは、まず、受光面であるカバーガラスの上にシート状の封止材(多くは、エチレン−酢酸ビニル共重合体を熱ラジカル開始剤で、熱硬化型にしたもの)を載せる。本発明では、ここで用いられる封止材を、本発明の波長変換型太陽電池封止材を用いる。次に、タブ線で接続されたセルを載せ、さらにシート状の封止材(ただし本発明では、受光面側のみで波長変換型太陽電池封止材を用いればよく、この裏面に関しては、従来のものでも構わない)を載せ、さらにバックシートを載せて、太陽電池モジュール専用の真空加圧ラミネータを用いてモジュールとする。
【0108】
このとき、ラミネータの熱板温度は、封止材が軟化、溶融し、セルを包み込み、さらに硬化するのに必要な温度となっており、通常、120〜180℃、多くは、140〜160℃でこれらの物理変化、化学変化が起こるように設計されている。
【0109】
本発明の波長変換型太陽電池封止材は、太陽モジュールとする前の状態のもの、具体的には硬化性樹脂を用いた場合は、半硬化状態をいう。なお、半硬化状態の波長変換型太陽電池封止材と、硬化した後(太陽モジュール化した後)の波長変換型太陽電池封止材との屈折率は大きくは変わらない。
本発明の波長変換型太陽電池封止材の形態は、特に制限はないが、太陽モジュールの製造の容易性からシート状であることが好ましい。
【実施例】
【0110】
以下に、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
【0111】
(実施例1)
<蛍光物質の合成>
4,4,4−トリフルオロ−1−(チエニル)−1,3−ブタンジオン(TTA)200mgを7mlのエタノールに溶解し、ここへ1Mの水酸化ナトリウム1.1mlを加え混合した。7mlのエタノールに溶かした6.2mgの1,10−フェナントロリンを先の混合溶液に加え、1時間攪拌した後、EuCl・6HO 103mgの3.5ml水溶液を加え、沈殿物を得る。これをろ別し、エタノールで洗浄し、乾燥をし、蛍光物質Eu(TTA)Phenを得た。
【0112】
<ゾルゲルガラス被覆蛍光体の作製>
上記で得られたEu(TTA)Phenを用い、表1に示す材料および配合量でゾルゲル用溶液を調製した。
表1に示すモル比率で、表中の(a)〜(d)の材料を混合し、もう一方で(e)〜(f)の材料を混合しておいた。それぞれをよく混合攪拌したあと、両者を混合し、2時間攪拌を行い、被覆蛍光体溶液を得た。この溶液をテフロン(登録商標)製のバットにとり出し、120℃オーブン中で5時間かけ揮発成分を除去し、ゾルゲルガラス被覆蛍光体の粉末を得た。
【0113】
【表1】

【0114】
<樹脂被覆したゾルゲルガラス被覆蛍光体の作製>
上記で得られたのゾルゲルガラス被覆蛍光体粉末を0.5g、アクリル酸エチルを100g、熱ラジカル開始剤であるラウロイルパーオキサイドを0.1g、それぞれ量り取り、これらをフラスコ中で攪拌しながら60℃に加熱した。そのまま3時間攪拌した後に粘度の高い液状物を得た。これを被覆蛍光体とした。
【0115】
<波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の調製>
封止樹脂(分散媒樹脂)として東ソー(株)製のエチレン−酢酸ビニル樹脂(EVA)であるウルトラセン634を100gと、アルケマ吉富(株)製の過酸化物熱ラジカル開始剤であるルペロックス101を1.5gと、東レ・ダウコーニング(株)製のシランカップリング剤であるSZ6030を0.5gと、前記被覆蛍光体を0.0104gと、を100℃に調整したロールミキサを用いて混練し、波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物を得た。
【0116】
<波長変換型太陽電池封止材シートの作製>
上記で得られた波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物を約30g、離型シートに挟み、0.6mm厚ステンレス製スペーサーを用い、熱板を80℃に調整したプレスを用い、シート状にした。
【0117】
<裏面用太陽電池封止材シートの作製>
上記、波長変換型太陽電池封止材シートの作製において、波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の代わりに、被覆蛍光体を含まない他は上記と同様にして調製した樹脂組成物を用いて、上記と同様の方法で裏面用太陽電池封止材シートを作製した。
【0118】
<波長変換型太陽電池モジュールの作製>
保護ガラスとしての強化硝子(旭硝子(株)製)の上に、上記波長変換型太陽電池封止材シートを載せ、その上に、起電力を外部に取り出せるようにした太陽電池セルを受光面が下になるように載せ、さらに裏面用太陽電池封止材シート、バックフィルムとしてPETフィルム(東洋紡(株)製、商品名:A−4300)を載せ、真空ラミネータを用いて、ラミネートして、波長変換型太陽電池モジュールを作製した。
【0119】
<太陽電池特性の評価>
擬似太陽光線として、ソーラーシミュレータ(ワコム電創社製、WXS−155S−10、AM1.5G)を用い、電流電圧特性をI−Vカーブトレーサー(英弘精機社製、MP−160)を用いて、JIS−C8914に準拠して、モジュール封止前のセルの状態の短絡電流密度Jscと、モジュール封止後の短絡電流密度Jscとを、それぞれ測定し、その差(ΔJsc)をとって評価した。その結果、ΔJscは0.11mA/cmであった。測定結果は比較例とともに表2および図1に示す。
尚、図1は、波長変換性の樹脂組成層中に含まれる被覆蛍光体量と発電効率との関係を示すものである。
【0120】
<発光高温高湿耐性の評価>
上記<波長変換型太陽電池モジュールの作製>と同様な方法で、保護ガラスとして5cm×10cm×1mmの青板ガラスを用いて、その上に上記波長変換型太陽電池封止材シートを載せ、バックフィルムとしてPETフィルム(東洋紡(株)製、商品名:A−4300)を載せ、真空ラミネータを用いて、ラミネートし、これを試験片とした。
アズワン(株)製ハンディーUVランプSLUV−4を用いて365nmの光をこの試験片に照射し、赤色発光の有無を観察した。さらにこの試験片を85℃、85%相対湿度に調整された恒温恒湿槽に入れ、適当な時間をおいて、上記と同様にして赤色発光の有無を観察した。その結果、500時間まで発光が確認された。観察結果を表2に示す。
【0121】
(実施例2)
実施例1の<波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の調製>において、前記被覆蛍光体の含有量を0.0104gに代えて0.0166gとしたこと以外は、上記と同様の手順、方法で、ΔJscおよび発光高温高湿耐性の評価を行った。その結果、ΔJscは0.33mA/cmであり、500時間まで発光が確認された。測定結果、観察結果を表2に示す。
【0122】
(実施例3)
実施例1の<波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の調製>において、前記被覆蛍光体の含有量を0.0104gに代えて0.0342gとしたこと以外は、上記と同様の手順、方法で、ΔJscおよび発光高温高湿耐性の評価を行った。その結果、ΔJscは0.16mA/cmであり、500時間まで発光が確認された。測定結果、観察結果を表2に示す。
【0123】
(実施例4)
実施例1の<波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の調製>において、前記被覆蛍光体の含有量を0.0104gに代えて0.0539gとしたこと以外は、上記と同様の手順、方法で、ΔJscおよび発光高温高湿耐性の評価を行った。その結果、ΔJscは0.28mA/cmであり、500時間まで発光が確認された。測定結果、観察結果を表2に示す。
【0124】
(実施例5)
実施例1の<波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の調製>において、前記被覆蛍光体の含有量を0.0104gに代えて0.1037gとしたこと以外は、上記と同様の手順、方法で、ΔJscおよび発光高温高湿耐性の評価を行った。その結果、ΔJscは0.38mA/cmであり、500時間まで発光が確認された。測定結果、観察結果を表2に示す。
【0125】
(実施例6)
実施例1の<波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の調製>において、前記被覆蛍光体の含有量を0.0104gに代えて0.1534gとしたこと以外は、上記と同様の手順、方法で、ΔJscおよび発光高温高湿耐性の評価を行った。その結果、ΔJscは0.33mA/cmであり、500時間まで発光が確認された。測定結果、観察結果を表2に示す。
【0126】
(実施例7)
実施例1の<波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の調製>において、前記被覆蛍光体の含有量を0.0104gに代えて0.1555gとしたこと以外は、上記と同様の手順、方法で、ΔJscおよび発光高温高湿耐性の評価を行った。その結果、ΔJscは0.75mA/cmであり、500時間まで発光が確認された。測定結果、観察結果を表2に示す。
【0127】
(実施例8)
実施例1の<波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の調製>において、前記被覆蛍光体の含有量を0.0104gに代えて0.2592gとしたこと以外は、上記と調整>で、前記被覆蛍光体を、0.01gのところをgとし、以下同様の手順、方法で、ΔJscおよび発光高温高湿耐性の評価を行った。その結果、ΔJscは0.22mA/cmであり、500時間まで発光が確認された。測定結果、観察結果を表2に示す。
【0128】
(実施例9)
実施例1の<波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の調製>において、前記被覆蛍光体の含有量を0.0104gに代えて0.5184gとしたこと以外は、上記と同様の手順、方法で、ΔJscおよび発光高温高湿耐性の評価を行った。その結果、ΔJscは0.26mA/cmであり、500時間まで発光が確認された。測定結果、観察結果を表2に示す。
【0129】
(実施例10)
実施例1の<波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の調製>において、前記被覆蛍光体の含有量を0.0104gに代えて1.0368gとしたこと以外は、上記と同様の手順、方法で、ΔJscおよび発光高温高湿耐性の評価を行った。その結果、ΔJscは0.14mA/cmであり、500時間まで発光が確認された。測定結果、観察結果を表2に示す。
【0130】
(実施例11)
実施例1の<波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の調製>において、前記被覆蛍光体の含有量を0.0104gに代えて1.5552gとしたこと以外は、上記と同様の手順、方法で、ΔJscおよび発光高温高湿耐性の評価を行った。その結果、ΔJscは0.12mA/cmであり、500時間まで発光が確認された。測定結果、観察結果を表2に示す。
【0131】
(実施例12)
実施例1で作製したゾルゲルガラス被覆蛍光体を1.555g、非加水分解性封止樹脂として、日本ユニカー(株)製NUC−6510(エチレン−エチルアクリレート、EEA)を100g用い、100℃に調整したロールミキサを用いて、混練し、波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物を得た。以下同様の手順、方法で、発光高温高湿耐性の評価を行った。その結果、500時間まで発光が確認された。観察結果を表2に示す。
【0132】
(比較例1)
実施例1において、被覆蛍光体を含む波長変換型太陽電池封止材用樹脂組成物の代わりに、被覆蛍光体を含まない裏面用太陽電池封止材用樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様な手法で太陽電池モジュールを作製した。
得られた太陽電池モジュールを用いたこと以外は、上記と同様にしてΔJscの評価を行った。その結果、ΔJscは0.00mA/cmであった。測定結果を表2に示す。
【0133】
【表2】

【0134】
以上から、本発明の波長変換型太陽電池封止材を用いることで太陽電池モジュールにおける光利用効率を向上させ、発電効率を安定的に向上させることができたことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明の波長変換型太陽電池封止材は、スペクトルミスマッチによる太陽光損失を低減し、さらに高い可視光透過率を有する構成とすることにより、光利用効率を高め、発電効率を向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光物質、および、前記蛍光物質を被覆する前記蛍光物質よりも低い屈折率の被覆層を含む被覆蛍光体と、
封止樹脂と、
を含有する光透過性の樹脂組成物層を備える波長変換型太陽電池封止材。
【請求項2】
前記樹脂組成物層における前記被覆蛍光体の含有率が、0.0001〜10質量パーセントである、請求項1に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【請求項3】
前記被覆層は、ゾルゲル法で形成されたシリカ系化合物を含有する、請求項1または請求項2に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【請求項4】
前記封止樹脂は、非加水分解性樹脂である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【請求項5】
前記被覆蛍光体は、前記被覆層の外側面上に、耐湿性材料を含む保護層をさらに有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【請求項6】
前記樹脂組成物層以外の光透過性層をさらに備える、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【請求項7】
前記樹脂組成物層および前記樹脂組成物層以外の光透過性層からなるm個の層を備え、且つ、前記m個の層のそれぞれの屈折率を、光入射側から順にn、n、・・・、n(m−1)、nとした場合に、n≦n≦・・・≦n(m−1)≦nである、請求項7に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【請求項8】
前記蛍光物質は、ユーロピウム錯体である、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【請求項9】
前記耐湿性材料は、ビニル樹脂である、請求項5〜請求項8のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材。
【請求項10】
太陽電池セルと、前記太陽電池セルの受光面上に配置された請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材と、を備える太陽電池モジュール。
【請求項11】
蛍光物質を、シリコンアルコキシドを用いたゾルゲル反応によりシリカ系材料で被覆して前記蛍光物質の表面にシリカ系材料層を形成し、前記シリカ系材料層をさらにビニル樹脂で被覆して被覆蛍光体を得る蛍光物質被覆工程と、
前記被覆蛍光体を封止樹脂に混合又は分散させて得られる樹脂組成物を、シート状に形成するシート形成工程と、
を有する波長変換型太陽電池封止材の製造方法。
【請求項12】
蛍光物質を、シリコンアルコキシドを用いたゾルゲル反応によりシリカ系材料で被覆して被覆蛍光体を得る蛍光物質被覆工程と、
前記被覆蛍光体を非加水分解性樹脂に混合又は分散させて得られる樹脂組成物を、シート状に形成するシート形成工程と、
を有する波長変換型太陽電池封止材の製造方法。
【請求項13】
複数の光透過性層および太陽電池セルを有する太陽電池モジュールの製造方法であって、
請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の波長変換型太陽電池封止材を、太陽電池セルの受光面側に配置して、前記光透過性層の1つを形成する工程を有する太陽電池モジュールの製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−222749(P2011−222749A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90352(P2010−90352)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】