説明

波長選択スイッチ

【課題】複数の波長選択スイッチを用いることなく、1つの波長選択スイッチを用いて、ポート数が多い波長選択スイッチを実現する。
【解決手段】第1方向にアレイ状に並び、波長多重光の入力部と出力部とを有する光入出力部と、入力部から入力された波長多重光をそれぞれの信号波長に分離する光分散手段と、信号波長に分離された光を集光させる集光要素と、集光要素により集光されたそれぞれの信号波長光を所望の出力部にスイッチングさせるよう第1方向に信号光を偏向させる光偏向素子アレイと、を備える波長選択スイッチであって、mを整数とするとき、入出力部がm個のグループに分かれ、入出力部のm個のグループに対応するように光偏向素子アレイが第1方向にm個配列されており、光分散手段が、入出力部のm個のグループにおいて共通である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長選択スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のN×1の波長選択スイッチの例として、図35、図36で用いられている5×1の波長選択スイッチ500がある。図35は、従来の波長選択スイッチ500の構成を示す側面図、図36は従来の波長選択スイッチ500の構成を示す上面図である。ここで、Nは1より大きな整数である。
【0003】
波長選択スイッチ500は、入力ポート510a〜510d、出力ポート510e、レンズアレイ530、第1レンズ540、第2レンズ550、分散素子560、第3レンズ570、及び、複数のミラー590a〜590eを有するミラーアレイ580で構成されている。この波長選択スイッチ500では、波長多重された光が、入力ポート510a〜510dの任意の入力ポートから入力され、分散素子560で分離された波長から任意の波長の光を選択し出力ポート510eに出力する。図35、図36では、入力ポート510aの波長多重された光が出力ポート510eに出力される様子を示している。
【0004】
波長選択スイッチはポート数を多くすることが望まれており、N×1の波長選択スイッチにおいてポート数を多くした場合、任意の入力ポートを出力ポートへ接続するためには、ミラーアレイの各ミラーの振れ角度を増大させる必要が生じる。しかし、ミラーの振れ角には制限があり、この制限により出力ポートに接続される入力ポートの数が決まってしまう。1×Nの波長選択スイッチについても、N×1の場合と同様に、ミラーの振れ角で入力ポートに接続される出力ポートの数が決まる。
【0005】
このため、従来のN×1、又は、1×Nの波長選択スイッチでは、ポート数を多くするために、複数の独立したM×1、又は1×Mの波長選択スイッチを多段に繋ぐことにより、出力ポートに接続される入力ポートの数、及び、入力ポートに接続される出力ポートの数を増やしている。図37は、ADD型の10×1の波長選択スイッチ600の構成を示すブロック図、図38はDROP型の1×10の波長選択スイッチ800の構成を示すブロック図である。図37に示す10×1の波長選択スイッチ600では、3個の5×1の波長選択スイッチ500を3段に繋いで構成して、ポート数を増やしている。また、図38に示す1×10の波長選択スイッチ800では、3個の1×5の波長選択スイッチ700を多段に繋いで構成して、ポート数を増やしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−126561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述のように、従来のN×1及び1×Nの波長選択スイッチでは、ポート数を増やす為に複数のM×1及び1×Mの波長選択スイッチを複数個つないで多段にして構成するため、その製造にはM×1または1×Mで構成される波長選択スイッチの部材が複数個必要となり、組み立て工数もその個数分必要となり、装置全体に必要なコストが高くなってしまう。また、これに加えて、多段で構成すると全体として大きくなり、重量も重くなってしまうという課題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数の波長選択スイッチを用いることなく、1つの波長選択スイッチを用いて、ポート数が多い波長選択スイッチを実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る波長選択スイッチは、第1方向にアレイ状に並び、波長多重光の入力部と出力部とを有する光入出力部と、入力部から入力された波長多重光をそれぞれの信号波長に分離する光分散手段と、信号波長に分離された光を集光させる集光要素と、集光要素により集光されたそれぞれの信号波長光を所望の出力部にスイッチングさせるよう第1方向に信号光を偏向させる光偏向素子アレイと、を備える波長選択スイッチであって、mを整数とするとき、入出力部がm個のグループに分かれ、入出力部のm個のグループに対応するように光偏向素子アレイが第1方向にm個配列されており、光分散手段が、入出力部のm個のグループにおいて共通であることを特徴としている。
【0010】
本発明に係る波長選択スイッチにおいて、入出力部の各グループの対応する入力部からの光は、光分散手段の略同じ位置に入射することが好ましい。
【0011】
本発明に係る波長選択スイッチでは、第1方向と直交する第2方向において、異なる信号波長に対応する光偏向素子アレイの位置が、入出力部のm個のグループのそれぞれによって同一であることが好ましい。
【0012】
本発明の第2の態様に係る波長選択スイッチは、第1方向にアレイ状に並び、波長多重光の入力部と出力部とを有する光入出力部と、入力部から入力された波長多重光をそれぞれの信号波長に分離する光分散手段と、信号波長に分離された光を集光させる集光要素と、集光要素により集光されたそれぞれの信号波長光を所望の出力部にスイッチングさせるよう第1方向に信号光を偏向させる光偏向素子アレイと、を備え、mを整数とするとき、入出力部が第1方向と直交する第2方向にm個のグループに分かれて配列された波長選択スイッチであって、入出力部のm個のグループに対応するように光偏向素子アレイが第1方向にm個配列されており、光分散手段が、入出力部のm個のグループにおいて共通であることを特徴としている。
【0013】
本発明の第2の態様に係る波長選択スイッチにおいて、入出力部の各グループの対応する入力部からの光は、光分散手段の略同じ位置に入射することが好ましい。
【0014】
本発明の第2の態様に係る波長選択スイッチでは、第2方向において、異なる信号波長に対応する光偏向素子アレイの位置が、入出力部のm個のグループのそれぞれによって同一となることが好ましい。
【0015】
本発明の第2の態様に係る波長選択スイッチでは、第2方向において、同一の信号波長に対応する光偏向素子アレイの位置が、入出力部のm個のグループのそれぞれのグループによって同一となることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る波長選択スイッチは、コスト、サイズ、及び重量の増加を招くことなく、ポート数を増やすことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態の波長選択スイッチの概念を表すブロック図である。
【図2】第1実施形態の波長選択スイッチの構成を示す側面図である。
【図3】第1実施形態の波長選択スイッチの構成を示す上面図である。
【図4】図3の分散素子及び第2レンズを拡大して示す図である。
【図5】第1実施形態の波長選択スイッチの構成を示す側面図である。
【図6】第1実施形態の波長選択スイッチの構成を示す上面図である。
【図7】図6の分散素子及び第2レンズを拡大して示す図である。
【図8】第1実施形態の波長選択スイッチの構成を示す側面図である。
【図9】第1実施形態の波長選択スイッチの構成を示す上面図である。
【図10】図9の分散素子及び第2レンズを拡大して示す図である。
【図11】第1実施形態の分散素子に入射する光によって形成されるスポットを示す斜視図である。
【図12】第1実施形態のミラーアレイの構成を示す、第2レンズ側から見た斜視図である。
【図13】第2実施形態の波長選択スイッチの構成を示す側面図である。
【図14】第2実施形態の波長選択スイッチの構成を示す上面図である。
【図15】図14の分散素子及び第2レンズを拡大して示す図である。
【図16】第2実施形態のミラーアレイの構成、並びに、グループ11、12の波長λ、λの光のスポット位置を示す平面図である。
【図17】第3実施形態に係る波長選択スイッチの構成を示す上面図である。
【図18】第4実施形態に係る波長選択スイッチの構成を示す側面図である。
【図19】第4実施形態に係る波長選択スイッチの構成を示す上面図である。
【図20】図19の分散素子及び第2レンズを拡大して示す図である。
【図21】第4実施形態に係る波長選択スイッチの構成を示す側面図である。
【図22】第4実施形態に係る波長選択スイッチの構成を示す上面図である。
【図23】図22の分散素子及び第2レンズを拡大して示す図である。
【図24】第4実施形態に係る波長選択スイッチの構成を示す側面図である。
【図25】第4実施形態に係る波長選択スイッチの構成を示す上面図である。
【図26】図25の分散素子及び第2レンズを拡大して示す図である。
【図27】グループ50、51、52の各ポートの配置を示す、第1レンズアレイ側から見た正面図である。
【図28】各グループの入出力ポート及び接続ポート、第1レンズアレイ、並びに、第2レンズアレイの配置を示す斜視図である。
【図29】第4実施形態の分散素子に入射する光によって形成されるスポットを示す斜視図である。
【図30】第4実施形態のミラーアレイの構成を示す、第2レンズ側から見た斜視図である。
【図31】第5実施形態の波長選択スイッチの構成を示す側面図である。
【図32】第5実施形態の波長選択スイッチの構成を示す上面図である。
【図33】図32の分散素子及び第2レンズを拡大して示す図である。
【図34】第5実施形態のミラーアレイの構成、並びに、グループ11、12の波長λの光のスポット位置を示す平面図である。
【図35】従来の波長選択スイッチの構成を示す側面図である。
【図36】従来の波長選択スイッチの構成を示す上面図である。
【図37】ADD型の10×1の波長選択スイッチの構成を示すブロック図である。
【図38】DROP型の1×10の波長選択スイッチの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る波長選択スイッチの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
以下に説明する波長選択スイッチは、複数の入出力ポートをm個のグループに分け、このグループに対応するように、MEMSミラーのm個のグループをチャネル方向と直交する方向に設け、さらに、分散素子(光分散手段)を通過する箇所が各グループで同一となるように構成している。ここで、mは1より大きな整数であり、チャネル方向は分散素子(光分散手段)によって波長多重光が複数の信号波長光に分離される方向である。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の波長選択スイッチ101の概念を表すブロック図である。波長選択スイッチ101は、10個の入力ポート10a、10b、10c、10d、11b、11c、11d、12b、12c、12dと、出力ポート12eと、を備える。波長選択スイッチ101の内部では、グループ10の接続ポート10eとグループ11の接続ポート11aが互いに接続され、グループ11の接続ポート11eとグループ12の接続ポート12aが互いに接続されている。グループ10、11、12はそれぞれ入出力部を構成する。
なお、図1では、入力ポート10個、出力ポートが1個のN×1の波長選択スイッチ(N=10)を示しているが、入力ポートと出力ポートと接続ポートの並び、数量はこの状態で限定されるものではない。
【0020】
以下、入力ポート10aから入力された光が、出力ポート12eに出力される例について説明する。
入力ポート10aから入力される光は、1つ以上の波長多重された光であり、出力ポート12eに出力される光も1つ以上の波長多重された光である。入力ポート10aから出力ポート12eまでの経路を、(1)入力ポート10aから接続ポート10e、(2)接続ポート11aから接続ポート11e、(3)接続ポート12aから出力ポート12e、の3つに分けて、図2〜10を参照して説明する。
【0021】
図2、図5、図8は、波長選択スイッチ101の構成を示す側面図である。図3、図6、図9は、波長選択スイッチ101の構成を示す上面図である。図4、図7、図10は、それぞれ、図3、図6、図9の分散素子16及び第2レンズ17を拡大して示す図である。
図2〜図4は、入力ポート10aから入力された光が、接続ポート10eに集光されるまでの経路を示している。図5〜図7は、接続ポート10eに集光された光が接続ポート11aから入力され、接続ポート11eに集光されるまでの経路を示している。図8〜図10は、接続ポート11eに集光された光が接続ポート12aから入力され、出力ポート12eに集光されるまでの経路を示している。
【0022】
第1実施形態の波長選択スイッチ101は、上述の複数の入出力ポート及び接続ポート、第1レンズアレイ13、第2レンズアレイ14、第1レンズ15、分散素子16、第2レンズ17、並びに、ミラーアレイ18を有している。入力ポート10aから入力された波長多重された光は、第1レンズアレイ13へ進んでいき、入力ポート10aに対応した、第1レンズアレイ13のレンズによって、コリメートされた光となる。第1レンズアレイ13は、入出力ポート及び接続ポートにそれぞれ対応したレンズを有している。また、図2、図3、図4では入力ポート10aのみ、光が入力されている様子を簡略化して示しているが、実際は複数の入力ポートから、波長多重された光が入力されている。
【0023】
入出力ポート及び接続ポートは、グループ10、11、12の3つに分けられる。グループ10、11、12は接続ポートによって互いに接続されており、各グループは少なくとも1つの接続ポートをそれぞれ有している。
【0024】
グループ10は、入力ポート10a、10b、10c、10d、及び、接続ポート10eが、接続ポート10eを中心に第1方向A1に沿って等間隔で並んだ状態で構成されている。グループ11は、接続ポート11a、入力ポート11b、11c、11d、及び、接続ポート11eが、接続ポート11eを中心に第1方向A1に沿って等間隔で並んだ状態で構成されている。グループ12は、接続ポート12a、入力ポート12b、12c、12d、及び、出力ポート12eが、出力ポート12eを中心に第1方向A1に等間隔で並んだ状態で構成されている。さらに、グループ10、11、12は、この順序で第1方向A1に沿って配置されている。
【0025】
図2、図3に示すように、第1レンズアレイ13のレンズによってコリメートされた光は、第2レンズアレイ14のグループ10に対応したレンズによって集光される。この集光位置は、グループ10の複数の入力ポートの光が交わる位置である。また、この集光位置は、第2レンズアレイ14のグループ10に対応したレンズの光軸と交わる。第2レンズアレイ14の各レンズの集光位置は、各グループによって異なる位置である。
【0026】
第2レンズアレイ14によって集光された光は、広がりを持った光束の状態で各グループ共通のレンズである第1レンズ15に入り、第1レンズ15によってコリメートされ、分散素子16側へ出ていく。第2レンズアレイ14のグループ10に対応したレンズの光軸と、第1レンズ15の光軸と、は第1方向A1においてずれた位置にある。このため、第1レンズ15でコリメートされた光束は、分散素子16に対して、第1方向A1においてε10だけ斜めに入射する(図2)。グループ10の複数の入力ポートから分散素子16に入射する光は、図11に示すように、入力ポートごとに4つのスポット16a、16b、16c、16dとしてそれぞれ入射する。図11は、分散素子16に入射する光によって形成されるスポットを示す斜視図である。
【0027】
スポット16a、16b、16c、16dには、グループごとに見ると、グループ10とは別のグループである、グループ11及びグループ12の入力ポートからの光が入射する。具体的には、入力ポート10a、接続ポート11a、12aから分散素子16に入射する光はスポット16aとして入射し、入力ポート10b、11b、12bから分散素子16に入射する光はスポット16bとして入射し、入力ポート10c、11c、12cから分散素子16に入射する光はスポット16cとして入射し、入力ポート10d、11d、12dから分散素子16に入射する光はスポット16dとして入射する。
【0028】
波長選択スイッチ101で用いる分散素子16は、一般的な回折格子構造の素子を用いている。第1レンズ15からの光束が分散素子16に入る入射角をα(図3、図6、図9)とすると、分散素子16より分散される出射角β10aは次式(1)で表される。
sinβ10a=[(mλ)/(dcosε10)]−sinα ・・・(1)
ここで、
mは分散素子16に用いる回折格子の回折次数、
dは分散素子16に用いる回折格子のピッチ、
λは分散素子16への入射光の波長、
である。なお、出射角β10b、β10c、β10d、β10eもβ10aと同様に上式(1)で表される。出射角β10a、β10b、β10c、β10d、β10eは、分散素子16の出射面の法線に対する第2方向B1の角度である。
【0029】
分散素子16は、第1レンズ15でコリメートされた光を、第2方向B1において、波長に応じて異なる角度に分散させる。その分散する様子は、図3では簡略化して5つの波長の光のみ示している。分散素子16に入る波長多重された光は、第2方向B1において、各波長に応じた互いに異なる角度β10a、β10b、β10c、β10d、β10eでそれぞれ進行していく。
なお、分散素子16は、図2、図3、図4のような透過型の分散素子を例として示しているが反射型を用いても良い。
【0030】
第2レンズ17は、焦点距離fを有した各グループ共通のレンズであり、分散素子16と第2レンズ17は焦点距離fだけ離れていることが望ましい。これは、分散素子16と第2レンズ17とを、焦点距離fからずれた位置に配置すると、第2レンズ17から出た各波長の光の角度が波長ごとに異なってしまう為である。つまり、分散素子16と第2レンズ17との間隔を焦点距離fと同一とすると、第2レンズ17から出た光は波長ごとに一致した方向に進み、ミラーアレイ18のミラー19a、19b、19c、19d、19eに向かってそれぞれ進む。分散素子16により分散された各波長の光は、第2レンズ17によって、ミラーアレイ18の各波長に対応したミラー19(ミラー19a、19b、19c、19d、19e)上にそれぞれ集光する。
【0031】
ミラー19上で集光する位置は、グループ10の複数の入力ポートの波長が同一な場合においては、その光が交わる位置である。さらに、第2レンズ17によって集光される位置は、各グループによって異なる。第2レンズ17の光軸とミラーアレイ18が交わる点を中心としたときに第2レンズ17によって集光される位置の座標X10a、Y10は次式(2)、(3)でそれぞれ表される。
10a=ftan(β10a−θc) ・・・(2)
10=ftanε10 ・・・(3)
ここで、
θcは、図4に示すように、第2レンズ17の光軸と分散素子16の法線のなす角である。
なお、X10aは、ミラー19a上の集光位置の座標であり、ミラー19b、19c、19d、19eにそれぞれ対応する、X10b、X10c、X10d、X10eはX10aと同様に上式(2)で表される。
【0032】
波長選択スイッチ101においては、グループによって、少なくとも、第2レンズ17によって集光される位置が異なるように、ミラーアレイを第1方向A1にグループの数だけ配列している。具体的には、ミラーアレイ18は、図12に示すように、第1方向A1に少なくともグループの数だけ、第2方向B1に少なくとも波長の数だけ配列された複数のミラーを有している。ここで、図12は、ミラーアレイ18の構成を示す、第2レンズ17側から見た斜視図である。このミラーアレイ18においては、各ミラーはX軸を中心に回転するXθと、Y軸を中心に回転するYθに回転することが可能である。ここで、X軸は第2方向B1、Y軸は第1方向A1に対応している。
【0033】
分光素子16によって波長ごとに分散された、グループ10のλ〜λ18の波長の光は、それぞれに対応したミラー19a〜19rのミラー中心に集光される。ミラー上に集光される光は、ミラーの反射面に対して斜めに入射し、ミラーによって入射方向とは異なった方向に反射される。
【0034】
ミラーアレイ18のミラー19によって反射された光は、広がりを持った光束の状態で第2レンズ17に入る。第2レンズ17に入った各波長の光は、コリメート光となって第2レンズ17から分散素子16に向かって進んでいき、分散素子16の第1方向A1に対してε10だけ斜めに入射する(図2)。各ミラーの回転角が同じ場合、第2レンズ17からの光は分散素子16上の一点に集まり、グループ10の複数の入力ポートから入力された、ミラーアレイ18による反射光は、分散素子16に入射する際、別のグループであるグループ11及びグループ12の反射光と同一箇所に入射する。
【0035】
分散素子16によって波長多重された光は、コリメート状態を保ったまま第1レンズ15に入り、第1レンズ15によって集光される。この集光位置は、グループ10の複数の入力ポートから出力された、ミラーアレイ18による反射光が交わる位置であり、その位置は第2レンズアレイ14のグループ10に対応したレンズの光軸と交わる位置である。
【0036】
第1レンズ15によって集光された光は、第2レンズアレイ14のグループ10に対応したレンズによってコリメートされ、接続ポート10eに対応した第1レンズアレイ13のレンズに入る。第1レンズ15によって集光される位置は、第2レンズアレイ14のグループ10に対応した光軸と交わる。接続ポート10eに対応した第1レンズアレイ13のレンズに入った光は、接続ポート10eに集光される(図2)。
【0037】
図1に示すように、接続ポート10eと接続ポート11aは互いに接続されている。これにより、グループ10で波長を合波もしくは分波された光は、1つ以上の波長多重された光となって、グループ11の接続ポート11aから第1レンズアレイ13側へ進んでいき、接続ポート11aに対応した第1レンズアレイ13のレンズによってコリメートされた光となる(図5)。
【0038】
図5、図6に示すように、第1レンズアレイ13のレンズによってコリメートされた光は、第2レンズアレイ14のグループ11に対応したレンズによって集光される。この集光位置は、グループ11の複数の入力ポート及び接続ポート11aの光が交わる位置である。また、この集光位置は、第2レンズアレイ14のグループ11に対応したレンズの光軸と交わる。第2レンズアレイ14の各レンズの集光位置は各グループによって異なる位置である。
【0039】
第2レンズアレイ14によって集光された光は、広がりを持った光束の状態で各グループ共通のレンズである第1レンズ15に入り、第1レンズ15によってコリメートされ、分散素子16側へ出ていく。グループ11に対応した第1レンズアレイ14のレンズの光軸と第1レンズ15の光軸は一致しており、第1レンズ15からの光は、分散素子16に対して第1方向A1に垂直に入射する(図5)。グループ11の複数の入力ポート及び接続ポート11aから分散素子16に入射する光は、図11に示すように、別のグループであるグループ10及びグループ12の対応するポートからの光と同一箇所に入射する。
【0040】
分散素子16は、第1レンズ15でコリメートされた光を第2方向B1に波長に応じて異なる角度に分散させる。グループ11の複数の入力ポート及び接続ポート11aから分散素子16に入射する角度は、第1方向A1に対して垂直(ε11=0)であるため、分散素子16より分散される出射角β11aは次式(4)より求められる。
sinβ11a=(mλ/d)−sinα ・・・(4)
なお、出射角β11b、β11c、β11d、β11eもβ11aと同様に上式(4)で表される。出射角β11a、β11b、β11c、β11d、β11eは、分散素子16の出射面の法線に対する第2方向B1の角度である。
【0041】
分散素子16に入る波長多重された光は、第2方向B1において、各波長に応じた異なる角度でそれぞれ進行していき、その角度は同じ波長であっても、グループ10のときの場合の角度とは異なる。その分散する様子は図6では簡略化して5つの波長のみ図示している。
【0042】
第2レンズ17は、分散素子16と第2レンズ17とが焦点距離fだけ離れているため、第2レンズ17から出た光は波長ごとに一致した方向、すなわち、ミラーアレイ18のミラー20に向かって進む。分散素子16により分散された各波長の光は、第2レンズ17によって、ミラーアレイ18の各波長に対応したミラー20上にそれぞれ集光する。
【0043】
ミラー20上で集光する位置は、グループ11の複数の入力ポート又は接続ポート11aの波長が同一な場合において、その光が交わる位置であり、その位置の第2方向B1の座標X11aは次式(5)で表される。
11a=ftan(β11a−θc) ・・・(5)
なお、X11aは、ミラー20a上の集光位置の座標であり、ミラー20b、20c、20d、20eにそれぞれ対応する、X11b、X11c、X11d、X11eはX11aと同様に上式(5)で表される。
【0044】
上式(5)に示すように、X座標は16からの出射角β11の大きさに依存し、出射角β11の大きさは、例え同じ波長であっても、グループ10のときの出射角β10の大きさと異なる。また、接続ポート11aから分散素子16に入射する角度は、第1方向A1に対して垂直(ε11=0)であるため、集光位置の第1方向A1の座標Y11=0となる。したがって、第2レンズ17によって集光されるグループ11の位置は、X座標、Y座標ともにグループ10の場合と異なる。
【0045】
分光素子16によって波長ごとに分散されたλ〜λ18の波長の光は、それぞれに対応したミラーアレイ18のミラー20a〜20rのミラー中心に集光される。ミラー上に集光される光は、ミラーの反射面に対して斜めに入射し、ミラーによって、入射方向とは異なった方向に反射される。ミラー20a〜20rは、その第1方向A1の位置が第2レンズ17の光軸と交わるように配置されている。
【0046】
ミラーアレイ18のミラー20によって反射された光は、広がりを持った光束の状態で第2レンズ17に入る。第2レンズ17に入った各波長の光は、コリメート光となって第2レンズ17から分散素子16に向かって進んでいき、分散素子16の第1方向A1に対して垂直に入射する(図5)。各ミラーの回転角が同じ場合、第2レンズ17からの光は分散素子16上の一点に集まり、グループ11の複数の入力ポート及び接続ポート11aから入力された、ミラーアレイ18からの反射光は、分散素子16に入射する際、別のグループであるグループ10及びグループ12と同一箇所に入射する。
【0047】
分散素子16によって波長多重された光は、コリメート状態を保ったまま第1レンズ15に入り、第1レンズ15によって集光される。この集光位置は、グループ11のミラーアレイ18からの複数の入力ポート及び接続ポート11aによる反射光が交わる位置であり、その位置は第2レンズアレイ14のグループ11に対応したレンズの光軸と交わる位置である。
【0048】
第1レンズ15によって集光された光は、第2レンズアレイ14のグループ11に対応したレンズによってコリメートされ、接続ポート11eに対応した第1レンズアレイ13のレンズに入る。接続ポート11eに対応した第1レンズアレイ13のレンズに入った光は接続ポート11eに集光される。
【0049】
図1に示すように、接続ポート11eと接続ポート12aは互いに接続されている。これにより、グループ11で波長を合波もしくは分波された光は、1つ以上の波長多重された光となって、グループ12の接続ポート12aから第1レンズアレイ13側へ進んでいき、接続ポート12aに対応した第1レンズアレイ13のレンズによってコリメートされた光となる(図8)。
【0050】
第1レンズアレイ13のレンズによってコリメートされた光は、第2レンズアレイ14のグループ12に対応したレンズによって集光される。この集光位置は、グループ12の複数の入力ポート及び接続ポート12aの光が交わる位置である。また、この集光位置は、第2レンズアレイ14のグループ12に対応したレンズの光軸と交わり、各グループによって異なる。
【0051】
第2レンズアレイ14によって集光された光は、広がりを持った光束の状態で各グループ共通のレンズである第1レンズ15に入り、第1レンズ15によってコリメートされ、分散素子16側へ出ていく。第2レンズアレイ14のグループ12に対応したレンズの光軸と、第1レンズ15の光軸と、は第1方向A1においてずれた位置にある。このため、第1レンズ15によってコリメートされた光は、分散素子16に対して、第1方向A1においてε12だけ斜めに入射する(図8)。グループ12の複数の入力ポート及び接続ポート12aから分散素子16に入射する光は、図11に示すように、別のグループであるグループ10及びグループ11と同一箇所に入射する。
【0052】
分散素子16は、第1レンズ15でコリメートされた光を第2方向B1に波長に応じて異なる角度に分散させる。12の複数の入力ポート及び接続ポート12aから分散素子16に入射する角度は、第1方向A1に対して角度ε12だけ傾いているため、分散素子16より分散される出射角β12は次式(6)より求められる。
sinβ12a=[(mλ)/dcosε12]−sinα ・・・(6)
なお、出射角β12b、β12c、β12d、β12eもβ12aと同様に上式(6)で表される。出射角β12a、β12b、β12c、β12d、β12eは、分散素子16の出射面の法線に対する第2方向B1の角度である。
【0053】
分散素子16に入る波長多重された光は、第2方向B1において、各波長に応じた異なる角度で進行していき、その角度は同じ波長であっても、ε12、ε11、ε10が互いに同一でないため、グループ10、11のときの場合の角度とは異なる。その分散する様子は図9では簡略化して5つの波長のみ図示している。
【0054】
第2レンズ17は、焦点距離fを有した各グループ共通のレンズであり、分散素子16との間隔は焦点距離fと同一である。このため、第2レンズ17から出た光は、波長ごとに一致した方向にミラーアレイ18のミラー21に向かって進んでいく。分散素子16により分散された各波長の光は、第2レンズ17によって、ミラーアレイ18の各波長に対応したミラー21上にそれぞれ集光している。この集光位置は、グループ12の複数の入力ポート又は接続ポート12aの波長が同一な場合において、その光が交わる位置であり、その位置のX座標は次式(7)で表される。
12a=ftan(β12a−θc) ・・・(7)
上式(7)に示すように、X座標は角度β12の大きさに依存する。角度β12の大きさは、例え同じ波長であっても、角度ε12、ε11、ε10が互いに異なるため、β10、β11の大きさと異なる。
なお、X12aは、ミラー20a上の集光位置の座標であり、ミラー20b、20c、20d、20eにそれぞれ対応する、X12b、X12c、X12d、X12eはX12aと同様に上式(7)で表される。
【0055】
また、Y座標は、第2レンズ17の光軸とミラーアレイ18が交わる点を中心としたとき、次式(8)より求めることができ、第2レンズ17によって集光される位置は、ε12、ε11、ε10が互いに異なるためグループごとにX座標、Y座標ともに異なる。
12=ftanε12 ・・・(8)
【0056】
分光素子16によって波長ごとに分散されたλ〜λ18の波長の光は、それぞれに対応したミラーアレイ18のミラー21a〜21rのミラー中心に集光される。ミラー上に集光される光は、ミラーの反射面に対して斜めに入射し、ミラーによって、入射方向とは異なった方向に反射される。
【0057】
ミラーアレイ18のミラー21によって反射された光は、広がりを持った光束の状態で第2レンズ17に入る。第2レンズ17に入った各波長の光は、コリメート光となって第2レンズ17から分散素子16に向かって進んでいき、分散素子16の第1方向A1に対して角度ε12だけ斜めに入射する(図8)。各ミラーの回転角が同じ場合、第2レンズ17からの光は分散素子16上の一点に集まり、グループ12のミラーアレイ18からの複数の入力ポート及び接続ポート12aによる反射光は、分散素子16に入射する際、別のグループである10及び11と同一箇所に入射する。
【0058】
分散素子16によって波長多重された光は、コリメート状態を保ったまま第1レンズ15に入り、第1レンズ15によって集光される。この集光位置は、グループ12のミラーアレイ18からの複数の入力ポート及び接続ポート12aによる反射光が交わる位置であり、その位置は第2レンズアレイ14のグループ12に対応したレンズの光軸と交わる位置である。
【0059】
第1レンズ15によって集光された光は、第2レンズアレイ14のグループ12に対応したレンズによってコリメートされ、出力ポート12eに対応した第1レンズアレイ13のレンズに入る。出力ポート12eに対応した第1レンズアレイ13のレンズに入った光は出力ポート12eに集光される。
【0060】
以上のような構成にすることで、図35、図36のような従来の構成である波長選択スイッチ500を多段にした場合と比べて、第1レンズ15、分散素子16、第2レンズ17を各グループで共通化することができ、コストを大幅に削減できる。また、第1レンズ15、分散素子16、第2レンズ17を共通化することで組み立て時にかかる時間を短縮できる。また、入出力ポート、第1レンズアレイ13、第2レンズアレイ14は、多段化構成にして一体化できるため、コストが大幅に軽減できる。
【0061】
(第2実施形態)
第2実施形態の波長選択スイッチ102は、上述の図1〜図12に示した第1実施形態の波長選択スイッチ101の構成について、|ε10|=|ε12|とし、X11a..と、X10b..と、X12b..と、がそれぞれ互いに同一となるように、ε10を選定している。その他の構成は第1実施形態に係る波長選択スイッチ101と同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用し、詳細な説明は省略する。
【0062】
ここで、図13は、波長選択スイッチ102の構成を示す側面図である。図14は、波長選択スイッチ102の構成を示す上面図である。図15は、図14の分散素子16及び第2レンズ17を拡大して示す図である。図13は、入力ポート10aから入力された光が、接続ポート10eに集光されるまでの経路、接続ポート10eに集光された光が接続ポート11aから入力され、接続ポート11eに集光されるまでの経路、及び、接続ポート11eに集光された光が接続ポート12aから入力され、出力ポート12eに集光されるまでの経路を示している。
【0063】
グループ10の複数の入力ポートから入力された光は、ミラーアレイ18へ波長が分かれた状態で集光される。その集光位置が、第2方向B1において、グループ11と比較して波長1個分ずれた状態になるように、ε10は選定されている。第2実施形態は説明を簡素化するために波長1個分ずらした場合、又は|ε10|=|ε12|の場合を説明するが、ずらす波長の個数は限定されるものではなく、また、|ε10|=|ε12|でなくても良い。
【0064】
具体的には、グループ10の複数の入力ポートの波長多重された光が分散素子16へ入射する第1方向A1の角度ε10は、次式(9)で表される。
cosε10=λn+1/λ ・・・(9)
ただし、λn+1<λであり、λは任意の波長であり、λn+1は任意の波長λより波長1個分ずらした場合の波長である。
【0065】
図16は、ミラーアレイ18の構成、並びに、グループ10、11、12の波長λ、λの光のスポット位置を示す平面図である。
図16に示すように、グループ10の光がミラーアレイ18に集光する第2方向B1の位置は、分散素子16へ入射する第1方向A1の角度ε11がゼロであるグループ11の光がミラーアレイ18に集光する第2方向B1の位置と比較すると、波長1つ分長波長側にずれている。それに対応してミラー19a〜19r及びミラー21a〜21rもミラー1つ分長波長側にずれている。つまり、グループ10及びグループ12の波長λのスポット位置と、グループ11の波長λのスポット位置と、はミラーアレイ18の第1方向A1に対して同じ位置である。
【0066】
以上のような構成にすることで、ミラーアレイ18のミラーピッチは、グループによって差がなくなるため、ミラーアレイ18を容易に製造することが可能となる。また、波長が1つ分ずれているものの、スポットが第2方向B1に同じ位置に並んでいるため、組み立て性が容易になる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0067】
(第3実施形態)
図17は、第3実施形態に係る波長選択スイッチ103の構成を示す上面図である。
第3実施形態の波長選択スイッチ103は、上述の図1〜図12に示した第1実施形態の波長選択スイッチ101の第1レンズ15と第2レンズ17に代えて反射レンズ25を用いた場合の応用例である。また、第1実施形態の分散素子16に代えて、反射型の分散素子26を用いている。その他の構成は第1実施形態に係る波長選択スイッチ101と同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用する。
【0068】
第3実施形態の波長選択スイッチ103では、説明を簡素化するために、反射レンズ25は第1レンズ15と第2レンズ17の共通化も行なっているが、共通化の有無を限定するものではない。また、分散素子26は、図17のような反射型の分散素子を例として示しているが、第1実施形態のような透過型の分散素子を用いても良い。
【0069】
反射レンズ25は、焦点距離fを有しており、第2レンズアレイ14からの広がりを持った光束をコリメートして分散素子26に入射させる。分散素子26によって波長ごとに異なった角度に分散された光は、反射レンズ25によってミラーアレイ18の各波長に対応したミラー上に集光する。
【0070】
ミラーアレイ18の各ミラー上に集光された光は、ミラーの反射面に対して斜めに入射し、ミラーによって入射方向とは異なった方向に反射される。ミラーアレイ18のミラーによって反射された光は、広がりを持った光束の状態で反射レンズ25に入る。反射レンズ25に入った各波長の光は、コリメート光となって反射レンズ25から分散素子26に向かって進んでいき、分散素子26に斜めに入射する。分散素子26によって波長多重された光は、コリメート状態を保ったまま反射レンズ25に入り、反射レンズ25によって集光される。この集光位置は、各グループのミラーアレイ18からの複数の入力ポートによる反射光が交わる位置であり、その位置はグループごとに異なる。
【0071】
反射レンズ25によって集光された光は、第2レンズアレイ14のグループに対応したレンズによってコリメートされ、出力ポート又は接続ポートに対応した第1レンズアレイ13のレンズに入る。出力ポート又は接続ポートに対応した第1レンズアレイ13のレンズに入った光は、出力ポート又は接続ポートに集光される。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0072】
(第4実施形態)
図18、図21、図24は、第4実施形態に係る波長選択スイッチ104の構成を示す側面図である。図19、図22、図25は、波長選択スイッチ104の構成を示す上面図である。図20、図23、図26は、それぞれ、図19、図22、図25の分散素子56及び第2レンズ57を拡大して示す図である。
図18〜図20は、入力ポート50aから入力された光が、接続ポート50eに集光されるまでの経路を示している。図21〜図23は、接続ポート50eに集光された光が接続ポート51aから入力され、接続ポート51eに集光されるまでの経路を示している。図24〜図10は、接続ポート51eに集光された光が接続ポート52aから入力され、出力ポート52eに集光されるまでの経路を示している。
【0073】
第4実施形態の波長選択スイッチ104は、10個の入力ポート50a、50b、50c、50d、51b、51c、51d、52b、52c、52dと、出力ポート52eと、を備える。波長選択スイッチ104の内部では、グループ50の接続ポート50eとグループ51の接続ポート51aが互いに接続され、グループ51の接続ポート51eとグループ52の接続ポート52aとが互いに接続されている。入出力ポート及び接続ポートは、グループ50、51、52の3つに分けられる。グループ50、51、52は、接続ポートによって互いに接続されており、各グループは少なくとも1つの接続ポートを有している。また、グループ50、51、52はそれぞれ入出力部を構成する。
【0074】
また、各グループの入出力ポート及び接続ポートは、入力ポート50a及び接続ポート51a、52aを先頭にして、第1方向A1に沿ってアレイ状にそれぞれ配列されている。それぞれのグループの第1方向A1の先頭である、入力ポート50a、接続ポート51a、52aは、図27に示すように、第2方向B1において3ポート分ずつ順にずらすように並べている。図27は、グループ50、51、52の各ポートの配置を示す、第1レンズアレイ53側から見た正面図である。
ここで、第4実施形態の波長選択スイッチでは、各グループの先頭のポートが第1方向A1において3ポート分ずつ順にずれているが、ずれる量、及び、ずれる方向はこれに限定されるものではない。また、それぞれのグループにおいても、入力ポート、出力ポート、及び接続ポートの並び方及び数量はこれに限定されるものではない。
【0075】
以下、入力ポート50aから入力された光が、出力ポート52eに出力される例について説明する。
入力ポート50aから入力される光は、1つ以上の波長多重された光であり、出力ポート52eに出力される光においても1つ以上の波長多重された光である。入力ポート50aから出力ポート52eまでの経路を、(1)入力ポート50aから接続ポート50e、(2)接続ポート51aから接続ポート51e、(3)接続ポート52aから出力ポート52eの3つに分けて、図18〜26を参照して説明する。
【0076】
波長選択スイッチ104は、上述の複数の入出力及び接続ポート、第1レンズアレイ53、第2レンズアレイ54、第1レンズ55、分散素子56、第2レンズ57、並びに、ミラーアレイ58を有している。入力ポート50aから入力された波長多重された光は、第1レンズアレイ53へ進んでいき、入力ポート50aに対応した、第1レンズアレイ53のレンズによって、コリメートされた光となる。第1レンズアレイ53は、入出力ポート及び接続ポートにそれぞれ対応したレンズを有している。また、図18、図19、図20では、入力ポート50aのみ、光が入力されている様子を簡略化して示しているが、実際は複数の入力ポートから、波長多重された光が入力されている。
【0077】
入出力ポート及び接続ポートは、グループ50、51、52の3つに分けられ、グループ50、51、52は接続ポートによって互いに接続されており、各グループは少なくとも1つの接続ポートをそれぞれ有している。
【0078】
図27に示すように、グループ50は、入力ポート50a、50b、50c、50d、及び、接続ポート50eが、接続ポート50eを中心に第1方向A1に沿って等間隔で並んだ状態で構成されている。グループ51は、接続ポート51a、入力ポート51b、51c、51d、及び、接続ポート51eが、接続ポート51eを中心に第1方向A1に沿って等間隔で並んだ状態で構成されている。グループ52は、接続ポート52a、入力ポート52b、52c、52d、及び、出力ポート52eが、出力ポート52eを中心に第1方向A1に等間隔で並んだ状態で構成されている。
【0079】
図18、19に示すように、第1レンズアレイ53のレンズによってコリメートされた光は、第2レンズアレイ54のグループ50に対応したレンズによって集光される。集光位置P50は、図28に示すように、グループ50の複数の入力ポートの光が交わる位置である。また、グループ51、52において第2レンズアレイ54のレンズによって集光される位置P51、P52は、第1方向A1及び第2方向B1において、位置P50と異なる位置にそれぞれ集光する。第2レンズアレイ54のグループ50に対応したレンズの光軸はグループ50の集光位置P50と交わる。ここで、図28は、各グループの入出力ポート及び接続ポート、第1レンズアレイ53、並びに、第2レンズアレイ54の配置を示す斜視図である。
【0080】
第2レンズアレイ54によって集光された光は、広がりを持った光束の状態で各グループ共通のレンズである第1レンズ55に入り、第1レンズ55によってコリメートされ、分散素子56側へ出ていく。第2レンズアレイ54のグループ50に対応したレンズの光軸と、第1レンズ55の光軸と、は第1方向A1及び第2方向B1においてそれぞれずれた位置にある。このため、第1レンズ55によってコリメートされた光束は、分散素子56に対して、第1方向A1においてε50、第2方向B1においてα50だけ斜めに入射する(図18、図19)。
【0081】
グループ50の複数の入力ポートから分散素子56に入射する光は、図29に示すように入力ポートごとに、4つのスポット56a、56b、56c、56dとしてそれぞれ入射する。図29は、分散素子16に入射する光によって形成されるスポットを示す斜視図である。
【0082】
スポット56a、56b、56c、56dには、グループごとに見ると、グループ50とは別のグループである、グループ51及びグループ52の入力ポートからの光が入射する。具体的には、入力ポート50a、接続ポート51a、52aから分散素子56に入射する光はスポット56aとして入射し、入力ポート50b、51b、52bから分散素子56に入射する光はスポット56bとして入射し、入力ポート50c、51c、52cから分散素子56に入射する光はスポット56cとして入射し、入力ポート50d、51d、52dから分散素子56に入射する光はスポット56dとして入射する。
【0083】
波長選択スイッチ104で用いる分散素子56は、一般的な回折格子構造の素子を用いて構成されている。第1レンズ55からの光束が分散素子56に入る入射角をα50(図19)とすると、分散素子56より分散される出射角β50は次式(10)で表される。
sinβ50a=(mλ/dcosε50)−sinα50 ・・・(10)
ここで、
mは回折次数、
dは回折格子のピッチ、
λは波長、
である。
なお、出射角β50b、β50c、β50d、β50eもβ50aと同様に上式(10)で表される。出射角β50a、β50b、β50c、β50d、β50eは、分散素子56の出射面の法線に対する第2方向B1の角度である。
【0084】
分散素子56は、第1レンズ55でコリメートされた光を、第2方向B1において、波長に応じて異なる角度に分散させる。その分散する様子は、図19では簡略化して5つの波長の光のみ図示している。分散素子56に入る波長多重された光は、第2方向B1において、各波長に応じた異なる角度β50a、β50b、β50c、β50d、β51eでそれぞれ進行していく。
なお、分散素子56は、図18、図19、図20のような透過型の分散素子を例として示しているが反射型を用いても良い。
【0085】
第2レンズ57は、焦点距離fを有した各グループ共通のレンズであり、分散素子56と第2レンズ57の間隔は焦点距離fだけ離れていることが望ましい。これは、分散素子56と第2レンズ57とを、焦点距離fからずれた位置に配置されると、第2レンズ57から出た各波長の光の角度が波長ごとに異なってしまう為である。つまり、分散素子56と第2レンズ57の間隔を焦点距離fと同一にすると、第2レンズ57から出た光は波長ごとに一致した方向に進み、ミラーアレイ58のミラー59a、59b、59c、59d、59eに向かってそれぞれ進む。分散素子56により分散された各波長の光は、第2レンズ57によって、ミラーアレイ58の各波長に対応したミラー59(59a、59b、59c、59d、59e)上にそれぞれ集光する。
【0086】
ミラー59上で集光する位置は、グループ50の複数の入力ポートの波長が同一な場合において、その光が交わる位置である。さらに、第2レンズ57によって集光される位置は、各グループによって異なる。第2レンズ57の光軸とミラーアレイ58が交わる点を中心としたときに第2レンズ57によって集光される位置は、第1方向A1の座標をY50、第2方向B1の座標をX50とおくと、X50は次式(11)、Y50は次式(12)で表される。
50a=ftan(β50a−θc) ・・・(11)
50=ftanε50 ・・・(12)
ここで、
θcは、図20に示すように、第2レンズ57の光軸と分散素子56の法線のなす角である。
なお、X50aは、ミラー59a上の集光位置の座標であり、ミラー59b、59c、59d、59eにそれぞれ対応する、X50b、X50c、X50d、X50eはX50aと同様に上式(11)で表される。
【0087】
波長選択スイッチ104においては、グループによって、少なくとも、第2レンズ57によって集光される位置が異なるように、ミラーアレイを第1方向A1にグループの数だけ配置している。具体的には、ミラーアレイ58は、図30に示すように、第1方向A1に少なくともグループの数だけ、第2方向B1に少なくとも波長の数だけ配列された複数のミラーを有している。ここで、図30は、ミラーアレイ58の構成を示す、第2レンズ57側から見た斜視図である。このミラーアレイ58においては、各ミラーはX軸を中心に回転するXθと、Y軸を中心に回転するYθに回転することが可能である。ここで、X軸は第2方向B1、Y軸は第1方向A1に対応している。
【0088】
分光素子56によって波長ごとに分散された、グループ50のλ〜λ18の波長の光は、それぞれに対応したミラー59a〜59rのミラー中心に集光される。ミラー上に集光される光は、ミラーの反射面に対して斜めに入射し、ミラーによって入射方向とは異なった方向に反射される。
【0089】
ミラーアレイ58のミラー59によって反射された光は、広がりを持った光束の状態で第2レンズ57に入る。第2レンズ57に入った各波長の光は、コリメート光となって第2レンズ57から分散素子56に向かって進んでいき、分散素子56の第1方向A1に対してε50だけ斜めに入射する(図18)。各ミラーの回転角が同じ場合、第2レンズ57からの光は、分散素子56上の一点に集まり、グループ50の複数の入力ポートから入力された、ミラーアレイ58による反射光は、分散素子56に入射する際、別のグループであるグループ51及びグループ52の反射光と同一箇所に入射する。
【0090】
分散素子56によって波長多重された光は、コリメート状態を保ったまま第1レンズ55に入り、第1レンズ55によって集光される。この集光位置は、グループ50の複数の入力ポートから出力された、ミラーアレイ58による反射光が交わる位置であり、その位置は第2レンズアレイ54のグループ50に対応したレンズの光軸と交わる位置である。
【0091】
第1レンズ55によって集光された光は、第2レンズアレイ54のグループ50に対応したレンズによってコリメートされ、接続ポート50eに対応した第1レンズアレイ53のレンズに入る。第1レンズ55によって集光される位置は、第2レンズアレイ54のグループ50に対応した光軸と交わる。接続ポート50eに対応した第1レンズアレイ53のレンズに入った光は、接続ポート50eに集光される(図18)。
【0092】
接続ポート50eと接続ポート51aは互いに接続されており、これにより、グループ50で波長を合波もしくは分波された光は、1つ以上の波長多重された光となって、グループ51の接続ポート51aから第1レンズアレイ53方向に進んでいき、接続ポート51aに対応した第1レンズアレイ53のレンズによってコリメートされた光となる(図21)。
【0093】
図21、図22に示すように、第1レンズアレイ53のレンズによってコリメートされた光は、第2レンズアレイ54のグループ51に対応したレンズによって集光される。この集光位置は、グループ51の複数の入力ポート及び接続ポート51aの光が交わる位置である。また、この集光位置は、第2レンズアレイ54のグループ51に対応したレンズの光軸と交わる。第2レンズアレイ54の各レンズの集光位置は各グループによって異なる位置である。
【0094】
第2レンズアレイ54によって集光された光は、広がりを持った光束の状態で各グループ共通のレンズである第1レンズ55に入り、第1レンズ55によってコリメートされ、分散素子56側へ出ていく。グループ51に対応した第1レンズアレイ54のレンズの光軸と第1レンズ55の光軸は一致しており、第1レンズ55からの光は、分散素子56に対して、第1方向A1には垂直に入射し(図21)、第2方向B1に対してはα51だけ斜めに入射する(図22)。グループ51の複数の入力ポート及び接続ポート51aから分散素子56に入射する光は、別のグループであるグループ50及びグループ52の対応するポートからの光と同一箇所に入射する。
【0095】
分散素子56は、第1レンズ55でコリメートされた光を第2方向B1に波長に応じて異なる角度に分散させる。グループ51の複数の入力ポート及び接続ポート51aから分散素子56に入射する角度は、第1方向A1に対して垂直(ε51=0)であるため、分散素子56より分散される出射角β51は次式(13)より求められる。
sinβ51a=(mλ/d)−sinα51 ・・・(13)
なお、出射角β51b、β51c、β51d、β51eもβ51aと同様に上式(13)で表される。出射角β51a、β51b、β51c、β51d、β51eは、分散素子56の出射面の法線に対する第2方向B1の角度である。
【0096】
分散素子56に入る波長多重された光は、第2方向B1において、各波長に応じた異なる角度でそれぞれ進行していき、その角度は同じ波長であっても、グループ50のときの場合の角度とは異なる。その分散する様子は図22では簡略化して5つの波長のみ図示している。
【0097】
第2レンズ57は、焦点距離fを有した各グループ共通のレンズである。分散素子56と第2レンズ57とが焦点距離fだけ離れているため、第2レンズ57から出た光は波長ごとに一致した方向、すなわち、ミラーアレイ58のミラー60に向かって進む。分散素子56により分散された各波長の光は、第2レンズ57によって、ミラーアレイ58の各波長に対応したミラー60上にそれぞれ集光している。
【0098】
ミラー60上で集光する位置は、グループ51の複数の入力ポート又は接続ポート51aの波長が同一な場合において、その光が交わる位置であり、その位置は次式(14)で表される。
51a=ftan(β51a−θc) ・・・(14)
なお、X51aは、ミラー59a上の集光位置の座標であり、ミラー59b、59c、59d、59eにそれぞれ対応する、X51b、X51c、X51d、X51eはX51aと同様に上式(14)で表される。
【0099】
上式(14)に示すように、X座標は分散素子56からのβ51の大きさに依存し、出射角β51の大きさは、例え同じ波長であっても、グループ50のときの出射角β50の大きさと異なる。また、接続ポート51aから分散素子56に入射する角度は、第1方向A1に対して垂直(ε51=0)であるため、集光位置の第1方向の座標Y51=0となる。したがって、第2レンズ57によって集光される位置は、X座標、Y座標ともにグループ50の場合と異なる。
【0100】
分光素子56によって波長ごとに分散されたλ〜λ18の波長の光は、それぞれに対応したミラーアレイ58のミラー60a〜60rのミラー中心に集光される。ミラー上に集光される光は、ミラーの反射面に対して斜めに入射し、ミラーによって、入射方向とは異なった方向に反射される。ミラー60a〜60rは、その第1方向A1の位置が第2レンズ57の光軸と交わるように配置されている。
【0101】
ミラーアレイ58のミラー60によって反射された光は、広がりを持った光束の状態で第2レンズ57に入る。第2レンズ57に入った各波長の光は、コリメート光となって第2レンズ57から分散素子56に向かって進んでいき、分散素子56の第1方向A1に対して垂直に入射する(図21)。各ミラーの回転角が同じ場合、第2レンズ57からの光は分散素子56上の一点に集まり、グループ51の複数の入力ポート及び接続ポート51aから入力された、ミラーアレイ58からの反射光は、分散素子56に入射する際、別のグループであるグループ50及びグループ52と同一箇所に入射する。
【0102】
分散素子56によって波長多重された光は、コリメート状態を保ったまま第1レンズ55に入り、第1レンズ55によって集光される。この集光位置は、グループ51のミラーアレイ58からの複数の入力ポート及び接続ポート51aによる反射光が交わる位置であり、その位置は第2レンズアレイ54のグループ51に対応したレンズの光軸と交わる位置である。
【0103】
第1レンズ55によって集光された光は、第2レンズアレイ54のグループ51に対応したレンズによってコリメートされ、接続ポート51eに対応した第1レンズアレイ53のレンズに入る。接続ポート51eに対応した第1レンズアレイ53のレンズに入った光は接続ポート51eに集光される。
【0104】
接続ポート51eと接続ポート52aは互いに接続されており、グループ51で波長を合波もしくは分波された光は、1つ以上の波長多重された光となって、グループ52の接続ポート52aから第1レンズアレイ53側へ進んでいき、接続ポート52aに対応した第1レンズアレイ53のレンズによってコリメートされた光となる(図24)。
【0105】
第1レンズアレイ53のレンズによってコリメートされた光は、第2レンズアレイ54のグループ52に対応したレンズによって集光される。この集光位置は、グループ52の複数の入力ポート及び接続ポート52aの光が交わる位置である。また、この集光位置は、第2レンズアレイ54のグループ52に対応したレンズの光軸と交わり、各グループによって異なる。
【0106】
第2レンズアレイ54によって集光された光は、広がりを持った光束の状態で各グループ共通のレンズである第1レンズ55に入り、第1レンズ55によってコリメートされ、分散素子56側へ出ていく。第2レンズアレイ54のグループ52に対応したレンズの光軸と、第1レンズ55の光軸と、は第1方向A1及び第2方向B1において、ずれた位置にある。このため、第1レンズ55によってコリメートされた光は、分散素子56に対して、第1方向A1においてε52、第2方向B1においてα52だけ斜めに入射する(図24、図25)。グループ52の複数の入力ポート及び接続ポート52aから分散素子56に入射する光は、図29に示すように、別のグループであるグループ50及びグループ51と同一箇所に入射する。
【0107】
分散素子56は、第1レンズ55でコリメートされた光を第2方向B1に波長に応じて異なる角度に分散させる。グループ52の複数の入力ポート及び接続ポート52aから分散素子56に入射する角度は、第1方向A1に対してε52だけ傾いているため、分散素子56より分散される出射角β52は次式(15)より求められる。
sinβ52a=(mλ/dcosε52)−sinα52 ・・・(15)
なお、出射角β52b、β52c、β52d、β52eもβ52aと同様に上式(15)で表される。出射角β52a、β52b、β52c、β52d、β52eは、分散素子56の出射面の法線に対する第2方向B1の角度である。
【0108】
分散素子56に入る波長多重された光は、第2方向B1において、各波長に応じた異なる角度で進行していき、その角度は同じ波長であっても、ε52、ε51、ε50、α52、α51、α50が互いに同一でないため、グループ50、51のときの場合の角度とは異なる。その分散する様子は図25では簡略化して5つの波長のみ図示している。
【0109】
第2レンズ57は、焦点距離fを有した各グループ共通のレンズであり、分散素子56と第2レンズ57は焦点距離fだけ離れている。このため、第2レンズ57から出た光は、波長ごとに一致した方向に進み、ミラーアレイ58のミラー61a、61b、61c、61d、61eに向かってそれぞれ進む。分散素子56により分散された各波長の光は、第2レンズ57によって、ミラーアレイ58の各波長に対応したミラー61(61a、61b、61c、61d、61e)上にそれぞれ集光する。
【0110】
ミラー61上で集光する位置は、グループ52の複数の入力ポート又は接続ポート52aの波長が同一な場合、その光が交わる位置であり、その位置のX座標X52、Y座標Y52は次式(16)、(17)でそれぞれ表される。
52a=ftan(β52a−θc) ・・・(16)
52=ftanε52 ・・・(17)
なお、X52aは、ミラー59a上の集光位置の座標であり、ミラー59b、59c、59d、59eにそれぞれ対応する、X52b、X52c、X52d、X52eはX52aと同様に上式(16)で表される。
【0111】
上式(16)に示すように、X座標はβ52の大きさに依存する。β52の大きさは、例え同じ波長であっても、ε52≠ε51≠ε50、又は、α52≠α51≠α50であるため、β50、β51の大きさと異なる。また、Y座標は式(17)より求めることができ、第2レンズ57によって集光される位置は、ε52≠ε51≠ε50であるため、グループごとにX座標、Y座標ともに異なる。
【0112】
分光素子56によって波長ごとに分散されたλ〜λ18の波長の光は、それぞれに対応したミラー61a〜61r(図30)のミラー中心に集光される。これらのミラー上に集光される光は、ミラーの反射面に対して斜めに入射し、ミラーによって、入射方向とは異なった方向に反射される。
【0113】
ミラーアレイ58のミラー61によって反射された光は、広がりを持った光束の状態で第2レンズ57に入る。第2レンズ57に入った各波長の光は、コリメート光となって第2レンズ57から分散素子56に向かって進んでいき、分散素子56の第1方向A1に対して角度ε52だけ斜めに入射する。各ミラーの回転角が同じ場合、第2レンズ57からの光は、分散素子56上の一点に集まり、グループ52のミラーアレイ58からの複数の入力ポート及び接続ポート52aによる反射光は、分散素子56に入射する際、別のグループであるグループ50及びグループ51と同一箇所に入射する。
【0114】
分散素子56によって波長多重された光は、コリメート状態を保ったまま第1レンズ55に入り、第1レンズ55によって集光される。この集光位置は、グループ52のミラーアレイ58からの複数の入力ポート及び接続ポート52aによる反射光が交わる位置であり、その位置は第2レンズアレイ54のグループ52に対応したレンズの光軸と交わる位置である。
【0115】
第1レンズ55によって集光された光は、第2レンズアレイ54のグループ52に対応したレンズによってコリメートされ、出力ポート52eに対応した第1レンズアレイ53のレンズに入る。出力ポート52eに対応した第1レンズアレイ53のレンズに入った光は出力ポート52eに集光される。
【0116】
以上のような構成にすることで、図35、図36のような従来の構成である波長選択スイッチ500を多段にした場合と比べて、第1レンズ55、分散素子56、第2レンズ57を各グループで共通化することができ、コストを大幅に削減できる。また、第1レンズ55、分散素子56、第2レンズ57を共通化することで組み立て時にかかる時間を短縮できる。さらにまた、入出力ポート、第1レンズアレイ53、第2レンズアレイ54は、多段化構成にして一体化できるため、コストが大幅に軽減できる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第1実施形態と同様である。
【0117】
(第5実施形態)
第5実施形態の波長選択スイッチ105は、上述の図18〜図30に示した第4実施形態の構成について、|ε50|=|ε52|、α50=α52とし、X50a..と、X51a..と、X52a..と、がそれぞれ同一となるように、ε50とα50の関係を選定している。その他の構成は第4実施形態に係る波長選択スイッチと同様であって、同じ部材については同じ参照符号を使用する。
【0118】
ここで、図31は、波長選択スイッチ105の構成を示す側面図である。図32は、波長選択スイッチ105の構成を示す上面図である。図33は、図32の分散素子56及び第2レンズ57を拡大して示す図である。図31は、入力ポート50aから入力された光が、接続ポート50eに集光されるまでの経路、接続ポート50eに集光された光が接続ポート51aから入力され、接続ポート51eに集光されるまでの経路、及び、接続ポート51eに集光された光が接続ポート52aから入力され、出力ポート52eに集光されるまでの経路を示している。
【0119】
グループ50の複数の入力ポートから入力された光は、ミラーアレイ58の位置で波長が分かれた状態で集光される。この光の第2方向B1における集光位置と、グループ51の場合の集光位置と、が互いに一致するように、ε50とα50の関係が選定されている。第5実施形態では説明を簡素化するために|ε50|=|ε52|、α50=α52の場合のみ説明するが、|ε50|=|ε52|、α50=α52でなくても良い。
【0120】
具体的には、グループ50の複数の入力ポートの波長多重された光は、分散素子56へ入射する角度α50、ε50が次式(18)で表される関係となるように入射される。
sinα50−sinα51=(mλ/d)[(1/cosε50)−1] ・・・(18)
ここで、
mは回折次数、
dは回折格子のピッチ、
λは波長、
α51はグループ51の第2方向B1の分散素子56への入射角度、
である。
【0121】
第5実施形態では、説明を簡素化するために、α51として、分散素子56に入射する第1方向A1に対する角度ε51がゼロである場合の角度を示しているが、ε51=0でなくても良く、その場合のα50、ε50との関係式は次式(19)で表される。
sinα50−sinα51=(mλ/d)[(1/cosε50)−(1/cosε51)] ・・・(19)
【0122】
α50、ε50は、第1レンズ55の光軸と第2レンズアレイ54のグループ50に対応したレンズの光軸のズレ量であるQ、Qによって次式(20)、(21)のように決定される。
α50=tan−1(Q/f)+θ ・・・(20)
ε50=tan−1(Q/f) ・・・(21)
ここで、
は第1レンズ55の焦点距離、
θは第1レンズ55の光軸と分散素子56の法線がなす角度、
である。
【0123】
第5実施形態の波長選択スイッチにおいては、第2レンズアレイ54の各レンズの光軸をずらすことによって、α50、ε50を変化させ、上式(18)の関係が成り立つようにしている。これにより、グループ50のミラーアレイ58に集光するX方向の位置が、グループ51及びグループ52のミラーアレイ58に集光するX方向の位置と同じ位置になる(図34)。図34は、ミラーアレイ58の構成、並びに、グループ50、51、52の波長λの光のスポット位置を示す平面図である。
【0124】
このような構成にすることで、ミラーアレイ58のミラーピッチはグループによって差がなくなり、ミラーアレイ58を容易に製造することが可能となる。また、スポットが第2方向B1に同じ位置に並んでいるため、組み立て性が良くなる。
なお、その他の構成、作用、効果については、第4実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上のように、本発明に係る波長選択スイッチは、装置全体に必要なコストを抑えつつポート数を増やしたい場合に有用である。
【符号の説明】
【0126】
10、11、12 グループ
10a、10b、10c、10d 入力ポート
10e 接続ポート
11a 接続ポート
11b、11c、11d 入力ポート
11e 接続ポート
12a 接続ポート
12b、12c、12d 入力ポート
12e 出力ポート
13 第1レンズアレイ
14 第2レンズアレイ
15 第1レンズ
16 分散素子
16a、16b、16c、16d スポット
17 第2レンズ
18 ミラーアレイ
19 ミラー
19a、19b、19c、19d、19e、・・・、19r ミラー
20 ミラー
20a、20b、20c、20d、20e、・・・、20r ミラー
21 ミラー
21a、・・・、21r ミラー
25 反射レンズ
26 分散素子
50、51、52 グループ
50a、50b、50c、50d 入力ポート
50e 接続ポート
51a 接続ポート
51b、51c、51d 入力ポート
51e 接続ポート
52a 接続ポート
52b、52c、52d 入力ポート
52e 出力ポート
53 第1レンズアレイ
54 第2レンズアレイ
55 第1レンズ
56 分散素子
56a、56b、56c、56d スポット
57 第2レンズ
58 ミラーアレイ
59 ミラー
59a、59b、59c、59d、59e、・・・、59r ミラー
60 ミラー
60a、・・・、60r ミラー
61 ミラー
61a、61b、61c、61d、61e、・・・、61r ミラー
101、102、103、104、105 波長選択スイッチ
A1 第1方向
B1 第2方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向にアレイ状に並び、波長多重光の入力部と出力部とを有する光入出力部と、
前記入力部から入力された前記波長多重光をそれぞれの信号波長に分離する光分散手段と、
前記信号波長に分離された光を集光させる集光要素と、
前記集光要素により集光されたそれぞれの信号波長光を所望の前記出力部にスイッチングさせるよう前記第1方向に前記信号光を偏向させる光偏向素子アレイと、
を備える波長選択スイッチであって、
mを整数とするとき、前記入出力部がm個のグループに分かれ、前記入出力部のm個のグループに対応するように前記光偏向素子アレイが第1方向にm個配列されており、
前記光分散手段が、前記入出力部のm個のグループにおいて共通であることを特徴とする波長選択スイッチ。
【請求項2】
前記入出力部の各グループの対応する入力部からの光は、前記光分散手段の略同じ位置に入射することを特徴とする請求項1に記載の波長選択スイッチ。
【請求項3】
前記第1方向と直交する第2方向において、異なる信号波長に対応する前記光偏向素子アレイの位置が、前記入出力部のm個のグループのそれぞれによって同一であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の波長選択スイッチ。
【請求項4】
前記第1方向にアレイ状に並び、波長多重光の入力部と出力部とを有する光入出力部と、
前記入力部から入力された前記波長多重光をそれぞれの信号波長に分離する光分散手段と、
前記信号波長に分離された光を集光させる集光要素と、
前記集光要素により集光されたそれぞれの信号波長光を所望の前記出力部にスイッチングさせるよう第1方向に前記信号光を偏向させる光偏向素子アレイと、
を備え、mを整数とするとき、前記入出力部が第1方向と直交する第2方向にm個のグループに分かれて配列された波長選択スイッチであって、
前記入出力部のm個のグループに対応するように前記光偏向素子アレイが第1方向にm個配列されており、
前記光分散手段が、前記入出力部のm個のグループにおいて共通であることを特徴とする波長選択スイッチ。
【請求項5】
前記入出力部の各グループの対応する入力部からの光は、前記光分散手段の略同じ位置に入射することを特徴とする請求項4に記載の波長選択スイッチ。
【請求項6】
前記第2方向において、異なる信号波長に対応する前記光偏向素子アレイの位置が、前記入出力部のm個のグループのそれぞれによって同一となることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の波長選択スイッチ。
【請求項7】
前記第2方向において、同一の信号波長に対応する前記光偏向素子アレイの位置が、前記入出力部のm個のグループのそれぞれのグループによって同一となることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の波長選択スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2011−248000(P2011−248000A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119532(P2010−119532)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】