波長選択制御方法及びそれを用いた波長可変フィルタ装置
【課題】 本発明は、波長選択及び切り替えを高速に行うことができる波長選択制御方法及びそれを用いた波長可変フィルタ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出し、複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定し、基準RF周波数を最適化するトラッキングを行い、波長選択要求がなければ複数の基準RF周波数の検出及び複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定及びトラッキングを繰り返し、波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定し、第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給する。
【解決手段】 複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出し、複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定し、基準RF周波数を最適化するトラッキングを行い、波長選択要求がなければ複数の基準RF周波数の検出及び複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定及びトラッキングを繰り返し、波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定し、第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長選択制御方法及びそれを用いた波長可変フィルタ装置に関し、特に、音響光学型チューナブルフィルタの波長選択制御方法及びそれを用いた波長可変フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
将来のマルチメディアネットワークの構築を目指し、超長距離でかつ大容量の光通信装置が要求されている。この大容量化を実現する方式として、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing 以下、「WDM」と略記する。)方式が、光ファイバの光帯域・大容量性を有効利用できるなどの有利な点から研究開発が進められている。
【0003】
特に、光通信ネットワークにおいては、ネットワーク上の各地点において必要に応じて光信号を通過・分岐・挿入する機能、光伝送路を選択する光ルーティング,クロクコネクト機能が必要である。このため、光信号を通過・分岐・挿入する光分岐挿入(Optical Add Drop Multiplexer 以下、「OADM」と略記する。)装置が研究開発されている。このOADM装置は、固定波長の光信号のみを分岐・挿入することができる波長固定型のOADM装置と、任意波長の光信号を分岐・挿入することができる任意波長型のOADM装置がある。
【0004】
一方、音響光学型チューナブルフィルタ(Acousto Optic Tunable Filter 以下、「AOTF」と略記する。)は、選択する波長の光のみ抽出するように動作するため、選択する波長が固定であるファイバーグレーティングと異なり、任意に波長を選択することができる。さらに、可変波長選択フィルタでもあるので、端局間において光信号を分岐・挿入する局であるトリビュータリ局における可変波長選択フィルタとしても使用することができる。このような理由により、AOTFを使用したOADM装置が研究開発されている。
【0005】
また、光通信ネットワークにおいては、従来の光ストリーム伝送方式から新しく光バーストスイッチング伝送方式が期待されている。これは、バースト性が高いインターネットトラヒックの統計的性質に着目し、ミリ秒オーダー以下の時間間隔で、バーストデータ伝達に必要な時間だけある波長を割当て、ネットワークリソースの使用効率を高めた光伝達網である。
【0006】
光バーストスイッチング伝送方式にすることで、ネットワークリソースの使用効率を高めることが可能となる。このためには、ミリ秒オーダー以下での波長切り替えを行うことが求められており、AOTFはマイクロ秒オーダーの波長切り替えが可能であることから光バーストスイッチング伝送のコアデバイスとして有効であることが知られている。
【0007】
図1は、AOTFの動作原理を説明するための構成図を示す。同図中、強誘電体結晶の一種であり圧電作用を示すニオブ酸リチウム(LiNbO3)基板1−7にチタン(Ti)拡散で2本の光導波路1−1、1−2を形成する。これら光導波路1−1、1−2は、互いに2箇所で交叉しており、これら2つの交叉する部分に導波路型の偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter 以下、「PBS」と略記する。)1−3、1−4が設けられている。
【0008】
また、2つの交叉する部分の間において、2本の光導波路1−1、1−2上には、金属膜のSAWガイド1−6が形成されている。このSAWガイド1−6には、櫛歯を互いにかみ合わせた状態の電極(Inter Digital Transducer 以下、「IDT」と略記する。)1−5に、RF信号発生回路1−10からの160−180MHz帯の高周波信号(以下「RF信号」と称す。)を印加することによって発生する弾性表面波(Surface Acoustic Wave)が伝搬する。
【0009】
図1において、波長λ1、λ2、λ3の光をAOTFのポート1に入力した場合、PBS1−3によって、TEモードとTMモードの偏波モードによって混成された入力光は、TEモードとTMモードに分かれて光導波路1−1、1−2を伝搬する。ここで、特定の周波数のRF信号f1を印加することにより弾性表面波がSAWガイド1−6に沿って伝搬すると、SAWガイド1−6と交叉している部分において、音響光学(AO:Acousto Optic)効果により2つの光導波路1−1、1−2の屈折率は、周期的に変化する。
【0010】
このため、入力光のうち、この屈折率の周期的な変化と相互作用をする特定の波長の光のみ偏波モードが回転し、TEモードとTMモードとが入れ替わる。回転量は、TEモードとTMモードの光が屈折率の変化と相互作用する作用長およびRF信号のパワーに比例する。作用長は、IDT1−5を挟んで光導波路1−1、1−2上に形成される表面弾性波を吸収する吸収体1−8、1−9の間隔によって調整される。
【0011】
したがって、作用長とRF信号のパワーとを最適化することによって、光導波路1−1の中で特定波長のTMモード光はTEモード光に変換され、光導波路1−2の中で特定波長のTEモード光はTMモード光に変換される。そして、この変換されたTEモード光とTMモード光は、PBS1−4によって進行方向が変わり、相互作用をした特定波長の光のみが分岐光として選択されてポート3から出力され、相互作用をしなかった波長の光は透過してポート2からの出力光となる。図1では、RF信号f1によって、波長λ1の光信号が作用を受け分岐光として選択されたことを示している。
【0012】
このように、AOTFは、RF信号の周波数に応じた波長の光のみを選択して分岐させることができ、さらに、このRF信号の周波数を変化させることによって選択される光の波長を変えることができる。
【0013】
また、このとき、ポート2から射出される出力光は、ポート1に入射される入力光からRF信号の周波数に対応する特定波長(波長λ1)の光のみが除去された光信号(波長λ2,λ3)であるので、AOTFは、リジェクション機能を持つと考えることができる。
【0014】
図2は従来の波長可変フィルタの一例の構成図を示し、図3は図2内のレジスタ部を説明するための図を示し、図4は従来の波長選択処理のフローチャートを示す。ここで、運用対象とするWDM伝送信号を波長λ1,λ2,…,λn−1,λnとし、隣接する波長λ1,λ2,…,λn−1,λnの波長間隔は同一とする。
【0015】
図2において、波長可変フィルタ10は、5チャネルドロップ型集積AOTF12と、光タップ(光分岐器)141〜145と、光モニタ回路16と、DSP(Digital Signal Processor)で構成された制御部18と、FPGA(Field Programmable Gate Array)で構成されたレジスタ部20と、RF信号発生回路22から構成されている。
【0016】
WDM伝送信号波長λ1〜λnを分岐カプラ24で分岐して、AOTF12のポートP1〜P4に入力する。AOTF12のポートP5には最短波長側の基準波長λref1と最長波長側の基準波長λref2を入力する。この時、λref1は運用する最短波長側WDM伝送信号波長λ1より1チャネル分短波長側に離れて位置するように設定し、λref2は運用する最長波長側WDM伝送信号波長λnより1チャネル分長波長側に離れて位置するように設定する(図4のステップS10)。
【0017】
RF信号発生回路22はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を180MHzから1kHzステップで減少させ、ポートP5の出力光を光タップ145で分岐し光モニタ回路16で光電変換した電圧値を最短波長側の基準波長λref1の検出値として制御部18に読込み、制御部18は検出値が最大となるときの基準RF周波数f1を基準波長λref1と対応させて、図2に示すレジスタ部20内のポートP5用のレジスタ20aに設定する(ステップS11)。
【0018】
また、RF信号発生回路22はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を160MHzから1kHzステップで増加させ、ポートP5の出力光を光タップ145で分岐し光モニタ回路16で光電変換した電圧値を最長波長側の基準波長λref2の検出値として制御部18に読込み、制御部18は検出値が最大となるときの基準RF周波数f2を基準波長λref2と対応させてレジスタ部20内のポートP5用のレジスタ20aに設定する(ステップS12)。
【0019】
制御部18は、基準RF周波数f1から基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出する(ステップS13)。また、制御部18は、WDM伝送信号のチャネル数nと基準波長の数である2からチャネル間隔数n+1(=n+2−1)を求める(ステップS14)。
【0020】
次に、制御部18は最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路22にセットし、環境温度の変化や基準波長光源の強度揺らぎ等の変動とは無関係に光モニタ回路16で光電変換した電圧値である検出値が最大となるようRF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を行い、レジスタ20aに設定する基準RF周波数f1とRFパワーを更新する。また、最長波長側の基準RF周波数f2についても、最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1の変化分に基づいて相対変化分を考慮し更新しておく。更に、更新した基準RF周波数f1から更新した基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出して更新する(ステップS15)。
【0021】
制御部18は、上位装置から波長選択要求を受けると(ステップS16)、RF周波数間隔とチャネル間隔数から選択するチャネルの従属RF周波数を算出する。例えば、ポートP1の選択する波長がλ2であれば、RF周波数間隔をチャネル間隔数で割った値の2倍を基準RF周波数f1から差し引くことで、選択チャネルλ2の従属RF周波数を算出する(ステップS17)。
【0022】
算出した従属RF周波数とRFパワーを図2に示すレジスタ部20内のポートP1用のレジスタ20bに書き込んでRF信号発生回路22の発生するRF周波数を設定する。これによって、ポートP1で選択チャネルλ2が選択される。環境温度の変化やWDM伝送信号光源の強度揺らぎ等の変動とは無関係にRF周波数を最適化するため、光モニタ回路16で光電変換した電圧値が最大となるようにポートP1においてRF周波数トラッキング処理及びRFパワートラッキング処理を行って、最適RF周波数の変化分を基に基準波長λref1,λref2に対応する基準RF周波数f1,f2それぞれの相対変化分を考慮して更新し、それに基づいてRF周波数間隔も更新しておく(ステップS18)。
【0023】
特許文献1には、上下の基準波長信号から所定波長に対応する波長制御周波数を算出してAOTFの波長制御を行うことが記載されている。
【0024】
特許文献2には、波長補正制御データを常時更新して波長可変フィルタの波長制御を行うことが記載されている。
【0025】
特許文献3には、予め記憶していた波長制御データを読み出してAOTFの波長制御を高速に行うことが記載されている。
【0026】
特許文献4には、AOTFとRF信号発生回路と分岐光モニタ回路と信号処理回路を含み、RF信号発生回路は直接デジタルシンセサイザと周波数逓倍処理部を備えることが記載されている。
【0027】
特許文献5には、任意の波長及び任意の多重数の信号光について分岐・挿入または透過が可能な装置が記載されている。
【特許文献1】特開2000−241782号公報
【特許文献2】特開平11−98122号公報
【特許文献3】特開平11−289296号公報
【特許文献4】特開2003−344817号公報
【特許文献5】特開平11−218790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
近年、WDM伝送方式においては、光ストリーム伝送からより効率的伝送を目指すため光バーストスイッチング伝送の研究が行われている。光バーストスイッチング伝送においては、50μs以下の高速光波長切替技術が求められている。このため、高速動作が可能なAOTFデバイスの利用が検討されている。
【0029】
しかし、図2〜図4に示す従来技術では、波長とRF周波数・パワーの対応を計算するために、波長選択を行う毎に、制御部18による波長選択要求の解析処理、演算処理、レジスタ部20のアクセス処理、RF周波数トラッキング処理、RFパワートラッキング処理を行っているため、波長選択及び切り替えの処理に2ms程度の時間が掛かっており、光波長切り替えの高速化が進まないという問題があった。
【0030】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、波長選択及び切り替えを高速に行うことができる波長選択制御方法及びそれを用いた波長可変フィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
請求項1に記載の発明は、複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出し、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行い、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定し、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返し、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給することにより、波長選択及び切り替えを高速に行うことができる。
【0032】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の波長選択制御方法において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給し、
前記トラッキングは、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することにより、最適化された高精度な波長選択を行うことができる。
【0033】
請求項3に記載の発明は、複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出する基準RF周波数検出手段と、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行うトラッキング手段と、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定する第1レジスタ設定手段と、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返す繰り返し手段と、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定する第2レジスタ設定手段を有し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給により、波長選択及び切り替えを高速に行うことができる。
【0034】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給する合波手段を有し、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することにより、最適化された高精度な波長選択を行うことができる。
【0035】
請求項5に記載の発明は、請求項3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数とそのRFパワーを最適化することにより、更に最適化された高精度な波長選択を行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、波長選択及び切り替えを高速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図5は、本発明の波長可変フィルタの第1実施形態の構成図を示す。図6は図5内の光モニタ回路の構成図を示し、図7は図5内のレジスタ部を説明するための図を示し、図8は図5内のRF信号発生回路の構成図を示す。ここで、運用対象とするWDM伝送信号を波長λ1,λ2,…,λn−1,λnとし、隣接する波長λ1,λ2,…,λn−1,λnの波長間隔は同一とする。
【0038】
図5において、波長可変フィルタ30は、5チャネルドロップ型集積AOTF32と、光タップ(光分岐器)341〜345と、光モニタ回路36と、DSPで構成された制御部38と、FPGAで構成されたレジスタ・セレクタ部40と、RF信号発生回路42から構成されている。
【0039】
5チャネルドロップ型集積AOTF32は、図1に示すAOTFを5回路集積したものであり、分岐カプラ44で分岐されたWDM伝送信号波長(λ1〜λn)がポートP1〜P4に入力され、ポートP5には基準波長λref1,λref2が入力され、ポート毎にRF周波数に応じた特定波長の光信号を選択出力(ドロップ)する。
【0040】
AOTF32のポートP1〜P4それぞれから選択出力される信号光は光タップ341〜345にて一部が分岐されて光モニタ回路36に供給される。光モニタ回路36は、ポートP1〜P4それぞれの出力信号光を光電変換し、得られた電圧値を制御部38に供給する。図6は1ポート分の光モニタ回路を示している。同図中、光タップで分岐された信号光はフォトダイオード(PD)51で光電変換され、電流電圧変換用ログアンプ52にて電圧に変換される。この電圧信号は非反転増幅器53で増幅されたのち、低域フィルタ(LPF)で不要高域成分を除去され、AD変換器55でデジタル化されて制御部38に供給される。
【0041】
図5に示す制御部38は、光モニタ回路36はポートP1〜P4それぞれの出力信号光のモニタ値(電圧値)に応じて、基準波長λref1,λref2それぞれの基準RF周波数f1,f2とRFパワー、及び波長λ1,λ2,…,λn−1,λnそれぞれに対応する従属RF周波数とRFパワーを決定し、図7に示すレジスタ・セレクタ部40のレジスタに設定する。
【0042】
レジスタ・セレクタ部40は、上位装置から波長選択要求を受け、波長選択要求された波長に対応する従属RF周波数及びRFパワーを選択してRF信号発生回路42に供給する。
【0043】
図7において、レジスタ61にはポートP5用の基準RF周波数f1,f2とそのRFパワーが制御部38により設定されてRF信号発生回路42に供給される。また、レジスタ62には波長λ1,λ2,…,λn−1,λnそれぞれに対応する従属RF周波数とRFパワーが制御部38により設定されてセレクタ63に供給される。
【0044】
セレクタ63は、上位装置から波長選択要求を受けると、レジスタ62からの波長λ1,λ2,…,λn−1,λnそれぞれに対応する従属RF周波数とRFパワーのうち要求された波長に対応する従属RF周波数とRFパワーを選択してレジスタ64に供給する。レジスタ64はポートP1〜P4用の従属RF周波数とRFパワーを格納するもので、セレクタ63から供給される従属RF周波数とRFパワーが要求に応じポートP1〜P4用のいずれかとして設定される。
【0045】
図5に示すRF信号発生回路42は、ポートP1〜P4用の従属RF周波数とポートP5用の基準RF周波数f1,f2を発生してAOTF32のポートP1〜P4それぞれに供給する。図8は1ポート分のRF信号発生回路を示している。同図中、レジスタ・セレクタ部40からのRF周波数(または従属RF周波数)がDDS(Direct Digital Synthesizer)71に供給され、所望のRF周波数及びパワーのRF信号が発生される。このRF信号は帯域フィルタ72で不要周波数成分を除去されたのち、RFアンプ73でレジスタ・セレクタ部40からのRFパワーに応じて増幅されてAOTF32に供給される。
【0046】
図9は、本発明の第1実施形態の波長選択処理のフローチャートを示す。
【0047】
WDM伝送信号波長λ1〜λnを分岐カプラ44で4分岐して、AOTF32のポートP1〜P4に入力する。AOTF32のポートP5には最短波長側の基準波長λref1と最長波長側の基準波長λref2を入力する。この時、λref1は運用する最短波長側WDM伝送信号波長λ1より1チャネル分短波長側に離れて位置するように設定し、λref2は運用する最長波長側WDM伝送信号波長λnより1チャネル分長波長側に離れて位置するように設定する(ステップS20)。
【0048】
RF信号発生回路42はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を180MHzから1kHzステップで減少させ、ポートP5の出力光を光タップ345で分岐し光モニタ回路36で光電変換した電圧値を最短波長側の基準波長λref1の検出値として制御部38に読込み、制御部38は検出値が最大となるときの基準RF周波数f1を基準波長λref1と対応させて、レジスタ・セレクタ部40内のポートP5用のレジスタ61に設定する(ステップS21)。
【0049】
また、RF信号発生回路42はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を160MHzから1kHzステップで増加させ、ポートP5の出力光を光タップ345で分岐し光モニタ回路36で光電変換した電圧値を最長波長側の基準波長λref2の検出値として制御部38に読込み、制御部38は検出値が最大となるときの基準RF周波数f2を基準波長λref2と対応させてレジスタ・セレクタ部40内のポートP5用のレジスタ61に格納する(ステップS22)。
【0050】
制御部38は、基準RF周波数f1から基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出する(ステップS23)。また、制御部38は、WDM伝送信号のチャネル数nと基準波長の数2からチャネル間隔数n+1(=n+2−1)を求める(ステップS24)。
【0051】
次に、制御部38は最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路42にセットし、環境温度の変化や基準波長光源の強度揺らぎ等の変動とは無関係に光モニタ回路36で光電変換した電圧値である検出値が最大となるようRF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を行い、レジスタ61に設定する基準RF周波数f1とRFパワーを更新する。また、最長波長側の基準RF周波数f2についても、最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1の変化分に基づいて相対変化分を考慮し更新しておく。更に、更新した基準RF周波数f1から更新した基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出して更新する(ステップS25)。
【0052】
なお、最長波長側の基準RF周波数f2を、最短波長側の基準RF周波数f1から算出するのではなく、上述の最短波長側の基準RF周波数f1を決定した方法で導きだしてもよい。
【0053】
次に、制御部38はRF周波数間隔とチャネル間隔数から全ての波長λ1,λ2,…,λn−1,λnの従属RF周波数を算出し(ステップS26)、レジスタ・セレクタ部40内のレジスタ62に書き込む(ステップS27)。なお、RFパワーとしてはパワートラッキング処理で得た値を用いる。
【0054】
この後、ステップS28で波長選択要求の有無を判別して、波長選択要求が無ければステップS20〜S27を繰り返す。
【0055】
上位装置から波長とポートの選択を指示する波長選択要求を受けると、レジスタ・セレクタ部40内のセレクタ63は、レジスタ62からの波長λ1,λ2,…,λn−1,λnそれぞれに対応する従属RF周波数とRFパワーのうち上記波長選択要求で要求された波長に対応する従属RF周波数とRFパワーを選択し、上記波長選択要求で指示されたポートのレジスタ64に設定する。これによって、波長選択要求に応じて例えばポートP1で選択チャネルλ2が選択される。また、制御部38は最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路42にセットし、環境温度の変化や基準波長光源の揺らぎ等の変動に拘わらず光モニタ回路36で光電変換した電圧値である検出値が最大となるようRF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を行い、レジスタ61に設定する基準RF周波数f1とRFパワーを更新する(ステップS29)。
【0056】
このように、WDM運用波長λ1,λ2 ・・・ λn−1,λnに対応する従属RF周波数とRFパワーを常時計算してレジスタ62に書き込み更新し続け、波長選択要求を受け付けると、セレクタ63を用いて従属RF周波数とRFパワーをレジスタ62からポートP1〜P4用のレジスタ64に移すことで、運用AOTF(ポートP1〜P4)用RF信号発生回路42に従属RF周波数とRFパワーを書き込むことになるため、波長選択要求を受け付け時に制御部38の処理を要しないため、高速化を図ることができる。これにより20マイクロ秒以下の高速動作が可能となる。また、環境温度変動にも追従できる。従って、この波長可変フィルタを光バーストスイッチング伝送の光スイッチとして適用でき、光バーストスイッチング伝送により波長の運用効率化を図ることができる。
<第2実施形態>
図10は、本発明の波長可変フィルタの第2実施形態の構成図を示す。同図中、図5と同一部分には同一符号を付す。図5においては、5チャネルドロップ型集積AOTF32のポートP5に基準波長λref1,λref2を入力しているのに対し、図10では分岐カプラ44で分岐されたWDM伝送信号波長λ1〜λnを合波カプラ46 において基準波長λref1,λref2と合波して5チャネルドロップ型集積AOTF32のポートP5に供給している。
【0057】
図11は、本発明の第2実施形態の波長選択処理のフローチャートを示す。同図中、図9と同一部分には同一符号を付す。
【0058】
WDM伝送信号波長λ1〜λnを分岐カプラ44で4分岐して、AOTF32のポートP1〜P4に入力する。AOTF32のポートP5には最短波長側の基準波長λref1と最長波長側の基準波長λref2を入力する。この時、λref1は運用する最短波長側WDM伝送信号波長λ1より1チャネル分短波長側に離れて位置するように設定し、λref2は運用する最長波長側WDM伝送信号波長λnより1チャネル分長波長側に離れて位置するように設定する(ステップS20)。
【0059】
RF信号発生回路42はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を180MHzから1kHzステップで減少させ、ポートP5の出力光を光タップ345で分岐し光モニタ回路36で光電変換した電圧値を最短波長側の基準波長λref1の検出値として制御部38に読込み、制御部38は検出値が最大となるときの基準RF周波数f1を基準波長λref1と対応させて、レジスタ・セレクタ部40内のポートP5用のレジスタ61に設定する(ステップS21)。
【0060】
また、RF信号発生回路42はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を160MHzから1kHzステップで増加させ、ポートP5の出力光を光タップ345で分岐し光モニタ回路36で光電変換した電圧値を最長波長側の基準波長λref2の検出値として制御部38に読込み、制御部38は検出値が最大となるときの基準RF周波数f2を基準波長λref2と対応させてレジスタ・セレクタ部40内のポートP5用のレジスタ61に格納する(ステップS22)。
【0061】
制御部38は、基準RF周波数f1から基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出する(ステップS23)。また、制御部38は、WDM伝送信号のチャネル数nからチャネル間隔数n+1を求める(ステップS24)。
【0062】
次に、制御部38は最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路42にセットし、環境温度の変化や基準波長光源の揺らぎ等の変動に拘わらず光モニタ回路36で光電変換した電圧値である検出値が最大となるようRF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を行い、レジスタ61に設定する基準RF周波数f1とRFパワーを更新する。また、最長波長側の基準RF周波数f2についても、最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1の変化分に基づいて相対変化分を考慮し更新しておく。更に、更新した基準RF周波数f1から更新した基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出して更新する(ステップS25)。
【0063】
次に、制御部38はRF周波数間隔とチャネル間隔数から全てのWDM伝送信号の波長λ1,λ2,…,λn−1,λnの従属RF周波数とそのRFパワーを算出し(ステップS26)、レジスタ・セレクタ部40内のレジスタ62に書き込む(ステップS27)。
【0064】
次に、制御部38は波長λ1,λ2,…,λn−1,λnの各従属RF周波数をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路42に順次セットし、環境温度の変化や基準波長光源の揺らぎ等の変動に拘わらず光モニタ回路36で光電変換した電圧値である検出値が最大となるよう各従属RF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を順次行い、レジスタ・セレクタ部40内のレジスタ62に設定する各従属RF周波数とRFパワーを更新する(ステップS30)。
【0065】
この後、ステップS28で波長選択要求の有無を判別して、波長選択要求が無ければステップS20〜S27を繰り返す。
【0066】
上位装置から波長とポートの選択を指示する波長選択要求を受けると、レジスタ・セレクタ部40内のセレクタ63は、レジスタ62からの波長λ1,λ2,…,λn−1,λnそれぞれに対応する従属RF周波数とRFパワーのうち上記波長選択要求で要求された波長に対応する従属RF周波数とRFパワーを選択し、上記波長選択要求で指示されたポートのレジスタ64に設定する。これによって、波長選択要求に応じて例えばポートP1で選択チャネルλ2が選択される。また、制御部38は最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路42にセットし、環境温度の変化や基準波長光源の揺らぎ等の変動に拘わらず光モニタ回路36で光電変換した電圧値である検出値が最大となるようRF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を行い、レジスタ61に設定する基準RF周波数f1とRFパワーを更新する(ステップS29)。
【0067】
これによって、実際の運用波長λ1,λ2,…,λn−1,λnをそれぞれモニタしながらレジスタ62に設定できるので、より高精度な波長選択を行うことができるようになる。
【0068】
なお、ステップS21,S22が請求項記載の基準RF周波数検出手段に相当し、ステップS25がトラッキング手段に相当し、レジスタ62が第1レジスタに相当し、ステップS26,S27が第1レジスタ設定手段に相当し、ステップS28が繰り返し手段に相当し、レジスタ64が第2レジスタに相当し、ステップS29が第2レジスタ設定手段に相当し、合波カプラ46が合波手段に相当する。
(付記1)
複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出し、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行い、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定し、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返し、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給することを特徴とする波長選択制御方法。
(付記2)
付記1記載の波長選択制御方法において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給し、
前記トラッキングは、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することを特徴とする波長選択制御方法。
(付記3)
複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出する基準RF周波数検出手段と、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行うトラッキング手段と、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定する第1レジスタ設定手段と、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返す繰り返し手段と、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定する第2レジスタ設定手段を有し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
(付記4)
付記3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給する合波手段を有し、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
(付記5)
付記3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数とそのRFパワーを最適化することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
(付記6)
付記4記載の波長可変フィルタ装置において、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数及び前記複数の従属RF周波数とそのRFパワーと共に前記複数の従属RF周波数とRFパワーを最適化することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
(付記7)
付記1または2記載の波長選択制御方法において、
前記複数の基準波長は、最短WDM伝送信号波長より1チャネル分短波長側に離れて位置するように設定された第1基準波長と、最長WDM伝送信号波長より1チャネル分長波長側に離れて位置するように設定された第2基準波長であることを特徴とする波長選択制御方法。
(付記8)
付記3乃至6のいずれか1項記載の波長可変フィルタ装置において、
前記複数の基準波長は、最短WDM伝送信号波長より1チャネル分短波長側に離れて位置するように設定された第1基準波長と、最長WDM伝送信号波長より1チャネル分長波長側に離れて位置するように設定された第2基準波長であることを特徴とする波長可変フィルタ装置。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】AOTFの動作原理を説明するための構成図である。
【図2】従来の波長可変フィルタの一例の構成図である。
【図3】図2内のレジスタ部を説明するための図である。
【図4】従来の波長選択処理のフローチャートである。
【図5】本発明の波長可変フィルタの第1実施形態の構成図である。
【図6】図5内の光モニタ回路の構成図である。
【図7】図5内のレジスタ部を説明するための図である。
【図8】図5内のRF信号発生回路の構成図である。
【図9】本発明の第1実施形態の波長選択処理のフローチャートである。
【図10】本発明の波長可変フィルタの第2実施形態の構成図である。
【図11】本発明の第2実施形態の波長選択処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
30 波長可変フィルタ
32 5チャネルドロップ型集積AOTF
341〜345 光タップ
36 光モニタ回路
38 制御部
40 レジスタ・セレクタ部
42 RF信号発生回路
44 分岐カプラ
46 合波カプラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長選択制御方法及びそれを用いた波長可変フィルタ装置に関し、特に、音響光学型チューナブルフィルタの波長選択制御方法及びそれを用いた波長可変フィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
将来のマルチメディアネットワークの構築を目指し、超長距離でかつ大容量の光通信装置が要求されている。この大容量化を実現する方式として、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing 以下、「WDM」と略記する。)方式が、光ファイバの光帯域・大容量性を有効利用できるなどの有利な点から研究開発が進められている。
【0003】
特に、光通信ネットワークにおいては、ネットワーク上の各地点において必要に応じて光信号を通過・分岐・挿入する機能、光伝送路を選択する光ルーティング,クロクコネクト機能が必要である。このため、光信号を通過・分岐・挿入する光分岐挿入(Optical Add Drop Multiplexer 以下、「OADM」と略記する。)装置が研究開発されている。このOADM装置は、固定波長の光信号のみを分岐・挿入することができる波長固定型のOADM装置と、任意波長の光信号を分岐・挿入することができる任意波長型のOADM装置がある。
【0004】
一方、音響光学型チューナブルフィルタ(Acousto Optic Tunable Filter 以下、「AOTF」と略記する。)は、選択する波長の光のみ抽出するように動作するため、選択する波長が固定であるファイバーグレーティングと異なり、任意に波長を選択することができる。さらに、可変波長選択フィルタでもあるので、端局間において光信号を分岐・挿入する局であるトリビュータリ局における可変波長選択フィルタとしても使用することができる。このような理由により、AOTFを使用したOADM装置が研究開発されている。
【0005】
また、光通信ネットワークにおいては、従来の光ストリーム伝送方式から新しく光バーストスイッチング伝送方式が期待されている。これは、バースト性が高いインターネットトラヒックの統計的性質に着目し、ミリ秒オーダー以下の時間間隔で、バーストデータ伝達に必要な時間だけある波長を割当て、ネットワークリソースの使用効率を高めた光伝達網である。
【0006】
光バーストスイッチング伝送方式にすることで、ネットワークリソースの使用効率を高めることが可能となる。このためには、ミリ秒オーダー以下での波長切り替えを行うことが求められており、AOTFはマイクロ秒オーダーの波長切り替えが可能であることから光バーストスイッチング伝送のコアデバイスとして有効であることが知られている。
【0007】
図1は、AOTFの動作原理を説明するための構成図を示す。同図中、強誘電体結晶の一種であり圧電作用を示すニオブ酸リチウム(LiNbO3)基板1−7にチタン(Ti)拡散で2本の光導波路1−1、1−2を形成する。これら光導波路1−1、1−2は、互いに2箇所で交叉しており、これら2つの交叉する部分に導波路型の偏光ビームスプリッタ(Polarization Beam Splitter 以下、「PBS」と略記する。)1−3、1−4が設けられている。
【0008】
また、2つの交叉する部分の間において、2本の光導波路1−1、1−2上には、金属膜のSAWガイド1−6が形成されている。このSAWガイド1−6には、櫛歯を互いにかみ合わせた状態の電極(Inter Digital Transducer 以下、「IDT」と略記する。)1−5に、RF信号発生回路1−10からの160−180MHz帯の高周波信号(以下「RF信号」と称す。)を印加することによって発生する弾性表面波(Surface Acoustic Wave)が伝搬する。
【0009】
図1において、波長λ1、λ2、λ3の光をAOTFのポート1に入力した場合、PBS1−3によって、TEモードとTMモードの偏波モードによって混成された入力光は、TEモードとTMモードに分かれて光導波路1−1、1−2を伝搬する。ここで、特定の周波数のRF信号f1を印加することにより弾性表面波がSAWガイド1−6に沿って伝搬すると、SAWガイド1−6と交叉している部分において、音響光学(AO:Acousto Optic)効果により2つの光導波路1−1、1−2の屈折率は、周期的に変化する。
【0010】
このため、入力光のうち、この屈折率の周期的な変化と相互作用をする特定の波長の光のみ偏波モードが回転し、TEモードとTMモードとが入れ替わる。回転量は、TEモードとTMモードの光が屈折率の変化と相互作用する作用長およびRF信号のパワーに比例する。作用長は、IDT1−5を挟んで光導波路1−1、1−2上に形成される表面弾性波を吸収する吸収体1−8、1−9の間隔によって調整される。
【0011】
したがって、作用長とRF信号のパワーとを最適化することによって、光導波路1−1の中で特定波長のTMモード光はTEモード光に変換され、光導波路1−2の中で特定波長のTEモード光はTMモード光に変換される。そして、この変換されたTEモード光とTMモード光は、PBS1−4によって進行方向が変わり、相互作用をした特定波長の光のみが分岐光として選択されてポート3から出力され、相互作用をしなかった波長の光は透過してポート2からの出力光となる。図1では、RF信号f1によって、波長λ1の光信号が作用を受け分岐光として選択されたことを示している。
【0012】
このように、AOTFは、RF信号の周波数に応じた波長の光のみを選択して分岐させることができ、さらに、このRF信号の周波数を変化させることによって選択される光の波長を変えることができる。
【0013】
また、このとき、ポート2から射出される出力光は、ポート1に入射される入力光からRF信号の周波数に対応する特定波長(波長λ1)の光のみが除去された光信号(波長λ2,λ3)であるので、AOTFは、リジェクション機能を持つと考えることができる。
【0014】
図2は従来の波長可変フィルタの一例の構成図を示し、図3は図2内のレジスタ部を説明するための図を示し、図4は従来の波長選択処理のフローチャートを示す。ここで、運用対象とするWDM伝送信号を波長λ1,λ2,…,λn−1,λnとし、隣接する波長λ1,λ2,…,λn−1,λnの波長間隔は同一とする。
【0015】
図2において、波長可変フィルタ10は、5チャネルドロップ型集積AOTF12と、光タップ(光分岐器)141〜145と、光モニタ回路16と、DSP(Digital Signal Processor)で構成された制御部18と、FPGA(Field Programmable Gate Array)で構成されたレジスタ部20と、RF信号発生回路22から構成されている。
【0016】
WDM伝送信号波長λ1〜λnを分岐カプラ24で分岐して、AOTF12のポートP1〜P4に入力する。AOTF12のポートP5には最短波長側の基準波長λref1と最長波長側の基準波長λref2を入力する。この時、λref1は運用する最短波長側WDM伝送信号波長λ1より1チャネル分短波長側に離れて位置するように設定し、λref2は運用する最長波長側WDM伝送信号波長λnより1チャネル分長波長側に離れて位置するように設定する(図4のステップS10)。
【0017】
RF信号発生回路22はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を180MHzから1kHzステップで減少させ、ポートP5の出力光を光タップ145で分岐し光モニタ回路16で光電変換した電圧値を最短波長側の基準波長λref1の検出値として制御部18に読込み、制御部18は検出値が最大となるときの基準RF周波数f1を基準波長λref1と対応させて、図2に示すレジスタ部20内のポートP5用のレジスタ20aに設定する(ステップS11)。
【0018】
また、RF信号発生回路22はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を160MHzから1kHzステップで増加させ、ポートP5の出力光を光タップ145で分岐し光モニタ回路16で光電変換した電圧値を最長波長側の基準波長λref2の検出値として制御部18に読込み、制御部18は検出値が最大となるときの基準RF周波数f2を基準波長λref2と対応させてレジスタ部20内のポートP5用のレジスタ20aに設定する(ステップS12)。
【0019】
制御部18は、基準RF周波数f1から基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出する(ステップS13)。また、制御部18は、WDM伝送信号のチャネル数nと基準波長の数である2からチャネル間隔数n+1(=n+2−1)を求める(ステップS14)。
【0020】
次に、制御部18は最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路22にセットし、環境温度の変化や基準波長光源の強度揺らぎ等の変動とは無関係に光モニタ回路16で光電変換した電圧値である検出値が最大となるようRF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を行い、レジスタ20aに設定する基準RF周波数f1とRFパワーを更新する。また、最長波長側の基準RF周波数f2についても、最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1の変化分に基づいて相対変化分を考慮し更新しておく。更に、更新した基準RF周波数f1から更新した基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出して更新する(ステップS15)。
【0021】
制御部18は、上位装置から波長選択要求を受けると(ステップS16)、RF周波数間隔とチャネル間隔数から選択するチャネルの従属RF周波数を算出する。例えば、ポートP1の選択する波長がλ2であれば、RF周波数間隔をチャネル間隔数で割った値の2倍を基準RF周波数f1から差し引くことで、選択チャネルλ2の従属RF周波数を算出する(ステップS17)。
【0022】
算出した従属RF周波数とRFパワーを図2に示すレジスタ部20内のポートP1用のレジスタ20bに書き込んでRF信号発生回路22の発生するRF周波数を設定する。これによって、ポートP1で選択チャネルλ2が選択される。環境温度の変化やWDM伝送信号光源の強度揺らぎ等の変動とは無関係にRF周波数を最適化するため、光モニタ回路16で光電変換した電圧値が最大となるようにポートP1においてRF周波数トラッキング処理及びRFパワートラッキング処理を行って、最適RF周波数の変化分を基に基準波長λref1,λref2に対応する基準RF周波数f1,f2それぞれの相対変化分を考慮して更新し、それに基づいてRF周波数間隔も更新しておく(ステップS18)。
【0023】
特許文献1には、上下の基準波長信号から所定波長に対応する波長制御周波数を算出してAOTFの波長制御を行うことが記載されている。
【0024】
特許文献2には、波長補正制御データを常時更新して波長可変フィルタの波長制御を行うことが記載されている。
【0025】
特許文献3には、予め記憶していた波長制御データを読み出してAOTFの波長制御を高速に行うことが記載されている。
【0026】
特許文献4には、AOTFとRF信号発生回路と分岐光モニタ回路と信号処理回路を含み、RF信号発生回路は直接デジタルシンセサイザと周波数逓倍処理部を備えることが記載されている。
【0027】
特許文献5には、任意の波長及び任意の多重数の信号光について分岐・挿入または透過が可能な装置が記載されている。
【特許文献1】特開2000−241782号公報
【特許文献2】特開平11−98122号公報
【特許文献3】特開平11−289296号公報
【特許文献4】特開2003−344817号公報
【特許文献5】特開平11−218790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
近年、WDM伝送方式においては、光ストリーム伝送からより効率的伝送を目指すため光バーストスイッチング伝送の研究が行われている。光バーストスイッチング伝送においては、50μs以下の高速光波長切替技術が求められている。このため、高速動作が可能なAOTFデバイスの利用が検討されている。
【0029】
しかし、図2〜図4に示す従来技術では、波長とRF周波数・パワーの対応を計算するために、波長選択を行う毎に、制御部18による波長選択要求の解析処理、演算処理、レジスタ部20のアクセス処理、RF周波数トラッキング処理、RFパワートラッキング処理を行っているため、波長選択及び切り替えの処理に2ms程度の時間が掛かっており、光波長切り替えの高速化が進まないという問題があった。
【0030】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、波長選択及び切り替えを高速に行うことができる波長選択制御方法及びそれを用いた波長可変フィルタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0031】
請求項1に記載の発明は、複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出し、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行い、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定し、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返し、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給することにより、波長選択及び切り替えを高速に行うことができる。
【0032】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の波長選択制御方法において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給し、
前記トラッキングは、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することにより、最適化された高精度な波長選択を行うことができる。
【0033】
請求項3に記載の発明は、複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出する基準RF周波数検出手段と、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行うトラッキング手段と、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定する第1レジスタ設定手段と、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返す繰り返し手段と、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定する第2レジスタ設定手段を有し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給により、波長選択及び切り替えを高速に行うことができる。
【0034】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給する合波手段を有し、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することにより、最適化された高精度な波長選択を行うことができる。
【0035】
請求項5に記載の発明は、請求項3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数とそのRFパワーを最適化することにより、更に最適化された高精度な波長選択を行うことができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、波長選択及び切り替えを高速に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図5は、本発明の波長可変フィルタの第1実施形態の構成図を示す。図6は図5内の光モニタ回路の構成図を示し、図7は図5内のレジスタ部を説明するための図を示し、図8は図5内のRF信号発生回路の構成図を示す。ここで、運用対象とするWDM伝送信号を波長λ1,λ2,…,λn−1,λnとし、隣接する波長λ1,λ2,…,λn−1,λnの波長間隔は同一とする。
【0038】
図5において、波長可変フィルタ30は、5チャネルドロップ型集積AOTF32と、光タップ(光分岐器)341〜345と、光モニタ回路36と、DSPで構成された制御部38と、FPGAで構成されたレジスタ・セレクタ部40と、RF信号発生回路42から構成されている。
【0039】
5チャネルドロップ型集積AOTF32は、図1に示すAOTFを5回路集積したものであり、分岐カプラ44で分岐されたWDM伝送信号波長(λ1〜λn)がポートP1〜P4に入力され、ポートP5には基準波長λref1,λref2が入力され、ポート毎にRF周波数に応じた特定波長の光信号を選択出力(ドロップ)する。
【0040】
AOTF32のポートP1〜P4それぞれから選択出力される信号光は光タップ341〜345にて一部が分岐されて光モニタ回路36に供給される。光モニタ回路36は、ポートP1〜P4それぞれの出力信号光を光電変換し、得られた電圧値を制御部38に供給する。図6は1ポート分の光モニタ回路を示している。同図中、光タップで分岐された信号光はフォトダイオード(PD)51で光電変換され、電流電圧変換用ログアンプ52にて電圧に変換される。この電圧信号は非反転増幅器53で増幅されたのち、低域フィルタ(LPF)で不要高域成分を除去され、AD変換器55でデジタル化されて制御部38に供給される。
【0041】
図5に示す制御部38は、光モニタ回路36はポートP1〜P4それぞれの出力信号光のモニタ値(電圧値)に応じて、基準波長λref1,λref2それぞれの基準RF周波数f1,f2とRFパワー、及び波長λ1,λ2,…,λn−1,λnそれぞれに対応する従属RF周波数とRFパワーを決定し、図7に示すレジスタ・セレクタ部40のレジスタに設定する。
【0042】
レジスタ・セレクタ部40は、上位装置から波長選択要求を受け、波長選択要求された波長に対応する従属RF周波数及びRFパワーを選択してRF信号発生回路42に供給する。
【0043】
図7において、レジスタ61にはポートP5用の基準RF周波数f1,f2とそのRFパワーが制御部38により設定されてRF信号発生回路42に供給される。また、レジスタ62には波長λ1,λ2,…,λn−1,λnそれぞれに対応する従属RF周波数とRFパワーが制御部38により設定されてセレクタ63に供給される。
【0044】
セレクタ63は、上位装置から波長選択要求を受けると、レジスタ62からの波長λ1,λ2,…,λn−1,λnそれぞれに対応する従属RF周波数とRFパワーのうち要求された波長に対応する従属RF周波数とRFパワーを選択してレジスタ64に供給する。レジスタ64はポートP1〜P4用の従属RF周波数とRFパワーを格納するもので、セレクタ63から供給される従属RF周波数とRFパワーが要求に応じポートP1〜P4用のいずれかとして設定される。
【0045】
図5に示すRF信号発生回路42は、ポートP1〜P4用の従属RF周波数とポートP5用の基準RF周波数f1,f2を発生してAOTF32のポートP1〜P4それぞれに供給する。図8は1ポート分のRF信号発生回路を示している。同図中、レジスタ・セレクタ部40からのRF周波数(または従属RF周波数)がDDS(Direct Digital Synthesizer)71に供給され、所望のRF周波数及びパワーのRF信号が発生される。このRF信号は帯域フィルタ72で不要周波数成分を除去されたのち、RFアンプ73でレジスタ・セレクタ部40からのRFパワーに応じて増幅されてAOTF32に供給される。
【0046】
図9は、本発明の第1実施形態の波長選択処理のフローチャートを示す。
【0047】
WDM伝送信号波長λ1〜λnを分岐カプラ44で4分岐して、AOTF32のポートP1〜P4に入力する。AOTF32のポートP5には最短波長側の基準波長λref1と最長波長側の基準波長λref2を入力する。この時、λref1は運用する最短波長側WDM伝送信号波長λ1より1チャネル分短波長側に離れて位置するように設定し、λref2は運用する最長波長側WDM伝送信号波長λnより1チャネル分長波長側に離れて位置するように設定する(ステップS20)。
【0048】
RF信号発生回路42はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を180MHzから1kHzステップで減少させ、ポートP5の出力光を光タップ345で分岐し光モニタ回路36で光電変換した電圧値を最短波長側の基準波長λref1の検出値として制御部38に読込み、制御部38は検出値が最大となるときの基準RF周波数f1を基準波長λref1と対応させて、レジスタ・セレクタ部40内のポートP5用のレジスタ61に設定する(ステップS21)。
【0049】
また、RF信号発生回路42はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を160MHzから1kHzステップで増加させ、ポートP5の出力光を光タップ345で分岐し光モニタ回路36で光電変換した電圧値を最長波長側の基準波長λref2の検出値として制御部38に読込み、制御部38は検出値が最大となるときの基準RF周波数f2を基準波長λref2と対応させてレジスタ・セレクタ部40内のポートP5用のレジスタ61に格納する(ステップS22)。
【0050】
制御部38は、基準RF周波数f1から基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出する(ステップS23)。また、制御部38は、WDM伝送信号のチャネル数nと基準波長の数2からチャネル間隔数n+1(=n+2−1)を求める(ステップS24)。
【0051】
次に、制御部38は最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路42にセットし、環境温度の変化や基準波長光源の強度揺らぎ等の変動とは無関係に光モニタ回路36で光電変換した電圧値である検出値が最大となるようRF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を行い、レジスタ61に設定する基準RF周波数f1とRFパワーを更新する。また、最長波長側の基準RF周波数f2についても、最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1の変化分に基づいて相対変化分を考慮し更新しておく。更に、更新した基準RF周波数f1から更新した基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出して更新する(ステップS25)。
【0052】
なお、最長波長側の基準RF周波数f2を、最短波長側の基準RF周波数f1から算出するのではなく、上述の最短波長側の基準RF周波数f1を決定した方法で導きだしてもよい。
【0053】
次に、制御部38はRF周波数間隔とチャネル間隔数から全ての波長λ1,λ2,…,λn−1,λnの従属RF周波数を算出し(ステップS26)、レジスタ・セレクタ部40内のレジスタ62に書き込む(ステップS27)。なお、RFパワーとしてはパワートラッキング処理で得た値を用いる。
【0054】
この後、ステップS28で波長選択要求の有無を判別して、波長選択要求が無ければステップS20〜S27を繰り返す。
【0055】
上位装置から波長とポートの選択を指示する波長選択要求を受けると、レジスタ・セレクタ部40内のセレクタ63は、レジスタ62からの波長λ1,λ2,…,λn−1,λnそれぞれに対応する従属RF周波数とRFパワーのうち上記波長選択要求で要求された波長に対応する従属RF周波数とRFパワーを選択し、上記波長選択要求で指示されたポートのレジスタ64に設定する。これによって、波長選択要求に応じて例えばポートP1で選択チャネルλ2が選択される。また、制御部38は最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路42にセットし、環境温度の変化や基準波長光源の揺らぎ等の変動に拘わらず光モニタ回路36で光電変換した電圧値である検出値が最大となるようRF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を行い、レジスタ61に設定する基準RF周波数f1とRFパワーを更新する(ステップS29)。
【0056】
このように、WDM運用波長λ1,λ2 ・・・ λn−1,λnに対応する従属RF周波数とRFパワーを常時計算してレジスタ62に書き込み更新し続け、波長選択要求を受け付けると、セレクタ63を用いて従属RF周波数とRFパワーをレジスタ62からポートP1〜P4用のレジスタ64に移すことで、運用AOTF(ポートP1〜P4)用RF信号発生回路42に従属RF周波数とRFパワーを書き込むことになるため、波長選択要求を受け付け時に制御部38の処理を要しないため、高速化を図ることができる。これにより20マイクロ秒以下の高速動作が可能となる。また、環境温度変動にも追従できる。従って、この波長可変フィルタを光バーストスイッチング伝送の光スイッチとして適用でき、光バーストスイッチング伝送により波長の運用効率化を図ることができる。
<第2実施形態>
図10は、本発明の波長可変フィルタの第2実施形態の構成図を示す。同図中、図5と同一部分には同一符号を付す。図5においては、5チャネルドロップ型集積AOTF32のポートP5に基準波長λref1,λref2を入力しているのに対し、図10では分岐カプラ44で分岐されたWDM伝送信号波長λ1〜λnを合波カプラ46 において基準波長λref1,λref2と合波して5チャネルドロップ型集積AOTF32のポートP5に供給している。
【0057】
図11は、本発明の第2実施形態の波長選択処理のフローチャートを示す。同図中、図9と同一部分には同一符号を付す。
【0058】
WDM伝送信号波長λ1〜λnを分岐カプラ44で4分岐して、AOTF32のポートP1〜P4に入力する。AOTF32のポートP5には最短波長側の基準波長λref1と最長波長側の基準波長λref2を入力する。この時、λref1は運用する最短波長側WDM伝送信号波長λ1より1チャネル分短波長側に離れて位置するように設定し、λref2は運用する最長波長側WDM伝送信号波長λnより1チャネル分長波長側に離れて位置するように設定する(ステップS20)。
【0059】
RF信号発生回路42はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を180MHzから1kHzステップで減少させ、ポートP5の出力光を光タップ345で分岐し光モニタ回路36で光電変換した電圧値を最短波長側の基準波長λref1の検出値として制御部38に読込み、制御部38は検出値が最大となるときの基準RF周波数f1を基準波長λref1と対応させて、レジスタ・セレクタ部40内のポートP5用のレジスタ61に設定する(ステップS21)。
【0060】
また、RF信号発生回路42はポートP5のAOTFに供給するRF周波数を160MHzから1kHzステップで増加させ、ポートP5の出力光を光タップ345で分岐し光モニタ回路36で光電変換した電圧値を最長波長側の基準波長λref2の検出値として制御部38に読込み、制御部38は検出値が最大となるときの基準RF周波数f2を基準波長λref2と対応させてレジスタ・セレクタ部40内のポートP5用のレジスタ61に格納する(ステップS22)。
【0061】
制御部38は、基準RF周波数f1から基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出する(ステップS23)。また、制御部38は、WDM伝送信号のチャネル数nからチャネル間隔数n+1を求める(ステップS24)。
【0062】
次に、制御部38は最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路42にセットし、環境温度の変化や基準波長光源の揺らぎ等の変動に拘わらず光モニタ回路36で光電変換した電圧値である検出値が最大となるようRF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を行い、レジスタ61に設定する基準RF周波数f1とRFパワーを更新する。また、最長波長側の基準RF周波数f2についても、最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1の変化分に基づいて相対変化分を考慮し更新しておく。更に、更新した基準RF周波数f1から更新した基準RF周波数f2を差し引いてRF周波数間隔を算出して更新する(ステップS25)。
【0063】
次に、制御部38はRF周波数間隔とチャネル間隔数から全てのWDM伝送信号の波長λ1,λ2,…,λn−1,λnの従属RF周波数とそのRFパワーを算出し(ステップS26)、レジスタ・セレクタ部40内のレジスタ62に書き込む(ステップS27)。
【0064】
次に、制御部38は波長λ1,λ2,…,λn−1,λnの各従属RF周波数をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路42に順次セットし、環境温度の変化や基準波長光源の揺らぎ等の変動に拘わらず光モニタ回路36で光電変換した電圧値である検出値が最大となるよう各従属RF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を順次行い、レジスタ・セレクタ部40内のレジスタ62に設定する各従属RF周波数とRFパワーを更新する(ステップS30)。
【0065】
この後、ステップS28で波長選択要求の有無を判別して、波長選択要求が無ければステップS20〜S27を繰り返す。
【0066】
上位装置から波長とポートの選択を指示する波長選択要求を受けると、レジスタ・セレクタ部40内のセレクタ63は、レジスタ62からの波長λ1,λ2,…,λn−1,λnそれぞれに対応する従属RF周波数とRFパワーのうち上記波長選択要求で要求された波長に対応する従属RF周波数とRFパワーを選択し、上記波長選択要求で指示されたポートのレジスタ64に設定する。これによって、波長選択要求に応じて例えばポートP1で選択チャネルλ2が選択される。また、制御部38は最短波長側の基準波長λref1の基準RF周波数f1をポートP5のAOTFに供給するようRF信号発生回路42にセットし、環境温度の変化や基準波長光源の揺らぎ等の変動に拘わらず光モニタ回路36で光電変換した電圧値である検出値が最大となるようRF周波数を最適化する周波数トラッキング処理、及びRFパワーを最適化するパワートラッキング処理を行い、レジスタ61に設定する基準RF周波数f1とRFパワーを更新する(ステップS29)。
【0067】
これによって、実際の運用波長λ1,λ2,…,λn−1,λnをそれぞれモニタしながらレジスタ62に設定できるので、より高精度な波長選択を行うことができるようになる。
【0068】
なお、ステップS21,S22が請求項記載の基準RF周波数検出手段に相当し、ステップS25がトラッキング手段に相当し、レジスタ62が第1レジスタに相当し、ステップS26,S27が第1レジスタ設定手段に相当し、ステップS28が繰り返し手段に相当し、レジスタ64が第2レジスタに相当し、ステップS29が第2レジスタ設定手段に相当し、合波カプラ46が合波手段に相当する。
(付記1)
複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出し、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行い、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定し、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返し、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給することを特徴とする波長選択制御方法。
(付記2)
付記1記載の波長選択制御方法において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給し、
前記トラッキングは、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することを特徴とする波長選択制御方法。
(付記3)
複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出する基準RF周波数検出手段と、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行うトラッキング手段と、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定する第1レジスタ設定手段と、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返す繰り返し手段と、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定する第2レジスタ設定手段を有し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
(付記4)
付記3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給する合波手段を有し、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
(付記5)
付記3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数とそのRFパワーを最適化することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
(付記6)
付記4記載の波長可変フィルタ装置において、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数及び前記複数の従属RF周波数とそのRFパワーと共に前記複数の従属RF周波数とRFパワーを最適化することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
(付記7)
付記1または2記載の波長選択制御方法において、
前記複数の基準波長は、最短WDM伝送信号波長より1チャネル分短波長側に離れて位置するように設定された第1基準波長と、最長WDM伝送信号波長より1チャネル分長波長側に離れて位置するように設定された第2基準波長であることを特徴とする波長選択制御方法。
(付記8)
付記3乃至6のいずれか1項記載の波長可変フィルタ装置において、
前記複数の基準波長は、最短WDM伝送信号波長より1チャネル分短波長側に離れて位置するように設定された第1基準波長と、最長WDM伝送信号波長より1チャネル分長波長側に離れて位置するように設定された第2基準波長であることを特徴とする波長可変フィルタ装置。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】AOTFの動作原理を説明するための構成図である。
【図2】従来の波長可変フィルタの一例の構成図である。
【図3】図2内のレジスタ部を説明するための図である。
【図4】従来の波長選択処理のフローチャートである。
【図5】本発明の波長可変フィルタの第1実施形態の構成図である。
【図6】図5内の光モニタ回路の構成図である。
【図7】図5内のレジスタ部を説明するための図である。
【図8】図5内のRF信号発生回路の構成図である。
【図9】本発明の第1実施形態の波長選択処理のフローチャートである。
【図10】本発明の波長可変フィルタの第2実施形態の構成図である。
【図11】本発明の第2実施形態の波長選択処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
30 波長可変フィルタ
32 5チャネルドロップ型集積AOTF
341〜345 光タップ
36 光モニタ回路
38 制御部
40 レジスタ・セレクタ部
42 RF信号発生回路
44 分岐カプラ
46 合波カプラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出し、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行い、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定し、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返し、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給することを特徴とする波長選択制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の波長選択制御方法において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給し、
前記トラッキングは、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することを特徴とする波長選択制御方法。
【請求項3】
複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出する基準RF周波数検出手段と、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行うトラッキング手段と、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定する第1レジスタ設定手段と、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返す繰り返し手段と、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定する第2レジスタ設定手段を有し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
【請求項4】
請求項3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給する合波手段を有し、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
【請求項5】
請求項3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数とそのRFパワーを最適化することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
【請求項1】
複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出し、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行い、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定し、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返し、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給することを特徴とする波長選択制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の波長選択制御方法において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給し、
前記トラッキングは、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することを特徴とする波長選択制御方法。
【請求項3】
複数の基準波長が入力されるレファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給するRF周波数を可変して前記複数の基準波長それぞれに対応する複数の基準RF周波数を検出する基準RF周波数検出手段と、
前記基準RF周波数を最適化するトラッキングを行うトラッキング手段と、
前記複数の基準RF周波数からWDM伝送信号波長に対応する複数の従属RF周波数を計算して第1のレジスタに設定する第1レジスタ設定手段と、
波長選択要求がなければ前記複数の基準RF周波数の検出及びトラッキング及び前記複数の従属RF周波数の第1のレジスタへの設定を繰り返す繰り返し手段と、
波長選択要求があると前記第1のレジスタから要求波長に対応する従属RF周波数を選択して運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタ用の第2のレジスタに設定する第2レジスタ設定手段を有し、
前記第2のレジスタに設定された従属RF周波数のRF信号を発生してWDM伝送信号が供給される運用ポートの音響光学型チューナブルフィルタに供給することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
【請求項4】
請求項3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記WDM伝送信号波長を複数の基準波長と合波して前記レファレンス用の音響光学型チューナブルフィルタに供給する合波手段を有し、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数と共に前記複数の従属RF周波数を最適化することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
【請求項5】
請求項3記載の波長可変フィルタ装置において、
前記トラッキング手段は、前記基準RF周波数とそのRFパワーを最適化することを特徴とする波長可変フィルタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−235207(P2006−235207A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−49089(P2005−49089)
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、独立行政法人情報通信研究機構、「フォトニックネットワークに関する光アクセス網高速広帯域通信技術の研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成16年度、独立行政法人情報通信研究機構、「フォトニックネットワークに関する光アクセス網高速広帯域通信技術の研究開発」委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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