説明

注入用ニードルの受口における閉塞、凝塊又は凝固を認識する方法

【課題】液体を採取する時又は液体を分配する時に、ピペットニードルにおける閉塞、凝塊又は凝固を認識することができる安価で確実な方法、及び、その方法を実施する分析装置を提供する。
【解決手段】本発明は、分析装置において、液体4が満された容器5から液体4を採取する時、及び/又は、液体4が満された容器5内に液体4を分配する時に、受口11上又はその近傍に電極(E1)を含んでなる、又は、電極(E1)として設計されたピペットニードル1の受口11における閉塞を認識する方法に関する。この方法において、液体4が満された容器5における液体4に受口11が浸るようにピペットニードル1を移動させ、一定量の液体4をピペットニードル1内に取り込む、又は、ピペットニードル1から分配させ、液体4が満たされた容器5における液体4から受口11を引き出すようにピペットニードル1をさらに移動させ、そのプロセスの間、電極(E1)と対向電極(E2)との間の静電容量(Kmeasurement)をピペットニードル1の位置に応じて検出し、検出した静電容量(Kmeasurement)をピペットニードル1の各位置に対する所定の目標値(Kreference)と比較し、ピペットニードル1の1つ又は複数の位置における、検出した静電容量(Kmeasurement)と所定の目標値(Kreference)との間の偏差が所定の閾値を超える場合には、ピペットニードル1の受口11における閉塞の存在に関する情報を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置において、液体が入った容器から液体を採取する時、及び/又は、容器に液体を分配する時に、ピペットニードルの受口における閉塞、凝塊又は凝固を認識する方法、及び閉塞、凝塊又は凝固を認識するための機器を有する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、臨床分析又は化学分析処置に用いられる分析装置においては、例えば、血液や血清など、その構成成分が塊を形成したり凝固したりしやすい液体を頻繁にピペットで移すことが行われる。そのような液体をピペットで移したり注入したりすることは、ピペットニードルを少なくとも1つ有するピペット装置を用いて行われる。ピペットニードルは中空で、先端近傍に分配口を備えている。ピペットニードルは、試料又は測定する容器に導入され、連結ポンプを用いて液体の吸引や分配が可能である。特に、凝塊又は塊を形成する可能性のある液体をピペットで移す時は、ピペットニードルが閉塞するおそれがある。これにより、とりわけ、吸引した液体又は分配される液体の分量が結果として不正確になり、分析結果が誤ったものとなる。凝塊、塊又は凝固物は、例えば、分光測定の結果に影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
そのため、現行の分析装置は、ピペットニードルの閉塞を認識することが可能なシステムを備えている。このシステムでは、液体の分配又は受け入れの際に増圧又は減圧を計測し、増圧又は減圧が閾値を超えた場合に閉塞の存在を示す。この方法は、閉塞がある場合において大きな圧力差が発生する大容量注入に適している。しかし、このシステムは、微量の容量には用いることができない。なぜならば、低容量ゆえに閉塞がある場合の圧力差があまりにも小さく、圧力差の検出が非常に難しいか全くできないためである。圧力の上昇又は降下を測定する上での更なる問題点は、周囲の気圧の変動が結果に影響を及ぼす可能性があるということである。さらに、この方法には、追加で圧力センサが必要となるため当該分析装置がコスト高なものとなってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、液体を分配する時又は液体を分配する時に、ピペットニードルにおける閉塞、凝塊又は凝固を認識することができる安価で確実な方法、及び、その方法を実施する分析装置を提供することである。特に、本発明は、少量の液体を注入する際に、閉塞、凝塊又は凝固を認識することが可能な本発明による方法及び分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、その目的は、分析装置において、液体の入った容器から液体を採取する時、及び/又は、液体が入っている容器に液体を分配する時に、受口若しくはその近傍に電極(E1)を有する又はそれ自体が電極(E1)の形をしたピペットニードルの受口における閉塞を認識する方法によって達成可能である。その方法は以下の通りである。
・受口が液体の入った容器の液体の中に浸るように、ピペットニードルを移動させ、
・一定量の液体を、ピペットニードル内に吸引又はピペットニードルから分配させ、
・受口が液体の入った容器の液体から出るように、ピペットニードルを更に移動させ、
・ピペットニードルの移動中に、電極(E1)と対向電極(E2)との間の静電容量(キャパシタンス)(Kmeasurement)をピペットニードルの位置に応じて検出し、
・検出された静電容量(Kmeasurement)を、ピペットニードルのそれぞれの位置に対する所定の基準値(Kreference)と比較し、
・ピペットニードルの1つ又は複数の位置において検出された静電容量(Kmeasurement)と所定の基準値(Kreference)との偏差が所定の閾値を超える場合には、ピペットニードルの受口における閉塞の存在に関する情報を伝達する。
【0006】
本明細書又は請求項においてピペットニードルの閉塞について参照する場合、その用語にはあらゆる種類の閉塞が含まれ、とりわけ、液体中の粒子の吸引や、凝固した血液成分の吸引や、ピペットニードルの受口における液体以外の成分、又はピペットニードル中の液体以外の成分の分離、沈殿若しくは凝固によって起こり得る凝塊又は凝固も含まれる。
【0007】
特に、この方法は、例えば、血液、血清、細胞懸濁液、タンパク質を帯びた溶液、DNAを含む溶液、ゲル又はスラリーなどのような、塊を凝固又は形成する可能性のある液体をピペットで移したり、注入したりするのに適している。
【0008】
この方法を実施するために用いるピペットニードルは、受口或いはその近傍に導電性電極を有するか、又は、それ自体が電極の形をしている。電極は、周囲に対して絶縁されていることが望ましい。
【0009】
静電容量を測定するための対向電極の設計及び配置は、様々な方法で行うことが可能である。本発明の一実施形態においては、液体の入った容器の下又は横に対向電極を配置するが、容器の下に配置することが好ましい。他の実施形態においては、容器壁又はその一部が対向電極を形成する。その場合、容器壁又はその一部は導電性を有する。更に他の実施形態においては、例えば、電極を注入用ニードルに設け、対向電極を同軸状に配置された2つの管の形状、又は1つの管とその中に同軸状に配置されたピンの形状とすることによって注入用ニードル自体に対向電極を設ける。
【0010】
静電容量は、電気エネルギーを蓄える構成要素の特性である。コンデンサはその特性を顕著に有する電気的構成要素である。コンデンサの静電容量は、その構造的なサイズによって決まる。プレート又は電極の表面が大きくなるにつれ、プレート又は電極の間隔が小さくなるにつれ、またプレート間又は電極間の誘電体の比誘電率が大きくなるにつれて、静電容量も大きくなる。比誘電率は、誘電性が空気よりも優れる程度を規定する。
【0011】
ピペットニードル又は電極が水性のイオンを含んだ液体の中に入ると、静電容量が急激に増加する。その領域においては、ピペットニードルの位置に応じて、静電容量の変化は最大となる。位置に応じた静電容量の微分係数は、その位置で最大となる。ピペットニードルを反対方向に移動させる、つまり、ピペットニードルの先端を液体から外に移動させた時に、静電容量は急激に低下する。
【0012】
閉塞、凝固又は凝塊、特に、ピペットニードルの受口から垂れ下がる凝塊がピペットニードルの受口に配置されると、ピペットニードルがすでに液体の外に移動されていても、それによって連結部又は跨り部が液体とピペットニードルの受口の間に形成されることがある。液体表面とピペットニードルの受口との間のその連結部又は跨り部は導電性である。そのため、ピペットニードルを所定の分だけ動かすと、閉塞によって生じた連結部が存在せず、また容器中の液位を考慮せず予測されるものよりも高いレベルの静電容量が検出される。その予測静電容量は、ここでは、基準値(Kreference)と言い表される。予測静電容量は、容器中の液体表面の高さの変化に基づいて容易に算出可能であり、そのような変化は、液体採取作業において採取される液体の量及び容器の寸法に応じて起こる。ピペットニードルの1つ又は複数の位置における検出した静電容量と所定の基準値との偏差が所定の閾値を超える場合、閉塞、凝塊又は凝固があることを示すと判断され、その情報に対応する項目が伝達される。本発明の好適な実施形態において静電容量(Kmeasurement)は、ピペットニードルの移動する部分にわたって検出される。そのような部分には、受口が液体から液体外の空間に移動する際のピペットニードルの受口の移動距離が少なくとも含まれる。
【0013】
従って、静電容量の測定には、静電容量の最大の変化が発生し、特に閉塞の検出に関係するピペットニードルの移動する部分が含まれる。ピペットニードルが液体の入った容器中の液体中へ移動する間の静電容量の変化を検出することで、液体の入った容器に理論上含まれる液体の量が実際に含まれているかどうかを確証可能である。液体の外へ移動する間に測定を行うことで、ピペットニードルが行う採取作業又は分配作業の後に、容器に理論上含まれる液体が実際存在するかどうか、そして、ピペットニードルの受口に閉塞が存在するかどうかを確証可能である。
【0014】
本発明の他の好適な実施形態において、静電容量(Kmeasurement)は、ピペットニードルが移動する全体にわたって検出される。
【0015】
静電容量における変化の形態を絶え間なく計測することで、液体の分配、また特に、液体の吸引を正確に監視することが可能となり、その場合、特に液体を採取する時に、ピペットニードルの受口がすでに液体中にないために空気が吸引されているかどうかを確認可能となる。また、その方法により、液体表面の気泡及びより大きめの泡を検出することも可能である。
【0016】
本発明の他の好適な実施形態において、静電容量の基準値(Kreference)は、ピペットニードルの位置に応じて決まる。その手順は、以下の通りである。
・液体が入った容器の液体に受口が浸るようにピペットニードルを移動させ、
・一定量の液体をピペットニードル内に吸引せずに、受口を液体が入った容器中の液体から外に移動させるようにピペットニードルをさらに移動させ、
・ピペットニードルの移動中に、ピペットニードルの位置に応じて電極(E1)と対向電極(E2)との間の静電容量(K)を検出し、
・基準値(Kreference)を保持しながら、液体採取作業において採取される液体の量及び容器の寸法に応じて起こる容器内の液体表面の高さにおける変化に関して、ピペットニードルの位置に応じて検出された静電容量(K)を補正する。
【0017】
ピペットニードルが液体に浸かる時又は液体から出る時に、ピペットニードルにおける電極と対向電極との間の静電容量を測定する場合、どちらの場合においても静電容量は急増する。この点において、静電容量の変化は、ヒステリシス特性に従う。つまり、ピペットニードルが液体に浸かる時及び液体から出る時の静電容量の変化に関する各曲線は一致関係になく、互いにずれている。1つの媒体から他の媒体、つまり、液体から空気中又はその逆に変化する時の静電容量の急増は、それぞれの場合において、ピペットニードルの実際の位置に対してある一定の遅延を持って発生する。また、ヒステリシス効果の大きさは、特に容器の形状や液体の性質による。静電容量の変化に伴うヒステリシスは、静電容量の基準値を決定する際に考慮されるべきである。
【0018】
そのため、液体の採取又は分配も考慮に入れて静電容量に対する基準値を算出するために、まず、液体採取又は液体分配がない場合の静電容量(K)を決定する必要がある。液体採取又は液体分配がない場合の静電容量(K)を決定する作業は、各個別の試料毎にそれぞれ実施可能であるか、又は比較データから取得可能である。
【0019】
そのため、本発明の好適な実施形態において、ピペットニードルの位置に応じた静電容量(K)は、一旦検出されて保存され、基準値(Kreference)は、容器中に含まれる液体表面の高さ及び液体表面の高さの変化を考慮して算出される。
【0020】
さらに、本発明は、液体の入った容器から液体を採取する時、及び/又は、液体の入った容器に液体を分配する時に、ピペットニードルの受口における閉塞を認識する機器を有するピペット装置に関するものである、そのピペット装置は、以下の構成を含む。
・受口またはその近傍に電極(E1)を有する、又は、それ自体が電極(E1)の形をしているピペットニードルと、
・ピペットニードルを鉛直に移動させる手段と、
・一定量の液体をピペットニードル内に吸引するためにピペットニードル内を減圧し、ある一定量の液体を前記ピペットニードルから分配するために加圧する手段と、
・ピペットニードルの移動位置に応じて前記電極(E1)と対向電極(E2)との間の静電容量を検出する手段と、
・検出した静電容量を前記ピペットニードルの前期位置にそれぞれ対応する所定の基準値と比較する手段と、
・ピペットニードルの1つ又は複数の位置において、検出した静電容量と所定の基準値との間の偏差が所定の閾値を超える場合には、ピペットニードルの受口における閉塞の存在に関する情報の項目を伝達する手段。
【0021】
また、本発明は、前述したような種類のピペット装置を少なくとも1つ含む分析装置に関する。
【0022】
そのようなピペット装置又はそのような分析装置は、上述した液体を用いる化学的及び臨床的分析手順に特に適している。この点に関しては、このピペット装置を用いることで検出可能な比較的大きな塊又は凝塊によって試料が汚染されていないということが特に重要である。本発明によるピペット装置により、特に、分量が1〜2μl(マイクロリットル)程度と非常に小さい試料を含む際のピペットニードルの閉塞の認識が可能となる。閉塞を圧力測定によって検出する現行の方法は、そのように分量が小さい試料で閉塞を認識する状況にない。
【0023】
ピペットニードルは、干渉静電容量に対して遮蔽されることが好ましい。周辺機器又は分析装置自体内の構成要素によって生じる静電容量は、ピペットニードルにおける電極と対向電極との間の静電容量測定に関して障害を引き起こす。そのため、ピペットニードルについては、そのような干渉静電容量に対して遮蔽されることが適当である。例えば、遮蔽する目的で同軸状の配置を用いることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の方法によれば、上記のように構成したので、液体を分配する時又は液体を分配する時に、ピペットニードルにおける閉塞、凝塊又は凝固を、安価で確実に認識することができる。
【0025】
また、本発明の分析装置によれば、上記のように構成されたピペット装置を備えるため、本発明の方法を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】液体の入った容器から移動させた後のピペットニードルの図である。
【図2】ピペットニードルの受口に凝固が存在する、液体の入った容器から移動させた後のピペットニードルの図である。
【図3】静電容量の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の他の利点、特徴、および実施形態は、この後の説明及び添付の図から明らかになるであろう。
【0028】
図1は、ピペットニードル1を示し、ピペットニードル1には、ニードル内で吸引した液体3をシステム液体3’から分離するための空気分離バルブ2が含まれる。ニードル1は、液体4を含む容器5の外に移動されている。ピペットニードル1の受口11と液体表面41との間には空気が存在する。
【0029】
図2は、液体4を含む容器5から外に移動された、吸引した液体3を有するピペットニードル1を示す。この場合、ピペットニードル1の受口11と液体表面41との間には、吸引液体3と液体4とを電気伝導的に連結させる凝固物6がある。そのため、その位置においてピペットニードルを用いて計測される電極と対向電極との間の静電容量(Kmeasurement)は、凝固のない理想的な場合、つまり、図1に示すように、ピペットニードル1と液体表面41との間に空気(Kreference)のみが存在する場合に発生する又は予測されるものとは異なる。よって、静電容量の急増は、ピペットニードル1の受口11が液体表面41からさらに移動され、凝固物6が液体4又は液体表面41にもはや接触していない場合にのみ発生する。
【0030】
本発明の方法によれば、図2において存在する凝固物6が認識され、それに対応する信号が伝達される。その上で、ピペットニードル1を全自動的に又は半自動的に洗い流すことができ、問題の試料は処分してよいし、再びピペットで移してもよい。
【0031】
図3は、ピペットニードルにおける電極と対向電極との間で検出された静電容量を示す図であり、ピペットニードルを液体の中に移動する場合(曲線a:Kreference)、液体を採取せずに液体の外に移動する場合(曲線b:Kreference-without)、液体を採取し凝固がない状態で液体の外に移動する場合(曲線c:Kreference-with)、及び、液体を採取し凝固がある状態で液体の外に移動する場合(曲線d:Kmeasurement-with, clot)を示す。
【0032】
X軸は、液体が入った容器に対するピペットニードル1の受口11の鉛直位置を示し(単位なし)、測定した静電容量はY軸上にプロットされる(単位なし)。
【0033】
静電容量の急激な変化と、液体4の中にピペットニードル1を移動した時と液体4を採取せずにピペットニードル1を液体4の外に移動した時の静電容量の変化間のヒステリシス(曲線a、b)とが明確に見てとれる。曲線a及び曲線bの測定した静電容量は、所定の容器配置、所定の液体及び所定の液体量を伴う基準値に対応するが、液体採取作業については未だ考慮されていない。
【0034】
ここで計測された値は、実際の液体採取作業に適用するには、液体の採取又は追加による液体表面の高さ変化を補正する必要がある。液体表面の高さの変化は、図3中のΔFLによって特定される。液体が採取されると、液体を採取しないで測定した静電容量の曲線bが右方向にずれる。つまり、ピペットニードル1を液体4から外に移動する時に、液体を採取しないよりも早く静電容量の急な減少が発生する。X軸に対する曲線のずれは、液体表面の高さの変化に対応しており、それは容器の形状及び採取量に基づいて容易に算出可能である。図3中の曲線cは、ピペットニードル1が外に移動される時の静電容量の変化を示し、そのような変化は液体採取作業用に補正される。
【0035】
ピペットニードル1の受口11において、液体4を採取する際に凝固又は凝塊が検出されると、ピペットニードル1を液体4の外へ移動させる時に、静電容量の急な減少は、凝固又は凝塊がない(曲線c)場合よりも顕著に遅くにのみ発生し、実際に計測した静電容量の変化に関する曲線は左方向にずれる(曲線d:Kmeasurement-with, clot)。検出した静電容量(Kmeasurement)の基準値からの間隔が所定の閾値を超える場合、凝塊又は凝固の存在についての情報として出力される。その目的のためには、静電容量の急激な変化のある曲線領域における個別又は複数の静電容量値を比較するだけで十分である。
【符号の説明】
【0036】
1 ピペットニードル
2 空気分離バルブ
3 吸引液体
3’ システム液体
4 液体
5 容器
6 凝固物
11 受口
41 液体表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析装置において、液体の入った容器から前記液体を採取する時、及び/又は、前記液体が入っている容器に前記液体を分配する時に、受口若しくは該受口の近傍に電極(E1)を有するか、又はそれ自体が電極(E1)の形をしたピペットニードルの前記受口における閉塞を認識する方法であって、
・前記受口が前記液体の入った容器の前記液体の中に浸るように、前記ピペットニードルを移動させ、
・一定量の液体を、前記ピペットニードル内に吸引又は前記ピペットニードルから分配させ、
・前記受口が前記液体の入った容器の前記液体から出るように、前記ピペットニードルを更に移動させ、
・前記ピペットニードルの移動中に、前記電極(E1)と対向電極(E2)との間の静電容量(Kmeasurement)を前記ピペットニードルの位置に応じて検出し、
・前記検出された静電容量(Kmeasurement)を、前記ピペットニードルのそれぞれの位置に対する所定の基準値(Kreference)と比較し、
・前記ピペットニードルの1つ又は複数の位置における前記検出された静電容量(Kmeasurement)と前記所定の基準値(Kreference)との偏差が所定の閾値を超える場合には、前記ピペットニードルの前記受口における閉塞の存在に関する情報を伝達する、方法。
【請求項2】
前記静電容量(Kmeasurement)は、前記ピペットニードルが移動する部分の全体にわたって検出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記静電容量(Kmeasurement)は、前記ピペットニードルの移動する部分にわたって検出され、前記部分は前記受口を前記液体から該液体外の空間に移動する際の前記ピペットニードルの前記受口の移動部分を少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
・前記液体が入った容器の前記液体に前記受口が浸るように前記ピペットニードルを移動させ、
・一定量の液体を前記ピペットニードル内に吸引せずに、前記受口を前記液体が入った容器中の前記液体から外に移動させるように前記ピペットニードルを更に移動させ、
・前記ピペットニードルの移動中に、前記ピペットニードルの前記位置に応じて前記電極(E1)と前記対向電極(E2)との間の前記静電容量(K)を検出し、
・前記基準値(Kreference)を保持しながら、液体採取作業において採取される液体の量及び容器の寸法に応じて起こる前記容器内の前記液体表面の高さにおける変化に関して、前記ピペットニードルの位置に応じて前記検出された静電容量(K)を補正する、
という手順により、前記静電容量の前記基準値(Kreference)を前記ピペットニードルの前記位置に応じて決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ピペットニードルの前記位置に応じた前記静電容量(K)を一旦検出して保存し、前記基準値(Kreference)を前記容器中に含まれる前記液体表面の高さ及び前記液体表面の高さの変化を考慮して算出することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
液体の入った容器から前記液体を採取する時、及び/又は、前記液体の入った容器に前記液体を分配する時に、ピペットニードルの受口における閉塞を認識する機器を有するピペット装置であって、
・前記受口またはその近傍に電極(E1)を有する、又は、それ自体が電極(E1)の形をしているピペットニードルと、
・前記ピペットニードルを鉛直に移動させる手段と、
・一定量の液体を前記ピペットニードル内に吸引するために前記ピペットニードル内を減圧し、ある一定量の液体を前記ピペットニードルから分配するために該ピペットニードル内を加圧する手段と、
・前記ピペットニードルの移動位置に応じて前記電極(E1)と対向電極(E2)との間の静電容量を検出する手段と、
・前記検出した静電容量を前記ピペットニードルの前記位置にそれぞれ対応する所定の基準値と比較する手段と、
・前記ピペットニードルの1つ又は複数の位置において、前記検出した静電容量と前記所定の基準値との間の偏差が所定の閾値を越える場合には、前記ピペットニードルの前記受口における閉塞の存在に関する情報を伝達する手段と、
を備えることを特徴とするピペット装置。
【請求項7】
請求項6に記載のピペット装置を少なくとも1つ備えることを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−509578(P2010−509578A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535658(P2009−535658)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060851
【国際公開番号】WO2008/055757
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(509126025)ダイアシス ダイアグノスティック システムズ ゲーエムベーハー (1)
【氏名又は名称原語表記】DIASYS DIAGNOSTIC SYSTEMS GMBH
【Fターム(参考)】