説明

注入用具及びこれを備えた薬液注入システム

【課題】薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる注入用具を提供すること。
【解決手段】
流量制御器3を介して薬液ポンプ2からの薬液を収容可能な収容室S1と、収容室S1の拡張に伴い付勢力を蓄えつつ弾性変形可能なコイルばね9と、収容室S1から導出された薬液を患者側へ導くための導出チューブL3と、導出チューブL3による薬液の導出を阻止する閉鎖位置と、導出チューブL3による薬液の導出を許容する開放位置との間で切換可能な切換弁8と、使用者の操作を受けることにより切換弁8を閉鎖位置から開放位置に切換可能な操作部材12とを備え、操作部材12を用いて切換弁8を開放位置に切り換えることにより、コイルばね9に蓄えられた付勢力によって収容室S1を縮小させて当該収容室S1内に収容された薬液を導出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液注入装置から吐出された薬液を所定量充填するとともに、使用者の操作に応じて前記所定量の薬液を導出するように構成された注入用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から前記注入用具として、例えば、特許文献1には、加圧下の液体源を供給するための液体源供給手段と、制御されたボウラス投与量の液体を提供するためのボウラス投与量装置と、液体の定常的な流量を調整するための手段とを含むアセンブリが開示されている。前記ボウラス投与量装置は、前記液体源供給手段からの液体を充填可能な投与量溜めを有し、この投与量溜めは、圧縮されることによりその内容物を排出することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平03−505538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のボウラス投与量装置では、投与量溜めに充填された薬液を患者の体内へ注入するために、使用者に大きな力が要求されるという問題があった。具体的に、前記投与量溜めに充填された薬液を患者へ注入するためには、フィルターやカテーテルといった流通抵抗の大きな部材を介して薬液を押し流す必要があり、この流れを生成するために投与量溜めを圧縮する力は非常に大きなものとなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる注入用具及びこれを備えた薬液注入システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、加圧された薬液を吐出可能な吐出部に接続されるものであり、前記吐出部からの薬液を充填するとともに、使用者の操作に応じて所定量の薬液を導出するように構成された注入用具であって、薬液の流量を調整するための調整部を介して前記吐出部から吐出された薬液を収容可能に構成され、前記薬液の収容に応じて拡張する一方、縮小させることに応じて収容された薬液を導出可能な収容室と、前記収容室の拡張に伴い付勢力を蓄えつつ弾性変形可能な付勢手段と、前記収容室から導出された薬液を患者側へ導くための導出通路と、前記導出通路による薬液の導出を阻止するための閉鎖位置と、前記導出通路による薬液の導出を許容する開放位置との間で切換可能な切換弁と、前記収容室内に前記所定量の薬液が収容された状態で、使用者の操作を受けることにより前記切換弁を前記閉鎖位置から開放位置へ切換可能な操作部とを備え、前記操作部を用いて前記切換弁を開放位置に切り換えることにより、前記付勢手段に蓄えられた付勢力によって前記収容室を縮小させて前記収容室内に収容された薬液を導出させることを特徴とする注入用具を提供する。
【0007】
本発明によれば、付勢手段に蓄えられた付勢力によって収容室を縮小させて当該収容室内に収容された薬液を導出させることができるので、薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる。つまり、本発明によれば、使用者が操作部を操作して切換弁を開放位置に切り換えれば、それ以上の力を与えることなく付勢手段の付勢力を利用して収容室内の薬液を導出させることができるため、薬液の導出のために使用者に要求される力としては切換弁を開放位置に切り換えるための力に抑えることができる。したがって、本発明によれば、薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる。
【0008】
なお、本発明では、収容部に対する薬液導入側に吐出部からの薬液の流量を調整する(絞る)調整部が設けられるとともに、この調整部が収容部の導出側(カテーテルやフィルター)に比べて大きな流通抵抗を有するものであるため、切換弁が開放位置に切り換えられた状態において、収容部内の薬液は流通抵抗の小さい導出側へ優先して流れることになる。
【0009】
前記注入用具において、前記収容室を内部に有するとともに所定の伸縮軸に沿って伸縮可能な伸縮容器を備え、前記付勢手段は、前記伸縮軸に沿った伸縮容器の伸張に応じて前記伸縮軸に沿って縮む弾性部材を有することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、薬液を導入して伸縮容器を伸張させることにより弾性部材を縮ませて当該弾性部材の付勢力を蓄えることができる。したがって、この構成によれば、弾性部材の付勢力により伸縮性容器を縮ませることによって当該伸縮性容器内の薬液を導出することができる。
【0011】
前記注入用具において、前記弾性部材は、前記収容室内に前記所定量の薬液が充填されるまでの間に前記伸縮容器が伸張する力よりも小さな付勢力を生じさせる弾性係数を有することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、収容室内に所定量の薬液が充填される長さまで伸縮容器を確実に伸長させることができるとともに、この伸張動作に応じて蓄えられた弾性部材の付勢力によって伸縮容器内の薬液を導出することができる。
【0013】
具体的に、前記弾性部材は、コイルばねから構成することができる。
【0014】
前記注入用具において、前記吐出部から吐出された薬液を前記収容室に導くための導入通路をさらに備え、前記導入通路の少なくとも一部を構成するものとして、前記調整部を備えていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、調整部に規定される流量を複数種類準備することにより、収容室内に所定量の薬液が充填されるのに要する時間(ロックアウトタイム)の異なる複数品種の注入用具を提供することができる。
【0016】
前記注入用具において、前記切換弁は、前記導出通路を開閉可能な開閉部と、前記操作部と係合することにより、前記開閉部を閉鎖位置から開放位置に変位させるための前記操作部による操作が可能となる被操作部とを備え、前記所定量の薬液が前記収容室内に収容された状態において前記操作部と前記被操作部とが係合し、かつ、前記収容室内に収容された薬液が前記所定量よりも予め設定された量以上少ない場合にはこの不足量の分だけ前記収容室が縮んでいることによって前記操作部と前記被操作部との係合が規制されることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、収容室内に所定量の薬液が充填されるまでの間に操作部が操作されても開閉部が閉鎖位置に維持されるため、所定量に満たない薬液の導出を阻止することができる。したがって、前記構成によれば、目的とする効能を得るために予め定められた量(前記所定量)の薬液を確実に患者に投与することが可能となるため、有効な薬液投与を実現することができるとともに、所定量に満たない薬液を導入してしまうことにより再度所定量を満たすために余分な時間を要するといった不具合を抑制することもできる。
【0018】
前記注入用具において、前記切換弁は、前記導出通路を介した薬液の導出終了に至る前記収容室の縮小に応じて前記開放位置から前記閉鎖位置へ切り換えられることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、導出通路を介した薬液の導出終了とともに切換弁を閉鎖位置に自動的に切り換えることができるため、使用者により切換弁を閉鎖位置から開放位置にする操作が行なわれるだけで所定量の薬液を確実に患者へ投与することができるとともに、この投与の後に自動的に収容室内への薬液の充填が開始されることになる。
【0020】
前記注入用具において、前記薬液が導入されることに伴い収縮力を蓄えながら伸張可能な弾性容器をさらに備え、前記弾性容器は、前記収容室を取り囲むとともに前記収縮力により前記収容室を縮小させる前記付勢手段としての側壁を有することが好ましい。
【0021】
この構成によれば、弾性容器の側壁そのものを付勢手段として利用することができるので、薬液を収容するための容器とこの容器の拡張に応じて縮む弾性部材とを個別に設ける場合と比較して構成を簡素化することができる。
【0022】
また、本発明は、加圧された薬液を吐出可能な吐出部と、前記吐出部に接続された前記注入用具とを備えていることを特徴とする薬液注入システムを提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の好ましい実施形態に係る薬液注入システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】図1の注入用具の分解斜視図である。
【図3】図1の注入用具の動作を示す断面図であり、吐出完了時(初回充填時)の状態を示したものである。
【図4】図1の注入用具の動作を示す断面図であり、蛇腹容器に対する薬液充填期間中の状態を示したものである。
【図5】図1の注入用具の動作を示す断面図であり、薬液充填完了時の状態を示したものである。
【図6】図1の注入用具の動作を示す断面図であり、操作部材の操作時の状態を示したものである。
【図7】図1の注入用具の動作を示す断面図であり、蛇腹容器内の薬液を患者側へ導出している状態を示したものである。
【図8】図3〜図7の状態を示す一覧表である。
【図9】本発明の別の実施形態に係る薬液注入システムの全体構成を示す概略図である。
【図10】図9の注入用具の断面図を拡大して示すものであり、薬液が充填されていない状態を示している。
【図11】図9の注入用具の断面図を拡大して示すものであり、薬液を注入している状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る薬液注入システムの全体構成を示す概略図である。図2は、図1の注入用具の分解斜視図である。以下、図1の上下方向を用いて説明する。
【0027】
図1及び図2を参照して、薬液注入システム1は、加圧された薬液を吐出可能な薬液ポンプ(吐出部)2と、この薬液ポンプ2に接続され、薬液ポンプ2から吐出される薬液の流量を調整するための流量制御器3と、この流量制御器3からの薬液を充填するとともに使用者の操作に応じて所定量の薬液を導出するように構成された注入用具4と、この注入用具4から導出された薬液を患者に導くカテーテル5とを備えている。本実施形態では、薬液ポンプ2と流量制御器3との間が導入チューブL1によって接続され、流量制御器3と注入用具4との間が導入チューブL2によって接続され、注入用具4とカテーテル5との間が導出チューブL3によって接続されている。
【0028】
薬液ポンプ2は、薬液を収容する収容部を有し、この収容部内の薬液を所定の圧力に加圧した状態で吐出するように構成されたものである。具体的に、薬液ポンプ2としては、例えば、国際公開第95/28977号に開示されるような大気圧を駆動源とするもの、特開2004−147862号公報に開示されるような伸縮性容器の復元力を駆動力とするもの、又はばね等の弾性部材の付勢力を駆動力とするものを採用することができる。
【0029】
注入用具4は、薬液ポンプ2に接続される導入チューブ(導入通路)L2と、この導入チューブL2により導かれた薬液を収容可能な蛇腹容器6と、この蛇腹容器6から導出された薬液をカテーテル5側に導くための導出チューブ(導出通路)L3と、蛇腹容器6に取り付けられるとともに前記導入チューブL2及び導出チューブL3に接続された接続部材7と、この接続部材7に設けられた切換弁8と、蛇腹容器6の伸縮に応じて弾性変形するコイルばね(付勢手段)9と、前記蛇腹容器6、接続部材7、切換弁8及びコイルばね9を収納する筒状容器10及び蓋体11と、筒状容器10の一端に設けられた操作部材(操作部)12とを備えている。
【0030】
蛇腹容器6は、上下方向の伸縮軸に沿って伸縮可能に構成され、その伸縮方向の下側が閉じられているとともに、上側が開口している。具体的に、蛇腹容器6は、前記伸縮軸に沿って伸縮可能な円筒状の蛇腹本体6aと、この蛇腹本体6aの下側を閉じる底部6bと、この底部6bに設けられた突出部6cとを備えている。この突出部6cは、底部6bよりも小さな直径寸法を有して下に突出している。
【0031】
接続部材7は、蛇腹容器6の開口部を塞いで当該蛇腹容器6の内部に収容室S1を形成するとともに、この収容室S1と連通可能となるように導入チューブL2及び導出チューブL3に接続され、後述する切換弁8を保持する。具体的に、接続部材7は、略同等の直径寸法を有する一対の円板部7a及び円板部7cと、これら円板部7a、7cを同心に連結する連結部7bとを備えている。円板部7aの下面には、蛇腹容器6の蛇腹本体6aの開口側の端面が突き合わされた状態で接着されている。また、円板部7aは、蛇腹本体6aの内側となる位置で上下に貫通する貫通孔7dを有している。この貫通孔7dと連通するように、円板部7aには前記導入チューブL2が接続されている。連結部7bは、各円板部7a、7cの略中心位置で当該円板部7a、7c同士を連結する。この連結部7bには、各円板部7a、7cの中心に対応する位置に挿通孔7fが形成され、前記収容室S1は、この挿通孔7fを通して円板部7cの上側に開放されている。この挿通孔7fには後述する切換弁8が挿入されている。また、連結部7bには、当該連結部7bの軸線方向と直交する方向に連結部7bを貫く貫通孔7eが形成されている。この貫通孔7eと連通するように、連結部7bには前記導出チューブL3が接続されている。
【0032】
切換弁8は、前記導出チューブL3を介した薬液の導出を許容する開放位置と、前記導出チューブL3を介した薬液の導出を阻止する閉鎖位置との間で切換可能となるように、前記連結部7bの挿通孔7f内に設けられている。具体的に、切換弁8は、前記挿通孔7f内に挿通可能な太さを有する棒状の棒状本体8aと、この棒状本体8aの外側に設けられた上下一対のオーリング8b、8cとを備えている。これらオーリング8b、8cは、棒状本体8aと挿通孔7fの内側面との間で挟持されることにより当該棒状本体8aと連結部7bとの間の薬液の流通を阻止する大きさとされているとともに、図1に示すように挿通孔7f内で貫通孔7eを挟むことができる間隔で互いに上下に離間して配置されている。そして、各オーリング8b、8c間で貫通孔7eを挟んだ図1に示す閉鎖位置から図6に示すように棒状本体8aが下側に移動してオーリング8cが連結部7bの下側に配置された開放位置へ切り換えることにより、収容室S1内の薬液を貫通孔7eを通して導出チューブL3側に導くことができる。一方、棒状本体8aは、閉鎖位置において蛇腹容器6内に所定量の薬液が充填されたときに図5に示すように操作部材12の下面に当接することができる長さを有している。換言すると、棒状本体8aは、閉鎖位置において蛇腹容器6内に充填された薬液が予め設定された量以下である場合には、この不足分だけ蛇腹容器6が縮んでいることにより操作部材12の下面から離間する長さを有している。また、棒状本体8aは、開放位置において前記所定量の薬液の導出が完了に至る蛇腹容器6の縮小動作に応じて、図3に示すように蓋体11に当接して閉鎖位置に戻ることができる長さを有している。本実施形態では、各オーリング8b、8c及びこれらを支持する棒状本体8aの一部が開閉部に該当し、棒状本体8aの上部が操作部材12と係合する被操作部に該当する。
【0033】
コイルばね9は、筒状容器10と蓋体11の間で蛇腹容器6の伸縮動作に応じて伸縮可能とされている。具体的に、筒状容器10は、筒状の本体部10aと、この本体部10aの上部において内側に突出する突出部10bとを備え、この突出部10bと本体部10aの下方開口端に固定された蓋体11との間で、前記蛇腹容器6、接続部材7、切換弁8及びコイルばね9を収納する。つまり、蓋体11は、伸縮可能となるように蛇腹本体6aの底部6bを支持するとともに、この蛇腹容器6上に固定された接続部材7の円板部7cと筒状容器10の突出部10bとの間でコイルばね9が支持されている。そして、コイルばね9のばね係数は、蛇腹容器6内に所定量(本実施形態では3ml)の薬液が充填されるまでの間に当該蛇腹容器6を伸張する力(薬液ポンプ2の吐出圧に起因する力)よりも小さな弾性力を生じさせるように設定されている。したがって、蛇腹本体6aの伸張動作に応じてコイルばね9が弾性力を蓄えながら縮む一方、後述する操作部材12が操作されることにより、蛇腹本体6aを縮小させるための力としてコイルばね9の弾性力を利用することができる。
【0034】
操作部材12は、使用者から操作を受けることにより、前記切換弁8の棒状本体8aを押圧して当該切換弁8を閉鎖位置から開放位置に切り換えるためのものである。具体的に、操作部材12は、下向きに開く有底容器状の操作部本体12aと、この操作部本体12aの底部から下方に突出する筒部12bと、この筒部12bの下端部から外側に突出するフランジ部12cと、前記筒部12bと同軸となるように前記操作部本体12aの底部から下方に突出する操作棒12dとを備えている。前記操作部本体12aは、前記筒状容器10の本体部10aに対し上部開口から挿入され、前記突出部10bを下限として、本体部10aの内側面に沿って上下に摺動可能とされている。筒部12bは、前記突出部10bに形成された孔を通って当該突出部10bを上下に貫通している。フランジ部12cは、筒状容器10の突出部の下面と当接することにより操作部材12の上方への抜け止めとして機能する。また、フランジ部12cの下面には前記コイルばね9の上端部が当接し、このコイルばね9の付勢力によって、操作部材12が常に上方に付勢されている。操作棒12dは、前記切換弁8の棒状本体8aと同軸に配置され、当該棒状本体8aの上端面が操作棒12dの下端面に当接した状態で、操作部材12を押下操作することにより切換弁8が閉鎖位置から開放位置に押し下げられる。
【0035】
以下、前記薬液注入システム1の動作について、図3〜図8を参照して説明する。図3は、図1の注入用具4の動作を示す断面図であり、吐出完了時(初回充填時)の状態を示したものである。図4は、蛇腹容器6に対する薬液充填期間中の状態を示したものである。図5は薬液充填完了時の状態を示したものである。図6は、操作部材12の操作時の状態を示したものである。図7は、蛇腹容器6内の薬液を患者側へ導出している状態を示したものである。図8は、図3〜図7の状態を示す一覧表である。
【0036】
図3及び図8を参照して、蛇腹容器6内の薬液が全て充填された時、又は注入用具4の使用開始時においては、蛇腹容器6の蛇腹本体6aは、コイルばね9の付勢力によって最も縮められた状態とされている。なお、本実施形態では、蛇腹容器6が最も縮められた状態においてもコイルばね9の付勢力が生じるように、蛇腹容器6が最も縮められた状態でコイルばね9も縮んでいるようにコイルばね9の長さが設定されている。この図3の状態においては、切換弁8の棒状本体8aの下端部が蛇腹容器6の底部6b(突出部6c)に当接して上に押し上げられることにより、切換弁8が閉鎖位置とされている。したがって、この状態において、導入チューブL2からの薬液が貫通孔7dを通って導入されることにより、図3の状態から所定の時間(以下、ロックアウトタイムと称す)をかけて所定量(本実施形態では3ml)の薬液が蛇腹容器6内に充填される。
【0037】
図4及び図8を参照して、ロックアウトタイム中においては、薬液の充填に伴い蛇腹容器6が伸張することに応じて接続部材7が押し上げられる結果、この接続部材7と筒状容器10の突出部10bとの間に設けられたコイルばね9が押し縮められる。換言すると、コイルばね9の弾性力を蓄えつつ蛇腹容器6が伸張する。なお、蛇腹容器6の伸張時には、接続部材7と一体となって切換弁8も閉鎖位置を保持したまま上昇することになる。
【0038】
図5及び図8を参照して、ロックアウトタイムが到来すると、つまり、所定量の薬液が充填されると、切換弁8の棒状本体8aの上端面が操作部材12の操作棒12dに当接する。図示を省略しているが、このロックアウトタイム到来時において、接続部材7の上昇が規制されるようになっている。具体的には、接続部材7の上面と当接する位置決め部を筒状容器10の内側面に設けることや、これ以上の伸張を妨げるように蛇腹容器6の肉厚や形状を設計することや、蛇腹容器6が伸張する力とコイルばね9による弾性力とが吊り合うようにコイルばね9のばね係数を設定することにより、接続部材7の上昇を規制することができる。
【0039】
図6及び図8を参照して、ロックアウトタイムの到来後、操作部材12を押し下げ操作すると、棒状本体8aが押し下げられることによりオーリング8cが円板部7aよりも下に配置される。これにより、矢印Y1に示すように蛇腹容器6から導出チューブL3への薬液の流通が許容されることにより蛇腹容器6内(収容室S1)が減圧されるため、コイルばね9に蓄えられた弾性力により蛇腹容器6が縮小して当該蛇腹容器6内の薬液が挿通孔7f及び貫通孔7eを介して導出チューブL3に導出される。ここで、蛇腹容器6内の薬液が導出チューブL3側に優先的に流れるのは、流量制御器3の流通抵抗がカテーテル5の流通抵抗に比べて大きいためである。
【0040】
図7及び図8を参照して、薬液導出中においては、蛇腹容器6の縮小動作に追従して接続部材7も下降するため、切換弁8は、開放位置を維持したまま下降することになる。そして、上述した図3のように、蛇腹容器6内の薬液を全て導出すると、棒状本体8aが蛇腹容器6の底部6bに当接して押し上げられることにより、切換弁8は、閉鎖位置へ切り換えられる。
【0041】
以上説明したように、前記実施形態によれば、コイルばね9に蓄えられた弾性力によって収容室S1を収縮させて当該収容室S1内に収容された薬液を導出させることができるので、薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる。つまり、本発明によれば、使用者が操作部材12を操作して切換弁8を開放位置に切り換えれば、それ以上の力を与えることなくコイルばね9の弾性力を利用して収容室S1内の薬液を導出させることができるため、薬液の導出のために使用者に要求される力としては切換弁8を開放位置に切り換えるための力に抑えることができる。したがって、前記実施形態によれば、薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる。
【0042】
前記実施形態のように、上下方向に伸縮する蛇腹容器6と蛇腹容器6の伸張に応じて縮むコイルばね9とを備えた構成によれば、コイルばね9の弾性力により蛇腹容器6を縮ませることによって当該蛇腹容器6内の薬液を導出することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、蛇腹容器6の伸張に応じて縮む弾性部材として、コイルばね9を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、弾性変形可能なゴムや、空気ばねのような流体ばねを弾性部材として用いることもできる。
【0044】
前記実施形態のように、収容室S1内に所定量の薬液が充填されるまでの間に蛇腹容器6が伸張する力よりも小さな弾性力を生じさせるばね係数をコイルばね9が有する構成によれば、収容室S1内に所定量の薬液が充填される長さまで蛇腹容器6を確実に伸長させることができるとともに、この伸張動作に応じて蓄えられたコイルばね9の弾性力によって蛇腹容器6内の薬液を導出することができる。
【0045】
前記実施形態のように、所定量の薬液が収容室S1内に収容された状態において操作部材12と切換弁8の棒状本体8aとが当接し、収容室S1内に収容された薬液が前記所定量よりも不足している場合にはこの不足量の分だけ蛇腹容器6が縮んでいることによって操作部材12と棒状本体8aとが非接触とされる構成によれば、所定量の薬液が充填されるまでの間に操作部材12が操作されても切換弁8が閉鎖位置に維持されるため、所定量に満たない薬液の導出を阻止することができる。したがって、前記実施形態によれば、目的とする効能を得るために予め定められた量(所定量)の薬液を確実に患者に投与することが可能となるため、有効な薬液投与を実現することができるとともに、所定量に満たない薬液を導入してしまうことにより再度所定量を満たすために余分な時間を要するといった不具合を抑制することもできる。
【0046】
なお、本実施形態では、蛇腹容器6内の薬液の充填量が、本来必要な量(例えば、3ml)の9割の量以下である場合、操作部材12を押し下げても切換弁8が開放位置とならないように、当該切換弁8の棒状本体8aの長さが設定されている。
【0047】
前記実施形態のように、導出チューブL3を介した薬液の導出終了に至る蛇腹容器6の縮小に応じて切換弁8が開放位置から閉鎖位置に切り換えられる構成によれば、薬液の導出終了とともに切換弁8を自動的に切り換えることができるので、使用者により切換弁8を閉鎖位置から開放位置にする操作が行なわれるだけで所定量の薬液を確実に患者へ投与することができるとともに、この投与の後に自動的に蛇腹容器6内への薬液の充填が開始されることになる。
【0048】
なお、前記実施形態では、導入チューブL2を介して流量制御器3が取り付けられているが、注入用具4(例えば、接続部材7)に対して直接流量制御器3を設けることもできる。
【0049】
以下、本発明の別の実施形態について図9〜図11を参照して説明する。
【0050】
図9は、本発明の別の実施形態に係る薬液注入システム20の全体構成を示す概略図である。図10は、図9の注入用具の断面図を拡大して示すものであり、薬液が充填されていない状態を示している。図11は、図9の注入用具の断面図を拡大して示すものであり、薬液を注入している状態を示している。なお、各図の上下方向を用いて以下説明する。
【0051】
図9〜図11を参照して、薬液注入システム20は、薬液ポンプ2と、この薬液ポンプ2と導入チューブL4を介して接続された注入用具21と、この注入用具21と導出チューブL5を介して接続されたカテーテル5とを備えている。
【0052】
注入用具21は、導入チューブL4と、この導入チューブL4に接続された第一接続部材22と、この第一接続部材22に設けられた流量制御部材23と、この流量制御部材23からの薬液を収容する収容室S2を形成するための弾性筒(弾性容器の側壁)24と、収容室S2から導出された薬液を患者側へ導くための導出チューブL5と、弾性筒24の上端に設けられるとともに導出チューブL5に接続された第二接続部材25と、この第二接続部材25に設けられた切換弁26と、第二接続部材25を摺動可能に保持する保持部材27と、第一接続部材22及び保持部材27を固定しつつ第一接続部材22、流量制御部材23、弾性筒24、第二接続部材25、切換弁26及び保持部材27を収納する収納容器28と、この収納容器28の上端に設けられた操作部材(操作部)30と、この操作部材30を収納容器28に対して付勢するコイルばね29とを備えている。
【0053】
第一接続部材22は、収容室S2の下端を規定するための部材であり、合成樹脂からなる。具体的に、第一接続部材22は、円柱面状の外側面を有する本体部22aと、この本体部22aから下方に突出する筒体22bと、この筒体22bと同心に前記本体部22aを上下に貫通する貫通孔22cとを備えている。筒体22bの下端部には、導入チューブL4が接続されている。また、筒体22b内には、後述する流量制御部材23が圧入されており、この流量制御部材23と筒体22bの内側面との間を通過した薬液が貫通孔22cを介して収容室S2内に導かれる。
【0054】
流量制御部材23は、略円柱状の合成樹脂部材である。この流量制御部材23は、前記筒体22bの内径寸法と同等又はこれよりも若干大きい外形寸法を有し、前記筒体22b内に圧入されている。そして、流量制御部材23の外周面には、螺旋状の凹溝が形成されており、この凹溝の内側面と筒体22bの内側面との間に区画される微小な流路を通じて薬液を通すことにより、圧力損失を生じさせて薬液の流量が絞られる。
【0055】
弾性筒24は、弾性可能な合成樹脂からなる円筒状の部材である。この弾性筒24の下端部は、前記第一接続部材22の本体部22aの円柱状の外側面に被せられた状態で当該本体部22aに対して接着等の手段により固定されている。一方、弾性筒24の上端部は、後述する第二接続部材25の外側に被せられた状態で当該第二接続部材25に対して接着等の手段により固定されている。これにより、弾性筒24内には、第一接続部材22と第二接続部材25との間に薬液を収容可能な収容室S2が形成されている。したがって、図9に示すように弾性筒24を伸ばしつつ第一接続部材22と第二接続部材25とが離間することにより収容室S2が拡張する一方、図10に示すように第一接続部材22と第二接続部材25とが近接することにより収容室S2が縮小する。なお、前記第一接続部材22の貫通孔22cは、収容室S2内に開口している。
【0056】
第二接続部材25は、円柱面状の外側面を有する本体部25aと、この本体部25aから上方に突出する保持筒25bと、この保持筒25bから当該保持筒25bと直交する方向に延びる接続筒25cとを備えている。本体部25aの円柱状の外側面には、前記弾性筒24が被せられて固定されている。また、本体部25aには、保持筒25bと同軸に上下に貫通する孔が形成されており、この孔及び保持筒25bを介して収容室S2は第二接続部材25の上側に開放されている。接続筒25cは、保持筒25b内と連通する筒体であり、その先端部に導出チューブL5が接続されている。
【0057】
切換弁26は、導出チューブL5を介した薬液の導出を許容する開放位置と、導出チューブL5を介した薬液の導出を阻止する閉鎖位置との間で切換可能となるように、第二接続部材25の保持筒25b内に設けられている。具体的に、切換弁26は、前記保持筒25b内に挿通可能な太さを有する棒状の棒状本体26aと、この棒状本体26aの外側に設けられた上下一対のオーリング26b、26cとを備えている。これらオーリング26b、26cは、棒状本体26aと保持筒25bの内側面との間で挟持されることにより当該棒状本体26aと保持筒25bとの間の薬液の流通を阻止する大きさとされているとともに、図9に示すように保持筒25b内で接続筒25c内の孔を上下に挟むことができる間隔で互いに離間して配置されている。そして、各オーリング26b、26c管で接続筒25c内の孔を挟んだ図9に示す閉鎖位置から図11に示すように棒状本体26aが下側に移動してオーリング26cが第二接続部材25の外側(下側)に配置された開放位置へ切り換えることにより、収容室S2内の薬液を接続筒25cを通して導出チューブL5側に導くことができる。一方、棒状本体26aは、閉鎖位置において収容室S2内に所定量の薬液が充填されたときに図9に示すように操作部材30の下面に当接することができる長さを有している。換言すると、棒状本体26aは、閉鎖位置において収容室S2内に充填された薬液が予め設定された量以下である場合には、この不足分だけ第二接続部材25が第一接続部材22に近接していることにより操作部材30の下面から離間する長さを有している。また、棒状本体26aは、開放位置において所定量の薬液の導出が完了に至る収容室S2の縮小動作(両接続部材22、25の近接動作)に応じて、図10に示すように第一接続部材22に当接して閉鎖位置に戻ることができる長さを有している。
【0058】
保持部材27は、前記第二接続部材25が上下に移動可能となるように当該第二接続部材25を内側に保持する。具体的に、保持部材27は、上端が閉じられるとともに前記第二接続部材25の本体部25aを収容可能な円筒状の部材であり、その底部を上下に貫通して前記棒状本体26aの上端部を挿通させる挿通孔27bと、第二接続部材25の接続筒25c(導出チューブL5)の上下動を許容するために側壁に設けられたスリット27aとを備えている。
【0059】
収納容器28は、前記第一接続部材22と保持部材27とを一定の間隔で固定するとともに後述する操作部材30を操作可能に保持するためのものである。具体的に、収納容器28は、前記第一接続部材22、流量制御部材23、弾性筒24、第二接続部材25、切換弁26及び保持部材27の外側を覆う略円形の被覆部28aと、この被覆部28aから上下にそれぞれ突出する円筒部28b及び円筒部28cと、下側の円筒部28b内に設けられた保持部材31とを備えている。被覆部28aの内側面には、接着等の手段によって保持部材27が固定されている。保持部材31は下側の円筒部28bの内側面に固定されているとともに、保持部材31の上面には前記第一接続部材22の本体部22aの下面が固定されている。また、保持部材31は、前記第一接続部材22の筒体22bを通すための貫通孔31aと、導出チューブL5を通すための貫通孔31bとを有している。一方、上側の円筒部28cには、内側へ突出する突出部28dが設けられている。この突出部28dは、後述する操作部材30の上方への抜け止めとして機能する。
【0060】
操作部材30は、使用者から操作を受けることにより、切換弁26の棒状本体26aを押圧して当該切換弁26を閉鎖位置から開放位置に切り換えるためのものである。具体的に、操作部材30は、操作面を有する操作部30aと、この操作部の周縁部に下向きに立設された側壁30bと、この側壁30bに形成された係合穴30cと、操作部30aから下方に突出する操作棒30dとを備えている。操作部30a及び側壁30bは、前記収納容器28の上側の円筒部28c内に摺動可能に挿入されている。係合穴30cは、収納容器28に対する操作部材30の上下動の範囲を規定する。具体的に、係合穴30c内には、前記収納容器28の突出部28dが挿入されており、この突出部28dと係合穴30cの上側の側面とが当接する下限位置と、突出部28dと係合穴30cの下側の側面とが当接する上限位置との間で、操作部材30が上下動可能とされている。操作棒30dは、切換弁26の棒状本体26aと同軸に配置され、当該棒状本体26aの上端面が操作棒30dの下端面に当接した状態で、操作部材30を押下操作することにより切換弁26が閉鎖位置から開放位置に押し下げられる。
【0061】
コイルばね29は、前記操作部30aの下面と保持部材27の上面との間に設けられ、操作部材30を常時上に付勢している。
【0062】
以下、前記薬液注入システム1の動作について説明する。
【0063】
図10を参照して、収容室S2内の薬液が全て充填された時、又は注入用具21の使用開始時においては、第二接続部材25は、弾性筒24の弾性力(復元力)によって最も第一接続部材22に近接した状態(収容室S2が空の状態)とされている。この状態においては、切換弁26の棒状本体26aの下端部が第一接続部材22の上面に当接して、第二接続部材25に対して上に押し上げられていることにより、切換弁26が閉鎖位置とされている。したがって、この状態において、導入チューブL4から薬液が貫通孔22cを通って導入されることにより、図10の状態からロックアウトタイムをかけて所定量の薬液が収容室S2内に充填される。収容室S2内に薬液が導入されると、第一接続部材22と第二接続部材25とが互いに離間することにより、弾性筒24を伸張させて当該弾性筒24の復元力を蓄えつつ、収容室S2内に薬液が充填される。
【0064】
図9を参照して、ロックアウトタイムが到来すると、切換弁26の棒状本体26aの上端面が操作部材30の操作棒30dに当接する。この状態で、操作部材30を押し下げ操作すると、棒状本体26aが押し下げられることによりオーリング26cが第一接続部材22の外側(下側)に配置される。その結果、収容室S2から導出チューブL5への薬液の流通が許容されることにより収容室S2内が減圧されるため、弾性筒24に蓄えられた復元力により第二接続部材25が下に引っ張られて収容室S2が縮小し、当該収容室S2内の薬液が導出チューブL5を介して導出される。
【0065】
図11を参照して、薬液導出中においては、第二接続部材25の移動に追従して切換弁26も下降するため、切換弁26は、開放位置を維持したまま下降することになる。そして、図10のように、収容室S2内の薬液を全て導出すると、棒状本体26aが第一接続部材22の上面に当接して押し上げられることにより、切換弁26は、閉鎖位置へ切り換えられる。
【0066】
以上説明したように、前記実施形態によれば、弾性筒24の側壁そのものを付勢手段として利用することができるので、薬液を収容するための容器とこの容器の拡張に応じて縮む弾性部材とを個別に設ける場合と比較して構成を簡素化することができる。
【符号の説明】
【0067】
L1、L2、L4 導入チューブ(導入通路)
L3、L5 導出チューブ(導出通路)
S1、S2 収容室
1、20 薬液注入システム
2 薬液ポンプ(吐出部)
3 流量制御器(調整部)
4、21 注入用具
6 蛇腹容器(伸縮容器)
8、26 切換弁
8a、26a 棒状本体(開閉部、被操作部)
8b、8c、26b、26c オーリング(開閉部)
9 コイルばね(弾性部材)
12、30 操作部材(操作部)
22 第一接続部材(弾性容器の一部)
23 流量制御部材(調整部)
24 弾性筒(弾性容器の側壁)
25 第二接続部材(弾性容器の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された薬液を吐出可能な吐出部に接続されるものであり、前記吐出部からの薬液を充填するとともに、使用者の操作に応じて所定量の薬液を導出するように構成された注入用具であって、
薬液の流量を調整するための調整部を介して前記吐出部から吐出された薬液を収容可能に構成され、前記薬液の収容に応じて拡張する一方、縮小させることに応じて収容された薬液を導出可能な収容室と、
前記収容室の拡張に伴い付勢力を蓄えつつ弾性変形可能な付勢手段と、
前記収容室から導出された薬液を患者側へ導くための導出通路と、
前記導出通路による薬液の導出を阻止するための閉鎖位置と、前記導出通路による薬液の導出を許容する開放位置との間で切換可能な切換弁と、
前記収容室内に前記所定量の薬液が収容された状態で、使用者の操作を受けることにより前記切換弁を前記閉鎖位置から開放位置へ切換可能な操作部とを備え、
前記操作部を用いて前記切換弁を開放位置に切り換えることにより、前記付勢手段に蓄えられた付勢力によって前記収容室を縮小させて前記収容室内に収容された薬液を導出させることを特徴とする注入用具。
【請求項2】
前記収容室を内部に有するとともに所定の伸縮軸に沿って伸縮可能な伸縮容器を備え、
前記付勢手段は、前記伸縮軸に沿った伸縮容器の伸張に応じて前記伸縮軸に沿って縮む弾性部材を有することを特徴とする請求項1に記載の注入用具。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記収容室内に前記所定量の薬液が充填されるまでの間に前記伸縮容器が伸張する力よりも小さな付勢力を生じさせる弾性係数を有することを特徴とする請求項2に記載の注入用具。
【請求項4】
前記弾性部材は、コイルばねからなることを特徴とする請求項2又は3に記載の注入用具。
【請求項5】
前記吐出部から吐出された薬液を前記収容室に導くための導入通路をさらに備え、
前記導入通路の少なくとも一部を構成するものとして、前記調整部を備えていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の注入用具。
【請求項6】
前記切換弁は、前記導出通路を開閉可能な開閉部と、前記操作部と係合することにより、前記開閉部を閉鎖位置から開放位置に変位させるための前記操作部による操作が可能となる被操作部とを備え、
前記所定量の薬液が前記収容室内に収容された状態において前記操作部と前記被操作部とが係合し、かつ、前記収容室内に収容された薬液が前記所定量よりも予め設定された量以上少ない場合にはこの不足量の分だけ前記収容室が縮んでいることによって前記操作部と前記被操作部との係合が規制されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の注入用具。
【請求項7】
前記切換弁は、前記導出通路を介した薬液の導出終了に至る前記収容室の縮小に応じて前記開放位置から前記閉鎖位置へ切り換えられることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の注入用具。
【請求項8】
前記薬液が導入されることに伴い収縮力を蓄えながら伸張可能な弾性容器をさらに備え、
前記弾性容器は、前記収容室を取り囲むとともに前記収縮力により前記収容室を縮小させる前記付勢手段としての側壁を有すること特徴とする請求項1に記載の注入用具。
【請求項9】
加圧された薬液を吐出可能な吐出部と、
前記吐出部に接続された請求項1〜8の何れか1項に記載の注入用具とを備えていることを特徴とする薬液注入システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−160886(P2011−160886A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24685(P2010−24685)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000205007)大研医器株式会社 (28)
【Fターム(参考)】