説明

注出口付きピローガゼット包装体

【課題】手触りが良好な注出口付きピローガゼット包装体を提供する。
【解決手段】マチ部を開くと、前記正面部とマチ部との連設部、および前記背面部とマチ部との連設部が折れ曲がり、底面部を形成する注出口付きピローガゼット包装体であって、前記注出口付きピローガゼット包装体は、左右を内側に折り込んでマチ部を形成した状態で、少なくとも前記正面部とマチ部との連設部の前記折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲、および前記背面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲に部分熱シール(I)が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右にガゼットが形成されたピローガゼット包装体に注出口が挿入された注出口付きピローガゼット包装体に関し、より詳細には、把持した際に手触りが柔軟で、かつ使用時にピンホールなどの発生が少ない注出口付きピローガゼット包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、取り扱う際の手触りがよいパウチ容器が開発されている。例えば、一枚の柔軟性シートの両端縁を相互につき合わせて筒状胴部を形成し、この筒状胴部を扁平に折り畳み、下端部にガゼットシートを挟み込んでその周縁を熱シールすると共にガゼット端部を熱シールしてボトムガゼットを形成してなるパウチ容器がある(特許文献1)。前記筒状胴部は、柔軟性シートの端縁が外方に張り出さないような状態で筒状に成形されているため、胴部を持って容器を取り扱う際に外方に張り出した柔軟性シートの縁部先端が手のひらに当接することなく、内容物が液体飲料などの場合には、容器を持つ手触りを気にせず内容物をおいしく飲むことができる、という。前記筒状胴部は、一枚の外装シートの両端部を相互に付き合わせ、その突合せ部分に内側から熱融着性テープをヒートシールすることで成形され、前記貼り合わせ部が外方に張り出さないような状態で扁平に折り畳まれている。また、パウチ容器の上端部は、前記筒状胴部を扁平に折り畳んだ後に角部を切り落とし、注出口を挿入してから上部シールにより密封されている。
【0003】
また、シートの端部内面同士が接着された角部を有し、この角部において、一方のシートは、他方のシートの縁を覆って他方のシートの外面側に折り返されている容器本体に口部材を配設した、口部材付き袋状容器もある(特許文献2)。対向する一対の主壁面部間に内方に折り込まれたガゼット部を左右一対備えて自立性を確保した袋状容器は、2枚の主壁面と2枚のガゼットとの4枚のシートの側方端部を熱シールして袋状に成形されるため、シートの端縁が露出し鋭く固い状態となっており、容器本体を把持する際にこの鋭く固い状態の角部が手のひらに当接し、手触りが悪いという問題がある。特許文献2記載の容器によれば、可撓性を有するシートから袋状に成形された容器本体は、シートの端部内面同士が接着された角部の端部が他方のシートで被覆されているため、端部が露出せず、手触りを改良しうるという。
【0004】
また、ヒートシール可能なフィルムが片面に積層された1枚の積層フィルムがその対向する面においてガゼット折りされ、被収容体を収容することによって袋状の容器を構成する本体を備えたパウチ容器であって、前記本体は、ガゼット折によって外側に形成される角部に中空が形成されたパウチ容器もある(特許文献3)。
【0005】
一方、従来から、ピロー包装体が知られている。一枚のフィルムにセンターシールを形成して筒状フィルムとし、中味を充填・装填しつつエンドシールを行って密封するものであり、包装体にはサイドシールがなく、枕状であるためピロー包装体と呼ばれている(非特許文献1)。
【0006】
このようなピロー包装体であって、筒状フィルムの左右を内側に折り込んでマチ部を形成したピローガゼット包装体は収容量が多く、菓子類、スライスチーズなどの食品、医薬品、ウェットティッシュなどの医薬部外品の収納に利用されている。このようなピローガゼット包装体であって、更に注出口が装着されたものもある。例えば、ソフト状アイスクリームの原液を充填した注出口付枕状袋体容器が開示されている(特許文献4)。ソフト状アイスクリームの原液を充填し、冷凍した後に−8〜+4℃で保存すれば、ソフトアイスクリームとして提供しうるという。アイスクリーム製造の際の洗浄・殺菌処理から開放され、極めて高能率でアイスクリームを製造しうるという。なお、前記注出口付枕状袋体容器は、注出口を側方に向けて並列に一段積みに収容し、または複数個を重ねて冷凍保存されている。
【0007】
更に、注出口付きピローガゼット包装体に、インキなどの粘性液体を充填し、袋ごと印刷機などに取り付けて使用できるカートリッジ式袋もある(特許文献5)。背シールの位置を注出口の接合位置と重ならないように左右いずれかに寄せてピロー成形し、左右を内側に折り込んでマチ部を形成し、注出口を挿入して上部シールを行い、および底シールを行って製袋したものである。このカートリッジ式袋は、印刷機に取り付けた後は、使用中の袋内のインキの減量に応じて袋の底部が袋内に引き込まれ、徐々に注出口側に移行するので内部に空気が入ることがなく、使用の最終段階では袋の上面と底面とが略ピッタリと接する形状となるのでインキの残留もなく、有効に使用することができるという。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−171689号公報
【特許文献2】特開2003−212246号公報
【特許文献3】特開2007−99364号公報
【特許文献4】特開平11−75701号公報
【特許文献5】特開2002−2723号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】http://www.tcn.zaq.ne.jp/kanno/public_html/yokopillow.htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献1に記載されるパウチ容器は、柔軟性シートの端縁が外方に張り出さないように筒状に成形されているため、柔軟性シートの縁部先端が手のひらに当接することなく手触りに優れるが、筒状胴部にマチ部がないため収容量が十分でない。また、底部に別個に準備したガゼットを挿入して製袋する必要があり、フィルム裁断時に切り落としが発生し、フィルムの使用効率が低下する場合がある。したがって、多くの充填量を確保でき、手触りに優れ、フィルム使用効率に優れる注出口付きピローガゼット包装体の開発が望まれる。
【0011】
一方、特許文献2は、左右にマチ部が形成されているため収容量を高く確保することができるが、一枚のフィルムを筒状に成形した後に接着部の切断部を可撓性シートで被覆するものである。筒状フィルムの4隅全てにサードシールが形成され、このサイドシールによる剛性によって筒状胴部の柔軟性が損なわれる。したがって、手のひらに熱シールによる剛性部が接触せず、把持の際に手触りに優れる注出口付きピローガゼット包装体の開発が望まれる。
【0012】
また、特許文献3に記載の容器も、特許文献2と同様に左右にマチ部が形成されているため収容量を高く確保することができるが、当該マチ部の端部に中空を形成して手触りを改良するものであり、特許文献2と同様に、筒状胴部の4隅にサイドシールが形成され、このサイドシールによる剛性によって筒状胴部の柔軟性が損なわれる。
【0013】
一方、両側に折込によるガゼットが形成されたピローガゼット包装体は、一枚のフィルムを輪にし、背シールを形成することで筒状に成形するものであり、ガゼットと胴部正面または背面との連設部に熱シールが形成されることがなく、手のひらに当接される剛性部分が存在せず、手触りが良好である。一対のガゼットが底シールで固定されたものであり、内容物の充填によりガゼットが広がり、十分な内容量を収納することができる。図23に、ピローガゼット本体(A')に注出口(B')を装着した注出口付きピローガゼット包装体(200)に内容物を充填した後に、前記注出口(B')を側方に向けて載置した場合の注出口付きピローガゼット包装体(200)の側面図を示す。前記注出口付きピローガゼット包装体(200)は、正面部(210)と背面部(220)と左右のマチ部(230)とからなる筒状フィルムの底部を底シール(240)してなるピローガゼット本体(A')に注出口(B')を挿入し上部シール(250)して製造される。前記特許文献4では、このような注出口付きピローガゼット包装体(200)を使用し、内容物充填後の保存時には、前記図23と同様に注出口(B')を側方に向けて冷蔵保存し、内容物取出しの際には、前記注出口(B')を側方に向けてピローガゼット包装体(200)を押圧して内容物を取り出している。
【0014】
また、特許文献5も、未使用時には注出口(B')を側方に向けて保存し、使用時には注出口(B')を装置に固定して装着し、内容物の減量に応じてピローガゼット本体(A')の底部が袋内に引き込まれる構成となっている。
【0015】
しかしながら、内容物を充填した注出口付きピローガゼット包装体を図24の側面図に示すよう、注出口(B')を上方に向けて載置すると、底面部(260)の四隅にピンホールが形成されることが判明した。このようなピンホールの発生は従来、全く知られていなかった。というのも、特許文献4や特許文献5では、注出口付きピローガゼット包装体を使用する際に底面部を介して載置することがなかったため、そもそもピローガゼット包装体に方形の底面部が形成されることがなかったからと推察される。しかしながら、内容物を充填した注出口付きピローガゼット包装体(200)を注出口(B')を上方にして載置すると、図25に示すように、底シール(240)で固定されたマチ部(230)が広がり、前記底シール(240)に連設される前記正面部(210)と背面部(220)の一部からなる方形の底面部(260)が形成され、この底面部(260)の四隅にピンホールが発生しやすいことが判明した。ピンホールの発生しやすい箇所を図25に、符号Pで示す。また、使用するフィルムの種類や注出口付きピローガゼット包装体のサイズ、内容物の種類によっては、底面部(260)の四隅だけでなく、肩部にもピンホールが発生する場合がある。
【0016】
また、このような注出口付きピローガゼット包装体(200)を、例えば図26の側面図に示すように半ダースずつ箱詰めする場合には、箱を落下する程度の衝撃でも、注出口付きピローガゼット包装体(200)に破損が発生する場合がある。よって、ピローガゼット包装体の手触りを確保しつつ、ピンホールや破損の発生のない注出口付きピローガゼット包装体の開発が望まれる。
【0017】
上記現状に鑑み、本発明は、フィルム使用量を低減でき、胴部を把持した際のエッジ感が緩和され、ピンホールの発生が抑制された注出口付きピローガゼット包装体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、注出口付きピローガゼット包装体の使用態様を詳細に検討した結果、注出口を上方に向けて載置すると、前記図25に示すように底シール(240)で固定された左右のマチ部(230)を開くと、正面部(210)とマチ部(230)との連設部および背面部(220)とマチ部(230)との連設部が折れ曲がり、前記折れ曲がりを4隅とする底面部(260)が形成されること、前記底面部(260)の4隅は外部と接触しやすく、接触によってピンホールなどが発生しやすいこと、また、前記4隅は内部圧力が負荷されやすいため、落下などの衝撃によって、正面部(210)とマチ部(230)との連設部や背面部(220)とマチ部(230)との連設部が起点となって破損しやすいこと、このような破損やピンホールの発生箇所は所定の部分熱シールによってその強度を確保しうること、所定箇所のみの部分熱シールによれば、注出口付きピローガゼット包装体を把持する際に柔軟な手触りを確保しうることを見出し、本発明を完成させた。
【0019】
すなわち、本発明は、左右を内側に折り込んでマチ部を形成してなる筒状フィルムの開放端を底シールし、前記他の開放端に注出口を挿入して上部シールしてなる注出口付きピローガゼット包装体であって、
前記筒状フィルムは、少なくとも最内層にヒートシール層を有し、かつ前記左右のマチ部の間にそれぞれ正面部と背面部とが形成されるものであり、
前記注出口付きピローガゼット包装体は、前記マチ部を開くと、前記正面部とマチ部との連設部、および前記背面部とマチ部との連設部が折れ曲がり、底面部を形成するものであり、
前記筒状フィルムは、左右を内側に折り込んでマチ部を形成した状態で、正面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲、および前記背面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲に部分熱シール(I)が形成されていることを特徴とする注出口付きピローガゼット包装体を提供するものである。
【0020】
また本発明は、左右を内側に折り込んでマチ部を形成してなる筒状フィルムの開放端を底シールし、前記他の開放端に注出口を挿入して上部シールしてなる注出口付きピローガゼット包装体の製造方法であって、
前記筒状フィルムは、少なくとも最内層にヒートシール層を有し、かつ前記左右のマチ部の間にそれぞれ正面部と背面部とが形成されるものであり、
前記注出口付きピローガゼット包装体は、前記マチ部を開くと、前記正面部とマチ部との連設部、および前記背面部とマチ部との連設部が折れ曲がり、底面部を形成するものであり、
左右を内側に折り込んでマチ部を形成した筒状フィルムの前記正面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲と、前記背面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲とからなる部分熱シール(I)の形状と、下部開放端の底シールの形状とを一体に含む形状のヒートシールバーで前記部分熱シール(I)と底シールとを同時に行うことを特徴とする、注出口付きピローガゼット包装体の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明の注出口付きピローガゼット包装体は、底面部の4隅中心とする半径12mmの範囲に部分熱シール(I)によって強度が確保されているため、衝撃によるピンホールや破損を回避することができる。しかも、本発明の注出口付きピローガゼット包装体は、把持の際に角部の部分熱シール(I)が当接せず、手触りが良好である。
【0022】
また、本発明の注出口付きピローガゼット包装体は、部分熱シール(I)を形成することで、内容物充填後に注出口を上方に向けて載置すると容易に底面部が形成されるため、底面部を介して自立することができる。
【0023】
本発明の注出口付きピローガゼット包装体は、自立の際に容易に底面部が形成されるため、内容物摂取時に容易に胴部を把持することができる。また、底面部を介して載置できるため、陳列が容易でかつ美観に優れる。
【0024】
本発明によれば、部分熱シールの形状を適宜選択することで、柔軟性や意匠、自立時の保形性の異なる注出口付きピローガゼット包装体を得ることができる。
本発明によれば、部分熱シールを底シールと同時に行うことで、ピンホールなどの発生が回避された注出口付きピローガゼット包装体や、注出口付きピローガゼット充填体を製造することができる。
【0025】
本発明の注出口付きピローガゼット包装体は、軟フィルムで構成することができ、内容物としてゼリー状物を充填した場合には、胴部を把持することで容易に内容物を取り出すことができ、使用後は偏平に折りたたむことができ、使用後のスペースを低容量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】左右を内側に折り込んでマチ部(30)を形成した筒状フィルムを使用し、その下部開放端を底シールしてピローガゼット本体(A)を形成し、このピローガゼット本体(A)の上部開放端に注出口(B)を挿入した後に上部シールして形成される、本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)を説明する図である。
【図2】本発明で使用するピローガゼット本体(A)を構成する筒状フィルムのマチ部(30)や底シール(40)などを説明する斜視図である。
【図3】本発明で使用するピローガゼット本体(A)を構成する筒状フィルムの斜視図であって、底シール(40)を中央にして正面部(10)と背面部(20)の一部が平面状に開き、4隅(60a、60b、60c、60d)を有する方形の底面部(60)が成形されることを説明する図である。
【図4】本発明で使用するピローガゼット本体(A)を構成する筒状フィルムの斜視図であって、底面部(60)を形成する際に、マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')や、マチ部(30)と背面部(20)との連設部(Lb、Lb')が折れ曲がり、このような折れ曲がり予定部が前記4隅(60a、60b、60c、60d)となり底面部(60)が形成されることを説明する図である。
【図5】内容物が充填され、底面部(60)を介して載置された、本発明の部分熱シール(I)(70)が形成された注出口付きピローガゼット包装体(100)の斜視図である。
【図6】部分熱シール(I)(70)を形成する前の注出口付きピローガゼット包装体(100)の平面図であり、底面部が形成される際の折込線を説明する図である。符号30aは、内側に折り込んだマチ部(30)の谷線、符号30bは、マチ部(30)が開放されて底面部(60)を形成する際に、底シール(40)から45°の傾斜でマチ部が折られる谷線、符号30cは、マチ部(30)が開放されて底面部(60)を形成する際に、マチ部が折られる山線である。
【図7】本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)において、底面部(60)を形成する4隅(60a、60b、60c、60d)を中心に、ポイントシールが形成される態様を示す図である。
【図8】ピローガゼット本体(A)の正面部(10)のサイズが、長さ130mm、幅80mmであり、マチ部(30)の半幅が25mmである本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)であって、マチ部が形成された筒状フィルムの下端に幅10mmの底シール(40)が形成され、正面部(10)の下端から、幅8mm、上部シール(50)に向かって75mmの位置まで、熱シール幅を漸減させながら三角形に部分熱シール(I)(70)が形成された態様を示す平面図である。
【図9】長さ、横幅、およびマチ部のサイズが図8と同じである本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)であって、マチ部(30)が形成された筒状フィルムの下端に幅10mmの底シール(40)が形成され、正面部(10)の下端から、幅18mm、上部シール(50)に向かって55mmの位置まで、熱シール幅を漸減させながら三角形に部分熱シール(I)(70)が形成された態様を示す平面図である。
【図10】長さ、横幅、およびマチ部のサイズが図8と同じである本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)であって、前記図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シールとし、かつ前記4隅(60a、60b、60c、60d)を中心として、半径12mm半円形のポイントシールを併設した態様を示す平面図である。
【図11】本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)であって、マチ部(30)が形成された筒状フィルムにおいて、前記図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シール(40)とし、かつ前記4隅(60a、60b、60c、60d)を含むように略楕円形の部分熱シール(I)(70)した態様を示す平面図である。
【図12】本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)であって、マチ部(30)が形成された筒状フィルムにおいて、前記図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シール(40)とし、かつ前記4隅(60a、60b、60c、60d)を含むように部分熱シール(I)(70)した態様を示す平面図である。
【図13】本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)であって、前記図8に示す熱シール(70)の上方に、上部シール(50)から下方に向かってシール幅が漸減する部分熱シール(II)(80)が形成される態様を示す平面図である。
【図14】長さ、横幅、およびマチ部のサイズが図8と同じである本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)であって、前記図9の部分熱シール(I)(70)と上部シール(50)との間であって、マチ部(30)が形成された筒状フィルムの上端から25mm下方に、長さ25mm、幅5mmの部分熱シール(II)(80)が形成される態様を示す平面図である。
【図15】長さ、横幅、およびマチ部のサイズが図8と同じである本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)であって、前記図10に示す部分熱シール(I)(70)の上方に、上部シール(50)と別個に幅5mm、正面部(10)の上端から長さ45mmで部分熱シール(II)(80)が形成される態様を示す平面図である。
【図16】長さ、横幅、およびマチ部のサイズが図8と同じである本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)であって、前記図12に示す部分熱シール(I)(70)の上方に、上部シール(50)と別個に幅5mm、正面部(10)の上端から長さ45mmで部分熱シール(II)(80)が形成される態様を示す平面図である。
【図17】本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)であって、前記図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シールした注出口付きピローガゼット包装体(100)の底面図である。
【図18】前記図8に示す部分熱シール(I)(70)を形成するものであって、図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シール(40)とする場合の、本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)の平面図を示す。
【図19】本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)に形成される部分熱シール(I)が三角形である場合の頂部角度(θ3)を説明する図である。
【図20】本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)において、背シールを形成しうる範囲を説明する図である。
【図21】本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)を構成する筒状フィルムにおいて、背シールの位置を説明する図である。
【図22】本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)の製造方法であって、筒状フィルムを調製する工程を説明する図である。
【図23】従来の、注出口付きピローガゼット包装体(200)に内容物を充填した後に、前記注出口(B')を側方に向けて載置した場合の注出口付きピローガゼット包装体(200)の側面図である。
【図24】従来の、内容物を充填した注出口付きピローガゼット包装体(200)を底面部を介して載置した場合の側面図である。
【図25】従来の、注出口付きピローガゼット包装体(200)において、底シール(240)で固定されたマチ部(230)が広がり、前記底シール(240)に連設される前記正面部(210)と背面部(220)の一部からなる方形の底面部(260)が形成されることを説明する図である。
【図26】従来の、注出口付きピローガゼット包装体(200)を半ダースずつ箱詰めした場合の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、左右を内側に折り込んでマチ部を形成してなる筒状フィルムの開放端を底シールし、前記他の開放端に注出口を挿入して上部シールしてなる注出口付きピローガゼット包装体であって、
前記筒状フィルムは、少なくとも最内層にヒートシール層を有し、かつ前記左右のマチ部の間にそれぞれ正面部と背面部とが形成されるものであり、
前記注出口付きピローガゼット包装体は、前記マチ部を開くと、前記正面部とマチ部との連設部、および前記背面部とマチ部との連設部が折れ曲がり、底面部を形成するものであり、
前記筒状フィルムは、左右を内側に折り込んでマチ部を形成した状態で、正面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲、および前記背面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲に部分熱シール(I)が形成されていることを特徴とする注出口付きピローガゼット包装体である。以下、本発明の注出口付きピローガゼット包装体を、図面を用いて詳細に説明する。
【0028】
(1)注出口付きピローガゼット包装体
本発明の注出口付きピローガゼット包装体は、図1に示す、左右を内側に折り込んでマチ部(30)を形成した筒状フィルムを使用し、その下部開放端を底シールしてピローガゼット本体(A)を形成し、このピローガゼット本体(A)の上部開放端に注出口(B)を挿入した後に上部シールして形成されたものである。
【0029】
本発明で使用する前記筒状フィルムは、少なくとも最内層にヒートシール層を有し、かつ前記左右のマチ部(30)の間にそれぞれ正面部(10)と背面部(20)とが形成されるものである。本発明では、筒状フィルムを使用するため、左右のマチ部(30)、正面部(10)および背面部(20)は、筒状の一体物であるが、便宜のため、ピロー折によって形成されるマチ部(30)と正面部(10)との境界部、マチ部(30)と背面部(20)との境界部を、マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')、マチ部(30)と背面部(20)との連設部(Lb、Lb')と称する。
【0030】
前記筒状フィルムの底シール(40)は、図2のピローガゼット本体(A)の斜視図に示すように、筒状フィルムの下部の開放端を直線状にシールして形成することができる。このように底シール(40)を行ったピローガゼット本体(A)のマチ部(30)を広げると、図3のピローガゼット本体(A)の斜視図に示すように、底シール(40)を中央にして正面部(10)と背面部(20)の一部が平面状に開き、4隅(60a、60b、60c、60d)を有する方形の底面部(60)が成形される。図4のピローガゼット本体(A)の斜視図に示すように、マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')や、マチ部(30)と背面部(20)との連設部(Lb、Lb')が折れ曲がり、このような折れ曲がり予定部が前記4隅(60a、60b、60c、60d)となり底面部(60)が形成される。
【0031】
このようなピローガゼット本体(A)を有する注出口付きピローガゼット包装体(100)を、前記底面部(60)を介して載置すると、底面部(60)の4隅(60a、60b、60c、60d)は、外部と接触しやすくピンホールが発生しやく、また、マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')や、マチ部(30)と背面部(20)との連設部(Lb、Lb')は、製袋時の折込により機械的強度が低下し、特に底面部(60)近傍は内容物の重量が負荷されるため、亀裂などの破損が発生しやすいことが判明した。また、前記図26に示すように、半ダースずつ箱詰めして搬送する場合には、箱内で包装体どうしが擦れてピンホールなどが発生する場合もあった。
【0032】
本発明は、前記マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')の折れ曲がり部およびその近傍、ならびに前記マチ部(30)と背面部(20)との連設部(Lb、Lb')の折れ曲がり部およびその近傍、すなわち、前記底面部(60)の4隅(60a、60b、60c、60d)およびその近傍に、マチ部(30)が折り込まれた筒状フィルムの状態で部分熱シール(I)を形成すれば、前記正面部(10)とマチ部(30)、および前記背面部(20)とマチ部(30)とが重ねられて部分熱シール(I)されるため、この熱シールによって前記4隅(60a、60b、60c、60d)近傍の強度を確保することができ、前記ピンホールや破損を回避しうることを見出したものである。なお、本発明において、「正面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部」および「背面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部」とは、左右を内側に折り込んでマチ部を形成した状態の筒状フィルムにおいて、マチ部(30)を広げて注出口付きピローガゼット包装体(100)の底面部(60)が形成されたと仮定した場合に、正面部とマチ部との連設部とが折れ曲がる箇所、背面部とマチ部との連設部とが折れ曲がる箇所を意味し、前記底面部(60)を構成する4隅(60a、60b、60c、60d)を意味する。また、前記図25に示すように、肩部に折れ曲がりが発生する場合には、このような肩部の折れ曲がり箇所も含む。
【0033】
本発明では、前記折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲、好ましくは半径10mm、より好ましくは半径5mmの範囲、少なくとも半径2mmの範囲に部分熱シール(I)を形成する。なお、便宜のため、本発明では、「折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲」を、「折れ曲がり予定部およびその近傍」と称する場合がある。
【0034】
また、「部分熱シール(I)」とは、左右を内側に折り込んでマチ部(30)を形成した状態の筒状フィルムに形成される、前記底面部(60)を形成する際の4隅(60a、60b、60c、60d)や肩部に形成される熱シールである。本発明の部分熱シール(I)は、少なくとも前記底面部(60)を形成する際の4隅(60a、60b、60c、60d)のいずかに部分熱シール(I)が形成されていればよい。
【0035】
なお、筒状フィルムは、左右を内側に折り込んだマチ部(30)が形成されているため、前記部分熱シール(I)により、前記正面部(10)とマチ部(30)の最内層、および前記背面部(20)とマチ部(30)の最内層が熱融着される。なお、部分熱シール(I)は、少なくとも、前記折れ曲がり予定部を中心に半径12mmの範囲に形成されるものであるが、この範囲に限定されるものではない。後記するように、底シール(40)と連設するものなどであってもよい。
【0036】
また、「部分熱シール(II)」とは、左右を内側に折り込んでマチ部(30)を形成した状態の筒状フィルムに形成される、前記正面部(10)の少なくもいずれか一端に、前記部分熱シール(I)(70)と重複せず、その上部に形成される熱シールを意味する。前記筒状フィルムは、左右を内側に折り込んだマチ部(30)が形成されているため、部分熱シール(I)(70)と同様に、前記部分熱シール(II)により、前記正面部(10)とマチ部(30)の最内層、および前記背面部(20)とマチ部(30)の最内層が熱融着される。このような部分熱シール(II)により、例えば肩部を構成する折れ曲がり予定部およびその近傍に発生しやすいピンホールを防止することができる。
【0037】
図5に部分熱シール(I)(70)を有する本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)であって、内容物を充填し、底面部(60)を介して載置した際の斜視図を示す。底面部(60)の4隅(60a、60b、60c、60d)は、マチ部(30)と正面部(10)との端部が重ねられ、およびマチ部(30)と背面部(20)との端部が重ねられ、前記重ね部の4隅(60a、60b、60c、60d)およびその近傍に底シール(40)の下端から上部シール(50)に向かって、その幅が漸減する三角形の部分熱シール(I)(70)が形成されている。このような部分熱シール(I)(70)によって前記4隅(60a、60b、60c、60d)の強度が確保され、底面部の四隅に発生しやすいピンホールや破損などを効率的に回避することができ、かつ部分熱シール(I)(70)によって注出口付きピローガゼット包装体(100)の自立時の保形性が確保される。
【0038】
なお、本発明では、前記部分熱シール(I)や部分熱シール(II)、およびこれらの組み合わせによって意匠性を確保することができる。

(2)部分熱シール
本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)における部分熱シール(I)(70)は、マチ部(30)が折り込まれた筒状フィルムにおいて、前記4隅(60a、60b、60c、60d)や肩部などの折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲に形成される。以下、主として底面部の四隅に形成する部分熱シール(I)について具体的に説明する。
【0039】
図6に、部分熱シール(I)(70)を形成する前の注出口付きピローガゼット包装体(100)の平面図を示し、底面部が形成される際の折込線を説明する。なお、前記ピローガゼット本体(A)を構成する筒状フィルムは、左右を内側に折り込んでマチ部(30)が形成された状態である。同図において、符号30aは、内側に折り込んだマチ部(30)の谷線、符号30bは、マチ部(30)が開放されて底面部(60)を形成する際に、底シール(40)から45°の傾斜でマチ部が折られる谷線、符号30cは、マチ部(30)が開放されて底面部(60)を形成する際に、マチ部が折られる山線である。また、符号60a、60bは、前記マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf,Lf')であって、底面部が形成される際に折れ曲がって角部を形成する位置である。
【0040】
マチ部(30)を広げて底面部(60)を形成する際に、底シール(40)で固定される正面部(10)と背面部(20)とを水平に開くには、底シール(40)とマチ部(30)の谷線(30b)とのなす角は45°とすることが必要である。従って、この場合で例示すると、図6に示すように、前記マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')において、前記底面部の4隅(60a、60b)が形成される位置は、底部折込幅をYとし、マチ部(30)の折込深さをxとし、底シール(40)幅をyとした場合に、Y=y+xで示される。
【0041】
したがって、マチ部(30)が折り込まれた筒状フィルムにおいて、前記マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')、および前記マチ部(30)と背面部(20)との連設部(Lb、Lb')における、前記底シール(40)の下端から前記上方に向かってYの位置を中心に部分熱シール(I)(70)を行えば、底面部(60)の4隅(60a、60b、60c、60d)に強度を確保しつつ、ピンホールや亀裂などの破損を効率的に防止することができる。なお、底シール(40)から角度θの傾斜でマチ部(30)の谷線(30b)が形成されれる場合には、Y=y+x×tanθとなる。本発明では、角度θが40〜50°の範囲で本発明を適用できる。この範囲であれば、略平面状の底面部(60)を構成することができ、底面部(60)を介して載置する際に前記マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')、および前記マチ部(30)と背面部(20)との連設部(Lb、Lb')に折れ曲がり予定部が形成され、かつ部分熱シール(I)によってピンホールや破損を効率的に回避しうるからである。
【0042】
本発明において、マチ部(30)が折り込まれた筒状フィルムの上記折れ曲がり予定部(60a、60b、60c、60d)に部分熱シール(I)を行うには、例えば、図1に示すように、筒状フィルムの左右を内側に折り込んでマチ部(30)を形成し、前記正面部(10)、マチ部(30)および前記背面部(20)を重ねたまま、上記4隅(60a、60b、60c、60d)を含むように一対のヒートシールバーで挟み、加熱押圧して形成することができる。
【0043】
このような部分熱シール(I)(70)のパターンとしては、例えば図7に示すようにポイントシールであってもよい。このようなポイントシールのサイズは、注出口付きピローガゼット包装体のサイズや内容物の種類、充填量などによって適宜選択しうるが、例えばピローガゼット本体(A)の正面部(10)のサイズが、長さ130mm、幅80mmであり、マチ部(30)の半幅が25mm、底シールの幅が10mmの場合で説明すれば、マチ部が形成された筒状フィルムの下端から35mmの位置の前記4隅(60a、60b、60c、60d)を中心に、半径12mm半円形のポイントシールを例示することができる。
【0044】
このような部分熱シール(I)(70)の形状は、上記ポイントシールに限定されるものではない。本発明では、部分熱シール(I)(70)は、前記4隅(60a、60b、60c、60d)およびその近傍に形成されることを必須とするが、更に、上下、左右に延長して形成されるものであってもよい。したがって、例えば、底シール(40)の下端から前記4隅(60a、60b、60c、60d)およびその近傍に連設して形成されるものであってもよい。
【0045】
他の部分熱シール(I)のパターンの一例を図8に示す。図8は、前記サイズの注出口付きピローガゼット包装体であって、マチ部が形成された筒状フィルムの下端に幅10mmの底シール(40)が形成され、正面部(10)の下端から、幅8mm、上部シール(50)に向かって75mmの位置まで、熱シール幅を漸減させながら三角形に部分熱シール(I)(70)が形成された態様である。これにより、マチ部が形成された筒状フィルムの前記4隅(60a、60b、60c、60d)を含んで部分熱シール(I)(70)が形成される。なお、図8では、熱シール幅が注出口付きピローガゼット包装体(100)の上部シールに向かって漸減されるため、注出口付きピローガゼット包装体自立時の安定性に優れ、かつ包装体を把持する際の部分熱シール(I)(70)による剛性が少なく、手触りが良好となる。
【0046】
また、図9は、マチ部(30)が形成された筒状フィルムの下端に幅10mmの底シール(40)が形成され、正面部(10)の下端から、幅18mm、上部シール(50)に向かって55mmの位置まで、熱シール幅を漸減させながら三角形に部分熱シール(I)(70)が形成された態様である。これにより、マチ部(30)が形成された筒状フィルムの前記4隅(60a、60b、60c、60d)およびその近傍に部分熱シール(I)(70)が形成される。図8と相違して底シール(40)側の熱シール幅が18mmと10mmも幅広く、かつ、熱シール(70)の長さ55mmと20mmも短くなっている。底シール(40)近傍で幅広の部分熱シール(I)が形成されているため、注出口付きピローガゼット包装体自立時の安定性に優れ、かつ、把持する際の部分熱シール(I)(70)による剛性がより少ないため、手触りが更に改良される。
【0047】
また、図10は、マチ部が形成された筒状フィルムにおいて、前記図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シールとし、かつ前記4隅(60a、60b、60c、60d)を中心として、半径12mm半円形のポイントシールを併設したものである。前記図8、図9では、直線状の底シール(40)と三角形の部分熱シール(I)(70)とを別個に行ったが、図10では、底シール(40)と部分熱シール(I)(70)とを一体で形成できる利点がある。ただし、底シール(40)と部分熱シール(I)(70)とを別個に行ってもよい。
【0048】
また、図11は、マチ部(30)が形成された筒状フィルムにおいて、前記図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シール(40)とし、かつ前記4隅(60a、60b、60c、60d)およびその近傍に略楕円形の部分熱シール(I)(70)を形成したものである。図10では、部分熱シール(I)(70)のシールラインと底シール(40)とのシールラインのなす角が90°未満と鋭角であるが、図11では、90°を超える。
【0049】
また、図12は、マチ部(30)が形成された筒状フィルムにおいて、前記図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シール(40)とし、かつ前記4隅(60a、60b、60c、60d)およびその近傍に長方形の部分熱シール(I)(70)したものである。図10との相違は、部分熱シール(I)(70)が、前記4隅(60a、60b、60c、60d)を中心として上下に10mm、幅5mmの角部のない方形をなす点である。部分熱シール(I)(70)が直線的に形成されるため、底面部(60)を介して載置した場合に、注出口付きピローガゼット包装体(100)の安定性に優れる。
【0050】
本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)は、図13に示すように、マチ部(30)が形成された筒状フィルムにおいて、前記部分熱シール(I)(70)に加え、更に他の部分熱シール(II)(80)が形成されるものであってもよい。部分熱シール(II)(80)は、筒状フィルムの左右を内側に折り込んでマチ部(30)を形成し、前記正面部(10)、マチ部(30)および前記背面部(20)を重ねたまま前記正面部(10)の少なくもいずれか一端に一対のヒートシールバーで加熱押圧して形成することができる。なお、部分熱シール(II)(80)を背面部(20)の側端部にのみ形成する場合には、部分熱シール(II)すべき背面部(20)とマチ部(30)との間に一対のヒートシールバーを装着して加熱押圧すればよい。
【0051】
図13に、前記図8に示す熱シール(70)の上方に、上部シール(50)から下方に向かってシール幅が漸減する部分熱シール(II)(80)が形成される態様を示す。この部分熱シール(II)は、正面部(10)の上端に幅8mm、底シール(40)に向かって55mmの位置まで、シール幅を漸減させながら、逆三角形の部分熱シール(II)(80)が形成させた態様である。部分熱シール(II)(80)の形成によって、注出口付きピローガゼット包装体(100)の上部の機械的強度が増強される。また、肩部に折れ曲がりが発生する場合には、このような折れ曲がり箇所に発生するピンホールなどを防止することができる。
【0052】
なお、図13では、前記部分熱シール(II)(80)と部分熱シール(I)(70)とは、端部で連設されるが、重複して熱シールされるものではない。なお、部分熱シール(II)(80)の長さを短くして、部分熱シール(I)(70)と部分熱シール(II)(80)とが連設しないように調整してもよい。把持の際に部分熱シール(II)(80)による剛性がなく、手触りに優れる。
【0053】
また、図14は、前記図9の部分熱シール(I)(70)と上部シール(50)との間であって、マチ部(30)が形成された筒状フィルムの上端から25mm下方に、長さ25mm、幅5mmの部分熱シール(II)(80)が形成される態様である。部分熱シール(II)(80)と部分熱シール(I)(70)との間隔が25mm存在するため、把持の際の手触りに優れる。
【0054】
また、図15は、前記図10に示す部分熱シール(I)(70)の上方に、上部シール(50)と別個に幅5mm、正面部(10)の上端から長さ45mmで部分熱シール(II)(80)が形成される態様である。正面部(10)の上端から長さ45mmという比較的長尺の部分熱シール(II)(80)が形成されるため、底面部を介して載置する際の注出口付きピローガゼット包装体の上部安定性に優れる。
【0055】
また、図16は、前記図12に示す部分熱シール(I)(70)の上方に、上部シール(50)と別個に幅5mm、正面部(10)の上端から長さ45mmで部分熱シール(II)(80)が形成される態様である。正面部(10)の上端から長さ45mmという比較的長尺の部分熱シール(II)(80)が形成されるため、底面部を介して載置する際の注出口付きピローガゼット包装体の上部安定性に優れる。なお、部分熱シール(I)(70)と部分熱シール(II)(80)の角部は、共に略同じRで形成されている。
【0056】
前記図15、図16は、前記マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')および前記マチ部(30)と背面部(20)との連設部(Lb、Lb')に、部分熱シール(II)(80)と部分熱シール(I)(70)とが形成されていない間隙が40mm形成されるため、注出口付きピローガゼット包装体(100)の胴部を把持する際の手触りに優れる。
【0057】
本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)では、マチ部が折り込まれた筒状フィルムにおいて、前記4隅(60a、60b、60c、60d)を含むように部分熱シール(I)が形成されることを条件とし、更に部分熱シール(II)を含むことができる。この部分熱シール(I)と部分熱シール(II)とは、両者が連接されていてもよいが、注出口付きピローガゼット包装体(100)の筒状胴部を把持する際に、手のひらに熱シール部が当接しないように、少なくとも1箇所は接触せず、間隙が形成されていることが好ましい。このような間隙は、上記サイズの注出口付きピローガゼット包装体(100)であれば、20mm以上、より好ましくは40mm以上である。
【0058】
前記注出口付きピローガゼット包装体(100)は、左右を内側に折り込んだマチ部(30)の形状が方形の筒状フィルムを使用して製袋したものである。図17に、前記図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シールした注出口付きピローガゼット包装体(100)の底面図を示す。底シール(40)は、中央部では正面部(10)と背面部(20)とが熱融着されるが、その両端部には、正面部(10)とマチ部(30)が熱融着した部分(40a)と、背面部(20)とマチ部(30)とが熱融着した部分(40b)とが形成されている。ピローガゼット本体(A)に形成される底シール(40)は、内容物を密封しうる液密性が確保できればよく、前記熱融着部分(40a、40b)は、余分を削除することができる。よって、前記図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)マチ部(30)の谷線(30b)までを底シール(40)し、製袋後にピローガゼット本体(A)の下端を切断してもよい。図18に、前記図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シール(40)し、かつ前記図8に示す部分熱シール(I)(40)を形成し、ピローガゼット本体(A)の下端部を斜めに切断した注出口付きピローガゼット包装体(100)の平面図を示す。なお、図9、図13、図14に示す注出口付きピローガゼット包装体(100)も、図18と同様に、図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シール(40)とすることができ、製袋後に、ピローガゼット本体(A)の下端部を斜めに切断して、本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)を製造することもできる。
【0059】
なお、本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)では、上記した種々の形状の部分熱シール(I)を形成することができるが、前記図8に示すような、前記マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')を高さとし、底シール部(40)を底面とする三角形を形成することができる。この態様を図19を用いて説明する。前記図6に示すマチ部(30)の谷線(30b)までを底シールした場合の底シール線を符号aで示し、前記部分熱シール(70)の端部直線を符号bで示すと、図19に示すように、前記底シール線(a)と部分熱シールの端部直線(b)とのなす角度(θ1)は、(135+α)°となる。従来、正面部(10)の両端に、底シール(40)から上部シール(50)の全長に亘って形成されるサイドシールが形成される場合、前記サイドシールの端部直線を(b')とすれば、前記底シール線(a)とサイドシールの端部直線(b')とのなす角度(θ2)は、135°であった。底面部(60)を介して載置する際に、マチ部(30)を垂直に形成し、自立安定性を確保するためである。しかしながら、本発明では、部分熱シール(I)を形成することで、たとえ前記底シール線(a)と部分熱シールの端部直線(b)とのなす角度(θ1)が135°を超える場合でも、部分熱シール(I)によって注出口付きピローガゼット包装体(100)の保形性が確保され、自立安定性に優れることを見出した。
【0060】
なお、前記底シール線(a)と部分熱シールの端部直線(b)とのなす角度(θ1)は、前記マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')と前記部分熱シールの端部直線(b)とのなす角度(θ3)と関連する。すなわち、θ1=180−θ3である。本発明において、部分熱シール(I)が前記三角形で構成される場合には、例えば、形成される三角形の範囲内に上記4隅(60a、60b、60c、60d)が含まれ、かつ上記角度(θ3)が2〜43°、より好ましくは5〜20°の範囲で選択することができる。なお、このような三角形の部分熱シール(I)によって、底面部(60)の角部(60a)は、前記底シール線(a)と部分熱シールの端部直線(b)と交点(60a')に移動する。このように角部(60a)が底シール(40)側に移行することで、交点(60a')と前記マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf)との幅(w)を広く確保することができる。
【0061】
(3)背シール
本発明で使用する筒状フィルムが、1枚のフィルムを背シールして形成されたものである場合には、背シールはいずれに形成してもよい。ただし、前記上部シールの際に前記注出口と重複しない箇所に形成されることが好ましい。注出口の上部シールを安定かつ確実に行えるからである。好ましくは、左右の折込マチ部(30)との重複部分である。背シールが好ましく存在しうる範囲(Z)を図20に示す。より好ましくは、図21に示すように、左右に折り込まれたマチ部(30)の範囲内に形成する。特に好ましくは、左マチ部(30)の端部と背面部(20)の端部との重ね部(23)が背シールとなるように筒状フィルムを成形する。これにより、注出口付きピローガゼット包装体(100)の胴部を把持する際に、手のひらへの背シール(23)の当接を回避することができる。
【0062】
上記したように、1枚のフィルムを背シールして筒状フィルムを形成する場合、背シールは上記1箇所に限定される。しかしながら、本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)を構成するピローガゼット本体(A)においては、前記背シールと同様に、底シール(40)から上部シール(50)の全長にわたり、正面部(10)や背面部(20)の両端にサイドシールが形成されるものであってもよい。このようなサイドシールは、マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')およびマチ部(30)と背面部(20)との連設部(Lb、Lb')の全4箇所のうち最大3箇所に形成することができる。すなわち、本発明の上記部分熱シール(I)は、マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')およびマチ部(30)と背面部(20)との連設部(Lb、Lb')の全4箇所のうち、少なくも1箇所に形成されてれば、筒状胴部を把持する際の手触りを改良することができ、かつピンホールや亀裂などの破損を効率的に回避できるからである。
【0063】
なお、本発明で使用する筒状フィルムは、インフレーション法などで予め筒状に形成されたフィルムを使用することもでき、この場合には背シールは存在しない。この場合であっても、上記したサイドシールは、マチ部(30)と正面部(10)との連設部(Lf、Lf')およびマチ部(30)と背面部(20)との連設部(Lb、Lb')の全4箇所のうち最大3箇所に形成することができる。
【0064】
(4)筒状フィルム
本発明において、注出口付きピローガゼット包装体に使用しうる筒状フィルムとしては、少なくとも最内層にヒートシール層が積層されるものである。
【0065】
更に好ましくは、前記ヒートシール層に、ガスバリア層とポリアミド系樹脂層とが積層されたものである。そもそも使用する筒状フィルムにコシがないと、注出口付きピローガゼット包装体(100)を載置する際に底面部(60)が形成されづらく、筒状フィルムが潰れ、前記底面部(60)を構成する4隅4隅(60a、60b、60c、60d)が形成されない場合がある。一方、筒状フィルムにコシがあると、マチ部(30)が広がって形成される底面部(60)の4隅は、底面部(60)の2軸とマチ部(30)の1軸との交点であり、このように形成される交点にピンホールが発生しやすい。本発明は、このようなピンホールが発生しやすい注出口付きピローガゼット包装体において、筒状胴部を把持する際の手触りを改良し、かつピンホールや破損の発生を効率的に防止するものである。したがって、本発明で好適な筒状フィルムの層構成としては、最内層にヒートシール層を有し、ピンホールなどが発生した場合でもガスバリア性を確保しうるようにガスバリア層が積層され、かつ積層フィルムにコシが付与される基材層が積層されるものである。
【0066】
ヒートシール層としては、熱によって溶融し相互に融着し得る各種のヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂等を使用することができる。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の樹脂からなる1種以上のフィルムもしくはシートまたは塗布膜などを使用することができる。
【0067】
ガスバリア層としては、酸素透過性、水蒸気透過性を制限できる各種のガスバリア性基材を使用することができる。例えば、アルミニウム箔、エチレン・ビニルアルコール共重合体、基材フィルムに有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜が設けられた蒸着フィルム、などを例示することができる。アルミニウム箔を使用する場合は、厚さ6〜20μmで十分なガスバリア性を付与することができる。
【0068】
また、エチレン・ビニルアルコール共重合体も好適に使用することができる。エチレン・ビニルアルコール共重合体からなるガスバリア層の厚さに制限はないが、好ましくは12〜25μmである。エチレン・ビニルアルコール共重合体は単層フィルムとして使用することができるが、ポリエチレンテレフタレートなどの基材フィルムにエチレン・ビニルアルコール共重合体からなる塗布膜を形成した積層フィルムであってもよい。なお、エチレン・ビニルアルコール共重合体からなる塗布膜は、好ましくは0.5〜3μmである。このようなエチレン・ビニルアルコール共重合体としては、株式会社クラレ製、「エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)」、日本合成化学工業株式会社製、「ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)」等を例示することができる。
【0069】
更に、ポリエチレンテレフタレートなどの基材フィルムに有機珪素化合物、金属または金属酸化物を蒸着してなる蒸着膜が設けられた蒸着フィルムをガスバリア層として使用することができる。蒸着層の厚みは、150〜2000Åの範囲が適当である。市販品も好適に使用することができ、例えば大日本印刷株式会社製の商品名「IB−PET」などを例示することができる。
【0070】
また、基材層としては、ポリアミド系樹脂層やポリエチレンテレフタレート樹脂層などを例示することができる。基材層は、1層に限定されるものではなく、2以上が積層されるものでもよい。
【0071】
ポリアミド系樹脂層としては、機械的強度を確保するために積層される。好ましくは、機械的強度に優れる2軸延伸ポリアミドフィルムである。例えば、脂肪族ポリアミドであっても、芳香族ポリアミドであっても、これらを混合した組成物であってもよい。好ましいポリアミドの具体例としては、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ‐ε‐アミノへプタン酸(ナイロン7)、ポリ‐ε‐アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)、ポリラウリンラクタム(ナイロン12)、ポリエチレンジアミンアジパミド(ナイロン2・6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン4・6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン6・6)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン6・10)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン6・12)、ポリオクタメチレンドデカミド(ナイロン6・12)、ポリオクタメチレンアジパミド(ナイロン8・6)、ポリデカメチレンアジパミド(ナイロン10・6)、ポリデカメチレンセバカミド(ナイロン10・10)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン12・12)、メタキシレンジアミン‐6ナイロン(MXD6)などを挙げることができる。
【0072】
また、ポリエチレンテレフタレート系樹脂層としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂層を単独で使用できるほか、他の樹脂層を積層したものであってもよい。特に最外層にポリエチレンテレフタレート系樹脂層を積層することで、左右を内側に折り込んでマチ部を形成した筒状胴部に、底シールや上部シールを施す際に、折り込んだマチ部の熱融着を回避することができる。
【0073】
本発明において好適に使用できる積層フィルムとしては、充填する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無など使用条件に応じて適するものを適宜、選択することができ、具体的には、最外層から最内層に向かって以下の層構成のものを例示することができる。
【0074】
(1)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/2軸延伸ナイロンフィルム/接着剤/ポリエチレンフィルム、
(2)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/接着剤/2軸延伸ナイロンフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ポリエチレンフィルム、
(3)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/接着剤/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム/接着剤/2軸延伸ナイロンフィルム/接着剤/PEフィルム、
(4)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/接着剤/一軸延伸PPフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ポリプロピレンフィルム、
(5)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/接着剤/シリカまたはアルミナを蒸着した2軸延伸ナイロンフィルム/接着剤/ポリプロピレンフィルム、
(6)IB−PET/接着剤/2軸延伸ナイロンフィルム/接着剤/ポリプロピレンフィルム、などが挙げられる。
【0075】
一方、本発明では、インフレーション法によって調製された筒状フィルムを使用することもできる。インフレーション法で調製可能な筒状フィルムの層構成としては、最外層から最内層に向かって以下の層構成のものを例示することができる。
【0076】
(1)ポリエチレン系樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物/ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂/エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物/ポリプロピレン系樹脂、
(2)ポリエチレン系樹脂/未延伸ポリアミド系樹脂/ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂/未延伸ポリアミド系樹脂/ポリプロピレン系樹脂、
(3)未延伸ポリアミド系樹脂/ポリエチレン系樹脂、
(4)未延伸ポリアミド系樹脂/ポリプロピレン系樹脂、
(5)ポリエチレン系樹脂やポリプロプレン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂
インフレーション法において最外層がポリエチレン系樹脂やポリプロプレン系樹脂などの熱融着性樹脂の場合には、マチ部を折りこんだ筒状フィルムに上記部分熱シール(I)や部分熱シール(II)を形成する際に、マチ部とマチ部の最外層どうしが熱融着するのを回避するため、金属プレートなどをマチ部の外側から挿入し、部分熱シール(I)や部分熱シール(II)を行えばよい。
【0077】
(5)注出口付きピローガゼット包装体の製造方法
従来のピローガゼット包装体(100)は、従来のピローガゼットの製袋に準じて製造することができる。ピローガゼット本体(A)に装着される注出口は、プラスチックの成形体よりなり、従来公知の注出口付パウチに使用される注出口を好適に使用することができる。注出口自体は、例えば、プラスチックの射出成形により容易に製造することができ、その形状は、注出部の下部に接着基部を形成した注出口部とキャップとが別々に成形された2ピースタイプでもよく、前記注出口部とキャップとが、薄肉部を介して一体的に成形された1ピースタイプであってもよい。前記注出口の材質は、袋のヒートシール層で熱接着できることが必要であり、例えば、ポリプロピレン、中密度または高密度などのポリエチレンのほか、ポリエステルなどを使用することができる。
【0078】
本発明の注出口付きピローガゼット包装体(100)は、注出口付きピローガゼット包装体(100)を製袋した後に、注出口から内容物を充填して、注出口付きピローガゼット充填体とすることができる。この場合の注出口付きピローガゼット包装体の製造方法ならびに、内容物の充填方法を説明する。
【0079】
まず、ピローガゼット本体(A)は、従来公知のピロー製袋機に、上記層構成の一枚のフィルムを装着して製袋する。図22に示すように、ヒートシール層を内側にしてプレート(110)を包むように前記フィルム(F)を装着し、前記プレート(110)の上部であって前記フィルム(F)の外側左右からプレート(120,120')を挿入してフィルム(F)を折り返し、次いで、前記フィルム(F)の内側であって、前記にプレート(120,120')の上方にプレート(130)を挿入し、前記図20に示す範囲で前記フィルムの両端のヒートシール層同士が対向するように重ねてヒートシールして背シールを形成し、この背シールを一方に(外側に)倒して筒状フィルムを形成する。
【0080】
ついで、マチ部が折り込まれた筒状フィルムにおいて、その最内層のヒートシール層を利用して加熱分熱シールヘッドによる熱圧着、または超音波シール方式などで、底シール(40)、前記部分熱シール(I)(70)、更に必要に応じて部分熱シール(II)(80)を行う。これら底シール(40)、部分熱シール(I)(70)、部分熱シール(II)(80)は、それぞれ別個に行うこともできるが、これらの形状を全て含む加熱分熱シールヘッドを使用して挟み、加熱押圧により、一度に熱シールを行ってもよい。少なくとも底シール(40)および部分熱シール(I)(70)が形成された筒状フィルムを所定位置で裁断して、ピローガゼット本体(A)を得ることができる。
【0081】
得られたピローガゼット本体(A)の上部端縁部の正面部(10)と背面部(20)との間に、注出口の接着基部を挿入し、筒状フィルムの最内層のヒートシール層を利用して加熱分熱シールヘッドによる熱圧着、または超音波シール方式などで上部シールし、注出口付きピローガゼット包装体(100)を製造する。得られた注出口付きピローガゼット包装体の注出口の開口部から内容物を充填し、キャップを閉めて、内容物を充填した注出口付きピローガゼット充填体を製造することができる。
【0082】
一方、本発明では、注出口としてキャップ巻締め済み品を使用する場合には、筒状フィルムの上部から内容物を充填し、その後注出口を装着することができる。
例えば、上記と同様にしてピローガゼット本体(A)を得た後に、筒状フィルムの上部開放端から内容物を充填する。ついで、注出口(B)を、前記ピローガゼット本体(A)の上部端縁部の正面部(10)と背面部(20)との間にその接着基部を挿入し、筒状フィルムの最内層のヒートシール層を利用して加熱分熱シールヘッドによる熱圧着、または超音波シール方式などで上部シールする。これにより、内容物を充填した注出口付きピローガゼット充填体を製造することができる。
【0083】
また、本発明では、筒状フィルムの底部から内容物を充填し、内容物を充填した注出口付きピローガゼットを製造することができる。
例えば、ピロー製袋機に、上記層構成の一枚のフィルムを装着し、上記層構成の一枚のフィルム(F)を装着して製袋する。前記図22に示すように、ヒートシール層を内側にしてプレート(110)を包むように前記フィルム(F)を装着し、前記プレート(110)の上部であって前記フィルム(F)の外側左右からプレート(120,120')を挿入してフィルム(F)を折り返し、次いで、前記フィルム(F)の内側であって、前記にプレート(120,120')の上方にプレート(130)を挿入し、前記図20に示す範囲で前記フィルムの両端のヒートシール層同士が対向するように重ねてヒートシールして背シールを形成し、この背シールを一方に(外側に)倒して筒状フィルムを形成する。
【0084】
ついで、マチ部が折り込まれた筒状フィルムにおいて、その最内層のヒートシール層を利用して加熱分熱シールヘッドによる熱圧着、または超音波シール方式などで、前記部分熱シール(I)(70)、必要に応じて部分熱シール(II)(80)を行う。これら部分熱シール(I)(70)、部分熱シール(II)(80)は、それぞれ別個に行うこともできるが、これらの形状を全て含む加熱分熱シールヘッドを使用して挟み、加熱押圧により、一度に熱シールを行ってもよい。ついで、筒状フィルムを所定位置で裁断する。
【0085】
ついで、上下が開放端である筒状フィルムの上部端縁部の正面部(10)と背面部(20)との間に注出口の接着基部を挿入し、筒状フィルムの最内層のヒートシール層を利用して加熱分熱シールヘッドによる熱圧着、または超音波シール方式などで上部シールする。
【0086】
上部シール(50)が形成された後、筒状フィルムの下部開放端から内容物を充填する。
その後、前記筒状フィルムの下部開放端を、筒状フィルムの最内層のヒートシール層を利用して加熱分熱シールヘッドによる熱圧着、または超音波シール方式などで底シール(40)する。これにより、内容物を充填した注出口付きピローガゼット充填体を製造することができる。
【0087】
本発明によれば、部分熱シール(70)を底シール(40)と同時に行うことで、ピンホールなどの発生が回避された注出口付きピローガゼット包装体(100)や、注出口付きピローガゼット充填体を製造することができる。
【0088】
(6)用途
本発明の注出口付きピローガゼット包装体は、内容物が充填されると底面部が広がり自立しうる。しかも筒状胴部が柔軟で手触りに優れる。このため、例えば流動性食品やゼリー食品など、筒状胴部を把持して内容物を取り出す用途に好適に使用することができる。特に、握力の低い老齢者、幼若者、病人などが摂取する食品や医薬品などに好適に使用することができる。
【0089】
注出口付きピローガゼット包装体に内容物を充填した注出口付きピローガゼット充填体は、図26に示すように、所定個数を箱詰めされて販売される場合があるが、箱に衝撃を与えた場合でも、注出口付きピローガゼット包装体の耐衝撃性に優れ、ピンホールは破損を防止することができる。
【0090】
しかも、本発明の注出口付きピローガゼット包装体は、内容物を抜き出した後は、扁平となるため、廃棄容量を低減することができる。
この注出口付きピローガゼット包装体は、内容物を充填した後の自立安定性に優れ、店頭販売でも需要者の注目を引くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の注出口付きピローガゼット包装体は、筒状胴部の手触りに優れ、かつ底面部を介して載置した場合にも、ピンホールや亀裂などの破損が少なく、食品や衣料品などに好適に使用することができ、有用である。
【符号の説明】
【0092】
10・・・ピローガゼット本体の正面部、
20・・・ピローガゼット本体の背面部、
30・・・ピローガゼット本体のマチ部、
30a・・・ピローガゼット本体の折込マチ部の谷線、
30b・・・底面部形成の際のピローガゼット本体のマチ部の谷線、
30c・・・底面部形成の際のピローガゼット本体のマチ部の山線、
40・・・ピローガゼット本体の底シール
50・・・ピローガゼット本体の上部シール
60・・・ピローガゼット本体の底面部
70・・・マチ部(30)が折り込まれた筒状フィルムの部分熱シール(I)、
80・・・マチ部(30)が折り込まれた筒状フィルムの部分熱シール(II)、
60a、60b、60c、60d・・・底面部の角部、
Lf,Lf' ・・・マチ部(30)と正面部(10)との連設部、
Lb、Lb' ・・・マチ部(30)と背面部(20)との連設部、
A・・・ピローガゼット本体、
B・・・注出口、
100・・・注出口付きピローガゼット包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右を内側に折り込んでマチ部を形成してなる筒状フィルムの開放端を底シールし、前記他の開放端に注出口を挿入して上部シールしてなる注出口付きピローガゼット包装体であって、
前記筒状フィルムは、少なくとも最内層にヒートシール層を有し、かつ前記左右のマチ部の間にそれぞれ正面部と背面部とが形成されるものであり、
前記注出口付きピローガゼット包装体は、前記マチ部を開くと、前記正面部とマチ部との連設部、および前記背面部とマチ部との連設部が折れ曲がり、底面部を形成するものであり、
前記筒状フィルムは、左右を内側に折り込んでマチ部を形成した状態で、正面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲、および前記背面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲に部分熱シール(I)が形成されていることを特徴とする注出口付きピローガゼット包装体。
【請求項2】
前記筒状フィルムは、左右を内側に折り込んでマチ部を形成した状態で、
前記底シールから前記折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲まで連続する部分熱シール(I)が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の注出口付きピローガゼット包装体。
【請求項3】
前記筒状フィルムは、左右を内側に折り込んでマチ部を形成した状態で、
前記部分熱シール(I)と重複しない上部に部分熱シール(II)が形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の注出口付きピローガゼット包装体。
【請求項4】
前記筒状フィルムは、1枚のフィルムを背シールによって形成されたものであり、
前記背シール部は、前記上部シールにおいて、前記注出口の装着部と重複しない位置に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の注出口付きピローガゼット包装体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの注出口付きピローガゼット包装体に内容物を充填した、注出口付きピローガゼット充填体。
【請求項6】
左右を内側に折り込んでマチ部を形成してなる筒状フィルムの開放端を底シールし、前記他の開放端に注出口を挿入して上部シールしてなる注出口付きピローガゼット包装体の製造方法であって、
前記筒状フィルムは、少なくとも最内層にヒートシール層を有し、かつ前記左右のマチ部の間にそれぞれ正面部と背面部とが形成されるものであり、
前記注出口付きピローガゼット包装体は、前記マチ部を開くと、前記正面部とマチ部との連設部、および前記背面部とマチ部との連設部が折れ曲がり、底面部を形成するものであり、
左右を内側に折り込んでマチ部を形成した筒状フィルムの前記正面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲と、前記背面部とマチ部との連設部の折れ曲がり予定部を中心とする半径12mmの範囲とからなる部分熱シール(I)の形状と、下部開放端の底シールの形状とを一体に含む形状のヒートシールバーで前記部分熱シール(I)と底シールとを同時に行うことを特徴とする、注出口付きピローガゼット包装体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−20709(P2011−20709A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167851(P2009−167851)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】