説明

注出口付き袋

【課題】注出口部が折れ曲がらず、開口性に優れる注出口付き袋を提供する。
【解決手段】サイドシール10、10‘底部シール20および上部シール30によって胴部Aの外周がヒートシールされ、前記サイドシール10,10‘と上部シール30との間に、前記胴部Aと連通し、両側部および先端部がヒートシールされてなる注出口部Bが配設された注出口付き袋100であって、前記注出口部Bの一の側部は、前記サイドシール10,10‘から胴部Aに向かう下肩部シール13に連接され、かつ前記下肩部シール13に前記下肩部シール13の表面よりも外側に突出するエンボスが形成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性を有する内容物を密封包装した注出口付き袋であって、胴部に連通する注出口部を開放して内容物を取り出す際に、注出口部の位置安定性および開口性に優れる、注出口付き袋に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤や液体シャンプー等の流動性を有する内容物は、胴部から突出して形成される注出口が配設された注出口付き袋に密封包装されることが多く、シャンプーやリンスなどが詰め替え用としてこのような注出口付き袋に充填され、市販されている。
【0003】
このような注出口付き袋として、注ぎ口の位置を固定しうる溝状の切り欠き部を、注出口の下部シール部に形成した詰め替え用パウチがある(特許文献1)。この詰め替え用パウチは柔軟な素材で形成されため、胴部を手で把持すると上部から内容物が溢れたり、詰め替え用容器の開口部が小さい場合は注ぎ口を容器の開口部に保持することが困難であることに鑑みてなされたものである。上記構成によれば、注ぎ口の位置を固定しうる溝状の切り欠き部が形成されるため、容器と詰め替え用パウチとが互いに位置ずれることがなく、安定した状態で詰め替え用パウチ内の内容物を絞りだすことができる、という。
【0004】
また、注出口部の少なくとも一方の側部のヒートシール部に切り欠き部が形成され、かつ注出口部に開封手段が形成された自立性袋であって、前記開封手段が、注出口部を両側から中央部にかけて、内側に窪んだ形状に切り取るように形成した自立性袋もある(特許文献2)。袋の上部の一部に狭い幅の注出口部を形成したものは、内容物を詰め替え用容器に移し替える際に注出口部の口の開きが悪く途中で閉塞する場合があり、一方、注出口部の幅を広くすると移し変え時の安定性が低下し、移し変え容器の口径が小さい場合には内容物をこぼす。上記特許文献2は、この問題点に鑑みてなされたものである。上記構成によれば、注出口を開封すると内側に窪んだ形状に開封されるため、注出口部の先端部の幅が狭くても内側に窪んだ形状の最深部が起点となりその内側が両側に大きく開口し、内容物の注出操作を円滑に行えるという。
【0005】
更に、長尺のテープ基材の端縁部に凸条が形成された注出補助部材が、注出口部の内側に貼着された注出口付き袋もある(特許文献3)。凸条が形成された注出補助部材によって注出口の開口性と保形性とが回避できるため、注出口部の折れや曲がりによる閉塞を防止でき、内容物の注出を容易に行うことができる、という。
【0006】
一方、注出口に注出補助部材を配設すると製造工程が増え、注出口を取り付けた空袋は厚さが増すため保管や運搬の費用がかかるなどの観点から、注出口部の先端近傍から袋内部に向けて袋の外側に突出する棒状の第一のエンボスを形成し、かつ前記注出口部の基部の幅より長く、かつ下向きの円弧形状またはV字形状の第二のエンボスが形成された注出口付き袋もある(特許文献4)。第一のエンボスにより保形性よく開口し、内容物を注ぎだす際に袋を倒立させた場合でも、第二のエンボスによって胴部の形状の保形性が確保され、内容物が注出口部にスムーズに移動でき、最後まで安全かつ容易に内容物を移し替えることができる、という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第2991274号
【特許文献2】特開2001−348045号公報
【特許文献3】特開2006−143245号公報
【特許文献4】特開2007−161289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載のパウチでは、詰め替え容器の縁にパウチの注出口部の溝状の切り欠き部を掛けることで注出口部と容器との安定性が確保されるが、注出口部が閉塞し内容物の排出が困難となる場合がある。
【0009】
一方、特許文献2記載の自立性袋は、内側に窪んだ形状に開封する開封手段によって注出口の開口性が確保されるものであるが、胴部から突出して形成される注出口部が基部で、袋の上下方向や表裏方向に折れ曲がりやすく、このような注出口部の変形によって注出口が閉塞される場合がある。
【0010】
また、特許文献3記載の注出口付き袋は、保形性に優れるが製造工程が複雑であり、注出補助部材によって注出口付き袋が厚さ増して収納容積が増大する。また、注出補助部材の配設により製造単価も上昇する。液体洗剤など製品自体が安価な製品の収納袋としては、より安価に調製しうる注出口付き袋の開発が望まれる。
【0011】
更に、特許文献4記載の注出口付き袋は、第一のエンボスおよび第二のエンボスによって長尺の注出口部でも開口部の保形性に優れ、内容物を安定して注出口部に誘導することができるが、注出口部が長尺の場合には、その基部で袋の表側や裏側に大きく折れ曲がり、この折れ曲がりによって注出口部の位置が不安定となり、注出口部が閉塞され、内容物の排出が困難となる場合がある。
【0012】
すなわち、コーナー部に注出口部が形成された注出口付き袋では、前記注出口部は先端部及びその両側に配設される側部シールで構成され、前記側部シールとサイドシールや上部シールと肩部シールで連接されることが一般的である。このような注出口付き袋に内容物を充填し、傾斜または倒立させると、注出口部は、前記肩部シールと側部シールとのなす角が狭くなって注出口部が袋の下方向に位置を変え、または注出口部の基部で袋の裏側または表側に折れ曲がりやすい。また、このような折れ曲がりなどの変形によって注出口部が閉塞され、注出操作を円滑に行うことができない。
【0013】
本発明は、上記現状に鑑み、安価かつ簡便に製造でき、注出口部の位置安定性および開口性に優れる注出口付き袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、注出口付き袋について詳細に検討した結果、肩部シールに、肩部シールの表面よりも外側に突出するエンボスを形成すると、上記した注出口部の基部に発生する折れ曲がりなどの変形を回避できること、このような変形の回避によって注出口部の位置が安定し、注出口部の詰め替え容器への挿入を容易に行え、かつ折れ曲がりが回避されるため、注出口部の開口性が確保できること、このような肩部シールに形成するエンボス加工は、肩部シールの冷却工程で簡便かつ迅速に行える事を見出し、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち本発明は、サイドシール、底部シールおよび上部シールによって胴部の外周がヒートシールされ、前記サイドシールと上部シールとの間に、前記胴部と連通し、両側部および先端部がヒートシールされてなる注出口部が配設された注出口付き袋であって、
前記注出口部の一の側部は、前記サイドシールから胴部に向かう下肩部シールに連接され、かつ前記下肩部シールに前記下肩部シールの内側シールラインと平行に延び、前記下肩部シールの表面よりも外側に突出するエンボスが形成されることを特徴とする、注出口付き袋を提供することを目的とする。
【0016】
また本発明は、更に、袋表面から外側に突出する第一のエンボスと第二のエンボスが形成され、前記第一のエンボスは、前記注出口部の先端部近傍から前記胴部に向かって配設される棒状であり、前記第二のエンボスは、前記注出口部の基部より胴部側に、その両端間が注出口の基部の幅よりも広く、かつ前記第一のエンボスとのなす角が鋭角となる棒状または円弧状である上記注出口付き袋を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、前記注出口部の中心線と前記サイドシールの延長線とのなす角が25〜65°であり、前記サイドシールと前記下肩部シールの内側シールラインとのなす角とが25〜90°であることを特徴とする、上記注出口付き袋を提供するものである。
【0018】
また本発明は、前記注出口部の少なくとも一方の側部のヒートシール部に切り欠き部が設けられるとともに、前記注出口の両側から中央にかけて内側に窪んだ形状の開封手段が設けられていることを特徴とする、上記注出口付き袋を提供することを目的とする。
【0019】
また本発明は、前記注出口付き袋が自立性を有することを特徴とする、上記注出口付き袋を提供することを目的とする。
更に本発明は、上記注出口付き袋に流動性の内容物が充填された製品を提供することを目的とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の注出口付き袋は、注出口部に連接する下肩部シールに所定のエンボスを形成するだけで注出口部の開口性を確保することができる。このため、従来の製造装置を使用して簡便に製造することができ、製造コストの上昇を回避することができる。
【0021】
本発明の注出口付き袋は、下肩部シールに形成したエンボスによって下肩部シールの剛性を確保できるため、注出口部の曲がりを防止して注出口部の位置の安定性を確保できる。このため、注出口部が長尺の場合でも、詰め替え用パウチなどとして使用する際の注出口部の挿入を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の注出口付き袋(100)の好適な態様の一例を示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の注出口付き袋(100)の好適な態様の一例を示す平面図であり、胴部(A)に第一エンボス(50)と第二エンボス(60)とが配設される態様を示す平面図である。
【図3】図3は、本発明の注出口付き袋に配設される注出口部(B)の形状や開封手段を説明する図であり、注出口部(B)の基部より先端部(43)側に、1本の直線状のハーフカット線(47)が形成される態様を説明する図である。
【図4】図4は、本発明の注出口付き袋に配設される注出口部(B)における図3とは異なる開封手段を説明する図であり、注出口部(B)の基部より胴部側に、複数本の円弧状のハーフカット線(47)が形成される態様を説明する図である。
【図5】図5は、短尺の注出口部(B)が配設された注出口付き袋(100)に内容物を充填して倒立させ、胴部を把持した際に、下肩部シール(13)と注出口部(B)の側部シール(40)との連接部に発生するゆがみを説明する図である。
【図6】図6は、長尺の注出口部(B)が配設された注出口付き袋(100)に内容物を充填して倒立させ、胴部を把持した際に、下肩部シール(13)と注出口部(B)の側部シール(40)との連接部に発生するゆがみを説明する図である。
【図7】図7は、下肩部シール(13)と下肩部シール(13)に形成するエンボス(15)を説明する図である。
【図8】図8は、本発明の注出口付き袋における下肩部シール(13)に形成するエンボスの凹凸を説明する図である。
【図9】図9は、本発明の注出口付き袋における下肩部シール(13)に形成するエンボス(15)の形状を説明する図である。
【図10】図10は、開封手段によって注出口部(B)が開封された際、注出口部(B)の側部シール(40)と下肩部シール(13)とによって形成される間隙、注出口部(B)の側部シール(40')と上肩部シール(33)とによって形成される間隙を説明する図である。
【図11】図11は、本発明の注出口付き袋の胴部(A)に形成される第一エンボス(50)と第二エンボス(60)とを説明する図である。
【図12】図12は、第一エンボスと第二エンボスに加えて、易折り曲げ線(70)が配設される態様を説明する図である。
【図13】図13は、実施例1で製造する注出口付き袋(100)を説明する図である。
【図14】図14は、実施例3で製造する注出口付き袋(100)を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第一は、サイドシール、底部シールおよび上部シールによって胴部の外周がヒートシールされ、前記サイドシールと上部シールとの間に、前記胴部と連通し、両側部および先端部がヒートシールされてなる注出口部が配設された注出口付き袋であって、前記注出口部の一の側部は、前記サイドシールから胴部に向かう下肩部シールに連接され、かつ前記下肩部シールに前記肩部シールの表面よりも外側に突出するエンボスが形成されることを特徴とする、注出口付き袋である。
【0024】
また、本発明の第二は、上記注出口付き袋に流動性の内容物が充填された製品である。以下、本発明の好適な態様の一例を示す図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
(1)注出口付き袋および製品
本発明の注出口付き袋の好適な態様の一例を図1、図2に示す。本発明の注出口付き袋(100)は、図1に示すように、左右一対のサイドシール(10,10')、底部シール(20)および上部シール(30)によって胴部(A)の外周がヒートシールされ、前記サイドシール(10)と上部シール(30)との間に前記胴部(A)と連通し、両側部シール(40、40')および先端部シール(43)によって熱溶着されてなる注出口部(B)が配設されたものである。なお、前記注出口部(B)の一の側部シール(40)は、前記サイドシールから胴部(A)に向かう下肩部シール(13)に連接され、かつ前記下肩部シール(13)には、下肩部シール(13)の表面よりも外側に突出するエンボス(15)が形成されている。また、前記注出口部(B)の他の側部シール(40')は、上肩部シール(33)を介して上部シール(30)に連接されている。図1では、注出口部(B)の胴部(A)寄りの位置に、開封手段としてノッチ(45)と、胴部(A)側に彎曲する円弧状の切り取り線(47)とが形成される態様を示す。
【0025】
本発明の注出口付き袋(100)は、下肩部シール(13)に、前記下肩部シール(13)の表面より外側に突出するエンボス(15)が形成されるため、下肩部シール(13)に剛性が付与され、これによって下肩部シール(13)と側部シール(40)との変形が回避され両者間の角度が安定して注出口部(B)の上下、左右の折れ曲がりを防止でき、これによって注出口部(B)の開口性が確保される。注出口(B)の位置の安定性が確保されるため、詰め替え用容器へ注出口部(B)を挿入する際の操作性にも優れる。また、開口性が確保されるため、内容物の注出が円滑に行われ、注出に時間がかからず迅速に排出することができる。なお、下肩部シール(13)は、いずれの方法によって形成されてもよいが、その範囲を明確にするため、本発明では、図1に示すように、側部シール(40)の外周の延長線(X)とサイドシール(10)の胴部(A)側に傾斜する上端線(Y)との間を下肩部シール(13)とする。
【0026】
図1は、底面フィルムを内側に折り返して底面フィルム折り返し部(23)まで挿入してなるガセット部を有し、前記底面フィルムの両側下端近傍に半円形の底面フィルムの切り欠き部(25)を設けて熱融着させ、かつ、前記底部シール(20)が、ガゼット部の内側が底部の中心部から両側にかけて彎曲状に立ち上がる形状の船底形にシールパターンとなる態様を示し、自立性を有する。
【0027】
本発明の注出口付き袋(100)としては、図2に示すように、袋の表面から外側に突出する第一のエンボス(50)と第二のエンボス(60)とが形成されていてもよい。前記第一のエンボス(50)は、前記注出口部(B)の先端部(43)近傍から前記胴部(A)に向かって配設される棒状であることが好ましく、前記第二のエンボス(60)は、前記注出口部(B)の基部より胴部(A)側に、その両端間が注出口の基部の幅よりも広く、かつ前記第一のエンボス(50)とのなす角が鋭角となる棒状または円弧状であることが好ましい。
【0028】
第一のエンボス(50)は、注出口付き袋(100)の外側に突出して形成され、このような凹凸によってフィルムに剛性が付与され、注出口部(B)の開口性が確保できる。また、前記第一のエンボス(50)とのなす角が鋭角となる棒状または円弧状の第二のエンボス(60)を形成すると、第二エンボス(60)の形状に沿ってその胴部側(A)が膨らんで胴部フィルム同士の密着による閉塞を防止することができる。また、内容物が第二エンボス(60)の両側から注出口部(B)に向かって移動するため、内容物の流路が確保され、内容物の注出口部(B)への流動をスムーズに行うことができ、最後まで安定して内容物を注ぎだすことができる。
【0029】
なお、便宜のため、図1、図2では、全周がヒートシールされる態様を示したが、本発明の注出口付き袋(100)としては、いずれかに未シール部を有するものであってもよい。例えば、上部シール(30)を未シール部とすれば、内容物の充填口として使用することができる。上部シール(30)は広口であるため、内容物の充填を簡便かつ円滑に行うことができる。内容物の充填後に上部をヒートシールすれば、内容物を密封した製品とすることができる。
【0030】
本発明の注出口部付き袋を構成する胴部フィルムや底部フィルムとしては、主にプラスチックを主体とする積層フィルムを使用することができる。例えば、基材フィルム層の内側にシーラント層を積層した積層フィルムが用いられ、充填する内容物の種類や充填後の加熱処理の有無、充填量などに応じて、更にガスバリヤー層、遮光層、強度向上層などを積層した積層フィルムを使用してもよい。胴部フィルムと底部フィルムとは、同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
基材フィルム層としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルの二軸延伸フィルムのほか、ナイロン6、ナイロン66、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)などのポリアミドの二軸延伸フィルム、そして、二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどを好適に使用することができ、これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて積層して使用することもできる。
【0032】
ガスバリヤー層としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、MXD6、ポリアクリロニトリル(PAN)などのフィルムのほか、アルミニウム箔、或いは、シリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ITOなどの無機酸化物やアルミニウムなどの金属の蒸着層、またはPVDC、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)などの塗膜層を設けた二軸延伸ナイロンフィルム(ONフィルム)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPPフィルム)などを使用することができる。アルミニウム箔やアルミニウムの蒸着層を設けたフィルムは、遮光層を兼ねることもできる。
【0033】
強度向上層としては、前記基材フィルムのいずれかを適宜追加積層してもよく、二軸延伸高密度ポリエチレンフィルムなどを防湿層を兼ねて積層することもできる。
シーラント層としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L・LDPE)、エチレン・αオレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマーのほか、ポリプロピレンまたはその共重合体などを使用することができる。
【0034】
前記各層は、公知のドライラミネーション法や押し出しラミネーション法などで積層することができる。
具体的には、2軸延伸ナイロンフィルムをONフィルム、直鎖状低密度ポリエチレンをL・LDPE、高密度ポリエチレンをHDPE、低密度ポリエチレンをLDPE、ポリプロピレンフィルムをPPフィルムは、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムをPETフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルムをEVOHフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムをCPPフィルムとした場合に、下記が例示される。なお、接着剤としては、ドライラミネート用接着剤を好適に使用することができる。
【0035】
(1)ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)、
(2)ONフィルム/接着剤/二軸延伸HDPEフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)、
(3)ONフィルム/接着剤/二軸延伸PPフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)、
(4)ONフィルム/接着剤/二軸延伸PPフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)、
(5)ONフィルム(シリカまたはアルミナ蒸着層)/接着剤/二軸延伸PPフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)、
(6)ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/L・LDPE層)(シーラント層はL・LDPE層)、
(7)ONフィルム/アンカーコート層/共押し出しコート層(HDPE層/LDPE層)/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)、
(8)PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)、
(9)PETフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)、
(10)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/L・LDPEフィルム(シーラント層)、
(11)PETフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/アルミニウム箔/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)、
(12)PETフィルム/接着剤/EVOHフィルム/接着剤/ONフィルム/接着剤/CPPフィルム(シーラント層)。
【0036】
本発明の注出口付き袋は、流動性の内容物を収納し、詰め替え用容器に移し替えて使用するような詰め替え用包装袋として特に好適に使用できる。
流動性の内容物としては、例えば、シャンプー、コンディショナー、ボディーソープ、家庭用液体洗剤、醤油やソース、ドレッシング、酢、料理酒などの液体調味料、食用油、各種の飲料など、液状の内容物のほか、粉状、顆粒状などの流動性を有する内容物を例示できる。
【0037】
本発明では、注出口付き袋に上記した流動性の内容物を充填し、製品とすることができる。
(2)注出口部
本発明の注出口付き袋に配設される注出口部(B)は、前記したように、前記サイドシール(10)と上部シール(30)との間に形成され、胴部(A)と連通する。注出口部(B)の一の側部(40)は、前記サイドシール(10)から胴部(A)に向かう下肩部シール(13)に連接され、他の側部(40')は、上部シールから胴部(A)に下降する上肩部シール(33)に連接される。
【0038】
注出口部(B)の形状は、肩部シール(13、33)、両側部シール(40、40')、および先端部シール(43)の形状を選択することで、種々に調整することができる。好ましくは、図3に示すように、注出口部(B)の中心線(C)とサイドシール(10)の延長線とのなす角(θ1)が25〜65°、より好ましくは30〜60°であり、サイドシール(10)と肩部シール(40)の内側シールラインとのなす角(θ2)とが25〜90°、より好ましくは25〜60°である。この範囲であれば、詰め替え容器の口部への係止が容易であり、内容物の胴部(A)から注出口(B)への移動も容易だからである。なお、本願明細書において、肩部シール(13、33)や側部シール(40,40')、サイドシール(10)、上部シール(30)などのなす角は、他に定義がない限りこれらの胴部(A)側、または注出口部(B)内側シールラインとのなす角を意味し、これらが曲線をなす場合には、極大値での接線を意味するものとする。
【0039】
注出口部(B)には、開封手段を形成することが好ましい。開封手段としては、印刷などによる切取り線などの開封指示線や、開封指示マーク、文字などでもよく、これらと組み合わせて、引き裂きなどによる開封を容易にするノッチやハーフカット線などを形成することが更に好ましい。ハーフカット線を設ける場合、刃物を使用する機械的手段で設けることもできるが、その深さを所望の深さに安定して設けるためにはレーザー光照射による方法を用いることが一層好ましい。ハーフカット線は、1本でもよいが、複数本で構成されるものであってもよい。更に、ハーフカット線は、直線でもよく、円弧などの曲線で構成されるものであってもよい。また、ノッチは、注出口部(B)の先端部(43)側に形成してもよいが、胴部(A)側に配設してもよい。図3に、注出口部(B)の先端部近傍に、開封手段としてノッチ(45)と直線状のハーフカット線(47)とを形成した態様を示す。注出口部(B)の先端部(43)側にノッチ(45)やハーフカット線(47)が形成されると、開封後の注出口部(B)が細長く形成され、詰め替え用容器の口部に細長い注出口部(B)を容易に挿入することができる。なお、図3では注出口部(B)の肩部シール(40')と先端部(43)とが連接し、開封時の把持部(40'a)を形成する態様を示す。
【0040】
本発明の注出口付き袋は、内容物の充填量によってそのサイズを適宜選択でき、同様に、注出口部(B)の中心線(C)とサイドシール(10)の延長線とのなす角(θ1)が25〜65°であり、サイドシール(10)と肩部シール(40)の内側シールラインとのなす角(θ2)とが25〜90°の範囲内で、注出口部(B)の形状やサイズを適宜選択することができる。
【0041】
図3の注出口付き袋では、注出口部(B)の中心線(C)とサイドシール(10)の延長線とのなす角(θ1)が45°であり、サイドシール(10)と肩部シール(40)の内側シールラインとのなす角(θ2)が35°であるが、これと異なる態様を図4に示す。図4の注出口付き袋は、注出口部(B)の中心線(C)とサイドシール(10)の延長線とのなす角(θ1)が60°であり、サイドシール(10)と肩部シール(40)の内側シールラインとのなす角(θ2)が28°である。更に、ノッチ(45)が側部シール(40')の長さ方向の胴部(A)側に形成され、かつ開封手段としてのハーフカット線(47)が、複数本で構成される。開封後の注出口部(B)が短尺となる場合には、前記下肩部シール(13)の外周部を案内部として詰め替え用容器の口部に注出口部(B)を係止させ、その開放端から内容物を口部に容易に誘導することができる。図4では、注出口部(B)が簡便に詰め替え用容器の口部に係止できるよう、側部シール(40')と上肩部シール(33)とによって形成される間隙(I')が溝状の切り欠き部となっている。
【0042】
なお、開封手段としてのハーフカット線(47)が、胴部(A)側に彎曲する円弧状の場合には、開封手段として、内側に円弧状のハーフカット線(47)が設けられている。ハーフカット線(47)は注出口部(B)の両側から中央にかけて内側に窪んだ形状とすることが好ましく、内側にV字状としてもよい。このようにすることにより、先端を開封した注出口部(B)を詰め替え用容器の口部に係止し袋を傾けると、前記内側の窪みやV字状の最深部が起点となってその内側が左右両側に大きく広がって開口し、内容物が胴部(A)から迅速に流れ出し、かつ流速も早くなるため注出操作を迅速に行うことができる。また、その最深部が注出口部(B)の中心線(C)より下方のサイドシール(10)側に形成するものであってもよい。このようにすることにより、注出口部(B)が袋の上下方向に窄まって狭められる傾向を防止することができる。また、複数本のハーフカット線であれば、引き裂き方向がずれるにもいずれかのハーフカット線を介して円滑に開封することができる。
【0043】
なお、開封手段としてノッチを設ける場合、一般的に用いられている一字形やV字形のノッチでもよいが、ノッチを利用して注出口部を開封した後の角部が鋭角になると手を傷つける危険性があるため、角部が鈍角になる形状、または丸みをもつノッチでもよい。
【0044】
(3)肩部シール
本発明の注出口付き袋には、図3や図4に示すように、2ヶ所の肩部シール(13、33)が存在する。前記注出口部(B)の側部シール(40)とサイドシール(10)とをつなぐ部分(13)と、前記注出口部(B)の側部シール(40')と上部シール(30)とつなぐ部分(33)である。本発明では、サイドシール(10)に連接される下肩部シール(13)にエンボスを形成する点に特徴がある。
【0045】
前記したように、注出口部(B)は、注出口部(B)の中心線(C)とサイドシール(10)の延長線とのなす角(θ1)やサイドシール(10)と肩部シール(40)とのなす角(θ2)が上記範囲であることが好ましく、その範囲内で側部シール(40,40')の長さや肩部シール(13、33)の形状、開封手段の配設位置を任意に選択でき、これによって開封後の注出口部(B)の長さや形状を調整することができる。例えば、前記図3に示す注出口部(B)は長尺であり、かつ開封手段が注出口部(B)の先端部(43)近傍にあるため、開封後に細長い注出口部(B)を詰め替え容器の口部に挿入することができる。また、前記図4に示す態様では、注出口部(B)が短尺であり、開封手段が注出口部(B)の胴部(A)側にあるため、開封後に側部シール(40)を詰め替え容器の口部に係止し、内容物を注ぎだす態様に便利である。
【0046】
しかしながら、注出口部(B)の長短や開封手段の配設位置に係らず、充填した従来の注出口付き袋を把持すると、下肩部シール(13)にゆがみが発生する。図5(a)に、内容物を充填した注出口付き袋であって、短尺の注出口部(B)を有し、下肩部シール(13)にエンボスがない従来の注出口付き袋を倒立させた態様と、図5(b)に、下肩部シール(13)にエンボス(15)が形成される本願発明の注出口付き袋を倒立させた態様とを示す。
【0047】
内容物が充填された袋を倒立させると、底部シール(20)側の内容物が上部シール(30)側に移行する。注出口部(B)は、サイドシール(10)と上部シール(30)との間に細口形状で配設されるため、胴部(A)を把持すると、下肩部シール(13)のサイドシール(10)側の基部と上肩部シール(33)の上部シール(30)側の基部との間に円弧線(CL)が形成され、円弧線(CL)の胴部(A)側が内容物によって膨らむ。この際、下肩部シール(13)にエンボスがない従来の注出口付き袋では、図5(a)に示すように下肩部シール(13)に歪みが発生し、同時に、注出口部(B)が基部(D)から袋の表側または裏側に傾斜する。この注出口部(B)の傾斜によって、詰め替え用容器への係止が困難となり、また、上記歪みにより注出口部(B)の基部(D)が閉塞し、注出口部(B)の内部も閉塞する。この閉塞は容易に解除されず、注出口部(B)を開封しても、開封後の注出口部(B)を開口させることが容易でない。
【0048】
しかしながら、前記下肩部シール(13)に所定のエンボス(15)を形成すると下肩部シール(13)に剛性が付与されるため、図5(b)に示すように、下肩部シール(13)の上部を矢印(I)方向に押圧すると下肩部シール(13)の剛性によって矢印(II)方向に注出口部(B)に力が付与され、注出口部(B)の基部を開口させることができる。また、注出口部(B)の基部を開口により、内容物が注出口部(B)の基部(D)から先端部(43)側にも移動できるため、胴部(A)と注出口部(B)との間に内容物が導入され、注出口部(B)の傾斜も防止される。
【0049】
このような下肩部シール(13)に形成したエンボス(15)の効果は、図5(b)に示す注出口部(B)に限定されない。図6(a)に、内容物を充填した注出口付き袋であって、長尺の注出口部(B)を有し、胴部(A)に第一エンボス(50)と第二エンボス(60)とが配設され、下肩部シール(13)にエンボスがない従来の注出口付き袋を倒立させた態様と、図6(b)に、下肩部シール(13)にエンボス(15)が形成される本願発明の注出口付き袋を倒立させた態様とを示す。
【0050】
内容物が充填された袋を倒立させると、底部シール(20)側の内容物が上部シール(30)側に移行する。注出口部(B)は、サイドシール(10)と上部シール(30)との間に細口形状で配設されるため、胴部(A)を把持すると、第二エンボス(60)の有無に係らず、下肩部シール(13)のサイドシール(10)側の基部と上肩部シール(33)の上部シール(30)側の基部との間に円弧線(CL)が形成され、円弧線(CL)の胴部(A)側が内容物によって膨らむ。下肩部シール(13)にエンボスがない従来の注出口付き袋では、図6(a)示すように、下肩部シール(13)に歪みが発生し、図6に示す長尺の注出口部(B)では特に袋の表側や裏側方向への折れ曲がりが大きく、細口の注出口部(B)の位置も不安定となる。
【0051】
しかしながら、前記下肩部シール(13)に所定のエンボス(15)を形成すると、下肩部シール(13)に剛性が付与されるため、図6(b)に示すように、下肩部シール(13)の上部を矢印(I)方向に押圧すると下肩部シール(13)の剛性によって矢印(II)方向に注出口部(B)に力が付与され、注出口部(B)の基部を開口させることができる。特に、胴部(A)に第一のエンボス(50)と第二のエンボス(60)とが形成されていると、下肩部シール(13)からの矢印(II)方向の力が速やかに伝達され、長尺の注出口部(B)であっても注出口部(B)の基部を開口させることができ、これにより内容物が注出口部(B)の基部(D)から先端部(43)側に移動でき、注出口部(B)の袋の表側または裏側への折れ曲がりが防止でき、注出口部(B)の傾斜が防止される。
【0052】
本発明において下肩部シール(13)の形状は、内容物の種類や充填量に応じて、適宜選択できる。本発明の注出口付き袋(100)では、サイドシール(10)と下肩部シール(13)の内側シールラインとのなす角とが25〜90°であることが好ましいのであるが、下肩部シール(13)の幅は、サイドシール(10)側から側部シール(40)側に至るまで同じ幅である必要はない。図7に示すように、少なくとも、サイドシール(10)の幅(W1)と同一であり、それよりも幅広の部分を有することが好ましい。下肩部シール(13)の最広部の幅(W2)は、W1の1.5〜4倍、より好ましくは、W1の2〜3.5倍である。このような最広部を形成することで下肩部シール(13)に剛性を付与することができ、かつエンボスを広範囲に形成して更に剛性を付与することができる。なお、下肩部シール(13)と注出口部(B)の側部シール(40)との交差部の内側シールラインや、下肩部シール(13)と側部シール(10)との交差部の内側シールラインは、いずれも円弧で形成されることが好ましい。胴部(A)内で内容物が円滑に移動できるからである。
【0053】
本発明において、下肩部シール(13)に形成するエンボス(15)は、前記下肩部シール(13)の表面よりも外側に突出する凸部である。2枚の積層フィルム(F1、F2)がシール加工されてなる下肩部シール(13)のエンボスの断面図を図8に示す。下肩部シール(13)の表面を基準とするエンボスの凸部の高さ(H)は、使用する積層フィルム(F1、F2)の厚みなどによって適宜選択することができるが、一般には、0.1〜1mm、より好ましくは0.3〜0.5mmである。
【0054】
このようなエンボス(15)を形成する範囲は、下肩部シール(13)の範囲内のいずれに形成してもよいが、下肩部シール(13)に剛性を付与して注出口部(B)の閉塞や曲がりを回避できればよく、下肩部シール(13)の長手方向に沿って形成される事が好ましく、下肩部シール(13)の内側シールラインと略平行するように設けられていることが好ましい。より具体的には、下肩シール部(13)の外周から0〜6mm、より好ましくは1〜5mm、特に好ましくは2〜5mmの範囲で内側に形成された内部をエンボス(15)形成範囲とすることができる。例えば、図9(a)には、下肩シール部(13)の外周から一定距離で内側に形成された略台形状のエンボス(15)形成範囲の全面に凸部が形成される態様を示す。本発明では、更に、図9(b)に示すように、下肩部シール(13)の内側シールラインと略平行する2本の棒状の凸部を例示することができる。下肩部シール(13)の長手方向に沿って形成されるエンボス(15)を形成する上記範囲内に、2本の棒状の凸部が下肩部シール(13)の内側シールラインと略平行して形成されたものである。更に、図9(c)に示すように、下肩部シール(13)の長手方向に沿って形成されるエンボス(15)を形成する範囲内に、下肩部シール(13)の内側シールラインと略垂直に交差する棒状の凸部が複数形成されるものであってもよい。前記複数の棒状の凸部の端部は、下肩部シール(13)の内側シールラインと略平行している。更に、下肩部シール(13)の長手方向に沿って形成されるものであれば、図9(d)に示すような下肩部シール(13)の内側シールラインと略平行に設けられた棒状と下肩部シール(13)の内側シールラインと垂直に設けられた棒状の組合せからなる井桁状であってもよい。更に、図示しないが、下肩部シール(13)の長手方向に沿うエンボス形成範囲の全面を複数のドット状の凸部などで形成してもよい。すなわち、本発明では、下肩部シール(13)に下肩部シール(13)の表面よりも外側に突出するエンボスを形成することで注出口部(B)に開口性を付与できればよく、上記態様に限定されるものではない。なお、図9では、短尺の注出口部(B)に連接する下肩部シール(13)で説明したが、長尺の注出口部(B)に連接する下肩部シール(13)も同様である。なお、肩部シールの表面よりも外側に突出する凸部は、袋の表側に突出しても裏側に突出してもよい。前記凸の裏側は、前記凸部に対応して凹部となっている。
【0055】
上記下肩部シール(13)に形成するエンボスは、製袋時の肩部シールの加工工程において、肩部シールを熱溶着しついで冷却する際に、冷却用金型として所定形状のエンボスが形成された金型に変更して冷却することで形成することができる。一般には、ヒートシール工程において、所定箇所を熱溶着した後に冷却した平板の金型で押圧し、加熱部を安定させるが、本発明では、平板の金型に代えて上記した凹凸が形成された一対の金型を使用して加熱された下肩部シール(13)を冷却することで、下肩部シール(13)に上記エンボスを形成することができる。エンボス(15)を形成する下肩部シール(13)は、2枚の積層フィルムが熱溶着され液密に構成されるため、製造工程のブレによってエンボス(15)が想定よりも深く形成され、積層フィルム間が薄くなっても、内容物が遺漏しないため安定した製造が可能となる。
【0056】
本発明では、注出口部(B)の上部シール(30)側の側部シール(40')と連接する上肩部シール(33)の形状は特に限定されない。ただし、下肩部シール(13)と側部シール(40)との間隙(I)や側部シール(40')と上肩部シール(33)との間隙(I')は、注出口部(B)の開放端から内容物を注ぎだす際の係止部として機能する。従って、注出口部(B)の外周のシール部の形状を詰め替え用容器の口部の縁部に係止しうる形状にすれば、内容物の注出を安定して行うことができる。図10(a)に、注出口部(B)が配設された注出口付き袋が胴部(A)近傍で開口された態様を、図10(b)に注出口部(B)が配設された注出口付き袋が注出口部(B)の先端部近傍で開口された態様を示す。図10(a)では、上肩部シール(33)に突出部(33a)が形成され、これによって、側部シール(40')と上肩部シール(33)との間隙(I')が溝状の切り込み状に形成されている。下肩部シール(13)の外周を介して注出口部(B)の開放端を詰め替え用容器の口部に誘導し、袋を傾斜させて溝状の切り込み部(I')を口部の縁に係止すれば、短尺の注出口部(B)であっても、安定して詰め替え用容器の口部に注出口部(B)の開放端を挿入し安定して注出操作を行うことができる。一方、図10(b)に示す態様では、注出口部(B)が長尺であるため、詰め替え用容器の口部に注出口部(B)の開放端を深く挿入でき、これにより安定して注出操作を行うことができる。
【0057】
本発明では、下肩部シール(13)と側部シール(40)との間隙(I)、および側部シール(40')と上肩部シール(33)との間隙(I')とは、このような注出口部(B)の注出操作に適する形状に加工することができる。
【0058】
(4)胴部
本発明の注出口付き袋には、前記図2に示すように、袋表面から外側に突出する第一のエンボス(50)と第二のエンボス(60)とが形成されていてもよい。前記第一のエンボス(50)は、前記注出口部(B)の先端部近傍から前記胴部(A)に向かって配設される棒状であり、前記第二のエンボス(60)は、前記注出口部(B)の基部より胴部(A)側に、その両端間が注出口の基部の幅よりも広く、かつ前記第一のエンボス(50)とのなす角が鋭角となる棒状または円弧状である。なお、「第二のエンボスと第一のエンボスとのなす角」には、注出口部(B)側と、胴部(A)側とがあるが、本願明細書では、注出口部(B)側のなす角が鋭角であるものとする。
【0059】
図2では、第一エンボス(50)に円弧状の第二エンボス(60)が交差する態様を示すが、交差部で何れか一方、または両方が分離された形状に設けてもよい。例えば、第一エンボス(50)の両側に、第一エンボス(50)と交差することなく、円弧状の2つの第二エンボス(60)が配設されていてもよい。更に、第二エンボス(60)が、第一エンボス(50)とのなす角が鋭角となる棒状、すなわち、第一エンボス(50)を中心として、注出口部(B)の基部に向かってV字状であってもよい。第二のエンボス(60)は、注出口部(B)の基部の幅よりも広く、注出口部(B)と胴部(A)との連通部を囲むように形成されるため、内容物が充填された袋を注出口部(B)を下方に傾けると、前記第一のエンボス(50)により容易に保形性よく筒状に開口できるとともに、前記第二のエンボス(60)のリブ効果により注出口(B)の基部近辺などでの折れ曲がりによる閉塞を防止でき、注出口部(B)を開封した後の内容物の流動を促進させることができる。
【0060】
本発明では、前記第一のエンボス(50)は、注出口部(B)の基部近傍に広幅部(53)を有するものであってもよい。広幅部(53)によって胴部(A)を構成する積層フィルムの剛性が増強され、注出口部(B)の折れ曲がりを効率的に回避することができる。第一のエンボス(50)は注出口部(B)の先端部(43)近傍から胴部(A)に延設されるが、第二のエンボス(60)を経過した後に、更に底部シール側にカーブしてもよい。第一のエンボス(50)によって胴部(A)内に長手方向の凸部を形成することで胴部(A)を構成する積層フィルムに剛性が付与され、内容物が排出されて残量が少なくなった場合でも、胴部(A)の折れ曲がりを回避し、円滑な排出操作を確保することができる。
【0061】
なお、図2において第一のエンボス(50)および第二のエンボス(60)は、内側線と外側線とが平行する2重線で記載されている。内側線は、袋表面から外側に突出するエンボスの最高部を示している。このため、前記エンボス(50,60)の断面は、前記内側線間を上辺とし外側線間を底辺とする台形となる(図示せず)。一方、エンボスの凸部はこのような態様に限定されるものではない。例えば、図11に示すように、第一のエンボス(50)と第二のエンボス(60)とが交差する態様を含む場合、第一のエンボスの外側線(50a)と第二エンボス(60)の外側線(60a)とによって前記交差部を円弧状でし、第一エンボス(50)の外側線(50a)と第二エンボス(60)の外側線(60a)とが連結して一体(50b、60b)となっていてもよい。外側線に角部が少なく、内容物を円滑に注出口部(B)に移動させることができる。また、外側線(50b、60b)間が広幅となるため、より効率的に積層フィルム間の密着を回避することができる。
【0062】
このような第一および第二のエンボス(50、60)は、袋(100)を構成する一方の積層フィルムのみに設けてもよいが、袋(100)の胴部(A)を構成する2枚の積層フィルムの双方に設けることが好ましい。
【0063】
本発明の注出口付き袋(100)において、第一のエンボス(50)と第二のエンボス(60)とを配設すると、第一のエンボス(50)によって注出口部(B)の先端部(43)近傍から胴部(A)に向けて注出口部(B)の開口が補助され、また、第二のエンボス(60)の形状に沿って胴部(A)側が膨らむため、注出口部(B)の基部から第二のエンボス(60)までの積層フィルムの密着が回避される。
【0064】
本発明において胴部(A)に形成したエンボスによる効果をより効率的に得るには、第一のエンボス(50)と第二のエンボス(60)とが連接される形状であることが好ましい。また、エンボス(50,60)の幅と高さは、特に限定はされないが、幅については、断面を台形状とした場合、外側線間の幅が3〜15mmで、内側線間の幅が1.5〜10mmであることが好ましく、内側線で示される高さは、胴部(A)を構成する積層フィルムの表面を基準として2〜4mm程度の高さである。
【0065】
本発明では、このような第一のエンボス(50)や第二のエンボス(60)の形状その他の態様として、特開2007−161289号に開示されるものを好適に応用することができる。
【0066】
本発明では、更に、前記注出口部(B)と胴部(A)との連通部近傍に、前記第二のエンボス(60)と略平行する易折曲げ線(70)が形成されていてもよい。この態様を図12に示す。注出口部(B)を詰め替え用容器の口部に差し込んだ後に袋を傾けると、内容物は注出口部(B)側に流動するが、注出口部(B)の筒状部の広がりに付随して注出口部(B)の基部近傍の前記易折曲げ線(70)までが筒状に広がり、更にそこから第二のエンボス(60)までが広がるため、全体としてロート状となって保形性よく胴部(A)が広がるため、内容物の注出口部(B)への流れをよりスムーズに調整することができる。このような易折曲げ線(70)としては、注出口部(B)の基部から胴部(A)側を漏斗状に広げうるものを広く適用することができる。易折曲げ線(70)は、1本でもよく、2本以上で形成されるものであってもよい。また、前記第二のエンボス(60)と易折曲げ線(70)との間隔は、袋の大きさ、或いは、注出口部の大きさなどにより、適宜に決定すればよいが、通常、最も接近した位置でも、7〜15mm程度の間隔をおくことが好ましい。
【0067】
このような易折曲げ線(70)としては、刃物を使用する機械的手段であってもよく、レーザー光照射によるハーフカット線などで形成することができる。このような易折曲げ線(70)としては、特開2007−210629号記載の態様を適宜選択して応用することができる。
【0068】
(5)底部シール
本発明の注出口付き袋(100)では、袋本体の形式は特に限定はされず、四方シール形式や三方シール形式などの平袋のほか、底部にマチ部が形成された底ガゼット型、その他のスタンディングパウチなど、袋(100)の上部の一部に狭い幅の注出口部をヒートシールにより形成できる袋であれば何でもよい。また、底ガゼット型としては、1枚の積層フィルムの底部を折り込んでマチ部を構成し、底部を船底形状にシールするもののほか、胴部(A)を構成する2枚の積層フィルムの底部に二つ折りした底面フィルムを挿入し、その周囲の端縁部をヒートシールして形成されるガセット部を有するものであってもよい。この際、底部シールの形状は特に限定されない。
【0069】
本発明において、下肩部シール(13)にエンボスを形成する効果が最も有効に発揮されるのは、底部シールにマチが配設される底ガゼット型である。底ガゼット型の注出口付き袋(100)は、平袋と比較して大量の内容物を充填することができる。内容物を充填した注出口付き袋(100)の注出口部(B)を開封する際に胴部(A)を把持すると、前記図5(a)や図6(a)に示すように、胴部(A)内に内圧が上昇して下肩部シール(13)と側部シール(40)との間にゆがみが発生し、平袋よりも注出口部(B)の基部(D)が折れ曲がり易い。このような折れ曲がりが発生すると、内圧を上昇させても内容物が注出口部(B)に移行できず閉塞が維持される。しかしながら、本発明によれば、このような底ガゼット型であっても、下肩部シール(13)にエンボスを形成することで剛性を付与して注出口部(B)の折れ曲がりを回避できるため、注出口部(B)から円滑に内容物を注ぎだすことができる。
【0070】
なお、底ガゼット型の注出口付き袋(100)が、内容物を充填した後に自立性を有すると、袋(100)の取り扱いが容易になり、店頭などにおける陳列効果にも優れる点で特に好ましい。
【0071】
本発明の注出口付き袋を構成する底部シールとしては、好ましくは、胴部(A)を構成する2枚の積層フィルムの下部の間に、底面フィルムを内側に折り返して挿入し、内側に折り込まれた底面フィルムの両側下端近傍に半円形などのスポット状の底面フィルム切り欠き部を設け、そのガセット部を内側が両側から中央部にかけて湾曲棒状などに凹状となる船底形のシールパターンでヒートシールして形成するものである。袋(100)の底部をこのように形成することにより、内容物を充填した際、袋の底部が前後に大きく広がりフラットに近い底面が形成されると共に、底部の外周にはヒートシール部による脚部が形成されるため、自立性および外観に優れる。
【0072】
尚、前記ガセット部をヒートシールする船底形のシールパターンは、前記内側が両側から中央部にかけて湾曲棒状に凹状となる船底形のシールパターンのほかに、内側の中央部が所定の幅で低く、その両端から袋の両側の側部まで傾斜をもって棒状に高くなる船底形のシールパターンであってもよい。
【0073】
(6)製造方法
本発明の注出口付き袋の製造方法としては、特に限定されるものではない。例えば、注出口付き袋の形式に応じて、製袋可能な製袋機を使用し、これに注出口部の形成に必要なヒートシール装置、注出口部の両側に切り欠き部やノッチを形成するための打ち抜き装置、注出口部に開封性手段を形成するためのその打ち抜き装置やレーザー光照射装置、胴部に第一エンボスや第二エンボスを形成するための熱エンボス装置や熱プレス装置、冷却装置、肩部シールにエンボスを形成するためのエンボス型を付設することで、従来の製造工程を利用して連続的に製造することができる。
【0074】
以下、底ガゼット型であって、第一のエンボス(50)と第二のエンボス(60)とが配設される注出口付き袋(100)を製造する場合で説明する。
まず、胴部(A)を構成する2枚の積層フィルムのそれぞれに、熱エンボス装置によって第一エンボス(50)と第二エンボス(60)とを形成し、ついで、レーザー光照射装置によって所定位置に開封手段としてのハーフカット線を形成する。ついで、胴部(A)を構成する上記積層フィルムを、ヒートシール層が対向するように重ね、更にその底部に底面フィルムをヒートシール層が外側になるように折り返して挿入し、ヒートシール装置によって、サイドシール部(10,10')、底部シール部(20)、上下の肩部シール部(13、33)を順次加熱溶着および冷却し、各溶着部を安定させる。本発明では、この肩部シールの冷却時に、肩部シールを冷却する金型として、下肩部シール(13)よりも外側に突出する凹凸が形成された金型を使用し、下肩部シール(13)にエンボス(15)を形成することができる。ついで、外周を打ち抜き装置によって所定の形状に打ち抜けば、上部シール(30)のみ未シールの注出口付き袋(100)を製造することができる。この未シール部から内容物を充填し、上部シール(30)をヒートシールすれば、内容物が充填された製品を製造することができる。なお、図1に示すように、前記底面フィルムの両側下端近傍に半円形の底面フィルムの切り欠き部(25)を設けて熱融着させると、ガゼット部が前後で固定され、自立性が付与される。本発明では、上記したように、冷却工程で使用する金型の一部を変更するのみで、簡便かつ安価に、注出口部の開口性が確保された注出口付き袋(100)を製造することができる。
【0075】
なお、第一のエンボス(50)、第二のエンボス(60)がない注出口付き袋(100)を製造する場合には、該当する工程を行わずに注出口付き袋(100)を製造すればよい。また、注出口部(B)の下方に、易折曲げ線(70)を配設する場合には、レーザー光照射装置によって開封手段のハーフカット線を形成する際に、同時に易折曲げ線(70)を形成すればよい。
【実施例】
【0076】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
図13に示す、胴部(A)に第一のエンボス(50)と第二のエンボス(60)とが配設され、開封手段としてノッチ(45)と5本の注出口部(B)の基部側に彎曲したハーフカット線(47)を配設した、長さ(L)230mm、幅(W)120mm、注出口部(B)の中心線(C)とサイドシール(10)の延長線とのなす角(θ1)が45°、サイドシール(10)と下肩部シール(13)の内側シールラインとのなす角(θ2)が35°、サイドシール(10,10')、側部シール(40,40')、先端部シール(43)がそれぞれ幅5mm、下肩部シール(13)の内側シールラインからの最高広さ(W2)が14mm、底辺から底部折込(23)までの幅が35mmの注出口付き袋を製造した。下肩部シール(13)は、外周から4mm幅の内側を下肩部シール(13)の表面から0.5mm突出するエンボス(15)が形成され、ハーフカット線(47)の彎曲部は、中心線(C)よりサイドシール(10)である。
【0077】
胴部は、外層から内層に向かって二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルムと記載する)(厚み15μm)/文字、絵柄印刷層/接着剤/直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(以下、L・LDPEフィルムと記載する)(厚み130μm)の積層フィルムを使用し、底部には、外層から内層に向かってONフィルム(厚み15μm)/白ベタ印刷層/接着剤/L・LDPEフィルム(厚み120μm)の積層フィルムを使用した。なお、上記各フィルムの貼り合わせは、ドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤によるドライラミネーション法で行ったものである。
【0078】
上記原反の所定位置に、エンボス加工機によって最高高さが2.5mmとなる第一のエンボス(50)および第二のエンボス(60)、ならびにレーザー光照射装置によって開封手段としてのハーフカット線(47)を形成した。この原反2枚をL・LDPEフィルムが対向するように重ね、その底部に幅70mmの底面フィルムをヒートシール層が外側になるように二つ折り返して挿入した。ついで、底部シール、注出口部、およびサイドシールと肩部シールとを順次形成した。なお、肩部シールのヒートシール後に、エンボス(15)形状に対抗する凹凸を形成した冷却金型を使用して、肩部シールの冷却と同時にエンボス加工を行い、ヒートシール部を安定させた。
【0079】
ついで、外周を打ち抜き装置によって所定の形状に打ち抜き、上部シール(30)のみ未シールの注出口付き袋(100)を製造した。
(実施例2)
実施例1で得た注出口付き袋(100)に、開放された上部シール(30)から内容物を350ml充填し、上部シール(30)を密封し、製品とした。
【0080】
この製品では、胴部を把持しても注出口部(B)は袋の表側や裏側に曲がることなく、その位置が安定していた。
ついで、注出口部(B)を、そのノッチ(45)からハーフカット線(47)に沿って開封し、口部の内径が26mmの詰め替え用容器の口部に、前記注出口部(B)を挿入した。注出口部(B)の位置が安定してため、挿入が容易であった。
【0081】
袋を傾けて内容物の注出を行うと、注出口部(B)が折れ曲がらずに開放されているため、胴部側の内容物が容易に注出口部(B)に移行し、内容物の移し替えを円滑に行うことができた。その際、注出の途中で注出口部(B)やその基部、或いは、その内側などが折れ曲がったりして閉塞することもなかった。
【0082】
(実施例3)
実施例1と同じフィルムを使用して、図14に示す、開封手段としてノッチ(45)と5本の注出口部(B)の基部側に彎曲したハーフカット線(47)を配設した、長さ(L)230mm、幅(W)120mm、注出口部(B)の中心線(C)とサイドシール(10)の延長線とのなす角(θ1)が60°、サイドシール(10)と下肩部シール(13)の内側シールラインとのなす角(θ2)が28°、サイドシール(10,10')、側部シール(40,40')、先端部シール(43)がそれぞれ幅5mm、下肩部シール(13)の内側シールラインからの最高広さ(W2)が14mm、底辺から底部折込(23)までの幅が35mmの注出口付き袋を製造した。下肩部シール(13)は、外周から4mm幅の内側を下肩部シール(13)の表面から0.5mm突出するエンボス(15)が形成され、ハーフカット線(47)の彎曲部は、中心線(C)よりサイドシール(10)である。
【0083】
まず、レーザー光照射装置によって所定位置に開封手段としてのハーフカット線(47)を形成した2枚の原反をヒートシール層が対向するように重ね、その底部に幅70mmの底面フィルムをヒートシール層が外側になるように二つ折り返して挿入した。ついで、ヒートシール装置によって、サイドシール、底部シール、肩部シールを加熱溶着し、次いで冷却機構が配設された一対の平板状の金型で前記ヒートシール部を冷却し、溶着部を安定させた。なお、下肩部シール部(13)は、前記エンボス(15)に対応する凹凸状の金型を使用した。
【0084】
ついで、外周を打ち抜き装置によって所定の形状に打ち抜き、上部シール(30)のみ未シールの注出口付き袋(100)を製造した。
(実施例4)
実施例2で得た注出口付き袋(100)に、開放された上部シール(30)から内容物を350ml充填し、上部シール(30)を密封し、製品とした。
この製品では、胴部を把持しても注出口部(B)は袋の表側や裏側に曲がることなく、その位置が安定していた。
【0085】
ついで、注出口部(B)を、そのノッチ(45)からハーフカット線(47)に沿って開封し、下肩部シール(13)の外周を案内部として詰め替え用容器の内径が26mmの口部に注出口部(B)の側部シール(40)を係止した。注出口部(B)の位置が安定してため、注出口部(B)への係止が容易であった。
【0086】
袋を傾けて内容物の注出を行うと、注出口部(B)が折れ曲がらずに開放されているため、胴部側の内容物が容易に注出口部(B)に移行し、内容物の移し替えを円滑に行うことができた。その際、注出の途中で注出口部(B)やその基部、或いは、その内側などが折れ曲がったりして閉塞することもなかった。
【0087】
(比較例1)
下肩部シール(13)にエンボスを形成しない以外は、実施例1と同様に操作して上部シール(30)のみ未シールの注出口付き袋を製造した。
【0088】
この袋の開放された上部シール(30)から内容物を350ml充填し、上部シール(30)を密封し、製品とした。
この製品は、胴部を把持すると注出口部(B)の側部シール(40)がサイドシール(10)側に傾斜し、注出口部(B)もその基部から袋の裏側に大きく折れ曲がった。
【0089】
ついで、注出口部(B)を、そのノッチ(45)からハーフカット線(47)に沿って開封し、詰め替え用容器の内径が26mmの口部に前記注出口部(B)を挿入しようとしたが、注出口部(B)が折れ曲がっているためその位置が不安定で、挿入が容易ではなかった。
【0090】
袋を傾けて内容物の注出を行うと、注出口部(B)が折れ曲がっているため先端部が閉塞し、胴部を把持しなければ内容物が注出口部(B)に移行しなかった。
(比較例2)
下肩部シール(13)にエンボスを形成しない以外は、実施例3と同様に操作して上部シール(30)のみ未シールの注出口付き袋を製造した。
【0091】
この袋の開放された上部シール(30)から内容物を350ml充填し、上部シール(30)を密封し、製品とした。
この製品は、胴部を把持すると注出口部(B)の側部シール(40)がサイドシール(10)側に傾斜し、注出口部(B)もその基部から裏側または表側に折れ曲がった。
【0092】
下肩部シール(13)の外周を案内部として詰め替え用容器の内径が26mmの口部に注出口部(B)の側部シール(40)を係止しようとしたが、注出口部(B)の位置が不安定であり、注出口部(B)への係止を容易に行うことはできなかった。
【0093】
袋を傾けて内容物の注出を行うと、注出口部(B)が折れ曲がっているため先端部が閉塞し、胴部を把持しなければ内容物が注出口部(B)に移行しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、従来の注出口付き袋において、下肩部シールに所定のエンボスを形成することで下肩部シールに剛性を付与し、これによって注出口部の位置安定性および開口性を確保できるため、詰め替え用パウチなどとして有用である。
【符号の説明】
【0095】
10、10'・・・サイドシール、
13・・・下肩部シール、
33・・・上肩部シール、
15・・・下肩部シール(13)に形成したエンボス、
20・・・底部シール、
25・・・底面フィルムの切り欠き部、
30・・・上部シール、
40、40'・・・注出口部の側部シール、
43・・・注出口部の先端シール、
50・・・第一のエンボス、
60・・・第二のエンボス、
70・・・易折曲げ線、
100・・・注出口付き袋、
A・・・胴部、
B・・・注出口部、
C・・・注出口部の中心線、
D・・・注出口部の基部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドシール、底部シールおよび上部シールによって胴部の外周がヒートシールされ、前記サイドシールと上部シールとの間に、前記胴部と連通し、両側部および先端部がヒートシールされてなる注出口部が配設された注出口付き袋であって、
前記注出口部の一の側部は、前記サイドシールから胴部に向かう下肩部シールに連接され、かつ前記下肩部シールに前記下肩部シールの表面よりも外側に突出するエンボスが形成されることを特徴とする、注出口付き袋。
【請求項2】
更に、袋表面から外側に突出する第一のエンボスと第二のエンボスが形成され、
前記第一のエンボスは、前記注出口部の先端部近傍から前記胴部に向かって配設される棒状であり、
前記第二のエンボスは、前記注出口部の基部より胴部側に、その両端間が注出口の基部の幅よりも広く、かつ前記第一のエンボスとのなす角が鋭角となる棒状または円弧状である請求項1記載の注出口付き袋。
【請求項3】
前記注出口部の中心線と前記サイドシールの延長線とのなす角が25〜65°であり、前記サイドシールと前記下肩部シールの内側シールラインとのなす角とが25〜90°であることを特徴とする、請求項1または2記載の注出口付き袋。
【請求項4】
前記注出口の両側から中央にかけて内側に窪んだ形状の開封手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の注出口付き袋。
【請求項5】
前記注出口付き袋が自立性を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の注出口付き袋。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の注出口付き袋に流動性の内容物が充填された製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−162295(P2012−162295A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23577(P2011−23577)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】