説明

注出口栓及び注出口栓の製造法

【課題】開封刃及び破断された封止フィルムを、容器内部に落下しないように確実に保持し、安全性の高い注出口栓を得、注出口栓を容易に簡単に開封できる注出口栓及び注出口栓の製造法を提供する。
【解決手段】注出口栓は、封止フィルムで封止された容器の注出孔に設けられ、注出筒と基部とからなるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、キャップと連動して螺旋状に下上運動する開封刃9とからなり、キャップには、第1係合フィンが設けられ、キャップの内周面とスパウトの注出筒5の外周面とに、キャップをその開閉時に螺旋状に上下させる螺合部が設けられ、開封刃9には、スパウトの注出筒5の内周面に設けられた螺合部と螺合して、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する螺合部を外周面に有する円筒部10と、円筒部10の下端に設けらる開封刃9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛乳、ジュース、お茶など液体食品を充填する包装容器のための注出口栓及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
牛乳、ジュース、お茶など液体食品を充填する包装容器のための注出口栓に、破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され、キャップに回転開封運動に連動して逆に注出孔へ下方へ運動する開封刃とからなる注出口栓がある。(特許文献1参照)
【0003】
【特許文献1】特開2001−106248号公報
【特許文献2】特表2005−537996号公報
【特許文献3】実公昭47−007663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され、キャップに回転開封運動に連動して逆に注出孔へ下方へ運動する開封刃とからなる注出口栓では、開封後も連動し下限まで達した開封刃を、容器内部に落下しないように確実に保持する必要がある。
破断された封止フィルムも、開封後も容器内部に落下しないように確実に保持する必要がある。
更に、スパウトと開封刃とを一体成形し、簡易に組み立て、キャップを被せて製造するステップにおいて、安全性の高い注出口栓を得る必要がある。
また、小児などの非力な消費者であっても、注出口栓を容易に簡単に開封できることが切望されている。
本発明は、上記の必要性、切望に応えるものであり、開封後に、開封刃及び破断された封止フィルムを、容器内部に落下しないように確実に保持し、安全性の高い注出口栓を得、注出口栓を容易に簡単に開封できる注出口栓及び注出口栓の製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するこの発明の注出口栓は、破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられ、注出筒と基部とからなるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃と、からなる注出口栓であって、
キャップには、開封刃に回転力を伝動する複数の第1係合フィンが、キャップの天板下面から実質的に垂直に設けられ、
キャップの内周面とスパウトの注出筒の外周面とに、キャップをその開閉時に螺旋状に上下させる第1及び第2螺合部がそれぞれ設けられ、
開封刃には、スパウトの注出筒の内周面に設けられた第3螺合部と螺合して、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する第4螺合部を外周面に有する円筒部と、円筒部の下端に設けらる刃とを備え、
開封刃の円筒部の内周面に上下垂直に、キャップの係合フィンと、キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップから開封刃に伝動し、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィンが設けられ、
スパウトの基部下面に、複数本の直線凸条が形成され、直線凸条の凸面に細かい第2直線凸条が形成されている
ことを特徴とする。
【0006】
この発明の好ましい態様の注出口栓は、破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられ、注出筒と基部とからなるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃と、からなる注出口栓であって、
キャップには、開封刃に回転力を伝動する複数の第1係合フィンが、キャップの天板下面から実質的に垂直に設けられ、
キャップの内周面とスパウトの注出筒の外周面とに、キャップをその開閉時に螺旋状に上下させる第1及び第2螺合部がそれぞれ設けられ、
開封刃には、スパウトの注出筒の内周面に設けられた第3螺合部と螺合して、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する第4螺合部を外周面に有する円筒部と、円筒部の下端に設けらる刃とを備え、
開封刃の円筒部の内周面に上下垂直に、キャップの係合フィンと、キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップから開封刃に伝動し、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィンが設けられ、
開封刃の円筒部の内部空間を横断するフィルタを有する
ことを特徴とする。
【0007】
この発明の好ましい態様の発明の注出口栓は、破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられ、注出筒と基部とからなるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃と、からなる注出口栓であって、
キャップには、開封刃に回転力を伝動する複数の第1係合フィンが、キャップの天板下面から実質的に垂直に設けられ、
キャップの内周面とスパウトの注出筒の外周面とに、キャップをその開閉時に螺旋状に上下させる第1及び第2螺合部がそれぞれ設けられ、
開封刃には、スパウトの注出筒の内周面に設けられた第3螺合部と螺合して、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する第4螺合部を外周面に有する円筒部と、円筒部の下端に設けらる刃とを備え、
開封刃の円筒部の内周面に上下垂直に、キャップの係合フィンと、キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップから開封刃に伝動し、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィンが設けられ、
スパウトの注出筒の内周面に設けられた第3螺合部の凹面に断面くさび状突起を有し、開封刃の円筒部外周面の第4螺合部の凸条に上下方向に逃げ領域を形成された
ことを特徴とする。
【0008】
この発明の好ましい態様の発明の注出口栓は、破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられ、注出筒と基部とからなるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃と、からなる注出口栓であって、
キャップには、開封刃に回転力を伝動する複数の第1係合フィンが、キャップの天板下面から実質的に垂直に設けられ、
キャップの内周面とスパウトの注出筒の外周面とに、キャップをその開閉時に螺旋状に上下させる第1及び第2螺合部がそれぞれ設けられ、
開封刃には、スパウトの注出筒の内周面に設けられた第3螺合部と螺合して、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する第4螺合部を外周面に有する円筒部と、円筒部の下端に設けらる刃とを備え、
開封刃の円筒部の内周面に上下垂直に、キャップの係合フィンと、キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップから開封刃に伝動し、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィンが設けられ、
キャップの外周面に上下方向に複数本の凸条及び凹条が形成され、所定間隔ごとに凹条が天板面との角まで延伸している
ことを特徴とする。
【0009】
この発明の注出口栓の製造法は、破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられ、注出筒と基部とからなるスパウトと、スパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃と、スパウトの基部下面にが形成された複数本の直線凸条と、直線凸条の凸面に形成された細かい第2の直線凸条と、からなる注出口栓を製造する方法であって、
開封刃に回転力を伝動する複数の第1係合フィンが、天板下面から実質的に垂直に設けられ、内周面に開閉時に螺旋状に上下させる第1螺合部が設けられたキャップを準備し、
注出筒の外周面に第2螺合部が設けられたスパウトと;
スパウトの注出筒の内周面に設けられた第3螺合部と螺合して、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する第4螺合部を外周面に有する円筒部と、円筒部の下端に設けらる刃とを備え、円筒部の内周面に上下垂直に、キャップの係合フィンと、キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップから開封刃に伝動し、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィンが設けられた開封刃と;を
スパウトの下端と開封刃の上端とを接合するブリッジを介して一体成形し、
ブリッジを破断し、開封刃の円筒部外周面の第4螺合部の凸条に上下方向に形成された逃げ領域を、破断したブリッジを通過させて、開封刃をスパウトの注出筒内に嵌め込み、
キャップを注出筒の外周面に螺合させる
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成を有するこの発明は、以下の様に作用機能する。
この発明における液体用包装容器は、破断可能な封止フィルムで封止された注出孔を頂部に有する。その容器は、紙などの積層包装材料より形成され、その包装材料が容器頂部で穿孔されて注出孔が形成されている。その注出孔がバリア性プラスチックフィルムなどで封止されている。
そのスパウトの基部は、容器頂部であって注出孔の近傍に接合され、注出栓を容器に固着し支持する。スパウトの注出筒は、容器内容物の液体を注ぎ出す通路を形成する。
その開封刃は、スパウトに内蔵され、キャップの開封時の螺旋状上運動に連動して螺旋状に下方運動する。その結果、その開封刃は、注出孔の破断可能な封止フィルムを破断する。
【0011】
キャップは、スパウトを覆い、注出孔を保護するとともに、開封時にキャップの回転運動が開封刃のフィルム破断力を生む。そのキャップには、複数の第1係合フィンが設けられている。その第1係合フィンがキャップの天板下面から実質的に垂直に設けられ、開封刃に回転力を伝動する。
キャップの内周面と該スパウトの注出筒の外周面とに、螺旋状に上下させる第1螺合部と第2螺合部、すなわち、ネジ、若しくは、ネジ状突条/溝が、それぞれ設けられている。キャップを回転させることにより、第1螺合部と第2螺合部に沿って螺旋状に上下に滑動する。キャップを開閉することができる。
【0012】
スパウトには、その注出筒の内周面に設けられた第3螺合部を有する。開封刃は、その第3螺合部と、円筒部の外周面の第4螺合部とで螺合する。その螺合により、キャップの螺旋状上運動に連動して螺旋状に下運動する、すなわち、キャップの上昇により、開封刃が下降する。円筒部の下端に設けらる刃が、先ず、注出孔の封止フィルムの1点を容易に破断する。
更に、キャップを回転して上昇させると、開封刃は回転しながら下降するので、刃が封止フィルムを円形に切断する。
【0013】
開封刃の円筒部の内周面に上下垂直に設けられた第2係合フィンは、キャップの係合フィンとキャップの螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップから開封刃に伝動するが、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない。その結果、キャップが開封時に上昇回転すると同時に、確実に、開封刃が下方に回転し、フィルムを破断し、もし、キャップが螺旋状下運動に転じても、開封刃は下降せずその位置に留まる。
【0014】
キャップがスパウトから離脱するので、刃が封止フィルムを容器注出孔から完全に切断されず、容器内部に落下すること無い。
開封が終了し、キャップがスパウトから離脱すると、第1係合フィンと第2係合フィンとがいずれも上下垂直に設けられているので、万が一にも、開封刃がスパウト若しくは容器に係合していても、キャップが、開封刃から容易に上方に離脱する。
【0015】
この発明の好ましい態様における注出口栓では、開封刃の円筒部の内部空間を横断するフィルタを有する。
キャップを回転して上昇させると、開封刃は回転しながら下降するので、刃が封止フィルムを円形に切断する。刃が封止フィルムを容器注出孔から完全に切断したとしても、フィルタがフィルムを捕捉しフィルムが容器から出て誤飲される恐れが無い。
【0016】
この発明の好ましい態様における注出口栓は、スパウトの注出筒の内周面に設けられた第3螺合部の凹面に断面くさび状突起を有し、開封刃の円筒部外周面の第4螺合部の凸条に上下方向に逃げ領域を形成される。
キャップの螺旋状上運動に連動して開封刃が螺旋状に下運動する際に、第3螺合部の凹面に設けられた断面くさび状突起が、上記逃げ領域と相俟って、上記運動を補助する。
【0017】
この発明の特徴における注出口栓は、スパウトの基部下面に、複数本の直線凸条が形成され、凸条の凸面に細かい第2の直線凸条が形成されている。
第2の凸条によって、基部下面の表面積が大きくなり、熱吸収能が増加してスパウトの基部を容器に確実にヒートシールすることができる。
【0018】
この発明の好ましい態様における注出口栓は、キャップの外周面に上下方向に複数本の凸条及び凹条が形成され、所定間隔ごとに凹条が天板面との角まで延伸している。
キャップの天板角に凹凸が形成され、消費者が開封時に確実にキャップを把持して容易に開封することができる。
【0019】
この発明の注出口栓の製造法は、スパウトと開封刃とをブリッジを介して一体成形し、組み立て時に、ブリッジを破断し、逃げ領域でブリッジを通過させる。
破断したブリッジが突出していても、開封刃の外面、開封刃のネジ山と衝突・接触してブリッジが折れて小片として注出口栓製品や容器に付着することが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、この発明による注出口栓の一実施例のスパウトと開封刃との一体成形体を示す外観斜視図である。
図2は、この発明による注出口栓の一実施例のスパウトを示す外観斜視図である。
図3は、この発明による注出口栓の一実施例の開封刃を示す外観斜視図である。
図4は、この発明による注出口栓の一実施例のキャップを示す外観斜視図及び一部拡大図である。
図5は、この発明による注出口栓の一実施例の製造工程を説明する側面図である。
図6は、この発明による注出口栓例を備える包装容器の外観斜視図である。
【0021】
この実施例の注出口栓2は、図6(A)に示す破断可能な封止フィルム4で封止された液体用紙容器1の注出孔3に、図6(B)のように設けられる。
注出口栓2は、注出筒5と基部6とからなるスパウト7と、スパウト7を覆うキャップ8と、スパウト7に内蔵され、キャップ8の螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃9とからなる。
【0022】
図4(B)に示すように、キャップ8には、開封刃9に回転力を伝動する4本の第1係合フィン8aが、キャップ8の天板下面から実質的に垂直に設けられる。
キャップ8の内周面とスパウト7の注出筒5の外周面とに、キャップ8をその開閉時に螺旋状に上下させる第1螺合部8b及び第2螺合部7aがそれぞれ設けられる。
【0023】
図3に示すように、開封刃9には、スパウト7の注出筒5の内周面に設けられた第3螺合部5aと螺合して、キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する第4螺合部9aを外周面に有する円筒部10と、円筒部の下端に設けらる刃11とを備える。
開封刃の円筒部10の内周面に上下垂直に、キャップの係合フィンと、キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力をキャップから開封刃に伝動し、キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィン9bが設けられる。
図3に示すように、開封刃9には、開封刃の円筒部上部の内部空間を横断する十字形のフィルタ12を有する。
図3に示すように、フィルタ12の梁2本は、開封刃の円筒部内側の円中心点で交差する。開封刃の円筒部の強度を補強し変形を防止することができる。また、通過可能領域は、中央領域で狭く、周辺領域で広く形成されている。容器内部液体を効果的に注ぎ出すことができると共に万が一の異物を飲用されることを防止することができる。
【0024】
図2に示すように、スパウト7の注出筒5の内周面に設けられた第3螺合部5aの凹面に断面くさび状突起5bを有する。
図2に示すように、スパウト7の注出筒5の内周面に設けられた第3螺合部5aの凹面に、開封刃が螺旋状に下運動する方向に傾斜面を、逆方向に垂直面を持つ逆戻り防止用くさび状突起と、下運動する方向に垂直面を、逆方向に傾斜面を持つ落下防止用くさび状突起5bとを持つ。
図2に示すように、逆戻り防止用くさび状突起は、スパウト7の注出筒5の内周面の中程から下部に、落下防止用くさび状突起5bは、スパウト7の注出筒5の内周面の下部に設けられている。
キャップの螺旋状上運動に連動して開封刃9が螺旋状に下運動する際に、第3螺合部5aの凹面に設けられた逆戻り防止用くさび状突起が、開封刃9が上方若しくは中程に位置するときは、その傾斜面で抵抗にならず、逆戻りしようとすると、その垂直面によって、抵抗になる。
また、開封刃9が螺旋状に下運動して下方に位置するときは、第3螺合部5aの凹面に設けられた落下防止用くさび状突起5bが、その垂直面によって、更に下降しようとすると抵抗になって抜け落ちることを防止する。図2に示す態様では、2個の落下防止用くさび状突起5bが直列に設けられている。
図1に示すように、開封刃9には、開封刃の円筒部外周面の第4螺合部9aの凸条に上下方向に逃げ領域9dを形成されている。
図1に示すように、スパウト7の注出筒5と、開封刃9の円筒部10とは、ブリッジ9cとで、繋がって、プラスチック成形される。注出口栓の組み立て製造時に、ブリッジ9cを切断して、注出筒5内部に、円筒部10が下から挿入される。
図1に示す態様では、第4螺合部9aの凸条に上下方向に形成された逃げ領域9dは、ブリッジ9cに対応する位置であって、凸条が無い領域である。凸条の急斜面が領域の境界に形成される。
この急斜面に、逆戻り防止用くさび状突起及び落下防止用くさび状突起5bが当たって、上述の機能を発揮する。
また、注出筒5内部に円筒部10が下から挿入される注出口栓の組み立て製造時に、切断若しくは破断されたブリッジ9cが、逃げ領域を通過して、凸条に当たることがない。従って、ブリッジ9cの破片が生じることもない。
【0025】
図1に示すように、スパウトの基部6の下面に、複数本の直線凸条6aが形成され、直線凸条の凸面に細かい第2の直線凸条6bが形成されている。
図1に示すように、多数本の直線凸条6aが、それぞれ平行に形成される。平行に形成することで、平行方向には、機械的強度を高め、その方向と垂直方向には、曲がり易くしてリサイクル時に容易に剥ぎ取ることができる。
直線凸条の凸面に細かい第2の直線凸条6bによって、基部下面の表面積が大きくなり、熱吸収能が増加してスパウトの基部を容器に確実にヒートシールすることができる。また、接着剤による貼着では、接触面が増大して接着強度を高めることができる。
【0026】
図4(A)の一部拡大図に示すように、キャップ8の外周面に上下方向に複数本の凸条及び凹条8cが形成され、所定間隔ごとに凹条8dが天板面との角まで延伸している。
この態様のキャップ8では、開封時にキャップの回転運動が、単にキャップの回転のみならず、開封刃のフィルム破断力を生む。図4(A)に示すように、キャップ8の外周面に上下方向に多数本の凸条及び凹条8cが形成され、交互に凹条8dが天板面との角まで延伸している。使用者は、この角の凹条も利用して、容易にキャップの回転及び開封刃のフィルム破断を行うことができる。
【0027】
図5に、実施例の注出口栓を組み立て、それを容器に取付ける様子を示す。
図5(A)に示すように、キャップ8を準備し、スパウト7と開封刃9との一体成形体と合わせる。
図5(A)に示すように、矢印方向に押してブリッジ9cを破断し、開封刃9の円筒部外周面の第4螺合部の凸条9aに上下方向に形成された逃げ領域9dを、破断したブリッジを通過させて、図5(B)に示すように、開封刃9をスパウト7の注出筒内に嵌め込む。
図5(B)に示す矢印のようにキャップを注出筒の外周面に螺合させ、図5(C)に示す注出口栓2を得る。
【0028】
注出口栓2の取付け及び開封動作を説明する。
図5(D)に示すように、注出口栓2を、スパウトの基部6を容器頂部の注出孔3の上方に近づけ、図5(E)に示すように接合する。
容器の開封時には、図5(F)に示すように、開封刃9は、スパウトに内蔵され、キャップ8の開封時の螺旋状上運動に連動して螺旋状に下方運動する。開封刃の下端刃11は、注出孔3の破断可能な封止フィルム4を破断する。
【0029】
なお、本発明は該実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0030】
この発明は、ジュース、牛乳などの飲料を包装充填する注出口栓付き液体用包装容器の製造に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明による注出口栓の一実施例のスパウトと開封刃との一体成形体を示す外観斜視図である。
【図2】この発明による注出口栓の一実施例のスパウトを示す外観斜視図である。
【図3】この発明による注出口栓の一実施例の開封刃を示す外観斜視図である。
【図4】この発明による注出口栓の一実施例のキャップを示す外観斜視図及び一部拡大図である。
【図5】この発明による注出口栓の一実施例の製造工程を説明する側面図である。
【図6】この発明による注出口栓例を備える包装容器の外観斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
2 ・・・注出口栓
5 ・・ 注出筒
5a・・ 第3螺合部
5b・・ 落下防止用くさび状突起
6 ・・・基部
6a・・・直線凸条
6b・・・第2の直線凸条
7 ・・・スパウト
7a・・・第2螺合部
8 ・・・キャップ
8a・・・第1係合フィン
8b・・・第1螺合部
8c・・・凸条及び凹条
8d・・・凹条
9 ・・・開封刃
9a・・・第4螺合部
9b・・・第2係合フィン
9c・・・ブリッジ
9d・・・逃げ領域
10 ・・開封刃の円筒部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられ、注出筒と基部とからなるスパウトと、該スパウトを覆うキャップと、該スパウトに内蔵され、該キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃と、からなる注出口栓であって、
該キャップには、該開封刃に回転力を伝動する複数の第1係合フィンが、該キャップの天板下面から実質的に垂直に設けられ、
該キャップの内周面と該スパウトの注出筒の外周面とに、該キャップをその開閉時に螺旋状に上下させる第1及び第2螺合部がそれぞれ設けられ、
該開封刃には、該スパウトの注出筒の内周面に設けられた第3螺合部と螺合して、該キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する第4螺合部を外周面に有する円筒部と、該円筒部の下端に設けらる刃とを備え、
該開封刃の円筒部の内周面に上下垂直に、該キャップの係合フィンと、該キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力を該キャップから該開封刃に伝動し、該キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィンが設けられ、
該スパウトの基部下面に、複数本の直線凸条が形成され、該直線凸条の凸面に細かい第2凸条が形成されている
ことを特徴とする注出口栓。
【請求項2】
該開封刃の円筒部の内部空間を横断するフィルタを有する、請求項1記載の注出口栓。
【請求項3】
該スパウトの注出筒の内周面に設けられた第3螺合部の凹面に断面くさび状突起を有し、該開封刃の円筒部外周面の第4螺合部の凸条に上下方向に逃げ領域を形成された、請求項2記載の注出口栓。
【請求項4】
該キャップの外周面に上下方向に複数本の凸条及び凹条が形成され、所定間隔ごとに該凹条が該天板面との角まで延伸している、請求項3記載の注出口栓。
【請求項5】
破断可能な封止フィルムで封止された液体用紙容器の注出孔に設けられ、注出筒と基部とからなるスパウトと、該スパウトを覆うキャップと、該スパウトに内蔵され、該キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する開封刃と、該スパウトの基部下面にが形成された複数本の凸条と、該凸条の凸面に形成された細かい第2の凸条と、からなる注出口栓を製造する方法であって、
該開封刃に回転力を伝動する複数の第1係合フィンが、天板下面から実質的に垂直に設けられ、内周面に開閉時に螺旋状に上下させる第1螺合部が設けられた該キャップを準備し、
該注出筒の外周面に第2螺合部が設けられた該スパウトと;
該スパウトの注出筒の内周面に設けられた第3螺合部と螺合して、該キャップの螺旋状上下運動に連動して螺旋状に下上運動する第4螺合部を外周面に有する円筒部と、該円筒部の下端に設けらる刃とを備え、円筒部の内周面に上下垂直に、該キャップの係合フィンと、該キャップの螺旋状上運動時に係合して回転力を該キャップから該開封刃に伝動し、該キャップの螺旋状下運動時に確実に係合しない第2係合フィンが設けられた該開封刃と;を
該スパウトの下端と該開封刃の上端とを接合するブリッジを介して一体成形し、
該ブリッジを破断し、該開封刃の円筒部外周面の第4螺合部の凸条に上下方向に形成された逃げ領域を、破断した該ブリッジを通過させて、該開封刃を該スパウトの注出筒内に嵌め込み、
該キャップを該注出筒の外周面に螺合させる
ことを特徴とする注出口栓の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−66878(P2012−66878A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223534(P2011−223534)
【出願日】平成23年10月10日(2011.10.10)
【分割の表示】特願2006−356957(P2006−356957)の分割
【原出願日】平成18年12月30日(2006.12.30)
【出願人】(000229232)日本テトラパック株式会社 (259)
【Fターム(参考)】