説明

注出容器

【課題】特別な操作を行うことなく内容物を容易に注出すること。
【解決手段】内容物が収容される容器体2と、該容器体の口部2aに装着されると共に、内側が容器体の内部に連通する注出口20とされた注出筒部21を有する注出体4と、注出口を開閉する可撓性の被覆体25と、注出口内に配設された状態で注出体に連結され、被覆体を支持する支持体30と、を備え、被覆体において支持体に固定されている部分よりも径方向外側に位置する部分25aが、注出筒部の開口端縁上に密接して注出口を開閉可能にシールしている注出容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液状の内容物が収容される注出容器において、注出容器が倒れた時に内容物が零れないようにするため、注出部に手動式の弁体による開閉機構を設けたものが知られている(特許文献1参照)。
この特許文献1には、醤油差し容器において、醤油注ぎ口(以下、注出口という)と空気穴とを同じ方向に働くスプリングの付勢力により同一方向から密閉し、さらに空気穴を利用した釦をスプリングの付勢に抗して押すことで、注出口と空気穴とを同時に開口させて内容物である醤油を差せるようにした開閉機構について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3078012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記開閉機構を備えた容器では、内容物の吐出時に毎回釦を押すといった手動による開閉操作を行いながら容器を傾ける必要があり、操作性に改良の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、特別な操作を行うことなく内容物を容易に注出することができる注出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る注出容器は、内容物が収容される容器体と、該容器体の口部に装着されると共に、内側が容器体の内部に連通する注出口とされた注出筒部を有する注出体と、該注出口を開閉する可撓性の被覆体と、前記注出口内に配設された状態で前記注出体に連結され、前記被覆体を支持する支持体と、を備え、前記被覆体において前記支持体に固定されている部分よりも径方向外側に位置する部分が、前記注出筒部の開口端縁上に密接して前記注出口を開閉可能にシールしていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る注出容器においては、容器体を傾ける等して内容物を注出体の注出口に流れ込ませると、この内容物は注出筒部の内面に沿いながら該注出筒部の開口端縁に向かって流出する。そして、流出した内容物が被覆体に達すると、該被覆体が内容物に押圧されて変形することで、被覆体において注出筒部の開口端縁上に密接している密接部分が開口端縁から離反し、上側に浮き上がった状態となる。従って、内容物を、被覆体の密接部分のうち浮き上がった部分を通じて注出口から外部に注出することができる。
その後、元の正立姿勢に容器体を戻す等して被覆体に付与されていた押圧力を解除すると、前記浮き上がっていた部分が元の状態に戻って注出筒部の開口端縁に再度密接する。これにより、被覆体を全周に亘って注出筒部の開口端縁上に確実に密接させることができ、注出口を再びシールして容器体の密閉性を確保することができる。
【0008】
上述したように、例えば容器体を傾けたり、傾けながら圧搾したりするだけの簡単な操作で注出を行えるので、特別な操作を行うことなく容易に注出操作を行うことができ、使い易い。しかも、容器体をどの方向に傾けたとしても、その方向に応じて被覆体の前記密接部分の一部が浮き上がるので内容物を確実に注出することができる。
従って、内容物の注出方向が限定されることがないので、注出性に優れた容器とすることができる。
【0009】
(2)また、上記本発明に係る注出容器において、前記被覆体には、前記支持体に突設されたガイド突起を挿通させるガイド孔が形成されていても良い。
【0010】
この場合には、被覆体に形成されたガイド孔に支持体のガイド突起が挿通されているので、支持体と被覆体とを互いに径方向に位置決めさせた状態で固定することができる。よって、被覆体を注出筒部の開口端縁上により確実に密接させることができ、注出口のシール性をより確実なものにすることができる。
また、注出容器の組み立て段階において、ガイド突起がガイド孔内に挿通するように被覆体を支持体に対して組み合わせるだけで両者を正確に位置合わせできるので、効率良く組立作業を行うことができる。
【0011】
(3)また、上記本発明に係る注出容器において、前記被覆体が、前記ガイド孔を挿通した前記ガイド突起の圧潰部分によって固定されていても良い。
【0012】
この場合には、ガイド孔を挿通したガイド突起の上端部を例えば加熱軟化状態として圧潰させるだけで、被覆体を支持体に固定できるので、さらに効率の良い組立作業を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る注出容器によれば、特別な操作を行うことなく内容物を容易に注出することができ、使い易い。しかも、内容物の注出方向が限定されることがないので注出性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る注出容器の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す注出容器を構成する注出体の注出筒部を上方から見た図である。
【図3】図1に示す状態からオーバーキャップを離脱させた状態を示す縦断面図である。
【図4】図3に示す状態の後、容器体を傾けて内容物を注出している状態を示す注出筒部の拡大断面図である。
【図5】内容物を注出した後、容器体を元の姿勢に戻した状態を示す縦断面図である。
【図6】本発明に係る変形例を示す注出筒部の拡大断面図である。
【図7】本発明に係る別の変形例を示す注出筒部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る注出容器の実施形態について、図1から図7を参照して説明する。
本実施形態の注出容器1は、図1に示すように、図示しない液体状の内容物が収容される容器体2と、この容器体2の口部2aに装着体3を介して装着される注出体4と、この注出体4を覆うオーバーキャップ5と、を備えている。
なお、本実施形態では容器体2の一例として二重容器を例に挙げて説明する。
【0016】
上記各構成品は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置された状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、この容器軸Oに沿う方向を上下方向、上下方向に沿ったオーバーキャップ5側を上側、その反対側を下側という。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0017】
上記容器体2は、例えば外容器(外層)10に対して内容器(内層)11が剥離可能に積層されたデラミボトル(積層剥離型容器)とされている。
容器体2の口部2aは、内容器11の口部11aと外容器10の口部10aとが積層された構成とされ、上側に位置する上筒部12と、下側に位置し上筒部12よりも大径に形成された下筒部13と、を有する二段筒状に形成されている。
【0018】
上筒部12のうち、外容器10の口部10aで構成された部分には、径方向外側に向けて突出する第1突起12aが形成されていると共に、この第1突起12aの下側に、外容器10と内容器11との間に外気を吸入させる吸気孔14が形成されている。
第1突起12aは、周方向の全周に亘って延びており、第1突起12aにおいて、吸気孔14と周方向の位置が一致する部分には、上下方向に延びる縦溝12bが形成されている。
【0019】
注出体4は、内側が装着体3を介して容器体2の内部に連通する注出口20とされた注出筒部21と、該注出筒部21の下端から径方向の外側に向けて突設されたフランジ部22と、フランジ部22から下方に向けて延設され、後述する装着体3の囲繞筒部61に外嵌される嵌合筒部23と、を備えている。これら注出筒部21、フランジ部22及び嵌合筒部23は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0020】
注出筒部21の開口端縁上には、注出口20を開閉可能に覆う可撓性の被覆体25が配設されており、支持体30によって支持固定されている。
支持体30は、図1及び図2に示すように、注出口20内に配設されており、複数のブリッジ部35によって注出筒部21に連結されている。詳細には支持体30は、平面視円形状に形成され、上面が注出筒部21の開口端縁と略面一(若干軸方向の下方に位置する場合も含む)とされた支持体本体部31と、該支持体本体部31の上面から容器軸Oに沿って上方に突設されたガイド突起32と、を備えている。
なお、支持体本体部31の上面を注出筒部21の開口端縁より容器軸O方向における下方に位置させることで、円盤状に形成された被覆体25の外周縁部25aが、前記開口端縁に強く圧接されるようになる。この位置関係を適宜設定することによって、必要とする密閉力を容易に得ることができる。
【0021】
ブリッジ部35は、周方向に間隔を開けて複数配置されており、支持体本体部31と注出筒部21とに両端部がそれぞれ接続されて、両者を一体的に連結している。支持体30は、これら複数のブリッジ部35によって、注出口20内における径方向中央部に位置している。
【0022】
被覆体25は、平面視円形のシート状に形成されていると共に、外周縁部25aの径方向内側に位置する中央部に上記支持体30のガイド突起32を挿通させるガイド孔25bが形成されている。そして、この被覆体25は、ガイド突起32がガイド孔25b内を挿通するように支持体本体部31の上面に重ねられていると共に、この上面に対して中央部が接着固定されている。
そして、被覆体25において、支持体30に固定されている中央部よりも径方向外側に位置する部分である外周縁部25aが、注出筒部21の開口端縁上に密接して注出口20を開閉可能にシールしている。また、被覆体25のうち、支持体30に固定されていない部分(外周縁部25aを含む)は、注出筒部21の開口端縁から離間する上方に向けて変形(例えば、撓み変形、反転変形等)可能とされている。
【0023】
なお、支持体30に対する被覆体25の固定は、接着固定に限られず、熱溶着等の溶着で固定しても構わない。
また、被覆体25としては、破れ難い一般的なフィルム(伸縮性を有していても有さなくても適用可能である)や、可撓性を有する樹脂製或いは金属製のシートや、ゴム等の弾性板や、薄肉のプレート等が考えられる。但し、一定の厚みやコシを有し、外周縁部25aが注出口20内に垂れ下がらないようなものが好ましい。
【0024】
図1に示すように、装着体3は、上記注出体4と容器体2の口部2aとの間に配設されて両者を連結する中間部材であると共に、本実施形態では注出体4を容器体2に対して上下動可能に連結している。そして、装着体3は、上昇させられたときに容器体2の内部と注出体4の注出口20とを連通させ、下降させられたときに上記連通を遮断する役割を担っている。
【0025】
本実施形態の装着体3は、容器体2の口部2aに装着されると共に口部2a上に配置された内装部40と、容器体2の口部2aに装着されると共に該口部2a及び内装部40を径方向の外側から囲繞する外装部50と、内装部40と注出体4との間に配設されると共に、内装部40に対して上下動可能に組み合わされ、且つ注出体4が装着される装着部材60と、該装着部材60の上下動に伴って容器体2の内部と注出体4の注出口20との連通及びその遮断を切り替える注出弁体70と、を備えている。
【0026】
内装部40は、容器体2の口部2a内に嵌合されたシール筒部41と、シール筒部41から径方向内側に突設された内連結環部42と、内連結環部42の内周縁部から上方に向けて延設された内筒部43と、シール筒部41の上端縁から径方向外側に向けて突設され容器体2の口部2a上に配設された外連結環部44と、外連結環部44の外周縁部から上方に向けて延設された外筒部45と、を備えている。
これらシール筒部41、内連結環部42、外連結環部44、内筒部43及び外筒部45は、容器軸Oと同軸に配設されている。
【0027】
外装部50は、上下両方向に開口する筒状に形成され、容器体2の口部2aに形成された第1突起12aにアンダーカット嵌合された第2突起50aが径方向内側に向けて突設されている。
外装部50において第2突起50aよりも下側に位置する下端部は、容器体2の口部2aの下筒部13に気密状態で外嵌しており、外装部50の下側を通した吸気孔14と注出容器1の外部との連通を遮断している。外装部50と容器体2の口部2aの上筒部12との間には、吸気孔14に連通する隙間空間E1が画成されている。外装部50の上端部内には、内装部40の外筒部45が嵌合している。なお、この外筒部45には上記隙間空間E1に連通する開口部45aが形成されている。
【0028】
装着部材60は、装着体4の嵌合筒部23内に嵌合され、且つ内装部40の内筒部43を径方向外側から囲繞する囲繞筒部61と、囲繞筒部61の上端から径方向内側に向けて突設され内筒部43よりも上方に位置する内フランジ部62と、該内フランジ部62から下方に向けて延設され内筒部43内に上下摺動可能に嵌合されたガイド筒部63と、内フランジ部62の内周縁部から下方に向けて延設されガイド筒部63の内側に位置する弁座筒部64と、囲繞筒部61の下端から径方向外側に向けて延設され注出体4の嵌合筒部23よりも下方に位置する外フランジ部65と、外フランジ部65の外周縁部から上方に向けて突設され注出体4の嵌合筒部23を径方向外側から囲繞する装着筒部66と、装着筒部66から上方に向けて延設され注出体4のフランジ部22を径方向外側から囲繞する連結筒部67と、を備えている。
【0029】
装着筒部66と注出体4の嵌合筒部23との間には、上下方向に延びる第1隙間E2が画成されており、連結筒部67と注出体4のフランジ部22との間には、上方に向けて開口する第2隙間E3が画成されている。
【0030】
注出体4及び装着部材60には、互いに係合し合うことで周方向の位置を決め合う位置決め部23a、66aが各別に設けられている。
装着部材60の第1位置決め部66aは、装着筒部66の内周面に上下方向に延び、周方向に間隔をあけて複数配設された縦リブ状に形成されており、その下端縁は外フランジ部65の上面に連結されている。
一方、注出体4の第2位置決め部23aは、嵌合筒部23の外周面に上下方向に延びる縦リブ状に形成されており、その上端縁はフランジ部22の下面に連結されている。そしてこの第2位置決め部23aは、周方向に隣り合う第1位置決め部66a同士の間に位置しており、これにより第1位置決め部66aと第2位置決め部23aとが周方向に係合し合っている。
【0031】
また、装着部材60は、外装部50と弾性連結部80を介して全周にわたって連結されている。図示の例では、弾性連結部80は環状に形成されており、その内周縁が装着部材60の連結筒部67の上端縁に連結され、外周縁が外装部50の上端縁に連結されている。なお、弾性連結部80は、径方向外側から内側に向かうに従い漸次、下方に向かっている。
【0032】
これにより、内装部40の内筒部43、内連結環部42、シール筒部41、外連結環部44及び外筒部45で画成された環状空間が、弾性連結部80及び装着部材60によって上方から閉塞されて内部空間E4を画成している
【0033】
注出弁体70は、容器軸Oと同軸に配設された有頂筒状に形成され、その下端は径方向に延びると共に周方向に間隔をあけて複数配設されたブリッジ部71を介して内連結環部42の内周縁に連結されている。注出弁体70の上端部は、装着部材60の弁座筒部64の下端部内に液密に、且つ着脱自在に嵌合している。
これにより、容器体2の内部と注出体4の注出口20との連通及びその遮断が切り替え可能とされている。
【0034】
また、装着部材60の外フランジ部65には、上記内部空間E4と上記第1隙間E2とを連通する連通孔81が形成されている。また、注出体4のフランジ部22の下面には、第1隙間E2と上記第2隙間E3とを連通する連通溝82が形成さている。
これにより、オーバーキャップ5が外装部50から離脱された状態で、容器体2の口部2aに形成された吸気孔14が、隙間空間E1、開口部45a、内部空間E4、連通孔81、第1隙間E2、連通溝82及び第2隙間E3からなる外気流入路85を通して外部に連通することとなる。
【0035】
ところで、内部空間E4内には、装着部材60の装着筒部66に外嵌し、且つ下端部が装着筒部66よりも下方に向けて突出する筒状部86aと、筒状部86aの下端部から径方向内側に向けて環状に突設され、内周縁部が囲繞筒部61の下端縁に全周に亘って接する弁本体86bと、を備える弁部材86が設けられている。
【0036】
本実施形態では、弁本体86bが弾性変形して囲繞筒部61の下端縁に当接、離間することで、連通孔81を開閉自在に閉塞している。即ち、弁部材86及び囲繞筒部61の下端縁は、外部から内容器11と外容器10との間への外気の流入を許容し、且つ内容器11と外容器10との間から外部への外気の流出を阻止する逆止弁を構成している。
【0037】
オーバーキャップ5は、注出体4を覆うように外装部50に装着されている。図示の例では、このオーバーキャップ5は、ヒンジ部90を介して外装部50に接続されていると共に、下端部が外装部50の上端部に嵌合している。
また、このオーバーキャップ5には、前記ヒンジ部90とは径方向の反対側に位置し、径方向外側に向けて突設する摘み片91が形成されており、この摘み片91には破断可能な弱化部92aを介して外装部50に連結された毟り部92が係合している。これにより、オーバーキャップ5は、ヒンジ部90回りの上方に向けた回動が規制されている。
【0038】
また、オーバーキャップ5には、注出体4に係合する一対の係合部95が、注出筒部21を間にして径方向に向かい合うように設けられている。これらの係合部95は、オーバーキャップ5から下方に向けて延設された本体板95aと、本体板95aに径方向内側に向けて突設された係合突起95bと、を備えている。
この係合突起95bは、注出体4の注出筒部21に突設された一対の被係合部96に下側から係合されている。
【0039】
次に、上記構成の注出容器1から内容物を注出する場合について説明する。
はじめに、オーバーキャップ5が装着された使用前の状態においては、注出弁体70によって容器体2の内部と注出口20との連通が遮断されていると共に、注出口20を覆う被覆体25の外周縁部25aが注出筒部21の開口端縁上に密接されて注出口20がシールされている。これにより、容器体2の密閉性が確保されている。
【0040】
次に、注出容器1を使用する際には、まず、毟り部92を毟った後、オーバーキャップ5をヒンジ部90回りに回動させて外装部50から離脱させる。すると図3に示すように、この離脱操作に伴って、係合突起95bが注出体4の被係合部96に下側から係合しつつ係合部95が上昇移動することで、弾性連結部80が反転変形しながら装着部材60が上昇移動することとなる。
これにより、装着部材60の弁座筒部64が注出弁体70から上方に離間し、容器体2の内部と注出体4の注出口20とが連通する。この過程において、係合部95の係合突起95bが、注出体4の被係合部96を下方から上方に乗り越えて、注出体4と係合部95との係合が解除される。
【0041】
なお、上記のように装着部材60が上昇移動するとき、装着部材60のガイド筒部63と内装部40の内筒部43とが互いに摺接し、内筒部43が装着部材60の上昇移動をガイドすることで、装着部材60が安定して上昇移動することとなる。
【0042】
次いで、オーバーキャップ5を離脱させた後、容器体2を傾ける。すると、内容器11内の内容物が装着体3を介して注出体4の注出口20に流れ込むと共に、注出筒部21の内面に沿いながら該注出筒部21の開口端縁に向かって流出する。そして、この流出した内容物が被覆体25に達すると、該被覆体25が内容物に押圧されて変形することで、被覆体25において注出筒部21の開口端縁上に密接している外周縁部25a(密接部分)が、図4に示すように、開口端縁から離反して浮き上がった状態となる。従って、内容物をこの浮き上がった部分を通じて、図中矢印に示すように注出口20から外部に注出することができる。
【0043】
なお、内容物は支持体30と注出筒部21とを連結するブリッジ部35を避けながら注出されるので、ブリッジ部35の周方向に沿った横幅を変化させることで、内容物の流量調整を容易に行うことが可能である。
【0044】
上記注出が終了した後、被覆体25に内容物の自重がかからない姿勢に容器体2を戻すと、図5に示すように、被覆体25に付与されていた押圧力が解除され、前記浮き上がっていた部分が元の状態に戻って注出筒部21の開口端縁に再度密接する。これにより、被覆体25を全周に亘って注出筒部21の開口端縁上に確実に密接させることができ、注出口20を再びシールして容器体2の密閉性を確保することができる。
【0045】
ところで、内容物を注出することで内容器11が減容変形するので、内容器11と外容器10との間に負圧が発生し、この負圧が吸気孔14を通して弁部材86の弁本体86bに作用することにより、この弁本体86bの内周縁部が囲繞筒部61の下端縁から離間し、外気流入路85を通して外部と吸気孔14とが連通される。
すると、図5の矢印に示すように、外部から外気流入路85に外気が流入され、この外気が吸気孔14から内容器11と外容器10との間に吸入される。したがって、注出容器1から内容物を注出した後には、内容器11と外容器10との間に中間空間E5が画成されることとなる。
【0046】
また、注出容器1の使用が終了した後は、図1に示すように、オーバーキャップ5をヒンジ部90回りに回動させてオーバーキャップ5を外装部50に装着させる。すると、この装着操作に伴って、係合部95の係合突起95bが注出体4の被係合部96に上側から当接しながら係合部95が下降移動することで、弾性連結部80が復元変形しながら装着部材60が下降移動することとなる。
これにより、装着部材60の弁座筒部64が注出弁体70に向けて下側に接近し、注出弁体70が弁座筒部64内に嵌合することで、注出弁体70によって内容器11の内部と注出体4の注出口20との連通が遮断される。この過程において、係合部95の係合突起95bが、注出体4の被係合部96を上方から下方に乗り越えて、係合突起95bが被係合部96の下側に位置することとなる。
【0047】
なお、このように装着部材60が下降移動するとき、内装部40の内筒部43と装着部材60のガイド筒部63とが互いに摺接し、内筒部43が装着部材60の下降移動をガイドすることで、装着部材60が安定して下降移動することとなる。
【0048】
上述したように、本実施形態の注出容器1によれば、容器体2を傾けるだけの簡単な操作で注出を行えるので、特別な操作を行うことなく容易に注出操作を行うことができ、使い易い。
しかも、容器体2をどの方向に傾けたとしても、その方向に応じて被覆体25の外周縁部25aの一部が浮き上がるので内容物を確実に注出することができる。従って、内容物の注出方向が限定されることがないので、注出性に優れた容器とすることができる。
更に、被覆体25を支持体30に熱溶着する場合においても、溶着部分とシール部分とが離れている為、この熱が被覆体25におけるシール部分に悪影響を与えることが無く、良好な密閉性が達成される。
【0049】
また、注出弁体70によって容器体2の内部と注出口20との連通が遮断されることで、容器体2の密閉性が一層確保されているので、この注出容器1の流通時や保管時等に内容物が不意に注出口20から注出されるのを抑制することができると共に、内容物の保存性にも優れている。
更に、注出弁体70による容器体2の内部と注出口20との連通およびその遮断を、オーバーキャップ5の着脱操作に伴って切り替えることができるので、内容物の漏出を抑制しつつ、注出操作の操作性を良好なものすることができる。
【0050】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態では、容器体2を内容器11と外容器10とからなる二重容器としてが、この場合に限られず、一般的な有頂筒状の容器であっても構わない。また、上記実施形態では、装着体3を介して注出体4を容器体2の口部2aに装着した構成としたが、装着体3は必須なものではなく具備しなくても良い。この場合には、容器体2の口部2aに注出体4を直接装着すれば良い。
【0052】
また、上記実施形態では、被覆体25にガイド孔25bを形成し、このガイド孔25bにガイド突起32を挿通させるように被覆体25と支持体30とを重ね合わせて接着固定した構成としたが、被覆体25にガイド孔25bを設けずに円板状とし、ガイド突起32を具備しない支持体30の上面に接着固定しても構わない。
但し、ガイド孔25bにガイド突起32を挿通させることで、支持体30と被覆体25とを互いに径方向に位置決めさせた状態で固定することができるので、被覆体25の外周縁部25aを注出筒部21の開口端縁上により確実に密接させることができ、注出口20のシール性をより確実なものにすることができる。
また、注出容器1を組み立てる際に、ガイド突起32がガイド孔25b内に挿通するように被覆体25を支持体30に対して組み合わせるだけで両者を正確に位置決めできるので、効率良く組立作業を行うことができる。
【0053】
また、支持体30にガイド突起32を設けた場合には、被覆体25を支持体30に接着固定するのではなく、図6に示すように、ガイド突起32の上端部(頭部)を例えば加熱軟化して圧潰させることで、被覆体25の中央部を支持体30に固定しても構わない。この場合には、接着剤の塗布作業を省くことができるので、さらに効率の良い組み立て作業を行える。
【0054】
更には、図7に示すように、被覆体25の中央部に下方に突出する軸部25cを一体的に成形し、該軸部25cを支持体本体部31に形成された貫通孔31aに挿通し、嵌合固定させることで、支持体30と被覆体25とを固定しても構わない。
いずれにしても、被覆体25の中央部を支持体30に固定できれば、どのような方法で固定しても構わない。
【0055】
また、上記実施形態では、内容物を注出するときに、容器体2を単に傾けたが、傾けながら容器体2を径方向の内側に押し込んで圧搾することで内容器11の内圧を上昇させ、内容物の注出を促すようにしても構わない。更には、容器体2を傾けずに、容器体2を径方向の内側に押し込んで圧搾することで内容器11の内圧を上昇させ、これにより内容物を注出させても構わない。
なお、容器体2を径方向の内側に押し込んだ場合、内容器11の密閉性が確保された状態で押圧を解除すると、内容器11が減容変形したまま外容器10が復元変形しようとするが、この場合であっても、内容器11と外容器10との間に中間空間E5が確実に画成されるので、外容器10がスムーズに復元変形する。
【0056】
また、上記実施形態では、オーバーキャップ5は外装部50にヒンジ部90を介して連結されているものとしたが、これに限られるものではなく、外装部50に着脱可能にアンダーカット嵌合された構成等を採用することもできる。さらにオーバーキャップ5はなくても良い。
【0057】
また、逆止弁は上記構成に限られず、外部から内容器11と外容器10との間への外気の流入を許容し、且つ内容器11と外容器10との間から外部への外気の流出を阻止する構成であれば良い。
例えば、上記実施形態では、内部空間E4内に弁部材86が配設されている構成としたが、隙間空間E1内に逆止弁が配設されていてもよい。この場合、逆止弁の弁体や弁座を、容器体2の口部2aや外装部50に装着させた構成であっても良く、弁体や弁座が容器体2の口部2aや外装部50に一体に形成された構成であっても良い。
【符号の説明】
【0058】
1…注出容器
2…容器体
2a…容器体の口部
4…注出体
20…注出口
21…注出筒部
25…被覆体
25b…ガイド孔
30…支持体
32…ガイド突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器体と、
該容器体の口部に装着されると共に、内側が容器体の内部に連通する注出口とされた注
出筒部を有する注出体と、
該注出口を開閉する可撓性の被覆体と、
前記注出口内に配設された状態で前記注出体に連結され、前記被覆体を支持する支持体と、を備え、
前記被覆体において前記支持体に固定されている部分よりも径方向外側に位置する部分が、前記注出筒部の開口端縁上に密接して前記注出口を開閉可能にシールしていることを特徴とする注出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の注出容器において、
前記被覆体には、前記支持体に突設されたガイド突起を挿通させるガイド孔が形成されていることを特徴とする注出容器。
【請求項3】
請求項2に記載の注出容器において、
前記被覆体は、前記ガイド孔を挿通した前記ガイド突起の圧潰部分によって固定されていることを特徴とする注出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−30864(P2012−30864A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172834(P2010−172834)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】