説明

注出栓

【課題】容器の口頚部に確実に固定でき、なおかつ容器の廃棄に際しては比較的簡便に取り外すことを可能とした注出栓を提案する。
【解決手段】内容物の注出経路を形成する注出筒1bを有し、下向きに開放された開口を有する環状溝mを容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持するベースキャップ1と、このベースキャップ1にヒンジhを介して開閉可能に連結し閉姿勢を保持することによって前記ベースキャップ1の注出経路を封止する蓋体5とを備えた注出栓において、前記ベースキャップ1の径方向の中心Oと前記ヒンジhの幅方向の中心h0を結ぶ直線を基準線Lとした場合に、該基準線Lとのなす角度が少なくと片側で40°、両側で80°の範囲に、前記ベースキャップ1の周壁を内外二重の壁部とする隙間6を設けるとともに、内外二重の壁部1d1、1d2のうちの外側壁部1d1の上端に前記ヒンジhの連結部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の内容物を注出するのに適した注出栓に関するものであり、使用済み容器の廃棄に際して該容器から注出栓を簡単に取り外して分別回収の確実な実現を図ろうとするものである。
【背景技術】
【0002】
醤油やドレッシング等の調味材を入れる容器は、その口部にプルリングの引き起こしにより閉塞壁部を引きちぎって開封するバージンタイプの注出栓が装着されており、容器内の内容物を使い切るまでの間は、ねじ込み式のキャップやアンダーカットタイプのキャップを注出栓に被着させて容器を密封状態に保持するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる注出栓は、普通、ベース部の下端に設けられた環状溝を打栓によって容器の口頚部先端に嵌合させて固定しているが、使用済み容器の廃棄に際して該注出栓を取り外そうとしてもその取り外しが容易でなく、分別回収を行うことが難しい状況にあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2548506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、容器の口頚部において確実に固定することができ、かつ、容器の廃棄時において比較的容易に取り外しを行うことができる注出栓を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内容物の注出経路を形成する注出筒を有し、下向きに開放された開口を有する環状溝を容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持するベースキャップと、このベースキャップにヒンジを介して開閉可能に連結し閉姿勢を保持することによって前記ベースキャップの注出経路を封止する蓋体とを備えた注出栓であって、
前記ベースキャップの径方向の中心と前記ヒンジの幅方向の中心を結ぶ直線を基準線とした場合に、該基準線とのなす角度が少なくとも片側で40°、両側で80°の範囲に、前記ベースキャップの周壁を内外二重の壁部とする隙間を設け、
前記内外二重の壁部のうちの外側壁部の上端に前記ヒンジの連結部を形成してなる、ことを特徴とする注出栓である。
【0007】
前記内外二重の壁部は、その下端部で弱化片を介して引きちぎり可能に連結しておくのが望ましい。また、前記内外二重の壁部の内側壁部の外面又は内面には、複数本の縦溝を設けておくのが好ましく、そのうちの一本は、ヒンジの幅方向の中心に合致させておくことが最も効果的である。
【発明の効果】
【0008】
ベースキャップの平面視においてその径方向の中心とヒンジの幅方向の中心を結ぶ直線を基準線とした場合において、該基準線とのなす角度が少なくとも片側で40°、両側で80°の範囲に、前記ベースキャップの周壁を内外二重の壁部とする隙間を設けることが望ましいとともに、内外二重の壁部のうちの外側壁部の上端に前記ヒンジの連結部を形成しておくことにより、蓋体を引き上げるだけで内外二重の壁部が相互に離反してその部位における嵌合強度を低下させることが可能となり注出栓を容器から簡単に取り外すことができる。
【0009】
内外二重の壁部のうちの内側壁部(外面及び内面の少なくとも一方)に縦溝を設けておくことで、外側壁部が内側壁部から離反した際に該内側壁部の、口頚部に対する嵌合強度がより一層低下する。
【0010】
縦溝を設けるに当たって該縦溝をヒンジの幅方向の中心に合致させておくことで、注出栓の取り外しにかかる力が該縦溝に集中することとなり、より小さな力で注出栓の取り外しが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明にしたがう注出栓の実施の形態を断面で示した図である。
【図2】図1に示した注出栓の底面を示した図である。
【図3】図1に示した注出栓の取り外し状況を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図1、2は、プルリングを引張ることにより閉塞壁を引きちぎって注出開口を形成するバージンタイプの注出栓を本発明に適用した場合の実施の形態を示した図であり、図1は、側面を断面で示した図であり、図2は、図1の底面を示した図である。
【0013】
図における符号1は、ベースキャップである。このベースキャップ1は、天壁1aにおいて起立して内容物の注出経路を形成する注出筒1bと、該天壁1aの下面に垂下される同心二重配置の内筒1c、外筒1dからなっており、該内筒1c、外筒1dの相互間には下向きに開放された環状溝mが形成されていて、打栓により環状溝mに容器の口頚部の先端が嵌入、アンダーカット係合することによって固定保持される。
【0014】
2は、注出筒1bの内側に弱化部1b1を介して一体連結した密封障壁、3は密封障壁2の縁部に設けられた支柱、4は支柱3の上端に設けられたプルリングである。このプルリング4を引っ張り密封障壁2を弱化部1b1に沿って引きちぎることにより例えば図2に示す如き菱形形状の注出経路を形成する。
【0015】
また、5は、ヒンジhを介して開閉可能に連結する蓋体である。この蓋体5は、ベースキャップ1の天壁1aに当接可能な下端部を有する周壁5aと、この周壁5aの上端に一体連結して下向きに解放された凹部を形成する天壁5bから構成されており、該天壁5bの裏面には、蓋体5の閉塞姿勢でもって注出筒1bの内側に嵌合するシール筒5cが設けられている。
【0016】
6は、ベースキャップ1の周壁を形成する外筒1dに設けられた隙間(空洞部)である。この隙間6は、ベースキャップ1の外筒1dを内外二重の壁部1d1、1d2(外側に位置する壁部を以下、外側壁部1d1で表示し、内側に位置する壁部を以下、内側壁部1d2で表示する。)とするものであり、ベースキャップ1の径方向中心Oとヒンジhの幅方向の中心h0とを結ぶ直線を基準線Lとした場合に、該基準線Lとのなす角度が少なくとも片側で40°、両側で80°の範囲で形成されている。この隙間5は、40°を超え、70°の範囲、両側で140°の範囲に延長することも可能であり、蓋体5とベースキャップ1とを一体的に連結するヒンジhの連結部は、外側壁部1d1の幅方向の中心の上端に存在している。
【0017】
7は、外側壁部1d1と内側壁部1d2とをその下端部で相互につなぐ弱化片である。この弱化片7は間隔をおいて複数本設けることもできるし、その全域を引きちぎり可能に薄肉化したものであってもよい。弱化片7は、外側壁部1d1と内側壁部1d2とをその下端部で連結した場合について図示したが、中間部分に設けてもよいし上端部に設けることもできる。
【0018】
8は、内側壁部1d2の内面の凸部(凸部と凸部を相互に係合させてアンダーカットを形成する部位)に形成した縦溝(あるいは切欠部でもよい。)である。この縦溝8は間隔をおいて複数本設けられており、そのうちの一本は、ヒンジhの幅方向の中心h0に合致しており、分別時に力が引張りにかかる力が集中して破断し易くなっている。なお、縦溝8は、ヒンジの幅方向に対して幅狭あるいは幅広に設けることができる。また、9は、蓋体5を開閉する際の内容物の飛散を防止(外筒1d上端部の頂壁に溜まった内容物の飛散を防止する。)するための溝である。この溝9は、外筒1dの上端部の縁に一体的に設けられた周壁1d3によって形成されていて、ヒンジの幅方向に対して幅狭あるいは幅広に設けることができる。
【0019】
本発明にしたがう注出栓は、基本的には単一の部材から構成されるものであって、ベースキャップ1の外筒1dの80°〜140°の範囲に隙間6が設けられることになるが、それ以外の領域(280°〜220°)は比較的肉厚の壁部からなっているため、注出栓の打栓に際しては、容器の口頚部先端部に確実に固定保持される。
【0020】
容器の廃棄に際して注出栓を取り外して分別回収するに当たっては、蓋体5を把持して図3に示す如く該蓋体5を上方に向けて引張り上げればよく、これにより、弱化片7が引きちぎられ外側壁部1d1は蓋体5とともに引き上げられ、容器の口頚部に対するベースキャップ1の嵌合力が低下することとなり、該注出栓が容器の口頚部から簡単に取り外される。
【0021】
特に、縦溝8をヒンジhの幅方向の中心h0に合致させておくことで蓋体5を引張り上げる際の力が該部位に集中し小さな力で注出栓を取り外すことができ廃棄処理が容易となる。
【0022】
打栓は、蓋体4を開放した状態で行うことができるが、蓋体4を閉じた状態で打栓することも可能であり、この点についてはとくに限定されない。
【0023】
本発明においては、プルリング4を引っ張ることにより密封障壁2を引きちぎって注出経路を形成するものを例として示したが、不正な開封を防止できるものであれば、図示のものには限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0024】
容器の口頚部において確実に固定することができ、容器の廃棄に際しては簡便に取り外し可能な注出栓が提供できる。
【符号の説明】
【0025】
1 ベースキャップ
1a 天壁
1b 注出筒
1c 内筒
1d 外筒
2 密封障壁
3 支柱
4 プルリング
5 蓋体
5a 周壁
5b 天壁
5c シール筒
6 隙間
7 弱化片
8 縦溝
9 溝
m 環状溝
h ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の注出経路を形成する注出筒を有し、下向きに開放された開口を有する環状溝を容器の口頚部先端に嵌合させて固定保持するベースキャップと、このベースキャップにヒンジを介して開閉可能に連結し閉姿勢を保持することによって前記ベースキャップの注出経路を封止する蓋体とを備えた注出栓であって、
前記ベースキャップの径方向の中心と前記ヒンジの幅方向の中心を結ぶ直線を基準線とした場合に、該基準線とのなす角度が少なくとも片側で40°、両側で80°の範囲に、前記ベースキャップの周壁を内外二重の壁部とする隙間を設け、
前記内外二重の壁部のうちの外側壁部の上端に前記ヒンジの連結部を有する、ことを特徴とする注出栓。
【請求項2】
前記内外二重の壁部は、弱化片を介して引きちぎり可能に連結してなる、請求項1記載の注出栓。
【請求項3】
前記内外二重の壁部の内側壁部の外面又は内面に、複数本の縦溝を設けた、請求項1又は2記載の注出栓。
【請求項4】
前記複数本の縦溝のうち、前記ヒンジの幅方向の中心に合致する縦溝を設けた、請求項1〜3の何れかに記載の注出栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−51592(P2012−51592A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194104(P2010−194104)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】