説明

注射制御装置

【課題】作業時間を節約でき、シリンジの注射量を精確に制御できる注射制御装置を提供する。
【解決手段】直線往復機構20は、電気制御ユニットを有する駆動源と、駆動源の作動を利用することによって直線往復運動を生じ、電気制御ユニットと電気的に接続する2つの導電接点を備える第1接触部を有する作動ロッド22を備える。注射機構30は、直線往復機構20の下方に位置し、少なくとも1つのシリンジ32および導電材料によって製造され、第1接触部と対応する第2接触部を備えるプッシュロッド33を有する注射ユニット31を備える。第2接触部は、第1接触部と第2接触部とが接触する時、電気制御ユニットへ信号を伝送し、注射ユニット31の注射量を制御するため、注射制御装置は作動ロッド22の変位量を正確に制御することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射制御装置に関し、主に、精密で正確な注射量の制御を行うことが可能な注射制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的な試薬の混合作業は、多種の溶液または試薬を混合する際、人為的に注射器を利用し、容器内で各種溶液または試薬をそれぞれ汲取りあるいは放置し、該容器を震動させて振り動かし、各種混合の溶液または試薬の調合を行うことができる。しかし、人為的な汲取り方式ではあまりにも緩慢であり、また、別の種類の溶液または試薬に変える場合、まず先に液を注入するシリンジの中を洗い、シリンジ内に残留する前に使用した溶液または試薬をきれいに取り除いた後、やっと別の溶液を汲取ることができる。ゆえに、作業時間が比較的長くなってしまう。また、人為的な方式を利用して溶液の汲取りを行う場合、必ず人間の目視によって溶液注射の深さを監視し、その後、注射量を換算しなければならず、そのため、シリンジの注射量を精確に制御することがより難しく、計算間違いによって溶液または試薬の混合比例が正しくなくなることも起こる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主要な目的は、作業時間の節約を可能とする注射制御装置を提供することにある。
そして、本発明のもう一つの目的は、シリンジの注射量を精確に制御することが可能な注射制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するために、注射制御装置は、直線往復機構および注射機構を備える。直線往復機構は駆動源と作動ロッドを有し、駆動源は電気制御ユニットを有し、作動ロッドは第1接触部を有する。第1接触部は2つの導電接点を有し、導電接点は前記電気制御ユニットと電気的に接続する。注射機構は一つ以上の注射ユニットを有し、各注射ユニットはプッシュロッドを有し、各プッシュロッドは導電材料により製造された第2接触部を有する。該第2接触部は、前記第1接触部と該第2接触部とが接触する時、電気制御ユニットへ信号を伝送し、前記注射ユニットの注射量を制御するために、前記注射装置は作動ロッドの変位量を正確に制御することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の構造および特徴を詳細に説明するために、以下により好ましい実施の形態を挙げ、図面と共に説明する。
図1は、本発明のより好ましい一実施例による注射制御装置の組合せの概略図である。
図2は、本発明の一実施例による注射制御装置の直線往復機構の組合せの斜視図である。
【0006】
図3は、本発明の一実施例による注射制御装置の直線往復機構の分解斜視図である。
図4は、本発明の一実施例による注射制御装置の直線往復機構の断面図である。
図5から図7は、本発明のより好ましい一実施例の作動を示す図である。
図1から図4を参照すると、本発明の一実施例による注射制御装置1は、台座10、連結ロッド11、直線往復機構20および注射機構30を備え、連結ロッド11はL形ロッドであり、一端は前記台座10に固定され、もう一端は前記直線往復機構20に接続して固定される。
【0007】
前記直線往復機構20は、本体21、駆動源(図示せず)および作動ロッド22を有する。本実施例において、該直線往復機構20は電動シリンダであり、本体21は中空体となり、前記駆動源は該本体21の中にモータを内蔵するものとしてなる。作動ロッド22は、前記本体21内にねじ棒構造を有し、前記駆動モータと螺接する。前記作動ロッド22は、駆動源の作動を利用し、直線往復運動を生じることができる。前記直線往復機構20には、気圧シリンダ、油圧シリンダまたはその他発動機構を採用することもできる。このほか、前記駆動源は電気制御ユニット(図示せず)および電気的接続ユニット23を有し、電気制御ユニットは駆動源が作動するかどうかを制御するために用いられる。前記電気的接続ユニット23は、2つの導電電線であり、前記電気制御ユニットと電気的に接続する。作動ロッド22は、本体21の一端で連接し、第1部分221および第2部分222を有し、第1部分221の一端は周囲が外ねじ山223に取り巻かれ、第2部分222の一端はおよそ中心部に孔224を有する。該孔224の内部は内ねじ山225を有し、該内ねじ山225は前記第1部分221と前記第2部分222とを互いに連接させる。該第2部分222のもう一端は第1接触部24を有し、且つ該第1接触部24の両側にそれぞれ収容溝241が設けられ、2つの導電接点242を収容するために用いられる。該導電接点242は、導電銅片であり、2つの連接部材243によってそれぞれ前記2つの導電接点242を第1接触部24に固定し、前記第1接触部24の底面にわずかに突出する。また、前記2つの導電接点242は、それぞれ前記電気的接続ユニット23の導電電線に連接する。別の作動ロッド22の第2部分222の胴部に第1掛着部材25が套設され、前記本体21の胴部には第2掛着部材26が設けられている。引伸ばしばね231は一端のフックが前記第2掛着部材26に掛けられ、該引伸ばしばね231の作用を施されていない正常の全長は第1掛着部材25と第2掛着部材26との間の距離より短い。前記電気的接続ユニット23の各導電電線の一端は前記2つの導電接点242で連接し、前記電気的接続ユニット23は前記2つの導電接点242より接続して出て、前記第1掛着部材25を通って前記引伸ばしばね231のもう一端のフックに巻き付いた後、前記電気制御ユニットに連接する。該電気的接続ユニット23を利用し、懸架方式によって前記引伸ばしばね231を掛ける設計とし、前記駆動源が前記作動ロッド22を駆動し、下方へと直線変位するようにさせる時、前記電気的接続ユニット23は張力が無いために垂下状態をなし、前記注射機構30の構成部材と容易にからみつき、引っ張られて切れてしまうような状況を発生しないようにする。
【0008】
前記注射機構30は支え台40により前記台座10に固定され、且つ前記注射機構30は前記直線往復機構20の下方に位置する。前記注射機構30は回転板35および該回転板35の周囲を取り巻くように設けられている多数の受け台36を有し、前記回転板35はモータの駆動回転を受ける。さらに、多数の注射ユニット31を有し、前記各注射ユニット31はシリンジ32およびプッシュロッド33を有し、該各シリンジ32は前記受け台36に設置されている。前記プッシュロッド33は第1端331および第2端332を有し、第1端331は前記シリンジ32の内部に位置し、また、該第1端332の両側は前記シリンジ32の内壁と相互接触する。第2端332は前記シリンジ32の外に露出し、且つ該第2端332は第2接触部34を有し、該第2接触部34は導電材料によって製造される。本実施例において、前記回転板35は前記支え台40に相対し、回転往復変位の方式を行い、必要な注射ユニット31を前記直線往復機構20の下方へと移動させる。
【0009】
図5から図7を参照すると、本発明のより好ましい一実施例の作動方式は、まず先に必要な注射ユニット31を直線往復機構20の下方へと移動させ(図5に示す)、次に、駆動源によって作動ロッド22を駆動し、下方へと直線変位を行うようにさせ、第1接触部24の2つの導電接点242は前記注射ユニット31の第2接触部34(図6に示す)に接触し、このとき、該2つの導電接点242は導電材料によって製造された第2接触部34に接合して電性ON状態を形成し、この信号は電気的接続ユニット23によって電気制御ユニットに伝送される。該電気制御ユニットはこの時点を注射量の開始点とし、また、前記駆動源は必要な注射量に基づいて前記作動ロッド22の変位量を制御する。例えば、必要な溶液注射量を10立方単位とし、シリンジの面積を2平方単位とすると、該シリンジのプッシュロッドは5単位の変位を必要とする。このとき、前記直線往復機構は、前記第1接触部と前記第2接触部とが相互接触した時点より5個単位の変位量を計算し始める。
【0010】
前記直線往復機構は、前記第1接触部24と前記第2接触部34とが相互接触する時、信号を前記電気制御ユニットへと伝送し、必要な変位量の計算を始める。したがって、別の注射ユニット31に交換する場合、異なる注射ユニット31のプッシュロッド33の高さに基づいて前記作動ロッド22の変位量を制御することが可能であり、各注射ユニット31の注射量を正確に制御するために、精確に注射量を制御することが難しい人為的な方式を利用した溶液汲取りの欠点を改善し、作業時間を節約することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のより好ましい一実施例による注射制御装置の組合せの概略図である。
【図2】本発明の一実施例による注射制御装置の直線往復機構の組合せの斜視図である。
【図3】本発明の一実施例による注射制御装置の直線往復機構の分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施例による注射制御装置の直線往復機構の断面図である。
【図5】本発明のより好ましい一実施例による注射制御装置の作動を示す図である。
【図6】本発明のより好ましい一実施例による注射制御装置の作動を示す図である。
【図7】本発明のより好ましい一実施例による注射制御装置の作動を示す図である。
【符号の説明】
【0012】
1 注射制御装置、10 台座、11 連結ロッド、20 直線往復機構、21 本体、22 作動ロッド、23 電気的接続ユニット、24 第1接触部、25 第1掛着部材、26 第2掛着部材、30 注射機構、31 注射ユニット、32 シリンジ、33 プッシュロッド、34 第2接触部、35 回転板、36 受け台、40 支え台、221 第1部分、222 第2部分、223 外ねじ山、224 孔、225 内ねじ山、231 ばね、241 収容溝、242 導電接点、243 連結部材、331 第1端、332 第2端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気制御ユニットを有する駆動源と、
駆動源の作動を利用することによって直線往復運動を生じ、前記電気制御ユニットと電気的に接続する2つの導電接点を備える第1接触部を有する作動ロッドを備える直線往復機構と、
前記直線往復機構の下方に位置し、少なくとも1つのシリンジおよび導電材料によって製造され、前記第1接触部と対応する第2接触部を備えるプッシュロッドを有する注射ユニットを備える注射機構と、
を含むことを特徴とする注射制御装置。
【請求項2】
前記導電接点は、導電銅片であることを特徴とする請求項1記載の注射制御装置。
【請求項3】
前記注射機構は、複数の注射ユニットを備え、回転または直線往復変位の方式を利用することによって異なる注射ユニットへの変換が可能であることを特徴とする請求項1記載の注射制御装置。
【請求項4】
前記直線往復機構は、電動シリンダであり、中空体としてなる本体を有し、前記駆動源は前記本体の中に内蔵されているモータであって、前記作動ロッドは前記本体内に設けられ、前記駆動モータと螺接するねじ棒構造を備え、駆動源の作動を利用することにより直線往復運動を生じることが可能であることを特徴とする請求項1記載の注射制御装置。
【請求項5】
前記作動ロッドは、第1部分と第2部分とを有し、第1部分の一端の外側に外ねじ山があり、第二部分の一端のほぼ中心部に孔があり、前記孔の内部は内ねじ山を有し、前記第1部分の外ねじ山と螺合することが可能で、前記第1部分と前記第2部分とを互いに連接させ、前記第2部分のもう一端に第1接触部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の注射制御装置。
【請求項6】
前記第1接触部の両側には、それぞれ前記導電接点を収容するために用いられ、2つの連接部材によってそれぞれ2つの前記導電接点を前記第1接触部に固定し、前記第1接触部の底面にわずかに突出する収容溝が設けられていることを特徴とする請求項1記載の注射制御装置。
【請求項7】
2つの前記導電接点は、電気的接続ユニットを利用することによって前記電気制御ユニットと電気的に接続し、前記電気的接続ユニットは2つの導電電線であって、各前記導電電線はそれぞれ各前記導電接点と電気的に接続することを特徴とする請求項4記載の注射制御装置。
【請求項8】
前記作動ロッドの胴部に第1掛着部材が套設され、前記本体の胴部に第2掛着部材が設けられ、一端のフックが前記第2掛着部材に掛けられ、作用を施されていない正常の全長が第1掛着部材と第2掛着部材との間の距離より短い引伸ばしばねが設けられ、各前記導電電線は2つの前記導電接点より接続して出た後、前記第1掛着部材を通り、前記引伸ばしばねのもう一端のフックに巻き付いて前記電気制御ユニットに連接し、回転板はモータの駆動回転を受けることが可能で、多数の注射ユニットが設けられ、各前記シリンジは前記受け台に設置されていることを特徴とする請求項7記載の注射制御装置。
【請求項9】
前記注射機構は、回転板および前記回転板の周囲を取り巻くように設けられている多数の受け台を有し、前記回転板はモータの駆動回転を受けることが可能で、多数の注射ユニットを有し、各前記注射ユニットは前記受け台に設置されていることを特徴とする請求項1記載の注射制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−68936(P2007−68936A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−292332(P2005−292332)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(505054357)高僑自動化科技股▲分▼有限公司 (10)
【Fターム(参考)】