説明

注文管理システム、制御装置及び伝票印字制御方法

【課題】プリンタに大容量の不揮発メモリを搭載する必要なく、プリンタの電源断が発生した場合であっても、コントローラに入力された注文の順に伝票を印字する。
【解決手段】プリンタ30は、コントローラ20から伝票印字データと識別コードを受信すると、識別コードを不揮発メモリに保存し、伝票印字データの印字が完了後に識別コードを不揮発メモリから削除する。プリンタ30は、電源断の発生後、再び電源が投入されると、不揮発メモリに記憶されている識別コードをコントローラ20へ送信する。コントローラ20は、プリンタ30から受信した識別コードにより特定される注文データから伝票印字データを生成する。コントローラ20は、プリンタ30の電源断の発生中に受信した注文データから生成した伝票印字データよりも、プリンタ30から通知された識別コードで特定される注文データから生成した伝票印字データを優先してプリンタ30に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外食産業等に用いられる注文管理システム、制御装置及び伝票印字制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ファミリーレストランや居酒屋などの外食産業では、注文管理システムを導入している。注文管理システムでは、接客担当の店員がハンディーターミナルにお客様の注文を入力すると、ハンディーターミナルは、入力された注文内容を無線によってコントローラへ送信する。コントローラは、受信した注文内容の伝票(調理伝票)を印字させるための印字データをプリンタへ送信する。プリンタは、コントローラから受信した印字データを印字し、厨房のスタッフは、印字された伝票によって注文内容を確認し、注文された料理の調理を行う。
【0003】
伝票を印字するプリンタでは、印字データを受信してから印字を完了するまでに時間がかかる。そのため、コントローラからの印字データの送信が正常に完了したとしても、印字が完了するまでの間に何らかの原因によりプリンタの電源断が発生した場合、受信した印字データが消えて伝票を印字できず、厨房のスタッフが注文された料理を調理できないことがある。
【0004】
その対策として、例えば、プリンタが、受信した印字データをデータバックアップ付きメモリに保持しておき、電源がオフになっても印字データが消えないようにしておくことが考えられる。プリンタは、電源が再投入されると、メモリに保持していた印字データを読み出して印字する。しかし、印字データに手書き文字の画像データやロゴマークなどの画像データが含まれていた場合、印字データのデータ量が大きくなる。よって、バックアップのために大容量の不揮発メモリが必要となり、プリンタのコストが高くなってしまう。
【0005】
そこで、特許文献1では、注文管理システムのプリンタが、電源断等によって印字データを印字できなかった場合、電源が再投入されたときにコントローラへ印字データの再送を要求し、この要求に対応してコントローラから再送された印字データを印字している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−102331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、コントローラは、印字データを特定するデータ特定情報、例えば、伝票番号を印字データに付加してプリンタに送信している。プリンタは、伝票の印字データを受信すると、その印字データに付加されたデータ特定情報をデータバックアップ付きメモリに保存し、印字完了後にメモリから削除する。プリンタは、印字データの印字完了前に電源断が発生し、再び電源が投入されてコントローラと接続できる状態になったときには、メモリに保存しているデータ特定情報を設定したリカバリ印字要求コマンドをコントローラに送信する。コントローラは、リカバリ印字要求コマンドに設定されているデータ特定情報により特定される印字データをプリンタに再送信する。これにより、プリンタに大きなメモリ容量の不揮発メモリを備える必要がないため、プリンタのコストを抑えながら、電源断によって印字されない伝票が発生しないようにすることができる。
【0008】
しかし、通常コントローラは、送信対象の印字データが複数ある場合、印字データの送信トリガの発生順に送信を行う。そのため、コントローラは、プリンタにおける電源断の発生後、印字データの再送要求(リカバリ印字要求コマンド)を受信するまでの間に送信できなかった伝票印字データを、再送が要求された印字データよりも先にプリンタに送信してしまうことがある。
【0009】
例えば、図33に示すように、ハンディーターミナルがコントローラへ注文1を送信すると、コントローラは、注文1の伝票を印字させるための伝票1印字データをプリンタに送信する。プリンタは、伝票1印字データの受信応答を返送し、伝票1を印字する。さらに、ハンディーターミナルがコントローラへ注文2、注文3を送信すると、コントローラは注文2、注文3の伝票を印字させるための伝票2印字データ、伝票3印字データをプリンタに送信する。プリンタが受信応答をコントローラに返送した後、伝票2の印字が完了する前に電源断が発生しても、ハンディーターミナルからはさらに注文4、注文5がコントローラへ送信され、コントローラは注文4、注文5から伝票4印字データ、伝票5印字データを生成する。しかし、コントローラは、伝票4印字データをプリンタへ送信しても、受信応答が返送されないため、伝票4印字データを繰り返し再送する。
【0010】
プリンタの電源が再投入されると、プリンタは接続要求をコントローラへ送信するとともに、印字が完了していないことを検出した伝票2印字データ及び伝票3印字データの再送要求をコントローラへ送信する。しかし、コントローラが、接続要求に対する応答を返送した時点で、伝票4印字データ、伝票5印字データをプリンタに送信してしまい、その後に、再送が要求された伝票2印字データ及び伝票3印字データを送信することがある。これによって、プリンタは、後から発生した注文4、注文5の伝票を、その前に発生した注文2、注文3の伝票よりも先に印字する。その結果、厨房では、注文順に調理が行われず、後から注文を受けたお客様へ先に注文を受けたお客様より早く料理を提供してしまうことがある。
【0011】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、プリンタに大容量の不揮発メモリを搭載する必要なく、プリンタの電源断が発生した場合であっても、注文の発生順に伝票を印字することができる注文管理システム、制御装置及び伝票印字制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様は、制御装置及び印字装置を有する注文管理システムであって、制御装置及び印字装置を有する注文管理システムであって、前記制御装置は、注文を入力する装置から注文データを受信する注文受信部と、前記注文受信部が受信した注文データと当該注文データが示す注文の注文時刻とを記憶部に登録する注文処理部と、前記注文受信部が受信した注文データに基づいて伝票の印字データを生成するとともに当該印字データを識別する識別情報を生成して当該識別情報を前記注文データと対応付けて前記記憶部に登録し、前記印字データ及び前記識別情報を前記印字装置へ送信し、送信した前記印字データ及び前記識別情報に対応して前記印字装置から受信応答を受信する伝票処理部と、前記印字装置から再送対象の前記印字データの識別情報を受信し、受信した前記識別情報により特定される前記印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する伝票再発行処理部と、を備え、前記印字装置は、印字を行う印字部と、印字が完了していない印字データの識別情報を記憶する不揮発メモリと、前記制御装置から前記印字データ及び当該印字データの識別情報を受信し、受信応答を返送する受信部と、前記受信部が受信した前記印字データの識別情報を、受信した順に前記不揮発メモリに書き込む登録部と、前記受信部が受信した前記印字データを前記印字部に印字させる印字処理部と、印字が完了した前記印字データの識別情報を前記不揮発メモリから削除する削除部と、当該印字装置の電源が投入されたときに、前記不揮発メモリに記憶されている前記印字データの識別情報を再送対象として前記制御装置に送信する未印字伝票通知部と、を備える、ことを特徴とする注文管理システムである。
【0013】
また、本発明の一態様は、上述した注文管理システムであって、前記伝票再発行処理部は、受信した前記識別情報により特定される前記印字データに、再送を示す情報を印字させるデータを付加した印字データを生成し、生成した前記印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様は、上述した注文管理システムであって、前記伝票再発行処理部は、受信した前記識別情報により特定される前記印字データにより印字される伝票に、再送を示す情報を示すヘッダを付加した印字データを生成し、生成した前記印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様は、上述した注文管理システムであって、再送を示す前記情報は、受信した前記識別情報により特定される前記印字データの生成元となった前記注文データが示す注文の注文時刻からの経過時間である、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様は、上述した注文管理システムであって、前記印字装置は、前記未印字伝票通知部が送信した前記印字データの識別情報に対応して前記制御装置から受信した前記印字データに、再送された印字データによる印字であることを示す情報を印字させる印字データを付加する印字情報付加部をさらに備える、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様は、上述した注文管理システムであって、前記印字データは、前記注文データが示す注文の明細を単一の伝票として印字させる短冊印字データを1以上含み、前記印字装置は、前記印字部が前記印字データに含まれる前記短冊印字データの印字を完了した数である印字完了数を、当該印字データの識別情報と対応付けて前記不揮発メモリに書き込む更新部をさらに備え、前記印字情報付加部は、前記未印字伝票通知部が送信した前記印字データの識別情報に対応して再送された前記印字データに、当該印字データの識別情報に対応して前記不揮発メモリに記憶されている前記印字完了数に基づく情報を印字させる印字データを追加する、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様は、上述した注文管理システムであって、前記印字情報付加部は、前記再送された前記印字データに含まれる前記短冊印字データに、当該印字データの識別情報に対応して前記不揮発メモリに記憶されている前記印字完了数に基づいて、再印字であることを示す情報あるいは未印字であることを示す情報を印字させる印字データを追加する、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の一態様は、上述した注文管理システムであって、前記印字データは、前記注文データが示す注文の明細を単一の伝票として印字させる短冊印字データを1以上含み、前記印字装置は、前記印字部が前記印字データに含まれる前記短冊印字データの印字を完了した数である印字完了数を、当該印字データの識別情報と対応付けて前記不揮発メモリに書き込む更新部をさらに備え、前記未印字伝票通知部は、前記印字装置の電源が投入されたときに、前記不揮発メモリに記憶されている前記印字データの識別情報及び前記印字完了数を前記制御装置に送信し、前記伝票再発行処理部は、前記印字装置から受信した前記印字データの識別情報及び前記印字完了数を受信し、受信した前記識別情報により特定される前記印字データに含まれる短冊印字データのうち、受信した前記印字完了数から印字されていないと判断される短冊印字データのみを含む印字データを生成し、生成した印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する、ことを特徴とする。
【0020】
なお、上述した注文管理システムにおいて、前記印字データは、前記短冊印字データの間に紙の切断を指示するコマンドを含み、前記更新部は、前記印字データの識別情報と対応付けて、前記印字部が当該印字データに含まれる前記コマンドが実行された数を前記印字完了数として前記不揮発メモリに書き込む、ようにしてもよい。
【0021】
また、本発明の一態様は、上述した注文管理システムであって、前記伝票処理部は、前記注文受信部が受信した注文データに基づいて複数種類の伝票の印字データを生成するとともに当該印字データそれぞれを識別する識別情報を生成し、前記注文データと前記伝票の伝票番号と前記印字データそれぞれの識別情報とを対応付けて前記記憶部に登録し、前記印字データ及び当該印字データの識別情報の組それぞれを、当該印字データの伝票の種類に対応した前記印字装置へ送信し、送信した前記印字データ及び前記識別情報に対応して前記印字装置から受信応答を受信し、前記伝票再発行処理部は、前記印字装置から再送対象の伝票の伝票番号を受信し、受信した前記伝票番号により特定される前記注文データに基づいて生成した前記複数の種類の印字データを前記印字装置に返送するとともに、返送した前記印字データの識別情報と再送済みを示す情報とを対応づけて前記記憶部に登録し、前記伝票処理部が再送対象の伝票の伝票番号を送信した前記印字装置とは異なる他の前記印字装置から前記識別情報を再送対象として受信し、受信した前記識別情報に対応して再送済みを示す情報が前記記憶部に登録されている場合、削除要求を前記他の印字装置に返送し、受信した前記識別情報に対応して再送済みを示す情報が前記記憶部に登録されていない場合、前記識別情報により特定される前記印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記他の印字装置に送信し、前記印字装置の未印字伝票通知部は、再発行対象の伝票の伝票番号を前記制御装置に送信し、前記他の印字装置の前記削除部は、前記未印字伝票通知部が送信した前記印字データの識別情報に対応して前記制御装置から削除要求を受信した場合、送信した前記識別情報を前記不揮発メモリから削除する、ことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の一態様は、制御装置及び印字装置を有する注文管理システムに用いられる前記制御装置であって、注文を入力する装置から注文データを受信する注文受信部と、前記注文受信部が受信した注文データと当該注文データが示す注文の注文時刻とを記憶部に登録する注文処理部と、前記注文受信部が受信した注文データに基づいて伝票の印字データを生成するとともに当該印字データを識別する識別情報を生成して当該識別情報を前記注文データと対応付けて前記記憶部に登録し、前記印字データ及び前記識別情報を前記印字装置へ送信し、送信した前記印字データ及び前記識別情報に対応して前記印字装置から受信応答を受信する伝票処理部と、前記印字装置から再送対象の前記印字データの識別情報を受信し、受信した前記識別情報により特定される前記印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する伝票再発行処理部と、を備えることを特徴とする制御装置である。
【0023】
また、本発明の一態様は、制御装置及び印字装置を有する注文管理システムに用いられる伝票印字制御方法であって、前記制御装置において、注文受信部が、注文を入力する装置から注文データを受信する注文受信過程と、注文処理部が、前記注文受信部が受信した注文データと当該注文データが示す注文の注文時刻とを記憶部に登録する注文処理過程と、伝票処理部が、前記注文受信過程において受信した注文データに基づいて伝票の印字データを生成するとともに当該印字データを識別する識別情報を生成して当該識別情報を前記注文データと対応付けて前記記憶部に登録し、前記印字データ及び前記識別情報を前記印字装置へ送信する印字データ送信過程と、前記伝票処理部が、送信した前記印字データ及び前記識別情報に対応して前記印字装置から受信応答を受信する応答受信過程と、伝票再発行処理部が、前記印字装置から再送対象の前記印字データの識別情報を受信し、受信した前記識別情報により特定される前記印字データを、前記印字データ送信過程における送信後に前記応答受信過程において受信応答を受信していない前記印字データ及び前記印字データ送信過程において送信を行っていない前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する伝票再発行過程と、前記印字装置において、受信部が、前記制御装置から前記印字データ及び当該印字データの識別情報を受信し、受信応答を返送する受信過程と、登録部が、前記受信過程において受信した前記印字データの識別情報を、受信した順に不揮発メモリに書き込む登録過程と、印字処理部が、前記受信過程において受信した前記印字データを印字部に印字させる印字処理過程と、削除部が、印字が完了した前記印字データの識別情報を前記不揮発メモリから削除する削除過程と、未印字伝票通知部が、当該印字装置の電源が投入されたときに、前記不揮発メモリに記憶されている前記印字データの識別情報を再送対象として前記制御装置に送信する未印字伝票通知過程と、を有することを特徴とする伝票印字制御方法である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、プリンタに大容量の不揮発メモリを搭載する必要なく、プリンタの電源断が発生した場合であっても、注文の発生順に伝票を印字することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態による注文管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態によるコントローラの内部構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態によるプリンタの内部構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態による注文管理システムにおいて異なる対象をプリンタに印字させる場合のシーケンス図である。
【図5】同実施形態による注文管理システムにおいて正常に伝票の印字が完了する場合のシーケンス図である。
【図6】図5の続きのシーケンス図である。
【図7】同実施形態による注文管理システムにおいて伝票印字中にプリンタの電源断が発生したときのシーケンス図である。
【図8】図7の続きのシーケンス図である。
【図9】同実施形態によるプリンタの電源起動時の処理フローである。
【図10】同実施形態によるコントローラの注文処理フローである。
【図11】第2の実施形態によるプリンタの内部構成を示すブロック図である。
【図12】同実施形態による注文管理システムにおいて正常に伝票の印字が完了する場合のシーケンス図である。
【図13】図12の続きのシーケンス図である。
【図14】同実施形態において正常に印字が完了した伝票の出力例を示す図である。
【図15】同実施形態による注文管理システムにおいて伝票印字中にプリンタの電源断が発生したときのシーケンス図である。
【図16】同実施形態において再送された伝票印字データに基づく伝票の出力例を示す図である。
【図17】第3の実施形態によるコントローラの内部構成を示すブロック図である。
【図18】同実施形態によるプリンタの内部構成を示すブロック図である。
【図19】同実施形態による注文管理システムにおいて伝票印字中にプリンタの電源断が発生したときのシーケンス図である。
【図20】同実施形態において再送された伝票印字データに基づく伝票の出力例を示す図である。
【図21】第4の実施形態によるコントローラの内部構成を示すブロック図である。
【図22】同実施形態のコントローラの注文処理フローを示す図である。
【図23】同実施形態において再送された伝票印字データに基づく伝票の出力例を示す図である。
【図24】第5の実施形態によるコントローラの内部構成を示すブロック図である。
【図25】同実施形態によるプリンタの内部構成を示すブロック図である。
【図26】同実施形態による他のプリンタの内部構成を示すブロック図である。
【図27】同実施形態による注文管理システムにおいて伝票印字中にプリンタの電源断が発生したときのシーケンス図である。
【図28】図27の続きのシーケンス図である。
【図29】図28の続きのシーケンス図である。
【図30】図29の続きのシーケンス図である。
【図31】図30の続きのシーケンス図である。
【図32】同実施形態によるコントローラの注文処理フローである。
【図33】従来の注文管理装置のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0027】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態による注文管理システムの全体構成を示す図である。同図に示すように、注文管理システムは、ハンディーターミナル10、コントローラ20(制御装置)、及び、プリンタ30(印字装置)を備えて構成される。同図においては、ハンディーターミナル10及びプリンタ30をそれぞれ1台のみ示しているが、複数台が備えられていてもよい。また、コントローラ20への通信を中継するため、店舗内に、図示しない中継装置を配置してもよい。
コントローラ20は、ハンディーターミナル10及びプリンタ30と無線により通信する。なお、同図において、コントローラ20とハンディーターミナル10の通信及びコントローラ20とプリンタ30の通信には無線を使用しているが、有線による通信であってもよい。また同図には含まれないが、ハンディーターミナル10の代わりに据え置き型の入力端末でもよい。
【0028】
飲食店において接客担当者は、お客様のテーブル番号、注文された料理や飲み物、食事セットなどの注文品とその注文数量、接客担当を特定する担当識別情報、お客様の人数や客層などをハンディーターミナル10へ入力する。ハンディーターミナル10は、それらの入力内容を設定した注文データをコントローラ20へ送信する。
コントローラ20は、注文データに基づいて調理伝票等の伝票を印字させるための印字データ(以下、「伝票印字データ」と記載する。)を生成し、プリンタ30へ送信する。
プリンタ30は、コントローラ20から受信した伝票印字データを印字する。なお、コントローラ20は、伝票印字データ以外の印字データをプリンタ30へ送信することもある。
【0029】
図2は、図1に示すコントローラ20の内部構成を示すブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。同図に示すように、コントローラ20は、第1送受信部21、処理部22、記憶部23及び第2送受信部24を備えて構成される。
【0030】
第1送受信部21は、ハンディーターミナル10との間で無線(または有線)によりデータの送受信を行う。第2送受信部24は、プリンタ30との間で無線(または有線)によりデータの送受信を行う。なお、図2においては、第1送受信部21と第2送受信部24を別々に記載しているが、ハードウエアとしては同一であってもよい。
記憶部23は、注文管理データと、送信が完了していない印字データとを記憶する。注文管理データは、注文データと、注文時刻と、伝票番号と、注文データから生成された伝票印字データを特定する識別コードとを対応付けたデータである。伝票番号は、コントローラ20がハンディーターミナル10から受信した注文データを識別可能に、且つ、受信した順番を特定可能に、コントローラ20により注文データ毎に生成される番号である。伝票印字データの識別コードは、コントローラ20により生成され、伝票印字データごとに割り振られるユニークなコードである。重複を避けるために、その一例として、伝票番号に日付情報や伝票の種類に関する情報などを加えたものなどが使用される。伝票印字データ以外の印字データの場合、識別コードは所定の値をとる。注文データは、接客担当者を特定する担当者コード、お客様が利用しているテーブルのテーブル番号、明細データを含む。明細データは、注文品毎に生成され、注文品とその注文数量を含む注文の明細を示す。従って、注文データには、1以上の明細データが含まれる。
【0031】
処理部22は、印字要求受信部220(注文受信部)、注文処理部221、伝票処理部222、伝票再発行処理部223及び印字データ生成部224を備えて構成される。
印字要求受信部220は、他の装置から送信された印字要求を受信する。
注文処理部221は、記憶部23に記憶されている注文管理データに、ハンディーターミナル10から受信した注文データと、注文時刻とを対応付けて追加登録する。注文時刻は、コントローラ20が注文データを受信した時刻でもよく、ハンディーターミナル10が注文データに付加してコントローラ20へ送信した注文時刻でもよい。
【0032】
伝票処理部222は、受信した注文データに対して伝票番号を割り当てる。また、伝票処理部222は、注文データから伝票印字データを生成し、識別コードを割り当てる。伝票処理部222は、記憶部23に記憶されている注文管理データに、伝票印字データの生成に用いた注文データと対応付けて割り当てた伝票番号及び識別コードを書き込むとともに、生成した伝票印字データと割り当てた識別コードとをプリンタ30に送信するよう第2送受信部24に指示する。
【0033】
伝票再発行処理部223は、第2送受信部24がプリンタ30から受信した接続要求に識別コードが設定されている場合、記憶部23に記憶されている注文管理データを検索して当該識別コードに対応した注文データを特定する。伝票再発行処理部223は、特定した注文データから伝票印字データを生成し、生成した伝票印字データと当該伝票印字データの識別コードを接続要求の送信元のプリンタ30に送信するよう第2送受信部24へ指示する。
印字データ生成部224は、伝票印字データ以外の各種印字データを生成し、生成した印字データと、伝票印字データではないことを示す識別コードとをプリンタ30に送信するよう第2送受信部24に指示する。
【0034】
図3は、図1に示すプリンタ30の内部構成を示すブロック図あり、本実施形態と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。同図に示すように、プリンタ30は、送受信部31(受信部)、処理部32、揮発メモリ33、不揮発メモリ34、印字部35及びカッター部36を備えて構成される。
【0035】
送受信部31は、コントローラ20との間で無線(または有線)によりデータの送受信を行う。揮発メモリ33は、コントローラ20から受信した印字データと、当該印字データの識別コードとを対応付けて記憶する。不揮発メモリ34は、例えば、バックアップ電池付きRAM(Random Access Memory)や、書き込み及び消去が可能なフラッシュROM(Read Only Memory)などである。不揮発メモリ34は、印字が完了していない伝票印字データの識別コードを記憶する。印字部35は、ロール紙への印字を行う。カッター部36は、ロール紙の未印字の部分から、印字された部分の紙をカットする。
【0036】
処理部32は、通信処理部321(未印字伝票通知部)、記憶処理部322及び印字処理部323を備えて構成される。
通信処理部321は、プリンタ30の図示しない電源が投入されたときに、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されている場合、当該識別コードと接続要求をコントローラ20へ送信するよう送受信部31に指示する。不揮発メモリ34に識別コードが記憶されていない場合、接続要求のみをコントローラ20へ送信するよう送受信部31に指示する。
記憶処理部322は、登録部324及び削除部325を備える。登録部324は、送受信部31を介してコントローラ20から受信した印字データとその識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込む。また、登録部324は、未印字の伝票印字データの識別コードを不揮発メモリ34に書き込む。削除部325は、印字が完了した伝票印字データとその識別コードを揮発メモリ33から削除するとともに、印字が完了した伝票印字データの識別コードを不揮発メモリ34から削除する。
印字処理部323は、揮発メモリ33から読み出した印字データを印字するよう印字部35に指示する。また、印字処理部323は、印字完了後にロール紙をカットするようカッター部36に指示するとともに、印字の完了を記憶処理部322へ通知する。
【0037】
図4は、プリンタ30に異なる対象を印字させる場合の注文管理システムのシーケンス図である。
同図において、コントローラ20の印字要求受信部220は、印字要求の受信待ち状態である(ステップS102)。印字要求受信部220が、第1送受信部21を介して他の装置から印字要求を受信すると(ステップS104)、要求された印字対象が伝票であるかを判断する(ステップS106)。
印字要求受信部220が、要求された印字対象が伝票であると判断した場合(ステップS106:YES)、伝票処理部222は、伝票番号及び識別コードを割り当て、注文データに基づいて伝票印字データを生成する(ステップS108)。ここでは、伝票処理部222は、伝票1の伝票印字データである伝票1印字データを生成する。
第2送受信部24は、伝票処理部222が生成した伝票1印字データと、伝票1印字データに割り当てた識別コードである伝票1識別コード「0123」とをプリンタ30へ送信する(ステップS110)。
【0038】
プリンタ30の通信処理部321は、送受信部31を介してコントローラ20から伝票1印字データ及び伝票1識別コードを受信すると(ステップS112)、受信した伝票1印字データ及び伝票1識別コードと保存依頼とを記憶処理部322に出力する(ステップS114)。
【0039】
記憶処理部322の登録部324は、伝票1印字データと伝票1識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込む。また、登録部324は、伝票1識別コードが不揮発メモリ34へ記憶する対象外の識別コード「0000」とは一致しないため、伝票1識別コードを不揮発メモリ34に書き込む(ステップS116)。登録部324は、書き込み終了を通信処理部321に通知し、通信処理部321は、コントローラ20へ応答を送信するよう送受信部31へ指示する(ステップS118)。
送受信部31は伝票1印字データの受信応答をコントローラ20へ送信する(ステップS120)。
【0040】
コントローラ20の印字要求受信部220は、第2送受信部24を介して伝票1印字データの受信応答を受信すると、ステップS102に戻り、再び印字要求の受信待ち状態となる。その一方、プリンタ30の登録部324は、印字処理部323に伝票1識別コードを設定した印字依頼を出力する(ステップS122)。印字処理部323は、印字依頼に設定されている伝票1識別コードで特定される伝票1印字データを揮発メモリ33から読み出し、伝票1印字データの印字を印字部35に実行させる(ステップS124)。
【0041】
コントローラ20の印字要求受信部220は、印字要求待ち状態に戻った後、再び、印字要求を受信する(ステップS104)。印字要求受信部220が、要求された印字対象がメニューシートであり、伝票ではないと判断した場合(ステップS106:NO)、印字データ生成部224は、メニューシート印字データを生成し、伝票印字データではないことを示す識別コード「0000」を割り当てる(ステップS126)。
第2送受信部24は、印字データ生成部224が生成したメニューシート印字データと、割り当てた識別コードとをプリンタ30に送信する(ステップS128)。
【0042】
プリンタ30の通信処理部321は、送受信部31を介してコントローラ20からメニューシート印字データ及び識別コードを受信すると(ステップS130)、受信したメニューシート及び識別コードと保存依頼とを記憶処理部322に出力する(ステップS132)。
【0043】
記憶処理部322の登録部324は、メニューシート印字データと識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込むが、識別コードが不揮発メモリ34へ記憶する対象外の識別コード「0000」と一致するため、不揮発メモリ34への書き込みは行わない(ステップS134)。登録部324は、書き込み終了を通信処理部321に通知し、通信処理部321は、コントローラ20へ応答を送信するよう送受信部31へ指示する(ステップS136)。
送受信部31はメニューシート印字データの受信応答をコントローラ20へ送信する(ステップS138)。
【0044】
コントローラ20の印字要求受信部220は、第2送受信部24を介してメニューシート印字データの受信応答を受信すると、ステップS102に戻り、再び印字要求の受信待ち状態となる。その一方、プリンタ30の登録部324は、印字処理部323にメニューシート印字データの印字依頼を出力する(ステップS140)。印字処理部323は、メニューシート印字データを印字部35に印字させる(ステップS142)。
【0045】
図5は、プリンタ30の図示しない電源の投入後、正常に伝票の印字が完了する場合の注文管理システムのシーケンス図である。
同図において、プリンタ30の電源が投入されると(ステップS201)、処理部32の通信処理部321は、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されているかを判断する。通信処理部321は、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されていないため、接続要求の送信を送受信部31に指示する(ステップS202)。送受信部31は、接続要求をコントローラ20へ送信する(ステップS204)。
コントローラ20の第2送受信部24は、接続要求を受信してプリンタ30の起動を認識すると、プリンタ30へ接続応答を返送する(ステップS206)。
【0046】
コントローラ20は、ハンディーターミナル10から注文データを受信し、伝票1の伝票印字データである伝票1印字データと、伝票1識別コード「0001」とをプリンタ30へ送信する(ステップS208)。
【0047】
プリンタ30は、受信した伝票1印字データと伝票1識別コードについて、図4に示すステップS112〜S124の処理を実行する(ステップS210〜S222)。つまり、プリンタ30の通信処理部321は、送受信部31を介して伝票1印字データ及び伝票1識別コードを受信し、保存依頼とともに記憶処理部322へ出力する。
【0048】
記憶処理部322の登録部324は、伝票1印字データと伝票1識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込むとともに、伝票1識別コードを不揮発メモリ34に書き込み、送受信部31は伝票1印字データの受信応答をコントローラ20へ送信する。登録部324は、印字処理部323に伝票1識別コードを設定した印字依頼を出力し、印字処理部323は、伝票1印字データの印字を印字部35に実行させる。
【0049】
コントローラ20は、伝票1印字データの受信応答を受信した後、さらに、ハンディーターミナル10から注文データを受信し、伝票2の伝票印字データである伝票2印字データと、伝票2印字データ2の識別コードである伝票2識別コード「0002」とをプリンタ30へ送信する(ステップS224)。
【0050】
プリンタ30は、受信した伝票2印字データと伝票2識別コードについて、図4に示すステップS112〜S122の処理を実行する(ステップS226〜S236)。つまり、プリンタ30の通信処理部321は、送受信部31を介して伝票2印字データ及び伝票2識別コードを受信し、保存依頼とともに記憶処理部322へ出力する。
【0051】
記憶処理部322の登録部324は、伝票2印字データと伝票2識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込むとともに、伝票2識別コードを不揮発メモリ34に書き込み、送受信部31は伝票2印字データの受信応答をコントローラ20へ送信する。登録部324は、印字処理部323に伝票2識別コードを設定した印字依頼を出力する。印字処理部323は、伝票1印字データの印字処理が完了していないため、受信した印字依頼を記憶(バッファリング)しておく。
【0052】
図6は、図5の続きのシーケンス図である。同図のステップS222及びS236の処理は、図5のステップS222及びS236の処理を表している。
コントローラ20は、伝票2印字データの受信応答を受信した後、さらに、ハンディーターミナル10から注文データを受信し、伝票3の伝票印字データである伝票3印字データと、伝票3印字データの識別コードである伝票3識別コード「0003」とをプリンタ30へ送信する(ステップS252)。
【0053】
プリンタ30は、受信した伝票3印字データと伝票3識別コードについて、図4に示すステップS112〜S120の処理を実行する(ステップS254〜S262)。つまり、プリンタ30の通信処理部321が送受信部31を介して伝票3印字データ及び伝票3識別コードを受信し、保存依頼とともに記憶処理部322に出力する。
【0054】
記憶処理部322の登録部324は、伝票3印字データと伝票3識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込むとともに、伝票3識別コードを不揮発メモリ34に書き込み、送受信部31は伝票3印字データの受信応答をコントローラ20へ送信する。
【0055】
プリンタ30の印字部35が伝票1印字データの印字を完了すると、プリンタ30の印字処理部323は、記憶処理部322に伝票1印字データの印字完了応答を出力する(ステップS264)。記憶処理部322の削除部325は、伝票1印字データと伝票1識別コードを揮発メモリ33から削除するとともに、不揮発メモリ34から伝票1識別コードを削除する(ステップS266)。
【0056】
印字処理部323は、記憶していた印字依頼から伝票2識別コードを取得する。印字処理部323は、伝票2識別コードで特定される伝票2印字データを揮発メモリ33から読み出し、伝票2印字データの印字を印字部35に実行させる(ステップS268)。
【0057】
印字部35が伝票2印字データの印字を完了すると、印字処理部323は、記憶処理部322に伝票2印字データの印字完了応答を出力する(ステップS270)。記憶処理部322の削除部325は、伝票2印字データと伝票2識別コードを揮発メモリ33から削除するとともに、不揮発メモリ34から伝票2識別コードを削除する(ステップS272)。
【0058】
記憶処理部322の登録部324は、印字処理部323に伝票3識別コードを設定した印字依頼を出力する(ステップS274)。
印字処理部323は、伝票2印字データの印字完了応答の送信後、伝票3印字データの印字処理を印字部35に実行させる(ステップS276)。
印字部35が伝票3印字データの印字を完了すると、印字処理部323は、伝票3印字データの印字完了応答を記憶処理部322に出力する(ステップS278)。
記憶処理部322の削除部325は、伝票3印字データと伝票3識別コードを揮発メモリ33から削除するとともに、不揮発メモリ34から伝票3識別コードを削除する(ステップS280)。
【0059】
図7は、伝票印刷途中でプリンタ30の電源断が発生したときの注文管理システムのシーケンス図である。
同図において、プリンタ30の電源が投入されると(ステップS302)、注文管理システムは、図5のステップS202〜S206の処理を行う(ステップS304〜S308)。その後、コントローラ20が、ハンディーターミナル10から注文データを受信すると、注文管理システムは、図5のステップS208〜S222の処理を行う(ステップS310〜S324)。さらに、コントローラ20が、伝票1印字データの受信応答を受信した後、ハンディーターミナル10から注文データを受信すると、注文管理システムは、図5のステップS224〜S236の処理を行う(ステップS326〜S338)。
【0060】
コントローラ20が、伝票2印字データの受信応答を受信した後、ハンディーターミナル10から注文データを受信すると、注文管理システムは、図6のステップS252〜S262と同じ処理を行う(ステップS340〜S350)。そして、図6のステップS264〜S266の処理と同様に、プリンタ30の印字部35が伝票1印字データの印字を完了すると、印字処理部323が伝票1印字データの印字完了応答を記憶処理部322へ出力し(ステップS352)、記憶処理部322の削除部325は、伝票1印字データと伝票1識別コードを揮発メモリ33から削除し、不揮発メモリ34から伝票1識別コードを削除する(ステップS354)。そして、印字処理部323の指示により、印字部35が伝票2印字データの印字を開始したところで(ステップS356)、プリンタ30の電源断が発生する(ステップS358)。
【0061】
例えば、プリンタ30の印字中に不具合が発生し、電源をオフしないと復旧しない場合などに、従業員がプリンタ30の電源をオフする。また、例えば、電源のトラブル等で、プリンタ30が印字を完了する前に電源の供給が止まってしまう場合もある。電源断が発生すると、プリンタ30の揮発メモリ33に記憶されていた内容は消滅するが、不揮発メモリ34に記憶されている内容は保持される。
【0062】
図8は、図7の続きのシーケンス図である。同図において、プリンタ30の電源が再び投入されると(ステップS402)、記憶処理部322は、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されているか否かを確認し、記憶されている場合、未印字伝票再送要求を通信処理部321に送出する(ステップS404)。
【0063】
通信処理部321は、記憶処理部322から未印字伝票再送要求の入力を受け、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されているかを判断する。通信処理部321は、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されていると判断すると、接続要求とともに、不揮発メモリ34に記憶されている伝票2識別コード「0002」、伝票3識別コード「0003」を設定した未印字伝票通知情報とを送受信部31に出力し、未印字伝票の再送を要求するよう送受信部31に指示する(ステップS406)。
送受信部31は、接続要求に未印字伝票通知情報を設定したものをコントローラ20へ送信する(ステップS408)。コントローラ20の第2送受信部24は、プリンタ30から接続要求を受信すると、接続応答をプリンタ30へ返送する(ステップS410)。
【0064】
コントローラ20の伝票再発行処理部223は、接続要求に設定されている未印字伝票通知情報から伝票2識別コード及び伝票3識別コードを読み出す。伝票再発行処理部223は、まず、記憶部23に記憶されている注文管理データから伝票2識別コードで特定される注文データを読み出し、読み出した注文データに基づいて伝票2印字データを生成する。伝票再発行処理部223は、生成した伝票2印字データと伝票2識別コードの送信を第2送受信部24に指示し、第2送受信部24は、伝票2印字データと伝票2識別コードをプリンタ30に送信する(ステップS412)。
【0065】
プリンタ30の通信処理部321は、送受信部31を介してコントローラ20から伝票2印字データ及び伝票2識別コードを受信すると(ステップS414)、受信した伝票2印字データ及び伝票2識別コードと保存依頼とを記憶処理部322に出力する(ステップS416)。
【0066】
記憶処理部322の登録部324は、伝票2印字データと伝票2識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込む。登録部324は、不揮発メモリ34に伝票2識別コードが記憶されているため、不揮発メモリ34への書き込みは行わない(ステップS418)。登録部324は、書き込み終了を通信処理部321に通知し、通信処理部321は、コントローラ20への応答を送信するよう送受信部31へ指示する(ステップS420)。送受信部31は伝票2印字データの受信応答をコントローラ20へ送信する(ステップS422)。
【0067】
一方、プリンタ30の登録部324は、印字処理部323に伝票2識別コードを設定した印字依頼を出力し(ステップS424)、印字処理部323は、伝票2印字データの印字処理を印字部35に実行させる(ステップS426)。
【0068】
なお、コントローラ20の第2送受信部24が、伝票2印字データの受信応答を受信すると、注文管理システムは、伝票2識別コードに代えて伝票3識別コードを用い、上記のステップS412〜S424の処理を実行する。
つまり、コントローラ20の伝票再発行処理部223は、注文管理データから伝票3識別コードで特定される注文データを読み出して伝票3印字データを生成し、第2送受信部24は、伝票3印字データと伝票3識別コードをプリンタ30に送信する。プリンタ30の通信処理部321は、送受信部31を介してコントローラ20から伝票3印字データ及び識別コードを受信し、保存依頼とともに記憶処理部322に出力する。記憶処理部322の登録部324は、伝票3印字データと伝票3識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込み、不揮発メモリ34への書き込みは行わない。送受信部31は伝票3印字データの受信応答をコントローラ20へ送信する。
【0069】
図9は、電源起動時のプリンタ30の処理フローを示す図である。
プリンタ30の電源が投入されると(ステップS502)、通信処理部321は、不揮発メモリ34に未印字の伝票印字データの識別コードが記憶されているかにより、未印字の伝票印字データがあるかを判断する(ステップS504)。
不揮発メモリ34に未印字の伝票印字データの識別コードが記憶されていないと判断した場合(ステップS504:無し)、通信処理部321は、送受信部31に接続要求の送信を指示する。送受信部31は、接続要求をコントローラ20へ送信する(ステップS506)。ステップS506の処理は、図5のステップS202〜S204の処理に相当する。送受信部31が、コントローラ20から接続応答を受信すると(図6のステップS206に相当)、印字データの受信待ちとなる(ステップS508)。
【0070】
一方、ステップS504において、未印字の伝票印字データの識別コードが記憶されていると判断した場合(ステップS504:有り)、通信処理部321は、接続要求とともに、不揮発メモリ34から読み出した識別コードを設定した未印字伝票通知情報を送受信部31に出力し、未印字伝票の再送を要求するよう指示する。
【0071】
送受信部31は、未印字伝票通知情報を設定した接続要求をコントローラ20へ送信する(ステップS510)。ステップS510の処理は、図8のステップS404〜S408の処理に相当する。送受信部31が、コントローラ20から接続応答を受信すると(図8のステップS410に相当)、印字データの受信待ちとなる(ステップS508)。
【0072】
図10は、コントローラ20の注文処理フローを示す図である。注文処理は、ハンディーターミナル10から注文データを受信し、受信した注文データに基づいて生成した伝票印字データをプリンタ30に印字させる処理である。
【0073】
コントローラ20の印字要求受信部220は、第1送受信部21がハンディーターミナル10から注文データを受信したかを判断する(ステップS602)。印字要求受信部220が、注文データを受信しなかったと判断した場合(ステップS602:NO)、コントローラ20はステップS610の処理を行う。
【0074】
一方、印字要求受信部220が、注文データを受信したと判断した場合(ステップS602:YES)、受信した注文データを注文処理部221に出力する(ステップS604)。注文処理部221は、記憶部23に記憶されている注文管理データに、受信した注文データと注文時刻とを対応付けて追加登録する(ステップS606)。伝票処理部222は、伝票番号を割り当てると、注文データから伝票印字データを生成し、識別コードを割り当てる。伝票処理部222は、記憶部23に記憶されている注文管理データに、注文データと対応付けて割り当てた伝票番号及び識別コードを書き込むとともに、生成した伝票印字データと識別コードとを対応付けて記憶部23に書き込む(ステップS608)。書き込み後、コントローラ20は、ステップS610の処理を実行する。
【0075】
第2送受信部24は、プリンタ30から接続要求を受信した場合(ステップS610:YES)、プリンタ30との接続を確立し、受信した接続要求を印字要求受信部220へ出力する(ステップS612)。
印字要求受信部220は、接続要求に未印字伝票通知情報が含まれていると判断すると(ステップS614:YES)、未印字伝票通知情報を伝票再発行処理部223に出力する。伝票再発行処理部223は、未印字伝票通知情報から識別コードを取得し、取得した識別コードに対応して記憶部23に記憶されている注文管理データから注文データを読み出すと、読み出した注文データに基づいて伝票印字データを生成する。以下、未印字伝票通知情報に設定されている識別コードに対応した注文データから生成された伝票印字データを「未印字伝票データ」と記載する。伝票再発行処理部223は、生成した未印字伝票データとその識別コードとを記憶部23に書き込み(ステップS616)、コントローラ20は、ステップS602からの処理を行う。
【0076】
ステップS610において、第2送受信部24がプリンタ30の接続要求を受信しなかった場合(ステップS610:NO)、あるいは、ステップS614において、印字要求受信部220が、接続要求に未印字伝票通知情報が含まれてないと判断した場合(ステップS614:NO)、伝票再発行処理部223は、プリンタ30へまだ送信していない未印字伝票データが記憶部23に記憶されているかにより、未送信の未印字伝票データがあるかを判断する(ステップS618)。
【0077】
記憶部23に未印字伝票データが記憶されている場合(ステップS618:YES)、伝票再発行処理部223は、未送信の未印字伝票データがあると判断して記憶部23から未印字伝票データとその識別コードを読み出す。伝票再発行処理部223は読み出した未印字伝票データとその識別コードとを第2送受信部24に出力し、プリンタ30への送信を指示する。
なお、未印字伝票データが複数記憶されている場合、伝票再発行処理部223は、注文管理データから未印字伝票データの識別コードに対応した注文時刻を読み出し、読み出した注文時刻が最も早い識別コードと、その識別コードに対応した未印字伝票データを第2送受信部24に出力し、プリンタ30への送信を指示する。第2送受信部24は、伝票再発行処理部223から入力された未印字伝票データとその識別コードをプリンタ30へ送信する(ステップS620)。
【0078】
第2送受信部24が、ステップS620において送信した未印字伝票データに対応してプリンタ30からの受信応答を所定時間内に受信した場合(ステップS622:YES)、伝票再発行処理部223は、ステップS620において送信した未印字伝票データとその識別コードを記憶部23から削除し(ステップS624)、コントローラ20はステップS602からの処理を実行する。一方、第2送受信部24が所定時間内にプリンタ30からの受信応答を受信しなかった場合(ステップS622:NO)、コントローラ20は未印字伝票データの削除は行わずにステップS602からの処理を実行する。
【0079】
ステップS618において、伝票再発行処理部223が、記憶部23に未印字伝票データは記憶されておらず、未送信の未印字伝票データはないと判断した場合(ステップS618:NO)、伝票処理部222は、プリンタ30へまだ送信が完了していない伝票印字データが記憶部23に記憶されているかにより、送信が完了していない伝票印字データがあるかを判断する(ステップS626)。記憶部23に送信が完了していない伝票印字データが記憶されていない場合(ステップS626:NO)、コントローラ20は、ステップS602からの処理を実行する。記憶部23に伝票印字データが記憶されている場合(ステップS626:YES)、伝票処理部222は、ステップS608において書き込まれた後、まだ送信が完了していない伝票印字データとその識別コードを記憶部23から読み出す。伝票処理部222は読み出した伝票印字データとその識別コードとを第2送受信部24に出力し、プリンタ30への送信を指示する。
なお、伝票印字データが複数記憶されている場合、伝票処理部222は、記憶部23が記憶している注文管理データから伝票印字データの識別コードに対応した注文時刻を読み出し、読み出した注文時刻が最も早い識別コードと、その識別コードに対応した伝票印字データを第2送受信部24に出力し、プリンタ30への送信を指示する。第2送受信部24は、伝票処理部222から入力された伝票印字データとその識別コードをプリンタ30へ送信する(ステップS628)。
【0080】
第2送受信部24が、ステップS628において送信した伝票印字データに対応してプリンタ30からの受信応答を所定時間内に受信した場合(ステップS630:YES)、伝票処理部222は、ステップS628において送信した伝票印字データとその識別コードを記憶部23から削除し(ステップS632)、コントローラ20はステップS602からの処理を実行する。一方、第2送受信部24が所定時間内にプリンタ30からの受信応答を受信しなかった場合(ステップS630:NO)、コントローラ20は伝票印字データの削除は行わずにステップS602からの処理を実行する。
【0081】
上記の処理により、コントローラ20は、随時ハンディーターミナル10からの注文データ、プリンタ30からの接続要求を受信する。
プリンタ30の電源断中に注文データを受信した場合、コントローラ20は、受信した注文データから伝票印字データを生成し、生成した伝票印字データと識別コードとをプリンタ30に送信する。
しかし、送信した伝票印字データと識別コードに対応してプリンタ30から受信応答を受信しないため、コントローラ20は、伝票印字データの再送を行う。そして、伝票印字データの再送中に、さらに注文データを受信した場合、コントローラ20は、受信した注文データから伝票印字データを生成して記憶しておく。プリンタ30の電源が再投入され、コントローラ20がプリンタ30から接続要求を受信し、受信した接続要求に未印字伝票通知情報が設定されているときには、プリンタ30の電源断中に再送していた伝票印字データや、送信を行わずに記憶していた伝票印字データよりも、未印字伝票通知情報により要求された未印字伝票データを優先してプリンタ30に送信する。
【0082】
なお、ステップS608において伝票処理部222が生成する伝票印字データは、注文データに設定されている担当者コード、テーブル番号及び明細データと、伝票印字データの識別コードである伝票番号と、識別コードに対応して記憶部23の注文管理データから読み出した注文時刻とを含む情報を所定のレイアウトで印字させる印字データである。注文データに手書き文字の情報など他の情報が含まれている場合、それらの情報をさらに印字させる印字データとしてもよい。
【0083】
また、ステップS616において伝票再発行処理部223が生成する未印字伝票データは、ステップS608において伝票処理部222が生成する伝票印字データと同じであってもよく、伝票処理部222が生成する伝票印字データに、再送された伝票であることを示す情報をさらに印字させる伝票印字データであってもよい。再送伝票であることを示す情報は、例えば、所定の文字や記号、警告を示す言葉や文書、当該注文データの注文時刻から現在時刻までの経過時間などとすることができる。このような情報を付加して印字することにより、調理担当等が未印字伝票の存在を気付き易くなり、また、その伝票に関する作業についてどの程度迅速に対応すべきなのかを容易に把握することができる。
【0084】
なお、コントローラ20の伝票処理部222は、送信が成功した伝票印字データを記憶部23から削除せず、伝票再発行処理部223は、未印字伝票通知情報に設定されている識別コードに対応した伝票印字データを記憶部23から読み出してプリンタ30に送信するようにしてもよい。
【0085】
また、プリンタ30の記憶処理部322は、コントローラ20から再送された伝票印字データ(未印字伝票データ)に、再送された伝票印字データによる印字であることを示す情報を印字させる印字データを付加してもよい。
【0086】
本実施形態によれば、プリンタ30は、コントローラ20から伝票印字データを受信した場合、受信した伝票印字データに付加されている識別コードを不揮発メモリ34に保存し、印字部35において伝票印字データの印字が完了したらその伝票印字データの識別コードを不揮発メモリ34から削除する。
不揮発メモリ34への伝票印字データ及び識別コードの書き込みから、印字部35による伝票印字データの印字の完了までの間に電源断が発生した際でも、不揮発メモリ34内の記憶内容は保存された状態となる。そして、プリンタ30の電源が再度投入されたときに、プリンタ30は不揮発メモリ34に識別コードが保存されたまま残っている場合は、その識別コードにより特定される伝票印字データの印字が完了していないと判断し、不揮発メモリ34から読み出した識別コードを接続要求に付加してコントローラ20へ送信する。
コントローラ20は、プリンタ30から受信した接続要求に付加されている識別コードにより注文データを特定し、特定した注文データから伝票印字データを生成する。この際、コントローラ20は、プリンタ30の電源断が発生していたときにハンディーターミナル10より受信した注文データから生成した伝票印字データよりも、接続要求により通知された識別コードで特定される注文データから生成した伝票印字データを優先し、且つ、注文時刻の早い順にプリンタ30に送信する。これによって、コントローラ20が注文データを受信した順に、注文データから生成した伝票印字データをプリンタ30に印字させることができる。
【0087】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、コントローラ20がプリンタ30に印字させる伝票は、複数明細が1枚の伝票に含まれる複数明細伝票であってもよく、明細毎にパーシャルカットされた短冊伝票からなる一行明細伝票であってもよい。本実施形態では、コントローラは、プリンタに一行明細伝票を印字させ、プリンタは、短冊伝票の単位で印字が完了したかを管理する。以下、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0088】
本実施形態の注文管理システムは、第1の実施形態のプリンタ30に代えて図11に示すプリンタ30aを備える。コントローラ20は、第1の実施形態と同様であるが、伝票処理部222及び伝票再発行処理部223は、一行明細伝票の伝票印字データを生成する。一行明細伝票の伝票印字データは、注文データに含まれる各明細データに対応した短冊伝票を印字させる短冊印字データと、短冊印字データ間に設定されたカットコマンドとを含む。各短冊印字データは、対応する明細データが示す注文品及び数量と、注文データに設定されている担当者コード及びテーブル番号と、伝票印字データの識別コードである伝票番号と、識別コードに対応して記憶部23の注文管理データから読み出した注文時刻とを含む情報を所定のレイアウトで印字させる印字データである。
【0089】
図11は、本実施形態のプリンタ30aの内部構成を示すブロック図である。同図において、図3に示す第1の実施形態によるプリンタ30と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すプリンタ30aが、図3に示す第1の実施形態のプリンタ30と異なる点は、処理部32に代えて処理部32aを備える点、揮発メモリ33に代えて揮発メモリ33aを備える点、不揮発メモリ34に代えて不揮発メモリ34aを備える点である。
【0090】
揮発メモリ33aは、コントローラ20から受信した印字データと、当該印字データの識別コードと、当該識別コードの伝票印字データに含まれる短冊印字データのうち印字が完了した短冊印字データの数を記憶する。不揮発メモリ34aは、バックアップ電池付きRAMや、書き込み及び消去が可能なフラッシュROMなどであり、印字が完了していない伝票印字データの識別コードと、当該識別コードの伝票印字データに含まれる短冊印字データのうち印字が完了した短冊印字データの数を記憶する。
印字された短冊印字データの数は、伝票印字データの印字中に、当該伝票印字データに設定されているカットコマンドを実行した回数(カット回数)により示す。
【0091】
処理部32aが、第1の実施形態のプリンタ30aの処理部32と異なる点は、記憶処理部322に代えて記憶処理部322aを備える点、印字処理部323に代えて印字処理部323aを備える点である。
記憶処理部322aは、登録部324a、削除部325a、更新部326及び印字情報付加部327を備える。登録部324aは、コントローラ20から受信した印字データ及びその識別コードと、カット回数の初期値とを対応付けて揮発メモリ33aに書き込む。また、登録部324aは、受信した識別コードとカット回数の初期値とを不揮発メモリ34aに書き込む。更新部326は、印字処理部323aから短冊伝票の印字完了の通知を受信し、カット回数を更新する。削除部325aは、印字が完了した伝票印字データとその識別コード及びカット回数とを揮発メモリ33aから削除するとともに、印字が完了した伝票印字データの識別コード及びカット回数を不揮発メモリ34aから削除する。印字情報付加部327は、コントローラ2から再送された伝票印字データの識別コードに対応して不揮発メモリ34aから読み出したカット回数に基づいて、当該伝票印字データ内の短冊印字データがどこまで印字済みかを判断する。印字情報付加部327は、伝票印字データに含まれる各短冊印字データに、印字済みであるか否かの情報を印字させる印字データを追加する。
印字処理部323aは、揮発メモリ33aから読み出した印字データを印字するよう印字部35に指示する。また、印字処理部323aは、印字データに含まれるカットコマンドに従って、ロール紙をカットするようカッター部36に指示するとともに、短冊印字データの印字完了(カットコマンドの実行)、及び、伝票印字データの印字完了を記憶処理部322aに通知する。
【0092】
図12は、プリンタ30aの電源投入後、正常に伝票の印字が完了する場合の注文管理システムのシーケンス図である。
同図において、プリンタ30aの電源が投入されると(ステップS701)、通信処理部321は、不揮発メモリ34aに識別コードが記憶されているかを判断する。通信処理部321は、不揮発メモリ34aに識別コードが記憶されていないため、接続要求の送信を送受信部31に指示する(ステップS702)。送受信部31は、接続要求をコントローラ20へ送信する(ステップS704)。コントローラ20の第2送受信部24は、接続要求を受信してプリンタ30aの起動を認識すると、プリンタ30aへ接続応答を返送する(ステップS706)。
【0093】
コントローラ20は、ハンディーターミナル10から注文データを受信すると、第1の実施形態と同様に、伝票3の伝票印字データである伝票3印字データを生成し、伝票3印字データと伝票3識別コード「0003」とをプリンタ30aに送信する(ステップS708)。生成された伝票3印字データは、3つの短冊印字データを含んだ一行明細伝票の印字データである。
【0094】
プリンタ30aの通信処理部321は、送受信部31を介してコントローラ20から伝票3印字データ及び伝票3識別コードを受信すると(ステップS710)、受信した伝票3印字データ及び伝票3識別コードと保存依頼とを記憶処理部322aに出力する(ステップS712)。記憶処理部322aの登録部324aは、伝票3印字データと伝票3識別コードとカット回数「0」とを対応付けて揮発メモリ33aに書き込むとともに、伝票3識別コードとカット回数「0」とを対応付けて不揮発メモリ34aに書き込む(ステップS714)。登録部324aは、書き込み終了を通信処理部321に通知し、通信処理部321は、コントローラ20へ応答を送信するよう送受信部31へ指示する(ステップS716)。
送受信部31は伝票3印字データの受信応答をコントローラ20へ送信する(ステップS718)。
【0095】
一方、プリンタ30aの登録部324aは、印字処理部323aに伝票3識別コードを設定した印字依頼を出力する(ステップS720)。印字処理部323aは、印字依頼に設定されている伝票3識別コードで特定される伝票3印字データを揮発メモリ33aから読み出し、伝票3印字データに含まれる最初の短冊印字データの印字処理を印字部35に実行させる(ステップS722)。
【0096】
印字部35が伝票印字データに含まれる最初の短冊印字データの印字を完了すると、印字処理部323aは、この短冊印字データの後に伝票印字データに記述されているカットコマンドに従ってロール紙のパーシャルカットをカッター部36に実行させるとともに、短冊完了応答を記憶処理部322aに出力する(ステップS724)。
【0097】
記憶処理部322aの更新部326は、伝票3識別コードに対応して揮発メモリ33a及び不揮発メモリ34aに記憶されているカット回数を、現在の値「0」に1を加算した値「1」に更新する(ステップS726)。印字処理部323aは短冊完了応答の出力後、続いて、伝票3印字データに含まれる2番目の短冊印字データの印字処理を印字部35に実行させる(ステップS728)。
【0098】
図13は、図12の続きのシーケンス図である。プリンタ30の印字部35が図12のステップS728における2番目の短冊印字データの印字を完了すると、印字処理部323aは、この短冊印字データの後に伝票印字データに記述されているカットコマンドに従ってロール紙のパーシャルカットをカッター部36に実行させるとともに、短冊完了応答を記憶処理部322aに出力する(ステップS752)。
【0099】
記憶処理部322aの更新部326は、伝票3識別コードに対応して揮発メモリ33a及び不揮発メモリ34aに記憶されているカット回数を、現在の値「1」に1を加算した値「2」に更新する(ステップS754)。印字処理部323aは短冊完了応答の出力後、続いて、伝票3印字データに含まれる3番目の短冊印字データの印字処理を印字部35に実行させる(ステップS756)。
【0100】
コントローラ20は、図12のステップS718においてプリンタ30aが送信した伝票3印字データの受信応答を受信した後、さらに、ハンディーターミナル10から注文データを受信し、伝票4の伝票印字データである伝票4印字データと、伝票4識別コード「0004」とをプリンタ30aに送信する(ステップS758)。
【0101】
プリンタ30aは、受信した伝票4印字データと伝票4識別コードについて、図12に示すステップS710〜S720の処理を実行する(ステップS760〜S770)。つまり、プリンタ30aの送受信部31は、受信した伝票4印字データ及び伝票4識別コードを保存依頼とともに記憶処理部322aに出力する。記憶処理部322aの登録部324aは、伝票4印字データと伝票4識別コードとカット回数「0」とを対応付けて揮発メモリ33aに書き込むとともに、伝票4識別コードとカット回数「0」とを対応付けて不揮発メモリ34aに書き込み、送受信部31は伝票4印字データの受信応答をコントローラ20へ送信する。登録部324aは、印字処理部323aに伝票4識別コードを設定した印字依頼を出力する。
【0102】
印字部35が、伝票3印字データに含まれる3番目の短冊印字データの印字を完了すると、印字処理部323aは、伝票3印字データに含まれる全ての短冊印字データの印字を完了したと判断し、伝票3印字データの印字完了応答を記憶処理部322aに出力する(ステップS772)。
記憶処理部322aの削除部325aは、伝票3印字データとその識別コード及びカット回数を揮発メモリ33aから削除するとともに、伝票3識別コードとカット回数の組を不揮発メモリ34aから削除する(ステップS774)。
印字処理部323aは、記憶していた印字依頼に設定されている伝票4識別コードに対応した伝票印字データを揮発メモリ33aから読み出すと、伝票4印字データの最初の短冊印字データの印字を印字部35に実行させる(ステップS776)。
【0103】
図14は、プリンタ30aが正常に印字を完了したときの一行明細伝票である調理伝票の出力例を示す図である。同図は、3つの短冊印字データを含んだ伝票印字データに基づいて印字された調理伝票であり、短冊伝票r1、r2、r3からなる。短冊伝票r1と短冊伝票r2、短冊伝票r2と短冊伝票r3の間は、短冊印字データ間に記述されているカットコマンドの実行により、パーシャルカットされている。各短冊伝票r1、r2、r3には、伝票番号、テーブル番号、注文時刻、担当者コードが印字されている。また、短冊伝票r1、r2、r3のそれぞれには、対応する明細データが示す注文品及び注文数量が印字されている。
【0104】
図15は、伝票印字中にプリンタ30aの電源断が発生したときの注文管理システムのシーケンス図である。同図においては、図13のステップS764の後、ステップS772までの間にプリンタ30aの電源断が発生した場合を示している。つまり、プリンタ30aのカッター部36が伝票3印字データの2番目の短冊伝票のパーシャルカットを完了して、印字部35が伝票3印字データの3番目の短冊印字データを印字中、記憶処理部322aの更新部326が伝票4識別コード及び印字データとカット回数の初期値とを揮発メモリ33aに、伝票4識別コード及びカット回数の初期値を不揮発メモリ34aに書き込んだところで、プリンタ30aの電源断が発生した場合である。
例えば、伝票3の2枚目の短冊伝票の印字が完了し、最後の1枚の短冊伝票の印字途中で紙詰まりが発生したために、従業員がプリンタ30aの電源を落とし、再び電源投入した場合である。この場合、プリンタ30aは、電源投入後の接続要求により、コントローラ20に伝票3印字データの再発行の依頼を送信し、コントローラ20から伝票3印字データを再取得後、最初の短冊印字データから再印字を行う。
【0105】
同図において、プリンタ30aの電源が再び投入されると(ステップS802)、記憶処理部322aは、不揮発メモリ34aに識別コードが記憶されているか否かを確認し、記憶されている場合、未印字伝票再送要求を通信処理部321に送出する(ステップS804)。
通信処理部321は、記憶処理部322aから未印字伝票再送要求の入力を受け、不揮発メモリ34aに識別コードが記憶されているかを判断する。通信処理部321は、不揮発メモリ34aに識別コードが記憶されていると判断した場合、接続要求とともに、不揮発メモリ34aに記憶されている伝票3識別コード「0003」及び伝票4識別コード「0004」を設定した未印字伝票通知情報を送受信部31に出力し、未印字伝票の再送を要求するよう送受信部31に指示する(ステップS806)。
送受信部31は、接続要求に未印字伝票通知情報を設定したものをコントローラ20へ送信する(ステップS808)。コントローラ20の第2送受信部24は、プリンタ30aから接続要求を受信すると、接続応答をプリンタ30aへ返送する(ステップS810)。
【0106】
コントローラ20の伝票再発行処理部223は、接続要求に設定されている未印字伝票通知情報から伝票3識別コード及び伝票4識別コードを読み出す。伝票再発行処理部223は、まず、記憶部23に記憶されている注文管理データから伝票3識別コードで特定される注文データを読み出し、読み出した注文データに基づいて伝票3印字データを生成する。生成された伝票3印字データは、図12のステップS708においてコントローラ20が送信した伝票3印字データと同じである。伝票再発行処理部223は、生成した伝票3印字データと伝票3識別コードの送信を第2送受信部24に指示し、第2送受信部24は、伝票3印字データと伝票3識別コードをプリンタ30aに送信する(ステップS812)。
【0107】
プリンタ30aの通信処理部321は、送受信部31を介してコントローラ20から伝票3印字データ及び伝票3識別コードを受信すると(ステップS814)、受信した伝票3印字データ及び伝票3識別コードと保存依頼とを記憶処理部322aに出力する(ステップS816)。
記憶処理部322aの登録部324aは、伝票3印字データと伝票3識別コードと初期値「0」を設定したカット回数とを対応付けて揮発メモリ33aに書き込む。登録部324aは、不揮発メモリ34aから伝票3識別コードに対応したカット回数「2」を読み出し、印字情報付加部327へ出力する。
印字情報付加部327は、登録部324aが読み出したカット回数が「2」であるため、3番目以降の短冊印字データの印字が完了していないと判断する。伝票3印字データには3つの短冊印字データが含まれているため、印字情報付加部327は、揮発メモリ33aに記憶されている伝票3印字データ内の1番目と2番目の短冊印字データに、印字済みであることを示す情報を印字させる印字データを追加し、3番目の短冊印字データに、未印字であることを示す情報を印字させる印字データを追加する(ステップS818)。
【0108】
プリンタ30aは、図12のステップS716以降に示す伝票3印字データの印字処理を行う。すなわち、登録部324aは、書き込み終了を通信処理部321に通知し、通信処理部321は、コントローラ20へ応答を送信するよう送受信部31へ指示する(ステップS822)。送受信部31は伝票3印字データの受信応答をコントローラ20へ送信する(ステップS824)。登録部324aは、印字処理部323aに伝票3識別コードを設定した印字依頼を出力し(ステップS826)、印字処理部323aは、伝票3印字データに含まれる最初の短冊印字データの印字処理を印字部35に実行させる(ステップS828)。
【0109】
また、コントローラ20の第2送受信部24がステップS824で送信された伝票3印字データの受信応答を受信すると、伝票再発行処理部223は、伝票4識別コードで特定される注文データに基づいて伝票4印字データを生成し、第2送受信部24は、伝票4印字データと伝票4識別コードをプリンタ30aに送信する。
【0110】
図16は、電源再投入後に再送された伝票印字データに基づく調理伝票の印字例を示す図である。同図において、印字方向の矢印が下から上に向いているが、これは、印字した短冊伝票が印字を進めるにつれて矢印の方向に移動していく、という意味である。すなわち、一番上にある短冊伝票が一番初めに印字された短冊伝票である。同図は、正常に印字が完了した場合は、図14と同様の調理伝票が印字される伝票3印字データによって、3枚目の短冊伝票r3を印字している途中でプリンタ30aの電源断が発生したために、コントローラ20から伝票3印字データが再送されたときの印字例である。
プリンタ30aの印字情報付加部327が、再送された伝票3印字データの各短冊印字データに印字済みであるか否かを示す情報を付加するため、印字された調理伝票は、同図に示す短冊伝票r1’、r2’、r3’からなる。短冊伝票r1’には、短冊伝票r1の印字内容に、印字済みであることを示す情報として「済み」がさらに印字されている。短冊伝票r2’も同様に、短冊伝票r2の印字内容に加え、「済み」がさらに印字されている。一方、短冊伝票r3’には、短冊伝票r3の印字内容に加え、再送された伝票印字データによって初めて印字されたことを示す情報として「未印字」がさらに印字されている。
【0111】
本実施形態のプリンタ30aの電源起動時の処理は、図9に示す第1の実施形態の電源起動時の処理と同じである。
また、本実施形態のコントローラ20の注文処理は、図10に示す第1の実施形態の注文処理フローと同じである。ただし、ステップS608において伝票処理部222は、一行明細伝票の伝票印字データを生成し、ステップS616において伝票再発行処理部223は一行明細伝票の未印字伝票データを生成する。
【0112】
本実施形態によれば、プリンタ30aは、再送された伝票印字データに基づいて一行明細伝票を印字する場合、各短冊伝票に印字済みであるか否かの情報を印字する。再印字であることを示す情報を短冊伝票に印字することによって、注文品が二重に調理されることを効果的に防止することができ、また、未印字であることを示す情報を短冊伝票に印字することによって、注文から時間がたっている旨の注意を喚起することができる。
【0113】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態の注文管理システムでは、プリンタが一行明細伝票を印字しているときに電源断が発生した場合、コントローラは、印刷が完了していない短冊伝票のみを印字させる伝票印字データを生成する。以下、第2の実施形態との差分を中心に説明する。
本実施形態の注文管理システムは、第2の実施形態のコントローラ20に代えて図17に示すコントローラ20bを、第2の実施形態のプリンタ30aに代えて図18に示すプリンタ30bを備える。以下、第2の実施形態との差分を中心に説明する。
【0114】
図17は、本実施形態のコントローラ20bの内部構成を示すブロック図である。同図において、図2に示す第1の実施形態によるコントローラ20と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すコントローラ20bが、図2に示す第1の実施形態のコントローラ20と異なる点は、処理部22に代えて処理部22bを備える点である。処理部22bが、第1の実施形態のコントローラ20の処理部22と異なる点は、伝票再発行処理部223に代えて伝票再発行処理部223bを備える点である。伝票再発行処理部223bは、第2送受信部24がプリンタ30から受信した接続要求に識別コード及びカット回数が設定されている場合、記憶部23に記憶されている注文管理データを検索して当該識別コードに対応した注文データを特定する。伝票再発行処理部223bは、特定した注文データから、受信済みのカット回数を考慮し、印字済みの短冊印字データを除いた一行明細伝票の伝票印字データを生成する。
【0115】
図18は、本実施形態のプリンタ30bの内部構成を示すブロック図である。同図において、図11に示す第2の実施形態によるプリンタ30aと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すプリンタ30bが、図11に示す第2の実施形態のプリンタ30aと異なる点は、処理部32aに代えて処理部32bを備える点である。処理部32bが、第2の実施形態のプリンタ30aの処理部32aと異なる点は、通信処理部321に代えて通信処理部321b(未印字伝票通知部)を備える点、記憶処理部322aに代えて記憶処理部322bを備える点である。
【0116】
通信処理部321bは、電源が投入されたときに、不揮発メモリ34aに記憶されている識別コードとカット回数の組を読み出して接続要求に設定する。
記憶処理部322bが第2の実施形態の記憶処理部322aと異なる点は、登録部324aに代えて登録部324bを備える点、印字情報付加部327を備えていない点である。登録部324bは、コントローラ20bから受信した印字データとその識別コードとカット回数の初期値とを対応付けて揮発メモリ33aに書き込むとともに、受信した識別コードが不揮発メモリ34aに記憶されていない場合に当該識別コード及びカット回数の初期値を不揮発メモリ34aに書き込む。
【0117】
本実施形態の注文管理システムにおいて、プリンタ30bの電源投入後、正常に伝票印字データの印字が行われる場合の注文管理システムの動作は、図12及び図13に示す第2の実施形態と同様である。
【0118】
図19は、伝票の印字中にプリンタ30bの電源断が発生したときの注文管理システムのシーケンス図である。同図においては、図13のステップS764の後、ステップS772までの間にプリンタ30bの電源断が発生した場合を示している。
同図において、プリンタ30bの電源が再び投入されると(ステップS902)、記憶処理部322bは、不揮発メモリ34aに識別コードが記憶されているか否かを確認し、記憶されている場合、未印字伝票再送要求を通信処理部321bに送出する(ステップS904)。
【0119】
通信処理部321bは、記憶処理部322bから未印字伝票再送要求の入力を受け、不揮発メモリ34aに識別コードが記憶されているかを判断する。通信処理部321bは、不揮発メモリ34aに識別コードが記憶されていると判断した場合、接続要求とともに、不揮発メモリ34aに記憶されている伝票3識別コード「0003」及びカット回数「2」の組と、伝票4識別コード「0004」及びカット回数「0」の組を設定した未印字伝票通知情報を送受信部31に出力し、未印字伝票の再送を要求するよう送受信部31に指示する(ステップS906)。
送受信部31は、接続要求に未印字伝票通知情報を設定したものを(ステップS906)、コントローラ20bへ送信する(ステップS908)。コントローラ20bの第2送受信部24は、プリンタ30bから接続要求を受信すると、接続応答をプリンタ30bへ返送する(ステップS910)。
【0120】
コントローラ20bの伝票再発行処理部223bは、接続要求に設定されている未印字伝票通知情報から伝票3識別コード及び伝票4識別コードを読み出す。伝票再発行処理部223bは、まず、記憶部23に記憶されている注文管理データから伝票3識別コードで特定される注文データを読み出し、読み出した注文データとカット回数に基づいて、印字が完了していない短冊伝票のみを含む一行明細伝票を印字させる再送伝票3印字データを生成する。つまり、伝票再発行処理部223bは、伝票3識別コードに対応したカット回数は「2」であるため、3番目以降の短冊印字データを含んだ再送伝票3印字データを生成する。
伝票再発行処理部223bは、生成した再送伝票3印字データと伝票3識別コードの送信を第2送受信部24に指示し、第2送受信部24は、再送伝票3印字データと伝票3識別コードをプリンタ30bに送信する(ステップS912)。
【0121】
プリンタ30bの通信処理部321bは、送受信部31を介してコントローラ20bから再送伝票3印字データ及び伝票3識別コードを受信すると(ステップS914)、受信した再送伝票3印字データ及び伝票3識別コードと保存依頼とを記憶処理部322bに出力する(ステップS916)。記憶処理部322bの登録部324bは、再送伝票3印字データと伝票3識別コードとを対応付けて揮発メモリ33aに書き込む(ステップS918)。登録部324bは、既に伝票3識別コードが記憶されているため、不揮発メモリ34aへの書き込みは行わない。
登録部324bは、書き込み終了を通信処理部321bに通知し、通信処理部321bは、コントローラ20bへ応答を送信するよう送受信部31へ指示する(ステップS922)。送受信部31は伝票3印字データの受信応答をコントローラ20bへ送信する(ステップS924)。
【0122】
プリンタ30bの登録部324bは、印字処理部323aに伝票3識別コードを設定した印字依頼を出力する(ステップS926)。印字処理部323aは、印字依頼に設定されている伝票3識別コードで特定される再送伝票3印字データを揮発メモリ33aから読み出し、再送伝票3印字データに含まれる短冊印字データ(伝票3印字データの3番目の短冊印字データに相当)の印字処理を印字部35に実行させる(ステップS928)。
なお、印字部35が、再送伝票3印字データに含まれる短冊印字データの印字を完了すると、印字処理部323aは、再送伝票3印字データに含まれる全ての短冊印字データの印字を完了したと判断し、再送伝票3印字データの印字完了応答を記憶処理部322bに出力する(ステップS930)。これにより、記憶処理部322bの削除部325aは、再送伝票3印字データと伝票3識別コードとカット回数との組を揮発メモリ33aから削除するとともに、伝票3識別コードとカット回数の組を不揮発メモリ34aから削除する(ステップS932)。
【0123】
また、コントローラ20bの第2送受信部24がステップS924で送信された伝票3印字データの受信応答を受信すると、伝票再発行処理部223bは、伝票4識別コードで特定される注文データに基づいて再送伝票4印字データを生成する。伝票4識別コードに対応したカット回数は「0」であるため、伝票再発行処理部223bは、全ての短冊印字データを含んだ、すなわち、図13のステップS758において送信した伝票4印字データと同じ再送伝票4印字データを生成する。第2送受信部24は、再送伝票4印字データと伝票4識別コードをプリンタ30bに送信する。
【0124】
図20は、電源再投入後に再送された伝票印字データに基づく調理伝票の印字例を示す図である。同図は、正常に印字が完了した場合、図14と同様の印字調理伝票が印字される伝票3印字データによって、3枚目の短冊伝票r3を印字している途中でプリンタ30bの電源断が発生したために、コントローラ20bから送信された再送伝票3印字データの印字例である。同図に示すように、印字された調理伝票は、図14に示す短冊伝票r3のみからなる。
【0125】
本実施形態によれば、一行明細伝票のうち、印字が完了していない短冊伝票のみを印字させることができるため、注文品が二重に調理されることを防止することができる。また、不必要な印字が行われないため、印字用紙の節約も図ることができる。
【0126】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。本実施形態では、コントローラは、電源断のために印字が遅れた時間の情報を含んだ伝票をプリンタに印刷させる。以下、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0127】
本実施形態の注文管理システムは、第1の実施形態のコントローラ20に代えて、図21に示すコントローラ20cを備える。
図21は、本実施形態のコントローラ20cの内部構成を示すブロック図である。同図において、図2に示す第1の実施形態によるコントローラ20と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
同図に示すコントローラ20cが、図2に示す第1の実施形態のコントローラ20と異なる点は、処理部22に代えて処理部22cを備える点である。処理部22cが、第1の実施形態のコントローラ20の処理部22と異なる点は、伝票再発行処理部223に代えて伝票再発行処理部223cを備える点である。伝票再発行処理部223cは、伝票印字データの再送を示す情報として、印字が遅れた時間の情報を含んだ伝票を印字させるための伝票印字データを生成する。
【0128】
本実施形態の注文管理システムのシーケンスは、図4〜図9に示す第1の実施形態と同様である。
【0129】
図22は、コントローラ20cの注文処理フローを示す図である。同図に示す注文処理フローは、図10に示す第1の実施形態の注文処理フローのステップS616の処理に代えて、ステップS615及びステップS617を実行する。
ステップS615において、コントローラ20cの伝票再発行処理部223cは、未印字伝票通知情報に設定されている識別コードに対応して記憶部23に記憶されている注文管理データから注文データと注文時刻を読み出すと、読み出した注文時刻から現在時刻までの経過時間を算出する。そして、ステップS617において、伝票再発行処理部223cは、読み出した注文データに基づいて、伝票処理部222が生成した伝票印字データと同様の伝票印字データに、さらに、経過時間を示す情報を付加した未印字伝票データを生成する(ステップS617)。
【0130】
図23は、未印字伝票データに基づく調理伝票の印字例を示す図である。同図は、コントローラ20cの伝票再発行処理部223cが、伝票印字データの前に、経過時間を示す情報を印字するための印字データを付加して未印字伝票データを生成した場合の印字例を示す。伝票の前に付加されるヘッダに、「**注文から12分経過**」のように経過時間が印字されるため、調理担当等への注意を喚起することができる。また、経過時間が分かることで、この伝票に関する作業について、どの程度迅速に対応すべきか、調理担当等が具体的に行動することができる。
【0131】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態を説明する。本実施形態の注文管理システムは、プリンタを複数台備え、あるプリンタに電源断が発生した場合、コントローラは、他のプリンタから伝票印字データの再発行要求を受信する。コントローラは、再発行が要求された伝票印字データを、再発行要求の送信元の他のプリンタに再送し、印字させる。電源断が発生したプリンタの電源が再投入されると、第1の実施形態と同様に、不揮発メモリに記憶されている未印字の伝票印字データの識別コードを接続要求とともにコントローラに送信するが、コントローラは、通知された識別コードの伝票印字データを既に他のプリンタへ再送しているため、未印字伝票印字データの削除要求を返送する。電源が再投入されたプリンタは、未印字伝票印字データの削除要求を受信すると、不揮発メモリに保存してある印字データ識別コードを削除する。以下、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0132】
図24は、本実施形態による注文管理システムの全体構成を示す図である。同図に示すように、注文管理システムは、図1に示す第1の実施形態のコントローラ20に代えてコントローラ20dを備え、プリンタ30に代えてプリンタ30d及びプリンタ30eを備える。同図においては、プリンタ30d、プリンタ30eをそれぞれ1台のみ示しているが、複数台が備えられていてもよい。プリンタ30dは、調理伝票の伝票印字データである調理伝票印字データを印字し、プリンタ30eは、ゲスト伝票の伝票印字データであるゲスト伝票印字データを印字する。ゲスト伝票とは、お客様が会計時にレジに持参する伝票であり、接客担当のスタッフは、注文品を全て提供した後にお客様へゲスト伝票を渡す。このように、各プリンタ30d、30eが印字すべき伝票の種類は予め決められている。
【0133】
図25は、本実施形態のコントローラ20dの内部構成を示すブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。同図において、図2に示す第1の実施形態によるコントローラ20と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すコントローラ20dが、図2に示す第1の実施形態のコントローラ20と異なる点は、処理部22に代えて処理部22dを備える点、記憶部23に代えて記憶部23dを備える点である。
【0134】
記憶部23dは、注文管理データと、送信が完了していない印字データと、再発行された伝票印字データの識別コードとを記憶する。また、本実施形態の注文管理データは、注文データと、注文時刻と、伝票番号と、注文データから生成された各伝票印字データを特定する識別コードとを対応付けたデータである。
【0135】
処理部22dが、図2に示す第1の実施形態の処理部22と異なる点は、伝票処理部222に代えて伝票処理部222dを備える点、伝票再発行処理部223に代えて伝票再発行処理部223dを備える点である。
【0136】
伝票処理部222dは、受信した注文データに対して伝票番号を割り当てる。また、伝票処理部222dは、注文データから調理伝票印字データ、ゲスト伝票印字データなどの各伝票印字データを生成する。そして、伝票処理部222dは、記憶部23dに記憶されている注文管理データに、伝票印字データの生成に用いた注文データと対応付けて割り当てた伝票番号と、各伝票印字データの識別コードとを書き込む。識別コードには、伝票印字データの送信先を示す送信先特定情報を含める。また、伝票処理部222は、生成した調理伝票印字データとその識別コードとをプリンタ30dに送信するよう第2送受信部24に指示し、生成したゲスト伝票印字データとその識別コードをプリンタ30eに送信するよう第2送受信部24に指示する。
調理伝票印字データは、担当者コード、テーブル番号、明細データ、伝票番号、注文時刻等を含む情報を所定のレイアウトで印字させる印字データである。また、ゲスト伝票印字データは、担当者コード、テーブル番号、明細データ、伝票番号、注文時刻、各注文品の金額、合計金額等を含む情報を所定のレイアウトで印字させる印字データである。
【0137】
伝票再発行処理部223dは、伝票再発行処理部223dは、第2送受信部24がプリンタ30eから伝票再送要求を受信した場合、記憶部23dに記憶されている注文管理データを検索して、伝票再送要求に設定されている伝票番号に対応した注文データを特定する。伝票再発行処理部223dは、特定した注文データから各伝票印字データを生成し、生成した伝票印字データと当該伝票印字データの識別コードを伝票再送要求の送信元のプリンタ30eに送信するよう第2送受信部24へ指示する。さらに、伝票再発行処理部223dは、伝票再送要求によって再送した伝票印字データの識別コードと、再送済みを示す情報を対応づけて記憶部23dに書き込む。
【0138】
また、伝票再発行処理部223dは、第2送受信部24がプリンタ30dまたはプリンタ30eから受信した接続要求に識別コードが設定されている場合、記憶部23dに記憶されている注文管理データを検索して、接続要求に設定されている識別コードに対応した注文データを特定する。伝票再発行処理部223dは、特定した注文データから、識別コードにより特定される伝票印字データを生成し、生成した伝票印字データと当該伝票印字データの識別コードを伝票再送要求の送信元のプリンタ30dまたはプリンタ30eに送信するよう第2送受信部24へ指示する。ただし、伝票再発行処理部223dは、接続要求に設定されている識別コードに対応して、再送済みを示す情報が記憶部23dに記憶されている場合、伝票印字データを再送せず、当該識別コードを設定した伝票印字データ削除要求を返送する。
【0139】
図26は、本実施形態のプリンタ30dの内部構成を示すブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。同図において、図3に示す第1の実施形態によるプリンタ30と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すプリンタ30dが、図3に示す第1の実施形態のプリンタ30と異なる点は、処理部32に代えて処理部32dを備える点である。
【0140】
処理部32dが、第1の実施形態の処理部32と異なる点は、記憶処理部322に代えて記憶処理部322dを備える点である。
記憶処理部322dが第1の実施形態の記憶処理部322と異なる点は、削除部325に代えて削除部325dを備える点である。削除部325dは、印字が完了した伝票印字データとその識別コードを揮発メモリ33から削除するとともに、印字が完了した伝票印字データの識別コードを不揮発メモリ34から削除する。また、削除部325dは、コントローラ20dから受信した伝票印字データ削除要求に設定されている識別コードを不揮発メモリ34から削除する。
【0141】
図27は、本実施形態のプリンタ30eの内部構成を示すブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。同図において、図3に示す第1の実施形態によるプリンタ30と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。同図に示すプリンタ30eが、図3に示す第1の実施形態のプリンタ30と異なる点は、処理部32に代えて処理部32eを備える点、指示入力部37をさらに備える点である。
【0142】
指示入力部37は、例えば、キーやボタンであり、再発行対象の伝票の伝票番号の入力を受ける。
処理部32eが、第1の実施形態の処理部32異なる点は、通信処理部321に代えて通信処理部321eを備える点である。
通信処理部321eは、指示入力部37により入力された伝票番号と、自プリンタ30eのプリンタ識別情報を設定した伝票再送要求を送信するよう送受信部31に指示する。
【0143】
図28は、調理伝票印字中にプリンタ30dの電源断が発生したときの注文管理システムのシーケンス図である。
同図において、プリンタ30dの電源が投入されると(ステップS1002)、通信処理部321は、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されているかを判断する。プリンタ30dの通信処理部321は、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されていないため、接続要求の送信を送受信部31に指示する(ステップS1004)。プリンタ30dの送受信部31は、接続要求をコントローラ20dへ送信する(ステップS1006)。
コントローラ20dの第2送受信部24は、接続要求を受信してプリンタ30dの起動を認識すると、プリンタ30dへ接続応答を返送する(ステップS1008)。
【0144】
続いてプリンタ30eの電源が投入されると(ステップS1010)、通信処理部321eは、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されているかを判断する。プリンタ30eの通信処理部321eは、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されていないため、接続要求の送信を送受信部31に指示する(ステップS1012)。プリンタ30eの送受信部31は、接続要求をコントローラ20dへ送信する(ステップS1014)。
コントローラ20dの第2送受信部24は、接続要求を受信してプリンタ30eの起動を認識すると、プリンタ30eへ接続応答を返送する(ステップS1016)。
【0145】
コントローラ20dは、ハンディーターミナル10から注文データを受信し、伝票2の調理伝票印字データである調理伝票2印字データと、伝票2のゲスト伝票印字データであるゲスト伝票2印字データを生成する。コントローラ20dは、伝票2に伝票番号「0002」を割り当て、伝票2の調理伝票印字データに識別コード「0002C」を、伝票2のゲスト伝票印字データに識別コード「0002G」を割り当てる。以下、伝票2の調理伝票印字データの識別コードを調理伝票2識別コードと記載し、伝票2のゲスト伝票印字データの識別コードをゲスト伝票2識別コードと記載する。調理伝票2識別コードの最後の1文字「C」はプリンタ30dを示す送信先特定情報であり、ゲスト伝票2識別コードの最後の1文字「G」はプリンタ30eを示す送信先特定情報である。
コントローラ20dは、ゲスト伝票2識別コード「0002G」とゲスト伝票2印字データをプリンタ30eへ送信する(ステップS1020)。
【0146】
プリンタ30eは、受信したゲスト伝票2印字データとゲスト伝票2識別コードについて、図4に示すステップS112〜S124の処理を実行する(ステップS1020〜S1032)。つまり、プリンタ30eの通信処理部321eは、送受信部31を介してゲスト伝票2印字データ及びゲスト伝票2識別コードを受信し、保存依頼とともに記憶処理部322へ出力する。
プリンタ30eの登録部324は、ゲスト伝票2印字データとゲスト伝票2識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込むとともに、ゲスト伝票2識別コードを不揮発メモリ34に書き込み、送受信部31はゲスト伝票2印字データの受信応答をコントローラ20dへ送信する。プリンタ30eの登録部324は、印字処理部323に伝票2識別コードを設定した印字依頼を出力し、印字処理部323は、伝票2識別コードにより特定されるゲスト伝票2印字データの印字を印字部35に実行させる。
【0147】
プリンタ30eの印字部35がゲスト伝票2印字データの印字を完了すると、印字処理部323は、記憶処理部322にゲスト伝票2印字データの印字完了応答を出力する(ステップS1034)。記憶処理部322の削除部325は、ゲスト伝票2印字データとゲスト伝票2識別コードを揮発メモリ33から削除するとともに、不揮発メモリ34からゲスト伝票2識別コードを削除する(ステップS1036)。
【0148】
図29は、図28の続きのシーケンス図である。コントローラ20dは、図28のステップS1018において、ゲスト伝票2印字データ及び伝票2識別コードを送信した後、調理伝票2識別コード「0002C」と調理伝票2印字データをプリンタ30dへ送信する(ステップS1102)。
【0149】
プリンタ30dは、受信した調理伝票2印字データと調理伝票2識別コードについて、図4に示すステップS112〜S124の処理を実行する(ステップS1104〜S1116)。つまり、プリンタ30dの通信処理部321は、送受信部31を介して調理伝票2印字データ及び調理伝票2識別コードを受信し、保存依頼とともに記憶処理部322dへ出力する。
プリンタ30dの登録部324は、調理伝票2印字データと調理伝票2識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込むとともに、調理伝票2識別コードを不揮発メモリ34に書き込み、送受信部31は調理伝票2印字データの受信応答をコントローラ20dへ送信する。プリンタ30dの登録部324は、印字処理部323に調理伝票2識別コードを設定した印字依頼を出力し、印字処理部323は、調理伝票2識別コードに対応した調理伝票2印字データの印字を印字部35に実行させる。
【0150】
プリンタ30dの印字部35が、印字処理部323の指示により調理伝票2印字データの印字を開始したところで(ステップS1116)、プリンタ30dの電源断が発生する(ステップS1118)。
【0151】
図30は、図29の続きのシーケンス図である。飲食店のスタッフは、プリンタ30eが印字したゲスト伝票により伝票番号「0002」を確認し、その後、伝票番号「0002」の調理伝票がプリンタ30dから印字されていないことに気付く。スタッフは、プリンタ30eの指示入力部37により、伝票番号「0002」と、伝票再発行要求の送信指示とを入力する。プリンタ30eの通信処理部321eは、指示入力部37により入力された伝票番号と、プリンタ30eのプリンタ識別情報とを設定した伝票再送要求を送信部31に出力し、コントローラ20dに送信するよう指示する(ステップS1202)。プリンタ30eの送受信部31は、通信処理部321eから入力されたリンタ識別情報を設定した伝票再送要求をコントローラ20dに送信する(ステップS1204)。
【0152】
コントローラ20dは、受信した伝票再送要求から伝票番号及びプリンタ識別情報を読み出す。伝票再発行処理部223dは、記憶部23dに記憶されている注文管理データから伝票番号で特定される注文データを読み出し、読み出した注文データに基づいて全ての種類の伝票印字データ、すなわち、調理伝票2印字データとゲスト伝票2印字データを生成する。コントローラ20dは、生成した調理伝票2印字データ及び調理伝票2識別コードを、伝票再送要求から読み出したプリンタ識別情報で特定されるプリンタ30eに送信する(ステップS1206)。コントローラ20dは、調理伝票2識別コードを再送済みの識別コードとして記憶部23dに記憶する。
【0153】
プリンタ30eは、受信した調理伝票2印字データと調理伝票2識別コードについて、図28に示すステップS1020〜S1032の処理を実行する(ステップS1208〜S1220)。つまり、プリンタ30eの通信処理部321eは、送受信部31を介して調理伝票2印字データ及び調理伝票2識別コードを受信し、保存依頼とともに記憶処理部322へ出力する。
記憶処理部322の登録部324は、調理伝票2印字データと調理伝票2識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込むとともに、調理伝票2識別コードを不揮発メモリ34に書き込み、送受信部31は調理伝票2印字データの受信応答をコントローラ20dへ送信する。登録部324は、印字処理部323に調理伝票2識別コードを設定した印字依頼を出力し、印字処理部323は、調理伝票2識別コードに対応した調理伝票2印字データの印字を印字部35に実行させる。
【0154】
コントローラ20dは、ステップS1216においてプリンタ30eから送信された受信応答を受信すると、ゲスト伝票2印字データ及びゲスト伝票2識別コードをプリンタ30eに送信し、ゲスト伝票2識別コードを再送済みの識別コードとして記憶部23dに記憶する(ステップS1222)。プリンタ30eは、受信したゲスト伝票2印字データとゲスト伝票2識別コードについて、図28に示すステップS1020〜S1030の処理を実行する(ステップS1224〜S1232)。つまり、プリンタ30eの通信処理部321eは、送受信部31を介してゲスト伝票2印字データ及びゲスト伝票2識別コードを受信し、保存依頼とともに記憶処理部322へ出力する。
記憶処理部322の登録部324は、ゲスト伝票2印字データとゲスト伝票2識別コードとを対応付けて揮発メモリ33に書き込むとともに、ゲスト伝票2識別コードを不揮発メモリ34に書き込み、送受信部31はゲスト伝票2印字データの受信応答をコントローラ20dへ送信する。登録部324は、印字処理部323にゲスト伝票2識別コードを設定した印字依頼を出力する。
【0155】
図31は、図30の続きのシーケンス図である。同図において、プリンタ30dの電源が再び投入されると(ステップS1302)、記憶処理部322は、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されているか否かを確認し、記憶されている場合、未印字伝票再送要求を通信処理部321に送出する(ステップS1304)。
通信処理部321は、記憶処理部322からの要求を取得して、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されているかを判断する。通信処理部321は、不揮発メモリ34に識別コードが記憶されていると判断した場合、接続要求とともに、不揮発メモリ34に記憶されている調理伝票2識別コード「0002C」を設定した未印字伝票通知情報を送受信部31に出力し、未印字伝票の再送を要求するよう送受信部31に指示する(ステップS1306)。
送受信部31は、接続要求に未印字伝票通知情報を設定したものをコントローラ20dへ送信する(ステップS1308)。コントローラ20dの第2送受信部24は、プリンタ30dから接続要求を受信すると、接続応答をプリンタ30dへ返送する(ステップS1310)。
【0156】
コントローラ20dの伝票再発行処理部223dは、接続要求に設定されている未印字伝票通知情報からゲスト伝票2識別コードを読み出す。伝票再発行処理部223dは、ゲスト伝票2識別コードが、再送済みの識別コードとして記憶部23dに記憶されているため、ゲスト伝票2識別コードと伝票2調理伝票削除要求の送信指示とを第2送受信部24に指示し、プリンタ30dへの返送を指示する。第2送受信部24は、ゲスト伝票2識別コードを設定した伝票2調理伝票削除要求をプリンタ30dに送信する(ステップS1310)。
【0157】
プリンタ30dの通信処理部321は、送受信部31を介してコントローラ20dから調理伝票2識別コードが設定された伝票2調理伝票削除要求を受信すると(ステップS1312)、調理伝票2識別コードと削除依頼とを記憶処理部322dに出力する(ステップS1314)。
記憶処理部322dの削除部325dは、調理伝票2識別コードを不揮発メモリ34から削除する(ステップS1316)。削除部325dは、削除完了を通信処理部321に通知し、通信処理部321は、コントローラ20dへ伝票2調理伝票削除応答を送信するよう送受信部31へ指示する(ステップS1318)。
送受信部31は伝票2調理伝票削除応答をコントローラ20dへ送信する(ステップS1320)。
【0158】
図32は、コントローラ20dの注文処理フローを示す図である。
コントローラ20dの印字要求受信部220及び注文処理部221は、図10に示すステップS602〜S606のコントローラ20の印字要求受信部220及び注文処理部221と同様の処理を実行する(ステップS1402〜ステップS1406)。なお、ステップS1402においてNOと判断した場合、コントローラ20dは、ステップS1410の処理を実行する。
【0159】
ステップS1408において、伝票処理部222dは、注文データからプリンタ30dに送信すべき調理伝票印字データと、プリンタ30eに送信すべきゲスト伝票印字データを生成する。伝票処理部222dは、伝票番号を割り当てるとともに、調理伝票印字データの識別コードとゲスト伝票印字データの識別コードを生成する。調理伝票印字データの識別コードには、送信先がプリンタ30dであることを示す送信先特定情報が含まれ、ゲスト伝票印字データの識別コードには、送信先がプリンタ30eであることを示す送信先特定情報が含まれる。伝票処理部222dは、記憶部23dに記憶されている注文管理データに、注文データと対応付けて割り当てた伝票番号及び識別コードを書き込む。
さらに、伝票処理部222dは、生成した調理伝票印字データと、当該調理伝票印字データの識別コードとを対応付けて記憶部23dに書き込むとともに、生成したゲスト伝票印字データと、当該ゲスト伝票印字データの識別コードとを対応付けて記憶部23dに書き込む(ステップS1408)。書き込み後、コントローラ20dは、ステップS1410の処理を実行する。
【0160】
第2送受信部24は、プリンタ30dまたはプリンタ30eから接続要求を受信した場合(ステップS1410:YES)、接続要求の送信元であるプリンタ30dまたはプリンタ30eとの接続を確立し、受信した接続要求を印字要求受信部220へ出力する(ステップS1412)。
【0161】
印字要求受信部220は、接続要求に未印字伝票通知情報が含まれていると判断すると(ステップS1414:YES)、未印字伝票通知情報を伝票再発行処理部223dに出力する。伝票再発行処理部223dは、未印字伝票通知情報から識別コードを取得し、取得した識別コードに含まれる送信先特定情報を読み出す。伝票再発行処理部223dは、読み出した送信先特定情報が示す送信先に対応した伝票の種別を判断する。伝票再発行処理部223dは、取得した識別コードに対応して記憶部23dに記憶されている注文管理データから注文データを読み出すと、読み出した注文データに基づいて、判断した種類の伝票印字データを生成する。以下、この生成した伝票印字データを「未印字伝票データ」と記載する。伝票再発行処理部223dは、生成した未印字伝票データとその識別コードとを記憶部23dに書き込み(ステップS1416)、コントローラ20dは、ステップS1402からの処理を行う。
【0162】
ステップS1410において、第2送受信部24が接続要求を受信しなかった場合(ステップS1410:NO)、あるいは、ステップS1414において、印字要求受信部220が、接続要求に未印字伝票通知情報が含まれてないと判断した場合(ステップS1414:NO)、印字要求受信部220は、第2送受信部24が、伝票再発行要求を受信したかを判断する(ステップS1418)。
【0163】
印字要求受信部220は、第2送受信部24が伝票再発行要求を受信したと判断した場合(ステップS1418:YES)、受信した伝票再発行要求を伝票再発行処理部223dに出力する。伝票再発行処理部223dは、伝票再発行要求からプリンタ識別情報と伝票番号を取得する。伝票再発行処理部223dは、伝票番号により記憶部23dに記憶されている注文管理データを検索し、注文データを特定する。伝票再発行処理部223dは、特定した注文データから全ての種類の伝票の伝票印字データ、すなわち、調理伝票印字データとゲスト伝票印字データを生成する(ステップS1420)。
【0164】
伝票再発行処理部223dは、生成した調理伝票印字データとその識別コード、生成したゲスト伝票印字データとその識別コードとを第2送受信部24へ出力し、伝票再発行要求から取得したプリンタ識別情報により特定される送信先への送信を第2送受信部24へ指示する。第2送受信部24は、調理伝票印字データとその識別コード、及び、ゲスト伝票印字データとその識別コードとを、送信先で指定されたプリンタ30eに送信する(ステップS1422)。
【0165】
伝票再発行処理部223dは、ステップS1422で送信した調理伝票印字データの識別コードと、ゲスト伝票印字データの識別コードとに、onを設定した再発行済みフラグを対応付けて記憶部23dに書き込む(ステップS1424)。ステップS1424の処理の後、コントローラ20dは、ステップS1402からの処理を行う。
【0166】
ステップS1418において、第2送受信部24が伝票再発行要求を受信しなかった場合(ステップS1418:NO)、伝票再発行処理部223dは、まだ送信していない未印字伝票データが記憶部23dに記憶されているかを判断する(ステップS1426)。
【0167】
記憶部23dに未印字伝票データが記憶されている場合(ステップS1426:YES)、伝票再発行処理部223dは、未送信の未印字伝票データがあると判断し、未印字伝票データの識別コードを読み出す。
なお、未印字伝票データが複数記憶されている場合、伝票再発行処理部223dは、注文管理データから未印字伝票データの識別コードに対応した注文時刻を読み出し、読み出した注文時刻が最も早い識別コードを読み出す。
伝票再発行処理部223dは、読み出した識別コードに対応して、ONが設定された再発行済みフラグが記憶部23dに記憶されているかを判断する(ステップS1428)。
【0168】
伝票再発行処理部223dは、ONが設定された再発行済みフラグが記憶部23dに記憶されていないと判断した場合(ステップS1428:NO)、読み出した識別コードに対応した未印字伝票データを記憶部23dから読み出す。伝票再発行処理部223dは、読み出した未印字伝票データとその識別コードとを第2送受信部24に出力し、識別コード内の送信先特定情報により特定される送信先への送信を指示する。第2送受信部24は、伝票再発行処理部223dから入力された未印字伝票データとその識別コードを、送信先として指示されたプリンタ30dまたはプリンタ30eへ送信する(ステップS1430)。
【0169】
第2送受信部24が、ステップS1430において送信した未印字伝票データに対応して送信先のプリンタ30dまたはプリンタ30eからの受信応答を所定時間内に受信した場合(ステップS1432:YES)、伝票再発行処理部223dは、ステップS1430において送信した未印字伝票データとその識別コードを記憶部23dから削除し(ステップS1432)、コントローラ20dはステップS1402からの処理を実行する。一方、第2送受信部24が所定時間内に送信先のプリンタ30dまたはプリンタ30eからの受信応答を受信しなかった場合(ステップS1432:NO)、コントローラ20dは未印字伝票データの削除は行わずにステップS1402からの処理を実行する。
【0170】
一方、ステップS1428において、ONが設定された再発行済みフラグが記憶部23dに記憶されていると判断した場合(ステップS1428:YES)、伝票再発行処理部223dは、読み出した識別コードを設定した伝票削除要求を第2送受信部24へ出力し、識別コード内の送信先特定情報により特定される送信先への送信を指示する。第2送受信部24は、伝票削除要求を、伝票再発行要求を送信先として指示されたプリンタ30dまたはプリンタ30eへ送信する(ステップS1436)。伝票再発行処理部223dは、識別コードと、当該識別コードに対応付けられた未印字伝票データを記憶部23dから削除し、コントローラ20dは、ステップS1402からの処理を実行する。
【0171】
ステップS1426において、伝票再発行処理部223dが、記憶部23dに未印字伝票データは記憶されておらず、未送信の未印字伝票データはないと判断した場合(ステップS1426:NO)、伝票処理部222dは、まだ送信が完了していない伝票印字データが記憶部23dに記憶されているかにより、送信が完了していない伝票印字データがあるかを判断する(ステップS1438)。記憶部23dに送信が完了していない伝票印字データが記憶されていない場合(ステップ1438:NO)、コントローラ20dは、ステップS1402からの処理を実行する。
【0172】
記憶部23dに伝票印字データが記憶されている場合(ステップS1438:YES)、伝票処理部222dは、ステップS1408において書き込まれた後、まだ送信が完了していない伝票印字データとその識別コードを記憶部23dから読み出す。伝票処理部222dは読み出した伝票印字データとその識別コードとを第2送受信部24に出力し、識別コード内の送信先特定情報により特定される送信先への送信を指示する。
なお、伝票印字データが複数記憶されている場合、伝票処理部222dは、記憶部23dが記憶している注文管理データから伝票印字データの識別コードに対応した注文時刻を読み出し、読み出した注文時刻が最も早い識別コードと、その識別コードに対応した伝票印字データを第2送受信部24に出力し、送信を指示する。第2送受信部24は、伝票処理部222dから入力された伝票印字データとその識別コードを、送信先として指示されたプリンタ30dまたはプリンタ30eへ送信する(ステップS1440)。
【0173】
第2送受信部24が、ステップS1440において送信した伝票印字データに対応して送信先のプリンタ30dまたはプリンタ30eからの受信応答を所定時間内に受信した場合(ステップS1432:YES)、伝票処理部222dは、ステップS1440において送信した伝票印字データとその識別コードを記憶部23dから削除し(ステップS1444)、コントローラ20dはステップS1402からの処理を実行する。一方、第2送受信部24が所定時間内に送信先のプリンタ30dまたはプリンタ30eからの受信応答を受信しなかった場合(ステップS1432:NO)、コントローラ20dは伝票印字データの削除は行わずにステップS1402からの処理を実行する。
【0174】
本実施形態によれば、プリンタ30dの電源断が発生し、コントローラ20dが他のプリンタから伝票再発行要求を受信する前に当該プリンタ30dの電源が再投入された場合、第1の実施形態と同様の処理が行われ、接続要求により再送が要求された伝票印字データを優先してプリンタ30dに印字させる。一方、プリンタ30dの電源が再投入される前に、コントローラ20dが他のプリンタ、例えばプリンタ30eから伝票再発行要求を受信した場合、同じ伝票番号を有する全ての種類の伝票印字データをプリンタ30eに再送し、調理伝票、ゲスト伝票を印字させる。これにより、プリンタ30dの電源がすぐに再投入された場合には、飲食店のスタッフの操作を必要とせず、プリンタ30dに調理伝票を印字させることができる。一方、プリンタ30dの電源再投入までに時間がかかる場合、飲食店のスタッフの操作により、調理伝票をプリンタ30eに印字させることができるため、注文された料理の調理を遅滞なく行うことができる。
また、既にプリンタ30eで印字済みの伝票は、プリンタ30dの電源が再投入された後にプリンタ30dにおいて印字されることはないため、伝票の二重発行は生じ得ず、調理担当などが作業に混乱することはない。
【0175】
なお、プリンタ30dが、プリンタ30eの通信処理部321e及び指示入力部37を備え、プリンタ30eが、プリンタ30dの削除部325dを備えてもよい。また、プリンタ30dとプリンタ30eを同一構成とし、上述したプリンタ30eの通信処理部321e及び指示入力部37、ならびにプリンタ30dの削除部325dを、両プリンタが備えるようにしてもよい。これにより、プリンタ30eに電源断が発生した際、プリンタ30dは、上述したプリンタ30eと同様の処理を行い、コントローラ20dへ伝票再発行要求を送信し、返送されたゲスト伝票印字データ及び調理伝票印字データを印字する。
【0176】
一般に、伝票には伝票番号が印字されるが、識別コードは印字されない。よって、飲食店のスタッフは、印字された伝票から伝票番号を知ることができるが、識別コードを知ることができない。そこで、上述したように、コントローラ20dは、伝票番号が設定された伝票再発行要求をプリンタから受信すると、この伝票番号に関連付けられている全ての識別コードについて、当該識別コードにより特定される伝票印字データを生成し、伝票再発行要求の送信元へ送信する。これにより、伝票再発行要求を送信したプリンタからは、再発行を要求した伝票番号の全ての種類の伝票が印字される。
そこで、飲食店のスタッフがどの種類の伝票を印字させるかを特定できるようにしてもよい。具体的には、プリンタが伝票再発行要求を送信した結果、コントローラ20dから全ての種類の伝票の伝票印字データを受信した場合、複数の種類の伝票が再印字可能であることをプリンタの図示しないディスプレイに表示させる。飲食店のスタッフが、調理伝票、ゲスト伝票など、印字させたい伝票の種類をプリンタに入力すると、プリンタは、入力された種類の伝票の伝票印字データを印字する。
【0177】
または、飲食店のスタッフがどの種類の伝票を印字させるかを初めから分かっている場合には、印字させたい伝票の種類を示す情報を入力する手段をプリンタに設けてスタッフに操作させるようにしてもよい。これによりプリンタは、入力された伝票の種類を示す情報をさらに設定した伝票再発行要求をコントローラ20dに送信する。コントローラ20dは、伝票再発行要求に設定されている伝票番号で特定される注文データから、当該伝票再発行要求に設定されている情報が示す種類の伝票についてのみ伝票印字データを生成し、伝票再発行の要求元へ送信する。これにより、飲食店のスタッフが印字したい伝票のみを印字させることが可能となる。
【0178】
あるいは、プリンタが、伝票印字データの印字が完了する毎に、印字が完了した伝票印字データの識別コードを印字済み識別コードとして不揮発メモリに記憶するようにしてもよい。これにより、プリンタが送信した伝票再発行要求に対応してコントローラ20dから受信した再発行用の伝票印字データのうち、自プリンタの不揮発メモリに記憶されている印字済み識別コードに対応した伝票印字データを除いた伝票印字データのみを印字する。例えば、印字済み識別コード「0002G」を不揮発メモリに記憶するプリンタ20dが、伝票の再発行要求を送信し、コントローラ20dから多くの伝票印字データを取得した場合、識別コード「0002G」が付加されていない伝票印字データのみを印字する。
これにより、飲食店のスタッフに特段の操作を強いることなく、当該プリンタで未印字の伝票のみを印字させることが可能となる。
【0179】
あるいは、各プリンタが印字する伝票の種類が決まっている場合、伝票再発行要求を送信した結果、コントローラ20dから全ての種類の伝票の伝票印字データを受信したプリンタは、自プリンタが印字する種類と異なる種類の伝票の伝票印字データを印字する。例えば、ゲスト伝票を印字するプリンタ30eが、伝票再発行要求に対応してコントローラ20dか調理伝票印字データ及びゲスト伝票印字データを受信した場合、調理伝票印字データのみを印字する。
【0180】
または、コントローラ20dが、各プリンタが印字する伝票の種類を把握しており、伝票再発行要求を受信した際、当該要求の送信元のプリンタが通常印字する種類とは異なる種類の伝票の伝票印字データを作成して、そのプリンタに送信する。プリンタは、コントローラ20dから受信した伝票印字データを印字する。
これにより、不揮発メモリに印字済み識別コードを記憶するエリアを設けたり、印字処理中に不揮発メモリへの書き込み処理を実施したりすることなく、また、飲食店のスタッフに特段の操作を強いることなく、当該プリンタで未印字の伝票のみを印字させることが可能となる。
【0181】
上述した実施形態によれば、プリンタに大容量の不揮発メモリを備える必要なく、プリンタの電源がオフされたために印字が完了していなかった伝票印字データの印字処理が最優先に行われる。そのため、注文の順番に伝票が印字され、後から注文されたメニューの調理指示が先に行われることを防止することができる。
また、何らかの理由で印字が完了していなかった伝票印字データは、プリンタの電源が再度投入された後、優先して印字される上、前回未印字であったことを示す情報や、注文からの経過時間情報などをあわせた印字が可能である。よって、プリンタの影響が原因で調理が遅れたことを調理人やフロアスタッフに認知させることができ、当該伝票に関する調理を急ぐなど、適切な対応を取らせることができる。
【0182】
また、プリンタは、コントローラから送信された印字データに、伝票印字データではないことを示す識別コードが付与されていた場合、当該識別コードを不揮発メモリへ記録しない。従って、電源断が発生した場合でも確実に印字しなければならない対象である伝票印字データの識別コードのみを不揮発メモリに記録すればよいため、不揮発メモリのメモリ容量を抑えることができる。
【0183】
なお、コントローラ20の処理部22、コントローラ20bの処理部22b、コントローラ20cの処理部22c、コントローラ20dの処理部22d、プリンタ30の処理部32、プリンタ30aの処理部32a、プリンタ30bの処理部32b、プリンタ30dの処理部32d、及び、プリンタ30eの処理部32eは、メモリ及びCPU(中央処理装置)等により構成され、上述したコントローラ20の処理部22、コントローラ20bの処理部22b、コントローラ20cの処理部22c、プリンタ30の処理部32、プリンタ30aの処理部32a、及び、プリンタ30bの処理部32bの処理過程を実現するためのプログラム(図示せず)を、これを記録している不揮発性のメモリ、磁気ディスク等から、上記メモリにロードして実行することによりその機能が実現される。
【符号の説明】
【0184】
10…ハンディーターミナル
20、20b、20c、20d…コントローラ(制御装置)
21…第1送受信部
22、22b、22c、22d…処理部
220…印字要求受信部(注文受信部)
221…注文処理部
222、222d…伝票処理部
223、223b、223c、223d…伝票再発行処理部
224…印字データ生成部
23、23d…記憶部
24…第2送受信部
30、30a、30b、30d、30e…プリンタ(印字装置)
31…送受信部(受信部)
32、32a、32b、32d、32e…処理部
321、321b、321e…通信処理部(未印字伝票通知部)
322、322a、322b、322d…記憶処理部
323、323a…印字処理部
324、324a、324b…登録部
325、325a、325d…削除部
326…更新部
327…印字情報付加部
33、33a…揮発メモリ
34、34a…不揮発メモリ
35…印字部
36…カッター部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置及び印字装置を有する注文管理システムであって、
前記制御装置は、
注文を入力する装置から注文データを受信する注文受信部と、
前記注文受信部が受信した注文データと当該注文データが示す注文の注文時刻とを記憶部に登録する注文処理部と、
前記注文受信部が受信した注文データに基づいて伝票の印字データを生成するとともに当該印字データを識別する識別情報を生成して当該識別情報を前記注文データと対応付けて前記記憶部に登録し、前記印字データ及び前記識別情報を前記印字装置へ送信し、送信した前記印字データ及び前記識別情報に対応して前記印字装置から受信応答を受信する伝票処理部と、
前記印字装置から再送対象の前記印字データの識別情報を受信し、受信した前記識別情報により特定される前記印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する伝票再発行処理部と、
を備え、
前記印字装置は、
印字を行う印字部と、
印字が完了していない印字データの識別情報を記憶する不揮発メモリと、
前記制御装置から前記印字データ及び当該印字データの識別情報を受信し、受信応答を返送する受信部と、
前記受信部が受信した前記印字データの識別情報を、受信した順に前記不揮発メモリに書き込む登録部と、
前記受信部が受信した前記印字データを前記印字部に印字させる印字処理部と、
印字が完了した前記印字データの識別情報を前記不揮発メモリから削除する削除部と、
当該印字装置の電源が投入されたときに、前記不揮発メモリに記憶されている前記印字データの識別情報を再送対象として前記制御装置に送信する未印字伝票通知部と、
を備える、
ことを特徴とする注文管理システム。
【請求項2】
前記伝票再発行処理部は、受信した前記識別情報により特定される前記印字データに、再送を示す情報を印字させるデータを付加した印字データを生成し、生成した前記印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の注文管理システム。
【請求項3】
前記伝票再発行処理部は、受信した前記識別情報により特定される前記印字データにより印字される伝票に、再送を示す情報を示すヘッダを付加した印字データを生成し、生成した前記印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する、
ことを特徴とする請求項2に記載の注文管理システム。
【請求項4】
再送を示す前記情報は、受信した前記識別情報により特定される前記印字データの生成元となった前記注文データが示す注文の注文時刻からの経過時間である、
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の注文管理システム。
【請求項5】
前記印字装置は、
前記未印字伝票通知部が送信した前記印字データの識別情報に対応して前記制御装置から受信した前記印字データに、再送された印字データによる印字であることを示す情報を印字させる印字データを付加する印字情報付加部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の注文管理システム。
【請求項6】
前記印字データは、前記注文データが示す注文の明細を単一の伝票として印字させる短冊印字データを1以上含み、
前記印字装置は、
前記印字部が前記印字データに含まれる前記短冊印字データの印字を完了した数である印字完了数を、当該印字データの識別情報と対応付けて前記不揮発メモリに書き込む更新部をさらに備え、
前記印字情報付加部は、前記未印字伝票通知部が送信した前記印字データの識別情報に対応して再送された前記印字データに、当該印字データの識別情報に対応して前記不揮発メモリに記憶されている前記印字完了数に基づく情報を印字させる印字データを追加する、
ことを特徴とする請求項5に記載の注文管理システム。
【請求項7】
前記印字情報付加部は、前記再送された前記印字データに含まれる前記短冊印字データに、当該印字データの識別情報に対応して前記不揮発メモリに記憶されている前記印字完了数に基づいて、再印字であることを示す情報あるいは未印字であることを示す情報を印字させる印字データを追加する、
ことを特徴とする請求項6に記載の注文管理システム。
【請求項8】
前記印字データは、前記注文データが示す注文の明細を単一の伝票として印字させる短冊印字データを1以上含み、
前記印字装置は、
前記印字部が前記印字データに含まれる前記短冊印字データの印字を完了した数である印字完了数を、当該印字データの識別情報と対応付けて前記不揮発メモリに書き込む更新部をさらに備え、
前記未印字伝票通知部は、前記印字装置の電源が投入されたときに、前記不揮発メモリに記憶されている前記印字データの識別情報及び前記印字完了数を前記制御装置に送信し、
前記伝票再発行処理部は、前記印字装置から受信した前記印字データの識別情報及び前記印字完了数を受信し、受信した前記識別情報により特定される前記印字データに含まれる短冊印字データのうち、受信した前記印字完了数から印字されていないと判断される短冊印字データのみを含む印字データを生成し、生成した印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の注文管理システム。
【請求項9】
前記伝票処理部は、前記注文受信部が受信した注文データに基づいて複数種類の伝票の印字データを生成するとともに当該印字データそれぞれを識別する識別情報を生成し、前記注文データと前記伝票の伝票番号と前記印字データそれぞれの識別情報とを対応付けて前記記憶部に登録し、前記印字データ及び当該印字データの識別情報の組それぞれを、当該印字データの伝票の種類に対応した前記印字装置へ送信し、送信した前記印字データ及び前記識別情報に対応して前記印字装置から受信応答を受信し、
前記伝票再発行処理部は、
前記印字装置から再送対象の伝票の伝票番号を受信し、受信した前記伝票番号により特定される前記注文データに基づいて生成した前記複数の種類の印字データを前記印字装置に返送するとともに、返送した前記印字データの識別情報と再送済みを示す情報とを対向付けて前記記憶部に登録し、
前記伝票処理部が再送対象の伝票の伝票番号を送信した前記印字装置とは異なる他の前記印字装置から前記識別情報を再送対象として受信し、受信した前記識別情報に対応して再送済みを示す情報が前記記憶部に登録されている場合、削除要求を前記他の印字装置に返送し、受信した前記識別情報に対応して再送済みを示す情報が前記記憶部に登録されていない場合、前記識別情報により特定される前記印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記他の印字装置に送信し、
前記印字装置の未印字伝票通知部は、再発行対象の伝票の伝票番号を前記制御装置に送信し、
前記他の印字装置の前記削除部は、前記未印字伝票通知部が送信した前記印字データの識別情報に対応して前記制御装置から削除要求を受信した場合、送信した前記識別情報を前記不揮発メモリから削除する、
ことを特徴とする請求項1に記載の注文管理システム。
【請求項10】
制御装置及び印字装置を有する注文管理システムに用いられる前記制御装置であって、
注文を入力する装置から注文データを受信する注文受信部と、
前記注文受信部が受信した注文データと当該注文データが示す注文の注文時刻とを記憶部に登録する注文処理部と、
前記注文受信部が受信した注文データに基づいて伝票の印字データを生成するとともに当該印字データを識別する識別情報を生成して当該識別情報を前記注文データと対応付けて前記記憶部に登録し、前記印字データ及び前記識別情報を前記印字装置へ送信し、送信した前記印字データ及び前記識別情報に対応して前記印字装置から受信応答を受信する伝票処理部と、
前記印字装置から再送対象の前記印字データの識別情報を受信し、受信した前記識別情報により特定される前記印字データを、前記伝票処理部が送信後に受信応答を受信していない前記印字データ及び前記伝票処理部が未送信の前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する伝票再発行処理部と、
を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項11】
制御装置及び印字装置を有する注文管理システムに用いられる伝票印字制御方法であって、
前記制御装置において、
注文受信部が、注文を入力する装置から注文データを受信する注文受信過程と、
注文処理部が、前記注文受信部が受信した注文データと当該注文データが示す注文の注文時刻とを記憶部に登録する注文処理過程と、
伝票処理部が、前記注文受信過程において受信した注文データに基づいて伝票の印字データを生成するとともに当該印字データを識別する識別情報を生成して当該識別情報を前記注文データと対応付けて前記記憶部に登録し、前記印字データ及び前記識別情報を前記印字装置へ送信する印字データ送信過程と、
前記伝票処理部が、送信した前記印字データ及び前記識別情報に対応して前記印字装置から受信応答を受信する応答受信過程と、
伝票再発行処理部が、前記印字装置から再送対象の前記印字データの識別情報を受信し、受信した前記識別情報により特定される前記印字データを、前記印字データ送信過程における送信後に前記応答受信過程において受信応答を受信していない前記印字データ及び前記印字データ送信過程において送信を行っていない前記印字データより先に、前記識別情報で特定される前記注文データの注文時刻の早い順に、前記印字装置に送信する伝票再発行過程と、
前記印字装置において、
受信部が、前記制御装置から前記印字データ及び当該印字データの識別情報を受信し、受信応答を返送する受信過程と、
登録部が、前記受信過程において受信した前記印字データの識別情報を、受信した順に不揮発メモリに書き込む登録過程と、
印字処理部が、前記受信過程において受信した前記印字データを印字部に印字させる印字処理過程と、
削除部が、印字が完了した前記印字データの識別情報を前記不揮発メモリから削除する削除過程と、
未印字伝票通知部が、当該印字装置の電源が投入されたときに、前記不揮発メモリに記憶されている前記印字データの識別情報を再送対象として前記制御装置に送信する未印字伝票通知過程と、
を有することを特徴とする伝票印字制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−221046(P2012−221046A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83750(P2011−83750)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(304048735)エスアイアイ・データサービス株式会社 (126)
【Fターム(参考)】