説明

洋菓子の製造方法

【課題】 寒天やゼラチン等を用いず、かつ良好な食感を有する生洋菓子の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】 米粉に対して水を所定の割合で混合し、加熱して糊状にするステップと、生クリームをホイップするステップと、クリームチーズと甘味料と酸味料とを所定の混合比で混合するステップと、この混合物の中にホイップした前記生クリーム及び糊状にした前記米粉とを投入して混ぜ合わせ、裏ごしするステップとを有する製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米粉を原料とした洋菓子の製造方法に関し、特に、ゼラチンや寒天、卵、乳製品等のつなぎを用いない洋菓子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ムースなどの生洋菓子は、凝固のためにゼラチンや寒天を使用していて、口当たりの良いものであった。
また、クッキーは、バターと甘味料を混ぜあわせ卵と小麦粉を練りこみ180℃以上の高温で短時間に焼きあげている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところがBSE問題でゼラチンの安全性が問われることとなった。ゼラチンに代えてアガーやスギノリ等の寒天を利用することも考えられるが、寒天は、酸味があると固まらず、固まると固すぎてゼラチンのような滑らかさが出せないという問題がある。
そのため、寒天やゼラチン等を用いず、かつ良好な食感を有する生洋菓子が求められている。
健康志向や地産地消など食に安全安心を求める今日において、日本古来の食文化である米の良さが見直されている中、輸入に頼っている小麦粉はポストハーベストなどの残留農薬の問題がクローズアップされている。
近年、アレルギーによる食事制限者が増え、中でも小麦、卵、乳製品を食する事の出来ない人が増えている。
一方において、米離れの進む中で米の良さも見直されている今日、安全安心な米の日本国内での消費拡大が求められている。
本発明の第一の目的は、寒天やゼラチン等を用いず、かつ良好な食感を有する洋菓子を製造する方法を提供するところにある。
また、本発明の第二の目的は、美味しさと食感を維持したままで小麦、卵、乳製品を一切用いることなく、かつ、米の消費拡大を図ることのできる洋菓子の製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の第一の目的を達成するために、本発明の発明者は、米離れによる米の消費拡大が叫ばれていることに着目し、きわめて安全安心とされ健脳食品「ブレインフーズ」としても見直されている米粉を使用出来ないかと考えた。米粉は米を粉にしたもので腹持ちよく満腹感や食した後の満足感を得る事ができるのではと考えた。しかし、米を煮た独特の臭いがあり生洋菓子には不釣合いであった。
そこで、本発明では、米粉に対して水を所定の割合で混合し、加熱して糊状にするステップと、生クリームをホイップするステップと、クリームチーズと甘味料と酸味料とを所定の混合比で混合するステップと、この混合物の中にホイップした前記生クリーム及び糊状にした前記米粉とを投入して混ぜ合わせ、裏ごしするステップとを有する方法としてある。
前記した米粉と前記水との割合は、重量比で1:10程度とするとよい。
クリームチーズと甘味料と酸味料を使用することによりヨーグルト風味を出すことができるとともに、米粉の臭いを消すことができ、ムースタイプの生洋菓子を得ることができる。クリームチーズと甘味料と酸味料は個人の好みもあるが、チーズが多すぎるとチーズ臭くなり、酸味料が少ないとご飯の味が表に出てしまう恐れがある。そのため、混合するクリームチーズ,甘味料及び酸味料の割合は、これらの観点に鑑みて適切なものを選択する。
裏ごしをかけることにより糊状の米粉が滑らかで口当たりの良いものとなり、更に粘りが出る。又、その他の材料とまんべんなく混ざり合った生洋菓子を得ることができる。
【0005】
上記の第二の目的を達成するために、本発明は、原料米を炊き上げるステップと、米粉と炊き上げた前記原料米にショートニングと甘味料を投入して粘りが出るまで捏ね、生地を生成するステップと、この生地から所定形状のクッキー基材を切り出すステップと、前記クッキー基材を冷凍するステップと、冷凍したクッキー基材を半解凍し、半解凍状態で所定形状に形成するステップと、半解凍状態の前記クッキー基材を、焦げ付き又は水分過小の状態にならない温度及び時間で焼きあげるステップとを有する方法としてある。
前記原料米が、黒米、赤米、発芽玄米のいずれかであるものとしてもよい。
前記クッキー基材の焼き上げ温度及び時間は、例えば1cmの肉厚を有するクッキー基材では、160℃で40分とするとよい。
また、前記クッキー基材を、予め所定温度及び所定時間寝かせるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、寒天やゼラチン等を用いず、かつ、良好な食感を有する生洋菓子等の洋菓子を得ることができる。
本発明によって得られる生洋菓子は、モッタリとしたヨーグルト風味の食感でムースタイプのものであり、添加物や狂牛病の心配が無い安全安心度の高い加工食品である。
米の加工技術として邁進した加工品であり、米離れに歯止めを掛け米の消費拡大に貢献し、農業に夢と希望を与えるものである。
【0007】
健脳食品「ブレインフーズ」として見直されている米には、体温を上げ活動のエネルギー源としての効果があり、この生洋菓子はお菓子の領域でなく健康補助食品、もしくは特定保健用食品としての位置づけも期待されるものである。
【0008】
また、本発明によれば、米粉22と炊き上げた古代米25をこねることにより、小麦粉の粘りであるグルテンの代わりが出来、しかも炊き上げた古代米25を加える事により米の美味しさや粒の噛み応えを実現したクッキー等の焼洋菓子を得ることができる。本発明の方法により製造された焼洋菓子は、小麦粉や卵、乳製品にアレルギーがある人も食べる事が出来る。
【0009】
また、米を加工した米粉22と古代米{黒米、赤米、発芽玄米等}31を炊き上げてから使う為に米のα化とβ化を繰り返すため栄養価が増す。
【0010】
米を中心に築き上げられた日本の食文化に洋風の米のお菓子を作り上げ、古代米{黒米、赤米、発芽玄米など}31を炊き上げた後に混ぜ込むことにより米粒を残し香ばしさや歯もろさの食感が出来た。又三種類の古代米31はそれぞれの持ち味を生かし、粒を残す事で咀嚼を促し違った旨みを感じる事ができる。
米離れに歯止めを掛けることができ、米の良さを見直し洋菓子として取りいれることにより米の消費拡大にも繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第一の実施形態]
本発明の生洋菓子は米粉、水、生クリーム、クリーチーズ、甘味料、酸味料以外に香料、保存料を含む添加物などは一切使用していない安全安心の加工食品である。材料としては、以下のものを用いた。
米粉 20g
水 200g
生クリーム 100CC
クリームチーズ 150g
甘味料 50g
酸味料 大1
【0012】
第一工程:上記の重量比で米粉1及び水2を加熱調理器具に入れ9分程弱火で糊状になるまで煮る。その後、後述の第四工程で他の材料と混ぜ合わす時に傷みの原因にならないように冷まし、他の材料と同じ温度(例えば室温)にしておく。
第二工程:第一器具8に生クリーム3を入れミキサー11で生クリームの表面に細かな角(つの)が立つまで泡立てる。
第三工程:第二器具9にクリームチーズ4、砂糖などの甘味料5、レモン汁等の酸味料6を入れミキサー11で各材料が均等に混ざり合うまで攪拌する。
第四工程:第二器具9に第一工程で出来た糊状の米粉を入れ攪拌し、更に第二工程で作ったホイップ生クリーム3も入れ攪拌する。このときクリームの泡を壊さないようにする。
【0013】
第五工程:最後に第四工程で出来たものを裏ごしし器に盛る。裏ごしする事で更に滑らかな口当たりの食感が得られ、すべての材料がよく混ざり合うことになる。
以上のような工程で製造した生洋菓子は以下のような特徴を有する。
モッタリとした食感でムースのような滑らかな口当たりである。
(2)米粉を使用しているので満腹感や満足感を得る事が出来る。
(3)BSE問題に対する不安の無い安全安心な加工品。
(4)米の加工品の幅を広げ消費拡大に繋がる。
【0014】
[第二の実施形態]
本発明によるクッキーの製造方法を図面に基づき説明する。なお、以下の説明は米粉クッキーの説明で、米粉22と甘味料24とショートニング23、炊き上げた古代米{黒米、赤米、発芽玄米など}25を材料とし、他に香料、食品添加物などは一切使用しない、究めてシンプルで安全安心度の高いクッキーである。
第一工程:加熱調理器で古代米{黒米、赤米、発芽玄米などのいずれか}31を同容量の水30で炊き上げる。三種類炊いておけば三種類の味を楽しめる。
第二工程:器具21の中に米粉22と炊き上げた古代米25、甘味料24、ショートニング23を入れこねる。第一工程で炊き上げられた古代米25の粘りや手でこねる事によりショートニング23や甘味料24と米粉22が上手く混ざり合う。
【0015】
第三工程:クッキー生地28を円柱の型27で形成し冷凍庫で冷やし固め寝かせる。小麦粉と違い粘りが弱いので、炊き上げた古代米25の水分を完全に凍らせ形成する。
第四工程:冷凍庫から取り出し半解凍した生地28を1cm幅位の円形にカットし、鉄板に並べて、160℃で約40分低温にてじっくり焼きあげる。これはせんべいを焼く事に等しい。又、炊き上げて使用する古代米25を冷めたり温めたりする事によりα化β化を繰り返し栄養価も上がる。
【0016】
以上のような工程で製造された米粉クッキーは以下のような特徴を有する。
従来のクッキーには無かった噛み応えがあり、噛む事で満腹中枢が働き少量で満腹感を得る事ができる。従来のクッキーより固く、せんべいには無い歯もろさで、現代人の咀嚼不足を解消するものである。
古代米31を一度炊き上げてから使用することにより、生地28の中に練りこんだ古代米の米粒25が焼き上がると歯もろさと旨みを出す。
小麦粉と卵と乳製品を除去したことにより、アレルギー除去食品としても対応でき治療中の人にも食べる楽しみを提供出来るクッキーである。
日本の米を使用する事で米の消費拡大に貢献でき、米の加工技術に幅を持たせるものである。
米を主食としてきた食文化に和洋折衷のお菓子「クッキー」である。
三種類の古代米31を取り入れることによりそれぞれの美味しさが楽しめる。
米を使用することにより腹持ちよく満腹感を得る事ができる。
米を使用することで従来のクッキーのように甘味料を使用しなくても米の持つ旨みや甘味で美味しく食する事ができる。
小麦粉を全く使用しないので、輸入小麦におけるポストハーベストなどの残留農薬の心配がなく安全安心である。
米を主食としてきた日本人に合ったどこか懐かしい味のクッキー
【0017】
このように、本発明の米粉クッキーは小麦粉を全く使用せず米100%で、しかも卵と乳製品も除去したクッキーである。しかも無添加無着色で米の消費拡大にも貢献できる。
【0018】
本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、ゼラチンや寒天の代わりに米粉を使用した生洋菓子の製造若しくは小麦粉、卵、乳製品を使用せず、米と甘味料とショートニングだけで焼きあげたアレルギー食対応のクッキーの製造に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による生洋菓子の製造工程を示す説明である。
【図2】本発明によるクッキーの製造工程を示す説明である。
【符号の説明】
【0021】
1 米粉
2 水
3 生クリーム
4 クリームチーズ
5 甘味料
6 酸味料
7 加熱調理器具
8 第一器具
9 第二器具
10 第三器具
11 ミキサー
12 裏ごし器
13 第一工程の結果物
14 第二工程の結果物
15 第三工程の結果物
16 第四工程の結果物
21 器具
22 米粉
23 ショートニング
24 甘味料
25 炊き上げた古代米
26 鉄板
27 円形の切り取り型
28 生地
29 加熱調理器
30 水
31 古代米

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米粉に対して水を所定の割合で混合し、加熱して糊状にするステップと、生クリームをホイップするステップと、クリームチーズと甘味料と酸味料とを所定の混合比で混合するステップと、この混合物の中にホイップした前記生クリーム及び糊状にした前記米粉とを投入して混ぜ合わせ、裏ごしするステップと、を有することを特徴とする洋菓子の製造方法。
【請求項2】
前記米粉と前記水との割合が、重量比で1:10であることを特徴とする請求項1に記載の洋菓子の製造方法。
【請求項3】
原料米を炊き上げるステップと、米粉と炊き上げた前記原料米にショートニングと甘味料を投入して粘りが出るまで捏ね、生地を生成するステップと、この生地から所定形状のクッキー基材を切り出すステップと、前記クッキー基材を冷凍するステップと、冷凍したクッキー基材を半解凍し、半解凍状態で所定形状に形成するステップと、半解凍状態の前記クッキー基材を、焦げ付き又は水分過小の状態にならない温度及び時間で焼きあげるステップと、を有することを特徴とする洋菓子の製造方法。
【請求項4】
前記原料米が、黒米、赤米、発芽玄米のいずれかであることを特徴とする請求項3に記載の洋菓子の製造方法。
【請求項5】
所定肉厚の前記クッキー基材を160℃で40分間焼くことを特徴とする請求項3又は4に記載の洋菓子の製造方法。
【請求項6】
前記クッキー基材を、所定温度及び所定時間寝かせるステップをさらに有することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の洋菓子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−238847(P2006−238847A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62183(P2005−62183)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(305009175)
【Fターム(参考)】