説明

洋風水洗式便器

【課題】便器本体に便器装置を良好に取り付けることができる洋風水洗式便器を提供する。
【解決手段】洋風水洗式便器は、便鉢2を有する便器本体1を備えている。便器本体1の後部上面には、機能装置20、25が固定されたベースプレート10、11を有する便器装置が取り付けられている。ベースプレート10には、開口部12が設けられ、開口部12を挿通して、便鉢2に洗浄水を供給する給水装置5が便器本体1の後部上面より上方に配置されている。ベースプレート10には、開口部12の縁部に沿って立上がる第1リブ13が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洋風水洗式便器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の洋風水洗式便器が開示されている。この洋風水洗式便器は、便鉢を有する便器本体を備えている。便器本体の後部上面より上方には、便鉢に洗浄水を供給する給水装置が配置されている。また、便器本体の後部上面には、機能装置である局部洗浄装置と、局部洗浄装置が固定されたベースプレートとを有する便器装置が取り付けられている。このベースプレートには、給水装置との干渉を避ける切欠き部が設けられている。このため、便器装置と給水装置とを便器本体の後部上面の限られたスペースに配置することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−193132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の洋風水洗式便器では、ベースプレートに切欠き部が設けられているため、この部分の強度が低下し、ベースプレートが撓みやすくなる。便器本体の後部上面の形状は、製造上、中央部が左右両端より、やや低く形成されることがある。このため、便器装置を便器本体の後部上面に取り付けた際、ベースプレートと便器本体の中央部付近との間に隙間が生じることがある。この場合、過度な力がベースプレートに働くと、隙間があるためにベースプレートが撓み、便器装置の取付位置がずれてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、便器本体に便器装置を良好に取り付けることができる洋風水洗式便器を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洋風水洗式便器は、便鉢を有する便器本体と、該便器本体の後部上面に取り付けられ、機能装置及び該機能装置が固定されたベースプレートを有する便器装置と、該ベースプレートに設けられた開口部を挿通し、該便器本体の後部上面より上方に配置され、該便鉢に洗浄水を供給する給水装置とを備えた洋風水洗式便器において、
前記ベースプレートには、前記開口部の縁部に沿って立上がる第1リブが設けられていることを特徴とする。
【0007】
この洋風水洗式便器では、第1リブにより開口部周辺のベースプレートの強度を補強することができる。このため、ベースプレートが撓みにくくなり、便器装置を便器本体の後部上面に取り付けた後、便器装置の取付位置がずれることを防止することができる。
【0008】
したがって、本発明の洋風水洗式便器は、便器本体に便器装置を良好に取り付けることができる。
【0009】
便器装置は、機能装置として、温水タンク及び局部洗浄ノズルを具備した局部洗浄装置を有し、ベースプレートには、開口部に隣接して設けられた温水タンクの載置部と、第1リブに連続して載置部の周縁に沿って立上がる第2リブとが設けられ得る。この場合、ベースプレートの強度を広い範囲で向上させることができる。このため、ベースプレートが撓むことがさらに防止され、便器装置を便器本体の後部上面に取り付けた後、便器装置の取付位置がずれることをさらに防止することができる。
【0010】
便器装置は、ベースプレートに固定され、開口部の上方の少なくとも一部を覆う補強部材を有し得る。この場合、開口部周辺のベースプレートの強度をさらに向上させることができる。このため、ベースプレートが撓むことがさらに防止され、便器装置を便器本体の後部上面に取り付けた後、便器装置の取付位置がずれることをさらに防止することができる。
【0011】
補強部材は、温水タンクの上方の少なくとも一部も覆い得る。この場合、ベースプレートの強度を広い範囲でさらに向上させることができる。このため、ベースプレートが撓むことがさらに防止され、便器装置を便器本体の後部上面に取り付けた後、便器装置の取り付け位置がずれることをさらに防止することができる。また、温水タンクの上方の一部を補強部材で覆うことにより温水タンクの保温性を高めることができる。
【0012】
補強部材は、上面に機能装置の制御基板が取り付けられ得る。この場合、温水タンク等の上方のスペースを有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の洋風水洗式便器を具体化した実施例1を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0014】
図1に示すように、実施例1の洋風水洗式便器は、便鉢2を有する便器本体1を備えている。便器本体1の後部上面には、便器装置3が取り付けられる。便器装置3は、機能装置である局部洗浄装置の温水タンク20が固定される後ベースプレート10と、おしり洗浄用ノズルとビデ洗浄用ノズルとを有する局部洗浄ノズル25が固定される前ベースプレート11とを有している。図示しないが、後ベースプレート10及び前ベースプレート11には、機能装置として、温風乾燥装置、空気清浄装置、音楽再生装置、部屋暖房装置及び照明装置が固定される。後ベースプレート10と前ベースプレート11とは、後ベースプレート10の前部上方に前ベースプレート11の後部が重なるように図示しない昇降装置を介して組み付けられる。
【0015】
図2に示すように、後ベースプレート10が、図示しない取付金具により便器本体1の後部上面に取り付けられ、便器装置3は便器本体1の後部上面に取り付けられる。後ベースプレート10及び前ベースプレート11に固定された局部洗浄装置等の各機能装置は、前ベースプレート11に取り付けられて下方に開口する収納ケース60内に収納される。
【0016】
収納ケース60の上面は、前方に向けて下方に傾斜している。収納ケース60の上面の後部には、図示しないが、後述する給水装置5を臨む開口が設けられ、この開口から給水装置5のメンテナンス等が可能である。収納ケース60には、上面の後部にカバー61が着脱自在に取り付けられ、上面の前部に便蓋62及び図示しない便座が回動可能に軸支されている。収納ケース60、カバー61、便蓋62及び便座は、前ベースプレート11とともに後ベースプレート10に対して昇降可能にされている。
【0017】
図1に示すように、給水装置5は、便器本体1の後部上面に固定されたフレーム52により便器本体1の後部上面より上方に取り付けられている。給水装置5のバルブ本体50には、ストレーナ機構、定流量弁機構、開閉弁機構及びバキュームブレーカ機構が内蔵されている。バルブ本体50は、ストレーナ機構の下流側、かつ定流量弁機構の上流側に温水タンク20に洗浄水を供給する分岐管51が分岐されている。バルブ本体50の上流側の流入口にはフレキシブルホース53が接続されている。図3に示すように、フレキシブルホース53の上流端は、便器本体1の後方壁6に設けられた挿通孔7を挿通し、水道管に接続された止水栓5に接続されている。また、バルブ本体50の下流側の流出口は、図示しないフレキシブルホースを介して便鉢2に連通している。
【0018】
図1に示すように、後ベースプレート10には、後端の一部分から切欠かれた開口部12が設けられている。この開口部12は、便器本体1の後部上面に便器装置3が取り付けられる際、給水装置5のバルブ本体50等が下方から挿通される。後ベースプレート10には、開口部12の左右及び前側の縁部に沿って立上がる第1リブ13が設けられている。このため、後ベースプレート10の開口部12の周辺の強度は補強されている。よって、後ベースプレート10が撓みにくくなり、便器装置3を便器本体1の後部上面に取り付けた後、便器装置3の取付位置がずれることを防止することができる。
【0019】
したがって、実施例1の洋風水洗式便器は、便器本体1に便器装置3を良好に取り付けることができる。
【0020】
後ベースプレート10には、開口部12に隣接して温水タンク20の載置部14と、第1リブ13に連続して載置部14の周縁に沿って立上がる第2リブ15とが設けられている。開口部12と載置部14とが隣接する部分に立上がる第1リブ13は、載置部14の周縁の一部に沿っており、第2リブ15として兼用されている。このため、後ベースプレート10の強度が広い範囲で向上している。よって、後ベースプレート10がさらに撓みにくくなり、便器装置3を便器本体1の後部上面に取り付けた後、便器装置3の取付位置がずれることを防止することができる。
【0021】
温水タンク20の下部は、第1リブ13の一部と第2リブ15とにより囲まれている。このため、温水タンク20から何らかの原因で洗浄水が漏水した場合に第1リブ13と第2リブ15とにより囲まれた領域内に洗浄水は滞留する。このため、漏水した洗浄水が任意の個所へ流出してしまうことを防止している。便器装置3が便器本体1の後部上面に取り付けられた状態で温水タンク20より便鉢2側に位置する第2リブ15には、上端から第2リブ15の中間高さまで下方に延びる切欠き部16が設けられている。また、この切欠き部16から溢れ出た洗浄水が便鉢2方向に流れるように、後ベースプレートの上面に一対の凸条部17が設けられている。このため、温水タンク20から漏水した洗浄水は便鉢2内に良好に流れ落ちるようにされている。
【0022】
便器装置3は、後ベースプレート10に固定される補強部材30を有している。図2及び図3に示すように、補強部材30は、後ベースプレート10に設けられた開口部12の上方の一部を覆っている。補強部材30により覆われていない開口部12の上方は、給水装置5のバルブ本体50が上方からメンテナンス等が行えるように露出している。また、図1に示すように、補強部材30は、温水タンク20の上方に開口31が設けられる一方で、温水タンク31の上方の一部も覆っている。このため、補強部材30により後ベースプレート10が撓むことがさらに防止され、便器装置3を便器本体1の後部上面に取り付けた後、便器装置3の取付位置がずれることをさらに防止することができる。また、補強部材30が温水タンク20の上方の一部を覆っているため、温水タンク20の保温性を高めることができる。
【0023】
温水タンク20は、洗浄水の流入部に開閉弁21が設けられ、開閉弁21の上流側に先端に接続具23が設けられた給水ホース22が接続されている。給水ホース22の先端に設けられた接続具23は、給水装置5のバルブ本体50に設けられた分岐管51に接続される。また、温水タンク20の上部には、温水タンク20内に貯留され、加熱された洗浄水が流出する流出パイプ24と、大気開放弁の捨て水が流出する排水パイプ26とが設けられている。流出パイプ24には図示しない可撓性を有するチューブが接続される。このチューブは、補強部材30に設けられた開口31を挿通し、前ベースプレート11に固定されたおしり洗浄用ノズルとビデ洗浄用ノズルとを有する局部洗浄ノズル25の流入口に接続される。排水パイプ26にも図示しない可撓性を有するチューブが接続される。このチューブは、補強部材30に設けられた開口31を挿通し、前ベースプレート11上に接続される。このため、大気開放弁から排出された捨て水は、前ベースプレート11を介して便鉢2内に排水される。
【0024】
図2及び図3に示すように、補強部材30の上面には、機能装置である便器洗浄装置等の制御基板40が取り付けられている。このため、温水タンク20の上方のスペースを有効に利用することができる。
【0025】
以上において、本発明を実施例1に即して説明したが、本発明は上記実施例1に制限されるものではなく、その趣旨に逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0026】
例えば、後ベースプレート10と前ベースプレート11とが一体に形成されていてもよい。また、開口部12の全周縁に第1リブ13を設けてもよい。さらに、補強部材30は、開口部12の上方全体を覆ったり、温水タンク20の上方全体を覆ったりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1の洋風水洗式便器の分解斜視図である。
【図2】実施例1の便器装置の取付状態を示す斜め前方斜視図である。
【図3】実施例1の便器装置の取付状態を示す斜め後方斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1…便器本体
2…便鉢
3…便器装置
5…給水装置
10、11…ベースプレート(10…後ベースプレート、11…前ベースプレート)
13…第1リブ
14…載置部
15…第2リブ
20、25…機能装置(20…温水タンク、25…局部洗浄ノズル)
30…補強部材
40…制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢を有する便器本体と、該便器本体の後部上面に取り付けられ、機能装置及び該機能装置が固定されたベースプレートを有する便器装置と、該ベースプレートに設けられた開口部を挿通し、該便器本体の後部上面より上方に配置され、該便鉢に洗浄水を供給する給水装置とを備えた洋風水洗式便器において、
前記ベースプレートには、前記開口部の縁部に沿って立上がる第1リブが設けられていることを特徴とする洋風水洗式便器。
【請求項2】
前記便器装置は、前記機能装置として、温水タンク及び局部洗浄ノズルを具備した局部洗浄装置を有し、
前記ベースプレートには、前記開口部に隣接して該温水タンクの載置部と、前記第1リブに連続して該載置部の周縁に沿って立上がる第2リブとが設けられている請求項1記載の洋風水洗式便器。
【請求項3】
前記便器装置は、前記ベースプレートに固定され、前記開口部の上方の少なくとも一部を覆う補強部材を有している請求項1又は2記載の洋風水洗式便器。
【請求項4】
前記補強部材は、前記温水タンクの上方の少なくとも一部も覆う請求項3記載の洋風水洗式便器。
【請求項5】
前記補強部材は、上面に前記機能装置の制御基板が取り付けられている請求項3又は4記載の洋風水洗式便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−221745(P2009−221745A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67296(P2008−67296)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】