説明

洗剤組成物

【課題】残香性及び発香性並びに柔軟性に優れた洗剤組成物。
【解決手段】本発明は、(A)成分:アニオン界面活性剤と、(B)成分:カチオン化ポリマーと、(C)成分:ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエスエル系樹脂で香料を内包したカプセル化香料とを含有する洗剤組成物である。前記(B)成分は、カチオン化セルロースであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料用の洗剤組成物にあっては、近年、洗浄力の強さに加えて、複合的な機能が求められている。
例えば、洗剤組成物に求められる機能の一つとして、香りの持続性が挙げられる。洗剤組成物の香りに対する関心は高く、洗剤組成物自体が好適な香りを持続できることに加え、被洗物に香りを付与することが求められている。
洗剤組成物に香料を添加する方法としては、界面活性剤を含有する界面活性剤含有粒子に対して、香料を噴霧する方法が一般的に知られている。しかし、香料を直接的に界面活性剤含有粒子に噴霧すると、界面活性剤含有粒子中の他の成分と直接接触し、香料の品質に好ましくない影響を与えることがある。加えて、単に界面活性剤含有粒子に香料を噴霧した場合には、香料の香気は早期に放出され、洗剤組成物自体あるいは被洗物における香気の放出が持続しにくいという問題があった。
こうした問題に対し、香料を核物質とし、(メタ)アクリル酸の重合体又はメラミン系樹脂をカプセルシェルとしたマイクロカプセルが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、例えば、洗剤組成物に求められる機能として、被洗物の柔軟性が挙げられる。特に、近年では、省エネルギー・省資源の観点から、少量の水で洗濯を行う「節水洗濯」が主流となってきている。これに伴って、浴比(被洗物に対する洗濯液の質量比)が低下傾向にある。従来、低浴比の下で洗濯を行うと、洗濯中に、被洗物同士の擦れや絡まりが生じやすくなり、被洗物が傷んで風合いが悪くなる問題がある。このため、低浴比の洗濯環境下においても、被洗物に、新品のような外観や柔らかい風合い(柔軟性)を付与できる洗剤組成物が望まれている。
こうした要望に対し、洗剤界面活性剤と、有機又は無機洗浄性ビルダーと、カチオン化セルロース等の変性セルロースエーテル布帛処理剤とを含有する洗濯洗剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2001−507396号公報
【特許文献2】特表2003−524689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、洗剤組成物には、洗浄力に加え複数の機能を備えることが求められている。被洗物への香りの付与(残香性)については、被洗物の着用中に被洗物が擦り合わされて香気が放出する(発香性)ことが求められている。加えて、洗剤組成物の被洗物に対する残香性、発香性及び柔軟性のさらなる向上が求められていた。
そこで、本発明は、残香性、発香性及び柔軟性に優れた洗剤組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、洗剤組成物に特定のポリマーで香料を内包したカプセル化香料と、アニオン界面活性剤と、カチオン化ポリマーとを組み合わせることで、残香性及び発香性並びに柔軟性が相乗的に向上することを見出し、本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明の洗剤組成物は、(A)成分:アニオン界面活性剤と、(B)成分:カチオン化ポリマーと、(C)成分:ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエスエル系樹脂で香料を内包したカプセル化香料とを含有することを特徴とする。前記(B)成分は、カチオン化セルロースであることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗剤組成物によれば、被洗物の残香性、発香性及び柔軟性の向上が図れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(洗剤組成物)
本発明の洗剤組成物は、(A)成分:アニオン界面活性剤と、(B)成分:カチオン化ポリマーと、(C)成分:ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエスエル系樹脂で香料を内包したカプセル化香料とを含有する。
本発明の洗剤組成物の形態は特に限定されず、例えば、粉状、顆粒状等の粒状洗剤組成物であってもよいし、上記成分を水等の溶媒に分散した液状洗剤組成物であってもよい。中でも、カプセル化香料の安定性の面から、粒状洗剤組成物であることが好ましい。
【0010】
本発明の洗剤組成物を粒状洗剤組成物とする場合、粒子の平均粒子径は、特に限定されないが200〜1500μmであることが好ましく、250〜1000μmであることがより好ましい。平均粒子径が200μm以上であると、使用時に粉立ちが抑制される。一方、1500μm以下であると、水への溶解性が向上する。かかる粒子の平均粒子径は、日本薬局方に記載された粒度の試験に準じた篩い分けによる粒度分布から算出される値を示す。
【0011】
平均粒子径の測定は、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、及び149μmの9段の篩と、受け皿とを用いて分級操作を行う。分級操作は、受け皿に、目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回のサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型篩い振盪機(株式会社飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収して、サンプルの質量を測定する。そして、受け皿と各篩との質量頻度を積算していくと、積算の質量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きを「aμm」とし、aμmよりも一段大きい篩の目開きを「bμm」とし、受け皿からaμmの篩までの質量頻度の積算値を「c%」、また、aμmの篩上の質量頻度を「d%」として、下記(I)式により平均粒径(質量50%)を求め、試料の平均粒子径とする。
【0012】
【数1】

【0013】
粒状洗剤組成物の嵩密度は、0.3g/mL以上であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2g/mL、さらに好ましくは0.6〜1.1g/mLである。嵩密度が0.3g/mL以上であると、粒状洗剤組成物の保存時に必要なスペース(保存場所)をより少なくでき、有利となる。一方、1.2g/mL以下であると、長期保存後でも粒状洗剤組成物の水への溶解性が良好となる。
なお、前記嵩密度は、JIS K3362−1998に準じて測定される値を示す。
【0014】
粒状洗剤組成物の水分量は特に限定されないが、溶解性と保存安定性の観点から、4〜10質量%が好ましく、5〜9質量%がより好ましく、6〜8質量%がさらに好ましい。なお、本明細書において水分量は、赤外線水分計(ケット社製)により試料表面温度が165℃、20分間で測定した値である。
【0015】
[(A)成分:アニオン界面活性剤]
本発明における(A)成分は、アニオン界面活性剤である。洗剤組成物は、(A)成分を含有することで、高い洗浄効果が得られると共に、被洗物への柔軟性付与効果が得られる。
【0016】
(A)成分は、特に限定されず、例えば、以下の(1)〜(12)に示すものが挙げられる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖状又は分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(2)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(5)アルキレンオキサイドが平均0.5〜10モル付加された、炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルエーテル硫酸塩又は炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルエーテル硫酸塩(AES);ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とが混在したもの(モル比でEO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
(6)アルキレンオキサイドが平均3〜30モル付加された、炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルフェニルエーテル硫酸塩又は炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルフェニルエーテル硫酸塩;ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はEOとPOとが混在したもの(モル比でEO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
(7)アルキレンオキサイドが平均0.5〜10モル付加された、炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルエーテルカルボン酸塩又は炭素数10〜20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルエーテルカルボン酸塩;ただし、該アルキレンオキサイドとしては、好ましくは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はEOとPOとが混在したもの(モル比でEO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)が挙げられる。
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩等のアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(9)炭素数8〜20の飽和もしくは不飽和のα−スルホ脂肪酸又はそのメチル、エチル、プロピルエステル塩。
(10)長鎖モノアルキルリン酸塩、長鎖ジアルキルリン酸塩又は長鎖セスキアルキルリン酸塩。
(11)ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンジアルキルリン酸塩又はポリオキシエチレンセスキアルキルリン酸塩。
(12)炭素数10〜20の高級脂肪酸塩(石鹸)。
【0017】
(A)成分は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アミン塩、アンモニウム塩等として用いることができる。中でも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
上記の(A)成分の中でも、洗浄性能や柔軟性能の観点からLAS又はABS、α−スルホ脂肪酸メチルエステル(MES)塩、石鹸が好ましく、MES塩、高級脂肪酸のアルカリ金属塩(以上、いずれも好ましくは、ナトリウム塩又はカリウム塩)がより好ましい。
(A)成分は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0018】
本発明の洗剤組成物における(A)成分の含有割合は、1〜30質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。
(A)成分の含有割合が上記下限値以上であると、洗剤組成物の残香性、発香性、柔軟性及び洗浄力がより向上する。上記上限値以下であると、製造時のハンドリング性がより向上し、製造性の面で良好である
(A)成分として、LASを配合する場合、洗剤組成物中のLASの含有割合は3%未満が柔軟性の観点より好ましい。
【0019】
[(B)成分:カチオン化ポリマー]
本発明における(B)成分はカチオン化ポリマーである。
当該(B)成分を(A)成分及び(C)成分と組み合わせて用いることで、残香性及び発香性並びに柔軟性の向上が図れる。
カチオン化ポリマーは、1種又は2種以上のモノマーを重合して得られ、水に溶解した際にカチオン性を有する高分子化合物である。高分子化合物とは、重量平均分子量が1000〜1000万のものをいう。なお、重量平均分子量は、標準物質をポリエチレンオキシドとしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析を行う方法により測定できる。
【0020】
(B)成分としては、特に限定されず、例えば、MERQUAT100(Nalco社)、アデカカチオエースPD−50(株式会社ADEKA)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業株式会社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、MERQUAT550 JL5(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP、レオガードMTY(ライオン株式会社)等のカチオン化セルロース、LUVIQUAT−FC905(BASF社)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、LUGALVAN−G15000(BASF社)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318(株式会社クラレ)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。 カチオン化ポリマーは、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
上記のカチオン化ポリマーの中でも、柔軟性、残香性、発香性向上の観点からカチオン化セルロースが好ましい。
【0021】
<カチオン化セルロース>
カチオン化セルロースは、その重量平均分子量が10万〜200万であるものが好ましく、40万〜160万であるものがより好ましい。上記下限値以上であれば、洗剤組成物の柔軟性がより向上する。上記上限値以下であれば、カチオン化セルロース自身又はカチオン化セルロースを含有する洗剤組成物の水への溶解性がより良好となる。
なお、カチオン化セルロースの重量平均分子量は、標準物質をポリエチレンオキシドとしてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で分析を行う方法により測定できる。
【0022】
カチオン化セルロースのカチオン化度は、0.4〜1.2質量%であることが好ましく、0.4〜0.8質量%であることがより好ましい。上記範囲内であれば、特に綿を被洗物とした場合、柔軟性、残香性、発香性がより向上する。
本発明において、「カチオン化度」とは、カチオン化セルロース分子中に占める窒素の含有率(質量%)を意味し、グルコース環単位当たりの窒素原子の割合を示す。該窒素原子はカチオン化剤に由来する。
該カチオン化度は、その値が大きいほどカチオン化セルロースのカチオン性が強まり、水溶性が高くなることを意味する。したがって、カチオン化度は、被洗物である衣類への吸着性と関係する物性である。カチオン化セルロースにおいては、カチオン化度が0.4質量%以上であると、適度な強さのカチオン性が得られ、カチオン化セルロース自体の衣類への吸着性がより良好となるため、これに伴ってカチオン化セルロースの吸着性も良好となり、柔軟性、残香・発香性の効果がより向上すると考えられる。一方、1.2質量%以下であると、カチオン性の強さが適度に抑えられて水溶性が高くなりすぎず、カチオン化セルロース自体の衣類への吸着性が良好に保たれるため、カチオン化セルロースの吸着性も良好となり、柔軟性、残香性、発香性がより向上すると考えられる。
【0023】
カチオン化セルロースは、例えば、セルロースに酸化エチレンを付加させて得られるヒドロキシエチルセルロースと、カチオン化剤のグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドとを反応させることによって製造することができる。
カチオン化セルロースの好適なものとしては、下記一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物、(ハロゲン)−O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0024】
【化1】

【0025】
[式(1)中、n、m、lはエチレンオキサイドの平均付加モル数を表し、nは繰返し単位の繰返し数を表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又は下記一般式(2)で表される基である。]
【0026】
【化2】

【0027】
[式(2)中、Xはハロゲン原子を示す。]
【0028】
前記式(2)中、Xはハロゲン原子を示し、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
グルコース環単位当たりの前記一般式(2)で表される基の平均個数は0.1〜0.8であることが好ましく、0.3〜0.8であることがさらに好ましい。
前記一般式(1)で表される繰返し単位を有する高分子化合物において、グルコース環単位当たりのエチレンオキシド(EO)置換度は、0.3〜3.0であることが好ましく、0.7〜2.5であることがさらに好ましい。
ただし、「EO置換度」とは、セルロース原料のグルコース環単位当たり、EOで置換された水酸基の平均個数(該グルコース環の持つ3つの水酸基のうち、いくつにEOが付加されたかを示すもので、最大3となる。)を示す。
また、グルコース環単位当たりのEO平均付加モル数は、l+m+n=1〜5であることが好ましく、特に洗浄力の向上、再汚染(汚れの再付着)を抑制する効果が良好なことから、下限値は1以上が好ましく、上限値は3以下がより好ましい。
カチオン化セルロースの具体的には、ライオンケミカル株式会社から販売されているレオガードGPS(カチオン化度1.8質量%)、レオガードGP(カチオン化度1.8質量%)、レオガードGP0(カチオン化度1.8質量%)、レオガードLP(カチオン化度1.0質量%)、レオガードKGP(カチオン化度1.8質量%)、レオガードMGP(カチオン化度1.8質量%)、レオガードMLP(カチオン化度0.6質量%)、レオガードMTY(カチオン化度0.6質量%)(以上、商品名);東邦化学工業株式会社から販売されているカチナールHC−100(カチオン化度1.0〜2.0質量%)、カチナールHC−200(カチオン化度1.0〜2.0質量%)、カチナールLC−100(カチオン化度0.5〜1.5質量%)、カチナールLC−200(カチオン化度0.5〜1.5質量%)(以上、商品名);ダウケミカル社から販売されているUCARE Polymer LR400(カチオン化度0.8〜1.1質量%)、UCARE Polymer LR30M(カチオン化度0.8〜1.1質量%)(以上、商品名)等の市販のものが好適なものとして挙げられる。
なお、上記市販のものにおける商品名の相違は、セルロースの分子量、EOの平均付加モル数又はカチオン化度等が異なることによる。
カチオン化セルロースは、1種単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
【0029】
本発明の洗剤組成物における(B)成分の含有割合は、0.1〜3質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましい。
洗剤組成物中の(B)成分の含有割合が上記下限値以上であると、柔軟性、残香性、発香性がより向上する。上記上限値以下であると、他の成分とのバランスに優れ、高い洗浄力を発揮できる。
【0030】
(B)成分としてカチオン化セルロースを用いる場合、洗剤組成物におけるカチオン化セルロースの含有割合は、0.1〜2質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。上記下限値以上であれば、柔軟性、残香性、発香性がより向上する。上記上限値以下であれば、カチオン化セルロース自身又はカチオン化セルロースを含有する界面活性剤含有粒子の溶解性がより良好となる。
【0031】
[(C)成分:カプセル化香料]
本発明における(C)成分は、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂で香料を内包したカプセル化香料である。
(C)成分の形態は特限定されず、固形の粒子であってもよいし、水中に(C)成分が水中油型エマルジョンとして分散した状態であってもよい。
このような(C)成分を(A)成分及び(B)成分と組み合わせることで、残香性及び発香性並びに柔軟性の向上が図れる。
【0032】
本発明の(C)成分の粒子径は、特に限定されず、例えば、単芯型構造の場合、平均粒子径が0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは0.5〜30μmとすることが望ましい。平均粒子径が小さすぎると(C)成分の強度が低くなり、早期にカプセル壁が崩壊し、香気が持続しにくい傾向にある。平均粒子径が大きすぎると、(C)成分が繊維に吸着してもカプセル壁が崩壊しにくく、香気の放出が不十分となる傾向にある。(C)成分の平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−300V、株式会社島津製作所製)により測定される値である。単芯型構造とは、芯物質である香料の塊が、(C)成分中に一つだけ存在する構造をいう。
【0033】
(C)成分のカプセル壁の厚み(壁厚)は特に限定されないが、例えば、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmがより好ましい。壁厚が薄すぎると(C)の強度が低くなり、早期にカプセル壁が崩壊し、香気が持続しにくい傾向にある。壁厚が厚すぎると、(C)成分が繊維に吸着してもカプセル壁が崩壊しにくく、香気の放出が不十分となる傾向にある。なお、(C)成分のカプセル壁の厚みは、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察、測定することができる。
【0034】
本発明の洗剤組成物中の(C)成分の含有量は、洗剤組成物に求める香気の強さ等を勘案して決定することができ、例えば、0.05〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。上記範囲内であれば、良好な残香性、発香性が発揮されるためである。
【0035】
<香料>
(C)成分に用いる香料は、香質等を勘案して決定することができ、例えば、香料成分又は香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物(香料組成物)が挙げられる。香料は、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂との反応性及び水溶性が低いものを選択することが好ましい。
香料組成物は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、洗剤や繊維用仕上げ剤等に一般的に使用される香料成分を1種類以上含む香料組成物等が挙げられる。
【0036】
前記香料成分の具体例としては、例えば、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、天然香料、動物性香料等が挙げられる。
【0037】
前記アルデヒド類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC−12MNA、ミラックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、シトラール、シトロネラール、エチルバニリン、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリン、ヘリオナール等が挙げられる。
【0038】
前記フェノール類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オイゲノール、イソオイゲノール等が挙げられる。
前記アルコール類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バクダノール、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、ジハイドロリナロール、ゲラニオール、リナロール、ネロール、サンダロール、サンタレックス、ターピネオール、テトラハイドロリナロール、フェニルエチルアルコール等が挙げられる。
【0039】
前記エーテル類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セドランバー、グリサルバ、メチルオイゲノール、メチルイソオイゲノール等が挙げられる。
【0040】
前記エステル類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シス−3−ヘキセニルアセテート、シス−3−ヘキセニルプロピオネート、シス−3−ヘキセニルサリシレート、p−クレジルアセテート、p−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、アミルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、アミルサリシレート、ベンジルサリシレート、ベンジルベンゾエート、ベンジルアセテート、セドリルアセテート、シトロネリルアセテート、デカハイドロ−β−ナフチルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、エリカプロピオネート、エチルアセトアセテート、エリカアセテート、ゲラニルアセテート、ゲラニルフォーメート、ヘディオン、リナリルアセテート、β−フェニルエチルアセテート、ヘキシルサリシレート、スチラリルアセテート、ターピニルアセテート、ベチベリルアセテート、o−t−ブチルシクロヘキシルアセテート、マンザネート、アリルヘプタノエート等が挙げられる。
【0041】
前記ハイドロカーボン類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、d−リモネン、α−ピネン、β−ピネン、ミルセン等が挙げられる。
前記ケトン類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α−イオノン、β−イオノン、メチル−β−ナフチルケトン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、シス−ジャスモン、メチルイオノン、アリルイオノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコン等が挙げられる。
【0042】
前記ラクトン類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−ドデカラクトン、クマリン、アンブロキサン等が挙げられる。
前記ムスク類としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラキソライド、ムスクケトン、トナリッド、ニトロムスク類等が挙げられる。
【0043】
前記天然香料としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油、タイム油等の精油が挙げられる。
【0044】
前記動物性香料としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、じゃ香、霊猫香、海狸香、竜涎香等が挙げられる。
このような香料成分は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0045】
本発明の香料は、香気のフレッシュ感と嗜好性の点から、常温における沸点が好ましくは260℃未満であり、より好ましくは150℃以上、260℃未満である。
香料成分の沸点は、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「合成香料 化学と商品知識」,印藤元一著,化学工業日報社(1996)、「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「香りの百科」,日本香料協会編,朝倉書店(1989)及び「香料と調香の基礎知識」,産業図書(1995)に記載されており、本明細書ではそれらの文献から引用する。
【0046】
本発明の香料には、ClogP値が好ましくは1.0〜8.0、より好ましくは3.0〜8.0である香料成分が含有されることが好ましい。
ClogP値とは、化学物質について、1−オクタノール中及び水中の平衡濃度の比を表す1−オクタノール/水分配係数=Pを、底10に対する対数logPの形態で表した値である。前記ClogP値は、f値法(疎水性フラグメント定数法)により、化合物の化学構造をその構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数f値を積算して求めることができる(例えば、Clog 3 Reference Manual DaylightSoftware 4.34,Albert Leo,David Weininger, Version 1,March 1994 参照)。
【0047】
一般に、香料はClogP値が大きいほど疎水的であることから、ClogP値が小さい香料成分を多く含んで構成された香料は、ClogP値が大きい香料成分を多く含んで構成された香料よりも親水的な香料であるといえる。
従って、前記ClogP値が、前記範囲内であると、親水性の香料成分と疎水性の香料成分とがバランス良く組み合わされているために、より香気バランスに優れ嗜好性が高い香料となる点で有利である。
このようなClogP値の香料成分は、香料から溶剤を除いた量に対して30質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、含有されることが望ましい。
【0048】
香料には、香料組成物として通常用いる溶剤(香料用溶剤)を配合してもよい。香料用溶剤として水溶性溶剤を用いる場合には、(a1)成分の皮膜形成を考慮して香料用溶剤を決定することができる。
香料用溶剤としては、例えば、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコールDPG−FC(ジプロピレングリコール)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト−5(1,2−ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA−2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA−4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。これら香料中の香料用溶剤の含有量は、例えば、香料中に0.1〜50質量%の範囲が好ましく、1〜30質量%の範囲がより好ましい。
【0049】
本発明の香料には、上記成分以外に、本発明の効果を妨げない限り、必要に応じて酸化防止剤、防腐剤等の添加剤を配合することができる。
【0050】
香料の含有量は、香料の種類等を勘案して決定でき、(C)成分中、15〜80質量%の範囲で決定することが好ましく、15〜60質量%の範囲で決定することがより好ましい。香料の含有量が上記下限値未満では、洗剤組成物中のカプセル化香料の含有量が多くなることから他成分とのバランスがとりにくくなる。上記上限値以上ではカプセル化香料の形成が困難となり、カプセル壁の強度が不十分となり、残香性や発香性が低下する場合がある。
【0051】
<ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂>
本発明における(C)成分のカプセル壁は、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂を用いる。香料を安定的にマイクロカプセル化することができる点、(A)成分と(B)成分と組み合わせて使用することで高い柔軟性を発現する点から、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂は(メタ)アクリル酸と低級アルキルエステルとをモノマーとして、香料の種類等に応じてモノマー比を変化させて香料をカプセル化することができる。
カプセル壁の形成に用いられるモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0052】
なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸の総称である。本発明において、低級アルキルエステルは、炭素数4以下の直鎖又は分岐鎖を有するアルキルエステルをいう。
【0053】
ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂の含有量は、その種類等により適宜決定でき、(C)成分中、30〜80質量%の範囲で決定することが好ましく、30〜60質量%の範囲で決定することがより好ましい。上記下限値未満であるとカプセル壁の形成が困難となる場合があり、上記上限値を超えると相対的に香料の含有量が低下するためである。
【0054】
<(C)成分中のその他の成分>
(C)成分には、芯物質である香料及びカプセル壁であるポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル系樹脂以外に、カプセル壁の形成を容易にするために、本発明の効果を妨げない範囲で乳化剤、溶解促進剤、重合開始剤等を配合できる。
乳化剤としては、例えば、エチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩、フェノールスルホン酸縮合物、ポリビニルピロリドン、界面活性剤等が挙げられる。
香料の溶解促進剤としては、例えば、高級アルコール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、パラフィン油等が挙げられる。
重合開始剤は特に限定されず、カプセル壁の成分に応じて決定でき、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ベンゾイル、N,N−ジメチル−p−トルイジン、ハロゲン化アルキル等が挙げられる。
【0055】
<(C)成分の製造方法>
(C)成分は、本発明の効果を妨げない限り公知の方法により製造でき、具体的には乳化重合法、in−situ重合法等が挙げられる。
これらの中でも、カプセル壁を核物質である香料側から形成させるin−situ重合法が好適である。in−situ重合法は、例えば、予めアクリル酸エチル、メタクリル酸エチル等のモノマーと、重合開始剤と、香料とを水に分散し、攪拌機で攪拌し、香料を任意の粒子径に調整した混合分散液を得る。該混合分散液に窒素ガスを導入しながら、任意の温度条件下で前記モノマーを重合させカプセル壁を形成する。こうして、(C)成分が水に分散した香料分散液を得ることができる。
【0056】
混合分散液中の香料の濃度は特に限定されず、例えば、5〜40質量%の範囲で決定することが好ましい。
混合分散液におけるモノマーの濃度は特に限定されず、例えば、香料に対して50〜500質量%の範囲で決定することが好ましい。
混合分散液における重合開始剤の濃度は、前記モノマーに対して0.1〜5質量%の範囲で決定することが好ましい。
【0057】
(C)成分の粒子径を調整する際の温度条件は特に限定されず、例えば、20〜70℃の範囲で決定することが好ましい。(C)成分の重合条件は特に限定されないが、例えば、重合温度を60〜80℃の範囲で決定することが好ましい。(C)成分の重合時間は特に限定されないが、1〜8時間の範囲で決定することが好ましい。
【0058】
香料分散液における(C)成分の含有量は特に限定されないが、20〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。上記範囲内であれば、良好な香気を被洗物に付与できるためである。
【0059】
本発明の洗剤組成物における(A)〜(C)成分の含有比は特に限定されず、(A)〜(C)成分の種類に応じて決定することができる。例えば、(A)成分/(B)成分/(C)成分で表される質量比は、1〜30/0.1〜2/0.1〜10の範囲が好ましく、10〜20/0.1〜1/0.1〜1の範囲がより好ましい。上記範囲内であれば、各成分の相乗効果により、残香性、発香性及び柔軟性の向上が図れるためである。
【0060】
[洗剤組成物の任意成分]
本発明の洗剤組成物には、任意成分として上記(A)〜(C)成分以外に必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を適宜、配合することができる。任意成分としては、(A)成分以外の界面活性剤(ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤)、洗浄性ビルダー、蛍光増白剤、酵素、酵素安定剤、ポリマー類、ケーキング防止剤、消泡剤、還元剤、金属イオン捕捉剤、pH調整剤、香料、色素等が挙げられる。
【0061】
<ノニオン界面活性剤>
ノニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル
この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、例えば下記一般式(3)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート
【0062】
CO(OA)OR ・・・(3)
【0063】
[式(3)中、RCOは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し、OAは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイドの付加単位を示し、pはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。Rは炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級(炭素数1〜4)アルキル基を示す。]
【0064】
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(8)グリセリン脂肪酸エステル
【0065】
上記のノニオン界面活性剤の中でも、上述した(1)のノニオン界面活性剤が好ましく、特に、炭素数12〜16の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好ましい。融点が50℃以下でHLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。また、これらのノニオン界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、本発明におけるノニオン界面活性剤のHLBとは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。
本発明における融点とは、JISK0064−1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている融点測定法によって測定された値である。
【0066】
<カチオン界面活性剤>
カチオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
ただし、上記の「長鎖アルキル」は炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。
「短鎖アルキル」は、フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等の置換基を包含し、炭素間にエーテル結合を有していてもよい。なかでも、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のポリオキシアルキレン基が好適なものとして挙げられる。
【0067】
<両性界面活性剤>
両性界面活性剤としては、例えばイミダゾリン系の両性界面活性、アミドベタイン系の両性界面活性剤等を挙げることができる。具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好適なものとして挙げられる。
【0068】
<洗浄性ビルダー>
洗浄性ビルダーとしては、無機ビルダー及び有機ビルダーが挙げられる。
無機ビルダーとしては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩;結晶性層状珪酸ナトリウム(例えば、クラリアントジャパン社製の商品名「Na−SKS−6」(δ−NaO・2SiO)等の結晶性アルカリ金属珪酸塩)、非晶質アルカリ金属珪酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;結晶性アルミノ珪酸塩、無定形アルミノ珪酸塩、炭酸ナトリウムと非晶質アルカリ金属珪酸塩の複合体(例えば、ローディア社製のNABION15(商品名))等が挙げられる。
【0069】
上記無機ビルダーの中でも、炭酸ナトリウム、アルミノ珪酸塩又は溶解性向上の効果を併せ持つものとしてカリウム塩(炭酸カリウム、硫酸カリウム等)もしくはアルカリ金属塩化物(塩化カリウム、塩化ナトリウム等)が好ましい。
【0070】
アルミノ珪酸塩としては、結晶性、非晶質(無定形)のいずれのものも用いることができ、カチオン交換能の点から結晶性アルミノ珪酸塩が好ましい。
【0071】
結晶性アルミノ珪酸塩としては、A型、X型、Y型、P型ゼオライト等が好適に配合でき、質量平均粒子径は0.1〜10μmが好ましい。洗剤組成物中の結晶性アルミノ珪酸塩の含有量は、10〜40質量%が好ましく、洗浄性能及び流動性等の粉体物性の点から2〜30質量%が特に好ましい。
【0072】
炭酸カリウムを配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、洗剤組成物中に、好ましくは1〜15質量%、より好ましくは2〜12質量%、さらに好ましくは5〜12質量%である。
【0073】
アルカリ金属塩化物を配合する場合、その含有量は、溶解性向上の効果の点から、洗剤組成物中に、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。
【0074】
結晶性アルカリ金属珪酸塩を配合する場合、その含有量は、洗浄性能の点から、洗剤組成物中に、好ましくは0.5〜40質量%、より好ましくは1〜25質量%、さらに好ましくは3〜20質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。
【0075】
有機ビルダーとしては、例えばニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸塩、アクリル酸−アリルアルコール共重合体の塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸の塩;ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体又は共重合体の塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体の塩;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等の多糖類誘導体等が挙げられる。
【0076】
上記有機ビルダーの中でも、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩が好ましい。特に、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、重量平均分子量が1000〜80000のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸塩、重量平均分子量が1000〜80000のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸塩、重量平均分子量が800〜1000000(好ましくは5000〜200000)のポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩(例えば、特開昭54−52196号公報に記載のもの)、多糖類誘導体が好適である。
上記洗浄性ビルダーは、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0077】
洗剤組成物中の洗浄性ビルダーの含有量は、充分な洗浄性能を付与する点から、10質量%以上が好ましく、より好ましくは20〜80質量%である。
なお、市販品で入手可能な洗浄性ビルダーには様々なグレードがあるが、該グレードは本発明の利用を制限するものでなく、例えばその市販品の製造の際に混入する不純物や、品質安定化のために添加される保存安定剤や酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0078】
<蛍光増白剤>
蛍光増白剤としては、例えば4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス−(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等が挙げられる。上記蛍光増白剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
洗剤組成物中の蛍光増白剤の含有量は、0.001〜1質量%が好ましい。
【0079】
蛍光増白剤の市販品としては、住友化学株式会社製のホワイテックスSA、ホワイテックスSKC(以上、商品名);チバ・ジャパン株式会社製のチノパールAMS−GX、チノパールDBS−X、チノパールCBS−X(以上、商品名);Khyati Chemicals製のLemoniteCBUS−3B(商品名)等が好適なものとして挙げられる。中でも、チノパールCBS−X、チノパールAMS−GXがより好ましい。
【0080】
<酵素>
酵素としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類及びイソメラーゼ類が挙げられる。
中でも、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ等が好ましい。
【0081】
プロテアーゼとしては、例えば、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼA又はB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼA又はB等が挙げられる。
市販品としては、サビナーゼ、アルカラーゼ、カンナーゼ、エバラーゼ、デオザイム(以上、商品名;ノボザイムズ社製);API21(商品名、昭和電工株式会社製);マクサカル、マクサペム(以上、商品名;ジェネンコア社製);プロテアーゼK−14又はK−16(特開平5−25492号公報に記載のプロテアーゼ)等が挙げられる。
【0082】
エステラーゼとしては、例えば、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類、ホスホターゼ類等が挙げられる。
リパーゼとしては、例えば、リポラーゼ、ライペックス(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、リポサム(商品名、昭和電工株式会社製)等の市販のリパーゼ等を挙げることができる。
セルラーゼとしては、例えば、市販品のセルザイム(商品名、ノボザイムズ社製);アルカリセルラーゼK、アルカリセルラーゼK−344、アルカリセルラーゼK−534、アルカリセルラーゼK−539、アルカリセルラーゼK−577、アルカリセルラーゼK−425、アルカリセルラーゼK−521、アルカリセルラーゼK−580、アルカリセルラーゼK−588、アルカリセルラーゼK−597、アルカリセルラーゼK−522、CMCアーゼI、CMCアーゼII、アルカリセルラーゼE−II、及びアルカリセルラーゼE−III(以上、特開昭63−264699号公報に記載のセルラーゼ)等が挙げられる。
アミラーゼとしては、例えば、市販品のターマミル、デュラミル(ノボザイムズ社製)等を挙げることができる。
【0083】
上記酵素は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
酵素は、別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用することが好ましい。
【0084】
<酵素安定剤>
酵素安定剤としては、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等を配合することができる。中でも、四ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等が好ましい。
酵素安定剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
洗剤組成物中の酵素安定剤の含有量は、0.05〜2質量%が好ましい。
【0085】
<ポリマー類>
本発明の洗剤組成物には、(B)成分以外のポリマー類を配合することができる。ポリマー類は、界面活性剤含有粒子を高密度化する場合に使用されるバインダーもしくは粉体物性調整剤として、又は疎水性微粒子(汚れ)に対する再汚染防止効果を付与するため、重量平均分子量が200〜200000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸及び/又はマレイン酸ポリマーの塩、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のセルロース誘導体等を配合することができる。
また、汚れ放出剤としてテレフタル酸に由来する繰返し単位と、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールに由来する繰返し単位とのコポリマー、もしくはターポリマー等を配合することができる。
また、色移り防止効果を付与するため、ポリビニルピロリドン等を配合することができる。
【0086】
上記ポリマー類の中でも、被洗物への柔軟性付与効果、再汚染防止の観点から、HPMCが好ましく、重量平均分子量2万以上のHPMCがより好ましい。
かかるポリマー類は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
洗剤組成物中の上記ポリマー類の含有量は、0.05〜5質量%が好ましい。
【0087】
<ケーキング防止剤>
ケーキング防止剤としては、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等を配合することができる。
【0088】
<消泡剤>
消泡剤としては、例えば、シリコーン/シリカ系のものを挙げることができる。また、かかる消泡剤は、下記消泡剤造粒物として用いてもよい。
まず、マルトデキストリン(商品名、日澱化学株式会社製;酵素変性デキストリン)100gに、消泡剤成分としてシリコーン(コンパウンド型、商品名:PSアンチフォーム、ダウコーニング社製)20gを添加し混合して均質混合物を得る。次に、得られた均質混合物50質量%、ポリエチレングリコール(PEG−6000,融点58℃)25質量%、及び硫酸ナトリウム25質量%を70〜80℃で混合した後、押出し造粒機(型式EXKS−1、不二パウダル株式会社製)により造粒し、消泡剤造粒物を得る(特開平3−186307号公報参照)。
【0089】
<還元剤>
還元剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。
【0090】
<金属イオン捕捉剤>
金属イオン捕捉剤は、水道水中の微量金属イオン等を捕捉し、金属イオンの繊維(被洗物)への吸着を抑制する効果を有する。
金属イオン捕捉剤としては、前記洗浄性ビルダーに包含されるものの他に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン六酢酸等のアミノポリ酢酸類;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体又はその塩;ジグリコール酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類又はその塩等が挙げられる。
上記金属イオン捕捉剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0091】
洗剤組成物中の金属イオン捕捉剤の含有量は、0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜3質量%である。上記範囲内であれば、水道水中の金属イオンを捕捉する効果が向上する。
【0092】
<pH調整剤>
本発明の洗剤組成物は、そのpHが特に制限されるものではないが、洗浄性能の点から、洗剤組成物の1質量%水溶液におけるpHが8以上であることが好ましく、該1質量%水溶液におけるpHが9〜11であることがより好ましい。前記pHが8以上であることにより、洗浄効果が発揮されやすくなる。
【0093】
洗剤組成物のpHを制御するための技術としては、通常アルカリ剤によってpH調整が行われており、前記洗浄性ビルダーに記載のアルカリ剤の他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。例えば、水への溶解性及びアルカリ度の点から、炭酸ナトリウムと珪酸ナトリウムと水との割合が55/29/16(質量比)の混合物であるNABION15(商品名、ローディア社製)を用いるのが好ましい。
また、洗剤組成物のpHが高くなりすぎることを防止するために、酸等を用いて上記pHの範囲に調整することもできる。
かかる酸としては、前記金属イオン捕捉剤、リン酸2水素カリウム等のアルカリ金属リン酸2水素塩、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、グルコン酸、又はそれらのポリカルボン酸、クエン酸、炭酸水素ナトリウム、硫酸、塩酸等を使用することができる。
また、洗浄時に繊維の汚れに由来する酸成分によるpHの低下を防止するための緩衝剤の使用も可能である。
上記pH調整剤は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0094】
<色素>
洗剤組成物の外観を良好にするために、染料、顔料等の各種色素を用いることができる。中でも、保存安定性の点から顔料が好ましく、耐酸化性を有するものが特に好ましい。
かかる色素としては、例えば酸化物等が挙げられ、好ましくは、酸化チタン、酸化鉄、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、群青、紺青、シアニンブルー、シアニングリーン等が挙げられる。
【0095】
<香料>
本発明の洗剤組成物には、(C)成分以外に、さらに香料を添加することができる。本香料は、(C)成分が含有する香料と同様である。
【0096】
(洗剤組成物の製造方法)
本発明の洗剤組成物の製造方法は、特に限定されず、従来公知の洗剤組成物の製造方法を用いることができる。
洗剤組成物の形態が粒状である場合、例えば、(C)成分を除き、(A)成分、(B)成分及び任意成分を含有する界面活性剤含有粒子を製造し、該界面活性剤含有粒子に(C)成分を添加する方法が挙げられる。
界面活性剤含有粒子の製造方法は特に限定されず、例えば、(A)成分、(B)成分及び任意成分を水に分散・溶解し噴霧乾燥したり、捏和・押出、撹拌造粒、転動造粒等の装置に供して、捏和や造粒、圧縮成形等を施し、さらに必要に応じて粉砕等する方法が挙げられる。
【0097】
(C)成分の界面活性剤含有粒子への添加方法は特に限定されず、例えば、界面活性剤含有粒子を流動させながら、(C)成分を噴霧する方法が挙げられる。また、例えば、(C)成分を予め、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ゼオライト、ベントナイト等、好ましくは硫酸ナトリウムと共に造粒して香料造粒物を得、得られた香料造粒物と界面活性剤含有粒子とを粉体混合する方法が挙げられる。中でも、残香性、発香性をより向上させる観点から、(C)成分は、香料造粒物とし洗剤組成物に配合することが好ましい。
【0098】
水中油型エマルジョン(香料分散液)の(C)成分を界面活性剤含有粒子に噴霧する場合、洗剤組成物中の香料分散液の配合量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜3質量%である。上記下限値未満であると残香性、発香性が不十分となり、上記上限値を超えると他成分とのバランスがとりにくく、かつ、ハンドリング性の点からも好ましくない。
【0099】
[使用方法]
本発明の洗剤組成物の使用方法は、特に限定されるものではない。粒状洗剤組成物の場合、例えば、洗濯機に、好ましくは0.02〜0.5質量%の溶液となるように粒状洗剤組成物を投入し、被洗物を洗浄する方法;被洗物を好ましくは粒状洗剤組成物の0.02〜2質量%溶液に浸け置く方法等が好適である。特に洗濯機に投入して5〜20分間の洗濯を行う方法に好適に使用することができる。本発明の洗剤組成物が洗浄対象とする被洗物は、特に限定されるものではなく、例えば衣類、布巾、シーツ、カーテン等の繊維製品等、通常の洗剤組成物が洗浄対象とする被洗物と同じものが挙げられる。
【0100】
また、例えば液状洗剤組成物の場合には、好ましくは0.02〜0.5質量%の溶液となるように液状洗剤組成物を投入し、被洗物を洗浄する方法;被洗物を好ましくは液状洗剤組成物の0.02〜2質量%溶液に浸け置く方法等が好適である。あるいは、液状洗剤組成物を被洗物に塗布後、適宜放置し、その後、通常の洗浄を行う方法も好ましい。
【0101】
上述のとおり、本発明の洗剤組成物は、(A)成分と(B)成分とを含有することで、被洗物を柔軟に仕上げることができる。加えて、洗剤組成物は、香料をポリ(メタ)アクリル酸アルキルエスエル系樹脂で内包したカプセル化香料として含有している。このため、香料成分が他の洗剤成分(特に界面活性剤)と直接接触せず、香料成分が変質して、香気が劣化することを防止できる。さらに、(C)成分のカプセル壁は水不溶であるため、カプセル構造が維持されたまま被洗物に付着する。被洗物に付着した(C)成分は、その後の被洗物の保管あるいは着用中に徐々に壊れることで、長期間にわたって香気を放出できる。
【0102】
洗剤組成物は、(A)〜(C)成分を含有することで、柔軟性、残香性及び発香性が相乗的に向上する。柔軟性、残香性、発香性が相乗的に向上する理由は明確ではないが、以下のように推測する。
洗濯液中において、(A)成分は、(B)成分及び/又は(C)成分と複合体を形成することで、衣類のセルロース構造に対し効率的に吸着することができ、衣類等の被洗物の表面に柔軟性を付与する。加えて、洗濯中の被洗物は、(A)成分と(B)成分及び/又は(C)成分との複合体が吸着することにより、わずかに疎水性に変化する。このため、残りの(B)成分と(C)成分とにより形成された複合体は、疎水的な結合により容易に洗濯中の被洗物に吸着する。この結果、洗浄後の被洗物への(C)成分の吸着量が増大し、残香性及び発香性が向上する。さらに、被洗物には、(A)成分及び/又は(B)成分と(C)成分との複合体として付着しているため、(C)成分単独では発現できなかった柔軟性を示すようになったと考えられる。
【実施例】
【0103】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例の組成割合において、特に断りがない限り、「%」は質量%を表す。
【0104】
(使用原料)
実施例及び比較例に使用した原料は次のとおりである。
<(A)成分:アニオン活性剤>
・A−1:MESナトリウム塩(MES塩)−1・・・炭素数14/炭素数16=18/82のMESのナトリウム塩(ライオン株式会社製、AI(純分)=70%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等)
・A−2:MESナトリウム塩(MES塩)−2・・・炭素数16/炭素数18=80/20のMESのナトリウム塩(ライオン株式会社製、AI(純分)=70%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等)
・A−3:石鹸・・・炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン株式会社製、純分:67%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:C12;11.7%、C14;0.4%、C16;29.2%、C18F0(ステアリン酸);0.7%、C18F1(オレイン酸);56.8%、C18F2(リノール酸);1.2%、分子量:289)
・A−4:LAS塩・・・直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(ライオン株式会社製ライポンLH−200(LAS−H、純分96%))を調製時に48%水酸化ナトリウム水溶液で中和した化合物(LAS−Na)と、水酸化ナトリウムの代わりに48%水酸化カリウム水溶液で中和した化合物(LAS−K)を質量比2:1で混合したもの。表中の組成割合は、これらの混合物としての値(質量%)を示す
【0105】
<(B)成分:カチオン化ポリマー>
・B−1:カチオン化セルロース−1・・・レオガードMTY(ライオンケミカル株式会社製、カチオン化度0.6、分子量:約90万)
・B−2:カチオン化セルロース−2:レオガードLP(ライオンケミカル株式会社製、カチオン化度1.0、分子量約90万
・B−3:カチオン化セルロース−3・・・下記方法にてカチオン化セルロースCを合成した。
【0106】
≪カチオン化セルロース−3の製造方法≫
ヒドロキシエチルセルロース(住友精化株式会社製:AX−15、2%水溶液粘度(25℃):1,200mPa・s)30g(100質量部)に対して、イソプロピルアルコール/水(質量比)=85/15となる混合溶媒を300g(1,000質量部)、25%水酸化ナトリウム水溶液を4.5g(15質量部)加えて混合した。その後、30分攪拌混合して、混合溶媒の上澄みを150g(500質量部)抜き出した。そして、50℃まで昇温させ、カチオン化剤としてグリシジルトリメチルアンモニウムクロライド(阪本薬品工業株式会社製:SY−GTA80、有効分:73%水溶液)を2.7g(9質量部)加えて、3時間反応させた。
その後、10%塩酸−イソプロピルアルコール(IPA)溶液を加えて、pH6に調整し、カチオン化セルローススラリーを得た。そして、遠心脱水し、乾燥(70〜80℃)を経て、カチオン化セルロース−3(分子量:約160万、カチオン化度0.4)を得た。
【0107】
・B−4:ポリ塩化ジメチルアリルアンモニウム・・・MERQUAT100(Nalco社製)
【0108】
<(B’)成分:(B)成分の比較品>
・B’−1:カルボキシメチルセルロース・・・カルボキシルメチルセルロース(商品名:CMCダイセル1190、分子量:82万、エーテル化度:0.7、ダイセル工業株式会社製)
・B’−2:粉末セルロース・・・ARBOCEL FD600/30(商品名、レッテンマイヤー社製、平均繊維長:40μm、平均繊維径:25μm)
【0109】
<その他>
・ノニオン界面活性剤・・・ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体
・ゼオライト:アルミノケイ酸塩A型ゼオライト・・・VALFOR 100 ゼオライトNaA(平均粒子径:4μm、PQケミカル社製)
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝・・・中性無水芒硝A0B(平均粒子径:150μm、四国化成株式会社製)
・亜硫酸ナトリウム:無水硫酸曹達(神州化学株式会社製)
・炭酸ナトリウム:重質炭酸ナトリウム・・・ソーダ灰(旭硝子株式会社製)
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子株式会社製、平均粒子径:490μm、嵩密度:1.30g/cm
・蛍光増白剤:チノパールCBS−X(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・酵素:エバラーゼ8T(ノボザイムズ社製)/LIPEX50T(ノボザイムズ社製)/ターマミル60T(ノボザイムズ社製)/セルザイム0.7T(ノボザイムズ社製)=5/2/1/2(質量比)の混合物
・MA剤:アクリル酸/マレイン酸共重合体のナトリウム塩・・・ソカランCP7(BASF社製)
【0110】
(製造例1)C−1:香料分散液−1の調製
乳化剤としてフェノールスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(ベルコタンN、日本精密化学株式会社製)6g、K値90のポリビニルピロリドン(試薬、東京化成工業株式会社)8g、パラフィン油(試薬、純正化学株式会社)236g、表1に示す香料組成物(c−1)160g、メチルメタクリレート(試薬、東京化成工業株式会社)45.3g、ジエチルアミノエチルメタクリレート(試薬、東京化成工業株式会社)39.7g、アゾビスイソブチロニトリル(試薬、東京化成工業株式会社)0.63g、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート(試薬、東京化成工業株式会社)0.92gからの混合物を水512gに、室高速歯付きディスクミルを用い、室温、4500rpmで20分間分散させ、水中油型エマルジョンである混合分散液を得た。この混合分散液をレーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−300V、株式会社島津製作所製)で測定した結果、混合分散液中の香料組成物c−1の粒子径が2〜15μmの安定な水中油型エマルジョンであった。この混合分散液を攪拌しながら馬蹄形攪拌機で60℃に加熱し、この温度で1.5時間攪拌する。次に、この混合分散液の温度を20分間で65℃に高め、この温度で4時間攪拌した。その後、混合分散液を攪拌しながら室温まで冷却し、カプセル化香料が分散した香料分散液−1を得た。香料分散液−1中のカプセル化香料の粒子径をレーザ回析式粒度分布測定装置で測定した結果、平均粒子径は4μmであった。また、香料分散液−1中のカプセル化香料の含有率は約24%、香料分散液−1中の香料組成物c−1の含有率は約16%であった。
【0111】
【表1】

【0112】
(製造例2)C−2:香料分散液−2の調製
香料組成物c−1を表2に示す香料組成物c−2に換えた以外は、製造例1と同様にして香料分散液−2を得た。香料分散液−2中のカプセル化香料の粒子径をレーザ回析式粒度分布測定装置で測定した結果、平均粒子径は4μmであった。また、香料分散液−2中のカプセル化香料の含有率は約20%、香料分散液−2中の香料組成物c−2の含有率は約16%であった。
【0113】
【表2】

【0114】
(製造例3)C−3:香料造粒物−1の製造
卓上型粉砕機(型式:SK−M、協立理工株式会社製)に硫酸ナトリウム60gを投入し、硫酸ナトリウムを攪拌しながら、20gの香料分散液−1(製造例1で調製)を5分間かけて添加した。その後、さらに3分間攪拌し、香料造粒物−1を得た
【0115】
(製造例4)C−4:香料造粒物−2の製造
香料分散液−1を製造例2で調製した香料分散液−2に換えた以外は、製造例3と同様にして香料造粒物−2を得た。
【0116】
(実施例1、2)
表3の組成に従い、下記に示す方法により洗剤組成物を製造した。
工程(A):撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を60℃に調整した。これにMES塩及びノニオン界面活性剤を除く界面活性剤を添加し、10分間撹拌した。続いてMA剤(アクリル酸/マレイン酸コポリマーナトリウム塩)を添加した。さらに10分間撹拌した後、ゼオライトの一部(表3に記載する添加量より1.0%相当量の捏和時添加用、5.0%相当量の粉砕助剤用、1.5%相当量の表面改質用のゼオライトを除いた量)、炭酸ナトリウムを添加した。さらに20分間撹拌して水分38%の噴霧乾燥用スラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径(質量50%);320μm、嵩密度;0.30g/cm、水分;5%の噴霧乾燥粒子を得た。
【0117】
工程(B):工程(A)で得た噴霧乾燥粒子、MES塩、1.0%相当量のゼオライト、噴霧添加用のノニオン界面活性剤0.5%相当量を除く残りのノニオン界面活性剤、(B)成分及び水を連続ニーダー(KRC−S4型、株式会社栗本鐵工所製)に投入し、捏和能力;120kg/hr、温度;60℃の条件で捏和し、界面活性剤を含有する水分6%の混合物を得た。
【0118】
工程(C):工程(B)で得た混合物を穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(EXDFJS−100型、不二パウダル株式会社製)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速;5m/s)長さ5〜30mm程度のペレットを得た。次いで、得られたペレットに粉砕助剤としてのゼオライトを5.0%相当量を添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で直列3段に配置したフィッツミル(DKA−3、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて粉砕(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)し、界面活性剤含有粒子を得た。
【0119】
工程(D):工程(C)で得られた界面活性剤含有粒子を、水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、1.5%相当量の表面改質用のゼオライトを加え、0.5%相当量のノニオン界面活性剤噴霧しつつ、1分間転動し表面改質した粒子を得た。
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容積%、回転数22rpm、25℃の条件で、上記で得られた粒子と酵素を添加し、5分間混合しベース組成物を得た。
【0120】
工程(E):工程(D)で得られたベース組成物60gを容量250mLのガラス瓶(高さ110mm、直径60mm)に投入し、ボールミルにて攪拌しながら香料分散液を5分間かけて徐々に添加した。その後さらに3分間攪拌を継続して洗剤組成物を得た。
得られた洗剤組成物を直ちにポリビニル製袋に入れ、室温で24時間保管した後、残香性、発香性、柔軟性について評価し、その結果を表3に示す。
【0121】
(実施例3〜9、実施例11〜15)
表3、4の組成に従い、実施例1と同様の工程(A)〜(D)によりベース組成物を得た。得られたベース組成物60g及び所定量の香料造粒物を容量250mlのガラス瓶(高さ110mm、直径60mm)に投入し、ボールミルにて3分間混合し、洗剤組成物を得た。
得られた洗剤組成物を直ちにポリビニル製袋に入れ、室温で24時間保管した後、残香性、発香性、柔軟性について評価し、その結果を表3、4に示す。なお、実施例15においては、蛍光増白剤を上記(B)工程で添加した。
【0122】
(実施例10)
表3の組成に従い、実施例15と同様の工程(A)〜(D)によりベース組成物を得た。得られたベース組成物60g及び所定量の香料造粒物を容量250mlのガラス瓶(高さ110mm、直径60mm)に投入し、ボールミルにて3分間混合した。その後、攪拌しながら香料組成物Aを5分間かけて徐々に添加し、洗剤組成物を得た。得られた洗剤組成物を直ちにポリビニル製袋に入れ、室温で24時間保管した後、残香性、発香性、柔軟性について評価し、その結果を表3に示す。
【0123】
(比較例1)
(B)成分を配合しない以外は、実施例と同様にして洗剤組成物を得た。得られた洗剤組成物を直ちにポリビニル製袋に入れ、室温で24時間保管した後、残香性、発香性、柔軟性について評価し、その結果を表4に示す。
【0124】
(比較例2)
工程(E)で、香料分散液に換えて香料組成物c−1をベース組成物に添加した以外は、実施例1と同様にして洗剤組成物を得た。得られた洗剤組成物を直ちにポリビニル製袋に入れ、室温で24時間保管した後、残香性、発香性、柔軟性について評価し、その結果を表4に示す。
【0125】
(比較例3)
工程(B)で、(B)成分に加えて(B’−2)成分:粉末セルロースを用い、工程(E)で、香料分散液に換えて香料組成物c−1をベース組成物に添加した以外は、実施例1と同様にして洗剤組成物を得た。得られた洗剤組成物を直ちにポリビニル製袋に入れ、室温で24時間保管した後、残香性、発香性、柔軟性について評価し、その結果を表4に示す。
【0126】
(比較例4)
工程(B)で、(B)成分に換えて(B’−1)成分:カルボキシメチルセルロースを添加した以外は、実施例3と同様にして洗剤組成物を得た。得られた洗剤組成物を直ちにポリビニル製袋に入れ、室温で24時間保管した後、残香性、発香性、柔軟性について評価し、その結果を表4に示す。
【0127】
(比較例5)
(A)成分:アニオン界面活性剤に換えてノニオン界面活性剤を用いた他は、実施例3と同様にして洗剤組成物を得た。得られた洗剤組成物を直ちにポリビニル製袋に入れ、室温で24時間保管した後、残香性、発香性、柔軟性について評価し、その結果を表4に示す。
【0128】
【表3】

【0129】
【表4】

【0130】
(評価試験)
[試験方法]
<前処理>
二槽式洗濯機(製品名:CW−C30A1−H1形、三菱電機株式会社製)に50℃の水道水を貯め、市販の洗剤トップ(ライオン株式会社製)を標準使用濃度(水道水30Lに対して洗剤トップ20g、即ち667mg/L)で水に添加した。綿タオル(220匁ボーダーソフトFT、株式会社東進社製)1kgを洗濯機に入れ、浴比30倍で「15分間洗浄後、5分間脱水」の洗浄・脱水の操作を2度繰り返した後、「15分間流水濯ぎ後、5分間脱水」の濯ぎ・脱水の操作を5回繰り返した。その後、室温で2日間吊り干しすることによって、綿タオルに前処理を施した。
B.V.D肌シャツ(丸首半袖Tシャツ、品番G0134TS)1kgにおいても同様の前処理を施した。
【0131】
<洗浄処理>
洗濯機として全自動電気洗濯機(製品名:JW−Z23A、Haier社製)を使用し、該全自動電気洗濯機の普通コースにより、水温20℃の水道水を用い、前処理した綿タオル2枚(71g/枚)、前処理したB.V.D肌シャツ3枚(140g/枚)(合計562g、以下、これらをまとめて「布類」という。)に対して、浴比21倍(低水位:12L)及び各例の粒状洗剤組成物の濃度833mg/L(水道水12Lに対して粒状洗剤組成物10g)で、前記布類を同浴にて処理することによって洗浄処理を施した。その後、室温で1日間吊り干しして乾燥させた。
【0132】
[残香性の評価]
残香性は、上記各例の基準サンプルの粒状洗剤組成物で洗浄処理した綿タオルについて、専門パネラー2名によって下記6段階臭気強度法(0.5点刻み)にて官能検査を行い、2名の平均を表3、4に示す。
5点:強烈な臭い
4点:強い臭い
3点:楽に感知できる臭い
2点:何の臭いか判る弱い臭い
1点:やっと感知できる臭い
0点:無臭
【0133】
[発香性の評価]
発香性は、上記各例の洗剤組成物により洗浄処理を施した綿タオル1枚を10×10cmに切断し、専門パネラーが切断したタオルを3回擦り合わせてから下記6段階臭気強度法(0.5点刻み)にて官能検査を行った。表中には2名の平均値を記載した。
【0134】
<評価基準>
5点:強烈な臭い
4点:強い臭い
3点:楽に感知できる臭い
2点:何の臭いか判る弱い臭い
1点:やっと感知できる臭い
0点:無臭
【0135】
[柔軟性の評価]
洗浄性の評価は、比較例1の洗剤組成物により洗浄処理を施した綿タオル(基準)と、各例の洗剤組成物により洗浄処理を施した綿タオルとの一対比較により行った。評価は専門パネラー10人により行った。
評価は、比較する一対の綿タオル間の柔軟性にはっきりと差がある場合、柔軟性が高い方の綿タオルに+2点、低い方の綿タオルに−2点を与え;やや差がある場合、柔軟性がやや高い方の綿タオルに+1点、やや低い方の綿タオルに−1点を与え;全く差がなければ両者に0点を与えた。そして、10人の合計点を求め、下記基準に基づいて柔軟性付与
効果を評価した。その結果を表1に示した。
【0136】
<評価基準>
◎:16〜20点
○:11〜15点
△:6〜10点
×:5点以下
【0137】
表3、4に示すとおり、本発明の洗剤組成物を用いた実施例1〜15の結果は、いずれも残香性が2以上、発香性が2.5以上であり、被洗物への香りの付与が良好であった。加えて、実施例1〜15は柔軟性の評価がいずれも○又は◎であった。実施例3と、(B)成分を含有しない比較例1との比較において、(B)成分を含有することで、洗剤組成物は、柔軟性が向上することに加え、残香性、発香性が向上することが判った。また、実施例3と、(C)成分を含有しない比較例2との比較において、(C)成分を含有することで、洗剤組成物は、残香性及び発香性が向上することに加え、柔軟性が向上することが判った。さらに、実施例3と、(A)成分を配合しなかった比較例5との比較において、(A)成分を含有することで、洗剤組成物は、柔軟性、残香性及び発香性が向上することが判った。これらの結果から、(A)〜(C)成分を含有する洗剤組成物は、柔軟性、残香性及び発香性が相乗的に向上することが判った。
加えて、実施例1と実施例3との比較、又は、実施例2と実施例4との比較において、(C)成分は香料造粒物として配合することで、洗剤組成物の被洗物に対する残香性及び発香性をより向上できることが判った。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)成分:アニオン界面活性剤と、(B)成分:カチオン化ポリマーと、(C)成分:ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエスエル系樹脂で香料を内包したカプセル化香料とを含有する洗剤組成物。
【請求項2】
前記(B)成分は、カチオン化セルロースである、請求項1に記載の洗剤組成物。

【公開番号】特開2010−209293(P2010−209293A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59957(P2009−59957)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】